JP2017110070A - ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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智史 福西
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Abstract

【課題】常温での硬度低下と低温での弾性率上昇を抑えながら、ウェットグリップ性能を向上する。
【解決手段】ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対し、式(1)で表される構成単位を有する重合体からなる、ガラス転移点が−70〜0℃かつ平均粒径が10〜1000nmの微粒子を、1〜100質量部含有するゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤである(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なってもよく、少なくとも1つは炭素数3〜8の脂肪族炭化水素基を表し、残りは水素原子又は炭素数1もしくは2の脂肪族炭化水素基を表す。)。
【化1】
Figure 2017110070

【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
従来、例えば、タイヤに用いられるゴム組成物においては、湿潤路面におけるグリップ性能(ウェットグリップ性能)と低燃費性に寄与する転がり抵抗性能を高次元でバランスさせることが求められている。しかし、これらは背反特性であるため、同時に改良することは容易ではない。
特許文献1には、転がり抵抗性能を悪化させることなくウェットグリップ性能を向上させるために、ナフサの熱分解によるC5留分とスチレン又はビニルトルエンの共重合樹脂を配合することが提案されている。この場合、ウェットグリップ性能を向上させることはできるが、常温でのゴム組成物の硬度低下による操縦安定性の低下という課題がある。また、低温においてゴム組成物の弾性率が上昇してグリップ性能が悪化するため、低温性能にも課題がある。
特許文献2には、路面グリップ力に優れ、破壊強度及び耐摩耗性良好にしてかつ耐熱性に優れるゴム組成物を提供することを目的として、ゴム成分として2000〜50000の分子量を有する低分子量ビニル芳香族・ジエン共重合体(スチレンブタジエン液状ポリマー)を配合することが開示されている。この場合、得られるゴム組成物の硬度低下が大きく、タイヤに採用した際の操縦安定性が低下してしまう。
特許文献3には、スチレンブタジエンゴムの分子鎖中にミルセンなどの分岐共役ジエン成分を導入した分岐共役ジエン共重合体を、タイヤ用ゴム組成物のゴム成分として利用することが開示されている。しかしながら、この文献は、スチレン含量の高いスチレンブタジエンゴムの特性改善を狙いとして、上記分岐共役ジエン化合物を共重合体の構成単位として導入するものである。該共重合体はゴム成分として用いられるものであることから、低温特性の低下を抑えることは容易ではない。
一方、架橋ゴム粒子であるゴムゲルを、ジエン系ゴムを含むゴム組成物に配合する技術が知られている。例えば、特許文献4には、スチレンブタジエンゴムゲルを配合することにより、ウェットグリップ性能と転がり抵抗性能を両立することが開示されている。しかしながら、常温での硬度低下と低温での弾性率上昇を抑えながら、ウェットグリップ性能を高度に改良するには至っていない。
特開平09−328577号公報 特開昭61−203145号公報 特開2014−088544号公報 特開平10−204217号公報
本発明の実施形態は、常温での硬度低下と低温での弾性率上昇を抑えながら、タイヤ用途に用いたときのウェットグリップ性能を向上することができるゴム組成物を提供することを目的とする。
第1の実施形態に係るゴム組成物は、ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対し、下記一般式(1)で表される構成単位を有する重合体からなる、ガラス転移点が−70〜0℃かつ平均粒径が10〜1000nmの微粒子を、1〜100質量部含有するものである。
Figure 2017110070
式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なってもよく、少なくとも1つは炭素数3〜8の脂肪族炭化水素基を表し、残りは水素原子又は炭素数1もしくは2の脂肪族炭化水素基を表す。
第2の実施形態に係るゴム組成物は、ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対し、下記一般式(4)で表される化合物由来の構成単位を有する重合体からなる、ガラス転移点が−70〜0℃かつ平均粒径が10〜1000nmの微粒子を、1〜100質量部含有するものである。
Figure 2017110070
式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なってもよく、少なくとも1つは炭素数3〜8の脂肪族炭化水素基を表し、残りは水素原子又は炭素数1もしくは2の脂肪族炭化水素基を表す。
実施形態に係る空気入りタイヤは、該ゴム組成物を用いて作製されたものである。
実施形態によれば、ジエン系ゴムに上記特定の重合体からなる微粒子を配合することにより、タイヤ用途に用いたときに、常温での硬度低下と低温での弾性率上昇を抑えながら、ウェットグリップ性能を向上することができる。
