JP2017101397A - 断熱施工方法および断熱構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】建物の外壁または天井の室内側に取り付けられる合成樹脂発泡体製の板状断熱材、および該板状断熱材の表面に内装仕上げ用下地材を取り付けるための下地材として取り付けられる補助部材を用いて、従来よりも簡便に精度良く施工を行う断熱施工方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の一態様は、合成樹脂発泡体製の板状断熱材と該板状断熱材を固定する補助部材とを用いて建物の外壁または天井の室内側に断熱材を設置する断熱施工方法であって、 前記板状断熱材の表面に複数の溝が互いに平行に設けられ、前記補助部材は、平板状の帯状部とその両側に相対向する脚条とを有し、前記脚条の先端部が三角形状の凸歯部を有し、前記脚条を前記溝に沿って設置する工程を含むことを特徴とする方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、断熱板および補助部材を用いた断熱施工方法および断熱構造に関する。詳しくは、建物の外壁または天井の室内側に取り付けられる合成樹脂発泡体製の断熱板、および該断熱板の表面に内装仕上げ用下地材を取り付けるための下地材として取り付けられる断熱施工用補助部材を用いて従来よりも簡便に精度良く施工を行う断熱施工方法および断熱構造に関する。
従来から、建築物の内断熱施工を行うに際しては、壁構成材料および天井構成材料の室内側に合成樹脂発泡体製の断熱パネルを設置し、その上に内装材取り付け用の補助部材(面木)を設置してから、内装下地または内装材を取り付けることが行われている。断熱パネル及び補助部材を取り付ける際には、表面に案内溝を設けた断熱パネルを壁構成材料の室内側に設置してから、補助部材の脚条部分を案内溝に挿入し補助部材を断熱パネル上に仮止めし、該補助部材の上から断熱パネルを貫通して建物の壁構成材料または天井構成材料までアンカーを打ち込む方法が知られている(特許文献1)。また、胴縁の脚条部分の先端部を鋸歯状とすることで、断熱パネルに案内溝を形成しておくことなく胴縁の脚条部分を断熱パネルに突き刺して仮止めし、該胴縁の上から前記と同様にアンカーを打ち込む方法も知られている(特許文献2)。
特開2004−52540号公報 特開2011−231478号公報
特許文献1に記載の方法では、あらかじめ断熱パネル(板状断熱材)上に胴縁の幅にあわせた案内溝を作製しておく必要がある。しかし、施工場所や条件によって幅の異なる胴縁が用いられる場合や、アンカーを打ちこむことのできる強固な構造部材の真上に胴縁を設置する必要が生じた場合などに、板状断熱材の位置または案内溝の位置を調整したり変更する割り付け作業が必要となり手間を有する。一方で特許文献2に記載の方法では、鋸歯を有する胴縁を壁構成材料の真上に水平または垂直に固定するために通り線を描いた上で胴縁を設置する必要があり、手間がかかる。
従って、本発明の主な目的は、手間無く又は手間を低減しつつ任意の場所に断熱材及び補助部材を設置することのできる断熱施工方法およびそれにより形成された断熱構造を提供することである。
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、板状断熱材の表面に複数の溝を等間隔に設けて案内線とするとともに、胴縁(補助部材)として鋸歯を有するものを用いることによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の一態様は、合成樹脂発泡体製の板状断熱材と該板状断熱材を固定する補助部材とを用いて建物の外壁または天井の室内側に断熱材を設置する断熱施工方法であって、前記板状断熱材の表面に複数の溝が互いに平行に設けられ、前記補助部材は、平板状の帯状部とその両側に相対向する脚条とを有し、前記脚条の先端部が三角形状の凸歯部を有し、前記方法は、前記脚条を前記溝に沿って設置する工程を含むことを特徴とする、方法を提供する。
また、本発明の一態様は、建物の外壁または天井の室内側に設けられた断熱構造であって、前記外壁または天井の室内側に設置された合成樹脂発泡体製の板状断熱材であって、その表面に複数の溝が互いに平行に設けられた前記板状断熱材と、平板状の帯状部と、その両側に相対向し先端部に三角形状の凸歯部を有する脚条とを有する補助部材であって、前記脚条が前記溝に沿うように前記板状断熱材に設置されている前記補助部材とを備えた前記断熱構造を提供する。
