JP2017104827A - 分離装置の使用方法及び分離装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】膜分離を停止し再開する際の透過流束の低下をより抑制する。
【解決手段】本発明の分離装置の使用方法は、フェノール樹脂の製造工程から排出された、水及びフェノールを含む処理対象液を、水を選択的に透過させるゼオライト膜を備えた膜分離部で処理する分離装置の使用方法であって、膜分離部を用いて処理対象液から水を分離する膜分離処理を行う膜分離工程と、膜分離処理の停止後、次回の膜分離処理を開始するまでの間に、膜分離部からの液の排出を行う液排出工程を含む。液排出工程では、さらに、膜分離部内の減圧を行うことが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の分離装置の使用方法は、フェノール樹脂の製造工程から排出された、水及びフェノールを含む処理対象液を、水を選択的に透過させるゼオライト膜を備えた膜分離部で処理する分離装置の使用方法であって、膜分離部を用いて処理対象液から水を分離する膜分離処理を行う膜分離工程と、膜分離処理の停止後、次回の膜分離処理を開始するまでの間に、膜分離部からの液の排出を行う液排出工程を含む。液排出工程では、さらに、膜分離部内の減圧を行うことが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、分離装置の使用方法及び分離装置に関する。
従来、フェノール樹脂の製造工程などにおいて排出される廃液から膜分離によりフェノールを分離、回収することが検討されている。例えば、フェノール含有排水を減圧下で蒸発、凝縮させ、ついで凝縮した排水をゼオライト膜を備えた分離装置に供給して減圧側の透過液からフェノールを分離、回収することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、分離膜を利用したパーベーパレーション法によりフェノールを回収する際に、分離膜に吸着した低分子量のフェノール樹脂縮合物を、フェノールを含有する水溶液を用いて洗浄、除去する工程を設けることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、フェノール含有排水に凝集剤を添加して不純物を凝集除去した後、残液をメンブランフィルターで濾過し、濾液をパーベーパレーション膜で処理することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
ところで、上述した膜分離プロセスでは、膜分離を停止し再開する際に、透過流束が低下することがあった。このため、水及びフェノールを含む廃液の膜分離処理において、膜分離を停止し再開する際の透過流束の低下をより抑制することが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、膜分離を停止し再開する際の透過流束の低下を抑制することを主目的とする。
上述の主目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究した。そうしたところ、膜分離の停止後次回の膜分離を開始するまでの間に、膜分離部からの液の排出を行うことで、透過流束の低下を抑制できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の分離装置の使用方法は、
フェノール樹脂の製造工程から排出された、水及びフェノールを含む処理対象液を、水を選択的に透過させるゼオライト膜を備えた膜分離部で処理する分離装置の使用方法であって、
前記膜分離部を用いて前記処理対象液から水を分離する膜分離処理を行う膜分離工程と、
前記膜分離処理の停止後、次回の膜分離処理を開始するまでの間に、前記膜分離部からの液の排出を行う液排出工程と、
を含むものである。
フェノール樹脂の製造工程から排出された、水及びフェノールを含む処理対象液を、水を選択的に透過させるゼオライト膜を備えた膜分離部で処理する分離装置の使用方法であって、
前記膜分離部を用いて前記処理対象液から水を分離する膜分離処理を行う膜分離工程と、
前記膜分離処理の停止後、次回の膜分離処理を開始するまでの間に、前記膜分離部からの液の排出を行う液排出工程と、
を含むものである。
また、本発明の分離装置は、
フェノール樹脂の製造工程から排出された、水及びフェノールを含む処理対象液を処理する分離装置であって、
水を選択的に透過させるゼオライト膜を備えた膜分離部と、
前記処理対象液を前記膜分離部へ送液し前記膜分離部から液を排出する流通部と、
前記膜分離部を用いて前記処理対象液から水を分離する膜分離を行った後、次回の膜分離を開始するまでの間に、前記膜分離部からの液の排出を行うように、前記流通部を制御する制御部と、
を備えたものである。
フェノール樹脂の製造工程から排出された、水及びフェノールを含む処理対象液を処理する分離装置であって、
水を選択的に透過させるゼオライト膜を備えた膜分離部と、
前記処理対象液を前記膜分離部へ送液し前記膜分離部から液を排出する流通部と、
前記膜分離部を用いて前記処理対象液から水を分離する膜分離を行った後、次回の膜分離を開始するまでの間に、前記膜分離部からの液の排出を行うように、前記流通部を制御する制御部と、
を備えたものである。
