JP2017095369A - 掻痒改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な掻痒改善剤を提供する。【解決手段】ボタンボウフウ(Peucedanum japonicum Thunb. var. japonicum)やカワラボウフウ属の植物体及び/又はそれらの抽出物、特に水による抽出物を掻痒改善剤とし、有効量の抽出物に製剤上必要な賦形剤などの添加剤を添加して、掻痒改善効果を奏する化粧品や医薬部外品、医薬品とする。本発明に係る掻痒改善剤は、皮膚バリア機能の低下した、特に老人性乾皮症の患者の痒みの抑制に使用され得る。【選択図】図1

Description

本発明は掻痒改善剤に関する。
かゆみは、日常生活の中で頻繁に発生する不快感覚の1つであり、非常に耐えがたい症状である。かゆみが引き起こす掻破行動は、かゆみを増強するだけでなく、皮膚炎などの症状も悪化させるため、かゆみを抑制できない場合はQOL低下につながる。
かゆみの原因は単一ではなく、臨床的には全身疾患、神経障害、精神疾患及び皮膚疾患によるかゆみに分類される。全身疾患によるかゆみは、腎不全による人工透析に伴うものや肝障害等に付随するかゆみである。神経障害によるかゆみは、多発性硬化症や帯状疱疹等によるもので、精神疾患によるかゆみは、うつ病や寄生虫妄想症等によるかゆみである。そして、かゆみの多くは皮膚疾患によるものである。
皮膚疾患によるかゆみは若年層と高齢者に多くみられる。若年層、特に小児期には皮膚の水分、皮脂ともに大人に比べると少ない。また、免疫機能も未発達であり、皮膚代謝が過剰に亢進して角層自体の形成が未熟となりがちで、外部からの刺激がかゆみ神経に伝わりやすい。加えて、乳幼児期から学童期の人はアトピー性皮膚炎に罹患しやすく、そのかゆみに悩まされることも多い。一方、高齢者では、加齢に伴う皮膚保湿成分の減少等によって老人性乾燥肌(老人性乾皮症)に罹患しやすく、いわゆる通常は問題にならない弱い刺激であってもかゆみとして感じるようになる。
通常、かゆみを感じる神経は真皮から表皮基底層までに存在するが、アトピー性皮膚炎や老人性乾燥肌の患者においては、皮膚表面の角層付近まで伸張しており、刺激に対してより過敏な状態になっている。また、これらの患者においては、皮膚から水分の放出を防ぎ、外部からの異物の侵入を防ぐといった皮膚バリア機能や保湿成分による水分保持機能が低下している。こうした皮膚バリア機能や水分保持機能の低下は刺激増大につながるので乾燥によりかゆみをおこしやすく、湿度が低下する冬に憎悪することが多い。
また、一日のうちでは、入浴や洗浄による刺激、温度変化の影響もあり、入浴時を中心にかゆみの症状が頻発する。かゆみの症状が悪化すると、皮膚が白くボロボロになり鱗屑が発生することや掻痒により睡眠が阻害されることも多い。さらに、エアコンの普及や住宅の高気密化による生活様式の乾燥化、石鹸類の機能向上など生活環境の変化も加わり、かゆみに悩む高齢者等は今後も増加していくことが予想される。
アトピー性皮膚炎や老人性乾燥肌など皮膚バリア機能や水分保持機能の低下に伴うかゆみに対して、一般的にはワセリンやセラミドなどの保湿成分を含むクリーム・軟膏や入浴剤などの使用や、抗ヒスタミン剤による対策がとられている。さらにアトピー性皮膚炎においては炎症を生じていることなどから、ステロイド剤や抗アレルギー薬、抗炎症剤の投与が行われることもある。しかしながら、こうしたかゆみには前述の神経伸長のように、皮膚バリア機能や水分保持機能の低下以外の要因も関与するため、保湿成分を補っても、刺激に対して過敏な状態が治まるまでかゆみ症状が続く。また、抗ヒスタミン剤やステロイド剤、抗アレルギー薬はそれらの作用機序からすれば症状の一部を抑えることがあるものの、皮膚バリア機能や水分保持機能の低下に伴う痒みには最適であるとも言えない。乾燥肌用の入浴剤を使用することでかゆみが抑えられることもあるが、そのほとんどが保湿作用によるものであり、必ずしもかゆみの抑制には十分ではなく、皮膚バリア機能や水分保持機能の低下に伴うかゆみに対してより適切な掻痒改善剤が求められている。
