JP2017080723A - トリガー式液体噴出器 - Google Patents

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Abstract

【課題】トリガー部を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部を操作しない場合であっても液体を噴射させることができ、液体の連続噴射を行う。
【解決手段】トリガー式液体噴出器1は、トリガー部51の後方への移動によって、縦供給筒部10内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダ90と、貯留シリンダ90内にその中心軸線O2に沿う軸方向に移動自在に配設され、貯留シリンダ90内への液体の供給に伴い軸方向のうちの一方側に向けて移動する貯留プランジャ91と、貯留プランジャ91に連結され、貯留プランジャ91の軸方向の移動に連係する負圧プランジャ93と、軸方向に沿って延びるとともに軸方向の他端開口と外部の連通が遮断され、内部に負圧プランジャ93が軸方向の一方側に向けて移動自在に収容された負圧シリンダ94と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、トリガー式液体噴出器に関するものである。
ノズルの下方に延びるトリガー部の操作により、容器体から液体を吸い上げてノズルから吐出するトリガー式液体噴出器が知られている(例えば下記特許文献1)。
従来のトリガー式液体噴出器では、容器体と連通する縦供給筒部の上部に、前方に向けて延びる射出筒部が設けられている。射出筒部の先端側にはノズルが付設されている。射出筒部の下方には、トリガー部の操作により作動するシリンダが配置されている。そして、トリガー部の操作を行うことで、縦供給筒部からシリンダ内に液体を吸い上げることができるとともに、その液体を射出筒部からノズルを経て前方に噴射(噴出)させることができる。
特許第3781904号公報
しかしながら、上記従来のトリガー式液体噴出器では、トリガー部を引くときにのみ液体が噴射される。したがって、例えば広い面積に対して液体を吹き付けるようなときには、何度もトリガー部を引く操作を繰り返す必要があり面倒である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、液体の連続噴射を可能にしたトリガー式液体噴出器を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前方側に配置され、液体を前方に向けて噴射する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延在し、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、前記縦供給筒部から前方に向けて延設され、内側が前記縦供給筒部の内部に連通した射出筒部と、前記射出筒部から下方に向けて延設され、前方付勢状態で後方に移動自在に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記射出筒部内に導入させるとともに、前記射出筒部内から前記噴出孔側に向けて射出させるトリガー機構と、を備えるトリガー式液体噴出器であって、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、前記貯留シリンダ内にその中心軸線に沿う軸方向に移動自在に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴い前記軸方向のうちの一方側に向けて移動する貯留プランジャと、前記貯留プランジャに連結され、前記貯留プランジャの前記軸方向の移動に連係する負圧プランジャと、前記軸方向に沿って延びるとともに前記軸方向の他端開口と外部の連通が遮断され、内部に前記負圧プランジャが前記軸方向の一方側に向けて移動自在に収容された負圧シリンダと、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、液体が収容された容器体に装着した状態で、トリガー部を後方に引くと、容器体内の液体が吸い上げられて縦供給筒部内に導入され、縦供給筒部内を通過した液体が、射出筒部内を通じて噴出孔から噴射される一方、貯留シリンダ内にも導入される。液体の貯留シリンダ内への導入に伴い、貯留シリンダ内の貯留プランジャが、負圧シリンダ内の負圧プランジャとともに前記軸方向の一方側に向けて移動する。この際、負圧シリンダ内のうち、負圧プランジャより前記軸方向の他方側に位置する密閉空間が負圧になる。これにより、負圧プランジャおよび貯留プランジャに対して前記軸方向の他方側に向けた付勢力が作用する。
このように、トリガー部を引く操作を行う毎に、液体を噴出孔から噴射させつつ、貯留プランジャを前記軸方向の一方側に移動させて貯留シリンダ内に液体を溜める(充填する)ことができる。
そして、トリガー部を引く操作を止めると、縦供給筒部内への液体の供給が停止するが、負圧シリンダ内の負圧によって、負圧プランジャおよび貯留プランジャが一体に前記軸方向の他方側に向けて復元移動しはじめる。これにより、貯留シリンダ内に充填した液体が、貯留シリンダ内から噴出孔側に向けて押し出されることで、噴出孔から引き続き噴射させることができる。したがって、トリガー部を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部を操作しない場合であっても液体を噴射させることができ、液体の連続噴射を行うことができる。
なお貯留プランジャが前記軸方向の他方側に向けて復元移動する際、再びトリガー部を引かなければ、貯留プランジャは貯留シリンダにおける前記軸方向の他端まで移動するが、その前にトリガー部を引く操作を繰り返すこともできる。この場合、貯留プランジャが略一定の幅で前記軸方向の一方側への移動と他方側への移動とを繰り返し、全体としては徐々に前記軸方向の一方側へ移動する。これにより、貯留シリンダ内に徐々に液体が溜まっていく。
