JPH1161666A - ゴム物品補強用スチールコード及び空気入りタイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分に対し必要かつ十分な耐腐食伝搬性を備
え、かつゴム被覆状態で伸び易い特性を有するゴム物品
補強用スチールコードを提供し、このコードをベルトコ
ード層に用い優れた耐カット性及び優位な水分耐腐食伝
搬性を発揮する空気入りタイヤを提供する。 【解決手段】 互いに平行な２本の素線のコアと、その
周囲に撚り上げた６〜８本の素線のアウターシースとを
有するストランドをを１×n(n=3 、4)で撚り、ストラン
ドのアウターシースの撚りピッチPsと、アウターシース
素線径Dsとの間で10×Ds≦Ps≦40×Dsの関係を満たすと
共にストランドの撚りピッチP と、ストランドのコアの
素線径Dc素線径Dsの和(Dc+Ds) との間で10×(Dc+Ds) ≦
P ≦40×(Dc+Ds) の関係を満たし、ストランドのアウタ
ーシースの撚り方向とストランドの撚り方向とが同方向
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ゴム物品補強用
スチールコード（前者）及びこのスチールコードを用い
た空気入りタイヤ（後者）に関し、特に、前者は耐腐食
伝搬性に係わるゴムペネトレーション性の向上と耐カッ
ト性の向上とを両立させたスチールコードに関し、後者
は前者の特性をもつスチールコードをベルトのコード層
に適用して耐カットセパレーション性と耐カット性との
両者を同時に向上させた、荒れ地走行に適合する空気入
りタイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】荒れ地走行を本来の使命とする建設車両
用空気入りタイヤや、たとえ一時的ではあっても荒れ地
を走行する機会を有する一般のダンプトラック用タイヤ
は、特にカーカスがラジアル構造の場合、トレッド部の
強化のため複数層のスチールコード層をベルトとして用
いる。

【０００３】これらのタイヤは荒れ地走行による路面か
らのピーク入力が大きくなる上、元来重荷重が負荷され
るため、ベルトの各層に使用するスチールコードには高
い引張強さ（切断荷重）が要求される。そのためベルト
の各層には複数本のスチール素線を撚り合わせたストラ
ンドの複数本を更に撚り合わせた、いわゆる複撚りコー
ドが広く用いられている。

【０００４】荒れ地走行にはカットなどの外傷を受ける
機会が多いため、図３に断面を示すスチールコード１１
のように、１本のスチール素線１２をコアとし、その周
囲に６本のスチール素線１４をアウターシースとするス
トランド１６の４本を撚り合わせた、４×（１＋６）構
造のものは高い引張強さを有し、この点でこの種のスチ
ールコード１１を用いたコード層をベルトのタイヤ半径
方向最外側の１層又は２層に用いたタイヤは、トレッド
部外傷に対する耐カット貫通抵抗性（以下耐カット性と
いう）に優れる性質を備えている反面、スチール素線１
４相互間が密着しているためゴムがスチールコード１１
内部に浸透せず、カット外傷に伴う水分侵入による耐腐
食伝搬性に劣り、これによるカットセパレーション故障
が発生する問題を有する

【０００５】これに対し図４に示すスチールコード１１
は、１本のスチール素線１２をコアとする点で上記と同
様であるが、ゴムがコード内部に浸透し易いように５本
のスチール素線１４を互いに接触しない離隔の下でアウ
ターシースとするストランド１６の４本を撚り合わせ
た、４×（１＋５）構造のもので、いわゆるゴムペネト
レーション構造と呼ばれるものである。この構造をもつ
スチールコード層をベルトのタイヤ半径方向最外側の１
層又は２層に用いたタイヤは、図３に示すスチールコー
ド１１の場合よりコード内部にゴムが浸透し易いのは確
かであるが、製品タイヤとなった場合に、図４の示すよ
うにアウターシースのスチール素線１４の配列が乱れ易
く、ゴムが浸透しない部分が生じて、このタイプのスチ
ールコード１１も十分に満足し得る耐腐食伝搬性が得ら
れない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】以上述べた耐カット性
と耐腐食伝搬性との有利な問題解決手段として、ここに
特開平８−８１８８９号公報は、図５及び図６に示すス
チールコード１１の断面図を参照して、平行に引き揃え
た２本のスチール素線１２をコア１３とし、このコア１
３の周囲にＮ＝６〜８本（図示例は６本）のスチール素
線１４からなるアウターシースを撚り合わせてストラン
ド１６とし、７本のストランド１６を互いに撚り合わせ
てスチールコード１１とする１×（２＋Ｎ）＋６×（２
＋Ｎ）構造、ｎ本（ｎ＝２〜５）のストランド１６を撚
り合わせたｎ×（２＋Ｎ）構造などを提案している。

