JP2017101217A - 帯電防止性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 樹脂の透明性および機械特性を損なうことなく永久帯電防止性を付与する特性に優れる帯電防止性樹脂組成物を提供する。【解決手段】 ポリエーテルを有しない疎水性ポリマーのブロック、親水性ポリマーのブロック、並びに該疎水性ポリマー以外の芳香環含有疎水性ポリエーテルのブロックを構成単位とするブロックポリマーを含有してなる帯電防止剤と、ポリカーボネート樹脂とを含有してなり、該親水性ポリマーのブロックを除いた該ブロックポリマーのSP値と、該ポリカーボネート樹脂のSP値の差の絶対値が0.50以下である帯電防止性樹脂組成物;該組成物を成形した成形品。【選択図】 なし

Description

本発明は、帯電防止性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、透明性および機械物性を損なうことなく、成形品に永久帯電防止性を付与する帯電防止性樹脂組成物に関する。
従来、透明性の熱可塑性樹脂であるポリカーボネート樹脂の透明性を損なうことなく帯電防止性を付与する方法としては、界面活性剤を表面に塗布したり、練り込んだりする方法が広く知られている。ところが、このような方法では、界面活性剤が容易に水洗や摩擦により除去され永久的な帯電防止性を付与することが困難であった。
そこでこれに代わる方法として、(1)ポリアミドオリゴマーとビスフェノール類のエチレンオキシド付加物からなるポリエーテルエステルアミドをポリカーボネート樹脂に添加する方法(例えば、特許文献1参照)、(2)スルホン酸塩基と縮合多環炭化水素骨格を有するポリエーテルエステルおよびイオン性帯電防止剤をポリカーボネート樹脂に添加する方法(例えば、特許文献2)等が提案されている。
特開平8−120147号公報 特開平10−338740号公報
しかしながら、上記(1)の方法では、透明性と帯電防止性との両立ができなかった。また、(2)の方法では、透明性と機械物性との両立ができなかった。
本発明の目的は、樹脂の透明性および機械特性を損なうことなく永久帯電防止性を付与する特性に優れる帯電防止性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果本発明に到達した。即ち、本発明は、ポリエーテルを有しない疎水性ポリマー(a)のブロック、親水性ポリマー(b)のブロック、および(a)以外の芳香環含有疎水性ポリエーテル(c)のブロックを構成単位とするブロックポリマー(A)を含有してなる帯電防止剤(Z)と、ポリカーボネート樹脂(B)とを含有してなり、(b)のブロックを除いた(A)のSP値と、(B)のSP値との差の絶対値が0.50以下である帯電防止性樹脂組成物(X);該組成物(X)を成形した成形品である。
本発明の帯電防止性樹脂組成物(X)は、下記の効果を奏する。
(1)帯電防止性樹脂組成物の成形品は、透明性、機械物性、永久帯電防止性に優れる。
<疎水性ポリマー(a)>
本発明におけるポリエーテルを有しない疎水性ポリマー(a)[以下、疎水性ポリマー(a)と略記することがある]とは、1×1011Ω・cmを超える体積固有抵抗値を有するポリマーのことを意味する。具体的には、ポリアミド(a1)、ポリオレフィン(a2)等が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。(a)のうち、帯電防止性の観点から、好ましいのは(a1)、(a2)、さらに好ましいのは(a1)である。
なお、本発明における体積固有抵抗値は、ASTM D257(1984年)に準拠し、23℃、50%RHの雰囲気下で測定して得られた数値のことである。
ポリアミド(a1)としては、アミド形成性モノマー(α)を開環重合又は重縮合したもの、及びジアミン(β)とジカルボン酸(γ)の重縮合物等が挙げられる。
アミド形成性モノマー(α)としては、ラクタム(α1−1)及びアミノカルボン酸(α1−2)等が挙げられる。
ラクタム(α1−1)としては、炭素数(以下、Cと略記することがある)4〜20のラクタム(カプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム及びウンデカノラクタム等)等が挙げられる。
アミノカルボン酸(α1−2)としては、炭素数2〜20のアミノカルボン酸(ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペラルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸及びこれらの混合物等)等が挙げられる。
ジアミン(β)としては、炭素数2〜20の脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン及び1,20−エイコサンジアミン等)、炭素数5〜20の脂環式ジアミン[1,3−又は1,4−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン及び2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン等]、炭素数6〜20の芳香族ジアミン[p−フェニレンジアミン、2,4−又は2,6−トルイレンジアミン及び2,2−ビス(4,4’−ジアミノフェニル)プロパン、p−又はm−キシリレンジアミン、ビス(アミノエチル)ベンゼン、ビス(アミノプロピル)ベンゼン及びビス(アミノブチル)ベンゼン等]等が挙げられる。
ジカルボン酸(γ)としては、炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸等)、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、2,6−又は2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、トリレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸及び5−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩等)、炭素数5〜20の脂環式ジカルボン酸(シクロプロパンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸及びショウノウ酸等)等が挙げられる。
ポリアミド(a1)の具体的としては、ナイロン6,6、ナイロン6,9、ナイロン6,12、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン4,6、ナイロン6とナイロン6,6の共重合物、ナイロン6とナイロン12の共重合物、及びナイロン6とナイロン6,6とナイロン12の共重合物等が挙げられる。
ポリオレフィン(a2)としては、カルボキシル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2−1)、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2−2)、アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2−3)及びイソシアネート基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2−4)、カルボキシル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a2−5)、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a2−6)、アミノ基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a2−7)、及びイソシアネート基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a2−8)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、末端にカルボキシル基を有する(a2−1)及び(a2−5)である。
なお、本発明における末端とは、ポリマーを構成するモノマー単位の繰り返し構造が途切れる終端部を意味する。また、両末端とは、ポリマーの主鎖における両方の末端を意味し、片末端とは、ポリマーの主鎖におけるいずれか一方の末端を意味する。
(a2−1)としては、両末端が変性可能なポリオレフィンを主成分(好ましくは含有率50重量%以上、更に好ましくは75重量%以上、特に好ましくは80〜100重量%)とするポリオレフィン(a2−01)の両末端にカルボキシル基を導入したもの;(a2−2)としては、(a2−01)の両末端に水酸基を導入したもの;(a2−3)としては、(a2−01)の両末端にアミノ基を導入したもの;並びに、(a2−4)としては、(a2−01)の両末端にイソシアネート基を導入したものをそれぞれ用いることができる。
(a2−5)〜(a2−8)としては、ポリオレフィン(a2−01)に代えて、片末端が変性可能なポリオレフィンを主成分(好ましくは含有率50重量%以上、更に好ましくは75重量%以上、特に好ましくは80〜100重量%)とするポリオレフィン(a2−02)の片末端に、カルボキシル基、水酸基、アミノ基又はイソシアネート基をそれぞれ導入したものを用いることができる。
両末端が変性可能なポリオレフィンを主成分とするポリオレフィン(a2−01)には、炭素数2〜30(好ましくは2〜12、更に好ましくは2〜10)のオレフィンの1種又は2種以上の混合物の(共)重合[(共)重合は、重合又は共重合を意味する。以下同様。]によって得られるポリオレフィン(重合法)及び減成されたポリオレフィン{高分子量[好ましくは数平均分子量(以下Mnと略記する。)50,000〜150,000]ポリオレフィンを機械的、熱的又は化学的に減成してなるもの(減成法)}が含まれる。
これらのうち、カルボキシル基、水酸基、アミノ基又はイソシアネート基を導入する際の変性のし易さ及び入手のし易さの観点から好ましいのは、減成されたポリオレフィンであり、更に好ましいのは熱減成されたポリオレフィンである。前記熱減成によれば、後述のとおり1分子当たりの平均末端二重結合数が1.5〜2個の低分子量ポリオレフィンが容易に得られ、前記低分子量ポリオレフィンはカルボキシル基、水酸基、アミノ基又はイソシアネート基等を導入して変性することが容易である。
本発明におけるポリマーのMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定することができる。
装置(一例) :「HLC−8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSKgelGMHXL」[東ソー(株)製](2本)
「TSKgelMultiporeHXL−M」[東ソー(株)製] (1本)
試料溶液:0.3重量%のオルトジクロロベンゼン溶液
溶液注入量:100μl
流量:1ml/分
測定温度:135℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン(TSKstandardPOLYSTYRENE)
12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、
9,100、18,100、37,900、96,400、
190,000、355,000、1,090,000、
2,890,000)[東ソー(株)製]
熱減成されたポリオレフィンとしては特に限定されないが、高分子量ポリオレフィンを、不活性ガス中で加熱して得られたもの(300〜450℃で0.5〜10時間、例えば特開平3−62804号公報に記載の方法で得られたもの)、及び空気中で加熱することにより熱減成されたもの等が挙げられる。
