JP2017092289A - 多数個取り用パッケージおよびセラミックパッケージおよびこれらの製造方法 - Google Patents

多数個取り用パッケージおよびセラミックパッケージおよびこれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分割個片化時にセラミックパッケージの角部にバリや欠けが生じ難い多数個取り用パッケージを提供する。【解決手段】絶縁体であるセラミック焼結体16と導体金属17a,17bとを備える母基板2と、この母基板2の中央に配される製品領域3aを碁盤目状に区画するとともに個々の区画を分割し個片化させるための分割溝8と、この分割溝8と重なる位置に形成されるスルーホール6とを有し、分割溝6は、母基板2の主面2aと裏面2bとにそれぞれ形成され、かつ、スルーホール6の周縁に近づくにつれて分割溝8の深さが深くなることを特徴とする多数個取り用パッケージ1Aによる。【選択図】図3

Description

本発明は、半導体素子や、発光素子や、水晶振動子等の電子部品を収納するためのセラミックパッケージおよびその製造方法に関し、特に、分割個片化時にセラミックパッケージの角部にバリや欠けが生じ難い多数個取り用パッケージおよびセラミックパッケージおよびこれらの製造方法に関する。
従来から、半導体素子や、発光素子や、水晶振動子等の電子部品を収納するためのセラミックパッケージを作製するには、単数又は複数枚の大型の未焼成セラミックシート(例えば、セラミックグリーンシート)が用いられている。
単数又は複数枚の未焼成セラミックシートには、所望する位置に貫通孔を形成する貫通孔形成加工や、この貫通孔に必要に応じてペースト状の未焼成導体金属を充填して未焼成セラミックシートの主面から裏面への電気的導通を可能にするための未焼成導体金属充填加工や、未焼成セラミックシートの主面及び裏面側において焼成後に導体配線として機能する未焼成導体金属層を形成するための未焼成導体金属の印刷塗布加工等を施している。
特に未焼成セラミックシートを複数枚積層してセラミック多層基板とする場合は、必要に応じて、電子部品を収納するためのキャビティ部を形成するためのキャビティ用孔成形加工や、上記様々な加工を行った未焼成セラミックシートを積層して一体化する積層加工を行っている。
さらに、上述のような各種加工を施した単層又は複数層からなる未焼成セラミックシート体には、集合体から個片体にするための分割個片化用の分割溝が碁盤目状に形成される。
そして、このような分割溝を形成した単層又は複数層からなる未焼成セラミックシート体は、還元雰囲気中で同時焼成して表面又は裏面、または、その両方、あるいは、必要に応じてその内層に導体金属からなる導体配線を形成させている。
なお、上記集合体には、上述のような未焼成セラミックシート体に分割溝を形成した後に焼成して分割用溝を形成する方法以外にも、焼成後にレーザー加工によって碁盤目状の分割溝を形成する方法が知られている。
さらに、いずれの場合も、未焼成セラミックシート体又は焼成済セラミック体(単層又は複数層)に碁盤目状に形成される分割溝の少なくとも交点に、未焼成セラミックシート体又は焼成済セラミック体を貫通する貫通孔が形成されている。このような、未焼成セラミックシート体又は焼成済セラミック体を貫通して形成される貫通孔は、集合体から個片体(セラミックパッケージ)を分割して得る際に、個片体の角部に、欠けやバリが発生するのを好適に抑制するという効果を有している。また、個片体の四隅に形成される、貫通孔を分割してなる凹部に導体金属を被着しておくことで、この凹部を電極として利用することができる。
しかしながら、未焼成セラミックシート体又は焼成済セラミック体に分割溝を形成する場合は、その主面及び裏面に一対の分割溝を形成する必要があるが、両者の平面上の位置を完全に一致させることは極めて難しいため、碁盤目状に形成される分割溝の交差部に、上述のような貫通孔を形成したとしても、分割時に、貫通孔の内側面と分割溝の底とを結ぶ線上においてバリや欠けの発生を完全に防止することはできなかった。
そして、分割時に、貫通孔の内側面と分割溝の底とを結ぶ線上にバリが生じた場合は、個片体にめっき処理などを施して得られた最終製品のプリント配線基板への高密度実装が困難になるという課題があった。他方、貫通孔の内側面と分割溝の底とを結ぶ線上に欠けが生じた場合は、製品実装後に熱応力等が作用した場合に、この欠けが破壊基点となり、最終製品の信頼性が低下するという課題があった。
このため、バリや欠けを有する個片体は不良品として取り扱われていた。
本発明と関連する技術分野の先行技術文献としては、以下に示すようなものが知られている。
特許文献1には「多数個取り配線基板、配線基板および多数個取り配線基板の製造方法」という名称で、電子部品の搭載部を有する複数の配線基板領域が母基板に縦横の並びに配列された多数個取り配線基板、その多数個取り配線基板から製作される配線基板、および多数個取り配線基板の製造方法に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明である多数個取り配線基板は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、複数の配線基板領域102を有し、配線基板領域102の境界105に沿って分割溝106が設けられた母基板101を含んでおり、分割溝106部分において母基板101を厚み方向に貫通しているとともに、内周面に段差部107aを有しており、段差部107aよりも第1主面103に近い第1部分108において第2主面104に近い第2部分109よりも小径の貫通孔107をさらに有しており、段差部107a上に、平面透視で分割溝106と重なる貫通孔内分割溝106aが設けられており、貫通孔107の第1部分108および、第2部分109における内側面に、分割溝106から貫通孔内分割溝106aにかけて縦溝106bが設けられたものである。
上述のような特許文献1に開示される発明によれば、母基板を個片に分割する際のバリや欠けの発生が抑制された多数個取り配線基板を提供できる。すなわち、段差部上に、平面透視で分割溝と重なる貫通孔内分割溝が設けられており、貫通孔の第1部分および、第2部分における内側面に、分割溝から貫通孔分割溝にかけて延びる縦溝が設けられていることから、母基板の主面の分割溝から貫通孔分割溝にかけて母基板が容易に破断され得る。例えば、母基板の第1主面の分割溝の底部を亀裂の起点とした場合には、進行する亀裂は第1部分の縦溝に沿って段差部上の貫通孔内分割溝に導かれやすい。さらに、第2部分において、段差部から進行した亀裂は第2部分の縦溝によって母基板の第2主面に形成された分割溝に導かれ易い。このため、母基板を個片に分割する際のバリや欠けの発生が抑制される。
特許文献2には「部品搭載用パッケージの製造方法」という名称で、基板主面、基板裏面及び基板側面を有する板状に形成されるとともに、複数の絶縁層と複数の導体層とを積層して多層化した構造を有する基板本体の基板側面に端面スルーホール導体が形成された部品搭載用パッケージの製造方法に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、セラミックパッケージ10は、複数のセラミック絶縁層15,16と複数の導体層18,19とを積層して多層化した構造を有する基板本体20と、基板本体20の基板主面12側に設けられ、水晶振動子11が接続可能な部品接続端子21と、基板本体20の基板裏面13上に設けられた外部接続端子22とを備え、基板本体20の基板側面14には、レーザ分割溝64に沿った基板分割の結果生じ、第1凹状領域26と第2凹状領域27とからなる側面凹部25が形成される。第1凹状領域26と第2凹状領域27との境界に段差28が形成され、第1凹状領域26を避けて第2凹状領域27を被覆するように端面スルーホール導体30が設けられてなるものである。
上述のような特許文献2に開示される発明によれば、分割工程後に形成される第2凹状領域は第1凹状領域よりも凹んだ領域となり、それら第1凹状領域と第2凹状領域とによって段差を有する側面凹部25が形成される。さらに、第2貫通孔内に形成された貫通導体が分割されることで、第1凹状領域を避けて第2凹状領域を被覆するように端面スルーホール導体が設けられる。
そして、特許文献2に開示される発明では、分割溝形成工程において、レーザ加工によって貫通導体の一部(レーザ分割溝に対応する部分)が削り取られた形で端面スルーホール導体が形成されるが、端面スルーホール導体はサイズの大きな第2凹状領域に形成されている。このため、シート積層工程において各絶縁シートの積層ズレが生じ、レーザ分割溝の形成位置が貫通孔の中心からずれた場合でも、端面スルーホール導体の面積を十分に確保することができる。この結果、端面スルーホール導体での接続不足が回避されるため、信頼性に優れた部品搭載用パッケージを製造することができるという効果を有する。
特開2015−138828号公報 特開2015−138812号公報