ところで、負圧プランジャおよび貯留プランジャを復元移動させるときに、負圧シリンダ内の負圧を利用するので、例えば、付勢部材など他の部材から作用する付勢力を利用しなくても、負圧プランジャおよび貯留プランジャを復元移動させることができる。これにより、構造の簡素化を図りつつ、負圧プランジャおよび貯留プランジャに推力を付与することができる。なお、一般的な付勢部材として、例えば金属スプリング等の利用が考えられるが、この種の付勢部材を使用しないことで、このトリガー式液体噴出器を合成樹脂材料のみによって形成することも可能になる。
前記負圧プランジャの受圧面積は、前記貯留プランジャの受圧面積より大きくてもよい。
この場合、負圧プランジャの受圧面積が、貯留プランジャの受圧面積より大きいので、負圧シリンダ内の負圧によって、負圧プランジャおよび貯留プランジャが一体に復元移動するときに、負圧プランジャの受圧面積に応じて、負圧プランジャおよび貯留プランジャに大きな推力を付与することができる。これにより、負圧プランジャおよび貯留プランジャをスムーズに復元移動させることができる。
前記貯留シリンダおよび前記負圧シリンダは、一体に形成されるとともに、前記貯留シリンダが、前記負圧シリンダの内側に配置された二重筒状に形成され、前記貯留プランジャおよび前記負圧プランジャは、一体に形成されるとともに、前記貯留プランジャが、前記負圧プランジャの内側に配置された二重筒状に形成されていてもよい。
この場合、貯留シリンダおよび負圧シリンダが、一体に形成されるとともに、貯留プランジャおよび負圧プランジャが、一体に形成されているので、構造の簡素化を図ることができる。
前記貯留プランジャおよび前記負圧プランジャのうちの少なくとも一方に形成された被係止部から、前記軸方向の一方側に離れて配置された規制部を備え、前記規制部は、前記貯留プランジャおよび前記負圧プランジャが前記軸方向の一方側に向けて移動したときに、前記被係止部が前記軸方向の他方側から当接し、これらの両プランジャのこれ以上の前記軸方向の一方側に向けた移動を規制してもよい。
この場合、貯留プランジャおよび負圧プランジャが前記軸方向の一方側に向けて移動するときに、被係止部と規制部とが当接することで、両プランジャの更なる移動が規制され、両プランジャの過度な移動を規制して、貯留シリンダ内に許容量以上の液体が充填されてしまうことを防止できる。これにより、貯留シリンダ内の圧力が過度に上昇することを防止でき、破損等の不具合が生じることを防止することができる。そのため、使い勝手が良く、液体の連続噴射を安心して行うことができる。
本発明によれば、トリガー部を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部を操作しない場合であっても液体を噴射させることができ、液体の連続噴射を行うことができる。
本発明に係るトリガー式液体噴出器の第1実施形態を示す縦断面図である。 図1に示すトリガー式液体噴出器を構成する噴出器本体を含む要部の拡大縦断面図である。 図1に示すトリガー式液体噴出器を構成するノズル部材を含む要部の拡大縦断面図である。 図1に示すトリガー式液体噴出器において、トリガー部を後方側に引いて貯留プランジャおよび負圧プランジャを後方移動させた状態を示す縦断面図である。 本発明に係るトリガー式液体噴出器の第2実施形態を示す縦断面図である。 図5に示すトリガー式液体噴出器を構成するノズル部材を含む要部の拡大縦断面図である。 図5に示すトリガー式液体噴出器を構成する貯留シリンダ、貯留プランジャ、負圧プランジャ、負圧シリンダを含む要部の拡大縦断面図である。 図5に示すトリガー式液体噴出器において、トリガー部を後方側に引いて貯留プランジャおよび負圧プランジャを後方移動させた状態を示す縦断面図である。 本発明に係るトリガー式液体噴出器の変形例を示す要部の縦断面図である。(a)は、挿入治具を用いて、貯留プランジャおよび負圧プランジャを貯留シリンダ内および負圧シリンダ内に挿入し、かつ栓部材を貯留プランジャに装着する状態を示している。(b)は、貯留プランジャの閉塞壁が、貯留シリンダの前壁部に到達した後に、挿入治具を後方移動させる状態を示している。(c)は、本発明に係るトリガー式液体噴出器の変形例が完成した状態を示している。
(第1実施形態)
以下、本発明に係るトリガー式液体噴出器の第1実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、液体を収容する容器体Aに装着され、液体を吸上げる縦供給筒部10を有する噴出器本体2と、噴出孔4が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、を備えている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成は、特に記載がなければ合成樹脂を用いた成型品とされている。
ここで、本実施形態では、縦供給筒部10の中心軸線を軸線O1とし、この軸線O1に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側という。また、軸線O1に直交する一方向を前後方向といい、軸線O1方向および前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
図2に示すように、噴出器本体2は、上下方向に延在する上記縦供給筒部10と、縦供給筒部10から前後方向に沿って延設され、内側が縦供給筒部10の内部に連通した射出筒部11と、を備え、左右方向から見た側面視でL字状に形成されている。
なお、前後方向のうち、縦供給筒部10から射出筒部11が延びる方向を前側或いは前方とし、その反対方向を後側或いは後方という。
縦供給筒部10は、有頂筒状の外筒12と、外筒12内に嵌合される内筒13と、を備えている。
