JP2017107792A - 蓄電デバイス電極用組成物、蓄電デバイス電極用スラリー、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイス - Google Patents

蓄電デバイス電極用組成物、蓄電デバイス電極用スラリー、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】蓄電デバイスの充放電特性を向上できる蓄電デバイス電極用組成物を提供する。【解決手段】本発明に係る蓄電デバイス電極用組成物は、多孔質粒子(A)と、重合体(B)と、液状媒体(C)と、を含有し、前記多孔質粒子(A)の細孔容積が0.01cm3/g以上2cm3/g以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電デバイス電極用組成物、蓄電デバイス電極用スラリー、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイスに関する。
電子機器の駆動用電源として用いられる蓄電デバイスとして、リチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタなどが利用されている。このような蓄電デバイスに使用される正極や負極(以下、「電極」ともいう。)は、活物質とバインダーとの混合物を集電体表面へ塗布及び乾燥させ、集電体表面に活物質層を形成することにより作製される。また、これらの蓄電デバイスでは、有機溶媒にリチウム塩を溶解した電解液が用いられている。
このような電解液を用いる蓄電デバイスにおいて、良好な充放電を実現するためには、活物質と電解液の間でリチウムイオンの放出や吸蔵が高速で行われる必要がある。これを達成するためには、活物質と電解液の接触面積を増大させる方法が最も簡便である。例えば特許文献1では、活物質層を多孔質化する技術が開示されている。また、特許文献2及び特許文献3では、空隙を有する活物質粒子を用いた蓄電デバイスが開示されている。
特開2012−109166号公報 国際公開第2011/067982号 特開2014−82116号公報
しかしながら、上述の特許文献1〜3に開示されているような活物質層を多孔質化する技術では、活物質層の機械的強度の低下等の問題があり、しかも大きな細孔が活物質層の導電パスを破壊することにより電極抵抗が増大するため、充放電特性を向上させることが困難であった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、蓄電デバイスの充放電特性を向上できる蓄電デバイス電極用組成物を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る蓄電デバイス電極用組成物の一態様は、
多孔質粒子(A)と、重合体(B)と、液状媒体(C)と、を含有し、
前記多孔質粒子(A)の細孔容積が0.01cm/g以上2cm/g以下であることを特徴とする。
[適用例2]
適用例1の蓄電デバイス電極用組成物において、
前記多孔質粒子(A)の平均粒子径(Da)が0.1μm以上5μm以下であることが
できる。
[適用例3]
本発明に係る蓄電デバイス電極用スラリーの一態様は、
適用例1または適用例2の蓄電デバイス電極用組成物と、活物質粒子(D)と、を含有することを特徴とする。
[適用例4]
適用例3の蓄電デバイス電極用スラリーにおいて、
前記活物質粒子(D)の平均粒子径(Dd)が1μm以上100μm以下であることができる。
[適用例5]
本発明に係る蓄電デバイス電極の一態様は、
適用例3または適用例4の蓄電デバイス電極用スラリーを用いて作製されたことを特徴とする。
[適用例6]
本発明に係る蓄電デバイスの一態様は、
適用例5の蓄電デバイス電極を備えることを特徴とする。
本発明に係る蓄電デバイス電極用組成物によれば、充放電特性に優れた蓄電デバイスを製造することができる。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜」および「メタクリル酸〜」の双方を包括する概念である。また、「〜(メタ)アクリレート」とは、「〜アクリレート」および「〜メタクリレート」の双方を包括する概念である。
1.蓄電デバイス電極用組成物
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、多孔質粒子(A)と、重合体(B)と、液状媒体(C)と、を含有し、前記多孔質粒子(A)の細孔容積が0.01cm/g以上2cm/g以下であることを特徴とする。本実施形態に係る組成物は、蓄電デバイス電極の活物質層を作製するための材料として使用することができる。また、電極間の短絡防止を目的とした保護膜を形成するための材料として使用することもできる。以下、本実施形態に係る組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
1.1.多孔質粒子(A)
本実施形態に係る組成物は、多孔質粒子(A)を含有する。多孔質粒子(A)は、後述のバインダーとして機能する重合体(B)や活物質粒子(D)とは区別される。多孔質粒子(A)は、その内部に1つ以上の空孔を有することで、得られる活物質層の電解液の浸透性や保液性を向上させることができ、良好な充放電特性を発現させることができる。
なお、本発明における「多孔質粒子」との用語は、その表面から内部にかけて複数の空孔を有する多孔質構造の粒子だけでなく、その内部に空孔を有する中空構造の粒子も含ま
れる意味で用いられる。
多孔質粒子(A)の細孔容積の下限値は、0.01cm/g以上であり、好ましくは0.1cm/g以上であり、より好ましくは0.14cm/g以上である。多孔質粒子(A)の細孔容積が前記範囲未満では、活物質粒子(D)と電解液との間でリチウムイオンの放出や吸蔵を十分に促進させることができず、蓄電デバイスの充放電特性を向上させることが困難となる。一方、多孔質粒子(A)の細孔容積の下限値は、2.0cm/g以下であり、好ましくは1.8cm/g以下であり、より好ましくは1.5cm/g以下である。多孔質粒子(A)の細孔容積が前記範囲を超えると、得られる活物質層の機械的強度が低下して活物質粒子(D)の剥離が発生するなどにより、蓄電デバイスの充放電特性を向上させることが困難となる。
多孔質粒子(A)の細孔容積は、乾燥させた多孔質粒子(A)に対して、ガス吸着によるBET多点法により吸着等温線を測定し、B.J.H.(Barrett−Joyner−Halenda)法によって解析することにより求めることができる。ガス吸着に用いられるガスとしては、多孔質粒子(A)と反応性のないガスであれば特に限定されないが、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン等の不活性ガスを使用することが好ましい。
また、多孔質粒子(A)のBET法により算出された比表面積は、200m/g以上であることが好ましい。前記範囲の比表面積を有する多孔質粒子(A)を使用することにより、さらに良好な充放電特性を発現させることができる。
多孔質粒子(A)の平均粒子径(Da)は、後述の活物質粒子(D)よりも小さいことが好ましい。多孔質粒子(A)の平均粒子径(Da)の下限値は、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.15μm以上であり、更に好ましくは0.2μm以上であり、特に好ましくは0.4μm以上である。多孔質粒子(A)の平均粒子径(Da)の上限値は、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは3μm以下であり、特に好ましくは1μm以下である。多孔質粒子(A)の平均粒子径(Da)が前記範囲であると、平滑かつ柔軟な活物質層が形成され、蓄電デバイスを作製した場合に、活物質層と隣接して配置されるセパレータや電極と接触しても、これらを破損する危険性が低くなるため、蓄電デバイスの耐久性が良好となる。
