以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本発明に係る排気ガスセンサの配置構造を大型スクータータイプの自動二輪車に適用した例について説明するが、適用対象はこれに限定されることなく変更可能である。例えば、本発明に係る排気ガスセンサの配置構造を、他のタイプの自動二輪車や、バギータイプの自動三輪車、自動四輪車等に適用してもよい。また、方向について、車両前方を矢印FR、車両後方を矢印REでそれぞれ示す。また、以下の各図では、説明の便宜上、一部の構成を省略している。
図1を参照して、本実施の形態に係る排気ガスセンサの配置構造が適用される自動二輪車の概略構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る排気ガスセンサの配置構造が適用される自動二輪車の概略構成を示す右側面図である。
図1に示すように、大型スクータータイプの自動二輪車1は、アンダーボーン式の車体フレーム(不図示)にエンジン2(図2参照)を懸架して構成される。エンジン2は、例えば、並列2気筒エンジンで構成される。特に本実施の形態では、エンジン2、トランスミッション(後述するCVTユニット27)及び後輪36への伝達機構(後述するファイナルギヤケース40等)がスイングアームと一体化されたユニットスイング式エンジンが採用されている。エンジン2及びトランスミッションの周辺構成については後述する。
車体フレーム及びエンジン2には、車体外装としての各種カバーが装着される。具体的に車両前方側には、フロントカウル11が設けられる。フロントカウル11の後方には、エンジン2を覆うフロアトンネル12が設けられる。フロアトンネル12は、断面視アーチ形状を有し(不図示)、後方に向かって延びている。
また、フロントカウル11の背面側には、乗員の足を乗せるための運転者用フートボード13及び同乗者用フートボード14が設けられる。運転者用フートボード13及び同乗者用フートボード14は、フロアトンネル12を左右で挟むように一対ずつ設けられる。運転者用フートボード13及び同乗者用フートボード14は、フロアトンネル12の左右両端に連なって形成される。具体的に運転者用フートボード13及び同乗者用フートボード14は、フロアトンネル12の両下端から車幅方向外側に突出すると共に前後方向に延びるようにして形成される。
運転者用フートボード13は、フロントカウル11の形状に沿って後下方に延びた後、水平方向に屈曲して更に後方に延びている。同乗者用フートボード14は、運転者用フートボード13とは独立して設けられており、運転者用フートボード13より僅かに上方で後方に向かって延びている。詳細は後述するが、同乗者用フートボード14の前上方において、フロアトンネル12の側面には、CVTユニット27のベルトクーリングダクト29(共に図3及び図4参照)にエアを導入するためのエア導入口12aが形成されている。
フロアトンネル12の後方において、CVTユニット27の上方には、ライダーシート15及びピリオンシート16が後上方に延びるようにして設けられる。ライダーシート15及びピリオンシート16の下方には、シートカウル17が設けられる。シートカウル17は、フロアトンネル12に連なるようにして、後上方に延びている。ピリオンシート16の後側には、バックレスト18及びグラブバー19が設けられる。
車両前側には、ヘッドパイプ(不図示)に設けられたステアリングシャフト(不図示)を介して左右一対のフロントフォーク30が操舵可能に支持される。フロントフォーク30の上方には、ハンドル31が設けられる。フロントフォーク30の下部には前輪32が回転可能に支持されており、前輪32の上方はフロントフェンダ33によって覆われる。フロントカウル11の前面には、ヘッドランプ34が設けられ、ヘッドランプ34の上方には風除け用のウィンドスクリーン35が設けられる。
エンジン2に後方に設けられるスイングアームユニット4は、同乗者用フートボード14より後方に延びている。スイングアームユニット4は、上下に揺動可能に構成され、スイングアームユニット4と車体フレームとの間には、リヤサスペンション(不図示)が設けられる。スイングアームユニット4の後端には、後輪36が回転可能に支持されている。後輪36の後上方は、リヤフェンダ37によって覆われる。なお、スイングアームユニット4の詳細については後述する。
