JP2017101352A - ゴム物品補強用スチールコードおよびこれを用いたタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1本または複数本のスチールフィラメントからなるゴム物品補強用スチールコード10であり、スチールフィラメント11の表面に、下塗り接着剤12として、ハロゲン化ポリマーまたはフェノール系樹脂を含む接着剤13が塗布されてなり、上塗り接着剤として、ハロゲン化ポリマーを含む接着剤が塗布されてなる。
【選択図】図1
Description
前記スチールフィラメントの表面に、下塗り接着剤として、ハロゲン化ポリマーまたはフェノール系樹脂を含む接着剤が塗布されてなり、上塗り接着剤として、ハロゲン化ポリマーを含む接着剤が塗布されてなることを特徴とするものである。
本発明のスチールコードは、1本または複数本のスチールフィラメントからなる。図1〜3は、本発明の好適な実施の形態に係るスチールコードの断面図であり、図1は、1+6構造のスチールコードであり、図2は、7×(3+9)構造の複撚りのスチールコードであり、図3は、5本のスチールフィラメントが撚り合わされることなく引き揃えられてなる束コードである。
本発明のタイヤは、本発明のゴム物品補強用スチールコードが埋設されてなるものである。図4に、本発明の一好適な実施の形態に係るタイヤの片側断面図を示す。図示するタイヤ100は乗用車用タイヤであり、図示するように、カーカスのクラウン領域に配設されて接地部を形成するトレッド部101と、トレッド部101の両側部に連続してタイヤ半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部102と、各サイドウォール部102の内周側に連続するビード部103とを備えている。また、一方のビード部103から他方のビード部103にわたってトロイド状に延びる一枚のカーカス層からなるカーカス104が配設されており、カーカス104のクラウン領域のタイヤ径方向外側は、少なくとも2層、図示する例では2層の第1ベルト層105aと第2ベルト層105bとからなるベルト105により補強されている。ここで、カーカス104のカーカス層は複数枚としてもよい。
TS≧−2625d+3853 (1)
で表される関係を満足することが好ましい。本発明のスチールコードをベルト105の補強材に用いる場合には、スチールフィラメントには、高い引張強度が求められるからである。
1.0/n≦270.6d5−293.6d4+74.7d3+18.9d2−3.3d≦4.3/n (2)
で表される関係を満足することが好ましい。束内のスチールフィラメントの本数nにつき、フィラメントの径d(mm)を変数として解析を行い、束内のスチールフィラメントの適正な本数を表す領域として、図5に示す結果を得た。
0.13≦DT/T≦0.49 (3)
で表される関係を満足することが好ましい。ここで、図6は、本発明のスチールコードを補強材として用いたベルト層の幅方向部分断面図の一例である。DT/Tが0.13未満ではベルト層の剛性が不足する場合がある。一方、DT/Tが0.49を越えるとゴム層の厚みが不足して耐久性が低下する場合がある。
<実施例1〜8および比較例1〜10>
下記表1〜3に示す、スチールフィラメントを用いてスチールコードを作製した。下塗り接着剤としては、(株)東洋化学研究所製のメタロックPH−56を用い、上塗り接着剤としては、(株)東洋化学研究所社製のメタロックF−112を用いた。得られたスチールコードを用いて2枚のベルトプライを作製し、図5に示すタイプのタイヤ(タイヤサイズ175/70R14)を作製した。得られたタイヤを用いて、耐ベルト剥離試験、フィラメント消失性試験およびベルト折れ性試験を行うとともに、圧延加工作業性の評価をおこなった。詳細な手順は以下のとおりである。なお、表中の適正フィラメント本数は、式(2)より算出した値である。
供試タイヤを正規リムに組み、150kPa(1.5kgf/cm2)の内圧を充填して試験用乗用車に装着し、一般道路を6万km走行させた後、試験タイヤを解剖して、ベルトに発生している亀裂の長さを測定した。各試験タイヤの亀裂長さの逆数を計算し、比較例1のタイヤを100とした指数で表示する。この指数が大きいほど、耐ベルト剥離性は優れている。75以上あれば実用上問題ない。得られた結果を表1〜3に併記する。
