JP2021017963A - 渦電流式ダンパ - Google Patents

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Abstract

【課題】容易に減衰力を調整できる渦電流式ダンパを提供する。【解決手段】渦電流式ダンパ1は、磁石保持リング13と、複数の永久磁石14と、制動リング15と、を備える。複数の永久磁石14は、磁石保持リング13に固定され、磁石保持リング13の周方向に沿って配列される。制動リング15は、複数の永久磁石14と隙間を空けて対向するように磁石保持リング13と同軸に配置される。制動リング15は、磁石保持リング13に対して相対的に回転し、導電性を有する。磁石保持リング13及び制動リング15のうち、半径方向の外側に配置されたリングは、外周面に開口する複数の孔部153と、孔部153の各々に挿入される調整材154と、を含む。【選択図】図5

Description

本開示は、渦電流式ダンパに関する。
地震等による振動から建築物を保護する機構として、制振装置が知られている。制振装置は、例えば、建築物内の柱と梁とを繋ぐように取り付けられ、建築物に入力された振動を減衰させる。
例えば、特許文献1は、制振装置の一種である流体式ダンパを開示する。この流体式ダンパでは、振動と同期して回転する回転内筒、及び回転内筒を収容した固定外筒等で画定されるチャンバ内に粘性体等が封入される。流体式ダンパに振動が伝わると、その運動エネルギーにより回転内筒が回転し、チャンバ内の粘性体等にせん断力が作用する。その結果、粘性体等が発熱し、運動エネルギーが熱エネルギーに変換され、振動が減衰する。
例えば、特許文献2は、流体式ダンパとは別種の制振装置である渦電流式ダンパを開示する。この渦電流式ダンパでは、円筒状の固定子の外周面に周方向に沿って複数の永久磁石を配列し、当該永久磁石に導体円管を対向させる。渦電流式ダンパに振動が伝わると、永久磁石と導体円管とが相対的に回転し、導体円管が永久磁石によって形成される磁界内を移動する。導体円管が磁界内を移動することで、導体円管には渦電流が生じる。この渦電流によって、永久磁石による磁界に抗する新たな磁界が形成されることで、振動が減衰する。
特許第3408706号公報 特許第6294502号公報
ところで、流体式ダンパや渦電流式ダンパの製品出荷時には、減衰力を測定する試験が行われ、減衰力が基準値を中心として所定の範囲内に収まっているかを確認する。測定された減衰力が所定の範囲外である場合、減衰力を調整する作業を行う。特許文献1に例示される流体式ダンパでは、例えば、チャンバ内の圧力を調整することで、減衰力を調整する。
一方、特許文献2に例示される渦電流式ダンパでは、永久磁石の数が減衰力に寄与するが、永久磁石の吸引・反発力により、一度組み立てられた渦電流式ダンパを分解することは難しい。仮に、渦電流式ダンパを分解できたとしても、既に取り付けられている永久磁石との吸引・反発により新たな永久磁石を取り付けることは難しい。また、永久磁石は接着剤等によって固定されているため、既に取り付けられている永久磁石を取り外すことも難しい。その他にも、渦電流が発生する制動リング(特許文献2では導体円管)と永久磁石との隙間の距離も減衰力に寄与するが、この距離を調整しようとすれば制動リングの厚みの変更等が必要になり、現実的ではない。これらの理由により、渦電流式ダンパでは製品出荷時に減衰力を調整することが容易ではない。
本開示は、容易に減衰力を調整できる渦電流式ダンパを提供することを課題とする。
本開示に係る渦電流式ダンパは、磁石保持リングと、複数の永久磁石と、制動リングと、を備える。複数の永久磁石は、磁石保持リングに固定され、磁石保持リングの周方向に沿って配列される。制動リングは、複数の永久磁石と隙間を空けて対向するように磁石保持リングと同軸に配置される。制動リングは、磁石保持リングに対して相対的に回転し、導電性を有する。磁石保持リング及び制動リングのうち、半径方向の外側に配置されたリングは、外周面に開口する複数の孔部と、孔部の各々に挿入される調整材と、を含む。
本開示に係る渦電流式ダンパによれば、容易に減衰力を調整できる。
