JP2017114357A - 揺動車両の排気装置構造 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、揺動車両の排気装置構造において、排気ポートから消音器までの排気管長を確保でき、且つ、路面及び懸架装置と消音器とのクリアランスを確保して消音器を配置できるようにすることを目的とする。
本発明によれば、消音器は、スイングアームの下方、且つ、クッション装置の一側方に配置され、排気管は、消音器の前方側から延出し、クッション装置の他側方からクッション装置の後方を通るように屈曲して消音器に接続されている。これにより、消音器がスイングアームの下方、且つ、クッション装置の一側方に配置されるため、消音器と懸架装置のクッション装置とのクリアランスを確保でき、さらに、消音器を車体の低い位置で車幅方向の中央側に配置できるため、揺動車両がバンクした場合であっても消音器と路面とのクリアランスを確保できる。また、排気管が消音器の前方側から延出し、クッション装置の他側方からクッション装置の後方を通るように屈曲して消音器に接続されるため、排気ポートから消音器までの排気管長を長くできる。
本発明によれば、消音器は、クッション装置のリンク機構の側方に配置されている。クッション装置においてリンク機構は熱影響を受け難い部分であるため、消音器をリンク機構に近づけて配置できる。このため、消音器をコンパクトに配置できる。
また、前記リンク機構(59)は、側面視で斜め方向に傾斜して設けられ、前記排気管(71)は、前記リンク機構(59)のリンクアーム(61)の上端側の下方を通って前記消音器(72)に接続されていることを特徴とする。
本発明によれば、リンク機構は、側面視で斜め方向に傾斜して設けられ、排気管は、リンク機構のリンクアームの上端側の下方を通って消音器に接続されているため、リンク機構の下方の空間を有効利用して排気管を前後方向にコンパクトに配置できる。
本発明によれば、排気管は、クッション装置の他側方からクッション装置の後方を通るように屈曲した後に、車両左右方向に直線状に延びる直線部を備え、直線部の内部に触媒装置が設けられている。これにより、クッション装置の後方を通る直線部を利用して触媒装置を設けることができ、触媒装置を設けるための直線の管を前後方向に設ける必要がないため、排気管の前後長をコンパクト化できる。
また、本発明は、前記排気管(71)には、排気ガスセンサ(81)が設けられ、前記排気ガスセンサ(81)は、前記クッション装置(31)の直前方に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、排気管の排気ガスセンサは、クッション装置の直前方に配置されているため、スイングアームの下方でクッション装置の前方のスペースを利用して排気ガスセンサをコンパクトに設けることができる。
本発明によれば、排気管には、排気管路を開閉制御する排気弁が、排気管におけるリンク機構の側方位置に設けられ、排気弁の回動中心となる駆動軸が、前面視でクッション装置の軸線方向に沿うように配置されている。このため、排気弁を車幅方向にコンパクトにでき、リンク機構の側方位置に排気弁をコンパクトに配置できる。
また、本発明は、前記排気管(71)は、前記クッション装置(31)の前記他側方から前記クッション装置(31)の後方を通るように屈曲した後に、車両左右方向に直線状に延びる直線部(76d)を備え、前記直線部(76d)の内部に触媒装置(80)が設けられ、前記排気管(71)には、排気ガスセンサ(81)が設けられ、前記排気ガスセンサ(81)は、前記クッション装置(31)の直前方に配置され、前記排気管(71)には、排気管路を開閉制御する排気弁(82)が、前記排気管(71)における前記リンク機構(59)の側方位置に設けられ、前記排気弁(82)の回動中心となる駆動軸(82b)が、前面視で前記クッション装置(31)の軸線(58c)方向に沿うように配置され、前記揺動車両を車両底部から見て、前記排気管(71)は、前記クッション装置(31)を、前記排気ガスセンサ(81)、前記直線部(76d)、及び、前記排気弁(82)によって囲うように前記クッション装置(31)の周囲に取り巻かれ、前記クッション装置(31)の前記一側方の側は、前記消音器(72)で覆われていることを特徴とする。
