JP2017105089A - 造形装置 - Google Patents

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Kenji Karashima
賢司 辛島
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達也 多田
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Hiroichi Usami
博一 宇佐美
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崇 加瀬
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理 山中
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Abstract

【課題】材料層の転写性を向上させる。
【解決手段】与えられた画像データに基づき、材料層を形成する画像形成部と、前記画像形成部により形成された前記材料層を搬送する第1の搬送体と、前記第1の搬送体から転写される前記材料層を搬送する中間搬送体と、前記中間搬送体との間に形成されるニップ部で前記第中間搬送体から転写される前記材料層をステージに向けて搬送する第2の搬送体と、前記中間搬送体から前記第2の搬送体に前記材料層を転写するための電圧を前記ニップ部に印加する電圧印加手段と、を有し、前記中間搬送体は、少なくとも表面に絶縁層を有し、前記第2の搬送体は、導電性を有する基層と、体積抵抗率が前記絶縁層より低い中抵抗の表層とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、造形装置に関するものである。
近年、アディティブマニファクチャリング(AM)、3次元プリンタ、ラピッドプロトタイピング(RP)等で呼称される、立体造形技術が注目を集めている(本明細書ではこれらの技術を総称してAM技術と呼ぶ)。AM技術は、立体物の3次元形状データをスライスした形状データを複数生成し、その各スライス形状データを基に造形材料により各レイヤーを形成し、造形材料のレイヤーを順次積層し固着することで、立体物を造形する技術である。主な造形方式として、ASTM(米国試験材料協会)の定義によれば、次のような方式が存在する。それは、液槽光重合(Vat photopolymerization;VP)、材料押出し(Material extrusion;ME):溶融物堆積法(FDM)、シート積層(Sheet lamination;SL)などである。
シート積層タイプのAM技術としては、電子写真式画像形成法を用いた粉末立体造形法が知られている。
一般に、電子写真方式では、各造形材料ごとに各感光体上にそれぞれ画像を形成し、樹脂などの材料からなるベルト上に各画像を順次、転写することで、各造形材料からなる各画像を1枚(1層)の画像に仕上げている。
特許文献2には、感光体上の画像を耐熱性の高い材料からなる誘電性ベルトに転写して積層する方法が記載されている。また、導電基層の表面に誘電層を設けたベルトで、感光体と積層ベルトを兼ねる構成が記載されている。
特許文献1には、柔軟性をもたせるために、基層を金属やポリマーで形成し、表層にテフロン(登録商標)をコートした積層ベルトへ、感光体から画像を転写する構成が記載されている。
米国特許第5088047号明細書 特表平8−511217号公報
積層造形時に、画像を加熱することで、画像を形成する造形材料を溶融状態にして積層を行っていく場合、積層部で用いられるベルトには十分な耐熱性が求められる。
一般に、ベルトは樹脂材料を主原料として作成されており、原料によっては、造形材料を溶融するときの温度に耐えられないことや、瞬間的や短期での使用には問題がなくても、長時間の連続使用において、伸びてしまったりすることが懸念される。
そこで、1層分の画像を形成する画像形成部で用いるベルト(以下、中間転写ベルト)とは別に、積層部で用いるベルト(以下、積層ベルト)を設けることが考えられる。
さらに、画像形成部で形成された1層分の画像に画像不良が発生した場合に、その画像を構成している造形材料を迅速に除去するために、中間転写ベルトと積層ベルトの間に中間搬送体(以下、中間バッファローラ)を設けることが考えられる。中間バッファローラには中間転写ベルトから画像が転写され、中間バッファローラに転写された画像が正常であれば、その画像は中間バッファローラから積層ベルトに転写され積層部で積層される。
中間バッファローラに転写された画像に画像不良が発生していれば、その画像を構成している造形材料を中間バッファローラから除去して積層ベルトに転写されないようにする。このように中間バッファローラを設けることで、積層不良を未然に防ぎ、それまでに積層された積層途中の造形物を無駄にすることなく、積層を継続することができる。
ここで中間バッファローラを備える場合、中抵抗材料で形成されている中間転写ベルトから画像を転写するために、中間バッファローラの表面には絶縁層が設けられるが、このような中間バッファローラから積層ベルトへ画像を転写するのは困難である。例えば、金属製の単層の積層ベルトに中間バッファローラから画像を転写する場合には、中間バッファローラと金属ベルトの間での放電の発生により、転写のための十分な電圧印加ができないことが懸念される。また、表面に絶縁物をコートした金属基層の積層ベルトに中間バッファローラから画像を転写する場合には、中間バッファローラの表面にも絶縁層が設けられているため、絶縁層上から絶縁層上への転写となり、転写性が低下することが懸念される。
