JP2017096312A - 偏心揺動型の歯車装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の偏心体の近傍を良好に潤滑することを可能としながら、複数の偏心体間の偏心位相のずれを防止または低減する。【解決手段】第1外歯歯車11と、第2外歯歯車12と、第1偏心体21と、第2偏心体22と、軸部材(クランク軸)14と、軸部材を支持する第1軸受51と、を有する偏心揺動型の歯車装置G1であって、軸部材は、外周における少なくとも第1軸受および第1偏心体と対向する部分に、軸方向に向かう潤滑剤の軸方向通路Arを有し、第1偏心体と第2偏心体は、同一の部材により一体的に構成されており、かつ第1偏心体と第2偏心体との間に、軸方向通路に連通する径方向通路Rrを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、偏心揺動型の歯車装置に関する。
特許文献1に、偏心揺動型の歯車装置が開示されている。この歯車装置は、第1外歯歯車と、該第1外歯歯車と軸方向に隣接して配置された第2外歯歯車と、第1外歯歯車を揺動回転させる第1偏心体と、第2外歯歯車を揺動回転させる第2偏心体と、を備える。
また、この歯車装置は、第1偏心体および第2偏心体が外嵌されるクランク軸と称される軸部材を備えている。軸部材は、該軸部材に外嵌された第1、第2軸受によって支持されている。この軸部材の外周には、第1、第2軸受の内側を軸方向に向かう軸方向溝が形成されている。
第1偏心体と第2偏心体は、該軸部材の軸方向溝の外側に圧入され、第1偏心体と第2偏心体との間の偏心位相差は、180度とされている(互いに径方向真逆の方向に偏心している)。また、第1偏心体と第2偏心体は、別体で構成され、第1偏心体と第2偏心体との間には隙間が設けられている。
この構造により、軸部材の軸方向端部から第1、第2偏心体の内周側を通ってきた軸方向溝内の潤滑剤を、該第1、第2偏心体の間の隙間から吐出させ、第1、第2偏心体の表面を潤滑している。
特開2013−210025号公報(図1、図2)
しかしながら、上記特許文献1に開示されている歯車装置は、(別部材で構成された)第1偏心体と第2偏心体とを、軸部材に別々に圧入していたため、第1偏心体と第2偏心体相互間の偏心位相を、正確に所定の位相差に合わせるのが難しいという問題があった。
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたものであって、第1偏心体および第2偏心体の近傍を良好に潤滑することを可能としながら、第1偏心体と第2偏心体との間の偏心位相差をより正確に合わせることをその課題としている。
本発明は、第1外歯歯車と、該第1外歯歯車と軸方向に隣接して配置された第2外歯歯車と、前記第1外歯歯車を揺動回転させる第1偏心体と、前記第2外歯歯車を揺動回転させる第2偏心体と、前記第1偏心体および前記第2偏心体が外嵌される軸部材と、前記第1偏心体と隣接して前記軸部材に外嵌され該軸部材を支持する第1軸受と、を有する偏心揺動型の歯車装置であって、前記軸部材は、外周における少なくとも前記第1軸受および前記第1偏心体と対向する部分に、軸方向に向かう潤滑剤の軸方向通路を有し、前記第1偏心体と前記第2偏心体は、同一の部材により一体的に構成されており、かつ前記第1偏心体と前記第2偏心体との間に、前記軸方向通路に連通する潤滑剤の径方向通路を有する構成とすることにより、上記課題を解決したものである。
本発明においては、第1偏心体と第2偏心体を同一の部材により一体的に構成しているため、第1偏心体と第2偏心体との間で偏心位相のずれが生じることがない。また、軸部材の外周に潤滑剤の軸方向通路を設けると共に、一体化した第1偏心体と第2偏心体の間に、該軸方向通路に連通する径方向通路を設けるようにしている。そのため、第1偏心体と第2偏心体の近傍を良好に潤滑することができる。
また、本発明は、第1外歯歯車と、該第1外歯歯車と軸方向に隣接して配置された第2外歯歯車と、前記第1外歯歯車を揺動回転させる第1偏心体と、前記第2外歯歯車を揺動回転させる第2偏心体と、前記第1偏心体および前記第2偏心体が外嵌される軸部材と、前記第1偏心体と隣接して前記軸部材に外嵌され該軸部材を支持する第1軸受と、を有する偏心揺動型の歯車装置であって、前記軸部材は、外周における少なくとも前記第1軸受、前記第1偏心体、および前記第2偏心体と対向する部分に、外スプラインを有し、前記第1偏心体および前記第2偏心体は、内周に前記外スプラインと係合する内スプラインを有し、前記外スプラインの底部と前記内スプラインの頂部との間、および、前記外スプラインの頂部と前記内スプラインの底部との間の、少なくとも一方に、潤滑剤の軸方向通路を構成する隙間が設けられ、前記第1偏心体と前記第2偏心体との間に、前記隙間に連通する径方向通路が設けられる構成とすることにより、同じく上記課題を解決したものである。
この発明では、軸部材の外周に設けられた外スプラインおよび第1偏心体および第2偏心体の内周に設けられた内スプラインを、第1偏心体と第2偏心体との間の偏心位相を整えるためのガイドとして活用すると共に、外スプラインと、内スプラインの間に確保された隙間を潤滑剤の軸方向通路として活用する。このため、この構造によっても、偏心体の近傍を良好に潤滑可能としながら、第1偏心体と第2偏心体との間の偏心位相のずれを極小に抑えることができる。
