JP2017088718A - 電子・電気部品の製造方法及びエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

電子・電気部品の製造方法及びエポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【解決課題】外観が良好でボイド等のない高品質で高信頼性の電子・電気部品を、生産性良く、かつ簡便に製造することができる方法、及びそのような方法に使用されるエポキシ樹脂組成物を提供すること。【手段】下記(A)〜(G)成分(質量部)を含む液状のエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、電子・電気部品素子を成形型内に配置し、該成形型内に前記エポキシ樹脂組成物を注入して半硬化させる半硬化工程と、前記成形型を開放後、後硬化により前記エポキシ樹脂組成物を完全硬化させる後硬化工程とを備える電子・電気部品の製造方法。(A)エポキシ樹脂(100)、(B)酸無水物(50〜150)、(C)球状アルミナ(700〜1100)、(D)水酸化アルミニウム(20〜50)、(E)親水性フュームドシリカ(4〜10)、(F)アミノシランカップリング剤(0.1〜2)及び(G)硬化促進剤(0.1〜10)【選択図】なし

Description

本発明は、電子・電気部品の製造方法及びエポキシ樹脂組成物に関する。
近年、電子・電気機器、自動車機器、化学機器等の機器においては、小型化・軽量化が進み、それに伴い、それらに搭載する電子・電気部品に使用される絶縁材料に対する要求も一段と厳しくなってきている。
従来、この種の用途の絶縁材料としては熱硬化性樹脂が広く用いられており、なかでもエポキシ樹脂は、耐熱性、耐薬品性が良好で、機械的特性に優れるうえ、硬化剤及び各種添加剤との組み合わせにより、目的に応じた配合設計が容易に実現できることから多用されている。
このようなエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いて電子・電気部品を封止・モールドする方法としては、部品を収容したケース又は金型内に液状の熱硬化性樹脂を、常圧又は真空下で注入滴下して硬化させる方法(注形法)が一般に用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
また、金型温度を比較的低温(50〜150℃)に保ち、金型のキャビティ内に比較的低い圧力(0.1〜10kg/cm)で液状の熱硬化性樹脂を射出充填して成形する方法(射出成形法)も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、これらの従来の方法は、いずれも成形に時間がかかり生産性が低い上に、部品によっては、その容積や熱容量、熱硬化性樹脂が硬化する際の反応熱などを考慮して、多段で複雑な成形硬化条件を設定する必要があった。さらに、前者の方法では、樹脂の滴下面に相当する成形体の一面が覆われていないため、外観が不良となりやすかった。後者の方法では、樹脂の未充填部分やボイドが生じやすいという問題があった。また、熱放散性及び熱電導性を向上させる観点から、樹脂に対して充填剤としてアルミナが用いられるが、アルミナはエポキシ樹脂に比べて比重が大きいため、沈降し易いという欠点があった。アルミナの沈降防止のためのエポキシ樹脂の改良がなされているが、低粘度の液状エポキシ樹脂を使用した場合には、アルミナの沈降を十分に抑制するものはなかった(例えば、特許文献3、4参照。)。
特開平11−5890号公報 特開平8−288321号公報 特開平8−283538号公報 特開2012−111970号公報
本発明は上記従来技術の課題を解決するためになされたもので、熱硬化性樹脂により封止・モールドされた電子・電気部品であって、外観が良好でボイド等のない高品質で高信頼性の電子・電気部品を、生産性良く、かつ簡便に製造することができる方法、及びそのような方法に使用されるエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明の一態様に係る電子・電気部品の製造方法は、下記(A)〜(G)成分を含む液状のエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、
電子・電気部品素子を成形型内に配置し、該成形型内に前記エポキシ樹脂組成物を注入して半硬化させる半硬化工程と、
前記成形型を開放後、後硬化により前記エポキシ樹脂組成物を完全硬化させる後硬化工程と
を備えることを特徴とする。
(A)エポキシ樹脂 100質量部
(B)酸無水物 50〜150質量部
(C)球状アルミナ 700〜1100質量部
(D)水酸化アルミニウム 20〜50質量部
(E)親水性フュームドシリカ 4〜10質量部
(F)アミノシランカップリング剤 0.1〜2質量部及び
(G)硬化促進剤 0.1〜10質量部
本発明の一態様に係るエポキシ樹脂組成物は、上記電子・電気部品の製造方法に用いられるエポキシ樹脂組成物であって、下記(A)〜(G)成分を含む液状のエポキシ樹脂組成物である。
(A)エポキシ樹脂 100質量部
(B)酸無水物 50〜150質量部
(C)球状アルミナ 700〜1100質量部
(D)水酸化アルミニウム 20〜50質量部
(E)親水性フュームドシリカ 4〜10質量部
(F)アミノシランカップリング剤 0.1〜2質量部及び
(G)硬化促進剤 0.1〜10質量部