本発明によれば、車両底部から見て、排気管は、クッション装置を、排気ガスセンサ、直線部、及び、排気弁によって囲うようにクッション装置の周囲に取り巻かれ、クッション装置の一側方の側は、消音器で覆われている。これにより、排気ガスセンサ、直線部、排気弁及び消音器をクッション装置の周囲を囲うようにコンパクトに設けることができる。
本発明によれば、車両側面視で、消音器の上面は、スイングアームの揺動角度に合わせて、その前部よりも後部が低くなるように傾斜しているため、スイングアームの揺動角度を確保しながら消音器をコンパクトに配置できる。
また、消音器をリンク機構に近づけてコンパクトに配置できる。
また、リンク機構の下方の空間を有効利用して排気管を前後方向にコンパクトに配置できる。
また、クッション装置の前方のスペースを利用して排気ガスセンサをコンパクトに設けることができる。
さらに、リンク機構の側方位置に排気弁をコンパクトに配置できる。
また、排気ガスセンサ、直線部、排気弁及び消音器をクッション装置の周囲を囲うようにコンパクトに設けることができる。
また、スイングアームの揺動角度を確保しながら消音器をコンパクトに配置できる。
自動二輪車1は、車体フレームFにパワーユニットとしてのエンジン10(内燃機関、V型内燃機関)が支持され、前輪2を支持するフロントフォーク11が車体フレームFの前端に操舵可能に支持され、後輪3を支持する懸架装置12が車体フレームFの後部側に設けられた車両である。自動二輪車1は、乗員が跨るようにして着座するシート13が車体フレームFの後部の上方に設けられた鞍乗り型の車両である。また、自動二輪車1は、曲がる際に車体が左右に揺動(バンク)する揺動車両である。
メインフレーム15,15は、平面視において後方側に行くほど左右の間隔が広くなるように形成されている。メインフレーム15,15は、上側エンジンハンガ部15aを後端部に備える。メインフレーム15,15は、前後の中間部から下方に延びる下方延出部の下端部に、前側エンジンハンガ部15bを備える。
ピボットフレーム17,17は、上下の中間部に、ビボット支持孔部17aを備え、ビボット支持孔部17aには、左右のピボットフレーム17,17を車幅方向に連結するピボット軸18が支持される。
ピボットフレーム17,17は、前縁部の上部及び下部に、後側エンジンハンガ部17b,17cを備える。
懸架装置12は、後輪3を揺動自在に支持するスイングアーム30と、スイングアーム30の揺動を緩衝するクッション装置31とを備える。スイングアーム30は、ピボット軸18に前端部を軸支され、ピボット軸18を中心に上下に揺動する。後輪3は、スイングアーム30の後端部に挿通される後輪車軸3aに軸支される。
左右のピボットフレーム17,17の下部には、後方に延びるステップホルダ20,20が左右一対で設けられる。運転者が足を乗せる左右一対のメインステップ20a,20aは、ステップホルダ20,20に取り付けられてピボットフレーム17,17の後方に位置する。
サイドスタンド21は、左側のピボットフレーム17の下端部に取り付けられている。
メインフレーム15,15の後部の上方には、エンジン10に供給する空気を浄化するエアクリーナーボックス29が設けられている。
図1〜図3を参照し、エンジン10は、前後で一対の前シリンダ部42(シリンダ部)と後シリンダ部43(シリンダ部)とが前後にV字状に配置されたV型エンジンである。本実施の形態では、エンジン10はV型4気筒エンジンである。
エンジン10は、車幅方向に延びるクランク軸40を収容するクランクケース41と、クランクケース41の前部の上部から前上方に斜めに延びる前シリンダ部42と、前シリンダ部42の後方で、クランクケース41の上部から後上方に斜めに延びる後シリンダ部43と、クランクケース41の下面に取り付けられるオイルパン44とを備える。
クランクケース41内の後部には、複数の歯車を備えた変速機45が収容されている。エンジン10の出力は、変速機45の出力軸に設けられた駆動スプロケット46(図1)と後輪3との間に掛け渡される駆動チェーン47によって後輪3に伝達される。
