JP2017105774A - 唾液分泌促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】口腔内で用いられるか、または経口投与して用いられる形態(口腔用形態、経口投与形態)を有する唾液分泌促進剤の提供。【解決手段】酵素処理イソクエルシトリンまたは酵素処理イソクエルシトリンと増粘多糖類を有効成分とする唾液分泌促進剤。【選択図】なし

Description

本発明は唾液分泌促進剤、特に口腔内で用いられるか、または経口投与して用いられる形態(口腔用形態、経口投与形態)を有する唾液分泌促進剤に関する。
唾液は、口腔機能や口腔内の環境の維持等に重要な役割を果たしている。口腔機能としては、発声及び会話を円滑にする機能、並びに食物の摂取及び嚥下機能を挙げることができる。特に飲食品の摂取及び嚥下機能において、唾液は、食塊形成作用、アミラーゼ分泌による消化活動、並びに味物質の可溶化及びカーボネート・デヒドロゲナーゼの分泌による味覚の維持作用に深く関わっている。また、口腔内の環境維持に関して、唾液は歯を含む口腔内の自浄作用、歯の再石灰化作用、抗菌作用、免疫作用、抗炎症作用、及び成長因子等による組織修復促進作用に深く関わっている。
しかしながら、情緒やストレス障害、神経症、臓器障害、脳炎、腫瘍、脳血管障害、高血圧、バセドウ氏病、及び糖尿病等の各種疾患、薬剤の副作用、放射線治療、並びに加齢等を原因として唾液の分泌量が低下することが知られている。特に高齢者は、加齢による唾液腺機能の低下に加え、複数の慢性疾患やそれらの治療薬により、唾液の分泌量が減少するため、口腔内の乾燥を訴える者が多いのが実情である。
唾液の分泌量の低下は、口腔内に乾燥をもたらし、その結果、咀嚼や嚥下の困難、及び消化機能の低下を招く。また、口腔内不快感及び口臭発生の原因ともなる。更に症状が進行すると、歯周疾患、及び口内炎等の口腔感染症の原因になる。従って、何らかの手段によって、該当者の唾液の分泌量を増加させることが求められる。
従来、唾液の分泌量を増加させる手段として、酸味を用いて味覚的に刺激を与える方法(特許文献1)、及び嗅覚的に刺激を与える方法(特許文献2)が提案されている。また、唾液分泌促進作用を有する植物抽出物やその成分を使用する方法(特許文献3〜8)、並びにムスカリン受容体を標的にした薬物(特許文献9)、及びPAR−2を標的とした薬物(特許文献10)を用いる方法も提案されている。
しかしながら、上記文献に開示されている方法の中には、効果の強さや持続性について充分とはいい難いものが含まれており、その他にも下記のような問題がある。
特許文献1記載の方法は、嗜好性の面から汎用性がない。また、刺激が強いため、頻繁に適用すると歯牙の溶解や口腔粘膜に対する刺激等、口腔組織への影響が危惧される。特許文献2記載の方法は、嗅覚刺激の消失とともに効果が消失してしまうという問題がある。特許文献3〜6記載の方法は、使用する植物抽出物には特有の刺激、呈味及び香味を有しているものが多く、また有機酸の併用が必須又は推奨されているため、それを適用できる組成物(食品組成物、口腔用組成物)が限られるという問題がある。さらに特許文献9及び10記載の方法は、薬物利用のため、使用が制限される場合がある。
また、最近、フラボノイドの一種であるケルセチンに唾液分泌増強作用があることが報告されている(非特許文献1)。具体的には、放射線暴露により作成した唾液分泌障害モデルマウスにケルセチンを摂取させることで唾液分泌の低下が抑制されること、また正常マウスにケルセチンを投与することで唾液の分泌が増強されることが報告されている。当該唾液分泌におけるケルセチンの作用機序に関して、当該文献には、ケルセチンが唾液腺の細胞内に存在するアクアポリン5の発現及び細胞内へのカルシウムイオンの取り込みを増強することで、唾液分泌を促進することが記載されているが、これらは全てモデルマウスにケルセチンを摂取させたデータであり、ヒトが摂取した場合について言及されていない。
特開平7−101856号公報 特開2003−40752号公報 特開平11−71253号公報 特開平10−182392号公報 特開2002−265375号公報 特開2005−162633号公報 国際公開WO2009/060915号公報 特表2009−531287号公報 特開平8−12575号公報 特開2001−64203号公報
Ichiro Saito et al., PLOS ONE, DOI, 10.1371/journal.pone.0116008 January 28, 2015
本発明は、唾液分泌促進剤を提供することを目的とする。好ましくはヒトの口腔内で用いられるか若しくはヒトに経口投与して用いられる唾液分泌促進剤であって、口腔内に適用若しくは経口投与(摂取)後、速やかに唾液分泌を促進し、口腔内の乾きを癒すことができる唾液分泌促進剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討していたところ、酵素処理イソクエルシトリンに唾液分泌促進作用があることを見出した。具体的には、後述する実験例1に示すように、酵素処理イソクエルシトリンをヒトの口腔内に適用または経口摂取させると、速やかに唾液分泌が促進されて分泌量が増加することを見出した。これに対して、酵素処理イソクエルシトリンと同じくケルセチン構造を有するケルセチン配糖体であるα−グルコシルルチン、ならびにケルセチンそのものを、ルチン量に換算して上記酵素処理イソクエルシトリンと当モル量となるように、ヒトに投与しても、唾液分泌促進作用(唾液分泌増加作用)は確認できなかった。これらのことから、ヒトに対して口腔内適用または経口投与することで即時に唾液分泌促進作用(唾液分泌増加作用)を発揮するのは上記フラボノイドの中でも酵素処理イソクエルシトリンだけであり、酵素処理イソクエルシトリン特有の効果であることを確認した。さらに実験例2に示すように、上記酵素処理イソクエルシトリンの唾液分泌促進作用(唾液分泌増加作用)は、酵素処理イソクエルシトリンに増粘多糖類を併用するかまたは被験試料にとろみをつけることで、有意に増大する。こうした増粘多糖類配合やとろみ付けによる唾液分泌促進作用(唾液分泌増加作用)の増大効果も酵素処理イソクエルシトリン特有であり、α−グルコシルルチンやケルセチンそのものには認めることができなかった。
本発明は、かかる知見に基づいて、更なる研究を重ねて完成したものであり、下記の実施形態を有する。
(I)唾液分泌促進剤
(I−1)酵素処理イソクエルシトリンを有効成分とする唾液分泌促進剤。
(I−2)さらに増粘多糖類を含有する(I−1)に記載する唾液分泌促進剤。
(I−3)増粘多糖類が、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、ペクチン、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、サイリウムシードガム及びカラギナンよりなる群から選択される少なくとも1種である、(I−1)または(I−2)に記載する唾液分泌促進剤。