外筒12は、大径部12aと、大径部12aの上方に配置され、かつ大径部12aよりも縮径した小径部12bと、大径部12aの上端部と小径部12bの下端部とを連結するフランジ部12cと、を備え、下方から上方に向けて縮径した二段筒状に形成されている。なお、小径部12bの上端開口部は頂壁部12dによって塞がれている。
内筒13は、大径部13aと、大径部13aの上方に配置され、かつ大径部13aよりも縮径した小径部13bと、大径部13aの上端部と小径部13bの下端部とを連結するフランジ部13cと、を備え、下方から上方に向けて縮径した二段筒状に形成されている。
内筒13の小径部13b内には、容器体A内に配置され、かつ容器体Aの図示しない底部に下端開口が位置するパイプ15の上部が嵌合されている。内筒13のフランジ部13cは、外筒12のフランジ部12cとの間に隙間S1を確保した状態で、外筒12のフランジ部12cよりも下方に位置している。内筒13の大径部13aにおいて、外筒12の大径部12aから下方に突出した部分には、その径方向の外側に向けて突出する環状の鍔部13dが形成されている。鍔部13dは、容器体Aの口部A1に装着(例えば螺着)される装着キャップ14の上端部内に配設され、装着キャップ14の上端部をその軸線回りに回転自在に係止する。鍔部13dは、装着キャップ14と容器体Aの口部A1における上端開口縁とにより上下方向に挟まれる。
なお、外筒12および内筒13で構成される縦供給筒部10の軸線O1は、容器体Aの容器軸に対して後方側に偏心している。
射出筒部11は、後端部が縦供給筒部10における上端部の前側に接続されている。射出筒部11の内部は、外筒12に形成された外側吐出孔16、および内筒13に形成された内側吐出孔17を通じて縦供給筒部10の内部に連通している。
内筒13の上端部側の内側には、上下方向に弾性変形可能に形成された吐出弁30が配置されている。
吐出弁30は、内筒13内に嵌合され、外筒12における頂壁部12dの下面に当接するベース部31と、ベース部31の下方に配置され、内筒13の内周面に段差状に形成された弁座32に対して上方から当接する弁体33と、ベース部31および弁体33を上下に連結する中空ばね部34と、を備えている。
弁体33は、中空ばね部34によって上方から押圧されており、弁座32に対して密接している。これにより弁体33は、内筒13内における弁座32よりも上方に位置する空間と、弁座32よりも下方に位置する空間と、の連通を遮断している。
なお、弁体33は中空ばね部34の付勢力に抗して上昇し、弁座32から離間することで、内筒13内における弁座32よりも上方に位置する空間と、弁座32よりも下方に位置する空間とを連通させる。
内筒13の内周面のうち弁座32よりも下方に位置し、かつパイプ15の上端よりも上方に位置する部分には、内側に向けて突出する環状のテーパ筒部35が形成されている。
このテーパ筒部35は、下方に向かうにしたがって漸次縮径している。テーパ筒部35の内側には、テーパ筒部35の内周面に離反可能に着座する球状の吸込弁36が配置されている。吸込弁36は、内筒13内において、テーパ筒部35よりも上方に位置する空間と、テーパ筒部35よりも下方に位置する空間と、を連通および遮断する。
外筒12において、射出筒部11よりも下方に位置する部分には、前方に向けて突出するシリンダ用筒部40が一体形成されている。
シリンダ用筒部40は、前方に向けて開口しているとともに、部分的に外筒12におけるフランジ部12cと一体形成されている。
噴出器本体2は、射出筒部11から下方に向けて延び、前方付勢状態で後方に揺動自在に配置されたトリガー部51と、トリガー部51の揺動に連動して前後方向に移動する主ピストン52と、主ピストン52の移動に伴って内部が加圧および減圧する主シリンダ53と、トリガー部51を前方に付勢する弾性板部54と、縦供給筒部10および射出筒部11並びに後述する貯留シリンダ90および負圧シリンダ94の全体を、少なくとも上方および左右方向から覆うカバー体55と、をさらに備えている。
また、上述した吐出弁30、吸込弁36、トリガー部51、主ピストン52、主シリンダ53および弾性板部54は、トリガー部51の後方への揺動によって、液体を縦供給筒部10内から射出筒部11内に導入させるとともに射出筒部11内から噴出孔4側に射出させるトリガー機構50を構成する。
主シリンダ53は、前方に向けて開口する外筒部60と、外筒部60の後方開口部を塞ぐ後壁部61と、後壁部61の中央部分から前方に向けて突設されるとともに前端が閉塞されたピストンガイド62と、を備えている。
ピストンガイド62は、内側が後方に開口しており、この開口内にシリンダ用筒部40における後壁(外筒12の小径部12b)から前方に向けて突設された嵌合突部41が嵌合されている。
外筒部60は、シリンダ用筒部40の内側に嵌合されている。シリンダ用筒部40の内周面と外筒部60の外周面とは、前後方向の両端部において密接している。その一方、シリンダ用筒部40の内周面と外筒部60の外周面との間のうち、前後方向の両端部同士の間に位置する中間部に、環状の隙間S2が確保されている。
外筒部60には、外筒部60の内側と上記隙間S2とを連通させる第1通気孔63が形成されている。外筒12のフランジ部12cには、上記隙間S2と、外筒12のフランジ部12cと内筒13のフランジ部13cとの間に画成された隙間S1と、を連通させる第2通気孔64が形成されている。さらに、内筒13のフランジ部13cには、上記隙間S1と、内筒13の大径部13aおよび装着キャップ14の内側と、を連通させる第3通気孔65が形成されている。
主シリンダ53の後壁部61には、ピストンガイド62の上方に位置する部分に、前後方向に貫く第1貫通孔66が形成されている。図示の例では、後壁部61における第1貫通孔66の開口周縁部には、後方に向けて突出する筒部が形成されており、この筒部が、外筒12の小径部12bに形成された貫通孔内に嵌合されている。第1貫通孔66は、縦供給筒部10の内筒13に形成された第2貫通孔67を通じて、内筒13内のうち、吐出弁30と吸込弁36との間に位置する空間に連通している。
