JP2020020464A - 渦電流式ダンパ - Google Patents

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Abstract

【課題】ストローク端近傍における制動力を向上させる渦電流式ダンパを提供する。【解決手段】渦電流式ダンパ1は、ねじ軸2と、ボールナット3と、導電部材4と、磁石保持部材5と、複数の永久磁石6と、磁性流体収容部7と、を含む。ボールナット3は、ねじ軸2と噛み合う。円筒形状の導電部材4は、ボールナット3に固定される。磁石保持部材5は、導電部材4の内側に設けられ、ねじ軸2に固定される。複数の永久磁石6は、磁石保持部材5に固定され、導電部材4の円周方向に磁極の配置を交互に反転して配列され、導電部材4の内周面と隙間を空けて対向する。磁性流体収容部7は、導電部材4の外周面に設けられ、磁性流体を収容する。複数の永久磁石6は、ねじ軸2がストローク中央位置にあるときに磁性流体収容部7と対向せず、ねじ軸2がストローク中央位置から変位したときに磁性流体収容部7と対向する。【選択図】図2

Description

本発明は、渦電流式ダンパに関する。
地震等による振動から建築物を保護するために、建築物には制振装置が取り付けられる。制振装置は建築物に与えられた運動エネルギを熱エネルギ等の他のエネルギに変換することで、建築物の揺れを抑制する。このような制振装置として、渦電流式ダンパが知られている。
渦電流式ダンパはたとえば、特公平5−86496号公報(特許文献1)に開示される。
特許文献1の渦電流式ダンパは、主筒に取り付けられた複数の永久磁石と、ねじ軸に接続されたヒステリシス材と、ねじ軸と噛み合うボールナットと、ボールナットに接続された副筒と、を備える。複数の永久磁石は、磁極の配置が交互に異なる。ヒステリシス材は、複数の永久磁石と対向し、相対回転可能である。この渦電流式ダンパに運動エネルギが与えられると、副筒及びボールナットが軸方向に往復移動し、ボールねじの作用によってヒステリシス材が回転する。これにより、ヒステリシス損が生じ、運動エネルギが消費される。また、ヒステリシス材に渦電流が発生するため、渦電流損により運動エネルギが消費される(制動力が得られる)、と特許文献1には記載されている。
しかしながら、特許文献1の渦電流式ダンパでは、ボールナットの往復移動の端(ストローク端)においてヒステリシス材の回転方向が切り替わる。そのため、ボールナットがストローク端に近づくにつれヒステリシス材の回転速度は低下し、発生する渦電流の強さが弱くなる。すなわち、特許文献1の渦電流式ダンパではその構造上、ボールナットのストローク端近傍において渦電流による制動力の低下が避けられない。
一方、建築物に取り付けられるダンパとしては、渦電流式ダンパ以外にも粘性流体を用いた流体式ダンパが知られている。流体式ダンパでもピストンが往復移動することで制動力が得られるため、ピストンのストローク端近傍で制動力は低下する。
この流体式ダンパのストローク端での制動力の低下を改善する発明が、国際公開第2007/091399号(特許文献2)に開示されている。
特許文献2の流体式ダンパでは、シリンダ内に磁性流体が封入され、ピストンロッドが磁性部及び非磁性部から構成されている。ピストンロッドがストローク中央近傍にある場合は通常の流体式ダンパ同様に磁性流体の粘性抵抗で制動力を得る。一方、ピストンロッドがストローク端近傍に近づくと、ピストンロッドの磁性部が磁場発生装置(磁石等)に近づくことにより、磁気回路が形成される。この磁気回路の磁場により磁性流体の粘性抵抗が高まるため、ストローク端近傍における制動力を向上できる、と特許文献2には記載されている。
特公平5−86496号公報 国際公開第2007/091399号