前記熱減成法に用いられる高分子量ポリオレフィンとしては、炭素数2〜30(好ましくは2〜12、更に好ましくは2〜10)のオレフィンの1種又は2種以上の混合物の(共)重合体[Mnは好ましくは12,000〜100,000、更に好ましくは15,000〜70,000。メルトフローレート(以下MFRと略記する。単位はg/10min)は好ましくは0.5〜150、更に好ましくは1〜100。]等が挙げられる。ここでMFRとは、樹脂の溶融粘度を表す数値であり、数値が大きいほど溶融粘度が低いことを表す。MFRの測定には、JIS K6760で定められた押出し形プラストメータを用い、測定方法はJIS K7210(1976年)で規定した方法に準拠する。例えばポリプロピレンの場合は、230℃、荷重2.16kgfの条件で測定される。
炭素数2〜30のオレフィンとしては、炭素数2〜30のα−オレフィン及び炭素数4〜30のジエンが挙げられる。
炭素数2〜30のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−イコセン及び1−テトラコセン等が挙げられる。
炭素数4〜30のジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン及び1,11−ドデカジエン等が挙げられる。
炭素数2〜30のオレフィンのうち、分子量制御の観点から好ましいのは、エチレン、プロピレン、炭素数4〜12のα−オレフィン、ブタジエン、イソプレン及びこれらの混合物であり、更に好ましいのは、エチレン、プロピレン、炭素数4〜10のα−オレフィン、ブタジエン及びこれらの混合物、特に好ましいのはエチレン、プロピレン、ブタジエン及びこれらの混合物である。
ポリオレフィン(a2−01)のMnは、下限は帯電防止性の観点から、上限はSP値の観点から好ましくは800〜5,000、さらに好ましくは1,000〜4,000、とくに好ましくは1,200〜3,000である。
(a2−01)中の末端二重結合の数は、成形品の帯電防止性の観点から好ましくは炭素数1,000個当たり1〜40個であり、更に好ましくは2〜30個、特に好ましくは4〜20個である。
(a2−01)1分子当たりの末端二重結合の平均数は、分子中の繰り返し構造のとりやすさ、成形品の帯電防止性及び後述するブロックポリマー(A)の熱可塑性の観点から、好ましくは1.1〜5個であり、更に好ましくは1.3〜3個、特に好ましくは1.5〜2.5個、最も好ましくは1.8〜2.2個である。
熱減成法により低分子量ポリオレフィンを得る方法を用いると、Mn800〜6,000の範囲で、1分子当たりの末端二重結合の平均数が1.5〜2個の(a2−01)が容易に得られる[村田勝英、牧野忠彦、日本化学会誌、192頁(1975)]。
片末端が変性可能なポリオレフィンを主成分とするポリオレフィン(a2−02)は、(a2−01)と同様にして得ることができ、(a2−02)のMnは、下限は帯電防止性の観点から、上限はSP値の観点から好ましくは2,000〜30,000であり、更に好ましくは2,500〜20,000、特に好ましくは3,000〜10,000である。
(a2−02)の炭素数1,000個当たりの二重結合数は、成形品の帯電防止性及びブロックポリマー(A)の分子量制御の観点から、好ましくは0.3〜20個であり、更に好ましくは0.5〜15個、特に好ましくは0.7〜10個である。
(a2−02)1分子当たりの二重結合の平均数は、分子中の繰り返し構造のとりやすさ、成形品の帯電防止性及び後述するブロックポリマー(A)の熱可塑性の観点から、好ましくは0.5〜1.4であり、更に好ましくは0.6〜1.3、特に好ましくは0.7〜1.2、最も好ましくは0.8〜1.1である。
(a2−02)のうち、変性のしやすさの観点から好ましいのは、熱減成法により得られた低分子量ポリオレフィンであり、更に好ましいのは、熱減成法により得られたMnが3,000〜10,000のポリエチレン及び/又はポリプロピレンである。
熱減成法により低分子量ポリオレフィンを得る方法を用いると、Mnが6,000〜30,000の範囲で、1分子当たりの末端二重結合の平均数が1〜1.5個の(a2−02)が得られる。
熱減成法で得られた低分子量ポリオレフィンは、前記末端二重結合の平均数を有することから、カルボキシル基、水酸基、アミノ基又はイソシアネート基等を導入して変性することが容易である。
なお、(a2−01)及び(a2−02)は、通常これらの混合物として得られるが、混合物をそのまま使用してもよく、精製分離してから使用してもよい。これらのうち、製造コスト等の観点から好ましいのは、混合物である。
以下、ポリオレフィン(a2−01)の両末端にカルボキシル基、水酸基、アミノ基又はイソシアネート基を有する(a2−1)〜(a2−4)について説明するが、ポリオレフィン(a2−02)の片末端にこれらの基を有する(a2−5)〜(a2−8)については、(a2−01)を(a2−02)に置き換えたものについて、(a2−1)〜(a2−4)と同様にして得ることができる。
カルボキシル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2−1)としては、(a2−01)の末端をα,β−不飽和カルボン酸(無水物)(α,β−不飽和カルボン酸、そのアルキル(炭素数1〜4)エステル又はその無水物を意味する。以下同様。)で変性した構造を有するポリオレフィン(a2−1−1)、(a2−1−1)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性した構造を有するポリオレフィン(a2−1−2)、(a2−01)を酸化又はヒドロホルミル化により変性した構造を有するポリオレフィン(a2−1−3)、(a2−1−3)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性した構造を有するポリオレフィン(a2−1−4)及びこれらの2種以上の混合物等が使用できる。
(a2−1−1)は、(a2−01)をα,β−不飽和カルボン酸(無水物)で変性することにより得ることができる。
変性に用いられるα,β−不飽和カルボン酸(無水物)としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、モノ又はジカルボン酸のアルキル(炭素数1〜4)エステル及びモノ又はジカルボン酸の無水物が挙げられ、具体的には(メタ)アクリル酸[(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタアクリル酸を意味する。以下同様。]、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、マレイン酸(無水物)、マレイン酸ジメチル、フマル酸、イタコン酸(無水物)、イタコン酸ジエチル及びシトラコン酸(無水物)等が挙げられる。
これらのうち、変性の容易さの観点から好ましいのは、ジカルボン酸、モノ又はジカルボン酸のアルキルエステル及びモノ又はジカルボン酸の無水物であり、更に好ましいのは、マレイン酸(無水物)及びフマル酸、特に好ましいのはマレイン酸(無水物)である。
変性に使用するα,β−不飽和カルボン酸(無水物)の量は、ポリオレフィン(a2−01)の重量に基づき、分子中の繰り返し構造のとりやすさ、成形品の帯電防止性及び後述する帯電防止性樹脂組成物へのブロックポリマー(A)の分散性の観点から、好ましくは0.5〜40重量%であり、更に好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは2〜20重量%である。
α,β−不飽和カルボン酸(無水物)による変性は、例えば、(a2−01)の末端二重結合に、溶液法又は溶融法のいずれかの方法で、α,β−不飽和カルボン酸(無水物)を付加反応(エン反応)させることにより行うことができ、反応温度は、好ましくは170〜230℃である。
(a2−1−2)は、(a2−1)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性することにより得ることができる。
二次変性に用いるラクタムとしては、炭素数6〜12(好ましくは6〜8、更に好ましくは6)のラクタム等が挙げられ、具体的には、カプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム及びウンデカノラクタム等が挙げられる。
アミノカルボン酸としては、炭素数2〜12(好ましくは4〜12、更に好ましくは6〜12)のアミノカルボン酸等が挙げられ、具体的には、アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びフェニルアラニン等)、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペラルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸等が挙げられる。
ラクタム及びアミノカルボン酸のうち好ましいのは、カプロラクタム、ラウロラクタム、グリシン、ロイシン、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸であり、更に好ましいのは、カプロラクタム、ラウロラクタム、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸、特に好ましいのはカプロラクタム及び12−アミノドデカン酸である。
二次変性に用いるラクタム又はアミノカルボン酸の使用量は、被変性物(a2−1)の重量に基づいて、分子中の繰り返し構造のとりやすさ、成形品の帯電防止性及びブロックポリマー(A)の熱可塑性の観点から、好ましくは0.5〜200重量%であり、更に好ましくは1〜150重量%、特に好ましくは2〜100重量%である。
(a2−3)は、(a2−01)を酸素及び/又はオゾンにより酸化する方法(酸化法)、又はオキソ法によるヒドロホルミル化によりカルボキシル基を導入することにより得ることができる。
酸化法によるカルボキシル基の導入は、公知の方法、例えば米国特許第3,692,877号明細書記載の方法で行うことができる。ヒドロホルミル化によるカルボニル基の導入は、公知を含む種々の方法、例えば、Macromolecules、VOl.31、5943頁記載の方法で行うことができる。
(a2−4)は、(a2−3)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性することにより得ることができる。
ラクタム及びアミノカルボン酸としては、前記(a2−1)の二次変性に用いられるラクタム及びアミノカルボン酸として例示されたものと同様のものが挙げられ、好ましい範囲、使用量も同様である。
(a2−1)のMnは、下限は帯電防止性の観点から、上限はSP値の観点から好ましくは800〜5,000、さらに好ましくは1,000〜4,000、とくに好ましくは1,500〜3,000である。
また、(a2−1)の酸価は、(b)との反応性及びブロックポリマー(A)の熱可塑性の観点から、好ましくは4〜280mgKOH/g、更に好ましくは4〜100mgKOH/g、特に好ましくは5〜50mgKOH/gである。
水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2−2)としては、前記カルボキシル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2−1)を、水酸基を有するアミンで変性したヒドロキシル基を有するポリオレフィン及びこれらの2種以上の混合物が使用できる。
変性に使用できる水酸基を有するアミンとしては、炭素数2〜10の水酸基を有するアミンが挙げられ、具体的には2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノール及び3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノールが挙げられる。
これらのうち、変性の容易さの観点から好ましいのは、炭素数2〜6の水酸基を有するアミン(2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール及び6−アミノヘキサノール等)であり、更に好ましいのは2−アミノエタノール及び4−アミノブタノール、特に好ましいのは2−アミノエタノールである。