【０００７】さらに上記公報は、ストランド１６におけ
るコア２のスチール素線１２の線径Ｄｃと、アウターシ
ースのスチール素線１４の線径Ｄｓとの関係につき、ア
ウターシースのスチール素線１４が６本のとき、０．６
×Ｄｓ≦Ｄｃ≦１．１Ｄｓを満たすものであること、ア
ウターシースのスチール素線１４が７本のとき、０．８
×Ｄｓ≦Ｄｃ≦１．１５Ｄｓを満たすものであること、
アウターシースのスチール素線１４が８本のとき、０．
９５×Ｄｓ≦Ｄｃ≦１．２Ｄｓを満たすものであるこ
と、を提案している。

【０００８】上記公報が提案する新規なスチールコード
は、極めて優れたゴムペネトレーション特性を発揮し、
それ故水分に基づく耐腐食伝搬性の著しい向上を達成
し、併せて耐カットセパレーション性の向上をも実現し
得ることが実証されている。

【０００９】しかし一方では、このスチールコードはあ
まりにもゴムがスチール素線１２、１４相互間に十分に
入り込み過ぎる場合があり、この場合これをタイヤのベ
ルトのコード層に適用したとき、タイヤの荷重負荷転動
時の接地面で大きく変形するベルト、すなわちスチール
コード層の積層体においてスチール素線１２、１４の動
きが拘束されてコードの伸びが不足勝ちになるのは不可
避である。

【００１０】特にベルトの最外層の場合はトレッドゴム
の激しい変形に追従し得るような、そして鋭い異物によ
るカットに対してはできるだけ柔軟に応じてカットエネ
ルギを吸収し得るような、或る程度伸び易い性質をもつ
ゴム被覆スチールコードが要求されるところ、上記公報
のスチールコードではこの要求には十分に応えられない
唯一の弱点が存在することがわかった。

【００１１】従ってこの発明の請求項１〜３に記載した
発明は、実用上十分なゴムペネトレーション性質を有し
て水分に対し必要かつ十分な耐腐食伝搬性を備え、かつ
ゴム被覆状態で伸び易い特性を有するゴム物品補強用ス
チールコードの提供を目的その一とし、請求項４に記載
した発明は、十分な耐腐食伝搬性と優れた耐カット性と
の双方を同時に発揮することができる、ゴム物品として
タイヤのベルトを備える空気入りタイヤの提供を目的そ
の二とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的その一を達成す
るため、この発明の請求項１に記載した発明は、複数本
のスチール素線からなるストランドの複数本を撚り合わ
せて成る複撚り構造のゴム物品補強用スチールコードに
おいて、上記ストランドは、互いに平行に引き揃えた２
本のスチール素線よりなるコアと、該コアの周囲に撚り
上げた６〜８本の範囲内のスチール素線よりなるアウタ
ーシースとを有し、ｎ本（ｎ＝３、４）の上記ストラン
ドを１×ｎにて撚り上げ、ストランドのアウターシース
の撚りピッチＰｓと、アウターシースのスチール素線径
Ｄｓとの間で、１０×Ｄｓ≦Ｐｓ≦４０×Ｄｓの関係を
満たすと共に、ストランドの撚りピッチＰと、ストラン
ドのコアのスチール素線径Ｄｃと上記素線径Ｄｓの和
（Ｄｃ＋Ｄｓ）との間で１０×（Ｄｃ＋Ｄｓ）≦Ｐ≦４
０×（Ｄｃ＋Ｄｓ）の関係を満たし、かつストランドの
アウターシースの撚り方向とストランドの撚り方向とが
同方向であることを特徴とするゴム物品補強用スチール
コードである。

