JP3411621B2 - 重荷重用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
重荷重用空気入りラジアルタイヤInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、重荷重用空気入りラ
ジアルタイヤに関し、特にその耐久性を大幅に向上しよ
うとするものである。 【０００２】 【従来の技術】重荷重車両に供する重荷重用タイヤの骨
格となるカーカスまたはその上に配置するベルト層は、
スチールコードで補強されている。このスチールコード
は、コード径当たりのコード切断荷重を大きくしかつ良
好な耐疲労性を得るため、同線径の素線を最密構造とな
る配置とした、層撚り構造に成るのが通例である。 【０００３】しかし、このような最密構造の層撚りコー
ドは、コアの周囲に配置したシース層内の素線相互の隙
間が少なくてコード内部にゴムが十分に侵入しないた
め、タイヤの外傷から進入した水分がカーカスまたはベ
ルト層に達して、コードが水分と接触すると、コード内
部に水分が容易に侵入してコードを腐食することにな
る。 【０００４】そこで、コードの素線間の隙間に水分を侵
入させないために該隙間にゴムが容易に侵入し得る構造
とする必要があり、この構造に関して、コアの素線の線
径を最密構造の素線径よりも大きくすることが実開昭56
−103092号公報に、また最密構造の層撚りコードのシー
ス層の素線本数を少なくし、シース層内の素線間に隙間
をもたせてゴムの浸透性を向上させることが特開昭59−
223503号公報に、それぞれ提案されている。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】コアの素線径を太くし
てシース層内の素線間に隙間を形成するには、コードを
製造する際に線径の異なる２種類の素線を準備する必要
があり、製造作業が繁雑になり、また隣接するコア素線
間に隙間がないことから、コアの内部にまではゴムが侵
入しないため、耐食性は不十分である。一方、シースの
素線を最密構造よりも少なくしたコードにおいても、コ
アの内部まではゴムが浸透しないという問題点が依然と
して残るし、シースの素線間にゴムをより多く浸透させ
るために、素線の本数を減らし過ぎるとコードの切断荷
重が低下し、補強材としての機能が損なわれることにな
る。 【０００６】この発明は、タイヤの補強材とする層撚り
コードの長所、すなわち大きなコード切断荷重および良
好な耐疲労性を維持しながら、その耐食性を向上するこ
とによって、優れた耐久性の重荷重用空気入りラジアル
タイヤを提供しようとするものである。 【０００７】 【課題を解決するための手段】この発明は、１対のビー
ド部間でトロイド状に延びるカーカスを骨格とし、この
カーカス上にベルト層をそなえる空気入りラジアルタイ
ヤであって、該カーカスおよびベルト層の少なくともい
ずれか一方は、複数本の素線より成るコアと、このコア
の周囲に配置された複数本の素線より成るシースとを撚
り合わせた、層撚り構造のスチールコードの複数本をラ
ジアル方向に配列したプライから成り、該シースは、コ
アの周囲で最密構造を成す素線本数よりも少ない本数の
素線から成り、コアが２〜４本の素線を実質的に平行に
束ねて成り、かつ少なくとも１本の素線に、その径ｄに
関し下記式をそれぞれ満足する波長Ｌおよび波高Ｈに従
う波形の型付けを施したことを特徴とする、重荷重用空