本発明の分離装置の使用方法及び分離装置では、膜分離を停止し再開する際の透過流束の低下を抑制できる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。一般的に、フェノール樹脂は、フェノールとホルマリンとをシュウ酸などの触媒の存在下で反応させて合成される。合成時に排出される廃液には、フェノール樹脂の合成時に残留した未反応フェノールや水、ホルムアルデヒド、低分子重合物、触媒などが含まれる。ところで、膜分離を停止する際、膜分離部を処理対象となる液と接した状態に保持して保管することがある。こうすれば、膜分離を停止する際や次回の開始を簡便に行うことができる。しかし、膜分離部を上述の廃液と接した状態に保持して放置すると、廃液中の成分であるフェノールやフェノール樹脂、フェノール樹脂の原料となるホルムアルデヒド等がゼオライト膜表面に付着したり、フェノール樹脂の原料となるフェノールやホルムアルデヒドなどが多孔質基材やゼオライト膜の内部に滞留してフェノール樹脂が生成されたりすることにより、透過流束の低下を生じることがある。これに対して、本発明では、膜分離を停止し再開するまでの間に、分離部からの液の排出により分離部から液を除去することで、上述の廃液中の成分の膜表面への付着や、フェノール樹脂の原料となるホルムアルデヒド等の膜内や基材内での滞留を低減することができるため、透過流束の低下を抑制できると考えられる。
本発明の分離装置の使用方法は、フェノール樹脂の製造工程から排出された、水及びフェノールを含む処理対象液を、水を選択的に透過させるゼオライト膜を備えた膜分離部で処理する分離装置の使用方法である。この使用方法は、膜分離部を用いて処理対象液から水を分離する膜分離処理を行う膜分離工程と、膜分離処理の停止後、次回の膜分離処理を開始するまでの間に、膜分離部からの液の排出を行う液排出工程と、を含む。
以下には、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に用いる分離装置の一例である、分離装置10の構成の概略を示す構成図である。図2は、分離装置10に用いられる、ゼオライト膜45を備えた膜フィルタ41の構成の概略を示す説明図である。
まず、分離装置10について説明する。分離装置10は、処理対象液を収容する収容部20と、収容部20から供給された処理対象液を分離する膜分離部40と、を備えている。収容部20は、処理対象液を収容できるものであれば、単なる収容容器でもよいし、容器内の液の温度を調整する温度調整装置を有する容器でもよい。膜分離部40は、水を選択的に透過させるゼオライト膜45が形成された膜フィルタ41(図2参照)と、膜フィルタ41を収容する容器46と、を備えている。膜分離部40には、図示しない圧力センサが接続されており、この圧力センサによって容器46内の圧力や透過側空間の圧力などが検出される。膜分離部40には、その内部を流通する液の温度を調整する温度調整装置が設けられていてもよい。
分離装置10は、処理対象液を収容部20に供給する供給経路11と、収容部20から膜分離部40を介して収容部20へ液を循環する循環経路12と、膜分離部40でゼオライト膜45を透過した透過流体を取り出す透過側経路13と、を備えている。
循環経路12は、液を流通させる送液ポンプ22と、循環経路12を流通する液の温度を膜分離に適した温度となるように加熱する加熱器23と、を備えている。また、循環経路12は、膜分離部40の入口側に配設された入口側バルブ25と、膜分離部40の出口側に配設された出口側バルブ26と、を備えている。循環経路12には、膜分離部40の出口側に、循環経路12を循環する液の一部又は全部を取り出し可能な取出経路14が接続されている。取出経路14には、取出バルブ27が配設されており、必要に応じて循環経路12を循環する液を取出経路14側に流通させることができるように構成されている。また、循環経路12には、膜分離部40の入口側に、膜分離部40内の液を排出する際に用いる液排出経路15が接続されている。液排出経路15には、液排出バルブ28が配設されており、膜分離部40内の液を排出する際に液排出バルブ28を開とすると、膜分離部40内の液が下方に向けて流通して、膜分離部40内の液が排出されるように構成されている。
透過側経路13は、透過側空間(例えば透過側経路13内)を減圧する真空ポンプ32(本発明の減圧装置に相当)と、真空ポンプ32により透過側経路13に導かれた透過流体を冷却する冷却器33と、冷却器33で冷却されて液化した透過流体を貯留する貯留部35と、を備えている。また、透過側経路13は、膜分離部40から透過側経路13への入口に配設された透過側バルブ36を備えている。貯留部35は、単なる貯留容器でもよいし、液体窒素トラップなどのコールドトラップでもよいし、その両方を備えていてもよい。
膜分離部40は、セル42を介して循環経路12を液が流通する供給側空間(一次側空間)と、膜フィルタ41から透過側経路13へ分離された透過流体が流通する透過側空間(二次側空間)とにゼオライト膜45及び多孔質基材44により隔てられている。
膜フィルタ41は、図2に示すように、処理対象液の流路となる複数のセル42を形成する基材としての多孔質基材44と、多孔質基材44の内表面に設けられ処理対象液の分離機能を有するゼオライト膜45とを備えている。このように、ゼオライト膜45が多孔質基材44の表面に形成されることにより、ゼオライト膜45を薄膜としても、多孔質基材44に支えられてその形状を維持し破損等を防止することができる。この膜フィルタ41では、入口側からセル42へ入った液のうち、ゼオライト膜45を透過可能な分子サイズを有する水が、ゼオライト膜45及び多孔質基材44を透過し、膜フィルタ41の側面から送出される。一方、ゼオライト膜45を透過できないフェノールは、セル42の流路に沿って流通し、セル42の出口側から送出される。
