JP2017101352A - ゴム物品補強用スチールコードおよびこれを用いたタイヤ - Google Patents

ゴム物品補強用スチールコードおよびこれを用いたタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも耐久性に優れたタイヤを提供することができるゴム物品補強用スチールコードおよびこれを用いたタイヤを提供する。
【解決手段】1本または複数本のスチールフィラメントからなるゴム物品補強用スチールコード10であり、スチールフィラメント11の表面に、下塗り接着剤12として、ハロゲン化ポリマーまたはフェノール系樹脂を含む接着剤13が塗布されてなり、上塗り接着剤として、ハロゲン化ポリマーを含む接着剤が塗布されてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ゴム物品補強用スチールコード(以下、単に「スチールコード」とも称す)およびこれを用いたタイヤに関し、詳しくは、従来よりも耐久性に優れたタイヤを提供することができるゴム物品補強用スチールコードおよびこれを用いたタイヤに関する。
近年、自動車の燃費を向上させるために、タイヤを軽量化する要求は益々高まってきている。ここで、スチールコードを用いるベルト部での軽量化を考えた場合、引張強度を一定以上確保することを前提とすると、スチールベルト層のコーティングゴムのゲージを薄くするしかない。このような観点から、スチールフィラメントを撚らずに、ベルト用コードとして使用する技術が開発され、これまでに種々提案がなされている。
現在、スチールフィラメントを撚らずに束ねた束コードを用いたタイヤとしては、例えば、特許文献1が挙げられる。特許文献1では、フィラメント径0.18〜0.26mmのスチールフィラメント5〜7本を引き揃えて束コードとし、この束コードを第1ベルト層と第2ベルト層に、ベルト幅方向に並置してコーティングゴム中に埋設させたタイヤが提案されている。このタイヤにおいては、第2ベルト層端部における第1ベルト層と第2ベルト層とのフィラメントコード間のゴム層のゲージを、ベルト中央部領域におけるゲージの1.3〜2.5倍とし、各ベルト層における少なくとも一部のスチールフィラメントにおいて、スチールフィラメントのタイヤ周方向に対する角度を、ベルト中央部領域とベルト端部領域とで異なるものとし、かつ、ベルト中央部領域における角度θ1を、ベルト端部領域における角度θ2よりも小さくしている。
特開2011−173455号公報
特許文献1で提案されているタイヤは、スチールフィラメントを撚らずに引き揃えた束コードをベルトの補強材として用いているため、ベルト層が薄くなり軽量性に優れており、また、ベルト層のコード角度を調整してベルト層端部の歪を低減させつつ、ベルト層端部のゴム層のゲージを厚くすることで、ベルト耐久性を向上させている。しかしながら、今後も、タイヤの耐久性に対する要望はますます強くなるものと予想される。
そこで、本発明の目的は、従来よりも耐久性に優れたタイヤを提供することができるゴム物品補強用スチールコードおよびこれを用いたタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。すなわち、束コード内で隣接するスチールフィラメント間のゴムの浸透性が不十分であると、隣接するスチールフィラメント同士が拘束されず、タイヤ転動時の入力で隣接するスチールフィラメント間に亀裂が発生してしまう場合がある。このような状態になると、隣接するスチールフィラメント同士が擦れてフレッティングが発生し、ここにカット等により水分が浸入すると、スチールフィラメントの腐食が進行し、スチールフィラメントが消失してしまうおそれがある。このような問題は、束コードに限らず、ゴムの浸透が不十分な撚りコードでも起こり得る。かかる知見を基に、本発明者はさらに鋭意検討した結果、所定の接着剤をスチールコードを構成するスチールフィラメントに塗布することで、上記課題を解消することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のゴム物品補強用スチールコードは、1本または複数本のスチールフィラメントからなるゴム物品補強用スチールコードにおいて、
前記スチールフィラメントの表面に、下塗り接着剤として、ハロゲン化ポリマーまたはフェノール系樹脂を含む接着剤が塗布されてなり、上塗り接着剤として、ハロゲン化ポリマーを含む接着剤が塗布されてなることを特徴とするものである。
