本発明は、血液凝固カスケードを調節する能力を有するTFPI拮抗ペプチドを含む、組織因子経路阻害剤(TFPI)に結合するペプチドを提供する。例えば、本発明は、アミノ酸配列X7X8X9X10X11X12X13X14X15X16X17X18X19X20X21(配列番号3109)を含み、式中、
X7は、L、P、K、S、W、V、N、およびQからなる群から選択され、
X8は、L、R、N、F、およびIからなる群から選択され、
X9は、Y、V、P、およびCからなる群から選択され、
X10は、F、L、およびGからなる群から選択され、
X11は、L、W、V、A、M、T、およびSからなる群から選択され、
X12は、T、F、V、R、A、D、L、E、S、およびYからなる群から選択され、
X13は、I、M、G、Q、D、およびRからなる群から選択され、
X14は、G、W、Y、L、M、およびHからなる群から選択され、
X15は、N、P、F、H、K、およびYからなる群から選択され、
X16は、M、D、E、V、G、およびKからなる群から選択され
X17は、G、I、R、S、T、およびLからなる群から選択され、
X18は、M、K、L、およびIからなる群から選択され、
X19は、Y、G、R、およびSからなる群から選択され、
X20は、A、E、S、C、およびYからなる群から選択され、
X21は、A、V、K、およびEからなる群から選択される、ペプチドを提供する。
一態様において、本ペプチドは、X7に直接結合した1つ以上のN末端アミノ酸(複数を含む)を含み、N末端アミノ酸(複数を含む)は、
X6、
X5X6、
X4X5X6、
X3X4X5X6(配列番号3110)、
X2X3X4X5X6(配列番号3111)、および
X1X2X3X4X5X6(配列番号3112)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、式中、
X1は、TおよびGからなる群から選択され、X2は、FおよびVからなる群から選択され、X3は、V、W、Y、およびFからなる群から選択され、X4は、D、Q、およびSからなる群から選択され、X5は、E、T、N、およびSからなる群から選択され、X6は、R、H、K、およびAからなる群から選択される。
代替として、またはそれに加えて、本ペプチドは、X21に直接結合した1つ以上のC末端アミノ酸を含み、C末端アミノ酸(複数を含む)は、
X22、
X22X23、
X22X23X24、
X22X23X24X25(配列番号3113)、
X22X23X24X25X26(配列番号3114)、および
X22X23X24X25X26X27(配列番号3115)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、式中、
X22は、Q、I、E、W、R、L、およびNからなる群から選択され、X23は、L、V、M、およびRからなる群から選択され、X24は、K、L、A、およびYからなる群から選択され、X25は、Fであり、X26は、Gであり、X27は、Tである。
一態様において、本発明は、血液凝固カスケード内のTFPI活性を阻害する、配列番号1〜7に示されるアミノ酸配列を含むペプチド、例えばJBT0132、JBT0303、JBT0193、JBT0178、JBT0120、およびJBT0224のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含むペプチドを提供する。本発明はまた、TFPIに結合するペプチドであって、配列Phe−Gln−Ser−Lys−Gly−Asn−Val−Phe−Val−Asp−Gly−Tyr−Phe−Glu−Arg−Leu−Arg−Ala−Lys−Leu(FQSKGNVFVDGYFERLRAKL)(配列番号32)と少なくとも60%同一のアミノ酸配列を含むペプチドを提供する。
さらに、本発明は、TFPIに結合するペプチドであって、式(I):X1001−X1002−X1003−X1004−X1005−X1006−X1007−X1008−X1009−X1010−X1011−X1012−X1013−X1014−X1015−X1016−X1017−X1018−X1019−X1020(配列番号3116)の構造を有するペプチドを提供する。式(I)中、
X1001は、Bhf、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、Nmf、Q、R、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1002は、G、K、およびQからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1003は、A、Aib、Bhs、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1004は、a、A、Aib、Bhk、C、D、E、F、G、H、I、K、k、L、M、N、Nmk、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1005は、A、Aib、Bal、C、D、d、E、F、G、H、K、k、L、M、N、Nmg、p、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1006は、A、Aib、Btq、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1007は、A、F、G、I、K、L、Nmv、P、Q、S、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1008は、F、H、K、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1009は、A、Aib、f、I、K、S、T、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1010は、A、Aib、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Nmf、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1011は、Aib、C、K、G、およびNmgからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1012は、Yであり、
X1013は、A、Aib、C、E、F、G、H、K、L、M、Q、R、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1014は、A、Aib、Bhe、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1015は、(オメガ−メチル)−R、D、E、K、およびRからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1016は、Lであり、
X1017は、(オメガ−メチル)−R、A、Aib、Bhr、C、Cha、Cit、D、Dab、Dap、E、Eag、Eew、F、G、H、Har、Hci、Hle、I、K、L、M、N、Nle、Nva、Opa、Orn、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1018は、A、Bal、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1019は、Bhk、K、R、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1020は、存在する、または存在せず、X1020が存在する場合、X1020は、Aib、Bhl、C、F、G、H、I、K、L、Nml、Q、R、S、T、V、WおよびYからなる群から選択されるアミノ酸である。
一態様において、TFPIに結合するペプチドは、式(III):X1001−Q−X1003−X1004−X1005−X1006−I/V−X1008−V−X1010−G−Y−C/F−X1014−R−L−X1017−X1018−K−K/L(III)(配列番号3117)の構造を有する。式(III)中、X1001、X1003、X1004、X1005、X1006、X1008、X1010、X1014、X1017、およびX1018は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸から選択される。
本発明は、さらに、式(V):X2001−X2002−X2003−X2004−X2005−X2006−[X2007−X2008−X2009−X2010−X2011−X2012−X2013−X2014−X2015−X2016−X2017−X2018]−X2019−X2020−X2021−X2022−X2023(V)(配列番号3118)の構造を有する、TFPI結合性ペプチドを提供する。式(V)中、X2001、X2002、およびX2023は、独立して、存在する、または存在しない。存在する場合、X2001は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、P、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、X2002は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸である。さらに、
X2003は、A、F、I、K、L、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2004は、A、D、E、F、G、I、K、L、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2005は、Wであり、
X2006は、F、H、I、K、L、R、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2007は、C、Hcy、Dap、およびKからなる群から選択される、好ましくはCおよびHcyからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2008は、A、G、R、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2009は、a、A、I、K、L、M、m、Nle、p、R、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2010は、A、G、I、K、L、P、R、S、T、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2011は、D、E、G、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2012は、A、a、D、d、E、e、F、f、G、I、K、k、L、l、M、m、Nle、nle、P、p、R、r、S、s、T、t、V、v、W、およびwからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2013は、A、D、d、E、e、F、G、I、K、L、R、S、s、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2014は、A、D、E、F、G、I、K、L、M、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2015は、A、D、E、F、G、I、K、L、M、Nle、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2016は、A、D、E、F、I、K、L、M、Nle、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2017は、A、D、E、F、G、I、K、L、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2018は、CおよびDからなる群から選択されるアミノ酸であり(好ましくは、X2018はCである)、
X2019は、A、F、I、L、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2020は、FおよびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2021は、I、L、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2022は、A、D、E、F、G、I、K、L、P、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸である。
ペプチド中にX2023が存在する場合、X2023は、A、D、E、F、G、I、K、L、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸である。一態様において、本ペプチドは、式(V)中括弧で示されるX2007とX2018との間の結合により生成される環状構造を有する。
本発明はまた、TFPIに結合するペプチドであって、式(VI):X2001−X2002−F/Y−K−W−F/H−[C−X2008−M/V−X2010−D−X2012−X2013−G−I/T−X2016−S/T−C]−A/V−W−V−X2022−X2023(VI)(配列番号3119)の構造の少なくともアミノ酸3〜22を含むペプチドを提供する。式(VI)中、X2001、X2002およびX2023は、それぞれ独立して、存在する、または存在しない。X2008、X2010、X2012、X2013、X2016、およびX2022、ならびにX2001、X2002、およびX2023は、存在する場合、それぞれ独立して、任意のアミノ酸から選択される。本ペプチドは、式(VI)中括弧で示されるX2007とX2018との間の結合により生成される環状構造を有する。
一態様において、本発明は、TFPIに結合するペプチドであって、式(VIII):X3001−X3002−X3003−X3004−X3005−X3006−X3007−X3008−X3009−X3010−X3011−X3012−X3013−X3014−X3015−X3016−X3017−X3018−X3019−X3020−X3021(VIII)(配列番号3120)の構造の少なくともアミノ酸3〜21(X3003〜X3021)を含むペプチドを提供する。式(VIII)中、X3001およびX3002は、それぞれ独立して、存在する、または存在しない。存在する場合、X3001は、A、C、D、F、G、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、E、H、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X3002は、A、C、D、F、H、K、M、N、P、R、S、T、W、Y、G、I、およびLからなる群から選択されるアミノ酸である。式(VIII)の残りに関して、
X3003は、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3004は、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、Y、およびPからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3005は、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3006は、A、W、C、K、P、R、およびHからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3007は、Q、A、C、F、G、H、I、K、L、N、R、S、T、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3008は、A、C、F、G、H、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、Y、およびIからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3009は、A、C、F、G、H、I、L、M、R、S、T、V、W、Y、およびKからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3010は、A、C、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3011は、A、G、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、Y、C、F、およびHからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3012は、A、C、H、I、K、L、およびRからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3013は、A、C、F、G、H、K、L、M、R、S、V、W、Y、およびIからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3014は、A、C、F、G、H、I、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、Y、およびKからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3015は、A、K、およびRからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3016は、A、F、K、およびRからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3017は、A、C、F、G、I、K、L、N、Q、R、S、T、V、W、Y、H、A、およびMからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3018は、A、C、F、I、K、L、M、Q、R、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3019は、A、C、D、E、F、G、H、K、L、N、P、Q、R、V、W、Y、およびIからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3020は、A、C、F、G、H、K、L、M、N、Q、R、V、W、Y、I、およびPからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3021は、A、C、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、Y、F、およびGからなる群から選択されるアミノ酸である。
さらに、本発明は、式(IX):X3001−X3002−X3003−X3004−X3005−X3006−X3007−X3008−X3009−X3010−X3011−H−X3013−X3014−K/R−R−X3017−X3018−X3019−X3020−X3021(IX)(配列番号3121)の構造を有し、式中、X3001、X3002、X3003、X3004、X3005、X3006、X3007、X3008、X3009、X3010、X3011、X3013、X3014、X3017、X3018、X3019、X3020、およびX3021は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸から選択される、TFPI結合性ペプチドを提供する。さらに、本発明は、TFPIに結合するペプチドであって、式(X):Ac−GYASFPWFVQLHVHKRSWEMA−NH2(配列番号223)の配列と少なくとも60%同一のアミノ酸配列を含むペプチドを提供する。
本発明は、さらに、式(XI):X4001−Q−X4003−X4004−X4005−X4006−X4007−X4008−X4009−X4010−X4011−X4012−X4013−X4014−R−X4016−X4017−X4018−X4019−X4020(XI)の構造を有するTFPI結合性ペプチドを提供する。式(XI)に関して、
X4001は、F、L、M、Y、1Ni、Thi、Bta、およびDopaからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4003は、C、D、E、M、Q、R、S、T、Ede(O)、およびCmcからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4004は、Aib、E、G、I、K、L、M、P、R、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4005は、a、A、Aib、C、D、d、E、G、H、K、k、M、N、Nmg、p、Q、R、NpropylG、aze、pip、tic、oic、hyp、nma、Ncg、Abg、Apg、thz、およびdtcからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4006は、A、C、C(NEM)、D、E、G、H、K、M、N、Q、R、S、V、Cit、C(Acm)、Nle、I、Ede(O)、Cmc、Ecl、Eea、Eec、Eef、Nif、およびEewからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4007は、I、V、T、Chg、Phg、およびTleからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4008は、F、H、1Ni、2Ni、Pmy、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4009は、Aib、V、Chg、Phg、Abu、Cpg、Tle、およびL−2−アミノ−4,4,4−トリフルオロ酪酸からなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4010は、A、C、D、d、E、F、H、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、Y、Nmd、およびC(NEM)からなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4011は、A、a、G、p、Sar、c、およびhcyからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4012は、Y、Tym、Pty、Dopa、およびPmyからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4013は、C、F、1Ni、Thi、およびBtaからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4014は、A、Aib、C、C(NEM)、D、E、K、L、M、N、Q、R、T、V、およびHcyからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4016は、L、Hcy、Hle、およびAmlからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4017は、A、a、Aib、C、c、Cha、Dab、Eag、Eew、H、Har、Hci、Hle、I、K、L、M、Nle、Nva、Opa、Orn、R、S、Deg、Ebc、Eca、Egz、Aic、Apc、およびEgtからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4018は、A、Aib、Hcy、hcy、C、c、L、Nle、M、N、およびRからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4019は、K、R、およびHarからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4020は、K、L、Hcy、およびAmlからなる群から選択されるアミノ酸である。
式(XI)のTFPI結合性ペプチドは、構造式(XII):X5001−Q−X5003−X5004−X5005−X5006−I/V−X5008−Aib/V−X5010−G−Y−X5013−X5014−R−L−X5017−X5018−K−K/L(XII)を有さない。式(XII)中、
X5001は、F、L、M、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5003は、C、D、E、M、Q、R、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5004は、E、G、I、K、L、M、P、R、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5005は、a、A、Aib、C、D、d、E、G、H、K、k、M、N、Nmg、Q、R、およびpからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5006は、A、C、D、E、G、H、K、M、N、Q、R、S、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5008は、F、H、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5010は、A、C、D、E、F、H、D、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5013は、Aib、C、およびFからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5014は、A、Aib、C、D、E、K、L、M、N、Q、R、T、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5017は、A、Aib、C、Cha、Dab、Eag、Eew、H、Har、Hci、Hle、I、K、L、M、Nle、Nve、Opa、Orn、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5018は、A、C、L、M、N、およびRからなる群から選択されるアミノ酸である。
本発明はまた、配列番号4022、4024、4032、4036〜4047、4049〜4078、4086〜4097、4100〜4127、4129〜4170、4173〜4195、4200〜4214、4217〜4225、4228、4230、4231、4238、および4239からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチド、ならびに、配列番号1294〜1336、4002、4013、4021、4023、4025〜4031、4033〜4035、4048、4079〜4085、4098、4099、4128、4171、4172、4196〜4199、4215、4216、4226、4277、4229、4232、および4233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを含む。
本開示に関して、式(I)から(XI)のいずれか、および本明細書に記載の任意のTFPI結合性ペプチドに包含される任意のペプチドは、「本発明のペプチド」および「本明細書に記載のペプチド」とも呼ばれる。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチドは、FVIII、FIX、および/またはFXIの非存在下で、TFPI−1(例えばTFPI−1α)に結合し、随意にTFPI制御トロンビン生成を改善する。ペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)もまた提供される。
さらに、本発明は、本発明のペプチドを使用する方法を提供する。例えば、本発明は、TFPIを阻害する方法であって、TFPIを本明細書に記載のペプチドに接触させることを含む方法を提供する。本発明はまた、凝固因子欠乏対象におけるトロンビン形成を向上させる方法、対象における凝血形成を増加させる方法、および対象における血液凝固障害を治療する方法を提供する。方法は、全体的に、本明細書において、例えば「本発明の方法」とも呼ばれる。方法は、トロンビン形成を向上させるのに効果的な量、凝血形成を向上させるのに効果的な量、または対象における血液凝固障害を治療するのに効果的な量の本明細書に提供されるペプチドを対象に投与することを含む。逆の意味が明示的に示されない限り、本発明の1つのペプチドまたは本発明の方法に関して本明細書に提供される説明は、それぞれ、ありとあらゆる本発明のペプチドおよび本発明の方法に適用される。本発明のさらなる態様は、医薬の製造のための本発明のペプチドの使用、TFPIを示す細胞を標的とするための方法、疾患に罹患している、または疾患に罹患する危険性のある対象を治療または診断するための方法、TFPIを精製する方法、およびTFPI結合性化合物を識別する方法を含む。
本発明はまた、TFPI結合性化合物を識別するための方法であって、(a)TFPI Kunitzドメイン1(KD1)を含むペプチドを、試験化合物と接触させることと、(b)ヒトTFPI残基Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47、およびIle55に対応するKD1アミノ酸残基により画定されるTFPI結合部位に対する、試験化合物の結合を検出することと、を含む方法を含む。ヒトTFPIを阻害するための方法であって、ヒトTFPIを、アミノ酸残基Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47、およびIle55により画定される結合部位でヒトTFPIと結合する阻害剤と接触させることを含む方法もまた提供される。本発明は、さらに、コンピュータのプロセッサ上で実行されると、TFPI Kunitzドメイン1(KD1)タンパク質および試験化合物における選択された三次元(3D)ポイント間の相互作用をモデル化する方法、ならびに、試験化合物を、TFPI Kunitzドメイン1(KD1)タンパク質における選択された三次元ポイントと比較する方法を実行する、コンピュータにより実行可能な命令を有するコンピュータ記憶媒体を提供する。
上記方法は、全体的に、本明細書において、例えば「本発明の方法」とも呼ばれる。
以下の番号を付した項は、それぞれ、本発明の1つ以上の例示的変形例を簡潔に定義する。
項1.TFPIに結合するペプチドであって、式(XI):X4001−Q−X4003−X4004−X4005−X4006−X4007−X4008−X4009−X4010−X4011−X4012−X4013−X4014−R−X4016−X4017−X4018−X4019−X4020(XI)の構造を有し、式中、X4001は、F、L、M、Y、1Ni、Thi、Bta、およびDopaからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4003は、C、D、E、M、Q、R、S、T、Ede(O)、およびCmcからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4004は、Aib、E、G、I、K、L、M、P、R、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4005は、a、A、Aib、C、D、d、E、G、H、K、k、M、N、Nmg、p、Q、R、NpropylG、aze、pip、tic、oic、hyp、nma、Ncg、Abg、Apg、thz、およびdtcからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4006は、A、C、C(NEM)、D、E、G、H、K、M、N、Q、R、S、V、Cit、C(Acm)、Nle、I、Ede(O)、Cmc、Ecl、Eea、Eec、Eef、Nif、およびEewからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4007は、I、V、T、Chg、Phg、およびTleからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4008は、F、H、1Ni、2Ni、Pmy、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4009は、Aib、V、Chg、Phg、Abu、Cpg、Tle、およびL−2−アミノ−4,4,4−トリフルオロ酪酸からなる群から選択されるアミノ酸であり、X4010は、A、C、D、d、E、F、H、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、Y、Nmd、およびC(NEM)からなる群から選択されるアミノ酸であり、X4011は、A、a、G、p、Sar、c、およびhcyからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4012は、Y、Tym、Pty、Dopa、およびPmyからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4013は、C、F、1Ni、Thi、およびBtaからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4014は、A、Aib、C、C(NEM)、D、E、K、L、M、N、Q、R、T、V、およびHcyからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4016は、L、Hcy、Hle、およびAmlからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4017は、A、a、Aib、C、c、Cha、Dab、Eag、Eew、H、Har、Hci、Hle、I、K、L、M、Nle、Nva、Opa、Orn、R、S、Deg、Ebc、Eca、Egz、Aic、Apc、およびEgtからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4018は、A、Aib、Hcy、hcy、C、c、L、Nle、M、N、およびRからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4019は、K、R、およびHarからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4020は、K、L、Hcy、およびAmlからなる群から選択されるアミノ酸であり、以下の式(XII):X5001−Q−X5003−X5004−X5005−X5006−I/V−X5008−Aib/V−X5010−G−Y−X5013−X5014−R−L−X5017−X5018−K−K/L(XII)の構造を有さず、式中、X5001は、F、L、M、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X5003は、C、D、E、M、Q、R、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸であり、X5004は、E、G、I、K、L、M、P、R、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X5005は、a、A、Aib、C、D、d、E、G、H、K、k、M、N、Nmg、Q、R、およびpからなる群から選択されるアミノ酸であり、X5006は、A、C、D、E、G、H、K、M、N、Q、R、S、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、X5008は、F、H、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X5010は、A、C、D、E、F、H、D、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X5013は、Aib、C、およびFからなる群から選択されるアミノ酸であり、X5014は、A、Aib、C、D、E、K、L、M、N、Q、R、T、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、X5017は、A、Aib、C、Cha、Dab、Eag、Eew、H、Har、Hci、Hle、I、K、L、M、Nle、Nve、Opa、Orn、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸であり、X5018は、A、C、L、M、N、およびRからなる群から選択されるアミノ酸である、ペプチド。
項2.X4001は、F、Y、1Ni、Bta、およびDopaからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4003は、D、E、およびSからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4004は、Kであり、X4005は、p、Nmg、NpropylG、aze、pip、tic、oic、およびhypからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4006は、C、E、K、R、S、V、C(Acm)、Nle、C(NEM)、I、およびCitからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4007は、VまたはTleであり、X4008は、H、1Ni、2Ni、およびPmyからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4009は、V、Abu、およびTleからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4010は、D、P、C、およびTからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4011は、G、a、c、hcy、およびSarからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4012は、Yであり、X4013は、F、1Ni、およびBtaからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4014は、Aib、C、E、およびHcyからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4016は、L、Aml、Hle、およびHcyからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4017は、A、Aib、C、c、Aic、Eca、およびDegからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4018は、A、Aib、C、c、L、およびHcyからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4019は、Kであり、X4020は、L、Aml、およびHcyからなる群から選択されるアミノ酸である、項1に記載のペプチド。
項3.X4001に結合し、FAM−Ttds、PE、Palm、2−フェニルアセチル、3−フェニルプロピオニル、2−(ナフタ−2−イル)アセチル、ヘキサノイル、2−メチルプロピオニル、3−メチルブタノイル、2−ナフチルスルホニル、および1−ナフチルスルホニルからなる群から選択されるN末端アミノ酸(複数を含む)および/または部分をさらに含む、項1または項2に記載のペプチド。
項4.X4020に結合したX4021をさらに含み、X4021は、C、c、C(NEM)、K(Ttds−マレイミドプロピオニル(EtSH))、FA19205、FA19204、FA19203、FA03202、K(Tdts−マレイミド)、K(AOA)、およびCeaからなる群から選択されるC末端アミノ酸(複数を含む)および/または部分を含む、項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド。
項5.環状構造を有する、項1〜4のいずれか一項に記載のペプチド。
項6.環状構造が、X4018とX4021との間に形成される、項5に記載のペプチド。
項7.(a)X4018は、Cまたはcであり、(b)X4021は、Ceaである、項6に記載のペプチド。
項8.環状構造が、X4011とX4014との間に形成される、項5に記載のペプチド。
項9.(a)X4011は、cまたはhcyであり、(b)X4014は、CまたはHcyである、項8に記載のペプチド。
項10.分子内ジスルフィド結合を含む、項1〜9のいずれか一項に記載のペプチド。
項11.ペプチドのIC50は、1000nM未満である、項1〜10のいずれか一項に記載のペプチド。
項12.ペプチドのIC50は、250nM未満である、項1〜10のいずれか一項に記載のペプチド。
項13.ペプチドのIC50は、50nM未満である、項1〜10のいずれか一項に記載のペプチド。
項14.ペプチドのIC50は、10nM未満である、項1〜10のいずれか一項に記載のペプチド。
項15.配列番号4022、4024、4032、4036〜4047、4049〜4078、4086〜4097、4100〜4127、4129〜4170、4173〜4195、4200〜4214、4217〜4225、4228、4230、4231、4238、および4239からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、ペプチド。
項16.配列番号1294〜1336、4002、4013、4021、4023、4025〜4031、4033〜4035、4048、4079〜4085、4098、4099、4128、4171、4172、4196〜4199、4215、4216、4226、4277、4229、4232、および4233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、ペプチド。
項17.項1〜16のいずれか一項に記載の2つ以上のペプチドのホモ二量体またはホモ多量体を含む、TFPI結合性ペプチド。
項18.項1〜16のいずれか一項に記載の2つ以上のペプチドのヘテロ二量体またはヘテロ多量体を含む、TFPI結合性ペプチド。
項19.TFPI活性を阻害し、10μM未満の解離定数でTFPI1−アルファに結合する、項1〜18のいずれか一項に記載のペプチド。
項20.ポリエチレングリコール(PEG)部分に結合した、項1〜19のいずれか一項に記載のペプチド。
項21.ヒト血清アルブミン(HSA)、抗体もしくはその断片、ヒドロキシエチルデンプン、プロリン−アラニン−セリン多量体(PAS化)、C12〜C18脂肪酸、またはポリシアル酸に結合した、項1〜20のいずれか一項に記載のペプチド。
項22.感光剤、染料、蛍光染料、放射性核種、放射性核種含有複合体、酵素、毒素、抗体またはその断片、および細胞毒性薬からなる群から選択される部分に結合した、項1〜21のいずれか一項に記載のペプチド。
項23.対象の治療のための方法における使用のための、項1〜22のいずれか一項に記載のペプチド。
項24.方法は、血液凝固障害の治療のための方法である、第24項に記載のペプチド。
項25.医薬の製造のための、項1〜22のいずれか一項に記載のペプチドの使用。
項26.血液凝固障害の治療のための医薬の製造のための、項1〜22のいずれか一項に記載のペプチドの使用。
項27.項1〜22のいずれか一項に記載のペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
項28.薬学的に効果的な薬剤をさらに含む、項28に記載の薬学的組成物。
項29.血液凝固障害を治療する方法における使用のための、項27または項28に記載の薬学的組成物。
項30.TFPIを示す細胞を標的とするための方法であって、細胞を、項1〜22のいずれか一項に記載のペプチドに接触させることを含む方法。
項31.細胞は、哺乳動物内にあり、細胞を接触させることは、ペプチドを哺乳動物に投与することを含む、項30に記載の方法。
項32.細胞上に示されるTFPIに結合するペプチドを検出することをさらに含む、項30または項31に記載の方法。
項33.ペプチドに結合し、感光剤、染料、蛍光染料、放射性核種、放射性核種含有複合体、酵素、毒素、抗体、および細胞毒性薬からなる群から選択される部分を検出することにより、ペプチド−TFPI結合が検出される、第32項に記載の方法。
項34.ペプチドまたはペプチドに結合した部分と複合化した相互作用パートナーを検出することにより、ペプチド−TFPI結合が検出される、項32または項33に記載の方法。
項35.相互作用パートナーは、抗体またはその断片、アンチカリン、アプタマー、ストレプトアビジン、アビジン、ニュートラアビジン、およびスピーゲルマーからなる群から選択される、項34に記載の方法。
項36.相互作用パートナーは、検出部分を含む、項34または項35に記載の方法。