(I−4)口腔用または経口用組成物である(I−1)乃至(I−3)のいずれかに記載する唾液分泌促進剤。
(I−5)唾液分泌機能が低下したヒト(唾液分泌機能低下者)または嚥下機能が低下したヒト(嚥下機能低下者)のための口腔用または経口用組成物である、(I−1)乃至(I−4)のいずれかに記載する唾液分泌促進剤。
(I−6)口腔内が乾いた状態の健常者のための口腔用または経口用組成物である、(I−1)乃至(I−5)のいずれかに記載する唾液分泌促進剤。なお、口腔内が乾いた状態としては、運動時、入浴時、寝起き時等の口腔内が乾いた状態を例示することができる。(I−7)シロップ剤、ドリンク剤、液剤、乳剤、油剤、噴霧剤、ゲル剤、ペースト剤、錠剤、チュアブル剤、トローチ剤、丸剤、顆粒剤、散剤(粉末剤)、ドライシロップ剤フィルム剤またはスティック状製剤の形態を有する(I−1)乃至(I−6)のいずれかに記載する唾液分泌促進剤。
なお、本発明の「唾液分泌促進剤」は、唾液分泌を促進することによって、唾液分泌量を増加させる効果を奏するものであり、その意味で、本発明の態様には「唾液分泌(量)増加剤」も包含される。
(II)唾液分泌促進剤の調製方法
(II−1)酵素処理イソクエルシトリンを配合する工程を有する唾液分泌促進剤の調製方法。
(II−2)さらに増粘多糖類を配合する工程を有する(II−1)に記載する調製方法。
(II−3)増粘多糖類が、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、ペクチン、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、サイリウムシードガム及びカラギナンよりなる群から選択される少なくとも1種である、(II−1)または(II−2)に記載する調製方法。
(II−4)さらに口腔用または経口投与用の形態に加工する工程を有する、(II−1)〜(II−3)のいずれかに記載する調製方法。
(II−5)口腔用または経口投与用の形態が、シロップ剤、ドリンク剤、液剤、乳剤、油剤、噴霧剤、ゲル剤、ペースト剤、錠剤、チュアブル剤、トローチ剤、丸剤、顆粒剤、散剤(粉末剤)、ドライシロップ剤、フィルム剤またはスティック状製剤の形態である、(II−1)〜(II−4)のいずれかに記載する調製方法。
(III)唾液分泌促進剤を製造するための使用
(III−1)唾液分泌促進剤を製造するための酵素処理イソクエルシトリンの使用。
(III−2)唾液分泌促進剤を製造するための酵素処理イソクエルシトリン及び増粘多糖類の使用。
(III−3)唾液分泌促進剤の製造に、酵素処理イソクエルシトリン及び増粘多糖類を、別々に使用するか、または酵素処理イソクエルシトリン及び増粘多糖類を組成物の形態で使用する、(III−2)に記載する使用。
(III−4)増粘多糖類が、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、ペクチン、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、サイリウムシードガム及びカラギナンよりなる群から選択される少なくとも1種である(III−2)または(III−3)に記載する使用。
(III−5)上記唾液分泌促進剤が口腔用または経口投与用の形態を有するものである(III−1)〜(III−4)のいずれかに記載する使用。
(III−6)口腔用または経口投与用の形態が、シロップ剤、ドリンク剤、液剤、乳剤、油剤、噴霧剤、ゲル剤、ペースト剤、錠剤、チュアブル剤、トローチ剤、丸剤、顆粒剤、散剤(粉末剤)、ドライシロップ剤、フィルム剤またはスティック状製剤の形態である、(III−1)〜(III−5)のいずれかに記載する使用。
(IV)唾液分泌を促進する方法
(IV−I)(I−I)〜(I−6)のいずれかに記載する唾液分泌促進剤を有効量、被験者に経口的に摂取させる工程を有する、当該被験者の唾液分泌を促進する方法。
(IV−2)上記被験者が、唾液分泌機能が低下したヒト(唾液分泌機能低下者)または嚥下機能が低下したヒト(嚥下機能低下者)である(IV−1)記載の方法。
(IV−3)上記被験者が唾液分泌低下症または口腔乾燥症のヒトである、(IV−1)または(IV−2)記載の方法。
(IV−4)上記被験者が、口腔内が乾いた状態の健常者である(IV−1)〜(IV〜3)記載の方法。なお、口腔内が乾いた状態としては、運動時、入浴時、寝起き時等の口腔内が乾いた状態を例示することができる。
なお、本発明の「唾液分泌促進方法」は、当該方法の実施によって、同時に唾液分泌量が増加するという効果も得られるものであり、その意味で、この発明には「唾液分泌(量)増加方法」も包含される。
本発明の唾液分泌促進剤によれば、これをヒトに摂取または服用させることにより、当該ヒトの唾液分泌を促進することができ、唾液分泌機能が低下したヒトについては、当該ヒトの唾液分泌低下を改善することが可能である。また本発明の唾液分泌促進剤によれば、唾液の分泌を促進することで、口腔内の自浄作用を高め、唾液分泌の低下によって生じる種々の弊害(例えば、口腔内の乾燥、口腔内の不快感、味覚障害、口臭、う蝕、歯周疾患、粘膜の感染症などの口腔機能不全、会話や発声のし難さなど)を予防することができる。さらに、本発明の唾液分泌促進剤によれば、唾液の分泌を促進することで、唾液の減少により嚥下がしづらくなったヒトの嚥下を容易にすることができる。
また本発明の唾液分泌促進剤は、有効成分として食経験のある酵素処理イソクエルシトリンを用いるものであるため安全性が高く、このため継続的に口腔内で用いられるかまたは経口摂取される口腔用組成物または経口投与用組成物(医薬品、医薬部外品、飲食品[機能性飲食品、及び健康飲食品が含まれる])として好適に用いることができる。当該本発明の唾液分泌促進剤は、口腔用または経口用の医薬品として医療において用いることもできるが、機能性飲食品または健康飲食品として代替医療または補完代替医療において好適に用いることができる。
実験例1における唾液分泌促進作用の測定結果を示したグラフである。唾液分泌量は、水摂取時の唾液分泌量を1とした相対値として示されている(以下、図2において同じ)。 実験例2における唾液分泌促進作用の測定結果を示したグラフである。
(I)唾液分泌促進剤
(1)酵素処理イソクエルシトリン
本発明の唾液分泌促進剤は、酵素処理イソクエルシトリン(英名:Enzymatically Modified Isoquercitrin)を有効成分とすることを特徴とする。当該酵素処理イソクエルシトリンは、下記化学式で示されるα−グルコシルイソクエルシトリンを主成分とするものであり、糖転移イソクエルシトリンとも称される。
上記式において、nは0〜10の整数を意味する。
