JP2017110205A - 結晶成長抑制剤 - Google Patents

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裕斗 三澤
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千津子 風呂
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Abstract

【課題】医薬品や化粧品等の水系の薬品に対し高濃度で有効成分(活性成分)を含有するものも検討されており、その場合の輸送中や保存中に結晶が析出を抑制する結晶成長抑制剤の提供。【解決手段】平均重合200〜1000、かつ側鎖に式(1)で示される1,2ジオール構造やスルホン酸等の親水性の変性基を含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有する結晶成長抑制剤。好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂(A)がスルホン酸変性ポリビニールアルコール系樹脂である、結晶成長抑制剤。【選択図】なし

Description

本発明は、結晶成長抑制剤に関するものであり、更に詳しくは、医薬品、化粧品などに用いられる結晶成長抑制剤に関するものである。
近年、医薬品や化粧品等の様々な分野において、使用者への配慮や環境への負荷低減という観点から、水系の薬品に対する要求が高まっている。
更に、水系の薬品とする場合において、輸送や保存の観点から、高濃度で有効成分(活性成分)を含有するものも検討されているが、その場合には、輸送中や保存中に結晶が析出してしまうといったことが問題となっている。
上記の問題に対して、ポリリン酸又はその塩類と水溶性高分子を含有するペースト肥料が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
更に、ポリビニルアルコールを用いた氷スラリーの結晶成長抑制剤も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2003−128488号公報 特開2000−337742号公報
しかしながら、上記技術では、まだまだ満足のいく結晶成長抑制効果が得られておらず、近年の要求物性の向上から、更なる改良が求められている。
そこで、本発明においてはこのような背景下において、結晶成長の抑制効果に優れる結晶成長抑制剤を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者らは、かかる事情に鑑みて鋭意研究した結果、特定のポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂という)を用いることにより、結晶の成長を抑制することができることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明の要旨は、PVA系樹脂を含有する結晶成長抑制剤であって、かかるPVA系樹脂が、平均重合度200〜1000、かつ親水性基の変性基を含有するPVA系樹脂(A)(以下、変性PVA系樹脂(A)と略記することがある。)であることを特徴とする結晶成長抑制剤に関するものである。
本発明の結晶成長抑制剤は結晶の成長抑制効果に優れ、医薬品や化粧品などの液状物に溶解した有効成分の結晶成長を抑制することに有用である。
本発明において、上記の効果が得られるのは、PVA系樹脂が比較的低分子量であるため、分子鎖が短く、分子同士の絡まりが少なく、運動性が高く、更に親水性の変性基を有し、親水性基を多く有するため、結晶化物質と親和性が高く、結晶表面付近に存在しやすい。結晶の成長は、物質の輸送と熱の輸送の2つの輸送現象が関係しているといわれており、かかる輸送現象が進行し、結晶成長すると考えられている。本発明では、上述のようにPVA系樹脂が結晶化物質の近傍に存在するため、かかる輸送現象を阻害し、結晶の成長を抑制することができたと推測される。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の結晶成長抑制剤はPVA系樹脂を含有してなるものであり、かかるPVA系樹脂が、平均重合200〜1000、かつ親水性基を含有する変性PVA系樹脂であることを特徴とするものである。
まずは、変性PVA系樹脂(A)について説明する。
〔変性PVA系樹脂(A)〕
次に、本発明で用いられる平均重合200〜1000、かつ親水性基を含有する変性PVA系樹脂(A)について説明する。
変性PVA系樹脂(A)の平均重合度(JIS K 6726に準拠して測定)は200〜1000であり、好ましくは230〜800であり、特に好ましくは250〜600である。平均重合度が低すぎても、高すぎても、結晶成長抑制効果が得られにくくなる。
また、変性PVA系樹脂(A)のケン化度(JIS K 6726に準拠して測定)は60〜100モル%であることが好ましく、更に好ましくは70〜100モル%であり、特に好ましくは85〜99モル%である。かかるケン化度が低すぎると水溶性が低下する傾向がある。
また、変性PVA系樹脂(A)は、親水性基を有するものである。
親水性基を有する単量体の含有量は、変性基の性質により異なるが、通常0.1〜20モル%、好ましくは1〜15モル%、より好ましくは2〜10モル%である。
変性PVA系樹脂(A)としては、例えば、側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂、スルホン酸変性PVA系樹脂、オキシアルキレン基含有PVA系樹脂等が挙げられる。中でも、側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂(Ao)及び、スルホン酸変性PVA系樹脂(As)が結晶成長抑制効果の点で好ましい。
側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂の一級水酸基の数は、通常1〜5個であり、好ましくは1〜2個であり、特に好ましくは1個である。また、一級水酸基以外にも2級水酸基を有することも好ましい。