本発明は、画像形成部で形成された材料層が第1の搬送体及び中間搬送体を介して、ステージに向けて材料層を搬送する第2の搬送体に転写される造形装置において、中間搬送体から第2の搬送体への材料層の転写性を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するために本発明にあっては、
ステージ上に造形材料からなる材料層を積層することによって3次元の立体物を形成する造形装置において、
与えられた画像データに基づき、前記材料層を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により形成された前記材料層を搬送する第1の搬送体と、
前記第1の搬送体から転写される前記材料層を搬送する中間搬送体と、
前記中間搬送体との間に形成されるニップ部で前記中間搬送体から転写される前記材料層を前記ステージに向けて搬送する第2の搬送体と、
前記中間搬送体から前記第2の搬送体に前記材料層を転写するための電圧を前記ニップ部に印加する電圧印加手段と、
を有し、
前記中間搬送体は、少なくとも表面に絶縁層を有し、
前記第2の搬送体は、導電性を有する基層と、体積抵抗率が前記絶縁層より低い中抵抗の表層とを備える
ことを特徴とする。
本発明によれば、画像形成部で形成された材料層が第1の搬送体及び中間搬送体を介して、ステージに向けて材料層を搬送する第2の搬送体に転写される造形装置において、中間搬送体から第2の搬送体への材料層の転写性を向上させることが可能となる。
実施例1に係る造形装置の全体構成を模式的に示す図 実施例1の積層ベルトを示す概略断面図 実施例2に係る造形装置の全体構成を模式的に示す図
以下、この発明を実施するための形態を図面を参照して例示的に説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている各部材の寸法、材質、形状、その相対配置など、各種制御の手順、制御パラメータ、目標値などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範
囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
本発明は、AM技術、すなわち、造形材料を2次元に配置した薄層、もしくはそれを溶融した薄膜を積層することによって3次元の立体物(造形物)を作製する技術を採用した造形装置に関する。
造形材料としては、作製する立体物の用途・機能・目的などに応じてさまざまな材料を選択することができる。本明細書では、造形目的である3次元の立体物を構成する材料を「構造材料」と呼ぶ。以下、構造材料からなる部分を構造体と呼ぶ場合がある。また、積層途中の構造体を支持するためのサポート体(例えばオーバーハング部を下から支える構造)を構成する材料を「サポート材料」と呼ぶ。また両者を特に区別する必要がない場合には、単に「造形材料」という用語を用いる。構造材料としては、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、ABS、PS(ポリスチレン)など、熱可塑性の樹脂を用いることができる。また、サポート材料としては、構造体からの除去を簡単にするため、熱可塑性と水溶性を有する材料を好ましく用いることができる。サポート材料としては、例えば、糖質、ポリ乳酸(PLA)、PVA(ポリビニルアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)などを例示できる。
また、本明細書では、1層分の画像の形成に用いられるデジタルデータを「スライス形状データ」と呼ぶ。スライス形状データに基づき造形材料で形成される1層分の画像を「材料層」と呼ぶ。この1層分の画像は、複数の画像形成部で形成された画像により構成されるものであり、各画像形成部で形成される画像を「材料画像」と呼ぶ場合がある。また、造形装置を用いて作製しようとする目的の構造体(つまり造形装置に与えられる画像データ(3次元形状データ)が表す物体)を「造形対象物」と呼び、造形装置で作製された(出力された)物体(立体物)を「造形物」と呼ぶ。造形物がサポート体を含む場合において、サポート体を除いた部分である構造体が造形対象物の立体物となる。
<実施例1>
[造形装置の全体構成]
図1を参照して、本発明の実施例1に係る造形装置の全体構成について説明する。図1は、本実施例に係る造形装置の全体構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、造形装置1は、概略、制御ユニットU1、画像形成ユニットU2、積層ユニットU3、中間ユニットU4を有して構成される。制御ユニットU1は、造形対象物の3次元形状データから複数層のスライス形状データを生成する処理、造形装置1の各部の制御などを担うユニットである。画像形成ユニットU2は、電子写真プロセスを利用して造形材料からなる材料層を形成するユニットである。そして、積層ユニットU3は、画像形成ユニットU2で形成され、中間ユニットU4を経て送られて来た複数層の材料層を順に積層し固着することによって、造形物を形成するユニットである。中間ユニットU4は、画像形成ユニットU2で形成された材料層を中間転写ベルト11から受け取り、受け取った材料層を積層ユニットU3に受け渡すユニットである。なお、図1に示すユニット構成はあくまでも一例であり、他の構成を採用した造形装置においても本発明を好適に適用することができる。
[制御ユニット]
以下に、制御ユニットU1の構成を説明する。
図1に示すように、制御ユニットU1は、その機能として、3次元形状データ入力部U10、スライス形状データ計算部U11、画像形成ユニット制御部U12、積層ユニット制御部U13などを有する。