多孔質粒子(A)の平均粒子径(Da)は、電子顕微鏡(例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製、日立透過型電子顕微鏡 H−7650)により約100個無作為に抽出した多孔質粒子を観察して各々の粒子径を求め、その平均値で表すことができる。
多孔質粒子(A)は、多孔質無機粒子及び多孔質重合体粒子よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。以下、多孔質無機粒子、多孔質重合体粒子の順に説明する。
1.1.1.多孔質無機粒子
多孔質粒子(A)として多孔質無機粒子を含有する場合、形成される活物質層の機械的強度を向上させることができる。多孔質無機粒子としては、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化マグネシウム(マグネシア)、シリカ等を用いることができる。
多孔質無機粒子の平均粒子径(Da1)は、0.15μm以上1μm以下であることが好ましい。
1.1.2.多孔質重合体粒子
多孔質粒子(A)として多孔質重合体粒子を含有する場合、活物質層と有機溶媒を含有する電解液との親和性をより高め、活物質粒子(D)と電解液との間でリチウムイオンの放出や吸蔵をより促進させることができる。
多孔質重合体粒子の平均粒子径(Da2)は、0.4μm以上1μm以下の範囲内であることが好ましい。
多孔質重合体粒子の容積空孔率は、1%〜80%であることが好ましく、2%〜70%であることがより好ましく、5%〜60%であることが特に好ましい。容積空孔率がこの範囲にあることで、得られる活物質層の電解液の良好な浸透性及び保液性と、機械的強度の向上とを両立させやすくなる。
多孔質重合体粒子の容積空孔率は、例えば多孔質重合体粒子について電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、日立透過型電子顕微鏡 H−7650)により観察し、無作為に抽出した100個の粒子の平均粒子径及び粒子内径を測定し、下記式(1)により算出することができる。
容積空孔率(%)=((粒子内径)/(平均粒子径)))×100 ・・・(1)
多孔質重合体粒子は、多孔質重合体粒子を構成する重合体100質量部中の重合性不飽和基を二つ以上有する化合物に由来する繰り返し単位の含有量が、20質量部以上100質量部以下であることが好ましく、50質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。重合性不飽和基を二つ以上有する化合物に由来する繰り返し単位の含有量が前記範囲であると、多孔質重合体粒子の硬度が高くなることから、形成される活物質層の機械的強度を向上させることができる。
以下、多孔質重合体粒子に含有される繰り返し単位を構成する単量体、多孔質重合体粒子の製造方法等に関して詳述する。
1.1.2.1.単量体
<重合性不飽和基を二つ以上有する化合物>
重合性不飽和基を二つ以上有する化合物としては、特に制限されないが、例えば多官能(メタ)アクリル酸エステル、芳香族多官能ビニル化合物等が挙げられる。
本発明における「多官能(メタ)アクリル酸エステル」とは、(メタ)アクリロイル基を二以上有する(メタ)アクリル酸エステルの他、(メタ)アクリロイル基を一つ有し、さらに重合性の炭素−炭素不飽和結合、エポキシ基、グリシジル基及びヒドロキシ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルも含まれる。
多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば下記一般式(2)で表される化合物、多価アルコールの(ポリ)(メタ)アクリル酸エステルおよびその他の多官能性単量体が好ましい。
Figure 2017107792
(上記一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは重合性の炭素−炭素不飽和結合、エポキシ基及び水酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、炭素数1〜18の有機基である。)
上記一般式(2)中のRの好ましい具体例としては、例えばビニル基、イソプロペニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、グリシジル基、ヒドロキシアルキル基等を挙げることができる。
このような多官能(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸アリル等を挙げることができ、これらから選択される1種以上であることができる。これらのうち、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン及び(メタ)アクリル酸アリルよりなる群から選択される少なくとも1種以上であることが好ましく、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコールであることがより好ましい。上記例示した多官能(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
芳香族多官能ビニル化合物としては、例えば下記一般式(3)で表される化合物を好ましく使用することができる。
Figure 2017107792
(上記一般式(3)中、複数存在するRはそれぞれ独立に、重合性の炭素―炭素不飽和結合を有する有機基であり、複数存在するRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の炭化水素基である。nは2〜6の整数であり、mは0〜4の整数である。)
上記一般式(3)中のRとしては、例えば炭素数2〜12のビニレン基、アリル基、ビニル基、イソプロペニル基等を挙げることができ、これらの中でも炭素数2〜12のビニレン基であることが好ましい。上記一般式(3)中のRとしては、例えばメチル基、エチル基等を挙げることができる。
芳香族多官能ビニル化合物としては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン等の芳香族ジビニル化合物が挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらのう
ち、ジビニルベンゼンであることが好ましい。上記例示した芳香族多官能ビニル化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記例示した重合性不飽和基を二つ以上有する化合物の中でも、芳香族ジビニル化合物であることがより好ましく、ジビニルベンゼンが特に好ましい。多孔質重合体粒子がジビニルベンゼンに由来する繰り返し単位を含有する場合、多孔質重合体粒子の耐熱性、耐電解液性等の観点から、ジビニルベンゼンの含有割合は、全モノマーの含有量を100質量%としたときに、20〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましく、80〜100質量%であることが特に好ましい。
<その他の不飽和単量体>