例えば、側鎖に1,2ジオール構造を有する構造単位を有するPVA系樹脂(Ao1)、側鎖にヒドロキシアルキル基を有するPVA系樹脂などが挙げられる。中でも本発明の効果が得られやすい点で、側鎖に1,2ジオール構造単位を有するPVA系樹脂(以下、側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂という。)(Ao1)が好ましい。
以下に、側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂(Ao1)について詳細に説明する。
下記一般式(1)で示される構造単位を有するものが好ましく、一般式(1)におけるR1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。
Figure 2017110205
特に、一般式(1)で表わされる構造単位中のR1〜R3及びR4〜R6がすべて水素原子であり、Xが単結合であるものが好ましく、下記式(2)で表わされる構造単位を有するPVA系樹脂が好適に用いられる。
Figure 2017110205
なお、かかる一般式(1)で表わされる構造単位中のR1〜R3及びR4〜R6は、樹脂特性を大幅に損なわない程度の量であれば、有機基であってもよく、その有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、かかる有機基は、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の官能基を有していてもよい。
また、一般式(1)で表わされる構造単位中のXは、熱安定性の点や高温下や酸性条件下での安定性の点で、単結合であるものが好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよい。かかる結合鎖としては、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていてもよい。)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2)m−、−(CH2O)mCH2−、−CO−、−COCO−、−CO(CH2)mCO−、−CO(C64)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO4−、−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、またmは自然数である。)が挙げられる。中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で、炭素数6以下のアルキレン、特にメチレン、あるいは−CH2OCH2−が好ましい。
側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂(Ao1−1)のケン化度(JIS K 6726に準拠して測定)は、通常60〜100モル%であり、特に70〜100モル%、殊に85〜99モル%のものが好ましく用いられる。
かかるケン化度が低すぎると結晶成長抑制効果が得られにくくなる傾向がある。
側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂(Ao1)含まれる、一般式(1)で表わされる構造単位の含有量(変性度)は、通常0.1〜20モル%であり、特に1〜10モル%、殊に2〜9モル%であることが好ましい。かかる変性度が低すぎても高すぎても、結晶成長抑制効果が得られにくくなる傾向がある。
なお、側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂(Ao1)中の一般式(1)で表わされる構造単位の含有量は、PVA系樹脂(Ao1)を完全にケン化したものの、1H−NMRスペクトル(溶媒:DMSO−d6、内部標準:テトラメチルシラン)から求めることができる。具体的には、一般式(2)で表される場合においては、かかる構造単位中の水酸基プロトン、メチンプロトン及びメチレンプロトン、主鎖のメチレンプロトン、主鎖に連結する水酸基のプロトンなどに由来するピーク面積から算出することができる。
また、側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂(Ao1)の平均重合度(JIS K 6726に準拠して測定)は、200〜1000であり、好ましくは230〜8000、特に好ましくは250〜600のものが好ましく用いられる。かかる重合度が高すぎても低すぎてもると、結晶成長抑制効果が得られにくくなる傾向がある。
本発明で用いられる側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂(Ao1)の製造法としては、例えば、(i)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(3)で示される化合物との共重合体をケン化する方法や、(ii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(4)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱炭酸する方法や、(iii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(5)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法が好ましく用いられる。
Figure 2017110205
Figure 2017110205
Figure 2017110205
上記一般式(3)、(4)及び(5)中のR1、R2、R3、X、R4、R5及びR6は、いずれも一般式(1)の場合と同様である。また、R7及びR8はそれぞれ独立して水素原子またはR9−CO−(式中、R9は炭素数1〜4のアルキル基である)である。
10及びR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。
(i)、(ii)及び(iii)の方法については、例えば、特開2006−95825号公報に説明されている方法を用いることができる。
