本実施形態の渦電流式ダンパは、ねじ軸と、複数の磁石保持リングと、複数の第1永久磁石と、複数の第2永久磁石と、円筒形状の導電部材と、ねじ軸と噛み合うボールナットと、を備える。複数の磁石保持リングは、ねじ軸の軸方向に連結される。複数の第1永久磁石は、複数の磁石保持リングのそれぞれに保持される。複数の第1永久磁石は、各々が磁石保持リングの円周方向に沿って配列される。複数の第2永久磁石は、複数の磁石保持リングのそれぞれに保持される。複数の第2永久磁石は、各々が第1永久磁石同士の間に配置され、第1永久磁石と磁極の配置を反転される。導電部材は、連結された複数の磁石保持リングと対をなす。導電部材は、導電性を有し、第1永久磁石及び第2永久磁石と隙間を空けて対向する。ボールナットは、磁石保持リング及び導電部材の内部に配置されて磁石保持リング又は導電部材に固定される。
本実施形態の渦電流式ダンパによれば、ダンパに運動エネルギが与えられると、ねじ軸が軸方向に移動する。ねじ軸の軸方向の移動により、ボールナットが回転する。これにより、第1及び第2永久磁石のそれぞれによって生じる磁界の中で、導電部材が第1及び第2永久磁石に対して相対回転する。その際、導電部材の表面のうち、第1及び第2永久磁石のそれぞれと対向する領域にそれぞれ渦電流が発生する。これにより、回転する導電部材に制動トルクが与えられ、減衰力が発生する。
本実施形態の渦電流式ダンパでは、要求される減衰力ごとに、磁石保持リングの数が選定される。そして、選定された数の磁石保持リングが連結される。連結された磁石保持リングの総長さに対応する長さの導電部材が選択される。選択された導電部材が組み付けられる。これにより、減衰力の調整を容易に行える。磁石保持リングの数の増加に応じて、減衰力を示す制動トルクは増加する。
上記した本実施形態の渦電流式ダンパは、下記の(1)〜(4)のいずれかの構成を採用することができる。
(1)磁石保持リングが導電部材の内側に配置される。第1永久磁石及び第2永久磁石が磁石保持リングの外周面に取り付けられる。ボールナットが磁石保持リングに固定される。
この場合、導電部材の内周面が、第1及び第2永久磁石と隙間を空けて対向する。ねじ軸の軸方向の移動により、ボールナット及び磁石保持リングが回転する。一方、導電部材は回転しない。これにより、第1及び第2永久磁石から導電部材を通過する磁束が変化し、導電部材の内周面に渦電流が発生する。この渦電流によって反磁界が発生し、回転する磁石保持リングに反力(制動トルク)が与えられる。その結果、ねじ軸が減衰力を受ける。
また、この場合、導電部材が磁石保持リングの外側に配置されて外気と接する。これにより、導電部材は外気によって冷却される。その結果、導電部材の温度上昇を抑制できる。
(2)導電部材が磁石保持リングの内側に配置される。第1永久磁石及び第2永久磁石が磁石保持リングの内周面に取り付けられる。ボールナットが導電部材に固定される。
この場合、導電部材の外周面が、第1及び第2永久磁石と隙間を空けて対向する。ねじ軸の軸方向の移動により、ボールナット及び導電部材が回転する。一方、磁石保持リングは回転しない。これにより、第1及び第2永久磁石から導電部材を通過する磁束が変化し、導電部材の外周面に渦電流が発生する。この渦電流によって反磁界が発生し、回転する導電部材に反力が与えられる。その結果、ねじ軸が減衰力を受ける。
また、この場合、磁石保持リングが導電部材の外側に配置されて外気と接する。これにより、磁石保持リングは外気によって冷却される。その結果、第1及び第2永久磁石の温度上昇を抑制できる。
(3)磁石保持リングが導電部材の内側に配置される。第1永久磁石及び第2永久磁石が磁石保持リングの外周面に取り付けられる。ボールナットが導電部材に固定される。
この場合、導電部材の内周面が、第1及び第2永久磁石と隙間を空けて対向する。ねじ軸の軸方向の移動により、ボールナット及び導電部材が回転する。一方、磁石保持リングは回転しない。これにより、第1及び第2永久磁石から導電部材を通過する磁束が変化し、導電部材の内周面に渦電流が発生する。この渦電流によって反磁界が発生し、回転する導電部材に反力が与えられる。その結果、ねじ軸が減衰力を受ける。
また、この場合、導電部材が磁石保持リングの外側に配置されて外気と接する。これにより、回転する導電部材は外気によって効率良く冷却される。その結果、導電部材の温度上昇を抑制できる。
(4)導電部材が磁石保持リングの内側に配置される。第1永久磁石及び第2永久磁石が磁石保持リングの内周面に取り付けられる。ボールナットが磁石保持リングに固定される。