項37.検出部分は、染料、蛍光染料、放射性核種、放射性核種含有複合体、および酵素からなる群から選択される、項36に記載の方法。
項38.疾患に罹患している、または疾患に罹患する危険性のある対象を治療するための方法であって、項1〜22のいずれか一項に記載のペプチドを対象に投与することを含み、ペプチドは治療薬剤に結合している、方法。
項39.疾患に罹患している、または疾患に罹患する危険性のある対象を治療するための方法であって、項1〜22のいずれか一項に記載のペプチドを対象に投与することと、(a)ペプチドに結合し、かつ(b)治療薬剤であるか、または治療薬剤に結合している相互作用パートナーを対象に投与することと、を含む方法。
項40.治療薬剤は、感光剤、放射性核種、放射性核種含有複合体、酵素、毒素、抗体またはその断片、および細胞毒性薬からなる群から選択される、項39に記載の方法。
項41.相互作用パートナーは、抗体またはその断片、アンチカリン、アプタマー、ストレプトアビジン、アビジン、ニュートラアビジン、およびスピーゲルマーからなる群から選択される、項39または項40に記載の方法。
項42.疾患に罹患している、または疾患に罹患する危険性のある対象を診断するための方法であって、検出可能部分に結合した項1〜22のいずれか一項に記載のペプチドを対象に投与することと、(b)検出可能部分を検出することと、を含む方法。
項43.疾患に罹患している、または疾患に罹患する危険性のある対象を診断するための方法であって、検出可能部分に結合した項1〜22のいずれか一項に記載のペプチドを対象に投与することと、(b)検出可能部分に結合した相互作用パートナーを対象に投与することと、(c)検出可能部分を検出することと、を含む方法。
項44.相互作用パートナーは、抗体またはその断片、アンチカリン、アプタマー、ストレプトアビジン、アビジン、ニュートラアビジン、およびスピーゲルマーからなる群から選択される、第43項に記載の方法。
項45.検出可能部分は、染料、蛍光染料、放射性核種、放射性核種含有複合体、酵素、および抗体またはその断片からなる群から選択される、項42〜44のいずれか一項に記載の方法。
項46.疾患は、血液凝固障害である、項38〜45のいずれか一項に記載の方法。
項47.TFPIを精製するための方法であって、a)TFPIと項1〜22のいずれか一項に記載のペプチドとの間で複合体を形成させるのに適切な条件下で、TFPIを含有する試料を、上記ペプチドに接触させることと、b)試料から複合体を除去することと、随意に、c)複合体を解離してTFPIを放出することと、を含む方法。
項48.ペプチドは、支持体に固定される、項47に記載の方法。
項49.ペプチドは、クロマトグラフィー固定相に固定され、ステップ(c)は、固定されたペプチドに結合したTFPIを溶出することを含む、項48に記載の方法。
項50.TFPIは、親和性クロマトグラフィーにより精製される、項48または第49項に記載の方法。
項51.TFPI結合性化合物を識別するための方法であって、(a)KD1−TFPI結合性ペプチド複合体の形成を可能にする条件下で、TFPI Kunitzドメイン1(KD1)を含むペプチドを、項1〜22のいずれか一項に記載のTFPI結合性ペプチドおよび試験化合物と接触させることと、(b)ステップ(a)において形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体を測定することと、(c)試験化合物の存在下で形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体の数を、試験化合物の非存在下で形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体の数と比較することと、を含み、試験化合物の非存在下で形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体の数と比較した、試験化合物の存在下で形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体の数の低減は、試験化合物がTFPI結合性化合物であることを示す、方法。
項52.TFPI結合性ペプチドは、シグナルを生成する標識を含み、ステップ(b)は、KD1−TFPI結合性ペプチド複合体により生成されたシグナルを測定することを含み、ステップ(c)は、ステップ(b)において測定されたシグナルを、試験化合物の非存在下で形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体により生成されたシグナルと比較することを含み、試験化合物の非存在下で形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体により生成されたシグナルと比較した、試験化合物の存在下で形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体により生成されたシグナルの低減は、試験化合物がTFPI結合性化合物であることを示す、項51に記載の方法。
項53.ステップ(a)は、KD1−ペプチド複合体の形成を可能にする条件下で、KD1を含むペプチドをTFPI結合性ペプチドと接触させることと、(a2)ステップ(a1)において形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体を、試験化合物と接触させることを含む、項51または項52に記載の方法。
項54.TFPI結合性化合物を識別するための方法であって、(a)TFPI Kunitzドメイン1(KD1)を含むペプチドを、試験化合物と接触させることと、(b)ヒトTFPI残基Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47、およびIle55に対応するKD1アミノ酸残基により画定されるTFPI結合部位に対する、試験化合物の結合を検出することと、を含む方法。
項55.結合部位は、ヒトTFPI残基Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ile38、Ile46、Phe47、およびIle55に対応するアミノ酸残基により画定される、第54項に記載の方法。
項56.結合部位は、ヒトTFPI残基Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ala37、Ile38、Phe44、Ile46、Phe47、およびIle55に対応するアミノ酸残基により画定される、第54項または第55項に記載の方法。
項57.ステップ(b)は、TFPI結合部位内の核磁気共鳴(NMR)化学シフトの存在または非存在を決定することを含む、項54〜56のいずれか一項に記載の方法。
項58.ステップ(a)は、FVIIaに対するKD1の結合を可能にする条件下、試験化合物の存在下で、TFPI KD1を含むペプチドを、FVIIaと接触させることを含み、ステップ(b)は、ステップ(a)におけるKD1−FVIIa結合を、試験化合物の非存在下でのKD1−FVIIa結合と比較することを含み、試験化合物の非存在下でのKD1−FVIIa結合と比較した、試験化合物の存在下でのKD1−FVIIa結合の低減は、試験化合物がTFPI結合性化合物であることを示す、項54〜56のいずれか一項に記載の方法。
項59.ステップ(a)は、FXaに対するKD1の結合を可能にする条件下、試験化合物の存在下で、TFPI KD1を含むペプチドを、FXaと接触させることを含み、ステップ(b)は、ステップ(a)におけるKD1−FXa結合を、試験化合物の非存在下でのKD1−FXa結合と比較することを含み、試験化合物の非存在下でのKD1−FXa結合と比較した、試験化合物の存在下でのKD1−FXa結合の低減は、試験化合物がTFPI結合性化合物であることを示す、項54〜56のいずれか一項に記載の方法。
項60.TFPI KD1を含むペプチドは、Kunitzドメイン2(KD2)をさらに含み、ステップ(a)は、FXaに対するKD2の結合を可能にする条件下、試験化合物の存在下で、TFPI KD1およびTFPI KD2を含むペプチドを、FXaと接触させることを含み、ステップ(b)は、ステップ(a)におけるKD2−FXa結合を、試験化合物の非存在下でのKD2−FXa結合と比較することを含み、試験化合物の非存在下でのKD2−FXa結合と比較した、試験化合物の存在下でのKD2−FXa結合の低減は、試験化合物がTFPI結合性化合物であることを示す、項54〜56のいずれか一項に記載の方法。
項61.TFPI結合部位に対する試験化合物の結合は、酵素的分析を使用して検出される、項54〜56および項58〜60のいずれか一項に記載の方法。
項62.TFPI KD1を含むペプチドは、ヒトTFPIのアミノ酸1〜160を含む、項54〜61のいずれか一項に記載の方法。
項63.TFPI KD1を含むペプチドは、全長ヒトTFPIである、項54〜61のいずれか一項に記載の方法。
項64.項51〜63のいずれか一項に記載の方法により識別されるTFPI阻害剤を含む組成物。
項65.医薬の製造のための、項51〜63のいずれか一項に記載の方法により識別されるTFPI阻害剤の使用。
項66.血液凝固障害を治療するための医薬の製造のための、項51〜63のいずれか一項に記載の方法により識別されるTFPI阻害剤の使用。
項67.疾患に罹患している、または疾患に罹患する危険性のある対象を治療するための方法であって、項51〜63のいずれか一項に記載の方法により識別されるTFPI阻害剤を対象に投与することを含む方法。
項68.ヒトTFPIを阻害するための方法であって、ヒトTFPIを、アミノ酸残基Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47、およびIle55により画定される結合部位でヒトTFPIと結合する阻害剤と接触させることを含む方法。
項69.疾患に罹患している、または疾患に罹患する危険性のある対象を治療するための方法であって、アミノ酸残基Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47、およびIle55により画定される結合部位でヒトTFPIに結合する阻害剤を、対象に投与することを含む方法。
項70.ヒトTFPI結合部位は、アミノ酸残基Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ile38、Ile46、Phe47、およびIle55により画定される、項68または項69に記載の方法。
項71.ヒトTFPI結合部位は、アミノ酸残基Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ala37、Ile38、Phe44、Ile46、Phe47、およびIle55により画定される、項70に記載の方法。
項72.FXa活性を阻害する化合物を精製するための方法であって、(a)化合物−KD1複合体の形成を可能にする条件下、TFPI Kunitzドメイン1(KD1)を含むペプチドを、化合物と接触させることと、(b)未結合化合物を除去することと、(c)化合物−KD1複合体を解離して化合物を放出することと、を含む方法。
項73.ステップ(a)は、KD1を含むペプチドを、試験化合物の集団と接触させることを含む、項72に記載の方法。
項74.コンピュータのプロセッサ上で実行されると、TFPI Kunitzドメイン1(KD1)タンパク質および試験化合物における選択された三次元(3D)ポイント間の相互作用をモデル化する方法を実行する、コンピュータにより実行可能な命令を有するコンピュータ記憶媒体であって、方法は、TFPI KD1タンパク質のタンパク質構造3Dモデルを得ることと、タンパク質構造における、Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47、およびIle55を含む選択されたサブセットのアミノ酸間の3D関係を決定することと、選択されたサブセットのアミノ酸により境界される表面をモデル化することと、試験化合物の試験化合物3Dモデルを得ることと、試験化合物3Dモデルを、選択されたサブセットのアミノ酸により境界される表面に照合することと、表面の選択されたサブセットのアミノ酸と、試験化合物3Dモデルとの間の接触ポイントを識別することと、を含む、コンピュータ記憶媒体。
項75.選択されたサブセットのアミノ酸は、Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ile38、Ile46、Phe47、およびIle55を含む、項74に記載のコンピュータ記憶媒体。
項76.選択されたサブセットのアミノ酸は、Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ala37、Ile38、Phe44、Ile46、Phe47、およびIle55を含む、項74に記載のコンピュータ記憶媒体。
項77.表面と試験化合物3Dモデルとの間の接触ポイントの数を決定することと、接触ポイントの数に対応する試験化合物3Dモデルの親和性評価を記録することと、をさらに含む、項74〜76のいずれか一項に記載のコンピュータ記憶媒体。
項78.試験化合物は、ペプチドである、項74〜77のいずれか一項に記載のコンピュータ記憶媒体。
項79.表面と試験化合物3Dモデルとの間の各接触ポイントの結合タイプを決定することと、表面と試験化合物3Dモデルとの間の各接触ポイントの結合タイプの総計に基づき、親和性評価を更新することと、をさらに含む、項74〜78のいずれか一項に記載のコンピュータ記憶媒体。
項80.第2の試験化合物に基づく更新された試験化合物3Dモデルを得ることと、更新された試験化合物3Dモデルを、選択されたサブセットのアミノ酸により境界される表面に照合することと、表面の選択されたサブセットのアミノ酸と、更新された試験化合物3Dモデルとの間の識別された接触ポイントを、コンピュータのディスプレイ上で識別することと、をさらに含む、項74〜79のいずれか一項に記載のコンピュータ記憶媒体。
項81.表面と更新された試験化合物3Dモデルとの間の接触ポイントの数を決定することと、表面と更新された試験化合物3Dモデルとの間の各接触ポイントの結合タイプを決定することと、表面と更新された試験化合物3Dモデルとの間の接触ポイントの数および各接触ポイントの結合タイプの総計に基づき、新たな親和性評価を記録することと、をさらに含む、項80に記載のコンピュータ記憶媒体。
項82.更新された親和性評価を、新たな親和性評価と比較して、試験化合物または第2の試験化合物が、より高い親和性評価を有するか否かを決定することをさらに含む、項81に記載のコンピュータ記憶媒体。
項83.第2の試験化合物は、試験化合物の変異体である、項80〜82のいずれか一項に記載のコンピュータ記憶媒体。
項84.コンピュータのディスプレイ上に、接触ポイントを表示することをさらに含む、第74〜83項のいずれか一項に記載のコンピュータ記憶媒体。
項85.選択されたサブセットのアミノ酸との接触ポイントの数を増加させる、またはペプチドのアミノ酸と選択されたサブセットのアミノ酸との間の結合強度を増加させるように、ペプチドを修飾することをさらに含む、項78〜84のいずれか一項に記載のコンピュータ記憶媒体。
項86.試験化合物を、TFPI Kunitzドメイン1(KD1)タンパク質における選択された三次元ポイントと比較する方法であって、コンピュータのメモリ内に、KD1タンパク質のタンパク質構造を形成することと、コンピュータのプロセッサにおいて、KD1タンパク質における、Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47、およびIle55を含む選択されたサブセットのアミノ酸の三次元モデルを決定することと、コンピュータのプロセッサにおいて、試験化合物の三次元モデルを決定することと、コンピュータのプロセッサにおいて、試験化合物の3Dモデルを、選択されたサブセットのアミノ酸の3Dモデルにフィッティングすることと、コンピュータのプロセッサにおいて、選択されたサブセットのアミノ酸に対する、試験化合物と接触するサブセット内のアミノ酸の数、および各接触ポイントでの結合強度に基づく、試験化合物の親和性を生成することと、を含む、方法。
項87.選択されたサブセットのアミノ酸は、Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ile38、Ile46、Phe47、およびIle55を含む、項86に記載の方法。
項88.選択されたサブセットのアミノ酸は、Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ala37、Ile38、Phe44、Ile46、Phe47、およびIle55を含む、項86に記載の方法。
項89.試験化合物と選択されたサブセットのアミノ酸の3Dモデルとの間のフィッティングの3D表示を表示することをさらに含む、項86〜88のいずれか一項に記載の方法。
項90.複数の試験化合物に対して、項86に記載のステップを反復することと、複数の試験化合物のそれぞれに対する各親和性を保存することと、をさらに含む、項86〜89のいずれか一項に記載の方法。
項91.コンピュータのプロセッサ上で実行されると、ペプチドを、TFPI Kunitzドメイン1タンパク質(KD1)における選択された三次元ポイント(3D)と比較する方法を実行する、コンピュータにより実行可能な命令を有するコンピュータ記憶媒体であって、方法は、KD1タンパク質のタンパク質構造を形成することと、KD1タンパク質における、Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47およびIle55を含む選択されたサブセットのアミノ酸の三次元モデルを決定することと、ペプチドの三次元モデルを決定することと、ペプチドの3Dモデルを、選択されたサブセットのアミノ酸の3Dモデルにフィッティングすることと、選択されたサブセットのアミノ酸に対する、ペプチドと接触するサブセット内のアミノ酸の数、および各接触ポイントでの結合強度に基づく、ペプチドの親和性を生成することと、を含む、コンピュータ記憶媒体。
項92.選択されたサブセットのアミノ酸は、Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ile38、Ile46、Phe47、およびIle55を含む、項91に記載のコンピュータ記憶媒体。
項93.選択されたサブセットのアミノ酸は、Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ala37、Ile38、Phe44、Ile46、Phe47、およびIle55を含む、項91に記載のコンピュータ記憶媒体。
本発明は、組織因子経路阻害剤1に結合し、いくつかの場合において、血液凝固カスケード内での組織因子経路阻害剤1(本明細書においてTFPIと呼ばれる)の阻害活性を遮断するペプチドを提供する。血管損傷後、組織因子(TF)は、第Vlla因子と複合化して、第IX因子および第X因子を活性化する「外因性複合体」または「外因性テナーゼ複合体」を形成する(図1)。TFPIは、TF/FVIIa外因性複合体活性の主要な天然制御因子であり、ひいては、トロンビン産生の制御における役割を担う(Panteleev et al.,Eur.J.Biochem.,249,2016−2031(2002))。TFPIは、3つのKunitz型阻害ドメインを含む、43kDaのセリンプロテアーゼ阻害剤である(図2)。TFPIのKunitzドメイン1はFVIIaに結合し、Kunitzドメイン2はFXaに結合し、それにより、阻害剤は、TF/FVIIa外因性複合体の活性を遮断する四元FXa−TFPI−FVIIa−TF複合体を形成することができる(図3)。また、FXaのTFPI結合は、凝固カスケードの一般的経路を下方制御し、その間、FXaは、プロトロンビンをトロンビンに変換する(Audu et al.,Anesth.Analg.,103(4),841−845(2006))。本発明は、血液凝固カスケードに対するTFPIの阻害活性を遮断し、それによりトロンビン形成を向上させる、TFPI阻害ペプチドを提供する。
いくつかのTFPI結合性ペプチドのアミノ酸配列を、本明細書に記載する。通常のアミノ酸は、表1に記載されるような標準的な1文字または3文字コードに従い識別される。
非従来的なアミノ酸および追加的ペプチド構成単位の例は、表2に記載される3文字コード(一般的な4文字略語であるTtdsおよびDopaを除く)に従い識別される。3つ、4つまたは7つの数字/文字の表示で指定される追加的構成単位もまた、表2に列挙されている。いくつかの構成単位の構造は、構成単位をペプチドに導入するための例示的試薬とともに示されている(例えば、2−ナフチルスルホニルに対し提供された構造は、塩化物を含む)。
本明細書に記載のペプチドのアミノ酸配列は、当業者に理解されるような典型的なペプチド配列形式で示されている。例えば、従来のアミノ酸の3文字もしくは1文字コード、または3つ、4つ、または7つの数字/文字コードの追加的構成単位は、ペプチド配列内の指定の位置におけるアミノ酸または構成単位の存在を示す。それぞれの非従来的アミノ酸または構成単位に対するコードは、配列内の次および/または前のアミノ酸または構成単位に対するコードに、ハイフンで接続される。隣接アミノ酸は、化学結合(典型的にはアミド結合)により接続される。化学結合の形成は、アミノ酸が隣接アミノ酸の左に位置する場合(例えば、Hle−隣接アミノ酸)、その1−カルボキシル基からヒドロキシル基を除去し、アミノ酸が隣接アミノ酸の右に位置する場合(例えば、隣接アミノ酸−Hle)、そのアミノ基から水素を除去する。両方の修飾は、明示的にハイフンが示されることなく、同じアミノ酸に適用され得る、またアミノ酸配列内に存在する隣接する従来のアミノ酸に適用され得ることが理解される。アミノ酸がアミノ酸側鎖内に2つ以上のアミノおよび/またはカルボキシ基を含有する場合、2−もしくは3−アミノ基および/または1−カルボキシ基が一般にペプチド結合の形成に使用される。非従来的アミノ酸については、3文字コードが使用され、第1の文字は、C−α−原子の立体化学を示す。例えば、大文字の第1の文字は、アミノ酸のL型がペプチド配列内に存在することを示し、一方小文字の第1の文字は、対応するアミノ酸のD型がペプチド配列内に存在することを示す。1文字コードが使用される場合、小文字はDアミノ酸を表し、一方大文字はLアミノ酸を表す。逆の意味が指定されない限り、アミノ酸配列は、本明細書において、N末端からC末端の方向で示される。
本明細書に記載のいくつかのTFPI結合性ペプチド配列のC末端は、OH、NH2、または、ハイフンによりC末端アミノ酸コードに連結された特定の終端アミンに対する略語を含有することにより、明示的に示される。本明細書に記載のいくつかのペプチドのN末端は、水素(遊離N末端の場合)、または、ハイフンによりN末端アミノ酸コードに連結された特定の終端カルボン酸もしくは他の化学基に対する略語を含有することにより、明示的に示される。
本発明は、アミノ酸配列X7X8X9X10X11X12X13X14X15X16X17X18X19X20X21(配列番号3109)を含み、式中、(アミノ酸の1文字コードを使用して)
X7は、L、P、K、S、W、V、N、およびQからなる群から選択され、
X8は、L、R、N、F、およびIからなる群から選択され、
X9は、Y、V、P、およびCからなる群から選択され、
X10は、F、L、およびGからなる群から選択され、
X11は、L、W、V、A、M、T、およびSからなる群から選択され、
X12は、T、F、V、R、A、D、L、E、S、およびYからなる群から選択され、
X13は、I、M、G、Q、D、およびRからなる群から選択され、
X14は、G、W、Y、L、M、およびHからなる群から選択され、
X15は、N、P、F、H、K、およびYからなる群から選択され、
X16は、M、D、E、V、G、およびKからなる群から選択され
X17は、G、I、R、S、T、およびLからなる群から選択され、
X18は、M、K、L、およびIからなる群から選択され、
X19は、Y、G、R、およびSからなる群から選択され、
X20は、A、E、S、C、およびYからなる群から選択され、
X21は、A、V、K、およびEからなる群から選択される、ペプチドを提供する。
上記のコア構造X7〜X21に加え、具体的に企図される他の構造は、1つ以上の追加的アミノ酸がコア構造に結合した(例えば、アミノ酸配列X7〜X21のN末端またはC末端に結合した)構造である。したがって、本発明は、コア構造を有し、
X6、
X5X6、
X4X5X6、
X3X4X5X6(配列番号3110)、
X2X3X4X5X6(配列番号3111)、および
X1X2X3X4X5X6(配列番号3112)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
式中、X6は、コア構造アミノ酸配列のX7に直接結合し、
X1は、TおよびGからなる群から選択され、
X2は、FおよびVからなる群から選択され、
X3は、V、W、Y、およびFからなる群から選択され、
X4は、D、Q、およびSからなる群から選択され、
X5は、E、T、N、およびSからなる群から選択され、
X6は、R、H、K、およびAからなる群から選択される、1つ以上のN末端アミノ酸(複数を含む)をさらに含むペプチドを含む。
本発明のペプチドは、一態様において、アミノ酸配列QSKKNVFVFGYFERLRAK(配列番号1)を含む、またはその配列からなる。
別の実施形態において、コア構造を有する本発明のペプチドは、
X22、
X22X23、
X22X23X24、
X22X23X24X25(配列番号3113)、
X22X23X24X25X26(配列番号3114)、および
X22X23X24X25X26X27(配列番号3115)
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
式中、X22は、コア構造アミノ酸配列のX21に直接結合し、
X22は、Q、I、E、W、R、L、およびNからなる群から選択され、
X23は、L、V、M、およびRからなる群から選択され、
X24は、K、L、A、およびYからなる群から選択され、
X25は、Fであり、
X26は、Gであり、
X27は、Tである、1つ以上のC末端アミノ酸(複数を含む)を含む。
一態様において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列VIVFTFRHNKLIGYERRY(配列番号4)を含む、またはその配列からなる。また、本発明のペプチドは、コア構造のN末端およびC末端の両方において、追加のアミノ酸を含むことが企図される。この態様において、ペプチドは、アミノ酸配列TFVDERLLYFLTIGNMGMYAAQLKF(配列番号3)、GVWQTHPRYFWTMWPDIKGEVIVLFGT(配列番号5)、KWFCGMRDMKGTMSCVWVKF(配列番号6)、またはASFPLAVQLHVSKRSKEMA(配列番号7)を含む、またはそれらの配列からなる。
本発明は、アミノ酸配列X3X4X5−F−X7−NVF−X11X12−GY−X15X16−RLRAK−X22(配列番号2)を含み、式中、X3は、YまたはFであり、X4は、QまたはSであり、X5は、NまたはSであり、X7は、K、N、またはQであり、X11は、V、A、S、またはTであり、X12は、F、A、D、L、Q、S、またはYであり、X15は、F、K、またはYであり、X16は、EまたはDであり、X22は、LまたはNである、ペプチドをさらに含む。
さらに、本発明は、TFPIに結合するペプチドであって、式(I):X1001−X1002−X1003−X1004−X1005−X1006−X1007−X1008−X1009−X1010−X1011−X1012−X1013−X1014−X1015−X1016−X1017−X1018−X1019−X1020(配列番号3116)の構造を有するペプチドを提供する。式(I)中、
X1001は、Bhf、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、Nmf、Q、R、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1002は、G、K、およびQからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1003は、A、Aib、Bhs、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1004は、A、Aib、Bhk、C、D、E、F、G、H、I、K、k、L、M、N、Nmk、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1005は、a、A、Aib、Bal、C、D、d、E、F、G、H、K、k、L、M、N、Nmg、p、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1006は、A、Aib、Btq、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1007は、A、F、G、I、K、L、Nmv、P、Q、S、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1008は、F、H、K、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1009は、A、Aib、f、I、K、S、T、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1010は、A、Aib、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Nmf、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1011は、Aib、C、K、G、およびNmgからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1012は、Yであり、
X1013は、A、Aib、C、E、F、G、H、K、L、M、Q、R、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1014は、A、Aib、Bhe、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1015は、(オメガ−メチル)−R、D、E、K、およびRからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1016は、Lであり、
X1017は、(オメガ−メチル)−R、A、Aib、Bhr、C、Cha、Cit、D、Dab、Dap、E、Eag、Eew、F、G、H、Har、Hci、Hle、I、K、L、M、N、Nle、Nva、Opa、Orn、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1018は、A、Bal、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1019は、Bhk、K、R、およびVからなる群から選択されるアミノ酸である。
X1020は、式(I)内に存在する、または存在しない(すなわち、いくつかの場合において、本発明のペプチドは、構造X1001−X1002−X1003−X1004−X1005−X1006−X1007−X1008−X1010−X1011−X1012−X1013−X1014−X1015−X1016−X1017−X1018−X1019(配列番号3116)を含む)。X1020が存在する場合、X1020は、Aib、Bhl、C、F、G、H、I、K、L、Nml、Q、R、S、T、V、WおよびYからなる群から選択されるアミノ酸である。
例えば、本発明のペプチドは、式(I)の構造を有し、式中、X1001は、C、F、I、K、L、Nmf、V、M、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1002は、Qであり、X1003は、A、C、D、E、H、K、M、I、N、Q、R、S、T、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1004は、A、Aib、C、D、E、G、H、F、I、K、k、L、M、N、Nmk、P、Q、R、S、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1005は、a、A、Aib、Bal、C、d、E、D、F、G、H、K、k、L、M、N、Nmg、p、Q、R、S、T、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1006は、A、Btq、C、D、G、I、K、H、L、M、N、Q、R、S、V、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1007は、I、K、L、Q、V、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1008は、F、H、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1009は、f、IおよびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1010は、A、D、E、F、G、H、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1011は、GおよびNmgからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1012は、Yであり、X1013は、Aib、C、F、H、L、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1014は、A、Aib、Bhe、C、D、E、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1015は、EおよびRからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1016は、Lであり、X1017は、(オメガ−メチル)−R、A、Aib、Bhr、C、Cha、Cit、Dab、Dap、Eag、Eew、F、H、Har、Hci、Hle、I、K、L、M、N、Nle、Nva、Opa、Orn、R、S、T、V、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1018は、A、C、D、E、F、I、K、L、M、N、Q、R、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1019は、KおよびRからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1020は、Aib、Bhl、F、K、L、R、およびWからなる群から選択されるアミノ酸である(X1020がペプチド内に存在する場合)。
一態様において、本発明のペプチドは、式(I)の構造を有し、式中、X1001は、F、L、Y、およびMからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1002は、Qであり、X1003は、M、Q、R、S、T、およびCからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1004は、Aib、K、L、P、R、E、G、I、Y、M、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1005は、a、Aib、D、d、G、H、K、k、N、Nmg、p、Q、R、A、E、C、およびMからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1006は、A、C、D、G、H、K、N、Q、R、S、およびMからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1007は、IおよびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1008は、F、H、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1009は、Vであり、X1010は、A、D、E、K、M、N、Q、R、F、H、P、S、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1011は、Gであり、X1012は、Yであり、X1013は、CまたはFであり、X1014は、A、C、D、E、K、L、M、N、Q、R、T、V、およびAibからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1015は、Rであり、X1016は、Lであり、X1017は、A、Aib、C、Cha、Dab、Dap、Eag、Eew、H、Har、Hci、Hle、K、Nle、Nva、Opa、Orn、R、I、L、S、およびMからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1018は、A、L、N、M、およびRからなる群から選択されるアミノ酸であり、X1019は、Kであり、X1020は、KまたはLである。
アミノ酸X1020が式(I)に存在しない場合、本発明のペプチドは、一態様において、ペプチドが式(II):X1000−X1001−X1002−X1003−X1004−X1005−X1006−X1007−X1008−X1009−X1010−X1011−X1012−X1013−X1014−X1015−X1016−X1017−X1018−X1019(II)(配列番号3122)の構造を有する、またはその構造からなるように、式(I)のN末端にアミノ酸X1000をさらに含む。X1000がペプチド内に存在する場合、X1000は、A、E、およびPからなる群から選択されるアミノ酸であり、一方X1001〜X1019のアミノ酸は、上に定義された通りである。
追加的態様において、本発明のTFPI結合性ペプチドは、式(III):X1001−Q−X1003−X1004−X1005−X1006−I/V−X1008−V−X1010−G−Y−C/F−X1014−R−L−X1017−X1018−K−K/L(III)(配列番号3117)の構造を有する。本明細書において使用される場合、「/」により分離されるアミノ酸表示は、示された位置での代替のアミノ酸残基を指す。例えば、式(III)に関して、7位でのアミノ酸残基は、イソロイシンまたはバリンである。式(III)中のX1001、X1003、X1004、X1005、X1006、X1008、X1010、X1014、X1017、およびX1018は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸から選択される。例えば、式(III)中、
X1001は、随意に、Bhf、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、Nmf、Q、R、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、C、F、I、K、L、Nmf、V、M、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、F、L、YおよびMからなる群から選択されるアミノ酸)であり、
X1003は、随意に、A、Aib、Bhs、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えばA、C、D、E、H、K、M、I、N、Q、R、S、T、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり(例えば、アミノ酸は、M、Q、R、S、TもしくはCであり)、
X1004は、随意に、A、Aib、Bhk、C、D、E、F、G、H、I、K、k、L、M、N、Nmk、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、Aib、C、D、E、G、H、F、I、K、k、L、M、N、Nmk、P、Q、R、S、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、Aib、K、L、P、R、E、G、I、Y、M、およびWからなる群から選択されるアミノ酸)であり、
X1005は、随意に、a、A、Aib、Bal、C、D、d、E、F、G、H、K、k、L、M、N、Nmg、p、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、a、A、Aib、Bal、C、d、E、D、F、G、H、K、k、L、M、N、Nmg、p、Q、R、S、T、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり(例えば、アミノ酸は、a、Aib、D、d、G、H、K、k、N、Nmg、p、Q、R、A、E、C、もしくはMであり)、
X1006は、随意に、A、Aib、Btq、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、Btq、C、D、G、I、K、H、L、M、N、Q、R、S、V、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、C、D、G、H、K、N、Q、R、S、およびMからなる群から選択されるアミノ酸)であり、
X1008は、随意に、F、H、K、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、F、H、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X1010は、随意に、A、Aib、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Nmf、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、D、E、F、G、H、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、D、E、K、M、N、Q、R、F、H、P、S、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸)であり、
X1014は、随意に、A、Aib、Bhe、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、Aib、Bhe、C、D、E、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、C、D、E、K、L、M、N、Q、R、T、V、もしくはAib)であり、
X1017は、随意に、(オメガ−メチル)−R、A、Aib、Bhr、C、Cha、Cit、D、Dab、Dap、E、Eag、Eew、F、G、H、Har、Hci、Hle、I、K、L、M、N、Nle、Nva、Opa、Orn、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、(オメガ−メチル)−R、A、Aib、Bhr、C、Cha、Cit、Dab、Dap、Eag、Eew、F、H、Har、Hci、Hle、I、K、L、M、N、Nle、Nva、Opa、Orn、R、S、T、V、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、Aib、C、Cha、Dab、Dap、Eag、Eew、H、Har、Hci、Hle、K、Nle、Nva、Opa、Orn、R、I、L、S、およびMからなる群から選択されるアミノ酸)であり、ならびに/または、
X1018は、随意に、A、Bal、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、D、E、F、I、K、L、M、N、Q、R、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、L、N、M、およびRからなる群から選択されるアミノ酸)である。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチドは、アミノ酸配列のNまたはC末端に結合した1つ以上の追加的アミノ酸残基を含む。例えば、式(I)〜(III)のいずれか1つの構造を有するペプチドは、いくつかの実施形態において、X1001に直接結合した1つ以上のN末端アミノ酸(複数を含む)をさらに含み、N末端アミノ酸(複数を含む)は、X1000、X999−X1000、X998−X999−X100、X997−X998−X999−X1000(配列番号3123)、X996−X997−X998−X999−X1000(配列番号3124)、X995−X996−X997−X998−X999−X1000(配列番号3125)、X994−X995−X996−X997−X998−X999−X1000(配列番号3126)、X993−X994−X995−X996−X997−X998−X999−X1000(配列番号3127)、X992−X993−X994−X995−X996−X997−X998−X999−X1000(配列番号3128)、
