JP2017110049A - 粘着剤組成物及び粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、十分な透明性と強度を兼ね備えた粘着シートを形成し得る粘着剤組成物を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、反応性官能基を含有する(メタ)アクリル共重合体(A)と、の反応性官能基と反応可能な架橋剤(B)と、少なくとも2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、環状分子が架橋剤(B)と反応可能な反応性基を1つ以上有し、かつ直鎖状分子が両末端にブロック基を有するポリロタキサン(C)と、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤中にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解した組成物(D)と、を含有することを特徴とする粘着剤組成物【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物及び粘着シートに関する。具体的には、本発明は、透明性と強度に優れた粘着シートを形成し得る粘着剤組成物に関する。
近年、液晶ディスプレイ(LCD)は、携帯電話やスマートフォン、パーソナルコンピューター、タブレット端末等において幅広く用いられており、液晶ディスプレイ等を構成する光学部材の貼合には粘着シートが用いられている。例えば、液晶ディスプレイの液晶セルには、ディスプレイ基板の両面に偏光板を配置する必要があり、この偏光板の片側には、液晶セル等を他の光学部材に貼着するための粘着シートが用いられている。
しかし、偏光板等の光学部材は熱収縮を起こす場合があり、その結果、積層していた粘着シートがその収縮に追従できずに界面で剥離する等の問題が生じていた。このような問題に対しては、光学部材の貼合に用いられる粘着シートの収縮時の応力を小さくすることなどが考えられる。しかし、応力緩和性に優れた粘着シートを得るためには、粘着剤の架橋密度を小さくしなくてはならず、この場合、粘着シート自体の強度が低下し、耐久性等が悪化するという問題があった。
このため、近年は、応力緩和性を維持しつつも、強度に優れた粘着シートを形成し得る粘着シートや粘着剤組成物の開発が進められている。例えば特許文献1には、所定の構造を有するポリロタキサンと、粘着剤を含む粘着剤組成物が開示されている。ここでは、柔軟性(応力緩和性)と耐久性を兼ね備えた粘着シートが形成できるとされている。また、特許文献2には、基材と、粘着剤層を有する粘着シートが開示されており、粘着剤層には、所定の構造を有するポリロタキサンが添加されている。ここでは応力緩和性と耐久性に加えて、高全光線透過率等の光学特性にも優れた粘着シートが得られるとされている。
特開2007−224133号公報 特開2010−138259号公報
上述したように、偏光板等の光学部材の貼合用に適した粘着シートの開発が進められており、このような粘着シートにおいては、応力緩和性や耐久性の向上がなされている。しかしながら、特許文献1で得られた粘着シートにおいては、その強度が十分ではなく、粘着シートの透明性が低下するという問題があった。また、特許文献2で得られた粘着シートにおいてもその透明性が十分ではないという問題があった。特に、特許文献1及び2に開示されたポリロタキサンは、粘着剤との相溶性が悪く、形成された粘着シートにおいてはヘーズが上昇する傾向があることが本発明者らの検討により明らかとなった。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、十分な透明性と強度を兼ね備えた粘着シートを形成し得る粘着剤組成物を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、(メタ)アクリル共重合体(A)と、架橋剤(B)と、所定の構造を有するポリロタキサン(C)を含む粘着剤組成物に、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤中にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解した組成物(D)をさらに含有させることにより、十分な透明性と強度を兼ね備えた粘着シートを形成し得ることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 反応性官能基を含有する(メタ)アクリル共重合体(A)と、反応性官能基と反応可能な架橋剤(B)と、少なくとも2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、環状分子が架橋剤(B)と反応可能な反応性基を1つ以上有し、かつ直鎖状分子が両末端にブロック基を有するポリロタキサン(C)と、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤中にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解した組成物(D)と、を含有することを特徴とする粘着剤組成物。
[2] (メタ)アクリル共重合体(A)の重量平均分子量が80万以上300万以下である[1]に記載の粘着剤組成物。
[3] 架橋剤(B)はイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤及び金属キレート系架橋剤から選択される少なくとも1種である[1]又は[2]に記載の粘着剤組成物。
[4] ポリロタキサン(C)の重量平均分子量が1000以上10万以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[5] 組成物(D)は、下記式(1)で表されるポリエーテルエステル系可塑剤及び下記式(2)で表されるポリエーテルエステル系可塑剤から選択される少なくとも1種を含む[1]〜[4]のいずれかに記載の粘着剤組成物;
Figure 2017110049
Figure 2017110049
式(1)及び(2)中、m及びnはそれぞれ整数であり、Rはアルキル基を表す。
[6] 組成物(D)に含まれるフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンは、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオン及びフルオロアルキルスルホン酸イオンからなる群から選ばれる陰イオンである[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[7] 組成物(D)に含まれるフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、アルカリ金属、2族元素、遷移金属及び両性金属から選択される少なくとも1種の陽イオンと、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンとからなる塩である[1]〜[6]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の粘着剤組成物により形成される粘着剤層を含む粘着シート。
[9] 粘着剤層の厚みが5μm以上100μm以下である[8]に記載の粘着シート。
[10] 粘着剤層のヘーズが2%以下である[8]又は[9]に記載の粘着シート。
[11] [1]〜[7]のいずれかに記載の粘着剤組成物により形成される粘着剤層を含む粘着シートであって、偏光板又は偏光子の少なくとも一方の面に貼合される偏光板用粘着シート。
[12] [11]に記載の偏光板用粘着シートが光学部材に積層された構造を有する画像表示装置。
本発明によれば、十分な透明性と強度を兼ね備えた粘着シートを形成し得る粘着剤組成物を得ることができる。本発明の粘着シートは、上記特性を有するため、光学特性が要求される光学部材同士の貼り合わせの用途に好ましく用いられる。
図1は、本発明で用いるポリロタキサン(C)の模式図である。 図2は、本発明で用いる組成物(D)の作用効果を説明する図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
(粘着剤組成物)
本発明は、反応性官能基を含有する(メタ)アクリル共重合体(A)と、(A)の反応性官能基と反応可能な架橋剤(B)と、ポリロタキサン(C)と、組成物(D)と、を含有する粘着剤組成物に関する。ここで、ポリロタキサン(C)は、少なくとも2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、環状分子が架橋剤(B)と反応可能な反応性基を1つ以上有し、かつ直鎖状分子が両末端にブロック基を有している。また、組成物(D)は、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤中にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解した組成物である。