【００１３】請求項１に記載した発明の好適実施例にお
いては、請求項２に記載した発明のように、コードの中
心軸線に直交する平面による断面にて、最長横幅Ａに対
する最短縦幅Ｂの比Ｂ／Ａの値が０．５〜０．９５の範
囲内にある。また他の好適実施例では、請求項３に記載
した発明のように、ストランドのコアのスチール素線径
Ｄｃとストランドのアウターシースのスチール素線径Ｄ
ｓとの双方が０．２０〜０．３３ｍｍの範囲内にある。

【００１４】上記目的その二を達成するため、この発明
の請求項４に記載した発明は、一対のビード部及び一対
のサイドウォール部と、トレッド部とからなり、これら
各部をビード部内に埋設したビードコア相互間にわたっ
て補強する１プライ以上のラジアル配列コードのゴム被
覆になるカーカスと、該カーカスの外周でトレッド部を
強化する２層以上のゴム被覆コード交差層よりなるベル
トとを備える空気入りタイヤにおいて、ベルトの少なく
とも最外層のコード層に上記請求項１〜３に記載したス
チールコードを適用して成ることを特徴とする空気入り
タイヤである。

【００１５】上記最外層のコード層とはタイヤ半径方向
での最外側に位置するコード層であり、トレッドゴムと
接する層である。またベルトの少なくとも最外層のコー
ド層とは、最外層のコード層とこの層に隣接するコード
層との２層の場合、さらに同様にして３層以上の場合を
含むことを意味する。さらにコード交差層とはタイヤ赤
道面を挟んでコードが交差する積層体を言う。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態の一
例を図１及び図２に基づき説明する。図１及び図２は、
コードの中心軸線に直交する平面によるスチールコード
の断面図である。各図において、スチールコード１は、
互いに平行に引き揃えた２本のスチール素線（以下単に
素線という）２よりなるコア３と、コア３の周囲に撚り
上げた６〜８本（図示例は７本）の素線４よりなるアウ
ターシース５とを有するストランド６のｎ本（ｎ＝３又
は４）とからなり、ストランド６を１×ｎの単層にて撚
り上げた、ｎ×（２＋６）〜ｎ×（２＋８）の複撚り構
造を有する。

【００１７】図１に示すスチールコード１は４×（２＋
７）の複撚り構造であり、図２に示すスチールコード１
は３×（２＋７）の複撚り構造である。ここにストラン
ド６のアウターシースの素線４の撚り方向と、ｎ本のス
トランド６の撚り方向とは同一方向であることが重要で
ある。なお符号Ｅはストランド６の外接曲線である。

【００１８】ストランド６のアウターシース５に関し、
アウターシース５の素線４の直径Ｄｓ（ｍｍ）と、アウ
ターシース５の撚りピッチＰｓ（ｍｍ）との間で、１０
×Ｄｓ≦Ｐｓ≦４０×Ｄｓの関係を満たすことが必要で
ある。

【００１９】さらに、ストランド６に関し、ストランド
６の撚りピッチＰと、ストランド６のコア３の素線２の
直径Ｄｃ（ｍｍ）とアウターシース５の素線４の直径Ｄ
ｓ（ｍｍ）との和（Ｄｃ＋Ｄｓ）との間で、 １０×
（Ｄｃ＋Ｄｓ）≦Ｐ≦４０×（Ｄｃ＋Ｄｓ）の関係を満
たすことが必要である。

【００２０】さて、まず、ストランド６を、互いに平行
に引き揃えた２本のスチール素線２よりなるコア３と、
コア３の周囲に撚り上げた６〜８本の素線４よりなるア
ウターシース５とにより構成することにより、ゴムペネ
トレーション性を十分に確保することができる。

【００２１】次に、ｎ本（ｎ＝３又は４）のストランド
６を１×ｎの単層にて撚り上げることにより、スチール
コード１の必要な伸びを得ることができ、これは耐カッ
ト性向上を約束するものである。ｎ＝２又はｎ＝５以上
ではコードの長手方向の断面形状が不安定となることに
加えコードに必要な伸び特性が得られないため不可であ
る。

