JP2013006936A - 粘着剤組成物およびこれを含む偏光板 - Google Patents

粘着剤組成物およびこれを含む偏光板 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性およびリワーク性に優れる粘着剤組成物およびこれを含む偏光板を提供する。
【解決手段】式1で示されるマロニル基を有する有機シラン化合物を含む粘着剤組成物:
Figure 2013006936

[式中、nは1〜3の整数であり、Rは炭素数2〜5の脂肪族炭化水素基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であり、Xは、アミン基、アルキルアミン基またはヘテロ原子であり、Yは、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミン基、ジエチルアミン基、ハロゲン原子またはアミノアルキルアルコキシシリル基他で表される基である。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐久性およびリワーク性に優れた粘着剤組成物、およびこれを含む偏光板に関する。
一般的に、液晶表示装置(Liquid crystal display device、LCD)は、ガラス板またはプラスチック系板状素材で構成され、一定に配列する液晶層と透明電極層とを含む液晶セルと、偏光板を含み、これらは接着剤層または粘着剤層により合体されている。また、液晶表示装置には、その機能を向上させるために、位相差板、広視野角補償板、輝度向上フィルム等がさらに含まれる。
また偏光板は、一般的に、一定方向に延伸され、ヨウ素系化合物または二色性偏光物質が吸着配向されたポリビニルアルコール系(polyvinyl alcohol、PVA)偏光子(または「偏光フィルム」という)と、該偏光子の両面を保護するために積層された偏光子保護フィルムとを含む。 具体的には、偏光子の一面に、トリアセチルセルロース系(Triacetyl cellulose、TAC)などの偏光子保護フィルムと、該保護フィルム上に液晶セルと接合する粘着剤層と、離型フィルムとを順に備え、また他面に、偏光子保護フィルムと、表面保護フィルムとを順に積層した多層で構成される。
偏光板を液晶セルに接合するために用いる粘着剤には、通常、耐熱性、耐湿熱性、リワーク性、光漏れ防止性などが求められるが、耐熱性または耐湿熱性のような耐久性とリワーク性を満たすために求められる粘着剤の特性は互いに相反するため、今までこれら両方の特性を満たすことは困難であった。すなわち、例えば、耐久性は、ガラス板と粘着剤との間の剥離力が高いほど良好となるのに対し、リワーク性は、ガラスに対する剥離力が低いほど良好となる傾向があり、これらの特性を同時に満たすことは難しいのが実情である。
韓国特許第840114号公報においては、シアノアセチル基を有するシラン化合物を含む粘着剤組成物が開示されている。しかしながら、この技術においては、シラン化合物により耐久性およびリワーク性を一定程度までは向上させることができるが、シアノアセチル基を含むことにより、大型パネルで求められるリワーク性を確保することができないという問題がある。
韓国特許第840114号公報
本発明は、耐久性に優れ、かつ、時間および温度により粘着力が過度に増加することなく、再剥離する際に基材に粘着剤が残留することのない、リワーク性に優れた粘着剤組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、高温または高温多湿の条件下における経時変化を改善し、基材との初期粘着力に優れる粘着剤組成物を提供することも目的とする。さらに、本発明は、そのような粘着剤組成物を含んでなる粘着剤層が積層された偏光板を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記の課題を解決し得るべく検討した結果、マロニル基含有有機シラン化合物を含むことにより、粘着剤組成物の耐久性およびリワーク性を向上させ得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[10]を提供するものである。
[1]式1で示される有機シラン化合物を含む粘着剤組成物:
Figure 2013006936
[式中、nは1〜3の整数であり、Rは炭素数2〜5の脂肪族炭化水素基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であり、Xは、アミン基、アルキルアミン基またはヘテロ原子であり、Yは、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミン基、ジエチルアミン基、ハロゲン原子または
Figure 2013006936
〔式中、mは1〜3の整数であり、Rは炭素数2〜5の脂肪族炭化水素基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であり、Zはアミン基、アルキルアミン基またはヘテロ原子である〕で表される基である]。
[2]有機シラン化合物が、式2:
Figure 2013006936
で示される化合物である、前記[1]に記載の粘着剤組成物。
[3]有機シラン化合物が、式3:
Figure 2013006936
で示される化合物である、前記[1]に記載の粘着剤組成物。
[4]有機シラン化合物が、式4:
Figure 2013006936
で示される化合物である、前記[1]に記載の粘着剤組成物。
[5]有機シラン化合物は、式5:
Figure 2013006936
で示される化合物である、前記[1]に記載の粘着剤組成物。