また、本発明は、第1外歯歯車と、該第1外歯歯車と軸方向に隣接して配置された第2外歯歯車と、前記第1外歯歯車を揺動回転させる第1偏心体と、前記第2外歯歯車を揺動回転させる第2偏心体と、前記第1偏心体および前記第2偏心体が外嵌される軸部材と、前記第1偏心体と隣接して前記軸部材に外嵌され該軸部材を支持する第1軸受と、を有する偏心揺動型の歯車装置であって、前記軸部材は、外周における少なくとも前記第1軸受、前記第1偏心体、および前記第2偏心体と対向する部分に、外スプラインを有し、前記第1偏心体および前記第2偏心体は、内周に前記外スプラインと係合する内スプラインを有し、前記外スプラインと前記内スプラインの歯数が異なり、当該外スプラインと内スプラインが噛み合っていない部分の空間が、潤滑剤の軸方向通路を構成し、前記第1偏心体と前記第2偏心体との間に、該外スプラインと内スプラインが噛み合っていない部分の空間に連通する径方向通路が設けられることを特徴とする偏心揺動型の歯車装置と捉えることもできる。
本発明によれば、第1偏心体および第2偏心体の近傍を良好に潤滑することを可能としながら、第1偏心体と第2偏心体との間の偏心位相差をより正確に合わせることができる。
本発明の実施形態の一例に係る偏心揺動型の歯車装置の全体断面図 図1の要部拡大断面図 図2の矢視III−III線に沿う断面図 図1〜図3の歯車装置の変形例を示す図2相当の断面図 図4の矢視V−V線に沿う断面図 図4、図5の歯車装置の変形例を示す図2相当の断面図 図6の矢視VII−VII線に沿う断面図 本発明の他の実施形態に係る歯車装置を示す図2相当の断面図 図8の矢視IX−IX線に沿う断面図 図8、図9の歯車装置の変形例を示す図3相当の断面図 図10の歯車装置の変形例を示す図3相当の断面図 本発明のさらに他の実施形態に係る歯車装置を示す図2相当の断面図
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例に係る偏心揺動型の歯車装置の全体断面図、図2は、図1の要部拡大断面図である。
この歯車装置G1は、第1外歯歯車11と、該第1外歯歯車11と軸方向に隣接して配置された第2外歯歯車12と、第1外歯歯車11を揺動回転させる第1偏心体21と、第2外歯歯車12を揺動回転させる第2偏心体22と、を備える。また、この歯車装置G1は、第1偏心体21および第2偏心体22が外嵌されるクランク軸(軸部材)14を備える。
クランク軸14は、第1外歯歯車11および第2外歯歯車12の軸方向両側に配置された第1キャリヤ31および第2キャリヤ32に支持されている。第1外歯歯車11および第2外歯歯車12は、内歯歯車39に内接噛合している。
第1偏心体21および第2偏心体22が外嵌されたクランク軸14によって第1外歯歯車11および第2外歯歯車12を揺動させることにより、該第1外歯歯車11および第2外歯歯車12を内歯歯車39に対して相対回転させることができる。この歯車装置G1では、該第1外歯歯車11および第2外歯歯車12の内歯歯車39に対する相対回転を第1キャリヤ31および第2キャリヤ32から取り出し、第2キャリヤ32に連結した被駆動部材(図示略)を駆動するように構成している。
以下、詳述する。
歯車装置G1は、入力歯車16と噛合うクランク軸歯車17を、複数(この例では3個:図1では1個のみ図示)備えている。各クランク軸歯車17は、内周に動力入力用内スプライン18を有する。動力入力用内スプライン18は、クランク軸14の端部外周に形成された動力入力用外スプライン19と係合している。
クランク軸14は、内歯歯車39の軸心C39からR14だけオフセットした位置に、複数(この例では3本:図1では1本のみ図示)、円周方向に120度の間隔で配置されている。
各クランク軸(軸部材)14には、第1外歯歯車11を揺動回転させる第1偏心体21と、第2外歯歯車12を揺動回転させる第2偏心体22が外嵌されている。より具体的には、第1偏心体21および第2偏心体22は、同一の偏心体部材20によって一体的に構成され、偏心体部材20が、圧入によってクランク軸14に外嵌されている。
第1偏心体21および第2偏心体22は、それぞれクランク軸14の軸心C14に対して偏心した外周を有している。第1偏心体21と第2偏心体22の偏心位相差は、この例では180度である(互いに離反する方向に偏心している)。
3本のクランク軸14は、同様の構成を有し、各クランク軸14の軸方向同位置に形成されている第1偏心体21同士は、偏心位相が揃えられている。各クランク軸14の軸方向同位置に形成されている第2偏心体22同士も、偏心位相が揃えられている。
第1偏心体21と第1外歯歯車11との間には第1偏心体軸受41が配置されている。第2偏心体22と第2外歯歯車12との間には第2偏心体軸受42が配置されている。第1外歯歯車11および第2外歯歯車12は、内歯歯車39に内接噛合している。
内歯歯車39は、この実施形態では、ケーシング55と一体化された内歯歯車本体39Aと、該内歯歯車本体39Aに形成したピン溝39Bに回転自在に組み込まれ該内歯歯車39の内歯を構成する円柱状のピン部材39Cと、で構成されている。内歯歯車39の歯数(ピン部材39Cの本数)は、第1外歯歯車11および第2外歯歯車12の歯数よりも僅かだけ(この例では1だけ)多い。
第1外歯歯車11および第2外歯歯車12の軸方向両側には、第1キャリヤ31および第2キャリヤ32が配置されている。各クランク軸14は、第1クランク軸軸受51を介して第1キャリヤ31に支持され、第2クランク軸軸受52を介して第2キャリヤ32に支持されている。第1クランク軸軸受51は、第1偏心体21と隣接してクランク軸14に外嵌され、クランク軸14を支持している。第2クランク軸軸受52は、第2偏心体22と隣接してクランク軸14に外嵌され、クランク軸14を支持している。第1クランク軸軸受51および第2クランク軸軸受52は、正面合わせで組み込まれた一対の円錐ころ軸受によって構成されている。