気入りラジアルタイヤである。 記 ５ｄ≦Ｌ≦30ｄ 1.05ｄ≦Ｈ≦2.5 ｄ 【０００８】さて図１に、この発明に従う空気入りラジ
アルタイヤの断面を示す。図において、符号１は、１対
のビード部２間にわたってトロイド状に延びてタイヤの
骨格をなすカーカスで、該カーカス１のタイヤ径方向外
側にベルト層３を、さらにその外側にトレッド４を配置
して成る。上記カーカス１およびベルト層３は、複数本
のスチールコードを互いに平行に引き揃えてゴム被覆し
たプライから成る。この発明においては、これらプライ
を構成するスチールコードの構造を工夫することによっ
て、結果としてタイヤの耐久性を向上するものであり、
以下スチールコードの構造について説明する。 【０００９】すなわち、図２にスチールコードの断面形
状を示すように、この例でコア５は２本の素線６からな
り、このコア５の周囲に７本の素線７からなるシース８
を配置してなる。コア５を構成する素線６のうち少なく
とも１本、この例で２本の素線６には、図３に示すよう
な、波形を型付けしてなる。この波形は、波長Ｌおよび
波高Ｈが、波形を型付けした素線の径ｄに関し、それぞ
れ５ｄ≦Ｌ≦30ｄおよび1.05ｄ≦Ｈ≦2.5 ｄの範囲を満
足することが肝要で、波の変曲点付近の形状は図示の曲
線状に限らず、直線状であってもよい。 【００１０】また図４〜６に、この発明に従う、別のス
チールコードの断面形状を示す。図４は、３＋８構造で
コア５の３本の素線６に波形を型付けした例、図５は３
＋８構造の外側にさらに13本の素線９からなるアウター
シース10を配置した３＋８＋15構造に成り、そのコア５
の３本の素線６に波形を型付けした例、図６は、２＋６
構造、すなわちコア５の周囲に６本の素線７からなるシ
ース４を配置して成り、コア５の２本の素線６に波形を
型付けした例、である。 【００１１】 【作用】この発明において、タイヤの補強材となるスチ
ールコードの構造を層撚りとしたのは、複撚りに比べて
コードの切断荷重当たりのコード径が小さいため、カー
カスおよびベルト等のプライ厚さを薄くすることがで
き、よってタイヤの発熱を抑制されてタイヤの高速耐久
性が向上する上、機械的な耐疲労性も確保されるから、
タイヤの耐久性は向上する。 【００１２】また、シースを撚線ではなく素線で構成す
ることとしたのは、撚線にするとその内部にゴムを侵入
させることが困難となって、タイヤの耐食性が低下する
ためである。同様に、コアを複数本の素線を平行に束ね
て構成したのは、コアの内部にもゴムを侵入させて腐食
を回避し、タイヤの耐久性を向上させるためである。 【００１３】次に、コアの素線を従来のように、真直線
とすると、コードへ張力が働いたときにコアへの負担が
著しく大きくなり、コアの疲労低下を促進させてしま
う。そこで、コアのいずれか少なくとも１本、好ましく
はコアを構成する全ての素線に波形を付与し、コアの張
力負担を緩和する。 【００１４】ここで、波形の波長Ｌをその素線径ｄに関
し、５ｄ≦Ｌ≦30ｄと規定したのは、波長Ｌが30ｄを越
えると側圧抵抗（コード側面に圧力が作用したときのそ
の圧力に対するコードの抵抗力）が低下し、例えばタイ
ヤの製造工程中にコードの素線間の隙間が減少しコード
内部にゴムが侵入し難くなるためである。一方、波長Ｌ
が５ｄ未満ではコア素線の波長型付け加工条件が過酷に
なり、コア素線の引張強さが低下するためである。 【００１５】またコアに、型付けする波形の波高Ｈを1.