[6]粘着剤樹脂100重量部(固形分含有量基準)と式1で示される有機シラン化合物0.01〜5重量部を含む、前記[1]に記載の粘着剤組成物。
[7]式1で示される有機シラン化合物を、粘着剤樹脂100重量部(固形分含有量基準)に対して0.1〜4重量部の量で含む、前記[6]に記載の粘着剤組成物。
[8]粘着剤樹脂100重量部(固形分含有量基準)に対して、架橋剤を0.1〜15重量部の量で含む、前記[6]に記載の粘着剤組成物。
[9]粘着剤樹脂が、
炭素数4〜12のアルキル(メタ)アクリレート単量体80〜99重量%;
カルボン酸基、ヒドロキシ基、アミド基および三級アミン基からなる群から選ばれる1種以上の基を有する重合性単量体1〜10重量%;および
その他の単量体0〜10重量%
からなる共重合体を含む粘着剤樹脂である、前記[6]に記載の粘着剤組成物。
[10]前記[1]〜[9]のいずれかに記載の粘着剤組成物を含んでなる粘着剤層が、一面に積層された偏光板。
本発明によれば、耐久性に優れ、時間および温度により粘着力が過度に増加しない粘着剤組成物を提供することができる。特に、本発明の粘着剤組成物は、高温または高温多湿の条件下でも粘着力が過度に増加しないため、基材に粘着剤が残留することなく再剥離が可能である。また、本発明の粘着剤組成物は、高温または高温多湿の条件下において経時変化が少なく、基材との初期粘着力に優れる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の粘着剤組成物は、式1で示されるマロニル基含有有機シラン化合物を含む。
Figure 2013006936
[式中、nは1〜3の整数であり、Rは炭素数2〜5の脂肪族炭化水素基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であり、Xは、アミン基、アルキルアミン基またはヘテロ原子であり、Yは、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミン基、ジエチルアミン基、ハロゲン原子または
Figure 2013006936
〔式中、mは1〜3の整数であり、Rは炭素数2〜5の脂肪族炭化水素基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であり、Zはアミン基、アルキルアミン基またはヘテロ原子である〕で表される基である]。
炭素数2〜5の脂肪族炭化水素基としては、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基などの炭素数2〜5のアルキレン基が挙げられる。
アルキルアミン基としては、炭素数1〜5のアルキル基を有するアミン基が好ましく、例えば、メチルアミン基、エチルアミン基などが挙げられる。
ヘテロ原子としては、硫黄(S)、酸素(O)などが挙げられる。
また、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、ホウ素、ヨウ素などが挙げられる。
式1で示される有機シラン化合物としては、nが3であり、Rがプロピレン基であり、Rメチル基またはエチル基であり、Xがアミン基またはメチルアミン基であり、Yがエトキシ基または
Figure 2013006936
で表される基である化合物が好ましい。
Yが、
Figure 2013006936
で表される基である場合、mが3、Rがプロピレン基、Rがメチル基、Zがアミン基であることが好ましい。
本発明の粘着剤組成物に用いる式1で示される有機シラン化合物として、特に好ましい化合物は、下記式2〜5で示される化合物である。
Figure 2013006936
Figure 2013006936
Figure 2013006936
Figure 2013006936
本発明の粘着剤組成物に用いる式1の有機シラン化合物は、例えば、塩化白金酸触媒および有機溶媒の存在下、好ましくは10〜200℃、より好ましくは50〜150℃の温度下で反応させることにより製造することができる。有機溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンのようなハロゲン化されたアルキル溶媒;テトラヒドロフラン、ダイオキシンのような環状エーテル溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素溶媒などが挙げられる。
式1で示されるマロニル基含有有機シラン化合物は、マロニル基のα位の基または原子により反応性を調節することができるため、リワーク性と耐久性を同時に満たすことができる。
本発明の粘着剤組成物は、上記式1で示される有機シラン化合物に加えて、粘着剤樹脂を含むことが好ましい。
この場合、式1で示される有機シラン化合物の含有量は、粘着剤樹脂100重量部(固形分含有量基準)に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜4重量部、特に好ましくは0.5〜4重量部である。有機シラン化合物の含有量が、少なすぎる場合には、高温、多湿の条件下における粘着力の増加効果が少ないことがあり、含有量が多すぎる場合には、基材との間に気泡および剥離が生じるため、耐久性が低下するおそれがある。
粘着剤樹脂は、粘着剤として作用可能な粘着力を有する樹脂であり、この分野で当業者に既知のものを使用することができる。具体的には、アクリル系共重合体、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン−エチレンブチレン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴムなどの重合体が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくはアクリル系共重合体が用いられる。