本発明のスチールコードにおいては、前記下塗り接着剤の被覆層および前記上塗り接着剤の被覆層の厚さは、それぞれ5〜20μmであることが好ましい。本発明のスチールコードの構造としては、1×N(N=2〜6)、M+N(M=1〜4、N=2〜10)、もしくはL+M+N(L=1〜4、M=5〜10、N=11〜15)の撚りコード、または、前記撚りコードのいずれかが撚り合わされてなる複撚りコードでもよく、前記スチールフィラメントが、3〜7本引き揃えられてなる束コードでもよい。
本発明のタイヤは、本発明のゴム物品補強用スチールコードが埋設されてなることを特徴とするものである。
本発明によれば、従来よりも耐久性に優れたタイヤを提供することができるゴム物品補強用スチールコードおよびこれを用いたタイヤを提供することができる。
本発明の一好適な実施の形態に係るゴム物品補強用スチールコードの断面図である。 本発明の他の好適な実施の形態に係るゴム物品補強用スチールコードの断面図である。 本発明の他の好適な実施の形態に係るゴム物品補強用スチールコードの断面図である。 本発明の一好適な実施の形態に係るタイヤの片側断面図である。 スチールフィラメント径dと束内フィラメント本数nとの関係を示したグラフである。 本発明のスチールコードを補強材として用いたベルト層の幅方向部分断面図の一例である。
以下、本発明のスチールコードについて、図面を用いて詳細に説明する。
本発明のスチールコードは、1本または複数本のスチールフィラメントからなる。図1〜3は、本発明の好適な実施の形態に係るスチールコードの断面図であり、図1は、1+6構造のスチールコードであり、図2は、7×(3+9)構造の複撚りのスチールコードであり、図3は、5本のスチールフィラメントが撚り合わされることなく引き揃えられてなる束コードである。
図1〜3に示すように、本発明のスチールコード10、20、30においては、スチールフィラメント11、21、31の表面に、下塗り接着剤12、22、32として、ハロゲン化ポリマーまたはフェノール系樹脂を含む接着剤が塗布されてなり、上塗り接着剤13、23、33として、ハロゲン化ポリマーを含む接着剤が塗布されてなる。このように、スチールフィラメント11、21、31の表面に金属と親和性の高い下塗り接着剤12、22、32を塗布し、その上に、ゴムと親和性の高い上塗り接着剤13、23、33を塗布することで、スチールコード10、20、30とゴムとの接着性を確保しつつ、隣接するスチールフィラメント11、21、31同士を接着することで互いを固定し、フレッティングに起因するスチールフィラメント11、21、31の耐久性の低下を防止している。下塗り接着剤および上塗り接着剤としては、ゴムに近い柔軟性を示す屈曲耐久性、耐熱性および耐湿性を有することが好ましい。
下塗り接着剤としては、ハロゲン化ポリマーまたはフェノール系樹脂を含む接着剤を用いる。ハロゲン化ポリマーとしては、塩素化天然ゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリブタジエン、臭素化ポリマー等を挙げることができる。ハロゲン化ポリマーを含む接着剤として、具体的な市販品としては、ロード社製の「CHEMLOK 205」や「CHEMLOK 200」等を挙げることができる。フェノール系樹脂としては、ノボラック型、レゾール型および各種の変性フェノール樹脂等を挙げることができる。フェノール系樹脂からなる接着剤としては、具体的には、(株)東洋化学研究所製「メタロック PH−56」等を挙げることができる。
上塗り接着剤としては、ハロゲン化ポリマーを含む接着剤を用いる。ハロゲン化ポリマーとしては、塩素化天然ゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリブタジエン、臭素化ポリマー等を挙げることができる。具体的な市販品としては、ロード社製の「CHEMLOK 6108」や、(株)東洋化学研究所製「メタロック F−112」等を挙げることができる。好適には、下塗り接着剤として「CHEMLOK 205」、上塗り接着剤として「CHEMLOK 6108」の組み合わせや、下塗り接着剤として「メタロック PH−56」、上塗り接着剤として「メタロック F−112」の組み合わせである。