3次元形状データ入力部U10は、外部装置(例えばパソコンなど)から造形対象物の3次元形状データを受け付ける機能を有する。3次元形状データとしては、3次元CAD、3次元モデラー、3次元スキャナなどで作成・出力されたデータを用いることができる。そのファイル形式は問わないが、例えば、STL(StereoLithograph
y)ファイル形式を好ましく用いることができる。
スライス形状データ計算部U11は、3次元形状データで表現された造形対象物を所定のピッチでスライスして各層の断面形状を計算し、その断面形状を基に画像形成ユニットU2で画像形成に用いるデータ(スライス形状データ)を生成する機能を有する。さらに、スライス形状データ計算部U11は、3次元形状データ又は上下層のスライス形状データを解析して、オーバーハング部(宙に浮く部分)の有無を判断し、必要に応じてスライス形状データに、サポート体の形成に用いられるデータを含ませる。
画像形成ユニット制御部U12は、スライス形状データ計算部U11で生成されたスライス形状データを基に、画像形成ユニットU2における画像形成プロセスを制御する機能を有する。また、積層ユニット制御部U13は、積層ユニットU3における積層プロセスを制御する機能を有する。
また、図示しないが、制御ユニットU1は、操作部、表示部、記憶部も備える。操作部は、ユーザからの指示を受け付ける機能を有する。例えば、電源のオン/オフ、装置の各種設定、動作指示などの入力が可能である。表示部は、ユーザへの情報提示を行う機能を有する。例えば、各種設定画面、エラーメッセージ、動作状況などの提示が可能である。記憶部は、3次元形状データ、スライス形状データ、各種設定値などを記憶する機能を有する。
制御ユニットU1は、ハードウエア的には、CPU(中央演算処理装置)、メモリ、補助記憶装置(ハードディスク、フラッシュメモリなど)、入力デバイス、表示デバイス、各種I/Fを具備したコンピュータにより構成することができる。上述した各機能U10〜U13は、補助記憶装置などに格納されたプログラムをCPUが読み込んで実行し、必要なデバイスを制御することで実現されるものである。ただし、上述した機能のうちの一部又は全部をASICやFPGAなどの回路で構成したり、あるいは、クラウドコンピューティングやグリッドコンピューティングなどの技術を利用して他のコンピュータに実行させてもよい。
[画像形成ユニット]
次に、画像形成ユニットU2の構成を説明する。
画像形成ユニットU2は、電子写真プロセスを利用して造形材料からなる材料層を形成するユニットである。電子写真プロセスとは、感光体(像担持体)を帯電し、露光によって感光体上に潜像を形成し、感光体上の潜像部分に現像剤粒子を付着させて、感光体上に現像剤像を形成するという一連のプロセスによって、所望の画像を形成する手法である。造形装置における電子写真プロセスの原理は、複写機等の2Dプリンタで用いられているものと共通する。しかし、造形装置では現像剤として用いられる造形材料の特性がトナー材料とは異なるものを用いるため、2Dプリンタにおけるプロセス制御や部材構造をそのまま利用できない場合も多い。
図1に示すように、画像形成ユニットU2は、第1の画像形成部10a、第2の画像形成部10b、第1の搬送体としての中間転写ベルト11、ベルトクリーニング装置12、第1の転写装置104a、第2の転写装置104bを備えている。画像形成部10aと画像形成部10bは、異なる造形材料を用いて材料画像を形成するための画像形成手段であり、それぞれ感光体、帯電装置、露光装置、現像装置、クリーニング装置を有する。
これらの画像形成部10a,10bは、中間転写ベルト11の表面に沿って並んで配置され、中間転写ベルト11の回転方向(中間転写ベルト表面の移動方向)において、画像形成部10aよりも下流側に画像形成部10bが位置している。
(画像形成部)
画像形成部10a,10bの詳細については、一般的な電子写真方式を使うものとして
詳細な説明は省略する。
(転写装置)
転写装置104a,104bは、画像形成部10a,10bで形成された材料画像を中間転写ベルト11の表面上へと転写させる転写手段である。
転写装置104a,104bは、中間転写ベルト11を挟んで、画像形成部10a,10b内部の感光体の反対側に配置されている。そして、感光体上の材料画像の帯電極性と逆極性の電圧が転写装置104a,104bに印加されることで、感光体上の材料画像が静電的に中間転写ベルト11側へと転写される。ここで、感光体から中間転写ベルト11への転写を1次転写とも称す。なお、本実施例ではローラ転写方式を用いているが、コロナ放電を利用した転写方式や、静電転写方式以外の転写方式を用いても構わない。
(中間転写ベルト)
中間転写ベルト11は、各画像形成部10で形成された材料画像が、各画像形成部10から転写される転写体である。画像形成部10aから中間転写ベルト11に構造材料で形成される材料画像が転写された後、それと中間転写ベルト11上の位置を合わせて、画像形成部10aよりも下流側の画像形成部10bからサポート材料で形成される材料画像が転写される。
このことで、中間転写ベルト11の表面上に1枚分(1層分)の材料層が形成される。
中間転写ベルト11は、樹脂、ポリイミドなどの材料からなる体積抵抗率1×10〜1011Ω・cm程度の無端状のベルトであり、図1に示すように、複数のローラ110,111に張架されている。なお、ローラ110,111の他にテンションローラを設け、中間転写ベルト11のテンションを調整できるようにしてもよい。