本発明によれば、熱硬化性樹脂により封止・モールドされた電子・電気部品であって、外観が良好でボイド等のない高品質で高信頼性の電子・電気部品を、生産性良く、かつ簡便に製造することができる。
本発明の製造方法は、下記(A)〜(G)成分を含む液状のエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、電子・電気部品素子を成形型内に配置し、該成形型内に前記エポキシ樹脂組成物を注入して半硬化させる半硬化工程と、前記成形型を開放後、後硬化により前記エポキシ樹脂組成物を完全硬化させる後硬化工程とを備える。
(A)エポキシ樹脂 100質量部
(B)酸無水物 50〜150質量部
(C)球状アルミナ 700〜1100質量部
(D)水酸化アルミニウム 20〜50質量部
(E)親水性フュームドシリカ 4〜10質量部
(F)アミノシランカップリング剤 0.1〜2質量部及び
(G)硬化促進剤 0.1〜10質量部
本発明の製造方法においては、先ず、電子・電気部品素子を成形型内に配置する。電子・電気部品素子としては、例えば、巻線を収納した固定子鉄心(コイル)部品の他、コネクター、スイッチ、リレー、コンデンサ、トランス、抵抗器、集積回路、発光ダイオード(LED)等が挙げられる。
成形型としては特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等の、耐熱性及び耐食性を有する金属から構成される金型等を使用することができる。上記成形型内に電子・電子部品素子を装着保持して配置し、その後、液状のエポキシ樹脂組成物を注入する。
成形型へのエポキシ樹脂組成物の注入方法は特に限定されず、成形型内にエポキシ樹脂組成物を、常圧又は真空下で注入滴下する方法や、射出注入する方法を採用することができる。エポキシ樹脂組成物の注入方法としては、成形性及び生産性の点から、射出注入する方法であることが好ましい。この場合、液状のエポキシ樹脂組成物の射出温度を低温に設定した上で、高温の金型へ射出注入して充填し、その後、硬化させることが好ましい。
成形型内に注入される液状のエポキシ樹脂組成物の温度は50〜70℃が好ましい。50℃未満では流動性が悪くなるおそれがある。一方、70℃を超えると注入に使用される射出ノズル等の内部で一部硬化したり、ゲル化反応が進行したりするおそれがある。また、エポキシ樹脂組成物の射出速度は、0.2〜5.0L/分が好ましい。0.2L/分未満では生産性が低下し、一方、5.0L/分を超えると気泡の巻き込みにより硬化物内にボイドが発生するおそれがある。
また、成形型内に注入される液状のエポキシ樹脂組成物の粘度は0.5〜30Pa・sが好ましい。0.5Pa・s未満では、成形品にバリが発生したり、成形型に設けられている脱気用の孔に詰まりが生じるおそれがある。一方、30Pa・sを超えると流動性が低下し、場合により成形型内に配置した電子・電気部品素子を損傷させるおそれがある。液状のエポキシ樹脂組成物の粘度はJIS C 2105の粘度測定法に準拠して測定することができる。
なお、エポキシ樹脂組成物を成形型内に射出注入する場合、エポキシ樹脂組成物を射出させる射出ノズル等には、エポキシ樹脂組成物を所望の温度まで加熱できるヒーター等の加熱手段を設けてもよい。
次いで、成形型内に注入されたエポキシ樹脂組成物を加熱して半硬化させる(半硬化工程)。この半硬化工程において、成形型内に充填されたエポキシ樹脂組成物の示差走査熱量測定(DSC)による硬化反応率が30〜55%の範囲になるような条件で加熱することが好ましい。硬化反応率が30%未満では、硬化が不十分なために、半硬化物を、その形状を保持したまま成形型から取り出すことができないか、又は困難となる。一方、硬化反応率が55%を超えるような条件では、硬化に時間がかかり、生産性を十分に向上させることができないおそれがある。また、生産性の低下を抑制することを目的として、短時間で硬化させた場合には、硬化収縮などにより半硬化物を硬化させた硬化物に内部応力が発生し、クラック等の欠陥が発生し易くなる。成形型からの取り出しを容易にし、また、硬化物における欠陥の発生を抑制し、かつ生産性を高めるためには、硬化反応率が40〜50%になるような条件で加熱することがより好ましい。
なお、上記エポキシ樹脂組成物のDSCによる硬化反応率は、未硬化のエポキシ樹脂組成物から採取した試料(未硬化試料)及び硬化後のエポキシ樹脂組成物から採取した試料(測定試料)について、それぞれDSC測定を行って各試料の発熱量を求め、未硬化試料の発熱量をH、測定試料の発熱量をHとしたとき、下記式(1)により算出される値である。
硬化反応率(%)={(H−H)/H}×100 (1)
半硬化工程における加熱の温度条件としては60〜110℃が好ましく、加熱時間は5〜25分が好ましい。加熱温度の下限値は、90℃以上がより好ましい。温度が60℃未満では、硬化反応が十分に進行しないおそれがあり、110℃を超えると、硬化が急速に進んで、電子・電気部品素子の空隙にエポキシ樹脂組成物が均一に充填されないおそれがある。また、前述したような硬化収縮等により内部応力が発生し、クラック等の欠陥が発生し易くなるおそれがある。加熱時間が5分未満では、硬化ないしゲル化が不十分で、半硬化物の成形型からの取り出しが困難になるおそれがあり、25分を超えると、成形時間が長いために、生産性を十分に向上させることができないことがある。
また、半硬化工程においては、加熱の際に、成形型に充填されたエポキシ樹脂組成物を加圧することが好ましい。この際の加圧条件としては、0.2〜10MPaが好ましい。0.2MPa未満では、エポキシ樹脂の未充填部分やボイドが生じるおそれがある、一方、10MPaを超えると、電気・電子部品素子を破損させるおそれがある。