本実施形態に係るゴム組成物は、ジエン系ゴムからなるゴム成分に、特定の重合体からなる微粒子を配合してなるものである。
本実施形態において、ゴム成分としてのジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム等が挙げられ、これらはいずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、NR、BR及びSBRからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。なお、ゴム成分には、上記微粒子は含まれない。
上記で列挙した各ジエン系ゴムの具体例には、その分子末端又は分子鎖中において、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルコキシシリル基、及びエポキシ基からなる群から選択された少なくとも1種の官能基が導入されることで、当該官能基により変性された変性ジエン系ゴムも含まれる。変性ジエン系ゴムとしては、変性SBR及び/又は変性BRが好ましい。一実施形態において、ジエン系ゴムは、変性ジエン系ゴム単独でもよく、変性ジエン系ゴムと未変性のジエン系ゴムとのブレンドでもよい。一実施形態において、ジエン系ゴム100質量部中、変性SBRを30質量部以上含んでもよく、変性SBRを50〜90質量部と未変性ジエン系ゴム(例えば、BR及び/又はNR)を50〜10質量部含むものでもよい。
本実施形態において、微粒子としては、下記一般式(1)で表される構成単位(繰り返し単位とも称される。)を有する重合体からなるものが用いられる。
Figure 2017110070
式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なってもよく、少なくとも1つは炭素数3〜8の脂肪族炭化水素基であり、残りは水素原子又は炭素数1もしくは2の脂肪族炭化水素基である。好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち、1つが炭素数3〜8の脂肪族炭化水素基であり、0〜2つが炭素数1もしくは2の脂肪族炭化水素基であり、残りの3〜5つが水素原子である。
前記炭素数3〜8の脂肪族炭化水素基としては、少なくとも1つの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状でも分岐状でもよい。好ましくは、側鎖として1つのメチル基を持ち1つ又は2つの二重結合を持つ分岐不飽和炭化水素基である。炭素数は4〜6であることが好ましい。好ましい具体例としては、例えば、4−メチル−3−ペンテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、及び、2−メチル−1,3−ブタジエニル基が挙げられる。
前記炭素数1もしくは2の脂肪族炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、即ちメチル基又はエチル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。
好ましい一実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、R1、R2及びR3のいずれか1つが炭素数3〜8(好ましくは4〜6)の不飽和脂肪族炭化水素基であり、残りの5つが同一又は異なって水素原子又はメチル基であり、R7及びR8の少なくとも一方が水素原子である。
一実施形態において、R1、R2、R4、R5及びR6が水素原子であり、R3が4−メチル−3−ペンテニル基でもよい(後記のβ−ミルセン由来の構成単位)。また、他の実施形態において、R1とR2のいずれ一方が水素原子で他方が3−メチル−2−ブテニル基であり、R3がメチル基、R4、R5及びR6が水素原子でもよい(後記のβ−オシメン由来の構成単位)。
なお、式(1)で表される構成単位には、下記一般式(1A)で表されるトランス型の構成単位、及び/又は、下記一般式(1B)で表されるシス型の構成単位が含まれる。
Figure 2017110070
式(1)の構成単位は、下記一般式(4)で表される化合物由来の構成単位であり、すなわち、式(4)で表される化合物を単量体として、当該化合物が反応することにより形成される単量体単位である。
Figure 2017110070
式(4)中のR1、R2、R3、R4、R5及びR6は、式(1)と同じである。
式(4)で表される化合物(以下、共役ジエン含有化合物)は、共役ジエン構造に結合した炭素数3〜8の脂肪族炭化水素基を有する化合物である。その具体例としては、2−メチル−4−メチレンヘキサ−1,5−ジエン、2−メチル−6−メチレンオクタ−1,7−ジエン(即ち、α−ミルセン)、2−メチル−8−メチレンデカ−1,9−ジエン、5−メチル−3−メチレンヘキサ−1,4−ジエン、7−メチル−3−メチレンオクタ−1,6−ジエン(即ち、β−ミルセン)、9−メチル−3−メチレンデカ−1,8−ジエン、3,7−ジメチルオクタ−1,3,7−トリエン(即ち、α−オシメン)、3,9−ジメチルデカ−1,3,9−トリエン、3,7−ジメチルオクタ−1,3,6−トリエン(即ち、β−オシメン)、3,9−ジメチルデカ−1,3,8−トリエン、2,6−ジメチルオクタ−2,4,6−トリエン(即ち、アロオシメン)、2,8−ジメチルデカ−2,6,8−トリエン、2,6−ジメチルオクタ−1,3,5,7−テトラエン(即ち、コスメン)などが挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ミルセン、オシメン、アロオシメン及びコスメンからなる群から選択された少なくとも一種が好ましく、より好ましくはミルセン及びオシメンからなる群から選択された少なくとも一種である。ミルセンとしては、α−ミルセンでも、β−ミルセンでも、これらの混合物でもよい。オシメンとしては、α−オシメンでも、β−オシメン(トランス型でもシス型でもよい)でも、これらの混合物でもよい。好ましい実施形態に係る共役ジエン含有化合物は、β−ミルセン及びβ−オシメンからなる群から選択された少なくとも一種である。