しかしながら、特許文献2の発明は、流体式ダンパに関するものであり、渦電流式ダンパとは根本的に構造が異なる。そのため、特許文献2の技術を渦電流式ダンパに採用することは困難である。
本発明の目的は、ストローク端近傍における制動力を向上させる渦電流式ダンパを提供することである。
本発明の渦電流式ダンパは、ねじ軸と、ボールナットと、導電部材と、磁石保持部材と、複数の永久磁石と、磁性流体収容部と、を含む。ボールナットは、ねじ軸と噛み合う。円筒形状の導電部材は、ボールナットに固定される。磁石保持部材は、導電部材の内側に設けられ、ねじ軸に固定される。複数の永久磁石は、磁石保持部材に固定され、導電部材の円周方向に磁極の配置を交互に反転して配列され、導電部材の内周面と隙間を空けて対向する。磁性流体収容部は、導電部材の外周面に設けられ、磁性流体を収容する。複数の永久磁石は、ねじ軸がストローク中央位置にあるときに磁性流体収容部と対向せず、ねじ軸がストローク中央位置から変位したときに磁性流体収容部と対向する。
本発明の渦電流式ダンパによれば、ストローク端近傍における制動力を向上させることができる。
図1は、第1実施形態の渦電流式ダンパの軸方向に沿った面での断面図である。 図2は、図1の一部拡大図である。 図3は、図2中のIII−III線での断面図である。 図4は、図3の一部拡大図である。 図5は、第1実施形態の渦電流式ダンパの磁気回路を示す模式図である。 図6は、図1に示す状態からねじ軸がストローク端近傍まで変位した渦電流式ダンパの断面図である。 図7は、第2実施形態の渦電流式ダンパの軸方向に沿った面での断面図である。
(1)本実施形態の渦電流式ダンパは、ねじ軸と、ボールナットと、導電部材と、磁石保持部材と、複数の永久磁石と、磁性流体収容部と、を含む。ボールナットは、ねじ軸と噛み合う。円筒形状の導電部材は、ボールナットに固定される。磁石保持部材は、導電部材の内側に設けられ、ねじ軸に固定される。複数の永久磁石は、磁石保持部材に固定され、導電部材の円周方向に磁極の配置を交互に反転して配列され、導電部材の内周面と隙間を空けて対向する。磁性流体収容部は、導電部材の外周面に設けられ、磁性流体を収容する。複数の永久磁石は、ねじ軸がストローク中央位置にあるときに磁性流体収容部と対向せず、ねじ軸がストローク中央位置から変位したときに磁性流体収容部と対向する。
このような上記(1)の渦電流式ダンパによれば、振動によりねじ軸が変位し、導電部材が回転すると、導電部材に渦電流が発生する。渦電流により生じる反磁界によって導電部材の回転が妨げられ、振動を減衰させる制動力が得られる。また、渦電流式ダンパでは、建物の振動に同期してねじ軸が往復運動(ストローク)する。そのため、ねじ軸の変位が大きくなる(ストローク端に近づく)に従いねじ軸の軸方向の速度は低下し、永久磁石の回転速度も低下する。永久磁石の回転速度が低下すると渦電流による制動力は低下する。そこで、本実施形態の渦電流式ダンパでは、ねじ軸が変位した際に永久磁石を磁性流体収容部と対向させる。この際永久磁石が形成する磁場の影響を受け、磁性流体収容部内の磁性流体の粘性抵抗が高くなり、磁性流体と接する導電部材の回転が妨げられる。これにより、ストローク端近傍において渦電流による制動力が低下しても、磁性流体の粘性による制動力が増大するため、渦電流式ダンパ全体として高い制動力を発揮できる。
上記(1)の渦電流式ダンパは、次の(2)又は(3)の構成とすることができる。
(2)上記(1)の渦電流式ダンパにおいて、磁性流体収容部は、第1磁性流体収容部と、第1磁性流体収容部に対して、導電部材の軸方向に複数の永久磁石の長さ以上の間隔を空けて設けられた第2磁性流体収容部と、を含む。この場合、複数の永久磁石は、ねじ軸がストローク中央位置にあるときに第1磁性流体収容部と第2磁性流体収容部との間隔に対応する位置にある。