次いで、成形型を開放し、半硬化成形品である、エポキシ樹脂組成物の半硬化物で封止・モールドされた電子・電気部品素子を成形型から取り出す。後硬化工程において、成形型から取り出された半硬化成形品を加熱して、エポキシ樹脂組成物の半硬化物を完全硬化させる。後硬化工程は、成形型から取り出した複数の半硬化成形品を一括して加熱ステージ上に放置したり、加熱オーブン中に放置したりすることにより行うことができる。後硬化工程における硬化条件は、好ましくは100〜180℃で2〜8時間程度である。このように、後硬化工程では、複数の半硬化成形品を一括して処理することができる。
本実施形態の電子・電気部品の製造方法においては、上記したように、例えば30〜55%という低い硬化反応率の半硬化物の状態で成形型から取り出すことができるため、成形型内での成形時間を短縮することができ、生産性を高めることができる。また、硬化の大半を後硬化工程で行うことができるので、成形段階での複雑な成形硬化条件を設定する必要がなく、この点からも、生産性を高めることができる。
次に、本発明の電子・電気部品の製造方法において使用される液状のエポキシ樹脂組成物に含有される各成分について説明する。液状のエポキシ樹脂組成物は、以下の(A)〜(G)成分を各所定の割合で含む。
(A)エポキシ樹脂 100質量部
(B)酸無水物 50〜150質量部
(C)球状アルミナ 700〜1100質量部
(D)水酸化アルミニウム 20〜50質量部
(E)親水性フュームドシリカ 4〜10質量部
(F)アミノシランカップリング剤 0.1〜2質量部及び
(G)硬化促進剤 0.1〜10質量部
(A)エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基(グリシジル基を含む。)を有するエポキシ樹脂であれば特に制限なく使用することができる。(A)エポキシ樹脂に用いられるエポキシ樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。(A)エポキシ樹脂としては、例えば、ポリグリシジルエーテル、3官能フェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環式型エポキシ樹脂等を用いることができる。
(A)エポキシ樹脂としては、エポキシ当量が100〜250程度の範囲のものが好ましく、130〜200程度であることがより好ましい。
なお、エポキシ樹脂組成物を液状とするために、(A)エポキシ樹脂は、常温で液状であり、流動性を有することが好ましい。この場合、各成分が混合されたときに常温で液状であればよい。(A)エポキシ樹脂が常温で固体である場合であっても、反応性希釈剤、溶剤等によって希釈することで、エポキシ樹脂組成物を液状にすることができる。
(A)エポキシ樹脂は、(a−1)多官能エポキシ樹脂及び(a−2)脂環式エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
(a−1)多官能エポキシ樹脂は1分子中に3個以上のエポキシ基(グリシジル基)を有するエポキシ樹脂であれば特に制限なく使用することができる。具体的には、ポリグリシジルエーテル、3官能フェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格含有多官能型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
(a−1)多官能エポキシ樹脂としては、中でも、3官能フェノール型エポキシ樹脂が好ましい。3官能フェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、jER(登録商標)1032H60」(三菱化学社製)等を用いることができる。
(a−2)脂環式エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基(グリシジル基)を有し、かつ脂肪族環骨格を有するエポキシ樹脂である。(a−2)成分としては、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3’,4’−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。(a−2)脂環式エポキシ樹脂は1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。(a−2)脂環式エポキシ樹脂として市販品を用いてもよく、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3’,4’−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレートとして、セロキサイド2021P(ダイセル社製)等を用いることができる。
(A)エポキシ樹脂は、(a−1)多官能エポキシ樹脂及び(a−2)脂環式エポキシ樹脂とともに、(a−3)(a−1)成分及び(a−2)成分以外のエポキシ樹脂が含有されることが好ましい。この(a−3)成分のエポキシ樹脂は、(a−1)成分及び(a−2)成分以外のエポキシ樹脂であって、1分子中に2個以上のエポキシ基(グリシジル基)を有するものであれば、従来より知られるエポキシ樹脂を特に制限なく使用することができる。