変性に用いる水酸基を有するアミンの量は、被変性物(a2−1)の重量に基づいて、分子中の繰り返し構造のとりやすさ、成形品の帯電防止性及び後述する帯電防止性樹脂組成物へのブロックポリマー(A)の分散性、成形品の機械物性の観点から、好ましくは、0.5〜50重量%であり、更に好ましくは1〜40重量%、特に好ましくは2〜30重量%である。
(a2−2)のMnは、下限は帯電防止性の観点から、上限はSP値の観点から好ましくは800〜5,000、さらに好ましくは1,000〜4,000、とくに好ましくは1,500〜3,000である。
(a2−2)の水酸基価は、(b)との反応性及びブロックポリマー(A)の熱可塑性の観点から、好ましくは4〜280mgKOH/gであり、更に好ましくは4〜100mgKOH/g、特に好ましくは5〜50mgKOH/gである。
アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2−3)としては、前記カルボキシル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2−1)を、前記ジアミン(a03)で変性したアミノ基を有するポリオレフィン及びこれらの2種以上の混合物が使用できる。
前記ジアミン(a03)のうち、SP値の観点から好ましいのは芳香(脂肪)族ジアミン、さらに好ましいのは芳香族ジアミンである。
(a2−1)の変性に用いる(a03)の量は、分子中の繰り返し構造のとりやすさ、成形品の帯電防止性及び帯電防止性樹脂組成物へのブロックポリマー(A)の分散性、成形品の機械物性の観点から、(a2−1)の重量に基づいて、好ましくは0.5〜50重量%であり、更に好ましくは1〜40重量%、特に好ましくは2〜30重量%である。なお、(a03)による(a2−1)の変性は、ポリアミド(イミド)化を防止する観点から、(a2−1)の重量に基づいて、好ましくは0.5〜1,000重量%、更に好ましくは1〜500重量%、特に好ましくは2〜300重量%の(a03)を使用した後、未反応の(a03)を減圧下、120〜230℃で除去する方法が好ましい。
(a2−3)のMnは、下限は帯電防止性の観点から、上限はSP値の観点から好ましくは800〜5,000、さらに好ましくは1,000〜4,000、とくに好ましくは1,500〜3,000である。
(a2−3)のアミン価は、(b)との反応性及びブロックポリマー(A)の熱可塑性の観点から、好ましくは4〜280mgKOH/gであり、更に好ましくは4〜100mgKOH/g、特に好ましくは5〜50mgKOH/gである。
イソシアネート基を両末端に有するポリオレフィン(a2−4)としては、(a2−2)をポリ(2〜3又はそれ以上)イソシアネート(以下PIと略記する。)で変性したイソシアネート基を有するポリオレフィン及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
PIとしては、炭素数(NCO基中の炭素原子を除く。以下同様。)6〜20の芳香族PI、炭素数2〜18の脂肪族PI、炭素数4〜15の脂環式PI、炭素数8〜15の芳香脂肪族PI、これらのPIの変性体及びこれらの2種以上の混合物が含まれる。
芳香族PIとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン及び1,5−ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族PIとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート及び2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
脂環式PIとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族PIとしては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
PIの変性体としては、ウレタン変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体及びウレトジオン変性体等が挙げられる。
PIのうち屈折率の観点から好ましいのは、芳香族PIであり、更に好ましいのはTDI、MDIである。
PIと(a2−2)との反応は、通常のウレタン化反応と同様の方法で行うことができる。
PIと(a2−2)とのモル当量比(NCO/OH)は、好ましくは1.8/1〜3/1であり、更に好ましくは2/1である。
ウレタン化反応を促進するために、必要によりウレタン化反応に通常用いられる触媒を使用してもよい。触媒としては、金属触媒{錫触媒[ジブチルチンジラウレート及びスタナスオクトエート等]、鉛触媒[2−エチルヘキサン酸鉛及びオクテン酸鉛等]、その他の金属触媒[ナフテン酸金属塩(ナフテン酸コバルト等)及びフェニル水銀プロピオン酸塩等]};アミン触媒{トリエチレンジアミン、ジアザビシクロアルケン〔1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等〕、ジアルキルアミノアルキルアミン(ジメチルアミノエチルアミン及びジメチルアミノオクチルアミン等)、複素環式アミノアルキルアミン[2−(1−アジリジニル)エチルアミン及び4−(1−ピペリジニル)−2−ヘキシルアミン等]の炭酸塩又は有機酸(ギ酸等)塩、N−メチル又はエチルモルホリン、トリエチルアミン及びジエチル−又はジメチルエタノールアミン等};及びこれらの2種以上の併用系が挙げられる。
触媒の使用量は、PI及び(a2−2)の合計重量に基づいて、好ましくは3重量%以下であり、好ましくは0.001〜2重量%である。
(a2−4)のMnは、下限は帯電防止性の観点から、上限はSP値の観点から好ましくは800〜5,000、さらに好ましくは1,000〜4,000、とくに好ましくは1,500〜3,000である。
<親水性ポリマー(b)>
本発明における親水性ポリマー(b)とは、1×105〜1×1011Ω・cmの体積固有抵抗値を有するポリマーのことを意味する。
(b)の体積固有抵抗値は、好ましくは1×106〜1×109Ω・cmであり、更に好ましくは1×106〜1×108Ω・cmである。体積固有抵抗値が1×105Ω・cm未満のものは実質的に入手が困難であり、1×1011Ω・cmを超えると後述する成形品の帯電防止性が低下する。
親水性ポリマー(b)としては、特許第3488163号に記載の親水性ポリマーが挙げられ、具体的には、ポリエーテル(b1)、ポリエーテル含有親水性ポリマー(b2)等が挙げられる。
ポリエーテル(b1)としては、ポリエーテルジオール(b1−1)、ポリエーテルジアミン(b1−2)及びこれらの変性物(b1−3)が挙げられる。
ポリエーテルジオール(b1−1)としては、ジオール(b0)にアルキレンオキサイド(以下AOと略記する。)を付加反応させることにより得られるものが挙げられ、具体的には一般式(1)で表されるものが挙げられる。

H−(OR1m−O−E1−O−(R2O)n−H (1)

一般式(1)におけるE1は、ジオール(b0)からすべての水酸基を除いた残基である。
ジオール(b0)としては、炭素数2〜12の脂肪族2価アルコール、炭素数5〜12の脂環式2価アルコール、炭素数6〜18の芳香族2価アルコール及び3級アミノ基含有ジオール等が挙げられる。
炭素数2〜12の脂肪族2価アルコールとしては、エチレングリコール(以下EGと略記する。)、1,2−プロピレングリコール(以下PGと略記する。)、1,4−ブタンジオール(以下1,4−BDと略記する。)、1,6−ヘキサンジオール(以下1,6−HDと略記する。)、ネオペンチルグリコール(以下NPGと略記する。)及び1,12−ドデカンジオールが挙げられる。
炭素数5〜12の脂環式2価アルコールとしては、1,4−ジ(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び1,5−ジ(ヒドロキシメチル)シクロヘプタン等が挙げられる。
炭素数6〜18の芳香族2価アルコールとしては、単環芳香族2価アルコール(キシリレンジオール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン及びウルシオール等)及び多環芳香族2価アルコール(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン、ジヒドロキシビフェニルジヒドロキシナフタレン及びビナフトール等)等が挙げられる。
3級アミノ基含有ジオールとしては、炭素数1〜12の脂肪族又は脂環式1級アミン(メチルアミン、エチルアミン、シクロプロピルアミン、1−プロピルアミン、2−プロピルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン及びドデシルアミン等)のビスヒドロキシアルキル化物及び炭素数6〜12の芳香族1級アミン(アニリン及びベンジルアミン等)のビスヒドロキシアルキル化物が挙げられる。
これらのうち、ビスヒドロキシアルキル化物との反応性の観点から好ましいのは、炭素数2〜12の脂肪族2価アルコールおよび炭素数6〜18の芳香族2価アルコールであり、更に好ましいのはEGおよびビスフェノールAである。
一般式(1)におけるR1及びR2は、それぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基である。炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、1,2−又は1,3−プロピレン基及び1,2−、1,3−、1,4−又は2,3−ブチレン基等が挙げられる。
一般式(1)におけるm及びnは、それぞれ独立に1〜300の数であり、好ましくは2〜250、更に好ましくは10〜100である。
一般式(1)におけるm、nがそれぞれ2以上の場合のR1、R2は、同一でも異なっていてもよく、(OR1m、(R2O)n部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。
ポリエーテルジオール(b1−1)は、ジオール(b0)にAOを付加反応させることにより製造することができる。
AOとしては、炭素数2〜4のAO[エチレンオキサイド(以下EOと略記する。)、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド(以下POと略記する。)、1,2−、1,3−、1,4−又は2,3−ブチレンオキサイド(以下BOと略記する。)、及びこれらの2種以上の併用系が用いられるが、必要により他のAO[炭素数5〜12のα−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド及びエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)等]を少しの割合(AOの全重量に基づいて30重量%以下)で併用することもできる。
2種以上のAOを併用するときの結合形式は、ランダム結合、ブロック結合のいずれでもよい。AOとして好ましいのは、EO単独及びEOと他のAOとの併用、さらに好ましいのはEO単独である。
AOの付加反応は、公知の方法、例えばアルカリ触媒の存在下、100〜200℃の温度で行なうことができる。
一般式(1)で表されるポリエーテルジオール(b1−1)の重量に基づく、(OR1m及び(R2O)nの含有率は、好ましくは15〜99.8重量%であり、更に好ましくは25〜99.6重量%、特に好ましくは35〜98重量%である。
一般式(1)における(OR1m及び(R2O)nの重量に基づくオキシエチレン基の含有率は、好ましくは5〜100重量%であり、更に好ましくは10〜100重量%、特に好ましくは50〜100重量%、最も好ましくは60〜100重量%である。
ポリエーテルジアミン(b1−2)としては、一般式(2)で表されるものが挙げられる。

2N−R3−(OR4p−O−E2−O−(R5O)q−R6−NH2 (2)

一般式(2)におけるEは、ジオール(b0)からすべての水酸基を除いた残基である。ジオール(b0)としては、前記のものと同様のものが挙げられる。
