JP2016191239A - バランサーおよびこれを備える上げ下げ窓 - Google Patents

バランサーおよびこれを備える上げ下げ窓 Download PDF

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利久 東山
Toshihisa Higashiyama
利久 東山
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Abstract

【課題】非常時において十分な安全性を担保する上げ下げ窓のバランサーを提供する。【解決手段】バランサー5は、窓枠側に設けられる筒状カム11と、筒状カム11の内部に対して出し入れ可能に設けられ、可動障子に固定されるスライドロッド12と、スライドロッド12に対して可動障子を開放する方向に付勢力を作用させる捩りバネ13と、筒状カム11を回転可能に支持するフリクションダンパー14と、を備え、スライドロッド12は、筒状カム11に対して軸周りの回転を規制されつつ直動可能に設けられ、筒状カム11は、可動障子を閉鎖する方向にスライドロッド12を直動させることで一方に回転し、可動障子を開放する方向にスライドロッド12を直動させることで他方に回転し、フリクションダンパー14は、一方に回転する筒状カム11にトルクを与えると共に他方に回転する筒状カム11にトルクを与えない。【選択図】図3

Description

本発明は、上げ下げ窓に好適に用いられるバランサーおよびこれを備える上げ下げ窓に関する。
上げ下げ窓は、窓枠内で上下方向に開閉可能に装着される障子を備えている。上げ下げ窓には、障子を任意の位置で停止させるためのバランサーが設けられている。
特許文献1に記載のバランサーは、筒と、捩りバネと、回転体と、スパイラルロッドと、を有している。捩りバネは、筒内に設けられ、上端部を固定されている。回転体は、捩りバネの下端部に固定されると共に筒の下端口部に回転可能に取り付けられている。スパイラルロッドは、回転体に形成されたスリット孔を挿通し、捩りバネの内側に挿入されている。
上記したバランサーは、筒の上端部を窓枠の縦枠に固定し、スパイラルロッドの下端部を障子に固定している。障子を下方に移動させると、スパイラルロッドは、下方に移動しながら回転体を一方に回転させて捩りバネを巻き締める。これにより、捩りバネの捩り力(バネ荷重)が大きくなる。一方、障子を上方に移動させると、スパイラルロッドは、上方に移動しながら回転体を他方に回転させて捩りバネを巻き戻す。これにより、捩りバネの捩り力(バネ荷重)が小さくなる。上記したバランサーは、障子の上下位置に応じて捩り力を変更することで、障子を任意の位置で停止させている。
特開2008−057653号公報
特許文献1に記載のバランサーは、障子に対しスパイラルロッドを介して捩りバネのバネ荷重を作用させることで障子の位置を保持していた。つまり、障子を保持する力は、捩りバネのバネ荷重のみであった。しかしながら、例えば、地震等によってバランサーに大きな外力が加わり、筒と捩りバネとの接続部分が破断した場合、捩りバネのバネ荷重が無くなるため、障子は、スパイラルロッドと共に勢いよく落下する。このため、例えば、障子のガラスが落下の衝撃で割れて周囲に散乱する虞があった。このように、特許文献1に記載のバランサーは、非常時において十分な安全性を担保することができなかった。
本発明は、上記のような課題を解決するため、非常時において十分な安全性を担保するバランサーおよびこれを備える上げ下げ窓を提供する。
上記した目的を達成するため、本発明のバランサーは、軸心を中空に形成され、窓枠と前記窓枠に開閉可能に装着される障子のいずれか一方側に設けられる筒状カムと、前記筒状カムの内部に対して出し入れ可能に設けられ、前記窓枠と前記障子のいずれか他方に固定されるスライドロッドと、前記スライドロッドに対して前記障子を開放する方向に付勢力を作用させる付勢部材と、前記筒状カムを回転可能に支持するフリクションダンパーと、を備え、前記スライドロッドは、前記筒状カムに対して軸周りの回転を規制されつつ直動可能に設けられ、前記筒状カムは、前記障子を閉鎖する方向に前記スライドロッドを直動させることで一方に回転し、前記障子を開放する方向に前記スライドロッドを直動させることで他方に回転し、前記フリクションダンパーは、一方に回転する前記筒状カムにトルクを与えると共に他方に回転する前記筒状カムにトルクを与えない。
この構成によれば、フリクションダンパーは、障子を開放する場合に筒状カムにトルクを付与せず、障子を閉鎖する場合に筒状カムにトルクを付与する。例えば、非常時に付勢部材がスライドロッドに付勢力を作用させられない状態になると、スライドロッドは、障子を閉鎖する方向に移動し、筒状カムを一方に回転させる。すると、筒状カムは、フリクションダンパーからトルクを受けるため、障子を閉鎖する方向に移動するスライドロッドに負荷がかかる。これにより、非常時において障子が勢いよく閉まることを防止し、十分な安全性を担保することができる。
この場合、前記筒状カムは、長手方向に沿って中空内面に螺旋状に形成される螺旋カムを有し、前記スライドロッドは、前記螺旋カムに係合するカム駆動部を有し、前記カム駆動部は、前記スライドロッドの直動に伴って、前記螺旋カムに沿って相対的に移動して前記筒状カムを軸周りに回転させることが好ましい。