X991−X992−X993−X994−X995−X996−X997−X998−X999−X1000(配列番号3129)、および
X990−X991−X992−X993−X994−X995−X996−X997−X998−X999−X1000(配列番号3130)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
ペプチドが1つ以上のN末端アミノ酸を含む場合、X1000は、AまたはKであり、X999は、VまたはKであり、X998は、QまたはKであり、X997は、LまたはKであり、X996は、RまたはKであり、X995は、GまたはKであり、X994は、VまたはKであり、X993は、GまたはKであり、X992は、SまたはKであり、X991は、Kであり、X990は、Kである。
式(I)〜(III)に記載されるコア構造に加えて、具体的に企図される他の構造は、1つ以上の追加的アミノ酸が、X1020に直接結合したコア構造のC末端に結合した構造である。例えば、C末端付加は、随意に、X1021、X1021−X1022、X1021−X1022−X1023、およびX1021−X1022−X1023−X1024(配列番号3131)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、式中、X1021は、TまたはKであり、X1022は、SまたはKであり、X1023およびX1024は、Kである。
本発明は、さらに、アミノ酸配列Ac−FQSK−Nmg−NVFVDGYFERL−Aib−AKL−NH2(式IV)(配列番号164)との少なくとも60%の同一性(例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む、またはその配列からなるTFPI結合性ペプチドを含む。いくつかの場合において、ペプチドは、本明細書に記載のような式(I)〜(III)のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなる。本発明はまた、配列番号8〜978からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、配列番号8〜741および962〜972(例えば、配列番号:8〜741、962〜968、971、もしくは972)からなる群から選択される、ならびに/または742〜961(例えば、配列番号744〜961)からなる群から選択される、ならびに/または配列番号973〜978からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチド)を含む。
本発明は、環状構造を有するペプチドを含む。この点において、本発明は、ペプチド内に環状構造(例えば、N末端およびC末端アミノ酸以外のアミノ酸の間の結合により形成される1つ以上のループ)を有するペプチド、末端アミノ酸とペプチド配列内のアミノ酸との相互作用により形成される環状構造を有するペプチド、ならびに先頭部から後尾部に環化したペプチドを含む。ペプチドはまた、周囲の追加的アミノ酸または化学置換基により形成されるより大きな環状構造の一部であってもよい。本発明のペプチドは、いくつかの場合において、分子内ジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態において、分子内ジスルフィド結合は、システイン残基により形成される。非システイン残基同士、または非システイン残基およびシステイン残基により形成される環状構造を有するペプチドもまた提供される。例えば、一実施形態において、本発明のペプチドは、環化を媒介する少なくとも1つの非従来的アミノ酸または化学部分を含む。好適な非従来的アミノ酸または化学部分は、FA19205、FA19204、FA19203、FA03202、Hcy、hcy、Cea、およびcを含むが、これらに限定されない。環化を担うアミノ酸または部分は、ループ構造の形成を可能にするように十分離間しており、例えば、アミノ酸または部分は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上の残基により離間している。
一態様において、式(I)〜(III)の構造を有するペプチドは、システインが分子内ジスルフィド結合を形成するように少なくとも3つのアミノ酸残基により離間した少なくとも2つのシステイン残基を含有する(例えば、ペプチドは、2つのシステイン残基を含有する)。いくつかの場合において、システインは、4つ以上のアミノ酸残基により離間している。例えば、式(I)、(II)、または(III)の構造を有するペプチドにおいて、X1000、X1001、X1003、X1004、X1005、X1006、X1010、X1011、X1013、X1014、X1017、X1018、X1020およびX1021のいずれか2つは、随意に、ジスルフィド架橋を形成することができるシステインである。したがって、いくつかの態様において、ペプチドは、2つのシステイン残基を含有し、X1000、X1005、X1010およびX1014の1つがシステインであり、X1006、X1010、X1017およびX1021の1つがシステインである。本発明は、システイン対の可能な組み合わせの全てを企図し、例えば、X1000およびX1006がCである;X1000およびX1010がCである;X1000およびX1017がCである;X1005およびX1017がCである;X1010およびX1017がCである;X1010およびX1021がCである;またはX1014およびX1021がCである。本発明の他の例示的環状ペプチドは、例えば、JBT2441、JBT2450、JBT2466〜JBT2469、JBT2489〜JBT2495、JBT2497〜JBT2499、およびJBT2513〜JBT2518(それぞれ、配列番号4159、4167、4181〜4184、4204〜4210、4212〜4214、および4228〜4233)を含む。
本発明は、さらに、式(V):X2001−X2002−X2003−X2004−X2005−X2006−[X2007−X2008−X2009−X2010−X2011−X2012−X2013−X2014−X2015−X2016−X2017−X2018]−X2019−X2020−X2021−X2022−X2023(V)(配列番号3118)の構造を有する、TFPIに結合するペプチドを提供し、ペプチドは、X2007とX2018との間の結合、例えばジスルフィド結合により生成される環状構造を形成する(式(V)内において括弧として示される)。式(V)中、X2001、X2002、およびX2023は、独立して、存在する、または存在しない。存在する場合、X2001は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、P、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、X2002は、A、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、X2023は、A、D、E、F、G、I、K、L、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸である。さらに、
X2003は、A、F、I、K、L、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2004は、A、D、E、F、G、I、K、L、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2005は、Wであり、
X2006は、F、H、I、K、L、R、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2007は、C、Hcy、Dap、およびKからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、CまたはHcy)であり、
X2008は、A、G、R、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2009は、A、I、K、L、M、m、Nle、p、R、Sem、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2010は、A、G、I、K、L、P、R、S、T、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2011は、D、E、G、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2012は、A、a、D、d、E、e、F、f、G、I、K、k、L、l、M、m、Nle、nle、P、p、R、r、S、s、Sem、T、t、V、v、W、およびwからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2013は、A、D、d、E、e、F、G、I、K、L、R、S、s、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2014は、A、D、E、F、G、I、K、L、M、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2015は、A、D、E、F、G、I、K、L、M、Nle、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2016は、A、D、E、F、I、K、L、M、Nle、R、S、Sem、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2017は、A、D、E、F、G、I、K、L、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2018は、CおよびDからなる群から選択されるアミノ酸であり(例えば、X2018はCである)、
X2019は、A、F、I、L、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2020は、FおよびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2021は、I、L、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2022は、A、D、E、F、G、I、K、L、P、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸である。
いくつかの場合において、式(V)の構造を有する本発明のペプチド中、
X2001は、随意に、A、D、F、G、H、K、L、P、およびSからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、D、F、G、H、K、L、およびSからなる群から選択されるアミノ酸であり(X2001が存在する場合)、
X2002は、随意に、A、D、F、G、H、K、L、P、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、F、H、K、L、M、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、H、F、MまたはR)であり(X2002が存在する場合)、
X2003は、随意に、A、F、K、L、S、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、F、S、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、FまたはY)であり、
X2004は、随意に、A、D、F、G、K、L、およびSからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、K)であり、
X2005は、随意に、Wであり、
X2006は、随意に、F、H、K、およびLからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、FまたはH)であり、
X2007は、随意に、CおよびHcYからなる群から選択されるアミノ酸であり(例えば、X2007は、Cであり)、
X2008は、随意に、A、G、およびSからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2009は、随意に、a、A、K、L、V、M、m、Nle、Sem、およびpからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、M、Nle、p、およびVからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、M、Sem、またはV)であり、
X2010は、随意に、A、G、K、L、P、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、K、L、P、RおよびSからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、K、P、またはR)であり、
X2011は、随意に、D、G、およびSからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、DまたはS)であり、
X2012は、随意に、A、a、D、d、F、f、G、K、k、L、l、M、m、Nle、P、S、およびsからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、D、d、F、f、G、K、k、L、l、M、Nle、P、S、およびSemからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、F、L、l、Sem、およびMからなる群から選択されるアミノ酸)であり、
X2013は、随意に、A、D、d、F、G、K、L、S、およびsからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、D、F、G、K、LおよびSからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、D、G、K、またはS)であり、
X2014は、随意に、D、F、G、K、L、およびSからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、DまたはG)であり、
X2015は、随意に、A、D、F、G、I、K、L、M、Nle、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、IまたはT)であり、
X2016は、随意に、D、F、K、L、M、Nle、S、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、D、F、K、L、M、Nle、S、Sem、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、D、F、M、Sem、またはY)であり、
X2017は、随意に、A、D、F、G、K、L、S、T、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、SまたはT)であり、
X2018は、随意に、Cであり、
X2019は、随意に、A、F、L、S、およびVからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、AまたはV)であり、
X2020は、随意に、FおよびWからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、W)であり、
X2021は、随意に、LおよびVからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、V)であり、
X2022は、随意に、A、D、F、G、K、L、P、R、S、およびWからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、F、G、K、L、P、R、S、およびWからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、F、L、K、R、P、およびWからなる群から選択されるアミノ酸)であり、
X2023は、随意に、A、D、F、G、K、L、M、S、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、D、F、G、L、M、S、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、D、F、M、SおよびYからなる群から選択されるアミノ酸)である(X2023が存在する場合)。
本発明は、さらに、TFPIに結合するペプチドであって、式(VI):X2001−X2002−F/Y−K−W−F/H−[C−X2008−M/V−X2010−D−X2012−X2013−G−I/T−X2016−S/T−C]−A/V−W−V−X2022−X2023(VI)(配列番号3119)の構造を有するペプチドを含む。式(VI)の構造を有するペプチド中、X2001、X2002およびX2023は、それぞれ独立して、存在する、または存在しない。X2001、X2002、および/またはX2023が存在する場合、X2001、X2002およびX2023は、独立して、任意のアミノ酸から選択される。さらに、X2008、X2010、X2012、X2013、X2016、およびX2022は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸から選択される。
いくつかの態様において、式(VI)のペプチド中、
X2001は、随意に、A、D、E、F、G、H、I、K、L、P、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、D、F、G、H、K、L、P、およびSからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、D、F、G、H、K、L、およびSからなる群から選択されるアミノ酸)であり(X2001が存在する場合)、
X2002は、随意に、A、D、E、F、G、H、I、K、L、M、P、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、D、F、G、H、K、L、M、P、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、F、H、K、L、M、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、H、F、M、またはR)であり(X2002が存在する場合)、
X2008は、随意に、A、G、R、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、G、およびSからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2010は、随意に、A、G、I、K、L、P、R、S、T、およびVからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、G、K、L、P、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、K、L、P、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸、例えばK、PまたはR)であり、
X2012は、随意に、A、a、D、d、E、e、F、f、G、I、I、K、k、L、l、M、m、Nle、nle、P、p、R、r、S、s、Sem、T、t、V、v、W、およびwからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、a、D、d、F、f、G、K、k、L、l、M、m、Nle、P、S、s、およびSemからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、D、d、F、f、G、K、k、L、l、M、Nle、P、S、およびSemからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、F、L、l、Sem、またはM)であり、
X2013は、随意に、A、D、d、E、e、F、G、I、K、L、R、S、s、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、D、d、F、G、K、L、S、およびsからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、D、F、G、K、L、およびSからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、D、G、K、またはS)であり、
X2016は、随意に、A、D、E、F、I、K、L、M、Nle、R、S、Sem、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、D、F、K、L、M、Nle、S、Sem、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、D、F、K、L、M、Nle、S、およびSemからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、F、Sem、またはM)であり、
X2022は、随意に、A、D、E、F、G、I、K、L、P、R、S、T、V、およびWからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、D、F、G、K、L、P、R、S、およびWからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、F、G、K、L、P、R、S、およびWからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、F、L、K、R、P、またはW)であり、ならびに/あるいは
X2023は、随意に、A、D、E、F、G、I、K、L、R、M、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、D、F、G、K、L、M、S、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、D、F、G、L、M、S、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、D、F、M、S、またはY)である(X2023が存在する場合)。
本発明のTFPI結合性ペプチドは、一態様において、式VII:Ac−FYYKWH[CGMRDMKGTMSC]AWVKF−NH2(VII)(配列番号1040)の配列との少なくとも60%の同一性(例えば、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む。随意に、ペプチドは、本明細書において定義される式(V)〜(VII)のアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなる。本発明はまた、配列番号1001〜1293からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、配列番号1001〜1212および1290〜1291(例えば、配列番号:1001〜120、1290、もしくは1291)からなる群から選択される、ならびに/または配列番号1213〜1289からなる群から選択される、ならびに/または配列番号1292および1293からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチド)を含む。
本発明は、さらに、式(VIII):X3001−X3002−X3003−X3004−X3005−X3006−X3007−X3008−X3009−X3010−X3011−X3012−X3013−X3014−X3015−X3016−X3017−X3018−X3019−X3020−X3021(VIII)(配列番号3120)の構造の少なくともアミノ酸3〜21(X3003〜X3021)を含む、TFPI結合性ペプチドを提供する。式(VIII)中、X3001およびX3002は、独立して、ペプチド中に存在する、または存在しない。存在する場合、X3001は、A、C、D、F、G、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、E、H、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X3002は、A、C、D、F、H、K、M、N、P、R、S、T、W、Y、G、I、およびLからなる群から選択されるアミノ酸である。さらに、
X3003は、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3004は、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、Y、およびPからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3005は、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3006は、A、W、C、K、P、R、およびHからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3007は、Q、A、C、F、G、H、I、K、L、N、R、S、T、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3008は、A、C、F、G、H、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、Y、およびIからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3009は、A、C、F、G、H、I、L、M、R、S、T、V、W、Y、およびKからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3010は、A、C、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3011は、A、G、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、Y、C、F、およびHからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3012は、A、C、H、I、K、L、およびRからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3013は、A、C、F、G、H、K、L、M、R、S、V、W、Y、およびIからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3014は、A、C、F、G、H、I、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、Y、およびKからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3015は、A、K、およびRからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3016は、A、F、K、およびRからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3017は、A、C、F、G、I、K、L、N、Q、R、S、T、V、W、Y、H、A、およびMからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3018は、A、C、F、I、K、L、M、Q、R、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3019は、A、C、D、E、F、G、H、K、L、N、P、Q、R、V、W、Y、およびIからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3020は、A、C、F、G、H、K、L、M、N、Q、R、V、W、Y、I、およびPからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3021は、A、C、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、Y、F、およびGからなる群から選択されるアミノ酸である。
本発明のいくつかの態様において、ペプチドは、式(VIII)の配列を含み、式中、
X3001は、随意に、A、C、D、G、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、E、H、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、D、G、K、L、M、N、P、R、S、T、E、H、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり(X3001が存在する場合)、
X3002は、随意に、C、F、H、K、R、S、W、Y、G、I、およびLからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、C、K、R、W、Y、G、I、およびLからなる群から選択されるアミノ酸であり(X3002が存在する場合)、
X3003は、随意に、A、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、およびWからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、G、H、I、K、L、M、R、S、T、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3004は、随意に、A、C、D、G、H、I、K、L、M、N、R、S、T、V、およびPからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、G、H、I、K、L、M、N、R、S、T、およびPからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3005は、随意に、C、F、H、I、K、M、R、T、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、C、F、H、K、R、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3006は、随意に、P、H、およびAからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3007は、随意に、C、G、R、W、A、およびLからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、L、C、R、およびWからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3008は、随意に、A、C、F、G、H、K、L、M、N、Q、R、T、V、W、Y、およびIからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、F、H、K、R、V、W、Y、およびIからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3009は、C、I、R、V、およびKからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、C、R、V、およびKからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3010は、随意に、A、C、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、K、L、Q、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3011は、随意に、A、I、K、L、M、R、S、V、W、C、F、およびHからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、I、K、L、M、R、V、W、C、F、およびHからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3012は、随意に、HおよびRからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、H)であり、
X3013は、随意に、C、F、K、L、M、R、V、およびIからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、C、K、R、V、およびIからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3014は、随意に、A、M、C、F、H、I、L、N、R、S、V、W、およびKからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、S、C、F、H、I、R、およびKからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3015は、随意に、KまたはRであり、
X3016は、随意に、KまたはRであり、
X3017は、随意に、A、C、F、G、I、K、L、N、Q、R、S、T、V、W、H、A、およびMからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、C、G、I、K、L、N、Q、R、S、T、V、H、A、およびMからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3018は、随意に、A、K、C、I、L、R、およびWからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、K、C、I、R、またはW)であり、
X3019は、随意に、A、C、E、H、K、N、Q、R、およびIからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、C、E、H、K、R、およびIからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3020は、随意に、C、H、L、M、R、V、I、およびPからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、C、M、I、またはP)であり、
X3021は、随意に、A、C、H、I、K、L、M、N、Q、R、V、W、Y、F、およびGからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、H、I、K、L、M、N、Q、R、V、W、F、およびGからなる群から選択されるアミノ酸である。
本発明は、さらに、式(IX):X3001−X3002−X3003−X3004−X3005−X3006−X3007−X3008−X3009−X3010−X3011−H−X3013−X3014−K/R−R−X3017−X3018−X3019−X3020−X3021(IX)(配列番号3121)の構造の少なくともアミノ酸3〜21(X3003〜X3021)を含む、TFPIに結合するペプチドを提供する。式(IX)中、X3001およびX3002は、独立して、ペプチド中に存在する、または存在しない。存在する場合、X3001および/またはX3002は、独立して、任意のアミノ酸から選択される。同様に、X3003、X3004、X3005、X3006、X3007、X3008、X3009、X3010、X3011、X3013、X3014、X3017、X3018、X3019、X3020およびX3021は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸から選択される。存在する場合、X3001は、随意に、A、C、D、F、G、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、E、H、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、D、G、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、E、H、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、C、D、G、K、L、M、N、P、R、S、T、E、H、およびYからなる群から選択されるアミノ酸)である。同様に、存在する場合、X3002は、随意に、A、C、D、F、H、K、M、N、P、R、S、T、W、Y、G、I、およびLからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、C、F、H、K、R、S、W、Y、G、I、およびLからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、C、K、R、W、Y、G、I、およびLからなる群から選択されるアミノ酸)である。また、式(IX)に関して、
X3003は、随意に、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、およびWからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、C、G、H、I、K、L、M、R、S、T、およびW)からなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3004は、随意に、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、Y、およびPからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、D、G、H、I、K、L、M、N、R、S、T、V、およびPからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、C、G、H、I、K、L、M、N、R、S、T、およびPからなる群から選択されるアミノ酸)であり、
X3005は、随意に、C、D、F、G、H、I、K、L、M、N、P、R、S、T、V、W、およびY,からなる群から選択されるアミノ酸、例えば、C、F、H、I、K、M、R、T、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、C、F、H、K、R、およびWからなる群から選択されるアミノ酸)であり、
X3006は、随意に、A、W、C、K、P、RおよびHからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、P、H、およびAからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X3007は、随意に、Q、A、C、F、G、H、I、K、L、N、R、S、T、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、C、G、R、W、A、およびLからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、L、C、R、またはW)であり、
X3008は、随意に、A、C、F、G、H、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、Y、およびIからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、F、G、H、K、L、M、N、Q、R、T、V、W、Y、およびIからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、C、F、H、K、R、V、W、Y、およびIからなる群から選択されるアミノ酸)であり、
X3009は、随意に、A、C、F、G、H、I、L、M、R、S、T、V、W、Y、およびKからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、C、I、R、V、およびKからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、C、R、V、またはK)であり、
X3010は、随意に、A、C、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、C、K、L、Q、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸)であり、
X3011は、随意に、A、G、I、K、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、Y、C、F、およびHからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、I、K、L、M、R、S、V、W、C、F、およびHからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、I、K、L、M、R、V、W、C、F、およびHからなる群から選択されるアミノ酸)であり、
X3013は、随意に、A、C、F、G、H、K、L、M、R、S、V、W、Y、およびIからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、C、F、K、L、M、R、V、およびIからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、C、K、R、V、またはI)であり、
X3014は、随意に、A、C、F、G、H、I、L、M、N、Q、R、S、T、V、W、Y、およびKからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、M、C、F、H、I、L、N、R、S、V、W、およびKからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、S、C、F、H、I、R、およびKからなる群から選択されるアミノ酸)であり、
X3017は、随意に、A、C、F、G、I、K、L、N、Q、R、S、T、V、W、Y、H、A、およびMからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、F、G、I、K、L、N、Q、R、S、T、V、W、H、A、およびMからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、C、G、I、K、L、N、Q、R、S、T、V、H、A、およびMからなる群から選択されるアミノ酸)であり、
X3018は、随意に、A、C、F、I、K、L、M、Q、R、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、K、C、I、L、R、およびWからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、K、C、I、R、またはW)であり、
X3019は、随意に、A、C、D、E、F、G、H、K、L、N、P、Q、R、V、W、Y、およびIからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、E、H、K、N、Q、R、およびIからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、C、E、H、K、R、またはI)であり、
X3020は、随意に、A、C、F、G、H、K、L、M、N、Q、R、V、W、Y、I、およびPからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、C、H、L、M、R、V、I、およびPからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、C、M、I、またはP)であり、ならびに/あるいは
X3021は、随意に、A、C、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、T、V、W、Y、F、およびGからなる群から選択されるアミノ酸、例えば、A、C、H、I、K、L、M、N、Q、R、V、W、Y、F、およびGからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、C、H、I、K、L、M、N、Q、R、V、W、F、およびGからなる群から選択されるアミノ酸)である。