一般式(2)におけるR3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基である。炭素数2〜4のアルキレン基としては、一般式(1)におけるR1及びR2として例示したものと同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)におけるp及びqは、それぞれ独立に1〜300の数であり、好ましくは2〜250、更に好ましくは10〜100である。
一般式(2)におけるp、qがそれぞれ2以上の場合のR4、R5は、同一でも異なっていてもよく、(OR4p、(R5O)q部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。
ポリエーテルジアミン(b1−2)は、ポリエーテルジオール(b1−1)が有するすべての水酸基を、アルキルアミノ基に変換することにより得ることができる。例えば(b1−1)とアクリロニトリルとを反応させ、得られたシアノエチル化物を水素添加することにより製造することができる。
変性物(b1−3)としては、(b1−1)又は(b1−2)のアミノカルボン酸変性物(末端アミノ基)、イソシアネート変性物(末端イソシアネート基)及びエポキシ変性物(末端エポキシ基)等が挙げられる。
アミノカルボン酸変性物は、(b1−1)又は(b1−2)と、アミノカルボン酸又はラクタムとを反応させることにより得ることができる。
イソシアネート変性物は、(b1−1)又は(b1−2)と、ポリイソシアネートとを反応させるか、(b1−2)とホスゲンとを反応させることにより得ることができる。
エポキシ変性物は、(b1−1)又は(b1−2)と、ジエポキシド(ジグリシジルエーテル、ジグリシジルエステル及び脂環式ジエポキシド等のエポキシ樹脂:エポキシ当量85〜600)とを反応させるか、(b1−1)とエピハロヒドリン(エピクロロヒドリン等)とを反応させることにより得ることができる。
(b1)のMnは、反応性および後述する成形品の耐熱性の観点から、好ましくは600〜20000であり、更に好ましくは1000〜15000、特に好ましくは1200〜8000である。
ポリエーテル含有親水性ポリマー(b2)としては、ポリエーテルジオール(b1−1)のセグメントを有するポリエーテルエステルアミド(b2−1)、(b1−1)のセグメントを有するポリエーテルアミドイミド(b2−2)、(b1−1)のセグメントを有するポリエーテルエステル(b2−3)、ポリエーテルジアミン(b1−2)のセグメントを有するポリエーテルアミド(b2−4)及び(b1−1)又は(b1−2)のセグメントを有するポリエーテルウレタン(b2−5)が挙げられる。
ポリエーテルエステルアミド(b2−1)は、ポリアミド(a1)のうち、両末端にカルボキシル基を有するポリアミド(a1’)とポリエーテルジオール(b1−1)とから構成される。
(a1’)としては、前記ラクタム(a01)の開環重合体、前記アミノカルボン酸(a02)の重縮合体、及び前記ジアミン(a03)とジカルボン酸(a04)とのポリアミド等が挙げられる。
(a1’)のうち、帯電防止性の観点から好ましいのは、カプロラクタムの開環重合体、12−アミノドデカン酸の重縮合体、及びアジピン酸とヘキサメチレンジアミンとのポリアミドであり、更に好ましいのはカプロラクタムの開環重合体である。
ポリエーテルアミドイミド(b2−2)としては、少なくとも1個のイミド環を有するポリアミドイミド(a3)とポリエーテルジオール(b1−1)とから構成される。
(a3)としては、ラクタム(a01)と、前記の少なくとも1個のイミド環を形成し得る3価又は4価の芳香族ポリカルボン酸(δ)とからなる重合体、アミノカルボン酸(a02)と(δ)とからなる重合体、ポリアミド(a1’)と(δ)とからなる重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。
ポリエーテルエステル(b2−3)としては、ポリエステル(Q)とポリエーテルジオール(b1−1)とから構成されるものが挙げられる。
(Q)としては、ジカルボン酸(a04)とジオール(b0)とのポリエステルが挙げられる。該ジカルボン酸のうち好ましいのは(a1)製造の場合と同様である。
ポリエーテルアミド(b2−4)としては、ポリアミド(a1)とポリエーテルジアミン(a212)とから構成されるものが挙げられる。
ポリエーテルウレタン(b2−5)としては、前記PIのうちのジイソシアネートと、ポリエーテルジオール(b1−1)又はポリエーテルジアミン(b1−2)及び必要により鎖伸長剤[前記ジオール(b0)及びジアミン(a03)等]とから構成される。該ジアミンのうち好ましいのは(a1)製造の場合と同様である。
ポリエーテル含有親水性ポリマー(b2)におけるポリエーテル(b1)セグメントの含有率は、成形性の観点から、(b2)の重量に基づいて好ましくは30〜80重量%であり、更に好ましくは40〜70重量%である。
(b2)におけるオキシエチレン基の含有率は、帯電防止性及び成形性の観点から、(b2)の重量に基づいて好ましくは30〜80重量%であり、更に好ましくは40〜70重量%である。
(b2)のMnの下限は、耐熱性の観点から好ましくは800であり、更に好ましくは1,000である。(b2)のMnの上限は、疎水性ポリマー(a)との反応性の観点から、好ましくは50,000であり、更に好ましくは30,000である。
<芳香環含有疎水性ポリエーテル(c)>
本発明における芳香環含有疎水性ポリエーテル(c)とは、1×1011Ω・cmを超える体積固有抵抗値を有する、前記(a)以外の芳香環含有疎水性ポリエーテルのことを意味する。
該ポリエーテル(c)としては、芳香環含有ポリエーテルジオール(c1)、芳香環含有ポリエーテルジアミン(c2)及びこれらの変性物(c3)が挙げられる。
芳香環含有ポリエーテルジオール(c1)としては、芳香環含有ジオール(c0)にアルキレンオキサイド(以下AOと略記する。)を付加反応させることにより得られるものが挙げられ、具体的には一般式(3)で表されるものが挙げられる。

H−(OR1m−O−E1−O−(R2O)n−H (3)

一般式(3)におけるE1は、芳香環含有ジオール(c0)からすべての水酸基を除いた残基である。
芳香環含有ジオール(c0)としては、炭素数6〜18の芳香族2価アルコール及び3級アミノ基含有ジオール等が挙げられる。
炭素数6〜18の芳香族2価アルコールとしては、単環芳香族2価アルコール(キシリレンジオール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン及びウルシオール等)及び多環芳香族2価アルコール(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン、ジヒドロキシビフェニルジヒドロキシナフタレン及びビナフトール等)等が挙げられる。
3級アミノ基含有ジオールとしては、炭素数6〜12の芳香族1級アミン(アニリン及びベンジルアミン等)のビスヒドロキシアルキル化物が挙げられる。
これらのうちSP値および後述する成形品の耐熱性の観点から好ましいのは多環芳香族2価アルコール、さらに好ましいのはビスフェノールS、および特に好ましいのはビスフェノールAおよびジヒドロキシナフタレンである。
一般式(3)におけるR1及びR2は、それぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基である。炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、1,2−又は1,3−プロピレン基及び1,2−、1,3−、1,4−又は2,3−ブチレン基等が挙げられる。
一般式(3)におけるm及びnは、それぞれ独立に1〜10の数であり、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜5である。
一般式(3)におけるm、nがそれぞれ2以上の場合のR1、R2は、同一でも異なっていてもよく、(OR1m、(R2O)n部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。
芳香環含有ポリエーテルジオール(c1)は、芳香環含有ジオール(c0)にAOを付加反応させることにより製造することができる。
AOとしては、炭素数2〜4のAO[エチレンオキサイド(以下EOと略記する。)、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド(以下POと略記する。)、1,2−、1,3−、1,4−又は2,3−ブチレンオキサイド(以下BOと略記する。)、及びこれらの2種以上の併用系が用いられるが、必要により他のAO[炭素数5〜12のα−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド及びエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)等]を少しの割合(AOの全重量に基づいて30重量%以下)で併用することもできる。
2種以上のAOを併用するときの結合形式は、ランダム結合、ブロック結合のいずれでもよい。AOとして好ましいのは、EO単独及びEOと他のAOとの併用、さらに好ましいのはEO単独である。
AOの付加反応は、公知の方法、例えばアルカリ触媒の存在下、100〜200℃の温度で行なうことができる。
一般式(3)で表されるポリエーテルジオール(c1)の重量に基づく、(OR1m及び(R2O)nの含有率は、好ましくは5〜60重量%であり、更に好ましくは8〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。
一般式(3)における(OR1m及び(R2O)nの重量に基づくオキシエチレン基の含有率は、好ましくは5〜100重量%であり、更に好ましくは10〜100重量%、特に好ましくは50〜100重量%、最も好ましくは60〜100重量%である。
芳香環含有ポリエーテルジアミン(c2)としては、一般式(4)で表されるものが挙げられる。

2N−R3−(OR4p−O−E2−O−(R5O)q−R6−NH2 (4)

一般式(4)におけるEは、芳香環含有ジオール(c0)からすべての水酸基を除いた残基である。(c0)としては、前記のものと同様のものが挙げられる。
一般式(4)におけるR3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基である。炭素数2〜4のアルキレン基としては、一般式(3)におけるR1及びR2として例示したものと同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
一般式(4)におけるp及びqは、それぞれ独立に1〜10の数であり、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜5である。
一般式(4)におけるp、qがそれぞれ2以上の場合のR4、R5は、同一でも異なっていてもよく、(OR4p、(R5O)q部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。
芳香環含有ポリエーテルジアミン(c2)は、芳香環含有ポリエーテルジオール(c1)が有するすべての水酸基を、アルキルアミノ基に変換することにより得ることができる。例えば(c1)とアクリロニトリルとを反応させ、得られたシアノエチル化物を水素添加することにより製造することができる。
変性物(c3)としては、(c1)又は(c2)のアミノカルボン酸変性物(末端アミノ基)、イソシアネート変性物(末端イソシアネート基)及びエポキシ変性物(末端エポキシ基)等が挙げられる。
アミノカルボン酸変性物は、(c1)又は(c2)と、アミノカルボン酸又はラクタムとを反応させることにより得ることができる。
イソシアネート変性物は、(c1)又は(c2)と、ポリイソシアネートとを反応させるか、(c2)とホスゲンとを反応させることにより得ることができる。
エポキシ変性物は、(c1)又は(c2)と、ジエポキシド(ジグリシジルエーテル、ジグリシジルエステル及び脂環式ジエポキシド等のエポキシ樹脂:エポキシ当量85〜600)とを反応させるか、(c1)とエピハロヒドリン(エピクロロヒドリン等)とを反応させることにより得ることができる。