多孔質重合体粒子には、上記重合性不飽和基を二つ以上有する化合物に由来する繰り返し単位の他に、これらと共重合可能な他の不飽和単量体に由来する繰り返し単位がさらに含まれていてもよい。
このような不飽和単量体としては、不飽和カルボン酸エステル(但し、重合性不飽和基を二つ以上有する化合物を除く。)、芳香族ビニル化合物(但し、重合性不飽和基を二つ以上有する化合物を除く。)、不飽和カルボン酸、α,β−不飽和ニトリル化合物、その他の不飽和単量体等が挙げられる。なお、多孔質重合体粒子は、重合性不飽和基を二以上有する化合物に由来する繰り返し単位の他、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位を有することが好ましい。
・不飽和カルボン酸エステル
不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸エステルを好ましく使用することができ、例えば(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のシクロアルキルエステル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、炭素数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが好ましく、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸のシクロアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。上記例示した不飽和カルボン酸エステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのうち、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルであることが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルから選択される1種以上を使用することがより好ましい。
多孔質重合体粒子100質量部における不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位の含有割合は、5〜80質量部であることが好ましく、10〜75質量部であることがより好ましい。
・芳香族ビニル化合物
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。芳香族ビニル化合物としては、上記のうち特にスチレンであることが好ましい。
多孔質重合体粒子100質量部における芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位の
含有割合は、5〜85質量部であることが好ましく、10〜80質量部であることがより好ましい。
・不飽和カルボン酸
不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の、モノカルボン酸またはジカルボン酸を挙げることができ、これらから選択される1種以上を使用することができる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸及びメタクリル酸から選択される1種以上を使用することが好ましく、アクリル酸がより好ましい。
多孔質重合体粒子100質量部における不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位の含有割合は、1〜10質量部であることが好ましく、2.5〜7.5質量部であることがより好ましい。
・α,β−不飽和ニトリル化合物
α,β−不飽和ニトリル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられ、これらから選択される1種以上を使用することができる。これらのうち、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルよりなる群から選択される1種以上が好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。
多孔質重合体粒子100質量部におけるα,β−不飽和ニトリル化合物に由来する繰り返し単位の含有割合は、1〜10質量部であることが好ましく、2.5〜7.5質量部であることがより好ましい。
・その他の不飽和単量体
その他の不飽和単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等の不飽和カルボン酸のアルキルアミド;アミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、メチルアミノプロピルメタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸のアミノアルキルアミド等を挙げることができ、これらから選択される1種以上を使用することができる。
1.1.2.2.多孔質重合体粒子の製造方法
多孔質重合体粒子の合成方法は特に限定されないが、具体的には乳化重合、播種乳化重合、懸濁重合、播種懸濁重合、溶液析出重合等の方法を用いることが好ましい。これらのうち、乳化重合及び播種乳化重合が好ましく、粒子径分布を均一に制御しやすい点で播種乳化重合がより好ましい。多孔質重合体粒子は、例えば特開2002−30113号公報、特開2009−120784号公報、特開昭62−127336号公報に記載されている方法に準じて作製することができる。
1.2.重合体(B)
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用組成物は、重合体(B)を含有する。重合体(B)を含有することにより、導電助剤粒子同士、活物質粒子同士、及び導電助剤粒子と活物質粒子との結着性を向上させると共に、集電体と活物質層との密着性を向上させる効果が期待できる。また、後述する蓄電デバイス電極用スラリーに重合体(B)が含まれることで、塗工性が向上し、集電体の表面に良好な活物質層を形成することできる。
このような重合体(B)としては、多糖類、熱可塑性樹脂、ゴム弾性を有するポリマー等が挙げられる。好ましい重合体(B)としては、澱粉、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂;メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体;(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンを挙げることができる。これらの中でも、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等を好ましく使用することができ、特許第5077613号公報などに記載されているアクリル系重合体やジエン系重合体を特に好ましく使用することができる。上記例示した重合体(B)は、1種単独または混合して用いることができる。
これらの重合体(B)は、重合体(B)が粒子状に分散した分散液として用いることが好ましい。重合体(B)の含有割合は、後述する蓄電デバイス電極用スラリーに含まれる活物質粒子(D)100質量部に対して、0.1質量部以上25質量部以下となるような割合で使用することが好ましい。このような使用割合とすることにより、密着性により優れ、しかも電極抵抗が小さく充放電特性により優れた蓄電デバイス電極を製造することができる。
1.3.液状媒体(C)