式(4)で表される化合物により形成される構成単位としては、上記式(1)の構成単位だけでもよいが、例えば、下記一般式(7)で表される構成単位及び/又は下記一般式(8)で表される構成単位が形成される場合もあり、これらの構成単位を含んでもよい。
Figure 2017110070
式(7)及び式(8)中のR1、R2、R3、R4、R5及びR6は、式(1)と同じである。
式(1)、式(7)及び式(8)で表される各構成単位の比率は特に限定されないが、通常は式(1)の構成単位が主として形成されるので、式(4)で表される化合物由来の構成単位に対する比率として(即ち、当該比率を100モル%として)、式(1)の構成単位が60〜100モル%でもよく、70〜90モル%でもよい。また、式(7)の構成単位が0〜20モル%でもよく、3〜15モル%でもよい。また、式(8)の構成単位が0〜30モル%でもよく、5〜25モル%でもよい。
微粒子を構成する重合体としては、式(1)で表される構成単位とともに、下記一般式(2)で表される構成単位を有する重合体を用いてもよい。これらの構成単位の付加形態は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、好ましくはランダム付加である。
Figure 2017110070
式(2)中、R7は、水素原子又はメチル基を表し、好ましくはメチル基である。R8は、炭素数1〜18のアルキル基を表し、直鎖でも分岐でもよい。R8は、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。
式(2)で表されるアルキル(メタ)アクリレート単位は、下記一般式(5)で表される化合物由来の構成単位であり、すなわち、式(5)で表される化合物を単量体として、当該化合物が反応することにより形成される単量体単位である。
Figure 2017110070
式(5)中のR7及びR8は、式(2)と同じである。
式(5)で表される化合物(以下、アルキル(メタ)アクリレート)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸n−ステアリルなどが挙げられる。これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、メタクリル酸メチルが好ましい。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートのうちの一方又は両方を意味する。また、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸のうちの一方又は両方を意味する。
微粒子を構成する重合体としては、前記一般式(1)で表される構成単位とともに、下記一般式(3)で表される構成単位を有する重合体を用いてもよい。これらの構成単位の付加形態は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、好ましくはランダム付加である。
Figure 2017110070
式(3)中、R9は、水素原子又はメチル基を表し、より好ましくは水素原子である。R10は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(即ち、炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は炭素数3〜8の分岐アルキル基)を表し、より好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。R10は、芳香環のオルト(o−)位、メタ(m−)位、及びパラ(p−)位のいずれにあってもよく、好ましくはメタ位及び/又はパラ位である。
式(3)で表される芳香族ビニル単位は、下記一般式(6)で表される化合物由来の構成単位であり、すなわち、式(6)で表される化合物を単量体として、当該化合物が反応することにより形成される単量体単位である。
Figure 2017110070
式(6)中のR9及びR10は、式(3)と同じである。