ところで、特許文献1には、ボタンボウフウの抽出物が入浴剤に配合され得ることが記載されている。しかしながら、特許文献1にはボタンボウフウがヒアルロン酸量の増加効果を示すことが開示されているにすぎず、入浴剤として使用することでかゆみを抑制することの示唆はなされていない。また、特許文献2には、ボタンボウフウが刺激緩和剤として示されている。しかしながら、特許文献2ではボタンボウフウが界面活性剤による細胞毒性を緩和することを明らかにしたものであって、かゆみに着目したものではない。この他にも、ボタンボウフウが、NO産生抑制作用(特許文献3参照)やCOX阻害作用(非特許文献1参照)、アシルCoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害作用(特許文献4参照)、プロスタサイクリン生成促進作用(特許文献5参照)、血流や脂肪代謝の促進作用(特許文献6参照)、皮膚内の透明度増加作用(特許文献7参照)を示すことなどが知られているが、ボタンボウフウがかゆみ症状を改善させることについては、これまでのところ報告されていない。
一方、ボタンボウフウ中にクロロゲン酸やヘスペリジンが含まれていることはよく知られている。特許文献8にはこのクロロゲン酸がヒスタミンに起因する神経伸長を抑制することが報告されている。しかしながら、皮膚バリア機能等が低下した患者等では、既に皮膚表面の角層付近まで神経伸長しており、神経伸長により過敏になった刺激に対して神経伸長を抑制することでかゆみが抑えられるとは考えにくい。また、後述するように、ボタンボウフウ中のクロロゲン酸が痒みを抑えるとも言えなかった。更に特許文献9にはヘスペリジンはアトピー性皮膚炎や老人性乾燥肌における痒みに作用を示すことが開示されている。
特開2014−058487号公報 特開2003−155246号公報 特開2008−273978号公報 国際公開WO2006/082743号 特開2005−350432号公報 特開2008−100952号公報 特開2011−184358号公報 国際公開WO2014/065194号 特開2005−132792号公報
MingShan Zheng, et al.、Korean J. Medicinal Crop Sci.、13、75-79、2005
本発明の課題は、皮膚のかゆみ、特に乾燥によるかゆみなど、皮膚の保護バリア機能や水分保持機能の低下によるかゆみを改善する新規な掻痒改善剤を提供することである。
本発明は、カワラボウフウ属の植物体又はボタンボウフウ(Peucedanum japonicum Thunb. var. japonicum)の植物体及び/又はその抽出物を有効成分とする。
本発明に係る掻痒改善剤は、皮膚のかゆみ、特に老人性乾燥肌などの皮膚バリア機能や水分保持機能の低下による皮膚のかゆみを抑える。
図1はマウスにおける掻痒改善効果を示す図である。 図2は入浴剤を用いた場合におけるVAS値の変化を示す図である。 図3は入浴剤を用いた場合におけるアンケート結果を示す図である。(A)はかゆみに対する評価を示す図、(B)は肌の潤いに対する評価を示す図である。 図4は掻痒抑制効果を示す他の薬剤との比較を示す図である。 図5はクロロゲン酸との比較を示す図である。
本発明に係る掻痒改善剤は、カワラボウフウ属植物の植物体又はボタンボウフウ(Peucedanum japonicum Thunb.var.japonicum)の植物体及び/又はそれらの抽出物を有効成分とする。
掻痒とは、一般的には皮膚を掻かずにはいられない不快な感覚のことを意味する、本願に係る発明では、掻痒、皮膚表面のバリア機能低下や水分保持機能の低下によって生じる掻痒の中でも特に老人性乾皮肌による掻痒、すなわちアトピー性皮膚炎のようにアレルギーや炎症によらない掻痒が好ましい対象となる。
本発明に用いられるボタンボウフウ(Peucedanum japonicum Thunb. var. japonicum)は、セリ目(Apiales)セリ科(Apiaceae)カワラボウフウ属(Peucedanum)の常緑多年草であり、別名、長命草(チョーミーグサ)、迫菜(サクナ)などとも呼ばれる。
本発明においては、カワラボウフウ属の植物体、好ましくはボタンボウフウの植物体、又はこれら植物体の抽出物が有効成分として用いられる。本発明では、根や葉、茎、花など植物体のいずれの部位も用いられるが、葉が好ましく用いられる。
本発明において、植物体は生の植物体又は乾燥した植物体(乾燥物)でもあり得る。さらに、これらを切断した植物体や粉砕した植物体でもあり得る。服用量や服用形態の観点から、植物体の乾燥物や植物体の抽出物が好適に用いられる。乾燥物は、自然乾燥、凍結乾燥及び加熱乾燥など、植物の乾燥に用いられる一般的な方法により製造される。また、乾燥物をさらに切断や粉砕したものが好ましく用いられる。