この場合、導電部材の外周面が、第1及び第2永久磁石と隙間を空けて対向する。ねじ軸の軸方向の移動により、ボールナット及び磁石保持リングが回転する。一方、導電部材は回転しない。これにより、第1及び第2永久磁石から導電部材を通過する磁束が変化し、導電部材の外周面に渦電流が発生する。この渦電流によって反磁界が発生し、回転する磁石保持リングに反力が与えられる。その結果、ねじ軸が減衰力を受ける。
また、この場合、磁石保持リングが導電部材の外側に配置されて外気と接する。これにより、回転する磁石保持リングは外気によって効率良く冷却される。その結果、第1及び第2永久磁石の温度上昇を抑制できる。
典型的な例では、連結された複数の磁石保持リングにおいて、第1永久磁石がねじ軸の軸方向に沿って配置されるとともに、第2永久磁石がねじ軸の軸方向に沿って配置される。この場合、ねじ軸の軸方向で第1永久磁石が第1永久磁石のみに隣接するとともに、第2永久磁石が第2永久磁石のみに隣接する。つまり、ねじ軸の軸方向で同極の永久磁石が隣接する。以下、このような永久磁石の配置をNN型配置ともいう。
別の典型的な例では、連結された複数の磁石保持リングにおいて、第1永久磁石と第2永久磁石とがねじ軸の軸方向に沿って交互に配置される。この場合、ねじ軸の軸方向で第1永久磁石が第2永久磁石のみに隣接するとともに、第2永久磁石が第1永久磁石のみに隣接する。つまり、ねじ軸の軸方向で異極の永久磁石が隣接する。以下、このような永久磁石の配置をNS型配置ともいう。
ただし、連結された複数の磁石保持リングにおいて、第1永久磁石と第2永久磁石の配置形態は、上記の典型的な例に限定されない。たとえば、ねじ軸の軸方向で第1永久磁石が第1永久磁石の一部と第2永久磁石の一部に隣接するとともに、第2永久磁石が第1永久磁石の一部と第2永久磁石の一部に隣接してもよい。
本実施形態の渦電流式ダンパにおいて、導電部材は、ねじ軸の軸方向に連結された複数の導電リングからなり、複数の導電リングは、複数の磁石保持リングのそれぞれと対をなすことでもよい。つまり、1つの磁石保持リングと1つの導電リングが対になってもよい。このような渦電流式ダンパによれば、要求される減衰力ごとに、磁石保持リング及び導電リングの対の数が選定される。選定された数の磁石保持リングが連結されるとともに、選定された数の導電リングが連結される。これにより、減衰力の調整を容易に行える。この場合、連結された磁石保持リングの総長さに対応する長さの導電部材を選択する必要はない。つまり、長さの異なる複数の導電部材を準備しておく必要がない。
本実施形態の渦電流式ダンパにおいて、複数の磁石保持リングの連結方法は、特に限定されない。その連結方法として、溶接、キー、焼ばめ、ねじ、ピン、ボルト、圧入、スプラインなどが挙げられる。導電部材が複数の導電リングからなる場合、複数の導電リングの連結方法も、特に限定されない。その連結方法として、溶接、キー、焼ばめ、ねじ、ピン、ボルト、圧入、スプラインなどが挙げられる。
NN型配置の場合、軸方向で隣接する永久磁石同士の間に磁気反発力が作用する。そのため、磁気反発力によって磁石保持リング同士がずれないように留意することが好ましい。このような状況は、ねじ軸の軸方向で第1永久磁石が第1永久磁石の一部と第2永久磁石の一部に隣接するとともに、第2永久磁石が第1永久磁石の一部と第2永久磁石の一部に隣接する場合も同様である。一方、NS型配置の場合、軸方向で隣接する永久磁石同士の間に磁気吸引力が作用する。そのため、磁石保持リング同士のずれは磁気吸引力によって自然に防止される。
ここで、NN型配置の場合、軸方向で隣接する永久磁石同士の隙間(以下、「磁石隙間」ともいう。)は小さいのが好ましい。この場合、後述する実施例で示すように、磁石隙間が0〜20mmの範囲内であれば、磁石隙間が小さいほど、制動トルクが増加し、磁石隙間が20mmを超えれば制動トルクがほぼ一定になるからである。したがって、この場合の磁石隙間の下限は、好ましくは0mm(隙間なし)である。磁石隙間の下限は、5mmであってもよいし、10mmであってもよい。この場合の磁石隙間の上限は特に限定されない。ただし、磁石隙間があまりに大きすぎるとダンパ全体が大型化する。したがって、この場合の磁石隙間の上限は、好ましくは50mmであり、より好ましくは40mmであり、さらに好ましくは30mmである。
一方、NS型配置の場合、磁石隙間は大きいのが好ましい。この場合、後述する実施例で示すように、磁石隙間が0〜20mmの範囲内であれば、磁石隙間が大きいほど、制動トルクが増加し、磁石隙間が20mmを超えれば制動トルクがほぼ一定になるからである。ただし、この場合の磁石隙間は0mm(隙間なし)でも構わない。磁石隙間が0mmであっても制動トルクが生じるからである。この場合の磁石隙間の下限は、5mmであってもよいし、10mmであってもよい。磁石隙間の上限は特に限定されない。ただし、磁石隙間があまりに大きすぎるとダンパ全体が大型化する。したがって、この場合、磁石隙間の上限は、好ましくは50mmであり、より好ましくは40mmであり、さらに好ましくは30mmである。
