JP2017096090A - 建具 - Google Patents
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Abstract
Description
本来的に、建具は、その2つの空間の間において空気の流通(風の流れ)や光の透過を阻止するものである。
しかしながら、2つの空間を仕切るとともに、空気の流通や光の透過を可能とさせたいというニーズもある。
このニーズに応えるために、開口部を有する建具が考えられる。
なお、この分野における先行技術の一例としては、特許文献1に開示されているものがある。
第1面の側の複数の第1部材のうちの少なくとも一部である可動第1部材が閉塞位置に位置する状態で、隣接する第2部材同士の間の隙間が当該可動第1部材に塞がれる。こうして、建具によって仕切られる2つの空間の間における空気の流通等が阻止される。
一方、可動第1部材が非閉塞位置に位置する状態で、隣接する第2部材同士の間の隙間が塞がれない。こうして、建具によって仕切られる2つの空間の間における空気の流通等が阻止されない。
このようにして、この発明の建具では、その時々の状況に応じて、空気の流通等を阻止する阻止状態と、阻止しない許容状態との間を容易に切り換えることが可能である。
いずれも自身の長さ方向として第1方向に延びるすべての第1部材及びすべての第2部材は、自身の幅方向として第2方向に延びるとともに、すべての第1部材は第1方向及び第2方向からなる第1仮想平面上に位置し、すべての第2部材は第1方向及び第2方向からなり第1仮想平面と平行なる第2仮想平面上に位置していることから、この建具の厚さが最小限度のものとなる。
すなわち、例えば、第1部材が自身の幅方向として、斜めに(すなわち、第2方向に延びるとともに建具の厚さ方向に斜めに)延びる態様と比較して、建具の厚さが小さなものとなる。
このため、複数の建具が厚さ方向に近接して重なる場合でも、両建具が干渉することが回避される。逆にいうと、複数の建具が厚さ方向に近接して配設されることが可能となるのである。
複数の可動第1部材が連結されて可動第1部材集合体が形成されているため、可動第1部材集合体を移動させることによって、それに含まれるすべての可動第1部材を移動させることができる。
こうして、この発明の建具では、複数の可動第1部材について、それぞれ移動させるよりも効率的に移動させることができるのである。
可動第1部材集合体を移動させる際には、ダンパによる抵抗を受けることとなる。このため、可動第1部材集合体を下方又は下方成分を有する方向に移動させようとする際に、重力に基づいて可動第1部材集合体が急速に落下する、ということが防止される。
すなわち、この発明の建具は可動第1部材集合体について移動可能状態と位置維持状態とを切り換えて位置調整するための位置調整機構を有するため、可動第1部材集合体について移動可能状態に切り換えた状態で可動第1部材集合体を移動させ、所望の位置に至った状態で位置維持状態に切り換えることによって、可動第1部材集合体が当該所望の位置に維持される。
こうして、可動第1部材集合体の位置を容易に適切に調整することが可能となる。
すなわち、このような位置調整機構を有していないと、単に所望の位置に位置づけたのみでは、重力その他の外力に基づいて可動第1部材集合体が当該所望の位置から外れる、ということもあり得るが、そのようなことが適切に防止されるのである。
複数の被係合部は、可動第1部材集合体の移動方向に沿って位置固定的に設けられており、係合部は可動第1部材集合体に設けられている。
そして、その複数の被係合部のいずれかに係合部が係脱可能に係合することによって、可動第1部材集合体の位置が調整される。
こうして、請求項5に係る発明の建具の作用効果がより具体的に得られる。
係合部が複数の被係合部のいずれかに係合(対応)した状態で、弾性的突出部材は他の被係合部に嵌合している。
そして、係合部が被係合部に係合しない状態とされて(すなわち可動第1部材集合体が移動可能状態とされて)可動第1部材集合体が自身の移動方向に沿って移動しようとする際に、弾性的突出部材もその移動方向に移動しようとして、弾性的突出部材の先端部のうちの当該移動方向における先頭側の端部は、被係合部の縁部を当該移動方向に押圧する。
その際に、弾性的突出部材の先端部のうちの当該移動方向における先頭側の端部は当該移動方向とは反対側に向かうにつれて突出する方向に向かうように当該移動方向から傾斜しているため、当該先端部のうちの当該先頭側の端部には、被係合部の縁部から、反作用として当該移動方向とは反対側に押圧力が加わるとともに没入方向に押圧力が加わり、弾性的突出部材が没入していき、弾性的突出部材が当該係合部から外れていく。
