JP2017089731A - 回転抵抗装置のケース構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部にアキュムレーターを収容せずに粘性流体の体積変化を吸収することが可能な回転抵抗装置のケース構造を提供する。【解決手段】磁性体のケース3内に磁気粘性流体Fを封入すると共に磁性体の回転体5を相対回転自在に収容し、ケース3及び回転体F間で電磁コイル7の磁束により磁気粘性流体Fの粘性を変化させる制動装置1であって、筒状の本体壁部9と、本体壁部9の両側に各別に設けられ本体壁部9と共に収容室17を区画する第1及び第2側壁部11及び13とを備え、第1側壁部11は、収容室17内の圧力に応じて弾性変形し収容室17内の容積を変化させる弾性変形部材である。【選択図】 図2

Description

本発明は、磁気粘性流体を用いた制動装置等の回転抵抗装置のケース構造に関する。
従来の回転抵抗装置としては、例えば特許文献1に記載の制動装置がある。
この制動装置では、磁性体のケース内に磁気粘性流体を封入すると共に磁性体の回転板を相対回転自在に収容し、ケース及び回転板間で電磁コイルの磁束により磁気粘性流体の粘性を変化させるようになっている。
従って、制動装置は、磁気粘性流体の粘性に応じてケース及び回転板間の相対回転に抵抗を与え、例えばケース及び回転板の一方を固定して用いれば、制動トルクを生じさせることができる。
かかる制動装置では、動作時の熱によって磁気粘性流体の体積が変化するため、その体積変化を吸収するアキュムレーターを設けることが好ましい。
しかし、アキュムレーターを制動装置の内部に収容すると構造が煩雑化したり、制動装置の大型化を招くおそれがあった。
このような問題は、磁気粘性流体を用いた制動装置等の回転抵抗装置だけでなく、広く粘性流体を用いた回転抵抗装置に生じる。
特開2014−20539号公報
解決しようとする問題点は、粘性流体の体積変化を吸収するために、回転抵抗装置の内部にアキュムレーターを収容する必要がある点である。
本発明は、内部にアキュムレーターを収容せずに粘性流体の体積変化を吸収するために、ケース内の収容室に粘性流体を封入すると共に回転体を相対回転自在に収容し、前記ケース及び回転体間で前記粘性流体の粘性によりトルク伝達を可能とする回転抵抗装置のケース構造であって、筒状の本体壁部と、該本体壁部の両側に各別に設けられ前記本体壁部と共に前記収容室を区画する側壁部とを備え、前記側壁部の一方は、前記収容室内の圧力に応じて弾性変形し前記収容室内の容積を変化させる弾性変形部材であることを最も主な特徴とする。
本発明の回転抵抗装置のケース構造は、内部にアキュムレーターを収容せずに、側壁部の一方によって粘性流体の体積変化を吸収することができる。
回転抵抗装置である制動装置の断面図である。(実施例1) 図1の制動装置のケースの側壁部が弾性変形した状態を示す断面図である。(実施例1) 図1の制動装置内のスペーサ周辺を拡大して示す断面図である。(実施例1)
内部にアキュムレーターを収容せずに粘性流体の体積変化を吸収するという目的を、内部の収容室に粘性流体を封入すると共に回転体を相対回転自在に収容したケースの側壁部の一方を、収容室内の圧力に応じて弾性変形して収容室内の容積を変化させる弾性変形部材で構成することで実現した。
側壁部の一方は、本体壁部の内周に固定される固定部と、固定部の内周側に配置された板状の側壁部本体と、固定部と側壁部本体との間を結合する曲げ部とを備え、収容室内の圧力に応じて曲げ部により側壁部本体が固定部に対して弾性変位する構成としてもよい。
側壁部の一方は、非磁性体からなっていてもよい。
[制動装置の構造]
図1は、制動装置の断面図である。なお、以下の説明において、軸心方向とは相対回転の回転軸心に沿った方向、径方向とは相対回転の回転半径方向、周方向とは、相対回転方向をいう。なお、図1では、上半分、下半分で周方向の異なる位置での断面を示している。