エンジン2の各排気ポートには、排気システムとして、エキゾーストパイプ6及びマフラ7が接続される。エキゾーストパイプ6は、各排気ポートから下方に向かって複数本(本実施の形態では2本)延び、エンジン2の前下方で後方に屈曲した後、1本にまとめられる。また、本実施の形態に係る排気システムには、排気ガスを浄化する触媒8が設けられる。
触媒8は、例えば、三元触媒で構成され、排気ガス内の汚染物質(一酸化炭素、炭化水素や窒素酸化物等)を無害な物質(二酸化炭素、水、窒素等)に変換する。詳細は後述するが、本実施の形態に係る触媒8は、メイン触媒8aとサブ触媒8bとを有する、いわゆる分割触媒で構成される。メイン触媒8aは、エキゾーストパイプ6の下流でマフラ7の上流に設けられる。サブ触媒8bは、2本のエキゾーストパイプ6のうち、一方のエキゾーストパイプ6の途中に設けられる。
マフラ7は、メイン触媒8aの下流に設けられる。マフラ7は、シートカウル17に沿って後上方に延びている。マフラ7の外面には、マフラ7を保護するマフラカバー71が取り付けられる。マフラカバー71は、マフラ7の後端から後述する触媒ケース80の後半部に至る長さを有している。エンジン2の燃焼によって生じる排気ガスは、エキゾーストパイプ6を通じて触媒8で浄化される。そして、マフラ7によって、排気音が低減された後、排気ガスは外に排出される。
詳細は後述するが、触媒8(サブ触媒8b)の上流及び下流には、エンジンの排気ガス成分を検出し、触媒8の劣化判定を実施するための排気ガスセンサ9(図4参照)が配置される。具体的に排気ガスセンサ9は、サブ触媒8bを通過する前の排気ガスを検出する第1センサ90と、サブ触媒8bを通過した後の排気ガスを検出する第2センサ91とによって構成される。排気ガスセンサ9は、例えば、ジルコニア式酸素センサで構成され、排気ガス内の酸素濃度に応じて出力(電流値)が変化する。当該電流値は、ECU10(Electronic Control Unit(図4参照))に出力される。なお、排気ガスセンサ9は、酸素センサに限らず、例えば、空燃比センサであってもよい。
ECU10は、自動二輪車1内の各種動作を統括制御する。ECU10は、自動二輪車1内の各種処理を実行するプロセッサやメモリ等により構成される。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体で構成される。メモリには、自動二輪車1の各部を制御する制御プログラム等が記憶されている。特に本実施の形態においてECU10は、排気ガスセンサ9の出力に基づいて触媒8の劣化判定を実施する。例えば、第1センサ90及び第2センサ91のリッチリーン間における出力反転回数の比に基づいて触媒8の劣化が判定される。なお、触媒8の劣化を判定するために、出力反転回数の比を用いる場合に限らず、第1センサ90及び第2センサ91の出力差を用いてもよい。
次に、図2及び図3を参照して、本実施の形態に係るエンジンの周辺構成について説明する。図2は、本実施の形態に係る自動二輪車のエンジン周辺構成を示す右側面図である。図3は、本実施の形態に係る自動二輪車のエンジン周辺構成を示す上面図である。
図2及び図3に示すように、エンジン2は、クランク軸(不図示)等の各種構成部品が収容されるクランクケース20の前方に、シリンダ21、シリンダヘッド22及びシリンダヘッドカバー23をこの順番に取り付けて構成される。シリンダ21は、軸方向が前側に傾けられるようにして配置される。具体的にシリンダ21の軸方向は、水平方向に対して前側が僅かに高くなる方向(略水平方向)に向けられている。
クランクケース20は、前後に延びており、左右で分割可能に構成される。クランクケース20の左側面には、前からマグネトカバー24及びクラッチカバー25が設けられる。クランクケース20の右側面の前側には、スタータクラッチカバー26が設けられる。また、クランクケース20の右側後方には、トランスミッションとしてのCVTユニット27が設けられる。