多孔質基材44は、複数のセル42を備えたモノリス構造を有しているものとしてもよいし、1つのセルを備えたチューブラー構造を有しているものとしてもよい。その外形は、特に限定されないが、円柱状、楕円柱状、四角柱状、六角柱状などの形状とすることができる。あるいは、多孔質基材44は、断面多角形の管状としてもよい。この多孔質基材44は、気孔径の大きな粗粒部44aの表面に気孔径の小さな細粒部44bが形成された二層以上の多層構造を有しているものとしてもよい。粗粒部44aの気孔径は、例えば、0.1μm〜数100μm程度とすることができる。細粒部44bの気孔径は、粗粒部44aの気孔径に比して小さければよく、例えば、気孔径が0.001〜1μm程度のものとすることができる。こうすれば、多孔質基材44の透過抵抗を低減することができる。多孔質基材44を構成する材料としては、アルミナ(α−アルミナ、γ−アルミナ、陽極酸化アルミナ等)、ジルコニア等のセラミックスやステンレスなどの金属等を挙げることができ、基材の作製、入手の容易さの点から、アルミナが好ましい。アルミナとしては、平均粒径0.001〜30μmのアルミナ粒子を原料として成形、焼結させたものが好ましい。
ゼオライト膜45は、水及びフェノールを含む処理対象液から、選択的に水を分離するものである。ここで、「水を選択的に分離する」とは、処理対象液から純度100%の水を分離して取り出すだけでなく、処理対象液の組成と比較して水の含有率が高くなった溶液または気体を分離して取り出すことも含む。例えば、純度90%以上の水や純度95%以上の水を分離して取り出すものとしてもよい。また、「脱水」というときは、水を選択的に分離することをいう。
ゼオライト膜45における、ゼオライトの種類は特に限定されるものではなく、例えば、LTA(A型)、MFI(ZSM−5、シリカライト)、MOR(モルデナイト)、AFI(SSZ−24)、FER(フェリエライト)、FAU(X型、T型)、DDR(デカ−ドデカシル−3R)などとすることができる。ゼオライト膜45は、酸素8員環であり、かつ、組成(モル比)がSiO2/Al2O3≧5を満たすことが好ましく、DDR型ゼオライトがより好ましい。DDRは、主成分がシリカからなる結晶であり、その細孔は酸素8員環を含む多面体によって形成されているとともに、酸素8員環の細孔径は4.4×3.6Åであることが知られている。DDRは、主成分がシリカであり、SiO2/Al2O3のモル比率(以下シリカアルミナ比とも称する)が大きい(例えば200以上、好ましくは無限大)ため、耐酸性に優れている。耐酸性に関しては、例えばA型ゼオライトは、シリカアルミナ比が約2であり、アルミナの含有率が高いため、DDR型ゼオライトより耐酸性が低い。T型ゼオライトは、A型と比較するとシリカの含有率が若干高いものの、シリカアルミナ比が6〜8と低いためDDR型ゼオライトより耐酸性が低い。また、MOR型ゼオライトは、シリカ含有率が更に高いが、シリカ/アルミナ比が40以下程度であるためDDR型ゼオライトより耐酸性が低い。このように、DDR型ゼオライト膜は、耐酸性が高いため、水及びフェノールを含む酸性の液体の処理に適している。また、DDR型ゼオライト膜は、強い親水性により水を選択的に透過させるA型ゼオライト膜などと異なり、分子篩効果によって混合物中の水を透過させるため、A型ゼオライト膜などに比して耐水性が高い。
DDR型ゼオライト膜の製造方法は、特に限定されるものではなく、緻密なDDR型ゼオライト膜を形成できればよい。例えば、特開2003−159518号公報に記載のDDR型ゼオライト膜の製造方法のように、1−アダマンタンアミンとシリカとの含有割合(1−アダマンタンアミン/SiO2)がモル比で0.03〜0.4、水とシリカとの含有割合(水/SiO2)がモル比で20〜500、さらにエチレンジアミンと1−アダマンタンアミンとの含有割合(エチレンジアミン/1−アダマンタンアミン)がモル比で5〜32である原料溶液と、種結晶となるDDR型ゼオライト粉末とを用いて、水熱合成することにより形成したものとしてもよい。
次に、分離装置10の使用方法について説明する。この使用方法は、(A)膜分離部40を用いて処理対象液から水を分離する膜分離処理を行う膜分離工程と、(B)膜分離処理の停止後、次回の膜分離処理を開始するまでの間に、膜分離部40からの液の排出を行う液排出工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
(A)膜分離工程
この工程では、浸透気化法(パーベーパレーション(PV)法)により、膜分離部40を用いて処理対象液から水を分離する処理を行う。処理対象液は、フェノール樹脂の製造時に排出されたそのままの液(原液)としてもよいし、この原液に対して濾過や静置分離などの処理をしたものとしてもよい。
この工程では、浸透気化法(パーベーパレーション(PV)法)により、膜分離部40を用いて処理対象液から水を分離する処理を行う。処理対象液は、フェノール樹脂の製造時に排出されたそのままの液(原液)としてもよいし、この原液に対して濾過や静置分離などの処理をしたものとしてもよい。