ケーシング55と第1キャリヤ31との間には、第1主軸受61が配置されている。ケーシング55と第2キャリヤ32との間には第2主軸受62が配置されている。第1主軸受61および第2主軸受62は、背面合わせで組み込まれたアンギュラ玉軸受で構成されている。
なお、第2キャリヤ32からは、キャリヤピン35が一体的に突出されている。キャリヤピン35は、第1外歯歯車11および第2外歯歯車12を非接触で貫通している。第1キャリヤ31と第2キャリヤ32は、キャリヤピン35を介して連結ボルト37により連結・一体化されている。
本歯車装置G1では、ケーシング55にはボルト(ボルト孔55Aのみ図示)を介して例えばロボットの第1アーム(図示略)が連結される。また、第2キャリヤ32にはボルト(タップ穴32Aのみ図示)を介して例えばロボットの第2アーム(図示略)が連結される。
本歯車装置G1は、入力歯車16およびクランク軸歯車17等が収容されている第1空間P1と、第1、第2外歯歯車11、12等が収容されている第2空間P2と、第2アーム等が収容されている第3空間P3とを有している。ケーシング55と第2キャリヤ32との間にはオイルシール84が配置されている。第1空間P1と第2空間P2の境界、第2空間P2と第3空間P3との境界は、特に封止はされていない。しかし、第1空間P1、第2空間P2、および第3空間P3の全体は、図示せぬカバー部材やオイルシールと共に密封されている。第1空間P1、第2空間P2、および第3空間P3には、潤滑剤が封入されている。
次に、主に図2、図3を参照して、本歯車装置G1の潤滑系の構造を詳細に説明する。
図2は、図1の要部を拡大して示した断面図、図3は図2の矢視III−III線に沿う断面図である。
クランク軸14上の第1クランク軸軸受51および第1偏心体21の構造は、第2クランク軸軸受52および第2偏心体22の構造と、中央点Pcに対して点対称とされている。中央点Pcとは、クランク軸14の軸心C14を含む断面(図1、図2の断面)において、該軸心C14上における第1偏心体21と第2偏心体22の中央点に相当している。
本歯車装置G1のクランク軸14は、前述したように、クランク軸歯車17に対応する部分に動力入力用外スプライン19を有している。また、クランク軸14は、外周における第1クランク軸軸受51および第1偏心体21と対向する部分に、軸方向に向かう第1外スプライン71を有している。本歯車装置G1のクランク軸14は、さらに、外周における第2クランク軸軸受52および第2偏心体22と対向する部分に、軸方向に向かう第2外スプライン72を有している。
動力入力用外スプライン19、第1外スプライン71、および第2外スプライン72は、軸と直角の断面が同一である。つまり、動力入力用外スプライン19、第1外スプライン71、および第2外スプライン72は、クランク軸14の一側の軸方向端部14Eから他側の軸方向端部14Fまで外スプライン70として連続しており、その溝部が、「潤滑剤の軸方向通路Ar」を構成している。
具体的には、外スプライン70は、(クランク軸14と直角の断面において)頂部70A、底部70B、および該頂部70Aと底部70Bとの間に位置する歯面部70Cを有している。頂部70Aとは、クランク軸14の外周において歯切りがなされていない部分を指している。底部70Bとは、クランク軸14の外周が刃物によって切除された部分のうち、最も径が小さい部分を指している。外スプライン70の頂部70Aと底部70Bの間の歯面部70Cは、本歯車装置G1では、インボリュート系の歯面とされている。ただし、外スプラインの歯面部の形状はこれに限定されず、例えば平面状の歯面部とされていてもよい。外スプライン70の頂部70Aの周方向幅W70Aは、底部70Bの周方向幅W70Bよりも大きく形成されている(W70A>W70B)。底部70Bと対向する歯面部70Cとで囲まれた溝部が軸方向通路Arを構成している。この歯車装置G1の外スプライン70の歯数は14であるため、軸方向通路Arは14本形成されている。
外スプライン70は、軸方向に沿ってクランク軸14の軸心C14と平行に形成されている。したがって、軸方向通路Arもクランク軸14の軸心C14と平行に形成されている。ただし、軸方向通路Arは、必ずしもクランク軸14の軸心C14と平行に形成されている必要はない。要するに、軸方向に向かって形成されていればよく、例えば、螺旋状に形成されていてもよい。
前述したように、各クランク軸14には、第1外歯歯車11を揺動回転させる第1偏心体21と、前記第2外歯歯車12を揺動回転させる第2偏心体22が外嵌されている。第1偏心体21および第2偏心体22は、同一の偏心体部材20によって一体的に構成されている。第1偏心体21および第2偏心体22は、それぞれクランク軸14の軸心C14に対して偏心した外周を有している。第1偏心体21と第2偏心体22の偏心位相差は、この例では偏心体が2個であるため、(360度/2)=180度である。つまり、互いに離反する方向に偏心している。第1偏心体21および第2偏心体22(偏心体部材20)は、圧入によってクランク軸14の外周に(具体的には外スプライン70の頂部70A)に外嵌している。
第1偏心体21と第2偏心体22の間には、第1偏心体21および第2偏心体22のそれぞれの最小偏心方向(クランク軸14からの距離が最も小さくなっている方向)よりも小さな径で構成された中央円筒帯23が設けられている。中央円筒帯23の外周は、クランク軸14の軸心C14と同心である(クランク軸14に対して偏心していない)。
中央円筒帯23には、貫通孔25で構成される径方向通路Rrが径方向に沿って(放射方向に)6本貫通・形成されている。貫通孔25は、径方向から見た断面が円形とされクランク軸14の外周部位に開口している。貫通孔25の内径(貫通孔25の周方向幅の最大値:周方向の最大幅)D25は、複数(14本)形成された軸方向通路Arと軸方向通路Arとの間(具体的には頂部70A)の周方向幅W70Aよりも大きい。そのため、全ての貫通孔25は、少なくとも一部が必ず軸方向通路Arに開口している(連通している)。
