JP2017111115A - 太陽電池式スケルトン腕時計 - Google Patents

Abstract

【課題】電子機能に給電するために十分な露出表面積を維持しながら、スケルトンタイプの腕時計に光電池を組み込む。
【解決手段】スケルトン腕時計１は、裏蓋及び風防ガラス３を備えるケースと、スケルトン腕時計１のムーブメント５を形成する複数の構成部品の組とを備える。構成部品は、ケースの内側、かつ裏蓋４と風防ガラス３との間に配設され、風防ガラス３を通して全体的に又は部分的に視認可能である。スケルトン腕時計１は、少なくとも１つの太陽電池７を備える。
【選択図】図２

Description

本発明は時計学の技術的分野に関する。本発明はより詳細には、太陽電池を備えるスケルトンタイプの腕時計に関する。「スケルトン腕時計（ｓｋｅｌｅｔｏｎ ｗａｔｃｈ）」は、複数の部品、典型的には文字盤、地板及び／又は受けが透明であることによってムーブメントの要素が腕時計を装用する人物にとって視認可能となっているムーブメントを備える腕時計を意味する。

電子式ムーブメントに給電するための太陽電池を腕時計に設けることは一般的に実施されている。この太陽電池は一般に、風防ガラスの下側の文字盤の周縁に配置され、又は最大量の光を吸収するために文字盤を置換してよい。特許文献１、２に記載されているような代替例も存在し、ここでは太陽電池は、透明又は半透明の樹脂で作製された文字盤の下側に位置決めされている。

このような構成では、腕時計ムーブメントは文字盤によって又は太陽電池によって覆い隠され、これは所謂スケルトン腕時計には不適合である。というのは、スケルトン腕時計は一般に剛性の文字盤を含まず、その構成部品の全て又は一部が露出しているためである。実際にはこのような場合、これらの要素を視認可能なままとすることは太陽電池の配設とは両立できない。というのは、光を吸収して、クオーツ式ムーブメントに給電するのに十分なエネルギを生成するために、太陽電池もまた視認可能でなければならないためである。

米国特許第８６９３２９０号 欧州特許第２７９６９４６号

本発明の目的は、クオーツ式腕時計ムーブメント、又は機械式腕時計ムーブメントの場合は追加の電子機能に給電するために十分な露出表面積を維持しながら、スケルトンタイプの腕時計に光電池を組み込むことである。

この目的のために、本明細書に添付の請求項１によるスケルトン腕時計を提案し、また従属請求項が複数の特定の実施形態を包含する。

本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。

図１は、本発明の好ましい実施形態による太陽電池を備えるスケルトン腕時計の上面図を示す。この第１の実施形態によると、上記電池は裏蓋とムーブメントの要素との間に配置される。 図２は、上記第１の実施形態による太陽電池を備えるスケルトン腕時計の断面図を示す。 図３は、本発明の別の好ましい実施形態による太陽電池を備えるスケルトン腕時計の上面図を示す。この第２の実施形態によると、上記電池は、風防を通して視認可能な要素、より具体的には図３の受けの上及び図４の集積回路の上に配置される。 図４は、上記第２の実施形態による太陽電池を備えるスケルトン腕時計の立体分解図を示す。

本発明は、少なくとも１つの光電池を備えるスケルトンタイプの腕時計に関し、上記光電池は、本文書の文脈において、「太陽電池」又は単に「電池」とも呼ばれる。

図１〜４は、従来のようにミドルケース２と、風防ガラス３と、裏蓋４とで形成されたケースを備える、スケルトン腕時計１を示す。風防ガラスは従来の方法で、ベゼルＬの補助によってミドルケース２に固定される。図示されている例では、ケースは従来のクオーツ式ムーブメント５の全ての要素を格納する（図４）。これらの図は特に、複数の切り欠き部分Ａ₁、Ａ₂、Ａ₃、Ａ₄、Ａ₅、Ａ₆、Ａ₇、Ａ₈を備える地板Ｐ、電気モータＭ、歯車列Ｒ、集積回路６を示す。これらの要素は、裏蓋４と風防ガラス３との間に配置され、風防ガラスを通して全体的に又は部分的に視認可能である。この例では、ムーブメント５はフランジ９の補助によってミドルケース２の内側に維持され、上記フランジ９はライナリングも形成する。図示されていないある変形例によると、ムーブメント５は機械式腕時計ムーブメントであってよい。