特許文献1に開示される発明によれば、特許文献1の図3に示される、貫通孔107と分割溝106の交差部において、分割時にバリや欠けの発生を好適に抑制できると考えられるものの、その効果は十分ではなかった。
特許文献2に開示される発明では、特許文献2の図1に示される基板本体20に形成される貫通孔26,27と交差するようにレーザ分割溝64(特許文献1中の図12,14を参照)を形成する場合に、特許文献1に開示される発明のような分割時にバリや欠けの発生を抑制するための手段が講じられていない。そのため、従来技術の場合と同様に、貫通孔26,27とレーザ分割溝64の交差部において、分割時にバリや欠けの発生を好適に防止することはできなかった。従って、従来技術の場合と同様に、外観不良を理由とした不良品が発生すると考えられる。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、母基板に形成される貫通孔と分割溝の交差部において、分割時にバリや欠けの発生を好適に防止して良品を効率良く生産できる多数個取り用パッケージおよびセラミックパッケージおよびこれらの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため第1の発明である多数個取り用パッケージは、絶縁体であるセラミック焼結体と導体金属とを備える母基板と、この母基板の中央に配される製品領域を碁盤目状に区画するとともに個々の区画を分割し個片化させるための分割溝と、この分割溝と重なる位置に形成されるスルーホールとを有し、分割溝は、母基板の主面と裏面とにそれぞれ形成され、かつ、スルーホールの周縁に近づくにつれて分割溝の深さが深くなることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において、導体金属は導体配線として作用する。また、セラミック焼結体は上記導体配線を支持する絶縁材として作用する。
さらに、母基板の主面及び裏面に形成される分割溝は、最終形態である個々のセラミックパッケージ(個片体)同士を区画するとともに、個々の個片体に分割する際の分割位置を特定させるという作用を有する。加えて、スルーホールは、母基板を分割個片化する際に、個々の個片体の角部にバリや欠けが生じるのを抑制するという作用を有する。
そして、第1の発明において、スルーホールの周縁に近づくほど分割溝の深さを深くすることで、分割時にスルーホール近傍における破断領域を相対的に狭めるという作用を有する。
これにより、スルーホール内側面と分割溝の底とを結ぶ線上に破断面が形成される際に、バリや欠けを生じ難くするという作用を有する。
第2の発明である多数個取り用パッケージは、第1の発明であって、母基板は、セラミック焼結体からなる絶縁層を複数層備えるセラミック積層体であり、スルーホールは、主面側に形成される第1の孔と、裏面側に形成される第2の孔と、の連穿孔であり、第2の孔は、その内側面上に導体金属からなる導電部を具備し、母基板を平面視した際に、導電部の表面が第1の孔の周縁よりも後退していることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、第1の発明と同じ作用を有する。また、スルーホールを第1の孔及び第2の孔により形成し、第2の孔のその内側面上に導電部を被着し、さらに、母基板を平面視した際に、導電部の表面を第1の孔の周縁よりも後退させた状態にすることで、つまり、第2の孔の内側面上に形成される導電部の内径を第1の孔の周縁よりも大きく設定しておくことで、未焼成の母基板の主面側に分割溝を形成しようとしてレーザー光を照射した際に、第1の孔からスルーホール内に侵入するレーザー光により、未焼成の導電部にレーザー傷が生じるのを抑制するという作用を有する。
第3の発明であるセラミックパッケージは、第1又は第2の発明である多数個取り用パッケージの製品領域を分割溝に沿って分割し個片化したセラミックパッケージであって、セラミックパッケージを側面視した際に、分割溝に連続して形成される破断面において、分割溝の底とスルーホールの内側面を結ぶ線は、アール部を有していることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、セラミックパッケージ(個片体)の集合体である第1又は第2の発明を、分割個片化した後のセラミックパッケージを発明として特定したものである。なお、第3の発明における「アール部」とは、角部が面取りされて湾曲状をなしている状態を意味する。
なお、第3の発明において、スルーホールが第1の孔及び第2の孔からなり、かつ、第2の孔の内側面上に導電部が被着されている場合に、「スルーホールの内側面」は、第1の孔の内側面、及び、第2の孔の内側面上に被着される導電部の表面の両者を指し示すものとする。
第3の発明において、セラミックパッケージの側面に形成される破断面において、分割溝の底とスルーホールの内側面を結ぶ線がアール部を備えるということは、スルーホールの付近で分割時に破断領域が狭まることを意味する。
この場合、セラミックパッケージの側面に形成される破断面のうち、特にスルーホールの内側面と分割溝の底を結ぶ線上にバリや欠けを生じ難くするという作用を有する。
第4の発明である多数個取り用パッケージの製造方法は、未焼成セラミックシートを作成する未焼成セラミックシート作製工程と、未焼成セラミックシートに貫通孔を形成するとともに、未焼成セラミックシートの主面及び/又は裏面、あるいは、貫通孔の内側面上の所望領域に所望厚の未焼成導体金属層を形成する未焼成導体金属付与工程と、未焼成導体金属層と未焼成セラミックシートとからなる未焼成母基板の中央に配される製品領域の主面及び裏面に、この製品領域を区画しかつ分割・個片化させるための分割溝をレーザー光の照射により形成させる分割溝形成工程と、分割溝が形成された未焼成母基板を焼成する焼成工程とを有し、未焼成母基板は、貫通孔からなり未焼成母基板を貫通するスルーホールを備え、分割溝は、スルーホールと重なる位置に形成されるとともに、スルーホールの周縁に近づくにつれて分割溝の深さが深くなることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明において、未焼成セラミックシート作製工程は未焼成セラミックシートを作製するという作用を有する。また、未焼成導体金属付与工程は、未焼成セラミックシートに貫通孔を形成するとともに、未焼成セラミックシートの主面及び/又は裏面、あるいは、貫通孔の内側面上の所望領域に所望厚の未焼成導体金属層を形成するという作用を有する。さらに、分割溝形成工程は、未焼成導体金属層と未焼成セラミックシートとからなる未焼成母基板の中央に配される製品領域の主面及び裏面に、この製品領域を区画しかつ分割個片化させるための分割溝をレーザー光の照射により形成させるという作用を有する。また、焼成工程は、分割溝が形成された未焼成母基板を焼成して母基板にするという作用を有する。
また、第4の発明において、未焼成母基板がスルーホールを備えるとともに、このスルーホールに重なるように形成され、かつ、スルーホールの周縁に近づくにつれてその深さが深くなるように形成される分割溝を備えることによる作用は、上記第1の発明におけるそれと同じである。
第5の発明である多数個取り用パッケージの製造方法は、第4の発明であって、未焼成セラミックシート作製工程において作製される未焼成セラミックシートは2枚以上であり、分割溝形成工程の前に、未焼成導体金属層が形成された複数の未焼成セラミックシートを積層して熱と圧力により一体化する未焼成セラミックシート積層工程を有し、未焼成母基板は、未焼成セラミックシート積層体であることを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明は、未焼成母基板が未焼成セラミックシート積層体である場合を発明として特定したものである。
また、未焼成セラミックシート積層工程は、未焼成導体金属層が形成された複数の未焼成セラミックシートを積層して熱と圧力により一体化して未焼成セラミックシート積層体を形成させるという作用を有する。
このような第5の発明による作用は、第4の発明による作用と同じである。
第6の発明である多数個取り用パッケージの製造方法は、第5の発明であって、スルーホールは、未焼成母基板の主面側に形成され貫通孔からなる第1の孔と、裏面側に形成され貫通孔からなる第2の孔と、からなり、第2の孔は、その内側面上に未焼成導体金属層を具備し、未焼成母基板を平面視した際に、未焼成導体金属層表面は第1の孔の周縁よりも後退していることを特徴とするものである。
上記構成の第6の発明は、第5の発明と同じ作用に加えて、スルーホールを第1及び第2の孔により形成し、第2の孔の内側面上に未焼成導体金属層を形成し、さらに、未焼成母基板を平面視した際に、未焼成導体金属層表面を第1の孔の周縁よりも後退させておくことで、つまり、第2の孔の内側面上に形成される未焼成導体金属層の内径を第1の孔の周縁よりも大きくなるよう設定することで、分割溝形成工程において、第1の孔からスルーホール内に侵入するレーザー光により、第2の孔の内側面上に形成される未焼成導体金属層にレーザー傷が生じるのを抑制するという作用を有する。