本発明の粘着剤組成物は、上記構成を有するため、十分な透明性と強度を兼ね備えた粘着シートを形成し得る。本発明においては、所定構造を有するポリロタキサン(C)と、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤中にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解した組成物(D)を組み合わせて用いることにより、ポリロタキサン(C)と(メタ)アクリル共重合体(A)の相溶性を高めることに成功した。このため、本発明の粘着剤組成物から得られる粘着シートはヘーズが小さく全光線透過率が高い。加えて、本発明の粘着シートは破断点伸度及び破断点応力が大きく、十分な強度を有している点にも特徴がある。
((メタ)アクリル共重合体(A))
粘着剤組成物は、主成分として、反応性官能基を含有する(メタ)アクリル共重合体(A)を含む。ここで「主成分」とは、粘着剤組成物の全質量に対して(メタ)アクリル共重合体(A)が50質量%以上含まれることを意味する。なお、本明細書において「(メタ)アクリル共重合体」は、アクリル共重合体又はメタクリル共重合体であることを意味する。
(メタ)アクリル共重合体(A)は、少なくとも1つの反応性官能基を有するモノマーと、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重合して得られるものであることが好ましい。少なくとも1つの反応性官能基を有するモノマーは、ラジカル重合性不飽和基を有し、且つ少なくとも1つの反応性官能基を有するモノマーであることが好ましい。また、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、炭素数が1以上18以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーであることが好ましい。(メタ)アクリル共重合体(A)は、例えば、反応性官能基を有するモノマーを0.01質量%以上20質量%以下と、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを60質量%以上99.99質量%以下となるように混合して重合させることで得られる。
炭素数が1以上18以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(以下、非架橋性アクリルモノマーともいう)としては、例えば、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子を炭化水素基で置換した(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。炭化水素基の炭素数は1以上18以下が好ましく、1以上8以下がより好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、架橋性基を含まないものであれば特に限定されず、たとえばメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ウンデシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジルが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を含むことを意味する。これらの中でも、接着性の点からは、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチルが好ましい。
(メタ)アクリル共重合体(A)の重合に用いられる非架橋性アクリルモノマーの量は、重合に用いられるモノマーの全質量に対して、60質量%以上99.99質量%以下であることが好ましく、65質量%以上99.9質量%以下であることがより好ましい。重合に用いられる非架橋性アクリルモノマーの量が上記下限値以上であれば、十分な粘着力が発現でき、上記上限値以下であれば、十分に架橋できる。
ラジカル重合性不飽和基を有し、且つ少なくとも1つの反応性官能基を有するモノマー(以下、架橋性モノマーとともいう)は、非架橋性アクリルモノマーと重合可能なものであればアクリルモノマーでも非アクリルモノマーでもよい。中でも、アクリルモノマーであることが好ましい。反応性官能基としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、グリシジル基等が挙げられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グラタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸やその無水物などが挙げられる。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノ(ジエチレングリコール)などの(メタ)アクリル酸[(モノ、ジ又はポリ)アルキレングリコール]、(メタ)アクリル酸モノカプロラクロンなどの(メタ)アクリル酸ラクトンが挙げられる。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、アリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
(メタ)アクリル共重合体(A)の重合に用いられる架橋性モノマーの量は、重合に用いられるモノマーの全質量に対して、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。重合に用いられる架橋性モノマーの量が上記下限値以上であれば十分に架橋でき、上記上限値以下であれば、粘着力を制御しやすくなる。
架橋性モノマーの反応性官能基がカルボキシ基含有モノマーである場合は、粘着シートの耐熱性を高めることができる。架橋性モノマーの反応性官能基がカルボキシ基含有モノマーである場合は、(メタ)アクリル共重合体(A)の重合に用いられるカルボキシ基含有モノマーの量は、重合に用いられるモノマーの全質量に対して0.01質量%以上20質量%以下が好ましく、0.05質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以上10質量%以下が特に好ましい。重合に用いられるカルボキシ基含有モノマーの量を上記範囲内とすることにより、高温又は高温高湿環境下や加熱と冷却が繰り返される環境下における粘着シートの耐熱性を高めることができ、さらに粘着力を制御しやすくなる。
架橋性モノマーの反応性官能基がヒドロキシ基含有モノマーまたはアミノ基含有モノマーである場合は、粘着性、架橋性、重合性および耐久性を高めることができる。また、粘着シートを例えばガラス等に貼合する場合はリワーク性も高めることができる。ヒドロキシ基含有モノマーとアミノ基含有モノマーは併用してもよい。
(メタ)アクリル共重合体(A)の重合に用いられるヒドロキシ基含有モノマーおよびアミノ基含有モノマーから選択される少なくとも1種の量は、重合に用いられるモノマーの全質量に対して0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。重合に用いられるヒドロキシ基含有モノマーおよびアミノ基含有モノマーから選択される少なくとも1種の量が上記下限値以上であれば粘着性、架橋性、重合性、耐久性およびリワーク性を高めることができる。
本発明の粘着剤組成物から形成される粘着シートがスズドープ酸化インジウム膜や金属膜等の腐食性を有する膜に積層される場合は、腐食防止性の点から、(メタ)アクリル共重合体(A)の重合に用いられるカルボキシ基含有モノマーの量は0.5質量%未満であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましい。さらに、反応性官能基を有するモノマーはカルボキシ基含有モノマーを実質的に含まないことが好ましい。ここで、反応性官能基を有するモノマーがカルボキシ基含有モノマーを実質的に含まないとは、(メタ)アクリル共重合体(A)の重合に用いる反応性官能基を有するモノマーの酸価をJIS K 0070(1992)に準拠して測定した際に、その酸価が0.1mgKOH/g未満のことをいう。反応性官能基を有するモノマーの酸価が0.1mgKOH/g未満であれば、意図的に添加されたカルボキシ基含有モノマーを含んでいないと考えられ、0.1mgKOH/g以上1.0mgKOH/g以下であれば、意図的に添加されたカルボキシ基含有モノマーを微量含んでいると考えられる。なお、意図的な添加とは架橋性モノマーとしてカルボキシ基含有モノマーを使用していることである。非架橋性アクリルモノマーであるアクリル酸エステル(アクリル酸からの誘導体)を使用する際に、微量の未反応アクリル酸を不純物として含有する場合があるが、このような場合は意図的な添加とは考えない。
一方、本発明の粘着剤組成物から形成される粘着シートが偏光子の保護膜で用いられるCOP等に貼合される場合は、(メタ)アクリル共重合体(A)の重合に用いられるカルボキシ基含有モノマーの量は0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル共重合体(A)の重合に用いる反応性官能基を有するモノマーの酸価は、0.1mgKOH/g以上であることが好ましく、0.5mgKOH/g以上であることがより好ましく、1mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。
JIS K 2501に準拠して酸価を測定する場合は、例えば、以下のように測定する。