これにより、主シリンダ53の内側は、第1貫通孔66および第2貫通孔67を通じて、内筒13内のうち、吐出弁30と吸込弁36との間に位置する空間に連通している。したがって、吐出弁30は、射出筒部11内と主シリンダ53内との連通およびその遮断を切替え、吸込弁36は、容器体A内と主シリンダ53内との連通およびその遮断を切替える。
主ピストン52は、トリガー部51に連結される円柱状の連結部70と、連結部70よりも後方に位置し、連結部70よりも大径とされたピストン筒71と、を備え、全体として後方に開口した筒状に形成されている。
なお、主シリンダ53および主ピストン52は、前後方向に沿って延びる図示しない共通の軸線上に配置されている。
ピストン筒71は、後方に向けて開口し、かつ内部にピストンガイド62が挿入されるピストン本体部72と、ピストン本体部72の後端部からその径方向の外側に向けて突出し、かつ外筒部60の内周面に密に摺接する摺動筒部73と、を備えている。
ピストン本体部72は、内径がピストンガイド62の外径よりも大きく形成されている。図示の例では、ピストン本体部72の内周面とピストンガイド62の外周面との間には若干の隙間があいている。
摺動筒部73は、前後方向の中央部から前方および後方に向かうにしたがって漸次拡径するテーパ状に形成され、前後方向の両端部に位置するリップ部73aが外筒部60の内周面に対して摺接する。
主ピストン52の連結部70は、後述する連結軸86を介してトリガー部51に連結されている。これにより、主ピストン52は、トリガー部51とともに弾性板部54の付勢力によって前方に付勢されているとともに、トリガー部51の後方への移動に伴って後方に移動して主シリンダ53内に押し込まれる。
また、トリガー部51が最前方揺動位置(最前方移動位置)にあるときに、主ピストン52の摺動筒部73は第1通気孔63を閉塞している。そして、トリガー部51の後方への揺動によって主ピストン52が所定量だけ後方移動したときに、摺動筒部73が第1通気孔63を開放する。これにより、容器体Aの内部は、第3通気孔65、第2通気孔64および第1通気孔63を通じて外部に連通する。
トリガー部51は、左右方向から見た側面視で後方に向けて凹状に湾曲する前面を有する主板部材80と、主板部材80の左右の側縁部から後方に向けて起立する一対の側板部材81と、を備えている。
一対の側板部材81の上端部には、射出筒部11の側方に至るまで上方に延出し、射出筒部11を左右方向から挟み込む一対の連結板82が形成されている。一対の連結板82には、左右方向の外側に向けて回転軸部83が突設されている。これら回転軸部83は、射出筒部11の上方を覆う上板部材84に設けられた軸受け部に回動可能に支持されている。
これにより、トリガー部51は、回転軸部83を中心に前後方向に揺動可能とされている。
トリガー部51には、主板部材80を前後方向に貫通する開口部51aが形成されているとともに、開口部51aの周縁部から後方に向けて延びるように連結筒85が形成されている。
連結筒85の内周面のうち後方側に位置する部分には、連結筒85の内側に向けて左右方向に沿って突出した一対の連結軸86が形成されている。これら連結軸86は、主ピストン52の連結部70に形成された連結孔内に挿入されている。これにより、トリガー部51と主ピストン52とは、互いに連結されている。
なお、主ピストン52の連結部70は、連結軸86に対してその軸線回りに回動可能とされ、かつ上下方向で所定量だけ移動可能に連結されている。これにより、トリガー部51の前後方向への揺動に伴って、主ピストン52は前後移動可能とされている。
射出筒部11の上面には、縦供給筒部10における外筒12の頂壁部12dに連結される水平板状の上記上板部材84が取り付けられている。
上板部材84の左右両側には、左右方向から見た側面視で前方に凸の円弧状に形成され、かつ射出筒部11の下方まで延びる上記弾性板部54がそれぞれ一体的に形成されている。弾性板部54は、左右方向から見た側面視で互いに同心の円弧状に形成され、前後に並ぶ一対の板ばねを備えている。
一対の板ばねのうち、前側に位置する板ばねが主板ばね54aとされ、後側に位置する板ばねが副板ばね54bとされている。
これら主板ばね54aおよび副板ばね54bの下端部は、円弧状の折返し部54cを介して一体的に接続されている。折返し部54cには、下方に向けて係止片54dが突設されており、この係止片54dがトリガー部51における側板部材81に形成されたポケット部81aに上方から差し込まれて係合している。
これにより、弾性板部54は、係止片54dおよびポケット部81aを介してトリガー部51を前方に向けて付勢している。
トリガー部51の主板部材80の上端部は、弾性板部54による付勢によって後述する接続壁123の下端部に対して後方から当接している。これにより、トリガー部51は最前方揺動位置に位置決めされている。
なお、最前方揺動位置からトリガー部51が後方に引かれると、弾性板部54が係止片54dを介して折返し部54cを後方に移動させるように弾性変形する。このとき、弾性板部54は、主板ばね54aよりも副板ばね54bが大きく弾性変形する。
なお、係止片54dは、トリガー部51が後方に引かれた場合であっても、ポケット部81aから上方に抜け出しつつもトリガー部51が最後方揺動位置(最後方移動位置)に至るまでポケット部81aへの係合状態を維持する。