図1のように、実施例1の制動装置1は、ケース3と、回転体5と、電磁コイル7とを備えている。制動装置1は、相対回転自在なケース3及び回転体5の一方を固定して用いることで、ケース3及び回転体5間の相対回転に対して後述する磁気粘性流体Fの粘性に応じた抵抗により制動トルクを発生させる。
なお、制動装置1は、ケース3及び回転体5を共に回転自在な部材に結合して用いれば、ケース3及び回転体5間の相対回転に抵抗を与えてトルク伝達装置等とすることも可能である。
従って、制動装置1は、ケース3及び回転体5間の相対回転に抵抗を与える回転抵抗装置として構成される。
ケース3は、本体壁部9と、第1側壁部11及び第2側壁部13と、支持筒部15とを備えている。ケース3は、第1側壁部11を除き、全体として磁性体によって一体に構成されている。
本体壁部9は、筒状であり、軸心方向の両側に第1側壁部11及び第2側壁部13が各別に設けられている。本体壁部9は、第1及び第2側壁部11及び13と共に内部に収容室17を区画している。収容室17内には、磁気粘性流体Fが封入されると共に回転体5が収容されている。
第1側壁部11は、キャップとしてケース3に取り付けられるもので、本体壁部9とは別体で形成されると共に本体壁部9の一側内周に固定されている。第1側壁部11は、全体として磁場の影響を無視できる銅、アルミニウム、樹脂等の非磁性体によって円板状に形成されている。本実施例の第1側壁部11は、収容室17内の磁気粘性流体Fの体積変化を吸収するようになっている。これについては後述する。
第2側壁部13は、本体壁部9の他側内周に一体に形成されている。第2側壁部13は、全体として周回形状であり、側壁部本体13a及び連結部13bによって構成されている。側壁部本体13aは、ケース3の本体壁部9の内周に作動室17aを介して配置されている。側壁部本体13aの外周部は、側壁部本体13aよりも軸心方向で薄肉の連結部13bによって本体壁部9に一体に連結されている。側壁部本体13aの内周部には、支持筒部15が一体に設けられている。
支持筒部15は、第2側壁部13の側壁部本体13a内周から第1側壁部11側へ向けて延設された中空筒状体である。支持筒部15の先端は、第1側壁部11との間に回転体5のフランジ部25を通すためのクリアランスが確保されている。
支持筒部15の内周には、軸心方向でケース3の内外を連通する連通孔19が区画されている。連通孔19には、回転体5の回転軸部21が挿通されている。なお、支持筒部15を省略して、連通孔19を第2側壁部13の側壁部本体13aの板厚の範囲内で設けてもよい。
回転体5は、回転軸部21と回転体本体23とが磁性体により一体に形成されたものである。
回転軸部21は、上記のようにケース3の支持筒部15の連通孔19を挿通し、支持筒部15に対して相対回転自在に支持されている。従って、回転体5は、回転軸部21及び支持筒部15を介してケース3に相対回転自在に支持されている。なお、回転軸部21の支持構造については後述する。
回転体本体23は、ケース3内の収容室17に収容される部分である。この回転体本体23は、フランジ部25及び回転筒部27を備えている。
フランジ部25は、収容室17内の回転軸部21の端部から径方向に延設された円板状となっている。フランジ部25の軸心方向の一側面25aは、第1側壁部11に対して軸方向に間隙を持って対向している。フランジ部25の他側面25bは、支持筒部15及び後述する電磁コイル7に対して沿うようにして間隙を持って対向している。このフランジ部25の他側面25bには、軸心方向に膨出した膨出部25cが備えられ、膨出部25cは、支持筒部15の先端に対して外周側から径方向で隙間を持って対向する。
フランジ部25の内外周の中間部には、軸心方向で貫通した油路25dが設けられている。油路25dは、フランジ部25の周方向所定間隔毎に複数配置されている。フランジ部25の外周部は、収容室17の作動室17aに臨んでおり、作動室17a内に位置する回転筒部27に結合されている。
回転筒部27は、電磁コイル7の外周側で本体壁部9に沿って延設されている。回転筒部27の外周は、本体壁部9の内周に隙間を持って径方向で対向し、回転筒部27の内周は、先端部において第2側壁部13の側壁部本体13aの外周に隙間を持って径方向で対向する。