第7の発明であるセラミックパッケージの製造方法は、第4乃至第6の発明のいずれかにおいて、焼成工程の後に、分割溝に沿って製品領域を分割し個片化してセラミックパッケージを得る分割個片化工程を有することを特徴とするものである。
上記構成の第7の発明において、分割個片化工程は、未焼成母基板を焼成して成る母基板の製品領域を分割溝に沿って分割し個片化して個片体としてのセラミックパッケージを得るという作用を有する。
この時、母基板に形成される分割溝は、スルーホールの周縁に近づくにつれて深くなっているため、母基板の製品領域を分割個片化してなるセラミックパッケージ(個片体)の破断面の、特にスルーホールの内側面と分割溝の底とを結ぶ線上にバリや欠けを生じ難くするという作用を有する。
上述のような第1の発明によれば、母基板の主面及び裏面に形成される分割溝に沿ってその製品領域を分割個片化して個片体であるセラミックパッケージを得る際に、個片化されたセラミックパッケージの側面に形成される破断面において、スルーホールの内側面と分割溝の底とを結ぶ線上に、バリや欠け等が生じるのを好適に防止することができる。
よって、第1の発明を用いることで、個片化されたセラミックパッケージの破断面の周縁に、バリや欠けが生じていない良品のセラミックパッケージを効率良く生産できる。この結果、セラミックパッケージ生産性を向上することができる。
第2の発明によれば、第1の発明と同じ効果に加えて、スルーホールを形成する第2の孔の内側面に被着される導電部に、レーザー傷が生じていない良品の多数個取り用パッケージを得ることができる。
この場合、第2の発明の、母基板の主面及び裏面に形成される分割溝に沿ってその製品領域を分割個片化して個片体であるセラミックパッケージを得る際に、セラミックパッケージの側面(角部を含む)において、スルーホールが分割されてなる凹部に被着される導電部に、レーザー傷がない良品を容易に得ることができる。
よって、第2の発明によれば、良品であるセラミックパッケージの生産性を向上することができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明である多数個取り用パッケージの製品領域を分割溝に沿って分割個片化して得たセラミックパッケージ(個片体)である。
特に、第1の発明を引用する第3の発明によれば、その側面に形成される破断面において、スルーホールの内側面と分割溝の底とを結ぶ線上にバリや欠けが生じていない良品を得ることができる。
また、特に第2の発明を引用する第3の発明によれば、上記第1の発明を引用する第3の発明による効果と同じ効果に加えて、セラミックパッケージの側面(角部を含む)において、スルーホールが分割されてなる凹部に被着される導電部に、レーザー傷がない良品を得ることができる。
よって、第3の発明によれば、外観不良でない高品質なセラミックパッケージを効率良く生産することができる。
第4の発明は、上述の第1の発明の製造方法を発明として特定したものである。
第4の発明によれば、分割溝形成工程において未焼成母基板の主面及び裏面に、スルーホールの周縁に近づくにつれて分割溝の深さが深くなるような分割溝を形成することで、第4の発明により製造された多数個取り用パッケージの製品領域を、分割溝に沿って分割し個片化する際に、個片体であるセラミックパッケージの側面に形成される破断面において、スルーホールの内側面と分割溝の底とを結ぶ線上にバリや欠けが生じるのを好適に防止することができる。
この結果、第4の発明によれば、分割個片化時に外観不良でない良品のセラミックパッケージを効率良く得ることのできる多数個取り用パッケージを製造することができる。
この結果、第4の発明により製造された多数個取り用パッケージから得られるセラミックパッケージ(個片体)の良品率を高めることができる。
したがって、第4の発明によれば、従来技術と比較して製品の歩留まりをさらに向上することができる。
第5の発明は、未焼成母基板が未焼成セラミックシート積層体である場合を発明として特定したものである。
従って、第5の発明による効果は、第4の発明による効果と同じである。
第6の発明によれば、第5の発明の効果に加えて、分割溝形成工程において未焼成母基板にレーザー光が照射される場合に、第1の孔が、あたかも庇のようにレーザー光を遮って、第2の孔の内側面上に被着される未焼成導体金属層にレーザー傷が生じるのを防止することができる。
この結果、第2の孔の内側面上に設けられる未焼成導体金属層にレーザー傷がない良品の多数個取り用パッケージを製造することができる。
この場合、第6の発明により製造された多数個取り用パッケージを分割個片化してセラミックパッケージ(個片体)とする際に、セラミックパッケージの側面(角部を含む)において第2の孔が分割されてなる凹部に被着される導電部(焼成後の未焼成導体金属層)にレーザー傷がない良品を得ることができる。
したがって、第6の発明によれば、セラミックパッケージ(個片体)の生産時の歩留まりを向上することができる。
第4乃至第6のいずれかの発明を引用する第7の発明によれば、個片体であるセラミックパッケージの側面に形成される破断面において、スルーホールの内側面と分割溝の底とを結ぶ線上にバリや欠けが生じていない良品を効率良く製造することができる。
第6の発明を引用する第7の発明によれば、個片体であるセラミックパッケージの側面に形成される破断面とスルーホールの内側面との交差部にバリや欠けが生じておらず、かつ、第2の孔が分割されてなる凹部に形成される導電部(焼成後の未焼成導体金属層)にレーザー傷のない、良品を効率良く生産することができる。
よって、第7の発明によれば、セラミックパッケージ(個片体)の生産時の歩留まりを向上して、生産性を向上することができる。
本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの概念図である。 本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの平面図である。 (a)本発明に実施例1に係る多数個取り用パッケージの貫通孔と分割溝の関係を示す概念図であり、(b)本発明に実施例1に係る多数個取り用パッケージを分割した状態を示す概念図である。 (a)本発明の実施例1に係るセラミックパッケージの平面図であり、(b)本発明の実施例1に係るセラミックパッケージの側面図である。 本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージおよびそれを個片化してなるセラミックパッケージの製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における未焼成セラミックシート作製工程の概念図である。 本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における貫通孔形成工程の概念図である。 本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における未焼成導体金属充填・内側面塗布工程の概念図である。 本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における未焼成導体金属印刷工程の概念図である。 本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法におけるキャビティ用孔形成工程の概念図である。 本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における未焼成セラミックシート積層工程の概念図である。 本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における分割溝形成工程の概念図である。 本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における焼成工程の概念図である。 本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における分割工程の概念図である。 本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における個片化工程の概念図である。 本発明の実施例1の変形例に係る多数個取り用パッケージの平面図である。 (a)実施例1の変形例に係るセラミックパッケージの平面図であり、(b)実施例1の変形例に係るセラミックパッケージの側面図である。 本発明の実施例2に係る多数個取り用パッケージの平面図である。 (a)本発明の実施例2に係るセラミックパッケージの平面図であり、(b)本発明の実施例2に係るセラミックパッケージの断面図である。 本発明に係るセラミックパッケージの破断面の電子顕微鏡写真である。 (a)本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における分割溝形成工程でのレーザー光の照射原理を示す概念図である。(b)レーザー光の照射時の加工スポット径と加工ピッチを説明するための概念図である。 (a)〜(g)はいずれも本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における分割溝形成工程においてアール部を有する分割溝が形成される各プロセスを示す概念図である。
