JP2010281407A - 制振機構およびその設置方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】慣性質量要素としての回転慣性質量ダンパーとばね要素としての皿ばねとを直列に接続したダンパー機構5を上下の構造部材(上下の床1,2)の間に介装する。ダンパー機構5に対して支柱6を直列に接続して、ダンパー機構5を支柱6を介して上下の構造部材間に介装する。支柱6を伸縮機構7により伸縮可能としておき、支柱6を縮退させた状態で上下の構造部材間に配置した後、支柱6を伸張させて支柱6およびダンパー機構5を上下の構造部材に押圧せしめることによりダンパー機構5を自立状態で設置する。
【選択図】図1
Description
また、床や梁の上下振動対策を目的とするものではないが、特許文献2には免震対象物の水平振動を歯車列からなる伝達機構を介して回転質量体(回転錘)の回転運動に変換し、それにより生じる回転慣性質量を利用してTMDとして機能させる免震装置についての開示がある。
また、特許文献2に示されるような回転慣性質量を利用する免震装置を上下制振装置として適用することも考えられ、その場合には回転質量体の所要質量は軽減できるが、従来のこの種の免震装置は複雑な歯車列による伝達機構を備えるものであるので装置全体が複雑に過ぎ、必然的に高価なものにならざるを得ず、普及するに至っていない。
特に本発明におけるダンパー機構は、小形軽量の回転慣性質量ダンパーと単なる皿ばねとを直列に接続しただけの簡単な構成であって複雑高度な機構を必要とせず、したがって充分に安価に製作できるものであるし、制御対象の構造部材の間に簡単かつ安価に設置可能であってさしたる設置スペースも必要とせず、特に建物の床や梁を対象としてその上下振動を低減するための制振機構として好適である。
したがって、建物にこの制振機構を設置する際には支柱6を縮退させた状態で所望位置に配置した後、伸縮機構7の操作により支柱6を伸張させて皿ばね4を所定量だけ撓ませた状態で上階の床1に対して押圧せしめることにより、この制振機構全体を上下の床1,2の間に突っ張る状態で安定に自立させることができるようになっている。
勿論、伸縮機構7の操作のみで自立に必要な適正な押圧力や皿ばね4の初期撓み量を適正に設定できるし、位置の変更や撤去が必要な場合には伸縮機構7を緩めるだけでその作業が可能である。
また、図2に示すように、上階の床1の下面に取付板8をピン8aによって固定してその取付板8に対して皿ばね4を押圧させれば良いが、制振機構の万一の転倒を防止するために、図1(a)に示すように支柱6の上部を転倒防止用チェーン9によって上階の床1に連結しておくことが好ましい。
また、フライホイール12の下面側には磁石13が取り付けられているとともに、その磁石13と僅かな距離をおいて金属板14が対向配置されていて、それらにより電磁誘導作用を利用した減衰機構15が構成されている。
この回転慣性質量ダンパー3は、上下の床1,2の間で上下方向の相対振動が生じると、皿ばね4が上下方向に弾性変形するとともにその皿ばね4を介してボールねじ軸11が押し下げられてボールナット10に対して回転(自転)しつつ上下動し、そのボールねじ軸11とともにフライホイール12が回転して大きな回転慣性質量が生じ、それが制振力として床1に作用して優れた制振効果が得られるものである。
また、フライホイール12とともに磁石13も回転することにより金属板14に渦電流が生じ、電磁誘導による減衰効果も得られる。
主振動系としての床1の有効質量M=17.5ton、剛性K=11444N/mm、減衰定数1%、1次固有振動数4.07Hzである。
付加振動系を構成する回転慣性質量ダンパー3におけるフライホイール12としてPL40-109.5φ、質量2.96kgのものを使用する。それによる上下方向の慣性質量m=1.75ton、したがって質量比m/M=0.1となる。回転慣性質量ダンパー3における減衰機構15の減衰係数c=21.5N/mm/sとする。付加ばねとしての皿ばね4の剛性k=1457N/mm(外径63mm、内径31mmのJIS軽量用皿ばねを4枚重ねで使用)とする。
そして本発明の制振機構は構成が単純で簡略であるので充分に安価に製作できるものであるし、単なる支柱6を介して上下の床1,2の間に自立状態で設置することが可能であるからさしたる設置スペースを必要とせず、しかも伸縮機構7の操作のみで極めて簡単に施工することが可能である。
上記実施形態では回転慣性質量ダンパー3の上部に皿ばね4を接続して、皿ばね4を上階の床1に対して接続するとともに回転慣性質量ダンパー3を支柱6を介して下階の床2に接続するようにしたが、要は回転慣性質量ダンパー3と皿ばね4を直列に接続したダンパー機構5を上下の構造部材の間に介装すれば良いのであって、その限りにおいて回転慣性質量ダンパー3と皿ばね4と支柱6の位置関係は任意であり、ダンパー機構5の天地を逆にしたり、さらに支柱6も含めた制振機構の全体の天地を逆にすることも可能である。
さらに、上記実施形態のように支柱6に伸縮機構7を設置しておいてその操作のみで支柱6を自立状態で設置することが最も好ましいが、それに限るものでもなく、伸縮機構7を省略して他の手法で設置することも不可能ではない。
たとえば回転慣性質量ダンパー3としては上記実施形態のようにボールねじ機構によるものが好適ではあるもののそれに限定されるものではなく、所望の回転慣性質量効果が得られるものであれば適宜の形式のものを任意に採用可能である。
また、上記実施形態では回転慣性質量ダンパー3に磁石13と金属板14とによる減衰機構15を備えるものとしたが、それに代えてたとえばオイルダンパー等の他の構成の減衰機構15を回転慣性質量ダンパー3に並列に設置する(図3(a)参照)ことでも良いし、ボールねじ機構の内部抵抗(グリースの粘性や摩擦)を減衰に利用できる場合には格別の減衰機構を備えることはない。
2 下階の床(構造部材)
3 回転慣性質量ダンパー(慣性質量要素)
4 皿ばね(ばね要素)
5 ダンパー機構
6 支柱
6a 上部支柱
6b 下部支柱
7 伸縮機構
7a 順ねじ部
7b 逆ねじ部
7c ピン
8 取付板
8a ピン
9 転倒防止用チェーン
10 ボールナット
11 ボールねじ軸
12 フライホイール
13 磁石
14 金属板
15 減衰機構
Claims (3)
- 上下方向に離間して設置されている上下の構造部材の間に介装されてそれらの間に生じる上下方向の相対振動を抑制するための制振機構であって、
慣性質量要素としての回転慣性質量ダンパーとばね要素としての皿ばねとが直列に接続されたダンパー機構が前記上下の構造部材の間に介装されてなることを特徴とする制振機構。 - 請求項1記載の制振機構であって、
前記ダンパー機構に対して支柱を直列に接続し、前記ダンパー機構を該支柱を介して前記上下の構造部材間に介装してなることを特徴とする制振機構。 - 請求項2記載の制振機構を上下の構造部材間に設置するための設置方法であって、
前記支柱を伸縮機構により伸縮可能としておき、該支柱を縮退させた状態で該支柱および前記ダンパー機構を前記上下の構造部材間に配置した後、前記伸縮機構の操作により該支柱を伸張させて該支柱および前記ダンパー機構を上下の構造部材に押圧せしめることにより、前記制振機構を自立状態で設置することを特徴とする制振機構の設置方法。
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