後シリンダ部43は、クランクケース41の上部に一体に形成された後シリンダブロック43aと、後シリンダブロック43aの上端に結合される後シリンダヘッド43bと、後シリンダヘッド43bの上面を覆う後ヘッドカバー43cとを備える。後シリンダ部43のシリンダ軸線43dは、後傾している。後シリンダ部43は、変速機45の上方まで延出している。後シリンダ部43は、車幅方向に並ぶ複数(2つ)の並列な気筒を備える。
詳細には、図1に示すように、エンジン10は、クランクケース41の前部を前側エンジンハンガ部15bに支持され、後シリンダヘッド43bの上部の前部を上側エンジンハンガ部15aに支持され、クランクケース41の後部を後側エンジンハンガ部17b,17c及びピボット軸18に支持される。
前シリンダ部42は、左右のメインフレーム15,15によって車幅方向の外側から覆われている。
後シリンダヘッド43bの前面には、後側の2つの気筒に対応して、車幅方向に並ぶ左右一対の後吸気ポート51,51が設けられている。
前吸気ポート50,50及び後吸気ポート51,51にそれぞれ接続される前スロットルボディ48及び後スロットルボディ49は、前シリンダ部42と後シリンダ部43との間の空間を利用して配置される。
クランクケース41の前面において左側の前排気ポート52Lの下方には、エンジンオイルを濾過する円柱状のオイルフィルターカートリッジ41aが取り付けられている。
後排気ポート53L,53Rには、後シリンダヘッド43bの排気が通る後側排気装置100(排気装置)が接続されている。
前シリンダ部42と前輪2との間には、エンジン10の冷却水を放熱させる板状のラジエータ55が設けられている。ラジエータ55は後面側に送風ファン55aを備える。ラジエータ55の下方で前側排気装置70の前方には、エンジン10のオイルを放熱させるオイルクーラ56が設けられている。
スイングアーム30は、一側アーム30a及び他側アーム30bの前端部30dが左右のピボットフレーム17,17に配置され、前端部30dに挿通されるピボット軸18によって軸支される。
クロスメンバ30cは、一側アーム30a及び他側アーム30bの下面よりも下方に突出するリンク連結部57を備える。
サスペンション58の上端部58bは、クランクケース41の後方且つ後排気ポート53L,53Rの下方で車体フレームFに連結されている。サスペンション58は、クロスメンバ30cとピボット軸18との間の空間を上下方向に通されている。
リンク機構59は、側面視で略三角形状のリンクプレート60と、リンクプレート60と、リンクプレート60から後方に延びてスイングアーム30に連結される左右一対のリンクアーム61,61とを備える。
車体フレームFは、左右のピボットフレーム17,17の下端部を車幅方向に接続する下部クロスフレーム62を備える。
詳細には、リンクプレート60は、下部クロスフレーム62に連結されるフレーム連結部60aを前端部に備え、サスペンション58の下端部58aに連結されるサスペンション連結部60bを後端部に備え、リンクアーム61,61の前端部に連結されるリンクアーム接続部60cを下端部に備える。
リンクアーム61,61は、直線的に前後に延びる棒状に形成されており、リンクプレート60の左右の側方にそれぞれ配置される。
リンク連結部57は、側面視において、サスペンション連結部60b及びリンクアーム接続部60cの後方に位置するとともに、リンクアーム接続部60cの上方に位置する。このため、直線的に延びるリンクアーム61,61は、側面視では、後上がりに傾斜して後方に延びる。
オイルパン44は、オイルを貯留可能なように下方に膨出して形成されている。
図4〜図8を参照し、前側排気装置70は、その上流端が前排気ポート52L,52R(図3)に接続される前側排気管71(排気管)と、前側排気管71の下流端に接続される第1消音器72(消音器、膨張室、後側消音器)とを備える。前側排気装置70は、前シリンダ部42に独立して接続される排気装置であり、後シリンダ部43の排気は前側排気装置70を流れない。
下側屈曲部73cの下端部は、車両中心Cを跨いで車体の右側(一側)、すなわち、車両中心Cに対して前排気ポート52Lの側とは反対側に位置している。