酵素処理イソクエルシトリンに含まれるα−グルコシルイソクエルシトリンは、nが0〜10の整数のいずれか一つの単一の化合物であってもよいし、またnが0〜10から選ばれる2種以上の化合物の混合物であってもよい。好ましくは混合物であり、より好ましくはnが0〜6から選ばれる2種以上の化合物の混合物である。なお、nが0のα−グルコシルイソクエルシトリンは、単に「イソクエルシトリン」とも称される。また、本発明では、α−グルコシルイソクエルシトリンをルチンの量に換算して60質量%以上含む酵素処理イソクエルシトリンを用いることが好ましい。
なお、酵素処理イソクエルシトリン中のα−グルコシルイソクエルシトリン含量をルチン換算量で示すのは、波長351nmにおけるα−グルコシルイソクエルシトリンとルチンのモル吸光係数が同じであること、α−グルコシルイソクエルシトリンよりもルチンのほうが入手容易であることが理由である。このため、当業界では、ルチンを標準試料として紫外可視吸光度測定法により酵素処理イソクエルシトリン中のα−グルコシルイソクエルシトリン含量をルチンとして定量することが慣用されている。
具体的には、酵素処理イソクエルシトリン中のα−グルコシルイソクエルシトリン含量は、食品添加物公定書第8版(日本国厚生労働省)の「酵素処理イソクエルシトリン」の欄に記載されている下記の定量法によりルチン換算量として算出することができる。
(定量法)
(i)対象とする酵素処理イソクエルシトリン(対象試料)を乾燥し、その約0.05gを精密に量り、水に溶かして正確に100mlとする。必要があればろ過する。この液4mlを正確に量り、リン酸溶液(1gのリン酸を水に溶解して全量を1000mlにした水溶液。以下同じ)を加えて正確に100mlとし、検液とする。
(ii)別に定量用ルチンを135℃で2時間乾燥し、その約0.05gを精密に量り、メタノールに溶かして正確に100mlとする。この液4mlを正確に量り、リン酸溶液を加えて正確に100mlとし、標準液とする。
(iii)検液及び標準液につき、紫外可視吸光度測定法により、リン酸溶液を対照として、波長351nmにおける吸光度At及びAsを測定し、次式によりルチンとしてα−グルコシルイソクエルシトリンの含量を求める。
酵素処理イソクエルシトリンは、一般に、イソクエルシトリンとでん粉又はデキストリンの混合物に、シクロデキストリングルコシルトランスフェラーゼを用いてグルコースを付加して調製することができる。またイソクエルシトリンは、一般に、ルチンの酵素分解によって得られるが、その他公知の方法(例えば、ルチンの分解、植物からの抽出単離、ケルセチンの配糖化等)によっても得ることができる。また酵素処理イソクエルシトリンを含む製剤は、簡便には商業的に入手することができ、例えば三栄源エフ・エフ・アイ(株)の「サンエミック NO.1」を挙げることができる。なお、「サンエミック」は三栄源エフ・エフ・アイ(株)の登録商標である。当該「サンエミック NO.1」に含まれる酵素処理イソクエルシトリンは、上記式におけるnが0〜6から選ばれる2種以上の化合物の混合物であり、また、主成分であるα−グルコシルイソクエルシトリンをルチンとして60質量%以上含む。また、「サンエミック NO.1」はα−グルコシルイソクエルシトリンを上記定量法によるルチン換算量で10質量%含み、その他の成分としてデキストリンを含む。
本発明の唾液分泌促進剤は、唾液分泌促進効果を奏する限り、酵素処理イソクエルシトリンを含むものであればよい。酵素処理イソクエルシトリンの含有量は特に制限されず、α−グルコシルイソクエルシトリン(ルチン[C273016]として)換算で0.001〜0.5質量%の範囲から適宜選択することができる。なお、本明細書において酵素処理イソクエルシトリンの含有量は、特別の記載がない限り、その中に含まれるα−グルコシルイソクエルシトリンの含有量(ルチン[C273016]として)(質量%)として示す。従って、本願発明(本明細書)において、「酵素処理イソクエルシトリン1質量部」とは、酵素処理イソクエルシトリンに含まれるα−グルコシルイソクエルシトリンの量をルチン[C273016]の量に換算して1質量部とした場合の量を意味する。
(2)増粘多糖類
また本発明の唾液分泌促進剤は、酵素処理イソクエルシトリンに加えて増粘多糖類を含有するものであってもよい。
後述する実験例に示すように、酵素処理イソクエルシトリンに加えて増粘多糖類を含むことで、増粘多糖類を含まない唾液分泌促進剤と比べて、優れた唾液分泌促進作用を有する。
本発明が対象とする増粘多糖類は、飲食品または経口医薬品への使用が許可されている可食性の増粘多糖類である。かかる増粘多糖類としては、例えば、キサンタンガム、ガラクトマンナン(例えば、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガムなど)、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン(例えば、カッパ型、イオタ型、ラムダ型など)、タマリンドシードガム、グルコマンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、ペクチン(例えば、HMペクチン、LMペクチンなど)、アルギン酸、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウムなど)、プルラン、カードラン、トラガントガム、ガティガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、カラヤガム、ファーセレラン、キチン、ウェランガム、セルロース類(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、発酵セルロース、結晶セルロースなど)、デンプン類(例えば、デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、α化デンプン、リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、酢酸デンプンなど)、デキストリン類(例えば、ポリデキストロース、難消化性デキストリンなど)及び大豆多糖類などを挙げることができる。
本発明では、増粘多糖類の中でも、特にキサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、ペクチン、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、サイリウムシードガム及びカラギナンからなる群から選ばれる1種以上が好適に用いられる。より好ましい増粘多糖類は、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、ペクチン及びカラギナンからなる群から選ばれる1種以上である。特に好ましくはキサンタンガム、ペクチン、及びカラギナンからなる群から選ばれる1種以上である。これらは1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。2種以上の組み合わせとしては、制限されないものの、キサンタンガムとグァーガム、キサンタンガムとローカストビーンガム、キサンタンガムとカラギナン、キサンタンガムとグァーガムとローカストビーンガム、脱アシル型ジェランガムとネイティブ型ジェランガムを挙げることができる。さらに、これらの増粘多糖類よりなる群から選択される少なくとも1種に、前述する増粘多糖類の群から選択される少なくとも1種を組み合わせて使用することもできる。