(a−3)成分のエポキシ樹脂としては、常温(25℃)で液体のものが好ましく、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂として「エポミック(登録商標)R140P」(三井石油化学社製)等を用いることができる。
(A)エポキシ樹脂における(a−1)成分の配合量は、(A)エポキシ樹脂の100質量%に対して、10〜40質量%であることが好ましく、30〜35質量%であることがより好ましい。(a−1)多官能フェノール型エポキシ樹脂が10質量%未満では、耐熱衝撃性に劣ることがあり、40質量%を超えると(A)エポキシ樹脂の粘度が高くなりすぎ、沈降抑制効果が低下することがある。
(A)エポキシ樹脂における(a−2)成分の配合量は(A)エポキシ樹脂の100質量%に対して、10〜20質量%であることが好ましい。(a−2)脂環式エポキシ樹脂が10質量%未満では(A)エポキシ樹脂の粘度が高くなり、含浸性及び沈降抑制効果が低下することがある。20質量%を超えると、耐熱性が低下することがある。
また、(A)エポキシ樹脂における(a−1)多官能エポキシ樹脂及び(a−2)脂環式エポキシ樹脂の合計配合量は、(A)エポキシ樹脂の100質量%に対して、25〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。
(B)酸無水物は、上記(A)成分の硬化剤であり、従来、エポキシ樹脂の硬化剤として使用されているものであれば、特に制限なく使用することができる。具体的に例えば、テトラヒドロフタル酸無水物、へキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、無水ピロメリット酸、無水メチルハイミックス酸、メチルテトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。(B)酸無水物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)酸無水物としては、なかでも、水分に耐性があり、かつ、保存安定性が良好であることから、無水メチルハイミックス酸を用いることが好ましい。
(B)酸無水物の配合量は、(A)エポキシ樹脂の100質量部に対して50〜150質量部である。50質量部未満では、機械的特性が十分でなく、150質量部を超えると沈降抑制効果が低下する。
(B)酸無水物の配合量は、上記(A)成分中のエポキシ基1当量あたり、0.7〜1.1当量となる範囲が好ましく、0.8〜1.0当量となる範囲がより好ましい。(B)酸無水物の配合量が上記範囲であることで、硬化物の機械的特性、耐湿性、耐熱性等の特性が良好である。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、従来、エポキシ樹脂の硬化剤として使用されているフェノール樹脂硬化剤、アミン硬化剤、イミダゾール化合物、潜在性硬化剤、イソシアネート化合物、カチオン系硬化剤等の硬化剤が配合されてもよい。
(C)球状アルミナは、無機充填剤であり、主として、エポキシ樹脂組成物に優れた熱放散性を付与する成分である。球状アルミナを使用することで、充填量の制約が少なく、優れた作業性及び成形性を得ることができる。
(C)球状アルミナの平均粒径は、1〜100μmが好ましく、3〜80μmがより好ましく、5〜50μmが特に好ましい。また、(C)球状アルミナの許容される最大粒径は、150μmが好ましく、125μmがより好ましく、75μmがさらに好ましい。(C)球状アルミナの平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定した個数積算分布における50%粒径(d50値)である。また、最大粒径は、例えば、所定の篩網目のJIS標準篩等を用いて球状アルミナを篩分けする方法により計測することができる。このような粒度分布の(C)球状アルミナを用いることで、沈降抑制効果を向上させることができる。
なお、市販の平均粒径の異なる複数種の球状アルミナを使用する場合、混合後の平均粒径が上記条件を満たしていればよい。球状アルミナの市販品としては、例えば、マイクロン社製のAZシリーズを用いることができる。
(C)球状アルミナの配合量は、(A)エポキシ樹脂の100質量部に対して50〜150質量部である。(C)球状アルミナが50質量部未満では、熱放散性や機械的特性が不十分であり、150質量部を超えると、(C)球状アルミナが沈降し易くなるほか、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、作業性が低下する。(C)球状アルミナの配合量が上記した範囲であることで、硬化物に良好な耐熱衝撃性や機械的特性を付与することもできる。
また、(C)球状アルミナの配合量は、(A)エポキシ樹脂と(B)酸無水物の合計100質量部に対して300〜600質量部の範囲が好ましい。300質量部未満では、エポキシ樹脂組成物の硬化物の収縮により電気・電子部品に歪みや破損などが発生し易くなる。600質量部を超えると、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、成形内に射出充填等する際に、未充填部分が発生するおそれがある。
(D)水酸化アルミニウムは、主として、(C)球状アルミナの沈降を抑制する成分である。(D)水酸化アルミニウムとしては、一般にエポキシ樹脂組成物の無機充填剤として使用されるものであれば特に制限なく使用することができる。(D)水酸化アルミニウムは、平均粒径が1〜2μmであるものが好ましい。(D)水酸化アルミニウムとしては、市販品を用いてもよく、例えば、ハイジライト(登録商標)H−42(昭和電工社製)等を使用することができる。