(c)のうち、SP値および後述する成形品の耐熱性の観点から好ましいのは、多環芳香族2価アルコールのEO付加物、さらに好ましいのはビスフェノールSのEO付加物、およびとくに好ましいのはビスフェノールAおよびジヒドロキシナフタレンのEO付加物であり、Mnは好ましくは300〜600、さらに好ましくは300〜500、とくに好ましくは300〜400である。
<ブロックポリマー(A)>
本発明におけるブロックポリマー(A)は、前記疎水性ポリマー(a)のブロック、親水性ポリマー(b)のブロック、および前記(a)以外の芳香環含有疎水性ポリエーテル(c)のブロックを構成単位とする。
(A)のうち、帯電防止性の観点から好ましいのは、下記の(A1)および/または(A2)、さらに好ましいのは(A1)である。
(A1):(a)がポリアミド(a1)であり、(b)がポリエーテル(b1)及び/又はポリエーテル含有親水性ポリマー(b2)であって、(a1)と、(b1)及び/又は(b2)と、(c)とを構成単位とするポリエーテルエステルアミド。
(A2):(a)がポリオレフィン(a2)であり、(b)がポリエーテル(b1)及び/又はポリエーテル含有親水性ポリマー(b2)であって、(a2)と、(b1)及び/又は(b2)と、(c)とを構成単位とするブロックポリマー。
ブロックポリマーを構成する(a)、(b)および(c)の合計重量に基づく(a)の割合は、下限は後述するポリカーボネート樹脂(B)への帯電防止剤(Z)の分散性の観点から、上限は帯電防止性の観点から、好ましくは10〜80%、さらに好ましくは20〜60%;(b)の割合は、下限は帯電防止性の観点から、好ましくは50〜80%、さらに好ましくは55〜75%;(c)の割合は、下限はSP値の観点から、上限は帯電防止性の観点から好ましくは5〜60%、さらに好ましくは10〜45%である。
ブロックポリマー(A)は、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により、SP値調整するため、(a)、(b)、(c)以外の後述の芳香環含有モノマー(d)を共重合しても良い。
なお、本発明におけるSP値は、Fedorsの方法(Polymer Engineer Science、vol.14, p.152)に従って計算により求められる値である。
本発明における(b)のブロックを除いた(A)のSP値は、以下のように算出できる。
(1)(A)のSP値を算出する[SP値(A)]。
(2)(b)のブロックのSP値を算出する[SP値(b)のブロック]。ここで、(b)のブロックとは、例えばポリエーテールジオール(b1−1)の場合、(b1−1)の有する水酸基を除いた残基を意味する。つまり、(b)のブロックは、(b)が反応基を有する場合、反応基を除いた残基である。
(3)上記[SP値(A)]、[SP値(b)のブロック]とから、(b)のブロックを除いた(A)のSP値を算出する。
(b)のブロックを除いた(A)のSP値は、ブロックポリマー(A)の構成単位である、前記(a)および(c)それぞれのブロック、並びに必要により構成単位とする前記(d)の重量により、適宜調整できる。
すなわち、SP値を高く調整する場合、(a)の割合を減らし、逆に(c)、(d)の割合を増やす。一方、SP値を低く調整する場合、(a)の割合を増やし、逆に(c)、(d)の割合を減らす。
<芳香環含有モノマー(d)>
芳香環含有モノマー(d)としては、芳香環含有ジアミン(d1)、芳香環含有ジカルボン酸(d2)、芳香環含有ジオール(d3)、芳香環含有ポリイソシアネート(d4)およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
芳香環含有ジアミン(d1)としては、例えば芳香(脂肪)族ジアミン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
芳香脂肪族ジアミンとしては、C7〜20、例えばキシリレンジアミン、ビス(アミノエチル)ベンゼン、ビス(アミノプロピル)ベンゼンおよびビス(アミノブチル)ベンゼンが挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、C6〜40、例えばp−フェニレンジアミン2,4−および2,6−トルイレンジアミンおよび2,2−ビス(4,4‘−ジアミノフェニル)プロパンが挙げられる。
芳香環含有ジカルボン酸(d2)としては、C8〜40、例えばオルト−、イソ−およびテレフタル酸、2,6−および2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4‘−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、トリレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸および5−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩、これらのジカルボン酸の誘導体〔例えば酸無水物、低級(C1〜4)アルキルエステルおよびジカルボン酸塩[アルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウム)]〕およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
芳香環含有ジオール(d3)としては、炭素数6〜18の芳香族2価アルコール及び3級アミノ基含有ジオール等が挙げられる。
炭素数6〜18の芳香族2価アルコールとしては、単環芳香族2価アルコール(キシリレンジオール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン及びウルシオール等)及び多環芳香族2価アルコール(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン、ジヒドロキシビフェニルジヒドロキシナフタレン及びビナフトール等)等が挙げられる。
3級アミノ基含有ジオールとしては、炭素数6〜12の芳香族1級アミン(アニリン及びベンジルアミン等)のビスヒドロキシアルキル化物が挙げられる。
芳香環含有ポリイソシアネート(d4)としては、炭素数(NCO基中の炭素原子を除く。以下同様。)6〜20の芳香族PI、炭素数8〜15の芳香脂肪族PI、これらのPIの変性体及びこれらの2種以上の混合物が含まれる。
芳香族PIとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン及び1,5−ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族PIとしては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
PIの変性体としては、ウレタン変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体及びウレトジオン変性体等が挙げられる。
これらの(d)のうち、帯電防止剤の製造上の観点から好ましいのは芳香環含有ジカルボン酸、さらに好ましいのはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−および2,7−ナフタレンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウムである。
(d)の割合は、透明性および帯電防止性の観点から、前記(a)〜(c)の重量に基づいて、好ましくは0〜15重量%、さらに好ましくは5〜10重量%である。
(A)のMnは、後述する成形品の機械物性及び帯電防止性の観点から、好ましくは2,000〜1,000,000であり、更に好ましくは4,000〜500,000、特に好ましくは6,000〜100,000である。
(A)が、エステル結合、アミド結合、エーテル結合又はイミド結合からなる1種以上の結合を介して結合した構造を有するものである場合、下記の方法で製造することができる。
(a)、(b)、(c)および必要に応じて(d)を反応容器に投入し、撹拌下、反応温度100〜250℃、圧力0.003〜0.1MPaで、アミド化反応、エステル化反応又はイミド化反応で生成する水(以下生成水と略記する。)を反応系外に除去しながら、1〜50時間反応させる方法が挙げられる。
エステル化反応の場合、反応を促進させるために、(a)、(b)、(c)、および必要により構成単位となる(d)の合計重量に基づいて、0.05〜0.5重量%の触媒を使用することが好ましい。触媒としては、無機酸(硫酸及び塩酸等)、有機スルホン酸(メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸等)及び有機金属化合物(ジブチルチンオキサイド、テトライソプロポキシチタネート、ビストリエタノールアミンチタネート及びシュウ酸チタン酸カリウム等)等が挙げられる。触媒を使用した場合は、エステル化反応終了後必要により触媒を中和し、吸着剤で処理して触媒を除去・精製することができる。生成水を反応系外に除去する方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1)水と相溶しない有機溶媒(例えばトルエン、キシレン及びシクロヘキサン等)を使用して、還流下、有機溶媒と生成水とを共沸させて、生成水のみを反応系外に除去する方法。
(2)反応系内にキャリアガス(例えば空気、窒素、ヘリウム、アルゴン及び二酸化炭素等)を吹き込み、キャリアガスと共に生成水を反応系外に除去する方法。
(3)反応系内を減圧にして生成水を反応系外に除去する方法。
(A)が、ウレタン結合又はウレア結合を介して結合した構造を有するものである場合、(A)の製造方法としては、(a)を反応容器に投入し、撹拌下30〜100℃に加温した後(b)、(c)および必要に応じて(d)を投入し、同温度で1〜20時間反応させる方法が挙げられる。
反応を促進させるために、(a)、(b)、(c)、および(d)の合計重量に基づいて、0.001〜5重量%の触媒を使用することが好ましい。触媒としては、有機金属化合物(ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、オクタン酸鉛及びオクタン酸ビスマス等)、3級アミン{トリエチレンジアミン、炭素数1〜8のアルキル基を有するトリアルキルアミン(トリメチルアミン、トリブチルアミン、及びトリオクチルアミン等)、ジアザビシクロアルケン類〔1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7 〕等};及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。
<帯電防止剤(Z)>
本発明における帯電防止剤(Z)は、前記ブロックポリマー(A)を含有してなる。
帯電防止剤(Z)には、後述の成形品の透明性、機械物性および帯電防止性を向上させるために、芳香環含有スルホン酸アミジニウム塩(C)を含有させてもよい。
<芳香環含有スルホン酸アミジニウム塩(C)>
本発明における(C)は、下記一般式(5)で表される。

R−SO3 -・Z+ (5)
一般式(5)中、Rは、後述の成形品の透明性、機械物性および帯電防止性の観点から、好ましくはC8〜30(さらに好ましくはC10〜24、とくに好ましくはC12〜21)の、芳香環を有する1価の炭化水素基を表す。
一般式(5)中、Rとしては、アルキルアリール基およびアリールアルキル基が挙げられる。
アルキルアリール基としては、エチルフェニル、ペンチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ドデシルフェニル、ペンタデシルフェニル、オクタデシルフェニル、エイコシルフェニルおよびテトラコシルフェニル基等;
アリールアルキル基としては、フェニルエチル、フェニルペンチル、フェニルデシル、フェニルノニル、フェニルドデシル、フェニルペンタデシル、フェニルオクタデシル、フェニルエイコシルおよびフェニルテトラコシル基等が挙げられる。
上記Rのうち、帯電防止性および後述する成形品の透明性の観点から好ましいのはアルキルアリール基、さらに好ましいのはC12〜21のアルキルアリール基、とくに好ましいのはドデシルフェニル基、ペンタデシルフェニル基である。