CVTユニット27は、いわゆるベルト式の無段変速機(Continuously Variable Transmission)であり、CVTケース28内にプライマリプーリとセカンダリプーリ(共に不図示)を収容して構成される。プライマリプーリ及びセカンダリプーリには、ドライブベルト(不図示)が巻き掛けられる。CVTユニット27は、ドライブベルトの巻き掛け半径を変更することで変速を実施する。
CVTケース28の右側面には、ベルトクーリングダクト29が取り付けられる。ベルトクーリングダクト29は、フロアトンネル12に形成されるエア導入口12a(図1参照)に対応した位置に設けられる。エア導入口から外気がベルトクーリングダクト29内に導入され、ベルトクーリングダクト29を通じてドライブベルトに外気が供給されることにより、ドライブベルトが冷却される。
クランクケース20の後端には、後方に向かって略水平方向に延びるスイングアームユニット4が設けられる。スイングアームユニット4は、車両左側に偏って配置されるファイナルギヤケース40と、車両右側に偏って配置される右側スイングアーム41とによって構成される。ファイナルギヤケース40の内部には、後輪36に動力を伝達するための各種ギヤが前後に並んで収容される。上記したように、スイングアームユニット4(ファイナルギヤケース40及び右側スイングアーム41)の後端には、後輪36が回転可能に設けられる。
このように構成されるユニットスイング式エンジンの軸配置は、図3に示すように、クランク軸の軸線C1の後方にプライマリプーリの軸線C2が位置する。軸線C2の後方には、セカンダリプーリの軸線C3が位置する。なお、軸線C3は、クラッチの軸線と同軸である。軸線C3の後方には、ファイナルドライブギヤの軸線C4が位置する。なお、軸線C4は、スイングアームユニット4の揺動中心(ピボット軸)と同軸である。軸線C4の後方には、ファイナルドリブンギヤの軸線C5(後輪36の回転中心)が位置する。
ところで、自動二輪車の排気システムにおいて、排ガス浄化装置としての触媒の劣化状況をモニタリングすることが求められている。触媒の劣化判定を実施するためには、触媒の上流と下流に排気ガスセンサを設置する必要がある。
例えば、触媒の上流側に設けられた排気ガスセンサ(酸素センサ)で排気ガス中の酸素濃度を検出し、空燃比を制御することは従来より実施されていた。しかしながら、触媒の劣化判定を目的として、触媒の下流側にも排気ガスセンサを配置しようとすると、自動二輪車特有のレイアウトの制約から、所定の検出精度を確保しつつ触媒の下流側に排気ガスセンサを近づけることが困難となっていた。
この点、自動四輪車においては、エンジンルーム内等、スペースに余裕のある場所に触媒を配置することができるため、排気ガスセンサの配置や保護は容易である。一方、自動二輪車では、チャンバやマフラ内に触媒が配置されることが多く、構造上、下流側の排気ガスセンサを触媒に近づけて配置することが困難である。また、排気管の途中に触媒が配置される場合でも、排気管と周辺部品が近接していることが多く、排気ガスセンサを配置するためのスペースを確保することが困難である。更に、自動二輪車の排気システムは外部に露出されているため、例えば冬場や雨天走行時において、触媒の温度が低下し易く適切にセンサ出力を得ることができない場合も想定される。また、排気ガスセンサの保護も問題になってくる。
例えば、チャンバやマフラ内に触媒が設けられる場合、外壁を凹ませて排気ガスセンサの配置スペースを確保することが考えられる。しかしながら、チャンバやマフラの容積が減少する結果、本来の機能(出力増加や消音)に影響を与えるおそれがある。また、触媒自体を車両の前側に配置することも考えられるが、そもそも触媒の配置スペースの確保が困難であることに加え、大幅な設計変更が必要となるため、あまり現実的ではない。更には、熱源である触媒がライダーに近づくことによる熱害や、出力の低下、排気ガスセンサの保護方法、外観意匠性の悪化等、様々な課題が発生する。
そこで、本件発明者は、複数の気筒を備える大型スクータタイプの自動二輪車1において、分割触媒を採用し、一方の触媒(サブ触媒8b)の上流及び下流に排気ガスセンサ9を配置する構成とした。具体的には、2本のエキゾーストパイプ6のうち、一方のエキゾーストパイプ6bの途中にサブ触媒8bを配置し、2本のエキゾーストパイプ6が下流で集合する集合部60の下流にメイン触媒8aを配置した。また、第1センサ90を他方のエキゾーストパイプ6aに配置し、第2センサ91をサブ触媒8bの下流で一方のエキゾーストパイプ6bに配置した。