(3)上記(1)の渦電流式ダンパにおいて、複数の永久磁石は、第1永久磁石列と、第1永久磁石列に対して、導電部材の軸方向に磁性流体収容部の長さ以上の間隔を空けて設けられた第2永久磁石列と、を含む。この場合、磁性流体収容部は、ねじ軸がストローク中央位置にあるときに第1永久磁石列と第2永久磁石列との間隔に対応する位置にある。
以下、図面を参照して、本実施形態の渦電流式ダンパについて説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の渦電流式ダンパの軸方向に沿った面での断面図である。渦電流式ダンパ1は、ねじ軸2と、ボールナット3と、導電部材4と、磁石保持部材5と、複数の永久磁石6と、磁性流体収容部7と、を含む。以下、各構成について詳述する。
[ねじ軸]
図2は、図1の一部拡大図である。ねじ軸2は、直線状に延びる部材であり、建物に取り付けられた取付具21に固定される。建物が揺れるとその振動は、取付具21を介してねじ軸2に伝達され、ねじ軸2が軸方向に変位し、振動に同期して往復運動(ストローク)する。図1及び図2では、ねじ軸2がストローク中央位置にある状態を示す。ストローク中央位置とは、ねじ軸2の軸方向に沿った往復移動範囲の中央を意味する。渦電流式ダンパ1は、ねじ軸2をストローク中央位置にして、建物に取り付けられる。ねじ軸2の外周面にはねじ部が形成されている。
[ボールナット]
ボールナット3は、ねじ軸2とボールねじを構成し、ねじ軸2が軸方向に変位するとボールナット3は回転する。すなわち、ボールナット3はねじ軸2の並進運動を回転運動に変換する。
ボールナット3は、貫通孔と、フランジ部とを含む。貫通孔にはねじ軸2が通され、貫通孔の内周面には、ねじ軸2のねじ部と噛み合うねじ部が形成されている。フランジ部は、軸方向から見て、中空の円板形状である。
[導電部材]
導電部材4の一方の端部は、ボールナット3のフランジ部に固定される。したがって、ボールナット3が回転すると、それに伴って導電部材4も回転する。導電部材4の他方の端部は、スラスト軸受11を介して取付具22に取り付けられる。したがって、導電部材4が回転しても取付具22は回転しない。
導電部材4は円筒形状であり、内部(円筒の内部空間)にはボールナット3の一部、ねじ軸2の一部、磁石保持部材5及び永久磁石6が収容される。導電部材4の内部にボールナット3等を収容することで渦電流式ダンパを小型にすることができる。永久磁石6が形成する磁場によって渦電流を発生させるため、導電部材4の材質は鋼等の導電性を有する材料である。
[磁石保持部材]
磁石保持部材5は、導電部材4の内部に設けられ、ねじ軸2に固定される。したがって、ねじ軸2がその軸方向に変位することに伴い、磁石保持部材5もねじ軸2の軸方向に変位する。
磁石保持部材5は、複数の永久磁石6を保持する。永久磁石6からの磁束を外部に漏れにくくするため、磁石保持部材5の材質は炭素鋼、鋳鉄等の磁性体であるのが好ましい。この場合、磁石保持部材5はヨークとしての役割を果たす。磁石保持部材5は断面形状が円形の外周面を含む。
[永久磁石]
図3は、図2中のIII−III線での断面図である。複数の永久磁石6は、磁石保持部材5の外周面に固定される。複数の永久磁石6は、磁石保持部材5の円周方向(すなわち導電部材4の円周方向)に配列され、隣接する2つの永久磁石6の間には隙間が設けられる。
複数の永久磁石6は、導電部材4の径方向において導電部材4の内周面と隙間を空けて対向する。隙間の大きさは、永久磁石6からの磁束を導電部材4に効率的に到達させるため、可能な限り小さいほうが好ましい。また、各永久磁石6と導電部材4の内周面との距離は一定であるのが好ましい。
図4は、図3の一部拡大図である。複数の永久磁石6は、導電部材4の円周方向に磁極の配置を交互に反転して配列される。別の言葉で言えば、導電部材4の円周方向において隣接する永久磁石6同士は互いに磁極の配置が反転する。なお、図4では、永久磁石6の磁極の配置が導電部材4の径方向である場合を示すが、磁極の配置はこれに限られず、導電部材4の軸方向(すなわちねじ軸2の軸方向)であってもよい。