本発明の一態様に係る断熱施工方法を用いると、建物の壁構成材料(外壁)または天井構成材料(天井)に板状断熱材を設置する際に、板状断熱材の表面に設けられた複数の溝(案内線)を用いることで容易に水平または垂直に該板状断熱材を設置することができる。また、板状断熱材上に胴縁(補助部材)を設置する際に、任意の場所で水平または垂直に該胴縁を設置することができ、また胴縁の先端が溝に入り込むことで仮止めするまでの間の胴縁のズレを防ぐことができる。さらに、胴縁の脚条部分の鋸歯のない平板状部の高さと板状断熱材の溝の深さが同じ(またはほぼ同じ)であると、板状断熱材と脚条間の反発力が低くなるため、施工の際に胴縁が浮き出すことが少なくおさまりが良い。
本発明の一実施形態の断熱施工方法で用いる板状断熱材を示す斜視図である。 本発明の一実施形態の断熱施工方法で用いる板状断熱材を示す断面図である。 本発明の一実施形態の断熱施工方法で用いる補助部材を示す斜視図である。 本発明の一実施形態の断熱施工方法において、板状断熱材に補助部材を取り付けた状態を示す板状断熱材の溝に沿った断面図である。 本発明の一実施形態の板状断熱材を使用せずに板状断熱材に補助部材を取り付けた状態を示す板状断熱材の溝に沿った断面図である。 本発明の一実施形態の断熱施工方法の説明図である。
本発明の一実施形態では、表面に複数の溝が互いに並行に設けられた合成樹脂発泡体製の板状断熱材を使用する。合成樹脂発泡体は軽量でありながら断熱性・耐水性・耐圧性に優れる点で好ましく、特に独立気泡を有する合成樹脂発泡体が好適である。具体的には、例えばポリスチレン系発泡体、ポリエチレン系発泡体、ポリプロピレン系発泡体、ポリウレタン系発泡体、フェノール系発泡体等の独立気泡を有する合成樹脂発泡体が好適である。特に押出発泡ポリスチレン(商品名「スタイロフォーム」(登録商標):ダウ化工株式会社製)は、その高い断熱性および低い吸水性の故に最も好ましい。一例として合成樹脂発泡体製の板状断熱材は、圧縮強さが15N/cm以上、圧縮弾性率が500N/cm以上の押出発泡ポリスチレン板を用いることが好ましい。このような板状断熱材を用いることにより、板状断熱材を補助部材を用いて外壁構造部材にしっかりと取り付けた場合にも板状断熱材が潰れたり大きく圧縮変形したりせず、かつ補助部材のがたつきや振れを防止又は低減することができる。
本発明の一実施形態に係る断熱施工方法で用いる板状断熱材10およびその表面に設けられた溝11について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る断熱施工方法で用いる板状断熱材10の斜視図、図2はそのAA線断面図である。板状断熱材10には、複数の溝11が互いに並行に設けられている。複数の溝11は、板状断熱材10の長辺に平行であっても、短辺に平行であってもよい。複数の溝11は、等間隔に形成されていることが好ましい。一例として、板状断熱材10は、巾605〜910mm、長さ910〜1820mm、及び厚さ15〜100mmのものを用いることができ、複数の溝11は、10mm間隔に溝の幅及び深さが1mmのものを用いることができる。
このような板状断熱材10を用いることにより、板状断熱材10の表面に設けられた溝11が案内線となり、建物の壁構成材料(または天井構成材料)に板状断熱材10を設置する際に容易に水平または垂直に板状断熱材10を設置することができる。また、板状断熱材10上に後述する補助部材(胴縁)20を設置する際に、板状断熱材10の任意の場所で水平・垂直に胴縁を設置することができる。補助部材20は例えば胴縁である。
本発明の一実施形態に係る断熱施工方法で用いる補助部材20について説明する。図3は補助部材20の斜視図である。補助部材20は、長四辺形の平板状の帯状部21と、帯状部21に連結しその長手方向両側に相対向する脚条22を有する。脚条22は、帯状部21に連結する平板状部22aと、平板状部22aと一体的に構成され、全長(又は長手方向の一部)に亘って三角形状の凸歯部23を複数有する先端部とからなる。即ち、脚条22の形状は、鋸歯状となっている。凸歯部23の形状は、左右対称の二等辺三角形でもよく、一辺が垂直な直角三角形でもよい。帯状部21と脚条22とがなす角は、80〜100度である。また、帯状部21には、帯状部21の長さ方向に適宜の間隔で、固定部材を通すための取付用貫通孔24が形成され、取付用貫通孔24は、円孔や角孔でもよいが、帯状部21の長さ方向が長軸方向となった長円形とするとよい。また、凸歯部23の先端部の角度θは、大きすぎると刺さりにくく、小さすぎると歯数が多くなって摩擦抵抗が増大し、脚条22の根本まで突き刺しにくくなる。そのため、凸歯部23の先端部の角度θは、30〜90度であることが好ましく、より好ましくは50〜70度である。補助部材20は、例えば鋼、ステンレス、アルミニウム合金等の機械的強度に優れた金属製とすることが好ましい。補助部材20が金属製である場合は、補助部材20の厚みは例えば0.4〜1.0mm程度とすることができる。