本発明のTFPI結合性ペプチドは、いくつかの態様において、式(X):Ac−GYASFPWFVQLHVHKRSWEMA−NH2(X)(配列番号223)の配列との少なくとも60%の同一性(例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む。随意に、ペプチドは、本明細書において定義される式(VIII)〜(IX)のアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなる。本明細書において使用される場合、「少なくとも60%の同一性」および同様の用語は、例えば、60%から100%の任意の整数、例えば、60%、61%、62%等を包含する。また、「少なくとも[パーセンテージ]の同一性」という用語は、本発明のペプチドのアミノ酸の総数で除した同一のアミノ酸の数以上である任意のパーセンテージを包含する([少なくともパーセンテージの同一性]>[同一のアミノ酸の数]/[本発明のペプチドのアミノ酸の総数])。
本発明はまた、配列番号:2001〜2498からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、配列番号2001〜2296および2498(例えば、配列番号:2001〜2126、2128〜2296、もしくは2498)からなる群から選択される、ならびに/または配列番号2297〜2497(例えば、配列番号:2298〜2497)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチド)を含む。本発明は、さらに、配列番号3001〜3108からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチド(例えば、配列番号3001〜3064(例えば、配列番号3001〜3048、3051〜3053、3055、もしくは3057〜3064)からなる群から選択されるアミノ酸配列、ならびに/または配列番号:3065〜3084(例えば、配列番号3066〜3084)からなる群から選択されるアミノ酸配列、ならびに/または配列番号3085〜3108からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチド)を提供する。
配列番号1〜7のペプチドはまた、いくつかの態様において、配列番号:1〜7のNまたはC末端に結合した1つ以上のアミノ酸を含む。例えば、本発明は、その全てが配列番号1のアミノ酸配列を含む、JBT0047、JBT0051、JBT0055、JBT0131、JBT0132、JBT0133、JBT0155、JBT0158、JBT0162、JBT0163、JBT0164、JBT0166、JBT0169、JBT0170、JBT0171、JBT0174、JBT0175、またはJBT0293のアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチドを含む。配列番号2のアミノ酸配列を含む例示的ペプチドは、JBT0294、JBT0295、JBT0296、JBT0297、JBT0298、JBT0299、JBT0300、JBT0301、JBT0302、JBT0303、JBT0304、JBT0305、JBT0306、JBT0307、JBT0308、JBT0309、JBT0310、またはJBT0311のアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチドを含む。配列番号3のアミノ酸配列を含む例示的ペプチドは、JBT0049、JBT0053、JBT0057、JBT0190、JBT0193、またはJBT0197のアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなる。本発明は、さらに、その全てが配列番号4のアミノ酸配列を含む、JBT0050、JBT0054、JBT0058、JBT0129、JBT0130、JBT0205、JBT0208、JBT0211、JBT0212、JBT0217、JBT0218、またはJBT0219のアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチドを含む。配列番号5を含む例示的ペプチドは、JBT0101、JBT0052、JBT0103、JBT0178、またはJBT0182のアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチドを含む。本発明は、さらに、そのそれぞれが配列番号6のアミノ酸配列を含む、JBT0120、JBT0124、JBT0247、JBT0248、JBT0251、またはJBT0252のアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチドを含む。配列番号7のアミノ酸配列を含むペプチド、例えば、JBT0122、JBT0126、JBT0221、JBT0224、JBT0225、JBT0226、JBT0228、JBT0232、またはJBT0233のアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチドもまた、本発明により提供される。本明細書に記載のペプチドは、実施例1の表5、および図12〜18に示される。
本発明は、さらに、式(XI):X4001−Q−X4003−X4004−X4005−X4006−X4007−X4008−X4009−X4010−X4011−X4012−X4013−X4014−R−X4016−X4017−X4018−X4019−X4020(XI)の構造を有するTFPI結合性ペプチドを含む。式(XI)に関して、
X4001は、F、L、M、Y、1Ni、Thi、Bta、およびDopaからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、F、Y、1Ni、Bta、またはDopa)であり、
X4003は、C、D、E、M、Q、R、S、T、Ede(O)、およびCmcからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、D、E、またはS)であり、
X4004は、Aib、E、G、I、K、L、M、P、R、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、K)であり、
X4005は、A、Aib、C、D、d、E、G、H、K、k、M、N、Nmg、p、Q、R、NpropylG、aze、pip、tic、oic、hyp、nma、Ncg、Abg、Apg、thz、およびdtcからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、p、Nmg、NpropylG、aze、pip、tic、oic、またはhyp)であり、
X4006は、A、C、C(NEM)、D、E、G、H、K、M、N、Q、R、S、V、Cit、C(Acm)、Nle、I、Ede(O)、Cmc、Ecl、Eea、Eec、Eef、Nif、およびEewからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、C、E、K、R、S、V、C(Acm)、Nle、C(NEM)、I、またはCit)であり、
X4007は、I、V、T、Chg、Phg、およびTleからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、VまたhTle)であり、
X4008は、F、H、1Ni、2Ni、Pmy、およびYからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、H、1Ni、2Ni、またはPmy)であり、
X4009は、Aib、V、Chg、Phg、Abu、Cpg、Tle、およびL−2−アミノ−4,4,4−トリフルオロ酪酸からなる群から選択されるアミノ酸(例えば、V、Abu、またはTle)であり、
X4010は、A、C、D、d、E、F、H、K、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、Y、Nmd、およびC(NEM)からなる群から選択されるアミノ酸(例えば、D、P、CまたはT)であり、
X4011は、A、a、G、p、Sar、c、およびhcyからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、G、a、c、hcy、またはSar)であり、
X4012は、Y、Tym、Pty、Dopa、およびPmyからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、Y)であり、
X4013は、C、F、1Ni、Thi、およびBtaからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、F、1Ni、またはBta)であり、
X4014は、A、Aib、C、C(NEM)、D、E、K、L、M、N、Q、R、T、V、およびHcyからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、Aib、C、E、またはHcy)であり、
X4016は、L、Hcy、Hle、およびAmlからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X4017は、A、a、Aib、C、c、Cha、Dab、Eag、Eew、H、Har、Hci、Hle、I、K、L、M、Nle、Nva、Opa、Orn、R、S、Deg、Ebc、Eca、Egz、Aic、Apc、およびEgtからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、Aib、C、c、Aic、Eca、またはDeg)であり、
X4018は、A、Aib、Hcy、hcy、C、c、L、Nle、M、N、およびRからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、A、Aib、C、c、L、またはHcy)であり、
X4019は、K、R、およびHarからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、K)であり、
X4020は、K、L、Hcy、およびAmlからなる群から選択されるアミノ酸(例えば、L、Aml、およびHcy)である。
式(XI)のTFPI結合性ペプチドは、式(XII):X5001−Q−X5003−X5004−X5005−X5006−I/V−X5008−Aib/V−X5010−G−Y−X5013−X5014−R−L−X5017−X5018−K−K/L(XII)の構造を有さない。式(XII)中、
X5001は、F、L、M、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5003は、C、D、E、M、Q、R、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5004は、E、G、I、K、L、M、P、R、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5005は、a、A、Aib、C、D、d、E、G、H、K、k、M、N、Nmg、Q、R、およびpからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5006は、A、C、D、E、G、H、K、M、N、Q、R、S、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5008は、F、H、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5010は、A、C、D、E、F、H、D、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、およびYからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5013は、Aib、C、およびFからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5014は、A、Aib、C、D、E、K、L、M、N、Q、R、T、およびVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5017は、A、Aib、C、Cha、Dab、Eag、Eew、H、Har、Hci、Hle、I、K、L、M、Nle、Nve、Opa、Orn、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5018は、A、C、L、M、N、およびRからなる群から選択されるアミノ酸である。
一態様において、式(XI)のTFPI結合性ペプチドは、X4001に結合したN末端アミノ酸(複数を含む)および/または部分をさらに含む。N末端アミノ酸(複数を含む)および/または部分は、随意に、FAM−Ttds、プロリン−グルタメートタグ(「PE」)、Palm、2−フェニルアセチル、3−フェニルプロピオニル、2−(ナフタ−2−イル)アセチル、ヘキサノイル、2−メチルプロピオニル、3−メチルブタノイル、2−ナフチルスルホニル、および1−ナフチルスルホニルからなる群から選択される。代替として、またはそれに加えて、式(XI)のTFPI結合性ペプチドは、X4020に結合した1つ以上のアミノ酸(複数を含む)および/または部分をさらに含む。C末端アミノ酸(複数を含む)および/または部分は、本明細書において、X4021として示され、随意に、C、c、C(NEM)、K(Ttds−マレイミドプロピオニル(EtSH))、FA19205、FA19204、FA19203、FA03202、K(Tdts−マレイミド)、K(AOA)、およびCeaからなる群から選択される。
一実施形態において、ペプチドは、X4018とX4021との間に形成される環状構造を有する。この点において、X4018は、随意に、Cまたはcであり、X4021は、随意に、Ceaである。別の実施形態において、ペプチドは、X4011とX4014との間に形成される環状構造を有する。この点において、X4011は、随意に、cまたはhcyであり、X4014は、随意に、CまたはHcyである。
本発明はまた、配列番号4022、4024、4032、4036〜4047、4049〜4078、4086〜4097、4100〜4127、4129〜4170、4173〜4195、4200〜4214、4217〜4225、4228、4230、4231、4238、および4239からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチド、ならびに、配列番号1294〜1336、4002、4013、4021、4023、4025〜4031、4033〜4035、4048、4079〜4085、4098、4099、4128、4171、4172、4196〜4199、4215、4216、4226、4277、4229、4232、および4233からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを含む。
ある特定の実施形態において、本発明のペプチドは、JBT0047、JBT0049、JBT0101、JBT0120、またはJBT0122のアミノ酸配列、あるいは本明細書に記載の本発明のペプチドのいずれか(例えば、配列番号1〜3108のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、もしくはそのアミノ酸配列からなるペプチド、例えば、配列番号:8〜741、744〜968、971〜978、1001〜1210、1213〜1289、1290〜1293、2001〜2126、2128〜2296、2298〜2498、3001〜3048、3051〜3053、3055、3057〜3064、および3067〜3108のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、もしくはそのアミノ酸配列からなるペプチド;配列番号4022、4024、4032、4036〜4047、4049〜4078、4086〜4097、4100〜4127、4129〜4170、4173〜4195、4200〜4214、4217〜4225、4228、4230、4231、4238、および4239のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、もしくはそのアミノ酸配列からなるペプチド;または、配列番号1294〜1336、4002、4013、4021、4023、4025〜4031、4033〜4035、4048、4079〜4085、4098、4099、4128、4171、4172、4196〜4199、4215、4216、4226、4277、4229、4232、および4233からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、もしくはそのアミノ酸配列からなるペプチド)、あるいは上記のいずれかの変異体を含む、またはそれらからなる。「変異体」とは、1つ以上のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、または親アミノ酸配列へのアミノ酸付加を含むペプチドを意味する。変異体は、本明細書に記載のアミノ酸配列のいずれかと、少なくとも60%、65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有しながら、TFPIに結合する、および/またはTFPI活性を阻害する能力を保持するペプチドを含むが、これに限定されない。一実施形態において、ペプチドは、JBT0132、JBT0303、JBT0193、JBT0178、JBT0120、またはJBT0224のアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなる。
一態様において、本発明のペプチドは、40個以下のアミノ酸、例えば35個以下のアミノ酸からなる。随意に、本発明のペプチドは、25個以下のアミノ酸、または10個以下のアミノ酸からなる。様々な実施形態において、ペプチドは、15〜35個のアミノ酸残基(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35個のアミノ酸残基)を含む。しかしながら、1つ以上の欠失を含む本明細書に記載のペプチドは、ペプチドがTFPIに結合し、随意に凝固カスケードのTFPI阻害を遮断する限り、本明細書の文脈において好適であることも企図される。いくつかの態様において、アミノ酸は、N末端において、および/またはC末端において、アミノ酸配列内から除去される。そのようなペプチド断片は、3〜14個のアミノ酸残基(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個のアミノ酸残基)を含み得る。
随意に、本発明のペプチドは、TFPIに結合する、および/またはTFPIを阻害するペプチドの能力を破壊しない1つ以上のアミノ酸置換(本明細書に記載のアミノ酸配列のいずれかを参照して)を含む。例えば、JBT0294、JBT0295、JBT0296、JBT0297、JBT0298、JBT0299、JBT0300、JBT0301、JBT0302、JBT0303、JBT0304、JBT0305、JBT0306、JBT0307、JBT0308、JBT0309、JBT0310、またはJBT0311からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるペプチドは、JBT0293のアミノ酸配列の置換突然変異体(N末端でフェニルアラニン残基に、およびC末端でリシン残基に直接結合した配列番号1のアミノ酸配列)である(図4参照)。
アミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減する、(2)酸化に対する感受性を低減する、(3)結合親和性を改変する、および/または(4)ペプチドに対する他の物理化学的もしくは機能的特性を与える、もしくは修飾するアミノ酸置換を含むが、これに限定されない。一態様において、置換は、保存的置換であり、アミノ酸残基は、類似した側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられる。類似した側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されており、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、およびヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、およびシステイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、およびトリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、およびイソロイシン)、ならびに芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。しかしながら、当業者は、得られるペプチドが全体的または部分的にTFPI活性を下方制御する能力を保持する限り、保存的置換の形成に限定されないことが理解される。本発明はまた、当該技術分野において周知である非定型の非自然発生的アミノ酸を含むTFPI阻害ペプチドを包含する。例示的な非自然発生的アミノ酸は、オルニチン、シトルリン、ヒドロキシプロリン、ホモセリン、フェニルグリシン、タウリン、ヨードチロシン、2,4−ジアミノ酪酸、アルファ−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、2−アミノ酪酸、y−アミノ酪酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、ノルロイシン、ノルバリン、サルコシン、ホモシトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、フルオロアミノ酸、3−メチルアミノ酸、α−C−メチルアミノ酸、N−メチルアミノ酸、2−アミノ−イソ酪酸、β−ホモグルタミン酸、β−ホモフェニルアラニン、β−ホモリシン、β−ホモロイシン、β−ホモアスパラギン、β−ホモグルタミン、β−ホモアルギニン、β−ホモセリン、β−ホモチロシン、β−ホモアスパラギン酸、β−ホモバリン、β−ホモアスパラギン、(S)−シクロヘキシルアラニン、(S)−シトルリン、(S)−2,4−ジアミノ酪酸、(S)−2,4−ジアミノ酪酸、(S)−ジアミノプロピオン酸、(S)−2−プロパルギルグリシン、(S)−N(オメガ)−ニトロ−アルギニン、L−ホモフェニルアラニン、(S)−ホモ−アルギニン、(S)−ホモ−シトルリン、(S)−ホモ−システイン、(S)−2−アミノ−5−メチル−ヘキサン酸、(S)−ホモ−リシン、(S)−ノルロイシン、(S)−N−メチルアラニン、(S)−N−メチル−アスパラギン酸、(S)−N−メチル−グルタミン酸、(S)−N−メチル−フェニルアラニン、N−メチル−グリシン、(S)−N−メチル−リシン、(S)−N−メチル−ロイシン、(S)−N−メチル−アルギニン、(S)−N−メチル−セリン、(S)−N−メチル−バリン、(S)−N−メチル−チロシン、(S)−2−アミノ−ペンタン酸、(S)−2−ピリジル−アラニン、(S)−オルニチン、L−フェニルグリシン、4−フェニル−酪酸およびセレノメチオニンを含む。個々のアミノ酸は、適宜、LまたはD型立体化学を有し得るが、典型的には、L型立体化学がペプチド内のアミノ酸の全てに対し使用される。
本発明は、さらに、本明細書に記載のアミノ酸配列内に挿入された、および/またはN末端もしくはC末端に結合した1つ以上のアミノ酸を含むTFPI阻害ペプチド変異体を含む。一態様において、ペプチドは、さらに、ペプチドの溶解度を増加させるためのN末端および/またはC末端における1つまたは2つのリシンを含むがこれに限定されない、ペプチドの合成、取扱い、または使用を容易化する1つ以上のアミノ酸を含む。好適な融合タンパク質は、一般にタンパク質配列の一部として認識されない、1つ以上のポリペプチド、ポリペプチド断片、またはアミノ酸に結合したTFPI阻害ペプチドを含むタンパク質を含むが、これに限定されない。一態様において、融合タンパク質は、2つ以上のペプチドの全アミノ酸配列を含むか、または代替として、2つ以上のペプチドの一部(断片)を含む。本明細書に記載のTFPI阻害ペプチドの全てまたは一部に加えて、融合タンパク質は、随意に、所望の生物活性/機能を含む任意の好適なペプチドの全てまたは一部を含む。実際に、いくつかの態様において、TFPI阻害ペプチドは、例えば、長期循環半減期を有するペプチド、マーカータンパク質、TFPI阻害ペプチドの精製を容易化するペプチド、多量体タンパク質の形成を促進するペプチド配列、または上記のいずれか断片の1つ以上に機能的に結合する。好適な融合タンパク質は、Hisタグ、FLAGタグ、strepタグ、およびmycタグを含むが、これらに限定されない。随意に、TFPI阻害ペプチドは、ペプチドの半減期を向上させる1つ以上の実体に融合される。半減期は、例えば、TFPI結合性ペプチドの分子量を増加させて腎クリアランスを回避すること、および/またはnFc受容体媒介再循環経路のためにリガンドを組み込むことにより増加させることができる。一実施形態において、TFPI結合性ペプチドは、(以下でより詳細に説明されるように)アルブミンポリペプチドまたはその断片(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)またはウシ血清アルブミン(BSA))に融合または化学的に結合している。アルブミン断片は、全長アルブミンタンパク質の10%、25%、50%、または75%を含む。代替として、またはそれに加えて、TFPI結合性ペプチドは、生体内に投与された場合にアルブミンに結合するアルブミン結合ドメインまたは脂肪酸を含む。他の好適な融合パートナーは、プロリン−アラニン−セリン多量体(PAS化)および抗体またはその断片(例えば、抗体のFc部分)を含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、2つ以上のTFPI阻害ペプチドが互いに融合する、多量体化ドメインにより結合される、または化学結合を介して結合してTFPI阻害ペプチド複合体を生成する。TFPI阻害ペプチドは、同じまたは異なっていてもよい。したがって、本発明は、随意に1つ以上の結合部により結合した、本明細書に記載のペプチドのいずれかを含む、またはそれからなるホモ二量体(すなわち、2つの同一のTFPI結合性ペプチドを含む二量体)、ホモ多量体(すなわち、3つ以上の同一のTFPI結合性ペプチドを含む複合体)、ヘテロ二量体(すなわち、2つの異なるTFPI結合性ペプチドを含む二量体)、およびヘテロ多量体(すなわち、3つ以上のTFPI結合性ペプチドを含む複合体であり、TFPI結合性ペプチドの少なくとも2つが異なる)を提供する。例示的TFPI結合性ペプチド二量体は、JBT2496(配列番号4211)である。
本発明には「誘導体」が含まれ、誘導体は、アミノ酸の付加、欠失、または置換とは異なるいくつかの様式で化学的に修飾されているTFPI阻害ペプチドを含む。この点において、本明細書に記載の本発明のペプチドは、ポリマー、脂質、他の有機部分、および/または無機部分と化学結合している。ペプチドおよびタンパク質修飾の例は、Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,(1996)に記載されている。本明細書に記載のTFPI結合性ペプチドは、随意に、別の部分(例えば、ペプチド部分)への結合を促進する官能基を含む。例示的な官能基は、イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、NHSエステル、塩化スルホニル、アルデヒド、エポキシド、オキシラン、カーボネート、アリール化剤、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、ハロゲン化アルキル誘導体(例えば、ハロアセチル誘導体)、マレイミド、アジリジン、アクリロイル誘導体、アリール化剤、チオール−ジスルフィド交換試薬(例えば、ピリジルジスルフィドまたはTNBチオール)、ジアゾアルカン、カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジスクシニルカーボネート、N−ヒドロキシスクシンイミジルクロロホルメート、およびヒドラジン誘導体を含むが、これらに限定されない。マレイミドは、例えば、生体内でアルブミンと結合するTFPI結合性ペプチドの生成に有用である。
いくつかの状況において、誘導体は、溶解度、安定性、吸収、または循環半減期を増加させるために調製される。様々な化学修飾は、薬剤の任意の望ましくない副作用を排除または軽減する。一態様において、本発明は、1つ以上の水溶性ポリマーの結合を含むように共有結合的に修飾されたTFPI結合性ペプチドを含む。水溶性ポリマー(または他の化学部分)は、任意のアミノ酸残基に結合するが、いくつかの実施形態においては、NまたはC末端への結合が望ましい。随意に、ポリマーは、ポリマーの結合を促進する官能基を提供する1つ以上のアミノ酸または構成単位を介してペプチドに結合する。例えば、JBT2315は、例えばマレイミドポリエチレングリコール(PEG)の付加を促進するC末端システイン(式(XI)に関しては位置X4021)を含む。有用なポリマーは、PEG(例えば、約40kD、30kD、20kD、10kD、5kD、または1kDのサイズのPEG)、ポリオキシエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、セルロース、ポリ−(N−ビニルピロリドン)−ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリシアル酸(PSA)、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)およびポリビニルアルコール、ならびに上記のいずれかの混合物を含むが、これらに限定されない。一態様において、本発明のペプチドは、PEG化ペプチドである。PEG部分は、異なる形状、例えば、直線状または分岐状で利用可能である。水溶性ポリマーの結合に関するさらなる議論については、米国特許第4,640,835号、米国特許第4,496,689号、米国特許第4,301,144号、米国特許第4,670,417号、米国特許第4,791,192号、および米国特許第4,179,337号を参照されたい。ペプチド半減期または安定性の改善に有用な他の部分は、本明細書に記載され、例えば、アルブミン(本発明のペプチドへの結合を可能とするように随意に修飾されている)、脂肪酸鎖(例えば、C12〜C18脂肪酸、例えばC14脂肪酸)、抗体またはその断片(例えば、抗体のFc部分)、およびプロリン−アラニン−セリン多量体を含む。
別の態様において、ペプチド誘導体は、特定の細胞型、組織、および/または器官に特異的な標的化部分を含む。代替として、ペプチドは、精製、検出、多量体化、相互作用パートナーとの結合、およびペプチド活性の特性決定を促進する1つ以上の化学部分に結合している。例示的な化学部分は、ビオチンである。本発明のTFPI結合性ペプチドへの結合に好適な他の部分は、感光剤、染料、蛍光染料、放射性核種、放射性核種含有複合体、酵素、毒素、および細胞毒性薬を含むが、これらに限定されない。感光剤は、例えば、Photofrin、Visudyne、Levulan、Foscan、Metvix、Hexvix(登録商標)、Cysview(商標)、Laserphyrin、Antrin、Photochlor、Photosens、Photrex、Lumacan、Cevira、Visonac、BF−200 ALA、およびAmphinexを含む。所望により、Hisタグ、FLAGタグ、strepタグ、またはmycタグがペプチドに結合される。
さらに、一態様において、本発明のペプチドは、ペプチドのN末端アミノ酸においてアシル化される。別の態様において、本発明のペプチドは、ペプチドのC末端アミノ酸においてアミド化される。さらなる態様において、本発明のペプチドは、ペプチドのN末端アミノ酸においてアシル化され、ペプチドのC末端アミノ酸においてアミド化される。
誘導体はまた、修飾もしくは非タンパク原性アミノ酸または修飾結合基を含むペプチドを含む(例えば、Grant,Synthetic Peptides:A User’s Guide,Oxford University Press(1992)を参照されたい)。修飾アミノ酸は、例えば、アミノおよび/またはカルボキシル基が別の基で置き換えられたアミノ酸を含む。限定されない例は、チオアミド、尿素、チオ尿素、アシルヒドラジド、エステル、オレフィン、スルホンアミド、リン酸アミド、ケトン、アルコール、ボロン酸アミド、ベンゾジアゼピンおよび他の芳香族または非芳香族ヘテロ環を組み込んだ修飾アミノ酸を含む(Estiarte et al.,Burgers Medicinal Chemistry,6th edition,Volume 1,Part 4,John Wiley & Sons,New York(2002)を参照されたい)。修飾アミノ酸は、多くの場合、アミド結合の代わりに、上述の官能基の少なくとも1つを有するペプチドに接続される。非タンパク原性アミノ酸は、β−アラニン(Bal)、ノルバリン(Nva)、ノルロイシン(Nle)、4−アミノ酪酸(γ−Abu)、2−アミノイソ酪酸(Aib)、6−アミノヘキサン酸(ε−Ahx)、オルニチン(Orn)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、タウリン、サルコシン、シトルリン(Cit)、システイン酸(Coh)、シクロヘキシルアラニン(Cha)、メチオニンスルホキシド(Meo)、メチオニンスルホン(Moo)、ホモセリンメチルエステル(Hsm)、プロパルギルグリシン(Eag)、5−フルオロトリプロファン(5Fw)、6−フルオロトリプトファン(6Fw)、3’,4’−ジメトキシフェニル−アラニン(Ear)、3’,4’−ジフルオロフェニルアラニン(Dff)、4’−フルオロフェニル−アラニン(Pff)、1−ナフチル−アラニン(1Ni)、1−メチルトリプトファン(1Mw)、ペニシラミン(Pen)、ホモセリン(Hse)、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン(Phg)、ベンゾチエニルアラニン(Bta)、L−ホモ−システイン(Hcy)、N−メチル−フェニルアラニン(Nmf)、2−チエニルアラニン(Thi)、3,3−ジフェニルアラニン(Ebw)、ホモフェニルアラニン(Hfe)およびS−ベンジル−L−システイン(Ece)を含むが、これらに限定されない。非タンパク原性アミノ酸の多くの構造を、表2に示す。これらの、および他の非タンパク原性アミノ酸は、D型またはL型異性体として存在し得る。修飾結合部の例は、柔軟性結合部4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン(Ttds)、グリシン、6−アミノヘキサン酸、β−アラニン(Bal)、ペンチン酸(Pyn)、ならびにTtds、グリシン、6−アミノヘキサン酸およびBalの組合せを含むが、これらに限定されない。
本発明のペプチドを構成するアミノ酸のホモログは、表3に示され得る。任意の実施形態において、TFPI結合性ペプチドの1つ以上のアミノ酸が、ホモログで置換されている。
誘導体はまた、例えばフッ素、塩素、ヨウ素、または臭素でのハロゲン化により修飾されたアミノ酸等の、修飾された置換基を有するアミノ酸を含むペプチドを含む。いくつかの実施形態において、TFPI結合性ペプチドは、ハロゲン化芳香族アミノ酸、例えばフェニルアラニンを含む。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチド内のアミノ酸を連結するペプチド(CO−NH)結合は、逆転されて、「逆修飾」ペプチド、すなわち基準ペプチドと比較して反対方向にアセンブルされたアミノ酸残基を含むペプチド(NH−CO結合)を形成する。逆修飾ペプチドは、基準ペプチドと同じアミノ酸キラリティを有する。「反転修飾」ペプチドは、基準ペプチドと同じ方向にアセンブルされているアミノ酸を含む本発明のペプチドであるが、アミノ酸のキラリティが反転している。したがって、基準ペプチドがL型アミノ酸を含む場合、「反転修飾」ペプチドはD型アミノ酸を含み、またその逆も成り立つ。反転修飾ペプチドは、CO−NHペプチド結合を含む。「逆反転修飾」ペプチドは、反対方向にアセンブルされ、反転したキラリティを有するアミノ酸残基を含むペプチドを指す。逆反転アナログは、逆転した末端および逆転した方向のペプチド結合(すなわち、NH−CO)を有するが、基準ペプチド内に見られる側鎖トポロジーを近似的に維持する。逆反転ペプチド模倣薬は、参照により本明細書に援用されるMeziere et al,J.Immunol.,159,3230−3237(1997)に記載の方法を含む、標準的方法を使用して調製される。部分的逆反転ペプチドは、アミノ酸配列の一部分のみが逆転され、鏡像異性体アミノ酸残基で置き換えられたペプチドである。
本発明のTFPI結合性ペプチド(TFPI阻害ペプチドを含む)は、様々な手法で調製される。一態様において、ペプチドは、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.,85,2149(1963)、Davis et al.,Biochem.Intl.,10,394−414(1985)、Larsen et al.,J.Am.Chem.Soc.,115,6247(1993)、Smith et al.,J.Peptide Protein Res.,44,183(1994)、O’Donnell et al.,J.Am.Chem.Soc.,118,6070(1996)、Stewart and Young,Solid Phase Peptide Synthesis,Freeman(1969)、Finn et al.,The Proteins,3rd ed.,vol.2,pp.105−253(1976)、およびErickson et al.,The Proteins,3rd ed.,vol.2,pp.257−527(1976)に記載の技術を含む、固相合成技術により合成される。代替として、TFPI結合性ペプチド(例えば、TFPI阻害ペプチド)は、ペプチドを発現するように培養される宿主細胞内に、TFPI結合性ペプチド(例えば、TFPI阻害ペプチド)をコードする核酸を導入することによって、組み換え技術により発現される。そのようなペプチドは、標準的タンパク質精製技術を使用して、細胞培養物から精製される。
本発明はまた、本発明のTFPI阻害ペプチドをコードする核酸配列を含む核酸を包含する。DNAおよび/またはRNA分子を調製する方法は、当該技術分野において周知である。一態様において、本明細書に記載のペプチドをコードするDNA/RNA分子は、化学合成技術を使用して、および/またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して生成される。所望により、TFPI阻害ペプチドコード配列は、発現ベクター内に組み込まれる。当業者には、これらに限定されるものではないが、プラスミド、プラスミド−リポソーム複合体、およびウイルスベクター等、当該技術分野において知られている複数の発現ベクターのいずれも、本発明の文脈において好適であることが理解される。これらの発現ベクターのいずれも、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,a Laboratory Manual,2d edition,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)、およびAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons,New York,N.Y.(1994)に記載の標準的組み換えDNA技術を使用して調製される。随意に、核酸は、1つ以上の制御配列、例えばプロモーター、活性化因子、エンハンサー、キャップシグナル、ポリアデニル化シグナル、または転写もしくは翻訳の制御に関連した他のシグナルに機能的に結合する。
また、本発明のTFPI阻害ペプチドまたはペプチドをコードする核酸のいずれも、組成物(例えば、薬学的組成物)として提供される。この点において、ペプチドは、本明細書においてさらに説明されるように、生理学的に許容される(すなわち、薬理学的に許容される)担体、緩衝剤、賦形剤、または希釈剤とともに製剤化される。随意に、ペプチドは、本発明により包含される、生理学的に許容される塩の形態である。「生理学的に許容される塩」は、薬学的に許容される任意の塩を意味する。適切な塩のいくつかの例は、酢酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩、およびシュウ酸塩を含む。所望により、組成物は、1つ以上の追加的な薬学的に効果的な薬剤を含む。
本明細書に記載のペプチドは、随意に、少なくとも1つのTFPI−1(例えば、TFPI−1αまたはTFPI−1β)活性、例えば、これらに限定されないが、血液凝固カスケードを下方制御する活性を阻害する。いかなる特定の作用機序にも束縛されないが、阻害の提案される機序は、四元TF−FVIIA−FXA−TFPI複合体の形成の防止を含み得る。ペプチドは、FXaに対するTFPIの(競合的またはアロステリックに)結合を阻害(例えば、第Xa因子に対するTFPI Kunitzドメイン2の結合を阻害、もしくは第Xa因子の外部位に対するTFPI Kunitzドメイン1の結合を妨害)してもよく、TF/FVIIa複合体を阻害(例えば、TF/FVIIa複合体に対するTFPI Kunitzドメイン1の結合を阻害)してもよく、TF単独を阻害してもよく、および/またはFVIIa単独を阻害してもよい。TFPI活性が消失すると、TFおよびFVIIは自由にFXを活性化し、一方これがプロトロンビンからトロンビンへの変換を向上させる。驚くべきことに、一実施形態において、Kunitzドメイン1に結合する本発明のペプチドは、FXaのTFPI媒介阻害に干渉する。したがって、本発明は、例えば、Kunitzドメイン1に結合する本明細書に記載のペプチドを対象に投与することにより、凝固カスケードの外因性および/もしくは共通経路のTFPI媒介下方制御を阻害する、ならびに/またはプロトロンビンからトロンビンへのFXa媒介変換を向上させる方法を提供する。
一態様において、本発明のペプチドは、モデルおよび/または血漿系においてTFPI拮抗作用を示す。TFPI阻害活性を決定するための例示的モデル系は、外因性テナーゼ分析であり、これは、TFPI(FX活性化反応の天然の阻害剤である)の存在下で候補ペプチドが外因性複合体媒介FX活性化を修復する能力を試験するものである(例えば、Lindhout et al.,Thromb.Haemost.,74,910−915(1995)を参照されたい)。TFPI阻害活性を特性決定するための別のモデル系は、FXa阻害分析であり、TFPIの存在下でFXa活性が測定される(Sprecher et al.,PNAS,91,3353−3357(1994)を参照されたい)。外因性テナーゼ分析およびFXa阻害分析は、実施例3においてさらに説明される。随意に、本発明のペプチドは、1×10−4M以下、1×10−5M以下、1×10−6M以下、または1×10−7M以下の半数効果濃度(EC50)で、TFPIの存在下でFX活性化を向上させる。
一態様において、TFPI拮抗活性は、血漿ベース分析において特性決定される。トロンビン形成は、候補ペプチドの存在下、FVIIIまたはFIX活性を実質的に欠失した血漿(例えば、残留凝固因子活性が1%未満)において誘発される。トロンビン形成は、実施例4に記載のように、蛍光性または発色基質を使用して検出することができる。トロンビン活性を測定するためのシステムは、Thrombinoscope BV(Maastricht、The Netherlands)により提供される。プロトロンビン変換は、例えば、Thrombograph(商標)(Thermo Scientific、Waltham、MA)を使用して測定され、得られたデータは、Thrombinoscope BVから入手可能なThrombinoscope(商標)ソフトウェアによって得られる、Calibrated Automatic Thrombogramにコンパイルされる。ある特定の実施形態において、TFPI阻害ペプチドは、分析中に生成されたピークトロンビンの量を増加させ、および/またはピークトロンビン形成を達成するのに必要な時間を短縮する。例えば、ペプチドは、FVIIIの非存在下(例えば、FVIII枯渇血漿中)で、正常血漿中でのTFPI依存性トロンビン生成のレベルの少なくとも1%まで、TFPI制御トロンビン生成を改善する。一般に、正常(罹患していない)血漿は、約0.5U/mLから約2U/mLの第VIII因子を含有する。したがって、いくつかの場合において、TFPI阻害ペプチドは、FVIIIの非存在下において、0.5U/mLから2U/mLのFVIIIの存在下で観察されるレベルの少なくとも約1%までトロンビン形成を向上させる。さらなる実施形態において、ペプチドは、第VIII因子の非存在下において、正常血漿中、すなわち、生理学的レベルの第VIII因子の存在下でのトロンビン形成のレベルの少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約7%、または少なくとも約10%までトロンビン形成を向上させる。様々な態様において、ペプチドは、生体内でのTFPI阻害活性を特性決定するために、トロンビン欠乏または血友病の動物モデルに投与される。そのような生体内モデルは、当該技術分野において知られており、例えば、血友病Aを誘発するために抗FVIII抗体が投与されたマウス(Tranholm et al.,Blood,102,3615−3620(2003))、凝固因子ノックアウトモデル、例えば、これらに限定されないが、FVIIIノックアウトマウス(Bi et al.,Nat.Genet.,10(1),119−121(1995))およびFIXノックアウトマウス(Wang et al.,PNAS,94(21),11563−66(1997))、ラビットにおける誘発血友病A(Shen et al.,Blood,42(4),509−521(1973))、ならびに、Chapel Hill HAイヌ(Lozier et al.,PNAS,99,12991−12996(2002))を含む。
