JP2018017262A - 流体動圧軸受装置、およびこれに用いるハウジングと軸受部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】パーシャルフィル構造の流体動圧軸受装置において、油漏れを確実に防止する。
【解決手段】流体動圧軸受装置1は、軸2と、内周に軸2が挿入された軸受部材8と、筒状の側部7aおよび側部7aの一端を閉塞する底部7bを有し、内周に軸受部材8を保持するハウジング7と、ハウジング7と軸受部材8との間に形成された第一通路11aを有し、軸2の下端(凸部2b)が面する空間Pを外気と連通する通気路11とを備え、少なくとも空間Pに油が供給されている。通気路11には、植毛部12が設けられる。
【選択図】図2
【解決手段】流体動圧軸受装置1は、軸2と、内周に軸2が挿入された軸受部材8と、筒状の側部7aおよび側部7aの一端を閉塞する底部7bを有し、内周に軸受部材8を保持するハウジング7と、ハウジング7と軸受部材8との間に形成された第一通路11aを有し、軸2の下端(凸部2b)が面する空間Pを外気と連通する通気路11とを備え、少なくとも空間Pに油が供給されている。通気路11には、植毛部12が設けられる。
【選択図】図2
Description
本発明は、流体動圧軸受装置に関する。
流体動圧軸受装置は、軸と軸受部材との相対回転に伴って、これらの間の軸受隙間に形成される油膜の圧力により、軸を相対回転自在に非接触支持するものである。流体動圧軸受装置は、内部に充填された油と外気との界面(油面)が一箇所のみに形成される、いわゆるフルフィル構造(例えば、下記の特許文献1参照)と、油面が複数箇所に形成される、いわゆるパーシャルフィル構造(例えば、下記の特許文献2参照)とに大別される。
フルフィル構造の流体動圧軸受装置は、油が外部に漏れにくいというメリットを有するが、空気を混入することなく軸受装置の内部に油を充填するために真空充填等を行う必要があるため、製造コストが高くなるという問題がある。
一方、パーシャルフィル構造の流体動圧軸受装置は、真空充填等を要することなく、容易に油を充填することができるが、油面が複数箇所に形成されるため、油面の位置が変動しやすく、油漏れが生じやすい。特に、ハウジングの内周面と軸受部材の外周面との間に、軸を挿入する際の空気抜き用の通気路が形成される場合、流体動圧軸受装置を傾けたり、流体動圧軸受装置に衝撃荷重が加わったりしたときに、上記の通気路を介して油漏れが生じやすい。
例えば、上記の特許文献2では、ハウジングの内周面と軸受部材の外周面との間のハウジング開口側端部に、通気路と連通する油溜まりを設けることにより、油漏れを防止している。しかし、単に油溜まりを形成するだけでは、油漏れを確実に防止することはできない。
そこで、本発明は、パーシャルフィル構造の流体動圧軸受装置において、油漏れを確実に防止することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、軸と、内周に前記軸が挿入された軸受部材と、筒状の側部および前記側部の一端を閉塞する底部を有し、内周に前記軸受部材を保持するハウジングと、前記ハウジングと前記軸受部材との間に形成された第一通路を有し、前記軸のハウジング閉塞側の端部が面する空間を外気と連通する通気路とを備え、少なくとも前記空間に油が供給された流体動圧軸受装置において、前記通気路に植毛部を設けたことを特徴とする。
このように、通気路に植毛部を設けることにより、軸のハウジング閉塞側の端部が面する空間の油が通気路を伝って大気開放側に移動しようとしたときに、この油を植毛部で捕捉することができるため、通気路を介した油漏れを確実に防止することができる。
前記通気路には、環状の油溜まりを設けることが好ましい。この場合、環状の油溜まりの全周に植毛部を設ければ、油と植毛部との接触領域が大きくなるため、油を植毛部で確実に捕捉することができる。
上記の流体動圧軸受装置は、例えば、前記ハウジングの内周面に固定されたシール部材を有し、前記通気路が、前記シール部材と前記軸受部材との間に第二通路を有する。この場合、前記通気路のうち、前記第二通路よりも前記空間側(ハウジング閉塞側)に前記植毛部を設ければ、通気路の油が第二通路に侵入してシール部材に接触することを防止できるため、油漏れをより一層確実に防止できる。
