JP2017095296A - シリコン単結晶の酸素濃度の評価方法およびシリコン単結晶 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】直胴部から評価サンプルを切り出しS1,評価サンプルにおける第1の評価範囲の酸素濃度をシリコン単結晶の軸方向に沿って第1の長さのピッチで測定しS2、第1の評価範囲に含まれる第2の評価範囲における測定結果の最大値と最小値との差分を算出しS3、第1の評価範囲全体に対して差分算出を行っていないと判断した場合S4(N)、第2の評価範囲を軸方向に沿って第2の長さだけ移動させた範囲を新しい第2の評価範囲として設定して差分算出を行いS5、第1の評価範囲全体に対して差分算出を行っていると判断した場合S4(Y)、全ての差分の中央値をシリコン単結晶の酸素濃度の変動値として算出するS6、シリコン単結晶の酸素濃度の評価方法。
【選択図】図3
Description
シリコンウェーハ面内の酸素濃度の変動は、酸素不純物に起因する成長縞の発生状態に対応すると考えられている。詳細に説明すると、成長縞は、平面状ではなく、シリコン単結晶製造時の固液界面の形状に対応する曲面状に発生する。このため、シリコン単結晶を軸に直交する方向に切断して得られるシリコンウェーハの面内には、複数の成長縞が同心状に存在することになり、この成長縞の存在状態が酸素濃度の変動に対応すると考えられている。
この特許文献1に記載の方法では、シリコン単結晶から切り出した評価サンプルの格子間酸素濃度を、シリコン単結晶の軸方向に約7mm幅100μmステップで測定し、この測定値のピークの山と谷の部分の濃度差に基づいて、格子間酸素濃度の変動を評価する。
本発明によれば、第2の評価範囲の長さを固液界面の中央高さと等しくするため、第2の評価範囲に含まれる成長縞の数と、この第2の評価範囲から得られるシリコンウェーハに存在する成長縞の数とを等しくすることができる。したがって、1回の第2の評価範囲の測定結果に、シリコンウェーハに存在する全ての成長縞のみの測定値を含めることができ、シリコンウェーハの酸素濃度の変動を適切に評価することができる。なお、「中央」とは、厳密な中心に加えて、本発明の課題を解決できる範囲で中心からずれた位置も含む概念である。
本発明によれば、評価サンプルの長さを30mm以上50mm以下にすることで、上述の不具合を抑制することができる。
以下、本発明の一実施形態として、シリコン単結晶の酸素濃度の評価方法について、図面を参照して説明する。なお、図1は、シリコン単結晶の酸素濃度の評価方法の説明図であり、図2は、図1の領域Pにおける成長縞の発生状態の説明図である。
このシリコン単結晶1の育成時における固液界面は、その中央が外縁よりも引き上げ方向側に位置する曲面形状(以下、「上凸形状」という)になっている。その結果、図2に示すように、成長縞34は、固液界面の上凸形状と同様に、シリコン単結晶1の軸C上の位置が外縁3A側よりも上側に位置する曲面形状になる。
第1の評価範囲Aの長さは、図1に示すように、評価面33の長さと同じであってもよいし、評価面33の長さより短くてもよい。また、第1の長さは、特に限定されず、測定装置の性能や評価精度などに応じて設定することができる。
このステップS2の処理により、例えば図4に示すような結果が得られる。
第2の評価範囲Bは、図1,4に示すように、第1の評価範囲Aよりも小さく設定されている。また、第2の評価範囲Bの軸Cに沿う方向の長さは、図2に点線で示すように、当該第2の評価範囲Bの一端(上端)が任意の成長縞34Aの中央と同じ高さに位置し、他端(下端)が当該成長縞34Aの外縁と同じ高さに位置するように設定されている。すなわち、第2の評価範囲Bの軸Cに沿う方向の長さは、固液界面の中央高さと等しい値に設定されている。このような構成により、1回の第2の評価範囲Bの測定結果に、シリコンウェーハに存在する全ての成長縞34のみの測定値を含めることができ、シリコンウェーハの酸素濃度の変動を適切に評価することができる。
なお、第2の評価範囲Bの長さ設定に用いる固液界面の形状は、シリコン単結晶1の製造条件に基づき推定したものであってもよいし、直胴部3から切り出したサンプルをX線トポグラフ法などで測定することで得られたものであってもよい。また、1回目のステップS3の処理は、図4に示すように、端部が第1の評価範囲Aの端部と重なる第2の評価範囲B1に対して行われる。
このステップS4において、差分算出が終了していないと判断した場合、新しい第2の評価範囲Bを設定して(ステップS5:評価範囲移動工程)、この新しい第2の評価範囲Bに対してステップS3の処理を行う。例えば、図4に示すように、第2の評価範囲B1を軸Cに沿って第2の長さLだけ移動させた範囲を、新しい第2の評価範囲B2として設定する。なお、第2の長さLは、第1の長さ、すなわち第1の評価範囲Aの測定ピッチと等しいことが好ましいが、第1の長さより長くてもよい。第2の長さLを第1の長さと等しくすることにより、第1の長さより長くした場合と比べて、多くの第2の評価範囲Bに対するステップS3の処理を行うことができ、評価精度を高めることができる。
なお、所定値としては、第1の評価範囲Aの軸Cに沿う長さを、30mm以上50mm以下、第2の評価範囲Bの軸Cに沿う長さを、固液界面の中央高さに等しい4mm、第1の長さおよび第2の長さLを0.1mmにした場合であって、CISの画像ムラの発生状況を推定するための評価においては、3.30×1016atoms/cm3であることが挙げられるが、第1,第2の評価範囲A,Bの長さ、第1,第2の長さ、あるいは、発生状況を推定する不具合の種類に応じて、他の値にすることができる。