これら回転体5の回転筒部27及びフランジ部25とケース3の本体壁部9及び支持筒部15との各間には、電磁コイル7による磁路が形成されてループ状の磁束である磁束ループMが通ることになる。
電磁コイル7は、第2側壁部13の側壁部本体13aよりも小径の支持筒部15の外周に配置されている。この状態で、電磁コイル7は、スナップリング等の抜け止め部材29により、支持筒部15外周からの抜け止めがなされて支持されている。
これにより、電磁コイル7は、支持筒部15及び第2側壁部13の側壁部本体13aをヨークとする電磁石を構成する。従って、電磁コイル7は、支持筒部15及び第2側壁部13の側壁部本体13aを介して磁束ループMを形成することができる。この磁束ループMにより、ケース3及び回転体5間で磁気粘性流体Fの粘性を変化させてケース3と回転体5間に制動力を生じさせる。具体的には、制動装置1の動作と共に後述する。
[第1側壁部の構造]
図2は、第1側壁部11が弾性変形した状態を示す断面図である。
本実施例の第1側壁部11は、収容室17内の圧力に応じて弾性変形して収容室17内の容積を変化させる弾性変形部材として構成されている。これにより、制動装置1の動作時の磁気粘性流体Fの熱膨張等の体積変化を吸収可能とする。
弾性変形部材としての第1側壁部11は、一部又は全部が弾性変形すればよい。本実施例においては、図1及び図2のように、固定部11aと、側壁部本体11bと、曲げ部11cとで第1側壁部11が構成され、少なくとも一部である曲げ部11cが弾性変形する構成となっている。ただし、第1側壁部11の全体をゴム等のように伸縮性のある弾性変形部材によって構成すれば、第1側壁部11の全体を弾性変形させることが可能である。
固定部11aは、環状に形成され、第1側壁部11の側壁部本体11b及び曲げ部11cと比較して板厚が厚く設定されている。固定部11aの外周は、ケース3の本体壁部9の内周に嵌合している。固定部11aと本体壁部9との間には、Oリング等の環状のシール部材31が保持されている。本実施例において、シール部材31は、第1側壁部11の固定部11aに形成された周回状の凹部11aaに保持されている。ただし、凹部11aaは、ケース3の本体壁部9に設けてもよい。
固定部11aの外周側は、ケース3内で本体壁部9の段部9aに突き当てられており、ケース3外のスナップリング等の抜け止め部材33によって抜け止めがなされている。これにより、固定部11aの本体壁部9への固定がなされている。固定部11aの内周側には、側壁部本体11bが曲げ部11cを介して支持されている。
側壁部本体11bは、第1側壁部11の主要部を構成する円板状である。側壁部本体11bの軸心部には、ケース3内へ凸状の屈曲部11baが設けられている。側壁部本体11bの板厚は、例えば樹脂の場合に2mm程度、金属の場合に0.2mm程度であり、ケース3内の収容室17の圧力に応じて弾性変形することが可能となっている。ただし、側壁部本体11bは、板厚の増加や材質の変更等により、収容室17の圧力に応じて弾性変形しない構成とすることも可能である。
曲げ部11cは、固定部11aと側壁部本体11bとの間を結合して、側壁部本体11bを固定部11aに対して弾性支持する。本実施例の曲げ部11cは、ケース3外へ凸状に湾曲した第1湾曲部11caとケース3内へ凸状に湾曲した第2湾曲部11cbとで構成された湾曲部分となっている。なお、第1及び第2湾曲部11ca及び11cbは、何れか一方又は双方を湾曲形状から屈曲形状に変更してもよい。また、湾曲部の数は、任意であり、磁気粘性流体Fの膨張率等を考慮して弾性変形が可能な範囲で適宜設定し得る。
第1湾曲部11caは、その曲率半径の設定により、凸状の頂部が本体壁部9の一端縁部9bから面取り部9cの分だけ軸心方向で内側にオフセットしている。第2湾曲部11cbは、第1湾曲部11caよりも曲率半径が小さく設定されている。