ローラ111は駆動ローラであり、画像形成時には不図示のモータの駆動力によって中間転写ベルト11を図中反時計周りに回転させる。また、ローラ110は、中間ユニットU4の中間搬送体としての中間バッファローラ61との間で2次転写部N2を形成する中抵抗の弾性層を備えるローラであり、以下、2次転写ローラという。材料層を中間転写ベルト11から中間バッファローラ61へ転写する場合には、不図示の電源より2次転写ローラ110に、材料層を構成する造形材料の帯電極性と同極性の電圧が印加され、材料層が中間バッファローラ61上に転写される。
(ベルトクリーニング装置)
ベルトクリーニング装置12は、中間転写ベルト11の表面に残留した造形材料をクリーニングする手段である。本実施例では、中間転写ベルト11に対し当接させたクリーニングブレードによって材料を掻き落とすブレード方式のクリーニング装置を採用するが、ブラシ方式や静電吸着方式など他の方式のクリーニング装置を用いてもよい。
[中間ユニット]
次に、中間ユニットU4の構成を説明する。
図1に示すように、中間ユニットU4は、後述する中間バッファローラ61とこれに当接するブレードクリーニング手段62と画像検知センサ41を備えている。以下、中間ユニットU4の各部の構成について詳しく説明する。
(中間バッファローラ)
次に、中間バッファローラ61の構成を説明する。
中間バッファローラ61は、画像形成ユニットU2で形成された材料層を中間転写ベルト11から受け取り、積層ユニットU3の積層ベルト30に渡す機能を有する。
中間バッファローラ61は、金属ローラ61aの表面(外周面)に樹脂、ポリイミドなどの絶縁性の材料で形成された絶縁層61bを有し、図1において時計回りに回転し、画像形成ユニットU2の2次転写ローラ110と、積層ベルト30それぞれに対向している
。金属ローラ61aは不図示の構成により電気的に接地されている。ここで、絶縁層61bは、PTFE、PFA、FEP、ETFE、ポリイミドなどで構成され、体積抵抗率が室温で1×1014Ω・cm以上であるとよい。ここで、PTFEは、ポリテトラフルオロエチレンであり、PFAは、テトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体であり、FEPは、テトラフルオロエチレン ヘキサフルオロプロピレン共重合体である。また、ETFEは、エチレン テトラフルオロエチレン共重合体である。
中間バッファローラ61は、画像形成ユニットU2の2次転写ローラ110との間で中間転写ベルト11を挟み込むことで、2次転写部N2を形成する。そして、2次転写ローラ110に、不図示の電源により材料層を構成する造形材料の帯電極性と同極性の電圧が印加されることで、中間転写ベルト11から2次転写ローラ110に材料層が転写される。
さらに、中間バッファローラ61は、積層ユニットU3の積層ベルト30との間に、ニップ部として3次転写部N3を形成している。そして、電圧印加手段としての電源32によりローラ303,304を通して積層ベルト30の基層30aに、材料層を構成する造形材料の帯電極性とは逆極性の電圧が印加されることで、材料層が中間バッファローラ61から積層ベルト30へと転写される。
ここで、2次転写部N2と3次転写部N3の位置関係としては、中間バッファローラ61の回転方向で、2次転写部N2の下流に3次転写部N3が位置するように構成されている。上述のように、2次転写部N2で2次転写ローラ110から中間バッファローラ61に転写された材料層は、金属ローラ61aの回転に伴い2次転写部N2の下流の3次転写部N3まで移動して、3次転写部N3で積層ベルト30に転写される。
(クリーニング手段)
ブレードクリーニング手段62はブレード形状部を有する部材であり、本実施例ではウレタンゴム製の板状部材で構成している。ブレードクリーニング手段62は、中間バッファローラ61の回転方向において、3次転写部N3よりも下流で、積層ベルト30に材料層が転写された後の中間バッファローラ61表面に当接するように構成されている。そして、ブレードクリーニング手段62は、常にそのエッジ部(稜線)が中間バッファローラ61表面に当接することで、中間バッファローラ61上に残留した造形材料等を除去する。
(画像検知センサ)
画像検知センサ41は、中間バッファローラ61上の材料層を読み取る検知手段である。画像検知センサ41の検知結果は、材料層の位置合わせ、積層位置への搬送タイミング制御、異常検出などに利用される。ここで、材料層に異常が検知された場合には制御ユニットU1へその情報が送られる。そして、制御ユニットU1は、積層ベルト30の基層30aに印加する電圧の極性を通常の転写時とは逆の極性、すなわち材料層を構成する造形材料の帯電極性と同極性に変更するように指示を出す。積層ベルト30の基層30aに印加される電圧の極性が、材料層を構成する造形材料の帯電極性と同極性に変更されることで、異常が検出された材料層は中間バッファローラ61から積層ベルト30へ転写されることなく、3次転写部N3を通過することとなる。そして、異常が検出された材料層は、中間バッファローラ61の回転方向で3次転写部N3よりも下流へ移動してブレードクリーニング手段62により、中間バッファローラ61上から除去される。
このような構成により、異常が検出された材料層が積層ユニットU3にて積層されることを防止することができる。
[積層ユニット]
次に、積層ユニットU3の構成を説明する。
積層ユニットU3は、画像形成ユニットU2で形成され、中間ユニットU4を経て搬送される複数層の材料層を順に積層し固着することによって、造形物を形成するユニットである。
図1に示すように、積層ユニットU3は、第2の搬送体としての積層ベルト30、ヒータ33、ステージ34を備えている。以下、積層ユニットU3の各部の構成について詳しく説明する。
(積層ベルト)
図2は、本実施例の積層ベルト30を示す概略断面図である。