そして、さらに可動第1部材集合体がその移動方向に沿って移動して係合部が次の被係合部に対応しようとする際に、弾性的突出部材も次の被係合部に対応して当該被係合部に突出していき、当該次の被係合部に嵌合する。
これを使用者が認識することによって、逆に、可動第1部材集合体の係合部が次の被係合部に対応したことが認識される。
こうして、使用者は、容易に、可動第1部材集合体が当該位置に位置した状態で係合部を被係合部に係合させ、可動第1部材集合体を位置維持状態にすることができる。
使用者が把持用第1部材の窪み部に指を差し入れて把持用第1部材を支持する際、窪み部(その奥側の部分)によって、その指がそれ以上奥側(第2部材の側)に進入することが阻止される。このことによって、隣接する第2部材同士の間の隙間に指が進入することが阻止される。
こうして、当該隙間に指が進入した状態で可動第1部材集合体が移動されることによってその指が第2部材の縁部と第1部材縁部との間に挟まれてしまう、ということが防止される。
すなわち、本発明は、当該建具の厚さ方向における第1面の側において、自身の長さ方向として水平方向(当該建具の幅方向)に延びる複数の帯板状の第1部材が鉛直方向に沿って並列的に配設され、当該建具の厚さ方向における第2面の側において、水平方向(当該建具の幅方向)に延びる複数の帯板状の第2部材が鉛直方向に沿って並列的に隙間を隔てて位置固定的に配設され、複数の第1部材のうちの少なくとも一部である可動第1部材が、隣接する第2部材同士の間の隙間を塞ぐ閉塞位置と、当該隙間を塞がない非閉塞位置との間を鉛直方向に沿って移動可能である、建具、ということとなる。
このように、第1部材及び第2部材が水平方向に延びるとともに、鉛直方向に沿って複数配設され、可動第1部材が鉛直方向に移動するため、本発明の建具は、立体的な横縞状の外観を呈することとなる。
すなわち、本発明は、当該建具の厚さ方向における第1面の側において、自身の長さ方向として鉛直に延びる複数の帯板状の第1部材が水平方向(当該建具の幅方向)に沿って並列的に配設され、当該建具の厚さ方向における第2面の側において、鉛直方向に延びる複数の帯板状の第2部材が水平方向(当該建具の幅方向)に沿って並列的に隙間を隔てて位置固定的に配設され、複数の第1部材のうちの少なくとも一部である可動第1部材が、隣接する第2部材同士の間の隙間を塞ぐ閉塞位置と、当該隙間を塞がない非閉塞位置との間を水平方向(当該建具の幅方向)に沿って移動可能である、建具、ということとなる。
このように、第1部材及び第2部材が鉛直方向に延びるとともに、水平方向(当該建具の幅方向)に沿って複数配設され、可動第1部材が水平方向(当該建具の幅方向)に移動するため、本発明の建具は、立体的な縦縞状の外観を呈することとなる。
次に、本発明の実施例1の吊り引き戸について、図1A〜図4Bに基づいて説明する。
図1A〜図3B等に示すように、この吊り引き戸(以下、単に「引き戸」ともいう)100は、表側に配設された複数の横板(表側横板)10と、裏側に配設された複数の横板(裏側横板20)とを有する2層構造をなしている。
表側が本発明の第1面の側に該当し、裏側が本発明の第2面の側に該当する。表側横板10が本発明の第1部材に該当し、裏側横板20が本発明の第2部材に該当する。
引き戸100の幅方向(水平方向)が本発明の第1方向に該当し、鉛直方向が本発明の第2方向に該当する。
基本的に、いずれの横板10,20も、中空の金属(例えば、アルミニウム合金)によって形成されている。
上框32aには、ローラ取付部材34を介して、ローラ35が設けられている。ローラ35がレール(図示省略)に対して回転可能に嵌合されることによって、引き戸100はレールに沿って移動可能である。
同様に、上框32aの下側及び下框32bの上側にも、横支持材50が固定されている。各横支持材50も、表側横板10,裏側横板20に対応して、一対の凹部(表側凹部51,裏側凹部52)を有している(図3B)。
裏側横板集合体25は、左右一対の縦材(裏側縦材)22による枠(符号省略)を有している。
裏側横板集合体25においては、複数(例えば、17枚)の裏側横板20が、一対の裏側縦材22に固定されている。裏側横板20は、鉛直方向に沿って並列的に配設されている。
ほぼすべての裏側横板20の幅(鉛直方向の寸法)は同一である。例外として、最上の裏側横板20は、引き戸100の高さ調整のためのものであり、中実の木材で形成されるとともに、その幅は適宜変更される。