ところで図3に示すように、トリガー式液体噴出器1は、トリガー部51の後方への揺動によって、縦供給筒部10内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダ90と、貯留シリンダ90内にその中心軸線O2に沿う前後方向(軸方向)に移動自在に配設され、貯留シリンダ90内への液体の供給に伴い前後方向のうちの後側(一方側)に向けて移動する貯留プランジャ91と、貯留プランジャ91に連結され、貯留プランジャ91の前後方向の移動に連係する負圧プランジャ93と、前後方向に沿って延びるとともに前端開口(他端開口)と外部の連通が遮断され、内部に負圧プランジャ93が後側に向けて移動自在に収容された負圧シリンダ94と、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93のうちの少なくとも一方に形成された被係止部97から後方側に離れて配置された規制部98と、を更に備えている。本実施形態では、これらの貯留シリンダ90、貯留プランジャ91、負圧プランジャ93、負圧シリンダ94および規制部98は、いずれもノズル部材3に備えられている。
ノズル部材3は、主に噴出器本体2よりも前方かつ上方側に配置されている。ノズル部材3は、前述の貯留シリンダ90、貯留プランジャ91、負圧プランジャ93、負圧シリンダ94および規制部98と、射出筒部11に対して装着される装着筒92と、を備えている。
貯留シリンダ90および負圧シリンダ94は、一体に形成されるとともに、貯留シリンダ90が、負圧シリンダ94の内側に配置された二重筒状に形成されている。貯留シリンダ90および負圧シリンダ94はいずれも、射出筒部11の上方に配置され、前後方向に延びている。貯留シリンダ90および負圧シリンダ94は、射出筒部11に対して平行に配置されている。
貯留シリンダ90は、前壁部95と、前壁部95から後方に向けて延びたシリンダ筒96と、を備え、後方に開口した筒状に形成されている。貯留シリンダ90は、噴出器本体2における上板部材84から上方に離間して配置されており、縦供給筒部10よりも前方に位置している。
前壁部95には、円柱状のノズル軸部100と、ノズル軸部100を外側から囲む囲繞筒101と、囲繞筒101を外側から囲う外郭筒321と、が前方に向けて突設されている。これらノズル軸部100、囲繞筒101および外郭筒321は、シリンダ筒96の中心軸線O2と同軸上に配置されている。なお、囲繞筒101は、ノズル軸部100よりも前方に向けて僅かに突出している。
ノズル軸部100と囲繞筒101との間には、環状の流通路102が形成されている。
また、ノズル軸部100には、前方に向けて開口する噴出孔4が形成されたノズルキャップ103が装着され、流通路102と噴出孔4とが連通している。そして、前壁部95には、流通路102に連通する連通孔104が形成されている。
これにより、貯留シリンダ90の内部は、連通孔104および流通路102を通じて噴出孔4に連通している。つまり、連通孔104は、流通路102を通じて貯留シリンダ90の内部と噴出孔4とを連通している。
シリンダ筒96の前端部には、貯留シリンダ90の内部と、後述する流路126に連通する供給孔95aが形成されている。供給孔95aは、シリンダ筒96の前端部における下側部分に形成され、この部分を上下方向に貫いている。供給孔95aは、射出筒部11内を通して縦供給筒部10内と貯留シリンダ90内とを間接的に連通している。
負圧シリンダ94は、貯留シリンダ90と同軸に配置されている。負圧シリンダ94は、シリンダ筒96の外周面に突設された閉塞フランジ99を介して貯留シリンダ90に連結されている。閉塞フランジ99は、中心軸線O2と同軸に形成され、負圧シリンダ94の前端開口を閉塞している。閉塞フランジ99には、閉塞フランジ99を前後方向に貫通する排気孔99aが形成されている。負圧シリンダ94は、閉塞フランジ99の外周縁から後方に向けて延びている。負圧シリンダ94の後端部は、縦供給筒部10よりも後方に位置している。なお負圧シリンダ94の後端部は、縦供給筒部10と前後方向に同等の位置、または縦供給筒部10よりも前方に位置していてもよい。これらの場合、トリガー式液体噴出器1の前後方向におけるコンパクト化を図り易くすることができる。
貯留プランジャ91および負圧プランジャ93は、一体に形成されるとともに、貯留プランジャ91が、負圧プランジャ93の内側に配置された二重筒状に形成されている。貯留プランジャ91および負圧プランジャ93は、中心軸線O2と同軸に配置されている。
貯留プランジャ91は、前後方向に延びるプランジャ筒110と、プランジャ筒110の前端開口を閉塞する閉塞壁111と、を備えている。
プランジャ筒110は、後方から前方に向けて段状に縮径する2段筒状に形成されている。プランジャ筒110における段部には、中心軸線O2と同軸に配置された環状の第1リップ部110aが、前方に向けて突設されている。第1リップ部110aは、シリンダ筒96の内周面に対して密に摺接する。
閉塞壁111には、前方に向けて突出し、貯留シリンダ90の前壁部95に形成された連通孔104内に入り込んで、該連通孔104を直接的に塞ぐ凸部113が形成されている。これにより、貯留プランジャ91は、連通孔104を開放自在に閉塞している。
負圧プランジャ93は、貯留シリンダ90の外周面と負圧シリンダ94の内周面との間に配置されている。負圧プランジャ93の後端部には、径方向の内側に突出する連結環部114が設けられている。連結環部114は、プランジャ筒110の後端部に連結されている。負圧プランジャ93の前端部には、径方向の外側に突出する環状の突起部112が設けられている。突起部112には、中心軸線O2と同軸に配置された環状の第2リップ部112aが、後方に向けて突設されている。第2リップ部112aは、負圧シリンダ94の内周面に対して密に摺接する。
負圧プランジャ93の受圧面積は、貯留プランジャ91の受圧面積より大きい。本実施形態では、負圧プランジャ93および貯留プランジャ91を、中心軸線O2に直交する投影面に投影したときに、前記投影面において中心軸線O2と同軸の環状に現れる負圧プランジャ93の影の面積(負圧プランジャ93の投影面積)が、前記投影面において中心軸線O2上に現れる貯留プランジャ91の影の面積(貯留プランジャ91の投影面積)より大きい。負圧プランジャ93の投影面積は、前記投影面において、負圧プランジャ93の最小内径部(図示の例では、連結環部114)と最大外径部(図示の例では、第2リップ部112a)との間に位置する部分の面積である。貯留プランジャ91の投影面積は、前記投影面において、貯留プランジャ91の最大外径部(図示の例では、第1リップ部110a)よりも内側に位置する部分の面積である。