本発明の唾液分泌促進剤に含まれる酵素処理イソクエルシトリンに対する増粘多糖類の割合は、唾液分泌促進剤の形態に応じて、酵素処理イソクエルシトリン1質量部(ルチン換算量として:以下同じ)に対して、通常0.2〜500質量部の範囲から選択することができる。例えば、本発明の唾液分泌促進剤が錠剤、顆粒または散剤(粉末剤)、ドライシロップ剤などの固体形態の組成物である場合、酵素処理イソクエルシトリン1質量部に対する増粘多糖類の割合として0.2〜500質量部、好ましくは0.3〜400質量部、より好ましくは0.4〜350質量部の範囲を挙げることができる。また、本発明の唾液分泌促進剤がペースト状の形態を有する組成物である場合、酵素処理イソクエルシトリン1質量部に対する増粘多糖類の割合として0.2〜500質量部、好ましくは0.3〜400質量部、より好ましくは0.4〜350質量部の範囲を挙げることができる。なお、本発明の唾液分泌促進剤が液体状の組成物である場合、酵素処理イソクエルシトリン1質量部に対する増粘多糖類の割合として0.2〜400質量部、好ましくは0.3〜350質量部、より好ましくは0.3〜300質量部の範囲を挙げることができる。また、ゲル状(ジェリー状)を有する組成物である場合、酵素処理イソクエルシトリン1質量部に対する増粘多糖類の割合として1〜500質量部、好ましくは2〜450質量部、より好ましくは2.5〜350質量部の範囲を挙げることができる。
本発明の唾液分泌促進剤に含まれる増粘多糖類の割合は、上記するように唾液分泌促進剤の形態によっても異なるが、例えば唾液分泌促進剤の形態が錠剤、チュアブル剤、トローチ剤、顆粒剤、散剤(粉末剤)、ドライシロップ剤、フィルム剤、またはスティック状製剤などの固体形態である場合、通常1質量%以上99.9質量%以下の範囲から適宜設定することができる。好ましくは3〜90質量%であり、より好ましくは5〜80質量%である。また、唾液分泌促進剤の形態がペースト状又は液体状形態(シロップ剤、ドリンク剤、液剤、乳剤、油剤及び噴霧剤を含む)である場合、通常0.02〜30質量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは0.02〜10質量%であり、より好ましくは0.02〜8質量%である。また、唾液分泌促進剤の形態がゲル状である場合、通常0.02〜10質量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは0.02〜8質量%であり、より好ましくは0.02〜6質量%である。
(3)その他の成分
本発明の唾液分泌促進剤は、上記成分に加えて、本発明の効果を妨げない範囲で、任意の可食性成分を含有することができる。
可食性成分としては、例えば、可食性金属塩、賦形剤、有機酸、着色料、アミノ酸(例えば、グリシン、アルギニン、リジン、アラニン、グルタミン酸、ヒスチジン、スレオニン、アスパラギン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、セリン、チロシン、イソロイシン、メチオニン等)、栄養素(ビタミン類、ミネラルを含む)、抗酸化剤、保存料、抗菌剤、静菌剤、植物抽出物(例えば、茶抽出物、コーヒー抽出物、ココア抽出物等)、果汁(例えば、オレンジ、グレープ、アップル、ピーチ、パイナップル、トマト、イチゴ等)、甘味料(ショ糖、異性化糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水あめ、粉末水あめ、還元麦芽水あめ、蜂蜜、トレハロース、パラチノース、D−キシロース等の糖類;キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類;サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセサルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、ステビア抽出物(例えば、ステビオサイド等)、ラカンカ抽出物(例えば、モグロシド等)などの高甘味度甘味料等)、及び香料等が挙げられる。
可食性金属塩は、増粘多糖類の水への溶解性を向上させる、または増粘やゲル化機能を向上させる場合に用いられる。可食性金属塩の種類は特に制限されないが、好ましくはナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム等)、カリウム塩(例えば、塩化カリウム、クエン酸カリウム等)、カルシウム塩(例えば、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム等)、マグネシウム塩(例えば、塩化マグネシウム等)などを挙げることができる。可食性金属塩を用いる場合、本発明の唾液分泌促進剤に配合する可食性金属塩の割合は、例えば唾液分泌促進剤の形態(固体、半固体、液体形態)にかかわらず、通常0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%の範囲を例示することができる。
唾液分泌促進剤は、口腔用形態または経口投与形態に調製するため、またその安定化のために、薬学上経口投与に許容される各種の担体並びに添加剤を配合することもできる(例えば、薬局方または「医薬品添加物事典」(薬事日報社発行)などが参照できる。)。