05ｄ≦Ｈ≦2.5 ｄの範囲に限定した理由は、1.05ｄ未満
であるとコア内における素線間の隙間が小さくなりコア
内部へのゴムの侵入性が悪化し、一方、2.5 ｄを越える
とシースにおける素線の配置が乱れて素線間の間隔が不
均一になって、素線間にゴムの侵入しない部分を生じる
からである。 【００１６】さらに、コアとインナーシースとの間にゴ
ムを侵入させるためには、コアの素線間にシースの素線
が入り込まない構造とすることが好ましく、すなわち、
シース素線をコア同様に平行に束ねないこととする。同
様に、３層以上の撚り構造の場合に内側のシースと外側
のシースとの間にゴムを侵入させるためには、内側のシ
ースの素線間に外側のシースの素線が入り込まない構
造、すなわち内側のシースの撚ピッチＰ1 と外側のシー
スの撚ピッチＰ2 との比Ｐ2 ／Ｐ1 を1.2 〜2.5の範囲
とすることが好ましい。 【００１７】尚、コードを撚る方法としては、コードの
素線にねじりの入らない方法、すなわち、チューブラー
撚線が耐疲労性の点から望ましい。また、３層以上の撚
り構造では、隣合う２層におけるシース、すなわちイン
ナーシースとアウターシースの撚方向は順、逆どちらの
方向でもよいが、コードの外周にラッピングワイヤを巻
付けない場合は、圧縮応力によるコードの座屈疲労を考
慮し、インナーシースの撚方向がＳ（Ｚ）であれば、ア
ウターシースの撚方向をＺ（Ｓ）とすることが好まし
い。さらに、コアの素線に付与する波形は、平面上で波
形のもの、またはらせん状としたもののどちらでも構わ
ない。 【００１８】 【実施例】 実施例１ タイヤ用スチールコードに供する線材を通常の製造方法
により所定の径まで伸線して得た素線にて、表１および
２に示す構造のスチールコードを製造した。かくして得
られたスチールコードを、１枚のカーカス上に４枚のベ
ルト層を設けた、サイズ11/70 Ｒ22.5の空気入りラジア
ルタイヤに適用した。すなわち、この発明に従うスチー
ルコードを、カーカスおよび４枚のベルト層に、それぞ
れ表３に準じて適用した。ベルトのコード角度は、カー
カス側から２層目のベルトでタイヤ周線に対して右へ20
°および３層目のベルトがタイヤ周線に対して左へ20°
であった。 【００１９】 【表１】 【００２０】 【表２】【００２１】試作した各タイヤは、次に示す室内試験に
よって評価した。まず、耐腐食伝播性は、タイヤのカー
カスまたはベルト層から切り出したゴム付きのスチール
コードの表面をシリコンシーラントで被覆し、乾燥後サ
ンプル長が10cmとなるように両端を切除し、コードの一
端を10％水酸化ナトリウムの溶液中に24時間浸漬後、溶
液からコードを取り出し、コード端からのゴムの剥離長
さを測定した。また、耐カットセパレーション性は、試
作したタイヤのそれぞれに周上３か所、タイヤの内面か
ら２〜３層目のベルトに達する穴をドリルで開け、タイ
ヤ内に水を封入後、リムに組み込んだ。しかるのち、タ
イヤをドラム上にて20000 km走行させた後、タイヤを解
剖して、２〜３層目のベルトのコードに発生した錆によ
る接着剥離長さの最大値を測定した。これらの試験結果
を、表３に併記する。 【００２２】 【表３】 【００２３】実施例２ 表１および２に示したスチールコードを、１枚のカーカ
ス上に４枚のベルト層を設けた、サイズ1100Ｒ22.5の空
気入りラジアルタイヤに適用した。すなわち、この発明
に従うスチールコードを、４枚のベルト層に表４に準じ
て適用した。ベルトのコード角度は、カーカス側から２
層目のベルトでタイヤ周線に対して右へ20°および３層
目のベルトがタイヤ周線に対して左へ20°であった。ま
たカーカスには、Ｃ21のコードを適用した。かくして得
られたタイヤについて、実施例と同様に、耐腐食伝播性