【００２２】次に、１０×Ｄｓ＞Ｐｓであり、１０×
（Ｄｃ＋Ｄｓ）＞Ｐであるとスチールコードの製造自体
が困難となり、またＰｓ＞４０×Ｄｓであり、Ｐ＞４０
×（Ｄｃ＋Ｄｓ）であるとスチールコード１に必要な伸
びを得ることができず、所望する耐カット性が得られな
いばかりか、却って耐カット性が低下するので、いずれ
の場合も不可である。

【００２３】最後に、ストランド６のアウターシースの
素線４の撚り方向と、ｎ本のストランド６の撚り方向と
を同一方向とすることによりスチールコード１に十分な
伸びを付与させることができる。これに対し撚り方向を
互いに異なる方向とすれば十分な伸び特性を得ることが
できず、耐カット性が大幅に低下するので不可であり、
よって撚り方向の同一方向は重要なファクタである。

【００２４】以上述べた特異な構成をもつスチールコー
ド１は、必要にしてかつ十分なゴムペネトレーション特
性を有して水分に対する優れた耐腐食伝搬性を保持する
ことができ、製造上の困難性を伴うことなく所望するコ
ード伸び特性を備えて優れた耐カット性を発揮すること
ができる。

【００２５】また図１、図２に示すスチールコード１の
断面にて、最長横幅Ａに対する最短縦幅Ｂの比Ｂ／Ａの
値が０．５〜０．９５の範囲内にある断面形状が好まし
い。このことは、スチールコード１の断面を偏平とする
ことにより、ゴム物品、例えばタイヤのベルトのコード
層にこのコードを適用するに際し、ベルトの幅方向に最
長横幅Ａをおよそ揃えてスチールコード１を層内に配列
することにより、タイヤの荷重負荷転動時の接地面でベ
ルトのコード層が湾曲面から平面に曲げ変形したとき、
スチール素線２、４に作用するひずみが低減することに
なり、このことは耐カット性の一層の向上に寄与する。

【００２６】また一方ではスチールコード１のゴム被覆
層のゲージ低減が可能となるので、トレッド部の発熱を
抑制することができ、このことはトレッド部の高温度化
による耐カット性の低下を抑え、加えてヒートセパレー
ション故障の低減にも役立つ。比Ｂ／Ａの値が０．５未
満では積層した各層内のスチールコード１相互間の間隔
が狭くなり過ぎ、層間せん断ひずみが大きくなるので機
械的セパレーションが発生し易く、比Ｂ／Ａの値が０．
９５を超えると偏平効果が明確にあらわれず、いずれも
不可である。

【００２７】またストランド６のコア２の素線３の直径
Ｄｃと、ストランド６のアウターシース５の素線４の直
径Ｄｓとが、いずれも０．２０〜０．３３ｍｍの範囲内
にあるのが好ましい。直径Ｄｃ、Ｄｓが０．２０ｍｍ未
満では十分なスチールコード１の引張強さが得られず、
０．３３ｍｍを超えると、ゴム物品、特にタイヤの荷重
負荷転動時の接地面内でスチールコード１の素線の表面
ひずみが増加して耐疲労性が低下するので、いずれも不
適合である。

【００２８】以下、図７に基づきこの発明の請求項４に
記載した発明の実施の形態例を説明する。図７は空気入
りタイヤの赤道面ｅからの左半断面図であり、タイヤ２
０は、一対のビード部２１（片側のみ示す）及び一対の
サイドウォール部２２（片側のみ示す）と、トレッド部
２３とからなり、これら各部２１、２２、２３をビード
部２１内に埋設したビードコア２４相互間にわたって補
強する１プライ以上（図示例は１プライ）のラジアル配
列コードのゴム被覆になるカーカス２５と、該カーカス
２５の外周でトレッド部２３を強化する２層以上（図示
例は６層）のゴム被覆コード交差層よりなるベルト２６
とを備える。