なかでも、共重合反応性及び工業的な取り扱い性に優れるという点から、(i)の方法において、一般式(4)で表わされる化合物として3,4−ジアシロキシ−1−ブテンを用いることが好ましく、特に3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましく用いられる。
なお、ビニルエステル系モノマーとして酢酸ビニルを用い、これと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを共重合させた際の各モノマーの反応性比(r)は、r(酢酸ビニル)=0.710、r(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.701、であり、これは(ii)の方法で用いられる一般式(5)で表される化合物の一例であるビニルエチレンカーボネートの場合の、r(酢酸ビニル)=0.85、r(ビニルエチレンカーボネート)=5.4、と比較して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが酢酸ビニルとの共重合反応性に優れることを示すものである。
また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの連鎖移動定数(Cx)は、Cx(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.003(65℃)であり、これはビニルエチレンカーボネートのCx(ビニルエチレンカーボネート)=0.005(65℃)や、(iii)の方法で用いられる一般式(4)で表される化合物の一例である2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソランのCx(2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン)=0.023(65℃)と比較して、重合度が上がり易くなり、重合速度低下の原因となり難いことを示すものである。
また、かかる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、その共重合体をケン化する際に発生する副生物が、ビニルエステル系モノマーとして多用される酢酸ビニルに由来する構造単位からケン化時に副生する化合物と同一であり、その後処理や溶剤回収系に敢えて特別な装置や工程を設ける必要がなく、従来からの設備を利用出来るという点も、工業的に大きな利点である。
なお、上記の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、例えば、国際公開第2000/24702号公報、米国特許第5623086号明細書、米国特許第6072079号明細書などに記載されたエポキシブテン誘導体を経由する合成方法や、1,4−ブタンジオール製造工程の中間生成物である1,4−ジアセトキシ−1−ブテンを塩化パラジウムなどの金属触媒を用いて異性化する反応によって製造することができる。
また、試薬レベルではアクロス社の製品を市場から入手することができる。
(ii)や(iii)の方法によって得られたPVA系樹脂は、脱炭酸あるいは脱アセタール化が不充分であると、側鎖にカーボネート環あるいはアセタール環が残存し、製造時の加熱乾燥工程で、かかる環状基によってPVA系樹脂が架橋し、ゲル状物などが発生する場合がある。
よって、かかる点からも、(i)の方法によって得られた側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂が本発明においては好適に用いられる。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的に酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また、上述のモノマー(ビニルエステル系モノマー、一般式(3)、(4)、(5)で示される化合物)の他に、樹脂物性に大幅な影響を及ぼさない範囲であれば、共重合成分として、エチレンやプロピレン等のα−オレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類及びそのアシル化物などの誘導体;1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパン等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート類;イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノまたはジアルキルエステル;アクリロニトリル等のニトリル類、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、AMPS等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などの化合物、などが共重合されていてもよい。
次にスルホン酸変性PVA系樹脂(As)について詳細に説明する。
スルホン酸変性PVA系樹脂(As)のケン化度(JIS K 6726に準拠して測定)は、通常60〜100モル%であり、特に75〜90モル%、殊に80〜89モル%、更に85〜88モル%のものが好ましく用いられる。
かかるケン化度が低すぎると、結晶成長抑制効果が得られにくくなる傾向がある。
スルホン酸変性PVA系樹脂(As)に含まれる、スルホン酸を有する構造単位の含有量は、通常0.1〜20モル%であり、特に1〜10モル%、殊に1.5〜5モル%であることが好ましい。かかる変性度が低すぎても高すぎても、結晶成長抑制効果が得られにくくなる傾向がある。
また、スルホン酸変性PVA系樹脂(As)の平均重合度(JIS K 6726に準拠して測定)は、好ましくは200〜1000であり、特に230〜800、殊に250〜600のものが好ましく用いられる。かかる重合度が高すぎても低すぎても、結晶成長抑制効果が得られにくくなる傾向があり、
スルホン酸変性PVA系樹脂(As)は、一般的にはビニルエステル系単量体とスルホン酸基を有する単量体を共重合し、得られた共重合体をケン化して得ることができる。
かかるビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。なかでも、経済的な点から酢酸ビニルが好ましく用いられる。
スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、(I)下記一般式(6)で表されるオレフィンスルホン酸、(II)下記一般式(7)または(8)で表されるスルホアルキルマレート、(III)下記一般式(9)、(10)または(11)で表されるスルホアルキル(メタ)アクリルアミド、(IV)下記一般式(12)で表されるスルホアルキル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
Figure 2017110205
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウム基を示す。)
Figure 2017110205
Figure 2017110205
(式中、R12は炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウム基を示す。)
Figure 2017110205
Figure 2017110205
Figure 2017110205
(式中、R13、R14、R15、R17、R18、R19、R20は水素又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R16は炭素数1〜3のアルキル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウム基を示す。)
Figure 2017110205
(式中、R21は水素又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウム基を示す。)
上記のオレフィンスルホン酸の具体例としては、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩を挙げることができる。
また、上記のスルホアルキルマレートとして具体的には、例えば、ナトリウムスルホプロピル−2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホプロピル−2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホプロピルトリデシルマレート、ナトリウムスルホプロピルエイコシルマレート等が挙げられる。
また、上記のスルホアルキル(メタ)アクリルアミドとして、具体的には、例えば、ナトリウムスルホメチルアクリルアミド、ナトリウムスルホt−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホS−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホt−ブチルメタクリルアミド等が挙げられる。
さらに、上記のスルホアルキル(メタ)アクリレートとして、具体的には、例えば、ナトリウムスルホエチルアクリレート等が挙げられる。共重合により導入する場合、上記スルホン酸基を有する単量体の中でもオレフィンスルホン酸、又はその塩が好適に使用される。
また、本発明においては、上記の共重合成分以外にも本発明の目的を阻害しない範囲において、他の単量体を0.1〜10モル%程度共重合させることも可能で、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類;ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩;アルキルビニルエーテル類;ジメチルアリルビニルケトン;N−ビニルピロリドン;塩化ビニル;塩化ビニリデン;ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル;ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート;ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド;ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル;ポリオキシエチレンビニルエーテル;ポリオキシプロピレンビニルエーテル;ポリオキシエチレンアリルアミン;ポリオキシプロピレンアリルアミン;ポリオキシエチレンビニルアミン;ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
さらに、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有単量体;アセトアセチル基含有単量体;3,4−ジアセトキシ−1−ブテン;1,4−ジアセトキシ−2−ブテン;エチレンカーボネート;ビニルエチレンカーボネート;グリセリンモノアリルエーテル;酢酸イソプロペニル;1−メトキシビニルアセテート等も挙げられる。
上記のビニルエステル系単量体とスルホン酸基を有する単量体を共重合する方法としては、特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、またはエマルジョン重合等の公知の方法を採用することができるが、通常は溶液重合が行われる。
共重合時の単量体成分の仕込み方法としては特に制限されず、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等任意の方法が採用される。
かかる共重合で用いられる溶媒としては、通常、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、工業的には、メタノールが好適に使用される。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(単量体)=0.01〜10(質量比)、好ましくは0.05〜3(質量比)程度の範囲から選択される。