この構成によれば、スライドロッドは、筒状カムに対して非回転状態で直動するため、単なる棒状に形成することができる。これにより、例えば、螺旋を成すように加工する場合に比べて、スライドロッドの加工を容易且つ安価に行うことができる。また、螺旋カムとカム駆動部との間にグリス等の潤滑剤が介在していればよく、スライドロッド本体(カム駆動部以外の部分)には、潤滑剤を塗布する必要がない。これにより、潤滑剤の飛散を抑制することができる。なお、筒状カムの螺旋カムは、タップを使った既存の雌ネジ加工等を応用し、容易且つ安価に形成することができる。
この場合、前記筒状カムを回転可能に内包すると共に前記フリクションダンパーを固定する外筒を更に備え、前記フリクションダンパーには、前記筒状カムと一体に回転すると共に前記スライドロッドを直動可能に貫通させる軸受部材が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、フリクションダンパーは、軸受部材を介して一方に回転する筒状カムにトルクを与えることでスライドロッドの直動を制限する。これにより、障子が勢いよく閉鎖されることを防止することができる。
この場合、前記付勢部材は、前記筒状カムの外周面に巻回されて前記筒状カムと一体に回転可能に設けられる捩りバネであって、前記筒状カム内から前記スライドロッドを引き出すことで巻き締められ、前記筒状カム内に前記スライドロッドを押し入れることで巻き戻されることが好ましい。
ところで、バランサーは、窓枠の縦枠等に設けられるカバー内に配設されることが多い。この構成によれば、外筒は、軸周りに回転する筒状カムを覆っているため、窓枠等に設けられるカバーを省略することもできる。また、捩りバネは、筒状カムの回転によって、障子の上下位置に応じたバネ荷重(付勢力)に変更され、障子を任意の位置で停止させることができる。
他の場合、前記筒状カムにおいて前記スライドロッドの出し入れ側の逆側に設けられ、前記筒状カムを回転可能に支持すると共に前記フリクションダンパーを固定する取付部を更に備え、前記フリクションダンパーには、前記筒状カムと一体に回転する軸部材が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、フリクションダンパーは、軸部材を介して一方に回転する筒状カムにトルクを与えることでスライドロッドの直動を制限する。これにより、障子が勢いよく閉鎖されることを防止することができる。
この場合、前記付勢部材は、前記筒状カムの内部に設けられ、前記スライドロッドを前記筒状カム内から押し出す方向に付勢することが好ましい。
この構成によれば、付勢部材は、筒状カムを受けにしてスライドロッドを直接押し出すことができる。これにより、障子の開放動作を補助することができる。
上記した目的を達成するため、本発明の上げ下げ窓は、窓枠内で上下方向に移動可能に装着された障子と、前記窓枠の縦枠に沿って設けられる上記のいずれかに記載のバランサーと、を備えている。
この構成によれば、例えば、非常時にスライドロッドに作用する付勢力が無くなると、スライドロッドは、障子を閉鎖する方向に移動し、筒状カムは、一方に回転してフリクションダンパーからトルクを受ける。したがって、障子を閉鎖する方向に移動するスライドロッドに負荷がかかる。これにより、非常時において障子が勢いよく閉まることを防止し、十分な安全性を担保することができる。
本発明によれば、非常時において十分な安全性を担保することができる。
本発明の第1実施形態に係る上げ下げ窓(閉鎖状態)を示す正面図である。 本発明の第1実施形態に係る上げ下げ窓(開放状態)を示す正面図である。 本発明の第1実施形態に係るバランサーを示す断面図である。 図3のIV−IV断面図である。 本発明の第2実施形態に係る上げ下げ窓を示す正面図である。 本発明の第2実施形態に係るバランサーを示す断面図である。 図6のVII−VII断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、添付した図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、便宜上、各図の紙面手前側を正面(室内側)として、各図に示す方向を基準にする。
図1ないし図3を参照して、本発明の第1実施形態に係るバランサー5を備える上げ下げ窓1について説明する。図1は閉鎖状態の上げ下げ窓1を示す正面図である。図2は開放状態の上げ下げ窓1を示す正面図である。図3はバランサー5を示す断面図である。
図1および図2に示すように、上げ下げ窓1は、窓枠2と、固定障子3と、可動障子4と、左右一対のバランサー5と、を含んで構成されている。窓枠2は、建物の開口部に取り付けられている。固定障子3は、窓枠2内の室外側上部(上側半分)に固定されている。可動障子4は、窓枠2内の室内側で上下方向に移動可能に装着されている。左右一対のバランサー5は、窓枠2の左右一対の縦枠2L,2Rに沿って設けられている。
窓枠2は、例えば、アルミニウム合金製で、正面から見て上下方向に長い矩形枠状に形成されている。なお、窓枠2の左右一対の縦枠2L,2Rには、それぞれ、上下方向に延びるガイド溝(図示せず)が形成されている
固定障子3および可動障子4は、それぞれ、正面から見て左右方向に長い矩形状に形成されている。各障子3,4は、例えば、アルミニウム合金製の矩形状の障子枠3a,4aの内側にパネル3b,4b(例えば、ガラス板等)を装着して構成されている。なお、本実施形態では、固定障子3と可動障子4とは、略同一の大きさに形成されているが、異なる大きさに形成してもよい。