式(6)で表される化合物(以下、芳香族ビニル化合物)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン(オルト位、メタ位、パラ位又はこれらの2種以上の混合物)、エチルスチレン(オルト位、メタ位、パラ位又はこれらの2種以上の混合物)、プロピルスチレン(オルト位、メタ位、パラ位又はこれらの2種以上の混合物)、イソプロピルスチレン(オルト位、メタ位、パラ位又はこれらの2種以上の混合物)、ブチルスチレン(オルト位、メタ位、パラ位又はこれらの2種以上の混合物)、イソブチルスチレン(オルト位、メタ位、パラ位又はこれらの2種以上の混合物)、t−ブチルスチレン(オルト位、メタ位、パラ位又はこれらの2種以上の混合物)、s−ブチルスチレン(オルト位、メタ位、パラ位又はこれらの2種以上の混合物)、ペンチルスチレン(オルト位、メタ位、パラ位又はこれらの2種以上の混合物)、ヘキシルスチレン(オルト位、メタ位、パラ位又はこれらの2種以上の混合物)、ヘプチルスチレン(オルト位、メタ位、パラ位又はこれらの2種以上の混合物)、及び、オクチルスチレン(オルト位、メタ位、パラ位又はこれらの2種以上の混合物)などが挙げられる。これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、スチレン、メチルスチレン及びtert−ブチルスチレンからなる群から選択された少なくとも一種が好ましい。
微粒子を構成する重合体としては、式(1)で表される構成単位と、式(2)で表される構成単位と、式(3)で表される構成単位とを有する重合体を用いてもよい。これらの構成単位の付加形態は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、好ましくはランダム付加である。
好ましい一実施形態において、微粒子を構成する重合体は、β−ミルセン及びβ−オシメンからなる群から選択される少なくとも一種のモノマーと、メタクリル酸メチル、スチレン、4−メチルスチレン及び4−tert−ブチルスチレンからなる群から選択される少なくとも一種のモノマーとを重合してなるものでもよい。
本実施形態に係る微粒子を構成する重合体は、式(4)の共役ジエン含有化合物の単独重合体、又は、式(4)の共役ジエン含有化合物と式(5)のアルキル(メタ)アクリレート及び/又は式(6)の芳香族ビニル化合物との共重合体でもよいが、より好ましい実施形態によれば、共役ジエン含有化合物を含むモノマーを、多官能ビニルモノマーの存在によって架橋してなる架橋構造の重合体である。すなわち、好ましい実施形態において、微粒子を構成する重合体は、式(1)の構成単位を含むとともに(式(1)の構成単位とともに、式(2)の構成単位及び/又は式(3)の構成単位を含んでもよい。)、多官能ビニルモノマーに由来する構成単位を含み、該多官能ビニルモノマーに由来する構成単位を架橋点とする架橋構造を有する。
多官能ビニルモノマーとしては、フリーラジカル重合によって重合可能な少なくとも2個のビニル基を有する化合物が挙げられ、例えば、ジオールまたはトリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなど)のジ(メタ)アクリレートまたはトリ(メタ)アクリレート; メチレンビス−アクリルアミドなどのアルキレンジ(メタ)アクリルアミド; ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンなどの少なくとも2個のビニル基を持つビニル芳香族化合物などが挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
微粒子を構成する重合体において、各構成単位の比率は特に限定されない。例えば、式(1)の構成単位のモル比は、当該重合体を構成する全構成単位(全繰り返し単位)に対するモル比として、10モル%以上でもよく、30モル%以上でよく、60モル%以上でもよい。モル比の上限は、特に限定しないが、例えば上記の多官能ビニルモノマーを添加する場合、99.5モル%以下でもよく、99モル%以下でもよい。また、式(4)の化合物由来の構成単位のモル比は、上記全構成単位に対するモル比として、15モル%以上でもよく、45モル%以上でもよく、90モル%以上でもよく、また、上限は、99.5モル%以下でもよく、99モル%以下でもよい。
多官能ビニルモノマーに基づく構成単位のモル比は、上記全構成単位に対するモル比として、0.5〜20モル%でもよく、1〜10モル%でもよく、1〜5モル%でもよい。
一実施形態において、式(1)の構成単位とともに、式(2)の構成単位及び/又は式(3)の構成単位を含む場合、当該重合体の全構成単位に対する各構成単位のモル比は次のように設定してもよい。すなわち、式(1)の構成単位のモル比が10〜80モル%であり、かつ式(2)と式(3)の構成単位のモル比の合計が5〜80モル%でもよく、式(1)の構成単位のモル比が30〜70モル%であり、かつ式(2)と式(3)の構成単位のモル比の合計が10〜50モル%でもよい。この場合、式(4)の化合物由来の構成単位のモル比としては、全構成単位に対するモル比として、15〜90モル%でもよく、45〜85モル%でもよい。なお、式(2)の構成単位と式(3)の構成単位のうちのいずれか一方を含む場合、全構成単位に対するモル比は、それぞれ5〜80モル%でもよく、10〜50モル%でもよい。また、式(2)の構成単位と式(3)の構成単位の双方を含む場合、全構成単位に対するモル比は、式(2)の構成単位が3〜60モル%かつ式(3)の構成単位が3〜60モル%でもよく、式(2)の構成単位が5〜30モル%かつ式(3)の構成単位が5〜30モル%でもよい。
なお、本実施形態に係る微粒子を構成する重合体は、基本的には、式(4)の化合物由来の構成単位と、任意成分である上記のビニルモノマー(即ち、式(5)の化合物、式(6)の化合物及び多官能ビニルモノマー)由来の構成単位からなるものであり、全構成単位に対するこれら構成単位の合計のモル比は、90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、100モル%でもよい。