抽出も植物抽出物の製造に用いられる一般的な方法により行われる。例えば、生又は乾燥後の植物体に抽出溶媒を加え、常温又は加熱しながら浸漬し、残渣としての植物体をろ過や遠心分離などにより分離して、浸出液を得る方法が挙げられる。抽出溶媒は、掻痒の改善が期待される限り特に制限されるものではなく、親水性溶媒(極性溶媒)や疎水性溶媒(非極性溶媒)のいずれでもよい。親水性溶媒(極性溶媒)、疎水性溶媒(非極性溶媒)なる用語は当業者が通常用いられる意味で用いられ、親水性溶媒は、例えば、水であり、メタノールであり、エタノールであり、プロパノール(直鎖・分岐鎖を問わない)であり、ブチルアルコール(直鎖・分岐鎖を問わない)であり、1,3−ブチレングリコールであり、1,3−ブタンジオールであり、グリセリンなどの多価アルコールでもあり得る。また、抽出溶媒は、水とエタノールの混液など、2種以上の溶媒を適宜の割合で混合した混合溶媒でもあり得る。掻痒改善効果の観点から、抽出溶媒は好ましくは親水性溶媒であるが、望ましくはヘスペリジンに対して難溶性の溶媒である水である。抽出物の形態も特に問われず、例えば、得られた抽出液そのものでもあり、濃縮や凍結乾燥などの処理を加えて得られた半固形物ないし固形物でもあり得る。
本発明に係る掻痒改善剤は抽出物そのものだけでなく、必要に応じて、賦形剤、崩壊剤、分散剤、結合剤、安定化剤、ゲル化剤、保存剤、着色剤、pH調整剤、乳化剤、保湿剤など、製剤上必要な添加物を含み得る。
本発明に係る掻痒改善剤の形態も特に限定されず、液体、ブロック様の固体、粉状、顆粒、クリーム、ゲル、カプセルなどが例示される。これらの形態のためには、有効量の抽出物と必要な添加物を混合して所望する形態に整えればよい。また、これらの形態のためには、抽出物と必要な添加物とを予め混合したエキス散や顆粒剤などのような予製剤を用いてもよい。
本発明に係る掻痒改善剤は、医薬組成物として提供されるだけでなく、いわゆる化粧品や医薬部外品としても提供され得る。化粧品や医薬部外品としての剤形も特に限定されずは、例えば、ボディソープであり、シャンプーであり、コンディショナーであり、トリートメントであり、育毛剤であり、ローションであり、クリームであり、乳液であり、化粧水であり得る。また、本発明においては、老人性乾燥肌における掻痒を改善するために入浴剤として好ましく提供され得る。
本発明に係る掻痒改善剤の使用量は、体重や年齢、性別、症状、剤型などに応じて、当業者により適宜決定され得る。一日当たりの使用量は、その下限量は抽出物として例えば0.001gであり、0.01gであり、0.1gであり、0.3gであり得る。好ましくは0.6〜1.2g以上である。原生薬換算(乾燥物)ではその下限量は例えば0.01gであり、0.1gであり、1gであり、2gであり、5gであり、10gであり得る。また使用量の上限は抽出物として、5gであり、2gであり、1gであり、0.5gであり得る。また、原生薬換算(乾燥物)ではその上限量は50gであり、20gであり、15gであり、10gであり、5gであり得る。また、入浴剤との使用では浴量200Lに対して前記1日当たりの使用量が使用され得る。
本発明に係る掻痒改善剤は、好ましくは更に保湿剤を含有する。保湿剤として、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリプロピレングリコール、ヒアルロン酸、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、トレハロース、ムコ多糖類、乳酸、尿素などが挙げられる。また、入浴剤に汎用される硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、セスキ炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム(無水)、チオ硫酸ナトリウム、無水チオ硫酸ナトリウム、乾燥硫酸ナトリウム、無水硫酸ナトリウム、臭化カリウム、炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、硫酸アルミニウムカリウム、乾燥硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムカリウム(乾燥)、硫酸鉄からなる群から選ばれる1又は2種以上の化合物が好ましく配合され得る。ボタンボウフウとの配合割合は任意であり、ボタンボウフウの配合量よりも多くても少なくてもよく、硫酸ナトリウム等の任意的成分の配合量はボタンボウフウに対して、原生薬換算(乾燥物)で0.001から1000(質量比)である。