上記の流体動圧軸受装置は、例えば、筒状の側部と、前記側部の一端を閉塞する底部とを有し、内周に軸受部材を保持するハウジングであって、前記側部の内周面に、前記軸受部材の外周面との間に通気路を形成する通気路形成面が設けられ、該通気路形成面に植毛部を設けたことを特徴とするハウジングを用いて形成することができる。
また、上記の流体動圧軸受装置は、例えば、支持すべき軸が内周に挿入され、ハウジングの内周に保持される軸受部材であって、外周面に、前記ハウジングの内周面との間に通気路を形成する通気路形成面が設けられ、該通気路形成面に植毛部を設けたことを特徴とする軸受部材を用いて形成することができる。
以上のように、パーシャルフィル構造の流体動圧軸受装置において、通気路に植毛部を設けることにより、通気路を介した油漏れを確実に防止することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、情報機器、特に携帯電話やタブレット型端末等のモバイル機器に組み込まれる冷却用のファンモータを示す。このファンモータは、本発明の一実施形態に係る流体動圧軸受装置1と、流体動圧軸受装置1の軸2に装着されたロータ3と、ロータ3の外径端に取付けられた羽根4と、半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル6aおよびロータマグネット6bと、これらを収容するケーシング5とを備える。ステータコイル6aは、流体動圧軸受装置1の外周に取付けられ、ロータマグネット6bはロータ3の内周に取付けられる。ステータコイル6aに通電することにより、ロータ3、羽根4、及び軸2が一体に回転し、これにより軸方向あるいは外径方向の気流が発生する。
流体動圧軸受装置1は、図2に示すように、軸2と、ハウジング7と、軸受部材8と、シール部材9と、スラスト受け10とを備える。尚、以下では、説明の便宜上、軸方向(図2の上下方向)で、ハウジング7の開口側を上側、ハウジング7の底部7b側を下側と言う。
軸2は、ステンレス鋼等の金属材料で円柱状に形成される。軸2は、円筒面状の外周面2aと、下端に設けられた球面状の凸部2bとを有する。
ハウジング7は、略円筒状の側部7aと、側部7aの下端を閉塞する底部7bとを有し、内周に軸受部材8を保持する。図示例では、側部7aおよび底部7bが金属あるいは樹脂で一体に形成される。ハウジング7の内周面には、上端に設けられた第一内周面7a1と、第一内周面7a1の下方に設けられ、第一内周面7a1よりも小径な第二内周面7a2と、第二内周面7a2よりも下方に設けられ、第二内周面7a2よりも小径な第三内周面7a3とが形成される。第一内周面7a1と第二内周面7a2との間には、軸方向と直交する第一の肩面7a4が設けられ、第二内周面7a2と第三内周面7a3との間には、軸方向と直交する第二の肩面7a5が設けられる。底部7bの上側端面7b1の中央部には、樹脂製のスラスト受け10が配される。
軸受部材8は、金属あるいは樹脂で円筒状に形成される。本実施形態では、軸受部材8が焼結金属、例えば銅を20質量%以上含む焼結金属、具体的には銅を主成分とする銅系焼結金属、あるいは銅及び鉄を主成分とする銅鉄系焼結金属で形成される。
軸受部材8の内周面8aには、ラジアル動圧発生部として、例えば図3に示すようなへリングボーン形状の動圧溝Gが形成される。クロスハッチングで示す領域は、動圧溝Gよりも内径側に盛り上がった丘部である。図示例では、ヘリングボーン形状の動圧溝Gが、内周面8aの軸方向に隣接した2箇所の領域に形成される。上下の動圧溝Gは同一形状であり、各動圧溝Gは軸方向で対称な形状を成している。丘部の内径面は、同一円筒面上に連続して設けられる。
軸受部材8の外周面8dには、軸方向溝8d1が形成される。軸受部材8の上側端面8bおよび下側端面8cには、それぞれ半径方向溝8b1、8c1が形成される。本実施形態では、軸方向溝8d1、半径方向溝8b1、8c1が、それぞれ円周方向等間隔の複数箇所(例えば2箇所)に形成される。尚、軸方向溝8d1、半径方向溝8b1、8c1の数や周方向位置は任意であり、例えば、軸方向溝8d1と半径方向溝8b1、8c1とを異なる周方向位置に設けてもよい。軸受部材8の下側端面8cは、ハウジング7の第二の肩面7a5に当接している。