本発明の粘着剤組成物においては、粘着剤樹脂として、炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート単量体、架橋可能な官能基を有する重合性単量体およびその他の単量体で構成されるアルキル(メタ)アクリレート系共重合体を用いることが好ましい。ここで、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味する。
炭素数4〜12のアルキル(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、炭素数4〜12の脂肪族アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、単独で、または2種以上の混合物で使用することができる。中でも、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートまたはこれらの混合物を用いることが好ましい。
架橋可能な官能基を有する重合性単量体は、架橋剤と反応して高温または高温多湿の条件下で粘着剤の凝集力の破壊が生じないように、化学結合による凝集力または粘着強度を与える作用を有するものである。具体的には、カルボン酸基を有する重合性単量体、ヒドロキシ基を有する重合性単量体、アミド基を有する重合性単量体、三級アミン基を有する重合性単量体などが挙げられ、カルボン酸基、ヒドロキシ基、アミド基および三級アミン基からなる群から選ばれる1種以上の基を有する重合性単量体であることが好ましい。
カルボン酸基を有する重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの1価酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの2価酸、2価酸のモノアルキルエステル;3−(メタ)アクリロイルプロピオン酸;2−ヒドロキシアルキル(炭素数2〜3)(メタ)アクリレートの無水コハク酸開環付加体、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜4)グリコールモノ(メタ)アクリレートの無水コハク酸開環付加体、2−ヒドロキシアルキル(炭素数2〜3)(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加体に無水コハク酸を開環付加させた化合物などが挙げられる。中でも、アクリル酸を使用することが好ましい。
ヒドロキシ基を有する重合性単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜4)グリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
アミド基を有する重合性単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−三級ブチルアクリルアミドなどが挙げられる。中でも、(メタ)アクリルアミドを使用することが好ましい。
三級アミン基を有する重合性単量体の例としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレートなどが挙げられる。
その他の単量体は、炭素数4〜12のアルキル(メタ)アクリレート単量体および架橋可能な官能基を有する重合性単量体と共に使用してアルキル(メタ)アクリレート系共重合体を形成することができるものであれば、特に限定されない。
アルキル(メタ)アクリレート系共重合体が、炭素数4〜12のアルキル(メタ)アクリレート単量体(以下「単量体(a)」と称する場合がある)、カルボン酸基、ヒドロキシ基、アミド基および三級アミン基からなる群から選ばれる1種以上の基を有する重合性単量体(以下「単量体(b)」と称する場合がある)、およびその他の単量体(以下「単量体(c)」と称する場合がある)とからなる場合、共重合体を構成する構造単位の総重量に基づいて、各単量体に由来する構造単位の比率が以下の範囲にあることが好ましい。
単量体(a):80〜99重量%、より好ましくは90〜95重量%
単量体(b):1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%
単量体(c):0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%
各単量体に由来する構造単位の比率が前記範囲にある場合、優れた粘着力や適度な凝集力を得ることができる。特に、単量体(a)の比率が低すぎる場合や単量体(b)および/または(c)の比率が高すぎる場合には粘着力が低下するおそれがあり、単量体(a)の比率が高すぎる場合や単量体(b)の比率が低すぎる場合には凝集力が不足するおそれがある。なお、単量体(c)について、含有量「0」は、成分が含まれていないことを意味する。