本発明の実施の形態に係る多数個取り用パッケージおよびセラミックパッケージおよびこれらの製造方法について図1乃至図22を参照しながら詳細に説明する。
はじめに、図1乃至図3を参照しながら本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージ及びセラミックパッケージについて説明する。
図1は本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの概念図である。
実施例1に係る多数個取り用パッケージ1Aは、図1に示すように、絶縁体であるセラミック焼結体16(後述の図4(b)を参照)と、導電部17a(導体金属、後述の図4(b)を参照)及び導体金属17bとからなる母基板2と、この母基板2の中央に配される製品領域3aを碁盤目状に区画するとともに個々の区画(セラミックパッケージ4A)を分割し個片化させるための分割溝8と、この分割溝8と重なる位置に形成されるスルーホール6とにより構成されるものである。
また、図1には特に示さないが、実施例1に係る多数個取り用パッケージ1Aにおける分割溝8は、母基板2の主面2a及び裏面2bに対を成すように形成され、かつ、スルーホール6の周縁に近づくにつれて分割溝8の深さが深くなっている。
また、実施例1に係る多数個取り用パッケージ1Aの母基板2は、中央部に配される製品領域3aとその周囲に配されるダミー領域3bとからなり、必要に応じてダミー領域3bにアライメント用貫通孔7を設けておいてもよい。
さらに、図1及び後段に示す図2,16,18では製品領域3aとダミー領域3bを明確に区別するためにダミー領域3bに分割溝8を形成しない状態を示しているが、ダミー領域3bにも分割溝8を形成してよい。
このような実施例1に係る多数個取り用パッケージ1Aを平面図として示したものが図2である。
図2は本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの平面図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2に示すように、実施例1に係る多数個取り用パッケージ1Aでは、母基板2に分割個片化後にセラミックパッケージ4Aとなる区画が、分割溝8を介して縦横に配列されて製品領域3aを成している。
ここで、実施例1に係る多数個取り用パッケージ1Aの母基板2の主面2aと裏面2bに形成される分割溝8について図3を参照しながら詳細に説明する。
図3(a)は本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの貫通孔と分割溝の関係を示す概念図であり、(b)は本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージを分割した状態を示す概念図である。なお、図1及び図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、図3では分割溝8の形状が理解されやすいよう、母基板2の詳細な構造の記載については省略している。
図3(a)に示すように、実施例1に係る多数個取り用パッケージ1Aでは、母基板2を貫通するスルーホール6が形成され、このスルーホール6上を通過するように(スルーホール6と重なるように)母基板2の主面2a及び裏面2bに一対の分割溝8が形成されている。
そして、実施例1に係る多数個取り用パッケージ1Aでは、図3(a)に示すように、分割溝8は、スルーホール6の周縁に近づくにつれて深くなっている。
なお、このような分割溝8が形成される仕組みについては後段において詳細に説明する。
そして、母基板2を図3(a)に示すような分割溝8に沿って分割すると、図3(b)に示すような側面10が形成される。
このような側面10は、分割溝8の溝内面8aと破断面9とにより構成されている。
また、この側面10に形成される破断面9では、図3(b)に示すように、分割溝8の溝底8bとスルーホール6の内側面を結ぶ線はアール部18を備えている。
この結果、図3(a)に示す母基板2を分割溝8に沿って分割する場合、スルーホール6に近づくにつれて破断領域が狭まる。よって、スルーホール6の内側面と分割溝8の溝底8bを結ぶ線上にバリや欠けが生じるのを好適に防止できる。
そして、図2に示す実施例1に係る多数個取り用パッケージ1Aにおいて母基板2に形成される分割溝8に沿って分割個片化して得られた個片体が、図4に示すセラミックパッケージ4Aである。
ここで、図4を参照しながら実施例1に係るセラミックパッケージ4Aについて詳細に説明する。
図4(a)は本発明の実施例1に係るセラミックパッケージの平面図であり、(b)は本発明の実施例1に係るセラミックパッケージの側面図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例1に係るセラミックパッケージ4Aは、図4(a),(b)に示すように、絶縁体であるセラミック焼結体16(図4(b)を参照)と、導電部17a(導体金属)及び導体金属17bと、からなる平面視した際の外形が矩形状である母基板2の少なくとも四隅に、スルーホール6が分割されてなる凹部が形成され、さらに、母基板2の周縁は、分割溝8(図3を参照)の溝内面8aと破断面9とからなる側面10を備え、その破断面9における溝底8bとスルーホール6の内側面とを結ぶ線がアール部18を有するものである。
このような実施例1に係るセラミックパッケージ4Aによれば、先の図3に示すように、アール部18が形成されることで、スルーホール6の周辺において分割時に形成される破断領域が狭まるので、スルーホール6の内側面と破断面9の交差部にバリや欠けが生じていない良品であるセラミックパッケージを得ることができる。この結果、良品のセラミックパッケージ4Aの生産性を向上することができる。
なお、図4に示すように、スルーホール6が貫通孔6a及び貫通孔6bからなり、かつ、貫通孔6bの内側面上に導電部17aを備える場合に、「スルーホール6の内側面」は、貫通孔6aの内側面、及び、貫通孔6bの内側面上に被着される導電部17aの表面の両者を指し示すものとする。
ここで、実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法及びセラミックパッケージの製造方法について図5乃至図15,図21,22を参照しながら詳細に説明する。
図5は本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージおよびそれを個片化してなるセラミックパッケージの製造方法を示すフローチャートである。また、図6乃至図15はいずれも、本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における各工程を示す概念図である。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法20は、後述するステップS01〜S08の各工程により構成されている。また、実施例1に係るセラミックパッケージの製造方法21は、後述するステップS01〜S09各工程により構成されている。
まず、図5に示すステップS01の未焼成セラミックシート作製工程では、焼成前のセラミック材料(絶縁材料)としてのアルミナ粉末や必要に応じて他の成分粉末(例えば、シリカ、カルシアなど)、さらに、有機バインダー、溶剤、可塑剤等を混合してスラリーを作製する。そしてこのスラリーを従来周知の手法(例えば、ドクターブレード法やカレンダーロール法)によりシート状に成形して、図6に示すような、多数個取り用の絶縁シートとしての未焼成セラミックシート11を作成する。
また、図5に示すステップS02の貫通孔形成工程では、先のステップS01において作製された未焼成セラミックシート11に対してパンチング(打ち抜き)加工を行い、各未焼成セラミックシート11の所望箇所に、図7に示すように、未焼成セラミックシート11をその厚み方向に貫通する貫通孔6a,6bや貫通孔12を形成する。
なお、貫通孔6a,6bや貫通孔12の形成方法としては、パンチング加工以外にも、レーザー穴あけ加工などの他の手法を用いることができる。
また、未焼成セラミックシート11に形成される貫通孔6a,6bは、未焼成セラミックシート11を積層して一体化させた場合にスルーホール6を形成する。
また、本実施の形態に係る多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21では、未焼成セラミックシート11に形成される貫通孔6bの内径を、貫通孔6aの内径よりも大きく設定している。なお、この理由については後段において詳細に説明する。