これにより、曲げ部11cは、図1の平常時において、側壁部本体11bを第1湾曲部11caの頂部よりも更に軸心方向で内側にオフセットした位置に保持している。そして、曲げ部11cは、図2のようにケース3の収容室17の圧力上昇に応じて弾性変形し、側壁部本体11bをケース3外へ向けて変位させる。
[回転軸部の支持構造]
本実施例の回転軸部21は、図1のように、ケース3の内側から径の異なる内端部21a、中間部21b、及び外端部21cが順に形成されている。なお、回転軸部21は、例えば一定の径を有する棒状体として構成してもよく、径の設定は自由である。
内端部21aは、回転体5のフランジ部25と一体に結合されている。中間部21bは、内端部21aよりも小径に形成され、内端部21aとの間が段付き形状となっている。外端部21cは、ケース3に対して外側に突出する。外端部21cは、中間部21bよりも小径に形成され、中間部21bとの間が段付き形状となっている。この外端部21cは、例えば制動対象等の可動側(図示せず)に結合される。この場合、回転体5が可動側となり、ケース3が固定側となる。これとは逆に、ケース3を制動対象等に結合して可動側を構成し、外端部21cを固定側に結合して回転体5を固定側としてもよい。
この回転軸部21を支持する連通孔19は、軸受孔部19a及び嵌合孔部19bで構成されている。 軸受孔部19aは、軸受としての一対のベアリング35a及び35bを介して回転体5の回転軸部21を回転自在に支持する。本実施例では、軸受孔部19aが回転体5の回転軸部21の中間部21bの外周に位置し、軸受孔部19aがベアリング35a及び35bにより中間部21bを支持する。
一方のベアリング35aは、軸受孔部19aの奥壁に軸心方向で突き当てられている。他方のベアリング35bは、一対のベアリング35a及び35b間に配置されたスペーサ37を介して一方のベアリング35aに軸心方向で突き当てられ、且つ内外周のスナップリング等の抜け止め部材39a及び39bにより抜け止めがなされている。
外周側の抜け止め部材39aは、支持筒部15の内周に固定されてベアリング35bのアウターレース35baに当接し、内周側の抜け止め部材39bは、回転軸部21の外周に固定されてベアリング35bのインナーレース35bbに当接する。スペーサ37については後述する。
嵌合孔部19bは、軸受孔部19aよりもケース3の内側(収容室17の内部側)に配置されて、その内周が回転軸部21の外周に相対回転自在に嵌合する。本実施例の嵌合孔部19bは、回転軸部21の内端部21aの外周に位置し、内周が内端部21aの外周に嵌合する。嵌合孔部19bの内周と回転軸部21との間には、シール部材41及びフィルター部材43が介設されている。
シール部材41は、磁気粘性流体Fの封入のためのものであり、本実施例において環状のXリングとなっている。なお、シール部材41としては、Xリングに限られるものではなく、Oリング等とすることも可能である。
本実施例のシール部材41は、支持筒部15の内周に設けられた環状のシール凹部15a内に保持され、内周が回転軸部21の内端部21aの外周に摺接して密封性を確保する。ただし、シール凹部は回転軸部側に設け、シール部材は回転軸部側に保持してもよい。
フィルター部材43は、シール部材41に対するケース3の内側(収容室17の内部側)に配置され、磁気粘性流体Fに含有される鉄粉等の磁性粒子のシール部材41側への移動を規制する。
本実施例のフィルター部材43は、環状であり、支持筒部15の内周に沿って環状に設けられたフィルター凹部15b内に保持されている。ただし、フィルター凹部は回転軸部側に設け、フィルター部材は回転軸部側に保持してもよい。このフィルター部材43は、内周が回転軸部21の外周に摺接し、連通孔19の嵌合孔部19bと回転軸部21の内端部21aとの間で磁性粒子のシール部材41側への移動を確実に規制する。
フィルター部材43の材質は、特に限定されるものではなく、シール部材41に至る磁気粘性流体F中の流体を透過可能で磁性粒子を捕捉可能であればよい。例えば、フィルター部材43は、いわゆるソフトワイパーやフェルト等の繊維凝集材やスポンジ等の多孔質材により構成することが可能である。