以下、図面を参照して、本実施形態の渦電流式ダンパについて説明する。
[第1実施形態]
図1は、渦電流式ダンパの軸方向に沿った面での断面図である。図2は、図1の一部拡大図である。図1及び図2を参照して、渦電流式ダンパ1は、複数の磁石保持リング2と、複数の第1永久磁石3と、複数の第2永久磁石4と、複数の導電リング5と、ボールナット6と、ねじ軸7とを備える。複数の導電リング5は連結される。連結された複数の導電リング5は円筒形状の導電部材を構成する。導電部材は、複数の磁石保持リング2と対をなす。具体的には、複数の導電リング5のそれぞれは、複数の磁石保持リング2のそれぞれと対をなす。そのため、導電リング5の数は磁石保持リング2の数と同じである。第1実施形態では、磁石保持リング2及び導電リング5の対の数が4つである例を示す。
[磁石保持リング]
複数の磁石保持リング2は、ねじ軸7を中心軸とする円筒形状である。複数の磁石保持リング2はねじ軸7の軸方向に連結される。具体的には、複数の磁石保持リング2の軸方向の両端それぞれには、概ね円筒状のホルダ12が設けられる。2つのホルダ12を貫く複数の長尺なボルト13によって、複数の磁石保持リング2は2つのホルダ12の間に挟み込まれる。これにより、複数の磁石保持リング2は強固に連結される。連結された磁石保持リング2はホルダ12と一体である。
連結された磁石保持リング2は、ボールナット6及びねじ軸7を収容可能である。磁石保持リング2の材質は、特に限定されない。しかしながら、磁石保持リング2の材質は、透磁率の高い鋼等が好ましい。磁石保持リング2の材質はたとえば、炭素鋼、鋳鉄等の強磁性材である。この場合、磁石保持リング2は、ヨークとしての役割を果たす。すなわち、第1永久磁石3及び第2永久磁石4からの磁束が外部に漏れにくくなり、渦電流式ダンパ1の減衰力が高まる。後述するように、磁石保持リング2は、対応する導電リング5に対して回転可能である。複数の磁石保持リング2は同じサイズで同じ材質である。ただし、複数の磁石保持リング2は同じサイズでなくてもよいし、同じ材質でなくてもよい。
[第1永久磁石及び第2永久磁石]
図3は、渦電流式ダンパの軸方向に垂直な面での断面図である。図4は、図3の一部拡大図である。図5は、第1永久磁石及び第2永久磁石を示す斜視図である。図3〜図5を参照して、複数の第1永久磁石3及び第2永久磁石4は、複数の磁石保持リング2それぞれの外周面に取り付けられる。第1永久磁石3は、ねじ軸の周りに磁石保持リング2の円周方向に沿って配列される。同様に、第2永久磁石4は、ねじ軸の周りに磁石保持リング2の円周方向に沿って配列される。第2永久磁石4は、第1永久磁石3同士の間に配置される。つまり、磁石保持リング2の円周方向に沿って第1永久磁石3と第2永久磁石4は、交互に配置される。
第1永久磁石3及び第2永久磁石4の磁極は、磁石保持リング2の径方向に配置される。第2永久磁石4の磁極の配置は第1永久磁石3の磁極の配置と反転している。たとえば図4及び図5を参照して、磁石保持リング2の径方向において、第1永久磁石3のN極は外側に配置され、そのS極は内側に配置される。そのため、第1永久磁石3のS極が磁石保持リング2と接する。一方、磁石保持リング2の径方向において、第2永久磁石4のN極は内側に配置され、そのS極は外側に配置される。そのため、第2永久磁石4のN極が磁石保持リング2と接する。
図5を参照して、連結された磁石保持リング2同士の永久磁石3、4の配置はNN型配置である。具体的には、連結された磁石保持リング2において、第1永久磁石3がねじ軸7の軸方向に沿って配置される。同様に、第2永久磁石4がねじ軸7の軸方向に沿って配置される。この場合、ねじ軸7の軸方向で第1永久磁石3が第1永久磁石3のみに隣接するとともに、第2永久磁石4が第2永久磁石4のみに隣接する。つまり、ねじ軸7の軸方向で同極の永久磁石3、4が隣接する。
第2永久磁石4のサイズ及び特質は第1永久磁石3のサイズ及び特質と同じである。第1永久磁石3及び第2永久磁石4はたとえば、接着剤により磁石保持リング2に固定される。なお、接着剤に限らず、第1永久磁石3及び第2永久磁石4はネジ等で固定されてもよいことはもちろんである。
[導電リング(導電部材)]
図1及び図2を参照して、導電部材としての複数の導電リング5は、ねじ軸7を中心軸とする円筒形状である。複数の導電リング5はねじ軸7の軸方向に連結される。具体的には、複数の導電リング5の軸方向の両端それぞれには、概ね円筒状のハウジング14が設けられる。2つのハウジング14のフランジ14aを貫く複数の長尺なボルト15によって、複数の導電リング5は2つのハウジング14の間に挟み込まれる。これにより、複数の導電リング5は強固に連結される。連結された導電リング5はハウジング14と一体である。