共重合に当たっては重合触媒が用いられ、かかる重合触媒としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の公知のラジカル重合触媒やアゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル等の低温活性ラジカル重合触媒等が挙げられる。重合触媒の使用量は、触媒の種類により異なり一概には決められないが、重合速度に応じて任意に選択される。例えば、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化アセチルを用いる場合、ビニルエステル系単量体に対して0.01〜1.0モル%が好ましく、特には0.02〜0.5モル%が好ましい。
また、共重合反応の反応温度は、使用する溶媒や圧力により30℃〜沸点程度で行われ、より具体的には、35〜150℃、好ましくは40〜75℃の範囲で行われる。
得られた共重合体は、次いでケン化される。かかるケン化は、上記で得られた共重合体をアルコール又は含水アルコールに溶解し、アルカリ触媒又は酸触媒を用いて行われる。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等が挙げられるが、メタノールが特に好ましく用いられる。アルコール中の共重合体の濃度は、系の粘度により適宜選択されるが、通常は10〜60質量%の範囲から選ばれる。ケン化に使用される触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒;硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
かかるケン化触媒の使用量については、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択されるが、アルカリ触媒を使用する場合は通常、ビニルエステル系単量体及び一般式(6)〜(12)で示される化合物の合計量1モルに対して0.1〜30ミリモル、好ましくは2〜15ミリモルの割合が適当である。
また、ケン化反応の反応温度は、10〜60℃、特には20〜50℃であることが好ましい。
本発明の結晶成長抑制剤は、例えば、化粧品や医薬品等で用いられる化合物に対して作用するが、中でも水溶性の水和物を形成する化合物に対して特に有効に作用する。
かかる水溶性の水和物を形成する化合物としては、例えば、硫酸アルミニウムカリウム水和物(カリウムミョウバン)、硫酸アルミニウムアンモニウム水和物(アンモニウムミョウバン)などのミョウバン系化合物、塩化アルミニウム六水和物、硝酸アルミニウム九水和物などのアルミニウム系化合物の水和物、塩化カルシウム二水和物、塩化カルシウム四水和物、塩化カルシウム六水和物、硝酸カルシウム四水和物などのカルシウム系化合物の水和物、酢酸ナトリウム三水和物、硫酸ナトリウム十水和物、炭酸ナトリウム十水和物、二リン酸ナトリウム十水和物、リン酸二水素ナトリウム二水和物などのナトリウム系化合物の水和物、クエン酸三カリウム一水和物などのカリウム系化合物の水和物、硫酸マグネシウム七水和物、酢酸マグネシウム四水和物などのマグネシウム系化合物の水和物、硫酸銅(II)五水和物などの銅系化合物の水和物、酢酸ニッケル(II)四水和物などのニッケル系化合物の水和物、塩化マンガン(II)四水和物などのマンガン系化合物の水和物、酢酸コバルト(II)四水和物などのコバルト系化合物の水和物が挙げられる。
中でも結晶成長抑制効果が得られやすいミョウバン系化合物が好ましい。
更に、本発明の結晶成長抑制剤は、医薬、化粧品、農薬、食品などに用いることができる。医薬品としては、例えば、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、エテンザミド等の解熱鎮痛消炎薬、トラネキサム酸やε−アミノカプロン酸、カリウムミョウバン等の止血剤、ビタミン類、ミネラル、タンパク、アミノ酸、オリゴ糖等の滋養強壮保健薬、向精神薬、抗うつ薬、抗不安薬、催眠鎮静薬、鎮痙薬、中枢神経作用薬、脳代謝改善剤、脳循環改善剤、抗てんかん剤、交感神経興奮剤、胃腸薬、制酸剤、抗潰瘍剤、鎮咳去痰剤、制吐剤、呼吸促進剤、気管支拡張剤、アレルギー用薬、抗ヒスタミン剤、歯科口腔用薬、強心剤、不整脈用剤、利尿薬、血圧降下剤、血管収縮薬、冠血管拡張薬、末梢血管拡張薬、血液凝固阻止剤、高脂血症用剤、利胆剤、抗生物質、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、抗リウマチ薬、骨格筋弛緩薬、鎮けい剤、ホルモン剤、アルカロイド系麻薬、サルファ剤、痛風治療薬、抗悪性腫瘍剤などが挙げられる。
化粧品としては、例えば、アスコルビン酸とその誘導体、プラセンタエキス、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、トラネキサム酸、カモミラエキス、4−n−ブチルレゾルシノール等の美白成分、イソプレングリコール、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸ナトリウムなどのムコ多糖類、加水分解コラーゲン、加水分解エラスチン、加水分解ケラチン、大豆リン脂質、卵黄レシチン、カゼインナトリウム、スフィンゴ糖脂質、ステロール配糖体、ムチン、キチンやキトサンまたはそれらの誘導体、シャクヤクエキス、海藻エキス等の保湿成分、イソフェルラ酸またはその塩、オキシベンゾンまたはその誘導体、p−アミノ安息香酸またはその誘導体、ケイ皮酸またはその誘導体等の紫外線吸収成分等が挙げられる。
農薬としては、カーバメイト系化合物、合成ピレスロイド系化合物、有機リン系化合物、有機塩素系化合物等の殺虫剤、N−ヘテロ環系エルゴステロール阻害剤、カルボキシアミド系化合物、ジカルボキシイミド系化合物、ポリハロアルキルチオ系化合物、硫黄系化合物等の殺菌剤、スルホニル尿素系化合物、トリアジン系化合物、ジニトロアニリン系化合物等の除草剤等が挙げられる。