本実施形態において、上記重合体からなる微粒子のガラス転移点(Tg)は−70〜0℃の範囲内に設定される。ガラス転移点の設定は、重合体を構成するモノマー組成等により行うことができる。ガラス転移点が0℃以下であることにより、低温性能の悪化をより効果的に抑えることができる。また、ガラス転移点が−70℃以上であることにより、ウェットグリップ性能の改善効果を高めることができる。微粒子のガラス転移点は、−50〜−10℃であることが好ましく、より好ましくは−40〜−20℃である。
本実施形態において、微粒子の平均粒径は10〜1000nmである。上記特定の構成単位を含む重合体を、このような微細な粒子としてジエン系ゴム中に添加することにより、常温での硬度低下と低温での弾性率上昇を抑えながら、ウェットグリップ性能と転がり抵抗性能を高次元でバランスさせることができ、特には転がり抵抗性能の悪化を抑えながら、ウェットグリップ性能を顕著に向上することができる。該微粒子の平均粒径は、より好ましくは10〜100nmであり、更に好ましくは20〜80nmである。
上記微粒子の製造方法は、特に限定されず、例えば、公知の乳化重合を利用して合成することができる。好ましい一例を挙げれば次の通りである。すなわち、式(4)の共役ジエン含有化合物を含むモノマーを、架橋剤としての多官能ビニルモノマーとともに、乳化剤を溶解した水等の水性媒体に分散させ、得られたエマルションに水溶性のラジカル重合開始剤(例えば、過硫酸カリウムなどの過酸化物)を添加してラジカル重合させることにより、水性媒体中に上記重合体からなる微粒子が生成されるので、該水性媒体と分離することで微粒子が得られる。その他の微粒子の製造方法として、公知の懸濁重合や分散重合、沈殿重合、ミニエマルション重合、ソープフリー乳化重合(無乳化剤乳化重合)およびマイクロエマルション重合などの重合方法を利用することができる。
本実施形態に係るゴム組成物において、上記微粒子の配合量は、特に限定されないが、ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対して1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜50質量部であり、更に好ましくは3〜30質量部である。
本実施形態に係るゴム組成物には、上記微粒子の他に、補強性充填剤、シランカップリング剤、オイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加硫剤、加硫促進剤など、ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。
補強性充填剤としては、湿式シリカ(含水ケイ酸)等のシリカ、及び/又は、カーボンブラックが好ましく用いられ、より好ましくは、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能のバランスを向上するために、シリカを用いることであり、シリカ単独又はシリカとカーボンブラックの併用が好ましい。補強性充填剤はシリカを主成分とすること、即ち補強性充填剤の50質量%以上はシリカであることが好ましい。補強性充填剤の配合量は、特に限定されず、例えば、ゴム成分100質量部に対して20〜150質量部でもよく、30〜100質量部でもよい。シリカの配合量も特に限定されず、例えば、ゴム成分100質量部に対して20〜120質量部でもよく、30〜90質量部でもよい。
シリカを配合する場合、シランカップリング剤を併用することが好ましく、その場合、シランカップリング剤の配合量は、シリカ質量の2〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは4〜15質量%である。
上記加硫剤としては、硫黄が好ましく用いられる。加硫剤の配合量は、特に限定するものではないが、ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。また、上記加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チウラム系、チアゾール系、及びグアニジン系などの各種加硫促進剤を用いることができ、いずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。加硫促進剤の配合量は、特に限定するものではないが、ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
本実施形態に係るゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練し作製することができる。すなわち、例えば、第一混合段階で、ジエン系ゴムに対し、上記微粒子とともに、加硫剤及び加硫促進剤を除く他の添加剤を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で加硫剤及び加硫促進剤を添加混合してゴム組成物を調製することができる。
このようにして得られたゴム組成物は、タイヤ用、防振ゴム用、コンベアベルト用などの各種ゴム部材に用いることができる。好ましくは、タイヤ用であり、乗用車用タイヤ、トラックやバスの大型タイヤなど各種用途、各種サイズの空気入りタイヤのトレッド部、サイドウォール部などタイヤの各部位に適用することができる。すなわち、該ゴム組成物は、常法に従い、例えば、押出加工によって所定の形状に成形され、他の部品と組み合わせてグリーンタイヤを作製した後、例えば140〜180℃でグリーンタイヤを加硫成形することにより、空気入りタイヤを製造することができる。これらの中でも、タイヤのトレッド用配合として用いることが特に好ましい。