連結された導電リング5は、連結された磁石保持リング2、第1永久磁石3、第2永久磁石4、ボールナット6及びねじ軸7を収容可能である。つまり、磁石保持リング2が、対応する導電リング5の内側に同心状に配置される。導電リング5の内周面が、対応する磁石保持リング2に保持された第1永久磁石3及び第2永久磁石4と隙間を空けて対向する。後述するように、導電リング5の表面(内周面)に渦電流を発生させるため、導電リング5は、対応する磁石保持リング2と相対的に回転する。そのため、導電リング5と第1永久磁石3及び第2永久磁石4との間には、隙間が設けられる。連結された導電リング5と一体の一方のハウジング14に取付具8aが接続される。導電リング5(ハウジング14)と一体の取付具8aは、建物支持面又は建物内に固定される。そのため、導電リング5はねじ軸7周りに回転しない。
導電部材としての導電リング5は、導電性を有する。導電リング5の材質はたとえば、炭素鋼、鋳鉄等の強磁性材である。その他に、導電リング5の材質は、フェライト系ステンレス鋼等の弱磁性材であってもよいし、アルミニウム合金、オーステナイト系ステンレス鋼、銅合金等の非磁性材であってもよい。第1及び第2永久磁石3、4が対向する導電リング5の面に、銅、銅合金等のような導電率の高い金属層が設けられてもよい。導電リング5に金属層を形成する手法としては、めっき、肉盛溶接、ろう付け、溶射、及び熱拡散接合などが挙げられる。複数の導電リング5は同じサイズで同じ材質である。ただし、複数の導電リング5は同じサイズでなくてもよいし、同じ材質でなくてもよい。
連結された導電リング5と一体のハウジング14は、連結された磁石保持リング2と一体のホルダ12を回転可能に支持する。たとえば図1を参照して、磁石保持リング2の径方向において、ホルダ12とハウジング14との間には、ラジアル軸受9が設けられる。また、磁石保持リング2の軸方向において、ホルダ12とハウジング14との間には、スラスト軸受10が設けられる。なお、ラジアル軸受9やスラスト軸受10の種類は、特に限定されることなく、ボール式、ローラー式、滑り式などでもよいことはもちろんである。
[ボールナット]
ボールナット6は、連結された磁石保持リング2及び連結された導電リング5の内部に配置される。ボールナット6は、連結された磁石保持リング2と一体のホルダ12に固定される。したがって、ボールナット6が回転すれば、連結された磁石保持リング2も回転する。ボールナット6の種類は、特に限定されない。ボールナット6は、周知のボールナットを用いてよい。ボールナット6の内周面には、ねじ部が形成されている。
[ねじ軸]
ねじ軸7は、ボールナット6を貫通し、ボールを介してボールナット6と噛み合う。ねじ軸7の外周面には、ボールナット6のねじ部に対応するねじ部が形成されている。ねじ軸7及びボールナット6は、ボールねじを構成する。ボールねじは、ねじ軸7の軸方向の移動をボールナット6の回転運動に変換する。ねじ軸7に取付具8bが接続される。ねじ軸7と一体の取付具8bは、建物支持面又は建物内に固定される。渦電流式ダンパ1が、たとえば建物内と建物支持面との間の免震層に設置される事例の場合、ねじ軸7と一体の取付具8bが建物内に固定され、導電リング5(ハウジング14)と一体の取付具8aは建物支持面に固定される。渦電流式ダンパ1が、たとえば建物内の任意の層間に設置される事例の場合は、ねじ軸7と一体の取付具8bが任意の層間の上部梁側に固定され、導電リング5と一体の取付具8aは任意の層間の下部梁側に固定される。そのため、ねじ軸7は軸周りに回転しない。
ねじ軸7と一体の取付具8b及び導電リング5と一体の取付具8aの固定は、上述の説明の逆であってもよい。すなわち、ねじ軸7と一体の取付具8bが建物支持面に固定され、導電リング5と一体の取付具8aが建物内に固定されてもよい。
ねじ軸7は、連結された磁石保持リング2及び連結された導電リング5の内部で軸方向に沿って進退移動可能である。したがって、振動等により、渦電流式ダンパ1に運動エネルギが与えられると、ねじ軸7が軸方向に移動する。ねじ軸7が軸方向に移動すれば、ボールねじの作用によってボールナット6がねじ軸周りに回転する。ボールナット6の回転に伴い、連結された複数の磁石保持リング2が回転する。これにより、磁石保持リング2と一体の第1永久磁石3及び第2永久磁石4が、対応する導電リング5に対して相対回転するため、導電リング5のそれぞれには渦電流が発生する。その結果、渦電流式ダンパ1に減衰力が生じ、振動を減衰させる。
本実施形態の渦電流式ダンパ1では、要求される減衰力ごとに、磁石保持リング2及び導電リング5の対の数が選定される。そして、選定された数の磁石保持リング2が連結されるとともに、選定された数の導電リング5が連結される。これにより、減衰力の調整を容易に行える。