シール部材9は、樹脂あるいは金属で環状に形成され、ハウジング7の開口部に設けられる。図示例では、シール部材9が、円筒部9aと、円筒部9aの上端から内径向きに延びる円盤部9bとを備える。本実施形態では、シール部材9の円筒部9aの外周面9a1が、ハウジング7の第一内周面7a1の上端に、例えば圧入により固定される。シール部材9の円盤部9bの下側端面9b1は、軸受部材8の上側端面8bに当接している。軸受部材8の外周面8dと、シール部材9の円筒部9aの内周面9a2およびハウジング7の側部7aの第二内周面7a2とは、微小な隙間を介して嵌合している。
流体動圧軸受装置1には、軸2の下端(凸部2b)が面する空間P(図示例では、軸受部材8の下側端面8cよりも下方の空間)と外気とを連通する通気路11が設けられる。通気路11は、ハウジング7と軸受部材8との間に形成された第一通路11aと、シール部材9と軸受部材8との間に形成された第二通路11bと、油溜まり11cとを備える。
第一通路11aは、軸受部材8の外周面8dとハウジング7の側部7aの内周面との間に設けられた軸方向通路11a1と、軸受部材8の下側端面8cとハウジング7の第二の肩面7a5との間に設けられた半径方向通路11a2とを有する。本実施形態では、軸方向通路11a1が、軸受部材8の外周面8dの軸方向溝8d1と、ハウジング7の円筒面状の第二内周面7a2とで形成される。また、半径方向通路11a2が、軸受部材8の下側端面8cの半径方向溝8c1と、ハウジング7の平坦な第二の肩面7a5とで形成される。尚、軸受部材8に軸方向溝8d1および半径方向溝8c1を形成する代わりに、ハウジング7に軸方向溝および半径方向溝を形成し、これらで第一通路11aの軸方向通路11a1および半径方向通路11a2を形成してもよい。
第二通路11bは、軸受部材8の外周面8dとシール部材9の内周面との間に設けられた軸方向通路11b1と、軸受部材8の上側端面8bとシール部材9の下側端面との間に設けられた半径方向通路11b2とを有する。本実施形態では軸方向通路11b1が、軸受部材8の外周面8dの軸方向溝8d1と、シール部材9の円筒部9aの円筒面状の内周面9a2とで形成される。また、半径方向通路11b2が、軸受部材8の上側端面8bの半径方向溝8b1と、シール部材9の円盤部9bの平坦な下側端面9b1とで形成される。尚、軸受部材8に軸方向溝8d1および半径方向溝8b1を形成する代わりに、シール部材9に軸方向溝および半径方向溝を形成し、これらで第二通路11bの軸方向通路11b1および半径方向通路11b2を形成してもよい。
油溜まり11cは、通気路11の一部に設けられ、例えば、軸受部材8の外周面8dとハウジング7の内周面との間に設けられる。図示例では、油溜まり11cが、通気路11のうち、第一通路11aと第二通路11bとの間の領域に設けられる。具体的には、軸受部材8の外周面8dと、ハウジング7の第一内周面7a1および第一の肩面7a4と、シール部材9の円筒部9aの下端とで囲まれた領域が、油溜まり11cとなる。油溜まり11cは環状の空間である。油溜まり11cは、通気路11の他の領域(第一通路11aおよび第二通路11b)よりも横断面積(通気路11の延在方向と直交する方向の断面積)が大きい。
上記の流体動圧軸受装置1は、以下のような手順で組み立てられる。まず、ハウジング7の底部7bの上側端面7b1にスラスト受け10を固定する。そして、ハウジング7の側部7aの内周に、予め内部気孔に潤滑油を含浸させた軸受部材8(焼結含油軸受)を挿入し、ハウジング7の第二内周面7a2に嵌合させる。次に、シール部材9をハウジング7の第一内周面7a1に圧入し、シール部材9の円盤部9bの下側端面9b1とハウジング7の底部7bの第二の肩面7a5とで軸受部材8を軸方向両側から挟持することにより、軸受部材8をハウジング7に固定する。そして、軸受部材8の内周に潤滑油を点滴した後、軸受部材8の内周に軸2を挿入することで、流体動圧軸受装置1の組立が完了する。このとき、通気路11を介して空気が外部に抜けることで、軸2をスムーズに挿入することができる。