および耐カットセパレーション性を評価した。その結果
を表４に併記する。 【００２４】 【表４】 【００２５】実施例３ 表１および２に示したスチールコードを、１枚のカーカ
ス上に４枚のベルト層を設けた、サイズ11/70 Ｒ22.5の
空気入りラジアルタイヤに適用した。すなわち、この発
明に従うスチールコードを、カーカスに表５に準じて適
用した。なお、ベルト層には、Ｃ01のコードを適用し、
そのコード角度は、カーカス側から順にタイヤ周線に対
して左へ20°次いで右へ20°とした。かくして得られた
タイヤについて、実施例と同様に、カーカスコードの耐
腐食伝播性を評価した。その結果を表５に併記する。 【００２６】 【表５】 【００２７】 【発明の効果】この発明によれば、優れた耐久性を損な
うことなしに、耐腐食性を大幅に向上した重荷重用空気
入りラジアルタイヤを提供し得る。
ジアルタイヤに関し、特にその耐久性を大幅に向上しよ
うとするものである。 【０００２】 【従来の技術】重荷重車両に供する重荷重用タイヤの骨
格となるカーカスまたはその上に配置するベルト層は、
スチールコードで補強されている。このスチールコード
は、コード径当たりのコード切断荷重を大きくしかつ良
好な耐疲労性を得るため、同線径の素線を最密構造とな
る配置とした、層撚り構造に成るのが通例である。 【０００３】しかし、このような最密構造の層撚りコー
ドは、コアの周囲に配置したシース層内の素線相互の隙
間が少なくてコード内部にゴムが十分に侵入しないた
め、タイヤの外傷から進入した水分がカーカスまたはベ
ルト層に達して、コードが水分と接触すると、コード内
部に水分が容易に侵入してコードを腐食することにな
る。 【０００４】そこで、コードの素線間の隙間に水分を侵
入させないために該隙間にゴムが容易に侵入し得る構造
とする必要があり、この構造に関して、コアの素線の線
径を最密構造の素線径よりも大きくすることが実開昭56
−103092号公報に、また最密構造の層撚りコードのシー
ス層の素線本数を少なくし、シース層内の素線間に隙間
をもたせてゴムの浸透性を向上させることが特開昭59−
223503号公報に、それぞれ提案されている。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】コアの素線径を太くし
てシース層内の素線間に隙間を形成するには、コードを
製造する際に線径の異なる２種類の素線を準備する必要
があり、製造作業が繁雑になり、また隣接するコア素線
間に隙間がないことから、コアの内部にまではゴムが侵
入しないため、耐食性は不十分である。一方、シースの
素線を最密構造よりも少なくしたコードにおいても、コ
アの内部まではゴムが浸透しないという問題点が依然と
して残るし、シースの素線間にゴムをより多く浸透させ
るために、素線の本数を減らし過ぎるとコードの切断荷
重が低下し、補強材としての機能が損なわれることにな
る。 【０００６】この発明は、タイヤの補強材とする層撚り
コードの長所、すなわち大きなコード切断荷重および良
好な耐疲労性を維持しながら、その耐食性を向上するこ
とによって、優れた耐久性の重荷重用空気入りラジアル
タイヤを提供しようとするものである。 【０００７】 【課題を解決するための手段】この発明は、１対のビー
ド部間でトロイド状に延びるカーカスを骨格とし、この
カーカス上にベルト層をそなえる空気入りラジアルタイ
ヤであって、該カーカスおよびベルト層の少なくともい
ずれか一方は、複数本の素線より成るコアと、このコア
の周囲に配置された複数本の素線より成るシースとを撚
り合わせた、層撚り構造のスチールコードの複数本をラ
ジアル方向に配列したプライから成り、該シースは、コ