続いて、渦電流の発生原理及び渦電流による減衰力の発生原理について説明する。
[渦電流による減衰力]
図6は、渦電流式ダンパの磁気回路を示す模式図である。図6を参照して、磁石保持リング2のそれぞれにおいて、第1永久磁石3の磁極の配置は、周方向で隣接する第2永久磁石4の磁極の配置と反転している。したがって、磁石保持リング2のそれぞれにおいて、第1永久磁石3のN極から出た磁束は、隣接する第2永久磁石4のS極に到達する。第2永久磁石4のN極から出た磁束は、隣接する第1永久磁石3のS極に到達する。これにより、第1永久磁石3、第2永久磁石4、導電リング5及び磁石保持リング2の中で、磁気回路が形成される。第1永久磁石3及び第2永久磁石4と、導電リング5との間の隙間は十分に小さいため、対応する導電リング5は磁界の中にある。
磁石保持リング2が回転すると(図6中の矢印参照)、第1永久磁石3及び第2永久磁石4は導電リング5に対して移動する。そのため、導電リング5の表面(図6では第1永久磁石3及び第2永久磁石4が対向する導電リング5の内周面)を通過する磁束が変化する。これにより導電リング5の表面(図6では導電リング5の内周面)に渦電流が発生する。渦電流が発生すると、新たな磁束(反磁界)が発生する。この新たな磁束は、磁石保持リング2(第1永久磁石3及び第2永久磁石4)と導電リング5との相対回転を妨げる。本実施形態の場合、磁石保持リング2の回転が妨げられる。磁石保持リング2の回転が妨げられれば、磁石保持リング2と一体のボールナット6の回転も妨げられる。ボールナット6の回転が妨げられれば、ねじ軸7の軸方向の移動も妨げられる。これが渦電流式ダンパ1の減衰力(減衰トルク)である。振動等による運動エネルギにより発生する渦電流は、導電部材の温度を上昇させる。すなわち、渦電流式ダンパに与えられた運動エネルギが熱エネルギに変換され、減衰力が得られる。
本実施形態の渦電流式ダンパによれば、第1永久磁石の磁極の配置が、磁石保持リングの円周方向において第1永久磁石と隣接する第2永久磁石の磁極の配置と反転している。そのため、第1永久磁石及び第2永久磁石による磁界が磁石保持リングの円周方向に発生する。また、磁石保持リングの円周方向に第1永久磁石及び第2永久磁石を複数配列することにより、導電リングに到達する磁束の量が増える。これにより、導電リングに発生する渦電流が大きくなり、渦電流式ダンパの減衰力が高まる。
[磁石保持リングそれぞれの永久磁石の磁極の配置の変形例]
上述の説明では、磁石保持リングそれぞれにおいて、第1永久磁石及び第2永久磁石の磁極の配置が、磁石保持リングの径方向である場合について説明した。しかしながら、第1永久磁石及び第2永久磁石の磁極の配置は、これに限定されない。
図7は、磁極の配置が円周方向である第1永久磁石及び第2永久磁石を示す斜視図である。図7を参照して、磁石保持リング2のそれぞれにおいて、第1永久磁石3及び第2永久磁石4の磁極の配置は、磁石保持リング2の円周方向に沿う。この場合であっても、第1永久磁石3の磁極の配置は、第2永久磁石4の磁極の配置と反転している。第1永久磁石3と第2永久磁石4との間には、強磁性体のポールピース11が設けられる。
図8は、図7の渦電流式ダンパの磁気回路を示す模式図である。図8を参照して、磁石保持リング2のそれぞれにおいて、第1永久磁石3のN極から出た磁束は、ポールピース11を通って、第1永久磁石3のS極に到達する。第2永久磁石4についても同様である。これにより、第1永久磁石3、第2永久磁石4、ポールピース11及び導電リング5の中で、磁気回路が形成される。これにより、上述と同様に、渦電流式ダンパ1に減衰力が得られる。
[連結された磁石保持リング同士の永久磁石の配置の変形例]
上述の説明では、連結された磁石保持リング同士の第1永久磁石及び第2永久磁石の配置は、第1永久磁石がねじ軸の軸方向に沿って配置され、第2永久磁石がねじ軸の軸方向に沿って配置される場合について説明した。しかしながら、第1永久磁石及び第2永久磁石の配置は、このようなNN型配置に限定されない。
図9は、第1永久磁石及び第2永久磁石の配置の変形例を示す斜視図である。図9を参照して、連結された磁石保持リング2同士の永久磁石3、4の配置はNS型配置である。具体的には、連結された磁石保持リング2において、第1永久磁石3と第2永久磁石4とがねじ軸7の軸方向に沿って交互に配置される。この場合、ねじ軸7の軸方向で第1永久磁石3が第2永久磁石4のみに隣接するとともに、第2永久磁石4が第1永久磁石3のみに隣接する。つまり、ねじ軸7の軸方向で異極の永久磁石3、4が隣接する。