以下、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[平均粒径の測定方法]
微粒子の平均粒径は、合成動的光散乱法(DLS)により測定される粒度分布における積算値50%での粒径(50%径:D50)であり、大塚電子株式会社製のダイナミック光散乱光度計「DLS-8000」を用いた光子相関法(JIS Z8826準拠)により測定した(入射光と検出器との角度90°)。
[Tgの測定方法]
微粒子のTgは、JIS K7121に準拠して示差走査熱量測定(DSC)法により、昇温速度:20℃/分にて測定した(測定温度範囲:−150℃〜150℃)。
[合成例1:微粒子1]
15.0gのβ−ミルセン(東京化成工業(株)製)、0.655gのエチレングリコールジメタクリレート、3.18gのドデシル硫酸ナトリウムおよび135gの水を混合し、1時間撹拌させることによりモノマーを乳化させ、0.298gの過硫酸カリウムを添加した後、1時間の窒素バブリングを実施し、溶液を70℃で24時間保持した。得られた溶液中へのメタノール添加による凝析により、12.0gの微粒子1を得た(重合転化率(生成量/仕込量):77%)。微粒子1の平均粒径は30nm、Tgは−65℃であった。
微粒子1について、13C−NMRにより、重合体の化学構造を分析したところ、式(1)、式(7)及び式(8)の構成単位(式中、R1、R2、R4、R5及びR6は水素原子、R3は4−メチル−3−ペンテニル基)とともに、エチレングリコールジメタクリレート由来の構成単位(以下、EGDM構成単位)を有し、各構成単位のモル比は、式(1)の構成単位が72モル%、式(7)の構成単位が6.0モル%、式(8)の構成単位が19モル%、EGDM構成単位が3.0モル%であった。
[合成例2:微粒子2]
13.0gのβ−ミルセン、2.39gのメタクリル酸メチル、0.709gのエチレングリコールジメタクリレート、3.44gのドデシル硫酸ナトリウムおよび135gの水を混合し(β−ミルセン/メタクリル酸メチル=80/20(モル比))、1時間撹拌させることによりモノマーを乳化させ、0.322gの過硫酸カリウムを添加した後、1時間の窒素バブリングを実施し、溶液を70℃で24時間保持した。得られた溶液中へのメタノール添加による凝析により、14.0gの微粒子2を得た(重合転化率:87%)。微粒子2の平均粒径は30nm、Tgは−30℃であった。
微粒子2について、微粒子1と同様に化学構造の分析をした結果、式(1)の構成単位60モル%、式(7)の構成単位が5.0モル%、式(8)の構成単位が16モル%、式(2)の構成単位(式中、R7及びR8はともにメチル基)が16モル%、EGDM構成単位が3.0モル%であった。
[合成例3:微粒子3]
9.00gのβ−ミルセン、6.61gのメタクリル酸メチル(ここで、β−ミルセン/メタクリル酸メチル=50/50(モル比))、0.79gのエチレングリコールジメタクリレート、3.81gのドデシル硫酸ナトリウム、0.357gの過硫酸カリウム、150gの水を用い、合成例2と同様の手法により、14.5gの微粒子3を得た(重合転化率:88%)。微粒子3の平均粒径は30nm、Tgは−5.0℃であった。
微粒子3について、微粒子1と同様に化学構造の分析をした結果、式(1)の構成単位が37モル%、式(7)の構成単位が2.0モル%、式(8)の構成単位が8.0モル%、式(2)の構成単位が50モル%、EGDM構成単位が3.0モル%であった。
[合成例4:微粒子4]
微粒子2の合成に用いた13.0gのβ−ミルセンの代わりに、13.0gのβ−オシメン(シグマアルドリッチ製)を用い(β−オシメン/メタクリル酸メチル=80/20(モル比))、それ以外は合成例2と同様の手法により、14.0gの微粒子4を得た(重合転化率:87%)。微粒子4の平均粒径は28nm、Tgは−28℃であった。
微粒子4について、微粒子1と同様に化学構造の分析をした結果、式(1)、式(7)及び式(8)の構成単位(式中、R1とR2の一方が水素原子で他方が3−メチル−2−ブテニル基、R3はメチル基、R4、R5及びR6は水素原子)、並びに、式(2)の構成単位とともに、EGDM構成単位を有し、各構成単位のモル比は、式(1)の構成単位が60モル%、式(7)の構成単位が6.0モル%、式(8)の構成単位が16モル%、式(2)の構成単位が15モル%、EGDM構成単位が3.0モル%であった。
[合成例5:微粒子5]
13.0gのβ−ミルセン、2.48gのスチレン(ここで、β−ミルセン/スチレン=80/20(モル比))、0.71gのエチレングリコールジメタクリレート、3.44gのドデシル硫酸ナトリウム、0.32gの過硫酸カリウム、150gの水を用い、合成例2と同様の手法により、13.6gの微粒子5を得た(重合転化率:84%)。微粒子5の平均粒径は28nm、Tgは−30℃であった。
微粒子5について、微粒子1と同様に化学構造の分析をした結果、式(1)の構成単位が60モル%、式(7)の構成単位が5.0モル%、式(8)の構成単位が16モル%、式(3)の構成単位(式中、R9及びR10はともに水素原子)が16モル%、EGDM構成単位が3.0モル%であった。
[合成例6:微粒子6]