次に本発明について下記の実施例に基づいて更に説明を加えるが、本発明は下記の実施例に限定されることはない。
〔製造例1:ボタンボウフウエキスの製造〕
ボタンボウフウの生葉を乾燥し、得られた乾燥葉1kgに10kgの水を添加し、80℃で2時間撹拌抽出した。その後、濾過及び遠心分離により濾液を回収し、さらに減圧下にて濃縮した。これを、凍結乾燥後に粉砕し、粉末のボタンボウフウエキスを得た(350g)。
〔製造例2:ボタンボウフウエキス散の製造〕
ボタンボウフウの生葉を乾燥し、得られた乾燥葉10kgに100kgの水を添加し、80℃で2時間撹拌抽出した。その後、濾過及び遠心分離により濾液を回収し、さらに減圧下にて濃縮した。これに1.5kgのデンプン分解物(パインデックス#2:松谷化学工業株式会社製)を添加し、撹拌溶解後均一化した。これをスプレードライにより、粉末のボタンボウフウエキス散を得た(4.5kg)。
〔マウスを用いた掻痒改善効果試験〕
雄のICR系統マウス(8週齢、SPF:日本SLC社)を用い、上記ボタンボウフウエキス散の掻痒改善効果を調べた。マウスは、購入後3〜7日間で飼育環境(温度23℃、湿度60%、明条件7:00〜19:00)に順化させた。その後、頸部背側から背部にかけて剃毛し、さらに1週間順化させた。
宮本等の方法(T. Miyamoto et al.、Ipn. J. Pharmacol.、88、285-292、2002)に準じて、剃毛部位にアセトンとジエチルエーテルの混液(容量比で1:1)を含む脱脂綿を15秒間接触させ、その直後に蒸留水を含む脱脂綿を30秒間接触させた。この処理を1日2回、3日間行った。4日目から7日目は、蒸留水を含む脱脂綿の接触直後に、上記ボタンボウフウエキス散を蒸留水に溶解させたサンプル(6mg/L)を含む脱脂綿を、60秒間剃毛部位に接触させて被験群(1群6匹)とした。サンプルの変わりに蒸留水を接触させた対照群(1群6匹)を設けた。処理開始後8日目にVTRにより行動撮影を行い、60分間の引っ掻き回数を確認した。Weltchのt検定により2群間の有意差検定を行った。その結果を図1に示した。
図1に示すように、対照群に比べ被験群では有意に引っ掻き回数が減少し、ボタンボウフウの抽出エキスに掻痒改善効果が認められた。
〔ヒトにおける掻痒改善効果〕
次に、ボタンボウフウエキス散を用いて表1に示す処方に基づき実施品及び対照品である浴用剤をそれぞれ製造し、ヒトにおける掻痒改善効果を確認した。
入浴前後のかゆみに対する自覚症状、特に冬季において入浴後から就寝時までに強いかゆみを訴える33歳から79歳までの男女36名(平均年齢50歳:男性7名、女性29名、なおこれらの者は乾燥肌であり、アトピー性の症状は見られなかった。)を対象に、上記実施品及び対照品の浴用剤を用いて、4週間の入浴試験を実施した。19、17名の被験者をそれぞれ1群とし、各群の被験者に実施品又は対照品のいずれかを使用してもらった。1日1回30gを浴槽(約200Lの湯量)に入れて、28日間毎日使用してもらった。試験中は指定した入浴剤以外の入浴剤及びかゆみ防止剤の使用を禁止した。
かゆみに対する効果は、浴用剤使用時のVisual Analogue Scale(VAS:服部ら、臨床透析、Vol24、7、799-801、2008)と、アンケートとによって評価した。入浴剤の使用開始5日前からの5日間、使用開始から10日目〜14日目の5日間、使用期間の最終5日間で入浴直後にVASによる評価を行った。3つの期間での5日間の平均値を被験者毎に算出し、使用前後における値の変化を効果の指標(改善度)とした。得られた値は全て平均値±標準誤差で示し、Weltchのt検定により、群間比較を行った。その結果を図2に示した。図には0.05%及び0.01%の有意水準にて、有意差が認められた場合にはそれぞれ「*」及び「**」で示した。また、浴用剤の使用開始前日、使用開始から14日目、使用期間の最終日にアンケートを実施した。かゆみの評価は、「かゆみを感じないか否か」及び「肌が潤っているか否か」をそれぞれ「はい」「いいえ」で回答してもらった。その結果を図3に示した。