後述する実施例で示すように、NN型配置の場合、磁石隙間が0〜10mmの範囲内であれば、磁石隙間が小さいほど、制動トルクが顕著に増加する。導電リング5に対する第1及び第2永久磁石3、4(磁石保持リング2)の相対的な回転数、すなわちボールナットの回転数が高い場合(例:750rpm)、軸方向で隣接する永久磁石3、4同士の隙間(磁石隙間)が0〜7.5mmの範囲内であれば、NN型配置での制動トルクはNS型配置での制動トルクよりも大きくなる。この場合、磁石隙間が10〜40mmの範囲内であれば、NS型配置での制動トルクはNN型配置での制動トルクよりも大きくなる。ここで、磁石隙間が0mmのときにNN型配置での制動トルクは最大となる。磁石隙間が30mmのときにNS型配置での制動トルクは最大となる。
また、ボールナットの回転数が低い場合(例:250rpm)、磁石隙間が0〜40mmの範囲内であれば、NN型配置での制動トルクはNS型配置での制動トルクよりも大きくなる。
したがって、想定されるボールナットの回転数、及びその回転数で要求される減衰力(制動トルク)に応じて、軸方向での永久磁石の配置(例:NN型配置、NS型配置)及び磁石隙間を適宜選定すればよい。例えば、NN型配置を採用する場合、磁石隙間は0〜10mmであることが好ましい。減衰力の向上を実現できるからである。その場合の磁石隙間の上限は、好ましくは7.5mmであり、より好ましくは5mmである。
[磁石保持リングの連結方法の一例]
上記のとおり、NS型配置の場合、異極の永久磁石に作用する磁気吸引力を利用することにより、磁石保持リングの連結を容易に行うことができる。
NN型配置の場合、異極の永久磁石に作用する磁気吸引力、及び同極の永久磁石に作用する磁気反発力を利用することにより、磁石保持リングの連結を行うことができる。たとえば、連結対象の2つの磁石保持リングのうちの一方の磁石保持リングの端部に、磁石保持リングの軸回りで等間隔に複数のキーが設けられる。キーは磁石保持リングの軸方向に突出し、キーの先端部が磁石保持リングの径方向の外向きに折れ曲がる。他方の磁石保持リングの端部には、複数のキーにそれぞれ対応する複数のキー溝が設けられる。キー溝は磁石保持リングの内周面に鉤状に形成される。キー溝は、磁石保持リングの軸方向に沿って延びる始端領域と、円周方向に沿って延びる中間領域と、軸方向に沿って延びる終端領域と、を備える。
連結作業では、まず、一方の磁石保持リングの端部を他方の磁石保持リングの端部に対向させる。つまり、キーの先端部をキー溝の始端に合わせ、キーの先端部をキー溝の始端領域に挿入する。この挿入の際、連結対象の2つの磁石保持リングが備える永久磁石は互いに軸方向で異極に配置されている。そのため、磁気吸引力によって、キーの先端部がキー溝の始端領域に沿って自然に挿入される。次に、一方の磁石保持リングを他方の磁石保持リングに対して軸回りに回転させる。つまり、キーの先端部をキー溝の中間領域に沿って移動させる。回転に伴って永久磁石が互いに軸方向で同極に配置されたとき、回転の力を開放させる。これにより、磁気反発力によって、キーの先端部がキー溝の終端領域に沿って移動し、キー溝の終端で止まる。そして、キー溝の中間領域と終端領域の境界部にピンを打ち込む。これにより、キー溝からのキーの先端部の抜けが防止される。このようにして、NN型配置の磁石保持リングの連結を行うことができる。
上述した第1実施形態では、磁石保持リングが導電リングの内側に配置されて第1永久磁石及び第2永久磁石が磁石保持リングの外周面に取り付けられ、さらに磁石保持リングが回転する場合について説明した。しかしながら、本実施形態の渦電流式ダンパは、これに限定されない。
[第2実施形態]
第2実施形態の渦電流式ダンパは、磁石保持リングが導電リングの外側に配置され、回転しない。渦電流は、内側の導電リングが回転することで発生する。
図10は、第2実施形態の渦電流式ダンパの軸方向に沿った面での断面図である。図11は、第2実施形態の渦電流式ダンパの軸方向に垂直な面での断面図である。図10及び図11を参照して、連結された複数の磁石保持リング2は、連結された複数の導電リング5、ボールナット6及びねじ軸7を収容可能である。第1永久磁石3及び第2永久磁石4は、複数の磁石保持リング2それぞれの内周面に取り付けられる。したがって、導電リング5の外周面が、対応する磁石保持リング2に保持された第1永久磁石3及び第2永久磁石4と隙間を空けて対向する。
第2実施形態では、複数の磁石保持リング2は2つのハウジング14の間に挟み込まれる。これにより、複数の磁石保持リング2は連結される。連結された磁石保持リング2はハウジング14と一体である。複数の導電リング5は2つのホルダ12の間に挟み込まれる。これにより、複数の導電リング5は連結される。連結された導電リング5はホルダ12と一体である。