上記アルキル(メタ)アクリレート系共重合体は、各単量体を共重合成分として重合することにより調製することができる。重合方法としては、特に限定されず、この分野の当業者に既知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、単量体(a)および(b)、必要に応じて(c)の所定量、および溶剤等を反応容器中に仕込んで、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気で、攪拌、加熱等行い、その後、反応開始剤により重合を開始する方法が例示される。ここで用いられる反応開始剤および溶剤としては、この分野で通常使用されているものを用いることができる。例えば、反応開始剤としてはアゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリルなど)等が挙げられ、溶剤としては、各単量体を溶解するものであればよく、例えば酢酸エチルなどが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物において、粘着剤樹脂として使用し得るアクリル系共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは50,000〜2,000,000であり、より好ましくは100,000〜1,800,000であり、さらに好ましくは500,000〜1,500,000である。重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーにより測定する。
本発明の粘着剤組成物は、粘着剤としての役割を遂行することができる程度の範囲で粘着剤樹脂を含有することができる。具体的に、粘着剤組成物の総重量に対して30重量%以下を含有することができる。
本発明の粘着剤組成物は、さらに架橋剤を含むことが好ましい。
架橋剤は、粘着剤の凝集力を強化するために使用されるものであって、アクリル系共重合体を適切に架橋することができる。そのような架橋剤としては、この分野で当業者に一般的に既知の化合物を用いることができ、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン系化合物などを使用することができる。中でも、イソシアネート化合物またはメラミン系樹脂を使用することが好ましい。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。特に、イソシアネート化合物にメラミン系樹脂を追加して使用することもできる。
イソシアネート化合物としては、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物およびジイソシアネートのトリメチロールプロパンなどの多価アルコール系化合物への付加物などを使用することができる。
メラミン樹脂としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、ビスフェノールAとエピクロロヒドリン縮合体型のエポキシ化合物などのポリエポキシ化合物、ポリオキシアルキレンポリオールのポリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルおよびテトラグリシジルキシレンジアミンなどを使用することができる。
架橋剤の含有量は、粘着剤樹脂100重量部(固形分含有量基準)に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは1〜5重量部である。含有量が少なすぎる場合には、不十分な架橋度により凝集力が小さくなるため、耐久性および切断性などを害するおそれがある。また、多すぎる場合には、過多な架橋反応により残留応力緩和に問題が発生するおそれがある。
本発明の粘着剤組成物は、上記成分以外に、用途により求められる粘着力、凝集力、粘性、弾性率、ガラス転移温度、帯電防止性などを調節するために、粘着性付与樹脂、酸化防止剤、腐食防止剤、レベリング剤、表面潤滑剤、染料、顔料、消泡剤、充填剤、光安定剤、帯電防止剤などの添加剤をさらに含むことができる。
本発明の粘着剤組成物は、有機シラン化合物、粘着剤樹脂及び架橋剤、必要に応じてその他の添加剤等を、従来公知の方法により攪拌・混合することにより製造することができる。
本発明の粘着剤組成物は、偏光板用または表面保護フィルム用粘着剤として使用することができる。また、保護フィルム、反射シート、救助用粘着シート、写真用粘着シート、車線表示用粘着シート、光学用粘着製品、電子部品用粘着剤だけでなく、一般商業用粘着シート製品、医療用パッチにも使用することができる。
本発明の偏光板は、本発明の粘着剤組成物を含んでなる粘着剤層が積層されていることを特徴とする。粘着剤層の厚さは、その粘着力により調節することができるが、一般的に、3〜100μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。
このような偏光板は、通常の液晶表示装置に適用可能であり、具体的には、粘着剤層が積層された偏光板を、液晶セルの少なくとも一面に接合し、液晶パネルを含む液晶表示装置を構成することができる。
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものであり、本発明の範疇および技術思想の範囲内で多様な変更および修正が可能であることは当業者にとって明白であり、そのような変形および修正は、当然、本発明の特許請求範囲に属するものである。
合成例1:式2の化合物の合成
温度計とコンデンサーとを備えた1Lの反応器に、テトラヒドロフラン(THF)200ml、3−マロン酸ジエチルエステル(3−diethyl malonate)40g(0.25モル)、アミノプロピルトリメトキシシラン45g(0.25モル)を投入し、温度を60℃まで上げた後、塩化白金酸0.05gを添加して4時間反応させた。反応終了後、溶媒および未反応物を取り除き、真空蒸留して、下記式2の化合物を73g得た。
Figure 2013006936
合成例2:式3の化合物の合成
温度計とコンデンサーを備えた1Lの反応器に、テトラヒドロフラン(THF)200ml、3−マロン酸ジエチルエステル(3−diethyl malonate)40g(0.25モル)、アミノプロピルトリエトキシシラン90g(0.5モル)を投入し、温度を60℃まで上げた後、塩化白金酸0.05gを添加して4時間反応させた。反応終了後、溶媒および未反応物を取り除き、真空蒸留して、下記式3の化合物を65g得た。