【００２９】ベルト２６は、カーカス２５寄りから順に
第一コード層２６−１、第二コード層２６−２、第三コ
ード層２６−３、第四コード層２６−４、第五コード層
２６−５及び第六コード層２６−６の６層を有し、これ
ら各層のうち少なくともタイヤ半径方向最外側の第六コ
ード層２６−６に上述したスチールコード１を適用す
る。必要に応じてトレッドゴム２３ｔ寄りの第五コード
層２６−５、第四コード層２６−４などにスチールコー
ド１を適用する。

【００３０】タイヤ種類としては、たとえ一時的でも荒
れ地を走行する一般的ダンプトラック用タイヤ又は常時
荒れ地走行を前提とする、ダンプトラック、スクレー
パ、ローダなどの建設車両用タイヤが適合する。この種
のタイヤ２０のカーカス２５は通常１プライで、スチー
ルコードのラジアル配列になり、ベルト２６の各層のコ
ードもスチールコードであるのが一般である。

【００３１】上記したようなタイヤ２０は、荒れ地に散
在する先端が比較的鋭利な異物の上を走行するとトレッ
ド部２３のトレッドゴム２３ｔにカット外傷を受けるの
は不可避であり、そのときスチールコード１を適用した
第六コード層２６−６に、又は第五コード層２６−５に
までカット傷が達したとしても、タイヤ稼働中に雨水が
第六コード層２６−６に、又は第五コード層２６−５に
入り込んでも、スチールコード１は耐腐食伝搬性に優れ
ているから錆は部分に止まり、錆によるセパレーション
故障のうれいは生じない。またスチールコード１は伸び
易い性質を有しているから、カットエネルギを緩和して
カット傷を最少限度に止め、優れた耐カット性を発揮す
る。

【００３２】

【実施例】建設車両用ラジアルプライタイヤ２０で、サ
イズが３６．００Ｒ５１であり、構成は図７に従い、カ
ーカス２５は１プライのラジアル配列スチールコードの
ゴム被覆になり、ベルト２６は６層のコード交差層のゴ
ム被覆になる。実施例１、２のベルト２６の第六コード
層２６−６及び第五コード層２６−５に、図１に従うス
チールコード１を適用し、実施例３のベルト２６の第六
コード層２６−６及び第五コード層２６−５に、図２に
従うスチールコード１を適用した。実施例１〜３に用い
たスチールコード１の構造及び構成を、実施例１、２に
おいてアウターシース及びストランドの撚りピッチを変
えたスチールコード１１を適用した比較例１及び図３に
従うスチールコード１１を適用した比較例２と共に表１
に示す。

【００３３】

【表１】

【００３４】実施例１〜３及び比較例１、２の各タイヤ
を供試タイヤとして、それぞれのタイヤを同一鉱山現場
で平均車両速度４０km/hにて稼働する建設車両用ダンプ
トラックの全輪（６本）に装着し、約１０００時間稼働
後に全数の供試タイヤを取り外し、少なくともベルト２
６の最外コード層（図７では第六コード層２６−６）に
達したカット箇所数をタイヤ解剖により数え、同時にカ
ット箇所数を数えた部分のスチールコードをゴム付きの
まま取り出して耐腐食伝搬性を計測により求めた。

【００３５】耐腐食伝搬性は、ゴム付きのまま１００ｍ
ｍの長さで取り出したスチールコードの側面をシリコー
ンシーラントで被覆した後、コードの一端を１０％Ｎａ
ＯＨ水溶液に浸してコード切断面のみから水溶液を侵入
させて、これを２４時間侵漬させ、その後ゴムをペンチ
でつまんで剥がし、スチール面が露出した部分を腐食伝
搬部とし、その長さ（ｍｍ）を計測し、計測値の長短に
より評価した。上記カット箇所数（個）と腐食伝搬長さ
（ｍｍ）とを表１の下段に記載した。いずれも値が小な
る程良い。

【００３６】表１が示す結果から、実施例１〜３のタイ
ヤは耐腐食伝搬性及び耐カット性の双方が比較例２と対
比して著しく向上していることが分かり、これに対し比
較例１は比較例２との対比で耐腐食伝搬性は良好である
が耐カット性が各実施例対比著しく劣ることが分かる。