可動障子4は、窓枠2の各縦枠2L,2Rに形成された各ガイド溝に係合する左右一対の係合ガイド部(図示せず)を有している。これにより、可動障子4は、各ガイド溝に案内されて上下方向に移動することができる。可動障子4は、窓枠2の下側を閉鎖する閉鎖位置P1(図1参照)と、窓枠2の下側を開放する開放位置P2(図2参照)と、の間で昇降可能に構成されている。閉鎖位置P1に変位した可動障子4は、窓枠2の下枠2Bに当接し、固定障子3と共に窓枠2の内側開口を閉鎖する(図1参照)。開放位置P2に変位した可動障子4は、固定障子3の室内側に重なる(図2参照)。
可動障子4の上框には、閉鎖位置P1に変位した可動障子4を固定する障子錠4cが取り付けられている。可動障子4の下框の室内側には、左右一対の取手部4dが設けられている。ユーザーは、各取手部4dに手を掛けて可動障子4の開閉(昇降)操作を行う。可動障子4の左右両縦框の下端部には、左右方向外側に延出する左右一対の支持部4eが設けられている。
左右一対のバランサー5は、それぞれ、窓枠2の各縦枠2L,2Rの上側と可動障子4との間に架設されている。つまり、可動障子4は、各バランサー5によって吊り下げられた状態で設けられている。なお、左右一対のバランサー5は、同一構造であるため、以下、1つのバランサー5について説明する。また、以下の説明では、窓枠2等に取り付けられたバランサー5の姿勢を基準とする。
図3に示すように、バランサー5は、外筒10と、筒状カム11と、スライドロッド12と、捩りバネ13と、フリクションダンパー14と、を含んで構成されている。外筒10は、バランサー5の外装を構成している。筒状カム11は、外筒10の内部に設けられている。スライドロッド12は、筒状カム11の内部に設けられている。捩りバネ13は、外筒10と筒状カム11との間に設けられている。フリクションダンパー14は、外筒10の下部に固定されている。
外筒10は、上下両端面を開放する略中空円筒状に形成されている。外筒10は、筒状カム11を回転可能に内包している。外筒10は、固定障子3の高さと略同一長さに形成されている(図1参照)。外筒10は、外筒本体10aと、外筒拡径部10bと、を含んで一体に形成されている。
外筒本体10aは、上下方向に長い円筒状に形成され、外筒10の主要な外観を構成している。外筒本体10aの上端開口には、平面視で略円環状の上部取付板20が固定されている。外筒拡径部10bは、外筒本体10aの下端部に段差部10cを介して連設されている。外筒拡径部10bは、外筒本体10aと同一軸心を有し、外筒本体10aよりも大径に形成されている。外筒拡径部10bの下部には、ブッシュ21を外周面に密着させたフリクションダンパー14(詳細は後述する)が圧入されている。外筒拡径部10bの下端開口には、底面視で略円環状の下部取付板22が固定されている。なお、外筒本体10aおよび外筒拡径部10b(段差部10c)は、略同一肉厚となるように形成されている。
上部取付板20と下部取付板22とは、それぞれ、窓枠2の縦枠2L(2R)に固定されている。これにより、外筒10は、可動障子4の移動方向に沿うように縦枠2L(2R)の上側に取り付けられる(図1および図2参照)。
上部取付板20に開口した貫通穴20aには、バネ調整部15が設けられている。バネ調整部15は、調整ダイヤル15aと、調整固定部15bと、を含んで一体に形成されている。調整ダイヤル15aは、上部取付板20の貫通穴20aに嵌合し、軸周りに回転可能に支持されている。調整固定部15bは、略円筒状に形成され、調整ダイヤル15aの下面から下方に延設されている。調整固定部15bは、調整ダイヤル15aと同一軸心を有し、調整ダイヤル15aよりも小径に形成されている。
筒状カム11は、軸心を中空として上下両端面を開放する略円筒状に形成されている。筒状カム11は、外筒10よりも上下方向(軸方向)に短く形成されている。筒状カム11は、ブッシュ21(フリクションダンパー14)とバネ調整部15との間に配設されている。筒状カム11は、筒状本体11aと、筒状嵌合部11bと、筒状拡径部11cと、を含んで一体に形成されている。
筒状本体11aは、上下方向に長い円筒状に形成され、筒状カム11の主要な外観を構成している。筒状本体11aの下部には、僅かに拡径する下側嵌合部11dが形成されている。筒状嵌合部11bは、筒状本体11aの上端部に上側段差部11eを介して連設されている。筒状嵌合部11bは、筒状本体11aと同一軸心を有し、筒状本体11aよりも小径に形成されている。筒状拡径部11cは、筒状本体11aの下端部に下側段差部11fを介して連設されている。筒状拡径部11cは、筒状本体11aと同一軸心を有し、筒状本体11aよりも大径に形成されている。筒状拡径部11cの下端面には、底面視で円環状の回転板30が複数のネジN1によって固定されている。
筒状本体11aは、外筒本体10aの内部に遊挿されている。筒状嵌合部11bは、バネ調整部15の調整固定部15bの内部に圧入されている。これにより、上記したバネ調整部15は、外筒10に回転可能に設けられると共に筒状カム11に固定される。筒状拡径部11c(回転板30)は、外筒拡径部10bの内部に回転可能に支持されている。以上のように、筒状カム11の上端部は、バネ調整部15を介して外筒10に軸支され、筒状カム11の下端部は、外筒10の外筒拡径部10b内に軸支される。これにより、筒状カム11は、外筒10を介して窓枠2側で軸周りに回転可能に設けられる。なお、バネ調整部15の調整固定部15bは、筒状本体11aの外径よりも大径、且つ、外筒本体10aの内径よりも小径に形成されている。
筒状カム11は、長手方向に沿って中空内面に螺旋状に形成される螺旋カム31を有している。螺旋カム31は、長手(上下)方向全域に亘って形成されている。詳細な図示は省略するが、螺旋カム31は、2条の螺旋を描くように形成されている。すなわち、筒状カム11の内周面には、2本のカム溝(図示せず)が平行して螺旋状に凹設されている。