積層ベルト30は、画像形成ユニットU2で形成された材料層を中間転写ベルト11を介して中間バッファローラ61から受け取り、その材料層を積層位置まで担持搬送する部材である。積層位置とは、材料層の積層(積層途中の造形物への積み上げ)のために、積層途中の造形物の積層面と材料層との接触が行われる位置であり、図1の構成では、積層ベルト30のうちヒータ33とステージ34とで挟まれる部分が、積層位置に該当する。
積層ベルト30は、基層30aと表層30bを有する無端状のベルトである。基層30aは、体積抵抗率が10Ω・cm以下であることが好ましい。具体的には、ステンレス、ニッケル、銅などの電気導電性に優れた金属や、カーボンなどの導電性フィラーを分散させ導電性を持たせたポリイミドなどの樹脂により40〜600μmの厚みで構成されている。そして、表層30bは、樹脂、ポリイミドなどに導電性フィラーを分散させてなる中抵抗材料(体積抵抗率1×10〜1013Ω・cm)により10〜120μmの厚みで構成されている。ここで、3次転写部N3では、積層ベルト30の表層30bと、中間バッファローラ61の絶縁層61bが接触している。
そして積層ベルト30は、図1に示すように、張架部材として複数のローラ35,301,302,303,304に張架されている。また、ローラ35,303,304は金属製のローラである。ローラ303,304は、同一の電源32に接続され、積層ベルト30の導電性の基層30aに接触することにより、基層30aに電圧が印加されるように構成されている。
ローラ35は軸受部で他の部材と電気的に絶縁されている。ローラ301,302のうち少なくともいずれかが駆動ローラであり、不図示のモータの駆動力によって積層ベルト30が図中反時計回りに回転される。また、ローラ303,304は、積層ベルト30のテンションの調整と、積層位置を通過する積層ベルト30の部分(つまり積層時の材料層)を平らに保つ役割も担うローラ対である。
(ヒータ)
ヒータ33は、積層位置に搬送された材料層の温度を制御する温度制御手段である。ヒータ33としては、例えば、セラミックヒータ、ハロゲンヒータなどを用いることができる。
ここで、温度制御手段としては、加熱するためのヒータだけでなく、放熱ないし冷却により材料層の温度を積極的に低下させる構成をさらに有するものであってもよい。また、ヒータ33は、電源32から電圧が印加される導電性の基層30aに接触するため、ヒータ33のうち基層30aとの接触部は、熱伝導性が高く、電気的に絶縁性が高い窒化アルミなどで構成してもよい。なお、ヒータ33は、その下面(積層ベルト30に対向する側の面)が平面となっており、積層位置を通過する積層ベルト30のガイドと、材料層に均等な圧力を加える押圧部材の役割も兼ねている。
(ステージ)
ステージ34は、造形物が積層される平面台である。ステージ34は、不図示のアクチュエータによって上下方向(積層位置の積層ベルト30のベルト面(ステージ表面(上面
)に垂直な方向)に移動可能に構成されている。積層位置まで担持搬送された積層ベルト30上の材料層をヒータ33との間で挟み込み、加熱、加圧(必要に応じて放熱ないし冷却)を行うことで、積層ベルト30側からステージ34側へと材料層を転写させる。1層目の材料層はステージ34の上に直接転写され、2層目以降の材料層はステージ上の造形物の上に積み上げられていく。このように本実施例では、ヒータ33とステージ34によって、材料層を積層する積層手段が構成される。
(温度調整手段)
加熱手段である加熱ヒータ37a,37bは、積層後に積層ベルト30上に残留した造形材料を除去するために、積層ベルト30上に残留した造形材料の温度を調整するための機構である。
加熱ヒータ37a,37bは、積層ベルト30のうちローラ302とローラ35の間に張架されたベルト部分を挟み込むように配置されている。そして、加熱ヒータ37a,37bは、積層工程より後の工程として、積層後に積層ベルト30上に残留した造形材料を加熱(ABSの場合には140℃以上に加熱)して溶融する。
(クリーニング手段)
ウエブクリーニング手段51は不織布からなるウエブを有し、積層位置よりも中間転写ベルト11の回転方向下流側で、ウエブにより積層ベルト30表面を擦ることで、積層ベルト30上に残留した造形材料を除去するものである。
ウエブクリーニング手段51は、一対のローラを有し、一対のローラのうち一方のローラにウエブが巻かれ、他方のローラにウエブの一端が固定されており、ウエブが積層ベルト30表面に当接するように配置されている。
そして、積層ベルト30表面との当接部でのウエブの速度が一定になるように、他方のローラを回転させながらウエブを巻き取ることで、積層ベルト30上に残留した造形材料がウエブにより擦り取られ、積層ベルト30表面から除去される。
本実施例では、積層ベルト30の基層30aを中間バッファローラ61に対する対向電極として作用させ、さらに、表層30bとして中抵抗層を設けることで、放電の発生を抑制するとともに、転写性の低下を抑えることができる。
また、基層30aをステンレス、ニッケル、銅などの金属で構成することで、ポリイミドなどの樹脂で構成するよりも熱伝導性を高めることが可能となり、ベルト裏面側からの加熱時に、加熱時間の短縮などを図ることが可能となる。ここで、各部材の熱伝導率は、ステンレスで約25W/m・K、ニッケルで約26W/m・K、銅で約370W/m・K、ポリイミドで約0.3W/m・Kである。
また、本実施例では、積層ベルト30のうち2つのローラ35,301間に張架されたベルト部分を中間バッファローラ61に押し当てて3次転写部N3を構成している。これにより、3次転写部N3において、積層ベルト30を挟んで中間バッファローラ61に対向して配置され、積層ベルト30を中間バッファローラ61に押しつける対向ローラを設ける必要がなくなる。このことにより、熱の影響による対向ローラの変形などに伴う3次転写部N3の圧不均一性や転写ニップ形状不安定性といった要因を低減し、より安定した転写ニップの形成ができる。
