JP2017099420A - 容器入り茶アルコール飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルコールのべたつき、苦味や渋味を始めとした雑味の少ない茶アルコール飲料を提供する。【解決手段】本発明は、果汁を含有し、前記果汁由来の糖類から算出されるBrix換算値と、含有されているタンニン量とが、前記Brix換算値/前記タンニン量で50〜3400の範囲にあり、前記タンニン量が、0.0025〜0.5g/100mLであることを特徴とする容器入り茶アルコール飲料である。本発明においては、前記タンニン量の算出対象となるタンニンが茶由来であるのが好ましい。さらに、前記果汁が、マスカット、オレンジ及びライチのうちの少なくとも一つであるのが好ましい。そして、前記茶が、発酵茶及び半発酵茶のうちの少なくとも一つであるのが好ましく、前記発酵茶が紅茶であり、前記半発酵茶がジャスミン茶であるのがより好ましく、発泡性であるのが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、容器入り茶アルコール飲料に関する。
アルコール飲料に茶抽出物を利用することで、アルコールのべたつきなどが改善することが知られている。例えば、ウーロンハイや緑茶ハイなどの茶アルコール飲料は、スッキリとした味わいを有するため、好んで飲用する消費者も多く、一定の市場を形成している。
このような茶アルコール飲料に関して、特許文献1〜3が公開されている。
特許文献1には、茶の香味を有し、酸味及び苦味を低減した茶炭酸アルコール飲料を提供することを課題として、pH調整剤として、フィチン酸、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる酸を含み、pHが3.8以上4.0未満である容器詰め茶アルコール飲料が記載されている。
また、特許文献2には、アルコール製造工程上含まれる作物由来の匂い、及びアルコール飲料から揮発してくるエタノール臭を抑制し、非重合体カテキン類の安定性に優れた清澄な容器詰アルコール飲料を提供することを課題として、(A)エタノールを1〜36質量%、(B)茶抽出物を非重合体カテキン類として0.03〜0.5質量%含有する容器詰アルコール飲料が記載されている。
そして、特許文献3には、お茶の苦味や旨味を利用して炭酸の酸味や渋みをやわらかくした炭酸入りアルコール飲料を提供することを課題として、お茶、アルコール及び炭酸を含有することを特徴とする炭酸入りアルコール飲料が記載されている。
特開2011−142850号公報 特開2006−149373号公報 特開平6−237693号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載されているような従来の茶アルコール飲料は、用いられる茶や茶抽出物に由来するタンニンなどによって苦味や渋味を始めとした雑味が生じていた。
本発明は前記状況に鑑みてなされたものであり、アルコールのべたつき、苦味や渋味を始めとした雑味の少ない茶アルコール飲料を提供することを課題とする。
前記課題を解決した本発明は、以下の構成を有する。
(1)果汁を含有し、前記果汁由来の糖類から算出されるBrix換算値と、含有されているタンニン量とが、前記Brix換算値/前記タンニン量で50〜3400の範囲にあり、前記タンニン量が、0.0025〜0.5g/100mLであることを特徴とする容器入り茶アルコール飲料。
(2)前記タンニン量の算出対象となるタンニンが茶由来であることを特徴とする前記(1)に記載の容器入り茶アルコール飲料。
(3)前記果汁が、マスカット、オレンジ及びライチのうちの少なくとも一つであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の容器入り茶アルコール飲料。
(4)前記茶が、発酵茶及び半発酵茶のうちの少なくとも一つであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の容器入り茶アルコール飲料。
(5)前記発酵茶が紅茶であり、前記半発酵茶がジャスミン茶であることを特徴とする前記(4)に記載の容器入り茶アルコール飲料。
(6)発泡性であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の容器入り茶アルコール飲料。