スライドロッド12は、上下方向に長い中実円柱状(または中空円筒状)に形成されている。スライドロッド12は、筒状カム11と略同一長さに形成されている。スライドロッド12は、フリクションダンパー14および回転板30を貫通して筒状カム11の内部に挿入されている。スライドロッド12は、筒状カム11の内部に対して出し入れ可能に設けられている。
スライドロッド12の下端部は、筒状カム11の下端面から露出している。スライドロッド12の下端部には、固定部材40が取り付けられている。固定部材40には、固定ボルト(図示せず)を貫通させるための固定穴40aが形成されている。固定穴40aを貫通した固定ボルトは、可動障子4の支持部4eに螺合する。これにより、スライドロッド12は、可動障子4に固定される(図1および図2参照)。
スライドロッド12の上端部には、螺旋カム31に係合する一対のカム駆動ピン41が設けられている。カム駆動部としての一対のカム駆動ピン41は、スライドロッド12の径方向外側に向けて互いに反対方向に延設されている。詳細な図示は省略するが、各カム駆動ピン41の先端部は、相対的に2本のカム溝に係合可能な形状を成している。なお、各カム駆動ピン41が回転板30に開口した貫通穴30aの縁部に当接することで、スライドロッド12は、筒状カム11から脱落することがない。
付勢部材としての捩りバネ13は、角線材で螺旋状に形成されている。捩りバネ13は、筒状カム11の外周面に巻回されて筒状カム11と一体に回転可能に設けられている。捩りバネ13の上端部は、バネ調整部15の調整固定部15bの外周面に固定されている。捩りバネ13の上端部は、調整固定部15bを介して筒状カム11の筒状嵌合部11bを締め付けている。捩りバネ13の上端面は、上部取付板20に当接している。捩りバネ13の下端部は、筒状カム11の下側嵌合部11dの外周面に固定されている。捩りバネ13の下端面は、筒状カム11の下側段差部11fに当接している。
フリクションダンパー14は、円筒状に形成され、下部取付板22と回転板30との間に配設されている。フリクションダンパー14と外筒10の下部内周面との間には、上記したブッシュ21が圧入されている。フリクションダンパー14は、ダンパー本体14aと、軸受部材14bと、を含んで構成されている。
ダンパー本体14aは、上下両端面を開放する略中空円筒状に形成されている。ダンパー本体14aの下面には、下部取付板22に開口した貫通穴22aに嵌合する凸面部14cが突設されている。ダンパー本体14aの内部には、ワンウェイクラッチ(図示せず)が内蔵されている。
軸受部材14bは、上下両端面を開放する略中空円筒状に形成されている。軸受部材14bは、ダンパー本体14aの軸心部に回転可能に設けられている。軸受部材14bの上端部は、回転板30の貫通穴30aを貫通し、回転板30に固定されている。つまり、フリクションダンパー14は、筒状カム11を回転可能に支持している。上記したスライドロッド12は、軸受部材14bを上下方向に貫通している。すなわち、軸受部材14bは、筒状カム11と一体に回転すると共にスライドロッド12を直動可能に貫通させている。
ダンパー本体14aに設けられたワンウェイクラッチは、一方に回転する軸受部材14bにはトルクを作用させるが、他方に回転する軸受部材14bにはトルクを作用させないように構成されている。
次に、図1ないし図4を参照して、バランサー5の作用について説明する。図4は、図3のIV−IV断面図である。なお、引き続き、1つのバランサー5に着目して説明する。
作業者(またはユーザー)は、バネ調整部15を軸周りに回転させることで捩りバネ13のバネ荷重(付勢力)を調整することができる。例えば、図3に示すように、調整ダイヤル15aを一方に回転させると、筒状カム11を介して捩りバネ13が巻き締められる。これにより、捩りバネ13のバネ荷重が増加する。また、例えば、調整ダイヤル15aを他方に回転させると、筒状カム11を介して捩りバネ13が巻き戻される。これにより、捩りバネ13のバネ荷重が減少する。なお、バネ調整部15には、調整した調整ダイヤル15aの角度を保持するための保持機構(図示せず)が設けられている。
次に、可動障子4を開放位置P2から閉鎖位置P1に向けて移動(下降)させる場合(閉鎖動作)について説明する。
ユーザーは、開放位置P2にある可動障子4の各取手部4dに手を掛けて、可動障子4を下降させる(図2の白抜き矢印参照)。すると、スライドロッド12は、可動障子4に下端部を固定されているため、筒状カム11に対して軸周りの回転を規制されつつ下方に直動する(図3の白抜き矢印参照)。なお、スライドロッド12は、軸受部材14bにガイドされつつ直動する。このとき、スライドロッド12の各カム駆動ピン41は、筒状カム11の螺旋カム31に沿って相対的に螺旋状に移動(回動)する。ここで、スライドロッド12を下降させる力は、各カム駆動ピン41と螺旋カム31との当接部分に作用する。スライドロッド12および筒状カム11には、当該当接部分から互いに逆向きとなる軸周りの分力(反力)が作用する。これにより、可動障子4に固定されたスライドロッド12は回転せず、外筒10に軸支された筒状カム11は軸周りに回転する。
筒状カム11は、可動障子4を閉鎖する方向にスライドロッド12を直動させることで一方に回転する(図4の実線矢印参照)。一方に回転する筒状カム11は、捩りバネ13を巻き締めてバネ荷重を増加させる。捩りバネ13のバネ荷重は、筒状カム11およびスライドロッド12を介して可動障子4に作用する。すなわち、捩りバネ13は、スライドロッド12に対して可動障子4を開放する方向に付勢力を作用させる(図1および図2の破線矢印参照)。