なお、径方向通路Rrは、この例では、径方向から見た断面が円形の貫通孔25で構成されているが、必ずしもこのような構成には限定されない。例えば、径方向から見た断面が楕円形や矩形の貫通孔で構成されていてもよい。径方向通路Rrが、このような、断面が非円形の貫通孔によって構成されている場合には、当該径方向通路Rrの周方向幅の最大値(周方向の最大幅)が、軸方向通路Arと軸方向通路Arの間の周方向幅よりも大きいように構成する。これにより、同様に、全ての径方向通路Rrが必ずいずれかの軸方向通路Arに連通する状態を形成することができる。
さらには、径方向通路Rrは、必ずしも径方向に「沿って」形成されている必要はなく、要は、偏心体部材20の外側の第2空間P2と軸方向通路Arとを連通している(径方向に向かう)通路であればよい。このため、例えば、径方向から傾いていてもよく、あるいは、直線状にではなく曲線状に形成されていてもよい。
なお、第1クランク軸軸受51と第1偏心体21との間には、第1規制板81が介在されている。第2クランク軸軸受52と第2偏心体22との間には第2規制板82が介在されている。第1偏心体21および第2偏心体22は、該第1偏心体21および第2偏心体22を一体的に有する偏心体部材20が第1規制板81と第2規制板82との間に挟持されることで、軸方向の移動が規制されている。
また、第1規制板81は、第1偏心体軸受41の第1リテーナ41Aの軸方向移動(クランク軸歯車側への移動)を規制し、第2規制板82は、第2偏心体軸受42の第2リテーナ42Aの軸方向移動(反クランク軸歯車側への移動)を規制している。第1リテーナ41Aと第2リテーナ42Aは、対向する軸方向端面が互いに接触している。つまり、第1規制板81および第2規制板82と、第1リテーナ41Aおよび第2リテーナ42Aとにより、第1偏心体軸受41および第2偏心体軸受42の双方向の軸方向移動が規制されている。
次に、本歯車装置G1の作用を説明する。
図示せぬモータによって入力歯車16が回転すると、該入力歯車16と噛合している3個のクランク軸歯車17が同一方向に同一の回転速度で回転する。この結果、各クランク軸歯車17とスプラインを介して連結されている3本のクランク軸14が同一方向に同一の回転速度で回転する。
これにより、クランク軸14に圧入によって固定された偏心体部材20が回転し、該偏心体部材20に一体的に設けられた第1偏心体21と第2偏心体22が、180度の偏心位相差で偏心回転する。このため、第1偏心体21および第2偏心体22にそれぞれ第1偏心体軸受41および第2偏心体軸受42を介して組み込まれている第1外歯歯車11および第2外歯歯車12が揺動回転する。
第1外歯歯車11および第2外歯歯車12は、内歯歯車39に内接噛合している。したがって、第1外歯歯車11および第2外歯歯車12は、クランク軸14が1回回転する毎に(第1偏心体21および第2偏心体22が1回偏心回転する毎に)1回揺動し、内歯歯車39に対して歯数差分(この歯車装置G1では1歯分)位相がずれる。
この結果、第1外歯歯車11および第2外歯歯車12を貫通しているクランク軸14が、内歯歯車39の軸心C39の周りで公転する。この公転は、クランク軸14を第1クランク軸軸受51および第2クランク軸軸受52を介して支持している第1キャリヤ31および第2キャリヤ32に伝達される。第1キャリヤ31および第2キャリヤ32が回転すると、第2キャリヤ32と連結されている相手機械の被駆動部材が駆動される。
ここで、クランク軸14の外周における第1クランク軸軸受51および第1偏心体21と対向する部分には、該クランク軸14の軸方向端部14Eから軸方向に向かって形成された第1外スプライン71(外スプライン70)の溝部によって構成される潤滑剤の軸方向通路Arが形成されている。そして、第1偏心体21と第2偏心体22との間には貫通孔25によって構成され、軸方向通路Arに連通する径方向通路Rrが形成されている。
このため、クランク軸14のクランク軸歯車17側の軸方向端部14Eから軸方向通路Ar内に入り込んだ潤滑剤を、該軸方向通路Arと連通している径方向通路Rrを介して第1偏心体21と第2偏心体22との間の空間(第2空間P2)に吐出させることができる。
ここで、第1偏心体21と第2偏心体22は、同一の部材で構成された偏心体部材20に一体的に形成されている。このため、第1偏心体21と第2偏心体22の偏心位相差(この例では180度)にずれが生じることは全くなく、正確な偏心位相差を維持することができる。
この種の偏心揺動型の歯車装置G1においては、各偏心体の位相は、各クランク軸14上の第1偏心体21同士、第2偏心体22同士で一致しているだけでなく、第1偏心体21と第2偏心体22の位相差についても正確に一致している必要がある。しかし、例えば特許文献1に記載された従来の歯車装置においては、3本のクランク軸14に計6個の偏心体が別々に組み込まれることから、各偏心体の偏心位相、あるいは偏心位相差を正確に維持するのは、極めて困難であった。しかし、本歯車装置G1では、少なくとも、同一のクランク軸14の第1偏心体21と第2偏心体22との間については、偏心位相差のずれが全くないため、簡易に、かつ正確に第1偏心体21および第2偏心体22を組み込むことができる。
結果として、本歯車装置G1によれば、第1偏心体21および第2偏心体22の近傍を良好に潤滑することを可能としながら、第1偏心体21および第2偏心体22間の偏心位相のずれを防止することができる。