Figure 2013006936
合成例3:式4の化合物の合成
温度計とコンデンサーを備えた1Lの反応器に、テトラヒドロフラン(THF)200ml、3−マロン酸ジエチルエステル(3−diethyl malonate)40g(0.25モル)、メチルアミノプロピルトリメトキシシラン90g(0.5モル)を投入し、温度を60℃まで上げた後、塩化白金酸0.05gを添加して4時間反応させた。反応終了後、溶媒および未反応物を取り除き、真空蒸留して、下記式4の化合物を68g得た。
Figure 2013006936
合成例4:式5の化合物の合成
温度計とコンデンサーを備えた1Lの反応器に、テトラヒドロフラン(THF)200ml、3−マロン酸ジエチルエステル(3−diethyl malonate)40g(0.25モル)、メチルアミノプロピルトリメトキシシラン90g(0.5モル)を投入し、温度を60℃まで上げた後、塩化白金酸0.1gを添加して4時間反応させた。反応終了後、溶媒および未反応物を取り除き、真空蒸留して、下記式5の化合物を86g得た。
Figure 2013006936
製造例:アクリル系共重合体の製造
窒素ガスが還流され、容易に温度が調節できるように冷却装置が設けられた1Lの反応器に、n−ブチルアクリレート(BA)98.1重量部、アクリル酸(AA)1.4重量部、および2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(2−HEMA)0.5重量部を投入した後、溶剤としてエチルアセテート(EAc)100重量部を投入した。その後、酸素を取り除くために窒素ガスを1時間パージングし、62℃で維持した。得られた混合物を均一に混合した後、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.07重量部を投入し、8時間反応させ、重量平均分子量が60万以上のアクリル系共重合体を製造した。
実施例1
製造例にしたがって製造したアクリル系共重合体(固形分含有量基準)100重量部に対して、架橋剤としてトリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート(TMP−TDI)を0.5重量部、式2の化合物を1重量部で投入した。コーティング性を考慮して適度な濃度に希薄した後、均一に混合して粘着剤組成物を製造した。
製造した粘着剤組成物を、シリコーン離型剤をコーティングしたPETフィルム(41cm×34cm)に乾燥膜の厚さが25μmになるように塗布し、100℃で1分間乾燥させて粘着剤層を形成した。その上に他の1層の離型フィルムをラミネーションして粘着剤シートを製造した。
実施例2
式2の化合物の配合量を3重量部とした以外は、上記実施例1と同様にして粘着剤組成物を製造した。
実施例3
式2の化合物の代わりに、式3の化合物を3重量部にして用いた以外は、上記実施例1と同様にして粘着剤組成物を製造した。
実施例4
式2の化合物の代わりに、式4の化合物を3重量部にして用いた以外は、上記実施例1と同様にして粘着剤組成物を製造した。
実施例5
式2の化合物の代わりに、式5の化合物を3重量部にして用いた以外は、上記実施例1と同様にして粘着剤組成物を製造した。
比較例1
有機シラン化合物として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3−glycidoxypropyltrimethoxysilane、KBM−403、信越社)を1重量部用いた以外は、上記実施例1と同様にして粘着剤組成物を製造した。
比較例2
有機シラン化合物として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3−glycidoxypropyltrimethoxysilane、KBM−403、信越社)を3重量部用いた以外は、上記実施例1と同様にして粘着剤組成物を製造した。
比較例3
有機シラン化合物として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(3−aminopropyltrimethoxysilane、KBM−903、信越社)を3重量部用いた以外は、上記実施例1と同様にして粘着剤組成物を製造した。
上記実施例および比較例で製造した粘着剤組成物の成分およびその含有量を、表1に示す。各成分の含有量は重量部を示す。
Figure 2013006936
試験例
1.粘着力の測定
実施例1〜5および比較例1〜3の粘着剤シートから離型フィルムを剥離して、偏光板に接合し、粘着剤層が積層された偏光板を製造した。
得られた偏光板を、幅25mm、長さ100mmのサイズで切り出し、離型フィルムを剥離した後、ガラス板に0.25MPaの圧力でラミネーションして評価サンプルを製造した。ラミネーションされたサンプルを、温度50℃で5kg/cm×20分、オートクレーブ処理した後、23℃、50%RHの環境下で24時間放置したものと、50℃、50%RHの環境下で48時間放置したものの各サンプルを、UTM(万能引張試験機、Instron)を使用して、剥離速度10m/分、剥離角度180゜で剥離する時の粘着力を測定した。測定は、23℃、50%RHの環境下で実施した。
2. リワーク性の測定
粘着剤層が積層された偏光板を、幅25mm、長さ100mmのサイズで切り出し、離型フィルムを剥離した後、コーニング社の#1737ガラスに0.25MPaの圧力でラミネーションし、5気圧、50℃の条件下で20分間オートクレーブ処理して評価サンプルを製造した。耐熱条件である80℃のオーブンに入れた後、10時間後に取り出して120時間常温放置した後、1.3cm/秒の速度で剥離し、耐湿条件である60℃、90%RHのオーブンに入れた後、12時間後に取り出して120時間常温放置後、1.3cm/秒の速度で剥離した。