供給部11から供給する処理対象液は、上述したような各種フェノール樹脂の製造工程から排出されるものであり、一般には、フェノール樹脂の原料であるフェノールやホルマリン(ホルムアルデヒド+水+メタノール)、触媒(水酸化ナトリウム、アンモニア、アミン、シュウ酸、塩酸、スルホン酸など)などが含まれる。処理対象液は、フェノールを5質量%以上含んでもよいし、10質量%以上含んでもよいし、30質量%以上含んでもよい。また、処理対象液は、フェノールを95質量%以下含んでもよいし、90質量%以下含んでもよいし、80質量%以下含んでもよい。また、処理対象液は、水を5質量%以上含んでもよいし、10質量%以上含んでもよいし、20質量%以上含んでもよい。処理対象液は、水を95質量%以下含んでもよいし、90質量%以下含んでもよいし、70質量%以下含んでもよい。
膜分離工程を開始する際には、入口側バルブ25、出口側バルブ26及び透過側バルブ36を開く。また、取出バルブ27及び液排出バルブ28を閉じる。そして、供給経路11から収容部20に処理対象液を供給し、送液ポンプ22、加熱器23、真空ポンプ32及び冷却器33を稼働させる。すると、収容部20に収容された処理対象液は、まず、送液ポンプ22によって膜分離部40まで送液され、膜分離部40に達すると膜分離によって水を分離する処理が行われる。処理対象液は、膜分離部40に達する前に、加熱器23によって、膜分離部40に達する時に所定の分離温度となるように加熱される。分離温度は、90℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。80℃以下では、液内でのフェノール樹脂等の反応生成物の生成をより抑制できる。分離温度は、50℃以上や60℃以上などとしてもよい。
膜分離部40では、真空ポンプ32で透過側経路13(透過側空間)を減圧することにより、ゼオライト膜45を透過可能な透過流体がセル42からゼオライト膜45を経て流体経路13側へ透過し、この透過流体は、冷却器33で例えば10℃以下や5℃以下などに冷却されて液化し(水になり)、貯留部35に貯留される。このとき、透過側空間の真空度(二次圧)は、1.3kPa(10Torr)以上13kPa(100Torr)以下が好ましく、4.0kPa(30Torr)以上9.3kPa(70Torr)以下がより好ましい。また、分離部40への処理対象液の供給流量速度は、セル42内における線速が1.5m/s以上3.0m/s以下の範囲内となるような速度が好ましい。あるいは、分離部40への処理対象液の供給流量速度は、セル42内におけるレイノルズ数が2000以上10000以下となるような速度が好ましい。供給流量速度は、例えば、送液ポンプ22で調整することができる。貯留部35に貯留される液に含まれるフェノールの濃度は1000ppm以下であることが好ましい。フェノールの濃度が1000ppm以下であれば、汎用的な生物処理法で環境中に排出可能な濃度までフェノールの濃度を低減できる。
膜分離部40において、ゼオライト膜45を透過しなかった液は、循環経路12を流通して、収容部20に収容され、再び、送液ポンプ22によって膜分離部40まで送液され、膜分離によって水を分離する処理が行われる。こうして、循環経路12を流通する液が所定の組成となるまで(例えばフェノールの濃度が所定濃度以上となるまでや、水濃度が所定濃度以下となるまで)膜分離を継続する。循環経路12を流通する液が所定の組成に達したら、取出バルブ27を開として、膜分離済みの液の一部を取出経路14から取り出すとともに、この取り出し量に応じた量の処理対象液を供給経路11から収容部20に供給しながら、フィードアンドブリード式の膜分離を行う。取出経路14から取り出される液や収容部20に収容される液は、供給経路11から供給される処理対象液よりもフェノールの濃度が高ければよいが、フェノールを、50質量%以上含むことが好ましく、60質量%以上含むことがより好ましく、70質量%以上含むことがさらに好ましい。フェノールを多く含むものとすれば、例えば、フェノール樹脂の原料として再利用するのに適している。
(B)液排出工程
この工程では、膜分離部40からの液の排出を行う。具体的には、送液ポンプ22を停止し、液排出バルブ28を開いて(このとき入口側バルブ25及び出口側バルブ26は開のままである。なお、出口側バルブ26は閉としてもよい)、膜分離部40からの液の排出を行う。膜分離部40からの液の排出を行うことで、透過流束の低下を抑制できる。
この工程では、膜分離部40からの液の排出を行う。具体的には、送液ポンプ22を停止し、液排出バルブ28を開いて(このとき入口側バルブ25及び出口側バルブ26は開のままである。なお、出口側バルブ26は閉としてもよい)、膜分離部40からの液の排出を行う。膜分離部40からの液の排出を行うことで、透過流束の低下を抑制できる。
この工程では、液の排出に先立って、循環経路12内を流通する液の温度を例えば90℃以下や60℃以下などに低下させてもよい。この温度は、例えば、20℃以上や30℃以上としてもよい。温度を低下させる処理は、具体的には、例えば、加熱器23を停止し、送液ポンプ22で液を循環させて、液の温度を低下させる処理としてもよいし、加熱器23と送液ポンプ22の両方を停止し、その状態で液の温度を低下させる処理としてもよい。