本発明によれば、アルコールのべたつき、苦味や渋味を始めとした雑味の少ない茶アルコール飲料を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る容器入り茶アルコール飲料の製造方法を説明するフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)を詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る容器入り茶アルコール飲料は、果汁を含有している。
容器は、密閉できる容器であればよく、アルミニウム製又はスチール製のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器等を適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのような容器も適用することができる。
茶は、発酵茶及び半発酵茶のうちの少なくとも一つであるのが好ましく、いずれか一つとするのがより好ましい。発酵茶としては、例えば、紅茶を挙げることができ、半発酵茶としては、例えば、ジャスミン茶を挙げることができる。紅茶は、フレーバーを添加したものであっても用いることができ、フレーバーを添加していないものであっても用いることができる。フレーバーとしては、例えば、前記したジャスミンのほか、アップル、レモン、チョコレート、キャラメル、ベルガモットなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、一般的に使用されているものであればどのようなものでも使用することができる。
また、茶は、常温又は加熱した水及び/又はエタノール等の有機溶剤で抽出した粉末状の茶抽出物又は溶液状の茶抽出物を好適に用いることができる。粉末状の茶抽出物としては、例えば、茶エキスパウダーを挙げることができ、溶液状の茶抽出物としては、例えば、お湯で煮出した茶飲料を挙げることができる。
なお、茶は、チャノキ(Camellia sinensis)を用いたものであるのが好ましいが、ジャスミン茶を適用可能であることから分かるように、チャノキ以外の植物を一部又は全部に用いたものであってもよい。例えば、桂花烏龍茶、杜仲茶、アマチャヅル茶、甜茶、マテ茶などを用いることができる。
容器入り茶アルコール飲料に含有される茶は、アルコールのべたつきを少なくすることができればよく、前記したように様々な茶を用いることができるため、茶又は茶抽出部の使用量を容量%や質量%などで一律に規定することは困難である。そこで、かかる効果を奏する指標としてタンニン量が挙げられる。
本発明においては必要に応じて前記茶由来以外のタンニンを含有させることができるが、一般的な容器入り茶アルコール飲料に含有されているタンニンは、そのほぼ全てが茶由来のものであると言っても過言ではなく、本実施形態に係る容器入り茶アルコール飲料においても含有されるタンニンは茶由来のものであるのが好ましい。また、前記茶由来以外のタンニンを含有させると、微量であっても苦味や渋味を始めとした雑味(以下、単に雑味という。)が強く感じられる可能性がある。官能の点からも本実施形態に係る容器入り茶アルコール飲料に含有されるタンニンは茶由来のものであるのが好ましい。
タンニンの由来がいずれであったとしても、本実施形態に係る容器入り茶アルコール飲料に含有されるタンニン量は、0.001〜0.5g/100mLであるのが好ましい。容器入り茶アルコール飲料に含有されるタンニン量がこの範囲であれば、アルコールのべたつきを少なくしつつ、果汁由来の糖類から算出されるBrix換算値にて制御される使用量の果汁を添加することにより、茶由来の(つまりタンニン由来の)雑味を少なくすることができる。タンニン量は、0.0025〜0.1g/100mLとするのがより好ましい。なお、タンニン量(g/100mL)は、酒石酸鉄法により測定した値を用いることができる。