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用組成物は、液状媒体(C)を含有する。液状媒体(C)としては、例えば、水、アミド化合物、炭化水素、アルコール、ケトン、エステル、アミン化合物、ラクトン、スルホキシド、スルホン化合物などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。液状媒体(C)が水系媒体である場合、液状媒体(C)の全質量100質量%中、90質量%以上が水であることが好ましく、98質量%以上が水であることがより好ましい。
1.4.その他の添加剤
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用組成物は、必要に応じて前述した成分以外の添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、例えば増粘剤、導電剤などが挙げられる。
1.5.用途
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用組成物は、蓄電デバイスに使用される蓄電デバイス電極を作製する用途や蓄電デバイスに使用される保護膜を作製する用途に好適である。
<蓄電デバイス電極を作製する用途>
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用組成物を蓄電デバイス電極を作製する用途に用いる場合には、上述の組成物と活物質粒子(D)とを含有する蓄電デバイス電極用スラリーを作製し、これを集電体の表面に塗布した後、乾燥して活物質層を形成する。詳細は後述する。
<保護膜を作製する用途>
蓄電デバイスの小型化を達成するためには、正極と負極とを隔離するセパレータ等の薄膜化も必須となる。しかしながら、蓄電デバイスの小型化によって正極と負極との間隔が狭まると短絡が発生しやすくなるという問題が生じ得る。特にリチウムイオンのような金属イオンを利用する蓄電デバイスでは、充放電を繰り返すことにより電極表面に金属イオンに起因するデンドライトが生じやすい。このようなデンドライトは通常、針状の結晶として析出するため、多孔質膜であるセパレータを貫通して成長しやすい。デンドライトがセパレータを貫通して成長することにより対極表面に到達すると、蓄電デバイスは短絡してしまい、充放電機能を失ってしまう。そのため、セパレータや電極表面に保護膜を形成することにより充放電に伴って発生するデンドライトに起因する短絡を抑制することができる。
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用組成物を保護膜を作製する用途に用いる場合には、該組成物を蓄電デバイス電極またはセパレータの表面もしくはその両方に塗布して塗膜を形成した後、乾燥して、それらの表面に保護膜を形成する。
このようにして形成された保護膜は、充放電に伴って発生するデンドライトに起因する短絡を抑制できるだけでなく、多孔質粒子(A)を含有することにより多孔質化しているので電解液の透過性が良好となる。これにより、電解液/活物質粒子間のリチウムイオン移動の低抵抗化を実現できる。
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用組成物を保護膜を作製する用途に用いる場合には、該組成物に絶縁性の無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーを添加することで、形成される保護膜のタフネスを向上できる。
無機フィラーとしては、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化マグネシウム(マグネシア)等を用いることができる。これらの中でも、保護膜のタフネスをより向上させる観点から、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム及び酸化マグネシウムよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、酸化チタン、酸化アルミニウムであることがより好ましい。また、酸化チタンとしてはルチル型の酸化チタンが特に好ましい。
無機フィラーの平均粒子径は、1μm以下であることが好ましく、0.1〜0.8μmの範囲内であることがより好ましい。なお、無機フィラーの平均粒子径は、多孔質膜であるセパレータの平均孔径よりも大きいことが好ましい。これにより、セパレータへのダメージを軽減し、無機フィラーがセパレータの微多孔に詰まることを防ぐことができる。無機フィラーの平均粒子径は、後述の活物質粒子(D)の平均粒子径(Dd)の測定方法と同様の方法により測定することができる。
2.蓄電デバイス電極用スラリー
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、上述の組成物と、活物質粒子(D)と、を含有する。蓄電デバイス電極用スラリーは、これを集電体の表面に塗布した後、乾燥して、集電体表面上に活物質層を形成するために用いられる。本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーによれば、上述の多孔質粒子(A)を含有するので、形成される活物質層を容易に多孔質化することができる。活物質層を多孔質化することにより、活物質層の表面積が増大し、活物質層と電解液との接触面積が増大する。これにより、電解液/活物質粒子間におけるリチウムイオン移動が低抵抗化するため、蓄電デバイスの充放電特性が飛躍的に向上する。また、本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーによれば、
上述の重合体(B)(バインダー)を含有するので、集電体表面上に形成される活物質層を厚膜化する際に活物質粒子が剥離することを抑制し、さらには厚膜化した活物質層を捲回する際にはクラックの発生を抑制できる。
なお、本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、正極及び負極のいずれの電極を作製する用途にも用いることができる。以下、本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーに含まれる成分について詳細に説明するが、蓄電デバイス電極用組成物については、上述した通りであるから説明を省略する。
2.1.活物質粒子(D)
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーに含まれる活物質粒子(D)を構成する材料としては特に制限はなく、目的とする蓄電デバイスの種類により適宜適当な材料を選択することができる。活物質としては、例えば炭素材料、ケイ素材料、リチウム原子を含む酸化物、鉛化合物、錫化合物、砒素化合物、アンチモン化合物、アルミニウム化合物等を挙げることができる。
上記炭素材料としては、例えばアモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ピッチ系炭素繊維などが挙げられる。
上記ケイ素材料としては、例えばケイ素単体、ケイ素酸化物、ケイ素合金などを挙げることができるほか、例えばSiC、SiO(0<x≦3、0<y≦5)、Si、SiO、SiO(0<x≦2)で表記されるSi酸化物複合体(例えば特開2004−185810号公報や特開2005−259697号公報に記載されている材料など)、特開2004−185810号公報に記載されたケイ素材料を使用することができる。