補助部材20を板状断熱材10上に設置する際には、板状断熱材10の表面の溝11を案内線とすることにより、補助部材20を容易に板状断熱材10と平行に設置することができる。また、補助部材20の脚条2の凸歯部23が板状断熱材10の溝部11に入り込むことにより、仮止めするまでの間の補助部材20(胴縁)のズレを防ぐことができ、補助部材20の脚条22を板状断熱材10上に安定的に設置することができる。板状断熱材10は複数の溝11を有するため、幅の異なる胴縁を用いる場合でも容易に板状断熱材10上の適した箇所に胴縁を設置することができる。また補助部材20の脚条22の凸歯部23の鋸歯は、補助部材20を押し込むことにより、脚条22を板状断熱材10中に挿入するのを容易にする。
図4は、板状断熱材10の表面10aの溝11の深さhと補助部材20の脚条22との関係を示す断面図である。図3に示す補助部材20は、帯状部21と一対の脚条22を有し、脚条22の先端部は三角形状の鋸歯形状となっており、脚部22の帯状部21との接続側は平板状(22a)となっている。図4では、板状断熱材10の溝部11に(溝部11に沿って)補助部材20の脚条22が差し込まれ、かつ補助部材20の平板状部分22aの高さ(h−h)が板状断熱材10の溝11の深さhとほぼ一致している例を示す。なお、図4では、符号11aは溝11の底面を指し、板状断熱材10の一部が表示されている。
図5は、板状断熱材10の溝11のない箇所に補助部材20の脚条22を差し込んだ例を示す断面図である。図5に示すように、板状断熱材10の溝11のない箇所に補助部材20の脚条22が差し込まれると、板状断熱材10の潰れたフォームが脚条を押し出そうとする力(フォームの反発力)Fが働き、補助部材20が安定しない。一方で図4に示すように、補助部材20の脚条22の平板状部分22aの高さ(h−h)が板状断熱材10の溝部11の深さhとほぼ一致している場合には、板状断熱材10が補助部材20の脚条22を押し出そうとする力は問題とならない程度に小さい又はほとんど生じず、補助部材20が安定して板状断熱材10上に収まることがわかった。板状断熱材10の溝部11の深さhと補助部材20の脚条22の平板状部分22aの高さ(h−h)が同じであると、上記フォームの反発力Fが問題とならない程度に小さい又はほとんど生じない。ここで、板状断熱材10の溝部11の深さhと補助部材20の脚条22の平板状部分22aの高さ(h−h)が「同じ」であるとは、両者の高さが±10%以内(つまり、0.9h≦(h−h)≦1.1h、又は、0.9(h−h)≦h≦1.1(h−h))である場合も含まれる。なお、一例として、帯状部21の幅は30〜60mm、脚条22の高さhは10〜20mm、凸歯部23の高さhは5〜19mm、平板状部分22aの高さ(h−h)は1〜5mm、および、溝11の深さhは1.0〜5.5mmである(但し、h>h≧h)。
次に、本発明の一実施形態に係る断熱施工方法を説明する。なお、本発明の一実施形態に係る断熱施工方法は、壁および天井のいずれにも適用することができるが、壁への施工を例に説明する。
まず、建物の壁構成材料(外壁)の室内側に、壁構成材料に沿って合成樹脂発泡体製の板状断熱材10を設置する。壁構成材料とは、RC構造の建物であればRC壁等、鉄骨構造の建物であればALCパネル等、木造の建物であれば壁の下地板等である。これらの壁構成材料に沿って板状断熱材10を設置する際に、板状断熱材10上の溝11を案内線として用いることにより壁面に対して水平に所定の間隔で板状断熱材10を設置することができる。壁構成材料上への板状断熱材10の設置は、例えば両面テープや、モルタル団子等の接着剤を用いて止めながら行うと作業性がよい。
板状断熱材10を所定枚数並べた後、板状断熱材10の所定の位置に補助部材20(胴縁)をその脚条22を板状断熱材10に突き刺すことで仮止めする。補助部材20を板状断熱材10に設置する際には、板状断熱材10の表面の溝11が案内線となり板状断熱材10の表面の任意の場所に補助部材20を溝11に平行に設置することができる。また補助部材20の脚条22の凸歯部23が板状断熱材10の溝部11に入り込むことにより、仮止めするまでの間の補助部材20のズレを防ぐことができ、補助部材20の脚条22を板状断熱材10上に安定的に設置することができる。また、補助部材20の脚条22の鋸歯は、補助部材20を押し込むことにより脚条22を板状断熱材10中に挿入するのを容易にする。