フリクションダンパー14の軸受部材14bは、筒状カム11と共に一方に回転する(図4の実線矢印参照)。このため、フリクションダンパー14のダンパー本体14a(ワンウェイクラッチ)は、軸受部材14bを介して筒状カム11にトルクを与える。したがって、ユーザーは、捩りバネ13のバネ荷重とフリクションダンパー14のトルクとに抗して可動障子4を下降させることになる。これにより、可動障子4が勢いよく下降することを抑制することができる。そして、可動障子4が閉鎖位置P1まで変位すると、障子錠4cによる施錠が可能になる。
続いて、可動障子4を閉鎖位置P1から開放位置P2に向けて移動(上昇)させる場合(開放動作)について説明する。なお、開放動作は、閉鎖動作の逆手順であるため、同様の説明は省略する。
ユーザーが閉鎖位置P1にある可動障子4を上昇させる(図1の白抜き矢印参照)と、スライドロッド12は、筒状カム11に対して軸周りの回転を規制されつつ上方に直動する。各カム駆動ピン41は、スライドロッド12の直動に伴って、螺旋カム31に沿って相対的に移動して筒状カム11を軸周りに回転させる。筒状カム11は、可動障子4を開放する方向にスライドロッド12を直動させることで他方に回転する(図4の破線矢印参照)。他方に回転する筒状カム11は、捩りバネ13を巻き戻してバネ荷重を減少させる。なお、捩りバネ13は、開放位置P2に変位させた可動障子4にも上向き(開放する方向)の付勢力を作用させるように調整されている(図2の破線矢印参照)。
軸受部材14bは筒状カム11と共に他方に回転するため、ダンパー本体14a(ワンウェイクラッチ)は、軸受部材14b(筒状カム11)にトルクを与えない。これにより、ユーザーは可動障子4を容易に上昇させることができる。
以上のように、捩りバネ13は、筒状カム11内からスライドロッド12を引き出すことで巻き締められ、筒状カム11内にスライドロッド12を押し入れることで巻き戻される。捩りバネ13のバネ荷重と可動障子4の質量とが平衡を保つことで、可動障子4を小さな力で昇降させることができると共に、任意の高さで停止させることができる。
また、以上のように、フリクションダンパー14は、可動障子4を閉鎖する場合に筒状カム11にトルクを付与し、可動障子4を開放する場合に筒状カム11にトルクを付与しない。ここで、例えば、地震等によってバランサー5に大きな外力が加わり、筒状カム11(調整固定部15b(筒状嵌合部11b)や下側嵌合部11d)と捩りバネ13との接続部分が破断した場合を考える。この場合、捩りバネ13のバネ荷重が無くなるため、可動障子4は、自重によってスライドロッド12と共に落下する。このとき、筒状カム11は、スライドロッド12の下降に伴って一方に回転し、フリクションダンパー14からトルクを受ける。このため、可動障子4およびスライドロッド12は、筒状カム11を介してフリクションダンパー14からトルクを受けながら、ゆっくりと下降する。
以上説明した第1実施形態に係るバランサー5によれば、地震等の非常時に捩りバネ13がスライドロッドを付勢できない状態になると、スライドロッド12は、可動障子4を閉鎖する方向に移動し、筒状カム11を一方に回転させる。すると、筒状カム11は、フリクションダンパー14からトルクを受けるため、可動障子4を閉鎖する方向に移動するスライドロッド12に負荷がかかる。フリクションダンパー14は、軸受部材14bを介して一方に回転する筒状カム11にトルクを与えることでスライドロッド12の直動を制限する。これにより、非常時において可動障子4が勢いよく閉まることを防止し、十分な安全性を担保することができる。
また、第1実施形態に係るバランサー5によれば、スライドロッド12は、筒状カム11に対して非回転状態で直動するため、単なる棒状に形成することができる。これにより、例えば、螺旋を成すように加工する場合に比べて、スライドロッド12の加工を容易且つ安価に行うことができる。また、螺旋カム31と各カム駆動ピン41との間にグリス等の潤滑剤が介在していればよく、スライドロッド12本体(カム駆動ピン41以外の部分)には、潤滑剤を塗布する必要がない。これにより、潤滑剤の飛散を抑制することができる。なお、筒状カム11の螺旋カム31は、タップを使った既存の雌ネジ加工等を応用し、容易且つ安価に形成することができる。
ところで、各バランサー5は、窓枠2の縦枠2L,2Rに取り付けられ、カバー(図示せず)によって覆われることが多い。この点、第1実施形態に係るバランサー5によれば、外筒10は、軸周りに回転する筒状カム11を覆っているため、窓枠2等に設けられるカバーを省略することもできる。また、捩りバネ13は、筒状カム11の回転によって、障子の上下位置に応じたバネ荷重(付勢力)に変更され、可動障子4を任意の位置で停止させることができる。
また、第1実施形態に係るバランサー5によれば、バネ調整部15は、筒状カム11を介して捩りバネ13を巻き締め可能に構成されている。ユーザーは、バネ調整部15を操作することで、可動障子4の大きさや重さに応じて捩りバネ13のバネ荷重(付勢力)を調整することができる。これにより、可動障子4に適切な付勢力を作用させることができる。
なお、第1実施形態に係るバランサー5は、窓枠2側に筒状カム11(外筒10)を設け、可動障子4にスライドロッド12を固定したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図1において、バランサー5を上下逆さまの姿勢とし、窓枠2(各縦枠2L,2R)の上部にスライドロッド12を固定し、可動障子4(各支持部4e)に外筒10(筒状カム11)を固定してもよい。