この構成によれば、第1センサ90では、サブ触媒8bを通過する前の排気ガスを検出することができ、第2センサ91では、サブ触媒8bを通過した後の排気ガスを検出することができる。よって、第1センサ90及び第2センサ91の出力に基づいてサブ触媒8bの劣化を判定することが可能になる。また、サブ触媒8bの劣化状況からメイン触媒8aの劣化を判定することが可能である。なお、サブ触媒8bは、メイン触媒8aの劣化を判定するために設けられるものであり、メイン触媒8aに比べて外径及びハニカム部の密度が小さく設定されている。この場合、サブ触媒8bで十分に浄化しきれなかった排気ガスは、メイン触媒8aで浄化することができる。
このように、分割触媒であっても排気ガスの浄化性能を損なうことなく排気ガスセンサ9を配置することができ、その配置自由度を向上させることができる。また、配管の途中に排気ガスセンサ9が配置されることで、排気ガスが拡散されることなく各排気ガスセンサ9に接触する。この結果、安定的に出力を得ることができ、排気ガスセンサ9の検出精度を損なうことがない。また、排気ガスセンサ9を、外装カバーやマフラカバー71の内側に配置することができるため、排気ガスセンサ9を目立たなくすることができ、外観意匠性に影響を与えることがない。また、既存(現行)のマフラ配置や外観を大きく変えることなく排気ガスセンサ9を配置することができるため、設計工数の削減にも寄与することできる。更には、エンジン2の近く(下方)に触媒8が設けられることで、触媒8の温度低下を抑制することができ、排気ガスの浄化効果が悪化したり、センサ出力に影響を与えることを抑えることができる。よって、適切に触媒8の劣化判定を実施することができる。
次に、図4及び図5を参照して、本実施の形態に係る排気システムについて詳細に説明する。図4は、本実施の形態に係る排気システムの斜視図である。図5は、本実施の形態に係る排気システムの上面図である。
図4及び図5に示すように、本実施の形態に係る排気システムにおいて、エキゾーストパイプ6は、シリンダヘッド22の各排気ポートから下方に延出される2本のエキゾーストパイプ6a、6bを集合部60で1本にまとめて構成される(特に図6参照)。
エキゾーストパイプ6a、6bは、クランクケース20(図2参照)の前下方で後方に屈曲し、後方に向かって延びている。上記したように、エキゾーストパイプ6bの途中には、サブ触媒8bが設けられる。サブ触媒8bは、エキゾーストパイプ6bの外径より大きい径を有している。このため、エキゾーストパイプ6bは、サブ触媒8bの手前でテーパ状に拡径する一方、サブ触媒8bの直後でテーパ状に縮径している。また、サブ触媒8bの上流(前側)には、エキゾーストパイプ6a、6bを連通する筒状の連通部61が設けられる。
エキゾーストパイプ6a、6bの後端には、集合部60が接続される。集合部60は、上半部と下半部を溶接して筒状に形成され、後上方に向かって延びている。集合部60の後端には、触媒ケース80に収容された触媒8が接続される。図1に示すように、触媒8は、エア導入口12aの後下方であって、同乗者用フートボード14の下方に配置される。触媒8は、円柱状に形成され、触媒ケース80内でやや前側(後述するストレート部81)に偏って配置されている。
触媒ケース80は、上半部と下半部を溶接して筒状に形成され、後方に向かって延びている。具体的に触媒ケース80は、メイン触媒8aの長さに対応して水平に延びた後(ストレート部81と呼ぶ)、やや上方に屈曲して後方に延びている(屈曲部82と呼ぶ)。触媒ケース80の上半部の外面には、触媒ケース80をCVTケース28に固定する固定部83(図4では不図示)が設けられる。固定部83は、触媒8の真上(ストレート部81)に位置しており、防振部材(不図示)を介してCVTケース28に取り付けられる。触媒ケース80の後端には、連結パイプ70を介してマフラ7が接続される。
また、本実施の形態において、排気ガスセンサ9は、各エキゾーストパイプ6の下流端に設けられる。排気ガスセンサ9は、所定の長さを有する円柱状に形成されている。排気ガスセンサ9は、一端側が検出部となっており、他端側に配線(不図示)が接続される。排気ガスセンサ9は、各エキゾーストパイプ6の上側に溶接されるナット部92に一端側をねじ込むことで取り付けられる。