さらに、図5に示すステップS03の未焼成導体金属充填・内側面塗布工程では、未焼成セラミックシート11に形成された貫通孔12及び貫通孔6b内に、未焼成導体金属13aを形成する。
より具体的には、図8に示すように、従来周知のペースト印刷装置を用いて、未焼成セラミックシート11の貫通孔12内に、例えば、タングステンやモリブデンを含む導電性ペーストを充填し、導電部17a(後述の図13を参照)となるべき未焼成導体金属13aを形成する。つまり、貫通孔12を完全に導電性ペーストで満たすようにして未焼成導体金属13aを形成する。
次いで、吸引機構を有する側面印刷機を用いて未焼成セラミックシート11の貫通孔6bの内側面に、例えば、タングステンやモリブデンを含む導電性ペーストを付着させ、内側面を覆うように導電部17a(図4(b)、及び、後述の図13を参照)となるべき未焼成導体金属13aを形成する(図8を参照)。従って、貫通孔6b内は完全に導電性ペーストで満たされていなくともよく、図8に示すように、貫通孔6bの内側面上に形成される未焼成導体金属13aの中心部は空洞状になっている。
そして、図5に示すステップS04の未焼成金属導体印刷工程では、図9に示すように、スクリーン印刷法によって、各未焼成セラミックシート11の表面に未焼成導体金属13bを形成する。なお、ここでは、各未焼成セラミックシート11における表面上に、マスク(図示略)を用いて導電性ペーストを印刷することで、未焼成導体金属13bをパターン形成する。これらの未焼成導体金属13bは、母基板2がセラミック多層基板(図4(b)を参照)である場合に、その内層や主面2a及び裏面2bにおいて導体金属17b(メタライズ導体層)となるべき部分である。
なお、本実施の形態に係る多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21では、上述のステップS02〜S04が未焼成導体金属付与工程19に相当する工程である。
さらに、上述の通り未焼成セラミックシート11に未焼成導体金属13a,13bを形成した後は、所定の温度に加熱して、各未焼成セラミックシート11に形成した未焼成導体金属13a,13bを乾燥させ、導電性ペースト中の溶剤成分を揮発させ、未焼成導体金属13a、13bを未焼成セラミックシート11に安定的に保持させる。
また、図5に示すステップS05のキャビティ用孔形成工程では、図10に示すように、打ち抜き治具(図示略)を用いてパンチング加工を行い、貫通孔12が形成される未焼成セラミックシート11にキャビティ5(図1,2を参照)となるべきキャビティ用孔14を形成する。
そして、図5に示すステップS06の未焼成セラミックシート積層工程では、図11に示すように、貫通孔6aと貫通孔6bとの中心位置を合わせるようにして、2枚の未焼成セラミックシート11を積層する。そして、従来周知のラミネート装置を用いて未焼成セラミックシート11を加熱しながらその厚さ方向に所定の荷重を加えることにより、これらを熱圧着、一体化して未焼成セラミックシート積層体15(焼成前のシート積層体)を形成する。
なお、本実施の形態に係る多数個取り用パッケージ1Aは、先の図1,2に示すように、セラミック焼結体16となる各未焼成セラミックシート11の製品領域3aを囲むように形成されるダミー領域3bの四隅にアライメント用貫通孔7を形成しておいてもよい。そして、このアライメント用貫通孔7の位置をカメラで画像認識して、各未焼成セラミックシート11の位置合わせを行うことにより、各貫通孔6a,6bの中心位置を合わせてもよい。
さらに、図5に示すステップS07の分割溝形成工程では、図12に示すように、レーザー加工装置(図示せず)を用いてレーザー光を照射することにより、未焼成セラミックシート積層体15に対してレーザー加工を施して分割溝8を形成する。
この工程では、製品領域3a(図1,2を参照)内の個々の個片体(セラミックパッケージ4A)の外形線に沿って未焼成セラミックシート積層体15の主面2a及び裏面2bに分割溝8を碁盤目状に形成する。この時、図12に示すように、貫通孔6a及び貫通孔6bからなるスルーホール6上を通過しながら分割溝8が形成される。
また、この分割溝形成工程では、未焼成セラミックシート積層体15の主面2a及び裏面2bにおける分割溝8の形成予定位置に、レーザー加工装置(図示せず)のレンズで集光させたスポット状のレーザー光を照射しつつ、このレーザー光を分割溝8の形成予定位置を走行させることで、分割溝8を形成している。また、このとき、図示しない吸引装置やブロー装置を用いて、レーザー光照射による加工屑を除去しながら分割溝8を形成している。
そして、このステップS07の分割溝形成工程において形成される分割溝8の溝底8b(図3を参照)の深さは、先の図3に示すように、スルーホール6の周縁に向かうにつれて深くなる。
なお、この分割溝形成工程(ステップS07)では、上述のような分割溝8に加えて特開2015−138828号公報に開示される発明における、貫通孔内分割溝や縦溝を形成してもよい。
ここで、図21,22を参照しながら先の図3(a)に示すような分割溝8の形成方法を詳細に説明する。
図21(a)は本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における分割溝形成工程でのレーザー光の照射原理を示す概念図であり、(b)はレーザー光の照射時の加工スポット径と加工ピッチを説明するための概念図である。また、図22(a)〜(g)はいずれも本発明の実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法における分割溝形成工程においてアール部を有する分割溝が形成される各プロセスを示す概念図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図21(a)に示すように、ステップS07の分割溝形成工程では、レーザー光22をレンズ23により集光してその焦点位置にレーザー光22のエネルギー密度が高い領域Pを形成し、未焼成セラミックシート積層体15の主面2a及び裏面2bのそれぞれに照射することで図12に示す分割溝8を形成している。
また、実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21では、図21(b)に示すように、領域Pの平面形状を、スポット状(略円形)にしている。なお、この領域Pの径がスポット径Qである。さらに、実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21では、この領域Pを鉛直方向に板状の広がりを有するものにしている。このとき、分割溝8の形成予定位置においてレーザー光22を照射する間隔(領域Pの平面形状における中心点を結ぶ距離に相当)が加工ピッチRである。そして、実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21では、レーザー光22を切れ目無く被加工物に照射するのではなく、ミシン目状に被加工物に照射している。このとき、領域Pの平面形状における中心点で停止した状態でのレーザー光22の照射時間と加工ピッチRの移動速度は分割溝8の形成速度に影響を及ぼし、結果として、実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法20やセラミックパッケージの製造方法21により製造される多数個取り用パッケージ1Aやセラミックパッケージ4Aの生産効率に影響を及ぼす。
そして、実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21では、分割溝8を形成するにあたり、図22(a)に示すように、先の図21に示すレーザー光22を集光してなる領域Pを、未焼成セラミックシート積層体15の主面2a又は裏面2bに対して所望の高さに位置するようにレーザー光22の焦点位置(すなわち領域Pの厚み方向の中心位置)を調整する。そして、この状態でレーザー光22の中心(すなわち領域Pの平面形状における中心点)を分割溝8の形成予定位置(図示せず)上を所望ピッチRで移動させればよい。具体的には、図22(a)に示すように、レーザー光22を紙面の右側から左側に向かって(図中の符号Sで示す方向に)移動させればよい。
この場合、図22(b),(c)に示すように、レーザー光22がスルーホール6の右側側面に照射される位置に来るまでは主面2a又は裏面2b上におけるレーザー光22の照射位置で未焼成セラミックシート積層体15の一部が揮発して、抉り取られるようにして所望の深さの分割溝8が形成される。
なお、実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法20又はセラミックパッケージの製造方法21では、未焼成セラミックシート積層体15の主面2a又は裏面2bから溝底8bまでの距離(すなわち分割溝8の深さ)よりも、未焼成セラミックシート積層体15の主面2a又は裏面2bから焦点位置(すなわち領域Pの厚み方向の中心位置)までの距離の方がやや長くなるようにレーザー光の加工条件を設定している(後述の表1)。言い換えれば、レーザー光22の照射による未焼成セラミックシート積層体15の揮発は、その表面から内部に向けて進行するものであり、焦点位置(領域Pの厚み方向の中心位置)まで揮発が進行する前にレーザー光22の平面形状における中心位置が加工ピッチRの分だけ次の照射位置に移動してしまうように設定している。