こうして、各裏側縦材22は各縦支持材40に対して位置固定的に取り付けられており、裏側横板集合体25は、すなわち、すべての裏側横板20は、各縦支持材40に対して(ひいては框30に対して)固定されている。
すなわち、引き戸100の表側のその一部には、複数の表側横板10(可動表側横板10A)が上下に変位可能に設けられているとともに、その残部には、複数の表側横板10(位置固定表側横板10Ba〜10Bc)が位置固定的に設けられている。
可動表側横板10Aが本発明の可動第1部材に該当する。
すべての可動表側横板10A(上下両方の可動表側横板集合体15)が最下位置に位置する状態で、すべての表側横板10(可動表側横板10A,位置固定的な表側横板10Ba〜10Bc)は、同一の隙間を隔てている。
すべての表側横板10の厚さ(引き戸100の厚さ方向の寸法)は同一であるとともに、各裏側横板20の厚さと同一である。
ほぼすべての表側横板10の幅(鉛直方向の寸法)は同一であるとともに、各裏側横板20(最上のものを除く)の幅(鉛直方向の寸法)と同一である。
例外として、最下の表側横板10(最下位置固定表側横板10Bb)は、引き戸100の高さ調整のためのものであり、中実の木材で形成されるとともに、その幅は適宜変更される。
中央及びその近傍の複数(例えば3枚)の表側横板10も、位置固定的に設けられている(中央位置固定表側横板10Bcともいうこととする)。すなわち、各中央位置固定表側横板10Bcの左右の各縁部が、各縦支持材40の表側凹部41に嵌合されて固定されている。
上述の位置固定的な表側横板10(特に、中央位置固定表側横板10Bc)は、裏側横板集合体25の隣接する裏側横板20同士の間の隙間に対応している。すなわち、表側横板10と裏側横板20とは、その上側/下側の縁部及びその近傍同士でわずかに重なっている。
上方の可動表側横板集合体15は、最上位置固定表側横板10Baと中央位置固定表側横板10Bc(そのうちの最上のもの)との間において、上下動可能に設けられている。
下方の可動表側横板集合体15は、最下位置固定表側横板10Bbと中央位置固定表側横板10Bc(そのうちの最下のもの)との間において、上下動可能に設けられている。
上下の2つの可動表側横板集合体15は、同一の構造を有している。
各表側縦材12の長さは、最上位置固定表側横板10Baと中央位置固定表側横板10Bc(そのうちの最上のもの)との間の距離(その鉛直方向の寸法)/最下位置固定表側横板10Bbと中央位置固定表側横板10Bc(そのうちの最下のもの)との間の距離(その鉛直方向の寸法)よりも、可動表側横板集合体15が上下動する距離の分だけ短いものとされている。すなわち、1つの表側横板10の幅(鉛直方向の寸法)とほぼ同一の長さ(正確には、それより若干短い長さ)の分だけ短いものとされている。
可動表側横板集合体15においては、複数(例えば、6枚)の表側横板10が枠(一対の表側縦材12)に固定されている。複数の表側横板10は、鉛直方向に沿って並列的に配設されている。
各摺動部材90とともに各表側縦材12(その幅方向における一部)は、各縦支持材40の表側凹部41に対して摺動可能に嵌合されている。すなわち、各表側縦材12は、各摺動部材90において、各縦支持材40の表側凹部41に対して摺動可能とされている。
この各表側横板10の位置(正確にはその近傍を含む)が閉塞位置であり、それ以外の位置が非閉塞位置である。そして、この状態を全閉状態ということとする。
図1A及び図1Bにおいて、下方の可動表側横板集合体15は全閉状態である。
この各表側横板10の位置は、非閉塞位置のうちでも最も代表的なものである。こうして、引き戸100としての空隙部Cが最大限の大きさで形成されている。そして、この状態を全開状態ということとする。
図1A及び図1Bにおいて、上方の可動表側横板集合体15は全開状態である。
各高さ調整機構は、操作係合部材60,被係合部材70等から形成されている。操作係合部材60には操作部材65が取り付けられている。表側縦材12には、支持ベース材80が固定されている。
各操作係合部材60は、回動軸61を基準にほぼ直角の角度間隔を隔てて放射状に延びる2つのアーム(いずれも符号省略)を有している。一方のアームは支持ベース材80の挿通孔83,表側縦材12の挿通孔13を通してほぼ水平方向に延び、その先端部の側の大半部分が被取付部62である。他方のアームはほぼ鉛直下方に延び、その先端部が係合部63である。
係合部63は、緩斜部64aと略水平部64bとを有する鍵状をしている。緩斜部64aは、下方に向かうにつれて各表側縦材12の外側(縦框31の側)に徐々に向かっており、略水平部64bは、緩斜部64aの下部において各表側縦材12の内側(他方の表側縦材12の側)にほぼ水平に向かっている。