なお、この歯車装置G1では、第1クランク軸軸受51および第1偏心体21と対向する部分だけでなく、第2クランク軸軸受52および第2偏心体22と対向する部分についても第1外スプライン71と同一の断面を有する第2外スプライン72が形成され、該第2外スプライン72が第1外スプライン71と連続的に形成されている。つまり、クランク軸14の一側の軸方向端部14Eからだけでなく他側の軸方向端部14Fからも潤滑剤を取り入れ、多くの流量の潤滑剤を第1偏心体21と第2偏心体22との間の第2空間P2側に吐出させることができる。
また、この歯車装置G1では、外スプライン70の溝部で構成された軸方向通路Arを複数(14本)有し、径方向通路Rrは、軸方向から見た断面が円形の複数(6本)の貫通孔25で構成されている。そして、貫通孔25の内径D25が、軸方向通路Arと軸方向通路Arとの間(具体的にはスプライン70の頂部70A)の周方向幅W70Aよりも大きく形成されている。このため、各貫通孔25は、必ずいずれかの軸方向通路Arと連通することができ、周方向において満遍なく潤滑剤を吐出させることができる。
本歯車装置には、種々の変形例が考えられる。図4および図5に、主な変形例のうちの一つを示す。なお、以降の変形例等で、既に説明した部材と同一の部材(または対応する部材)については、図中で同一の符号を付すに止め、重複説明を省略する。
この図4および図5の変形例に係る歯車装置G2においては、第1偏心体21と第2偏心体22との間の内周に、偏心体部材20の内周を一周するリング状の内周溝74が設けられている。そして、貫通孔25(径方向通路Rr)は、このリング状の内周溝74に開口している。これにより、径方向通路Rrは、内周溝74を介して全外スプライン70と連通することになるため、各外スプライン70から供給されてきた潤滑剤を、良好に貫通孔25内に導くことができる。
なお、このような第1偏心体21と第2偏心体22との間の内周に内周溝74を形成する構造は、これから述べるクランク軸14の外周に外周溝76を形成する構造と比較して、外スプライン70との形成時の干渉がないため、加工時のバリが発生し難いという特長がある。
図6および図7の歯車装置G3は、図4および図5の歯車装置G2の更なる変形例を示している。
この歯車装置G3では、クランク軸14の外周における第1偏心体21と第2偏心体22との間に対向する部分に、クランク軸14の外周を一周するリング状の外周溝76が設けられている。そして、貫通孔25(径方向通路Rr)をこの外周溝76に開口させている。このように、リング状の溝は、クランク軸14の外周に外周溝76として形成してもよく、同様の作用効果が得られる。
なお、クランク軸14の外周にリング状の外周溝76を形成する構造は、外スプライン70、外周溝76とも、同一の部材(クランク軸14)の外周を加工するだけで良いため、製造が容易である。
図8および図9の歯車装置G4では、クランク軸14の外周に先の歯車装置G1〜G3と同様の外スプライン70、つまり、軸と直角の断面が同一の動力入力用外スプライン19(図1参照)、第1外スプライン71、および第2外スプライン72が形成されている。外スプライン70は、(クランク軸14と直角の断面において)頂部70A、底部70B、および該頂部70Aと底部70Bとの間に位置する歯面部70Cを有している。
一方、第1偏心体21は、内周にクランク軸14に形成された第1外スプライン71と係合する第1内スプライン91(雌スプライン)を有している。また、第2偏心体22は、内周にクランク軸14に形成された第2外スプライン72と係合する第2内スプライン92を有している。
第1内スプライン91と第2内スプライン92は、同一の断面形状を有し、偏心体部材20の一側(クランク軸歯車17が形成されている側)の軸方向端部から他側の軸方向端部まで一本の内スプライン90として連続して形成されている。内スプライン90は、(クランク軸14と直角の断面において)頂部90A、底部90B、および該頂部90Aと底部90Bとの間に位置する歯面部90Cを有している。
クランク軸14上に形成された外スプライン70と偏心体部材20に形成された内スプライン90は、各歯面部70C、90Cの一部同士が中間嵌めまたは締まり嵌めによって嵌合している。
しかし、外スプライン70の底部70Bと内スプライン90の頂部90Aとの間には、隙間が存在し、この隙間が内側軸方向通路Ar1を構成している。各内側軸方向通路Ar1は、リング状の外周溝76によって連通している(外周溝76は、図9では表現されていない)。
この歯車装置G4では、さらに、外スプライン70の頂部70Aと内スプライン90の底部90Bとの間に、隙間が存在し、この隙間が外側軸方向通路Ar2を構成している。各外側軸方向通路Ar2は、リング状の内周溝74によって連通している(内周溝74は、図9では表現されていない)。
内側軸方向通路Ar1および外側軸方向通路Ar2は、先の歯車装置G1〜G3の軸方向通路Arと同様の機能を有する。つまり潤滑剤は、該内側軸方向通路Ar1および外側軸方向通路Ar2からなる軸方向通路を介して、クランク軸14の外周を軸方向に沿って(軸方向に向かって)移動可能である。
そして一対の対向する貫通孔25Aが径方向通路Rr1として外周溝76を介して各内側軸方向通路Ar1と連通しており、(径方向通路Rr1と直交する)別の一対の対向する貫通孔25Bが径方向通路Rr2として内周溝74を介して各外側軸方向通路Ar2と連通している。
なお、外スプライン70の底部70Bと内スプライン90の頂部90Aとの間の内側軸方向通路Ar1、あるいは外スプライン70の頂部70Aと内スプライン90の底部90Bとの間の外側軸方向通路Ar2は、軸方向通路としては、少なくとも一方があればよく、必ずしも両方をセットで確保する必要はない。