こうして組み立てられた流体動圧軸受装置1の内部には、油と大気との界面(油面)が複数箇所(本実施形態では2箇所)に形成される。具体的に、流体動圧軸受装置1の内部空間のうち、少なくとも軸2の下端が面する空間Pには油が供給され、図示例では空間Pが油で満たされている。また、上記空間Pに満たされた油が、軸2の外周面2aと軸受部材8の内周面8aとの間に隙間に毛細管力により侵入し、これにより軸受部材8の内周面8aの上端付近に油面が形成される。また、上記空間Pに満たされた油が通気路11に侵入し、これにより通気路11の途中に油面が形成される。図示例では、油溜まり11cに油面が形成される。尚、空間Pに供給された油に気泡が混じった状態や、空間Pに油と空気が混在した状態であってもよい。
本実施形態では、想定使用温度範囲内において、上記空間Pが常に油で満たされている。すなわち、流体動圧軸受装置1が低温環境下で使用される場合でも、上記空間Pは油で満たされ、油面が通気路11内に形成される。また、流体動圧軸受装置1が高温環境下で使用される場合でも、油面は、油溜まり11cの範囲内、すなわち、シール部材9の円筒部9aの下端よりも下方に配される。尚、低温時に、上記空間P内に油面が形成されてもよいが、この場合、少なくとも軸2の下端とスラスト受け10との接触部は油に浸漬されることが好ましい。
上記構成の流体動圧軸受装置1において、軸2が回転すると、軸受部材8の内周面8aと軸2の外周面2aとの間にラジアル軸受隙間が形成される。そして、軸受部材8の内周面8aに形成された動圧溝Gにより、ラジアル軸受隙間に形成される油膜の圧力が高められ、この油膜圧力により軸2がラジアル方向に非接触支持される。また、軸2の下端の凸部2bとスラスト受け10とが接触摺動することで、軸2がスラスト方向に支持される。
以下、本発明の特徴的構成である植毛部12について説明する。
通気路11には、植毛部12が設けられる。具体的には、通気路11を形成する軸受部材8、ハウジング7、およびシール部材9のうち、少なくとも一つに植毛を施すことにより、植毛部12が設けられる。植毛部12は、上記の部材のうち、少なくとも通気路11を形成する面(通気路形成面)に設けられる。植毛部12の少なくとも一部は、通気路11のうち、通常の使用状態では油と接触しない位置(流体動圧軸受装置1の想定使用温度範囲の最高温度における油面よりも大気開放側)に設けられる。本実施形態では、図2に示すように、通気路11の油溜り11cに植毛部12が設けられる。植毛部12は、油溜まり11cの全周に連続して設けられる。図示例では、植毛部12が、ハウジング7の表面のうち、通気路11を形成する通気路形成面に設けられる。詳しくは、図4に拡大して示すように、植毛部が、ハウジング7の表面のうち、油溜まり11cを形成する面に設けられ、より詳しくは、ハウジング7の第一内周面7a1の下端付近および第一の肩面7a4に設けられる。
植毛部12は、ハウジング7等の表面に短繊維を植毛して形成される。植毛方法としては、吹き付けや静電植毛を採用できる。中でも静電植毛は、ハウジング7の第一内周面7a1などの曲面部においても、多量の繊維を短時間で密に植毛できるため、好ましい。静電植毛方法としては、公知の方法を採用でき、例えば、静電植毛する範囲に接着剤を塗布し、短繊維を帯電させて静電気力により上記接着剤塗布面に略垂直に植毛した後、乾燥工程・仕上げ工程などを行なう方法が挙げられる。
植毛に用いる短繊維としては、植毛用短繊維として使用可能であれば特に限定されず、例えば、(1)ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンテフタレートなどのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、ビニロンなどの合成樹脂繊維、(2)カーボン繊維、グラスファイバーなどの無機繊維、(3)レーヨン、アセテートなどの再生繊維や、綿、絹、麻、羊毛などの天然繊維が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。油による膨潤や溶解などが生じにくく化学的に安定であり、均質な繊維を多量に生産することができ、安価に入手することができるため、上記の中でも合成樹脂繊維を用いることが好ましい。