12.0gのβ−ミルセン、3.53gの4−tertブチルスチレン(ここで、β−ミルセン/スチレン=80/20(モル比))、0.655gのエチレングリコールジメタクリレート、3.18gのドデシル硫酸ナトリウム、0.298gの過硫酸カリウム、150gの水を用い、合成例2と同様の手法により、14.0gの微粒子6を得た(重合転化率:86%)。微粒子6の平均粒径は28nm、Tgは−25℃であった。
微粒子6について、微粒子1と同様に化学構造の分析をした結果、式(1)の構成単位が58モル%、式(7)の構成単位が5.0モル%、式(8)の構成単位が18モル%、式(3)の構成単位(式中、R9は水素原子、R10はtert−ブチル基)が16モル%、EGDM構成単位が3.0モル%であった。
[合成例7:微粒子7]
13.0gのβ−ミルセン、1.19gのメタクリル酸メチル、1.91gの4−tert−ブチルスチレン、0.709gのエチレングリコールジメタクリレート、3.44gのドデシル硫酸ナトリウムおよび135gの水を混合し(β−ミルセン/メタクリル酸メチル/4−tert−ブチルスチレン=80/10/10(モル比))、1時間撹拌させることによりモノマーを乳化させ、0.322gの過硫酸カリウムを添加した後、1時間の窒素バブリングを実施し、溶液を70℃で24時間保持した。得られた溶液中へのメタノール添加による凝析により、14.5gの微粒子7を得た(重合転化率:86%)。微粒子7の平均粒径は32nm、Tgは−28℃であった。
微粒子7について、微粒子1と同様に化学構造の分析をした結果、式(1)の構成単位が60モル%、式(7)の構成単位が5.0モル%、式(8)の構成単位が16モル%、式(2)の構成単位が8.0モル%、式(3)の構成単位が8.0モル%、EGDM構成単位が3.0モル%であった。
[合成例8:微粒子8]
8.0gのβ−ミルセン、2.94gのメタクリル酸メチル、4.71gの4−tertブチルスチレン(ここで、β−ミルセン/メタクリル酸メチル/スチレン=50/25/25(モル比))、0.698gのエチレングリコールジメタクリレート、3.39gのドデシル硫酸ナトリウム、0.318gの過硫酸カリウム、150gの水を用い、合成例7と同様の手法により、13.8gの微粒子8を得た(重合転化率:84%)。微粒子8の平均粒径は30nm、Tgは0℃であった。
微粒子8について、微粒子1と同様に化学構造の分析をした結果、式(1)の構成単位が42モル%、式(7)の構成単位が4.0モル%、式(8)の構成単位が11モル%、式(2)の構成単位が20モル%、式(3)の構成単位が20モル%、EGDM構成単位が3.0モル%であった。
[合成例9:微粒子9]
微粒子1の合成に用いた0.655gのエチレングリコールジメタクリレートの代わりに、0.430gのジビニルベンゼンを用い、それ以外は合成例1と同様の手法により、14.5gの微粒子9を得た(重合転化率:94%)。微粒子9の平均粒径は28nm、Tgは−64℃であった。
微粒子9について、微粒子1と同様に化学構造の分析をした結果、式(1)の構成単位が72モル%、式(7)の構成単位が5.0モル%、式(8)の構成単位が20モル%、ジビニルベンゼン由来の構成単位が3.0モル%であった。
[合成例10:微粒子10(比較例)]
11.0gのイソプレン、4.20gのスチレン、1.20gのエチレングリコールジメタクリレート、5.82gのドデシル硫酸ナトリウムおよび135gの水を混合し、1時間撹拌させることによりモノマーを乳化させ、0.546gの過硫酸カリウムを添加した後、1時間の窒素バブリングを実施し、溶液を70℃で24時間保持した。得られた溶液中へのメタノール添加による凝析により、13.5gの微粒子10を得た。微粒子10の平均粒径は30nm、Tgは−35℃であった。
[ゴム組成物の評価]
ラボミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従って、まず、第一混合段階で、ジエン系ゴム成分に対し硫黄及び加硫促進剤を除く他の配合剤を添加し混練した(排出温度=160℃)。次いで、得られた混練物に、最終混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練して(排出温度=90℃)、ゴム組成物を調製した。表1中の各成分の詳細は、以下の通りである。
・変性SBR:アルコキシ基及びアミノ基末端変性溶液重合SBR、JSR(株)製「HPR350」
・BR:宇部興産(株)製の「ウベポールBR150B」
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニック社製「Si69」
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1種」
・老化防止剤:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・硫黄:細井化学工業(株)製「ゴム用粉末硫黄150メッシュ」
・加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ」
・2次加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」
・微粒子1〜10:上記合成例1〜10で合成したもの
・ポリマー1:東ソー(株)製、芳香族脂肪族共重合体系石油樹脂「ペトロタック100」
・ポリマー2:クラレ(株)製、液状スチレンブタジエンゴム「クラプレン L−SBR−820」