供試タイヤの内面側から、ベルト端部付近にベルト層まで到達する孔径3.5mmの孔を空け、タイヤ内側に濃度5%の塩水を120mL注入して正規リムに組み、150kPa(1.5kgf/cm2)の内圧を充填して試験用乗用車に装着し、一般道路を1万km走行させた。その後、試験タイヤを解剖して、ベルトに発生しているフィラメント消失の長さを測定した。各試験タイヤのフィラメント消失長さの逆数を計算し、比較例1のタイヤを100とした指数で表示する。この指数が大きいほど、耐ベルト剥離性は優れている。110以上でないと実用上問題が生じる。得られた結果を表1〜3に併記する。
供試タイヤを実車に装着して、一定で曲折するつづら折れ道路を時速60kmで2万km走行した後、試験タイヤを解剖してベルト層内のスチールコードを採取して、その内の折れた状態にある補強材の本数を調べ、その逆数を計算し、比較例1のタイヤを100として指数で表示した。この指数が大きいほど、耐ベルト折れ性が優れていることを示す。100以上あれば問題ない。得られた結果を表1〜3に併記する。
ベルト用のコードに被覆ゴムをコーティングする前のコードの準備作業および圧延(カレンダー)作業に要する時間を測定して、比較例1の作業時間対比で、20%以上掛かる場合を作業性不良として×、20%以内を作業性良として○と判定した。得られた結果を表1〜3に併記する。
実施例1に比べると、比較例1は、フィラメントへの接着剤塗布がないため、フィラメント消失性が劣っている。比較例2は、さらに部材としてのベルトプライの圧延作業性が悪いという結果になった。
実施例2に比べて、比較例3は、フィラメントへの接着剤塗布がないため、フィラメント消失性が劣っている。比較例4は、さらに耐ベルト剥離性が悪いという結果となった。
実施例3は、比較例6に比べて、軽量化されていて、かつ耐ベルト剥離性とフィラメント消失性と耐ベルト折れ性が改善されていることがわかる。しかしながら、比較例5は、フィラメントへの接着剤塗布がないため、フィラメント消失性が改善されていないという結果となった。
細径で高強度のスチールフィラメントを使用した実施例4は、軽量化の効果が最も顕著である。比較例7は、軽量化の効果はあるが、フィラメント消失性が改善されていない。
本発明に係る下塗り接着剤および上塗り接着剤を用いれば、スチールフィラメントの表面のブラスめっきの有無に関係なく、本発明の効果が得られることがわかる。
比較例8〜10と実施例6〜8とを比較すると、スチールフィラメントを撚り合わせたスチールコードであっても、実施例6〜8のスチールコードは、耐ベルト剥離性が向上していることがわかる。なお、実施例6〜8と比較例8〜10は撚りコードであるため、フィラメント消失性については評価を行っていない。また、実施例7、8および比較例9、10は通常、重荷重用タイヤに用いられるコードであるため、耐ベルト折れ性については評価を行っていない。
12、22、32 下塗り接着剤
13、23、33 上塗り接着剤
10、20、30 スチールコード
100 タイヤ
101 トレッド部
102 サイドウォール部
103 ビード部
104 カーカス
105 ベルト
105a 第1ベルト層
105b 第2ベルト層
106 ビードコア
Claims (5)
- 1本または複数本のスチールフィラメントからなるゴム物品補強用スチールコードにおいて、
前記スチールフィラメントの表面に、下塗り接着剤として、ハロゲン化ポリマーまたはフェノール系樹脂を含む接着剤が塗布されてなり、上塗り接着剤として、ハロゲン化ポリマーを含む接着剤が塗布されてなることを特徴とするゴム物品補強用スチールコード。 - 前記下塗り接着剤の被覆層および前記上塗り接着剤の被覆層の厚さが、それぞれ5〜20μmである請求項1記載のゴム物品補強用スチールコード。
- 1×N(N=2〜6)、M+N(M=1〜4、N=2〜10)、もしくはL+M+N(L=1〜4、M=5〜10、N=11〜15)の撚りコード、または、前記撚りコードのいずれかが撚り合わされてなる複撚りコードである請求項1または2記載のゴム物品補強用スチールコード。
- 前記スチールフィラメントが、3〜7本引き揃えられてなる束コードである請求項1または2記載のゴム物品補強用スチールコード。
- 請求項1〜4のうちいずれか一項記載のゴム物品補強用スチールコードが埋設されてなることを特徴とするタイヤ。
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