各操作係合部材60は、回動軸61に嵌合されたスプリング85(トーションスプリング)によって、係合位置に向かって付勢されている。
一方、図4Bに示すように、スプリング85の付勢力に抗して操作係合部材60が非係合位置に位置することによって、操作係合部材60の係合部63は、被係合部材70の被係合孔72に嵌合せず係合しないこととなる。この状態を上下動降許容状態ということとする。
一方、同じく一対の操作係合部材60の各係合部63が各被係合部材70の最上の被係合孔72に嵌合した状態で、可動表側横板集合体15が最上位置(図2Cに基づいて前述)に位置し、全開状態(同前述)となる。
そのように各部材の寸法関係が設定されている。
同じく上述の高さ維持状態において、縦板部67は、引き戸100の厚さ方向を自身の幅方向として当該幅方向に短く延びるとともに、鉛直方向に延びている。左側/右側の操作部材65はスプリング85の付勢によって時計回り方向/反時計回り方向に付勢されており、縦板部67が表側縦材12の内側面(他方の表側縦材12の側の面)に当接して、操作部材65がそれ以上に上記方向に回動することが阻止されている。
奥板部68は、上板部66及び縦板部67の奥側の縁部をつなぐ三角形状をしており、引き戸100の厚さ方向と垂直の平面状をしている。
可動表側横板集合体15の高さ位置を変動させる場合は、図4A→図4Bに示すように、使用者は、まず、左右の各操作部材65を左右の手で操作して、各操作係合部材60を上下動許容状態とする。すなわち、使用者は、各操作部材65の上板部66の下側に人差し指又は親指を差し入れ、その指で上板部66を上方に押圧することによって、スプリング85の付勢力に抗して各操作係合部材60を回動させて非係合位置に位置づけて、上下動許容状態とする。
その状態で、使用者が可動表側横板集合体15を上昇/下降させる。
そして、可動表側横板集合体15が所望の高さ位置に至った状態で、図4B→図4Aに示すように、使用者は、左右の各操作部材65の操作を停止する。すなわち、左右の各操作部材65の上板部66から人差し指又は親指を外して、スプリング85の付勢力によって各操作係合部材60を係合位置に戻す。こうして、係合部63を被係合部材70の所定の被係合孔72に係合させて、各操作係合部材60を高さ維持状態に戻す。
このようして、可動表側横板集合体15の高さ位置を調整するのである。
すなわち、使用者は、図4Aに示すように、左右の各操作部材65を操作することなく、所定の大きさ以上の上方への力を可動表側横板集合体15に加える。
これによって、操作係合部材60の係合部63の緩斜部64aは、被係合部材70の被係合孔72の上縁部によって非係合状態に向かって相対的に押圧され、操作係合部材60は、スプリング85の付勢力に抗して非係合位置に向かって回動し、ついには非係合位置に至る。その状態で、使用者は、可動表側横板集合体15を上方に移動させる。そして、操作係合部材60の係合部63は、スプリング85の付勢力によって、それまでよりも1つ上の被係合孔72に嵌合し、可動表側横板集合体15は、それまでよりも1段階上昇する。
使用者がさらに可動表側横板集合体15に上方への力を加えることによって、上述と同様にして、操作係合部材60の係合部63は被係合部材70のさらに1つ上の被係合孔72に嵌合し、可動表側横板集合体15はさらに1段階上昇する。
これを続けることによって、可動表側横板集合体15は任意の高さ位置まで上昇させることができる。
使用者が各操作部材65の上板部66の下側に人差し指又は親指を差し入れる際、操作部材65の奥板部68によって、その指がそれ以上奥側(裏側横板集合体25の側)に進入することが阻止される。このことによって、裏側横板集合体25の隣接する裏側横板20同士の間の隙間に指が進入することが阻止される。
こうして、当該隙間に指が進入した状態で可動表側横板集合体15が上下動されることによってその指が裏側横板20の下縁部/上縁部と可動表側横板10Aの下縁部/上縁部との間に挟まれてしまう、ということが防止される。
これによって、裏側横板集合体25の隙間(可動表側横板集合体15に対応する裏側横板20同士の間の隙間)が塞がれ、全閉状態となる。
こうして、空気の流通や光の透過が阻止される。
これによって、裏側横板集合体25の隙間(可動表側横板集合体15に対応する裏側横板20同士の間の隙間)が最大限に露出し、最大限の大きさの空隙部Cが形成され、全開状態となる。
こうして、空気の流通や光の透過が最大限確保される。