[スペーサの構造]
図3は、スペーサ周辺を拡大して示す断面図である。
本実施例のスペーサ37は、磁性体で形成され、スペーサ本体37a及び突出部37bを備えている。
スペーサ本体37aは、支持筒部15の内周に沿って形成された環状であり、両端部に一対のベアリング35a及び35bのアウターレース35aa及び35baが当接する。
突出部37bは、スペーサ本体37aから径方向の内側に突出して、隙間Gを回転軸部21との間に区画する。隙間Gは、回転軸部21及び支持筒部15間で後述する磁束ループMの分岐部M2の通り道としての磁路を形成可能なサイズとなっている。
本実施例において、突出部37bは、スペーサ本体37aの内周に沿って形成された環状であり、周方向全域で回転軸部21の外周との間に隙間Gを区画する。ただし、突出部37bは、環状に形成する必要はなく、例えば複数の突出片が周方向に間隔をあけて複数設けられる構成や単一の突出片がスペーサ本体37aの周方向の一部に設けられる構成であってもよい。
突出部37bは、ベアリング35a及び35bのインナーレース35ab及び35bb間に位置するが、インナーレース35ab及び35bbとの間に軸心方向のクリアランスが確保されている。
[制動装置の動作]
制動装置1は、例えばケース3を固定側に、回転体5の回転軸部21を制動対象等の可動側に結合し、電磁コイル7の通電制御によって制動トルクを発生させる。
電磁コイル7を通電していない間は、磁気粘性流体Fの粘性が低い状態にあり、回転体5及びケース3間の相対回転が円滑に行われる。
電磁コイル7を通電すると、図1のように磁束ループMが形成され、磁気粘性流体Fの粘性が高くなって回転体5及びケース3間の相対回転を規制する。これによって制動トルクを生じさせる。
具体的には、磁束ループMの主体部M1が、支持筒部15から第2側壁部13の側壁部本体13aを通って、回転体5の回転筒部27を介してケース3の本体壁部9へと至る。本体壁部9からは、磁束ループMの主体部M1が低磁気抵抗部45a、45b、45cを避けるようにして回転体5の回転筒部27及び本体壁部9を経て、回転体5の回転筒部27からフランジ部25へと至る。
フランジ部25では、磁束ループMの主体部M1から分岐部M2が分岐する。すなわち、磁束ループMの主体部M1は、フランジ部25の膨出部25cからケース3の支持筒部15へと至ってループが完結する。一方、分岐部M2は、回転体5のフランジ部25から回転軸部21の内端部21a及び中間部21bを介し、ベアリング35a及び35b間のスペーサ37からケース3の支持筒部15へと至る。
このとき、磁気粘性流体Fは、ケース3及び回転体5間の隙間に行き渡っており、ケース3の第2側壁部13と回転体5の回転筒部27との間、回転筒部27とケース3の本体壁部9との間、回転体5のフランジ部25とケース3の支持筒部15との間にも介在している。このため、それらケース3及び回転体5間では、磁束ループMの主体部M1の通過によって磁気粘性流体Fの粘性の変化が生じる。これにより、制動装置1では、相対回転するケース3及び回転体5との間で制動トルクを生じさせることができる。
ここで、ケース3及び回転体5間の隙間に行き渡っている磁気粘性流体Fは、回転体5の回転軸部21とケース3の支持筒部15との間にも介在するが、回転軸部21と支持筒部15との間では、磁気粘性流体Fに含有される磁性粒子がフィルター部材43によって捕捉され、その下流に位置するシール部材41へ磁性粒子が除かされた流体が供給される。
このため、シール部材41は、潤滑されつつ密封性を確保できると共に磁性粒子によって損傷することが防止される。結果として、制動装置1では、磁気粘性流体Fの漏れを抑制し、制動トルクを安定して発生させることができる。
制動トルクの発生に際しては、磁束ループMの分岐部M2が回転軸部21を通るため、ヨークとして機能する部分の断面積を増加させることができ、磁束ループMの磁束を増加することができる。この結果、磁束ループMは、主体部M1と分岐部M2とが分岐していない範囲において磁束密度を増加することができる。