アの周囲で最密構造を成す素線本数よりも少ない本数の
素線から成り、コアが２〜４本の素線を実質的に平行に
束ねて成り、かつ少なくとも１本の素線に、その径ｄに
関し下記式をそれぞれ満足する波長Ｌおよび波高Ｈに従
う波形の型付けを施したことを特徴とする、重荷重用空
気入りラジアルタイヤである。 記 ５ｄ≦Ｌ≦30ｄ 1.05ｄ≦Ｈ≦2.5 ｄ 【０００８】さて図１に、この発明に従う空気入りラジ
アルタイヤの断面を示す。図において、符号１は、１対
のビード部２間にわたってトロイド状に延びてタイヤの
骨格をなすカーカスで、該カーカス１のタイヤ径方向外
側にベルト層３を、さらにその外側にトレッド４を配置
して成る。上記カーカス１およびベルト層３は、複数本
のスチールコードを互いに平行に引き揃えてゴム被覆し
たプライから成る。この発明においては、これらプライ
を構成するスチールコードの構造を工夫することによっ
て、結果としてタイヤの耐久性を向上するものであり、
以下スチールコードの構造について説明する。 【０００９】すなわち、図２にスチールコードの断面形
状を示すように、この例でコア５は２本の素線６からな
り、このコア５の周囲に７本の素線７からなるシース８
を配置してなる。コア５を構成する素線６のうち少なく
とも１本、この例で２本の素線６には、図３に示すよう
な、波形を型付けしてなる。この波形は、波長Ｌおよび
波高Ｈが、波形を型付けした素線の径ｄに関し、それぞ
れ５ｄ≦Ｌ≦30ｄおよび1.05ｄ≦Ｈ≦2.5 ｄの範囲を満
足することが肝要で、波の変曲点付近の形状は図示の曲
線状に限らず、直線状であってもよい。 【００１０】また図４〜６に、この発明に従う、別のス
チールコードの断面形状を示す。図４は、３＋８構造で
コア５の３本の素線６に波形を型付けした例、図５は３
＋８構造の外側にさらに13本の素線９からなるアウター
シース10を配置した３＋８＋15構造に成り、そのコア５
の３本の素線６に波形を型付けした例、図６は、２＋６
構造、すなわちコア５の周囲に６本の素線７からなるシ
ース４を配置して成り、コア５の２本の素線６に波形を
型付けした例、である。 【００１１】 【作用】この発明において、タイヤの補強材となるスチ
ールコードの構造を層撚りとしたのは、複撚りに比べて
コードの切断荷重当たりのコード径が小さいため、カー
カスおよびベルト等のプライ厚さを薄くすることがで
き、よってタイヤの発熱を抑制されてタイヤの高速耐久
性が向上する上、機械的な耐疲労性も確保されるから、
タイヤの耐久性は向上する。 【００１２】また、シースを撚線ではなく素線で構成す
ることとしたのは、撚線にするとその内部にゴムを侵入
させることが困難となって、タイヤの耐食性が低下する
ためである。同様に、コアを複数本の素線を平行に束ね
て構成したのは、コアの内部にもゴムを侵入させて腐食
を回避し、タイヤの耐久性を向上させるためである。 【００１３】次に、コアの素線を従来のように、真直線
とすると、コードへ張力が働いたときにコアへの負担が
著しく大きくなり、コアの疲労低下を促進させてしま
う。そこで、コアのいずれか少なくとも１本、好ましく
はコアを構成する全ての素線に波形を付与し、コアの張
力負担を緩和する。 【００１４】ここで、波形の波長Ｌをその素線径ｄに関
し、５ｄ≦Ｌ≦30ｄと規定したのは、波長Ｌが30ｄを越
えると側圧抵抗（コード側面に圧力が作用したときのそ
の圧力に対するコードの抵抗力）が低下し、例えばタイ
ヤの製造工程中にコードの素線間の隙間が減少しコード
内部にゴムが侵入し難くなるためである。一方、波長Ｌ
が５ｄ未満ではコア素線の波長型付け加工条件が過酷に
なり、コア素線の引張強さが低下するためである。 【００１５】またコアに、型付けする波形の波高Ｈを1.