また、例えば、図1A及び図1Bに示すように、いずれかの可動表側横板集合体15のみをいずれかの位置に位置づけることも可能である。前述したように、図1A及び図1Bにおいては、上方の可動表側横板集合体15が全開状態であり、下方の可動表側横板集合体15が全閉状態である。
これらのようにして、上述の両状態の間の状態が実現される。
複数のレールが隣接状態で設置され、各レールに1つ又は複数の引き戸100が取り付けられる。そして、引き戸100がレールに沿って移動されることによって、隣接するレールに取り付けられた引き戸100同士が重なる場合もある。
その際、前述したように、この引き戸100では、すべての表側横板10,裏側横板20は、自身の幅方向として鉛直方向に延びるとともに、一鉛直平面状に位置している。
このため、表側横板10等が自身の幅方向として斜め(鉛直下方に向かうにつれて手前側方向に向かう)に延びている場合と比較して、隣接するレールに取り付けられた引き戸100同士が重なる場合でも、両引き戸100がその厚さ方向において近接していても、両引き戸100が干渉することが防止される。
逆にいうと、複数のレールが近接して設置されることが可能となり、省スペースが図られる。
次に、本発明の実施例2の吊り引き戸について、図1A〜図2C,図5A〜図8に基づいて説明する。実施例2は実施例1を改良したものであり、実施例1との相違点を中心に説明する。実施例1の各要素と共通する各要素については同一の符号を付すとともに、実施例1の各要素に対応する各要素については対応する符号(「100」を加算した符号)を付して、適宜、説明を省略する。また、図5C−1及び図5C−2をまとめて図5Cともいうこととする。
上方の可動表側横板集合体15は、最上位置固定表側横板10Baと中央位置固定表側横板10Bc(そのうちの最上のもの)との間において、上下動可能に設けられている。
下方の可動表側横板集合体15は、最下位置固定表側横板10Bbと中央位置固定表側横板10Bc(そのうちの最下のもの)との間において、上下動可能に設けられている。
上下の2つの可動表側横板集合体15は、同一の構造を有している。
ピストンロッド220は、外筒210に対して、抵抗を伴って出没可能に設けられている。外筒210は、ホルダ230に嵌合されており、ホルダ230は縦支持材40のうち、外側面(縦框31の側の面)に固定されている。また、ホルダ230内に外筒210が収容された状態で、蓋体232が、外筒210の一部を覆いつつホルダ230に対して固定されている。
ブラケット250のうちの先端側の部分は、長孔145を通して、縦支持材40と縦框31との間の空間に入り込んでいる。
ピストンロッド220の先端部は、ブラケット250のうちの先端側の部分に対して固定されている。
各操作係合部材160は、引き戸100(図1A等)の厚さ方向に延びる回動軸161を中心に回動可能に設けられており、係合位置(図6A)と非係合位置(図6B)との間を変位可能である。回動軸161は、支持ケース材186の支持孔187(図5D)及び支持医ベース材180の支持孔184(図5D)に対して回転可能に嵌合されている。
図5D及び図5E等に示すように、各操作係合部材160は、回動軸161を基準にほぼ直角の角度間隔を隔てて放射状に延びる2つのアーム(いずれも符号省略)を有している。一方のアームは支持ベース材180の挿通孔183(図5D),表側縦材12の挿通孔13(図5D)を通してほぼ水平方向に延び、その先端部の側の大半部分が被取付部162である。他方のアームはほぼ鉛直上方に延び、その先端部が係合部163である。このアームに対応して、支持ケース材186には長孔188が形成されている。
係合部163は、緩斜部164aと略水平部164bとを有する鍵状をしている。緩斜部164aは、下方に向かうにつれて各表側縦材12の外側(縦框31の側)に徐々に向かっており、略水平部164bは、緩斜部164aの下部において各表側縦材12の内側(他方の表側縦材12の側)にほぼ水平に向かっている。
各操作係合部材160は、スプリング185によって、係合位置(図6A)に向かって付勢されている。
一方、図6Bに示すように、スプリング185の付勢力に抗して操作係合部材160が非係合位置に位置することによって、操作係合部材160の係合部163は、被係合部材70の被係合孔72に嵌合せず係合しないこととなる。この状態を上下動降許容状態ということとする。
一方、同じく一対の操作係合部材160の各係合部163が各被係合部材70の最上の被係合孔72に嵌合した状態で、可動表側横板集合体15が最上位置(図2Cに基づいて前述)に位置し、全開状態(同前述)となる。
そのように各部材の寸法関係が設定されている。