各種ペプチドは、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、モルモット、および霊長類を含むがこれらに限定されない、任意の源からのTFPIに結合する。一実施形態において、ペプチドは、ヒトTFPIに結合する。随意に、TFPI阻害ペプチドは、2つ以上の種からのTFPIに結合する(すなわち、ペプチドは、複数の種の間で交差反応性である)。ある特定の態様において、ペプチドは、1×10−4M以下、1×10−5M以下、1×10−6M以下、または1×10−7M以下の解離定数(KD)で、TFPIに結合する。親和性は、例えば、限定されることなく、親和性ELISA分析、競合ELISA分析、および/または表面プラズモン共鳴(BIAcore(商標))分析等の様々な技術の1つ、2つまたはそれ以上を使用して決定することができる。競合(IC50)ELISA分析を使用して特性決定する場合、本発明のペプチドは、随意に、約50,000nM以下のIC50を示す。例えば、ペプチドは、約10,000nM以下のIC50、例えば約5,000nM以下、約1,000nM以下、または約500nM以下のIC50を示す。一態様において、ペプチドは、約250nM以下、例えば約100nM以下、約50nM以下、または約10nM以下のIC50を示す。例示的ペプチドおよびそのIC50値は、図32〜39に記載されるが、いくつかの場合において、ペプチドは、そのIC50値に基づいて、A群、B群、C群、D群、E群、F群およびG群に分類される(実施例1の表4を参照されたい)。様々な態様において、本発明は、表4に定義されるようなA群、B群、C群、D群、E群、F群、および/またはG群に含まれるペプチドを提供する。親和性はまた、速度論的方法、または平衡/溶液法により決定することができる。そのような方法は、本明細書においてより詳細に説明されているか、または当該技術分野において知られている。
本発明のペプチドを特性決定するための別の好適な分析法は、koff分析であり、これは、TFPIからのペプチドの放出を検査するものである。koff分析結果は、解離速度定数ではないが、TFPIとのインキュベーション期間後の試験ペプチドによりTFPI結合から遮断された競合物ペプチドのパーセンテージである。例示的koff分析は、1)TFPI被覆マイクロタイタープレートの、約90%のTFPI占有率をもたらす量の試験ペプチドでのインキュベーション、2)未結合試験ペプチドの除去、3)TFPIに対する結合に関して試験ペプチドと競合する、ビオチニル化トレーサー(すなわち競合物)ペプチドの添加、4)試験ペプチドにより解放された結合部位がトレーサーにより占有される期間でのインキュベーション、5)未結合トレーサーおよび試験ペプチドの除去、ならびに6)ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合体を使用した発色反応による結合トレーサーの検出のステップを含む。得られるシグナルは、試験ペプチドにより自由となった結合部位を示す。インキュベーション期間中にTFPIから解離しない試験ペプチドは、完全に解離する検体と比較して弱い信号を生成する。
全ての結合剤および結合分析と同様に、当業者は、結合剤が、生物学的に(例えば治療上)効果的となるために検出され得るように結合するべきではない様々な部分が網羅され、列挙するには現実的ではないことが認識される。したがって、「特異的に結合する」という用語は、TFPIではない無関係な対照タンパク質に対する結合よりも大きい親和性でTFPIに結合するペプチドの能力を指す。例えば、ペプチドは、対照タンパク質に対する親和性よりも少なくとも5、10、15、25、50、100、250、500、1000、または10,000倍大きい親和性でTFPIに結合し得る。いくつかの実施形態において、ペプチドは、ペプチドの結合が副作用をもたらし得る、ヒトにおけるタンパク質または他の自然発生的物質である「抗標的」に対する結合よりも大きい親和性で、TFPIに結合する。ペプチドまたはタンパク質のいくつかのクラスが、潜在的な抗標的である。TFPI阻害ペプチドは、血流内および/または内皮でその活性を発揮するため、血漿タンパク質は、潜在的な抗標的となる。Kunitzドメイン(KD)を含有するタンパク質は、異なるタンパク質のKDが有意な類似性を共有するため、潜在的抗標的である。組織因子経路阻害剤2(TFPI−2)は、TFPI−1αと極めて類似し、TFPI−1αと同様にKDを含有する(Sprecher et al.,PNAS,91,3353−3357(1994))。したがって、一態様において、本発明のペプチドは、TFPI−2等の抗標的に対する親和性よりも少なくとも5、10、15、25、または50倍大きい親和性で、TFPIに結合する。
随意に、TFPI結合性ペプチドは、本明細書に記載の1つ以上の所望の特徴を示し、ペプチドのアミノ酸配列は、所望により、結合、安定性、および/または活性を最適化するために修飾され得る。例示的なTFPI結合性ペプチドは、20nM以下のKDでTFPIに結合し、および/または、抗標的に対する結合親和性よりも少なくとも100倍大きいTFPIに対する結合親和性を示す。代替として、またはそれに加えて、TFPI結合性ペプチドは、TFPIの存在下において、50nM以下のEC50(任意の好適な分析法、例えば本明細書に記載の分析法を使用して測定される)でFX活性化を向上させる、および/または第VIII因子の非存在下において、生理学的レベルの第VIII因子を含有する血漿中でのトロンビン形成のレベルの少なくとも約20%(例えば、40%)までトロンビン形成を向上させる。代替として、またはそれに加えて、TFPI結合性ペプチドは、所望のレベルの血漿安定性(例えば、12時間後に用量の50%以上が血漿中に残留する)を達成し、および/または所望の生体内半減期(例えば、少なくとも2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、もしくは10時間)を示す。代替として、またはそれに加えて、TFPI結合性ペプチドは、所望のレベルのバイオアベイラビリティ、例えば、皮下投与後の所望のレベルのバイオアベイラビリティ(例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、もしくは50%以上)を示し、および/または生体内で所与の用量において所望のレベルのTFPI阻害活性を示す。
本発明は、さらに、TFPI−1を阻害する方法を含む。この方法は、TFPIを、本明細書に記載のようなTFPI結合性ペプチドと接触させることを含む。任意の程度のTFPI活性阻害が企図される。例えば、TFPI阻害ペプチドは、外因性経路のTFPI阻害を、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約10%、少なくとも約25%、または少なくとも約30%)低減する。いくつかの実施形態において、TFPI阻害ペプチドは、ペプチドの非存在下でのTFPI活性と比較して、外因性経路内のTFPI活性を、少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%低減する。
本発明の一態様において、TFPI結合性ペプチドは、生体内または生体外でTFPIを検出および/または定量するために使用される。試料中のTFPIを検出および/または定量する例示的方法は、(a)試料を本発明のTFPI結合性ペプチドと接触させることと、(b)TFPI結合性ペプチドのTFPIに対する結合を検出することとを含む。
本発明は、さらに、TFPIが位置する生物学的構造(細胞表面および内膜を含むがこれらに限定されない)を標的とするための方法を含む。この方法は、生物学的構造(例えば、細胞表面上にTFPIを示す細胞を含むがこれに限定されない)を、ペプチドに追加的機能性を追加する部分に随意に結合した本明細書に記載のTFPI結合性ペプチドと接触させることを含む。部分は、染料(例えば、蛍光染料)、放射性核種もしくは放射性核種含有複合体、タンパク質(例えば、酵素、毒素、もしくは抗体)または細胞毒性薬であってもよい。例えば、ペプチドは、ペプチド検出および/もしくは精製を促進するエフェクター部分に結合もしくは結合し、ならびに/または治療特性を備える。一態様において、TFPI結合性ペプチドまたはペプチド結合体は、哺乳動物内のTFPI表示細胞を標的とするために哺乳動物に投与される。随意に、方法は、TFPIに対するTFPI結合性ペプチドの結合を検出することをさらに含む。方法は、TFPIが好適な診断マーカーとなる、またはTFPI発現細胞が治療アプローチの標的となる疾患の治療および診断に有用である。
ペプチド−TFPI複合体は、直接的または間接的に検出される。検出部分は、生物学的物質を同定するために当該技術分野において広く使用されており、例えば、染料(例えば、蛍光染料)、放射性核種および放射性核種含有複合体、ならびに酵素を含む。いくつかの態様において、ペプチド−TFPI結合は、間接的に検出される。この点において、ペプチドは、随意に、ペプチド−TFPI結合に大きく干渉することなく本発明のペプチドと結合する相互作用パートナーと接触させられ、相互作用パートナーが検出される。例示的な相互作用パートナーは、抗体、抗原結合性抗体断片、アンチカリンおよび抗体模倣薬、アプタマー、ストレプトアビジン、アビジン、ニュートラアビジン、ならびにスピーゲルマーを含むが、これらに限定されない。随意に、相互作用パートナーは、相互作用パートナー−ペプチド複合体の検出を促進するための検出部分を含む。TFPI結合性ペプチドは、いくつかの実施形態において、相互作用パートナーの結合を促進するように修飾される。例えば、一態様において、TFPI結合性ペプチドはビオチンに結合され、ストレプトアビジンを含む相互作用パートナーがビオチンに結合する。例示的相互作用パートナーは、ホースラディッシュペルオキシダーゼに融合したストレプトアビジンを含み、これは、例えばELISAに類似した分析法において検出される。代替として、TFPI結合性ペプチドは、抗体エピトープを含むように修飾され、対応する抗体のペプチド−TFPI複合体に対する結合が検出される。抗体およびその断片等の検出方法は、当該技術分野において周知である。
ペプチド−TFPI複合体および相互作用パートナー−ペプチド複合体は、これらに限定されないが、生化学分析(例えば、酵素的分析)、分光法(例えば、光学密度、蛍光、FRET、BRET、TR−FRET、蛍光偏光、電気化学発光、またはNMRに基づく検出)、陽電子放出断層撮影法(PET)、および単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)等の複数の方法のいずれかを使用して同定される。ペプチド−TFPI複合体または相互作用パートナー−ペプチド複合体の蛍光検出を促進する検出可能部分は、フルオレセイン、Alexa Fluor(登録商標)350、Marina Blue(商標)、Cascade Yellow(商標)、Alexa Fluor(登録商標)405、Pacific Blue(商標)、Pacific Orange(商標)、Alexa Fluor(登録商標)430、Alexa Fluor(登録商標)488、Oregon Green(登録商標)488、Alexa Fluor(登録商標)500、Oregon Green(登録商標)514、Alexa Fluor(登録商標)514、Alexa Fluor(登録商標)532、Alexa Fluor(登録商標)555、テトラメチルローダミン、Alexa Fluor(登録商標)546、ローダミンB、Rhodamine Red(商標)−X、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Texas Red(登録商標)、Texas Red(登録商標)−X、Alexa Fluor(登録商標)610、Alexa Fluor(登録商標)633、Alexa Fluor(登録商標)635、Alexa Fluor(登録商標)647、Alexa Fluor(登録商標)660、Alexa Fluor(登録商標)680、Alexa Fluor(登録商標)700、Alexa Fluor(登録商標)750、B−フィコエリスリン、R−フィコエリスリン、アロフィコシアニン、BODIPY(登録商標)、Cy3、Cy5、TAMRA、および蛍光タンパク質(GFPおよびその誘導体)を含むが、これらに限定されない。蛍光検出部分を含むTFPI結合性ペプチドの例は、JBT2454(FAM−Ttds−FQSKpNVHVDGYFERL−Aib−AKL−NH2(配列番号4171))であり、これは、5,6−カルボキシフルオレセインで標識化される。
放射性標識もまた、生体材料(例えば、TFPI、TFPI結合性ペプチド、またはTFPI結合性ペプチド−TFPI複合体)の検出に使用され、いくつかの場合において、キレート剤、例えば、(限定されないが)EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、CDTA(シクロヘキシル1,2−ジアミン四酢酸)、EGTA(エチレングリコール−O,O’−ビス(2−アミノエチル)−N,N,N’,N’−四酢酸)、HBED(N,N−ビス(ヒドロキシベンジル)−エチレンジアミン−N,N’−二酢酸)、TTHA(トリエチレンテトラミン六酢酸)、DOTA(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N”’−四酢酸)、HEDTA(ヒドロキシエチルジアミン三酢酸)、またはTETA(1,4,8,11−テトラ−アザシクロテトラデカン−N,N’,N”,N’’’−四酢酸)等を使用してペプチドまたは相互作用パートナーに結合される。放射性標識の例は、99mTc、203Pb、66Ga、67Ga、68Ga、72As、111In、113mIn、114mIn、97Ru、62Cu、64Cu、52Fe、52mMn、51Cr、186Re、188Re、77As、90Y、67Cu、169Er、117mSn、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、198Au、199Au、149Tb、161Tb、109Pd、165Dy、149Pm、151Pm、153Sm、157Gd、166Ho、172Tm、169Yb、175Yb、177Lu、105Rhおよび111Agを含む。常磁性金属もまた、随意にキレート剤複合体を介したTFPI結合性ペプチドまたは相互作用パートナーに対する結合に好適な検出可能部分である。常磁性金属の例は、例えば、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pr、Nd、Sm、Yb、Gd、Tb、Dy、Ho、およびErを含む。
TFPI結合性ペプチド自体は、いくつかの態様において、検出可能な置換基または核種を有する1つ以上のアミノ酸を含むように修飾される。この点において、一実施形態において、TFPI結合性ペプチドは、検出可能な同位体(例えば、13C、14C、35S、3H、18Oもしくは15N)を含む少なくとも1つのアミノ酸、および/または、例えば123I、124I、125I、131I、75Br、76Br、77Brもしくは82Brでハロゲン化されたアミノ酸を含む。ハロゲン化に好適なアミノ酸は、チロシンおよびトリプトファンを含むが、これらに限定されない。
本発明はまた、疾患もしくは障害に罹患している、または疾患もしくは障害に罹患する危険性のある対象を診断するための方法を提供し、疾患または障害は、異常なTFPI活性に関連または起因する。この方法は、TFPI結合性ペプチドを対象に投与することと、TFPI−ペプチド複合体を検出することとを含む。いくつかの場合において、ペプチドは、検出可能部分に結合し、方法は、検出可能部分を検出することを含む。例示的な検出可能部分は、本明細書に記載される。他の場合において、方法は、TFPI結合性ペプチドに結合するTFPI結合性ペプチド相互作用パートナーを対象に投与することと、相互作用パートナーを検出することとを含む。所望により、相互作用パートナーは、検出可能部分を含むか、またはそれに結合し、検出可能部分が検出される。検出可能部分の存在は、TFPIの存在を示し、それにより、TFPIに関連した疾患または障害(例えば、(i)TFPIを阻害することにより治療可能である、または(ii)TFPIを阻害することにより改善もしくは予防され得る症状を含む、疾患または障害)の診断が可能となる。対象へのペプチドの投与を望まない場合、対象から生体試料を採取し、本明細書に記載のTFPI結合性ペプチドと接触させ、TFPI−ペプチド複合体を検出する。
本発明のペプチドは、TFPIに結合し、したがって、生体試料(例えば、血清等の生体液)、発光抽出物、組織標本、培養液等からTFPIまたは組み換えTFPIを精製するのに有用である。本発明は、TFPIの商業生産、またはTFPI分子を特性決定する方法においてTFPI結合性ペプチドを使用する方法を含む。例えば、本発明は、TFPIを精製する方法を含む。この方法は、TFPIとペプチドとの間で複合体を形成させるのに適切な条件下で、TFPIを含有する試料を、本明細書に記載のようなペプチドに接触させることと、複合体を試料から除去することと、随意に、複合体を解離してTFPIを放出することとを含む。TFPIとペプチドとの間で複合体を形成させるのに適切な例示的条件は、実施例に記載されており、そのような条件は、TFPI−ペプチド複合体を解離するように容易に変更され得る。いくつかの実施形態において、ペプチドは、TFPIの回収を容易化するために、支持体、例えば固体支持体に固定される。例えば、一実施形態において、ペプチドは、クロマトグラフィー固定相(例えば、シリカ、親和性クロマトグラフィービーズ、またはクロマトグラフィー樹脂)に固定され、TFPI−ペプチド複合体が形成されるようにTFPIを含有する試料が固定相に適用され、試料の残りは固定相から除去され、TFPIが固定相から溶出される。この点において、本発明のペプチドは、一態様において、親和性クロマトグラフィー技術における使用に好適である。
凝固因子欠乏対象におけるトロンビン形成を向上させる方法もまた提供される。この方法は、TFPIを阻害するために効果的な条件下で、本明細書に記載のペプチドを対象に投与することを含む。この点において、TFPI阻害ペプチドは、対象におけるトロンビン形成を向上させるのに効果的な量および条件下で投与される。「凝固因子欠乏」とは、トロンビン形成に必要な1つ以上の血液因子、例えばFVIII、FIX、またはFXI等の欠乏に罹患した対象を意味する。実際に、一実施形態において、対象は、FVIIIが欠乏している。代替として、またはそれに追加して、対象は、第IX因子が欠乏している。凝固因子欠乏は、臨床試料中の因子の量を検査することにより識別される。当業者は、凝固因子欠乏の程度に従って血友病を分類する。軽度の血友病に罹患した対象は、第VIII因子または第IX因子の正常量(1U/mL)の約5%から30%を有する。中等度の血友病は、正常な第VIII因子、第IX因子、または第XI因子レベルの約1%から5%を特徴とし、重度の血友病に罹患した対象は、第VIII因子、第IX因子、または第XI因子の正常量の1%未満を有する。欠乏は、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)試験により間接的に識別され得る。APTT試験は、凝血が形成されるのに必要な時間の長さを測定するものであり、この時間は、正常な凝固因子レベルの患者と比較して、第VIII因子欠乏(血友病A)、第IX因子欠乏(血友病B)、および第XI因子欠乏(血友病C)に罹患した患者において、より長い。重度および中等度の第VIII因子欠乏に罹患した患者のほぼ100%は、APTTにより診断され得る。本発明は、さらに、凝固因子欠乏に罹患していない対象におけるトロンビン形成を向上させることをさらに含む。方法は、トロンビン形成を向上させるのに効果的な条件下で、本明細書に記載のペプチドを、対象(例えば、正常な生理学的レベルの凝固因子を有する対象)に投与することを含む。
一態様において、TFPI阻害ペプチドは、対象における凝血形成を増加させるために使用される。凝血形成を増加させる方法は、凝血形成を増加させるのに効果的な量および条件下で、本明細書に記載のペプチドを対象に投与することを含む。この方法は、有益な(例えば治療上の)効果を達成するために、凝固カスケードを完全に修復する必要はないことが理解される。凝固因子欠乏に関連した症状の発症または重症度を低減するトロンビンまたは凝血形成の、いかなる向上または増加も企図される。トロンビン形成および凝血の促進における方法の有効性を決定する方法は、当該技術分野において知られており、本明細書に記載される。
本発明は、さらに、対象における血液凝固障害を治療する方法であって、対象における血液凝固障害を治療するのに効果的な量および条件下で、1つ以上のTFPI阻害ペプチド、例えば本明細書に記載のペプチドの任意の1つ以上を対象に投与することを含む方法を含む。一態様において、ペプチドは、TFPI活性を阻害する組み換えまたは合成ペプチドである。「凝固障害」は、血液凝固因子活性不全および血小板活性不全によりもたらされる出血性障害を含む。血液凝固因子は、第V因子(FV)、FVII、FVIII、FIX、FX、FXI、FXIII、FII(低プロトロンビン血症に関連する)、およびフォン・ヴィレブランド因子を含むが、これらに限定されない。因子欠乏は、例えば、因子の生体内半減期の短縮、因子の結合特性の改変、因子の遺伝的欠陥、および因子の血漿中濃度の低減により引き起こされる。凝固障害は、先天性または後天性であってもよい。潜在的な遺伝的欠陥は、その非存在、存在、および/または置換がそれぞれ凝固因子の活性に対し悪影響を及ぼす、凝固因子をコードするヌクレオチド配列内の欠失、付加、および/または置換を含む。凝固障害はまた、凝固因子に対する阻害物質または自己免疫(例えば、抗体)の発達から生じる。一例において、凝固障害は血友病Aである。代替として、凝固障害は、血友病Bまたは血友病Cである。
血小板障害は、血小板機能不全または血液循環における異常低血小板数によりもたらされる。低血小板数は、例えば、産生不足、血小板分離、または制御不能な血小板破壊に起因し得る。血小板減少症(血小板欠乏)は、化学療法および他の薬物療法、放射線療法、手術、偶発的な失血、ならびに他の疾患状態を含む、様々な理由で存在し得る。血小板減少症に関連する例示的な疾患状態は、再生不良性貧血;乳癌に関連した特発性血小板減少性紫斑病を含む特発性または免疫性血小板減少症(ITP);HIV関連ITPおよびHIV関連血栓性血小板減少性紫斑病;血小板減少症をもたらす転移性腫瘍;新生児ループス症候群脾腫を含む全身性紅斑性狼瘡;ファンコニ症候群;ビタミンB12欠乏;葉酸欠乏;メイ・ヘグリン異常;ウィスコット−アルドリッチ症候群;慢性肝疾患;血小板減少症に関連した骨髄異形成症候群;発作性夜間血色素尿症;C7E3 Fab(アブシキシマブ)治療後の急性重篤性血小板減少症;母体同種免疫性血小板減少症を含む同種免疫性血小板減少症;抗リン脂質抗体および血栓症に関連した血小板減少症;自己免疫性血小板減少症;カルボプラチン誘発性血小板減少症およびヘパリン誘発性血小板減少症を含む薬剤誘発性免疫性血小板減少症;胎児血小板減少症;妊娠性血小板減少症;ヒューズ症候群;ルポイド血小板減少症;偶発性および/もしくは大量失血;骨髄増殖症候群;悪性腫瘍に罹患した患者における血小板減少症;癌患者における血栓性血小板減少性紫斑病/溶血性尿毒症症候群として発現する血栓性微小血管症を含む血栓性血小板減少性紫斑病;輸血後紫斑病(PTP);自己免疫性溶血性貧血;潜在空腸憩室穿孔;赤芽球癆;自己免疫性血小板減少症;流行性腎症;リファンピシン関連急性腎不全;パリス−トルソー血小板減少症;新生児同種免疫性血小板減少症;発作性夜間ヘモグロビン尿症;胃癌における血液学的変化;溶血性尿毒症症候群(例えば、小児期における尿毒症状態);ならびにA型肝炎ウイルスを含むウイルス感染に関連した血液学的徴候およびCMV関連血小板減少症である。血小板障害はまた、フォン・ヴィレブランド病、腫瘍随伴性血小板機能異常症、グランツマン血小板無力症、およびベルナール・スーリエ病を含むが、これらに限定されない。TFPI阻害ペプチドによる治療効果がある追加的な出血性障害は、外傷により誘発される出血症状;1つ以上の接触因子、例えばFXI、FXII、プレカリクレイン、および高分子量キニノゲン(HMWK)の欠乏;ビタミンK欠乏;無フィブリノゲン血、低フィブリノゲン血および異常フィブリノゲン血を含むフィブリノゲン障害;ならびにアルファ2−抗プラスミン欠乏を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、TFPI阻害ペプチドは、過度の出血、例えば、手術、外傷、脳内出血、肝臓病、腎臓病、血小板減少症、血小板機能異常症、血腫、内出血、関節血症、低体温、月経、妊娠、およびデング出血熱による過度の出血を治療するために使用される。上記は全て、本開示の文脈において「血液凝固障害」とみなされる。
一態様において、本発明のTFPI阻害ペプチドは、対象における1つ以上の抗凝固因子の効果を(全体的または部分的に)逆転するために使用される。多くの抗凝固因子が当該技術分野において知られており、例えば、ヘパリン;ワルファリンまたはジクマロール等のクマリン誘導体;TFPI;AT III;ループス性抗凝固因子;線虫抗凝固ペプチド(NAPc2);FVIIa阻害剤;活性部位遮断FVIIa(FVIIai);活性部位遮断FIXa(FIXai);FIXa阻害剤;フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、DX−9065a、およびラザキサバン(DPC906)を含むFXa阻害剤;活性部位遮断FXa(FXai);活性化タンパク質C(APC)および可溶性トロンボモジュリンを含むFVaまたはFVIIIaの阻害剤;ヒルジン、ビバリルジン、アルガトロバン、およびキシメラガトランを含むトロンビン阻害剤;ならびに凝固因子(例えば、FV、FVII、FVIII、FIX、FX、FXIII、FII、FXI、FXII、フォン・ヴィレブランド因子、プレカリクレイン、または高分子量キニノゲン(HMWK))に結合する抗体または抗体断片を含む。
本明細書において使用される場合、「治療する」および「治療」は、血液凝固障害に関連した症状の重症度および/または発症の任意の低減を指す。したがって、「治療する」および「治療」は、治療的および予防的措置を含む。当業者には、血液凝固障害またはそれに関連した症状からの保護またはその改善のいかなる程度であっても、人間の患者等の対象に有益であることが理解される。患者の生活の質は、対象における症状の任意の程度の重症度を低減することにより、および/または症状の出現を遅延させることにより改善される。したがって、一態様における方法は、対象が血液凝固障害を発症する危険性があることが決定された(例えば、凝固因子(例えば、FVIII、FIX、もしくはFXI)が検出された))後可能な限り速やかに、または、血液凝固障害(例えば、血友病A、血友病B、または血友病C)が検出された後可能な限り速やかに実行される。追加的態様において、ペプチドは、損傷または手術中の過度の失血に対する全体的または部分的な保護のために投与される。
上記を鑑みて、本発明は、対象の治療のための方法、例えばTFPIの阻害が有益となる疾患の治療のための方法における使用のためのペプチドを提供する。一態様において、疾患または障害は、血液凝固障害である。対象は、疾患もしくは障害に罹患している、または疾患もしくは障害(もしくは過度の失血等の有害な生物学的事象)に罹患する危険性がある。方法は、疾患または障害を、全体的または部分的に治療または予防するのに効果的な量および条件下で、本発明のペプチドを対象に投与することを含む。本発明は、さらに、医薬の製造における使用のためのペプチドを提供する。例えば、ペプチドは、本明細書において詳細に説明される血液凝固障害の治療のための医薬の製造において使用することができる。
いくつかの実施形態において、本発明のTFPI結合性ペプチド(例えば、TFPI阻害ペプチド)をコードする核酸配列を含む核酸を対象に投与することが有利である。一態様において、そのような核酸は、TFPI阻害ペプチドの代わりに、またはそれに加えて提供される。発現ベクター、核酸制御配列、投与方法等は、本明細書および米国特許出願公開第20030045498号においてさらに説明されている。
特定の対象に対する特定の投与計画は、使用される本発明のTFPI阻害ペプチド、投与されるTFPI結合性ペプチド(例えば、TFPI阻害ペプチド)の量、投与経路、治療されている特定の病気、受容者に関連した考慮点、ならびに任意の副作用の原因および程度にある程度依存する。対象(例えば、人間等の哺乳動物)に投与されるペプチドの量、および投与条件(例えば、投与のタイミング、投与経路、用法・用量)は、妥当な時間枠において所望の生物学的応答に影響を与えるのに十分である。用量は、典型的には、使用される特定のTFPI阻害ペプチド、対象の年齢および体重、ならびに対象における任意の疾患または障害の存在および重症度を含む様々な因子に依存する。用量のサイズはまた、投与の経路、タイミング、および頻度により決定される。したがって、臨床医学者は、用量を滴定し、投与経路を変更して、最適な治療効果を得ることができ、また従来の範囲決定技術は、当業者に知られている。純粋に例示を目的として、一態様において、方法は、上述の因子に依存して、例えば約0.1μg/kgから約100mg/kgまたはそれ以上を投与することを含む。他の実施形態において、用量は、1μg/kgから約75mg/kgまで、または5μg/kgから約50mg/kgまで、または10μg/kgから約20mg/kgまでの範囲であってもよい。ある特定の実施形態において、用量は、約0.5mg/kgから約20mg/kg(例えば、約1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、2.3mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、5.5mg/kg、6mg/kg、6.5mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、または10mg/kg)のペプチドを含む。多くの血液凝固障害の慢性的性質を考慮すると、対象は、数週間、数ヶ月、または数年継続する治療経過にわたってTFPI阻害ペプチドを投与されること、および毎日または毎週1回以上の投薬を必要とし得ることが想定される。他の実施形態において、TFPI阻害ペプチドは、急性状態(例えば、手術もしくは外傷によりもたらされる出血、または凝固補充療法を受けている対象における因子阻害剤/自己免疫エピソード)を治療するために、比較的短い治療期間、例えば1日から14日間投与される。
本明細書に記載のペプチドを含む薬学的組成物等の、生理学的に許容される組成物を投与する好適な方法は、当該技術分野において周知である。ペプチドを投与するために2つ以上の経路を使用することができるが、特定の経路は、別の経路よりも迅速で効果的な反応を提供することができる。状況に依存して、薬学的組成物は、体腔内に適用もしくは注入される、皮膚もしくは粘膜を通して吸収される、摂取される、吸入される、および/または血液循環内に導入される。一態様において、本発明のペプチドを血液循環内に導入するために、TFPI阻害ペプチドは静脈内、動脈内、または腹腔内投与される。特に低分子量治療薬に対しては、非静脈内投与もまた適切である。ある特定の状況において、TFPI阻害ペプチドを含む薬学的組成物を、経口的、局所的、舌下的、経膣的、経直腸的、経肺的に;脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼内、門脈内、病巣内、髄内、くも膜下、心室内、経皮的、皮下、鼻腔内、経尿道的、もしくは腸内手段による注入を通して;徐放系により;または移植デバイスにより送達することが望ましい。所望により、TFPI阻害ペプチドは、関心領域に供給する動脈内または静脈内投与を介して、例えば脚への送達のために大腿動脈を介して、領域的に投与される。一実施形態において、ペプチドは、例えば、米国特許第5,439,686号および米国特許第5,498,421号、ならびに米国特許出願公開第2003/0059474号、米国特許出願公開第2003/0064033号、米国特許出願公開第2004/0043077号、米国特許出願公開第2005/0048127号、米国特許出願公開第2005/0170005号、米国特許出願公開第2005/0142205号、米国特許出願公開第2005/142201号、米国特許出願公開第2005/0233945号、米国特許出願公開第2005/0147689号、米国特許出願公開第2005/0142206号、米国特許出願公開第2006/0024379号、米国特許出願公開第2006/0260777号、米国特許出願公開第2007/0207210号、米国特許出願公開第2007/0092452号、米国特許出願公開第2007/0281031号、および米国特許出願公開第2008/0026068号に記載されるように、微小粒子内に組み込まれる。代替として、組成物は、所望の分子が吸収またはカプセル化された膜、スポンジ、または別の適切な材料の移植を介して投与される。移植デバイスが使用される場合、一態様におけるデバイスは、任意の好適な組織内に移植され、所望の分子の送達は、様々な態様において、拡散、時限放出性ボーラス、または継続投与により行われる。他の態様において、TFPI阻害ペプチドは、外科手術もしくは損傷の治療中、露出した組織に直接投与されるか、または、血液処置における輸血を介して投与される。治療薬送達手法は、当業者に周知であり、そのいくつかは、例えば米国特許第5,399,363号においてさらに説明されている。
投与を容易化するために、一実施形態におけるTFPI結合性ペプチド(例えば、TFPI阻害ペプチド)は、担体(すなわち、ビヒクル、アジュバント、緩衝剤、または希釈剤)を含む生理学的に許容される組成物に製剤化される。使用される具体的担体は、溶解度およびペプチドとの反応性の欠如等の物理化学的考慮点、ならびに投与経路によってのみ制限される。生理学的に許容される担体は、当該技術分野において周知である。注射用途に好適な例示的薬学的形態は、限定されることなく、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注射溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末を含む(例えば、米国特許第5,466,468号を参照されたい)。注射製剤は、例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia.Pa.,Banker and Chalmers.eds.,pages 238−250(1982)、およびASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,4th ed.,pages 622−630(1986))においてさらに説明されている。本明細書に記載のペプチドを含む薬学的組成物は、随意に、そのような薬学的組成物の使用に関する説明を提供する包装材料とともに容器内に入れられる。一般に、そのような説明は、試薬濃度、および、ある特定の実施形態においては、薬学的組成物を再構成するために必要となり得る賦形剤成分または希釈剤の相対量を説明する明確な表現を含む。
適切な場合、本発明のTFPI結合性ペプチド(例えば、TFPI阻害ペプチド)は、追加的または増強された生物学的効果を達成するために、他の物質および/または他の治療様式と組み合わせて投与される。同時治療薬は、血漿由来または組み換え凝固因子、血友病予防治療薬、免疫抑制剤、血漿因子阻害抗体拮抗剤(すなわち、抗阻害剤)、抗線維素溶解薬、抗生物質、ホルモン療法薬、抗炎症薬(例えば、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)またはステロイド系抗炎症物質)、凝固促進剤、および鎮痛剤を含むが、これらに限定されない。一態様において、方法は、従来の補充因子治療計画に対する補助療法であり、例えば、FXIII、FXII、FXI(例えば、HEMOLEVEN(登録商標)(Laboratoire francais du Fractionnement et des Biotechnologies、Les Ulis、France)およびFXI濃縮物(BioProducts Laboratory、Elstree、Hertfordshire、UK))、FX、FIX(例えば、BENEFIX(登録商標)第IX凝固因子(Wyeth、Madison、NJ);ALPHANINE(登録商標)SD(Grifols、Los Angeles、CA);MONONINE(登録商標)(CSL Behring、King of Prussia、PA);BEBULIN−VH(商標)(Baxter、Deerfield、IL);PROFILNINE(登録商標)SD(Grifols、Los Angeles、CA);またはPROPLEX T(商標)(Baxter、Deerfield、IL))、FVIII(例えば、ADVATE(商標)(Baxter、Deerfield、IL);HELIXATE(登録商標)FS(CSL Behring、King of Prussia、PA);REFACTO(登録商標)(Wyeth、Madison、NJ)、XYNTHA(商標)(Wyeth、Madison、NJ)、KOGENATE(登録商標)およびKOGENATE(登録商標)FS(Bayer、Pittsburgh、PA);ALPHANATE(登録商標)(Grifols、Los Angeles、CA);HEMOPHIL M(商標)(Baxter、Deerfield、IL);KOATE(登録商標)−DVI(Talecris Biotherapeutics−USA、Research Triangle Park、NC);またはMONARC−M(商標)(Baxter、Deerfield、IL))、FVIIa(例えば、NOVOSEVEN(登録商標)FVIIa(Novo Nordisk、Princeton、NJ)およびFVII濃縮物(Baxter Bioscience、Vienna、Austria、もしくはBioProducts Laboratory、Elstree、Hertfordshire、UK))、FV、FVa、FII、および/またはFIIを対象に投与することを含む。いくつかの場合において、対象はまた、第VIII因子阻害剤迂回活性を有する凍結乾燥無菌ヒト血漿分画である、FEIBA VH Immuno(商標)(Baxter BioScience、Vienna、Austria)を投与される。FEIBA VH Immuno(商標)は、近似的に等しい単位の第VIII因子阻害剤迂回活性およびプロトロンビン複合体因子(第II、VII、IX、およびX因子ならびにタンパク質C)を含有する。他の例示的同時治療薬は、プレカリクレイン、高分子量キニノゲン(HMWK)、フォン・ヴィレブランド因子、組織因子、およびトロンビンを含むが、これらに限定されない。代替として、またはそれに追加して、TFPI阻害ペプチドは、1つ以上の異なるTFPI阻害ペプチドと同時製剤化される。一態様において、TFPI結合性ペプチドの投与は、所望の生物学的応答を達成するために必要な同時治療薬の用量の低減を可能にする。
したがって、本発明は、それぞれその医薬に好適な計画に従い投与される1つ以上の追加的な好適な物質と組み合わせて、本発明のTFPI結合性ペプチド(例えば、TFPI阻害ペプチド)(または複数のTFPI阻害ペプチド)を対象に投与することを含む。投与方針は、TFPI阻害ペプチドおよび1つ以上の追加的な好適な薬剤(複数を含む)の併用投与(すなわち、実質的に同時の投与)および非併用投与(すなわち、重複の有無にかかわらす、異なる時間での任意の順番の投与)を含む。同じまたは別個の組成物として、ならびに同じまたは異なる投与経路で、異なる成分が随意に投与されることが理解される。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチドは、部分、例えば検出部分等の治療的または診断的部分、および上述の同時治療薬に結合する。代替として、またはそれに追加して、ペプチドは、(a)ペプチドに結合し、かつ(b)治療活性である、かつ/または相互作用パートナー(例えば、治療的、診断的、もしくは検出薬剤)に追加的機能性を提供する部分に結合している、相互作用パートナー(例えば、抗体、抗体断片、アンチカリン、アプタマー、またはスピーゲルマー)と組み合わせて投与される。好適な部分は、感光剤、染料、放射性核種、放射性核種含有複合体、酵素、毒素、抗体、抗体断片、および細胞毒性薬を含むがこれらに限定されず、いくつかの場合において、部分は、治療活性を有する(すなわち、有利な、または所望の生物学的効果を達成する)。ペプチド結合体またはペプチド−相互作用パートナー対は、本明細書に記載の方法のいずれにおける使用にも、例えば疾患もしくは障害に罹患している、または疾患もしくは障害に罹患する危険性のある対象を治療する方法における使用に好適である。
本発明は、さらに、TFPI結合性ペプチド等のTFPI結合性化合物を同定するための方法を提供する。一態様において、方法は、(a)KD1−TFPI結合性ペプチド複合体の形成を可能とする条件下で、TFPI Kunitzドメイン1(KD1)を含むペプチドを、本明細書に記載のTFPI結合性ペプチドおよび試験化合物と接触させることを含む。方法は、さらに、(b)ステップ(a)において形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体を測定することと、(c)試験化合物の存在下で形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体の数を、試験化合物の非存在下で形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体の数と比較することとを含む。試験化合物の非存在下で形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体の数と比較した、試験化合物の存在下で形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体の数の低減は、試験化合物がTFPI結合性化合物であることを示す。一態様において、方法は、さらに、ステップ(c)における比較のために、試験化合物の非存在下でKD1−TFPI結合複合体を形成することを含むが、これは、情報を別個に得ることができる限り(例えば、以前に調製された参照標準から)必要ではない。
KD1、TFPI結合性ペプチド、および試験化合物は、随意にTFPI結合性ペプチドおよび/または試験化合物の添加前および/または添加後の洗浄ステップとともに、同時にまたは順次組み合わされる。一実施形態において、KD1を含むペプチドは、KD1−TFPI結合性ペプチド複合体の形成を可能にする条件下で、本明細書に記載のTFPI結合性ペプチドと接触させられ、未結合TFPI結合性ペプチドが除去され、残りのKD−ペプチド複合体が試験化合物と接触させられる。TFPI−ペプチド複合体からのTFPI結合性ペプチドの転換が検出され、これは試験化合物がTFPI結合性化合物であることを示す。転換は、例えば、試験化合物への暴露前および暴露後のKD1−TFPI結合性ペプチド複合体の数を測定することにより検出される。
KD1−TFPI結合性ペプチド複合体は、試料中のペプチドを検出するための当該技術分野において知られた検出手段を含む、任意の好適な検出手段を使用して検出および/または測定(定量)される。例えば、本発明の一実施形態において、TFPI結合性ペプチドは、シグナルを生成する標識を含む。例示的な標識は、本明細書に記載されており、例えば、放射性核種、蛍光染料、同位体、酵素基質、および酵素を含む。方法は、KD1−TFPI結合性ペプチド複合体により生成されたシグナルを測定することと、試験化合物の存在下で形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体により生成されたシグナルを、試験化合物の非存在下で形成されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体により生成されたシグナルと比較することとを含む。(試験化合物に暴露されなかったKD1−TFPI結合性ペプチド複合体の同様の試料により生成されたシグナルと比較した)試験化合物に暴露されたKD1−TFPI結合性ペプチド複合体を含む試料からのシグナルの低減は、複合体形成が阻害または妨害されたこと、および試験化合物がTFPI結合性化合物であることを示す。