かかる担体または添加剤としては、単糖類(例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース等)、二糖類(例えば、ショ糖、白糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース等)、糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニット等)、オリゴ糖、澱粉(例えば、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン等)、澱粉分解物(例えば、デキストリン、粉飴等)、セルロースまたはセルロース誘導体(例えば、結晶セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム等)、及びタルクなどの賦形剤;デンプン、α化デンプン、ゼラチン、アラビアガム、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩などの結合剤;炭酸カルシウム、クロスポピドン、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチ、結晶セルロース、寒天などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、無水ケイ酸などの滑沢剤;ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及びプルロニックなどの懸濁化剤;白糖、タルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナウバロウ、ヒドロキシプロピルメチルフタレートなどのコーティング剤;白糖、ブドウ糖、サッカリンナトリウム、ソルビトール、クエン酸、及びアスパルテームなどの矯味剤等を挙げることができる。また上記成分の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、通常医薬品添加物として許容される、安定剤、界面活性剤、可塑剤、カプセル皮膜、可溶剤、還元剤、緩衝剤、甘味剤、基剤、揮散補助剤、吸収促進剤、吸着剤、共力剤、硬化剤、抗酸化剤、光沢化剤、香料、効力増強剤、剤皮、支持体、持続化剤、湿潤剤、湿潤調整剤、充填剤、消泡剤、清涼剤、摂食促進剤、接着剤、増強剤、咀嚼剤、帯電防止剤、着香剤、着香剤・香料、着色剤、糖衣剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、燃焼剤、粘着剤、粘着増強剤、粘稠剤、発煙抑制剤、発熱剤、発泡剤、pH調整剤、皮膚保護剤、浮遊剤、分散剤、噴射剤、芳香剤、防錆剤、防湿剤、放出制御膜、防腐剤、捕捉剤、保存剤、無痛化剤、誘引剤、溶解剤、溶解補助剤、溶剤、ライナー、離形剤、流動化剤など、または食品の添加物として許容される、甘味料、着色料、保存料、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、乳化剤、膨脹剤、調味料、酸味料、苦味料、光沢剤、ガムベース、栄養強化剤、製造用剤等、香料などの任意成分を所望に応じて添加することもできる。また、スピラントール等の唾液分泌促進効果を有する成分を添加してもよい。
(4)唾液分泌促進剤の形態、調製方法、作用、及び用途等
本発明の唾液分泌促進剤は、少なくとも前述する酵素処理イソクエルシトリンを含有するか、または酵素処理イソクエルシトリン及び増粘多糖類を含有していれば、その形態は問わない。例えば、固体状(例えば、錠剤、チュアブル剤、トローチ剤、丸剤、顆粒剤、散剤(粉末剤)、ドライシロップ剤、フィルム剤、スティック状製剤など)、半固体状(例えば、ゲル剤、ペースト剤など)、及び液体状(例えば、シロップ剤、ドリンク剤、液剤、乳剤、油剤、噴霧剤など)等を挙げることができる。
固体状または半固体状の形態を有する唾液分泌促進剤は、口腔内で用いられる形態(口腔用形態)、または経口投与して用いられる形態(経口投与形態)を有するものであれば特に制限されない。例えば、錠剤、チュアブル錠、トローチ剤、丸剤、顆粒剤、散剤(粉末剤)、ドライシロップ剤、フィルム剤、スティック状製剤、ペースト剤およびゲル剤などの形態とすることができる。なお、錠剤、丸剤、顆粒剤または散剤(粉末剤)、ドライシロップ剤等は、用時に、飲用水または飲食品に添加し、これらに溶解または分散混合させて服用(摂食)されるものであってもよい。
本発明の唾液分泌促進剤は、その形態に応じて常法に従って調製することができる。例えば、散剤(粉末剤)またはドライシロップ剤状の唾液分泌促進剤は、酵素処理イソクエルシトリンまたは酵素処理イソクエルシトリンと増粘多糖類を、賦形剤と粉体混合することで調製することができる。また粉末状の唾液分泌促進剤は、酵素処理イソクエルシトリンまたは酵素処理イソクエルシトリンと増粘多糖類を含む液体を乾燥(例えば、スプレードライ、フリーズドライ等)することによっても調製することができる。顆粒状の唾液分泌促進剤は、上記粉体混合物を造粒することで調製することができる。また顆粒状の唾液分泌促進剤は、粉末状の増粘多糖類に、酵素処理イソクエルシトリンを含む水溶液をバインダー液として噴霧することによっても調製可能である。錠剤状の唾液分泌促進剤は、前記粉末状または顆粒状の唾液分泌促進剤を打錠機によって錠剤状に成形することで調製可能である。液体状の唾液分泌促進剤は、溶媒(例えば、エタノールまたは水、もしくはその混合液等、好ましくは精製水、イオン交換水、蒸留水などの水、または生理食塩水)に酵素処理イソクエルシトリン、または酵素処理イソクエルシトリンと増粘多糖類を添加し、好ましくはさらに混合(例えば撹拌混合)することで調製することができる。また、前記液体状の唾液分泌促進剤の調製段階において、さらに界面活性剤及び/又は分散剤、並びに脂溶性溶媒(例えば、脂溶性薬剤を溶解するための医薬用油性溶媒、食用油等)を添加し、好ましくはさらに混合(例えば撹拌混合)または高圧ホモジナイザー等を用いたホモジナイズ処理を行うことによって、乳剤や油剤として液体状の唾液分泌促進剤を調製することができる。
ゲル状の唾液分泌促進剤は、溶媒(エタノールまたは水、もしくはその混合液、好ましくは精製水、イオン交換水、蒸留水などの水、または生理食塩水)に酵素処理イソクエルシトリンとゲル化に寄与する増粘多糖類を添加し、増粘多糖類が均一に溶解(分散)するまで加熱し(加熱温度は添加する多糖類による、例えば40〜100℃)、これを冷却することで調製することができる。この場合、ゲル化に寄与する多糖類としては、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ネイティブ型ジェランガム、ゼラチン、寒天、及びカラギナンが例示される。また、溶媒(エタノールまたは水、もしくはその混合液、好ましくは精製水、イオン交換水、蒸留水などの水、または生理食塩水)に酵素処理イソクエルシトリンとゲル化に寄与する増粘多糖類を添加し、(任意の温度で)混合溶解(分散)後、可食性金属塩を添加混合することによりゲル化させることもできる。この場合、ゲル化に寄与する増粘多糖類としては、脱アシル型ジェランガム、ペクチン、アルギン酸塩、及びカラギナンが例示される。また、可食性金属塩としては、制限はされないものの、好ましくはナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム等)、カリウム塩(例えば、塩化カリウム、クエン酸カリウム等)、カルシウム塩(例えば、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム等)、マグネシウム塩(例えば、塩化マグネシウム等)などを挙げることができる。可食性金属塩を用いる場合、本発明の口腔・経口組成物中に可食性金属塩が、通常0.00001〜15質量%、好ましくは0.00002〜10質量%の割合で含まれるように配合することが望ましい。