この工程では、液の排出の後に、膜分離部40内の減圧を行ってもよい。膜分離部40内の減圧を行うことで、透過流束の低下をより抑制できる。膜分離部40内の減圧は、例えば、以下のように行うものとしてもよい。液の排出が終了したら、入口側バルブ25及び出口側バルブ26を閉じ、真空ポンプ32を用いて、膜分離部40内をゼオライト膜45の透過側から減圧する。真空ポンプ32を用いた減圧は、30分以上行うことが好ましく、1時間以上行うことがより好ましく、2時間以上行うことがさらに好ましい。こうすれば、透過流束の低下をより抑制できる。この減圧時間の下限は特に限定されないが、例えば、24時間以下や12時間以下、6時間以下などとすることができる。膜分離部40内は、67kPa以下まで減圧することが好ましく、13kPa以下まで減圧することがより好ましく、9.3kPa以下まで減圧することがさらに好ましい。こうすれば、透過流束の低下をより抑制できる。膜分離部40内の気圧の下限は特に限定されないが、例えば、1.3kPa以上や4.0kPa以上などとしてもよい。膜分離部40内の真空度は、膜分離部40での膜分離に必要な性能を有する真空ポンプ32で調整可能な範囲であれば、膜分離に用いる真空ポンプ32をそのまま用いることができるため、好ましい。膜分離部40内の気圧が所望の気圧に達したら、そのまま減圧の処理を終了してもよいし、透過側バルブ36を閉じてから減圧の処理を終了してもよい。減圧の処理を終了する際には、送液ポンプ22や加熱器23、真空ポンプ32、冷却器33などは停止させてもよい。また、収容部20内や貯留部35内の液体は、そのまま残してもよいし、取り出してもよい。減圧の処理が終了したら、その状態(減圧状態)を保持してもよいし、入口側バルブ25、出口側バルブ26及び透過側バルブのうちの1以上を開として、減圧状態を解除してもよい。
液排出工程は、膜分離処理を停止する度に毎回行ってもよいし、毎回は行わなくてもよい。例えば、膜分離処理の停止回数が所定回数(例えば3回や5回)に達した場合に液排出工程を行い、それまでは液排出工程を行わないものとしてもよい。また、例えば、膜分離処理の停止後、次回の膜分離処理を開始するまでの時間が所定時間以上(例えば24時間以上や48時間以上など)である場合に液排出工程を行い、それ以外は液排出工程を行わないものとしてもよい。膜分離部40が液と接触した状態で放置されている時間が長いほど、透過流束が低下しやすいからである。液排出工程を行わないときには、例えば、入口側バルブ25、出口側バルブ26、透過側バルブ36を閉じて膜分離部40内に液を滞留させた状態で停止させてもよい。また、液排出工程において、膜分離部40内の減圧を行う場合、液排出工程の度に毎回行ってもよいし、毎回は行わなくてもよい。例えば、膜分離処理の停止回数が所定回数(例えば3回や5回)に達した場合や膜分離部40内の減圧を行わない液排出工程の回数が所定回数(例えば3回や5回)に達した場合に膜分離部40内の減圧を行い、それまでは膜分離部40内の減圧は行わないものとしてもよい。また、例えば、膜分離処理の停止後、次回の膜分離処理を開始するまでの時間が所定時間以上(例えば24時間以上や48時間以上など)である場合に膜分離部40内の減圧を行い、それ以外は膜分離部40内の減圧は行わないものとしてもよい。
以上説明した実施形態の分離装置10の使用方法では、膜分離処理を停止し再開するまでの間に、膜分離部40からの液の排出を行うため、液に含まれる成分やそれらの反応生成物が、膜分離処理を停止し再開するまでの間に多孔質基材44やゼオライト膜45の表面や内部に付着することを抑制できると考えられる。こうして、透過流束の低下を抑制できると考えられる。また、膜分離処理を停止し再開するまでの間に、膜分離部40からの液の排出を行うため、多孔質基材44やゼオライト膜45の内部に滞留するフェノールやホルムアルデヒドなど(液に含まれる成分やそれらの反応生成物)を低減できると考えられる。こうして、膜分離処理を再開したときの透過流体中へのフェノールやホルムアルデヒドなどの漏れを低減することもできると考えられる。また、膜分離部40内の減圧を行った場合には、膜分離処理の停止前に多孔質基材44やゼオライト膜45の表面や内部に付着しあるいは滞留した、液に含まれる成分やそれらの反応生成物が除去されると考えられる。こうして、透過流束の低下をより抑制できるし、透過流体中へのフェノールやホルムアルデヒド等の漏れをより低減できると考えられる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
上述した実施形態では、分離装置10は、多孔質基材44にDDR型ゼオライト膜45を形成した膜フィルタ41として説明したが、DDR型ゼオライト膜を有していればよく、多孔質基材44を省略してもよい。
上述した実施形態では、分離装置10は、加熱器23を備えるものとしたが、収容部20や膜分離部40などの構成で液温を調整できる場合には、加熱器23を省略してもよい。
上述した実施形態では、膜分離工程において、フィードアンドブリード式の膜分離を行うものとしたが、これに限定されない。例えば、供給経路11からの処理対象液の供給や、取出経路14からの液の取り出しを行わない、回分式の膜分離を行ってもよい。また、循環経路12内で液を循環させない、連続式の膜分離を行ってもよい。
上述した実施形態では、液排出工程において、送液ポンプ22を停止し、液排出バルブ28を開として、膜分離部40の下方(入口側)から液の排出を行うものとしたが、これに限定されない。例えば、入口側バルブ25を閉とするなどして膜分離部40への液の供給を止めるとともに、送液ポンプ22や、取出経路14に設けられた図示しない送液ポンプ等を用いて、膜分離部40の上方(出口側)から液の排出を行ってもよい。また、例えば、送液ポンプ22を停止するだけで、液排出バルブ28を開としなくてもよい。こうしても、膜分離部40から液を排出できる。