精密天秤で100ml三角フラスコに試料約2g程度を精秤し、これにトルエン/2−プロパノール/水=5/5/0.5(重量比)の混合溶媒10mlを加えて溶解する。更に、この容器に指示薬としてp−ナフトールベンゼン溶液を1〜3滴添加し、試料が均一になるまで充分に攪拌する。これを、0.1N水酸化カリウム−2−プロパノール溶液で滴定し、指示薬のうすい紅色が30秒間続いたときを、中和の終点とする。その結果から下記の計算式(1)を用いて得た値を、試料の酸価とする。
酸価(mgKOH/g)=[cKOH×(V1−V0)×5.611]/S (1)
計算式(1)中、cKOHは、0.1N水酸化カリウム−2‐プロパノール溶液のモル濃度(mol/L)であり、V1は試料の滴定に要した0.1mol/L水酸化カリウム‐2−プロパノール溶液の量(mL)であり、V0は空試験の滴定に要した0.1mol/L水酸化カリウム‐2−プロパノール溶液の量(mL)であり、Sは、試料の採取量(g)である。
(メタ)アクリル共重合体(A)の重合には、非架橋性アクリルモノマーおよび架橋性モノマー以外にその他のモノマーが用いられてもよい。その他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
(メタ)アクリル共重合体(A)の重合に用いられるその他のモノマーの量は、重合に用いられるモノマーの全質量に対して0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
((メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量)
(メタ)アクリル共重合体(A)の重量平均分子量は40万以上であることが好ましく、50万以上であることがより好ましく、80万以上であることがさらに好ましく、100万以上であることがよりさらに好ましく、150万以上であることが特に好ましい。また、(メタ)アクリル共重合体(A)の重量平均分子量は、300万以下であることが好ましく、250万以下であることがより好ましく、200万以下であることがさらに好ましい。重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、十分な凝集力を発揮させることができ、耐久性を高めることができる。さらに、粘着剤組成物を含む塗工液の粘度上昇を抑えることができ、塗工により粘着剤層を形成しやすくなる。
(メタ)アクリル共重合体(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量(流速):1.0ml/min
注入量:10μL
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=500以上2,800,000以下迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
(架橋剤(B))
本発明の粘着剤組成物は、上述した(メタ)アクリル共重合体(A)が有する反応性官能基と反応可能な架橋剤(B)を含む。架橋剤(B)は、反応性官能基を有するモノマーである架橋性モノマーと反応可能な架橋剤であることが好ましい。架橋剤(B)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、ブチル化メラミン系架橋剤などが挙げられる。これら架橋剤の中でも、架橋剤(B)は(メタ)アクリル共重合体(A)を容易に架橋できることから、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤及び金属キレート系架橋剤から選択される少なくとも1種であることが好ましく、イソシアネート系架橋剤であることが特に好ましい。(メタ)アクリル共重合体(A)が架橋性モノマーとしてヒドロキシ基含有モノマーのみを含む場合は、ヒドロキシ基の反応性からイソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。また、イソシアネート系架橋剤としては、上述したジイソシアネートから得られるアダクト体、ヌレート体、ビュレット体などの3官能の誘導体を用いることがより好ましい。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサノン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
金属キレート系架橋剤としては、Ti、Al、Zr等の原子にアルコキシ基、フェノキシ基、アシルオキシ基、β−ジケトナト基、o−カルボニルフェノラト基等が結合したキレート化合物などが挙げられる。
架橋剤(B)の含有量は、所望とする粘着物性に応じて適宜選択することが好ましい。また、上記の架橋剤は単独または2種以上で用いることができる。
粘着剤組成物に用いられる架橋剤(B)の量は、(メタ)アクリル共重合体(A)100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.01質量部以上1質量部以下であることがより好ましい。上記下限値以上であれば発泡を抑えることができ、上記上限値以下であれば十分な応力緩和性能を持たせることができる。
(ポリロタキサン(C))
本発明の粘着剤組成物は、ポリロタキサン(C)を含有する。ポリロタキサン(C)分子は、少なくとも2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、環状分子が上述した架橋剤(B)と反応可能な反応性基を1つ以上有し、かつ直鎖状分子が両末端にブロック基を有する構造をもつ。
図1は、ポリロタキサン(C)の模式図である。図1に示されているように、ポリロタキサン分子1は、「回転子」として少なくとも2つの環状分子3を有する。そして、これらの環状分子3の開口部に、「軸」として直鎖状分子2が貫通しており、直鎖状分子2の両末端にはブロック基5を有する。環状分子3の内、少なくとも1つは反応性基R1を有しており、環状分子3の全てが各々、少なくとも1つの反応性基R1を有することが好ましい。ポリロタキサン(C)は、このようなポリロタキサン分子1を少なくとも2個以上有する。
ポリロタキサン(C)の直鎖状分子2は、環状分子3に包接され、共有結合等の化学結合ではなく機械的な結合で一体化することができる分子または物質であって、直鎖状のものであれば、特に限定されない。なお、本明細書において、「直鎖状分子」の「直鎖」は、実質的に「直鎖」であることを意味する。すなわち、直鎖状分子2上で環状分子3が移動可能であれば、直鎖状分子2は分岐鎖を有していてもよい。
ポリロタキサン(C)の直鎖状分子2としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が好ましく、これらの直鎖状分子2は、粘着剤組成物中で2種以上混在していてもよい。
ポリロタキサン(C)の直鎖状分子2の重量平均分子量は、1000以上30万以下であることが好ましく、3000以上10万以下であることがより好ましく、5000以上5万以下であることがさらに好ましい。直鎖状分子2の重量平均分子量を上記下限値以上とすることにより、環状分子3の直鎖状分子2上での移動量を適切な範囲内に維持することができ、粘着剤層の応力緩和性を高めることができる。また、直鎖状分子2の重量平均分子量を上記上限値以下とすることにより、ポリロタキサン(C)の溶剤への溶解性や(メタ)アクリル共重合体(A)との相溶性の低下が抑制される。
ポリロタキサン(C)の環状分子3は、上記直鎖状分子2を包接可能な分子であり、直鎖状分子2上を移動可能であれば、特に限定されない。なお、本明細書において、「環状分子」の「環状」は、実質的に「環状」であることを意味する。すなわち、直鎖状分子2上を移動可能であれば、環状分子3は完全には閉環でなくてもよく、例えば螺旋構造であってもよい。
ポリロタキサン(C)の環状分子3としては、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミン等の環状ポリマー、あるいは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等のシクロデキストリンが好ましく挙げられる。上記環状ポリマーの具体例としては、クラウンエーテルまたはその誘導体、カリックスアレーンまたはその誘導体、シクロファンまたはその誘導体、クリプタンドまたはその誘導体等が挙げられる。
中でも、環状分子3としては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等のシクロデキストリンが好ましく、さらにα−シクロデキストリンが好ましい。これらの環状分子3は、ポリロタキサン(C)中または粘着剤組成物中で2種以上混在していてもよい。上記環状分子3は比較的入手が容易であり、かつ、ブロック基5の種類を多数選択できるため好ましく用いられる。
環状分子3としてシクロデキストリンを使用する場合、該シクロデキストリンは、ポリロタキサン(C)の溶解性を向上させることのできる置換基が導入されたものであってもよい。好ましい置換基としては、例えば、アセチル基、アルキル基、トリチル基、トシル基、トリメチルシラン基、フェニル基等の他、ポリエステル鎖、オキシエチレン鎖、アルキル鎖、アクリル酸エステル鎖等が挙げられる。置換基の重量平均分子量は、100以上10000以下が好ましく、特に400以上2000以下が好ましい。
上記置換基のシクロデキストリンのヒドロキシ基への導入率(置換度)は、10%以上90%以下であることが好ましく、30%以上70%以下であることがより好ましい。導入率を上記下限値以上とすることにより、ポリロタキサン(C)の溶解性を高めることができる。導入率を上記範囲内とすることにより、ポリロタキサン(C)の反応性基R1と架橋剤(B)との反応を十分に行うことができる。