規制部98は、中心軸線O2と同軸に配置され前後方向に延びる筒状に形成され、負圧シリンダ94内に挿通されている。規制部98は、負圧プランジャ93よりも大径とされ、規制部98の前端部は、負圧プランジャ93の後端部に外挿されている。規制部98の前端部は、突起部112に後側から対向している。規制部98の後端部には、負圧シリンダ94の後端部が嵌合される嵌合筒部115が連結されている。嵌合筒部115は、前後方向に規制部98よりも小さく、規制部98よりも大径の二重筒状に形成されていて、嵌合筒部115の内筒および外筒の間に、負圧シリンダ94の後端部が嵌合されている。
図4に示すように、規制部98は、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93が後側(軸方向の一方側)に向けて移動したときに、被係止部97が前側(軸方向の他方側)から当接し、これらの両プランジャ91、93のこれ以上の後側に向けた移動を規制する。図示の例では、規制部98の前端部が、突起部112に当接可能とされており、突起部112が、上記被係止部97を構成している。
なお、図3に示すような、凸部113が連通孔104を塞いでいるときの貯留プランジャ91および負圧プランジャ93の位置を最前進位置とする。貯留プランジャ91および負圧プランジャ93が最前進位置に配置されている場合には、貯留シリンダ90内に液体がほとんど収容されていないうえ、貯留シリンダ90内と連通孔104との連通が遮断されている。
これに対して、図4に示すような、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93の後方移動によって、被係止部97が規制部98に対して前方から当接しているときの貯留プランジャ91および負圧プランジャ93の位置を最後退位置とする。貯留プランジャ91が最後退位置に達している場合には、貯留シリンダ90内に液体が最大量収容されている。
ここで、貯留シリンダ90(シリンダ筒96)の前端部には、この前端部から下方に向けて延びる中間筒122を介して、前記装着筒92が一体に形成されている。装着筒92は、中間筒122から後方に向けて突出し、射出筒部11に対して前方から嵌合している。これにより、ノズル部材3は、装着筒92を介して噴出器本体2に対して組み合わされている。
中間筒122の内部は、上記した供給孔95aを通して貯留シリンダ90の内部と連通している。中間筒122は、閉塞フランジ99に一体形成されており、中間筒122の内部は、排気孔99aを通して負圧シリンダ94の内部にも連通可能とされている。中間筒122には、この中間筒122を貫通して装着筒92内に連通可能な通路孔122aが形成されている。中間筒122の内部は、通路孔122aを通して射出筒部11の内部に連通している。
中間筒122内には、上下方向のほぼ全長にわたって栓体125が挿入されている。栓体125は、供給孔95aおよび通路孔122aを開放し、かつ中間筒122の下端開口および排気孔99aを密に閉塞した状態で、中間筒122の内周面との間に、通路孔122aと供給孔95aとを連通する流路126を形成している。この栓体125により、流路126の空間容積が小さくなっている。
中間筒122と装着筒92との接続部分に、後方に向けて延在し、射出筒部11内における前後方向のほぼ全長にわたって挿入された挿入部201が形成されている。挿入部201は、射出筒部11の内部空間のうち上側部分に僅かな隙間S3を確保するように、射出筒部11内に挿入されている。これにより、射出筒部11内の空間容積を小さくすることができる。
また、中間筒122と装着筒92との接続部分には、下方に向けて接続壁123が突設されている。そして、接続壁123の下端部が、トリガー部51の主板部材80の上端部に対して前方から当接することで、トリガー部51を最前方揺動位置に位置決めしている。
なお、本実施形態では、射出筒部11の内部と噴出孔4とが、通路孔122a、流路126、供給孔95a、貯留シリンダ90の内部、連通孔104および流通路102を通じて連通する。したがって、連通孔104は、先に述べたように貯留シリンダ90の内部と噴出孔4とを連通しているが、それに加え、射出筒部11の内部と噴出孔4とについても連通させている。
図1から図4に示すような前記トリガー式液体噴出器1は、前後方向に延びるとともに、供給孔95aを通じて内部が射出筒部11内、若しくは縦供給筒部10内における射出筒部11との接続部分(弁体33や吸込弁36よりも上方に位置する部分)に連通する貯留シリンダ90と、貯留シリンダ90内に後方移動可能に収容された貯留プランジャ91と、貯留プランジャ91に連結され、貯留プランジャ91の前後動に連係する負圧プランジャ93と、前後方向に延びるとともに前端開口と外部の連通が遮断され、内部に負圧プランジャ93が後方移動自在に収容された負圧シリンダ94と、を備えるとも言える。
また前記トリガー式液体噴出器1は、ノズル部材3に、供給孔95aを通じて内部が射出筒部11内に連通する貯留シリンダ90と、貯留シリンダ90内にその中心軸線O2に沿う前後方向(軸方向)に移動自在に配設され、貯留シリンダ90内への液体の供給に伴い前後方向のうちの後側(一方側)に向けて移動する貯留プランジャ91と、貯留プランジャ91に連結され、貯留プランジャ91の前後方向の移動に連係する負圧プランジャ93と、前後方向に沿って延びるとともに前端開口(他端開口)と外部の連通が遮断され、内部に負圧プランジャ93が後側に向けて移動自在に収容された負圧シリンダ94と、が備えられるとともに、貯留シリンダ90の内部と噴出孔4とを連通する連通孔104が形成され、供給孔95aは、射出筒部11の前端開口の前方に配置されるとも言える。