また、加熱ヒータ37a,37b及びウエブクリーニング手段51を通過後の積層ベルト30のベルト部分は、100℃以上の高い温度になっている。そのため、積層ベルト30に常時接触している弾性体を有する対向ローラでは、この弾性体が熱の影響により硬化や変形などを起こすことが懸念される。これに対して本実施例においては、このような対向ローラを不要とするものであり、また、積層ベルト30自体には、この程度の熱による変質、変形は生じないため、より安定した転写ニップの形成が可能となる。
[造形装置の動作]
次に、本実施例の造形装置の動作について説明する。
ここでは既に制御ユニットU1によるスライス形状データの生成処理は完了しているものとして、各層の材料層を形成するプロセスと、材料層を積層するプロセスを順に説明する。
(画像形成プロセス)
まず、制御ユニットU1により、画像形成部10で静電方式により形成された材料層が、転写装置104aによって中間転写ベルト11上へと1次転写される。それぞれの画像形成部10a,10bで形成された2つの材料画像が中間転写ベルト11上で位置合わせして転写され、構造材料とサポート材料からなる1層分の材料層が形成される。
(積層プロセス)
上記のように材料層の形成動作が行われている間、中間バッファローラ61と中間転写ベルト11は、接触した状態で、同じ速度で同期回転している。
そして、中間転写ベルト11に担持された材料層の前端が2次転写部N2に到達するタイミングに合わせて、制御ユニットU1が2次転写ローラ110に所定の転写電圧を印加することで、材料層が中間転写ベルト11から中間バッファローラ61へ転写される。
中間バッファローラ61は、同じ速度のまま回転を続け、中間転写ベルト11から転写された材料層を、積層ベルト30との間に形成された3次転写部N3まで搬送する。また、搬送中に材料層は画像検知センサ41によりチェックされ、画像に問題がなければ、3次転写部N3において、中間バッファローラ61から積層ベルト30へ転写される。画像に問題がある場合には、3次転写部N3での積層ベルト30への転写は行われず、中間バッファローラ61上に保持されたままブレードクリーニング手段62まで搬送され、除去される。
中間バッファローラ61から積層ベルト30上に転写された材料層は、積層ベルト30の回転により、積層位置まで搬送される。積層ベルト30上の材料層が積層位置に到達するタイミングで、制御ユニットU1は積層ベルト30の回転駆動を停止し、材料層を積層位置に位置決めする。
その後、制御ユニットU1はステージ34を上昇させ(積層ベルト30の表面に近づけ)、ステージ表面(1層目の場合)又はステージ表面上に形成された造形物の上面(2層目以降の場合)を積層ベルト30上の材料層に接触させる。
この状態のまま、制御ユニットU1は、所定の温度制御シーケンスにしたがって、ヒータ33の温度を制御する。具体的には、最初に、第1の目標温度までヒータ33を加熱する第1の温度制御モードを所定時間行って、材料層を構成する造形材料を熱溶融させる。これにより、材料層が軟化し、ステージ表面又は造形中の造形物上面と、シート状の材料層とが密着する。その後、第1の目標温度よりも低い第2の目標温度となるようにヒータ33を制御する第2の温度制御モードを所定時間行い、軟化した材料層を固化させる。第2の温度制御モード終了後、制御ユニットU1はステージ34を下降させる(積層ベルト30から離間させる)。このようにして、1層分の材料層の積層が完了する。
ここで、温度制御シーケンス、目標温度、加熱時間などは、画像形成に用いられる造形材料の特性に応じて設定される。例えば、第1の温度制御モードにおける第1の目標温度は、画像形成に用いられる各造形材料の融点もしくはガラス転移点のうち最も高い温度よりも高い値に設定される。一方、第2の温度制御モードにおける第2の目標温度は、画像形成に用いられる各造形材料の結晶化温度もしくは非晶質材のガラス転移点のうち最も低い温度よりも低い値に設定される。
このような温度制御を行うことにより、異なる熱溶融特性をもつ複数種類の造形材料が混在した材料層の全体を共通の溶融温度領域で熱可塑化(軟化)させた後、共通の固化温
度領域で材料層全体を固化させることができる。したがって、複数種類の造形材料が混在した材料層の溶融・固着を安定して行うことが可能になる。
なお、第1の温度制御モード及び第2の温度制御モードにおいては、温度の制御域が広過ぎると、温度制御を安定化させるのに時間がかかり、積層プロセス時間が必要以上にかかってしまう。それゆえ、第1の目標温度の制御域は、画像形成に用いられる各造形材料の融点もしくはガラス転移点のうち最も高い温度を下限温度とし、上限温度は下限温度の+50℃程度に設定するとよい。同じように、第2の目標温度の制御域は、画像形成に用いられる各造形材料の結晶化温度もしくは非晶質材のガラス転移点のうち最も低い温度を上限温度とし、下限温度は上限温度の−50℃程度に設定するとよい。例えば、構造材料としてABS(ガラス転移点:130℃)を用い、サポート材料としてマルトテトラオース(ガラス転移点:156℃)を用いた場合には、次のように設定すればよい。すなわち、第1の目標温度の制御域を下限150℃〜上限190℃とし、第2の目標温度の制御域を下限90℃〜上限130℃にすればよい。
材料層の積層が終了した後は、積層ベルト30上に残留した造形材料を除去するクリーニングプロセスの実行が開始される。
残留造形材料として積層ベルト30上に固着したまま、積層ベルト30とローラ302の接触領域を通過すると、加熱ヒータ37a,37bによって加熱(ABSとマルトテトラオースの場合には160℃以上に加熱)され溶融化される。