ポリロタキサン(C)の環状分子3が有する反応性基R1は、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びアミノ基から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ヒドロキシ基であることが特に好ましい。反応性基R1がヒドロキシ基である場合、粘着剤組成物が酸性側にもアルカリ側にも偏らず、反応により着色等が生じにくいため好ましい。これらの反応性基R1は、ポリロタキサン(C)中で2種以上混在していてもよい。なお、反応性基R1は環状分子3に直接に結合していなくてもよい。例えば上述したような置換基を介して上記反応性基R1が存在していてもよい。さらには、反応性基R1を介して異なる2種類以上の置換基を結合し、そのうちのいずれかの置換基に反応性基R1を有していてもよい。このような態様をとることにより、環状分子3からの距離を調節して環状分子3との立体障害を回避した上で反応性基R1を有する嵩高い置換基を導入することができる。また、環状分子3との立体障害を回避した上で反応性基を起点として重合を行い、アルキル鎖、エーテル鎖、エステル鎖、またはこれらのオリゴマー鎖を置換基とし、かつ、該置換基に反応性基R1を1つ以上有する置換基を導入することもできる。
具体的には、環状分子3がシクロデキストリンである場合は、シクロデキストリンそのものに存在するヒドロキシ基は反応性基R1であり、該ヒドロキシ基にヒドロキシプロピル基を付加した場合には、ヒドロキシプロピル基のヒドロキシ基も反応性基R1に含まれる。さらには、該ヒドロキシプロピル基のヒドロキシ基を介してε−カプロラクトンの開環重合を行った場合、該開環重合により得られたポリエステル鎖の反対側末端にはヒドロキシ基が形成される。この場合、該ヒドロキシ基も反応性基R1に含まれる。
なお、ポリロタキサン(C)の相溶性と反応性を両立する観点から、アルキル鎖、エーテル鎖、エステル鎖、またはこれらのオリゴマー鎖を置換基とし、かつ、該置換基に反応性基を1つ以上有する態様の置換基が環状分子3に導入されていることが特に好ましい。該置換基の導入率は、上記置換基の導入率で述べたとおりである。
上記反応性基R1の環状分子3への導入率は、4%以上90%以下であることが好ましく、20%以上70%以下であることがより好ましい。反応性基R1の導入率を上記範囲内とすることにより、ポリロタキサン(C)が架橋剤(B)と十分に反応できる。また、反応性基R1の導入率を上記範囲内とすることにより、環状分子3における架橋点を適切な範囲に制御することができ、粘着剤層の十分な応力緩和性を確保することができる。
ポリロタキサン(C)のブロック基5は、環状分子3が直鎖状分子2により串刺し状になった形態を保持し得る基であれば、特に限定されない。このような基としては、嵩高い基、イオン性基等が挙げられる。ポリロタキサン(C)のブロック基5としては、例えば、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類、アントラセン類等、あるいは、重量平均分子量1000以上100万以下の高分子の主鎖または側鎖等を挙げることができる。これらのブロック基5は、ポリロタキサン(C)中で2種以上混在していてもよい。
ポリロタキサン(C)のブロック基5として列挙した上記の重量平均分子量1000以上100万以下の高分子としては、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリアクリル酸エステル等が挙げられる。
環状分子3が直鎖状分子2により串刺し状に包接される際に環状分子3が最大限に包接される量(包接量)を100%とした場合、包接量は0.1%以上60%以下であることが好ましく、1%以上50%以下であることがより好ましく、5%以上40%以下であることがより好ましい。
なお、環状分子3の最大包接量は、直鎖状分子の長さと環状分子の厚さにより決定することができる。例えば、直鎖状分子がポリエチレングリコールであり、環状分子がα−シクロデキストリン分子の場合、最大包接量は、実験的に求められる(Macromolecules 1993, 26, 5698-5703 参照)。
ポリロタキサン(C)の重量平均分子量は1000以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましく、10000以上であることが更に好ましい。また、ポリロタキサン(C)の重量平均分子量は200万以下であることが好ましく、100万以下であることがより好ましく、50万以下であることがさらに好ましく、10万以下であることが特に好ましい。ポリロタキサン(C)の重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、十分な透明性と強度を兼ね備えた粘着シートが得られ易くなる。
ポリロタキサン(C)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量(流速):1.0ml/min
注入量:10μL
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=500以上2,800,000以下迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
ポリロタキサン(C)の含有量は、(メタ)アクリル共重合体(A)100質量部に対して、0.0001質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.001質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.01質量部以上2質量部以下であることがさらに好ましい。ポリロタキサン(C)の含有量を上記範囲内とすることにより、破断点伸度及び破断点応力が大きな粘着シートを得ることができる。このように、本発明の粘着剤組成物は、上記のポリロタキサン(C)を含有するため、粘着剤組成物から形成される粘着シートは十分な強度と応力緩和性を有する。
<ポリロタキサン(C)の製造方法>
上述したようなポリロタキサン(C)は、従来公知の方法(例えば特開2005−154675号公報に記載の方法)によって得ることができる。
(組成物(D))
本発明の粘着剤組成物に用いられる組成物(D)は、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤中にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解された組成物である。すなわち、組成物(D)中では、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩がポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤に溶解した状態で分散されている。
また、本発明の粘着剤組成物に用いられる組成物(D)は、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤中にアルカリ金属、2族元素、遷移金属及び両性金属から選択される少なくとも一種の陽イオンを備えた塩が溶解した組成物でもある。陽イオンは、アルカリ金属及び2族元素から選択されるいずれかの陽イオンであることが好ましく、アルカリ金属の陽イオンであることがより好ましい。中でも、陽イオンはリチウムイオンであることが好ましい。
ここで、本発明の粘着剤組成物においては、可塑剤中のエーテルの酸素原子に陰イオンの対イオンである陽イオンが配位し、錯体を形成している。すなわち、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンの対イオンである陽イオンが、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤とルイス酸・塩基型の錯イオンを形成している。本発明で用いられる組成物(D)は、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤中のエーテルの酸素原子に、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンの対イオンである陽イオンが配位した錯体を含む点に特徴がある。
可塑剤と錯イオンを形成する陽イオンはアルカリ金属、2族元素、遷移金属及び両性金属から選択される少なくとも一種の陽イオンであることが好ましく、中でも、リチウムイオンであることがより好ましい。すなわち、形成される錯体は、リチウムポリエーテル錯体であることが好ましい。
本発明の粘着剤組成物に用いられる組成物(D)は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で分析を行った際に、錯体に由来するピークの検出がされる。このピークは塩のみの組成物やポリエーテル基を主鎖中に含む可塑剤のみでは検出されないものであり、錯体に由来するピークである。なお、HPLC条件は下記の通りである。
カラム;XBridge C18、カラム径4.6×250mm(ウォーターズ社製)
カラム温度;30℃
移動相;アセトニトリル/水
流速;0.8mL/min.