含有される果汁は、マスカットをはじめとするブドウ全般、オレンジ、ライチ、イチゴ、モモ、メロン、パイナップル、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ、パッションフルーツ、ウメ、ナシ、アンズ、スモモ、キウイフルーツ、カシス、ブルーベリー、ラズベリー、グレープフルーツ、レモン、ライム、イヨカン、ウンシュウミカン、カボス、キシュウミカン、キノット、コウジ、サンボウカン、シトロン、ジャバラ、スダチ、ダイダイ、タチバナ、タンゴール、ナツミカン、ハッサク、ハナユズ、ヒュウガナツ、ヒラミレモン(シークヮーサー)、ブンタン、ポンカン(マンダリンオレンジ)、ユズ、セイヨウリンゴ(いわゆるリンゴ)、エゾノコリンゴ、カイドウズミ、ハナカイドウ、イヌリンゴ(ヒメリンゴ)、マルバカイドウ、ノカイドウ、ズミ(コリンゴ、コナシ)、オオウラジロノキなどから一種又は二種以上を選択して搾汁したものを用いることができる。中でも、マスカット、オレンジ及びライチのうちの少なくとも一つを用いるのが好ましく、これらのうちの一種を用いるのがより好ましい。なお、本発明で含有させることのできる果汁は、茶アルコール飲料に含有させることで茶に由来する雑味を少なくすることができればよく、これらに限定されるものではなく、前記した以外の果汁を用いることもできる。
また、含有される果汁は、いわゆるストレート果汁、ストレート果汁を希釈した果汁、濃縮果汁及び濃縮還元果汁のいずれを用いて調製したものであってもよい。なお、ストレート果汁とは、前記した果実の搾汁に対し、濃縮や希釈などを行っていない果汁をいう。また、濃縮果汁とは、ストレート果汁に対し、加熱濃縮法や冷凍濃縮法などによって果汁中の水分を取り除き、果汁の濃度を高めたものをいう。また、濃縮還元果汁とは、濃縮果汁に対し、計算上、ストレート果汁と同等の濃度となるように水等で希釈した果汁をいう。
容器入り茶アルコール飲料に含有される果汁は、茶に由来する雑味を少なくすることができればよく、前記したように様々な果汁を用いることができるため、果汁の使用量を容量%などで一律に規定することは困難である。そこで、かかる効果を奏する指標として果汁由来の糖類から算出されるBrix換算値(%)が挙げられる。なお、Brix換算値は、例えば、屈折率計で測定した値を用いることができる。
前記した各手法・手段によって測定されたBrix換算値とタンニン量は、測定された値(数値)を用いて「Brix換算値/タンニン量」の関係式に当てはめた際に、50〜3400の範囲にあるのが好ましい。Brix換算値/タンニン量がこの範囲にあれば、より確実にアルコールのべたつきを少なくしつつ、茶由来の雑味を少なくすることができる。Brix換算値/タンニン量は、68〜2000の範囲にあるのがより好ましく、68〜1360の範囲にあるのがさらに好ましい。なお、Brix換算値/タンニン量が大きくなり過ぎると、果汁由来のべたつき感が目立つようになるので好ましくない。
そして、前記したように、Brix換算値/タンニン量を算出するにあたって、Brix換算値の算出対象となる糖類は果汁由来であるのが好ましく、タンニン量の算出対象となるタンニンは茶由来であるのが好ましい。つまり、果汁に含有されている糖類以外の糖類を外部から添加しないのが好ましく、茶に含有されているタンニン以外のタンニンを外部から添加しないのが好ましい。
本実施形態に係る容器入り茶アルコール飲料に用いることのできるアルコールは飲用アルコールであればよく、種類、製法、原料などに限定されない。例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ、スピリッツ、原料用アルコールなどを1種又は複数組み合わせて用いることができる。
容器入り茶アルコール飲料のアルコール度数は1〜8度(v/v%)であるのが好ましく、例えば、3度などとすることもできる。なお、アルコール度数はこの範囲に限定されるものではなく、1度未満とすることも、8度超とすることもできる。
また、本実施形態に係る容器入り茶アルコール飲料においては、本発明の所望の効果が阻害されない範囲でアルコール飲料として通常配合される着色料、酸味料、糖類、高甘味度甘味料、酸化防止剤など(以下、単に添加剤という。)を添加することもできる。着色料としては、例えば、カラメル色素、クチナシ色素、合成色素などを用いることができる。酸味料としては、例えば、乳酸、リン酸などを用いることができる。糖類としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、ショ糖、オリゴ糖、多糖類などを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、アセスルファムK、スクラロース、アスパルテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンEなどを用いることができる。
前記した添加剤、果汁、飲用アルコールは一般に市販されているものを使用することができる。