(D)水酸化アルミニウムの配合量は、(A)エポキシ樹脂の100質量部に対して20〜50質量部である。(D)水酸化アルミニウムが20質量部以上であることで、優れた沈降抑制効果が得られる。50質量部を超えると、沈降抑制効果が著しい反面、成形性や機械的特性を損なうおそれがある。また、(D)水酸化アルミニウムの配合量が上記した範囲であることで、硬化物に良好な耐熱衝撃性や機械的特性を付与することもできる。
(D)水酸化アルミニウムの配合量は、(C)球状アルミナの全量に対して2〜4質量%であることが好ましい。(C)球状アルミナの全量に対して2質量%未満では、沈降抑制効果が十分でないことがあり、4質量%を超えると、成形性及び作業性が低下することがある。
(E)親水性フュームドシリカは、平均一次粒径が例えば10〜30nmである。本発明に使用されるエポキシ樹脂組成物において、親水性フュームドシリカを使用することで、優れた沈降抑制効果を得ることができる。(E)親水性フュームドシリカは、沈降抑制効果を得る点から、BET法による比表面積(以下「BET比表面積」という。)が200m/g以上であることが好ましい。平均一次粒径は例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定することができる。
(E)親水性フュームドシリカの配合量は、(A)エポキシ樹脂の100質量部に対して4〜10質量部であり、4〜8質量部が好ましい。(E)親水性フュームドシリカの配合量が上記した範囲であることで、硬化物に良好な耐熱衝撃性や機械的特性を付与することができる。また、(E)親水性フュームドシリカの配合量が、4質量部未満では、十分な沈降抑制効果が得られないことがあり、10質量部を超えると、沈降抑制効果に優れるものの、粘度が異常に上昇して作業性及び成形性が極端に悪化する。
本発明に使用されるエポキシ樹脂組成物に配合される(D)成分と(E)成分は、互いの欠点を補う相乗効果を奏し、沈降抑制効果と、作業性及び成形性を向上させる効果を得ることができる。(D)成分と(E)成分の合計量は、沈降抑制効果を得る点から、(A)エポキシ樹脂の100質量部に対して20〜50質量部であることが好ましい。
また、本発明に使用されるエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、(C)〜(E)成分以外のその他の無機充填剤が添加されてもよい。
その他の無機充填剤としては例えば、球状シリカ、結晶シリカ、破砕アルミナ、フュームドアルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、マグネシア、ベーマイト、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。その他の無機充填剤は、1種が単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
その他の充填剤としては、上記したなかでも、沈降抑制効果を向上させるとともに、硬化物に良好な耐熱衝撃性や機械的特性を付与する点で、フュームドアルミナを使用することが好ましい。フュームドアルミナを使用する場合、その配合量は、(E)親水性フュームドシリカの100質量%に対して0〜50質量%であることが好ましい。
(F)アミノシランカップリング剤は、無機充填剤である(C)球状アルミナ、(D)水酸化アルミニウム及び(E)親水性フュームドシリカのエポキシ樹脂組成物中での分散性を向上させる作用を有する。(F)アミノシランカップリング剤は、エポキシシランカップリング剤に比べて、硬化物の機械的特性、特に、機械的強度の向上に著しい効果を発揮する。また、エポキシシランカップリング剤がエポキシ樹脂組成物中の無機充填剤の沈降を促進する傾向にあるのに対して、(F)アミノシランカップリング剤によれば、優れた沈降抑制効果を得ることができる。
(F)アミノシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン等のアミノシランカップリング剤等を用いることができる。中でも、優れた沈降抑制効果と硬化物の優れた機械的特性を得る点で、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシランを用いることがより好ましい。
(F)アミノシランカップリング剤の配合量は、(A)エポキシ樹脂の100質量部に対して0.1〜2質量部である。(F)アミノシランカップリング剤の配合量が、0.1質量部未満では、無機充填剤分散性向上効果が得られず、2質量部を超えると過剰であり、エポキシ樹脂組成物の熱放散性を低下させることがある。