また、液排出工程において、膜分離部40内の減圧を行う場合、液の排出を行ってから膜分離部40内の減圧を行うものとしたが、これに限定されない。例えば、液の排出を行いながら膜分離部40内の減圧を行うものとしてもよい。液の排出を行いながら膜分離部40内の減圧を行う場合、膜分離部40の下方(入口側)から液の排出を行うとともに、出口側バルブ26を閉として真空ポンプ32を用いて膜分離部40内を減圧してもよい。また、膜分離部40の上方(出口側)から液の排出を行うとともに、入り口側バルブ25を閉として真空ポンプ32を用いて膜分離部40内を減圧してもよい。
上述した実施形態では、液排出工程において、真空ポンプ32を用いて減圧したが、その他の減圧装置を用いて減圧してもよい。また、液排出工程において、膜分離部40内を透過側から減圧したが、供給側から減圧してもよいし、透過側からの減圧と供給側からの減圧とを組み合わせて行ってもよい。透過側から減圧すれば、多孔質基材44に付着した付着物をより多く除去できると考えられるし、供給側から減圧すれば、ゼオライト膜45に付着した付着物をより多く除去できると考えられる。
上述した実施形態では、分離装置10の使用方法について説明したが、この使用方法を実現する分離装置10Bとしてもよい。図3は、分離装置10Bの構成の概略を示す構成図である。分離装置10Bにおいて、分離装置10と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。分離装置10Bは、送液ポンプ22、真空ポンプ32、入口側バルブ25及び出口側バルブ26に接続された、制御部29を備えている。制御部29は、CPUなどを備えたコントローラとして構成されている。この制御部29が、分離装置10の使用方法で説明したように、すなわち、膜分離部40を用いて処理対象液から水を分離する膜分離を行った後、次回の膜分離を開始するまでの間に、膜分離部40からの液の排出及び必要に応じて膜分離部40内の減圧を行うように、送液ポンプ22、真空ポンプ32、入口側バルブ25及び出口側バルブ26を制御することで、分離装置10の使用方法と同様の動作を分離装置10Bで実現できる。なお、分離装置10Bの液排出工程において膜分離部40内の減圧を行わない場合には、制御部29は、真空ポンプ32、入口側バルブ25及び出口側バルブ26には接続されていなくてもよい。また、制御部29は、さらに、加熱器23、冷却器33、取出バルブ27、液排出バルブ28、透過側バルブ36、収容部20の温度調整装置及び膜分離部40の温度調整装置のうちの1以上に接続され、分離装置10の使用方法と同様の動作を分離装置10Bで実現するものとしてもよい。なお、分離装置10Bにおいて、透過側経路13及び真空ポンプ32(又は減圧装置)が本発明の減圧部に相当し、循環経路12、送液ポンプ22及び液排出経路15が流通部に相当し、入口側バルブ25及び出口側バルブ26が開閉切換部に相当する。
以下には、分離装置10を具体的に使用した例について説明する。なお、実験例1,2が本発明の実施例に相当し、実験例3,4が比較例に相当する。
(供試液の準備)
処理対象液として、フェノール樹脂の製造工程から排出された廃液を準備した。この供試液のフェノール濃度、ホルムアルデヒド濃度及び水濃度を測定したところ、それぞれ、73質量%、0.4質量%、24.8質量%であった。なお、フェノール濃度の測定にはガスクロマトグラフ(GC/FID)を用い、ホルムアルデヒド濃度の測定には高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用い、水濃度の測定にはガスクロマトグラフ(GC/TCD)を用いた。
処理対象液として、フェノール樹脂の製造工程から排出された廃液を準備した。この供試液のフェノール濃度、ホルムアルデヒド濃度及び水濃度を測定したところ、それぞれ、73質量%、0.4質量%、24.8質量%であった。なお、フェノール濃度の測定にはガスクロマトグラフ(GC/FID)を用い、ホルムアルデヒド濃度の測定には高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用い、水濃度の測定にはガスクロマトグラフ(GC/TCD)を用いた。
(膜フィルタの作製)
多孔質基材として、直径30mm長さ160mmのモノリス形状でアルミナ製の多孔質基材を用意した。この多孔質基材の表面に以下のようにDDR型ゼオライト膜(水を選択的に透過させるゼオライト膜)を形成し、膜フィルタを作製した。
多孔質基材として、直径30mm長さ160mmのモノリス形状でアルミナ製の多孔質基材を用意した。この多孔質基材の表面に以下のようにDDR型ゼオライト膜(水を選択的に透過させるゼオライト膜)を形成し、膜フィルタを作製した。
まず、フッ素樹脂製の広口瓶に18.63gのエチレンジアミン(和光純薬工業製)を入れた後、2.94gの1−アダマンタンアミン(アルドリッチ社製)を加え、1−アダマンタンアミンの沈殿が残らないように溶解した。別のビーカーに161.61gの水を入れ、66.00gの30質量%シリカゾル(スノーテックスS、日産化学社製)を加えて軽く撹拌した後、これをエチレンジアミンと1−アダマンタンアミンを混ぜておいた広口瓶に加えて強く振り混ぜた。その後、その広口瓶をシェーカーにセットし、500rpmでさらに1時間振り混ぜ、成膜ゾルを作製した。成膜ゾルの、1−アダマンタンアミン/シリカ比は0.0589、水/シリカ比は35、エチレンジアミン/1−アダマンタンアミン比は16であった(いずれもモル比)。