上記リチウム原子を含む酸化物としては、例えばコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、三元系ニッケルマンガンコバルト酸リチウム、LiFePO、LiCoPO、LiMnPO、Li0.90Ti0.05Nb0.05Fe0.30Co0.30Mn0.30POなどが挙げられる。
活物質粒子(D)の平均粒子径(Dd)としては、1〜100μmであることが好ましく、2〜20μmであることがより好ましい。
ここで、活物質粒子(D)の平均粒子径(Dd)とは、レーザー回折法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、その粒度分布から算出される体積平均粒子径である。このようなレーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えばHORIBA
LA−300シリーズ、HORIBA LA−920シリーズ(以上、株式会社堀場製作所製)などを挙げることができる。この粒度分布測定装置は、活物質粒子の一次粒子だけを評価対象とするものではなく、一次粒子が凝集して形成された二次粒子をも評価対象とする。従って、この粒度分布測定装置によって得られた平均粒子径は、蓄電デバイス電極用スラリー中に含まれる活物質粒子(D)の分散状態の指標とすることができる。なお、活物質粒子(D)の平均粒子径(Dd)は、蓄電デバイス電極用スラリーを遠心分離して活物質を沈降させた後、その上澄み液を除去し、沈降した活物質粒子(D)を上記の方法により測定することによっても測定することができる。
活物質粒子(D)の使用割合は、活物質粒子(D)100質量部に対する重合体(B)の含有割合が、0.1〜25質量部となるような割合で使用することが好ましく、0.5〜15質量部となるような割合で使用することがより好ましい。このような使用割合とすることにより、密着性により優れ、しかも電極抵抗が小さく充放電特性により優れた電極
を製造することができる。
2.2.その他の添加剤
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーには、必要に応じて導電助剤、非水系媒体、増粘剤等を添加することができる。
導電助剤の具体例としては、リチウムイオン二次電池においてはカーボンなどが;ニッケル水素二次電池においては、正極では酸化コバルトが:負極ではニッケル粉末、酸化コバルト、酸化チタン、カーボンなどが、それぞれ用いられる。上記両電池において、カーボンとしては、グラファイト、活性炭、アセチレンブラック、ファーネスブラック、黒鉛、炭素繊維、フラーレンなどを挙げることができる。これらの中でも、アセチレンブラックまたはファーネスブラックを好ましく使用することができる。導電助剤の中でもストラクチャ構造を有するカーボンブラックは、導電性付与という機能の他に、活物質層間に介在することにより、リチウムイオンの出入りによる活物質粒子の体積変化を緩衝する作用がある。これにより、充放電が繰り返されても電極としての形状が保たれ、導電経路が確保されるので、結果として長寿命のリチウムイオン二次電池となる。導電助剤の使用割合は、活物質100質量部に対して、好ましくは20質量部以下である。
2.3.液状媒体
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、上述したような液状媒体(C)を含有することができる。
2.4.蓄電デバイス電極用スラリーの製造方法
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、上述の組成物と、活物質粒子(D)と、必要に応じて用いられる添加剤と、を混合することにより製造することができる。これらの混合は公知の手法による攪拌によって行うことができ、例えば攪拌機、脱泡機、ビーズミル、高圧ホモジナイザーなどを利用することができる。
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーを製造するための混合撹拌としては、スラリー中に活物質の凝集体が残らない程度に撹拌し得る混合機と、必要にして十分な分散条件とを選択する必要がある。分散の程度は粒ゲージにより測定可能であるが、少なくとも100μmより大きい凝集物がなくなるように混合分散することが好ましい。このような条件に適合する混合機としては、例えばボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、ホバートミキサーなどを例示することができる。
3.蓄電デバイス電極
本実施形態に係る蓄電デバイス電極は、集電体と、該集電体の表面上に上述の蓄電デバイス電極用スラリーが塗布及び乾燥されて形成された層と、を備えるものである。かかる蓄電デバイス電極は、金属箔などの適宜の集電体の表面に、上述の蓄電デバイス電極用スラリーを塗布して塗膜を形成し、次いで該塗膜を乾燥して活物質層を形成することにより製造することができる。このようにして製造された蓄電デバイス電極は、集電体上に、上述の多孔質粒子(A)、重合体(B)(バインダー)、活物質粒子(D)、さらに必要に応じて添加した任意成分を含有する活物質層が結着されてなるものである。かかる活物質層は、上述の多孔質粒子(A)を含有するので、多孔質化される。多孔質化された活物質層は、表面積が増大するため、活物質層と電解液との接触面積が増大する。これにより、電解液/活物質粒子間におけるリチウムイオン移動が低抵抗化し、蓄電デバイスの充放電特性が飛躍的に向上する。また、活物質層は、上述の重合体(B)(バインダー)を含有するので、厚膜化しても活物質が剥離せず、また厚膜化した活物質層を捲回してもクラックの発生が抑制される。かかる蓄電デバイス電極は、集電体と活物質層との密着性に優れ
るため、電気的特性の一つであるレート特性が良好となると共に、活物質層の厚膜化が可能となるため、蓄電デバイスの高容量化を実現することができる。
集電体は、導電性材料からなるものであれば特に制限されない。リチウムイオン二次電池においては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの金属製の集電体が使用されるが、特に正極にアルミニウムを、負極に銅を用いた場合、上述の組成物を用いて製造された蓄電デバイス電極用スラリーの効果が最もよく現れる。ニッケル水素二次電池における集電体としては、パンチングメタル、エキスパンドメタル、金網、発泡金属、網状金属繊維焼結体、金属メッキ樹脂板などが使用される。集電体の形状及び厚さは特に制限されないが、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものとすることが好ましい。
蓄電デバイス電極用スラリーの集電体への塗布方法についても特に制限はない。塗布は、例えばドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、浸漬法、ハケ塗り法などの適宜の方法によることができる。蓄電デバイス電極用スラリーの塗布量も特に制限されないが、活物質層を厚膜化した場合でも活物質の剥離やクラックの発生を抑制できることから、液状媒体(C)を除去した後に形成される活物質層の厚さが、50μm以上となる量とすることが好ましく、70μm以上となる量とすることがより好ましい。また、電極の切断など加工性の観点より、活物質層の厚さが、5mm以下となる量とすることが好ましい。活物質層の厚さが上記範囲内にあることによって、活物質層に効果的に電解液を染み込ませることができる。その結果、活物質層中の活物質と電解液との充放電に伴う金属イオンの授受が容易に行われるため、電極抵抗をより低下させることができるため好ましい。また、活物質層の厚さが上記範囲内にあることで、電極を折り畳んだり、捲回するなどして成形加工する場合においても、活物質層が集電体から剥離することなく密着性が良好で、柔軟性に富む蓄電デバイス電極が得られる点で好ましい。