そして、図22(d)では、レーザー光22の一部はスルーホール6の中をそのまま進行するため、レーザー光22を集光してなる領域Pの一部(左側領域)がスルーホール6の右側側面に照射されるようになる。その結果、スルーホール6の右側側面がレーザー光22のエネルギー密度の高い領域(領域P)に曝されて、スルーホール6の右側側面から未焼成セラミックシート積層体15の内部に向かって未焼成セラミックシート積層体15の揮発(加工)を付加的に進行させることができる。
そして、図22(e),(f)に示すように、レーザー光22を水平移動して、スルーホール6の右側側面を通過させることで、領域Pによる加工をさらに進行させることでスルーホール6の右側側面と分割溝8の溝底8bの交差部に湾曲状のアール部18を形成させることができる。
つまり、分割溝8の深さをスルーホール6の内側面に近づくにつれて深くすることができる。
さらに、図22(g)に示すように、レーザー光22を集光してなる領域Pの左側側面がスルーホール6の左側面に到達させることで、スルーホール6の左側面にも湾曲状のアール部18を形成させることができ、このアール部18に続いて分割溝8が直線状に形成される。
つまり、スルーホール6の左側側面においても、分割溝8の深さをスルーホール6の内側面に近づくにつれて深くすることができる。
なお、本実施の形態に係る多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21では、先の図21,22に示すレーザー光22として下表1に示す条件を満たすものを用いた。なお、パルス周波数とは1秒間にレーザーのオン・オフが繰り返される回数であり、加工点出力とは1パルス(レーザーオン)あたりのレーザーのエネルギーとパルス周波数との積である。
また、レーザー光22の照射条件については、下記表1に示すものに特定する必要はなく、スルーホール6の内側面と分割溝8の溝底8bとを結ぶ直線上にアール部18を形成することができるよう適宜変更してよい。
そして、図5に示すステップS08の焼成工程では、未焼成セラミックシート積層体15を、窒素と水素と水蒸気からなる還元雰囲気中においてアルミナが焼結しうる所定の温度(例えば、1500℃〜1800℃程度の温度)に加熱して焼成する。この焼成を経ると、図13に示すように、未焼成セラミックシート積層体15(図12を参照)における各未焼成セラミックシート11が焼結して、セラミック焼結体16が積層してなる母基板2(セラミック多層基板)からなる多数個取り用パッケージ1A(図1,2を参照)が得られる。
また、図13に示すように、未焼成導体金属13a,13b(導電ペースト)の焼結によって、母基板2の内部、主面2a及び裏面2bの所望個所に導電部17aや導体金属17bが形成される。なお、このステップS08を経て得られるのが、セラミックパッケージ4Aとなるべき製品領域3aが平面方向に沿って縦横に複数配列された多数個取り用パッケージ1Aである。
なお、図13では、製品領域3aにセラミックパッケージ4Aとなるべき区画が2列配列された場合を示しているが、実際には、図1,2に示すように縦横に複数(2列以上)配列されている。
最後に図5に示すステップ09の分割個片化工程では、図1,2,13に示す多数個取り用パッケージ1Aを分割溝8に沿って分割して個片化することにより、図4,15に示すようなセラミックパッケージ4Aが複数同時に得られる。
図14には、図1,2に示す多数個取り用パッケージ1Aの母基板2を、縦又は横方向に形成される分割溝8のいずれかで分割した際の切断端面、すなわち側面の様子が示されている。また、図14では、切断端面の様子が理解されやすいよう、図1に示される多数個取り用パッケージ1Aに示されるセラミックパッケージ4Aの数よりも大幅に少なくしている。
実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21では、先のステップS07においてスルーホール6上を通過して形成される分割溝8の溝底8bの深さは、先の図3に示すように、スルーホール6の周縁に向かうにつれて深くなっている。このため、このような分割溝8に沿って母基板2を分割すると、図14に示すように、破断面9においてスルーホール6の内側面(貫通孔6a又は貫通孔6bの内側面)と分割溝8の溝底8bを結ぶ線上にアール部18が形成される。
つまり、分割溝8に沿って母基板2を分割する際に形成される破断面9が、スルーホール6の近傍では狭まった状態になる。この場合、スルーホール6の内側面と分割溝8の溝底8bをつなぐ線上にバリや欠けが生じるのを好適に防止することができる。
そして、図14に示す分割された母基板2を、その破断面9に直交するように形成される分割溝8においてさらに分割すると、図15に示すような個片体としてのセラミックパッケージ4Aが複数同時に得られる。
つまり、実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21によれば、セラミックパッケージ4Aの角部に形成されるスルーホール6が分割されてなる凹部の、スルーホール6の内側面と破断面9の交差部にバリや欠けが生じ難い多数個取り用パッケージ1A及びセラミックパッケージ4Aを効率良く製造することができる。
この場合、セラミックパッケージ4Aを製造する際の良品率を高めることができる。つまり、スルーホール6の内側面と破断面9の交差部にバリや欠けが生じることでセラミックパッケージ4Aが外観不良となって不良品化するのを好適に防止することができる。
この結果、実施例1に係るセラミックパッケージ4Aの生産性を大幅に向上できる。
さらに、実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21では、先の図5に示すステップS02〜S06により、未焼成セラミックシート11にスルーホール6を形成するための口径の異なる2つの貫通孔6a,6b(ただし、口径6a<口径6b)を形成し(図7を参照)、この後、貫通孔6bの内側面上にのみ未焼成導体金属13aを形成して(図8を参照)、さらに、貫通孔6a,6bが形成された未焼成セラミックシート11を積層し一体化して(図11を参照)なる未焼成セラミックシート積層体15にして焼成して母基板2とすることで(図13を参照)、この母基板2(セラミック多層基板)を平面視した際に、導電部17a(焼成後の未焼成導体金属13a)の表面が貫通孔6aの周縁よりも後退した状態にすることができる(図4(a)を参照)。
この場合、図5に示すステップS07の分割溝形成工程において、未焼成セラミックシート積層体15の主面2a側にレーザー光(図示せず)を照射して分割溝8を形成する際に(図12を参照)、貫通孔6aが庇のような役割を果たして、貫通孔6bの内側面上に被着される未焼成導体金属13a(焼成前の導電部17a)にレーザー光が当たるのを防止できる。この結果、貫通孔6b内の未焼成導体金属13aにレーザー傷が生じるのを好適に防止できる。
従って、このような未焼成セラミックシート積層体15を焼成して多数個取り用パッケージ1A及びセラミックパッケージ4Aとすることで、貫通孔6b内の導電部17aにレーザー傷を有さない良品を得ることができる。
他方、スルーホール6を構成する貫通孔6bの内側面上に被着される導電部17aにレーザー傷が生じた場合、最終製品であるセラミックパッケージ4Aの機能として何ら支障がなくとも、外観不良という理由で最終製品である個片体は不良品として扱われていた。
よって、実施例1に係る多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21、ならびに、これらにより製造される多数個取り用パッケージ1A及びセラミックパッケージ4Aによれば、貫通孔6b内の導電部17aにレーザー傷のない良品を効率良く生産でき、製品の生産性を向上できる。
なお、本実施の形態においては、先の図4(b)に示すように、母基板2がセラミック焼結体16を2層積層してなるセラミック多層基板である場合を例に挙げて説明しているが、母基板2は2層以上のセラミック多層基板であってもよい。
また、母基板2が2層以上のセラミック多層基板である場合は、スルーホール6を構成する貫通孔6aは、未焼成セラミックシート積層体15の主面2a側に配される複数層の未焼成セラミックシート11に形成されてもよいし、同様に貫通孔6bも、未焼成セラミックシート積層体15の裏面2b側に配される複数層の未焼成セラミックシート11に形成されてよい。
いずれの場合も、図1,2,13に示す多数個取り用パッケージ1Aや、図4,15に示すセラミックパッケージ4Aと、同様の機能を有する多数個取り用パッケージ並びにセラミックパッケージを効率良く生産することができる。