続いて、積層ベルト30に当接しているウエブクリーニング手段51によって擦り取られ、積層ベルト30上から残留造形材料が除去される。
クリーニングプロセス終了後、次の材料層を形成するための画像形成プロセスの実行が開始される。
以上述べた画像形成プロセスと積層プロセスを必要回数繰り返すことで、ステージ34上に所望の造形物が形成される。
最後に、ステージ34から、作製した造形物を取り外し、温水などで水溶性のサポート体を除去することで、所望の造形対象物を得ることができる。サポート体を除去した後、造形対象物に対して表面処理や組立などの所定の処理を施すことにより、最終製品を得てもよい。
以上説明したように、本実施例では、積層ベルト30を金属の基層30aと、中抵抗材料で形成された表層30bの2層構成としている。
このように、基層30aを電気伝導性に優れた材料で構成し、この基層30aを、電源32に接続されたローラ303,304に接触させることで、積層ベルト30を3次転写部N3における電極として機能させることができる。そして、表層30bを中抵抗層とすることで、3次転写部N3での放電の発生や転写性の低下を抑えることができる。これにより、3次転写部N3における材料層の転写を良好に行うことができる。したがって、本実施例によれば、3次転写部N3における中間バッファローラ61から積層ベルト30への材料層の転写性を向上させることが可能となる。
また、本実施例では、積層ベルト30の基層30aを金属で形成している。このため、ベルト裏面側のヒータ33からの熱を効率よく表層30b上にある材料層に伝えることができる。これにより、ヒータ33における過剰加熱や加熱時間の増大を抑制することができる。
また、本実施例によれば、3次転写部N3において、積層ベルト30を挟んで中間バッファローラ61に対向して配置され、積層ベルト30を中間バッファローラ61に押しつける対向ローラを設ける必要がなくなる。このことにより、熱の影響による対向ローラの変形などに伴う3次転写部N3の圧不均一性や転写ニップ形状不安定性といった要因を低
減し、より安定した転写ニップの形成ができる。また、上記対向ローラを設けずに3次転写部N3を構成することで、造形装置における構成設計の自由度を高めることができる。
ここで、本実施例では、ローラ35を設けているが、これに限るものではない。例えば積層ベルト30をローラ301,302,303,304で張架する構成とし、ローラ301,302間で張架された部分が、中間バッファローラ61と対向当接することで3次転写部N3を構成するようにしてもよい。積層ユニットU3による熱の影響が、画像形成ユニットU2に及ばない範囲で、画像形成ユニットU2、積層ユニットU3、中間ユニットU4の位置がそれぞれ設定されるものであればよい。
また、本実施例では、表層30bの体積抵抗率の好適な範囲を1×10〜1013Ω・cmとしているが、これに限るものではなく、絶縁層61bの体積抵抗率より低く、3次転写部N3での転写性が良好となる範囲で適宜設定されればよい。
<実施例2>
図3は、本発明の実施例2に係る造形装置の全体構成を模式的に示す図である。
なお、本実施例においては、中間ユニット以外の構成は実施例1と同じなので、実施例1と異なる構成について説明し、実施例1と同様の構成についての説明は省略する。
上述した実施例1では、積層ベルト30のうちローラ35とローラ301で張架された部分と、中間バッファローラ61との間で3次転写部N3が形成されるものであった。
これに対して、本実施例では、積層ベルト30を挟んで中間バッファローラ61に対向する対向ローラ31を設けている。そして、対向ローラ31と中間バッファローラ61との間で、積層ベルト30を挟み込み密着するように構成することで、中間バッファローラ61と積層ベルト30との間に3次転写部N3を形成している。本実施例において、対向ローラ31は、SUSなどの金属からなる芯金に、弾性層としてのゴム層が形成されることで構成されている。ここで、対向ローラ31は第1の部材に相当する。
また、実施例1では、金属製のローラ303,304を通して積層ベルト30の基層30aに、材料層を構成する造形材料の帯電極性とは逆極性の電圧が印加されることで、材料層が中間バッファローラ61から積層ベルト30へと転写されるものであった。このとき、中間バッファローラ61の金属ローラ61aは電気的に接地されていた。
これに対して、本実施例では、ローラ303,304を電気的に接地し、ローラ303,304に接触している積層ベルト30の導電性の基層30aを電気的に接地する構成としている。そして、中間バッファローラ61に、材料層を構成する造形材料の帯電極性と同極性の電圧を印加することで、材料層が中間バッファローラ61から積層ベルト30へと転写されるように構成している。
以下に、本実施例の中間ユニットU4の構成について詳しく説明する。
(中間バッファローラ)
中間バッファローラ61においては、金属ローラ61aが電源63に接続され、材料層を構成する造形材料の帯電極性と同極性で、2次転写ローラ110に印加される電圧の絶対値より小さな値の電圧が印加されるように構成されている。
(画像検知センサ)
材料層に異常が検知された場合には、制御ユニットU1へその情報が送られる。本実施例においては、制御ユニットU1は、中間ユニットU4の中間バッファローラ61に印加する電圧を通常の転写時とは逆の極性、すなわち、すなわち材料層を構成する造形材料の帯電極性とは逆極性に変更するように指示を出す。