なお、唾液分泌促進剤が液状形態を有するものである場合、必要に応じて、粘度付与剤を用いて、その粘度が6mPa・s以上、好ましくは6〜600mPa・sとなるように調整してもよい。
なお、ここで粘度は、フルイドレオメーター(例えば、TAインスツルメント社製のARES−LS1等)を用いて以下の測定条件で測定して得られる粘度を意味する。
測定条件
測定温度:20℃
ジオメトリー:直径50mmのコーンプレート、ギャップ 0.05mm
ずり速度:100s−1
なお、本明細書全体において、「粘度」とは、かかる条件で測定される粘度を意味する。
ここで粘度付与剤としては、制限されないが、例えば、前述の増粘多糖類;グルコース、フラクトース等の単糖類;スクロース、乳糖、トレハロース等の二糖類;三糖以上からなるオリゴ糖類;でん粉、イヌリン、またはポリデキストロースなどの多糖類;水飴;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール、キシリトール、グリセリン等の糖アルコール;糖蜜、蜂蜜、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖水飴、還元澱粉加水分解物、水飴などの糖類の混合物(以上、これらを総称して「糖類」ともいう)を挙げることができる。これらは1種を単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくは、増粘多糖類である。
本発明の液体形態の唾液分泌促進剤は、溶液タイプ、噴霧タイプ、滴下タイプ、または吐出タイプの形態(洗口液、液体歯磨き、うがい液、および口腔スプレーなどの口腔用組成物、およびシロップなどの経口投与用組成物を含む)に調製できるほか、液剤(ドリンク剤)の形態に調製することもできる。上記各種形態を有する唾液分泌促進剤は、その形態に応じて、ボトル、ポンプ、スプレー、チューブ、缶、および瓶などの各種の容器に充填された状態で用いることができる。
スティック製剤は、口唇または口腔内、特に
歯面や歯肉に直接塗布することができる。その形状は、塗布後に唾液によって溶解可能な固形状のものであれば、その形状は特に制限されず、使用目的等に応じて円柱状、四角柱状などの形状に調製できる。また、スティック製剤は、携帯し易い適宜な形態、形状のプラスチック容器に、押し出し可能に収容することが好ましい。適用時には収容容器から塗布可能な適量を押し出し口唇または口腔内に使用することができる。具体的には口紅、リップクリーム等と同様の形態に調製できる。
また本発明の唾液分泌促進剤のpHは、制限されないが、通常pH3〜9の範囲にあることが好ましく、より好ましくはpH3.5〜8、さらに好ましくはpH3.5〜7.5である。なお、固体状または半固体状の形態を有する唾液分泌促進剤は、摂食または服用後、口腔内で通常pH3〜9の範囲になるように調製されていることが好ましい。口腔内でのpHとして、好ましくはpH3.5〜8、より好ましくはpH3.5〜7.5である。
本発明の唾液分泌促進剤は、上記の酵素処理イソクエルシトリンの1回摂取量が0.1〜250mg、好ましくは0.4〜100mgとなるように調製されることが望ましい。なお、本発明の唾液分泌促進剤は、唾液量が低下したときまたは唾液分泌を増加させたいときに(口腔内の乾燥時、または乾燥する前に)、随時使用することができる。このため、本発明の唾液分泌促進剤の一日当たりの服用回数は制限されず、上記量の酵素処理イソクエルシトリンを含有する唾液分泌促進剤を一日に一回若しくは複数回、または連続若しくは間歇的に服用することができる。
なお、本発明の唾液分泌促進剤は、唾液分泌促進作用または唾液の分泌量を増加する作用を有しており、唾液分泌が低下した被験者または唾液分泌の低下を感じる被験者に対して好適に用いることができる。唾液分泌が低下した被験者として、例えば、唾液分泌低下症もしくは口腔乾燥症を有する患者、または運動時、入浴時、寝起き時等の口腔内が乾いた状態の健常者を挙げることができる。
(5)唾液分泌促進剤を含有する飲食品
本発明の唾液分泌促進剤を飲食品に含有させることで、唾液分泌促進効果を有する飲食品を製造することができる。なお、かかる飲食品には、機能性表示食品、特定保健用食品、及び栄養機能食品をはじめとする健康食品(健康機能食品を含む)が含まれる。
本発明の唾液分泌促進剤を飲食品に添加する時期は特に制限されないが、例えば、飲食品の製造工程において、または製造後の飲食品を喫食する直前に添加することができる。本発明の唾液分泌促進剤を含有させる対象となる飲食品は特に制限されないが、例えば、乳飲料、乳酸菌飲料、ドリンクヨーグルト、清涼飲料、ニアウォーター、スポーツドリンク、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜・果実飲料、アルコール飲料、粉末飲料、水希釈して飲用する濃縮飲料、コーヒー飲料、しるこ飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、麦茶飲料、ほうじ茶飲料、玄米茶飲料、ウーロン茶飲料、ハト麦茶飲料、ソバ茶飲料、韃靼ソバ茶飲料、プーアール茶飲料、スムージー飲料などの飲料類;カスタードプリン、ミルクプリン、チョコレートプリン、スフレプリン、果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、グミ、ババロア、ムース、ヨーグルト及び多層デザート等のデザート類;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、ミルクアイスクリーム、果汁入りアイスクリーム及びソフトクリーム、アイスキャンディー、シャーベット、氷菓等の冷菓類;チューインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレート、ブルーベリーチョコレート及びメロンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;ラムネ菓子類;ハードキャンディー(ボンボン、バターボール、マーブル等を含む)、ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)、ドロップ、タフィ等のキャラメル類;ハードビスケット、クッキー、マカロン、かりんとう、ドーナツ、おかき、煎餅等の焼き菓子類(以上、菓子類);味噌汁、すまし汁、コンソメスープ、ポタージュスープ、野菜スープ等のスープ類;浅漬け、醤油漬け、塩漬け、味噌漬け等の漬物類;セパレートドレッシング、ノンオイルドレッシング、ケチャップ、たれ、ソースなどのソース類;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム、プレザーブ等のジャム類;フルーツソース、シロップ、メイプルシロップ等のデザートソース類;赤ワイン等の果実酒