本発明のスチールコードにおいては、下塗り接着剤の被覆層の厚さと、上塗り接着剤の被覆層の厚さは、それぞれ5〜20μmが好ましい。接着剤の被覆層の厚みが20μmを超えると、発泡が生じるおそれがあるからである。一方、被膜層の厚みが5μm未満であると、接着剤としての性能が十分に発揮されない場合があり、また、塩害が生じるおそれがある。
本発明のスチールコードにおいては、スチールフィラメントはブラス等のめっき処理が施されていても、施されていなくても、いずれでもよい。一般に、ゴム物品補強用スチールコードは、ゴムとの接着性の観点から、その表面にブラスめっきが施されているが、本発明のスチールコードであれば、接着剤にてゴムとの十分な接着性が確保できるため、必ずしもブラスめっきは必要ではない。したがって、本発明のスチールコードであれば、製造工程におけるブラスめっき工程を省くことができるため、製造コストや作業性が改善される。また、ブラスめっき中の銅と亜鉛の割合やブラスめっきの厚み等により、ゴムとの接着性が異なるという問題があるが、接着剤であればこのような問題は生じない。さらに、ブラスめっき法では、大きな投資を伴うめっき設備や高度なめっき処理技術が必要となる。これらのことから、スチールフィラメントにめっきを施さないで、接着剤を塗布する間接接着法が好ましい。
本発明のスチールコードにおいては、スチールフィラメントへの下塗り接着剤および上塗り接着剤の塗布方法については特に制限はなく、刷毛を用いて塗布してもよく、浸漬塗布、またはスプレー塗布等の既知の手法のいずれを用いてもよい。この際、下塗り接着剤および上塗り接着剤は、スチールフィラメントに容易に塗布でき、かつスチールコードの凹凸に容易に入り込む粘度であることが好ましく、さらに、塗布後の乾燥は短時間であることが好ましい。このような観点から、下塗り接着剤や上塗り接着剤は溶剤で希釈して用いることが好ましい。例えば、下塗り接着材は、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトン等で希釈して用いることが好ましく、上塗り接着剤は、トルエンやキシレン、エチルベンゼン等で希釈して用いることが好ましい。なお、これら接着剤の塗布に先立ち、スチールフィラメント表面に、有機溶剤による脱脂処理等の適当な清浄化処理を施し、錆、油分、水分、汚れ等を予め除去しておくことが好ましい。また、接着剤の乾燥は、自然乾燥や温風乾燥により行うことができ、あらかじめスチールフィラメントを加熱しておき、余熱で乾燥を行ってもよい。
スチールフィラメントに下塗り接着剤および上塗り接着剤を塗布するタイミングとしては、撚りコードであればスチールフィラメントを撚り合わせた後、複撚りコードであれば、ストランドを撚り合わせた後が好ましい。撚りコードやストランドを撚り合わせる前に下塗り接着剤および上塗り接着剤を塗布しても、スチールフィラメントやストランドを撚り合わせる際に、撚線機のガイドで接着剤が剥がれてしまうおそれがあるからである。なお、束コードの場合は、スチールフィラメントを束ねる前に、下塗り接着剤および上塗り接着剤を塗布することが好ましい。これにより、束内で隣接するスチールフィラメント同士を接着することができる。
本発明のスチールコードは、スチールフィラメントの表面に、下塗り接着剤として、ハロゲン化ポリマーまたはフェノール系樹脂を含む接着剤が、上塗り接着剤として、ハロゲン化ポリマーを含む接着剤が塗布されてなるものであり、これ以外については、特に制限はない。例えば、スチールフィラメントのフィラメント径や、その組成およびその物性等については、目的に応じて適宜設計することができる。また、本発明のスチールコードとゴムとの接着は、従来と同様に、加熱加圧により行うことができる。
本発明のスチールコードは、タイヤ、ベルトおよびホース等のゴム製品の補強材として用いることができ、タイヤであれば、例えば、カーカスやベルトの補強材として用いることができる。例えば、スチールフィラメント1本をそのままスチールコードとして用いる以外に、1×N(N=2〜6)、M+N(M=1〜4、N=2〜10)、もしくはL+M+N(L=1〜4、M=5〜10、N=11〜15)の撚りコード、または、これら撚りコードのいずれかが撚り合わされてなる複撚りコードが挙げられる。また、これら撚りコード以外にも、3〜7本、図3に示す例では5本のスチールフィラメントが撚り合わされることなく引き揃えられてなる束コードでもよい。