(トリガー式液体噴出器の製造方法)
前記トリガー式液体噴出器1の製造に際し、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93をそれぞれ、貯留シリンダ90内および負圧シリンダ94内に各別に挿入して、両シリンダ90、94の前端(軸方向の他端)に到達させることで、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93と、貯留シリンダ90および負圧シリンダ94と、を組み付けることができる。なお例えば、その後、排気孔99aを利用して負圧シリンダ94内を真空引きすることによって、負圧シリンダ94と負圧プランジャ93との間に残存している微小な隙間から残留エアを排出し、負圧シリンダ94内を負圧状態(減圧状態)とすることも可能である。
(トリガー式液体噴出器の作用)
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。
なお、トリガー部51の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部10から液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。
トリガー部51を弾性板部54の付勢力に抗して後方に引くと、トリガー部51の後方移動に伴って主ピストン52が後退するので、主シリンダ53内の液体を、第1貫通孔66および第2貫通孔67を通じて縦供給筒部10の内筒13に導入することができる。すると、内筒13に導入された液体は、吸込弁36を押し下げて閉弁させるとともに、吐出弁30を押し上げて開弁させるので、内側吐出孔17および外側吐出孔16を通じて射出筒部11内に液体を導入することができる。
これにより、射出筒部11の内圧が上昇するので、射出筒部11内の液体を中間筒122の内部に導入させ、さらに流路126および供給孔95aを通じて貯留シリンダ90内に導入することができる。そして、貯留プランジャ91を最前進位置から後方に移動させることができ、凸部113を連通孔104から離間させて、連通孔104を開放することができる。
したがって、連通孔104および流通路102を通じて液体を噴出孔4に導き、噴出孔4から前方に向けて液体を噴射させることができ、これと同時に貯留プランジャ91を後方に向けて移動させることができる。
このように、トリガー部51を後方に引く操作を行う毎に、液体を噴出孔4から噴射させることができるとともに、貯留プランジャ91を後方に移動させて、貯留シリンダ90内に液体を溜める(充填する)ことができる。液体の貯留シリンダ90への導入に伴い、貯留シリンダ90内の貯留プランジャ91が、負圧シリンダ94内の負圧プランジャ93とともに後側(軸方向の一方側)に移動する。この際、負圧シリンダ94内のうち、負圧プランジャ93より前側(軸方向の他方側)に位置する密閉空間Sが負圧になる。これにより、負圧プランジャ93および貯留プランジャ91に対して前側に向けた付勢力が作用する。
そして、トリガー部51を引く操作を止めて該トリガー部51を解放すると、弾性板部54の弾性復元力によってトリガー部51が前方に付勢されて元の位置に復帰するので、これに伴って主ピストン52が前方移動する。そのため、主シリンダ53内に負圧が生じ、この負圧によってパイプ15を通じて容器体A内の液体を縦供給筒部10に吸い上げることができる。
すると、新たに吸い上げられた液体は、吸込弁36を押し上げて開弁させ、主シリンダ53内に導入される。これにより、次の噴射に備えることができる。なお、吐出弁30は閉弁している。
このとき、射出筒部11から貯留シリンダ90内への液体の供給は停止するものの、負圧シリンダ94内の負圧によって、負圧プランジャ93および貯留プランジャ91が一体に最前進位置に向けて前方移動(軸方向の他方側に向けて復元移動)しはじめる。これにより、貯留シリンダ90内に溜まった液体を、連通孔104および流通路102を通じて噴出孔4に導き、噴出孔4を通じて前方に液体を噴射させることができる。
このように、トリガー部51を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部51を操作しない場合であっても液体を噴射させることができ、液体の連続噴射を行うことができる。
特に、貯留シリンダ90が、射出筒部11の上方に配置され、かつ射出筒部11と平行に配置されているので、貯留シリンダ90が射出筒部11と前後に連なるように配置される場合に比べて、トリガー式液体噴出器1の全長を短くして小型化を図りつつ、貯留プランジャ91のストロークを確保して長時間の連続噴射を行い易い。
また貯留シリンダ90に、噴出孔4に連通する連通孔104と、射出筒部11内に連通する供給孔95aと、がそれぞれ形成され、さらに貯留プランジャ91が連通孔104を直接的に塞いでいるので、射出筒部11から貯留シリンダ90に至る経路の空間容積(経路が占める内部容積)を制約少なく容易に小さくすることができる。したがって、トリガー部51を操作した際、液体を射出筒部11内から貯留シリンダ90内に直ちに導入することができ、貯留シリンダ90内の圧力を速やかに上昇させて、貯留プランジャ91を直ちに後方移動させ易い。そのため、プライミング回数を抑えながら速やかに液体を噴射させることができる。したがって、使い勝手が良く、操作性に優れている。
また、挿入部201および栓体125によって、射出筒部11内および中間筒122内における各空間容積がさらに小さくなっているので、貯留シリンダ90内の圧力をさらに速やかに上昇させることができる。したがって、液体を高い噴射圧で噴射させることができるうえ、貯留プランジャ91をさらにスムーズに後方移動させることができる。