同じく上述の高さ維持状態において、縦板部167は、引き戸100(図1A等)の厚さ方向を自身の幅方向として当該幅方向に短く延びるとともに、鉛直方向に延びている。
奥板部168は、下板部166及び縦板部167の奥側の縁部をつなぐ三角形状をしている。
図5C,図6A〜図7に示すように、把持用可動表側横板10AXのうちの下部(操作部材165とは上下方向に反対側の部分)には、窪み部18が形成されている。
窪み部18は、表側から裏側に向けて窪んでいる。すなわち、通常の可動表側横板10Aは、その縦断面において縦長の長方形状の筒状をしているところ、把持用可動表側横板10AXのうち窪み部18よりも上の部分(「通常肉厚部分」ということとする)は、縦長の長方形状の縦断面を有して水平に延びる四角筒状をしている一方、窪み部18においては、通常肉厚部分のうちの奥側の板状部(符号省略)と連続的にほぼ一枚の板状をしている。これを窪み部奥板状部19aということとする。
また、窪み部18のうちの上部は、ほぼ水平面状をしており、これを把持部上面19bということとする。なお、把持部上面19bは、把持用可動表側横板10AXの下面と捉えることも可能である。
窪み部18は、把持用可動表側横板10AXのうちの左右方向における全長にわたって形成されている。しかしながら、それに限らず、左右の各端部及びその近傍にのみ形成されていてもよい。
弾性的突出部材175に対応して、支持ケース材186には孔部189(図5D,図5E)が設けられている。弾性的突出部材175のうちの基端部には、円筒状のスプリング嵌合部176(図5E)が形成されている。スプリング嵌合部176には圧縮スプリング178が嵌合され、圧縮スプリング178の一端部はスプリング嵌合部176の底部(符号省略)に当接し、他端部は支持ベース材180に当接している。
こうして、弾性的突出部材175は、孔部189を通して支持ケース材186の外側(縦框31の側)に向けて付勢されている。弾性的突出部材175には上下にフランジ(符号省略)が設けられており、抜け止めがされている。
すなわち、弾性的突出部材175のうちの先端部のうちの略上半部は、上方から下方に向けて徐々に先方(縦框31の側)に向かうように鉛直から傾斜しており、その傾斜率は上方から下方に向けて徐々に小さくなっている。同じく略下半部は、下方から上方に向けて徐々に先方(縦框31の側)に向かうように鉛直から傾斜しており、その傾斜率は下方から上方に向けて徐々に小さくなっている。同じく略中央部はほぼ鉛直状をしている。
すなわち、図5Fに示すように、弾性的突出部材275においては、そのうちの先端部のうちの略上半部は、上方から下方に向けて徐々に先方(縦框31の側)に向かうように鉛直から傾斜しており、その傾斜率は一定である。同じく略下半部は、下方から上方に向けて徐々に先方(縦框31の側)に向かうように鉛直から傾斜しており、その傾斜率は一定である。同じく略中央部は鉛直状をしている。
その状態で、使用者が可動表側横板集合体15を上昇/下降させる。
そして、可動表側横板集合体15が所望の高さ位置に至った状態で、図6B→図6Aに示すように、使用者は、左右の各操作部材165の操作を停止する。すなわち、左右の各操作部材165の下板部166から親指T(又は人差し指)を外して、スプリング185の付勢力によって各操作係合部材160を係合位置に戻す。こうして、係合部163を被係合部材70の所定の被係合孔72に係合させて、各操作係合部材160を高さ維持状態に戻す。
このようして、可動表側横板10A(可動表側横板集合体15)の高さ位置を調整するのである。
すなわち、図7に示すように、全閉状態(図7(a)),全開状態(図7(c)),その間の状態(図7(b)の間を変位させることができる(図2A〜図2Cも参照)。
すなわち、使用者は、図6Aに示すように、左右の各操作部材165を操作することなく、所定の大きさ以上の上方への力を可動表側横板集合体15に加える。
これによって、操作係合部材160の係合部163の緩斜部164aは、被係合部材70の被係合孔72の上縁部によって非係合状態に向かって相対的に押圧され、操作係合部材160は、スプリング185の付勢力に抗して非係合位置に向かって回動し、ついには非係合位置に至る。その状態で、使用者は、可動表側横板集合体15を上方に移動させる。そして、操作係合部材160の係合部163は、スプリング185の付勢力によって、それまでよりも1つ上の被係合孔72に嵌合し、可動表側横板集合体15は、それまでよりも1段階上昇する。
使用者がさらに可動表側横板集合体15に上方への力を加えることによって、上述と同様にして、操作係合部材160の係合部163は被係合部材70のさらに1つ上の被係合孔72に嵌合し、可動表側横板集合体15はさらに1段階上昇する。