本発明はまた、TFPI−FXa相互作用に干渉するTFPI結合性化合物を同定する方法を提供する。方法は、少なくとも部分的に、TFPI KD1がFXaの外部位に結合し、TFPIのFXa活性の阻害に寄与するという驚くべき発見に基づく。一態様において、方法は、FXaに対するKD1の結合を可能にする条件下、試験化合物の存在下で、本質的にKD1からなるペプチド(すなわち、KD2の非存在下でKD1を含むペプチド)を、FXaと接触させることを含む。方法は、さらに、試験化合物の存在下でのKD1−FXa結合を、試験化合物の非存在下でのKD1−FXa結合と比較することを含む。試験化合物の非存在下でのKD1−FXa結合と比較した、試験化合物の存在下でのKD1−FXa結合の低減は、試験化合物がTFPI結合性化合物であることを示す。KD1−FXa結合は、任意の方法、例えば本明細書に記載の方法を使用して検出および/または定量することができる。例えば、KD1またはFXaが標識化され、試験化合物に暴露されたKD1−FXa複合体により生成されたシグナルが、試験化合物に暴露されなかったKD1−FXa複合体により生成されたシグナルと比較される。
TFPI結合性化合物を同定するための本発明の方法は、当該技術分野において知られた様々なハイスループットスクリーニング技術に有効である。任意の「試験化合物」(例えば、小分子、ペプチド、タンパク質(例えば抗体もしくはその断片)、ペプチド模倣薬、またはポリヌクレオチド(DNAもしくはRNA))が、本明細書に記載の方法を使用したスクリーニングに好適である。所望により、試験化合物の集合、集団、またはライブラリが、本明細書に記載の方法を使用して、TFPI結合(および、随意に、抗TFPI活性)に関してスクリーニングされる。ペプチドおよび/または有機分子を含む化学ライブラリ、天然産物ライブラリ、およびコンビナトリアルライブラリを含むがこれらに限定されないTFPI阻害剤の同定に使用される複数の異なるライブラリがある。いくつかの態様において、化学ライブラリは、他のスクリーニング法により「ヒット」または「リード」として同定される既知の化合物(複数を含む)の構造的アナログからなる。天然産物ライブラリは、微生物、動物、植物、または海洋生物から単離された、またはそれらにより産生された物質の集合である。コンビナトリアルライブラリは、典型的には混合物としての多数のペプチドまたは有機化合物で構成される。また、本明細書に記載の方法は、酵母ディスプレイライブラリ、細菌ディスプレイライブラリ、ファージディスプレイライブラリ、リボソームディスプレイライブラリ、mRNAディスプレイライブラリ、RNAライブラリ、またはDNAライブラリ等のディスプレイまたは核酸ライブラリのスクリーニングに有用である。ディスプレイライブラリをスクリーニングする1つの方法は、実施例1において例示される。本発明に含まれるハイスループットスクリーニング法は、数十から数百、数千もの試験化合物のスクリーニングを可能にする自動化された手順を含む。
別の態様において、TFPI結合性化合物を同定するための本発明の方法は、KD1を含む(またはKD1からなる)ペプチドを、試験化合物と接触させることと、ヒトTFPI残基Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47、およびIle55に対応するKD1アミノ酸残基により画定されるTFPI結合部位、例えば、ヒトTFPI残基Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ile38、Ile46、Phe47、およびIle55により画定される結合部位に対する、試験化合物の結合を検出することとを含む。一実施形態において、結合部位は、ヒトTFPI残基Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ala37、Ile38、Phe44、Ile46、Phe47、およびIle55に対応するアミノ酸残基により画定される。結合部位は、複数の機能分析においてTFPI活性を阻害するTFPI結合性ペプチドであるJBT1857のTFPI結合部位に対応する。
本明細書に記載のTFPI結合部位アミノ酸残基は、ヒトTFPIアミノ酸配列に関連し、番号は、ヒトTFPIのN末端に対する列挙されたアミノ酸の位置を指す。TFPI結合部位の位置を例示することのみを目的として、KD1を含むヒトTFPIの断片のアミノ酸配列は、
(KD1をコードするアミノ酸26〜75は太字で示される)として提供される。他のTFPIポリペプチドの対応するアミノ酸(例えば、異なる生物からのTFPIポリペプチド、またはTFPIポリペプチド断片)は、例えば、ポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号4234と整列させることにより同定される。一実施形態において、TFPI KD1を含むペプチドは、TFPI活性に関連するTFPIタンパク質の他の領域を含まないが、他の実施形態は、ヒトTFPI(KD1およびKD2を含む)のアミノ酸1〜160を含む、または全長ヒトTFPI(KD1〜KD3を含有する)を含むペプチドの使用を伴う。
本明細書において定義されるTFPI結合部位に対する試験化合物の結合は、本明細書に記載の検出方法を含む複数の方法のいずれかを使用して検出される。結合を検出するための例示的方法は、TFPI結合部位内のアミノ酸残基における化学シフトを認識する核磁気共鳴(NMR)を使用する。TFPIアミノ酸位置28〜30、32、46、47、および55、ならびに随意に位置27、31、36〜38、および44における化学シフトは、試験化合物とTFPI上のそれらのアミノ酸接触ポイントとの相互作用を示す。試験化合物の結合から生じる特定のアミノ酸での化学シフトの存在または非存在を決定するために、KD1−試験化合物複合体から得られたNMRデータが、遊離KD1ペプチドから得られたNMRデータと比較される。試験化合物とTFPI KD1との間の結合を検出するためのNMRの使用は、実施例においてさらに説明される。
代替として、本明細書において定義されるTFPI結合部位に対する試験化合物の結合は、その天然結合パートナー、例えばFVIIaまたはFXaとの相互作用するTFPI KD1の能力の変化を検出することにより、間接的に決定される。この点において、方法は、FVIIaに対するKD1の結合を可能にする条件下、試験化合物の存在下で、TFPI KD1を含むペプチドを、FVIIaと接触させることを含み、KD1−FVIIa結合が、試験化合物の非存在下でのKD1−FVIIa結合と比較される。代替として、またはそれに追加して、方法は、FXaに対するKD1の結合を可能にする条件下、試験化合物の存在下で、TFPI KD1を含むペプチドを、FXaと接触させることを含み、試験化合物の存在下でのKD1−FXa結合が、試験化合物の非存在下でのKD1−FXa結合と比較される。随意に、KD1を含むペプチドは、KD2も含み、方法は、FXaに対するKD2の結合を可能にする条件下、試験化合物の存在下で、ペプチドをFXaと接触させることを含み、KD2−FXa結合が、試験化合物の非存在下でのKD2−FXa結合と比較される。(試験化合物の非存在下でのKD1−FVIIa結合、KD1−FXa結合、またはKD2−FXa結合と比較した)試験化合物の存在下でのKD1−FVIIa結合、KD1−FXa結合、またはKD1−FXa結合の低減は、試験化合物がTFPI結合性化合物であることを示す。方法は、随意に、試験化合物の存在下での結合の比較のための参照として、試験化合物の非存在下でKD1および/またはKD2をFVIIaおよび/またはFXaに接触させることを含む。
FVIIaまたはFXaに対するKDの結合は、検出可能な標識を使用した本明細書に記載の方法等の、タンパク質−タンパク質相互作用を検出するための任意の好適な方法を使用して決定および/または定量される。TFPI結合部位に対する試験化合物の結合は、代替として、酵素的分析を使用して検出される。FVIIaまたはFXa酵素活性は、TFPI KD1またはKD2に対するタンパク質の結合を評価するための好適な代理であり、本明細書において定義されるTFPI結合部位に結合する試験化合物は、TFPI活性を阻害し、FVIIaおよびFXa活性の増加をもたらす。FVIIaまたはFXa活性を評価するための酵素的分析は、本明細書において詳細に説明される。
本発明は、さらに、本発明の方法においてTFPI結合性化合物として同定される化合物、および1つ以上の同定された化合物を含む組成物をさらに含む。本明細書に記載のように同定されたTFPI結合性化合物(例えば、TFPI結合性ペプチド)を単離または精製するための方法は、当該技術分野において知られており、上述されている。いくつかの態様において、本明細書に記載のように同定されるTFPI結合性化合物は、1つ以上のTFPI活性を下方制御または除去するTFPI阻害剤である。一実施形態において、本発明は、FXa活性を阻害する化合物を精製するための方法を含む。化合物−KD1複合体の形成を可能にする条件下、TFPI KD1を含むペプチドを、化合物と接触させることと、未結合化合物を除去することと、化合物−KD1複合体を解離して、TFPIに結合する化合物を放出することとを含む。血液凝固障害を治療するための医薬等の医薬の製造のための、本明細書に記載のように同定および/または精製されるTFPI阻害剤の使用、ならびに、疾患に罹患している、または疾患に罹患する危険性のある対象を治療するための方法であって、TFPI阻害剤を対象に投与することを含む方法が提供される。
さらに、ヒトTFPIを阻害する方法であって、ヒトTFPIを、アミノ酸残基Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47、およびIle55により画定される結合部位でヒトTFPIと結合する阻害剤と接触させることを含む方法が提供される。本発明の別の態様は、疾患に罹患している、または疾患に罹患する危険性のある対象を治療するための方法を含む。方法は、アミノ酸残基Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47、およびIle55により画定される結合部位でヒトTFPIと結合する阻害剤を、対象に投与することを含む。一態様において、ヒトTFPI結合部位は、アミノ酸残基Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ala37、Ile38、Phe44、Ile46、Phe47、およびIle55により画定される結合部位等、アミノ酸残基Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ile38、Ile46、Phe47、およびIle55により画定される。本明細書において定義されるTFPI結合部位と接触し、1つ以上のTFPI活性を阻害(下方制御または除去)する任意の阻害剤が、この方法に関連する使用に好適である。TFPI阻害剤は、随意に、TFPI結合性ペプチド、例えば、本明細書に記載の特徴を有するTFPI結合性ペプチドである。
本発明は、さらに、コンピュータ記憶媒体および本明細書において定義されるTFPI結合部位における候補TFPI化合物をモデル化するための方法を含む。タンパク質の三次元(3D)モデル化は、化合物とTFPI中の標的アミノ酸との間のフィッティングを決定するために、様々な試験TFPI結合性化合物(例えば、ペプチドまたは小分子)の3Dモデルと併せて使用することができる。試験化合物のTFPI阻害における有効性は、化合物が生物学的応答を達成するために十分な期間TFPIに対する結合を維持しない場合制限され得るため、結合を維持する2者の傾向を予測して、親和性評価を生成することができる。
親和性評価を考慮して、TFPIタンパク質の3D表面および対応する化合物の表面へのフィッティングを分析することにより、表面と化合物との間の接触ポイントの数、および接触ポイントにおける結合の強度の両方を改善するために、化合物(例えば、ペプチド)の修飾を生成することができる。この技術を使用して、化学ベースの候補およびペプチドベースのTFPI阻害剤の有効性を同様にモデル化することができ、これは、TFPI結合性化合物の合理的設計を容易化する。KD1の三次元(3D)表面のコンピュータモデルにより、様々なペプチドまたは化学薬品の、TFPI結合部位を画定しKD1を阻害する同定されたサブセットのアミノ酸に結合する能力を試験することができる。KD1タンパク質の表面、特にKD1内の標的アミノ酸により境界される表面は、コンピュータ上の3D空間内でモデル化される。例えば、様々なペプチドの3Dモデルは、標的TFPIアミノ酸のうちのいくつにペプチドが接触するかを決定するため、および、どれ程の期間ペプチドが標的表面に対する結合を維持するかを予測する親和性評価を生成するために、表面に照合され得る。
ペプチドモデルを変更し、コンピュータモデリングを反復することにより、ペプチドファミリーに対して親和性評価が迅速に生成され得る。最も有望なペプチド変異体(例えば、親ペプチドのアミノ酸配列内に1つ以上の置換を含む第2のペプチド)を、所望によりさらなる物理的試験のために選び出すことができる。
本発明は、コンピュータのプロセッサ上で実行されると、TFPI KD1タンパク質および試験化合物における選択された三次元(3D)ポイント間の相互作用をモデル化する方法を実行する、コンピュータにより実行可能な命令を有するコンピュータ記憶媒体を提供する。方法は、TFPI KD1タンパク質のタンパク質構造3Dモデルを得ることと、タンパク質構造における、Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47、およびIle55を含む選択されたサブセットのアミノ酸間の3D関係を決定することと、選択されたサブセットのアミノ酸により境界される表面をモデル化することと、試験化合物の試験化合物3Dモデルを得ることと、試験化合物3Dモデルを、選択されたサブセットのアミノ酸が結合した表面に照合することと、表面の選択されたサブセットのアミノ酸と、試験化合物3Dモデルとの間の接触ポイントを識別することとを含む。随意に、方法は、表面と試験化合物3Dモデルとの間の接触ポイントの数を決定することと、接触ポイントの数に対応する試験化合物3Dモデルの親和性評価を記録することと、をさらに含む。一態様において、選択されたサブセットのアミノ酸は、Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ala37、Ile38、Phe44、Ile46、Phe47、およびIle55を含む。方法は、随意に、第2の試験化合物に基づく更新された試験化合物3Dモデルを得ることと、更新された試験化合物3Dモデルを、選択されたサブセットのアミノ酸により境界される表面に照合することと、表面の選択されたサブセットのアミノ酸と、更新された試験化合物3Dモデルとの間の識別された接触ポイントを、コンピュータのディスプレイ上で識別することとをさらに含む。一実施形態において、方法は、表面と更新された試験化合物3Dモデルとの間の接触ポイントの数を決定することと、表面と更新された試験化合物3Dモデルとの間の各接触ポイントの結合タイプを決定することと、表面と更新された試験化合物3Dモデルとの間の接触ポイントの数および各接触ポイントの結合タイプの総計に基づき、新たな親和性評価を記録することと、をさらに含む。次いで、所望により、更新された親和性評価は、新たな親和性評価と比較され、試験化合物または第2の試験化合物が、より高い親和性評価を有するか否かが決定される。接触ポイントは、コンピュータ上に表示することができ、それにより、TFPI結合性化合物の最適化または設計が容易化される。
別の実施形態において、コンピュータ記憶媒体は、コンピュータのプロセッサ上で実行されると、ペプチドを、TFPI Kunitzドメイン1タンパク質(KD1)における選択された三次元ポイント(3D)と比較する方法を実行する、コンピュータにより実行可能な命令を有し、方法は、KD1タンパク質のタンパク質構造を形成することと、KD1タンパク質における、Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47およびIle55を含む選択されたサブセットのアミノ酸の三次元モデルを決定することと、ペプチドの三次元モデルを決定することと、ペプチドの3Dモデルを、選択されたサブセットのアミノ酸の3Dモデルにフィッティングすることと、選択されたサブセットのアミノ酸に対する、ペプチドと接触するサブセット内のアミノ酸の数、および各接触ポイントでの結合強度に基づく、ペプチドの親和性を生成することと、を含む。
さらに、試験化合物を、TFPI KD1タンパク質における選択された三次元ポイントと比較する方法が提供される。方法は、コンピュータのメモリ内に、KD1タンパク質のタンパク質構造を形成することと、コンピュータのプロセッサにおいて、KD1タンパク質における、Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47、およびIle55を含む選択されたサブセットのアミノ酸の三次元モデルを決定することと、コンピュータのプロセッサにおいて、試験化合物の三次元モデルを決定することと、コンピュータのプロセッサにおいて、試験化合物の3Dモデルを、選択されたサブセットのアミノ酸の3Dモデルにフィッティングすることと、コンピュータのプロセッサにおいて、選択されたサブセットのアミノ酸に対する、試験化合物と接触するサブセット内のアミノ酸の数、および各接触ポイントでの結合強度に基づく、試験化合物の親和性を生成することと、を含む。方法は、いくつかの実施形態において、試験化合物と選択されたサブセットのアミノ酸の3Dモデルとの間のフィッティングの3D表示を表示することと、随意に、複数の試験化合物に対して、本明細書に記載のステップを反復することと、複数の試験化合物のそれぞれに対する各親和性を保存することと、をさらに含む。
図58を参照すると、請求される方法および装置を実行するための例示的システムは、コンピュータ110の形態の汎用コンピュータデバイスを含む。点線の輪郭で示されたコンポーネントは、技術的にはコンピュータ110の一部ではないが、図58の例示的実施形態を示すために使用されている。コンピュータ110のコンポーネントは、プロセッサ120、システムメモリ130、メモリ/グラフィックスインターフェース121およびI/Oインターフェース122を含み得るが、これらに限定されない。システムメモリ130およびグラフィックスプロセッサ190は、メモリ/グラフィックスインターフェース121に結合されてもよい。モニタ191または他のグラフィック出力デバイスは、グラフィックプロセッサ190に結合されてもよい。
プロセッサ120、メモリ/グラフィックスインターフェース121およびI/Oインターフェース122の間の高速システムバス123、メモリ/グラフィックスインターフェース121およびシステムメモリ130の間のフロントサイドバス124、ならびにメモリ/グラフィックスインターフェース121およびグラフィックスプロセッサ190の間のアドバンストグラフィックスプロセッシング(AGP)バス125を含む、一連のシステムバスが、様々なシステムコンポーネントを結合してもよい。システムバス123は、いくつかの種類のバス構造のいずれであってもよく、例えば、限定されないが、そのようなアーキテクチャは、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、およびエンハンストISA(EISA)バスを含む。システムアーキテクチャが発展するに従い、他のバスアーキテクチャおよびチップセットが使用されてもよいが、多くの場合、一般にこのパターンに従う。例えば、IntelおよびAMD等の企業は、それぞれ、インテルハブアーキテクチャ(IHA)およびHypertransport(商標)アーキテクチャをサポートしている。
コンピュータ110は、典型的には、様々なコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ110によりアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってもよく、揮発性および不揮発性媒体、リムーバブルおよび非リムーバブル媒体の両方を含む。例として、限定されないが、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータにより実行可能な命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータ等、情報記憶のための任意の方法または技術で実装される、揮発性および不揮発性、リムーバブルおよび非リムーバブル媒体の両方を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタルバーサタイルディスク(DVD)もしくは他の光学ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶デバイス、または、電子データを物理的に具現化する他の物理記憶素子を含み、ラジオ波または変調された搬送波信号等の任意の伝播媒体を除く。
システムメモリ130は、読み出し専用メモリ(ROM)131およびランダムアクセスメモリ(RAM)132等の揮発性および/または不揮発性メモリの形態のコンピュータ記憶媒体を含む。システムROM131は、永久的なシステムデータ143、例えばコンピュータに特異的な構成データを含有してもよい。RAM132は、典型的には、プロセッサ120にすぐにアクセス可能な、および/またはプロセッサ120上で現在操作されているデータおよび/またはプログラムモジュールを含有する。例として、限定されないが、図58は、オペレーティングシステム134、アプリケーションプログラム135、他のプログラムモジュール136、およびプログラムデータ137を示す。
I/Oインターフェース122は、システムバス123を、様々な内部および外部デバイスをコンピュータ110に結合する複数の他のバス126、127および128に結合してもよい。シリアルペリフェラルインタフェース(SPI)バス126は、起動中等におけるコンピュータ110内の要素間の情報の転送に役立つ基本ルーチンを含有する、基本入力/出力システム(BIOS)メモリ133に接続してもよい。
スーパー入力/出力チップ160は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク152、キーボード/マウス162、およびプリンタ196等の、複数の「レガシー」周辺機器に接続するように使用されてもよい。スーパーI/Oチップ160は、いくつかの実施形態において、ローピンカウント(LPC)バス等のバス127により、I/Oインターフェース122に接続されてもよい。スーパーI/Oチップ160の様々な実施形態は、商業市場において広く入手可能である。一実施形態において、バス128は、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バスであってもよい。
コンピュータ110はまた、他のリムーバブル/非リムーバブル揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体を含んでもよい。単なる例として、図58は、非リムーバブル不揮発性機器媒体からの読み出し、またはそれへの書き込みを行うハードディスクドライブ140を示す。ハードディスクドライブ140は、従来のハードディスクドライブであってもよい。
リムーバブル媒体、例えばユニバーサルシリアルバス(USB)メモリ153、ファイヤーワイヤー(IEEE1394)、またはCD/DVDドライブ156は、直接、またはインターフェース150を通してPCIバス128に接続されてもよい。例示的な動作環境において使用され得る他のリムーバブル/非リムーバブル揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体は、磁気テープカセット、フラッシュメモリカード、デジタルバーサタイルディスク、デジタルビデオテープ、ソリッドステートRAM、ソリッドステートROM等を含むが、これらに限定されない。
上述の、および図58に示されるドライブおよびその関連したコンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールおよびコンピュータ110の他のデータの記憶を提供する。例えば、図58において、ハードディスクドライブ140は、オペレーティングシステム144、アプリケーションプログラム145、他のプログラムモジュール146、およびプログラムデータ147を記憶するものとして示されている。これらのコンポーネントは、オペレーティングシステム134、アプリケーションプログラム135、他のプログラムモジュール136、およびプログラムデータ137と同じまたは異なってもよいことに留意されたい。ここで、最低でもそれらが異なるコピーであることを示すために、オペレーティングシステム144、アプリケーションプログラム145、他のプログラムモジュール146、およびプログラムデータ147には、異なる数字が付されている。ユーザは、マウス/キーボード162または他の入力デバイスの組み合わせ等の入力デバイスを通して、コンピュータ20内にコマンドおよび情報を入力することができる。他の入力デバイス(図示せず)は、マイク、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライトディッシュ、スキャナ等を含み得る。これらの、および他の入力デバイスは、多くの場合、I/Oインターフェースバスの1つ、例えばSPI 126、LPC 127、またはPCI 128を通してプロセッサ120に接続されるが、他のバスが使用されてもよい。いくつかの実施形態において、スーパーI/Oチップ160を介して、パラレルポート、赤外線インターフェース、ゲームポート等(図示せず)に他のデバイスが結合されてもよい。
コンピュータ110は、1つ以上のリモートコンピュータ、例えばリモートコンピュータ180への論理通信ポートを使用して、ネットワーク環境においてネットワークインターフェースコントローラ(NIC)170を介して動作し得る。リモートコンピュータ180は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイスまたは他の共通ネットワークノードであってもよく、典型的には、コンピュータ110に関連して上述した要素の多くまたは全てを含む。図58に示されるNIC 170とリモートコンピュータ180との間の論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、またはその両方を含み得るが、他のネットワークを含んでもよい。そのようなネットワーク環境は、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、およびインターネットにおいて一般的である。
図59は、TFPIタンパク質を含む代表的アミノ酸202、204、206を示すTFPIタンパク質200の3Dモデルを示す。対象となるTFPIタンパク質の特定領域はKD1であり、具体的に示されていない。示される表面は、タンパク質を構成するアミノ酸の配置により形成される。KD1領域における特定のアミノ酸により形成される表面は、TFPI阻害剤を研究または形成する際に対象となる。本明細書においてより詳細に議論されるように、KD1の生物学的効果は、KD1領域内のある特定のアミノ酸に結合することにより阻害される。具体的には、これらの標的アミノ酸は、Ala27、Phe28、Lys29、Ala30、Asp31、Asp32、Lys36、Ala37、Ile38、Phe44、Ile46、Phe47、およびIle55を含む。
図60は、上に列挙した標的アミノ酸の少なくとも一部に結合するペプチド300を示す。
図61は、KD1およびペプチドの相互作用のモデル化を実行する方法の図である。
タンパク質の3Dモデルを得ることができ(ブロック302)、コンピュータ110のメモリ140に記憶することができる。モデルは、既知のツールを使用してローカルで生成することができ、または、公共のソースから得ることができる。一実施形態において、タンパク質は、TFPI KD1 200である。
タンパク質構造内の選択されたサブセットのアミノ酸の間の3D関係が決定され得る(ブロック304)。一実施形態において、選択されたサブセットのアミノ酸は、Phe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47およびIle55を含み、随意に、Ala27、Asp31、Lys36、およびIle38をさらに含み、随意に、Ala37およびPhe44をさらに含むが、結合が阻害(例えば治療)効果を有するために、ここで列挙した全てのアミノ酸が必要とされるわけではない。すなわち、この群のさらなるサブセットもまた対象となる特性を有し得る。
対象となる特定のサブセットのアミノ酸において、選択されたサブセットのアミノ酸により境界される表面がモデル化され得る。各側に対象となるさらなるアミノ酸を有さないそれらのアミノ酸により、外周が画定され得る。サブセット内の各アミノ酸の3D位置により、表面のテクスチャが画定され得る(ブロック306)。
対象となる候補TFPI結合性化合物(例えば、ペプチド)の3Dモデルが生成され、コンピュータ110のメモリ140に記憶され得る(ブロック308)。
ペプチド3Dモデルは、選択されたサブセットのアミノ酸により境界される表面に照合またはフィッティングされ得る(ブロック310)。対象となるポイント、すなわちKD1の選択されたアミノ酸上で2つの間の最善のフィッティングが生成され得る。そのような3Dモデリングおよびフィッティングのためにいくつかのコンピュータツールが利用可能であり、3Dモデルを形成し、互いに照合するために使用され得る。一例は、「de Vries,S.J.,van Dijk,A.D.J.,Krzeminski,M.,van Dijk,M.,Thureau,A.,Hsu,V.,Wassenaar,T.and Bonvin,A.M.J.J.(2007),HADDOCK versus HADDOCK:New features and performance of HADDOCK2.0 on the CAPRI targets.Proteins:Structure,Function,and Bioinformatics,69:726−733.doi:10.1002/prot.21723」に記載のHADDOCKツールである。
表面の選択されたサブセットのアミノ酸の表面のモデルと、試験化合物(例えば、ペプチド)3Dモデルとの間の接触ポイントが識別され、記憶され、随意にコンピュータ110のモニタ191上に表示され得る(ブロック312)。化合物(例えば、ペプチド)は、接触ポイントの数または接触ポイントでの結合の強度を増加させるように変更され得る。この効果のモデル化を容易化するために、以下でさらに説明されるメトリックを生成して、対象となるタンパク質、我々の例においてはKD1に結合する化合物の親和性を測定することができる。
さらに、表面と化合物3Dモデルとの間の接触ポイントが計数され得(ブロック314)、接触ポイントの数に対応して化合物3Dモデルの親和性評価が記録され得る(ブロック316)。例えば、上に列挙したアミノ酸の14個全てが標的とされ、実際に14個のうち12個に化合物3Dモデルが接触または結合した場合、12/14または0.86の親和性評価が計算および記録され得る。
しかしながら、どれ程強固に候補化合物が結合しているか、ひいては、どれ程長くKD1に対する結合を維持し得るかの目安としての親和性評価は、対象となる結合の数だけでなく、結合の種類の点でもより正確に説明され得る。各接触ポイントの結合の種類もまた決定され得る(ブロック318)。TFPI結合性ペプチドに関して、4オングストローム以下の分子間距離を有する疎水結合は、2.6〜3.2オングストロームの分子間距離を有する結合から区別され得る。一実施形態において、3.2オングストローム未満の結合には1.5の重みが割り当てられてもよく、3.2オングストロームを超える結合には1.25の重みが割り当てられてもよい。これを使用して、または別の重み付けを使用して、結合の種類を考慮して親和性評価が更新または再計算され得る(ブロック320)。例えば、上記の例において、結合のうち5個が短い結合であり、結合のうちの7個が長い結合である場合、新たな親和性評価は、(5*1.5+7*1.25)/14=1.16となり得る。
KD1からの7個のアミノ酸のみが標的とされ、4個が短い結合で接続する場合、親和性評価は(4*1.5)/7=0.86となり得る。しかしながら、この場合、他の親和性評価との比較がなされる際に、より少数の標的とされるアミノ酸が考慮される。例えば、全ての所望の標的部位に基づき、全ての評価が標準に対して正規化され得る。
それ以上反復が行われない場合、ブロック322からの分岐はなくてもよく、その結果が今後の分析および決定のための記憶され得る(ブロック324)。追加のペプチドまたは以前に試験されたペプチドの変異体が分析される場合、ブロック322からの「はい」の分岐が採用され得、対象となるペプチドの新たな、もしくは更新されたモデルが生成され得るか、またはその他の様式で取得され、記憶され得る(ブロック326)。ブロック310から320までのステップが繰り返されてもよく、現在の実行結果が以前の実行結果と比較され、どのペプチド/変異体がより高い親和性評価を有するかを決定することができ、可能な物理的試験を含むさらなる実験の価値がある。
3Dモデル化により特定部位を標的とし、比較評価を生成することができる能力により、X線結晶解析の時間およびコストを回避しながら、数千とは言わないまでも数百の試料を処理し、比較的容易に比較することができる。この技術は、TFPI KD1からのPhe28、Lys29、Ala30、Asp32、Ile46、Phe47、Ile55、Ala27、Asp31、Lys36、Ile38、Phe2、Ala37およびPhe44アミノ酸に関連したモデル化に、特に適用することができる。
本明細書において引用される全ての出版物、特許および特許出願は、個々の出版物または特許出願がそれぞれ参照により援用されることが具体的および個々に示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に援用される。さらに、文書全体は、統合された開示として関連することを意図し、特徴の組み合わせが本文書の同じ文章または段落または項において一緒に見出されないとしても、本明細書に記載の特徴の全ての組み合わせが企図されることが理解されるべきである。例えば、タンパク療法が記載されている場合、ポリヌクレオチド療法(タンパク質をコードするポリヌクレオチド/ベクターを使用する)を含む実施形態が具体的に企図され、またその反対も成り立つ。上記の発明は、明確な理解のために図および例を用いてある程度詳細に説明されているが、当業者には、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱せずに、ある特定の変更および修正が本発明になされてもよいことが容易に明らかとなる。本発明は、例えば、具体的に上述された変形例より多少なりとも範囲が狭い本発明の全ての実施形態を含む。属として記載された本発明の態様に関して、全ての個々の種は、個々に、本発明の別個の態様とみなされる。「1つ」(「a」または「an」)を用いて説明または請求される本発明の態様に関して、より限定された意味が文脈により明確に必要とされない限り、これらの用語は「1つ以上」を意味することを理解されたい。組の中の1つ以上として記載される要素に関して、その組の中の全ての組み合わせが企図されることを理解されたい。最後に、請求要素が、「手段」という語、および任意の構造の列挙のない機能を列挙することにより定義されない限り、任意の請求要素の範囲が、米国特許法第112条、第6項の適用に基づき解釈されることを意図しない。
このように概略的に説明される本発明は、例示を目的として示され、本発明の限定を意図しない以下の実施例を参照することでより容易に理解される。
実施例1
以下の実施例は、TFPIに対する結合のためのペプチドの生成、同定、およびスクリーニングを説明する。
ペプチド候補は、商業的供給業者(例えば、PolyPeptide Laboratories SAS(Strasbourg、France)およびJPT Peptide Technologies GmbH(Berlin、Germany))から得た。候補ペプチドを合成するための方法は、上述されている。候補ペプチドは、>90%または>60%の純度のトリフルオロアセテート(TFA)塩として合成された。全てのペプチドを、DMSO中に、10mMの保存濃度まで溶解した。TFPI結合性ペプチド配列を、mRNAディスプレイライブラリを使用して同定した。mRNAディスプレイ技術は、開始プール内の1014個の異なる配列の多様性を可能とし、例えば、ファージディスプレイに必要な生体内ステップを回避することから、他のライブラリスクリーニング技術よりも優れている。簡潔には、この技術は、ピューロマイシン分子を介してmRNAをそのコードされた候補ペプチドに直接結合させることを含む(図5)。mRNAディスプレイ法は、国際特許公開第2005/051985号およびLiu et al.,Methods in Enzymology,318,268−293(2000)においてさらに説明されている。TFPIは、ビオチンを介して固体支持体に固定し、候補ペプチド−RNA複合体に暴露した。TFPI結合候補ペプチド−RNA複合体を単離し、RNAを逆転写してコーディングDNAを得た。競合的排除法を使用して、6〜10回の選択ラウンド後に高親和性結合剤が得られた。候補ペプチドの多くは、31アミノ酸の長さ(27個の無作為アミノ酸および両方の末端に位置する2個のアミノ酸)であった。
選択されたペプチドを合成し、マイクロアレイベースの走査分析を使用したペプチド最適化に供して、TFPI結合親和性を保持するペプチド断片を同定した。例えば、その配列が19アミノ酸分重複したペプチドの一連の20アミノ酸断片を使用して、JBT0047のマイクロアレイベースの走査を行った。簡潔には、N末端アミノオキシ酢酸修飾ペプチドを、Corningエポキシドスライドガラス上にプリントした。洗浄および乾燥後、スライドをTECAN HS400(商標)インキュベーションステーション内で処理した。スライドを、0.1%TWEEN20(登録商標)を含むトリス緩衝生理食塩水(TBST)中で2分間洗浄し、トリスベースのT−20 SuperBlock(商標)緩衝液(5mM CaCl2)(Pierce)中で30分間ブロックした。ブロック後、スライドをTBST中で2.5分間洗浄した。続いて、スライドをDYLIGHT(商標)649標識化TFPI(トリスベースT−20 SuperBlock(商標)緩衝液(5mM CaCl2)中1μg/mL)で45分間インキュベートし、連続流TBSTで10分間、2回洗浄した。スライドを生理食塩水−クエン酸ナトリウム緩衝液で2分間の最終洗浄に供し、4分間空気乾燥した。Axon GenePix(登録商標)4000Bスキャナでスライドを走査し、GenePix(登録商標)Proソフトウェアで走査を分析した。NおよびC末端切断分析により、走査分析を補完した。マイクロアレイ走査結果は、ペプチドJBT0293がTFPIに最も高い親和性で結合したことを示した。JBT0293のアミノ酸配列に基づく一連の置換突然変異を生成し、TFPI結合特性に関して試験した。
TFPIに対するペプチドのサブセットの親和性は、ビオチニル化ペプチドを用いて行った酵素免疫測定法(ELISA)に類似した分析法(結合(EC50)ELISA)により実証された。96ウェルMaxiSorpプレート(Nunc)を、被覆緩衝液(15mM Na2CO3、35mM NaHCO3、pH 9.6)中の3μg/mLのTFPIで一晩被覆した。プレートを350μlの洗浄緩衝液(HNaT:175 mM NaCl、25mM HEPES、5mM CaCl2、0.1%Tween80、pH7.35)で3回洗浄し、続いて200μlのHNaT中の2%酵母抽出物で2時間ブロックした。次いで、プレートを350μlのHNaTで3回洗浄した。ビオチニル化された候補ペプチドを、DMSOストックから、HNaT中1/200に希釈した。10mMペプチド原液の1/200希釈中に沈殿物が出現しない場合、初期ペプチド濃度は50μMであった。沈殿物が形成された場合、ペプチド原液のDMSO中での事前希釈を行った。希釈されたペプチドをMaxisorpプレートに塗布し、連続希釈物(1/3)を生成し、希釈物を室温で1.5時間インキュベートした。インキュベーションに続いて、3回の洗浄ステップを行った(350μl HNaT)。結合したペプチドは、ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジンでのインキュベーション(1時間)に続くHNaTによる3回の洗浄ステップ、続いて添加したTMB(3,3’5,5’−テトラメチルベンジジン)の発色変換により検出された。この分析を図6Aに示す。
一般に、固定TFPIに対するペプチドの結合は、バックグラウンドを大幅に超えていた。ビオチニル化ペプチドのEC50値を、図32〜39に示す。1つのTFPI結合性ペプチド、JBT0132の結合曲線を、図7に示す。JBT0132のEC50は、約2.2nMと計算された。
さらに、ビオチニル化TFPI結合性ペプチドを、TFPI結合に関して非ビオチニル化候補ペプチドと競合する「トレーサー」として使用して、競合(IC
50)ELISAを行った。分析原理を図6Bに示す。96ウェルMaxiSorpプレート(Nunc)を、被覆緩衝液(15mM Na
2CO
3、35mM NaHCO
3、pH9.6)中の3μg/mLのTFPIで一晩被覆した。TFPIの濃度は、分析の特定の条件に依存して変更することができ、本明細書において参照される他のIC
50ELISA分析では、被覆緩衝液は、0.05μg/mLのTFPIを含有した。プレートを350μlの洗浄緩衝液(HNaT:175mM NaCl、25mM HEPES、5mM CaCl
2、0.1%Tween80、pH7.35)で3回洗浄し、200μlのHNaT中の2%酵母抽出物で2時間ブロックした。次いで、プレートを350μlのHNaTで3回洗浄した。ビオチニル化されたトレーサーペプチドを、結合ELISAにおいて決定されたそれぞれのEC
90値(n>2の場合は中央値)に対応する濃度で塗布した。ペプチドの競合物原液(10mM)を、HSAを含まないHNaT中で1/33.3に希釈し、連続1/3希釈物を、3%DMSOを含むHNaTで調製した。特定の分析において使用される希釈法は、ペプチドの親和性に依存する。希釈物を、さらに、ビオチニル化トレーサーで1:6の比(20μlの競合物希釈液および100μlのトレーサーペプチド)で希釈した。競合物およびトレーサーペプチドの混合物を、TFPI被覆マイクロタイタープレートに塗布し、1.5時間インキュベートした。プレートを350μlのHNaTで3回洗浄した。HRP−結合ストレプトアビジンをマイクロタイタープレートに塗布し、混合物を1時間インキュベートし、プレートを350μlのHNaTで3回洗浄し、TMB(3,3’5,5’−テトラメチルベンジジン)を塗布し、その後のHRPによるTMBの発色変換を検出することにより、ペプチド−TFPI結合が検出された。代表的非ビオチニル化ペプチドのIC
50グラフを、図8A〜8Dに示す。ペプチドJBT0303、JBT0120、およびJBT0224のIC
50測定結果を表3に示す。
競合ELISA(IC
50)分析に加えて、より多数のペプチドを並行して測定するためにスクリーニング分析を使用した。スクリーニングELISAは、競合IC
50ELISAと同様であるが、ただし競合物の3つの異なる濃度のみが使用された(JBT0047クラスに対しては300nM、100nMおよび33.3nM、ならびにJBT0122クラスに対しては50000nM、16667nMおよび5556nM)。いくつかの場合において、スクリーニング結果は、競合ペプチド(JBT0047ファミリーに対しては競合ペプチドJBT0477、およびJBT0122ファミリーに対しては競合JBT1697)に対するトレーサーシグナルのパーセント阻害として表現された。本明細書に記載の方法に従い調製およびスクリーニングされたペプチドの競合IC
50分析結果およびスクリーニング分析結果を、図32〜39に示す。図32〜39に示される平均IC
50値は、表3に示される値よりも多数の分析に基づいており、したがって、値は若干異なり得る。スクリーニングELISAの結果は、トレーサーペプチドJBT0131結合のパーセント阻害として示される。IC
50ELISAを使用して分析されたいくつかのペプチドは、図32〜39において、表4に記載のようなその結合親和性に従い分類される。
本明細書に記載の方法を用いて同定された例示的TFPI結合性ペプチドを、表5に示す。いくつかのペプチドはビオチニル化されたが、多くは、溶解度を促進するNおよびC末端リシンを有する。いくつかのペプチドは、以下に記載されるように、モデルおよび/または血漿分析系においてTFPI阻害活性を示した。