(G)硬化促進剤は、(A)エポキシ樹脂と(B)酸無水物の硬化を促進するものである。(G)硬化促進剤としては、硬化を促進できるものであれば特に限定なく使用することができる。(G)硬化促進剤として具体的に例えば、芳香族ジメチルウレア、脂肪族ジメチルウレア、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチルウレア、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエン等のウレア系硬化促進剤、ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビジクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチルアミン等のアミン系硬化促進剤、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系硬化促進剤、トリフェニルホスフィン塩等のホスフィン系硬化促進剤等が挙げられる。(G)硬化促進剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(G)硬化促進剤としては、なかでも、アミン系硬化促進剤が好ましい。アミン系硬化促進剤の市販品としては、U−CAT2030(サンアプロ社製)等を使用することができる。
(G)硬化促進剤の配合量は、硬化促進性及び硬化物の機械的特性等のバランス等の点から、(A)エポキシ樹脂の100質量部に対して、0.1〜10質量%である。
また、(G)硬化促進剤の配合量は、(B)酸無水物100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲が好ましく、0.4〜5質量部の範囲がより好ましい。(G)硬化促進剤が(B)酸無水物100質量部に対して0.1質量部未満では、硬化不良により、電気特性、膜厚均一性等が低下するおそれがある。10質量部を超えると、エポキシ樹脂組成物の保存安定性が低下するおそれがある。
また、本発明に使用されるエポキシ樹脂組成物には、必須成分である上記(A)〜(G)成分、上記その他の無機充填剤にさらに、離型剤、着色剤、低応力付与剤、消泡剤等の各種添加剤が添加されてもよい。着色剤としては、例えば、カーボンブラック、コバルトブルー等の顔料が挙げられる。低応力付与剤としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーンオイル等が挙げられる。
本発明に使用されるエポキシ樹脂組成物は、必須成分である(A)成分〜(G)成分、その他の無機充填剤及び各種添加剤が、例えば、万能混合機等によって均一に混合されて調製される。
また、本発明に使用されるエポキシ樹脂組成物は、少なくとも(A)エポキシ樹脂を含む主剤液と、少なくとも(B)酸無水物を含む硬化剤液からなる2液型のエポキシ樹脂組成物であることが好ましい。
この場合、主剤液には、さらに(C)球状アルミナ、(D)水酸化アルミニウム及び(E)親水性フュームドシリカのそれぞれ少なくとも一部が配合されていてもよい。また、硬化剤液には、(C)球状アルミナ、(D)水酸化アルミニウム、(E)親水性フュームドシリカ、(F)アミノシランカップリング剤及び(G)硬化促進剤それぞれ少なくとも一部が配合されていてもよい。
なお、2液型のエポキシ樹脂組成物において、(C)球状アルミナ、(D)水酸化アルミニウム及び(E)親水性フュームドシリカが主剤液と硬化剤液の両者に配合される場合、主剤液と硬化剤液を混合して得られるエポキシ樹脂組成物中の配合量が上記範囲内となるように、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の各成分の上記配合量のうちそれぞれ一部を主剤液に、残部を硬化剤液に配合すればよい。
また、2液型のエポキシ樹脂組成物として使用する場合、主剤液あるいは硬化剤液の各液の調製における各成分の混合順序は特に限定されない。ただし、沈降抑制効果を向上させる観点から、硬化剤液の調製において(B)酸無水物に先ず、(C)球状アルミナを混合することが好ましい。この場合、(C)球状アルミナは、(B)酸無水物に配合される前に、(F)アミノシランカップリング剤の少なくとも一部によって表面処理が施されていることが好ましい。表面処理方法としては、特に限定されないが、(F)アミノシランカップリング剤を噴霧した後、熱処理する方法が挙げられる。この際の熱処理条件としては、例えば90℃で24時間である。
上記(A)〜(G)成分を混合して得られるエポキシ樹脂組成物の粘度は、60℃で0.5〜30Pa・sが好ましい。0.5Pa・s未満では、成形品にバリが発生したり、成形型に設けられている脱気用の孔に詰まりが生じるおそれがある。一方、30Pa・sを超えると流動性が低下し、場合により成形型内に配置した電子・電気部品素子を損傷させるおそれがある。エポキシ樹脂組成物の粘度は、JIS C 2105の粘度測定法に準拠して測定することができる。
エポキシ樹脂組成物の硬化物は、耐久性を向上させる点で、ガラス転移点が、155℃以上であることが好ましく、190℃以上であることが好ましい。また、硬化物の熱伝導率は、1.5W/m・K以上であることが好ましく、1.7W/m・K以上であることがより好ましい。ガラス転移点は、例えば、熱分析装置により、室温から250℃まで昇温して、熱膨張曲線を測定し、変移点の中点から求められる。熱伝導率は、熱伝導率計(型番:QMT−500、京都エレクトロニクス社製)によって測定することができる。
このようにして、上記(A)〜(G)成分を混合して得られるエポキシ樹脂組成物は、例えば50〜70℃に予熱され、減圧下で脱泡された後、成形型に充填される。
以上、実施形態を示して本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことが可能である。また、上記実施形態には種々の段階の説明が含まれており、開示される複数の構成要件を適宜組み合わせることにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決できている場合には、このいくつかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