具体的に第1センサ90及び第2センサ91は、互いに隣接する位置に配置され、車両側面視で重なるように配置される。第1センサ90は、エキゾーストパイプ6bに隣り合うエキゾーストパイプ6aに取り付けられる。第1センサ90は、軸方向が鉛直方向に向けられ、一端側がエキゾーストパイプ6a内に貫通するように取り付けられる一方、他端側が上方に向けられる。これにより、エキゾーストパイプ6a内を流れる排気ガスを第1センサ90で検出することが可能になる。
第2センサ91は、サブ触媒8bの下流のエキゾーストパイプ6bに取り付けられる。第2センサ91は、軸方向が鉛直方向に向けられ、一端側がエキゾーストパイプ6b内に貫通するように取り付けられる一方、他端側が上方に向けられる。これにより、エキゾーストパイプ6b内を流れる排気ガスを第2センサ91で検出することが可能になる。
このように、第1センサ90及び第2センサ91を一箇所に集約して配置したことにより、排気ガスセンサ9の組付け、配線及び保護をし易くすることができる。また、第1センサ90及び第2センサ91が近づくことで、排気ガスセンサ9の温度環境を類似させることができる。よって、各排気ガスセンサ9の温度特性を類似させることができ、センサ出力値の補正等を同一の条件とすることが可能である。
また、比較的温度の高いサブ触媒8bの近傍に排気ガスセンサ9を配置することができるため、排気ガスセンサ9の温度上昇を促進させることができる。よって、排気ガスセンサ9が所望の精度で動作するまでのタイムロスを削減することができる。更に、サブ触媒8bが設けられるエキゾーストパイプ6bが、エキゾーストパイプ6aより車両外側に配置されている。この場合、車両外側の方がアクセスし易いため、サブ触媒8bをエキゾーストパイプ6bに取り付け易くすることができる。また、排気ガスセンサ9(特に第2センサ91)の組み付け性も向上する。
エンジン2(図2参照)の排気ガスは、気筒毎に設けられる排気ポート(不図示)から各エキゾーストパイプ6a、6bに流れ込む。エキゾーストパイプ6aを流れる排気ガスは、サブ触媒8bを通過することなく集合部60に流れ込む。このため、第1センサ90では、エンジン2から排出された直後の排気ガスを検出することができる。一方、エキゾーストパイプ6bを流れる排気ガスは、サブ触媒8bを通過した後、集合部60に流れ込む。このため、第2センサ91では、サブ触媒8bで浄化された後の排気ガスを検出することができる。
なお、上記したように、サブ触媒8bの上流において、エキゾーストパイプ6a、6bは、連通部61によって連通している。このため、各気筒から排出される排気ガスが連通部61を通じて互いのエキゾーストパイプ6a、6b間を行き来することができる。よって、排気ガスを均一にすることができる。また、排気ガスがサブ触媒8bを通過する際に抵抗が生じたとしても、排気圧が連通部61によって逃がされるため、エキゾーストパイプ6b内の圧力上昇を防ぐことができる。
また、第1センサ90及び第2センサ91は、集合部60より上流に配置されるため、第1センサ90及び第2センサ91では、集合部60で合流する前の排気ガスをそれぞれ検出することができ、検出したい排気ガスの検出精度が損なわれるのを防止することができる。特に、第1センサ90は、第2センサ91より前方に配置されるため、第1センサ90をより集合部60から遠ざけることができる。このため、サブ触媒8bを通過した後の排気ガスが、集合部60からエキゾーストパイプ6a内に回り込むような場合であっても、当該排気ガスを第1センサ90が検出するのを防止することができる。
以上のように、本実施の形態では、2本のエキゾーストパイプ6のうち、一方のエキゾーストパイプ6bにのみサブ触媒を配置し、各エキゾーストパイプ6に1つずつ排気ガスセンサ9を配置する構成とした。これにより、サブ触媒8bの前後に排気ガスセンサ9を配置しなくても、互いの排気ガスセンサ9を近づけると共に、サブ触媒8bに近づけて配置することができる。特に、第1センサ90では、浄化前の排気ガスを検出することができる一方、第2センサ91では、浄化後の排気ガスを検出することができる。よって、第1センサ90及び第2センサ91の出力に基づいて触媒8の劣化を判定することが可能になっている。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記した実施の形態においては、第1センサ90が、第2センサ91より前方に配置される構成としたが、この構成に限定されない。第1センサ90は、第2センサ91と車両前後方向で同じ位置、又は第2センサ91より後方に配置されてもよい。