[磁性流体収容部]
図2を参照して、磁性流体収容部7は、第1磁性流体収容部7Aと、第2磁性流体収容部7Bとを含む。第1磁性流体収容部7Aと第2磁性流体収容部7Bとは、構造が同じである。したがって、以下では、特に断りのない限り第1磁性流体収容部7Aについて説明し、単に「磁性流体収容部7」と言う。
磁性流体収容部7は、導電部材4の外周面上に設けられ、その内部に密閉空間を有する。この密閉空間には磁性流体が収容される。磁性流体は特に限定されず、周知のものを用いてよい。
具体的には、磁性流体収容部7は、導電部材4の外周面、カバー12の内面及び2つのシール部材13で構成される。
カバー12は、導電部材4及びボールナット3を収容する。カバー12の一方の端は、ボールナット3にスラスト軸受11及びラジアル軸受14を介して取り付けられ、カバー12の他方の端は、ラジアル軸受14を介して導電部材4に支持され、建物に取り付けられた取付具22に固定される。したがって、ボールナット3が回転しても、カバー12は回転しない。
シール部材13は、リング形状であり、導電部材4の外周面とカバー12の内面との間を隙間なく埋める。これにより、磁性流体が外部に漏れることを抑制できる。また、シール部材13は軸受としての機能を有し、導電部材4の回転を許容する。シール部材13はたとえば、内部にばねを有するオイルシール等である。
図3を参照して、磁性流体収容部7は、導電部材4の外周面上に導電部材4の円周方向全域にわたって設けられる。
図2を参照して、磁性流体収容部7の配置について説明する。第1磁性流体収容部7Aは導電部材4の一方の端部近傍の外周面上に設けられ、第2磁性流体収容部7Bは導電部材4の他方の端部近傍の外周面上に設けられる。第2磁性流体収容部7Bは、第1磁性流体収容部7Aに対して導電部材4の軸方向に、複数の永久磁石6の長さ以上の間隔を空けて設けられる。複数の永久磁石6の長さとは、導電部材4の軸方向に沿った永久磁石6の長さを意味する。
ねじ軸2がストローク中央位置にあるとき、複数の永久磁石6は、第1磁性流体収容部7Aと第2磁性流体収容部7Bとの間隔に対応する位置にある。すなわち、複数の永久磁石6は、ねじ軸2がストローク中央位置にあるときに第1磁性流体収容部7A及び第2磁性流体収容部7Bと対向しない。複数の永久磁石6は、ねじ軸2がストローク中央位置から変位したときに第1磁性流体収容部7A又は第2磁性流体収容部7Bと対向する。なお、「対向」とは、対象物同士を導電部材4の径方向に投影したときに両者が重複していることを意味する。
複数の永久磁石6が磁性流体収容部7と対向するためのねじ軸2の変位量は特に限定されず、必要な制動力等を考慮して適宜設定されればよい。たとえば、ねじ軸2がストローク中央位置から僅かに変位したときに、永久磁石6が磁性流体収容部7と対向するように構成してもよい。その他にもたとえば、ねじ軸2がストローク中央位置からある程度変位したときに、永久磁石6が磁性流体収容部7と対向するように構成してもよい。
[渦電流式ダンパの制動力]
このような構成の第1実施形態の渦電流式ダンパの制動力について説明する。第1実施形態の渦電流式ダンパの制動力としては、渦電流による制動力と、磁性流体の粘性による制動力との2つがある。
[渦電流による制動力]
まず、渦電流による制動力について説明する。
図5は、第1実施形態の渦電流式ダンパの磁気回路を示す模式図である。複数の永久磁石6は、隣接する永久磁石同士で磁極が反転している。そのため、ある永久磁石6のN極から出た磁束は、磁石保持部材5を通り、隣接する永久磁石6のS極に到達する。この永久磁石6のN極から出た磁束は、導電部材4を通り、永久磁石6のS極に到達する。すなわち、隣接する2つの永久磁石6、磁石保持部材5及び導電部材4によって磁気回路が形成される。