図1に示す取付具8aは、連結された磁石保持リング2と一体の一方のハウジング14に接続される。そのため、磁石保持リング2はねじ軸7周りに回転しない。一方で、ボールナット6は、連結された導電リング5と一体のホルダ12に接続される。したがって、ボールナット6が回転すれば、連結された導電リング5は回転する。このような構成の場合でも、上述したように、磁石保持リング2と一体の第1永久磁石3及び第2永久磁石4が、対応する導電リング5に対して相対回転するため、導電リング5のそれぞれには渦電流が発生する。その結果、渦電流式ダンパ1に減衰力が生じ、振動を減衰させることができる。
[第3実施形態]
第3実施形態の渦電流式ダンパは、磁石保持リングが導電リングの内側に配置され、回転しない。渦電流は、外側の導電リングが回転することで発生する。
図12は、第3実施形態の渦電流式ダンパの軸方向に沿った面での断面図である。図13は、図12の一部拡大図である。図12及び図13を参照して、連結された複数の導電リング5は、連結された複数の磁石保持リング2、ボールナット6及びねじ軸7を収容可能である。第1永久磁石3及び第2永久磁石4は、複数の磁石保持リング2それぞれの外周面に取り付けられる。したがって、導電リング5の内周面が、対応する磁石保持リング2に第1永久磁石3及び第2永久磁石4と隙間を空けて対向する。
第3実施形態では、複数の磁石保持リング2は2つのホルダ12の間に挟み込まれる。これにより、複数の磁石保持リング2は連結される。連結された磁石保持リング2はホルダ12と一体である。複数の導電リング5は2つのハウジング14の間に挟み込まれる。これにより、複数の導電リング5は連結される。連結された導電リング5はハウジング14と一体である。
取付具8aは、連結された磁石保持リング2と一体の一方のホルダ12に接続される。そのため、磁石保持リング2はねじ軸7周りに回転しない。一方で、ボールナット6は、連結された導電リング5と一体のハウジング14に接続される。したがって、ボールナット6が回転すれば、連結された導電リング5は回転する。このような構成の場合でも、上述したように、磁石保持リング2と一体の第1永久磁石3及び第2永久磁石4が、対応する導電リング5に対して相対回転するため、導電リング5のそれぞれには渦電流が発生する。その結果、渦電流式ダンパ1に減衰力が生じ、振動を減衰させることができる。
[第4実施形態]
第4実施形態の渦電流式ダンパは、導電リングが磁石保持リングの内側に配置され、回転しない。渦電流は、外側の磁石保持リングが回転することで発生する。
図14は、第4実施形態の渦電流式ダンパの軸方向に沿った面での断面図である。図14を参照して、連結された複数の磁石保持リング2は、連結された複数の導電リング5、ボールナット6及びねじ軸7を収容可能である。第1永久磁石3及び第2永久磁石4は、複数の磁石保持リング2それぞれの内周面に取り付けられる。したがって、導電リング5の外周面が、対応する磁石保持リング2に保持された第1永久磁石3及び第2永久磁石4と隙間を空けて対向する。
第4実施形態では、複数の磁石保持リング2は2つのハウジング14の間に挟み込まれる。これにより、複数の磁石保持リング2は連結される。連結された磁石保持リング2はハウジング14と一体である。複数の導電リング5は2つのホルダ12の間に挟み込まれる。これにより、複数の導電リング5は連結される。連結された導電リング5はホルダ12と一体である。
図1に示す取付具8aは、連結された導電リング5と一体の一方のホルダ12に接続される。そのため、導電リング5はねじ軸7周りに回転しない。一方で、ボールナット6は、連結された磁石保持リング2と一体のハウジング14に固定される。したがって、ボールナット6が回転すれば、連結された磁石保持リング2は回転する。このような構成の場合でも、上述したように、磁石保持リング2と一体の第1永久磁石3及び第2永久磁石4が、対応する導電リング5に対して相対回転するため、導電リング5のそれぞれには渦電流が発生する。その結果、渦電流式ダンパ1に減衰力が生じ、振動を減衰させることができる。
上述したように、渦電流式ダンパが減衰力を発生すると、導電リングの温度は上昇する。第1永久磁石及び第2永久磁石は、導電リングと対向する。したがって、第1永久磁石及び第2永久磁石は、導電リングからの輻射熱によって温度が上昇するかもしれない。永久磁石の温度が上昇すれば、磁力が低下するおそれがある。
第1実施形態の渦電流式ダンパでは、導電リング5が磁石保持リング2の外側に配置される。つまり、導電リング5が最も外側に配置されて外気と接する。これにより、導電リング5は外気によって冷却される。そのため、導電リング5の温度上昇を抑制できる。その結果、第1永久磁石3及び第2永久磁石4の温度上昇を抑制できる。