次に、多孔質基材にDDR型ゼオライト微粉末を塗布し、フッ素樹脂製内筒付きステンレス製耐圧容器内に配置した。その後、成膜ゾルを耐圧容器に注ぎ、150℃で16時間、加熱処理(水熱合成)を行った。加熱処理後、この基体表面にDDR型ゼオライト膜が形成されていた。水洗、乾燥した後、大気中、電気炉で0.1℃/minの速度で750℃まで昇温して4時間保持後、1℃/minの速度で室温まで冷却した。
(膜分離試験)
上記作製した膜フィルタを用いて、図1の分離装置10を作成し、膜分離試験を4時間行った。具体的には、上記作製した膜フィルタのセル内に上述した供試液を線速1.75m/sで流通させた。供試液から水を分離する分離温度は、80℃とした。膜フィルタの側面から真空ポンプ32を用いて約6.7kPa(50Torr)の真空度で減圧し、膜フィルタの側面からの透過蒸気を冷却器33で冷却して貯留部35に捕集した。捕集した透過蒸気の液体物の質量から、単位時間あたりに単位面積のゼオライト膜45を透過した流体の量(透過流束[kg/(m2・hr)])を算出した。
上記作製した膜フィルタを用いて、図1の分離装置10を作成し、膜分離試験を4時間行った。具体的には、上記作製した膜フィルタのセル内に上述した供試液を線速1.75m/sで流通させた。供試液から水を分離する分離温度は、80℃とした。膜フィルタの側面から真空ポンプ32を用いて約6.7kPa(50Torr)の真空度で減圧し、膜フィルタの側面からの透過蒸気を冷却器33で冷却して貯留部35に捕集した。捕集した透過蒸気の液体物の質量から、単位時間あたりに単位面積のゼオライト膜45を透過した流体の量(透過流束[kg/(m2・hr)])を算出した。
(停止方法の検討)
上述した膜分離試験を1回の膜分離試験とし、毎回2日以上の装置停止をはさみ、5回繰り返した。装置停止方法として、実験例1〜4の4通りの方法を実施し、透過流束の低下度合いを比較し、好適な停止方法を検討した。
上述した膜分離試験を1回の膜分離試験とし、毎回2日以上の装置停止をはさみ、5回繰り返した。装置停止方法として、実験例1〜4の4通りの方法を実施し、透過流束の低下度合いを比較し、好適な停止方法を検討した。
[実験例1]
膜分離試験停止後、膜分離部40内の液温が40℃まで低下するのを待って、液排出バルブ28を開いて膜分離部40内から液を排出した。その後、入口側バルブ25及び出口側バルブ26を閉じて、膜分離部40内を膜フィルタの側面から真空ポンプ32を用いて約6.7kPaの真空度で2時間減圧し、その後、透過側バルブ36を閉じた。この状態で丸2日以上保持した。
膜分離試験停止後、膜分離部40内の液温が40℃まで低下するのを待って、液排出バルブ28を開いて膜分離部40内から液を排出した。その後、入口側バルブ25及び出口側バルブ26を閉じて、膜分離部40内を膜フィルタの側面から真空ポンプ32を用いて約6.7kPaの真空度で2時間減圧し、その後、透過側バルブ36を閉じた。この状態で丸2日以上保持した。
[実験例2]
膜分離試験停止後、膜分離部40内の液温が40℃まで低下するのを待って、液排出バルブ28を開いて膜分離部40内から液を排出した。この状態で丸2日以上保持した。
膜分離試験停止後、膜分離部40内の液温が40℃まで低下するのを待って、液排出バルブ28を開いて膜分離部40内から液を排出した。この状態で丸2日以上保持した。
[実験例3]
膜分離試験停止後、膜分離部40からの液の排出も、膜分離部40内の減圧も行わず、そのままの状態で丸2日以上停止した。
膜分離試験停止後、膜分離部40からの液の排出も、膜分離部40内の減圧も行わず、そのままの状態で丸2日以上停止した。
[実験例4]
膜分離試験停止後、膜分離部40内の液温が40℃まで低下するのを待って、膜分離部40内の液を排出することなく入口側バルブ25及び出口側バルブ26を閉じた。次に膜分離部40内を膜フィルタの側面から真空ポンプ32を用いて約6.7kPaの真空度で2時間減圧し、その後、透過側バルブ36を閉じた。この状態で丸2日以上停止した。
膜分離試験停止後、膜分離部40内の液温が40℃まで低下するのを待って、膜分離部40内の液を排出することなく入口側バルブ25及び出口側バルブ26を閉じた。次に膜分離部40内を膜フィルタの側面から真空ポンプ32を用いて約6.7kPaの真空度で2時間減圧し、その後、透過側バルブ36を閉じた。この状態で丸2日以上停止した。
[実験結果]
表1に、実験例1〜4における、膜分離試験毎の透過流束を示す。また、図4に、実験例1〜4における、膜分離試験の停止回数と停止前後の透過流束との関係を示す。ここでは、各実験例における1回目の膜分離試験での透過流束[kg/(m2・hr)]を1として規格化した値を、透過流束として示した。表1に示すように、液の排出及び減圧の両方を行った実験例1では停止回数1〜2回目では透過流束が低下するものの停止回数3〜4回目では透過流束が低下しなくなった。なお、膜分離部40内の温度が、40℃ではなく60℃まで低下するのを待って、保持試験を行った場合にも、透過流束の値は実験例1と同程度の値となった。また、液の排出のみを行い減圧を行わなかった実験例2では、停止回数1〜2回目における透過流束の低下が実験例1に比べて大きいものの、停止回数3〜4回目では透過流束が低下しなくなった。