渦電流式ダンパに振動が加えられ導電部材4が回転すると、導電部材4の内周面を通過する磁束が変化し、これにより導電部材4に渦電流が発生する。渦電流が発生すると、新たな磁束(反磁界)が生じる。この反磁界は、導電部材4の回転を妨げる(すなわちボールナット3の回転を妨げる)方向に働く。ボールナット3の回転が妨げられると、ねじ軸2の軸方向への運動も妨げられ、振動が減衰する。これが渦電流による制動力となる。
[磁性流体の粘性による制動力]
次に、磁性流体の粘性による制動力について説明する。
図3を参照して、渦電流式ダンパに振動が加えられ導電部材4が回転すると、導電部材4の外周面は磁性流体と接しているため、導電部材4は粘性抵抗を受ける。この粘性抵抗は、導電部材4の回転を妨げる方向に働く。これが、磁性流体の粘性による制動力となる。
このように、第1実施形態の渦電流式ダンパは、渦電流による制動力を主たる制動力としつつ、磁性流体の粘性による制動力も合わせて持つ。しかしながら、渦電流による制動力は、常に一定ではなく、ストローク中央位置からのねじ軸2の変位(ねじ軸2の軸方向の速度)に応じて変動する。
ストローク中のねじ軸2の軸方向の速度を見ると、図2に示されるようにねじ軸2がストローク中央位置を通過するとき、ねじ軸2の軸方向の速度は最大となる。ねじ軸2の軸方向の速度とボールナット3の回転速度(すなわち導電部材4の回転速度)とは比例関係にあるため、ストローク中央位置では導電部材4の回転速度も最大となる。つまり、ストローク中央位置では導電部材4に強い渦電流が発生し、十分な制動力が得られる。
しかしながら、ねじ軸2がストローク中央位置から変位すると、ねじ軸2の軸方向の速度はねじ軸2がストローク端に近づくにつれ低下し、ストローク端では0となる。そのため、ねじ軸2がストローク端近傍にあるとき、渦電流式ダンパの制動力はストローク中央位置の場合と比べて低下する。
図6は、図1に示す状態からねじ軸がストローク端近傍まで変位した渦電流式ダンパの断面図である。第1実施形態の渦電流式ダンパでは、ねじ軸2がストローク端近傍に差し掛かると、永久磁石6が磁性流体収容部7と対向するようになる。永久磁石6が磁性流体収容部7と対向すると、磁性流体収容部7内の磁性流体の粘度が永久磁石6による磁場の影響を受け増加する。その結果、導電部材4が磁性流体から受ける粘性抵抗が大きくなり、磁性流体の粘性による制動力が増加する。すなわち、第1実施形態の渦電流式ダンパによれば、ストローク端近傍において渦電流による制動力が弱まっても、磁性流体の粘性による制動力が高まるため、渦電流式ダンパ全体として高い制動力を発揮できる。
なお、上述したように、ねじ軸2がストローク中央位置にあるときは渦電流による制動力が十分に得られるため、永久磁石6と磁性流体収容部7とを対向させる必要はない。また、ねじ軸2がストローク中央位置にあるときにも永久磁石6と磁性流体収容部7とが対向すると、ねじ軸2の最大速度が低下し、渦電流による制動力が低下する。そのため、第1実施形態の渦電流式ダンパでは、ねじ軸2がストローク中央位置にあるときには、永久磁石6と磁性流体収容部7とは対向しないこととしている。
以上、第1実施形態の渦電流式ダンパについて説明した。しかしながら、本発明の渦電流式ダンパは、上述の第1実施形態に限られず、次のような実施形態とすることもできる。
[第2実施形態]
第2実施形態の渦電流式ダンパについて説明する。上述の第1実施形態では磁性流体収容部が2箇所設けられていたが、第2実施形態の渦電流式ダンパでは導電部材の周方向に配列された複数の永久磁石が2箇所設けられる点で第1実施形態と相違する。以下の説明では、第1実施形態と異なる構成についてのみ説明し、同一の構成については説明を省略する。
[永久磁石]