また、図4、図6及び図7を参照し、前側第1排気管73は、下側屈曲部73cの下端で後方に屈曲し、車体の右側を後方へ略真っ直ぐに延びる後方延出部73dを備える。後方延出部73dは、車両中心Cに重なるように車幅方向内側へ屈曲した後端部73e(図7)を備える。
下側屈曲部74cの下端部は、前側第1排気管73の下側屈曲部73cの上面に沿うように車幅方向の外側に延び、下側屈曲部73cの下端部よりも車幅方向の外側(一側)且つ前方に位置する。
延出部後部74fの後端部は、前側第1排気管73の後端部73eの上方を通って後方へ延び、車両中心Cに重なる位置で前側集合部75に接続される。
前側第1排気管73の後方延出部73dの後端部73eは、延出部後部74fの下方で前側集合部75に接続されている。
すなわち、前側第1排気管73及び前側第2排気管74は、前側集合部75の直前の部分では、車幅方向にコンパクトになるように上下に並べて配置されている。
直線部76dは、車両中心Cに略直交するようにして車両中心Cを跨ぎ、車体の右側(一側)に位置する第1消音器72に接続される。
前側第1排気管73の直線部76dの下流端は、前部消音部77の車幅方向内側の側壁部77aの後部に挿通されて接続されている。直線部76dは、側壁部77aに接続される部分が大径に形成されており、この大径部分の内部には、筒状の触媒装置80が設けられている。直線部76dは端部が前部消音部77内に延びており、触媒装置80の一部は前部消音部77内に配置されている。
接続管79は、前部消音部77の上壁部77b(上面)から車幅方向の外側且つ後上方に向かって延び、後部消音部78の前端部に接続される。
後部消音部78は、接続管79の径よりも大径に形成された前後に長い筒状の膨張室である。後部消音部78の排気口78aは後上方を指向している。
排気ガスセンサ81は、前側集合管76の後方延出部76bの前端部に設けられる。排気ガスセンサ81は、棒状に形成されており、後方延出部76bの上部に差し込むようにして設けられる。排気ガスセンサ81の検出部は、後方延出部76b内に位置し、前シリンダ部42から排気される排気ガスの酸素濃度を検出する。
排気弁82は、後方延出部76bにおいて、排気ガスセンサ81と後部屈曲部76cとの間に配置されている。
また、前側排気装置70は、前側排気装置70を車体側に固定するステー83,84,85を備える。ステー83は、前側集合部75から上方に延びる。ステー84は、前部消音部77の前壁部77cから前方に延びる。ステー85は、後部消音部78の前端部から上方に延びる。
後方延出部104bは、後側第1排気管103の後方延出部103bの下方且つ下方延出部103cの車幅方向内側を通って後方に延びる。
前方延出部104dは、後側第1排気管103の前方延出部103dに対して下方且つ車幅方向の内側を、前方延出部103dに沿って延びる。
また、前方延出部103d及び前方延出部104dは、前側排気管71の前側集合管76及び前側集合部75の外側方(右側方)を通って前方に延びる。
後側集合管106は、後側集合部105から前方に延びる前方延出部106bと、前方延出部106bの前端で車幅方向内側へ屈曲する前側屈曲部106cと、前側屈曲部106cから車両中心Cを跨いで車体の左側(他側)へ車幅方向に延びる側方延出部106dとを備える。
側方延出部106dは、前側排気管71の延出部前部74e及び後方延出部73dの上方を通って車幅方向に延び、その下流端106aが第2消音器102に接続される。
第2消音器102は、車両中心Cに対し、車体の左側(他側)に配置されており、前側排気管71の後方延出部74d及び後方延出部73dの他側方を通って後方に延びる。
後側排気管101の側方延出部106dは、第2消音器102の車幅方向内側の側壁部102eの前端部に挿通されて接続されている。側方延出部106dは、側壁部102eに接続される部分が大径に形成されており、この大径部分の内部には、筒状の触媒装置110(図8)が設けられている。側方延出部106dは端部が第2消音器102内に延びており、触媒装置110の一部は第2消音器102内に配置されている。
排気ガスセンサ111は、後側集合部105に設けられる。排気ガスセンサ111は、棒状に形成されており、後側集合部105の上部に差し込むようにして設けられる。排気ガスセンサ111の検出部は、後側集合部105内に位置し、後シリンダ部43から排気される排気ガスの酸素濃度を検出する。