図1は、第1実施形態に係る渦電流式ダンパの縦断面図である。 図2は、渦電流式ダンパの横断面の部分拡大図である。 図3は、図2の拡大図である。 図4は、孔部と永久磁石との位置関係を示す模式図である。 図5は、横断面視での永久磁石からの磁束を示す模式図である。 図6は、制動リングの外側から見た永久磁石からの磁束を示す模式図である。 図7は、図3よりも短い調整材が挿入された渦電流式ダンパの横断面の部分拡大図である。 図8は、調整材及び止めねじを孔部に挿入する方法を説明するための図である。 図9は、調整材及び止めねじを孔部に挿入する方法を説明するための図である。 図10は、調整材及び止めねじを孔部に挿入する方法を説明するための図である。 図11は、調整材及び止めねじを孔部に挿入する方法を説明するための図である。 図12は、第2実施形態に係る渦電流式ダンパの縦断面の部分拡大図である。 図13は、渦電流式ダンパの横断面の部分拡大図である。 図14は、孔部と永久磁石との位置関係を示す模式図である。
実施形態に係る渦電流式ダンパは、磁石保持リングと、複数の永久磁石と、制動リングと、を備える。複数の永久磁石は、磁石保持リングに固定され、磁石保持リングの周方向に沿って配列される。制動リングは、複数の永久磁石と隙間を空けて対向するように磁石保持リングと同軸に配置される。制動リングは、磁石保持リングに対して相対的に回転し、導電性を有する。磁石保持リング及び制動リングのうち、半径方向の外側に配置されたリングは、外周面に開口する複数の孔部と、孔部の各々に挿入される調整材と、を含む(第1の構成)。
第1の構成に係る渦電流式ダンパでは、磁石保持リング又は制動リングに孔部を設けることで予め減衰力を小さくしておき、この孔部に調整材を挿入して減衰力を調整する。すなわち、孔部が単なる空間の場合には、永久磁石からの磁束が孔部を迂回するように流れ、磁気抵抗が高くなるため、渦電流式ダンパの減衰力は小さくなる。一方、孔部に調整材が挿入されたときには、永久磁石からの磁束が孔部内の調整材を通過し、磁気抵抗が低くなるため、孔部が単なる空間の場合よりも渦電流式ダンパの減衰力を大きくすることができる。孔部は、磁石保持リング又は制動リングのうち、外側に配置された方の外周面に開口する。そのため、渦電流式ダンパを組み立てた後であっても、外部から調整材を孔部に挿入することができる。よって、渦電流式ダンパの減衰力を容易に調整できる。
第1の構成に係る渦電流式ダンパにおいて、孔部の各々は、外側に配置されたリングを半径方向に貫通していてもよい(第2の構成)。
第2の構成に係る渦電流式ダンパでは、孔部が貫通孔であるため、磁石保持リング又は制動リングに孔部を形成する際にその深さを制御する必要がない。よって、当該渦電流式ダンパを容易に製造することができる。
第1又は第2の構成に係る渦電流式ダンパにおいて、調整材は、調整材本体と、半径方向において、調整材本体の外側に配置され、孔部に締め込まれた止めねじと、を含んでいてもよい(第3の構成)。
第3の構成に係る渦電流式ダンパでは、調整材本体の外側に止めねじが設けられるため、調整材本体が孔部の外側に抜け出ることを抑制できる。
第1〜第3の構成のいずれかに係る渦電流式ダンパにおいて、制動リングが、磁石保持リングよりも半径方向の外側に配置されるのが好ましい(第4の構成)。
第4の構成に係る渦電流式ダンパにおいて、孔部の各々は、複数の永久磁石で構成される磁石列と対向するのが好ましい(第5の構成)。
ある永久磁石のN極から発せられた磁束は、制動リングを通過し、隣接する永久磁石のS極に到達する。磁束は、最短経路を通過しようとするため、制動リングのうち磁石列と対向する部分を高い密度で流れやすい。第5の構成に係る渦電流式ダンパでは、制動リングのうち磁石列と対向する部分に孔部が設けられ、最短経路で磁束が流れなくなるため、孔部に調整材が挿入される前の減衰力を有意に小さくすることができる。よって、減衰力の調整幅を大きくとることができる。
以下、図面を参照して本開示の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第1実施形態>
[渦電流式ダンパ1の構成]
図1は、第1実施形態に係る渦電流式ダンパ1の縦断面図である。縦断面とは、渦電流式ダンパ1の中心軸Xに沿った断面をいう。渦電流式ダンパ1の中心軸Xに垂直な断面は、横断面である。渦電流式ダンパ1は、建築物に取り付けられる。渦電流式ダンパ1は、取付部材16A,16Bを介して建築物の柱又は梁に固定される。
渦電流式ダンパ1は、ねじ軸11と、ボールナット12と、磁石保持リング13と、複数の永久磁石14と、制動リング15と、を含む。
(ねじ軸11)
ねじ軸11は、棒状であり、外周面にねじ部が形成されている。ねじ軸11は、中心軸Xに沿って延びている。ねじ軸11の一方の端部は、取付部材16Aに接続される。ねじ軸11の他方の端部は、自由端である。ねじ軸11は、ボールナット12を貫通する。