図7は、第2実施形態の渦電流式ダンパの軸方向に沿った面での断面図である。複数の永久磁石6は、第1永久磁石列6Aと、第2永久磁石列6Bとを含む。
第1永久磁石列6Aでは、複数の永久磁石6が導電部材4の円周方向に磁極の配置を交互に反転して配列される。第2永久磁石列6Bも同様である。
第1永久磁石列6A及び第2永久磁石列6Bの配置について説明する。第2永久磁石列6Bは、第1永久磁石列6Aに対して、導電部材4の軸方向に磁性流体収容部7の長さ以上の間隔を空けて設けられる。磁性流体収容部7の長さとは、導電部材4の軸方向に沿った磁性流体収容部7の長さを意味する。
[磁性流体収容部]
磁性流体収容部7は、導電部材4の軸方向中央近傍に1箇所設けられる。ねじ軸2がストローク中央位置にあるとき、磁性流体収容部7は、第1永久磁石列6Aと第2永久磁石列6Bとの間隔に対応する位置にある。すなわち、ねじ軸2がストローク中央位置にあるとき、第1永久磁石列6A及び第2永久磁石列6Bは、磁性流体収容部7と導電部材4の径方向において対向しない。
このような第2実施形態の渦電流式ダンパでも第1実施形態と同様に、ねじ軸2がストローク中央位置にあるときには導電部材4に強い渦電流が発生し、十分な制動力が得られる。ねじ軸2がストローク端近傍に差し掛かったときには磁性流体の粘度(粘性抵抗)が増加し、磁性流体による制動力を高めることができる。
以上、本実施形態の渦電流式ダンパについて説明した。その他、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
本発明の渦電流式ダンパは、建造物の制振装置及び免震装置に有用である。
1:渦電流式ダンパ
2:ねじ軸
3:ボールナット
4:導電部材
5:磁石保持部材
6:永久磁石
7:磁性流体収容部
12:カバー
13:シール部材
21:取付具
22:取付具

Claims (3)

  1. ねじ軸と、
    前記ねじ軸と噛み合うボールナットと、
    前記ボールナットに固定された円筒形状の導電部材と、
    前記導電部材の内側に設けられ、前記ねじ軸に固定された磁石保持部材と、
    前記磁石保持部材に固定され、前記導電部材の円周方向に磁極の配置を交互に反転して配列され、前記導電部材の内周面と隙間を空けて対向する複数の永久磁石と、
    前記導電部材の外周面に設けられ、磁性流体を収容する磁性流体収容部と、を備え、
    前記複数の永久磁石は、前記ねじ軸がストローク中央位置にあるときに前記磁性流体収容部と対向せず、前記ねじ軸が前記ストローク中央位置から変位したときに前記磁性流体収容部と対向する、渦電流式ダンパ。
  2. 請求項1に記載の渦電流式ダンパであって、
    前記磁性流体収容部は、
    第1磁性流体収容部と、
    前記第1磁性流体収容部に対して、前記導電部材の軸方向に前記複数の永久磁石の長さ以上の間隔を空けて設けられた第2磁性流体収容部と、を含み、
    前記複数の永久磁石は、前記ねじ軸がストローク中央位置にあるときに前記第1磁性流体収容部と前記第2磁性流体収容部との間隔に対応する位置にある、渦電流式ダンパ。
  3. 請求項1に記載の渦電流式ダンパであって、
    前記複数の永久磁石は、
    第1永久磁石列と、
    前記第1永久磁石列に対して、前記導電部材の軸方向に前記磁性流体収容部の長さ以上の間隔を空けて設けられた第2永久磁石列と、を含み、
    前記磁性流体収容部は、前記ねじ軸がストローク中央位置にあるときに前記第1永久磁石列と前記第2永久磁石列との間隔に対応する位置にある、渦電流式ダンパ。
JP2018147116A 2018-08-03 2018-08-03 渦電流式ダンパ Active JP7050619B2 (ja)

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