次に、図5および図6を参照して、本発明の第2実施形態に係るバランサー6について説明する。図5は上げ下げ窓1を示す正面図である。図6はバランサー6を示す断面図である。なお、第1実施形態に係るバランサー5と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
図5に示すように、左右一対のバランサー6は、それぞれ、窓枠2の各縦枠2L,2Rの下側と可動障子4の各支持部4fとの間に架設されている。左右一対の支持部4fは、可動障子4の左右両縦框の上端部から左右方向外側に延設されている。つまり、可動障子4は、下方から各バランサー6によって支えられている。なお、左右一対のバランサー6は、同一構造であるため、以下、1つのバランサー6について説明する。また、以下の説明では、窓枠2等に取り付けられたバランサー6の姿勢を基準とする。
図6に示すように、バランサー6は、筒状カム50と、スライドロッド51と、付勢部材52と、フリクションダンパー53と、を含んで構成されている。筒状カム50は、バランサー5の外装を構成している。スライドロッド51は、筒状カム50の内部に設けられている。付勢部材52は、筒状カム50およびスライドロッド51の内部に設けられている。フリクションダンパー53は、筒状カム50の下部に固定されている。
筒状カム50は、上下両端面を開放する略中空円筒状に形成されている。筒状カム50は、可動障子4の高さと略同一長さに形成されている(図5参照)。筒状カム50の内周面下部(下端面よりも上方)には、底面視で円環状の凸状部50aが径方向内側に向けて突設されている。凸状部50aの下端面には、底面視で円形状の回転板60が複数のネジN2によって固定されている。
筒状カム50の下部には、ブッシュ61を外周面に密着させたフリクションダンパー53(詳細は後述する)が設けられている。筒状カム50の下端開口(スライドロッド51の出し入れ側の逆側)には、回転板60との間にブッシュ61を挟んで略円環状の下部取付板62が取り付けられている。下部取付板62は、ブッシュ61を介して筒状カム50を回転可能に支持すると共に、フリクションダンパー53を固定する。筒状カム50の上端開口には、平面視で略円環状の上部取付板63が取り付けられている。上部取付板63の上面には、キャップ64が固定されている。キャップ64は、上部取付板63に開口した貫通穴63aを貫通して筒状カム50の上端開口に相対回転可能に嵌合している。なお、キャップ64には、筒状カム50の内部に連通する連通穴64aが形成されている。
下部取付板62と上部取付板63とは、それぞれ、窓枠2の縦枠2L(2R)に固定されている。これにより、筒状カム50は、可動障子4の移動方向に沿うように縦枠2L(2R)の下側に取り付けられる(図5参照)。また、筒状カム50の下端部は、ブッシュ61に軸支され、筒状カム50の上端部は、キャップ64に軸支される。これにより、筒状カム50は、窓枠2の下側で軸周りに回転可能に設けられる。
筒状カム50の中空内面には、2条の螺旋を描く螺旋カム65が形成されている。螺旋カム65は、筒状カム50の上端部と凸状部50aとの間に形成されている。
スライドロッド51は、上下方向に長い中空円筒状に形成されている。スライドロッド51は、筒状カム50と略同一長さに形成されている。スライドロッド51は、キャップ64の連通穴64aから筒状カム50内に挿入され、出し入れ可能に設けられている。
スライドロッド51の上端部には、固定部材70(固定穴70a付き)が取り付けられている。固定穴70aを貫通した固定ボルト(図示せず)は、可動障子4の支持部4fに螺合する。これにより、スライドロッド51は、可動障子4に固定される(図5参照)。
スライドロッド51の下端部には、螺旋カム65に係合する一対のカム駆動ピン71が設けられている。一対のカム駆動ピン71は、スライドロッド51の径方向外側に向けて互いに反対方向に延設されている。なお、各カム駆動ピン71がキャップ64の連通穴64aの縁部に当接することで、スライドロッド51は、筒状カム50から脱落することがない。
付勢部材52は、筒状カム50とスライドロッド51との間に架設されている。詳細には、付勢部材52の下端面は、筒状カム50の凸状部50aの内側に挿入されて回転板60の上面に当接している。一方、付勢部材52の上端面は、スライドロッド51の中空部に挿入されて当該中空部の天面51aに当接している。付勢部材52は、回転板60の上面を受けとして、スライドロッド51を筒状カム50内から押し出す方向に付勢する。なお、天面51aは、固定部材70の近傍に位置している。
付勢部材52は、外径の異なる複数の圧縮コイルバネを径方向に重ねて形成されている。また、付勢部材52は、複数の圧縮コイルバネを直列に接続して形成されている。詳細には、付勢部材52は、第1バネ群80と、第2バネ群81と、を有している。第1バネ群80は、2本の第1圧縮コイルバネ80a(バネ定数k1)を上下方向に連結して構成されている。同様に、第2バネ群81は、2本の第2圧縮コイルバネ81a(バネ定数k2(≠k1))を上下方向に連結して構成されている。各第2圧縮コイルバネ81aの外径は、各第1圧縮コイルバネ80aの外径よりも小さく形成されている。そして、第2バネ群81は、第1バネ群80の内側に配置されている。なお、各圧縮コイルバネ80a,81aの長さは、スライドロッド51を最大位置まで引き出した場合に、圧縮された状態となる(自然長にならない)ように設定されている。