【００３７】

【発明の効果】この発明の請求項１〜３に記載した発明
によれば、実用上十分なゴムペネトレーション性質を有
して水分に対し必要かつ十分な耐腐食伝搬性を備えると
共にゴム被覆状態で伸び易い特性を有するゴム物品補強
用スチールコードを提供することができ、請求項４に記
載した発明によれば、上記スチールコードをベルトの少
なくとも最外層に適用することにより、十分な耐腐食伝
搬性及び優れた耐カット性の双方を同時に満たすベルト
を備える、ゴム物品としての空気入りタイヤを提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の一形態例のスチールコードの
断面図である。

【図２】この発明の実施の他の形態例のスチールコード
の断面図である。

【図３】従来の一例のスチールコードの断面図である。

【図４】従来の他の例のスチールコードの断面図であ
る。

【図５】従来の別の例のスチールコードの断面図であ
る。

【図６】従来のさらに別の例のスチールコードの断面図
である。

【図７】この発明の実施の一形態例の空気入りタイヤの
左半断面図である。

【符号の説明】 １ スチールコード ２ コアの素線 ３ コア ４ アウターシースの素線 ５ アウターシース ６ ストランド Ｅ ストランドの外接曲線 Ａ スチールコードの最長横幅 Ｂ スチールコードの最短縦幅 ２０ 空気入りタイヤ ２１ ビード部 ２２ サイドウォール部 ２３ トレッド部 ２３ｔ トレッドゴム ２４ ビードコア ２５ カーカス ２６ ベルト ２６−１ ベルトの第一コード層 ２６−２ ベルトの第二コード層 ２６−３ ベルトの第三コード層 ２６−４ ベルトの第四コード層 ２６−５ ベルトの第五コード層 ２６−６ ベルトの第六コード層 ｅ タイヤ赤道面

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数本のスチール素線からなるストラン
   ドの複数本を撚り合わせて成る複撚り構造のゴム物品補
   強用スチールコードにおいて、 上記ストランドは、互いに平行に引き揃えた２本のスチ
   ール素線よりなるコアと、該コアの周囲に撚り上げた６
   〜８本の範囲内のスチール素線よりなるアウターシース
   とを有し、 ｎ本（ｎ＝３、４）の上記ストランドを１×ｎにて撚り
   上げ、ストランドのアウターシースの撚りピッチ（Ｐ
   ｓ）と、アウターシースのスチール素線径（Ｄｓ）との
   間で、１０×Ｄｓ≦Ｐｓ≦４０×Ｄｓの関係を満たすと
   共に、 ストランドの撚りピッチ（Ｐ）と、ストランドのコアの
   スチール素線径（Ｄｃ）と上記素線径（Ｄｓ）の和（Ｄ
   ｃ＋Ｄｓ）との間で１０×（Ｄｃ＋Ｄｓ）≦Ｐ≦４０×
   （Ｄｃ＋Ｄｓ）の関係を満たし、かつストランドのアウ
   ターシースの撚り方向とストランドの撚り方向とが同方
   向であることを特徴とするゴム物品補強用スチールコー
   ド。
2. 【請求項２】 コードの中心軸線に直交する平面による
   断面にて、最長横幅（Ａ）に対する最短縦幅（Ｂ）の比
   （Ｂ／Ａ）の値が０．５〜０．９５の範囲内にある請求
   項１に記載したスチールコード。
3. 【請求項３】 ストランドのコアのスチール素線径（Ｄ
   ｃ）とストランドのアウターシースのスチール素線径
   （Ｄｓ）との双方が０．２０〜０．３３ｍｍの範囲内に
   ある請求項１又は２に記載したスチールコード。
4. 【請求項４】 一対のビード部及び一対のサイドウォー
   ル部と、トレッド部とからなり、これら各部をビード部
   内に埋設したビードコア相互間にわたって補強する１プ
   ライ以上のラジアル配列コードのゴム被覆になるカーカ
   スと、該カーカスの外周でトレッド部を強化する２層以
   上のゴム被覆コード交差層よりなるベルトとを備える空
   気入りタイヤにおいて、 ベルトの少なくとも最外層のコード層に上記請求項１〜
   ３に記載したスチールコードを適用して成ることを特徴
   とする空気入りタイヤ。