(ボールナット12)
ボールナット12は、概略ハット形状である。ボールナット12は、円筒部121及びフランジ部122を含む。円筒部121の内周面には、ねじ軸11のねじ部に対応する螺旋溝が形成されている。螺旋溝には複数のボールが配置されており、これらのボールは螺旋溝とねじ軸11のねじ部との間を転動する。すなわち、ボールナット12は、ねじ軸11と共にボールねじを構成する。
(磁石保持リング13)
磁石保持リング13は、中心軸Xを軸心とする概略円筒形状をなす。磁石保持リング13の両端部のうち一方は、支持部材131に固定され、他方は支持部材132に固定される。支持部材131は、ボルト等によってボールナット12のフランジ部122に固定される。これにより、磁石保持リング13がボールナット12に取り付けられる。
磁石保持リング13の材質は、特に限定されないが、透磁率の高い材料であるのが好ましい。透磁率の高い材料は、例えば、炭素鋼、鋳鉄等である。磁石保持リング13は、中心軸Xが延びる方向(軸方向)に連結された複数のリングから構成されていてもよいし、1つのリングであってもよい。
(永久磁石14)
複数の永久磁石14は、磁石保持リング13によって保持される。永久磁石14は、磁石保持リング13の周方向に沿って配列されて磁石列を構成する。永久磁石14は、磁石保持リング13の外周面に固定される。永久磁石14の各々は、例えば、接着剤、ねじ等によって磁石保持リング13に固定される。本実施形態の例では、磁石保持リング13に1つの磁石列が設けられている。ただし、磁石保持リング13には2つ以上の磁石列が設けられていてもよい。
永久磁石14各々の磁極の向きは、磁石保持リング13の半径方向に沿う。すなわち、各永久磁石14において、N極及びS極のうち一方の磁極が半径方向の外側に配置され、他方の磁極が半径方向の内側に配置される。各永久磁石14の磁極の向きは、磁石保持リング13の周方向において隣接する永久磁石14の磁極の向きと反転する。すなわち、永久磁石14は、磁石保持リング13の周方向に沿って磁極の向きを交互に反転して配列される。各永久磁石14は、隣接する永久磁石14と接して配列されてもよいし、隙間を空けて配列されてもよい。隣接する永久磁石14同士の間に隙間を設ける場合、永久磁石14は磁石保持リング13の全周にわたり等間隔に配置されるのが好ましい。
(制動リング15)
制動リング15は、磁石保持リング13と同様に、中心軸Xを軸心とする概略円筒形状をなす。すなわち、制動リング15は、磁石保持リング13と同軸に配置される。制動リング15は、半径方向において磁石保持リング13の外側に配置される。制動リング15の内周面は、半径方向において永久磁石14と僅かな隙間を空けて対向する。制動リング15の一方の端部は、支持部材151にボルト等によって固定される。制動リング15の他方の端部は、支持部材152にボルト等によって固定される。制動リング15を支持する支持部材151,152は、それぞれ、磁石保持リング13を支持する支持部材131,132の外周側に配置されている。支持部材151,152と、支持部材131,132との間にはラジアル軸受19A及びスラスト軸受19Bが配置される。ラジアル軸受19A及びスラスト軸受19Bは、支持部材151,152と、支持部材131,132との相対回転を許容する。したがって、制動リング15及び磁石保持リング13は、中心軸X周りに相対的に回転することができる。
制動リング15は、導電性を有する。制動リング15は、磁性体であってもよいし、非磁性体であってもよい。例えば、制動リング15の材質は、炭素鋼、鋳鉄等の導電性を有する強磁性体であってもよいし、フェライト系ステンレス鋼等の導電性を有する弱磁性体であってもよい。制動リング15の材質は、例えば、アルミニウム合金、オーステナイト系ステンレス鋼、銅合金等の非磁性体であってもよい。
[渦電流式ダンパ1の動作]
このような構成の渦電流式ダンパ1に振動が入力されると、ねじ軸11が軸方向に移動し、これに伴ってボールナット12、磁石保持リング13及び永久磁石14が回転する。永久磁石14が回転すると、永久磁石14による磁界内を制動リング15が相対的に移動することになり、制動リング15に渦電流が発生する。渦電流が発生することで、制動リング15にはローレンツ力が作用し、その反作用として永久磁石14には回転方向と反対向きの力が作用する。その結果、永久磁石14を保持する磁石保持リング13、及び磁石保持リング13が取り付けられたボールナット12の回転が制動され、ねじ軸11の移動が抑制される。よって、振動を減衰させることができる。