本実施形態に係る容器入り茶アルコール飲料は、発泡性とするのが好ましいが、非発泡性とすることもできる。ここで、本発明における非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm2未満であることをいい、発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.5kg/cm2以上であることをいう。なお、発泡性とする場合、ガス圧の上限は2.4kg/cm2程度とするのが好ましい。これよりもガス圧が高くなると炭酸の刺激が強くなり過ぎてしまうので好ましくない。
次に、前記した本実施形態に係る容器入り茶アルコール飲料は、以下のようにして製造することができる。
前記した本実施形態に係る容器入り茶アルコール飲料は、その製造工程中のいずれかの段階で、前記した果汁と茶を混合させるが、これらを混合する順序に特に決まりはなく、混合タンクに同時に添加して混合することができる。当該混合タンクには、前記した果汁と茶の添加前、添加と同時及び添加後のいずれかのタイミングで所定量の水、アルコール、添加剤を添加することができる。これらの添加の有無及び添加量は、ニーズ等に合わせて任意に設定することができる。
図1を参照して前記した容器入り茶アルコール飲料の製造方法の一実施形態について説明する。本実施形態に係る製造方法は、前記した果汁と茶が、好ましくは前記した態様のいずれかとなるように混合する混合ステップS1と、混合ステップS1で混合した混合液をろ過するろ過ステップS2と、ろ過ステップS2でろ過したろ過液を殺菌する殺菌ステップS3と、殺菌ステップS3で殺菌した殺菌済みのろ過液をビンや缶、ペットボトルなどの容器に充填する充填ステップS4とを含む。
なお、混合ステップS1は、添加した各成分がよく混ざるよう、撹拌機などにより撹拌しながら混合するのが好ましい。また、ろ過ステップS2は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。殺菌ステップS3は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。充填ステップS4は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。
また、発泡性の果汁含有アルコール飲料とする場合は、例えば、殺菌ステップS3と充填ステップS4の間でカーボネーションを行うとよい。
以上のような工程を、前記した手順に沿って実施することで、前記した本実施形態に係る容器入り茶アルコール飲料を製造することができる。
次に、本発明の所望の効果を奏する実施例により本発明について具体的に説明する。
[1]事前検討
はじめに、タンニンによる苦味や渋味を始めとした雑味に関する事前検討を行った。かかる事前検討は、Brix換算値で果汁の使用量を0%に固定し、表1中のNo.1〜5に示すように、タンニン量を種々変動させて行った。また、表1に示すとおり、アルコール度数は3度(3v/v%)に固定し、発泡性(1.5kg/cm2)とした。
表1に示した(また、後記する表2〜4に示す)タンニン量の調整は、サンプル中の濃度が表中に示されたとおりとなるように、事前にタンニン量を測定しておいた茶抽出物の添加量を調整することにより行った。茶抽出物中のタンニン量、延いてはサンプル中のタンニン量の測定は、次のようにして行った。なお、茶抽出物として、フレーバーを添加していない紅茶のエキスを抽出した紅茶エキスパウダーを使用した。以下、かかる紅茶エキスパウダーを茶抽出物Aという。
[タンニン量の測定]
タンニン量の測定は酒石酸鉄法により、標準液として没食子酸エチルを用い、没食子酸の換算量として求めた(参考文献:「緑茶ポリフェノール」飲食料品用機能性素材有効利用技術シリーズNo.10)。具体的には、タンニン量測定用試料5mLを酒石酸鉄標準溶液5mLで発色させ、リン酸緩衝液で25mLに定溶し、540nmで吸光度を測定し、没食子酸エチルによる検量線からタンニン量(g/100mL)を求めた。酒石酸鉄標準液は、硫酸第一鉄・7水和物100mg、酒石酸ナトリウム・カリウム(ロッシェル塩)500mgを蒸留水で100mLとした。リン酸緩衝液は、1/15mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液と1/15mol/Lリン酸二水素ナトリウム溶液を混合し、pH7.5に調整した。
また、表1では添加していないが、後記する表2〜4で添加した果汁の使用量の調整は、サンプル中の濃度が各表中で示されたとおりとなるように、事前にBrix換算値を測定しておいた果汁の使用量を調整することにより行った。果汁の使用量の測定は、次のようにして行った。