一般式(5)中、Z+は、アミジニウムカチオンを示す。
アミジニウムカチオンとしては下記のものが挙げられる。
[1]イミダゾリニウムカチオン
C5〜15、例えば1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、1−メチル−2,3,4−トリエチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム;
[2]イミダゾリウムカチオン
C5〜15、例えば1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−エチル−イミダゾリウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−フェニルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−ベンジルイミダゾリウム、1−ベンジル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−イミダゾリウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム;
[3]テトラヒドロピリミジニウムカチオン
C6〜15、例えば1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウム、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム;
[4]ジヒドロピリミジニウムカチオン
C6〜20、例えば1,3−ジメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム、[これらを1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウムと表記し、以下同様の表記を用いる。]1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,9(10)−ウンデカジエニウム、5−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5,7(8)−ノナジエニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチル−1,4(6)−ジヒドロピリミジニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチル−1,4(6)−ヒドロピリミジニウム。
これらのうち、透明性、機械物性および帯電防止性の観点から好ましいのはイミダゾリウムカチオン、さらに好ましいのは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンである。
芳香環含有スルホン酸アミジニウム塩(C)の具体例としては、アルキルアレーンスルホン酸のイミダゾリウム塩(ドデシルベンゼンスルホン酸およびペンタデシルベンゼンスルホン酸の各1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩および1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム塩等)、アリールアルカンスルホン酸のイミダゾリウム塩(フェニルドデカンスルホン酸およびフェニルペンタデカンスルホン酸の各1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩および1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム塩等)等が挙げられる。
これらのうち、透明性、機械物性および帯電防止性の観点から好ましいのはアルキルアレーン(C8〜30)スルホン酸のイミダゾリウム塩、さらに好ましいのはドデシルベンゼンスルホン酸の、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩および1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム塩、ペンタデカンベンゼンスルホン酸の、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム塩、とくに好ましいのはドデシルベンゼンスルホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩である。
(A)と(C)の重量比[(A)/(C)]は、後述する成形品の機械物性および透明性の観点から好ましくは80/20〜99/1、さらに好ましくは85/15〜95/5である。
本発明における帯電防止剤の製造方法には、(C)の存在下で(A)を製造する方法、および(A)に(C)を後添加する方法が含まれる。(C)の(A)への分散性の観点から好ましいのは(C)の存在下で(A)を製造する方法である。
(C)の存在下で(A)を製造する方法において、(C)を(A)の製造時に含有させるタイミングは特に限定はなく、重合前および/または重合中のいずれでもよいが重合前の原料に含有させておくのが好ましい。
<ポリカーボネート樹脂(B)>
本発明におけるポリカーボネート樹脂(B)としては、ビスフェノールAとホスゲンとの縮合物、ビスフェノールAと炭酸エステルとのエステル交換反応による縮合物等が挙げられる。
[帯電防止性樹脂組成物(X)]
本発明の帯電防止性樹脂組成物は、前記帯電防止剤(Z)と前記ポリカーボネート樹脂(B)とを含有してなる。
帯電防止剤(Z)とポリカーボネート樹脂(B)との重量比[(Z)/(B)]は、成形品の帯電防止性および機械物性の観点から、好ましくは1/90〜30/70、さらに好ましくは3/97〜25/75、とくに好ましくは5/95〜20/80である。
上記組成物において、(b)のブロックを除いた(A)のSP値と、(B)のSP値の差の絶対値は、0.50以下であり、0.50超では後述の成形品の透明性が劣る。該絶対値は、帯電防止性および透明性の観点から、好ましくは0.10〜0.40、さらに好ましくは0.15〜0.30である。
また、(A)中の(b)のブロックの含有量は、(A)の重量に基づいて、好ましくは50〜80重量%、さらに好ましくは55〜75重量%である。
該組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により、着色剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、相溶化剤、充填剤、帯電防止性向上剤および前記(B)以外の熱可塑性透明樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の以下に示すその他の添加剤(D)を含有させることができる。該各(D)はそれぞれ1種または2種以上併用のいずれでもよい。
着色剤(D1)としては、無機顔料[白色顔料、コバルト化合物、鉄化合物、硫化物等]、有機顔料[アゾ顔料、多環式顔料等]、染料[アゾ系、インジゴイド系、硫化系、アリザリン系、アクリジン系、チアゾール系、ニトロ系、アニリン系等]等;
離型剤(D2)としては、高級脂肪酸(前記のもの)の低級(C1〜4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(C2〜18)の多価(2価〜4価またはそれ以上)アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸(C2〜18)のグリコール(C2〜8)エステル(エチレングリコールモノステアレート等)、流動パラフィン等;
酸化防止剤(D3)としては、フェノール化合物〔単環フェノール(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等)、ビスフェノール[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等]、多環フェノール[1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等]等〕、硫黄化合物(ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート等)、リン化合物(トリフェニルホスファイト等)、アミン化合物(オクチル化ジフェニルアミン等)等;
難燃剤(D4)としては、ハロゲン含有難燃剤、窒素含有難燃剤、硫黄含有難燃剤、珪素含有難燃剤、リン含有難燃剤等;
紫外線吸収剤(D5)としては、ベンゾトリアゾール[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等]、ベンゾフェノン[2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等]、サリチレート[フェニルサリチレート等]、アクリレート[2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’1−ジフェニルアクリレート等]等;
抗菌剤(D6)としては、安息香酸、ソルビン酸、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素、ニトリル(2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等)、チオシアノ(メチレンビスチアノシアネート)、N−ハロアルキルチオイミド、銅剤(8−オキシキノリン銅等)、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、トリハロアリル、トリアゾール、有機窒素硫黄化合物(スラオフ39等)、4級アンモニウム化合物、ピリジン系化合物等;
相溶化剤(D7)としては、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基およびポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(極性基)を有する変性ビニル重合体等:例えば、特開平3−258850号公報に記載の重合体、また、特開平6−345927号公報に記載のスルホン酸基を有する変性ビニル重合体、ポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック重合体等;
充填剤(D8)としては、例えば無機充填剤(炭化カルシウム、タルク、クレイ等)および有機充填剤(尿素、ステアリン酸カルシウム等)等が挙げられる。
帯電防止性向上剤(D9)としては、例えば界面活性剤[高級アルコール(C8〜18)のEO付加物(分子量158以上、Mn20,000未満)、C8〜22の飽和脂肪酸ナトリウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド]等が挙げられる。
前記(B)以外の熱可塑性樹脂(D10)としては、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体(MS)、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(B)の重量に基づく(D)の合計含有量は、通常45%以下、各添加剤の効果および成形品の機械物性の観点から好ましくは0.001〜40%、さらに好ましくは0.01〜35%;各(D)の含有量は、同様の観点から(D1)は好ましくは0.1〜3%、さらに好ましくは0.2〜2%;(D2)は好ましくは0.01〜3%、さらに好ましくは0.05〜1%;(D3)は好ましくは0.01〜3%、さらに好ましくは0.05〜1%;(D4)は好ましくは0.5〜20%、さらに好ましくは1〜10%;(D5)は好ましくは0.01〜3%、さらに好ましくは0.05〜1%;(D6)は好ましくは0.5〜20%、さらに好ましくは1〜10%;(D7)は好ましくは0.5〜10%、さらに好ましくは1〜5%;(D8)は好ましくは0.5〜10%、さらに好ましくは1〜5%;(D9)は好ましくは0.1〜3%、さらに好ましくは0.3〜2%;(D10)は好ましくは0.5〜10%、さらに好ましくは1〜5%である。