表1に、実験例1〜4における、膜分離試験毎の透過流束を示す。また、図4に、実験例1〜4における、膜分離試験の停止回数と停止前後の透過流束との関係を示す。ここでは、各実験例における1回目の膜分離試験での透過流束[kg/(m2・hr)]を1として規格化した値を、透過流束として示した。表1に示すように、液の排出及び減圧の両方を行った実験例1では停止回数1〜2回目では透過流束が低下するものの停止回数3〜4回目では透過流束が低下しなくなった。なお、膜分離部40内の温度が、40℃ではなく60℃まで低下するのを待って、保持試験を行った場合にも、透過流束の値は実験例1と同程度の値となった。また、液の排出のみを行い減圧を行わなかった実験例2では、停止回数1〜2回目における透過流束の低下が実験例1に比べて大きいものの、停止回数3〜4回目では透過流束が低下しなくなった。
一方、液の排出も減圧も行わなかった実験例3や、減圧のみを行い液の排出を行わなかった実験例4では、実験例1,2にくらべて透過流束の低下が大きく、停止回数3回目以降でも透過流束の低下が継続した。
以上より、実験例1,2の分離装置の使用方法では、膜分離処理を停止し再開するまでの間に、膜分離部からの液の排出を行うため、その間に液に含まれる成分やそれらの反応生成物が多孔質基材やゼオライト膜の表面や内部に付着することを抑制できたと考えられる。また、実験例1のように液の排出に加えて膜分離部内の減圧を行った場合には、膜分離処理の停止前に多孔質基材やゼオライト膜の表面や内部に付着した、液に含まれる成分やそれらの反応生成物が除去されたと考えられる。こうして、透過流束の低下を抑制できたと考えられる。
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
本発明は、フェノール樹脂の製造工程から排出される廃液の処理の分野に利用可能である。
10,10B 分離装置、11 供給経路、12 循環経路、13 透過側経路、14 取出経路、15 液排出経路、20 収容部、22 送液ポンプ、23 加熱器、25 入口側バルブ、26 出口側バルブ、27 取出バルブ、28 液排出バルブ、32 真空ポンプ、33 冷却器、35 貯留部、40 膜分離部、41 膜フィルタ、42 セル、44 多孔質基材、44a 粗粒部、44b 細粒部、45 ゼオライト膜、46 容器。
Claims (9)
- フェノール樹脂の製造工程から排出された、水及びフェノールを含む処理対象液を、水を選択的に透過させるゼオライト膜を備えた膜分離部で処理する分離装置の使用方法であって、
前記膜分離部を用いて前記処理対象液から水を分離する膜分離処理を行う膜分離工程と、
前記膜分離処理の停止後、次回の膜分離処理を開始するまでの間に、前記膜分離部からの液の排出を行う液排出工程と、
を含む、分離装置の使用方法。 - 前記液排出工程では、さらに、前記膜分離部内の減圧を行う、請求項1に記載の分離装置の使用方法。
- 前記液排出工程では、前記膜分離部内を67kPa以下まで減圧する、請求項2に記載の分離装置の使用方法。
- 前記液排出工程では、前記ゼオライト膜の透過側から前記膜分離部内を減圧する、請求項2又は3に記載の分離装置の使用方法。
- 前記液排出工程では、前記膜分離工程において前記透過側の減圧に用いる減圧装置を用いて、前記膜分離部内を減圧する、請求項4に記載の分離装置の使用方法。
- 前記液排出工程では、前記膜分離部内の液温が90℃以下となってから前記液の排出を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分離装置の使用方法。
- 前記ゼオライト膜は、DDR型ゼオライト膜である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の分離装置の使用方法。
- フェノール樹脂の製造工程から排出された、水及びフェノールを含む処理対象液を処理する分離装置であって、
水を選択的に透過させるゼオライト膜を備えた膜分離部と、
前記処理対象液を前記膜分離部へ送液し前記膜分離部から液を排出する流通部と、
前記膜分離部を用いて前記処理対象液から水を分離する膜分離を行った後、次回の膜分離を開始するまでの間に、前記膜分離部からの液の排出を行うように、前記流通部を制御する制御部と、
を備えた分離装置。 - 請求項8に記載の分離装置であって、
前記膜分離部を減圧する減圧部と、
前記流通部に配設され前記膜分離部の開放と閉鎖とを切り換え可能な開閉切換部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記膜分離部を用いて前記処理対象液から水を分離する膜分離を行った後、次回の膜分離を開始するまでの間に、前記膜分離部からの液の排出と前記膜分離部内の減圧とを行うように、前記減圧部及び前記開閉切換部を制御する、分離装置。
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---|---|---|---|
JP2015242135A JP2017104827A (ja) | 2015-12-11 | 2015-12-11 | 分離装置の使用方法及び分離装置 |
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CN111266013A (zh) * | 2020-01-21 | 2020-06-12 | 西安工程大学 | 一种可自动清洗液体膜分离装置 |
-
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- 2015-12-11 JP JP2015242135A patent/JP2017104827A/ja active Pending
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