05ｄ≦Ｈ≦2.5 ｄの範囲に限定した理由は、1.05ｄ未満
であるとコア内における素線間の隙間が小さくなりコア
内部へのゴムの侵入性が悪化し、一方、2.5 ｄを越える
とシースにおける素線の配置が乱れて素線間の間隔が不
均一になって、素線間にゴムの侵入しない部分を生じる
からである。 【００１６】さらに、コアとインナーシースとの間にゴ
ムを侵入させるためには、コアの素線間にシースの素線
が入り込まない構造とすることが好ましく、すなわち、
シース素線をコア同様に平行に束ねないこととする。同
様に、３層以上の撚り構造の場合に内側のシースと外側
のシースとの間にゴムを侵入させるためには、内側のシ
ースの素線間に外側のシースの素線が入り込まない構
造、すなわち内側のシースの撚ピッチＰ1 と外側のシー
スの撚ピッチＰ2 との比Ｐ2 ／Ｐ1 を1.2 〜2.5の範囲
とすることが好ましい。 【００１７】尚、コードを撚る方法としては、コードの
素線にねじりの入らない方法、すなわち、チューブラー
撚線が耐疲労性の点から望ましい。また、３層以上の撚
り構造では、隣合う２層におけるシース、すなわちイン
ナーシースとアウターシースの撚方向は順、逆どちらの
方向でもよいが、コードの外周にラッピングワイヤを巻
付けない場合は、圧縮応力によるコードの座屈疲労を考
慮し、インナーシースの撚方向がＳ（Ｚ）であれば、ア
ウターシースの撚方向をＺ（Ｓ）とすることが好まし
い。さらに、コアの素線に付与する波形は、平面上で波
形のもの、またはらせん状としたもののどちらでも構わ
ない。 【００１８】 【実施例】 実施例１ タイヤ用スチールコードに供する線材を通常の製造方法
により所定の径まで伸線して得た素線にて、表１および
２に示す構造のスチールコードを製造した。かくして得
られたスチールコードを、１枚のカーカス上に４枚のベ
ルト層を設けた、サイズ11/70 Ｒ22.5の空気入りラジア
ルタイヤに適用した。すなわち、この発明に従うスチー
ルコードを、カーカスおよび４枚のベルト層に、それぞ
れ表３に準じて適用した。ベルトのコード角度は、カー
カス側から２層目のベルトでタイヤ周線に対して右へ20
°および３層目のベルトがタイヤ周線に対して左へ20°
であった。 【００１９】 【表１】 【００２０】 【表２】【００２１】試作した各タイヤは、次に示す室内試験に
よって評価した。まず、耐腐食伝播性は、タイヤのカー
カスまたはベルト層から切り出したゴム付きのスチール
コードの表面をシリコンシーラントで被覆し、乾燥後サ
ンプル長が10cmとなるように両端を切除し、コードの一
端を10％水酸化ナトリウムの溶液中に24時間浸漬後、溶
液からコードを取り出し、コード端からのゴムの剥離長
さを測定した。また、耐カットセパレーション性は、試
作したタイヤのそれぞれに周上３か所、タイヤの内面か
ら２〜３層目のベルトに達する穴をドリルで開け、タイ
ヤ内に水を封入後、リムに組み込んだ。しかるのち、タ
イヤをドラム上にて20000 km走行させた後、タイヤを解
剖して、２〜３層目のベルトのコードに発生した錆によ
る接着剥離長さの最大値を測定した。これらの試験結果
を、表３に併記する。 【００２２】 【表３】 【００２３】実施例２ 表１および２に示したスチールコードを、１枚のカーカ
ス上に４枚のベルト層を設けた、サイズ1100Ｒ22.5の空
気入りラジアルタイヤに適用した。すなわち、この発明
に従うスチールコードを、４枚のベルト層に表４に準じ
て適用した。ベルトのコード角度は、カーカス側から２
層目のベルトでタイヤ周線に対して右へ20°および３層
目のベルトがタイヤ周線に対して左へ20°であった。ま
たカーカスには、Ｃ21のコードを適用した。かくして得
られたタイヤについて、実施例と同様に、耐腐食伝播性
および耐カットセパレーション性を評価した。その結果
を表４に併記する。 【００２４】 【表４】 【００２５】実施例３ 表１および２に示したスチールコードを、１枚のカーカ
ス上に４枚のベルト層を設けた、サイズ11/70 Ｒ22.5の
空気入りラジアルタイヤに適用した。すなわち、この発
明に従うスチールコードを、カーカスに表５に準じて適
用した。なお、ベルト層には、Ｃ01のコードを適用し、
そのコード角度は、カーカス側から順にタイヤ周線に対
して左へ20°次いで右へ20°とした。かくして得られた
タイヤについて、実施例と同様に、カーカスコードの耐
腐食伝播性を評価した。その結果を表５に併記する。 【００２６】 【表５】 【００２７】 【発明の効果】この発明によれば、優れた耐久性を損な
うことなしに、耐腐食性を大幅に向上した重荷重用空気
入りラジアルタイヤを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明に従うタイヤの断面図である。
【図２】この発明に従うスチールコードの断面図であ