短繊維の形状としては、例えば、長さ0.5〜2.0mm、太さ0.5〜50デシテックスのものが好ましい。植毛部の短繊維の密度としては、例えば、植毛した面積あたりに繊維の占める割合を10〜30%とすることが好ましい。短繊維の形状としてストレートやベンド(先端部が曲がった形状)があり、断面形状は円形や多角形状がある。ベンド形状の短繊維は、ストレート形状の短繊維と比較して、油をより確実に捕捉することができる。多角形状断面の短繊維は、円形断面の短繊維よりも表面積が大きいため、油の表面張力を大きくすることができる。植毛部12に要求される特性に合わせて、短繊維の形状を選定することが好ましい。
接着剤としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などを主成分とする接着剤が使用できる。具体的には、例えば、ウレタン樹脂溶剤系接着剤、エポキシ樹脂溶剤系接着剤、酢酸ビニル樹脂溶剤系接着剤、アクリル樹脂系エマルジョン接着剤、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン接着剤、酢酸ビニル系エマルジョン接着剤、ウレタン樹脂系エマルジョン接着剤、エポキシ樹脂系エマルジョン接着剤、ポリエステル系エマルジョン接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着剤などが使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の流体動圧軸受装置1を傾けたり、流体動圧軸受装置1に衝撃荷重が加わったりすると、油がシール部材9の下端に接触し、この油が、シール部材9と軸受部材8との間に形成される通気路11の第二通路11bを伝って、外部に漏れ出すおそれがある。そこで、上記のように、通気路11に植毛部12を設けることで、通気路11内の油を植毛部12で捕捉することができるため、通気路11を伝って油が外部に漏れ出すことを防止できる。特に、通気路11のうち、環状の油溜まり11cの全周に植毛部12を設けることで、植毛部12と油とを広い範囲で接触させ、より多くの油を補足することができるため、油漏れを確実に防止することができる。
本発明は上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記の実施形態と同様の点については説明を省略する。
上記の実施形態では、ハウジング7の第一内周面7a1および第一の肩面7a4に植毛部12を設けたが、これに限らず、例えば、ハウジング7の第一内周面7a1あるいは第一の肩面7a4の何れか一方のみに植毛部12を設けてもよい。また、ハウジング7に植毛部12を設ける代わりに、あるいはハウジング7の植毛部12に加えて、軸受部材8の外周面8dに植毛部を設けてもよい。例えば、軸受部材8の表面のうち、通気路11を形成する通気路形成面、特に油溜まり11cを形成する面、具体的には外周面8dのうち、シール部材9の下端とハウジング7の第一の肩面7a4との軸方向間領域に植毛部12を設けることができる。
また、植毛部12は、油溜まり11cに限らず、通気路11の他の領域(第一通路11aあるいは第二通路11b)に設けてもよい。ただし、シール部材9を伝って油漏れが生じることを防止するためには、シール部材9の下端よりも下方、すなわち油溜まり11cあるいは第一通路11aに植毛部12を設け、シール部材9と油との接触を回避することが好ましい。
図5に示す流体動圧軸受装置21は、ハウジング7およびシール部材の形状が上記の実施形態と異なる。具体的には、ハウジング7の内周面の上端に、第一内周面7a1よりも小径な第四内周面7a6が設けられ、第一内周面7a1と第四内周面7a6との間に第三の肩面7a7が設けられる。ハウジング7の第四内周面7a6に、環状のシール部材29の外周面29aが圧入される。シール部材29の下側端面29bは、軸受部材8の上側端面8bに当接している。
軸受部材8の外周面8dとハウジング7の第四内周面7a6との間に、通気路11の第一通路を構成する軸方向通路11a3が形成される。軸受部材8の上側端面8bとシール部材29の下側端面29bとの間に、通気路11の第二通路11bとなる半径方向通路が形成される。軸受部材8の外周面8dと、ハウジング7の第一内周面7a1、第一の肩面7a4、および第三の肩面7a7とで囲まれた空間が、油溜まり11cとなる。植毛部12は、通気路11に設けられ、例えば、油溜まり11cに設けられる。図示例では、油溜り11cを形成するハウジング7の第一内周面7a1および第一の肩面7a4に、植毛部12が設けられる。