塗布後の塗膜からの乾燥方法(液状媒体(C)の除去方法)についても特に制限されず、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥;真空乾燥;(遠)赤外線、電子線などの照射による乾燥などによることができる。乾燥速度としては、応力集中によって活物質層に亀裂が入ったり、活物質層が集電体から剥離したりしない程度の速度範囲の中で、できるだけ速く液状媒体が除去できるように適宜に設定することができる。
さらに、乾燥後の活物質層をプレスすることにより、活物質層の密度を高め、空孔率を以下に示す範囲に調整することが好ましい。プレス方法としては、金型プレスやロールプレスなどの方法が挙げられる。プレスの条件は、使用するプレス機器の種類、活物質層の空孔率及び密度の所望値によって適宜に設定されるべきである。この条件は、当業者による少しの予備実験により、容易に設定することができるが、例えばロールプレスの場合、ロールプレス機の線圧力は0.1〜10(t/cm)の圧力において、例えばロール温度が20〜100℃において、乾燥後の集電体の送り速度(ロールの回転速度)が1〜80m/minで行うことができる。プレス後の活物質層の密度は、1.5〜5.0g/cmとすることが好ましく、1.5〜4.0g/cmとすることがより好ましい。
4.蓄電デバイス
本実施形態に係る蓄電デバイスは、上述の蓄電デバイス用電極を備えるものであり、さらに電解液を含有し、セパレータなどの部品を用いて、常法に従って製造することができる。具体的な製造方法としては、例えば、負極と正極とをセパレータを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に収納し、該電池容器に電解液を注入して封口する方法などを挙げることができる。電池の形状は、コイン型、円筒型、角形、ラミネート型など、適宜の形状であることができる。
電解液は、液状でもゲル状でもよく、活物質粒子の種類に応じて、蓄電デバイスに用いられる公知の電解液の中から電池としての機能を効果的に発現するものを選択すればよい。電解液は、電解質を適当な溶媒に溶解した溶液であることができる。
上記電解質としては、リチウムイオン二次電池では、従来から公知のリチウム塩のいずれをも使用することができ、その具体例としては、例えばLiClO、LiBF、LiPF、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、LiCFSO、LiCHSO、LiCSO、Li(CFSON、低級脂肪酸カルボン酸リチウムなどを例示することができる。
上記電解質を溶解するための溶媒は、特に制限されるものではないが、その具体例としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート化合物;γ−ブチロラクトンなどのラクトン化合物;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル化合物;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド化合物などを挙げることができ、これらのうちから選択される一種以上を使用することができる。電解液中の電解質の濃度としては0.5〜3.0モル/Lが好ましい。
本実施形態に係る蓄電デバイスは、必要に応じて外装材で被覆される。外装材としては、熱収縮チューブ、粘着テープ、金属フィルム、紙、布、塗料、プラスチックケース等が挙げられる。また、外装の少なくとも一部に熱で変色する部分を設け、使用中の熱履歴がわかるようにしてもよい。
本実施形態に係る蓄電デバイスは、必要に応じて複数本を直列及び/又は並列に組み電池パックに収納される。電池パックには正温度係数抵抗体、温度ヒューズ、ヒューズ及び/又は電流遮断素子等の安全素子の他、安全回路(各電池及び/又は組電池全体の電圧、温度、電流等をモニターし、必要なら電流を遮断する機能を有する回路)を設けてもよい。また電池パックには、組電池全体の正極及び負極端子以外に、各電池の正極及び負極端子、組電池全体及び各電池の温度検出端子、組電池全体の電流検出端子等を外部端子として設けることもできる。また電池パックには、電圧変換回路(DC−DCコンバータ等)を内蔵してもよい。また各電池の接続は、リード板を溶接することで固定してもよいし、ソケット等で容易に着脱できるように固定してもよい。さらには、電池パックに電池残存容量、充電の有無、使用回数等の表示機能を設けてもよい。
5.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
5.1.多孔質重合体粒子の作製
<合成例1>
撹拌装置及び温度調節器を備えた容量2リットルの耐圧反応容器に水109.5質量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部、分子量調節剤としてオクチルグリコール0.5質量部及び重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5質量部を投入した。次にメタクリル酸20質量部とメタクリル酸メチル80質量部とを混合したモノマー混合物の20%を耐圧反応容器に投入した。その後、撹拌しながら温度75℃まで昇温し、75℃到達後1時間、重合反応を行い、その後、温度を75℃に保ちながら残
りのモノマー混合物を連続的に2時間かけて耐圧反応容器に添加した。その後、さらに2時間熟成を行い、固形分40%、平均粒子径が200nmの重合体粒子(a1)の水分散体を得た。
撹拌装置及び温度調節器を備えた容量2リットルの耐圧反応容器に、水186質量部を投入し、これに上記で得られた平均粒子径200nmの重合体粒子(a1)を固形分で10質量部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5質量部を投入し撹拌しながら温度80℃まで昇温した。次に、メタクリル酸30質量部、メタクリル酸メチル69.5質量部及びジビニルベンゼン0.5質量部を混合したモノマー混合物を耐圧反応容器に、温度80℃を保持し、撹拌しながら連続的に3時間かけて投入した。その後、さらに2時間熟成を行い、固形分31%、平均粒子径400nmの重合体粒子(a2)の水分散体を得た。
撹拌装置及び温度調節器を備えた容量2リットルの耐圧反応容器に、水350質量部を投入し、これに上記で得られた平均粒子径400nmの重合体粒子(a2)を固形分で15質量部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.4質量部を投入し、撹拌しながら温度80℃まで昇温した。次に、スチレン50質量部、ジビニルベンゼン25質量部及びエチルビニルベンゼン25質量部を混合したモノマー混合物を、撹拌しながら耐圧反応容器に連続的に4時間かけて投入した。モノマー混合物を投入する間、耐圧反応容器の温度は80℃に保持した。モノマー混合物の連続投入終了後、80℃に保持した耐圧反応容器内に25%アンモニウム水を5質量部投入して3時間熟成を行った。
その後、水分を除去して乾燥し、pHを10に調整したアンモニア水で洗浄し、さらにイオン交換水で4回洗浄することで水溶性成分を除去し、再度乾燥させることで多孔質重合体粒子Aを得た。