[制動リング15の細部]
図2を参照して、制動リング15についてより詳しく説明する。図2は、渦電流式ダンパ1の横断面の部分拡大図である。制動リング15は、複数の孔部153と、複数の調整材154と、を含む。
複数の孔部153は、制動リング15の周方向に並んでいる。孔部153は、制動リング15が中心軸Xを含む平面に対して対称な形状となるように制動リング15に配置される。本実施形態の例では、孔部153は、制動リング15の周方向に等間隔に配置されている。ただし、孔部153は、必ずしも等間隔に配置されている必要はない。
孔部153の各々は、制動リング15の外周面156に開口する。孔部153の各々は、制動リング15を半径方向に貫通する。ただし、孔部153は、貫通孔でなくてもよい。例えば、孔部153は制動リング15の外周面156から所定の深さまで設けられ、制動リング15の内周面157に開口しない構成であってもよい。孔部153の各々には、調整材154が挿入される。
図3を参照して、孔部153及び調整材154の構成についてさらに詳しく説明する。図3は、図2の拡大図である。ただし、図3では、説明の便宜上、図2の状態から永久磁石14を孔部153の直下に移動させて示している。孔部153は、ねじ部153Aと、テーパ部153Bと、を含む。ねじ部153Aは、制動リング15の外周面156から所定の深さまで設けられる。ねじ部153Aの壁面には、螺旋状のねじ溝が形成されている。テーパ部153Bは、制動リング15の内周面157からねじ部153Aまで設けられる。テーパ部153Bは、半径方向内側に向かって先細りする。テーパ部153Bは、円錐台形状の空間である。ねじ部153A及びテーパ部153Bの断面形状は、典型的には円形であるが、楕円形、多角形等でもよい。
調整材154は、調整材本体1541と、止めねじ1542と、を含む。
調整材本体1541は、テーパ部153Bに挿入される。調整材本体1541は、テーパ部153Bと実質的に同一形状である。例えば、テーパ部153Bが円錐台形状の空間である場合、調整材本体1541は円錐台形状を有する。調整材本体1541の体積は、テーパ部153Bの容積よりも僅かに小さい。ただし、調整材本体1541の体積は、テーパ部153Bの容積と同じ又は僅かに大きくてもよい。調整材本体1541は、制動リング15の内周面157よりも半径方向内側に突出しないように配置される。すなわち、調整材本体1541の内面1541Aは、制動リング15の内周面157と同一面上に配置されるか、又は、内周面157から凹んだ位置に配置される。調整材本体1541は、ボルト孔1541Bを有する。
調整材本体1541の材質は、特に限定されない。調整材本体1541は、導電性を有していてもよいし、有していなくてもよい。調整材本体1541は、磁性体であってもよいし、非磁性体であってもよい。ただし、調整材本体1541は少なくとも導電性又は磁性のいずれか一方の性質を有する。調整材本体1541の表面硬度は、好ましくは孔部153の壁面の硬度よりも小さい。
止めねじ1542は、ねじ部153Aに対応する形状を有する。止めねじ1542は、ねじ部153Aに締め込まれる。止めねじ1542は、制動リング15の半径方向において、調整材本体1541の外側に配置される。止めねじ1542は、調整材本体1541の位置を固定するため、調整材本体1541と接しているのが好ましい。止めねじ1542は、ねじ頭に六角穴や十字穴を有する。
図4は、孔部153と永久磁石14との位置関係を示す模式図である。図4は、制動リング15を外側から見た図である。孔部153の各々は、制動リング15の半径方向において、複数の永久磁石14で構成される磁石列141と対向する。したがって、制動リング15と永久磁石14とが相対的に1回転する間に、孔部153は、制動リング15の半径方向視で、全ての永久磁石14と順次重複する。換言すれば、孔部153は、図4中に二点鎖線で示す磁石列141の幅(軸方向の長さ)の範囲内に配置される。好ましくは、孔部153は、磁石列141の幅方向の中央に設けられる。
[効果]
第1実施形態に係る渦電流式ダンパ1では、制動リング15に孔部153が設けられ、この孔部153に調整材154が挿入される。これにより、渦電流式ダンパ1の減衰力を調整できる。この点について、図5及び図6を参照して具体的に説明する。