つまり、本実施例では、ケース3の第2側壁部13と回転体5の回転筒部27との間、回転筒部27とケース3の本体壁部9との間において磁束ループMの磁束密度が増加しており、より高い制動トルクを発生することが可能となる。
このような制動動作時には、磁気粘性流体Fが発熱して熱膨張することがある。本実施例では、かかる熱膨張による磁気粘性流体Fの体積変化を、第1側壁部11がケース3の外側へ弾性変形することで吸収できる。
具体的には、磁気粘性流体Fが熱膨張すると、ケース3の収容室17内の圧力が上昇する。これに応じ、第1側壁部11は、図2のように曲げ部11cが弾性変形して側壁部本体11bをケース3外へ向けて変位させ、収容室17内の容積を増加させることができる。このとき、側壁部本体11b自体も、圧力によっては外側に膨出するように弾性変形する。これにより、収容室17内の容積を更に増加させることができる。かかる容積の増加により、熱膨張による磁気粘性流体Fの体積増加を吸収することができる。
熱膨張した磁気粘性流体Fが冷却されて体積が減少すると、ケース3の収容室17内の圧力が低下する。これにより、第1側壁部11は、曲げ部11c及び側壁部本体11bが弾性変形状態から復帰し、収容室17内の容積が減少することになる。かかる容積の減少により、冷却された磁気粘性流体Fの体積減少を吸収することができる。
[実施例1の効果]
本実施例のケース構造を有する制動装置1は、ケース3の第1側壁部11が収容室17内の圧力に応じて弾性変形して収容室17内の容積を変化させる弾性変形部材であるため、磁気粘性流体Fの熱膨張による体積変化に対するアキュムレーターを簡単な構造で実現できる。
すなわち、制動装置1は、内部にアキュムレーターを収容せずに、第1側壁部11によって磁気粘性流体Fの体積変化を吸収することができる。
また、第1側壁部11は、収容室17自体を区画するものであるため、少しの弾性変形で収容室17の容積を大きく変化させることができ、アキュムレーターとして十分な容量を容易に確保できる。 本実施例では、第1側壁部11が本体壁部9の内周に固定される固定部11aに対して曲げ部11cを介して側壁部本体11bが結合され、収容室17内の圧力に応じて曲げ部11cにより側壁部本体11bが固定部11aに対して変位するので、第1側壁部11の剛性を確保しながらも曲げ部11cによって弾性変形を実現できる。
1 制動装置(回転抵抗装置)
3 ケース
5 回転体
7 電磁コイル
15 支持筒部
21 回転軸部
35a、35b ベアリング
35aa、35ba アウターレース
35ab、35bb インナーレース
37 スペーサ
37a スペーサ本体
37b 突出部
F 磁気粘性流体
G 隙間

Claims (3)

  1. ケース内の収容室に粘性流体を封入すると共に回転体を相対回転自在に収容し、前記ケース及び回転体間で前記粘性流体の粘性によりトルク伝達を可能とする回転抵抗装置のケース構造であって、
    筒状の本体壁部と、
    該本体壁部の両側に各別に設けられ前記本体壁部と共に前記収容室を区画する側壁部とを備え、
    前記側壁部の一方は、前記収容室内の圧力に応じて弾性変形し前記収容室内の容積を変化させる弾性変形部材である、
    ことを特徴とするケース構造。
  2. 請求項1記載のケース構造であって、
    前記側壁部の一方は、前記本体壁部の内周に固定される固定部と、該固定部の内周側に配置された板状の側壁部本体と、前記固定部と側壁部本体との間を結合する曲げ部とを備え、前記収容室内の圧力に応じて前記曲げ部により前記側壁部本体が前記固定部に対して弾性変位する、
    ことを特徴とするケース構造。
  3. 請求項1又は2記載のケース構造であって、
    前記側壁部の一方は、非磁性体からなる、
    ことを特徴とするケース構造。
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