これを続けることによって、可動表側横板集合体15は任意の高さ位置まで上昇させることができる。
すなわち、可動表側横板集合体15を上下動させる際には、ダンパ200においてピストンロッド220が抵抗を伴って外筒210を出没することから、ダンパ200による抵抗を受けることとなる。
このため、可動表側横板集合体15を下降させようとする際に、重力に基づいて可動表側横板集合体15が急速に落下する、ということが防止される。
なお、可動表側横板集合体15を上昇させようとする際には、もともと重力に基づく抵抗が存在しており、さらにダンパ200による抵抗が加わるため、可動表側横板集合体15が急速に上昇する、ということはない。
図7に示すように、使用者が各操作部材165の下板部166の上側に親指T(又は人差し指)を差し入れる際、操作部材165の奥板部168によって、その指がそれ以上奥側(裏側横板集合体25の側)に進入することが阻止される。このことによって、裏側横板集合体25の隣接する裏側横板20同士の間の隙間に指が進入することが阻止される。
こうして、図7(a)〜(c)に示すように、当該隙間に指が進入した状態で可動表側横板集合体15が上下動されることによってその指が裏側横板20の下縁部/上縁部と可動表側横板10Aの下縁部/上縁部との間に挟まれてしまう、ということが防止される。
使用者が把持用可動表側横板10AXの窪み部18に人差し指F(又は親指)を差し入れて把持用可動表側横板10AX(把持部上面19b)を支持する際、窪み部18によって把持用可動表側横板10AXを支持しやすいとともに、窪み部18(窪み部奥板状部19a)によって、その人差し指F(又は親指)がそれ以上奥側(裏側横板集合体25の側)に進入することが阻止される。このことによって、裏側横板集合体25の隣接する裏側横板20同士の間の隙間に指が進入することが阻止される。
こうして、図7(a)〜(c)に示すように、当該隙間に指が進入した状態で可動表側横板集合体15が上下動されることによってその指が裏側横板20の下縁部/上縁部と可動表側横板10Aの下縁部/上縁部との間に挟まれてしまう、ということが防止される。
すなわち、例えば、図8(a)に示すように、各操作係合部材160を回動させて非係合位置に位置づけて上下動許容状態とされた状態で可動表側横板10A(可動表側横板集合体15)が下降される際は、次のとおりである。
こうして、図8(b)に示すように、没入状態の弾性的突出部材175の先端部が被係合部材70のうち、それまで弾性的突出部材175が嵌合していた被係合孔72と、それより1つ下の被係合孔72との間の部分に当接した状態となる。
こうして、図8(c)に示すように、突出状態の弾性的突出部材175が被係合孔72に嵌合する。すなわち、被係合部材70のうち、直前に(すなわち、図8(a)の状態)おいて嵌合していた被係合孔72より1つ下の被係合孔72に嵌合する。
また、さらに可動表側横板集合体15が下降しようとすることに対して、それまでと比較して大きな抵抗を受けることとなり、使用者は抵抗の急変(突然の増大)を感じる。すなわち、没入状態の弾性的突出部材175が徐々に突出していって被係合孔72に嵌合していく(図8(b)→(c))という直近の作用と比較して、図8(a)→(b)に基づいて前述したのと同様に、被係合部材70(被係合孔72の上縁部)から、大きな抵抗を受けようとすることとなる。
こうして、弾性的突出部材175が被係合孔72に嵌合したことが使用者に容易に認識される。
ここで、弾性的突出部材175が被係合孔72に嵌合する、ということは、操作係合部材160の係合部163が被係合孔72(弾性的突出部材175が嵌合した被係合孔より1つ下の被係合孔72)に対応するということである。すなわち、可動表側横板集合体15がそういう高さ位置に位置するということである。
こうして、使用者には、可動表側横板集合体15の下降を停止させるべく高さ位置の1つに位置したことが認識される。
一方、その高さ位置が所望のものでなく、さらに低い位置にしようとする場合は、さらに、図8(a)→(b)→(c)に基づいて説明した操作と同様のことを行い、さらに低い位置において、 図8(c)→(d)に基づいて説明した操作と同様のことを行う。
また、可動表側横板集合体15を上昇させる場合においては、前述したように、各操作部材165を操作することなく、所定の大きさ以上の上方への力を可動表側横板集合体15に加えても、上述とほぼ同様に、所定の高さ位置まで上昇させることができる。
また、表側に代えて又は表側とともに、裏側において、裏側横板(その一部又はすべて)が移動可能でもよい。