第2実施形態の渦電流式ダンパでは、磁石保持リング2が導電リング5の外側に配置される。つまり、磁石保持リング2が最も外側に配置されて外気と接する。これにより、磁石保持リング2は外気によって冷却される。そのため、磁石保持リング2を通じて第1永久磁石3及び第2永久磁石4を冷却できる。その結果、第1永久磁石3及び第2永久磁石4の温度上昇を抑制できる。
第3実施形態の渦電流式ダンパでは、導電リング5が磁石保持リング2の外側に配置される。つまり、導電リング5が最も外側に配置されて外気と接する。また、導電リング5は、ねじ軸7周りに回転する。これにより、回転する導電リング5は外気によって効率良く冷却される。そのため、導電リング5の温度上昇を抑制できる。その結果、第1永久磁石3及び第2永久磁石4の温度上昇を抑制できる。
第4実施形態の渦電流式ダンパでは、磁石保持リング2が導電リング5の外側に配置される。つまり、磁石保持リング2が最も外側に配置されて外気と接する。また、磁石保持リング2は、ねじ軸7周りに回転する。これにより、回転する磁石保持リング2は外気によって効率良く冷却される。そのため、磁石保持リング2を通じて第1永久磁石3及び第2永久磁石4を冷却できる。その結果、第1永久磁石3及び第2永久磁石4の温度上昇を抑制できる。
[第5実施形態]
第5実施形態の渦電流式ダンパは、上記した第1実施形態の渦電流式ダンパを変形したものである。
図15は、第5実施形態の渦電流式ダンパの軸方向に沿った面での断面図である。図15を参照して、本実施形態の渦電流式ダンパ1は、第1実施形態における連結された複数の導電リングに代えて、1つの円筒形状の導電部材5Aを備える。導電部材5Aの特性は、上記した導電リングの特性と同じである。
本実施形態の渦電流式ダンパ1によれば、要求される減衰力ごとに、磁石保持リング2の数が選定される。そして、選定された数の磁石保持リング2が連結される。連結された磁石保持リング2の総長さに対応する長さの導電部材5Aが選択される。選択された導電部材5Aが組み付けられる。これにより、減衰力の調整を容易に行える。
第2〜第4実施形態における連結された複数の導電リングに代えて、第5実施形態の導電部材5Aを適用することもできる。
本実施形態の渦電流式ダンパの性能を確認するため、上記の第1実施形態の渦電流式ダンパについて、数値解析によって制動トルクを調査した。解析モデルとして、NN型配置のモデルとNS型配置のモデルを採用した。
各モデルにおいて、磁石保持リング及び導電リングの対の数は2つとした。磁石保持リングそれぞれが備える永久磁石の数は30個とした。磁石保持リングの材質はSS400(JIS G 3101で規定される一般構造用圧延鋼材)とし、永久磁石と対向する導電リングの内周面に銅層を形成した。磁石保持リングの電気抵抗率は15.9μΩ・cmとし、銅層の電気抵抗率は1.55μΩ・cmとした。各モデルを用いた解析において、軸方向で隣接する永久磁石同士の隙間(磁石隙間)を変更した。さらに各モデルを用いた解析において、導電リングに対する磁石保持リング(永久磁石)の相対的な回転数、すなわちボールナットの回転数を変更した。磁石隙間及び回転数ごとに、発生する制動トルクを調査した。
図16〜図19は、実施例の結果を示す図である。これらの図のうち、図16は、回転数が100rpmである場合の結果を示す。図17は、回転数が250rpmである場合の結果を示す。図18は、回転数が500rpmである場合の結果を示す。図19は、回転数が750rpmである場合の結果を示す。
図16〜図19に示す結果から、下記のことが示される。NN型配置の場合、磁石隙間が0〜10mmの範囲内であれば、磁石隙間が小さいほど、制動トルクが顕著に増加した。図19を参照して、回転数が750rpmと高い場合、磁石隙間が0〜7.5mmの範囲内であれば、NN型配置での制動トルクはNS型配置での制動トルクよりも大きかった。この場合、磁石隙間が10〜40mmの範囲内であれば、NS型配置での制動トルクはNN型配置での制動トルクよりも大きかった。磁石隙間が0mmのときにNN型配置での制動トルクは最大となった。磁石隙間が30mmのときにNS型配置での制動トルクは最大となった。
また、図16及び図17を参照して、回転数が100rpm、250rpmと低い場合、磁石隙間が0〜40mmの範囲内であれば、NN型配置での制動トルクはNS型配置での制動トルクよりも大きかった。
以上、本実施形態の渦電流式ダンパについて説明した。渦電流は導電リング5(導電部材5A)を通過する磁束の変化により発生するため、第1永久磁石3及び第2永久磁石4が導電リング5に対して相対回転すればよい。また、導電リング5が第1永久磁石3及び第2永久磁石4による磁界の中に存在する限り、導電リング5と磁石保持リング2との位置関係は特に限定されない。
その他、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。