板状断熱材10に補助部材20を設置する際には、相隣接する2枚の板状断熱材10にまたがって、板状断熱材10の端部に断熱材間の継ぎ目を覆うように1本の補助部材20を設置することが好ましい(図6参照)。これにより、1本の補助部材20で2つの板状断熱材10を簡単に手間なく固定することができる。また、比較的大きな板状断熱材10を用いる場合には、1枚の板状断熱材10の端部のみではなく中間部にも補助部材20を設置することで、板状断熱材10を安定的に壁構成材料(建物の外壁の室内側)30に設置し、また補助部材20のさらに室内側に設ける内装材も安定して設置することができる。さらに、壁構成材料30のうちでアンカーを打込むことのできる強固な材料が部分的にしか存在しない場合は、その強固な材料に対応する板状断熱材10上の場所に補助部材20(胴縁)を設置することが好ましい。なお、図6では、壁構成材料(建物の外壁の室内側)は、木造下地を有する既存室内壁を示しているが、これに限定されるものではない。
板状断熱材10の溝部11に補助部材20を差し込んだ後は、補助部材20の帯状部21に必要に応じて設けられた貫通孔24を通して補助部材20の上から板状断熱材10を通して壁構成材料30までアンカー状の固定部材31を打込み、板状断熱材10および補助部材20を壁構成材料30に固定する。その後、補助部材20上に内装材(例えば石膏ボード)32を設置して断熱壁を構築することができる。
10 板状断熱材
10a 板状断熱材の表面
11 溝
11a 溝の底面
20 補助部材(胴縁)
21 帯状部
22 脚条
22a 平板状部
23 凸歯部
24 貫通孔
30 壁構成材料
31 固定部材
32 内装材
溝の深さ
凸歯部の高さ
脚条の高さ

Claims (7)

  1. 合成樹脂発泡体製の板状断熱材と該板状断熱材を固定する補助部材とを用いて建物の外壁または天井の室内側に断熱材を設置する断熱施工方法であって、
    前記板状断熱材の表面に複数の溝が互いに平行に設けられ、
    前記補助部材は、平板状の帯状部とその両側に相対向する脚条とを有し、
    前記脚条の先端部が三角形状の凸歯部を有し、
    前記方法は、前記脚条を前記溝に沿って設置する工程を含むことを特徴とする、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、板状断熱材表面の複数の溝が等間隔に形成されていることを特徴とする、方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、アンカー状の固定部材を前記補助部材および前記板状断熱材を介して建物の外壁または天井の構造部材に固定することによって、前記板状断熱材を前記外壁または天井の室内側に固定する工程をさらに含むことを特徴とする方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、複数の前記板状断熱材を前記外壁または天井の室内側に並べて配置する工程をさらに含み、
    前記脚条を前記溝にそって設置する前記工程は、
    相隣接する2枚の前記板状断熱材にまたがって、かつ、前記相隣接する2枚の板状断熱材間の継ぎ目を覆うように、前記脚条を前記溝に沿って設置する工程を含む、ことを特徴とする方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記脚条は、前記帯状部に連結し前記先端部と一体的に構成された平板状部をさらに含み、
    前記平板状部の高さ(h−h)は、前記溝の深さ(h)と同じである、方法。
  6. 建物の外壁または天井の室内側に設けられた断熱構造であって、
    前記外壁または天井の室内側に設置された合成樹脂発泡体製の板状断熱材であって、その表面に複数の溝が互いに平行に設けられた前記板状断熱材と、
    平板状の帯状部と、その両側に相対向し先端部に三角形状の凸歯部を有する脚条とを有する補助部材であって、前記脚条が前記溝に沿うように前記板状断熱材に設置されている前記補助部材と
    を備えた前記断熱構造。
  7. 前記脚条は、前記帯状部に連結し前記先端部と一体的に構成された平板状部をさらに含み、
    前記平板状部の高さ(h−h)は、前記溝の深さ(h)と同じである、請求項6に記載の断熱構造。
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