図5は、横断面視での永久磁石14からの磁束14Aを示す模式図である。図5を参照して、ある永久磁石14のN極から発せられた磁束14Aは、制動リング15を通り、隣接する永久磁石14のS極に最短経路で到達しようとする。しかしながら、磁束14Aの最短経路上に孔部153が設けられている場合、図6中の破線で示すように、磁束14Aは孔部153を迂回するように制動リング15内を流れ、磁気抵抗が大きくなる。また、渦電流は孔部153を流れることはできない。そのため、制動リング15に作用するローレンツ力が小さくなる。これに伴い、永久磁石14の回転を阻害する力も低減し、渦電流式ダンパ1の減衰力が小さくなる。
ただし、孔部153に調整材154(調整材本体1541)を挿入すると、調整材本体1541により、図6中の実線矢印で示すように、磁束14Aが最短経路を通ることができるようになる。これにより、低下したローレンツ力及び永久磁石14の回転を阻害する力を上昇させ、減衰力を回復させることができる。減衰力の回復の程度は、調整材本体1541の材質、寸法等を適宜設定することで調整することができる。
調整材本体1541の材質によって減衰力を調整する場合について詳述する。調整材本体1541の材質を磁性体とした場合、磁束14Aが孔部153を通りやすく、減衰力を比較的大きく回復させることができる。調整材本体1541を非磁性体とした場合、磁束14Aが孔部153をさほど通らないため、減衰力の回復の程度は小さくなる。
調整材本体1541の寸法によって減衰力を調整する場合について詳述する。上述した通り、隣接する永久磁石14同士で形成される磁気回路において、磁束14Aは最短経路を通ろうとする。すなわち、磁束14Aは、制動リング15のうち永久磁石14と対向する面(内周面157)及びその近傍を流れやすい。例えば、図3に示すように、調整材本体1541の内面1541Aを制動リング15の内周面157と一致させた場合、磁束14Aが最短経路で制動リング15を通過しやすくなり、減衰力を比較的大きく回復させることができる。一方、図7に示すように、制動リング15の半径方向における調整材本体1541の長さを短くし、調整材本体1541の内面1541Aを制動リング15の内周面157よりも外側に位置させたとする。この場合、磁束14Aが一方の永久磁石14から他方の永久磁石14に到達するまでの距離が長くなるため、減衰力の回復の程度は小さくなる。減衰力は、永久磁石14と調整材本体1541の内面1541Aとの隙間が大きくなるほど小さくなる。
このように、第1実施形態に係る渦電流式ダンパ1によれば、孔部153に挿入される調整材154によって減衰力を調整することができる。しかも、孔部153は、磁石保持リング13よりも外側に配置される制動リング15の外周面156に開口している。そのため、製品出荷時等、渦電流式ダンパ1を組み立てた後であっても渦電流式ダンパ1の減衰力を容易に調整することができる。
図8〜図11は、孔部153に調整材154を挿入する具体的な手順を説明するための図である。図8を参照して、まず、調整材154以外の部品を組み立てた渦電流式ダンパ1を用意する。この渦電流式ダンパ1の制動リング15には、予めドリル等によって孔部153が開けられている。この孔部153に調整材本体1541を挿入するため、調整材本体1541のボルト孔1541Bにボルト100を取り付ける。次に、図9に示すように調整材本体1541をテーパ部153Bに配置し、ハンマー等の工具でボルト100を叩いて調整材本体1541を所定の位置まで挿入する。その後、図10に示すように、ボルト100を調整材本体1541から取り外す。
続いて、図11に示すように、孔部153に止めねじ1542を挿入する。例えば、止めねじ1542の六角穴や十字穴にドライバー等の工具を取り付け、工具を回転させながら止めねじ1542をねじ部153Aに締め込む。その後、止めねじ1542から工具を取り外す。これにより、調整材154の孔部153への挿入が完了する。調整材154は、渦電流式ダンパ1の減衰力が予め決定されている範囲内に収まるように、材質及び寸法が定められている。
このように、第1実施形態に係る渦電流式ダンパ1では、外部から調整材154の着脱を行うことができるため、渦電流式ダンパ1を組み立てた後であっても、減衰力を容易に調整することができる。