る。 【図３】コアの素線に付与する波形を示す模式図であ
る。 【図４】この発明に従う別のスチールコードの断面図で
ある。 【図５】この発明に従う別のスチールコードの断面図で
ある。 【図６】この発明に従う別のスチールコードの断面図で
ある。 【符号の説明】 １ カーカス ２ ビード部 ３ ベルト層 ４ トレッド ５ コア ６ 素線 ７ 素線 ８ シース ９ 素線 10 アウターシース
る。 【図３】コアの素線に付与する波形を示す模式図であ
る。 【図４】この発明に従う別のスチールコードの断面図で
ある。 【図５】この発明に従う別のスチールコードの断面図で
ある。 【図６】この発明に従う別のスチールコードの断面図で
ある。 【符号の説明】 １ カーカス ２ ビード部 ３ ベルト層 ４ トレッド ５ コア ６ 素線 ７ 素線 ８ シース ９ 素線 10 アウターシース
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(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
B60C 9/00
D07B 1/06
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 １対のビード部間でトロイド状に延びる
カーカスを骨格とし、このカーカス上にベルト層をそな
える空気入りラジアルタイヤであって、該カーカスおよ
びベルト層の少なくともいずれか一方は、複数本の素線
より成るコアと、このコアの周囲に配置された複数本の
素線より成るシースとを撚り合わせた、層撚り構造のス
チールコードの複数本を互いに平行に配列したプライか
ら成り、該シースは、コアの周囲で最密構造を成す素線
本数よりも少ない本数の素線から成り、コアが２〜４本
の素線を実質的に平行に束ねて成り、かつ少なくとも１
本の素線に、その径ｄに関し下記式をそれぞれ満足する
波長Ｌおよび波高Ｈに従う波形の型付けを施したことを
特徴とする、重荷重用空気入りラジアルタイヤ。 記 ５ｄ≦Ｌ≦30ｄ 1.05ｄ≦Ｈ≦2.5 ｄ
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15937093A JP3411621B2 (ja) | 1993-06-29 | 1993-06-29 | 重荷重用空気入りラジアルタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15937093A JP3411621B2 (ja) | 1993-06-29 | 1993-06-29 | 重荷重用空気入りラジアルタイヤ |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH079808A JPH079808A (ja) | 1995-01-13 |
| JP3411621B2 true JP3411621B2 (ja) | 2003-06-03 |
Family
ID=15692351
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15937093A Expired - Fee Related JP3411621B2 (ja) | 1993-06-29 | 1993-06-29 | 重荷重用空気入りラジアルタイヤ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3411621B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US20110253280A1 (en) * | 2008-12-22 | 2011-10-20 | Bridgestone Corporation | Steel cord for reinforcing rubber articles and pneumatic tire using the same |
| CN104950941A (zh) * | 2015-06-11 | 2015-09-30 | 滁州市西控电子有限公司 | 一种温度控制系统 |
| CN107268309A (zh) * | 2017-06-21 | 2017-10-20 | 盛利维尔（中国）新材料技术股份有限公司 | 一种具有2+7+13结构的载重胎胎体钢帘线 |
-
1993
- 1993-06-29 JP JP15937093A patent/JP3411621B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH079808A (ja) | 1995-01-13 |
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