排気弁112は、後側集合管106において、排気ガスセンサ111と前側屈曲部106cとの間に配置されている。
また、後側排気装置100は、後側排気装置100を車体側に固定するステー113,114,115を備える。ステー113は、後側第1排気管103の下方延出部103cの下端部に設けられている。ステー114は、第2消音器102の前端部に設けられている。ステー115は、第2消音器102の後端部に設けられている。
図3に示すように、前側排気装置70の前側第1排気管73及び前側第2排気管74は、クランクケース41及びオイルパン44の前方を通って下方に延びる。
前側第1排気管73及び前側第2排気管74は、車体の右側から後方に屈曲し、エンジン10の下方を通される。
図2、図5及び図9を参照し、後側排気装置100の後側第1排気管103及び後側第2排気管104は、後方延出部103b,104bが後シリンダ部43から後方に引き出されてスイングアーム30の上方を通る。
後側第1排気管103及び後側第2排気管104の下方延出部103c,104cは、右側(一側)のピボットフレーム17の後方で一側アーム30aと右側のステップホルダ20との間を下方に延びる。すなわち、下方延出部103c,104cは一側アーム30aの車幅方向の外側を通されている。
サスペンション58及びリンク機構59は、車幅方向において車両中心Cに重なる位置に設けられているが、車両中心Cに対し左側(他側)にオフセットして配置されている。
図10〜図13を参照し、オイルパン44は、クランクケース41の下面に取り付けられる。オイルパン44は、下方に膨出する膨出部87を車幅方向の中央部に備える。
膨出部87は、クランクケース41の前端よりも後方に設けられるとともに、クランクケース41の後端よりも前方に設けられている。
詳細には、膨出部87は、車両中心Cに対して他側(左側)に寄せて配置されている。また、周壁部87bの他側側壁87cは、略鉛直に上方に延びるが、周壁部87bの一側側壁87dは、上方側ほど車幅方向の外側に位置するように傾斜している。
オイルパン44の底壁部87aの位置は、上下方向においてリンク機構59の下端の位置に略一致する。
後側排気装置100の第2消音器102は、エンジン10の下方でオイルパン44の膨出部87の他側(左側)の側方に配置されている。第2消音器102は、車両中心Cよりも他側に位置し、車体の他側に寄せて配置されている。また、第2消音器102は、前後方向では、クランクケース41の前端近傍からリンク機構59の近傍まで延びている。
このように、前シリンダ部42の前側排気装置70の第1消音器72と、後シリンダ部43の後側排気装置100の第2消音器102とを、前後方向に互いに離れた位置に設けるとともに、車幅方向においても車両中心Cに対して左右に離して配置することで、自動二輪車1の下部の前後の配置スペースを有効に利用して第1消音器72及び第2消音器102を配置できるとともに、消音器による左右の重量バランスの偏りを小さくでき、左右の重量バランスを向上できる。
詳細には、後側排気管101は、前方延出部103d,104dがクランクケース41の下方で車体の一側を通って前方に延び、膨出部87の一側の側方に位置する後側集合部105で一本の後側集合管106となる。
後側集合管106は、前側屈曲部106cで車幅方向内側へ屈曲し、側方延出部106dが膨出部87の前方を通って車体の他側へ延びて第2消音器102に接続される。詳細には、側方延出部106dは、膨出部87と下側屈曲部73c,74cとの間且つ後方延出部73d及び後方延出部74dの上方を通されている。
すなわち、後側排気装置100は、後側排気管101が後シリンダ部43から下方に延び、リンク機構59の一側方で前方に屈曲し、クランクケース41の下方における車体の一側を通って前方に延び、膨出部87の前方を通って車体の他側へ屈曲して第2消音器102に接続され、第2消音器102が車体の他側を通って後方に延び、排気口102dがリンク機構59の他側方で開口する。このため、後側排気装置100の排気管長を長く確保できる。