得られた各ゴム組成物について、160℃×20分で加硫して所定形状の試験片を作製し、得られた試験片を用いて、動的粘弾性試験を行って0℃及び60℃でのtanδと、−10℃での貯蔵弾性率E’を測定するとともに、常温(23℃)での硬度を測定した。測定方法は次の通りである。
・0℃tanδ:UBM社製レオスペクトロメーターE4000を用いて、周波数10Hz、静歪み10%、動歪み2%、温度0℃の条件で損失係数tanδを測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、tanδが大きく、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
・60℃tanδ:温度を60℃に変え、その他は0℃tanδと同様にしてtanδ測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほど、発熱しにくく、タイヤでの転がり抵抗が小さくて転がり抵抗性能(即ち、低燃費性)に優れることを示す。
・−10℃ E’:温度を−10℃に変え、その他は0℃tanδと同条件にて−10℃での貯蔵弾性率E’を測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほど、E’が小さく、低温性能に優れることを示す。
・23℃硬度:JIS K6253に準拠して、デュロメーターのタイプAにより温度23℃での硬度を測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、常温での硬度が高いことを示す。
Figure 2017110070
結果は表1に示す通りである。コントロールである比較例1に対し、上記特定の重合体からなる微粒子1〜9を配合した実施例1〜9であると、転がり抵抗性能が実質的に悪化することなく、ウェットグリップ性能が顕著に向上していた。また、低温での弾性率が低減されており、低温性能に優れていた。更に、常温での硬度の低下も実質上なく、操縦安定性が維持されていた。
これに対し、イソプレン系重合体からなる微粒子10を配合した比較例2では、ウェットグリップ性能の向上効果が小さいだけでなく、転がり抵抗性能が悪化しており、また、低温性能も損なわれていた。微粒子ではなく、石油樹脂を配合した比較例3では、ウェットグリップ性能の向上効果が小さいだけでなく、低温性能の大幅な悪化がみられ、常温での硬度低下もみられた。また、液状ゴムを配合した比較例4では、常温での硬度低下が大きかった。

Claims (6)

  1. ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対し、下記一般式(1)で表される構成単位を有する重合体からなる、ガラス転移点が−70〜0℃かつ平均粒径が10〜1000nmの微粒子を、1〜100質量部含有するゴム組成物。
    Figure 2017110070
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なってもよく、少なくとも1つは炭素数3〜8の脂肪族炭化水素基を表し、残りは水素原子又は炭素数1もしくは2の脂肪族炭化水素基を表す。)
  2. 前記重合体が、前記一般式(1)で表される構成単位とともに、下記一般式(2)で表される構成単位及び/又は下記一般式(3)で表される構成単位を有する重合体である、請求項1記載のゴム組成物。
    Figure 2017110070
    (式中、R7は水素原子又はメチル基を表し、R8は炭素数1〜18のアルキル基を表す。)
    Figure 2017110070
    (式中、R9は水素原子又はメチル基を表し、R10は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
  3. 前記一般式(1)で表される構成単位が、ミルセン、オシメン、アロオシメン及びコスメンからなる群から選択された少なくとも一種の化合物由来の構成単位である、請求項1又は2記載のゴム組成物。
  4. ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に対し、下記一般式(4)で表される化合物由来の構成単位を有する重合体からなる、ガラス転移点が−70〜0℃かつ平均粒径が10〜1000nmの微粒子を、1〜100質量部含有するゴム組成物。
    Figure 2017110070
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なってもよく、少なくとも1つは炭素数3〜8の脂肪族炭化水素基を表し、残りは水素原子又は炭素数1もしくは2の脂肪族炭化水素基を表す。)
  5. 前記重合体が、前記一般式(4)で表される化合物由来の構成単位とともに、下記一般式(5)で表される化合物由来の構成単位及び/又は下記一般式(6)で表される化合物由来の構成単位を有する重合体である、請求項4記載のゴム組成物。
    Figure 2017110070
    (式中、R7は水素原子又はメチル基を表し、R8は炭素数1〜18のアルキル基を表す。)
    Figure 2017110070
    (式中、R9は水素原子又はメチル基を表し、R10は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いて作製された空気入りタイヤ。
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