すなわち、例えば、自身の長さ方向として鉛直方向に延びる表側縦板/裏側縦板が設けられ、表側縦板が水平方向(引き戸100の幅方向)に移動するようにされてもよい。
さらには、自身の長さ方向として斜め方向(鉛直方向に向かうにつれて水平方向(引き戸100の幅方向)に向かう)に延びる表側斜板/裏側斜板が設けられ、表側斜板が鉛直方向又は水平方向(引き戸100の幅方向)に移動するようにされてもよい。
10A 可動表側横板(可動第1部材)
10AX 把持用可動表側横板(把持用第1部材)
15 可動表側横板集合体(可動第1部材集合体)
18 窪み部
20 裏側横板(第2部材)
60,160 操作係合部材
63,163 係合部
65,165 操作部材
70 被係合部材
72 被係合孔(被係合部)
100 吊り引き戸(建具)
175 弾性的突出部材
200 ダンパ
Claims (10)
- 全体としてほぼ板状をなす建具であって、
当該建具の厚さ方向における第1面の側において、自身の長さ方向として前記第1面に含まれる第1方向に延びる複数の帯板状の第1部材が、前記第1面に含まれ前記第1方向とは異なる第2方向に沿って並列的に配設され、
当該建具の厚さ方向における第2面の側において、前記第1方向に延びる複数の帯板状の第2部材が、前記第2方向に沿って並列的に隙間を隔てて位置固定的に配設され、
前記複数の第1部材のうちの少なくとも一部である可動第1部材が、隣接する前記第2部材同士の間の隙間を塞ぐ閉塞位置と、当該隙間を塞がない非閉塞位置との間を前記第2方向に沿って移動可能である、建具。 - 請求項1に記載の建具であって、
すべての前記第1部材は、自身の幅方向として前記第2方向に延びるとともに、前記第1方向及び前記第2方向からなる第1仮想平面上に位置しており、
すべての前記第2部材は、自身の幅方向として前記第2方向に延びるとともに、前記第1方向及び前記第2方向からなり、前記第1仮想平面に隣接して当該第1仮想平面と平行な第2仮想平面上に位置している、建具。 - 請求項1又は請求項2に記載の建具であって、
複数の前記可動第1部材が連結されて、可動第1部材集合体が形成されている、建具。 - 請求項3に記載の建具であって、
前記可動第1部材集合体と位置固定的な部材とは、ダンパを介して連結されている、建具。 - 請求項3又は請求項4に記載の建具であって、
前記可動第1部材集合体について移動可能状態と位置維持状態とを切り換えて位置調整するための位置調整機構を有する、建具。 - 請求項5に記載の建具であって、
前記位置調整機構は、
前記可動第1部材集合体の移動方向に沿って位置固定的に設けられた複数の孔状又は穴状の被係合部と、
前記可動第1部材集合体に設けられ、前記複数の被係合部のいずれかに係脱可能に係合する係合部と
を有する、建具。 - 請求項6に記載の建具であって、
前記複数の被係合部に対応して前記可動第1部材集合体に出没可能に設けられた弾性的突出部材を有し、
その弾性的突出部材は、前記複数の被係合部に向けて突出する方向に付勢されており、前記係合部が前記複数の被係合部のいずれかに対応した状態で、当該複数の被係合部のうちの他の被係合部に嵌合するものであり、
その弾性的突出部材の先端部のうちの前記可動第1部材集合体の移動方向における各先頭側の端部は、当該移動方向とは反対側に向かうにつれて前記突出する方向に向かうように当該移動方向から傾斜している、建具。 - 請求項5〜請求項7に記載の建具であって、
前記位置調整機構において前記位置維持状態から前記移動可能状態へと切り換えるための操作を受ける操作部材が、前記複数の第1部材のうちの一である把持用第1部材の近傍であって当該把持用第1部材から前記第2方向に沿って離隔した位置に設けられ、
当該把持用第1部材のうちの前記操作部材が設けられた側とは前記第2方向に沿って反対の側の部分には、前記第2部材の側とは反対側の部分から当該第2部材の側に向かう方向に窪む窪み部が形成されている、建具。 - 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の建具であって、
全体として鉛直のほぼ板状をなし、
前記第1方向が当該建具の幅方向に該当する水平方向であって、
前記第2方向が鉛直方向である、建具。 - 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の建具であって、
全体として鉛直のほぼ板状をなし、
前記第1方向が鉛直方向であって、
前記第2方向が当該建具の幅方向に該当する水平方向である、建具。
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