また、上記した実施の形態においては、サブ触媒8bが車両外側のエキゾーストパイプ6bに配置される構成としたが、この構成に限定されない。サブ触媒8bは、車両内側のエキゾーストパイプ6aに配置されてもよい。
また、上記した実施の形態においては、エキゾーストパイプ6の下流端に排気ガスセンサ9が配置される構成としたが、この構成に限定されない。例えば、図6に示す構成も可能である。図6は、第1の変形例に係る排気ガスセンサの配置構造を示す拡大図である。
図6に示す変形例では、排気ガスセンサ9が集合部60に設けられる点で、本実施の形態と相違する。図6に示すように、集合部60の上半部には、排気ガスセンサ9を取り付けるためのナット部93が溶接される。ナット部93は、上面視において左右に長い長円形状を有している。ナット部93の下面には、左右方向の略中央で下方に延びる隔壁部94が形成されている。隔壁部94は、集合部60の上流端からナット部93の後端までの間で集合部60を左右に仕切るように形成される。
第1センサ90は、隔壁部94より左側のナット部93に配置され、先端が集合部60内に貫通するように取り付けられる。第2センサ91は、隔壁部94より右側のナット部93に配置され、先端が集合部60内に貫通するように取り付けられる。第1の変形例では、第1センサ90の先端が管内に露出される空間と、第2センサ91の先端が管内に露出される空間とが、隔壁部94により仕切られている。このため、集合部60によって形成される単一の空間内であっても、第1センサ90では、サブ触媒8bを通過する前の排気ガスを検出することができ、第2センサ91では、サブ触媒8bを通過した後の排気ガスを検出することができる。
特に、第1の変形例では、単一のナット部93を溶接するだけで、第1センサ90及び第2センサ91の取付部を確保することができる。このため、センサ毎にナット部を設ける構成に比べて、部品点数や組付け工数を削減することができる。
また、上記した実施の形態においては、排気ガスセンサ9の配置構造が、並列2気筒エンジンに適用される構成としたが、この構成に限定されない。排気ガスセンサ9の配置構造は、3気筒以上のエンジンに適用されてもよい。例えば、図7に示す構成も可能である。図7は、第2の変形例に係る排気ガスセンサの配置構造を示す拡大図である。
図7に示す変形例は、4気筒エンジンの各排気ポートから4本のエキゾーストパイプ101a−101dが延びている。エキゾーストパイプ101a−101dは、第1集合部102a、102bと、第2集合部103とによって1つにまとめられる。なお、図示はしないが、車幅方向外側のエキゾーストパイプ101a、101dは、第1連通部によって連結され、車幅方向内側のエキゾーストパイプ101b、101cは、第2連通部によって連結される。左側の2つのエキゾーストパイプ101a、101bは、第1集合部102aに接続されて1つにまとめられ、右側の2つのエキゾーストパイプ101c、101dは、第1集合部102bに接続されて1つにまとめられる。第1集合部102a、102bは、第2集合部103に接続されて1つにまとめられる。
サブ触媒8bは、第1集合部102bの下流端に配置される。メイン触媒8aは、第2集合部103の下流に配置される。第2集合部103内の空間は、隔壁部104によって左右に仕切られている。排気ガスセンサ9は、第2集合部103の上流端に配置される。具体的に第1センサ90の先端は、第2集合部103内で隔壁部104より左側の空間に露出される。第2センサ91の先端は、第2集合部103内で隔壁部104より右側の空間に露出される。このように、第2の変形例においても、第1センサ90では、サブ触媒8bを通過する前の排気ガスを検出することができ、第2センサ91では、サブ触媒8bを通過した後の排気ガスを検出することができる。