また、上記構成例では、リング状の外周溝76やリング状の内周溝74を形成することによって各内側軸方向通路Ar1や各外側軸方向通路Ar2を貫通孔(径方向通路)25に連通させるようにしていた。しかし、このように外周溝や内周溝を形成しなくても、例えば、径方向通路(貫通孔)の形成数を増やしたり、あるいは、径方向通路の周方向の最大幅を大きく形成したりすることでも、各外側軸方向通路あるいは各内側軸方向通路を、径方向通路側に連通させることができる。
この歯車装置G4によれば、第1に、クランク軸14と第1偏心体21および第2偏心体22とのトルク伝達が、圧入(締まり嵌め)によるトルク伝達ではなく、形状的な係合による連結(いわゆるスプライン連結)によるトルク伝達によって行われる。そのため、第1偏心体21および第2偏心体22がクランク軸14に対して滑ってしまう虞がなく、トルク伝達をより確実に行うことができる。また、クランク軸14と第1偏心体21および第2偏心体22とのトルク伝達をスプライン連結によって行うことができるため、第1偏心体21および第2偏心体22(つまり偏心体部材20)を強い締まり嵌めで圧入する必要がなく、第1偏心体21および第2偏心体22の組み付けが容易である。
さらに、この組み付けは、クランク軸14の外周に対する第1偏心体21および第2偏心体22(偏心体部材20)の周方向の位置決めを、クランク軸歯車17のクランク軸14の外周に対する位置決めと関連させることができるという大きなメリットがある。
具体的には、この歯車装置G4においては、クランク軸歯車17に対する動力入力用外スプライン19を軸方向に延在させることによって第1外スプライン71、第2外スプライン72を含む外スプライン70を形成している。このため、クランク軸14に対するクランク軸歯車17の周方向位置、クランク軸14に対する第1偏心体21の周方向位置、およびクランク軸14に対する第2偏心体22の周方向位置とを、外スプライン70によって正確に関連させることができる。つまり、本歯車装置G4においては、第1偏心体21および第2偏心体22の偏心位相差のずれを防止できるだけでなく、各クランク軸14の第1偏心体21同士、各クランク軸14の第2偏心体22同士の位相をより正確に合致させることができるようになる。
図10の歯車装置G5は、図8および図9の歯車装置G4の変形例を示している。
図10の歯車装置G5では、図8および図9の歯車装置G4と同様の外スプライン70および内スプライン90を有し、該外スプライン70および内スプライン90の係合によって内側軸方向通路Ar1および外側軸方向通路Ar2を確保している。
ただし、図10の歯車装置G5においては、外スプライン70と内スプライン90の歯数が異なる。具体的には、図10の歯車装置G5では、外スプライン70の歯数が内スプライン90の歯数よりも2だけ少ない。つまり、外スプライン70のうち対向する一対の歯が切除されている(噛み合っていない)。そして、当該外スプライン70と内スプライン90が噛み合っていない部分の空間94が広い軸方向通路Ar4として機能している。貫通孔25で構成される径方向通路Rrは、該外スプライン70と内スプライン90が噛み合っていない部分の空間94に開口している。
この歯車装置G5では、径方向通路Rrを構成する貫通孔25は、2本しか形成されていない。しかし、外スプライン70と内スプライン90は一部が噛み合っておらず、その結果、大きく確保された空間94(軸方向通路Ar4)に貫通孔25(径方向通路Rr)が開口しているため、潤滑剤を良好に貫通孔25に誘導することができる。
図11の歯車装置G6は、同様の作用効果を、内スプライン90の歯のうち対向する一対の歯を切除することにより実現したものである。この歯車装置G6でも、径方向通路Rrを構成する貫通孔25は、2本しか形成されていない。しかし、外スプライン70と内スプライン90は、歯数が異なり、一部が噛み合っていない。その結果、大きく確保された空間95(軸方向通路Ar5)に貫通孔25が開口しているため、潤滑剤を良好に貫通孔25に誘導することができる。
このように、内スプライン90の一部を切除することによって外スプライン70と内スプライン90が噛み合っていない部分の空間95(軸方向通路Ar5)を構成し、該噛み合っていない部分の空間95に貫通孔25(径方向通路Rr)を開口させることによっても、同様の作用効果が得られる。
図12の歯車装置G7は、図8および図9の歯車装置G4、あるいはこれを変形した図10、図11の歯車装置G5、G6をベースとして、第1偏心体21および第2偏心体22の構成を工夫したものである。
これまでの歯車装置G1〜G6は、第1偏心体21および第2偏心体22の偏心位相差のずれを防止するために、該第1偏心体21および第2偏心体22を同一の偏心体部材20により一体的に構成するようにしていた。しかし、このような構成の偏心体部材20は、180度の偏心位相差を有する2つの第1偏心体21および第2偏心体22を1個の偏心体部材20に一体化して形成する必要があり、加工が高コストとなり易い。
しかし、例えば、歯車装置G4〜G6のように、クランク軸14の外周に形成した外スプライン70と係合する内スプライン90を第1偏心体21および第2偏心体22の内周に形成する場合には、第1偏心体21と第2偏心体22は当該外スプライン70および内スプライン90によってクランク軸14の周方向位置を確定することができる。そのため、第1偏心体21と第2偏心体22は、特に1個の偏心体部材20に一体化されている必要はない。