孔部153は、制動リング15の外周面156側から機械加工によって成形することができる。第1実施形態に係る渦電流式ダンパ1では、この孔部153が制動リング15を半径方向に貫通する。そのため、孔部153を成形する際、孔部153の深さを考慮する必要がなく、容易に孔部153を成形することができる。
第1実施形態に係る渦電流式ダンパ1では、調整材本体1541が挿入される孔部153のテーパ部153Bは、制動リング15の半径方向の内側に向かって先細りとなる。そのため、調整材本体1541の着脱が容易であり、減衰力を調整しやすい。また、調整材本体1541が制動リング15の内側に抜け出ることを抑制することができる。調整材本体1541の外側には止めねじ1542が配置される。この止めねじ1542によっても、調整材本体1541が制動リング15の外側に抜け出ることを抑制できる。さらに、止めねじ1542及び孔部153のテーパ部153Bによって調整材本体1541の位置を固定することで、調整材本体1541の位置が変わりにくく、減衰力を安定させることができる。
永久磁石14からの磁束14Aは、上述したように最短経路を通過しようとする。そのため、制動リング15においては、磁石列141と対向する部分に磁束14Aが集中する。第1実施形態に係る渦電流式ダンパ1では、制動リング15のうち磁石列141と対向する部分に孔部153が設けられる。したがって、調整材154を挿入する前の減衰力を大きく低下させることができる。よって、調整材154による減衰力の調整幅を大きくとることができる。
第1実施形態に係る渦電流式ダンパ1では、調整材本体1541の表面硬度を孔部153の壁面の硬度、つまり制動リング15の硬度よりも小さくすることができる。この場合、調整材本体1541を孔部153に挿入すると、調整材本体1541が弾性変形し、調整材本体1541と孔部153との密着性を高くすることができる。これにより、調整材154が挿入された孔部153を磁束14Aが通りやすくなり、減衰力を上げることができる。ただし、調整材本体1541の表面硬度は、孔部153の壁面の硬度以上であってもよい。
<第2実施形態>
図12は、第2実施形態に係る渦電流式ダンパ2の縦断面の部分拡大図である。渦電流式ダンパ2は、磁石保持リング13、制動リング15、及び孔部153の配置において、第1実施形態に係る渦電流式ダンパ1と異なる。
図12に示すように、磁石保持リング13の一方の端部は、支持部材151に固定される。制動リング15の一方の端部は、支持部材131に固定される。制動リング15は、半径方向において磁石保持リング13の内側に、磁石保持リング13と同軸に配置される。すなわち、渦電流式ダンパ2では、磁石保持リング13及び制動リング15の半径方向の位置関係が、第1実施形態に係る渦電流式ダンパ1と逆になっている。
永久磁石14は、磁石保持リング13の内周面に固定され、制動リング15の外周面と僅かな隙間を空けて対向する。このような構成の渦電流式ダンパ2に振動が入力されると、制動リング15が回転し、永久磁石14による磁界内を移動する。
図13は、渦電流式ダンパ2の横断面の部分拡大図である。孔部153は、磁石保持リング13に設けられる。図示はしないが、孔部153は、磁石保持リング13の周方向に複数個並んで配置されている。孔部153は、磁石保持リング13の外周面133に開口する。孔部153は、磁石保持リング13を半径方向に貫通する。孔部153には、調整材154が挿入される。
図14は、孔部153と永久磁石14との位置関係を示す模式図である。図14は、磁石保持リング13を外側から見た図である。孔部153の各々は、図14中に二点鎖線で示す磁石列141の幅の範囲内に配置される。孔部153の各々は、半径方向視で、隣接する永久磁石14の間に配置される。好ましくは、孔部153は、磁石列141の幅方向の中央かつ隣接する永久磁石14の中間に配置される。
第2実施形態では、永久磁石14からの磁束を迂回させる孔部153を磁石保持リング13に設けることにより、渦電流式ダンパ2の減衰力を予め低下させている。ただし、この孔部153に調整材154(調整材本体1541)を挿入すれば、永久磁石14からの磁束が孔部153を通過するようになり、渦電流式ダンパ2の減衰力が回復する。減衰力の回復の程度は、第1実施形態と同様、調整材本体1541の材質、寸法等を適宜設定することにより、調整できる。
孔部153は、磁石保持リング13の外周面133に開口しているため、製品出荷時等、渦電流式ダンパ2を組み立てた後であっても渦電流式ダンパ2の減衰力を容易に調整することができる。