ベルトは、スチールコードとコーティングゴムとからなるベルト層からなるが、コーティングゴム用ゴム組成物のゴム成分としては、天然ゴムや合成ゴムが挙げられる。合成ゴムとしては、例えばポリブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、好ましくは臭素化ブチルゴム、パラメチルスチレン基を有するブチルゴム(具体的にはイソブチレンとp−ハロゲン化メチルスチレンとの共重合体等)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。ゴム成分は、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、スチールコードとの接着性およびコーティングゴムの破壊特性の観点から、天然ゴムおよびイソプレンゴムのうち少なくとも一方を50質量%以上含有するのが好ましい。
本発明のスチールコードを用いれば、コーティング用ゴム組成物には、ナフテン酸コバルト、ロジン酸コバルト、ステアリン酸コバルト等の有機酸のコバルト塩のような、重金属塩からなる接着促進剤の配合量を減らすことができるため、ゴムの劣化を抑制することもできる。
次に本発明のタイヤについて説明する。
本発明のタイヤは、本発明のゴム物品補強用スチールコードが埋設されてなるものである。図4に、本発明の一好適な実施の形態に係るタイヤの片側断面図を示す。図示するタイヤ100は乗用車用タイヤであり、図示するように、カーカスのクラウン領域に配設されて接地部を形成するトレッド部101と、トレッド部101の両側部に連続してタイヤ半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部102と、各サイドウォール部102の内周側に連続するビード部103とを備えている。また、一方のビード部103から他方のビード部103にわたってトロイド状に延びる一枚のカーカス層からなるカーカス104が配設されており、カーカス104のクラウン領域のタイヤ径方向外側は、少なくとも2層、図示する例では2層の第1ベルト層105aと第2ベルト層105bとからなるベルト105により補強されている。ここで、カーカス104のカーカス層は複数枚としてもよい。
図示するような乗用車用のタイヤの場合、軽量化の観点から、スチールフィラメントを複数本撚り合わせずに束ねた束コードを、ベルトの補強材として好適に用いることができ、例えば、3〜7本のスチールフィラメントが引き揃えられてなる束コードを用いることができる。これ以外にも、トラック・バス用タイヤや、オフロード用タイヤの場合は、複数本のスチールフィラメントが撚り合わされてなるコードや、複数本のスチールフィラメントが撚り合わされてなるストランドが、さらに複数本撚り合わされてなる複撚りコードをベルトやカーカスの補強材として用いてもよいが、これらに限定されるものではない。
本発明のタイヤにおいては、束コードの場合、スチールフィラメントの直径d(mm)は、0.18mm以上0.30mm以下であることが好ましい。フィラメント径が0.18mm未満では、タイヤとしてのベルト層の強力と剛性を確保することが難しく、フィラメント径が0.30mmを越えると、タイヤ走行中の繰り返し曲げ変形時のスチールフィラメント表面での歪が大きくなり、悪路等を走行中に大きな曲げ変形が加わった際に、スチールフィラメントが折れ易くなり耐久性が低下するおそれがあるからである。
また、束コードを、ベルト105の補強材として用いる場合は、スチールフィラメントの引張強さTS(N/mm)と直径d(mm)とが、下記式、
TS≧−2625d+3853 (1)
で表される関係を満足することが好ましい。本発明のスチールコードをベルト105の補強材に用いる場合には、スチールフィラメントには、高い引張強度が求められるからである。
さらに、束コードをベルト105の補強材として用いる場合は、スチールフィラメントの直径d(mm)と、1束当たりのスチールフィラメントの本数n(本)とが、下記式、
1.0/n≦270.6d−293.6d+74.7d+18.9d−3.3d≦4.3/n (2)
で表される関係を満足することが好ましい。束内のスチールフィラメントの本数nにつき、フィラメントの径d(mm)を変数として解析を行い、束内のスチールフィラメントの適正な本数を表す領域として、図5に示す結果を得た。