検知;225nm
本発明では、このような組成物(D)を用いることにより、上述したポリロタキサン(C)と(メタ)アクリル共重合体(A)の相溶性を高めることができる。このため、本発明の粘着剤組成物から得られる粘着シートはヘーズが小さく全光線透過率が高い。
また、本発明では、組成物(D)を用いることにより、粘着剤組成物から得られる粘着シートを偏光子に直接貼付した場合に、偏光子の色抜けを防止することができる。
従来のイオン性化合物を含有する粘着剤組成物を偏光子に直接貼付すると、イオン性化合物の流動性やアクリル系粘着剤組成物との相溶性の悪さから陽イオンがブリードアウトやブルーミングしてしまい、偏光子のヨウ素イオン(I3-、I5-)と擬似的な結合を作り、偏光子の色抜けが引き起こされる。一方、本発明で用いられる組成物(D)は、アクリル系粘着剤組成物との親和性が高い可塑剤に溶解した状態で分散されているため、ブリードアウトやブルーミングを引き起こすことがない。さらに、組成物(D)の陽イオンは、可塑剤とルイス酸・塩基型の錯イオンを形成しているため、偏光子のヨウ素イオンと化学的な結合を形成することがない。
さらに、本発明で用いられる組成物(D)は、帯電防止性能を発揮することもできる。このため、組成物(D)は帯電防止剤もしくは帯電防止性組成物と呼ぶこともできる。
組成物(D)の含有量は、粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル共重合体100質量部に対し、0.01質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。組成物(D)の含有量を上記範囲内とすることにより、粘着剤組成物から得られる粘着シートのヘーズを低下させ、全光線透過率を効果的に高めることができる。
組成物(D)としては、例えば、サンコノールAD2326(三光化学工業社製)、サンコノールAD2600(三光化学工業社製)などが挙げられる。
<ポリエーテルエステル系可塑剤>
組成物(D)は、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤中にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解した組成物である。ポリエーテルエステル系可塑剤は、ポリエーテル基とエステル結合を含み、樹脂の間隙に入り込むことで樹脂を規則正しく配向することを阻害する。また、ポリエーテルエステル系可塑剤は、ガラス遷移点以下でもアモルファス状態を維持する。中でもポリエーテルエステル系可塑剤は、下記式(1)又は(2)で表されるポリエーテルエステル系化合物であることが好ましい。
Figure 2017110049
Figure 2017110049
式(1)及び(2)中、m及びnはそれぞれ整数であり、Rはアルキル基を表す。
Rは炭素数1以上14以下のアルキル基であることが好ましい。Rは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、n−ラウリル基などであることが好ましい。
式(1)及び(2)中においてmは、1以上40以下の整数であることが好ましく、nは1以上20以下の整数であることが好ましい。mおよびnは、2以上の整数であることがより好ましい。特にmは2以上の整数であることが好ましい。
ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤は、分子量が250以上2000以下のものが好ましく、より好ましくは500以上1500以下である。ポリエーテルエステル系可塑剤の粘度は(25℃)は、30mPa・s以上600mPa・s以下であることが好ましい。
ポリエーテルエステル系可塑剤は、低粘度で作業性が良好であり、低温柔軟性を有し、耐熱老化性、柔軟性と耐久性のバランスがあり、非揮発性、非移行性、耐油性、安全性(PL適合)に優れる。
<ポリエーテル系可塑剤>
組成物(D)は、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテル系可塑剤中にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解した組成物をさらに含んでもよい。ここで、ポリエーテル系可塑剤とは、下記一般式(11)で表されるポリアルキレングリコール(ジ又はモノ)アルキルエーテル化合物であることが好ましい。
Figure 2017110049
式(11)中、R1は炭素数1以上12以下のアルキル基を表し、R2は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基を表す。nは3以上6以下の整数を表す。
このポリエーテル系可塑剤は、特にポリアルキレングリコールアルキルエーテル化合物であることが好ましい。
上記ポリアルキレングリコールアルキルエーテル化合物としては、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ヘプタエチレングリコールジメチルエーテル、ヘキサエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、(ドデシルオキシ)トリエチレングリコールモノメチルエーテル及び(ドデシルオキシ)テトラエチレングリコールモノメチルエーテルなどを挙げることができる。
ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテル系可塑剤は、分子量が250以上2000以下のものが好ましく、より好ましくは500以上1500以下である。粘度は(25℃)は、30mPa・s以上600mPa・s以下のものが好ましい。
ポリエーテル系可塑剤は、低粘度で作業性が良好であり、低温柔軟性を有し、耐熱老化性、柔軟性と耐久性のバランスがあり、非揮発性、非移行性、耐油性、安全性(PL適合)に優れる。
<その他の可塑剤>
さらに組成物(D)には、上述したポリエーテルエステル系またはポリエーテル系可塑剤とは別に、さらなる可塑剤が含まれていてもよい。そのような可塑剤として、飽和又は不飽和の非環式炭化水素基を有するモノ又はジカルボン酸と、炭素数1以上20以下の非環式炭化水素基を有するアルコールとから形成されるエステルからなる可塑剤が挙げられる。また、上記可塑剤としては、不飽和の非環式炭化水素基中の不飽和基がエポキシ化されたエステルからなる可塑剤を挙げることができる。このようなエステルを使用することで、粘着剤層の被着体に対する濡れ性を向上させることができ、貼り付け時に気泡の巻き込みを生じ難くできると共に、粘着剤層からの可塑剤のブリードアウトが生じ難くなり被着体汚染を効果的に低減できる。
エステルを構成するモノ又はジカルボン酸成分における飽和又は不飽和の非環式炭化水素基としては、アルキル基やアルキレン基を挙げることができ、中でも炭素数が1以上20以下のアルキル基又はアルキレン基が好ましく、炭素数4以上18以下のアルキル基であることがさらに好ましく、炭素数4以上14以下のアルキル基が特に好ましい。このような飽和又は不飽和の非環式炭化水素基を有するモノ又はジカルボン酸は、粘着剤組成物に使用されるアクリル系粘着剤組成物を構成するアクリルモノマーの炭素数と近い炭素数を有することにより、粘着剤組成物との相溶性が良好になる。また、粘着剤組成物中に好適に保持されるため、ブリードアウトが抑制される。
飽和又は不飽和の非環式炭化水素基を有するモノカルボン酸及びジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の直鎖脂肪族ジカルボン酸のモノ又はポリエステル、酢酸、プロピオン酸、酪酸、キツソウ酸、カプコン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルチミン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、リンデル酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、エライジン酸、ドコサヘキサエン酸等の不飽和脂肪酸などが挙げられる。
エステルを構成するアルコールにおける炭素数1以上20以下の非環式炭化水素基としては、炭素数が1以上20以下のアルキル基やアルキレン基、特にアルキル基を好適に使用でき、中でも、炭素数4以上18以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以上14以下のアルキル基が特に好ましい。このような飽和又は不飽和の非環式炭化水素基を有するアルコールは、粘着剤組成物に含まれるアクリル系粘着剤組成物を構成するアクリルモノマーの炭素数と近い炭素数を有することにより、粘着剤組成物との相溶性が良好になる。また、粘着剤組成物中に好適に保持されるため、ブリードアウトが抑制される。エステルを構成するカルボン酸成分に比して、当該アルコール成分の有する炭化水素基の炭素数を、粘着剤組成物に使用されるアクリル系粘着剤組成物を構成するアクリルモノマーの炭素数と近い炭素数とすることで、特に被着体汚染を抑制しやすくなる。
このような非環式炭化水素基を有するアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキルアルコールの直鎖、分岐アルコールが挙げられる。中でも、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコールが特に好ましく使用できる。
本発明では、上述したポリエーテルエステル系可塑剤の他に、上記のモノ又はジカルボン酸と、アルコールとから形成されるエステルを可塑剤として使用してもよい。当該エステルとしては、飽和又は不飽和の炭化水素基からなる骨格を有するものであってもよいが、不飽和の炭化水素基からなる骨格を有さないエステルであることが好ましい。また、当該不飽和の炭化水素基からなる骨格を有するエステルの不飽和結合がエポキシ化されたエポキシ化エステルも好ましく使用できる。当該エステルのなかでも、アジピン酸モノエステル、セバシン酸モノエステル、エポキシ化脂肪酸モノエステルを特に好ましく使用できる。