B.J.H.法により多孔質重合体粒子Aを分析したところ、細孔容積は0.24cm/gであった。また、日立透過型電子顕微鏡H−7650(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)により多孔質重合体粒子Aを観察したところ、観察された粒子100個の平均粒子径が1μm、粒子内径が600nmの中空重合体粒子であり、容積空孔率は22%であった。
<合成例2>
上記合成例1において、重合体粒子(a2)を固形分で15質量部、スチレン50質量部、ジビニルベンゼン25質量部及びエチルビニルベンゼン25質量部を混合したモノマー混合物に代えて、重合体粒子(a2)を固形分で50質量部、スチレン77質量部、ジビニルベンゼン22質量部及びアクリル酸1質量部を混合したモノマー混合物を用いたこと以外は、合成例1と同様にして、細孔容積1.5cm/g、平均粒子径0.81μm、粒子内径700nm、容積空孔率65%の中空状の多孔質重合体粒子Bを得た。
<合成例3>
撹拌装置及び温度調節器を備えた容量2リットルの耐圧反応容器に、スチレン99質量部、メタクリル酸1質量部及びt−ドデシルメルカプタン8質量部を、水200質量部にラウリル硫酸ナトリウム0.4質量部及び過硫酸カリウム1.0質量部を溶かした水溶液に入れ、攪拌しながら70℃で8時間重合して、平均粒子径が250nmの重合体粒子(c1)の水分散体を得た。
次に、この重合体粒子(c1)を固形分で10質量部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.1質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3質量部及び過硫酸カリウム0.5質量部を水900質量部に分散させた。これにメタクリル酸メチル60質量部、ジビニルベンゼン30質量部、スチレン10質量部及びトルエン20質量部のモノマー混合物
を加えて30℃で1時間撹拌し、続いて70℃で5時間撹拌した後に冷却し、スチームストリップ処理を行ない、合成例1と同様に乾燥させることにより、細孔容積0.47cm/g、平均粒子径0.49μm、粒子内径350nm、容積空孔率36%の中空状の多孔質重合体粒子Cを得た。
<合成例4>
上記合成例3において、メタクリル酸メチル60質量部、ジビニルベンゼン30質量部、スチレン10質量部及びトルエン20質量部のモノマー混合物に代えて、メタクリル酸メチル60質量部、メタクリル酸アリル40質量部及びトルエン15質量部を混合したモノマー混合物を用いたこと以外は合成例3と同様にして、細孔容積0.14cm/g、平均粒子径0.42μm、粒子内径220nm、容積空孔率14%の中空状の多孔質重合体粒子Dを得た。
<合成例5>
撹拌装置及び温度調節器を備えた容量2リットルの耐圧反応容器に水109.5質量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部、分子量調節剤としてオクチルグリコール0.5質量部及び重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5質量部を投入した。次に、メタクリル酸15質量部及びメタクリル酸メチル85質量部のモノマー混合物の20%を耐圧反応容器に投入した。その後、撹拌しながら温度75℃まで昇温し、75℃到達後1時間、重合反応を行い、その後、温度を75℃に保ちながら残りのモノマー混合物を連続的に2時間かけて耐圧反応容器に添加した。その後、さらに2時間熟成を行い、固形分40%、平均粒子径が200nmの重合体粒子(e1)の水分散体を得た。
撹拌装置及び温度調節器を備えた容量2リットルの耐圧反応容器に、水186質量部を投入し、これに上記で得られた平均粒子径200nmの重合体粒子(e1)を固形分で10質量部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5質量部を投入し、撹拌しながら温度80℃まで昇温した。次に、メタクリル酸30質量部、メタクリル酸メチル69.5質量部及びジビニルベンゼン0.5質量部を混合したモノマー混合物を耐圧反応容器に、温度80℃を保持し、撹拌しながら連続的に3時間かけて投入した。その後、さらに2時間熟成を行い、固形分31%、平均粒子径400nmの重合体粒子(e2)の水分散体を得た。
撹拌装置及び温度調節器を備えた容量2リットルの耐圧反応容器に、水350質量部を投入し、これに上記で得られた平均粒子径400nmの重合体粒子(e2)を固形分で20質量部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.4質量部を投入し、撹拌しながら温度80℃まで昇温した。次に、スチレン90質量部、ジビニルベンゼン9質量部及びアクリル酸1質量部を混合したモノマー混合物を、撹拌しながら耐圧反応容器に連続的に4時間かけて投入した。モノマー混合物を投入する間、耐圧反応容器の温度は80℃に保持した。モノマー混合物の連続投入終了後、80℃に保持した耐圧反応容器内に25%アンモニウム水を5質量部投入して3時間熟成を行った。
その後、水分を除去して乾燥し、pHを10に調整したアンモニア水で洗浄し、さらにイオン交換水で4回洗浄することで水溶性成分を除去し、再度乾燥させることで細孔容積0.87cm/g、平均粒子径1μm、粒子内径800nm、容積空孔率51%の中空状の多孔質重合体粒子Eを得た。
5.2.実施例1
5.2.1.蓄電デバイス電極(正極)の作製
多孔質シリカ粒子Aのメチルイソブチルケトン分散体(日産化学工業株式会社製、商品
名「ライトスター(登録商標)LA−OS263BK」、平均粒子径0.3μm、比表面積250m/g、細孔容積0.74cm/g)20質量部(SiO換算)及びN−メチルピロリドン(NMP)80質量部を300mLのナスフラスコに入れ、35℃の水浴を備えたエバポレーターに設置し、30hPaに減圧し、1時間かけて溶媒を減圧留去した。その後、NMPを追加することで、多孔質シリカ粒子を20質量%含有する多孔質シリカ粒子AのNMP分散体を得た。
二軸型プラネタリーミキサー(プライミクス株式会社製、商品名「TKハイビスミックス2P−03」)に、電気化学デバイス電極用バインダー(株式会社クレハ製、商品名「KFポリマー#7208」)を1質量部、導電助剤粒子(電気化学工業株式会社製、商品名「デンカブラック50%プレス品」、平均粒子径D=0.036μm)を3質量部、正極活物質としてLiCoO(Umicore社製、製品名「KD−10」、平均粒子径D=5μm)を100質量部、NMP36質量部及び上記で得られた多孔質シリカ粒子NMP分散体を10質量部(多孔質シリカ粒子換算1質量部相当)を投入し、60rpmで2時間撹拌を行った。その後電気化学デバイス電極用バインダー(株式会社クレハ製、商品名「KFポリマー#7208」)1質量部を加え、さらに30分間撹拌し、ペーストを得た。得られたペーストにNMPを追加し、NMPを除いた成分の含有量を65質量%に調製した後、攪拌脱泡機(株式会社シンキー製、商品名「泡とり練太郎」)を使用して、200rpmで2分間、1,800rpmで5分間、さらに減圧下(約2.5×10Pa)において1,800rpmで1.5分間攪拌混合することにより、電極(正極)用の蓄電デバイス電極用スラリーを調製した。
集電体として厚み10μmのステンレス箔(表面粗さRa=0.05μm)の表面に、上記で得られた正極用のスラリーを、乾燥後の膜厚が80μmとなるようにドクターブレード法によって均一に塗布し、120℃で20分間乾燥処理した。その後、活物質層の密度が3.0g/cmになるようにロールプレス機によりプレス加工することにより、蓄電デバイス電極(正極)を得た。