スケルトン腕時計の独自性は、太陽電池の追加、ケース内側への太陽電池の配置に存する。

図１、２に示す第１の実施形態によると、光電池７は腕時計の裏蓋４上、かつ裏蓋４とムーブメント５との間に配置される。光は風防ガラス３を通過して、ムーブメント構成部品間かつ特に地板Ｐに形成された切り欠き部分Ａ₁、Ａ₂、Ａ₃、Ａ₄、Ａ₅、Ａ₆、Ａ₇、Ａ₈を通して電池７に到達する。これらのムーブメント構成部品は、裏蓋４の表面積の６５〜９０％の表面積を覆い隠す。これは、切り欠き部分Ａ₁、Ａ₂、Ａ₃、Ａ₄、Ａ₅、Ａ₆、Ａ₇、Ａ₈がこの表面積の１０〜３５％に相当することを意味する。例えば、直径２．９ｃｍの円形キャビティ、即ち約６６０ｍｍ²の裏蓋表面積を備えたミドルケースを有する腕時計に関して、切り欠き部分の表面積は約１４６ｍｍ²、即ち裏蓋表面積の２２％である。照明に対して有効な表面積がこのようである場合、上記電池が捕捉する電力は、透過率２２％の文字盤の下に配置された直径２．９ｃｍの電池が捕捉する電力に等しい。例えば剛性又は可撓性基板上への物理及び化学蒸着（ＰＶＤ、ＣＶＤ）によって作製された非晶質シリコン太陽電池により、このようにして得られる電力は、平均して年間４．４μＷである。この電力は、２本の針を有するクオーツ式ムーブメントの電力消費（これは典型的には０．３μＷである）よりも有意に高い。必要であれば、ムーブメント構成部品のうちのいくつか、例えばバー、受け、歯車列等を、透明又は半透明の材料で作製することによって、照明に対して有効な表面積を増大させることができることに留意されたい。このようにして、照明に対して有効な表面積を、平均年間捕捉電力７μＷに対応する３５％まで上昇させることができる。例えば結晶質シリコン、ヘテロ接合シリコン、ＣｕＩｎＧａＳｅ、ＣｕＩｎＳｅ、ＣｄＴｅ、ＡｓＧａ又は有機材料を用いた電池等の、他の太陽電池技術を用いてよい。ＡｓＧａ技術は例えば、上記と同じ１４６ｍｍ²の露出表面積に関して、平均年間電力１６．８μＷを提供できる。更に太陽電池を追加の層、例えば半透明の材料の装飾層でコーティングすることによって、ムーブメントの構成部品に適合できる特定の美的外観、例えば金色の見た目等を付与してよいことに留意されたい。このような層の追加によって発生する伝達損失は、典型的にはＣｕＩｎＧａＳｅ系又はＡｓＧａ系太陽電池を用いた、より効率的な太陽電池技術によって補償できる。

好ましくは、単一の太陽電池を裏蓋４上に配置し、この太陽電池は裏蓋全体、又は裏蓋の特に良好に照明される部分を被覆する。しかしながら、互いに接続された複数の独立した電池を、各電池が１つの切り欠き部分に対面するように、裏蓋４上に配置することも考えられる。より高い出力電圧を得るために複数の電池を直列に接続する場合、最小の露出表面積を有する電池によって強制される電流制限を回避するために、各電池の表面積を同一とすることが好ましい。電池を並列に接続すると、上記表面積によって電流制限が回避されるものの、出力電圧が低下する。電線による電気的接続は例えば、場合によっては超音波で補助された、熱圧縮による、好適な合金（スズ又はその他）を用いたハンダ付けによって、達成される。

図３、４に示す第２の実施形態によると、光電池７は、視野に対して露出した要素上、かつ上記要素と風防ガラス３との間に配置される。これにより、光は風防ガラスを通過し、光電池７に直接到達する。この電池は好ましくは、ムーブメントの固定構成部品上に配置され、これによって可動構成部品は少なくとも部分的に視認可能のまま維持され、これがスケルトン腕時計の魅力である。例えば電池７は図３に示すように、受け８の上に配置してよい。また電池７は、図４に示すようにクオーツ式ムーブメントの、又は相補的な電子モジュールを備える機械式ムーブメントの図示されていない変形例の場合には給電される電子機能の、集積回路６上に配置してもよい。ある変形例では、電池７は上記の代わりに又は上記に加えて、集積回路６を支承するプリント回路ＣＩ上に配置してよい。電池は複数の要素に跨ってよく、又は各電池が同一の露出表面積を有する場合には、ここでもまた最小の電池によって強制される電流制限を回避するために、複数の電池を複数の要素上に配置してよい。この実施形態では、目的は、風防ガラスを通して視認可能な全表面積の８〜２７％の、照明に対して有効な表面積、即ち非晶質シリコンに関して１．６〜５．４μＷ、ＡｓＧａに関して６．１〜２０．６μＷの平均年間取得電力である。