本発明の帯電防止性樹脂組成物(X)は、前記帯電防止剤(Z)、ポリカーボネート樹脂(B)、必要によりその他の添加剤(D)を溶融混合することにより得ることができる。
溶融混合する方法としては、一般的にはペレット状又は粉体状にした各成分を、適切な混合機(ヘンシェルミキサー等)で混合した後、押出機で溶融混合してペレット化する方法が適用できる。
溶融混合時の各成分の添加順序には特に制限はないが、例えば、
[1](Z)を溶融混合した後、(B)、必要により(D)を一括投入して溶融混合する方法;
[2](Z)を溶融混合した後、(B)の一部をあらかじめ溶融混合して(Z)の高濃度組成物(マスターバッチ樹脂組成物)を作製した後、残りの(B)並びに必要に応じて(D)を溶融混合する方法(マスターバッチ法又はマスターペレット法);
等が挙げられる。
[2]の方法におけるマスターバッチ樹脂組成物中の(Z)の濃度は、好ましくは40〜80重量%であり、更に好ましくは50〜70重量%である。
[1]及び[2]の方法のうち、(Z)を(B)に効率的に分散しやすいという観点から、[2]の方法が好ましい。
[成形品、成形物品]
本発明の成形品は、前記帯電防止性樹脂組成物(X)の成形品である。すなわち、帯電防止性組成物(X)を成形して得られる。成形方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形(キャスト法、テンター法及びインフレーション法等)等が挙げられ、目的に応じて単層成形、多層成形又は発泡成形等の手段も取り入れた任意の方法で成形できる。
本発明の成形品のヘーズは、透明性の観点から好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、とくに好ましくは10%以下である。なお、ヘーズはJIS K7105(1981年)に準じて測定して得られる値である。該測定に用いられる装置としては、例えば、日本電色工業(株)製ND−300Aが挙げられる。
本発明の成形品は、優れた透明性、機械物性及び永久帯電防止性を有すると共に、良好な塗装性及び印刷性を有し、成形品に塗装及び/又は印刷を施すことにより成形物品が得られる。
成形品を塗装する方法としては、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電スプレー塗装、浸漬塗装、ローラー塗装及び刷毛塗り等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塗料としては、プラスチックの塗装に一般に用いられる塗料が使用でき、具体的にはポリエステルメラミン樹脂塗料、エポキシメラミン樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料及びアクリルウレタン樹脂塗料等が挙げられる。
塗装膜厚(乾燥膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが通常10〜50μmである。
成形品又は成形品に塗装を施した面に印刷する方法としては、一般的にプラスチックの印刷に用いられる印刷法であればいずれも用いることができ、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、ドライオフセット印刷及びオフセット印刷等が挙げられる。
印刷インキとしては、プラスチックの印刷に通常用いられるものが使用でき、グラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、パッドインキ、ドライオフセットインキ及びオフセットインキ等が挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において部は重量部を示す。
<製造例1>
[ポリアミド(a1−1)の製造]
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、12−アミノドデカン酸90部、テレフタル酸16.3部、酸化防止剤[「イルガノックス1010」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製]0.3部及び水10部を投入し、窒素置換後、密閉下、撹拌しながら220℃まで昇温し、同温度(圧力:0.2〜0.3MPa)で4時間撹拌し、両末端にカルボキシル基を有するポリアミド(a1−1)を得た。
(a1−1)の酸価は109、Mnは1,000であった。
<製造例2>
[ポリアミド(a1−2)の製造]
製造例1と同様の耐圧反応容器に、ε−カプロラクタム79.4部、テレフタル酸11.5部、酸化防止剤[「イルガノックス1010」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製]0.3部及び水6部を投入し、窒素置換後、密閉下、撹拌しながら220℃まで昇温し、同温度(圧力:0.2〜0.3MPa)で4時間撹拌し、両末端にカルボキシル基を有するポリアミド(a1−2)を得た。
(a1−2)の酸価は78、Mnは1,400であった。
<製造例3>
[ポリアミド(a1−3)の製造]
製造例2において、ε−カプロラクタム79.4部、テレフタル酸11.5部に代えて、ε−カプロラクタム89.7部、2,6−ナフタレンジカルボン酸22.1部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして両末端にカルボキシル基を有するポリアミド(a1−3)を得た。
(a1−3)の酸価は120、Mnは900であった。
<製造例4>
[カルボキシル基を両末端に有するポリオレフィン(a2−1−1α)の製造]
製造例1と同様の耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量ポリプロピレン[ポリプロピレン(MFR:10g/10min)を360±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に100分間熱減成して得られたもの。Mn:1,200、炭素数1,000個当たりの二重結合数:18.0、1分子当たりの二重結合の平均数:1.8、両末端変性可能なポリオレフィンの含有率:90重量%]90部、無水マレイン酸28部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、カルボキシル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2−1−1α)を得た。
(a2−1−1α)の酸価は72、Mnは1,400であった。
<製造例5>
[(a2−1−1α)を二次変性して得られたポリオレフィン(a2−1−2α)の製造]
製造例1と同様の耐圧反応容器に、(a2−1−1α)55部及び12−アミノドデカン酸45部を投入し、均一に混合後、窒素ガス雰囲気下、撹拌しながら200℃まで昇温し、同温度で減圧下(0.013MPa以下)3時間反応させ、(a2−1−1α)を二次変性して得られたポリオレフィン(a2−1−2α)を得た。
(a2−1−2α)の酸価は40、Mnは2,500であった。
<製造例6>
[帯電防止剤(Z−1)]
撹拌機、温度計及び加熱冷却装置を備えた反応容器に、(a1−1)127部、(b−1)[PEG(Mn:8,000、体積固有抵抗値:1×107Ω・cm)]753部、(c−1)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:310、体積固有抵抗値:1×1012Ω・cm)75部、(d−1)2,6−ナフタレンジカルボン酸45部および酢酸ジルコニル7部を投入し、撹拌しながら240℃に昇温し、減圧下(0.013MPa以下)同温度で6時間重合させて、ブロックポリマー(A1−1)を得た。(A1−1)のMnは21,000であった。また(A1−1)中の(b)のブロックを除いたSP値は11.07であった。(A1−1)中の(b)のブロック含量は75%であった。
次に(A1−1)195部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩(C−1)5部を加え、220℃で1時間混合、撹拌し、(A1−1)と(C−1)を含有してなる帯電防止剤(Z−1)を得た。(Z−1)をベルト上にストランド状で取出し、ペレット化した。なお、(Z−1)の屈折率は1.495であった。
<製造例7>
[帯電防止剤(Z−2)]
製造例5と同様の反応容器に、(a1−1)180部、(b−2)[PEG(Mn:4,000、体積固有抵抗値:1×107Ω・cm)]698部、(c−1)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:310、体積固有抵抗値:1×1012Ω・cm)73部、(d−1)2,6−ナフタレンジカルボン酸50部および酢酸ジルコニル7部を投入し、撹拌しながら240℃に昇温し、減圧下(0.013MPa以下)同温度で6時間重合させて、ブロックポリマー(A1−2)を得た。(A1−2)のMnは21,000であった。また(A1−2)中の(b)のブロックを除いたSP値は11.04であった。(A1−2)中の(b)のブロック含量は70%であった。
次に(A1−2)195部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩(C−1)5部を加え、220℃で1時間混合、撹拌し、(A1−2)と(C−1)を含有してなる帯電防止剤(Z−2)を得た。(Z−2)をベルト上にストランド状で取出し、ペレット化した。なお、(Z−2)の屈折率は1.499であった。
<製造例8>
[帯電防止剤(Z−3)]
製造例5と同様の反応容器に、(a1−1)230部、(b−3)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:2,900、体積固有抵抗値:2×107Ω・cm)587部、(c−1)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:310、体積固有抵抗値:1×1012Ω・cm)115部、(d−1)2,6−ナフタレンジカルボン酸75部および酢酸ジルコニル7部を投入し、撹拌しながら240℃に昇温し、減圧下(0.013MPa以下)同温度で6時間重合させて、ブロックポリマー(A1−3)を得た。(A1−3)のMnは21,000であった。また(A1−3)中の(b)のブロックを除いたSP値は11.06であった。(A1−3)中の(b)のブロック含量は59%であった。
次に(A1−3)195部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩(C−1)5部を加え、220℃で1時間混合、撹拌し、(A1−3)と(C−1)を含有してなる帯電防止剤(Z−3)を得た。(Z−3)をベルト上にストランド状で取出し、ペレット化した。なお、(Z−3)の屈折率は1.515であった。
<製造例9>
[帯電防止剤(Z−4)]
製造例5と同様の反応容器に、(a1−1)142部、(a1−2)240部、(b−3)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:2,900、体積固有抵抗値:2×107Ω・cm)584部、(c−1)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:310、体積固有抵抗値:1×1012Ω・cm)32部および酢酸ジルコニル7部を投入し、撹拌しながら240℃に昇温し、減圧下(0.013MPa以下)同温度で6時間重合させて、ブロックポリマー(A1−4)を得た。(A1−4)のMnは21,000であった。また(A1−4)中の(b)のブロックを除いたSP値は11.52であった。(A1−4)中の(b)のブロック含量は58%であった。
次に(A1−4)195部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩(C−1)5部を加え、220℃で1時間混合、撹拌し、(A1−4)と(C−1)を含有してなる帯電防止剤(Z−4)を得た。(Z−4)をベルト上にストランド状で取出し、ペレット化した。なお、(Z−4)の屈折率は1.497であった。
<製造例10>
[帯電防止剤(Z−5)]