食品添加物としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム等の保存料、キシリトール、アスパルテーム等の甘味料、着色料、ペクチン、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤、エリソルビン酸ナトリウム、ミックスビタミンE等の酸化防止剤、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等の発色剤、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム等の漂白剤、炭酸水素ナトリウム、焼きミョウバン等の膨張剤、安定剤、ゲル化剤、糊剤、防かび剤、イーストフード、ガムベース、かんすい、苦味料、酵素、光沢剤、香料、酸味料、調味料、乳化剤、栄養強化剤等が挙げられる。
また、本発明の結晶成長抑制剤の使用形態は特に限定されないが、粉末状、ペースト状、水溶液等の液状などが挙げられる。中でも混合性の点から水溶液で用いることが好ましい。かかる水溶液のPVA系樹脂の濃度は、通常、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%である。かかる濃度が高すぎると増粘する傾向があり、低すぎると本発明の効果が得られにくくなる傾向がある。
また、本発明の結晶成長抑制剤の使用量としては、結晶を抑制する目的物質により異なるが、目的物質100重量部に対して、本発明の結晶成長抑制剤が通常0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.1〜1重量部である。かかる使用量が多すぎると、増粘する傾向があり、少なすぎると、結晶成長抑制効果が得られにくくなる傾向がある。
更に、本発明の結晶成長抑制剤の他に、その他の水溶性高分子、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤などを配合することもできる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
実施例1
<1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂(Ao1−1―1)の作製>
酢酸ビニル800部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン48部(3モル%対仕込み酢酸ビニル)、メタノール320部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15モル%(対仕込み酢酸ビニル)を準備した。
次いで、還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応缶に、メタノールとAIBNの全量、および酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの10%を投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。さらに酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの残部(90%)を9時間かけて滴下し、酢酸ビニルの重合率が95%となった時点でm−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、上記メタノール溶液を濃度50%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して4ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となったのち、所定時間経過後、中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの0.8当量添加し、濾別、メタノールで充分洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂(Ao1−1―1)を得た。
得られたPVA系樹脂(Ao1−1―1)のケン化度は、残存酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ88モル%であり、平均重合度は、JIS K 6726に準じて分析を行ったところ300であった。また、1,2−ジオール構造単位の含有量は1H−NMR(内部標準物質;テトラメチルシラン)で測定して算出したところ3モル%であった。
<カリウムミョウバン水溶液の作製>
カリウムミョウバン5部と水5部を混合し、100℃に加熱し、撹拌して、ミョウバン水溶液を得た。
得られたカリウムミョウバン水溶液に、PVA系樹脂(Ao1−1―1)の10%水溶液0.5部を添加し、撹拌した。
室温にて、1日間静置し、結晶が析出したカリウムミョウバン水溶液を得た。
<結晶成長抑制評価>
上記で得られた結晶が析出したカリウムミョウバン水溶液を、濾過し、ろ紙上に残った結晶の水分を拭き取り、結晶の大きさを定規で測り、平均結晶サイズを算出した。結果を表1に示す。
実施例2
<1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂(Ao1−1―2)の作製>
酢酸ビニル700部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン112部(8モル%対仕込み酢酸ビニル)、メタノール210部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3モル%(対仕込み酢酸ビニル)を準備した。
次いで、還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応缶に、メタノールとAIBNの全量、および酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの10%を投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。さらに酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの残部(90%)を9時間かけて滴下し、酢酸ビニルの重合率が90%となった時点でm−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込みつつ蒸留することで未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、上記メタノール溶液を濃度50%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して4ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となったのち、所定時間経過後、中和用の酢酸を水酸化ナトリウムの0.8当量添加し、濾別、メタノールで充分洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂(Ao1−1―2)を得た。