図10、図11及び図13に示すように、後側排気装置100の排気弁112は、後側集合管106に設けられ、膨出部87の一側方に位置している。このため、2つの後排気ポート53L,53Rを備える後シリンダ部43の排気を一つの排気弁112で制御できる。
排気弁112は、後側集合管106の前方延出部106b内に設けられる弁体112aと、弁体112aを回動可能に軸支する駆動軸112bと、駆動軸112bに接続された円板状の駆動プーリ部112cとを備える。排気弁112は、モータ等の駆動源によってプーリ112cが回動されることで、駆動軸112bを中心に弁体112aが回動し、後側集合管106内の管路を開閉する。
駆動軸112bが傾斜して配置されることで、駆動プーリ部112cは、膨出部87の傾斜した一側側壁87dに略対向するように設けられている。すなわち、駆動プーリ部112cは、エンジン10の下部のオイルパン44に下方から臨むように、後側集合管106の上側面(排気管側面)に設けられている。これにより、駆動プーリ部112cを外側方側及び下方側に出っ張らないようにコンパクトに設けることができる。このため、駆動プーリ部112cを路面から離して配置できるとともに、自動二輪車1を旋回時にバンクさせた状態においても、路面と駆動プーリ部112cとのクリアランスを確保できる。
図13に示すように、膨出部87の側方の部分では、後側集合管106、後方延出部74d及び後方延出部73dは、下方側に位置する管が、より車幅方向の内側に位置するように配置されている。このため、自動二輪車1をバンクさせた場合の路面と排気管との間のクリアランスを確保できる。
図10、図12及び図14を参照し、前側排気管71の前側集合管76は、後側排気装置100の前方延出部103d,104dと第2消音器102との間を通って後方に延びる。
前側集合管76は、前側集合部75から車体の他側(左側)を他側後方に延びてリンク機構59の前方を通り、その後、リンク機構59の他側方を通って後方に延びる。
次いで、前側集合管76は、リンク機構59の後方の後部屈曲部76cで車幅方向内側へ屈曲し、直線部76dがリンク機構59の後方を通って車体の一側(右側)へ延び、車体の一側でリンク機構59の一側方に配置された第1消音器72の前部消音部77に接続される。
また、第1消音器72の前部消音部77の上壁部77b(図11)は、スイングアーム30の一側アーム30aの下方に位置し、スイングアーム30が下方に揺動した場合には、一側アーム30aの下面に近くなる。本実施の形態では、第1消音器72の上壁部77bがスイングアーム30の揺動角度に合わせてその前部よりも後部が低くなるように側面視で後下がりに設けられている。このため、スイングアーム30の揺動角度を確保しながら前部消音部77をコンパクトに配置できる。
排気弁82は、リンク機構59の他側方に配置されている。排気弁82は、前側集合管76の後方延出部76b内に設けられる弁体82aと、弁体82aを回動可能に軸支する駆動軸82bと、駆動軸82bに接続された円板状の駆動プーリ部82cとを備える。排気弁82は、モータ等の駆動源によって駆動プーリ部82cが回動されることで、駆動軸82bを中心に弁体82aが回動し、前側集合管76内の管路を開閉する。
また、図12に示すように、後方延出部76bは、一側アーム30aの下面に沿うように後下がりに配置されている。駆動軸82bは、側面視では鉛直よりも後傾しており、駆動プーリ部82cは一側アーム30aの下面に沿うように後下がりに配置されている。このため、一側アーム30aと駆動プーリ部82cとのクリアランスを大きく確保できる。
排気ガスセンサ81は、正面視では、前方延出部104d側へ向かって車幅方向の外側上方へ斜めに延びる。
排気ガスセンサ81は、リンク機構59の直前方に配置されており、正面視では、リンク機構59に重なっている。このため、スイングアーム30の下方でリンク機構59の前方のスペースを利用して排気ガスセンサ81をコンパクトに設けることができる。
また、クランクケース41の下方では、前側排気管71は前側から後方へ延び、後側排気管101は、後側から前側に延び、前側排気管71と後側排気管101とは、クランクケース41の下方で対抗するように前後方向に延びている。