両方の条件下でいずれもガラス基板に粘着剤の残留がなく、偏光板が破れずにきれいに剥離できた場合には○、いずれか一方または両方の条件下でパネルに粘着剤が残留している、または剥離過程で偏光板が破れた場合には×として評価した。
3. 耐久性
粘着剤層が積層された偏光板を、横90mm、縦170mmで切断し、ガラス基板(110mm×190mm×0.7mm)の両面に光学吸収軸がクロスされた状態で付着した。この時に加えた圧力は5kg/cmであり、気泡や異物が生じないようにクリーンルームにて作業を行った。サンプルの耐湿熱の特性を把握するために、60℃の温度および90%の相対湿度条件下で1,000時間放置した後、気泡や剥離が発生したかどうかを観察した。耐熱特性は80℃の温度で1,000時間放置した後、気泡や剥離が発生したがどうかを観察した。サンプルの状態を評価する前に、常温で24時間放置した。また、上記で製造したサンプルを5ヶ月以上放置後、上記の方法で耐久性を評価した。耐久性に対する評価基準は下記の通りである。
<評価基準>
◎:気泡や剥離なし
○:気泡や剥離が5個未満
△:気泡や剥離が5個以上10個未満
×:気泡や剥離が10個以上
Figure 2013006936
式1で示される有機シラン化合物を含む実施例1〜5の粘着剤組成物は、従来のシランカップリング剤を含む比較例1〜3に比べて、粘着力が時間と温度により過度に増加することなく、高温または高温多湿の条件下でリワーク性に優れ、基材に粘着剤が残留せずに再剥離することが可能であることが確認された。さらに、優れた耐久性を維持することができることも確認された。

Claims (10)

  1. 式1で示される有機シラン化合物を含む粘着剤組成物:
    Figure 2013006936
    [式中、nは1〜3の整数であり、Rは炭素数2〜5の脂肪族炭化水素基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であり、Xは、アミン基、アルキルアミン基またはヘテロ原子であり、Yは、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミン基、ジエチルアミン基、ハロゲン原子または
    Figure 2013006936
    〔式中、mは1〜3の整数であり、Rは炭素数2〜5の脂肪族炭化水素基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であり、Zはアミン基、アルキルアミン基またはヘテロ原子である〕で表される基である]。
  2. 有機シラン化合物が、式2:
    Figure 2013006936
    で示される化合物である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 有機シラン化合物が、式3:
    Figure 2013006936
    で示される化合物である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  4. 有機シラン化合物が、式4:
    Figure 2013006936
    で示される化合物である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  5. 有機シラン化合物が、式5:
    Figure 2013006936
    で示される化合物である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  6. 粘着剤樹脂100重量部(固形分含有量基準)と式1で示される有機シラン化合物0.01〜5重量部を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  7. 式1で示される有機シラン化合物を、粘着剤樹脂100重量部(固形分含有量基準)に対して0.1〜4重量部の量で含む、請求項6に記載の粘着剤組成物。
  8. 粘着剤樹脂100重量部(固形分含有量基準)に対して、架橋剤を0.1〜15重量部の量で含む、請求項6に記載の粘着剤組成物。
  9. 粘着剤樹脂が、
    炭素数4〜12のアルキル(メタ)アクリレート単量体80〜99重量%;
    カルボン酸基、ヒドロキシ基、アミド基および三級アミン基からなる群から選ばれる1種以上の基を有する重合性単量体1〜10重量%;および
    その他の単量体0〜10重量%
    からなる共重合体を含む粘着剤樹脂である、請求請6に記載の粘着剤組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の粘着剤組成物を含んでなる粘着剤層が、一面に積層された偏光板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016528339A (ja) * 2013-07-22 2016-09-15 東友ファインケム株式会社Dongwoo Fine−Chem Co., Ltd. 粘着剤組成物
JP2016540844A (ja) * 2013-10-29 2016-12-28 ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド 金属リガンドを含有する接着促進性付加体、その組成物、及びその使用

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