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記各実施形態では、調整材154が、調整材本体1541及び止めねじ1542を含んでいる。しかしながら、調整材154は、調整材本体1541のみを含んでいてもよいし、止めねじ1542のみを含んでいてもよい。調整材154が止めねじ1542のみを含む場合であっても、止めねじ1542の材質、寸法等を適宜設定することで渦電流式ダンパ1,2の減衰力を調整することができる。
上記各実施形態では、永久磁石14の磁極の向きが磁石保持リング13の半径方向に沿っている。しかしながら、永久磁石14の磁極の向きはこれに限定されるものではない。永久磁石14の磁極の向きは、磁石保持リング13の周方向に沿っていてもよいし、中心軸X方向に沿っていてもよい。
上記各実施形態において、止めねじ1542のねじ部に固着剤や接着剤を塗布してもよい。また、上記各実施形態において、止めねじ1542は半径方向内側に向かって先細りするテーパねじであってもよい。これらの場合、渦電流式ダンパ1,2内の気密性が高まり、渦電流式ダンパ1,2内に異物が混入することを抑制できる。
上記各実施形態において、孔部153には、調整材本体1541が挿入される部分としてテーパ部153Bが設けられている。しかしながら、孔部153の形状はこれに限定されるものではない。孔部153の断面積は、全体にわたり一定であってもよい。
上記第1実施形態では、磁石保持リング13がボールナット12に固定され、回転する構成となっている。しかしながら、磁石保持リング13に代えて、制動リング15がボールナット12に固定され、回転する構成であってもよい。同様に、上記第2実施形態において、磁石保持リング13がボールナット12に固定され、回転する構成であってもよい。
上記第2実施形態において、孔部153は磁石保持リング13を貫通している。しかしながら、孔部153の構成はこれに限定されるものではない。孔部153は、磁石保持リング13を貫通していなくてもよい。この場合、磁石保持リング13の内周側には、孔部153の底部が存在する。底部の厚み次第では、永久磁石14からの磁束が底部に集中し、隣り合う永久磁石14間で磁束を効率よく流すことができる。よって、磁石保持リング13に孔部153を設けない場合よりも、渦電流式ダンパ2の減衰力を上昇させられる。このように減衰力を予め上昇させた場合であっても、孔部153に調整材154を挿入することで、渦電流式ダンパ2の減衰力を変化させることができる。
1,2 :渦電流式ダンパ
11 :ねじ軸
12 :ボールナット
13 :磁石保持リング
133 :外周面
14 :永久磁石
14A :磁束
141 :磁石列
15 :制動リング
153 :孔部
154 :調整材
156 :外周面
1541 :調整材本体
1542 :止めねじ

Claims (5)

  1. 渦電流式ダンパであって、
    磁石保持リングと、
    前記磁石保持リングに固定され、前記磁石保持リングの周方向に沿って配列された複数の永久磁石と、
    前記複数の永久磁石と隙間を空けて対向するように前記磁石保持リングと同軸に配置され、前記磁石保持リングに対して相対的に回転し、導電性を有する制動リングと、を備え、
    前記磁石保持リング及び前記制動リングのうち、半径方向の外側に配置されたリングは、
    外周面に開口する複数の孔部と、
    前記孔部の各々に挿入される調整材と、を含む渦電流式ダンパ。
  2. 請求項1に記載の渦電流式ダンパであって、
    前記孔部の各々は、前記外側に配置されたリングを前記半径方向に貫通する、渦電流式ダンパ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の渦電流式ダンパであって、
    前記調整材は、
    調整材本体と、
    前記半径方向において、前記調整材本体の外側に配置され、前記孔部に締め込まれた止めねじと、を含む渦電流式ダンパ。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の渦電流式ダンパであって、
    前記制動リングが、前記磁石保持リングよりも前記半径方向の外側に配置される、渦電流式ダンパ。
  5. 請求項4に記載の渦電流式ダンパであって、
    前記孔部の各々は、前記複数の永久磁石で構成される磁石列と対向する、渦電流式ダンパ。
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