可塑剤として使用するエステルは、モノエステル又はポリエステルのいずれであってもよいが、溶解度パラメーター(SP値)を好適な範囲に制御しやすく、粘着剤組成物との相溶性を向上させやすいことから、ポリスチレン換算での重量平均分子量が、1000以下のエステルであることが好ましい。また、重量平均分子量は300以上800以下のエステルであることが特に好ましい。
可塑剤としては、溶解度パラメーター(SP値)が8.5以下の可塑剤を使用するのが好ましい。中でも、可塑剤の溶解度パラメーター(SP値)は7.0以上8.4以下であることが好ましい。可塑剤のSP値が上記上限値以下であるとアクリル系粘着剤組成物との相溶性に優れるため、粘着シートの透明性が高くなる傾向がある。なお可塑剤としては、SP値が7.0よりも大きい可塑剤が汎用で使用される。なお、上記SP値はJ.Smallが提唱しているSmall式(P.A.J.Small:J.Appl.Chem.,3,71(1953))による計算値である。
上記可塑剤は、(メタ)アクリル共重合体(A)100質量部に対して、0.5質量部以上30質量部以下添加することが好ましく、1質量部以上20質量部以下添加することがより好ましく、1質量部以上10質量部以下添加することが特に好ましい。
<フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩>
フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、ポリエーテルエステル系可塑剤に溶解しやすく、可塑剤中の塩濃度を高くすることができる。この溶液を粘着剤組成物に分散させることにより、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を、多量にかつ均一に粘着剤組成物中に取り込ませることができる。粘着剤組成物においては、可塑剤中のエーテルの酸素原子に陰イオンの対イオンである陽イオンが配位し、錯体が形成される。
フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を溶解した可塑剤の溶液は、上述したポリロタキサン(C)と(メタ)アクリル共重合体(A)の相溶性を高める働きをする。このため、粘着剤組成物から形成される粘着シートの透明性を高めることができる。また、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を溶解した可塑剤の溶液は、粘着剤組成物中で、可塑剤の可塑性と相俟って、帯電防止性を発現させながら、可塑性を付与する。ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤は、粘着剤組成物の溶解度パラメーター(SP値)とその値が近く、親和性に優れ、ブリードしないという利点を有する。さらに、移行汚染が発生せず、湿度に依存せずに、速効性に優れ、かつ優れた帯電防止性が持続する粘着剤組成物を得ることができる。
フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンは、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオン及びフルオロアルキルスルホン酸イオンからなる群から選ばれる陰イオンであることが好ましい。
フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、アルカリ金属、2族元素、遷移金属及び両性金属から選択される少なくとも一種の陽イオンと、上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンとからなる塩であることが好ましい。さらにフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、特にビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオンのアルカリ金属塩、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオンのアルカリ金属塩及びフルオロアルキルスルホン酸イオンのアルカリ金属塩であることが好ましい。金属塩はリチウム塩であることが特に好ましい。
上記陰イオン及び陽イオンによって構成される塩は数多くあるが、中でも、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、フルオロアルキルスルホン酸イオンから構成されることが好ましく、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドのアルカリ金属塩、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドのアルカリ金属塩及びトリフルオロアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩からなる群から選ばれた塩であることが好ましい。具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi(CF3SO22N、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリカリウムK(CF3SO22N、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa(CF3SO22N、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウムLi(CF3SO23C、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドカリウムK(CF3SO23C、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドナトリウムNa(CF3SO23C、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CF3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸カリウムK(CF3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウムNa(CF3SO3)が好ましい。中でも、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムが挙げられる。特に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム及びトリフルオロメタンスルホン酸リチウムが好ましく、これらを少量添加するだけで、上記効果が一層発揮されることになる。
図2に示すように、塩として、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムを用い、ジエチレングリコールとアジピン酸とからなるポリエーテルエステル系可塑剤に溶解した状態は、ポリエチレングリコール中のエーテル酸素原子にリチウムイオンが配位した状態になっている。粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成すると、エーテル酸素原子にリチウムイオンが配位した状態で、リチウムイオンが均一に分散した粘着剤層を形成する。そして、粘着剤層中においては、リチウムイオンは、エーテル酸素の分子運動によって移動し易い状態になっている。これに外部より電場が印加されると、粘着剤層中において、リチウムイオンが相応する極に向って移動(イオン輸送)してイオン伝導性を発現する。
ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドリチウムLi(CF3SO22Nを用い、テトラエチレングリコールジメチルエーテルに溶解した状態というのは、極性基であるエーテル基がLi+イオンに配位している状態であり、この状態で組成物中に分散している。すなわち、組成物(D)は、リチウムポリエーテル錯体を含んでいる。Li+イオンはエーテル酸素に取り囲まれ、(CF3SO22-イオンから離れ、裸の状態になっており、ポリロタキサン(C)の相溶性の向上や帯電防止性に大きく寄与する。特に、リチウム塩とポリエーテル基を主鎖中に含む可塑剤の混合物は、ルイス酸・塩基型の錯イオンを形成し、この錯体が一種のイオン性液体として振る舞い、ポリロタキサン(C)同士の分子間相互作用を弱めることによる相溶性向上や帯電防止性に寄与するものと考えられる。また、リチウム塩はポリエーテル基を主鎖中に含む可塑剤とルイス酸・塩基型の錯イオンを形成しているため、偏光子のヨウ素イオンと化学的な結合を形成することが出来ない。このため粘着シートを偏光子に直接貼付した場合であっても、偏光子の色抜けを引き起こすことがない。
フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、上記ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤100質量部に対して、0.1質量部以上200質量部以下含まれることが好ましく、1質量部以上180質量部以下含まれることがより好ましく、5質量部以上150質量部以下含まれることがさらに好ましい。
フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を溶解した可塑剤の溶液は、(メタ)アクリル共重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下含まれることが好ましい。フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を溶解した可塑剤溶液の含有量を上記範囲内とすることにより、ポリロタキサン(C)の相溶性が十分に向上し、かつ帯電防止性能を発揮することができる。
<重合体型帯電防止剤>