また、母基板2が2層以上のセラミック多層基板である場合は、母基板2の層内に多くの配線パターン(導体金属17b)を収容することができるので、高性能なセラミックパッケージを効率良く生産することができる。
さらに、実施例1に係る多数個取り用パッケージ1A及びセラミックパッケージ4Aを構成する母基板2は、多層基板でなく単層基板でもよい。この場合、図5に示す各製造工程のうち、ステップS05のキャビティ用孔形成工程及びステップS06の未焼成セラミックシート積層工程を省略することができる。
なお、母基板2が単層基板である場合については、後述の実施例2において詳細に説明する。
また、実施例1に係る多数個取り用パッケージ1A及びセラミックパッケージ4Aでは、母基板2(セラミック多層基板)にキャビティ5を設ける場合を例に挙げて説明しているが、キャビティ5は必ずしも設けなくともよい。
この場合は、図5に示す各製造工程のうち、ステップS05のキャビティ用孔形成工程を省略することができる。
ここで、図16,17を参照しながら実施例1の変形例に係る多数個取り用パッケージおよびセラミックパッケージについて詳細に説明する。
図16は本発明の実施例1の変形例に係る多数個取り用パッケージの平面図である。また、図17(a)は実施例1の変形例に係るセラミックパッケージの平面図であり、(b)は実施例1の変形例に係るセラミックパッケージの側面図である。なお、図1乃至図15に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例1の変形例に係る多数個取り用パッケージ1Bは、図16に示すように、母基板2の製品領域3aにおいて個片体であるセラミックパッケージ4Bの四隅だけでなく、その長辺にもスルーホール6を形成したものである。
そして、上述のような実施例1の変形例に係る多数個取り用パッケージ1Bを分割溝8に沿って分割個片化したものが実施例1の変形例に係るセラミックパッケージ4Bである。
この場合、図17(a),(b)に示すように、実施例1の変形例に係る多数個取り用パッケージ1Bを分割溝8に沿って分割個片化すると、セラミックパッケージ4Bの母基板2の四隅だけでなくその長辺をなす側面10にもスルーホール6を分割してなる凹部が形成される。
そして、図17(b)に示すように、セラミックパッケージ4Bの側面10に形成されるスルーホール6を分割してなる凹部において、スルーホール6の内側面と分割溝8の溝底8bを結ぶ線上にはアール部18が形成される。
よって、実施例1の変形例に係る多数個取り用パッケージ1Bは、実施例1に係る多数個取り用パッケージ1Aと比較して、より多くのスルーホール6と分割溝8との交差部が形成されることになる。
すなわち、実施例1の変形例に係る多数個取り用パッケージ1Bは、実施例1の多数個取り用パッケージ1Aと比較して、分割溝8上に形成されるスルーホール6の数が増えることで、分割時に破断領域が狭まる箇所が相対的に多くなる。
この結果、分割溝8を分割することで形成される破断面9にバリや欠けが生じるリスクを一層低減することができる。
よって、実施例1の変形例に係る多数個取り用パッケージ1B及びセラミックパッケージ4Bによれば、良品率を一層高めることができ、これにより、セラミックパッケージ4Bの生産性を向上することができる。
また、図17に示すように、セラミックパッケージ4Bの長辺をなす側面10にスルーホール6を形成する場合、母基板2を平面視した際に、導電部17aの表面を貫通孔6aの周縁よりも後退した状態にすることで、主面2a側への分割溝8の形成時に、貫通孔6bの内側面上に被着される導電部17aにレーザー傷が生じるのを防止できる。
これにより、実施例1の変形例に係る多数個取り用パッケージ1B及びセラミックパッケージ4Bの良品率を向上することができ、その生産性を高めることができる。
なお、図16,17に示す実施例1の変形例に係る多数個取り用パッケージ1B及びセラミックパッケージ4Bでは、セラミックパッケージ4Bの長辺にスルーホール6を形成する場合を例に挙げて説明しているが、セラミックパッケージ4Bの短辺のみ、あるいは、長辺と短辺の両方に上述のようなスルーホール6を形成してもよい。いずれの場合も、貫通孔6bの内側面上に被着される導電部17aにレーザー傷が生じるのを防止できる。
また、実施例1の変形例に係る多数個取り用パッケージ1B及びセラミックパッケージ4Bの製造方法は、先の図5に示す多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21と同じである。
さらに、実施例1の変形例に係る多数個取り用パッケージ1B及びセラミックパッケージ4Bでは、必ずしもキャビティ5を設けなくともよい。
言うまでもないが、上述の実施例1及びその変形例に係る多数個取り用パッケージ1A,1B及びセラミックパッケージ4A,4Bにおいて、スルーホール6の内側面上に導電部17aを被着しない場合は、そのスルーホール6を、口径が異なる2種類の貫通孔6a,6bからなる連穿孔にする必要はない。
本発明の実施例2に係る多数個取り用パッケージ1C及びセラミックパッケージ4Cについて図18,19を参照しながら詳細に説明する。
図18は本発明の実施例2に係る多数個取り用パッケージの平面図である。また、図19(a)は本発明の実施例2に係るセラミックパッケージの平面図であり、(b)は本発明の実施例2に係るセラミックパッケージの断面図である。なお、図1乃至図17に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、図19(b)は図19(a)中のA−A線矢視断面図である。
図18,19に示すように、実施例2に係る多数個取り用パッケージ1C及びセラミックパッケージ4Cを構成する母基板2は、セラミック単層基板である。よって、その構造は、実施例1に係る多数個取り用パッケージ1A及びセラミックパッケージ4Aに比べてシンプルである。
具体的に説明すると、実施例2に係る多数個取り用パッケージ1C及びセラミックパッケージ4Cは、キャビティ5を有さず、スルーホール6の口径が主面2aから裏面2bにかけて一様である。
このような実施例2に係る多数個取り用パッケージ1C及びセラミックパッケージ4Cでは、実施例1に係る発明により発揮される効果のうち、分割溝8を形成する際の、スルーホール6の内側面上に被着される導電部17aにレーザー傷が生じるのを防止するという効果は発揮されない。
なお、図18,19では、実施例2に係るセラミックパッケージ4Cの四隅にのみスルーホール6を形成する場合を例に挙げて説明しているが、スルーホール6はセラミックパッケージ4Cの長辺又は短辺、あるいは、これら両方に形成してもよい。
この場合も、分割溝8上に形成されるスルーホール6の数が増えることで、分割時に破断領域が狭まる箇所が相対的に多くなり、分割個片化してセラミックパッケージ4Cを得る際の良品率を高めることができる。よって、実施例2に係る多数個取り用パッケージ1C及びセラミックパッケージ4Cの生産性を向上することができる。
本発明はアルミナセラミック以外のセラミック、例えば、アルミナ−ジルコニアセラミック、窒化アルミ、ガラスセラミックス等にも適用できる。
特にアルミナ−ジルコニアセラミックに適用する場合は、セラミック焼結体及びそれに支持される導体金属の組成を以下に示すように調製するとよい。
つまり、セラミック焼結体(セラミック組成物)を、アルミナ(Al)と、イットリア(Y)を固溶させた部分安定化ジルコニア(Y−ZrO)と、焼結助剤とにより構成し、上記焼結助剤を、シリカ(SiO),カルシア(CaO),酸化マンガン(MnO,MnO,Mn,Mn)から選択される少なくとも1種と、マグネシア(MgO)と、の組合せとし、上記セラミック組成物における部分安定化ジルコニアの含有量を10〜30wt%の範囲内とし、セラミック組成物における焼結助剤の含有量を1.5〜4.5wt%の範囲内とし、セラミック組成物における部分安定化ジルコニア,焼結助剤以外の残部をアルミナとし、さらに、セラミック組成物におけるマグネシアの含有量を0.05〜1wt%の範囲内にするとよい。
また、上記セラミック焼結体(セラミック組成物)に支持される金属導体を構成するメタライズ組成物を、タングステン(W)と、モリブデン(Mo)と、アルミナと,ガラスと,からなるセラミック成分と、により構成し、このメタライズ組成物における前記タングステンの含有量を70〜94wt%の範囲内とし、メタライズ組成物におけるモリブデンの含有量を3〜20wt%の範囲内とし、さらに、メタライズ組成物における上記セラミック成分の含有量を3〜20wt%の範囲内に設定すればよい。
また、上記組成から成る未焼成のセラミック組成物と、上記組成から成る未焼成の金属導体とを、窒素と水素と水蒸気からなる還元雰囲気中において1450〜1600℃程度で焼成することで、金属導体が支持されたアルミナ−ジルコニアセラミックスを製造することができる。
上記組成のアルミナ−ジルコニアセラミックスを用いる場合は、セラミック焼結体の放熱性向上効果と曲げ強度の向上効果を同時に発揮させつつ、セラミック焼結体への導体金属の密着強度を高めることができるという効果が発揮される。