次に、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこれらの例により、何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において使用した材料は次に示すものである。
(A)エポキシ樹脂
(A1)多官能フェノール型エポキシ樹脂(商品名:jER(登録商標)1032H60、三菱化学社製、エポキシ当量169g/eq)
(A2)脂環式エポキシ樹脂(商品名:セロキサイド(登録商標)2021P、ダイセル社製、エポキシ当量137g/eq)
(A3)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エポミック(登録商標)R140P、三井石油化学社製、エポキシ当量188g/eq)
(B)酸無水物(無水メチルハイミックス酸(メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸)、商品名:MEHAC−P、日立化成社製、)
(C)球状アルミナ
(C1)球状アルミナ(商品名:AZ2−75、マイクロン社製、平均粒径(d50):3〜5μm、最大粒径75μm)
(C2)球状アルミナ(商品名:AZ35−125、マイクロン社製、平均粒径(d50):30〜40μm、最大粒径125μm)
(C3)球状アルミナ(商品名:AZ75−150、マイクロン社製、平均粒径(d50):60〜80μm、最大粒径150μm)
(D)水酸化アルミニウム(ハイジライト(登録商標)H42−M、昭和電工社製)
(E1)親水性フュームドシリカ(商品名:アエロジル(登録商標)200、日本アエロジル社製)
(E2)疎水性フュームドシリカ(商品名:アエロジル(登録商標)RY200S、日本アエロジル社製)
(E3)フュームドアルミナ(アエロキシド(登録商標)ALU−C、日本アエロジル社製)
(F1)アミノシランカップリング剤(3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名:Z6883、東レダウコ―ニング社製)
(F2)エポキシシランカップリング剤(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名:A187、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製)
(G)硬化促進剤(商品名:U−CAT2030、サンアプロ社製)
消泡剤(商品名:TSA720、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製)
黒色顔料(商品名:ECB602、アイカ工業社製)
(実施例1)
上記(A1)多官能フェノール型エポキシ樹脂35質量部、(A2)脂環式エポキシ樹脂20質量部、(A3)ビスフェノールA型エポキシ樹脂45質量部、(C1)球状アルミナ110質量部、(C2)球状アルミナ280質量部、(D)水酸化アルミニウム10質量部、(E1)親水性フュームドシリカ4質量部に、消泡剤0.1質量部及び黒色顔料3質量部、を配合して、真空下、万能混合機を用いて均一に混合することにより主剤液を調製した。
一方、(B)酸無水物100質量部に、(G)硬化促進剤2質量部、(C1)球状アルミナ110質量部、(C2)球状アルミナ280質量部、(D)水酸化アルミニウム10質量部、(E1)親水性フュームドシリカ4質量、(F1)アミノシランカップリング剤0.5質量及び消泡剤0.1質量部を配合して、真空下、万能混合機を用いて均一に混合することにより硬化剤液を調製した。
上記で得られた主剤液と硬化剤液を均一に混合してエポキシ樹脂組成物を調整した。実施例1で作製したエポキシ樹脂組成物の組成を表1に示す。
(実施例2〜8及び比較例1〜4)
表1に示すように各成分の配合量を変更した他は実施例1と同様にエポキシ樹脂組成物及び比較用のエポキシ樹脂組成物を調製した。
各例で得られたエポキシ樹脂組成物について次の評価を行った。結果を表2に示す。
(1)組成物粘度
JIS C 2105の粘度測定法に準拠して、BROOKFIELD粘度計(品番:DV−II)により、ロータNo.34spindleを用い、温度60℃、回転数5rpmの条件で測定した。粘度が30Pa・s以下を良(○)、30Pa・Sを超えるものを不良(×)と評価した。
(2)ゲルタイム
JIS C 2105に規定される試験管法に準拠して、エポキシ樹脂組成物を試験管中に10g量り取り、140℃のオイルバス中にてエポキシ樹脂組成物がゲル化するまでの時間を測定した。
(3)ガラス転移点
100℃で2時間、次いで150℃で2時間、さらに180℃で2時間の条件で硬化させて作製した硬化物について、熱分析装置(型式:TMA/SS150、セイコーインスツルメンツ社製)により、室温から250℃まで昇温して(昇温速度10℃/分)、熱膨張曲線を測定し、変移点の中点から求めた。
(4)曲げ強さ及び曲げ弾性率(機械的特性)
100℃で3時間、次いで150℃で3時間硬化させて、サンプル片(幅10mm×長さ80mm×厚さ4mm)を作製し、曲げ強さ及び曲げ弾性率を、JIS K 6691に準拠して温度25℃において測定した。曲げ強さに関しては、100N/mm以上のものを良(○)、100N/mm未満のものを不良(×)と評価した。
(5)沈降性