組成物(D)は、さらに重合体型帯電防止剤を含んでもよい。重合体型帯電防止剤は、陰イオンを備えた塩を安定化することができる。また、陰イオンを備えた塩はポリエーテル基を主鎖中に含む可塑剤に溶解された状態で分散されるので、この塩はポリエーテル基を主鎖中に含む可塑剤と親和性を有する重合体型帯電防止剤の存在する所に集まり、両者の親和力により安定化するものと考えられる。このような重合体型帯電防止剤としては、ポリエ−テルブロックポリオレフィン共重合体、ポリオキシアルキレン系共重合体又はエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジル共重合体が挙げられる。
重合体型帯電防止剤は(メタ)アクリル共重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上65質量部以下含まれることが好ましい。
<組成物(D)の製造方法>
本発明で用いられる組成物(D)の製造方法は、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤のエーテル酸素原子に、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンの対イオンである陽イオンが配位した状態となった塩溶液を準備する工程を含む。塩溶液を準備する工程では、ポリエーテル基を主鎖中に含む可塑剤は、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を、発熱しながら速やかに溶解する。塩溶液は、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を添加し、撹拌等を行うことによって得られる。
(溶剤)
粘着剤組成物は、さらに溶剤(E)を含有してもよい。溶剤(E)は粘着剤組成物の塗工適性を高めることができる。
溶剤(E)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
(添加剤)
本発明の粘着剤組成物には、(メタ)アクリル共重合体(A)、架橋剤(B)、ポリロタキサン(C)及び組成物(D)以外のその他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
また、本発明の粘着剤組成物には、必要に応じて酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、充填剤などの添加剤が含まれてもよい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。金属腐食防止剤としては、粘着剤の相溶性や効果の高さから、ベンゾトリアゾール系樹脂が好ましい。粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。
これら添加剤の含有量は、粘着剤組成物の固形分100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。
(粘着剤組成物の製造方法)
粘着剤組成物の製造工程は、反応性官能基を含有する(メタ)アクリル共重合体(A)を含む(メタ)アクリル共重合体溶液を得る工程と、(メタ)アクリル共重合体溶液に反応性官能基と反応可能な架橋剤(B)と、少なくとも2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、環状分子が架橋剤(B)と反応可能な反応性基を1つ以上有し、かつ直鎖状分子が両末端にブロック基を有するポリロタキサン(C)と、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤中にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解された組成物(D)を混合する工程を含む。(メタ)アクリル共重合体溶液に架橋剤(B)と、ポリロタキサン(C)と、組成物(D)を混合する工程においては、必要に応じて上述したような溶剤を添加してもよい。
(メタ)アクリル共重合体溶液に組成物(D)を混合する際には、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤中に、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を溶解してなる塩溶液を準備する工程と、塩溶液(第1成分)と(メタ)アクリル共重合体(第2成分)とを混合する工程を含むことが好ましい。第1成分と第2成分を混合した後に、さらに(メタ)アクリル共重合体(第2成分)と混練あるいはブレンドしてもよい。上記工程に組成物(D)はより均一に親和した状態に分散される。
(粘着シート)
本発明は、上述した粘着剤組成物により形成される粘着剤層を含む粘着シートに関するものでもある。粘着シートは、上述した粘着剤組成物を塗工した後に溶剤を除去することにより製造することができる。塗工方法としては、ナイフコータ、マイクロバーコータ、エアナイフコータ、リバースロールコータ、リバースグラビアコータ、バリオグラビアコータ、ダイコータ、カーテンコータ等から適宜選択することができる。本発明の粘着シートを用いれば、貼合段階での粘着剤の塗布、乾燥工程が必要なく、粘着対象物の間に粘着シートを積層して加圧すれば粘着することができるため、簡便である。
粘着剤組成物の塗工後には、加熱工程を設けることが好ましい。加熱工程における加熱温度は50℃以上200℃以下であることが好ましく、80℃以上150℃以下であることが好ましい。乾燥時間は1分以上30分以下とすることが好ましく、1分以上10分以下とすることがより好ましい。加熱工程においては、例えば、空気循環式恒温オーブンを用いて加熱乾燥をすることが好ましい。
粘着シートに含まれる粘着剤層の厚みは5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。また、粘着剤層の厚みは200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。粘着剤層の厚みを上記範囲内とすることにより、粘着剤層の接着力と、応力緩和性能を十分に発揮することができる。
本発明の粘着シートは、基材層に粘着剤層が積層された多層構成を有していてもよいが、粘着剤層のみから構成される単層シートであることが好ましい。また、本発明の粘着シートは両面粘着シートであることが好ましい。
本発明の粘着シートのヘーズは10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、2%以下であることが特に好ましい。本発明の粘着シートは上記の通り、非常にヘーズ値が小さく透明性に優れている点に特徴がある。本明細書においては、粘着シートのヘーズは、JIS K 7136に準拠した方法で測定される値のことをいう。本発明の両面粘着シートが両面粘着シートのみの構成である場合、両面粘着シートのヘーズ値を測定することは困難なため、両面粘着シートを松浪ガラス社製のスライドガラス(品番:S9112)に貼合してヘーズ値を測定する。具体的には、両面粘着シートを松浪ガラス社製のスライドガラスに貼合した後、貼合時に混入した微細な空気などの影響を排除するために、積層されたサンプルに0.5MPa、40℃の条件で30分間オートクレーブ(加圧脱泡)処理を施す。その後、ガラス貼合面と逆面の剥離シートを剥がし、糊面がむき出しの状態で、日本電色工業(株)製のNDH4000を用いて測定する。
本発明の粘着シートの全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、91%以上であることが特に好ましい。本発明の粘着シートは上記の通り、全光線透過率が高く、透明性に優れている点に特徴がある。本明細書においては、粘着シートの全光線透過率は、 JIS K 7136に準拠した方法で測定される値のことをいう。粘着シートの全光線透過率は、上述したヘーズ値の測定方法と同様の方法で測定することができる。
本発明の粘着シートの破断点伸度は、450%以上であることが好ましく、500%以上であることがより好ましく、600%以上であることがさらに好ましい。本発明の粘着シートは、上記の通り破断点伸度が高く、強度に優れている点に特徴がある。本明細書においては、粘着シートの破断点伸度は、下記の測定方法により測定された値である。まず、厚みが20μmの粘着シートを250×60mmに裁断し、長辺を巻き方向とし、空気が入らないように粘着シートを丸める。断面積が5mm2となったロール状サンプルを23℃、相対湿度50%の環境下で、引っ張り試験機(島津製作所社製、オートグラフAGS−X)を用いてチャック間距離が30mmになるようにサンプルを挟み、引張速度10mm/minで測定する。
本発明の粘着シートの破断点応力は、0.1N/mm2以上であることが好ましく、0.3N/mm2以上であることがより好ましく、0.5N/mm2以上であることがさらに好ましい。本発明の粘着シートは、上記の通り破断点応力が高く、強度に優れている点に特徴がある。本明細書においては、粘着シートの破断点応力は、上記破断点伸度(%)と同様の測定方法によって測定された値である。
本発明の粘着シートは、光学部材の貼合用として好適に用いられる。例えば、本発明の粘着シートは、偏光板の少なくとも一方の面に貼合される偏光板用粘着シートであってもよい。また、粘着シートは、偏光子に直接貼合される偏光子用粘着シートであってもよい。本発明の粘着シートが偏光子用粘着シートである場合は、粘着シートは偏光子と光学部材を貼合する用途に用いられることが好ましい。
(剥離シート付き粘着シート)
本発明は、剥離シート付き粘着シートに関するものであってもよい。剥離シート付き粘着シートは、基材上に剥離剤を設けた剥離シートを粘着シートの片面または両面に設けた構造を有するものであることが好ましい。例えば、剥離シートを粘着剤層の両面に設けた剥離シート付き両面粘着シートは、高分子フィルムに剥離剤層を設けた第1の剥離シートの剥離層面に粘着剤塗工液を塗布、乾燥した後、第1の剥離シートとは剥離力の異なる剥離剤層からなる第2の剥離シートの剥離層面を粘着剤層に貼合圧着することにより得ることができる。第1の剥離シートと第2の剥離シートの剥離力が近接していると、軽剥離力側の剥離シートを剥離する際に、重剥離力側の剥離シートから粘着剤が浮き上がる泣別れ現象が発生する。そのため、重剥離力側の剥離シートの剥離力は0.05N以上0.15N以下であることが好ましく、軽剥離力側の剥離シートの剥離力は0.01N以上0.04N以下であることが好ましい。