また、後側排気管101の後側集合部105は、前側排気管71の前側集合部75よりも前方に位置し、車幅方向において前側排気管71の後方延出部73d,74dに並んで配置されている。
すなわち、前側集合部75と後側集合部105とは、クランクケース41の下方で前後にすれ違うように配置されている。このため、前シリンダ部42及び後シリンダ部43から独立して延出される前側排気管71及び後側排気管101の前側集合部75及び後側集合部105をクランクケース41の下方にコンパクトに設けることができる。
また、リンク機構59は、側面視で斜め方向に傾斜して設けられ、前側排気管71は、リンク機構59のリンクアーム61,61の上端側の下方を通って第1消音器72に接続されているため、リンク機構59の下方の空間を有効利用して前側排気管71を前後方向にコンパクトに配置できる。
また、前側排気管71には、排気ガスセンサ81が設けられ、排気ガスセンサ81は、クッション装置31の直前方に配置されているため、スイングアーム30の下方でクッション装置31の前方のスペースを利用して排気ガスセンサ81をコンパクトに設けることができる。
また、図10のように車両底部から見て、前側排気管71は、クッション装置31を、排気ガスセンサ81、直線部76d、及び、排気弁82によって囲うようにクッション装置31の周囲に取り巻かれ、クッション装置31の一側方の側は、第1消音器72で覆われている。これにより、排気ガスセンサ81、触媒装置80が設けられる直線部76d、排気弁82及び第1消音器72をクッション装置31の周囲を囲うようにコンパクトに設けることができる。
また、第1消音器72の前方でエンジン10の下方に位置する後側排気管101には、排気管路を開閉制御する排気弁112が設けられ、排気弁112を駆動する駆動プーリ部112cが、エンジン10に臨む排気管側面に設けられる。これにより、駆動プーリ部112cを外側方側及び下方側にコンパクトに設けることができ、排気弁112と路面とのクリアランスを確保できる。
さらに、エンジン10は、前シリンダ部42に複数の並列な気筒を有するとともに後シリンダ部43に複数の並列な気筒を有するものであり、前シリンダ部42の各気筒から延出される前側第1排気管73及び前側第2排気管74が合流する前側集合部75と、後シリンダ部43の各気筒から延出される後側第1排気管103及び後側第2排気管104が合流する後側集合部105とが設けられ、前シリンダ部42及び後シリンダ部43から延びる前側排気管71及び後側排気管101は、エンジン10の下方で対抗するように延び、前側集合部75及び後側集合部105は、エンジン10の下方で前後にすれ違うように配置されて前後に重なっていない。これにより、前後のシリンダ部42,43毎に複数の排気管が延出される前側排気管71及び後側排気管101の前側集合部75及び後側集合部105を、エンジン10の下方のスペースにコンパクトに配置できる。
上記実施の形態では、第1消音器72及び第2消音器102は、前シリンダ部42及び後シリンダ部43に独立して接続された前側排気管71及び後側排気管101に分かれて配置されているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、シリンダ部から延びる単一の排気管が複数の消音器を備え、これらの消音器を、前後方向に互いに離すとともに、車両中心Cに対して左右方向に離して配置しても良い。
また、上記実施の形態では、揺動車両として自動二輪車1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両や、4輪以上を備えた揺動車両に本発明を適用しても良い。
2 前輪
3 後輪
10 エンジン(内燃機関)
12 懸架装置
30 スイングアーム
31 クッション装置
52L,52R 前排気ポート(排気ポート)
58 サスペンション
58c 軸線
59 リンク機構
61,61 リンクアーム
70 前側排気装置(排気装置)
71 前側排気管(排気管)
72 第1消音器(消音器)
76d 直線部
77b 上壁部(上面)
80 触媒装置
81 排気ガスセンサ
82 排気弁
82b 駆動軸
F 車体フレーム
Claims (8)