実施品の浴用剤を2週間程度用いることで、かゆみの改善を感じる人が増加し、VASによる評価では対照品に比べて有意水準5%で有意差が認められた(図2参照)。また、アンケート調査においてもかゆみを感じないと答えた人が顕著に増加した(図3(A)参照)。一方、実施品の浴用剤、対照品の浴用剤を用いたいずれの群においても、肌の潤い感を感じる人が増加するが、皮膚の潤い感を感じる人の差は大きくなかった(同図(B)参照)。炭酸水素ナトリウムは保湿作用を有することが確認されているように(宍戸ら、日温気物医誌、52、2、1989)、対照品の浴用剤においても肌の潤い感を感じる人が増加しており、実施品群の掻痒改善効果は炭酸水素ナトリウムが発揮する保湿作用によるものではなく、他の作用機序によるものと言える。
〔掻痒改善効果が期待される他の薬剤との比較〕
掻痒改善効果が期待されるシソエキス、チャエキス末、アセチル化ヒアルロン酸(保湿作用)、抗ヒスタミン剤2%配合クリーム(有効成分:ジフェンヒドラミン塩酸塩2%、パンテノール1%、トコフェロール酢酸エステル0.5%、グリチルレチン酸0.2%)を用いて、前記ボタンボウフウエキス散との効果比較を行った。試験は実施例1の掻痒改善効果試験と同様の方法で行った。なお、脱脂綿に含ませるサンプル中にそれぞれシソエキスが0.0125%、チャエキス末が0.0006%、アセチル化ヒアルロン酸が0.1%、ジフェンヒドラミン塩酸塩が2%、ボタンボウフウエキス散0.0006%(ボタンボウフウエキスとして0.0004%)として含まれるように調製した。対照群の引っ掻き回数を1としたときの各薬剤の引っ掻き回数の割合を求めた。その結果を図4に示した。この結果から、アセトン・ジエチルエーテルによって引き起こされる掻痒、すなわち乾燥性の掻痒に対しては、従来から掻痒改善作用が期待されている植物エキス剤や保湿剤、抗ヒスタミン剤では十分な効果が認められず、ボタンボウフウが乾燥性の掻痒に対して改善効果を有すると言える。
〔クロロゲン酸による効果〕
クロロゲン酸は神経成長抑制効果を有することが知られていることから、ボタンボウフウの掻痒抑制作用がクロロゲン酸に起因することが推測される。そこで、クロロゲン酸との比較試験を行った。比較試験は実施例2の方法に準じて行った。クロロゲン酸の濃度は、製造例2に示すボタンボウフウエキス散0.0006%に含まれるクロロゲン酸の濃度の3倍(図5(C))及びその5万倍(図5(D))に設定した。その結果を図5に示す。図5に示されるように、クロロゲン酸には掻痒改善効果が認められず、ボタンボウフウの掻痒改善作用はクロロゲン酸によるものではないと言える。

Claims (7)

  1. カワラボウフウ属の植物体又はボタンボウフウ(Peucedanum japonicum Thunb. var. japonicum)の植物体及び/又はそれらの抽出物を有効成分とする外用掻痒改善剤。
  2. 前記抽出物は水抽出物である請求項1に記載の外用掻痒改善剤。
  3. 老人性乾皮症における掻痒のための請求項1に記載の外用掻痒改善剤。
  4. 硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、セスキ炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム(無水)、チオ硫酸ナトリウム、無水チオ硫酸ナトリウム、乾燥硫酸ナトリウム、無水硫酸ナトリウム、臭化カリウム、炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、硫酸アルミニウムカリウム、乾燥硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムカリウム(乾燥)、硫酸鉄からなる群から選ばれる1又は2種以上の化合物と、請求項1〜3の何れか1項に記載の掻痒改善剤を含有する外用剤。
  5. カワラボウフウ属の植物体及び/又はボタンボウフウ(Peucedanum japonicum Thunb. var. japonicum)の植物体を抽出溶媒で抽出して外用掻痒改善剤を調製する方法。
  6. 前記抽出溶媒は水である請求項5に記載の方法。
  7. 前記外用掻痒改善剤は老人性乾皮症における掻痒改善剤である請求項5又は6に記載の方法。
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