フリクションダンパー53は、円筒状に形成され、下部取付板62と回転板60との間に配設されている。フリクションダンパー53と筒状カム50の下部内周面との間には、上記したブッシュ61が介設されている。フリクションダンパー53は、ダンパー本体53aと、軸部材53bと、を含んで構成されている。
ダンパー本体53aは、第1実施形態のダンパー本体14aと略同一構造を有している。ダンパー本体53aは、下部取付板62に開口した貫通穴62aに凸面部53cを嵌合させ、下部取付板62に固定されている。
軸部材53bは、円柱状に形成され、ダンパー本体14aの軸心部に回転可能に設けられている。軸部材53bの上端部は、回転板60に開口した貫通穴60aを貫通し、回転板60に固定されている。つまり、軸部材53bは、筒状カム11と一体に回転する。ダンパー本体53aに設けられたワンウェイクラッチは、一方に回転する軸部材53bにはトルクを作用させるが、他方に回転する軸部材53bにはトルクを作用させないように構成されている。
次に、図5ないし図7を参照して、可動障子4を開放位置P2から閉鎖位置P1に向けて移動(下降)させる場合(閉鎖動作)について説明する。図7は、図6のVII−VII断面図である。なお、引き続き、1つのバランサー6に着目して説明する。
ユーザーは、開放位置P2にある可動障子4の各取手部4dに手を掛けて、可動障子4を下降させる(図5の下向き白抜き矢印参照)。すると、可動障子4に固定されたスライドロッド51は、付勢部材52の付勢力(バネ荷重)に抗して、軸周りの回転を規制されつつ下方に直動する(図6の下向き白抜き矢印参照)。このとき、スライドロッド51の各カム駆動ピン71は、筒状カム50の螺旋カム65に沿って相対的に螺旋状に移動する。これにより、スライドロッド51は非回転状態で直動し、筒状カム50は軸周り(一方)に回転する(図7の実線矢印参照)。なお、付勢部材52(各バネ群80,81)の下端面は、回転板60に対して相対的に摺動する。
付勢部材52(各バネ群80,81)は、たわみの増加に略比例してバネ荷重を増加させる。付勢部材52のバネ荷重は、スライドロッド51を介して可動障子4を開放する方向に作用する(図5の破線矢印参照)。
軸部材53bは筒状カム50と共に一方に回転するため(図7の実線矢印参照)、ダンパー本体53a(ワンウェイクラッチ)は、軸部材53bを介して筒状カム50にトルクを与える。したがって、ユーザーは、付勢部材52のバネ荷重とフリクションダンパー53のトルクとに抗して可動障子4を下降させることになる。
続いて、可動障子4を閉鎖位置P1から開放位置P2に向けて移動(上昇)させる場合(開放動作)について説明する。なお、開放動作は、閉鎖動作の逆手順であるため、同様の説明は省略する。
ユーザーが閉鎖位置P1にある可動障子4を上昇させる(図5の上向き白抜き矢印参照)と、スライドロッド51は、付勢部材52の付勢力(バネ荷重)に補助されながら、非回転状態で上方に直動する(図6の上向き白抜き矢印参照)。筒状カム50は、軸周り(他方)に回転する(図7の破線矢印参照)。軸部材53bは筒状カム50と共に他方に回転するため(図7の破線矢印参照)、ダンパー本体53a(ワンウェイクラッチ)は、軸部材53b(筒状カム50)にトルクを与えない。なお、付勢部材52は、開放位置P2に変位させた可動障子4にも上向き(開放する方向)の付勢力を作用させるように設定されている。
以上のように、付勢部材52のバネ荷重と可動障子4の質量とが平衡を保つことで、可動障子4を小さな力で昇降させることができると共に、任意の高さで停止させることができる。
以上説明した第2実施形態に係るバランサー6によれば、第1実施形態に係るバランサー5と同様の作用効果を奏することができる。また、フリクションダンパー53は、軸部材53bを介して一方に回転する筒状カム50にトルクを与えることでスライドロッド51の直動を制限する。これにより、可動障子4が勢いよく閉鎖されることを防止することができる。また、付勢部材52は、筒状カム50(回転板60)を受けにしてスライドロッド51を直接押し出すことができる。これにより、可動障子4の開放動作を補助することができる。
また、第2実施形態に係るバランサー6によれば、バネ定数が同じ2本の第1圧縮コイルバネ80aを直列に接続して第1バネ群80を構成しているため、第1バネ群80の合成バネ定数は、1本の第1圧縮コイルバネ80aのバネ定数k1の半分になる。同様に、第2バネ群81の合成バネ定数も、1本の第2圧縮コイルバネ81aのバネ定数k2の半分になる。このため、各圧縮コイルバネ80a,81aの外径を細くしてバネ荷重を向上させた付勢部材52(各バネ群80,81)を構成することができる。また、付勢部材52が内設される筒状カム50を細く形成することができる。これにより、バランサー6の小型化を図ることができると共にバランサー6の取り付けスペースを縮小することもできる。
また、第2実施形態に係るバランサー6によれば、第1圧縮コイルバネ80a(第1バネ群80)と第2圧縮コイルバネ81a(第2バネ群81)とを径方向に重ねることで、付勢部材52のバネ荷重を向上させることができる。
なお、第2実施形態に係るバランサー6は、合計4本の圧縮コイルバネ80a,81aによって付勢部材52を構成していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、付勢部材52は、1本の圧縮コイルバネで構成されていてもよい。また、例えば、付勢部材52は、直列に接続せずに、外径の異なる2本の圧縮コイルバネを径方向に重ねてもよい。また、例えば、付勢部材52は、第1バネ群80と第2バネ群81のいずれか一方のみで構成されていてもよい。