すなわち、束内のスチールフィラメントの本数が少な過ぎると、ベルト層の所要強度を確保するためには、打ち込み本数を増やさざるを得ず、束間の間隔が狭くなって、被覆ゴムとスチールフィラメントの剥離が発生し易くなる。これを防止するために、束内フィラメント本数nの適正な領域は、図5の下の曲線より上側になる。一方、束内本数が多過ぎると、被覆ゴム中にフィラメントを埋設する圧延(カレンダー)作業が難しくなり量産性が低下するので、これを避けるために、束内フィラメント本数の適正な領域は図1の上の曲線より下側であることが要請される。以上より、スチールフィラメントの径d(mm)に対する、束内のフィラメント本数nの適正領域は、図5の2つの曲線の間の領域であることが導き出された。これを数式で表しており、満足することが必要である。
さらにまた、束コードを、ベルト105の補強材として用いる場合は、ベルトプライの厚さをT、ベルトプライの厚さ方向へのスチールフィラメント束の径をDTとしたときに、全ての束について下記式、
0.13≦DT/T≦0.49 (3)
で表される関係を満足することが好ましい。ここで、図6は、本発明のスチールコードを補強材として用いたベルト層の幅方向部分断面図の一例である。DT/Tが0.13未満ではベルト層の剛性が不足する場合がある。一方、DT/Tが0.49を越えるとゴム層の厚みが不足して耐久性が低下する場合がある。
なお、ベルトプライの厚さTは、1.0mm以下が好ましい。Tが1.0mmを越えると、タイヤの軽量化のためには好ましくない。さらに、束間の間隔δGは、0.3〜1.3mmであることが好ましい。タイヤ走行中の大変形によりベルトプライ内およびベルトプライ間での剥離(セパレーション)の発生を防止し剥離の伝播を抑制するために、束間の間隔δGは、0.3〜1.3mmであることが有利である。
本発明のタイヤ100は、本発明のスチールコードが埋設されてなること以外に、特に制限はない。例えば、図示するように、本発明のタイヤ100の一対のビード部103にはそれぞれビードコア106が埋設され、カーカス104はこのビードコア106の周りにタイヤ内側から外側に折り返して係止されている。また、トレッド部101の表面には適宜トレッドパターンが形成されており、最内層にはインナーライナー(図示せず)が形成されている。さらに、本発明のタイヤ100において、タイヤ内に充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を変えた空気、もしくは窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実施例1〜8および比較例1〜10>
下記表1〜3に示す、スチールフィラメントを用いてスチールコードを作製した。下塗り接着剤としては、(株)東洋化学研究所製のメタロックPH−56を用い、上塗り接着剤としては、(株)東洋化学研究所社製のメタロックF−112を用いた。得られたスチールコードを用いて2枚のベルトプライを作製し、図5に示すタイプのタイヤ(タイヤサイズ175/70R14)を作製した。得られたタイヤを用いて、耐ベルト剥離試験、フィラメント消失性試験およびベルト折れ性試験を行うとともに、圧延加工作業性の評価をおこなった。詳細な手順は以下のとおりである。なお、表中の適正フィラメント本数は、式(2)より算出した値である。
<耐ベルト剥離試験>
供試タイヤを正規リムに組み、150kPa(1.5kgf/cm)の内圧を充填して試験用乗用車に装着し、一般道路を6万km走行させた後、試験タイヤを解剖して、ベルトに発生している亀裂の長さを測定した。各試験タイヤの亀裂長さの逆数を計算し、比較例1のタイヤを100とした指数で表示する。この指数が大きいほど、耐ベルト剥離性は優れている。75以上あれば実用上問題ない。得られた結果を表1〜3に併記する。
<フィラメント消失性試験>
供試タイヤの内面側から、ベルト端部付近にベルト層まで到達する孔径3.5mmの孔を空け、タイヤ内側に濃度5%の塩水を120mL注入して正規リムに組み、150kPa(1.5kgf/cm)の内圧を充填して試験用乗用車に装着し、一般道路を1万km走行させた。その後、試験タイヤを解剖して、ベルトに発生しているフィラメント消失の長さを測定した。各試験タイヤのフィラメント消失長さの逆数を計算し、比較例1のタイヤを100とした指数で表示する。この指数が大きいほど、耐ベルト剥離性は優れている。110以上でないと実用上問題が生じる。得られた結果を表1〜3に併記する。
<ベルト折れ試験>