上記で製造した負極を直径15.95mmに打ち抜き成形したものを、真空検体乾燥機(株式会社石井理化学機器製作所、商品名「HD−3HG」)に入れ、30hPaに減圧した後、160℃で6時間加熱し、極板を十分に乾燥させた。
5.2.2.蓄電デバイス電極(負極)の作製
二軸型プラネタリーミキサー(プライミクス株式会社製、商品名「TKハイビスミックス 2P−03」)に増粘剤(商品名「CMC2200」、株式会社ダイセル製)を1質量部(濃度2質量%の水溶液として添加)、負極活物質として人造黒鉛(日立化成工業株式会社製、商品名「MAG」)を80質量部、導電助剤粒子(電気化学工業株式会社製、商品名「デンカブラック50%プレス品」、平均粒子径D=0.036μm)を1.0質量部、及び水68質量部を投入し、60rpmで1時間撹拌を行った。その後、SBRバインダー(JSR株式会社製、商品名「TRD2101」、48質量%水分散体)を、4.2質量部(SBR 2質量部相当)加え、さらに1時間撹拌しペーストを得た。得られたペーストに水を投入し、水を除いた成分の含有量を50質量%に調整した後、撹拌脱泡機(株式会社シンキー製、商品名「泡とり練太郎」)を使用して、200rpmで2分間、1800rpmで5分間、さらに減圧下(約2.5×10Pa)において1800rpmで1.5分間撹拌混合することにより、負極用の蓄電デバイス電極用スラリーを調製した。
集電体として厚み10μmのステンレス箔(表面粗さRa=0.05μm)の表面に、上記で得られた負極用のスラリーを、乾燥後の膜厚が80μmとなるようにドクターブレード法によって均一に塗布し、60℃で10分乾燥し、次いで120℃で10分間乾燥処
理した。その後、活物質層の密度が1.5g/cmになるようにロールプレス機によりプレス加工することにより、蓄電デバイス電極(負極)を得た。
上記で製造した負極を直径16.16mmに打ち抜き成形したものを、真空検体乾燥機(株式会社石井理化学機器製作所製、商品名「HD−3HG」)に入れ、30hPaに減圧させた後、160℃で6時間加熱し、極板を十分に乾燥させた。
5.2.3.蓄電デバイスの製造及び評価
(1)リチウムイオン電池セルの組立て
露点が−80℃以下となるようAr置換されたグローブボックス内で、上記で作製した負極を、2極式コインセル(宝泉株式会社製、商品名「HSフラットセル」)上に載置した。次いで、直径24mmに打ち抜いたポリプロピレン製多孔膜からなるセパレータ(セルガード株式会社製、商品名「セルガード#2400」)を載置し、さらに、空気が入らないように電解液を500μL注入した後、上記で作製した正極を載置し、前記2極式コインセルの外装ボディーをネジで閉めて封止することにより、リチウムイオン電池(蓄電デバイス)を組み立てた。ここで使用した電解液は、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=3/7(質量比)の溶媒に、LiPFを1モル/Lとビニルカーボネートを1モル/Lの濃度で溶解した溶液である。
(2)レート特性の評価
上記で製造したリチウムイオン電池につき、室温にて、定電流(0.2C)にて充電を開始し、電圧が4.2Vになった時点で引き続き定電圧(4.2V)にて充電を続行し、電流値が0.01Cとなった時点を充電完了(カットオフ)として、0.2Cでの充電容量を測定した。次いで、定電流(0.2C)にて放電を開始し、電圧が2.5Vになった時点を放電完了(カットオフ)とし、0.2Cでの放電容量を測定した。
次に、同じセルにつき、定電流(0.2C)にて充電を開始し、電圧が4.2Vになった時点で引き続き定電圧(4.2V)にて充電を続行し、電流値が0.01Cとなった時点を充電完了(カットオフ)として0.2Cでの充電容量を測定した。次いで、定電流(3C)にて放電を開始し、電圧が2.5Vになった時点を放電完了(カットオフ)とし、3Cでの放電容量を測定した。3Cでの放電容量が110mAh/gを超える場合、放電容量は十分大きく良好であると判断する。110mAh/g以下の場合、放電容量は不十分であり不良と判断する。その結果を表1及び表2に示す。なお、表1及び表2に示すレート特性は、下記式(4)により求められる値であり、いわゆる残存容量率を表す。
レート特性(%)=(3C放電容量/0.2C放電容量)×100・・・(4)
なお、測定条件において「1C」とは、ある一定の電気容量を有するセルを定電流放電して1時間で放電終了となる電流値のことを示す。例えば「0.1C」とは10時間かけて放電終了となる電流値のことであり、「10C」とは0.1時間かけて放電完了となる電流値のことをいう。
5.3.実施例2〜14、比較例1〜3
実施例2〜14及び比較例1〜3では、上記実施例1において多孔質粒子の種類を表1及び表2に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にして蓄電デバイスを作製し、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1及び表2に併せて示す。
Figure 2017107792
Figure 2017107792
上表1及び上表2において、実施例、比較例中の粒子の行における数値は「質量部」を表す。また、上表1及び上表2において、使用した各材料は、それぞれ以下の商品名を表す。
・多孔質シリカ粒子A:日産化学工業株式会社製、商品名「ライトスター(登録商標)LA−OS263BK」、平均粒子径0.3μm、細孔容積0.74cm/g、比表面積
250m/g
・多孔質シリカ粒子B:日産化学工業株式会社製、商品名「ライトスター(登録商標)LA−S20C」、平均粒子径0.7μm、細孔容積1.0cm/g、比表面積240m/g
・シリカ粒子C:日産化学工業株式会社製、商品名「オルガノゾルMEK−ST−ZL」、平均粒子径0.2μm、細孔容積<0.001cm/g(測定限界以下)、比表面積<1m/g(測定限界以下)
・多孔質重合体粒子A〜E:上記合成例1〜5で作製した多孔質重合体粒子A〜E
5.4.評価結果
表1及び表2から明らかなように、実施例1〜14に示した本発明に係る蓄電デバイス電極用組成物を用いて作製された蓄電デバイスは、充放電特性が良好となることが判明した。一方、比較例1〜3に示した、本発明に係る蓄電デバイス電極用組成物を使用しない蓄電デバイスは充放電特性が不良であった。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。

Claims (6)

  1. 多孔質粒子(A)と、
    重合体(B)と、
    液状媒体(C)と、
    を含有し、
    前記多孔質粒子(A)の細孔容積が0.01cm/g以上2cm/g以下である、蓄電デバイス電極用組成物。
  2. 前記多孔質粒子(A)の平均粒子径(Da)が0.1μm以上5μm以下である、請求項1に記載の蓄電デバイス電極用組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の蓄電デバイス電極用組成物と、活物質粒子(D)と、を含有する、蓄電デバイス電極用スラリー。
  4. 前記活物質粒子(D)の平均粒子径(Dd)が1μm以上100μm以下である、請求項3に記載の蓄電デバイス電極用スラリー。
  5. 請求項3または請求項4に記載の蓄電デバイス電極用スラリーを用いて作製された蓄電デバイス電極。
  6. 請求項5に記載の蓄電デバイス電極を備える蓄電デバイス。
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