;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ、桃等の加工用果実;ハム、ソーセージ、焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等の水産練り製品;こんにゃく、小豆、豆腐、納豆等の農産加工品;バター、マーガリン、チーズ、ホイップクリーム等の酪農・油脂製品類;うどん、冷麦、そうめん、そば、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類;食パン、菓子パン、惣菜パン、コッペパン、フランスパン、ベーグル、クロワッサン等のパン類;たこ焼き、お好み焼き、クレープ、シュウマイ、餃子、春巻き、ワンタン、ピザ等の小麦粉含有食品類;ホットケーキ、パンケーキ、チーズケーキ、シフォンケーキ、スフレケーキ、チョコレートケーキ、フルーツケーキ、タルト、パイ、シュークリーム、エクレア等のケーキ類;おはぎ、団子、わらび餅、草餅、くず餅、まんじゅう、羊羹、水羊羹、あんみつ、白玉等の和菓子類;白米飯、玄米飯、麦飯、赤飯、ちまき、もち等の穀類主食;その他、各種総菜及び麩、田麩等の種々の加工食品を挙げることができる。本発明の唾液分泌促進剤を含有させる対象となる飲食品には、濃厚流動食、経腸栄養剤、とろみ付飲料、とろみ付流動食、栄養補給ゼリー、水分補給ゼリー、半固形化流動食、及び液状とろみ剤が含まれる。なお「液状とろみ剤」は、上記飲食前の飲食品にとろみを付ける目的で添加して使用される液状製剤である。
また、唾液の分泌を促進し、唾液の分泌量を増加することで、唾液分泌が低下した被験者の嚥下や咀嚼を容易にすることも可能になる。この意味で、本発明の唾液分泌促進剤は、嚥下補助剤(または嚥下改善剤)または咀嚼補助剤(または咀嚼改善剤)としても有用である。なお、本発明において、「嚥下」とは口腔内の物を飲み下すことを意味する。また「咀嚼」とは、口腔内で経口組成物を細断化すること、また口腔内で経口組成物を細断化しながら唾液と充分に混ぜ合わせることを意味する。ここで細断化には、下顎や歯を使って経口組成物を噛み砕くことだけでなく、歯茎または舌を使って経口組成物を押し潰すことも含まれる。
(II)被験者の唾液分泌を促進する方法
上記のことから、本発明の唾液分泌促進剤によれば、健常者のみならず、唾液分泌が低下した被験者または唾液分泌の低下を感じる被験者に対して、唾液分泌を促進することができる。ゆえに、本発明は、これらの被験者に対する唾液分泌促進方法を提供する。
かかる方法は、前述する本発明の唾液分泌促進剤を、上記被験者の口腔内に適用するか、または経口投与することによって実施することができる。口腔内への適用は、唾液分泌促進剤の形態に応じて適宜選択することができ、例えば唾液分泌促進剤が溶液タイプ、噴霧タイプ、滴下タイプ、または吐出タイプ等の液状形態を有する場合は、洗口、歯磨き、うがい(含嗽)、および口腔内への噴霧を挙げることができる。また唾液分泌促進剤が咀嚼剤の固形状の形態(ガムを含む)を有する場合は、咀嚼(チューイング)を挙げることができる。さらに唾液分泌促進剤がスティック状、ゲル状またはペースト状(クリーム、軟膏)の形態を有する場合は、口腔内への塗布を挙げることができる。経口投与する場合は、液体状、半固体状または固体状の形態(例えば、シロップ剤、ドリンク剤、液剤、乳剤、油剤、噴霧剤、ゲル剤、ペースト剤、錠剤、チュアブル剤、トローチ剤、丸剤、顆粒剤、散剤(粉末剤)、ドライシロップ剤、フィルム剤、およびスティック状製剤などの経口投与製剤や、シロップ、ドリンク、飴、ゼリー、グミ、可食性フィルムなどの形態)を有するものをその形態に応じて経口的に摂取(投与)させることによって実施することができる。
摂取(投与)時期は、特に制限されず、口腔内の乾燥時、または乾燥する前に随時用いることができる。また、その使用量も特に制限されないが、唾液分泌促進剤に含まれる酵素処理イソクエルシトリンの量に換算して1回あたり、酵素処理イソクエルシトリンが0.1〜250mgとなるような割合で投与(摂取)することが好ましく、より好ましくは0.4〜100mgとなるような割合で投与することが望ましい。また唾液分泌促進剤の1日あたりの投与回数(摂取回数)は制限されず、上記量の酵素処理イソクエルシトリンを含有する唾液分泌促進剤を、前述するように1日1回若しくは複数回、または連続もしくは間歇的に投与(摂取)することができる。
本発明の方法が好適に対象とする唾液分泌が低下した被験者として、好ましくは唾液分泌低下症もしくは口腔乾燥症を有する患者、または運動時、入浴時、寝起き時等の口腔内が乾いた状態の健常者を挙げることができる。なお、唾液分泌の低下の診断方法には、(1)安静時唾液量を測定する方法(吐唾法、唾液ワッテ法)、(2)刺激唾液量を測定する方法(サクソン法)、(3)口腔粘膜保湿度を測定する方法(ペリオトロン法、濾紙法、口腔水分計)、(4)唾液物性を測定する方法(粘度検査、意糸引き検査)、および(5)アンケート法などがある。これらのいずれかの方法または2種以上を組み合わせて、被験者の唾液分泌低下の有無を評価することができる。
以下に、本発明の構成ならびに効果をより明確にするために、実験例および処方例を記載する。但し本発明は、これらの実験例等に何ら影響されるものではない。
実験例1
(1)被験試料の調製
被験物質として酵素処理イソクエルシトリン製剤(サンエミック(登録商標) NO.1:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)(酵素処理イソクエルシトリンをα−グルコシルイソクエルシトリン(ルチンとして)換算で10質量%の割合で含み、その他成分としてデキストリンを含む)、α−グルコシルルチン(αGルチン)(東洋精糖(株)製)、及びケルセチン(LKT Laboratories, Inc製)を用いた。これらをそれぞれイオン交換水に溶解して、表1に記載する各種濃度の水溶液(被験試料)を調製した。
表1は、各被験試料中の被験物質の含有量(質量%)に加えて、酵素処理イソクエルシトリン製剤及びαGルチンについてはルチン換算量(モル濃度)、ケルセチンについてはそのモル濃度を併せて示す。
なお、ケルセチンのモル濃度、並びに酵素処理イソクエルシトリン及びαGルチン(以上、ケルセチン配糖体)に含まれるルチンの量(モル濃度)は、下記方法に従って算出した。
[ケルセチンの定量法(モル濃度)]
ケルセチンの定量(モル濃度)は、ケルセチンの分子量:302から算出した。
[酵素処理イソクエルシトリン及びαGルチンのルチン換算量(モル濃度)]
酵素処理イソクエルシトリン及びαGルチンの定量(モル濃度)は、食品添加物公定書第8版(日本国厚生労働省)の「酵素処理イソクエルシトリン」の頁に記載されている定量法に準じて行った。詳細は前述のとおりである。