図5の流体動圧軸受装置21では、シール部材29全体が軸受部材8よりも上方に設けられるため、シール部材29とハウジング7との固定領域を確保しようとすると、流体動圧軸受装置21の軸方向寸法が大きくなってしまう。これに対し、図2に示す流体動圧軸受装置1では、シール部材9とハウジング7との圧入領域を、軸受部材8の外径側に設けることで、上記圧入領域の一部を軸受部材8の軸方向領域に配することができるため、流体動圧軸受装置1の軸方向寸法を縮小することができる。
また、上記の実施形態では、軸受部材8およびハウジング7が固定され、軸2が回転する場合を示したが、これとは逆に、軸2を固定し、軸受部材8およびハウジング7側を回転させてもよい。
以上の流体動圧軸受装置は、ファンモータに限らず、HDD等のディスク駆動装置用のスピンドルモータや、レーザビームプリンタ用のポリゴンスキャナモータなどに組み込んで使用することもできる。
1 流体動圧軸受装置
2 軸
7 ハウジング
7a 側部
7b 底部
8 軸受部材
9 シール部材
9a 円筒部
9b 円盤部
10 スラスト受け
11 通気路
11a 第一通路
11b 第二通路
11c 油溜まり
12 植毛部
G 動圧溝
P 軸の下端が面する空間
2 軸
7 ハウジング
7a 側部
7b 底部
8 軸受部材
9 シール部材
9a 円筒部
9b 円盤部
10 スラスト受け
11 通気路
11a 第一通路
11b 第二通路
11c 油溜まり
12 植毛部
G 動圧溝
P 軸の下端が面する空間
Claims (6)
- 軸と、内周に前記軸が挿入された軸受部材と、筒状の側部および前記側部の一端を閉塞する底部を有し、内周に前記軸受部材を保持するハウジングと、前記ハウジングと前記軸受部材との間に形成された第一通路を有し、前記軸のハウジング閉塞側の端部が面する空間を外気と連通する通気路とを備え、少なくとも前記空間に油が供給された流体動圧軸受装置において、
前記通気路に植毛部を設けたことを特徴とする流体動圧軸受装置。 - 前記通気路が環状の油溜まりを備え、
前記油溜まりの全周に前記植毛部を設けた請求項1に記載の流体動圧軸受装置。 - 前記ハウジングの開口部に設けられたシール部材を有し、
前記通気路が、前記シール部材と前記軸受部材との間に形成された第二通路を有する請求項1又は2に記載の流体動圧軸受装置。 - 前記通気路のうち、前記第二通路よりも前記空間側に前記植毛部を設けた請求項3に記載の流体動圧軸受装置。
- 筒状の側部と、前記側部の一端を閉塞する底部とを有し、内周に軸受部材を保持するハウジングであって、
前記側部の内周面に、前記軸受部材の外周面との間に通気路を形成する通気路形成面が設けられ、該通気路形成面に植毛部を設けたことを特徴とするハウジング。 - 支持すべき軸が内周に挿入され、ハウジングの内周に保持される軸受部材であって、
外周面に、前記ハウジングの内周面との間に通気路を形成する通気路形成面が設けられ、該通気路形成面に植毛部を設けたことを特徴とする軸受部材。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019112057A1 (ja) * | 2017-12-08 | 2019-06-13 | Ntn株式会社 | 流体動圧軸受装置 |
US11519459B2 (en) | 2017-12-08 | 2022-12-06 | Ntn Corporation | Fluid dynamic bearing device |
-
2016
- 2016-07-26 JP JP2016146148A patent/JP2018017262A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019112057A1 (ja) * | 2017-12-08 | 2019-06-13 | Ntn株式会社 | 流体動圧軸受装置 |
US11519459B2 (en) | 2017-12-08 | 2022-12-06 | Ntn Corporation | Fluid dynamic bearing device |
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