なお、第2実施形態に係るバランサー6は、2本の圧縮コイルバネ80a,81aによって各バネ群80,81を構成していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、2本以上の第1圧縮コイルバネ80a(または2本の第2圧縮コイルバネ81a)を直列に接続してもよい。また、例えば、直列に接続する2本の第1圧縮コイルバネ80a(または2本の第2圧縮コイルバネ81a)は、各々異なるバネ定数であってもよい。また、例えば、第1圧縮コイルバネ80aと第2圧縮コイルバネ81aとは、同一のバネ定数でもあってもよい。
なお、第2実施形態に係るバランサー6は、窓枠2側に筒状カム50を設け、可動障子4にスライドロッド51を固定したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図5において、バランサー6を上下逆さまの姿勢とし、窓枠2(各縦枠2L,2R)の下部にスライドロッド51を固定し、可動障子4(各支持部4f)に筒状カム50を回動可能に支持させてもよい。
なお、第1および第2実施形態に係るバランサー5,6は、2条の螺旋を描く螺旋カム31,65を備えていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、螺旋カム31,65を1条の螺旋で構成してもよいし、2条以上の多条の螺旋で構成してもよい。
なお、第1および第2実施形態に係る上げ下げ窓1は、1枚の可動障子4を備えていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、固定障子3に代えて、2枚の可動障子4が、窓枠2に装着されていてもよい。
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係るバランサーおよびこれを備える上げ下げ窓における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態における構成要素は、適宜、既存の構成要素等との置き換えや組み合わせが可能であって、上記実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
1 上げ下げ窓
2 窓枠
2L,2R 縦枠
4 可動障子(障子)
5,6 バランサー
10 外筒
11,50 筒状カム
12,51 スライドロッド
13 捩りバネ(付勢部材)
14,53 フリクションダンパー
14b 軸受部材
15 バネ調整部
31,65 螺旋カム
41,71 カム駆動ピン(カム駆動部)
52 付勢部材
53b 軸部材
62 下部取付板(取付部)

Claims (7)

  1. 軸心を中空に形成され、窓枠と前記窓枠に開閉可能に装着される障子のいずれか一方側に設けられる筒状カムと、
    前記筒状カムの内部に対して出し入れ可能に設けられ、前記窓枠と前記障子のいずれか他方に固定されるスライドロッドと、
    前記スライドロッドに対して前記障子を開放する方向に付勢力を作用させる付勢部材と、
    前記筒状カムを回転可能に支持するフリクションダンパーと、を備え、
    前記スライドロッドは、前記筒状カムに対して軸周りの回転を規制されつつ直動可能に設けられ、
    前記筒状カムは、前記障子を閉鎖する方向に前記スライドロッドを直動させることで一方に回転し、前記障子を開放する方向に前記スライドロッドを直動させることで他方に回転し、
    前記フリクションダンパーは、一方に回転する前記筒状カムにトルクを与えると共に他方に回転する前記筒状カムにトルクを与えないことを特徴とするバランサー。
  2. 前記筒状カムは、長手方向に沿って中空内面に螺旋状に形成される螺旋カムを有し、
    前記スライドロッドは、前記螺旋カムに係合するカム駆動部を有し、
    前記カム駆動部は、前記スライドロッドの直動に伴って、前記螺旋カムに沿って相対的に移動して前記筒状カムを軸周りに回転させることを特徴とする請求項1に記載のバランサー。
  3. 前記筒状カムを回転可能に内包すると共に前記フリクションダンパーを固定する外筒を更に備え、
    前記フリクションダンパーには、前記筒状カムと一体に回転すると共に前記スライドロッドを直動可能に貫通させる軸受部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のバランサー。
  4. 前記付勢部材は、前記筒状カムの外周面に巻回されて前記筒状カムと一体に回転可能に設けられる捩りバネであって、前記筒状カム内から前記スライドロッドを引き出すことで巻き締められ、前記筒状カム内に前記スライドロッドを押し入れることで巻き戻されることを特徴とする請求項3に記載のバランサー。
  5. 前記筒状カムにおいて前記スライドロッドの出し入れ側の逆側に設けられ、前記筒状カムを回転可能に支持すると共に前記フリクションダンパーを固定する取付部を更に備え、
    前記フリクションダンパーには、前記筒状カムと一体に回転する軸部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のバランサー。
  6. 前記付勢部材は、前記筒状カムの内部に設けられ、前記スライドロッドを前記筒状カム内から押し出す方向に付勢することを特徴とする請求項5に記載のバランサー。
  7. 窓枠内で上下方向に移動可能に装着された障子と、
    前記窓枠の縦枠に沿って設けられる請求項1ないし6のいずれかに記載のバランサーと、を備えていることを特徴とする上げ下げ窓。
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