そこで、図12の歯車装置G7にあっては、第1偏心体21と第2偏心体22を別の部材で構成している。そして、先ず、第1偏心体21を有する偏心体部材120をクランク軸14に組み込んだ後、同一形状の偏心体部材120を、180度回転させた状態で重ねて組み込むことにより、これを第2偏心体22を有する偏心体部材として機能させるようにしている。
つまり、第1偏心体21のみを有する偏心体部材120を1種類用意するだけで、180度の偏心位相差を正確に維持した状態で第1偏心体21および第2偏心体22をクランク軸14上に構成している。
この構成を担保するために、外スプライン70および内スプライン90の歯数は、偏心位相差が180度であることから、360度と180度の約数である2の倍数、つまり偶数(具体的には14)に設定されている。
この図12の歯車装置G7においては、これまでの歯車装置G1〜G6においては貫通孔25によって構成されていた径方向通路Rrを、第1偏心体21と第2偏心体22とを軸方向に離して位置決めすることで径方向通路Rr3を確保するようにしている。つまり、第1偏心体21と第2偏心体22との間に、軸方向通路Ar1、Ar2に連通する径方向通路Rr3が設けられている。
なお、第1偏心体21の軸方向反第2偏心体側への移動は、第1規制板81で行い、第2偏心体22の軸方向反第1偏心体側への移動は第2規制板82で行われる。第1偏心体21の軸方向第2偏心体22側への移動、および第2偏心体22の軸方向第1偏心体21側への移動は、クランク軸14に対する圧入(歯面部70C、90Cの締まり嵌め)によって規制している。この圧入は、いわゆる動力を伝達するための強いトルクを確保できるような圧入である必要はないため、中間嵌め程度の圧入としている。これにより、貫通孔25を形成する工程を削減することができる。
なお、第1偏心体21と第2偏心体22との間に軸方向隙間を設けることで径方向通路Rr3を形成する代わりに、例えば、偏心体部材と偏心体部材との間に径方向に溝を形成した規制板を介在させ、この径方向の溝を径方向通路として機能させるようにしてもよい。あるいは、偏心体部材と偏心体部材の軸方向に対向している面に径方向に溝をそれぞれ直接形成した上で、当該軸方向に対向している面同士を当接させるような構成としてもよい。この場合は、圧入や規制板の配置に依ることなく第1偏心体および第2偏心体の軸方向移動の規制ができ、また、対向面に形成した溝を径方向通路として機能させることができる。
このように本発明では、径方向通路をどのような構造で形成するかは、特に限定されない。
同様に、軸方向通路をどのような構造で形成するかについても、特に限定されない。既に説明したように、例えば、図1〜図5の構成例のように、軸部材の外周における少なくとも第1軸受および第1偏心体と対向する部分に、軸方向に向かう外スプライン状の溝を形成することによって軸方向通路を構成することができる。また、例えば、図8、図9の構成例のように、軸部材が外周における少なくとも第1軸受、第1偏心体、および第2偏心体と対向する部分に、外スプラインを有すると共に、第1偏心体および第2偏心体が内周に該外スプラインと係合する内スプラインを有し、外スプラインの底部と内スプラインの頂部との間、および、外スプラインの頂部と内スプラインの底部との間の、少なくとも一方に形成された隙間によって軸方向通路を構成してもよい。また、例えば、図10、図11の構成例のように、同様に形成した外スプラインと内スプラインの歯数を異ならせ、外スプラインと内スプラインが噛み合っていない部分の空間によって軸方向通路を構成してもよい。要するに、潤滑剤が通過可能な軸方向に向かう通路であればよい。軸方向通路の形成方向は、必ずしも軸方向と平行でなくてもよい。
なお、上述した軸方向通路、径方向通路の構成は、適宜併用することが可能であり、相乗的な効果が得られる。
また、上記歯車装置においては、いずれも偏心体を2個有していたが、本発明における偏心体の数は、2個に限定されない。偏心体が3個以上ある場合は、第1軸受(第1クランク軸軸受)に隣接する偏心体を第1偏心体、該第1偏心体と隣接する偏心体を第2偏心体と捉えることで、本発明を適用することができる。なお、偏心体が3個以上ある場合には、第1偏心体および第2偏心体だけでなく、全ての偏心体を同一の偏心体部材により一体化するか、あるいは、全ての偏心体に内スプラインを形成した構成とするのが望ましい。
また、上記歯車装置においては、軸部材(クランク軸)の端部に、動力を入力するためのクランク軸歯車が組み付けられていたため、該クランク軸歯車の動力入力用外スプラインを潤滑剤の軸方向通路の一部として活用するようにしていた。さらに、第2軸受(第2クランク軸軸受)および第2偏心体に対応する部分にも第2外スプラインを設け、これを潤滑剤の軸方向通路の一部として活用していた。しかし、本発明の軸方向通路は、必ずしもこのような構成とする必要はない(例えば、そもそも第1軸受に隣接してクランク軸歯車が存在しないこともある)。本発明における潤滑剤の軸方向通路は、最小限、第1軸受の反偏心体側から第1偏心体と第2偏心体の間まで潤滑剤が移動できるような軸方向に向かう通路が形成されていれば足りる。これにより、第1軸受の反偏心体側に存在する潤滑剤を第1偏心体と第2偏心体との間から吐出させることができる。
また、本発明では、軸部材(クランク軸)の本数も、3本に限定されない。例えば、クランク軸の本数は、1本でもよい。偏心揺動型の歯車装置には、内歯歯車の軸方向中央に1本のクランク軸を備え、当該1本のクランク軸によって外歯歯車が揺動する、いわゆる中央クランク軸タイプの遊星歯車装置も知られている。本発明は、このような構成の歯車装置にも適用可能であり、同様な作用効果を得ることができる。
G1…歯車装置
11…第1外歯歯車
12…第2外歯歯車
14…クランク軸(軸部材)
20…偏心体部材
21…第1偏心体
22…第2偏心体