本発明は、上記２つの実施形態を併用すること、即ち裏蓋上と、風防ガラスを通して視認可能な構成部品上とに電池を位置決めすることを排除するものではない。

ケースに対する電池の組み付けは、電池を支承する構造を生成する必要もなしに、極めて簡単に達成できる。例えば電池７を、選択された実施形態に応じて裏蓋４に対して又はある構成部品に対して、接着接合又はスナップ嵌合してよい。ケースの製造中の打ち抜き加工操作を修正することになるような特定のハウジングを提供する必要はない。必要であれば、電池が裏蓋上に位置決めされている場合、ムーブメント５を単に電池の厚さだけ持ち上げることができる。このタイプの組み付けはまた、電池をより良好に保護する（電池は選択された光電池技術に応じて、例えばガラス基板の場合等には本質的に脆性であり得る）。

生成された電気エネルギを貯蔵するために、集積回路は好ましくは、貯蔵用キャパシタ又は再充電バッテリ（図示せず）に接続される。１つ又は複数の電池とプリント回路との間の電気的接続は、２本の電線によって、又は集積回路及びキャパシタを支承するプリント回路基板ＣＩの下に配置された接点ばねによって、達成できる。

生成された電気エネルギを使用して、クオーツ式ムーブメント、又は機械式腕時計の追加の機能、例えば発光機能に給電する。

１ スケルトン腕時計
３ 風防ガラス
４ 裏蓋
５ ムーブメント
６ 集積回路
７ 太陽電池、電池
８ 受け
ＣＩ プリント基板

Claims (15)

1. スケルトン腕時計（１）であって、
   前記スケルトン腕時計（１）は、裏蓋（４）及び風防ガラス（３）を備えるケースと、前記スケルトン腕時計（１）のムーブメント（５）を形成する複数の構成部品の組とを備え、
   前記構成部品は、前記ケースの内側、かつ前記裏蓋（４）と前記風防ガラス（３）との間に配設され、前記風防ガラス（３）を通して全体的に又は部分的に視認可能である、スケルトン腕時計（１）において、
   前記スケルトン腕時計（１）は：
   １つ又は複数の太陽電池（７）が、前記裏蓋（４）と前記複数の構成部品の組との間に配置され、各前記電池（７）は、前記ムーブメントを形成する前記構成部品の間及び／又は中に形成された切り欠き部分を通して光に曝露されること；並びに
   前記スケルトン腕時計（１）が、前記裏蓋（４）の表面全体を被覆する前記太陽電池（７）を備えること
   を特徴とする、スケルトン腕時計（１）。
2. 前記構成部品のうちの１つ又は複数は、透明又は半透明材料で作製される、請求項１に記載のスケルトン腕時計（１）。
3. 前記１つ又は複数の太陽電池（７）は、前記風防ガラス（３）を通して視認可能な少なくとも１つの前記構成部品上に配置される、請求項１又は２に記載のスケルトン腕時計（１）。
4. 前記太陽電池（７）を支承する前記構成部品のうちの１つは、前記ムーブメントの固定構造である、請求項３に記載のスケルトン腕時計（１）。
5. 前記構成部品は、受け（８）又は集積回路（６）若しくはプリント回路（ＣＩ）である、請求項３又は４に記載のスケルトン腕時計（１）。
6. 前記太陽電池（７）が複数存在する場合、各前記太陽電池（７）は、前記風防ガラス（３）を通して光に曝露される同一の表面積を有する、請求項１〜５のいずれか１項に記載のスケルトン腕時計（１）。
7. 前記１つ又は複数の太陽電池（７）の、光に曝露される前記表面積は、前記風防ガラス（３）を通して光に曝露される全表面積の１０〜３５％である、請求項１〜６のいずれか１項に記載のスケルトン腕時計（１）。
8. 前記１つ又は複数の太陽電池（７）は、非晶質シリコン製である、請求項１〜７のいずれか１項に記載のスケルトン腕時計（１）。
9. 各前記太陽電池（７）は、前記ケースの内側での接着接合によって組み付けられる、請求項１〜８のいずれか１項に記載のスケルトン腕時計（１）。
10. クオーツ式ムーブメント又は機械式ムーブメントを備える、請求項１〜９のいずれか１項に記載のスケルトン腕時計（１）。
11. 前記太陽電池は直列に接続されることを特徴とする、請求項１〜１０のいずれか１項に記載のスケルトン腕時計（１）。
12. 各前記太陽電池は、略同一の表面積を有することを特徴とする、請求項１１に記載のスケルトン腕時計（１）。
13. 前記太陽電池は並列に接続されることを特徴とする、請求項１〜１０のいずれか１項に記載のスケルトン腕時計（１）。
14. 前記太陽電池は、半透明装飾層でコーティングされることを特徴とする、請求項１〜１３のいずれか１項に記載のスケルトン腕時計（１）。
15. 前記太陽電池は、ＡｓＧａ系又はＣｕＩｎＧａＳｅ系太陽電池であることを特徴とする、請求項１４に記載のスケルトン腕時計（１）。

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