また、このとき、二つの剥離シートの剥離力の差が保てる場合は、第2の剥離シートに先に粘着剤塗工液を塗布したあと、第1の剥離シートを貼合圧着させてもよい。粘着シートの形状はシート状であってもよいし、ロール状に巻き上げられていてもよい。
(積層体)
本発明は、上述した粘着シートが光学部材に積層された積層体に関するものであってもよい。このような積層体は画像表示装置に組み込まれて用いられることが好ましい。光学部材としては、液晶セル又はタッチパネルなどを挙げることができる。
本発明の粘着シートは、偏光板又は偏光子と光学部材の貼合用として用いられてもよい。偏光子としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂フィルムや特開2012−159778号公報に記載されているポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向されたものが用いられる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
<粘着剤組成物の合成>
撹拌機、還流冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた反応装置に、ブチルアクリレート(BA)98.4質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)1.0質量部、アクリル酸(AA)0.1質量部、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)0.5質量部、酢酸エチル(EtAc)150質量部、メチルエチルケトン(MEK)20質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら70℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.05質量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で8時間重合反応を行なった。反応終了後、固形分濃度が20質量%となるよう酢酸エチル(EtAc)にて希釈し、重量平均分子量が150万の(メタ)アクリル共重合体溶液(A)を得た。なお、(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、THF(テトラヒドラフラン)を溶解した試料をGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。
上記の通り得られた(メタ)アクリル共重合体溶液(A)の固形分100質量部に対し、架橋剤(東ソー社製、コロネートL−55E)0.9質量部と、2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、環状分子がヒドロキシ基を有し、直鎖状分子の両末端にブロック基を有してなるポリロタキサン(アドバンスト・ソフトマテリアルス社製、セルムスーパーポリマーSH2400P)1.0質量部と、ポリエーテルエステル系可塑剤中にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解した組成物(三光化学工業社製、サンコノールAD2600)0.3質量部とを加え、酢酸エチルにて固形分濃度が15質量%の溶液となるように希釈攪拌し粘着剤組成物を調整した。
<粘着シートの作製>
上記のように作製した粘着剤組成物を、シリコーン系剥離剤で処理された剥離剤層を備えた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータフィルム)(王子エフテックス社製、38RL−07(2))の表面に、乾燥後の塗工量が20μm/m2になるようにアプリケーターで均一に塗工し、100℃の空気循環式恒温オーブンで3分間乾燥し、セパレータフィルムの表面に粘着剤層を形成した。次いで、該粘着剤層の表面に厚さ38μmのセパレータフィルム(王子エフテックス社製、38RL−07(L))を貼合した。このようにして、粘着剤層が剥離力差のある1対のセパレータフィルムに挟まれたセパレータフィルム/粘着剤層/セパレータフィルムの構成を備える粘着シートを得た。該粘着シートは、23℃、相対湿度50%の条件で7日間養生した。
(比較例)
ポリエーテル系可塑剤中にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解した組成物(サンコノールAD2600)を添加せずに粘着剤組成物を調製した以外は、実施例と同様にしてセパレータフィルム/粘着剤層/セパレータフィルムの構成を備える粘着シートを作製した。
(評価)
(ヘーズ及び全光線透過率)
実施例及び比較例の粘着シートの一方の粘着面を松浪ガラス社製のスライドガラス(品番:S9112)に貼合し、続いて、貼合時に混入した微細な空気などの影響を排除するために、積層されたサンプルに0.5MPa、40℃の条件で30分間オートクレーブ(加圧脱泡)処理を実施した。その後、ガラス貼合面と逆面の剥離シートを剥がし、糊面がむき出しの状態で、日本電色工業(株)製のNDH4000を用いてヘーズ及び全光線透過率を測定した。
(破断点伸度及び破断点応力)
厚みが20μmの粘着シートを250×60mmに裁断し、長辺を巻き方向とし、空気が入らないように粘着シートを丸めた。断面積が5mm2となったロール状サンプルを23℃、相対湿度50%の環境下で引っ張り試験機(島津製作所社製、オートグラフAGS−X)を用いてチャック間距離が30mmになるようにサンプルを挟み、引張速度10mm/minで破断点伸度及び破断点応力を測定した。
Figure 2017110049
比較例に比べて実施例では、ヘーズが低く、全光線透過率が高い。すなわち、実施例で得られた粘着シートは透明性に優れている。改善されている。また、比較例に比べて実施例では、破断点伸度や破断点応力が大きく強度に優れた粘着シートが得られていることがわかる。
1 ポリロタキサン分子
2 直鎖状分子
3 環状分子
5 ブロック基

Claims (12)

  1. 反応性官能基を含有する(メタ)アクリル共重合体(A)と、
    前記反応性官能基と反応可能な架橋剤(B)と、
    少なくとも2つの環状分子の開口部に直鎖状分子が貫通し、前記環状分子が前記架橋剤(B)と反応可能な反応性基を1つ以上有し、かつ前記直鎖状分子が両末端にブロック基を有するポリロタキサン(C)と、
    ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテルエステル系可塑剤中にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解した組成物(D)と、
    を含有することを特徴とする粘着剤組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル共重合体(A)の重量平均分子量が80万以上300万以下である請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記架橋剤(B)はイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤及び金属キレート系架橋剤から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記ポリロタキサン(C)の重量平均分子量が1000以上10万以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  5. 前記組成物(D)は、下記式(1)で表されるポリエーテルエステル系可塑剤及び下記式(2)で表されるポリエーテルエステル系可塑剤から選択される少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物;
    Figure 2017110049
    Figure 2017110049
    式(1)及び(2)中、m及びnはそれぞれ整数であり、Rはアルキル基を表す。
  6. 前記組成物(D)に含まれるフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンは、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオン及びフルオロアルキルスルホン酸イオンからなる群から選ばれる陰イオンである請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  7. 前記組成物(D)に含まれるフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、アルカリ金属、2族元素、遷移金属及び両性金属から選択される少なくとも1種の陽イオンと、前記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンとからなる塩である請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着剤組成物により形成される粘着剤層を含む粘着シート。
  9. 前記粘着剤層の厚みが5μm以上100μm以下である請求項8に記載の粘着シート。
  10. 粘着剤層のヘーズが2%以下である請求項8又は9に記載の粘着シート。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着剤組成物により形成される粘着剤層を含む粘着シートであって、偏光板又は偏光子の少なくとも一方の面に貼合される偏光板用粘着シート。
  12. 請求項11に記載の偏光板用粘着シートが光学部材に積層された構造を有する画像表示装置。
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