39…内歯歯車
51…第1クランク軸軸受(第1軸受)
70…外スプライン
90…内スプライン
Ar…軸方向通路
Rr…径方向通路

Claims (9)

  1. 第1外歯歯車と、該第1外歯歯車と軸方向に隣接して配置された第2外歯歯車と、前記第1外歯歯車を揺動回転させる第1偏心体と、前記第2外歯歯車を揺動回転させる第2偏心体と、前記第1偏心体および前記第2偏心体が外嵌される軸部材と、前記第1偏心体と隣接して前記軸部材に外嵌され該軸部材を支持する第1軸受と、を有する偏心揺動型の歯車装置であって、
    前記軸部材は、外周における少なくとも前記第1軸受および前記第1偏心体と対向する部分に、軸方向に向かう潤滑剤の軸方向通路を有し、
    前記第1偏心体と前記第2偏心体は、同一の部材により一体的に構成されており、かつ
    前記第1偏心体と前記第2偏心体との間に、前記軸方向通路に連通する潤滑剤の径方向通路を有する
    ことを特徴とする偏心揺動型の歯車装置。
  2. 請求項1において、
    前記軸方向通路を複数有し、
    前記径方向通路の周方向の最大幅は、前記軸方向通路と軸方向通路の間の周方向幅よりも大きい
    ことを特徴とする偏心揺動型の歯車装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記第1偏心体と前記第2偏心体との間の内周に、リング状の内周溝が設けられ、
    前記径方向通路は、該内周溝に開口する
    ことを特徴とする偏心揺動型の歯車装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記軸部材の外周における前記第1偏心体と前記第2偏心体との間に対向する部分に、リング状の外周溝が設けられ、
    前記径方向通路は、該外周溝に開口する
    ことを特徴とする偏心揺動型の歯車装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記軸部材は、外周に外スプラインを有し、
    前記第1偏心体および前記第2偏心体は、内周に前記外スプラインと係合する内スプラインを有し、
    前記外スプラインの底部と前記内スプラインの頂部との間、および、前記外スプラインの頂部と前記内スプラインの底部との間の、少なくとも一方に、前記軸方向通路を構成する隙間が設けられる
    ことを特徴とする偏心揺動型の歯車装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    前記軸部材は、外周に外スプラインを有し、
    前記第1偏心体および前記第2偏心体は、内周に前記外スプラインと係合する内スプラインを有し、
    前記外スプラインと前記内スプラインの歯数が異なり、
    当該外スプラインと内スプラインが噛み合っていない部分の空間が前記軸方向通路を構成し、
    前記径方向通路は、該外スプラインと内スプラインが噛み合っていない部分の空間に開口する
    ことを特徴とする偏心揺動型の歯車装置。
  7. 第1外歯歯車と、該第1外歯歯車と軸方向に隣接して配置された第2外歯歯車と、前記第1外歯歯車を揺動回転させる第1偏心体と、前記第2外歯歯車を揺動回転させる第2偏心体と、前記第1偏心体および前記第2偏心体が外嵌される軸部材と、前記第1偏心体と隣接して前記軸部材に外嵌され該軸部材を支持する第1軸受と、を有する偏心揺動型の歯車装置であって、
    前記軸部材は、外周における少なくとも前記第1軸受、前記第1偏心体、および前記第2偏心体と対向する部分に、外スプラインを有し、
    前記第1偏心体および前記第2偏心体は、内周に前記外スプラインと係合する内スプラインを有し、
    前記外スプラインの底部と前記内スプラインの頂部との間、および、前記外スプラインの頂部と前記内スプラインの底部との間の、少なくとも一方に、潤滑剤の軸方向通路を構成する隙間が設けられ、
    前記第1偏心体と前記第2偏心体との間に、前記隙間に連通する径方向通路が設けられる
    ことを特徴とする偏心揺動型の歯車装置。
  8. 第1外歯歯車と、該第1外歯歯車と軸方向に隣接して配置された第2外歯歯車と、前記第1外歯歯車を揺動回転させる第1偏心体と、前記第2外歯歯車を揺動回転させる第2偏心体と、前記第1偏心体および前記第2偏心体が外嵌される軸部材と、前記第1偏心体と隣接して前記軸部材に外嵌され該軸部材を支持する第1軸受と、を有する偏心揺動型の歯車装置であって、
    前記軸部材は、外周における少なくとも前記第1軸受、前記第1偏心体、および前記第2偏心体と対向する部分に、外スプラインを有し、
    前記第1偏心体および前記第2偏心体は、内周に前記外スプラインと係合する内スプラインを有し、
    前記外スプラインと前記内スプラインの歯数が異なり、
    当該外スプラインと内スプラインが噛み合っていない部分の空間が、潤滑剤の軸方向通路を構成し、
    前記第1偏心体と前記第2偏心体との間に、該外スプラインと内スプラインが噛み合っていない部分の空間に連通する径方向通路が設けられる
    ことを特徴とする偏心揺動型の歯車装置。
  9. 請求項7または8において、
    前記軸部材は、軸方向端部に、該軸部材に動力を伝達する部材をスプライン連結するための動力入力用外スプラインを有し、
    前記第1軸受、前記第1偏心体、および前記第2偏心体と対向する部分に設けられる前記外スプラインは、該動力入力用外スプラインを軸方向に延在させたものである
    ことを特徴とする偏心揺動型の歯車装置。
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