この実施例は、TFPI阻害ペプチドを生成および特性決定する例示的方法を提供する。表5中の全てのペプチドが、ヒトTFPI−1αに結合することが判明した。変異分析では、TFPI結合性ペプチド内の少なくとも1つのアミノ酸が、TFPIに対する親和性を保持しながら置換され得ることが示された。ELISA分析において試験された表5のペプチドは、10μM(1×10−5M)未満のEC50および50μM未満のIC50で、TFPI−1αと結合した。
実施例2
選択されたTFPI結合性ペプチドを、「抗標的」結合に関してさらに特性決定した。この実施例は、TFPI阻害ペプチドが非TFPI−1タンパク質に対してより低い親和性を示すことを実証する。
TFPI−2が、TFPI−1との類似性のため抗標的として選択された。ヒトTFPI−1(C末端で10 His−タグに融合した残基29〜282、分子量41kDa(R&D Systems、Minneapolis、MN;カタログ番号2974−PI))マウスTFPI−1(C末端で10 His−タグに融合した残基29〜289;分子量41kDa(R&D Systems;カタログ番号2975−PI))、およびTFPI−2(R&D Systems、Minneapolis、MN)に対するTFPI結合ペプチドの結合反応速度を、BIAcore 3000(商標)表面プラズモン共鳴分析(GE Healthcare、Chalfont St.Giles、UK)を使用して試験した。500RUを目標とし、アミンカップリング化学により、TFPIタンパク質をC1チップ(GE Healthcare、Order Code:BR−1005−40)上に固定した。いくつかのTFPI結合性ペプチドを、固定TFPIタンパク質との相互作用の検体として使用した。30μl/分の流量を利用した。180秒後、180μlのペプチド溶液を、3.84nMから656.25nMの範囲の6つの異なる濃度で注入し、続いて480秒間の解離時間を設けた。チップを45μlの10mM NaOHで再生した。各結合実験を先に行い、続いてHBS−P緩衝液(10mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl、0.005%P20)と1%DMSOおよび0.8%P80で、4回の測定を行った。BIAevaluation(登録商標)Version 4.1ソフトウェア(GE Healthcare)を使用してデータを分析した。センサグラムを1:1ラングミュア結合曲線にフィッティングして、konおよびkoffを決定し、KDを計算した。
ある特定の試験ペプチド、例えばJBT0050、JBT0121、JBT0205およびJBT0211は、ブランク細胞に結合したが、それらのセンサグラムからの結合定数は決定することができなかった。JBT0133は、TFPI−1に対する弱い結合を示した。他のペプチドからのセンサグラムは、信頼性のある結合定数を与えた。いくつかのTFPI阻害ペプチドのBIAcore分析からの結果を、表6および図19〜21に示す。表6に列挙されたペプチドのそれぞれが、10μM未満のK
Dを示した。以下に列挙されるペプチドに加えて、JBT0375およびJBT0477、つまりアミノ酸位置5(JBT0375)またはアミノ酸位置5および10(JBT0477)におけるJBT0293の置換突然変異もまた、10μM未満のK
Dを示した。ペプチドの2つのセンサグラムを、図9Aおよび9Bに示す。
TFPI−2抗標的との相互作用もまた検査した。候補ペプチドのヒトTFPI−2との相互作用から生成された最大シグナルは、相互作用パートナーとしてのTFPI−1で得られたシグナルよりもはるかに低かった。低TFPI−2結合シグナルの反応速度分析は、失敗する傾向にあり、したがって、センサグラムの視覚的な比較を用いて結合親和性を推定した。TFPI−1およびTFPI−2に対するJBT0120の結合を示すセンサグラムを、図10Aおよび10Bとして示す。JBT0120は、TFPI−1に対する結合親和性と比較して10倍低い親和性でTFPI−2に結合する。JBT0132もまた、TFPI−2よりもTFPI−1に対して少なくとも10倍大きい親和性を示すことが判明した。
この実施例により示されたデータは、TFPI阻害ペプチドが、TFPI−1に特異的に結合することを裏付けている。
実施例3
以下の実施例は、FXa阻害および外因性テナーゼ阻害分析を用いた、実施例1において同定された選択されたペプチドのTFPI阻害活性の特性決定を説明する。両方の分析とも、血漿系における活性を予測するものである。外因性テナーゼ分析は、(a)FXaおよびTFPIの相互作用、ならびに(b)FXa−TFPI複合体のTF−FVIIa複合体との相互作用に対するペプチドの影響に対する洞察を提供する。FXa阻害分析は、FXaおよびTFPIの相互作用のみに対するペプチドの影響を測定するものである。
外因性テナーゼ複合体は、凝固プロセスの開始後のFXおよびFIX活性化に関与する。外因性複合体は、FVIIa、組織因子(TF)、およびFX基質で構成される。外因性テナーゼ複合体のTFPI媒介阻害に対するペプチドの影響を決定するために、結合酵素分析を確立した。ペプチドを10mM原液から1/6.25に希釈し(DMSO中)、緩衝液またはDMSO中での連続1/4希釈によりさらに希釈して、望ましくない沈殿を防止した。TFPIをHNaCa−HSAまたはBSA(25mM HEPES、175mM NaCl、5mM CaCl2、0.1%HSAまたはBSA、pH7.35)中に希釈した。全てHNaCa−HSA中に希釈されたFVIIa、脂質化TF、リン脂質ベシクル(DOPC/POPS80/20)、およびFXaに特異的な発色基質(S−2222(DiaPharma、West Chester、OHから入手可能))を、96ウェルプレートに加えた。インキュベーション期間後、TFPIおよびペプチド希釈物を添加し、2.5%DMSOの最終濃度を得た(ペプチド原液中に存在する場合)。FXをウェルに添加することにより、FX活性化を開始した。FXa媒介発色基質変換を、マイクロプレートリーダを使用して吸光度の増加を観察することにより決定した。ある特定の時点で生成されたFXaの量を、OD読取値から計算した。反応開始後20分後に生成されたFXaを、ペプチド濃度対TFPI阻害(%)のプロットからのEC50の計算に考慮した。
TFPIの機能阻害もまた、FXa阻害分析を使用して検査した。共にHNaCa−HSA中に希釈されたFXa特異的発色基質(S−2222)およびTFPIを、96ウェルプレートに加えた。ペプチドを10mM原液から1/6.25に希釈し(DMSOまたはAqua−Dest中)、緩衝液またはDMSO中での連続1/4希釈によりさらに希釈して、望ましくない沈殿を防止した。ペプチド希釈物(2.5μl)を96ウェルプレートに添加し、2.5%DMSOの最終濃度を得た(ペプチド原液中に存在する場合)。発色基質の変換をFXaの添加により誘発し、変換の速度をマイクロプレートリーダで測定した。TFPIはFXaを徐々に阻害するため、115分後のOD読取値を、ペプチド濃度対TFPI阻害(%)のプロットからのEC50の計算に考慮した。
外因性テナーゼ分析およびFXa阻害分析の結果を、表7および図22〜27に示す。
表7を参照すると、JBT0120、JBT0132、およびJBT0224は、<2μMのEC50で、TFPI−1の存在下で外因性複合体媒介FX活性化を修復し、約20%から約60%のTFPI活性阻害をもたらした。JBT0047(EC50=1.4μM)、JBT0131(EC50=2.2μM)、およびJBT0293(EC50=2.9μM)もまた、TFPI−1の存在下で外因性複合体活性を修復した。さらに、FXa阻害分析において、JBT0120、JBT0132、JBT0224、およびJBT0303は、<5μMのEC50で、TFPI−1の存在下でFXa活性を修復し、約5%から約50%のTFPI活性阻害をもたらした。JBT0047(EC50=0.7μM)、JBT0131(EC50=8.2μM)、JBT0293(EC50=1.3μM)、JBT0297(EC50=0.6μM)、およびJBT0305(EC50=2.3μM)もまた、FXa阻害分析において、TFPI−1の存在下でFXaの活性を修復した。この実施例は、本発明のペプチドがTFPI拮抗剤であることを裏付けている。
実施例4
この実施例において、血漿ベース分析を使用してペプチドのTFPI阻害活性が確立される。
トロンビン生成に対するペプチドの影響を、トロンビン特異的蛍光性基質Z−Gly−Gly−Arg−AMCの緩やかな開裂後、Fluoroskan Ascent(登録商標)リーダ(Thermo Labsystems、Helsinki、Finland;390nm励起フィルタおよび460nm発光フィルタ)における較正された自動化トロンボグラフィーにより2回測定した(Hemker,Pathophysiol.Haemost.Thromb.,33,4−15(2003))。FVIIIまたはFIX欠乏に罹患した患者の血漿(George King Bio−Medical Inc.、Overland Park、KN)を、試験用に入手した。血漿それぞれの残留凝固因子活性は、1%未満であった。抗体媒介FVIII欠乏のモデルとして、凍結プール正常血漿(George King Bio−Medical Inc.、Overland Park、KN)を、ヤギにおいて惹起した高力価、加熱不活性化抗ヒトFVIII血漿(4490 BU/mL;Baxter BioScience、Vienna、Austria)でインキュベートし、50BU/mLを得た。血漿をトウモロコシトリプシン阻害剤(CTI)(Hematologic Technologies,Inc.、Essex Junction、VT)と混合して第XIIa因子汚染を阻害し、40μg/mLの最終濃度を得た。
事前に加温した(37℃)血漿(80μL)を、96ウェルマイクロプレート(Immulon 2HB、透明U字底;Thermo Electron、Waltham、MA)の各ウェルに加えた。組織因子によりトロンビン生成を誘発するために、少量(12pM)の組み換えヒト組織因子を含有する10μLのPPP低試薬、ならびにホスファチジルセリン、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミンで構成されるリン脂質ベシクル(48μM)(Thrombinoscope BV、Maastricht、The Netherlands)を添加した。ペプチドをDMSOで10mM原液から1/7.5に希釈し、Aqua−Destでさらに1/8.33に希釈して、12%のDMSO濃度を得、最終分析ミックス中0.5%のDMSO濃度を得た。事前加温(37℃)したリーダ内にプレートを設置する直前に、5μLの5mg/mLヒト血清アルブミン(Sigma−Aldrich Corporation、St.Louis、Missouri、USA)を含むHEPES緩衝生理食塩水またはAqua−Dest中12%のDMSOを添加し、続いてペプチド希釈物または参照タンパク質(FVIII Immunate参照標準(Baxter BioScience、Vienna、Austria);Factor VIII Inhibitor By−Passing Activity(FEIBA)参照標準(Baxter BioScience、Vienna、Austria);NovoSeven(Novo Nordisk、Denmark);および精製ヒト血漿FIX(Enzyme Research Laboratories、South Bend、IL))を添加した。各ウェル内に、蛍光性基質を含有する20μLのFluCa試薬(Thrombinoscope BV、Maastricht、The Netherlands)およびHEPES緩衝CaCl2(100mM)を分注することにより、トロンビン生成を開始した。蛍光強度を37℃で記録した。
得られたトロンビン生成曲線のパラメータを、Thrombinoscope(商標)ソフトウェア(Thrombinoscope BV、Maastricht、The Netherlands)およびトロンビン較正器を使用して計算し、内部フィルタおよび基質消費効果について較正した(Hemker,Pathophysiol.Haemost.Thromb.,33,4−15(2003))。参照タンパク質(例えば、FVIII Immunate(登録商標)参照標準、FEIBA参照標準)に等しいある特定のペプチド濃度の活性を生成するトロンビンを計算するために、標準濃度に対して各トロンビン生成曲線のピークでのトロンビン量(ピークトロンビン、nM)をプロットし、非直線アルゴリズムによりフィッティングした。この較正に基づき、FVIII Immunate、FIX、FEIBAまたはNovoSeven等価活性を計算した。様々なペプチドに対する結果を、図12〜18および28〜30に示す。代表的な結果を、表8に示す。(*は、異なるドナーからFVIII欠乏血漿が得られたことを示す。)
表8を参照すると、JBT0120、JBT0132、JBT0224、およびJBT0303は、FVIII枯渇血漿におけるTFPI依存性トロンビン生成を、FVIIIを含有する血漿におけるトロンビン生成のレベルの1%を超えるレベルまで改善した(%FVIII等価活性)。試験したペプチドは、FVIII欠乏血漿において約5%〜40%のFVIII等価活性を示した。JBT0120およびJBT0132は、図11Aおよび11Bに示されるように、ピークトロンビンおよびピーク時間を用量依存的に改善した。
JBT0293のアミノ酸配列に基づく置換突然変異もまた、実施例3に記載されるFXa阻害および外因性テナーゼ阻害分析とともに、血漿ベース分析において試験した。代表的な結果を、表9に示す。
さらに、JBT0293配列のアミノ酸位置5および10における置換を除いてJBT0293のアミノ酸配列を含むJBT0477は、FVIII欠乏血漿において、FVIIIの413mU/mLと等価のトロンビン生成を改善する(1μMペプチドで)。JBT0293の置換突然変異は、TFPIに対する親和性に関して極めて最適化されたペプチドをもたらし、FXa阻害、外因性テナーゼ阻害、および血漿ベース分析において活性を改善した。
実施例5
以下の実施例は、本発明のペプチドが、ペプチドの物理化学的または薬物動態学的特性を向上させる部分の付加により修飾され得ることを示す。以下に示されるように、本明細書に記載のペプチドに対する40kDaのPEGの付加は、ペプチドの薬物動態学的挙動を改善した。実施例はまた、タンパク質分解に対する感受性を低減するためのTFPI結合性ペプチドJBT1857の最適化を説明している。
化学的または生物学的部分をペプチドに結合させる方法は、当該技術分野において知られている。本明細書に記載のペプチドにPEG(ポリエチレングリコール)を付加するために、アルデヒドおよびケトンへのカップリング用に官能基(AOA=アミノオキシアセテート)をペプチドのN末端に付加した。代替として、マレイミドとのカップリング用にシステインをペプチドのC末端部分に付加した(Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press(1996))。ペプチド(JBT1586)AOA−FQSKGNVFVDGYFERL−Aib−AKL−NH2(配列番号166)および(JBT1587)Ac−FQSKGNVFVDGYFERL−Aib−AKLC−NH2(配列番号167)を、それぞれPEGによるN末端およびC末端修飾に使用した。AOA−FQSKGNVFVDGYFERL−Aib−AKL−NH2(配列番号166)およびAc−FQSKGNVFVDGYFERL−Aib−AKLC−NH2(配列番号167)を、それぞれ過剰の40kDaのmPEG−プロピオンアルデヒド(SUNBRIGHT ME−400AL2、NOF、日本)および40kDaのmPEG−マレイミド(SUNBRIGHT ME−400MA、NOF、日本)でインキュベートした。得られたPEG化ペプチドJBT1852およびJBT1855は、出発構造Ac−FQSKGNVFVDGYFERL−Aib−AKL−NH2(JBT0740)(配列番号66)と比較して、同様の親和性を示す。
得られたPEG化ペプチドは、マウスにおいて大幅に増加した血漿安定性および延長された血漿半減期を示した。図31は、マウスへの静脈内投与後の、C末端PEG化ペプチドJBT1855(Ac−FQSKGNVFVDGYFERL−Aib−AKLC(PEG(40kD))−NH2)(配列番号252)と比較した遊離ペプチドJBT0740(Ac−FQSKGNVFVDGYFERL−Aib−AKL−NH2)(配列番号66)の薬物動態分析の結果を示す。未PEG化ペプチドとは対照的に、PEG化ペプチドは、投与後100分で、マウス血漿中高濃度で存在する。未PEG化ペプチドは、血漿から急速に排除される。図40は、皮下注射後のJBT1855の薬物動態分析の結果を示す。JBT1855はまた、実施例4に記載の分析において、トロンビン生成を大きく改善した(図41)。
また、JBT1852およびJBT1855ペプチドを、実施例1〜4に記載の分析において特性決定し、JBT0740およびJBT0047ファミリー内の他のペプチドと比較した。代表的な結果を、以下に記載する表10に示す。
また、表10に列挙されるペプチドを、TFPI−2抗標的との相互作用に関して分析したが、生成されたシグナルは、信頼性のある親和性測定には低すぎた。データは、PEG化が本発明のペプチドの阻害活性を除去しない、またはTFPI−1の選択性に悪影響を及ぼさないことを示唆している。
細胞ベース外因性テナーゼ分析
細胞ベース外因性テナーゼ分析を使用して、FXからFXaへの外因性テナーゼ複合体媒介変換を修復する上述のTFPI結合性ペプチドの能力を決定した。また、本発明の例示的TFPI結合性ペプチドであるJBT0740に対するPEG化の影響を探求するために、細胞ベース外因性テナーゼ分析を使用した。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を計数し、96ウェルプレート(黒色平坦、透明底部)内の完全成長培地内に、ウェル当たり1.5×104細胞の密度で播種した。細胞を一晩増殖させ(約16時間から18時間)、事前に加温した基礎培地で2回洗浄し、200μlの基礎培地中、37℃で4時間1ng/mLの組み換えTNFα(Sigma Aldrich(カタログ番号T6674))で刺激し、200μlの事前に加温した細胞培養緩衝液で2回洗浄した。FVIIa(Enzyme Research Laboratories)、TFPI結合性ペプチド(0.1%Tween−80を含む、もしくは含まないDMSOもしくはHepes緩衝生理食塩水中に溶解)、またはTFPI抗体を含有する緩衝液(50μl)を、細胞に適用し、37℃で20分間インキュベートし、FVIIa/TF複合体を形成させ、TFPI拮抗剤をTFPIに結合させた。インキュベーション期間後、FXおよびFXa特異的基質(Fluophen FXa(HYPHEN BioMed))を含有する50μlの細胞培養液を適用し、細胞に対し、100μlの細胞培養緩衝液ミックスの最終体積を得た。最終濃度は、39pM FVIIa、170nM FX、250μM Fluophen FXa、および2.5%DMSO(ペプチドをDMSO中に溶解した場合)であった。
刺激されたHUVEの表面上のTF/FVIIa複合体により発生する、FXaによるFXa特異的蛍光性基質変換を検出するために、事前に加温した(37℃)蛍光リーダに96ウェルプレートを移した。9分間のインキュベーション後に計測した読取値を、TFPI結合性ペプチドまたは抗体のTFPI阻害効果の計算に使用した。以下のペプチド(JBT0047ファミリーに属する)の様々な濃度において観察されたTFPIのパーセント阻害の概算値を、表11に示す:JBT0717(Ac−FQSK−Nmg−NVFVDGYFERLRAKL−NH
2)(配列番号61)、JBT0740(Ac−FQSKGNVFVDGYFERL−Aib−AKL−NH
2)(配列番号66)、JBT1584(Ac−FQSK−Nmg−NVFVDGYFERL−Aib−AKL−NH
2)(配列番号164)、およびJBT1857(Ac−FQSKpNVHVDGYFERL−Aib−AKL−NH2)(配列番号178)。
また、PEG化ペプチドを、細胞ベース外因性テナーゼ分析を使用して試験した。JBT0740(配列番号66)を、1kDのPEG部分にN末端で結合させてJBT1853を、またはC末端で結合させてJBT1854を生成した。JBT1853およびJBT1854は、分析に使用したペプチドの量に依存して、TFPIを20%以下阻害した。40kDのPEG部分をC末端に有するJBT1855(親ペプチド、JBT0740)は、細胞ベース分析において、40kDのPEG部分をN末端に有するJBT1852よりも良好に作用した。JBT1855は、20〜30%TFPI阻害を媒介し、一方JBT1852は、TFPI活性を10%以下阻害した。
また、JBT0120ファミリーのペプチド、JBT0120、JBT0415、JBT0444、JBT1426、およびJBT1837を、細胞ベース外因性テナーゼ分析において試験すると、JBT0047ファミリーのペプチドと比較してTFPIをより低い程度まで阻害することが判明した。低減された、または部分阻害活性が、本発明のいくつかの実施形態において所望され得る。JBT0047ファミリーのペプチドと同様に、ペプチド最適化により、JBT0120ファミリーペプチドのTFPI阻害活性が増加した。
JBT1857の安定性および阻害活性を検査する過程で、ペプチドのアミノ酸配列が、Val9とAsp10との間にプロテアーゼ開裂部位を含有することが決定された。位置9におけるTleの置換(JBT2431を生成する)および位置10におけるProの置換(JBT2432)が、ペプチドの開裂を遮断し、ペプチドの血漿安定性を、27%(JBT1857)から82%(JBT2431)および76%(JBT2432)まで約3倍向上させた。追加的な推定開裂部位が、Gly11とTyr12との間に特定された。G11a置換(JBT2414を生成する)は、ペプチドの安定性をさらに100%まで改善した。全ての安定性は、ヒト血漿中での24時間のインキュベーション後の定量ELISAにより決定した。
上述の結果は、非従来的アミノ酸を利用した本明細書に記載のTFPI結合性ペプチドの最適化が、TFPI阻害および血漿安定性を改善したことを実証している。さらに、本発明のPEG化ペプチドは、細胞ベース外因性テナーゼ分析においてTFPI活性を阻害し、C末端PEG化ペプチドがN末端PEG化ペプチドより良好に作用する。本発明のTFPI結合性ペプチドは、遊離TFPIおよび細胞結合TFPI両方の活性を阻害する。
実施例6
以下の実施例は、本明細書に記載のペプチドの、動物モデルにおける出血を低減する能力を示す。
10週齢のC57Bl/6NCrlマウスを、試験前の2週間飼育した。爪切りの30分前に、動物に、(a)JBT1855(10mg/kg)を尾静脈から静脈内(i.v.)投与もしくは頸部領域に皮下(s.c.)投与するか、(b)抗TFPI抗体(18mg/kg、i.v.)を投与するか、または(c)ビヒクル(175mM NaCl、25mM HEPES、pH7.35;10mL/kg;i.v.)を投与した。爪切りの10分前に、動物を80mg/kgのペントバルビタールで麻酔した。出血をもたらすために、右後足の小指の爪を取り除いた。採血のために、足を0.9%NaCl溶液に60分間浸漬した。分光測光により、溶解後に失血を定量した。実験の間中、温度を37℃で一定に維持した。試験の結果を図42に示し、表11に要約する。
本発明のPEG化ペプチドであるJBT1855の静脈内または皮下投与は、ビヒクル単独での処理と比較して、マウスにおける失血を低減した。
実施例7
以下の実施例は、核磁気共鳴およびX線結晶学によるTFPIペプチド相互作用の特性決定を説明する。具体的には、拮抗ペプチドJBT0303、JBT0122およびJBT0415のTFPI結合部位;TFPI160と相互作用するJBT0303、JBT0122およびJBT0415の残基;ならびに、複合化および遊離JBT0303、JBT0122およびJBT0415の2次構造を、2D15N異核単一量子コヒーレンス(HSQC)スペクトルを使用して、分子レベルで調査した。JBT1857およびTFPIのKD1の相互作用を、X線結晶学を使用して検査し、JBT1857結合を媒介するTFPI KD1の残基をマッピングした。
TFPI160に対するJBT0303の結合部位の特定
TFPI160の15N標識化調製物を、JBT0303によるTFPI160の滴定実験に使用した。ペプチドの量を増加させない、または増加させた約500μMの15N−TFPI160試料のHSQCスペクトルを、Varian 600 MHz分光器で、30℃で記録した。ペプチド−タンパク質相互作用は、緩やかな交換挙動(kex<<Δω)を示したが、これは、各TFPI残基が、遊離タンパク質およびタンパク質−ペプチド複合体に対し決められたシグナルをもたらすことを意味する。混合物が種の集団に従い平均化された位置で1つだけのピークをもたらす急速な交換挙動(kex>>Δω)とは異なり、緩やかな交換挙動は、ペプチド結合後のシグナルの追跡が不可能である。したがって、結合部位を特定するために、TFPI160−JBT0303複合体のシフトしたピークを帰属する必要があった。これには、13C/15N−TFPI160およびJBT0303の試料の調製が必要であった。
まず、992μMの13C/15N−TFPI160および1190μMのJBT0303で試料を調製した。しかしながら、NMR試料は、複合体の帰属を不可能とする低品質のスペクトルをもたらした。試料は、恐らくは高分子量凝集体の形成に起因してゲル化した。そのため、得られたNMRデータは、主に、同位体標識化TFPI160の最も柔軟な部位から生じるシグナルを示した。したがって、さらなる実験のために、試料条件を再調査した。TFPI160−JBT0303複合体に対して行った一連の15N−HSQC実験から、試料希釈および高温でのデータ取得によりゲル形成が回避され得ると結論付けた。13C/15N−TFPI160の最終濃度は331μMであり、JBT0303の最終濃度は397μMであった。スペクトル品質は改善された。より低い濃度および低減された信号対雑音比に起因して、HNCA、HNCOおよびHNCOCA実験に基づき帰属を行う必要があった。
以前に帰属された4つの残基を除き、apo−TFPI160において帰属され得る全ての残基を、TFPI160−JBT0303複合体において帰属することができた。いくつかの残基の帰属は、3Dスペクトルにおけるピークの欠損に起因して不明瞭であった。さらに、3つの残基のピークは、元の滴定実験からのHSQCスペクトルにおいてのみ視認可能であった。しかしながら、近傍の全てのピークは明瞭に帰属され、したがって、これらの残基の帰属は正しいと考えられる。
遊離TFPI160と比較した、JBT0303に結合した15N−TFPI160のHSQCシグナルの化学シフト変化を、図43に示す。最も大きい化学シフトを生じる残基は、Kunitzドメイン1にのみ存在した。残基F25、F28、D32、A37、T48およびY56の化学シフトが最もシフトした(>2ppm)。残基I38、I46、F47およびF54もまた、1.5ppm超シフトした。残基20〜24が帰属されていないため、F25の残基N末端がJBT0303との相互作用に関与するかどうかは不明である。L19は、約0.6ppmまでの化学シフトの変化を示す。したがって、TFPIの残基1〜18内のアミノ酸がペプチド結合に関与するという以前の考えとは対照的に、現在のデータは、存在するとしても、TFPIのN末端尾部に対するペプチド結合は僅かであることを示唆している。遊離TFPI160と比較した、JBT0303に結合したTFPI160のHSQCシグナルの化学シフト変化の領域を示すTFPIタンパク質の2次構造のリボンモデルを、図44に示す。
TFPI160に対するJBT0303の結合部位をより具体的に特定するために、15N−TFPI160および15N−TFPI160+JBT0303のアミド交換率を決定した。アミド交換実験は、主に、アミド基のH交換を測定することにより、ペプチド骨格の環境内の変化を検出するものである。H2O周波数に、緩和により消散しない十分高いパワーが照射され、H2Oシグナルの完全な飽和および抑制が得られる。このH2Oシグナル抑制の方法の副次的作用は、溶媒と交換する交換可能アミドNHに抑制が移動することである(H/H交換)。飽和移動は、半定量的であるH/H交換率に依存する。効果は、より保護されたNH基に対して低減される(すなわち、非保護NHは、保護NHよりも減衰される)。保護NHがリガンドのH−アルファに近接して存在する場合、apo型と比較してより高い交換率が観察される。同様に、H交換は、Ser、ThrまたはTyrのOH基により媒介され得る。
apo 15N−TFPI160および15N−TFPI160−JBT0303複合体の水抑制なし、またはありでのHSQCスペクトルを記録した。TFPI160の各残基の相対的交換率を、水抑制あり、およびなしでのHSQCスペクトル中のピーク強度の比を計算することにより決定した。15N−TFPI160および15N−TFPI160+JBT0303のデータセットの比較は、TFPI残基25、26、36、62、63、127、132および152が複合体において10%超減少したアミド交換率を示し、一方残基29、30、42、45、49、50、56、66および98が10%超増加した交換率を示すことを明らかにした。
アミド交換実験に起因する制約が、精密HADDOCKモデルの計算に含められた:(a)ねじり角がJBT0303のK4、K5、V7、F8、Y12−A18に対するTALOSの計算から採用される(化学シフト実験)、(b)1.5ppmを超える化学シフト変化を有するKD1の残基:F25、F28、D32、A37、I38、I46、F47、T48、F54およびY56が、JBT0303結合に関与する(化学シフト実験)、(c)JBT0303の両親媒性ヘリックスの疎水側がKD1に結合する:JBT0303のY12またはL16またはL20が、KD1D32またはA37またはI38またはF54またはY56に結合する(化学シフト実験)、(d)JBT0303のR15またはK19が、KD1のD31またはD32またはE60に結合する(化学シフト実験)、(e)JBT0303のF8またはV9が、KD1のF25またはF28に結合する(化学シフト実験)、(f)JBT0303のY12またはF13が、KD1のI46またはF47またはT48に結合する(化学シフト実験)、(g)JBT0303のQ2が、KD1のY56に結合する(化学シフト実験)、(h)JBT0303のF1が、KD1のM39またはF66に結合する(アミド交換実験)、(i)JBT0303のS3またはK4またはK5が、F66に結合する(アミド交換実験)、(j)JBT0303のV7またはF8またはV9が、KD1のF25またはC26またはN62またはQ63に結合する(アミド交換実験)、(k)JBT0303のV9またはD10またはG11またはR15が、KD1のF28またはK29またはA30に結合する(アミド交換実験)、(l)JBT0303のY12またはF13が、KD1のN45に結合する(アミド交換実験)、(m)Y12またはF13またはE14またはR15が、KD1のR49またはQ50に結合する(アミド交換実験)、ならびに、(n)JBT0303のL20が、KD1のK36に結合する(アミド交換実験)。データは、KD1+JBT0303複合体の本質的に1つのモデルに収束した。
TFPI160に対するJBT0122の結合部位の特定
13C/15N−TFPI160+JBT0303複合体と同様に、13C/15N−TFPI160+JBT0122のNMR試料は、ゲルの形成に起因して低い品質のスペクトルを生成した。723μMの13C/15N−TFPI160+JBT0122の濃度は、より高次の凝集体の形成をもたらした。試料を361.5μMに希釈し、スペクトルを37℃で記録すると、改善されたスペクトル品質が得られた。HNCO、HNCAおよびHNCOCAスペクトルを得た。5つの残基を除いて、以前に帰属されたapo−TFPI160のピークの全てを、TFPI160−JBT0122複合体において帰属することができた。最も大きい化学シフト変化を生じ、ペプチドと相互作用しやすい残基は、多くの場合、3Dスペクトルにおいてピークをもたらさなかった。しかしながら、Kunitzドメイン1(KD1)とKunitzドメイン2(KD2)との間の結合部領域におけるピークもまた、低い強度を示した。したがって、これらのピークの帰属は不明瞭である。いくつかのピークは、元の滴定実験のHSQCにおいてのみ視認可能であった。それらの帰属は、TFPI160およびTFPI160+JBT0122のHSCQスペクトルにおいてピークが重なったため、ほとんどの場合において確かであった。
遊離TFPI160と比較した、JBT0122に結合した15N−TFPI160のHSQCシグナルの化学シフト変化を、図45に示す。KD2の残基に対してのみ、大幅な化学シフト変化が見られた。一般に、TFPI160に対するJBT0122の結合によりもたらされる化学シフト変化の程度は、JBT0303の結合によりもたらされる化学シフト変化の程度よりも顕著ではなかった。化学シフトの最も強い摂動を有する残基は、F96、G128、G129、G132、N133およびN136であった。C97、E101、T111、F114、N135およびF137が摂動し、0.5ppmを超える化学シフト変化を示した。遊離TFPI160と比較した、JBT0122に結合したTFPI160のHSQCシグナルの化学シフト変化の領域を示すTFPIタンパク質の2次構造のリボンモデルを、図46に示す。
ITFPI160と相互作用したJBT0122の残基の同定
JBT0122の逐次的な骨格シグナル帰属のために、13C/15N標識化ペプチドを組み換えにより生成した。簡潔には、ペプチドを、大腸菌において、チオレドキシンとの融合タンパク質として発現させた。3.0g/Lの13Cグルコースおよび1.0g/Lの15NH4Clを含有するM9培地を使用して、13C/15N標識化ペプチドを調製した。Niキレートカラムおよびポリ−ヒスチジンタグを使用して、融合タンパク質を親和性精製した。ペプチドを、トロンビンにより開裂した。チオレドキシン/his−タグおよびトロンビンを、それぞれNiキレートカラムおよびベンズアミジンカラムを使用して除去した。次いで、逆相クロマトグラフィーによりペプチドを精製した。純度、完全性、および同一性は、SDS−PAGE、RP−HPLCおよび質量分析により検証した。組み換えJBT0122はJBT0788と命名され、そのN末端に2つの追加的残基、すなわちグリシンおよびセリンを有したが、これは、トロンビン開裂部位の残りを表している。
JBT0788の帰属は、Varian 600 MHz分光計で、10℃で記録されたHSQC、HNCACB、HNCA、HNCOおよびHNNスペクトルに基づいて行い、SPARKYソフトウェアを使用して帰属された。スペクトル品質を改善するために、TFPI160を用いたNMR実験と比較して温度を下げた。記録されたスペクトルから、ほとんどの残基のカルボニル炭素(C)、アルファ炭素(CA)、ベータ炭素(CB)、アミドプロトン(H)、およびアミド窒素(N)を帰属した。残基H13およびR17に対する帰属は、不明瞭であった。HNCOCAは、これらの残基に対する明瞭な帰属をもたらした。
JBT0788の帰属表を図47に示す。残基4〜12に対する2組のシグナルが、JBT0788のスペクトルにおいて観察された。JBT0788の1次構造が影響されていないことを考慮して、2組のシグナルは、F6とP7との間のペプチド結合のシス/トランス異性化から生じる可能性が高い。HSQCスペクトルにおける対応するシグナルの強度に基づき、主要:非主要立体構造に対して76:24の比が決定された。プロリンのCαシフトから判断されるように、主要立体構造は、その63.16ppmというCα値が非主要立体構造のCα値(62.49ppm)より高いことから、トランスである可能性が高い。
帰属の1つの目的は、Cα化学シフトからペプチドの2次構造を抽出することであった。Cα化学シフトは、角度φおよびΨにより、ひいてはペプチドの2次構造により影響される。β鎖において、Cαは、一般により低いppmにシフトするが、α螺旋においては、Cαは、一般により高いppmにシフトする。測定されたCα値を、列挙されたランダムコイル値から差し引くことにより、β鎖における残基に対して負の値が計算され、α螺旋における残基に対して正の値が計算される。したがって、連続した負の値の集団は、β鎖を示し、連続した正の値の集団は、α螺旋を示す。
JBT0788は、増加したCα値の広いパッチ(Δδ(Cα)=Cα測定−Cαランダムコイル)を示し、これは、残基8から26を含むα螺旋を示している。天然タンパク質の3次構造内の安定なα螺旋のΔδ(Cα)値は、典型的には3〜4ppmである。JBT0788のα螺旋のΔδ(Cα)値は、約1.7ppmまで上昇するが、これは、タンパク質内の平均螺旋よりも高い柔軟性を示している。JBT0788の別の特徴は、α螺旋に対し直接N末端である位置7におけるプロリンであり、これは、タンパク質中のα螺旋がしばしばN末端でプロリンにより終端されるため、良好に適合する。残基6は、大きな負の値を有するが、これは、そのN末端隣接物をβ鎖様立体構造に強制することが知られている隣接プロリンによりもたらされる。C末端残基31の大きな正の値はまた、C−末端隣接物を有さない残基に典型的である。JBT0788におけるF6とP7との間のペプチド結合は、2つの立体構造、トランス(76%)およびシス立体構造(24%)をとる。この位置における立体構造は、連続した残基の立体構造に影響する。トランス異性体において、α螺旋は、P7の直後に開始し、シス異性体のα螺旋は、L12までは開始しない。遊離JBT0788の2次構造を示すリボンモデルを、図48に示す。
JBT0788内の化学シフトもまた、TALOSソフトウェアを使用したねじれ角の計算に使用することができる。TALOSは、所与のタンパク質またはペプチド配列の5種類(HA、CA、CB、CO、N)の化学シフト帰属の組み合わせを使用した、φおよびΨ骨格ねじれ角度の実験的予測のためのデータベースシステムである。TALOS手法は、多くの種類の2次化学シフト(すなわち、化学シフトとその対応するランダムコイル値との間の差)がタンパク質二次構造と相関するという所見の拡張である。TALOSの目標は、タンパク質骨格の角度φおよびΨに対する定量的予測を行うために、2次シフトおよび配列情報を使用すること、およびこれらの予測における不確かさの目安を提供することである。TALOSは、所与の残基の2次シフトを使用して、その残基のφおよびΨ角度を予測する。TALOSはまた、所与の残基の予測を行う際に、次の、および前の残基からの情報を含む。TALOSの裏にある考えは、標的タンパク質中のトリプレットに類似した二次シフトおよび配列を有する既知の構造のタンパク質中の残基のトリプレットに対する配列を見出すことができる場合、既知の構造におけるφおよびΨ角度は、標的における角度の有用な予測因子となることである。実際には、TALOSは、標的タンパク質中の所与のトリプレットに対し10個のベストマッチをデータベースから検索する。
TFPI160と複合化したJBT0788のHSQCスペクトルを帰属するために、400μMの13C/15N−JBT0788および400μMのTFPI160からなる試料を調製した。ペプチドおよびTFPI160の以前のNMR試料と同様に、試料はゲル化した。試料を希釈し、ペレットを重水素化DMSOに溶解し、約300μMの13C/15N−JBT0788+TFPI160および5%のDMSOの最終濃度を得た。40℃で測定を行った。これは、得られるスペクトルの品質を改善した。部分的に凝集した試料の緩和特性を考慮して、実験はTROSYモードで行った。試料中の低濃度のタンパク質−ペプチド複合体のため、Varian 600MHz分光器において凍結探針技術を使用した。凍結探針技術を利用して三重共鳴実験を2回行うと、得られたデータ品質は、JBT0788の骨格シフトを得るのに十分であった。HNCA、HNCOCAおよびHNCOスペクトルに基づき、TFPI160と複合化したJBT0788の帰属を行った。記録されたスペクトルから、ほとんどの残基のカルボニル炭素(CO)、アルファ炭素(CA)、アミドプロトン(H)、およびアミド窒素(N)を帰属した。TFPI160に複合化したJBT0788の帰属表を図49に示す。
apo−JBT0788の特徴は、恐らくはF6とP7との間のペプチド結合のシス/トランス異性化から生じる、アミノ酸残基4〜12に対する2組のシグナルの存在である。JBT0788−TFPI160複合体においては、1組のピークのみが観察され、これは、立体構造の1つのみがTFPI160に結合することを示唆している。apo−JBT0788はまた、増加したCα値の広いパッチ(Δδ(Cα)=Cα測定−Cαランダムコイル=正)を示し、これは、残基8から残基26に達するα螺旋を示している。上述のように、天然タンパク質の3次構造内の安定なα螺旋のΔδ(Cα)値は、典型的には3〜4ppmである。apo−JBT0788のα螺旋のΔδ(Cα)値は、約1.7ppmまで増加するが、これは、タンパク質内の平均螺旋よりも高い柔軟性を示している。TFPIと複合化すると、残基8から26は、3〜5ppmの値を示し、これは、安定なα螺旋(複数を含む)の形成を示している。TFPI160と複合化した際のJBT0788の2次構造を示すリボンモデルを、図50に示す。TFPI160との結合によりもたらされたJBT0788内の大きな化学シフト変化は、ペプチドの長さにわたり均一に分布している。化学シフトの最も強い摂動を受ける残基は、4ppmを超える残基S5、A9、Q11、Y28、およびK29であった。残基Y3、A4、V10、L12、S15、M21、A22、L23、およびA24は、3ppm超摂動した。
ITFPI160と相互作用したJBT0303の残基の同定
JBT0122に関して上述したのと同じ手順を使用して、JBT0303を組み換えにより生成し、13Cおよび15Nで同位体標識化した。組み換えJBT0303はJBT0616と命名され、そのN末端に追加的グリシンおよびセリンを有した。JBT0616の帰属は、Varian 500 MHz分光計で、10℃で記録され、SPARKYソフトウェアを使用して帰属されたHSQC、HNCACBおよびHNNスペクトルに基づいて行った。JBT0616のスペクトル品質はJBT0788のスペクトル品質より良好であったが、緩衝液、温度、NMR管、およびNMRパラメータに関する実験条件は同一であった。ほとんどの残基のアルファ炭素(CA)、ベータ炭素(CB)、アミドプロトン(H)、およびアミド窒素(N)を帰属した。帰属は、主に、HNCAではなく、より感受性が低いがより情報量の多いHNCACBに基づいた。HNNスペクトルと組み合わせると、これは、全てのJBT0303誘導残基の明瞭な帰属をもたらした。
JBT0616の帰属表を図51に示す。2次構造は、Cα化学シフトから抽出し、H、CA、CB、COおよびNを使用したTALOSにより決定した。JBT0788と同様に、JBT0616は、α螺旋立体構造を示す正のΔδ(Cα)値のパッチを示した。螺旋は、ペプチドのC末端部に位置し、残基10〜18を含んでいた。JBT0788に関しては、約1.8ppmまでのΔδ(Cα)値が算出され、この螺旋は、そのような短いペプチドに対しては比較的安定であることが認められた。JBT0616の2次構造を示すリボンモデルを、図52に示す。C末端残基20の大きな正の値は、JBT0788中の残基31と同様に、C−末端隣接物を有さない残基に典型的である。JBT0616のN末端残基1〜9は、僅かに正のΔγ(Cα)値を示したが、これはα螺旋構造の優先性を示唆している。
過剰の非標識化TFPI160を含む13C/15N標識化ペプチド試料を使用して、TFPI160と複合化したJBT0616の帰属を行った。HSQC、HNCA、HNCOCA、およびHNCOスペクトルを、Varian 800MHz分光計で記録し、SPARKYソフトウェアを使用して帰属した。スペクトルを30℃で記録した。これらのスペクトルを使用して、図53中の表に示されるように、ほとんどの残基のアルファ炭素(CA)、ベータ炭素(CO)、アミドプロトン(H)、およびアミド窒素(N)を帰属した。TFPI160と複合化したJBT0616の2次構造を、Cα化学シフトから抽出し、TALOSにより計算した。遊離ペプチドと同様に、TFPI160と複合化したJBT0616は、α螺旋立体構造を示す正のΔδ(Cα)値のC末端パッチを示した。α螺旋の安定性は、複合体形成後に増加する。この所見は、JBT0616のC末端領域が、コア結合モチーフであることを示唆している。N末端のΔδ(Cα)値もまた変化するが、より低い程度である。TFPIと複合化した場合のJBT0616の2次構造を、図54中のリボンモデルに示す。
複合体形成後の化学シフトの最も大幅な変化は、JBT0616の残基Q2、K5、F8、V9およびA18に対して観察され、7ppmを超えるものであった。残基F13、R17、K19およびL20もまた摂動し、4ppmを超える化学シフト変化を示した。N末端における残基の大きな化学シフト変化は、それがTFPI160に対するペプチドの結合を推進する両親媒性C末端α螺旋だけではないことを示した。