[Brix換算値の測定]
Brix換算値の測定は、屈折率計で測定した値を用いた。屈折率計は、RX−5000α(ATAGO社製)を使用した。
事前検討における評価項目は、No.1〜5のサンプルについて、タンニンによる苦味や渋味を始めとした雑味のなさ(以下、かかる評価項目を「雑味のなさ」という。)、及び、アルコールによるべたつきのなさ(以下、かかる評価項目を「べたつきのなさ」という。)とした。
これらの評価は、よく訓練された専門のパネル8名が行った。評価は下記評価基準に則って各パネルが独立点数付けした。
表1にはNo.1〜5のサンプルの組成とともに、前記した各評価項目に関する8名のパネルの平均値を記載した。
(雑味のなさ)
5点:タンニンによる雑味がない。
4点:タンニンによる雑味があまり感じられない。
3点:タンニンによる雑味が少し感じられる。
2点:タンニンによる雑味がやや強く感じられる。
1点:タンニンによる雑味が強く感じられる。
(べたつきのなさ)
5点:アルコールによるべたつきがない。
4点:アルコールによるべたつきがあまり感じられない。
3点:アルコールによるべたつきが少し感じられる。
2点:アルコールによるべたつきがやや強く感じられる。
1点:アルコールによるべたつきが強く感じられる。
Figure 2017099420
表1に示すように、果汁の使用量がBrix換算値で0%であった(つまり、果汁を添加していなかった)No.1〜5のサンプルは、タンニン量が少ないほど雑味のなさが高い評価となるものの、べたつきのなさが低い評価となることが確認された。これとは反対に、タンニン量が少ないほど雑味のなさが低い評価となるものの、べたつきのなさが高い評価となることが確認された。
そして、かかる事前検討から、タンニン量が0.01g/100mLであると、前記した評価項目について好適な評価結果が得られる容器入り茶アルコール飲料を提供することができると強く推測された。
[2]果汁の使用量による効果
次に、果汁の使用量による効果を検討した。かかる検討は、タンニン量を0.01g/100mLに固定し、表2中のNo.6〜11に示すように、Brix換算値で果汁の使用量を種々変動させて行った。なお、No.10のサンプルのタンニン量は0.1g/100mLとし、No.11のサンプルのタンニン量は1g/100mLとした。また、果汁はマスカット果汁を用いた。また、表2に示すとおり、アルコール度数は3度(3v/v%)に固定し、前記と同様、発泡性とした。
果汁の使用量による効果に関する評価項目は、No.6〜11のサンプルについて、[1]の事前検討と同様、雑味のなさと、べたつきのなさの2つに加え、容器入り茶アルコール飲料としての総合評価も追加した。総合評価も前記と同様、よく訓練された専門のパネル8名が行った。評価は下記評価基準に則って各パネルが独立点数付けした。
表2にはNo.6〜11のサンプルの組成とともに、前記した各評価項目に関する8名のパネルの平均値を記載した。
(総合評価)
5点:容器入り茶アルコール飲料として非常に優れている。
4点:容器入り茶アルコール飲料としてかなり優れている。
3点:容器入り茶アルコール飲料として優れている。
2点:容器入り茶アルコール飲料としてやや劣る。
1点:容器入り茶アルコール飲料として劣る。
なお、表2においては、総合評価の平均が3.0以上のものを好ましい結果であると評価した。
Figure 2017099420
表2に示すように、No.6〜10のサンプルは、総合評価が3.0以上となり、好ましい結果となった。No.6〜10のサンプルのBrix換算値/タンニン量を算出したところ、これらのサンプルにおける算出値は50〜3400の範囲にあった。具体的には、68〜3400の範囲にあった。中でも、Brix換算値/タンニン量が340〜1360の範囲にあるNo.7、8のサンプルの総合評価がより高く、最も総合評価の良かったものはNo.7、8のサンプルであった。
これに対し、No.11のサンプルは、タンニン量と果汁の使用量が多過ぎたため、総合評価が低い結果となった。また、雑味のなさ及びべたつきのなさの評価も低いものとなった。
[3]異なる果汁による効果