そのため、異常が検出された材料層は、中間バッファローラ61から積層ベルト30へ転写されることなく、3次転写部N3を通過することとなる。そして、異常が検出された材料層は、中間バッファローラ61の回転方向で3次転写部N3よりも下流へ移動してブレードクリーニング手段62により、中間バッファローラ61上から除去される。
このような構成により、本実施例においても、実施例1同様、異常が検出された材料層が積層ユニットU3にて積層されることを防止することができる。
以上説明した各実施例は本発明の実施形態の例示を旨とするものであり、本発明の範囲内において可能な限り組み合わせたり変更を加えたりすることが可能である。
例えば、実施例1では、中間バッファローラ61を電気的に接地し、積層ベルト30の基層30aに電圧を印加することで、中間バッファローラ61から積層ベルト30へ材料層を転写するものであったが、これに限るものではない。すなわち、中間バッファローラ61から積層ベルト30へ材料層を転写させるための電圧が3次転写部N3に印加されるものであればよく、例えば、中間バッファローラ61に電圧を印加し、積層ベルト30の基層30aを電気的に接地するように構成してもよい。
また、中間バッファローラ61に電圧を印加する構成の実施例2では、中間バッファローラ61と2次転写ローラ110それぞれに電圧が印加され、中間転写ベルト11から中間バッファローラ61へ材料層を転写させるものであった。しかし、中間転写ベルト11から中間バッファローラ61へ材料層を転写させるための電位差が2次転写部N2に形成されるものであればよく、中間バッファローラ61に電圧を印加する構成とした場合には、2次転写ローラ110を接地するように構成してもよい。
また、中間バッファローラ61に電圧を印加する構成とした場合には、中間バッファローラ61が、次のような第1の位置と第2の位置との間を移動可能となるように構成するとよい。第1の位置は、中間バッファローラ61が、中間転写ベルト11と積層ベルト30のうち中間転写ベルト11のみに接触し、2次転写部N2を形成する位置である。第2の位置は、中間バッファローラ61が、中間転写ベルト11と積層ベルト30のうち積層ベルト30のみに接触し、3次転写部N3を形成する位置である。
このように構成することで、中間転写ベルト11から中間バッファローラ61への材料層の2次転写、中間バッファローラ61から積層ベルト30への材料層の3次転写をそれぞれ好適に行うことができる。
また、実施例1のような、中間バッファローラ61を接地する構成において、実施例2のように3次転写部N3を形成するための対向ローラ31を設けてもよい。
また、上述の実施例1,2では、中間搬送体として中間バッファローラ61を用いたが、これに限るものではない。中間転写体は少なくとも表面に絶縁層を有するものであればよく、例えば、導電性の基層を有し、表層に絶縁層を有するベルト状の部材を用いてもよい。また、第1の搬送体、第2の搬送体としてベルト形状の部材を用いているが、これに限定されるものではなく、ドラム状の部材を用いても良い。
1…造形装置、10…画像形成部、11…中間転写ベルト、30…積層ベルト、30a…基層、30b…表層、32…電源、34…ステージ、61…中間バッファローラ、110…2次転写ローラ

Claims (7)

  1. ステージ上に造形材料からなる材料層を積層することによって3次元の立体物を形成する造形装置において、
    与えられた画像データに基づき、前記材料層を形成する画像形成部と、
    前記画像形成部により形成された前記材料層を搬送する第1の搬送体と、
    前記第1の搬送体から転写される前記材料層を搬送する中間搬送体と、
    前記中間搬送体との間に形成されるニップ部で前記中間搬送体から転写される前記材料層を前記ステージに向けて搬送する第2の搬送体と、
    前記中間搬送体から前記第2の搬送体に前記材料層を転写するための電圧を前記ニップ部に印加する電圧印加手段と、
    を有し、
    前記中間搬送体は、少なくとも表面に絶縁層を有し、
    前記第2の搬送体は、導電性を有する基層と、体積抵抗率が前記絶縁層より低い中抵抗の表層とを備える
    ことを特徴とする造形装置。
  2. 前記電圧印加手段は、前記基層と前記中間搬送体との間に電圧を印加する
    ことを特徴とする請求項1に記載の造形装置。
  3. 前記基層は金属で形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の造形装置。
  4. 前記中間搬送体は、金属製のローラの外周面に前記絶縁層が形成された部材である
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の造形装置。
  5. 前記第2の搬送体がベルト状の部材であって、前記第2の搬送体を張架する複数の張架部材を有し、
    前記ニップ部を形成するために、前記複数の張架部材のうち隣り合う2つの張架部材の間に張られた前記第2の搬送体と前記絶縁層が接触するように、前記中間搬送体が配置されている
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の造形装置。
  6. 前記ニップ部において、前記中間搬送体との間で前記第2の搬送体を挟むように配置された第1の部材を有する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の造形装置。
  7. 前記中間搬送体は、電気的に接地され、
    前記電圧印加手段は、前記基層に電圧を印加する
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の造形装置。
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