JBT0477置換の分析と組み合わせたNMR実験の結果を使用して、HADDOCK(高不明確性推進タンパク質−タンパク質ドッキング(High Ambiguity Driven protein−protein DOCKing))ソフトウェアを使用した、JBT0303と複合化したKD1のモデルを形成した。HADDOCKは、生体分子複合体のモデル化のための情報化柔軟性ドッキング手法である。HADDOCKは、ドッキングプロセスを推進するために、不明確相互作用制約(AIR)における特定または予測されたタンパク質インターフェースからの情報をコードする点で、ab−initioドッキング法とは区別される。化学シフトデータにより明らかとされるようなTFPI160およびペプチド上の結合部位の特定、ソフトウェアTALOSにより決定されるようなペプチドのねじれ角、ならびにJBT0477の置換分析は、モデル計算の制約を提供する。
KD1−JBT0303 HADDOCKモデルの計算には、以下の制約が使用される:(a)JBT0303のK4、K5、V7、F8、Y12−A18に対するTALOSの計算からのねじれ角が考慮された、(b)1.5ppmを超える化学シフト変化を有するKD1の残基:F25、F28、D32、A37、I38、I46、F47、T48、F54およびY56が、JBT0303結合に関与する、(c)JBT0303の両親媒性螺旋の疎水側がKD1に結合する:JBT0303のY12またはL16またはL20が、KD1のD32またはA37またはI38またはF54またはY56に結合する、(d)JBT0303のR15またはK19が、KD1のD31またはD32またはE60に結合する、(e)JBT0303のF8またはV9が、KD1のF25またはF28に結合する、(f)JBT0303のY12またはF13が、KD1のI46またはF47またはT48に結合する、ならびに、(g)JBT0303のQ2が、KD1のY56に結合する。Q2 JBT0303−Y56 KD1相互作用もまた、モデル計算の制約として考慮された。
複合体形成後、JBT0303のK5に対し、大きな化学シフト変化が観察された。ペプチド−タンパク質相互作用を推進すると考えられるJBT0303の残りの残基に対しては、モデルはデータと良好に一致している。最も低いエネルギーを有するKD1−JBT0303のモデルは、JBT0303のF8をTFPIのF25およびF28に近接して配置し、これは、観察される化学シフト変化および置換分析からのデータを説明している。JBT0303のV9は、F54を含むKD1の疎水性パッチと相互作用する。JBT0303のY12、F13、L16およびL20もまた、KD1の疎水性パッチに面する。F28、I46、T48に対するY12の近接性、F47、T48に対するF13の近接性、F54に対するL16の近接性およびA37、I38に対するL20の近接性は、複合体中のそれらの残基のNMR化学シフトの観察される摂動をもたらし、Y12およびL16の保存は、これらの残基とタンパク質との広範囲の相互作用に起因し得る。JBT0303のK19は、KD1のD32との相互作用を可能にする位置にある。JBT0303のR15の役割は、KD1の疎水性パッチおよびD32との相互作用であると思われる。さらに、モデルは、負に帯電したアスパラギン酸塩がJBT0303の位置10において好ましい理由を説明し、負に帯電したアスパラギン酸塩はKD1の正に帯電したK29と相互作用し得る。JBT0303の位置11におけるグリシンは、この位置での立体的および構造的制約に起因して存在する。JBT0303と複合化したKD1のHADDOCKモデル(KD1を含むTFPI残基22〜79)を、図55に示す。
KD1に結合したJBT0740およびJBT1857のモデル
共にJBT0303の誘導体である、ペプチドJBT0740およびJBT1857(FQSK−dP−NBHBDGYFERL−Aib−AKL(配列番号178))は、FXa−TFPI阻害分析において大幅に向上したEC50値(それぞれ0.11μMおよび0.0023μM)、ならびにBiacoreにより決定されるより低いKdを示した。TFPI KD1(TFPI160の残基22〜79)と複合化したJBT0740およびJBT1857のモデルは、JBT0303の場合と同様の制約を使用して、HADDOCKにより計算した:(a)JBT0303誘導体の位置5における置換を考慮するために、JBT0740およびJBT1857の残基4および5のねじれ角に対する制約が修正された、(b)JBT0303のV7、F8、Y12−A18に対するTALOSの計算からのねじれ角が考慮され、JBT0303とは対照的に、K4およびNmetG5/dP5において、PhiおよびPsiに対し固定値は与えられなかった、(c)NmetG5およびdP5は、シス立体構造にある、(d)1.5ppmを超える化学シフト変化を有するKD1の残基:F25、F28、D32、A37、I38、I46、F47、T48、F54およびY56は、JBT0303に対する結合に関与する、(e)JBT0303の両親媒性螺旋の疎水側がKD1に結合する、(f)JBT0303のY12またはL16またはL20が、KD1のD32またはA37またはI38またはF54またはY56に結合する、(g)JBT0303の残基R15またはK19が、KD1のD31またはD32またはE60に結合する、(h)JBT0303の残基F8またはV9が、KD1のF25またはF28に結合する、(i)JBT0303のY12またはF13が、KD1のI46またはF47またはT48に結合する、ならびに(j)JBT0303の残基Q2は、KD1のY56に結合する。
JBT0740およびJBT1857のエネルギー的に最も有利なHADDOCKモデルは、JBT0303と比較して異なる結合様式を示した。最も明らかな差は、残基5から11の領域に見られた。ペプチドのN末端およびC末端においては、それほど大きくはない偏差が観察された。しかしながら、末端の異なる結合もまた、TFPIに対するJBT0303誘導体の最適化された結合に寄与する可能性がある。
KD1に結合したJBT1857のX線結晶構造
KD1結合性ペプチドJBT1857と複合化したKD1の結晶構造を決定した。TFPIを大腸菌において組み換えにより発現させ、封入体から酸化的に巻き戻した。KD1およびKD2を連結するTFPI結合部内にトロンビン開裂部位を含むTFPIアミノ酸1〜150
を、大腸菌発現ベクター(pET19b)内にクローン化した。TFPI 1−150−トロンビン配列は、組み換え発現のアーチファクトであって野生型TFPIアミノ酸配列の一部ではない2つのアミノ酸をN末端に有する。Kunitzドメイン1および2をコードする配列は太字で示されている。大腸菌(BL21(DE3)pLysS)をMagicMedia(商標)内で培養し、TFPI 1−150−トロンビンを、不溶性封入体として発現させた。BugBuster Master Mixによるインキュベーションでの大腸菌の溶解により封入体を採取し、50mM Tris/HCl pH8、0.1%Tween 20による洗浄後に精製した。封入体を8M尿素、50mM Tris/HCl pH 8.0に溶解し、TFPI 1−150−トロンビンを20mM DTTの添加後に還元した。50mM Tris/HCl pH 10および1.1mM酸化グルタチオンを含有する緩衝液中に急速に1/10希釈し、続いて20mM Tris/HCl pH 7に対する過度の透析を行うことにより、酸化的巻き戻しを行った。巻き戻したTFPI1−150−トロンビンを、Q Sepharose FF陰イオン交換およびペプチド親和性(JBT131)培地を使用した連続精製プロトコルにより精製した。精製されたTFPI1−150−TFPIを、トロンビン(1Uトロンビン/mg TFPI1−150−トロンビン、開裂部位、LVPR/GS)によるインキュベーションでタンパク質分解的に消化させると、
が生成された。トロンビン除去用のベンズアミジンセファロースを使用し、続いてJBT131ペプチド親和性カラムを使用して、Nterm KD1−トロンビンを消化混合物から精製した。精製されたNterm KD1−トロンビンを、JBT1857との複合体形成およびさらなる結晶化に使用した。
固相合成により拮抗ペプチドJBT1857を調製した。100mM MES pH6.5、20%PEG4000、600mM NaClで、等モル複合体の共結晶化に成功した。結晶は2.5Åより良好な分解能で回折したが、いくつかの非欠面双晶が見られた。回折データを、CCP4プログラムパッケージからのiMosflmおよびSCALAで処理すると、単位格子寸法a=113.67Å、b=69.32Å、c=42.37Å、α=90.0°、β=92.97°、γ=90.0°、空間群C2の単斜晶型であることが判明した(Leslie,Acta Crystallogr D Biol Crystallogr,62(Pt 1),48−57(2006)、Evans,Acta Crystallogr D Biol Crystallogr,62(Pt 1),72−82(2006))。自己回転計算では、約2倍の非結晶学的対称性が示された。これと一致して、170°回転に関連した非対称単位において2つの分子が位置特定された。プログラムPHASERを使用し、また、利用可能なKunitzドメイン2結晶構造の構造集合体を検索モデルとして使用して、Patterson検索を行った(McCoy et al.,J Appl Crystallogr,40(Pt 4),658−674(2007))。単位格子は、約64%の溶媒を含有した。非結晶学的電子密度平均化、ならびにモデル構築およびモデル精密化を、Coot、Refmac、MAINおよびCNSプログラムで行った。現在のモデルは、JBT1857ペプチドの両方のコピーおよびタンパク質との相互作用に対して完全に定義され、現在のR=0.257、Rfree=0.298、理想的配置からの偏差rms(結合)=0.008Å、rms(角度)=1.8°であった。
JBT1857構造:JBT1857の構造は、(i)アセチル化Phe1AP−Gln2APからなるN末端アンカー、(ii)Ser3AP−Asn6APを含むΩ状ループ、(iii)Val7APおよびHis8APから構築される中間セグメント、(iv)Val9AP−Gly11APを含有するきついグリシンループ、ならびに(v)Tyr12AP−Leu20APを含むC末端α螺旋にセグメント化され得る。本明細書において使用される場合、下付文字APは、「拮抗ペプチド」JBT1857における配列番号を示す。α螺旋の立体構造は、螺旋の中央(位置17AP)に位置する非天然αメチルアラニン、α螺旋の1〜4水素結合パターンを完結するC末端アミド、ならびにHis8AP、Tyr12APおよびPhe13APの芳香族側鎖による積層クラスタにより安定化される。これらの効果が協同して、溶液中でC末端α螺旋を自然発生的に安定化し、これは、ペプチドに対する円偏光二色性データと一致する。観察される芳香族側鎖積層(His8AP、Tyr12AP、Phe13AP)は、位置11APにおけるグリシンによってのみ達成され得るきつい湾曲を強制する。この構造的制約は、任意の他のアミノ酸によるGly11APの置き換え後の結合親和性の劇的な損失により反映される。N末端ループセグメントの立体構造は、きつい湾曲の立体構造を誘導することが知られているDプロリン、およびSer3APのカルボニル酸素のAsn6APのアミド窒素との1〜4水素結合によりある程度安定化される。すべての環側鎖(Tyr1AP、Pro5AP、His8AP、Tyr12AP、Phe13AP)は同じ方向を向き、これによってそれらはTFPIのKD1ドメインと相互作用し得る。
JBT1857およびKD1の相互作用:JBT1857とKD1との間の相互作用を決定した。疎水性接触は、<4Åの分子間距離を有する相互作用であり、一方水素結合は、2.6〜3.2Åの距離を有する。Phe1APは、非特異的にTFPIと相互作用し、Phe2およびAla27と接触する。対照的に、Gln2APは、TFPIの深く埋没したポケットに接触し、Phe28、Lys29、Ile46およびPhe47との疎水性相互作用を成す。さらに、Gln2APのアミド基は、Phe28−CO、Phe44−COおよびIle46−NHとの3つのH結合を形成する。Ser3AP−Asn6APを含むJBT1857のΩループは、タンパク質との比較的制限された疎水性相互作用を媒介し、Ser3AP、Pro5APおよびAsn6APは、Lys29およびPhe47と相互作用する。JBT1857の中間セグメントのVal7APもまた、Lys29およびPhe47に結合する。His8APは、主に、Tyr12APおよび部分的にPhe13APとの分子内芳香族積層相互作用に寄与し、TFPIのAla30との疎水性相互作用を示す。同様に、グリシン−ループVal9AP−Gly11APは、Kunitzドメインとのいくつかの接触に寄与する。Val9APは、Ala30のカルボニル基との水素結合およびAsp32との疎水性相互作用を形成することにより、KD1と直接相互作用する。Tyr12APは、そのヒドロキシル基を介したIle55のアミド窒素との水素結合、およびAsp30との疎水性相互作用を媒介する。Leu16APは、Ile55との疎水性接触の一部である。ペプチドのC末端螺旋のタンパク質との概して疎水性の相互作用の他に、Arg15APとAsp32との間に静電相互作用がある。さらに、Lys19APは、Ala37のカルボニル基に対する水素結合、ならびにLys36およびIle38との接触を形成することにより、TFPIとの結合に寄与する。TFPI接触表面は、いくつかの図示される突然変異多発領域を有する全体的に疎水性の特徴を有し、JBT1857との複合体形成の原動力は、立体的表面相補性である。
この実施例は、本発明の例示的ペプチドの2次構造の特性決定を説明し、構造をペプチドの阻害機能に関連付けるものである。実施例はまた、TFPI活性を阻害するTFPI結合性ペプチドであるJBT1857と相互作用するTFPIアミノ酸残基を特定する。
実施例8
以下の実施例は、ペプチドの物理化学的または薬物動態学的特性を向上させる部分の付加により修飾される追加的TFPI結合性ペプチドを説明する。実施例は、さらに、回転トロンボエラストグラフィーを使用して全血中の凝血形成を評価するための方法を説明する。
JBT1857(JBT0047ペプチドファミリー)を、異なるPEG部分に結合させ、PEG化ペプチドの結合親和性およびTFPI阻害活性を検査した。C末端システインの付加によりJBT1857を修飾してJBT2315(Ac−FQSKpNVHVDGYFERL−Aib−AKLC−NH2(配列番号4077))を生成し、これを、実施例5に記載の方法を使用して、5kD、12kD、20kD、30kD、および40kDとサイズを増加さた直線マレイミドPEG部分とC末端で結合させた。得られたPEG化ペプチドは、以下のように指定された。
PEG化ペプチドの安定性、結合親和性、およびTFPI阻害活性
PEG化ペプチドは、マウスおよびヒト血漿中で大幅に増加した血漿安定性を示した。ペプチドを、マウスまたはヒト血漿の試料に添加し、添加から24時間後に血漿中に残留するペプチドの初期量のパーセンテージを、0.05mg/mLのTFPI(2.26nMのトレーサーペプチドJBT2271)で被覆したMaxisorpプレート上で、IC50ELISAにより測定した。24時間後、JBT1857およびJBT2317の初期量の約10%未満が血漿中に残留し、一方PEG化TFPI結合性ペプチドの初期量の40%以上が残留した。JBT2327およびJBT2329の約60%以上が検出された。PEG化ペプチドはまた、未修飾ペプチドと比較して、ヒト血漿中ではるかにより安定である。PEG化ペプチドの約60%以上が、24時間後に残留した。未修飾ペプチドは、マウス血漿中よりもヒト血漿中でより安定であり、初期量の約20%以上が24時間のインキュベーション後に残留した。
また、PEG化ペプチドを、実施例1〜4に記載の分析において特性決定し、JBT1857と比較した。代表的な結果を、以下に記載する表13に示す。実施例4に記載されるようにトロンビン生成分析を行ったが、結果は、ピークトロンビン(nM)最大半量を改善したペプチドの濃度に対応するEC
50として示される。
NEMでブロックしたC末端システインの付加は、JBT1857と比較して、JBT2317の結合親和性またはFXa阻害、外因性テナーゼ分析、もしくはトロンビン生成分析におけるペプチドの活性に大きく影響しなかった。PEGサイズは、TFPI−1の存在下でのFXaの活性を修復するTFPI結合性ペプチドの能力に大きく影響しなかった。実施例3の外因性テナーゼ分析において、阻害活性は、20kDのPEGまでの、より高い分子量のPEG部分に従い増加した。30kDまたは40kDのPEG部分では、活性はさらなる改善を示さなかった。ヒト血漿を使用した実施例4のトロンビン生成分析において、EC50は、PEGサイズとともに減少し、TFPIの最大阻害(ピークFIIa(nM)により測定される)は、PEGサイズとともに増加した。マウス血漿中では、TFPI結合性ペプチドに対する40kDのPEGの結合は、TFPIの最大阻害を増加させた。
また、FXをFXaに変換するために外因性テナーゼ複合体活性を修復するPEG化TFPI結合性ペプチドの能力を、実施例5の方法を用いた細胞ベース外因性テナーゼ分析を使用して決定した。NEMでブロックされたC末端システインの付加は、JBT1857と比較して、細胞ベース外因性テナーゼ分析におけるJBT2317の活性に大きく影響しなかった。JBT2317へのPEG部分(5kD、20kD、30kD、または40kD)の結合は、TFPI阻害活性を5〜20%増加させた。
回転トロンボエラストグラフィー
ペプチドの存在下または非存在下での全血調製物を用いて、ヒト全血凝血形成および硬度の連続的粘弾性評価を、回転トロンボエラストグラフィーにより行った。健常人からの血液試料を、21ゲージ翼状針を使用して、クエン酸Sarstedt Mono S(0.106Mまたは3.2%(w/v)クエン酸Na)(5mL)中に導入し、クエン酸塩1部を血液9部と混合した。血液試料の一部を、ヤギにおいて惹起したより高い力価の加熱不活性化抗ヒトFVIII抗血清(3876BU/mL;Baxter BioScience、Vienna、Austria)でインキュベートし、51BU/mLを得た。多量のペプチドをDMSOまたはHEPES緩衝生理食塩水(0.1%Tween80あり、またはなし)に溶解することにより、試験試料を調製した。
ROTEMトロンボエラストグラフィー凝固分析計(Pentapharm、Munich、Germany)を37℃で使用して、記録を行った。簡潔には、加熱キュベットホルダ内の使い捨てキュベット内に血液を入れる。使い捨てピン(センサ)を、回転軸の先端に固定する。軸は、高精度ボールベアリングシステムによりガイドされ、逆方向および順方向に回転する。軸は、弾性測定用のバネに接続される。軸上の小型ミラーに対する光の反射により、軸の正確な位置が検出される。試料が凝固する際の弾性の損失が、軸の回転の変化をもたらす。得られたデータは、コンピュータ分析され、トロンボエラストグラムとして可視化される。トロンボエラストグラムは、弾性(mm)対時間(秒)を示す。凝血形成が開始するまでは約ゼロの弾性が観察される。ゼロ線の上または下の鏡像トレースは、軸の回転に対する凝血形成の効果を示す。
各実験の開始前に、FXIIa媒介接触活性化を阻害するために、クエン酸全血をトウモロコシトリプシン阻害剤(CTI)(Hematologic Technologies,Inc.、Essex Junction、VT、USA)と混合し、FXIIaの特異的阻害のための最終濃度62μg/mLを得た。分析手順は以下の通りであった:20μLの試験試料または対照に、300μLの事前に加温(37℃)したCTI処理クエン酸全血を添加し、続いて組み換えヒト組織因子(rTF、3pM)(TS40、Thrombinoscope BV、Maastricht、The Netherlands)を含有する20μLのTF PRP試薬の1:15希釈液を添加した。20μLの200mM CaCl2(star−TEM(登録商標)、Pentapharm、Munich、Germany)の添加により凝固を開始し、少なくとも120分間、記録を進行させた。分析物中nrTFの最終濃度は、11または44fMであった。
凝固時間(CT)、凝血形成時間(CFT)および最大凝血硬度(MCF)のトロンボエラストグラフィーパラメータを、製造者の説明に従い記録した。CTは、測定開始から凝血形成開始までの時間として定義される。CFTは、凝血形成開始から20mmの振幅に達するまでの時間として定義される。MCFは、分析中の2つのトレースの間の振幅の最大差である。速度(mm/秒)対時間(秒)のグラフを得るために、トロンボエラストグラムのデータの1次導関数をプロットする。このグラフから、最高速度(maxV)が決定される。最高速度が得られる時間(maxV−t)もまた決定される。
例示的結果を、図56および57に示す。JBT1857およびJBT2317は、Hem A血液における凝固パラメータを修復した。PEG化(40kD)TFPI結合性ペプチドJBT2329もまた、図57に示されるように、Hem A血液における長期凝固パラメータを修復した。JBT2317のPEG化は、凝固時間および凝血形成時間を短縮する。
爪切り試験
ナイーブマウスにおける失血に対するJBT2329の効果もまた試験した。C57BL6マウスに、ビヒクル、1mg/kgのJBT2329、または0.1mg/kgのJBT2329(各群に対してN=19または20)を、爪切りの30分前に10mL/kgで静脈内投与した。爪切りの10分前に、動物を80mg/kgのペントバルビタール(i.p.)で麻酔した。時間=0分に、右後足の小指の爪を、爪床の直前で切断した。事前に0.9%NaCl溶液を充填したバイアルに、足を移動した。爪切り後最初の30分間、およびその後次の30分間の血液試料を分析用に採取し、群に対する平均採取体積を計算および比較した。ビヒクル処理マウスにおける平均失血量は、最初の30分間で約30.5μL、次の30分間で52.1μLであり、結果として60分間で約82.6μLの失血量であった。一方、0.1mg/kgのJBT2329の投与により、最初の30分間で失血量は約50%低減(16.0μL)、次の30分間で約64%低減され(18.7μL)、結果として、ビヒクル処理マウスと比較して、60分間で約60%全失血量が低減された(34.7μL)。JBT2329の用量を1.0mg/kgに増加させると、さらに少なくとも約10%失血量が低減され;最初の30分間で12.2μLが採取され、次の30分間で10.6μLが採取され、結果として全体で60分間の採取期間で22.8μLが採取された。また、JBT2329は、皮下投与された場合、ビヒクル処理ナイーブマウスと比較して出血を効率的に低減し、10mg/kgのJBT2329の皮下注射は、ビヒクル処理対象と比較して、爪切り後の60分間で失血量を約58%低減した。
上述の結果は、ペプチドのC末端に結合した直線PEG部分を含むJBT1857誘導体、およびN末端にPEG部分を含むJBT1586誘導体を使用して得られた。代替の結合部位または代替の化学部分を含むペプチドもまた生成した。40kDの直線PEG部分を、JBT1857の残基14に結合させ、JBT2404を生成した。JBT2329の直線40kD PEG部分を、40kDの分岐PEG部分で置き換え、JBT2401を生成した。また、JBT1857を、C末端にK(Ttds−マレイミドプロピオニル)(JBT2374)を含むように修飾した。JBT2374を使用して、JBT2374のHSA結合体であるJBT2410を生成した。JBT1857のK(AOA)を含む誘導体であるJBT2375を使用して、PSAアルデヒドをペプチドJBT1857に結合させ、JBT2430を得た。上述の分析法を使用して、JBT2401、JBT2404、JBT2410、およびJBT2430を特性決定した。代表的な結果を、表14に要約する。
この実施例は、本発明の例示的TFPI結合性ペプチドであるJBT1857が、TFPIの有効な阻害剤であり、活性の損失なしに機能化およびPEGと結合し得ることを実証している。いくつかの機能分析において、PEG化はTFPI阻害活性を増加させた。驚くべきことに、より高重量のPEG部分に結合したペプチドは、向上したTFPI阻害活性を示した。40kDの直線PEG部分を含むJBT2329は、臨床的に関連した動物モデルにおいて、失血量を大幅に低減した。JBT1857のアミノ酸配列内のPEG結合、分岐PEG部分の使用、ならびにHSAおよびPSAの結合は、ペプチドの活性を無効化しなかった。
実施例9
以下の実施例は、本発明の2つのTFPI結合性ペプチド、JBT1837およびJBT1857の特性決定を説明する。JBT1837(Ac−SYYKWH[CAMRDMKGTMTC]VWVKF−NH)(配列番号1044)は、TFPIのKD1およびKD2に結合するJBT0120ファミリーの環状ペプチドである。JBT1857(Ac−FQSKpNVHVDGYFERL−Aib−AKL−NH2)(配列番号178)は、TFPIのKD1に結合するJBT0047ファミリーの直線ペプチドである。実施例1〜4に記載の分析を使用して、JBT1837およびJBT1857の親和性およびTFPI阻害活性を検査したが、その結果を表15に要約する。
BiaCoreで測定されたヒトTFPIに対するペプチドの親和性は、1nM未満であった。ELISA(IC50)により測定された親和性は、JBT1837では4.8nMであり、JBT1857では2.5nMであった。JBT1837は、JBT1857よりも緩やかにヒトTFPIから解離した(すなわち、JBT1837は、JBT1857と比較して、より長期間ヒトTFPIに対する結合を維持した)。FXa阻害分析は、全長ヒトTFPI(「flTFPI」)および切断ヒトTFPI(254アミノ酸「R&D TFPI」)(0.1nM FXa、0.5nM TFPI、0.25%DMSO)の両方を使用して行った。切断TFPIの活性は、0.5nM TFPIにおいて、JBT1837およびJBT1857の両方により完全に阻害され、一方全長TFPIは、JBT1857およびJBT1837により、それぞれ85%および95%阻害された。より高いflTFPI濃度(例えば、10nM flTFPI)では、JBT1837は、TFPI活性を完全に阻害し、一方JBT1857は、TFPI活性を部分的に阻害した。FXa阻害試験においてflTFPIを使用した場合、EC50もまたより高かった。
外因性テナーゼ分析において、切断TFPIの約85%が両方のペプチドにより阻害された。全長TFPI活性は、JBT1837およびJBT1857により、それぞれ約56%および48%阻害された。驚くべきことに、細胞ベース外因性テナーゼ分析において、JBT1837は、細胞関連TFPIの活性を約50%阻害し、JBT1857は、細胞結合TFPI活性をほぼ完全に阻害した。血漿ベース機能分析において、JBT1837は、ヒトFVIII阻害血漿およびFIX欠乏血漿においてJBT1857よりも効率的にTFPIを阻害した。実施例8に記載のROTEM分析において、JBT1837は、FVIII阻害血液における血液凝固パラメータを補正した。JBT1857もまた、血液凝固パラメータにプラスの影響を与えたが、分析においてその作用はJBT1837よりも非効率的であった。
この実施例は、TFPIタンパク質の異なる領域を標的とする環状および直線TFPI結合性ペプチドの親和性およびTFPI阻害活性を比較した。JBT1837(JBT0120ファミリーに属する環状ペプチド)およびJBT1857(JBT0047ファミリーに属する直線ペプチド)は、1nM未満の親和性でヒトTFPIに効率的に結合し、有効な阻害剤である。FXa−TFPI相互作用は、低いTFPI濃度で両方のペプチドにより完全に遮断され、一方JBT1857によるTFPI阻害は、より高い濃度のTFPIの存在下で低減する。ペプチドは両方とも、外因性テナーゼ分析において全長TFPIの活性を部分的に阻害し、JBT1857は、JBT1837と比較して、細胞ベース外因性テナーゼ分析においてTFPI活性をより大きな程度まで阻害する。JBT1857と比較して、JBT1837は、FVIII欠乏血漿においてより効率的にTFPIを阻害する。ペプチドは両方とも、凝固時間を短縮することによりFVIII阻害ヒト全血の凝固パラメータを改善し、JBT1857は、JBT1837と比較して、より低い程度まで凝血形成速度を改善する。
実施例10
この実施例は、臨床的に関連した動物モデルにおける本発明のTFPI結合性ペプチドの生体内活性を示す。以下に説明されるように、例示的TFPI結合性ペプチドは、最適以下の用量のFVIIIおよびFIXとともに投与された場合、動物における失血を大幅に低減した。
ヒトおよびマウスTFPIと交差反応するPEG化(40kD)TFPI結合性ペプチド(JBT0047ファミリー)であるJBT2329を、FVIIIノックアウトマウスおよびFIXノックアウトマウスの尾端出血モデルにおいて試験した。FVIIIノックアウトマウスは、血友病A患者の状態を厳密に反映しており、尾端出血モデルは、例えば、出血時間、失血量または生存率を測定することにより薬物の有効性を評価するための研究において広く使用されている。市販のrFVIIIであるADVATEは参照として機能し、ADVATE緩衝液処理動物は、陰性対照として機能した。各群は、16匹のFVIIIノックアウトマウス(雌8匹+雄8匹)を含んでいた。尾端を切断する30分前に、JBT2329(1mg/kgもしくは0.1mg/kg)または抗TFPI抗体(maTFPI;18mg/kg)を投与した。尾を切断する5分前に、ADVATE(10IU/kgもしくは50IUmg/kg)またはADVATE緩衝液を投与した。試験物質および対照物質は、側部尾静脈からの静脈内ボーラスとして投与した。100mg/kgケタミンおよび10mg/kgキシラジンの腹腔内投与により、動物を麻酔した。約10分後、尾端の2mmを切断した。尾端を暖かい生理食塩水(約37℃)中に設置し、60分間の観察期間にわたって血液を採取した。重量測定法により血液量を決定した。60分間の観察期間の最後に、動物を麻酔から覚める前に頸椎脱臼により安楽死させた。
緩衝液処理動物における全失血量中央値は、930mgであった。マウス抗TFPI抗体(maTFPI)で処理した対象における全失血量中央値は、724mgであった。全失血量中央値の低減は、対象にADVATEとともにmaTFPIが投与された場合により顕著であった。maTFPI+10IU/kg ADVATEの組み合わせは、136mgの全失血量中央値をもたらし、maTFPI+50IU/kg ADVATEで処理された動物では、13mgの全失血量中央値が得られた。10IU/kgまたは50IU/kgのADVATEのみで処理された動物の失血量中央値は、それぞれ、798mgおよび364mgの失血量中央値であった。ADVATE単独に勝るmaTFPI+ADVATEの組み合わせ処理の優位性は、maTFPI+50IU/kg ADVATE対50IU/kg ADVATE(p=0.0010)において統計的に示された。統計的に有意に優れているわけではないが、maTFPI+10IU/kg ADVATEで処理された動物における失血量は、10IU/kg ADVATE単独で処理された動物よりも明らかに低かった。
2.5%レベルでの緩衝液に勝る統計的に有意な優位性として定義される有効性は、1mg/kgで10IU/kgおよび50IU/kgのADVATEと組み合わせて投与されたJBT2329、ならびに0.1mg/kgで50IU/kg ADVATEと組み合わせて投与されたJBT2329に対して示された(p<0.0004)。ADVATEと組み合わせてJBT2329で処理された動物は、臨床的に関連した失血量の低減を示したが、結果は統計的に有意ではなかった(p>0.0506)。ADVATEを含まない1mg/kgのJBT2329の投与は、緩衝液処理動物において観察される全失血量中央値(930mg)を超えて全失血量中央値を低減しなかった。
また、JBT2329を、血友病Bヒト患者の臨床的に関連したモデルであるFIXノックアウト尾端出血マウスモデルにおいて試験した。方法は、FVIIIノックアウトモデルに関して上述した方法と実質的に同様であった。ADVATEの代わりに、組み換えFIX(rFIX)が参照として機能した。緩衝液処理動物における全失血量中央値は、935mgであった。マウス抗TFPI抗体(maTFPI)で処理した動物における全失血量中央値は、774mgであった。動物がmaTFPIおよびrFIXの併用処理を受けた場合、全失血量中央値はさらに低減された。maTFPI+10IU/kg rFIXの組み合わせは、25mgの全失血量中央値をもたらし、maTFPI+50IU/kg rFIXで処理された動物は、10mgの全失血量中央値を示した。10IU/kgまたは25IU/kgのrFIXのみで処理された動物の失血量中央値は、それぞれ、888mgおよび774mgの失血量中央値であった。
2.5%レベルでの緩衝液に勝る統計的に有意な優位性として定義される有効性は、1mg/kgで10IU/kgのrFIXと組み合わせて投与されたJBT2329、ならびに0.1mg/kgで10IU/kg rFIXと組み合わせて投与されたJBT2329に対して示された。rFIX単独の投与に勝る、rFIXと組み合わせたJBT2329の優位性が観察され(p<0.0172)、一方、1mg/kg JBT2329単独での処理は、緩衝液処理動物と比較して、全失血量中央値の有意な低減をもたらさなかった(p=0.321)。
要約すると、JBT2329は、試験された全ての用量において、最適以下の用量のFVIIIおよびrFIXとともに同時投与された場合、臨床的に関連した失血量の低減を促進した。さらに、JBT2329の静脈内投与は、全ての処理群にわたる全ての対象において、いかなる急性毒性の徴候も見せずに十分な耐性を示した。
実施例11
本明細書に記載のTFPI結合性ペプチドは、生体試料等の試料中のTFPIの検出に好適である。この実施例は、ELISAに類似した分析形式において、本発明のペプチドを使用してTFPIを検出するための方法を説明する。
JBT1857のペプチド配列を、ビオチニル−Ttds部分の付加によりN末端修飾し、JBT2271(ビオチニル−Ttds−FQSKpNVHVDGYFERL−Aib−AKL−NH2(配列番号4033))を生成した。96ウェルマイクロタイタープレート(Maxisorp、Nunc)を、室温で1時間、様々なTFPI濃度(0〜3μg/mL、ヒト組み換えTFPI、R&D Systems)を含むウェル当たり50μlの被覆緩衝液(15mM Na2CO3、35mM NaHCO3、pH9.3)で被覆した。プレートを350μl/ウェルの洗浄緩衝液(175mM NaCl、5mM CaCl2、25mM HEPES、0.1%Tween80、pH7.35)で3回洗浄した。次いで、プレートを、室温で1時間、100μlのブロック緩衝液(2%酵母抽出物、175mM NaCl、5mM CaCl2、25mM HEPES、0.1%Tween80、pH7.35)でブロックした。次いで、プレートを350μlの洗浄緩衝液で3回洗浄した。洗浄緩衝液中の異なる濃度(100〜0nM)のJBT2271溶液50μlを、各ウェルに添加した。プレートを1時間インキュベートし、350μlの洗浄緩衝液で3回洗浄した。各ウェルに、50μlのストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合体(R&D Systems、洗浄緩衝液中1:200)を添加する。室温で1時間のインキュベーション期間後、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した。50μlのTMB溶液(SeramunBlau fast、Seramun)を各ウェルに添加した。室温で1.5分間のインキュベーション後、ウェル当たり50μlの1M H2SO4を添加することにより、反応を停止させた。光度計(Molecular Devices Spectramax M5)で、450nmおよび620nmにおける吸光度を測定した。
JBT2271は、ウェル当たり僅か4.1×10−14モルのTFPIの検出を可能にした。上述の分析結果は、本発明のペプチドが、試料中のTFPIの特定および/または定量のための強力なツールであることを示している。
実施例12
この実施例は、TFPI結合性ペプチドの特性決定のための例示的koff分析の条件を説明する。
マイクロタイタープレート(96ウェル、Maxisorp、Nunc)のウェルを、室温で2時間、被覆緩衝液(15mM Na2CO3、35mM NaHCO3、pH9.3)中の1.6nM TFPIで被覆する。次いで、プレートを、350μlの洗浄緩衝液(175mM NaCl、5mM CaCl2、25mM HEPES、0.1%Tween80、pH7.35)で3回洗浄し、ウェルを100μlのブロック緩衝液(2%酵母抽出物、175mM NaCl、5mM CaCl2、25mM HEPES、0.1%Tween80、pH7.35)でブロックする。24時間のインキュベーション期間を使用した場合、ウェルを少なくとも1時間ブロックする。15分間のインキュベーション期間に使用した対照ウェルを、さらに23.5時間ブロックする。
24時間のインキュベーション期間の間、ウェルを350μlの洗浄緩衝液で3回洗浄し、洗浄緩衝液中の試験ペプチド50μlでインキュベートする。試験ペプチドの濃度は、例えば本明細書に記載のTFPI IC50ELISA分析において決定される、個々のIC90濃度に依存する。TFPI被覆ウェルを、約15分間試験ペプチドに暴露する。続いて、ウェルを350μlの洗浄緩衝液で3回洗浄し、50μlのトレーサーペプチド(競合物)を添加する。例示的なトレーサーペプチドは、JBT2271(洗浄緩衝液中1.13nM)である。対照ウェル(最大シグナル)を、トレーサーのみでインキュベートする。TFPIがないブランクウェルを、トレーサーのみでインキュベートする。トレーサーペプチドの添加により、24時間のインキュベーション期間が開始する。
試験ペプチドのIC90濃度が最大シグナルの90%の低減をもたらす場合、15分間のインキュベーション期間を対照として用いる。さらに23.5時間ブロックしたウェルを、350μlの洗浄緩衝液で3回洗浄し、ブロック緩衝液を除去する。続いて、洗浄緩衝液中の検体50μlを添加し、ウェルを15分間インキュベーションする。利用する試験ペプチドの濃度は、例えばTFPI IC50ELISA分析を使用して決定される、ペプチドのIC90濃度に依存する。15分間のインキュベーションに続き、350μlの洗浄緩衝液で3回洗浄し、50μlのトレーサーペプチドを添加する。対照ウェル(最大シグナル)を、トレーサーのみでインキュベートする。TFPIがないブランクウェルもまた、トレーサーのみでインキュベートする。
プレートを350μlの洗浄緩衝液で3回洗浄し、50μlのストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合体(R&D Systems、洗浄緩衝液中1:200)を各ウェルに添加する。室温で1時間のインキュベーション期間後、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄する。TMB溶液(ウェル当たり50μl;SeramunBlau fast、Seramun)を添加する。室温で1.5分間のインキュベーション後、ウェル当たり50μlの1M H2SO4の添加により、反応を停止させる。光度計(Spectramax M5、Molecular Devices)で、450nmおよび620nmにおける吸光度を測定する。分析結果は、トレーサーのみに暴露されたTFPI被覆ウェルに対する、試験ペプチドおよびトレーサーペプチドに暴露されたウェルの補正された光学密度(OD450〜OD620)のパーセンテージとして示される。
実施例13
TFPIは、Kunitzドメイン1(KD1)を介してFVIIaに結合することにより、FVIIa/TF活性を阻害する。この実施例は、TFPIのFVIIa/TFの阻害に対するTFPI結合性ペプチドの影響を評価するための例示的方法を説明する。
25mM HEPES、175mM NaCl、5mM CaCl2、0.1%BSA、pH7.3において、96ウェルプレートで25℃で反応速度測定を行った。それぞれ100nMおよび5nMの最終濃度の20μlの可溶性組織因子(残基33〜251;Creative Biomart)および20μlのFVIIa(ERL)を混合し、15分間インキュベートした。様々な最終濃度(0〜2μM)の20μlのTFPI結合性ペプチドを混合物に添加し、さらに15分間インキュベートした。FVIIa/sTF複合体の残留活性を測定するために、反応混合物を20μlのTFPI(200nM)で60分間インキュベートした。発色基質Chromozym−tPA(Roche)(1mM)の添加により、反応を開始させた。Labsystems iEMS ELISA Readerを使用して、30分間405nmにおける吸光度の変化を監視した。TFPIの非存在下で測定したFVIIa/sTF活性を、分析に関して「100%活性」とみなした。残留活性に対するペプチド濃度をプロットすることにより、EC50値を決定した。
JBT1857およびJBT1837を、TFPI160、TFPI1−150−トロンビン、NTermKD1、KD1、およびKD2(陰性対照)に対してスクリーニングした。JBT1857は、TFPI160、TFPI1−150−トロンビン、NTermKD1、およびKD1に対して約0.21〜0.23μMのEC50を示した。KD1およびKD2に結合するJBT1837は、TFPI160およびTFPI1−150−トロンビンに対して約0.17〜0.19μMのEC50を示し、一方、NTermKD1およびKD1が関与する分析における活性は、ほぼバックグラウンドであった。
上述の結果は、TFPI結合性ペプチドが、TFPI−FVIIa/TF相互作用を効率的に阻害することを示している。JBT1857は、最小限の機能的物質としてKD1を含有するTFPI断片を効率的に阻害した。したがって、この酵素的分析は、JBT1857の結合部位をKD1内に位置付けるX線結晶学的データを裏付ける。JBT1837は、最初の2つのKunitzドメインを含有するTFPI断片を阻害し、これは、JBT1837結合部位(複数を含む)が、TFPIのKD1−結合部−KD2領域内に位置することを示唆している。トロンビン開裂TFPI(1〜150)のKunitzドメインおよび断片の組み合わせは、発色分析において、JBT1837の阻害活性を修復しなかった。本明細書に記載の酵素的分析は、TFPIに対するTFPI結合性ペプチド(または試験化合物)の結合を検出するための好適な代理であり、TFPI結合性化合物のTFPI阻害作用を検査するのに有用である。
実施例14
この実施例は、生体内における例示的TFPI結合性ペプチドに対するPEGおよびHSA結合体の影響を説明する。
薬物動態分析のために、C57Bl6マウスを、異なる分子量のPEGおよびHSAに結合した様々なTFPI結合性ペプチドで処理した。ペプチド−PEGおよびペプチド−HSA結合体の用量を、1mg/kg(ペプチド含量)に正規化した。正規化により、異なる分子量の結合体間の比較可能性が確実となる。ペプチド結合体を175mM NaCl、25mM HEPES pH7.35に溶解し、尾静脈を介して静脈内投与、または頸部領域に皮下投与した。投与後いくつかの時点で、3匹の動物(球後)から採血を行い、ヘパリン化バイアルに採取した。試料を遠心分離し、血漿中のペプチド−結合体含量をELISAにより定量した。
図63は、投与後いくつかの時点で血漿中で検出されたPEG化TFPI−ペプチドの濃度を示し、表16は、JBT2325〜JBT2329、JBT2401、JBT2404およびJBT2410の最終半減期およびバイオアベイラビリティに関する詳細な情報を提供する。
JBT2329、JBT2401およびJBT2404は、40kDa直線PEGに結合したペプチド(JBT2329およびJBT2404)または40kDa分岐PEGに結合したペプチド(JBT2401)である。40kDaの結合体は、静脈内投与後、より小さいPEGに結合したペプチドと比較して、より長い最終半減期(HL_λ_z)を示した。ペプチドの皮下投与から得られた濃度−時間曲線の曲線下面積(AUC)を、静脈内投与後に生成されたAUCと比較し、ペプチドのバイオアベイラビリティを計算した。結果を表16に示す。データは、より高分子量の分子へのTFPI結合性ペプチド結合が、30%を超える皮下バイオアベイラビリティを可能にすることを示している。
図64A〜Cは、マウスに対するペプチドの皮下および静脈内投与から得られたJBT2401、JBT2404、およびJBT2410の薬物動態プロファイルを示す。JBT2404は、式(XI)に対し位置X4014でシステインに結合したPEGを含む。JBT2401は、分岐PEGを含み、JBT2410は、HSAに結合している。図64Aは、内部位置におけるTFPI結合性ペプチドへのより高分子量の分子の融合が、半減期を増加させることを示している。半減期はまた、分岐PEG(JBT2401)およびHSAを使用した場合に増加し、これは、よりサイズの小さいPEGを有する結合体(例えば、JBT2325)または遊離ペプチドと比較して、JBT2410の生体内半減期を増加させた(図31を参照されたい)。
この実施例は、本明細書に記載の様々なペプチドの生体内特性が、より高分子量の分子(PEG等)および/またはnFcRリガンド(HSA等)との結合により改善され得ることを示している。