次に、異なる果汁による効果を検討した。かかる検討は、果汁の使用量(すなわちBrix換算値)とタンニン量を[2]の検討で最も総合評価の良かったNo.7のサンプルの値で固定し、使用する果汁の種類を異ならせて実施した。No.12のサンプルには、オレンジの果汁を使用し、No.13のサンプルには、ライチの果汁を使用した。前記したように、予めオレンジ及びライチの果汁中のBrix換算値を屈折率計で測定し、No.12、13のサンプル中のBrix換算値がNo.7と同じになるようにした。
そして、雑味のなさ、べたつきのなさ及び総合評価を前記と同様にして評価した。
表3にはNo.12、13のサンプルの組成とともに、前記した各評価項目に関する8名のパネルの平均値を記載した。なお、表3中の「−」は、含有していないことを示す。
Figure 2017099420
表3に示すように、No.12、13のいずれのサンプルも、No.7と同様に総合評価が高く、好ましい結果となった。
[4]異なる茶抽出物による効果
次に、異なる茶抽出物による効果を検討した。かかる検討も、果汁の使用量(すなわちBrix換算値)とタンニン量を[2]の検討で最も総合評価の良かったNo.7のサンプルの値で固定し、使用する茶抽出物の種類を異ならせて実施した。No.14のサンプルには、ジャスミン茶のエキスを抽出したジャスミン茶エキスパウダーを使用した。以下、かかるジャスミン茶エキスパウダーを茶抽出物Bという。また、No.15のサンプルには、フレーバーを添加した紅茶のエキスを抽出した紅茶エキスパウダーを使用した。以下、かかる紅茶エキスパウダーを茶抽出物Cという。前記したように、予め茶抽出物B、C中のタンニン量を酒石酸鉄法で測定し、No.14、15のサンプル中のタンニン量がNo.7と同じになるようにした。
そして、雑味のなさ、べたつきのなさ及び総合評価を前記と同様にして評価した。
表4にはNo.14、15のサンプルの組成とともに、前記した各評価項目に関する8名のパネルの平均値を記載した。なお、表4中の「−」は、含有していないことを示す。
Figure 2017099420
表4に示すように、No.14、15のいずれのサンプルも、No.7と同様に総合評価が高く、好ましい結果となった。
[5]まとめ
以上、表1〜4から明らかなように、果汁を含有させた茶アルコール飲料は、アルコールのべたつき、苦味や渋味を始めとした雑味が少なく、容器入りの茶アルコール飲料として好適であることが確認された。また、Brix換算値とタンニン量が、Brix換算値/タンニン量で50〜3400の範囲にあると、これらの効果を確実に奏することができ、より好適であることが確認された。さらに、好ましいタンニン量が0.001〜0.5g/100mLであること、及び果汁がマスカット、オレンジ及びライチのうちの少なくとも一つ、好ましくはいずれか一つであるとより確実にこれらの効果を確実に奏することができることが確認された。また、茶として、発酵茶及び半発酵茶のうちの少なくとも一つ、好ましくはいずれか一つを用いた容器入り茶アルコール飲料を提供できることが確認された。さらに、発酵茶としては紅茶を、半発酵茶としてはジャスミン茶であれば、前記した効果を奏することのできる容器入り茶アルコール飲料を提供できることが確認された。
S1 混合ステップ
S2 ろ過ステップ
S3 殺菌ステップ
S4 充填ステップ

Claims (6)

  1. 果汁を含有し、
    前記果汁由来の糖類から算出されるBrix換算値と、含有されているタンニン量とが、前記Brix換算値/前記タンニン量で50〜3400の範囲にあり、
    前記タンニン量が、0.0025〜0.5g/100mLである
    ことを特徴とする容器入り茶アルコール飲料。
  2. 前記タンニン量の算出対象となるタンニンが茶由来であることを特徴とする請求項1に記載の容器入り茶アルコール飲料。
  3. 前記果汁が、マスカット、オレンジ及びライチのうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容器入り茶アルコール飲料。
  4. 前記茶が、発酵茶及び半発酵茶のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器入り茶アルコール飲料。
  5. 前記発酵茶が紅茶であり、前記半発酵茶がジャスミン茶であることを特徴とする請求項4に記載の容器入り茶アルコール飲料。
  6. 発泡性であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器入り茶アルコール飲料。
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