プラスチックの試験管にそれぞれ上記で得られた主剤液と硬化剤液の混合液を62g注入し、次の硬化条件A又は硬化条件Bでそれぞれ半硬化させた後、24時間放置した。硬化条件Aは、100℃で120分、硬化条件Bは60℃で720分加熱した。半硬化物の上方部10mmを切断して、比重を測定した。同様に下方部10mmを切断して比重を測定した。上方部の比重と下方部の比重の比率(=(上方部比重/下方部比重)×100(%))を算出した。比率が100に近いほど、上方から下方への充填剤の沈降がないことを示す。沈降性は、いずれの硬化条件でも比率が90%以上であるものを良(○)、いずれか一方が90%以上、他方が90%未満であるものをやや良(△)、両者が90%未満であるものを不良(×)と評価した。
(6)成形性
成形後の電気・電子部品を任意の切断面で切断し、その切断面におけるエポキシ樹脂硬化物中のボイドの有無を目視で確認し、下記の基準で評価した。
良(○):ボイド無し
不良(×):ボイドあり
(7)硬化収縮率
アルミニウム製の金型(底面の直径a=80mm)にエポキシ樹脂組成物を充填し、100℃で3時間、次いで150℃で3時間硬化させて、硬化物の底面の直径bを測定し、硬化収縮率を下記式によって算出した。
硬化収縮率={(a−b)/a}×100(%)
(8)熱伝導性
上記(7)硬化収縮率の評価で作製した硬化物について、熱伝導率計(型番:QMT−500、京都エレクトロニクス社製)によって測定した。熱伝導aは1.5W/m・K以上を良(○)、1.5W/m・K未満を不良(×)と評価した。
Figure 2017088718
Figure 2017088718
表2から明らかなように、本発明の製造方法によれば、エポキシ樹脂中でのアルミナの沈降を抑制して、外観が良好でボイド等のない高品質で高信頼性の電子・電気部品を得ることができる。また、半硬化工程及び後硬化工程を経ることで、上記外観が良好でボイド等のない高品質で高信頼性の電子・電気部品を生産性良く、かつ簡便に製造することができる。

Claims (8)

  1. 下記(A)〜(G)成分を含む液状のエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、
    電子・電気部品素子を成形型内に配置し、該成形型内に前記エポキシ樹脂組成物を注入して半硬化させる半硬化工程と、
    前記成形型を開放後、後硬化により前記エポキシ樹脂組成物を完全硬化させる後硬化工程と
    を備えることを特徴とする電子・電気部品の製造方法。
    (A)エポキシ樹脂 100質量部
    (B)酸無水物 50〜150質量部
    (C)球状アルミナ 700〜1100質量部
    (D)水酸化アルミニウム 20〜50質量部
    (E)親水性フュームドシリカ 4〜10質量部
    (F)アミノシランカップリング剤 0.1〜2質量部及び
    (G)硬化促進剤 0.1〜10質量部質量部
  2. 前記エポキシ樹脂組成物が、少なくとも(A)エポキシ樹脂を含む主剤液と、少なくとも(B)酸無水物を含む硬化剤液からなる2液型のエポキシ樹脂組成物であることを特徴とする請求項1記載の電子・電気部品の製造方法。
  3. (A)エポキシ樹脂が、(a−1)多官能エポキシ樹脂及び(a−2)脂環式エポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の電子・電気部品の製造方法。
  4. 前記エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂及び(B)酸無水物の合計100質量部に対して、(C)球状アルミナ粉及び(D)水酸化アルミニウムを合計で300〜600質量部含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の電子・電気部品の製造方法。
  5. 前記成形型内において、前記エポキシ樹脂組成物を60〜110℃で5〜25分間加熱して半硬化させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の電子・電気部品の製造方法。
  6. (C)球状アルミナは、平均粒径が1μm〜100μm、最大粒径が150μmであり、
    (D)水酸化アルミニウムは、平均粒径が1〜2μmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の電子・電気部品の製造方法。
  7. (C)球状アルミナは、前記エポキシ樹脂組成物を調製する工程に先立って、(F)アミノシランカップリング剤の少なくとも一部によって表面処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の電子・電気部品の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の電子・電気部品の製造方法に用いられるエポキシ樹脂組成物であって、下記(A)〜(G)成分を含む液状のエポキシ樹脂組成物。
    (A)エポキシ樹脂 100質量部
    (B)酸無水物 50〜150質量部
    (C)球状アルミナ 50〜150質量部
    (D)水酸化アルミニウム 20〜50質量部
    (E)親水性フュームドシリカ 4〜10質量部
    (F)アミノシランカップリング剤 0.1〜2質量部及び
    (G)硬化促進剤 0.1〜10質量部
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