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良ならびに設計の変更などが可能であり、その他、本発明の実施の際の具体的な手順、及び構造などは本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
本発明の酸素濃度の評価方法を、育成時における固液界面が下凸形状(中央が外縁よりも引き上げ方向に対して反対側に位置する曲面形状)のシリコン単結晶の評価に用いてもよい。
評価サンプル32をシリコン単結晶1の外縁側から切り出すことで、評価面33が軸Cを含まない面になるようにしてもよい。
まず、図5に示す模擬的な酸素濃度の測定結果(変動1〜5)を設定し、この変動1〜5を適切に評価できる方法の検討を行った。変動1〜5を表す波形の特性は、以下の表1に示す通りである。なお、表1中、周期f1〜f4および振幅M1〜M2は、それぞれ以下の関係を満たす。また、表1中の「濃度分布の評価」は、本発明者が設定したものであり、「良い」は許容できる変動であり、「悪い」は許容できない変動であり、「少し悪い」は「良い」と「悪い」との間の変動であり、許容の余地があることを表す。
・周期:f1<f2<f3<f4
・振幅:M1<M2
<実施例の評価方法>
上記実施形態の図3に基づく本発明の酸素濃度の評価方法において、以下の条件を用いて酸素濃度の変動値を算出した。
第1の評価範囲:100mm
第2の評価範囲:4.0mm
第1の長さ :0.1mm
第2の長さ :0.1mm
<比較例1の評価方法>
上記特許文献1の評価方法であって、測定値の最大値と最小値との差分を酸素濃度の変動値として算出した。
<比較例2の評価方法>
測定値の標準偏差を酸素濃度の変動値として算出した。
<比較例3の評価方法>
隣接する測定値の差分を全ての測定値に対して算出し、この算出した差分の標準偏差を酸素濃度の変動値として算出した。
以上のことから、図3に示すような本発明の酸素濃度の評価方法を用いることで、シリコン単結晶の酸素濃度の変動を適切に評価できることが確認できた。
まず、MCZ法により互いに異なる条件で製造された実施例1〜4のシリコン単結晶を準備した。シリコン単結晶の主な特性を以下に示す。
直径:200mm
固液界面形状:上凸形状
固液界面の中央高さ:4.0mm
そして、評価サンプルの評価面とその反対側の面とを厚さが1.2mmになるまで研磨し、ビーム径100μmの顕微FTIR(Fourier transform infrared spectroscopy:フーリエ変換赤外分光法)(パーキンエルマー社製、Spotlight)を用い、以下の条件で評価面の酸素濃度を測定した。実施例1〜4の測定結果を図7〜10に示す。
第1の評価範囲:50mm(実施例1,4)、30mm(実施例2,3)
第1の長さ :0.1mm
第2の評価範囲:4.0mm
第2の長さ :0.1mm
Claims (4)
- シリコン単結晶の酸素濃度の評価方法であって、
前記シリコン単結晶の直胴部から評価サンプルを切り出すサンプル取得工程と、
前記評価サンプルにおける第1の評価範囲の酸素濃度を前記シリコン単結晶の軸方向に沿って第1の長さのピッチで測定する測定工程と、
前記第1の評価範囲に含まれる第2の評価範囲における前記測定工程での測定結果の最大値と最小値との差分を算出する差分算出工程と、
前記第1の評価範囲全体に対して前記差分算出工程を行ったか否かを判断する判断工程と、
前記第1の評価範囲全体に対して前記差分算出工程を行っていないと判断した場合、前記第2の評価範囲を前記軸方向に沿って第2の長さだけ移動させた範囲を新しい第2の評価範囲として設定して、前記差分算出工程を行う評価範囲移動工程と、
前記第1の評価範囲全体に対して前記差分算出工程を行っていると判断した場合、前記差分算出工程で求められた全ての差分の中央値を前記シリコン単結晶の酸素濃度の変動値として算出する変動値算出工程とを備えていることを特徴とするシリコン単結晶の酸素濃度の評価方法。 - 請求項1に記載のシリコン単結晶の酸素濃度の評価方法において、
前記第2の評価範囲の前記軸方向に沿う長さは、前記シリコン単結晶育成時における固液界面の中央の高さ位置から外縁の高さ位置までの長さに等しいことを特徴とするシリコン単結晶の酸素濃度の評価方法。 - 請求項1または請求項2に記載のシリコン単結晶の酸素濃度の評価方法において、
前記評価サンプルの前記軸方向に沿う長さは、30mm以上50mm以下であることを特徴とするシリコン単結晶の酸素濃度の評価方法。 - 請求項1に記載のシリコン単結晶の酸素濃度の評価方法を用い、
前記第1の評価範囲の前記軸方向に沿う長さを、30mm以上50mm以下、
前記第2の評価範囲の前記軸方向に沿う長さを、前記シリコン単結晶育成時における固液界面の中央の高さ位置から外縁の高さ位置までの長さに等しい4mm、
前記第1の長さおよび前記第2の長さを0.1mmにした条件で評価した結果、前記変動値が3.30×1016atoms/cm3以下である直胴部を有することを特徴とするシリコン単結晶。
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