得られたPVA系樹脂(Ao1−1―2)のケン化度は、残存酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ99.2モル%であり、平均重合度は、JIS K 6726に準じて分析を行ったところ300であった。また、1,2−ジオール構造単位の含有量は1H−NMR(内部標準物質;テトラメチルシラン)で測定して算出したところ8モル%であった。
上記で得られたPVA系樹脂(Ao1−1―2)を実施例1と同様に評価し、結果を表1に示す。
実施例3
<スルホン酸変性PVA系樹脂(As)>
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1000部、メタノール422部、アリルスルホン酸ナトリウム62部(酢酸ビニルに対して3.7モル%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.072モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、還流させながら重合を行った。
途中、アゾビスイソブチロニトリルを0.072モル%(対仕込み酢酸ビニル)ずつ4回投入し、酢酸ビニルの重合率が96.4%となった時点で、m−ジニトロベンゼン0.1重量部を添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈して濃度55%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(ナトリウム濃度で2%)を共重合体中の酢酸ビニル構造単位1モルに対して8ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、スルホン酸変性PVA系樹脂(As)を得た。
得られたスルホン酸基含有PVA系樹脂(As)のケン化度は、残存酢酸ビニル単位の加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ、87.3モル%であり、20℃における4%水溶液粘度(重合度)は、JIS K 6726に準じて測定したところ、2.5mPa・sであった。また、該PVA系樹脂の変性量はNMR測定より算出したところスルホン酸基2.7モル%であった。
実施例1において、未変性PVAに変えて、上記で得られたPVA系樹脂(As)を用いた以外は同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例1
PVAとして、ケン化度88モル%、平均重合度350の未変性PVA(A’−1)を用いた以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2
PVAとして、ケン化度88モル%、平均重合度1800の未変性PVA(A’−2)を用いた以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例3
PVAとして、ケン化度88モル%、平均重合度1800、側鎖1,2ジオール構造単位の含有量4モル%のPVA(Ao1’−1)を用いた以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2017110205
本発明の結晶成長抑制剤を用いた実施例1〜3は、結晶の大きさが小さく、結晶の成長を抑制できるものであった。一方、比較例1〜3は、結晶の大きさが大きく、結晶の成長を抑制することができなった。
本発明の結晶成長抑制剤は、医薬品、化粧品などの結晶の成長を抑制することができ、保存期間を長くすることができて、有用である。

Claims (6)

  1. 平均重合度200〜1000、かつ親水性の変性基を含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有することを特徴とする結晶成長抑制剤。
  2. ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂(Ao)であることを特徴とする請求項1記載の結晶成長抑制剤。
  3. ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、側鎖に1,2ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂(Ao1)であることを特徴とする請求項1記載の結晶成長抑制剤。
  4. ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、下記一般式(1)で示される側鎖に1,2ジオール構造単位を有するポリビニルアルコール系樹脂(Ao1−1)であることを特徴とする請求項1記載の結晶成長抑制剤。
    Figure 2017110205
    (一般式(1)におけるR1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。)
  5. ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、スルホン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂(As)であることを特徴とする請求項1記載の結晶成長抑制剤。
  6. ポリビニルアルコール系樹脂(A)の0.1〜50重量%水溶液を含有することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の結晶成長抑制剤。
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