製造例5と同様の反応容器に、(a2−1−2α)100部、(b−2)[PEG(Mn:4,000、体積固有抵抗値:1×107Ω・cm)]597部、2,6−ナフタレンジカルボン酸142部、ビスフェノールAのEO付加物(Mn:310)173部および酢酸ジルコニル7部を投入し、撹拌しながら220℃に昇温し、減圧下(0.013MPa以下)同温度で3時間重合させて、ブロックポリマー(A2−1)を得た。(A1−5)のMnは21,000であった。また(A2−1)中の(b−2)のブロックを除いたSP値は10.82であった。(A2−1)中の(b)のブロック含量は59%であった。
次に(A2−1)195部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩(C−1)5部を加え、220℃で1時間混合、撹拌し、(A2−1)と(C−1)を含有してなる帯電防止剤(Z−5)を得た。(Z−5)をベルト上にストランド状で取出し、ペレット化した。なお、(Z−5)の屈折率は1.522であった。
<製造例11>
[帯電防止剤(Z−6)]
製造例5と同様の反応容器に、(a1−1)133部、(a1−2)240部、(b−1)[PEG(Mn:8,000、体積固有抵抗値:1×107Ω・cm)]773部、(c−1)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:310、体積固有抵抗値:1×1012Ω・cm)58部および酢酸ジルコニル7部を投入し、撹拌しながら240℃に昇温し、減圧下(0.013MPa以下)同温度で6時間重合させて、ブロックポリマー(A1−6)を得た。(A1−6)のMnは35,000であった。また(A1−4)中の(b)のブロックを除いたSP値は11.01であった。(A1−4)中の(b)のブロック含量は77%であった。
次に(A1−6)195部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩(C−1)5部を加え、220℃で1時間混合、撹拌し、(A1−6)と(C−1)を含有してなる帯電防止剤(Z−6)を得た。(Z−6)をベルト上にストランド状で取出し、ペレット化した。なお、(Z−6)の屈折率は1.490であった。
<製造例12>
[帯電防止剤(Z−7)]
製造例5と同様の反応容器に、(a1−1)200部、(a1−3)67部、(b−4)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:1,800、体積固有抵抗値:2×107Ω・cm)606部、(c−1)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:310、体積固有抵抗値:1×1012Ω・cm)67部、(d−1)2,6−ナフタレンジカルボン酸67部、および酢酸ジルコニル7部を投入し、撹拌しながら240℃に昇温し、減圧下(0.013MPa以下)同温度で6時間重合させて、ブロックポリマー(A1−7)を得た。(A1−7)のMnは18,000であった。また(A1−7)中の(b)のブロックを除いたSP値は11.01であった。(A1−7)中の(b)のブロック含量は61%であった。
次に(A1−7)195部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩(C−1)5部を加え、220℃で1時間混合、撹拌し、(A1−7)と(C−1)を含有してなる帯電防止剤(Z−7)を得た。(Z−7)をベルト上にストランド状で取出し、ペレット化した。なお、(Z−7)の屈折率は1.520であった。
<製造例13>
[帯電防止剤(Z−8)]
製造例5と同様の反応容器に、(a1−1)249部、(b−4)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:1,800、体積固有抵抗値:2×107Ω・cm)617部、(c−1)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:310、体積固有抵抗値:1×1012Ω・cm)69部、(d−1)2,6−ナフタレンジカルボン酸74部、および酢酸ジルコニル7部を投入し、撹拌しながら240℃に昇温し、減圧下(0.013MPa以下)同温度で6時間重合させて、ブロックポリマー(A1−8)を得た。(A1−8)のMnは18,000であった。また(A1−8)中の(b)のブロックを除いたSP値は11.21であった。(A1−8)中の(b)のブロック含量は62%であった。
次に(A1−8)195部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩(C−1)5部を加え、220℃で1時間混合、撹拌し、(A1−8)と(C−1)を含有してなる帯電防止剤(Z−8)を得た。(Z−8)をベルト上にストランド状で取出し、ペレット化した。なお、(Z−8)の屈折率は1.521であった。
<製造例14>
[帯電防止剤(Z−9)]
製造例5と同様の反応容器に、(a1−1)209部、(b−4)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:1,800、体積固有抵抗値:2×107Ω・cm)658部、(c−1)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:310、体積固有抵抗値:1×1012Ω・cm)73部、(d−2)テレフタル酸70部、および酢酸ジルコニル7部を投入し、撹拌しながら240℃に昇温し、減圧下(0.013MPa以下)同温度で6時間重合させて、ブロックポリマー(A1−9)を得た。(A1−9)のMnは17,000であった。また(A1−9)中の(b)のブロックを除いたSP値は11.24であった。(A1−9)中の(b)のブロック含量は66%であった。
次に(A1−9)195部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩(C−1)5部を加え、220℃で1時間混合、撹拌し、(A1−9)と(C−1)を含有してなる帯電防止剤(Z−9)を得た。(Z−9)をベルト上にストランド状で取出し、ペレット化した。なお、(Z−9)の屈折率は1.515であった。
<製造例15>
[帯電防止剤(Z−10)]
製造例5と同様の反応容器に、(a1−3)568部、(b−4)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:1,800、体積固有抵抗値:2×107Ω・cm)296部、ビスフェノールAのEO付加物(Mn:310、体積固有抵抗値:1×1012Ω・cm)144部および酢酸ジルコニル7部を投入し、撹拌しながら240℃に昇温し、減圧下(0.013MPa以下)同温度で6時間重合させて、ブロックポリマー(A−10)を得て、(A−10)をベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化した帯電防止剤(Z−10)を得た。
(A−10)のMnは24,000であり、また(A−10)中の(b)のブロックを除いたSP値は11.85であった。(A−10)中の(b)のブロック含量は30%であった。(Z−10)の屈折率は1.535であった。
<製造例16>
[帯電防止剤(Z−11)]
製造例5と同様の反応容器に、(a1−2)500部、(b−4)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:1,800、体積固有抵抗値:2×107Ω・cm)477部、(c−1)ビスフェノールAのEO付加物(Mn:310、体積固有抵抗値:1×1012Ω・cm)22部および酢酸ジルコニル7部を投入し、撹拌しながら240℃に昇温し、減圧下(0.013MPa以下)同温度で6時間重合させて、ブロックポリマー(A−11)を得た。
(A−11)のMnは21,000であった。また(A−11)中の(b)のブロックを除いたSP値は11.99であった。(A−11)中の(b)のブロック含量は59%であった。
次に(A−11)195部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩(C−1)5部を加え、220℃で1時間混合、撹拌し、(A−11)と(C−1)を含有してなる帯電防止剤(Z−11)を得た。(Z−11)をベルト上にストランド状で取出し、ペレット化した。なお、(Z−11)の屈折率は1.514であった。
<実施例1〜12、比較例1〜3>
表1に示す配合組成に従って、帯電防止剤(Z)、ポリカーボネート樹脂(B)、添加剤(D)を加えてヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、回転速度100rpm、滞留時間3分間の条件で250℃で溶融混練して、各帯電防止性樹脂組成物を得た。
(B−1):ポリカーボネート樹脂
[商品名:パンライト L−1225L、帝人化成(株)製、
屈折率1.585]
得られた各帯電防止性樹脂組成物(X)を、射出成形機「PS40E5ASE」[日精樹脂工業(株)製]を用い、シリンダー温度250℃、金型温度80℃で成形試験片を作製し、下記の性能試験により評価した。結果を表1に示す。
<性能試験>
(1)ヘーズ
試験片(40×40×2mm)を用い、曇度計を使用し、JIS K7105(1981年)に準拠して測定した。
(2)表面固有抵抗値(単位:Ω)
ASTM D257に準拠し、試験片(100×100×2mm)について、超絶縁計「DSM−8103」[東亜電波工業(株)製]を用いて23℃、湿度50%RHの雰囲気下で測定した。
(3)水洗後の表面固有抵抗値(単位:Ω)
ななめに立てかけた試験片(100×100×2mm)を、23℃、流量100ml/分のイオン交換水100mlの流水で水洗し、その後循風乾燥機(80℃)で3時間乾燥させた。この水洗・乾燥の操作を合計10回行った。得られた試験片について、(2)と同様の条件で測定した。
(4)アイゾット衝撃強度(単位:KJ/m2
ASTM D256 Method A(ノッチ付き、3.2mm厚)に準拠して測定した。
表1の結果から、本発明の帯電防止性樹脂組成物の成形品は、比較のものと比べて、透明性、機械物性、永久帯電防止性のいずれにも優れることが明らかである。
本発明の帯電防止性樹脂組成物の成形品は、透明性、機械物性、永久帯電防止性のいずれにも優れることから、電気・電子機器用、包装材料用、搬送材用、生活資材用および建材用等の幅広い分野に好適に適用することができる。

Claims (6)

  1. ポリエーテルを有しない疎水性ポリマー(a)のブロック、親水性ポリマー(b)のブロック、および(a)以外の芳香環含有疎水性ポリエーテル(c)のブロックを構成単位とするブロックポリマー(A)を含有してなる帯電防止剤(Z)と、ポリカーボネート樹脂(B)とを含有してなり、(b)のブロックを除いた(A)のSP値と、(B)のSP値との差の絶対値が0.50以下である帯電防止性樹脂組成物(X)。
  2. (A)が下記の(A1)および/または(A2)である請求項1に記載の帯電防止性樹脂組成物。
    (A1):(a)がポリアミド(a1)であり、(b)がポリエーテル(b1)及び/又はポリエーテル含有親水性ポリマー(b2)であって、(a1)と、(b1)及び/又は(b2)と、(c)とを構成単位とするポリエーテルエステルアミド。
    (A2):(a)がポリオレフィン(a2)であり、(b)がポリエーテル(b1)及び/又はポリエーテル含有親水性ポリマー(b2)であって、(a2)と、(b1)及び/又は(b2)と、(c)とを構成単位とするブロックポリマー。
  3. さらに、(Z)が芳香環含有スルホン酸アミジニウム塩(C)を含有してなる請求項1または2記載の帯電防止性樹脂組成物。
  4. (Z)と(B)との重量比[(Z)/(B)]が1/99〜30/70である請求項1〜3のいずれか記載の組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の組成物(X)を成形した成形品。
  6. 請求項5記載の成形品に塗装および/または印刷を施してなる成形物品。
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