例えば、酵素処理イソクエルシトリン製剤(試料A)中の、上記[数1]に示す式で求めたα−グルコシルイソクエルシトリンの含量(ルチン(C273016)として)が10質量%であった場合、酵素処理イソクエルシトリン製剤(試料A)6100g(610×(100/10)=6100)(610はルチンの分子量)が、酵素処理イソクエルシトリン1molに相当する。よって、上記の場合、水溶液中の酵素処理イソクエルシトリンのモル濃度を75μM(75×10−6mol/L)にするためには、0.4575g(6100g/mol×75×10−6mol)の酵素処理イソクエルシトリン製剤(試料A)を1Lの水に溶解(もしくは分散)する必要がある。
(2)唾液分泌促進効果の評価
健常者3名(男性、平均年齢約31.3歳)をパネルとして、上記で調製した各被験試料について、唾液分泌促進効果を評価した。なお、各パネリストは、複数の候補者の中から唾液分泌の日内変動が比較的近い者を選定した。
評価は、1回あたり被験試料15gを用いて、下記方法に従って実施した。またブランクとして、被験試料に代えて水15gを用いて同様に試験を行った。
(i)試料15gを口に含み、5秒間保持し、1回で嚥下する。
(ii)嚥下5秒後に脱脂綿(37.5mm×37.5mm×4mm)を舌の下(裏)にいれ、2分間保持する。
(iii)舌の下から脱脂綿を取り出して重さ(g)を量り、口内に入れる前の脱脂綿の重さとの差を求める。
上記試験を、同じ被験試料について各人2回ずつ実施し、その平均値を算出し、さらにそれをもとに全員の平均値及び標準偏差を求めた。
(3)評価結果
評価結果(3名のパネルの平均値)を表2及び図1に示す。当該結果は、ブランク(水)を用いて測定した唾液分泌量を1として標準化した数値(相対値)を示す。
この結果からわかるように、酵素処理イソクエルシトリンには25〜750μMの濃度域においてモル濃度依存的に唾液分泌を促進(増加)する作用があることが判明した。特にその作用は酵素処理イソクエルシトリンを口腔内に入れた後、また嚥下後、速やかに得られる即時的作用である。またこの作用は、ケルセチンそのもの、並びに酵素処理イソクエルシトリンと同様にケルセチン配糖体であるαGルチンには認められず、酵素処理イソクエルシトリン特有の作用である。
以上の結果から、酵素処理イソクエルシトリンを含有する試料を口から摂取することにより(口腔内適用、経口摂取)、唾液分泌が顕著に増加することが判明した。
実験例2
実験例1の被験試料(酵素処理イソクエルシトリン、αGルチン、またはケルセチンの水溶液)に、増粘多糖類としてキサンタンガムを配合してとろみを付けて、実験例1と同様に、唾液分泌促進効果を評価し、キサンタンガム配合の有無(とろみあり/なし)による効果の違いを調べた。
(1)被験試料の調製
被験物質(酵素処理イソクエルシトリン製剤、αGルチン、ケルセチン)をそれぞれ飲用水に溶解して、各化合物中の構造に含まれるルチンの量(モル濃度)が150μMになるように調製した(表1参照)。また各水溶液に0.1質量%になるようにキサンタンガムを添加してとろみをつけた。また比較のため、実験例1と同様に、キサンタンガムを配合しないルチン換算濃度150μMの各水溶液(酵素処理イソクエルシトリン水溶液、αGルチン水溶液、ケルセチン水溶液)も調製した。
なお、各試料の粘度をフルイドレオメーター(ARES−LS1、TAインスツルメント社製)を用いて以下の測定条件で測定した。
測定条件
測定温度:20℃
ジオメトリー:直径50mmのコーンプレート、ギャップ 0.05mm
ずり速度:100s−1
(2)唾液分泌促進効果の評価とその結果
実験例1と同様にして(パネリストも同じ)、上記で調製した各被験試料について、唾液分泌促進効果を評価した。評価結果(3名のパネルの平均値)を表3及び図2に示す。
なお、とろみあり試料の粘度はすべて20mPa・s、とろみなし試料の粘度はすべて1mPa・sであった(20℃)。
この結果からわかるように、酵素処理イソクエルシトリンの唾液分泌促進作用(唾液分泌増加作用)は、増粘多糖類を配合してとろみを付けることで増大することが判明した。一方、増粘多糖類配合による唾液分泌促進作用(唾液分泌増加作用)の増大効果は、ケルセチンそのもの、並びに酵素処理イソクエルシトリンと同様にケルセチン配糖体であるαGルチンには認められず、酵素処理イソクエルシトリン特有の効果であることも判明した。
以上の結果から、唾液分泌促進剤として、酵素処理イソクエルシトリンに加えて増粘多糖類等を配合してとろみを付けた口腔用組成物または経口用組成物を口から摂取することにより、唾液分泌量が一層顕著に増加することが判明した。このことから、当該唾液分泌促進剤は、口腔用または経口用組成物に唾液分泌促進作用を付与するための添加剤として有用であると考えられる。また当該唾液分泌促進剤は嚥下補助剤としても有用であると考えられる。
実験例3
(1)被験試料の調整
表4の処方に示す量の各種素材を粉体混合し、卓上錠剤成型機(市橋精機(株)製)を用いて、1錠当たり1.5gとなるように、打圧5kNで圧縮成型(打錠)することにより、酵素処理イソクエルシトリンを含有する錠剤を調製した(タブレットサイズ18mmφ)。
(2)唾液分泌促進効果の評価とその結果
実験例1と同様にして(パネリストも同じ)、上記で調製した各被験試料について、唾液分泌促進効果を評価した。
(3)評価結果
3名のパネルの平均値を、ブランク(水)を用いて測定した唾液分泌量を1として標準化した数値(相対値)で示し、唾液分泌量を評価した。実施例の唾液分泌量(水で標準化)から比較例の唾液分泌量(水で標準化)を引いた値は1.52であった。酵素処理イソクエルシトリンを含有する錠剤の服用・摂取により、酵素処理イソクエルシトリンを含有しない錠剤の服用・摂取と比べて、唾液分泌量が顕著に増加した。

Claims (9)

  1. 酵素処理イソクエルシトリンを有効成分とする唾液分泌促進剤。
  2. さらに増粘多糖類を含有する、請求項1に記載する唾液分泌促進剤。
  3. 口腔用または経口用組成物の形態を有する請求項1または2に記載する唾液分泌促進剤。
  4. シロップ剤、ドリンク剤、液剤、乳剤、油剤、噴霧剤、ゲル剤、ペースト剤、錠剤、チュアブル剤、トローチ剤、丸剤、顆粒剤、散剤、ドライシロップ剤、フィルム剤、またはスティック状製剤の形態を有する請求項1乃至3のいずれかに記載する唾液分泌促進剤。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の唾液分泌促進剤を含有する飲食品。
  6. 酵素処理イソクエルシトリンを有効成分として配合する工程を有する唾液分泌促進剤の調製方法。
  7. さらに増粘多糖類を配合する工程を有する請求項6に記載する調製方法。
  8. 唾液分泌促進剤を製造するための酵素処理イソクエルシトリンの使用。
  9. 唾液分泌促進剤を製造するための酵素処理イソクエルシトリン及び増粘多糖類の使用。
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