- 前輪(2)と後輪(3)との間に設けられ、車体フレーム(F)に搭載される内燃機関(10)と、前記内燃機関(10)からの排気ガスを消音する排気装置(70)と、前記後輪(3)を揺動自在に支持する懸架装置(12)と、を備え、前記排気装置(70)が、前記内燃機関(10)の排気ポート(52L,52R)に上流端が接続された排気管(71)と、前記排気管(71)の下流端に接続される消音器(72)とを備えた揺動車両の排気装置構造において、
前記懸架装置(12)は、前記後輪(3)を揺動自在に支持するスイングアーム(30)と、前記スイングアーム(30)の揺動を緩衝するクッション装置(31)とを備え、
前記消音器(72)は、前記スイングアーム(30)の下方、且つ、前記クッション装置(31)の一側方に配置され、
前記排気管(71)は、前記消音器(72)の前方側から延出し、前記クッション装置(31)の他側方から前記クッション装置(31)の後方を通るように屈曲して前記消音器(72)に接続されていることを特徴とする揺動車両の排気装置構造。 - 前記クッション装置(31)は、サスペンション(58)と、当該サスペンション(58)に接続されて前記スイングアーム(30)の下面の下方に位置するリンク機構(59)とを備え、前記消音器(72)は、前記リンク機構(59)の側方に配置されていることを特徴とする請求項1記載の揺動車両の排気装置構造。
- 前記リンク機構(59)は、側面視で斜め方向に傾斜して設けられ、前記排気管(71)は、前記リンク機構(59)のリンクアーム(61)の上端側の下方を通って前記消音器(72)に接続されていることを特徴とする請求項2記載の揺動車両の排気装置構造。
- 前記排気管(71)は、前記クッション装置(31)の前記他側方から前記クッション装置(31)の後方を通るように屈曲した後に、車両左右方向に直線状に延びる直線部(76d)を備え、前記直線部(76d)の内部に触媒装置(80)が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の揺動車両の排気装置構造。
- 前記排気管(71)には、排気ガスセンサ(81)が設けられ、前記排気ガスセンサ(81)は、前記クッション装置(31)の直前方に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の揺動車両の排気装置構造。
- 前記排気管(71)には、排気管路を開閉制御する排気弁(82)が、前記排気管(71)における前記リンク機構(59)の側方位置に設けられ、前記排気弁(82)の回動中心となる駆動軸(82b)が、前面視で前記クッション装置(31)の軸線(58c)方向に沿うように配置されていることを特徴とする請求項2または3記載の揺動車両の排気装置構造。
- 前記排気管(71)は、前記クッション装置(31)の前記他側方から前記クッション装置(31)の後方を通るように屈曲した後に、車両左右方向に直線状に延びる直線部(76d)を備え、前記直線部(76d)の内部に触媒装置(80)が設けられ、
前記排気管(71)には、排気ガスセンサ(81)が設けられ、前記排気ガスセンサ(81)は、前記クッション装置(31)の直前方に配置され、
前記排気管(71)には、排気管路を開閉制御する排気弁(82)が、前記排気管(71)における前記リンク機構(59)の側方位置に設けられ、前記排気弁(82)の回動中心となる駆動軸(82b)が、前面視で前記クッション装置(31)の軸線(58c)方向に沿うように配置され、
前記揺動車両を車両底部から見て、前記排気管(71)は、前記クッション装置(31)を、前記排気ガスセンサ(81)、前記直線部(76d)、及び、前記排気弁(82)によって囲うように前記クッション装置(31)の周囲に取り巻かれ、
前記クッション装置(31)の前記一側方の側は、前記消音器(72)で覆われていることを特徴とする請求項2記載の揺動車両の排気装置構造。 - 車両側面視で、前記消音器(72)の上面(77b)は、前記スイングアーム(30)の揺動角度に合わせて、その前部よりも後部が低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の揺動車両の排気装置構造。
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