図20は本発明に係るセラミックパッケージの破断面の電子顕微鏡写真である。
図20中の二つの矢印の先に示されるように、本発明に係るセラミックパッケージの破断面9におけるスルーホール6の内側面と分割溝8の溝底8bを結ぶ線上にはアール部18がそれぞれ形成されている。
なお、本発明におけるアール部18とは、角部が面取りされて湾曲状をなしている状態を意味するものである。
なお、本実施の形態では先の図5に示す多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21において、ステップS06の未焼成セラミックシート積層工程の後に、ステップS07の分割溝形成工程を実施する場合を例に挙げているが、この分割溝形成工程(ステップS07)は、ステップS08の焼成工程を完了した多数個取り用パッケージ1Aに対して実施してもよい。なお、この場合はレーザー光22(図21を参照)の種類や照射条件等を先の表1に示すもの以外のものに設定する必要がある可能性がある。
また、本実施の形態に係る多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21の場合のように、未焼成セラミックシート積層体15に対してステップS07の分割溝形成工程を実施する場合は、焼成済の多数個取り用パッケージ1Aに対して分割溝形成工程(ステップS07)を実施する場合に比べて、分割溝8形成時に生じる屑や塵が、多数個取り用パッケージ1Aの表面に被着し難くなるので、より高品質な多数個取り用パッケージ1Aやセラミックパッケージ4Aを容易に製造することができる。
さらに、本実施の形態では先の図5に示す多数個取り用パッケージの製造方法20及びセラミックパッケージの製造方法21では、ステップS07の分割溝形成工程において、未焼成セラミックシート積層体15の主面2a及び裏面2bにレーザー光22を用いて分割溝8を形成する場合を例に挙げて説明しているが、母基板2の主面2a又は裏面2bのいずれか一方に形成する分割溝を、従来公知の分割溝形成用ブレードを押し当てて形成してもよい。なお、分割溝形成用ブレードを押し当てて形成される分割溝は、スルーホール6の内側面に近づくにつれて分割溝の深さが深くならない分割溝である。
この場合、母基板2の主面2a及び裏面2bの両方に図3(a)に示すような分割溝8を形成する場合に比べて、分割溝(レーザー光22の照射により形成される分割溝8又はブレードを押し当てることで形成される分割溝)の溝底(レーザー光22の照射により形成される分割溝8の溝底8b又はブレードを押し当てることで形成される分割溝の溝底)とスルーホール6の内側面とを結ぶ線上にバリや欠けが生じるリスクが高まるものの、レーザー光22のみによりすべての分割溝8を形成する場合に比べて、分割溝(レーザー光22の照射により形成される分割溝8又はブレードを押し当てることで形成される分割溝)の形成に要する時間を大幅に短縮することができる。この結果、本発明に係る多数個取り用パッケージやセラミックパッケージの生産性を向上することができる。
また、特に未焼成セラミックシート積層体15がその主面2a側にキャビティ5を備える場合は、未焼成セラミックシート積層体15の主面2a側に形成される分割溝8をレーザー光22により形成し、裏面2b側に形成される分割溝を上述のような分割溝形成用ブレード用いて形成してもよい。
この場合は、その主面2a側に分割溝を形成しようとして分割溝形成用ブレードを押し当てると、母基板2の主面2a側に形成される分割溝8を押し広げるような負荷が掛かるため、キャビティ5の外形が変形してしまい最終製品の気密性等に悪影響が生じたり、またキャビティ5の容積が縮小して電子部品の収納に不具合が生じたりする恐れがある。
従って、先の図21(a)に示すレーザー光22を用いることによれば、未焼成セラミックシート積層体15の主面2a側に、キャビティ5の外形を変形させることなく図3(a)に示すような分割溝8を形成することができるので、上述のような不具合の発生を好適に回避することができる。
この場合、本発明に係る多数個取り用パッケージやセラミックパッケージの品質及び生産性を同時に向上することができる。
以上説明したように本発明は、分割個片化時にセラミックパッケージの角部にバリや欠けが生じ難い多数個取り用パッケージおよびそれを分割個片化してなるセラミックパッケージおよびこれらの製造方法であり、電子部品に関する技術分野において利用可能である。
1A〜1C…多数個取り用パッケージ 2…母基板 2a…主面 2b…裏面 3a…製品領域 3b…ダミー領域 4A〜4C…セラミックパッケージ 5…キャビティ 6…スルーホール 6a,6b…貫通孔 7…アライメント用貫通孔 8…分割溝 8a…溝内面 8b…溝底 9…破断面 10…側面 11…未焼成セラミックシート 12…貫通孔 13a,13b…未焼成導体金属 14…キャビティ用孔 15…未焼成セラミックシート積層体 16…セラミック焼結体 17a…導電部(導体金属) 17b…導体金属 18…アール部 19…未焼成導体金属付与工程 20…多数個取り用パッケージの製造方法 21…セラミックパッケージの製造方法

Claims (7)

  1. 絶縁体であるセラミック焼結体と導体金属とを備える母基板と、この母基板の中央に配される製品領域を碁盤目状に区画するとともに個々の前記区画を分割し個片化させるための分割溝と、この分割溝と重なる位置に形成されるスルーホールとを有し、
    前記分割溝は、前記母基板の主面と裏面とにそれぞれ形成され、かつ、前記スルーホールの周縁に近づくにつれて前記分割溝の深さが深くなることを特徴とする多数個取り用パッケージ。
  2. 前記母基板は、前記セラミック焼結体からなる絶縁層を複数層備えるセラミック積層体であり、
    前記スルーホールは、前記主面側に形成される第1の孔と、前記裏面側に形成される第2の孔と、の連穿孔であり、
    前記第2の孔は、その内側面上に前記導体金属からなる導電部を具備し、
    前記母基板を平面視した際に、前記導電部の表面が前記第1の孔の周縁よりも後退していることを特徴とする請求項1記載の多数個取り用パッケージ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の多数個取り用パッケージの前記製品領域を前記分割溝に沿って分割し個片化したセラミックパッケージであって、
    前記セラミックパッケージを側面視した際に、前記分割溝に連続して形成される破断面において、前記分割溝の底と前記スルーホールの内側面を結ぶ線は、アール部を有していることを特徴とするセラミックパッケージ。
  4. 未焼成セラミックシートを作成する未焼成セラミックシート作製工程と、
    前記未焼成セラミックシートに貫通孔を形成するとともに、前記未焼成セラミックシートの主面及び/又は裏面、あるいは、前記貫通孔の内側面上の所望領域に所望厚の未焼成導体金属層を形成する未焼成導体金属付与工程と、
    前記未焼成導体金属層と前記未焼成セラミックシートとからなる未焼成母基板の中央に配される製品領域の主面及び裏面に、この製品領域を区画しかつ分割個片化させるための分割溝をレーザー光の照射により形成させる分割溝形成工程と、
    前記分割溝が形成された前記未焼成母基板を焼成する焼成工程とを有し、
    前記未焼成母基板は、前記貫通孔からなり前記未焼成母基板を貫通するスルーホールを備え、
    前記分割溝は、前記スルーホールと重なる位置に形成されるとともに、前記スルーホールの周縁に近づくにつれて前記分割溝の深さが深くなることを特徴とする多数個取り用パッケージの製造方法。
  5. 前記未焼成セラミックシート作製工程において作製される前記未焼成セラミックシートは2枚以上であり、
    前記分割溝形成工程の前に、前記未焼成導体金属層が形成された複数の前記未焼成セラミックシートを積層して熱と圧力により一体化する未焼成セラミックシート積層工程を有し、
    前記未焼成母基板は、未焼成セラミックシート積層体であることを特徴とする請求項4に記載の多数個取り用パッケージの製造方法。
  6. 前記スルーホールは、前記未焼成母基板の前記主面側に形成され前記貫通孔からなる第1の孔と、前記裏面側に形成され前記貫通孔からなる第2の孔と、からなり、
    前記第2の孔は、その内側面上に前記未焼成導体金属層を具備し、
    前記未焼成母基板を平面視した際に、前記未焼成導体金属層表面は前記第1の孔の周縁よりも後退していることを特徴とする請求項5に記載の多数個取り用パッケージの製造方法。
  7. 請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の多数個取り用パッケージの製造方法において、
    前記焼成工程の後に、前記分割溝に沿って前記製品領域を分割し個片化してセラミックパッケージを得る分割個片化工程を有することを特徴とするセラミックパッケージの製造方法。
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