供試タイヤを実車に装着して、一定で曲折するつづら折れ道路を時速60kmで2万km走行した後、試験タイヤを解剖してベルト層内のスチールコードを採取して、その内の折れた状態にある補強材の本数を調べ、その逆数を計算し、比較例1のタイヤを100として指数で表示した。この指数が大きいほど、耐ベルト折れ性が優れていることを示す。100以上あれば問題ない。得られた結果を表1〜3に併記する。
<圧延加工作業性試験>
ベルト用のコードに被覆ゴムをコーティングする前のコードの準備作業および圧延(カレンダー)作業に要する時間を測定して、比較例1の作業時間対比で、20%以上掛かる場合を作業性不良として×、20%以内を作業性良として○と判定した。得られた結果を表1〜3に併記する。
Figure 2017101352
Figure 2017101352
Figure 2017101352
<実施例1と比較例1と比較例2の対比>
実施例1に比べると、比較例1は、フィラメントへの接着剤塗布がないため、フィラメント消失性が劣っている。比較例2は、さらに部材としてのベルトプライの圧延作業性が悪いという結果になった。
<実施例2と比較例3と比較例4の対比>
実施例2に比べて、比較例3は、フィラメントへの接着剤塗布がないため、フィラメント消失性が劣っている。比較例4は、さらに耐ベルト剥離性が悪いという結果となった。
<実施例3と比較例5と比較例6の対比>
実施例3は、比較例6に比べて、軽量化されていて、かつ耐ベルト剥離性とフィラメント消失性と耐ベルト折れ性が改善されていることがわかる。しかしながら、比較例5は、フィラメントへの接着剤塗布がないため、フィラメント消失性が改善されていないという結果となった。
<実施例4と比較例7の対比>
細径で高強度のスチールフィラメントを使用した実施例4は、軽量化の効果が最も顕著である。比較例7は、軽量化の効果はあるが、フィラメント消失性が改善されていない。
<実施例1と実施例5の対比>
本発明に係る下塗り接着剤および上塗り接着剤を用いれば、スチールフィラメントの表面のブラスめっきの有無に関係なく、本発明の効果が得られることがわかる。
<実施例6〜8と比較例8〜10の対比>
比較例8〜10と実施例6〜8とを比較すると、スチールフィラメントを撚り合わせたスチールコードであっても、実施例6〜8のスチールコードは、耐ベルト剥離性が向上していることがわかる。なお、実施例6〜8と比較例8〜10は撚りコードであるため、フィラメント消失性については評価を行っていない。また、実施例7、8および比較例9、10は通常、重荷重用タイヤに用いられるコードであるため、耐ベルト折れ性については評価を行っていない。
11、21、31 スチールフィラメント
12、22、32 下塗り接着剤
13、23、33 上塗り接着剤
10、20、30 スチールコード
100 タイヤ
101 トレッド部
102 サイドウォール部
103 ビード部
104 カーカス
105 ベルト
105a 第1ベルト層
105b 第2ベルト層
106 ビードコア

Claims (5)

  1. 1本または複数本のスチールフィラメントからなるゴム物品補強用スチールコードにおいて、
    前記スチールフィラメントの表面に、下塗り接着剤として、ハロゲン化ポリマーまたはフェノール系樹脂を含む接着剤が塗布されてなり、上塗り接着剤として、ハロゲン化ポリマーを含む接着剤が塗布されてなることを特徴とするゴム物品補強用スチールコード。
  2. 前記下塗り接着剤の被覆層および前記上塗り接着剤の被覆層の厚さが、それぞれ5〜20μmである請求項1記載のゴム物品補強用スチールコード。
  3. 1×N(N=2〜6)、M+N(M=1〜4、N=2〜10)、もしくはL+M+N(L=1〜4、M=5〜10、N=11〜15)の撚りコード、または、前記撚りコードのいずれかが撚り合わされてなる複撚りコードである請求項1または2記載のゴム物品補強用スチールコード。
  4. 前記スチールフィラメントが、3〜7本引き揃えられてなる束コードである請求項1または2記載のゴム物品補強用スチールコード。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか一項記載のゴム物品補強用スチールコードが埋設されてなることを特徴とするタイヤ。
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