さらに、貯留プランジャ91が連通孔104を直接的に塞いでいるので、貯留シリンダ90の内圧が所定値を超えない限り、液体が噴射されることがない。したがって、高圧弁等を別途設けなくても適正な圧力(噴射圧)で液体を噴射させることができるとともに、構成の簡略化を図り易い。しかも、負圧シリンダ94内の負圧によって前方付勢される貯留プランジャ91を後方移動させることで蓄圧できるので、液体を噴射する際に、液体に圧力をさらに加えた状態で噴射することができる。
また、未使用時に、噴出孔4から液漏れすることを効果的に抑制することができる。
なお、貯留プランジャ91の前進時、再びトリガー部51を引く操作を行わない限り、貯留プランジャ91は最前進位置(貯留シリンダ90における軸方向の他端)まで移動するが、その前にトリガー部51を引く操作を繰り返し行っても良い。
この場合、貯留プランジャ91は、後退と前進とを繰り返しながらも、全体としては徐々に後方に移動する。これにより、貯留シリンダ90内に徐々に液体を溜めることができる。そして、貯留プランジャ91を例えば最後退位置まで移動させることで、貯留プランジャ91が最後退位置から最前進位置に移動するまでの長時間に亘って、液体を連続噴射することができる。なお、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93が最後退端位置まで移動すると、被係止部97が規制部98に当接して、両プランジャ91、93の更なる後方移動が規制される。
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1によれば、負圧プランジャ93および貯留プランジャ91を復元移動させるときに、負圧シリンダ94内の負圧を利用するので、例えば、付勢部材など他の部材から作用する付勢力を利用しなくても、負圧プランジャ93および貯留プランジャ91を復元移動させることができる。これにより、構造の簡素化を図りつつ、負圧プランジャ93および貯留プランジャ91に推力を付与することができる。なお、一般的な付勢部材として、例えば金属スプリング等の利用が考えられるが、この種の付勢部材を使用しないことで、このトリガー式液体噴出器1を合成樹脂材料のみによって形成することも可能になる。
また、負圧プランジャ93の受圧面積が、貯留プランジャ91の受圧面積より大きいので、負圧シリンダ94内の負圧によって、負圧プランジャ93および貯留プランジャ91が一体に復元移動するときに、負圧プランジャ93の受圧面積に応じて、負圧プランジャ93および貯留プランジャ91に大きな推力を付与することができる。これにより、負圧プランジャ93および貯留プランジャ91をスムーズに復元移動させることができる。
また、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93が後側に向けて移動するときに、被係止部97と規制部98とが当接することで、両プランジャ91、93の更なる移動が規制され、両プランジャ91、93の過度な移動を規制して、貯留シリンダ90内に許容量以上の液体が充填されてしまうことを防止できる。これにより、貯留シリンダ90内の圧力が過度に上昇することを防止でき、破損等の不具合が生じることを防止することができる。そのため、使い勝手が良く、液体の連続噴射を安心して行うことができる。
また、貯留シリンダ90および負圧シリンダ94が、一体に形成されるとともに、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93が、一体に形成されているので、構造の簡素化を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態のトリガー式液体噴出器350を、図5から図8を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図5および図6に示すように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器350では、噴出器本体2は、射出筒部11に対して前方側から装着される閉塞部材20を備えている。閉塞部材20の下端部は、トリガー部51の主板部材80の上端部に対して前方から当接することで、トリガー部51を最前方揺動位置に位置決めしている。
閉塞部材20は、射出筒部11の前方開口部よりも前方側に位置し、前方開口部に対して対向配置された対向板部21と、対向板部21から後方に向けて延び、射出筒部11に外嵌された第1筒部22と、対向板部21から前方に向けて延びる第2筒部23と、第2筒部23の内側に位置し、かつ対向板部21から前方に向けて延びる支持軸部182と、を備えている。
支持軸部182は、第2筒部23よりも前方に突出することなく、第2筒部23の内側に収まるように形成されている。第2筒部23および支持軸部182は、射出筒部11の中心軸線に対して下方に偏心した位置に配置されている。対向板部21のうち、支持軸部182の上方に位置し、かつ第2筒部23の内側に位置する部分には、射出筒部11の前方開口部に連通する射出孔25が形成されている。これにより、第2筒部23の内部は、射出孔25を通じて射出筒部11の内部に連通している。
ノズル部材3は、噴出器本体2の前方に配置されている。ノズル部材3は、噴出器本体2の第2筒部23に装着される。ノズル部材3は、閉塞部材20の対向板部21よりも前方に配置され、噴出孔4が形成されたノズル壁部170と、ノズル壁部170から後方に向けて延び、第2筒部23に対して前方から外嵌される外嵌筒部221と、を備えている。外嵌筒部221が、第2筒部23に装着されることで、ノズル部材3と噴出器本体2とが連結される。
なお、外嵌筒部221は、第2筒部23に対して前方に抜け止めがされた状態で回転可能に装着されている。つまり、ノズル部材3は第2筒部23の軸線回りに回転可能とされている。
ノズル壁部170のうち外嵌筒部221の内側に位置する部分には、支持軸部182に対して回転可能に外嵌する被支持筒部172が後方に向けて突設されている。被支持筒部172の内周面には、前後方向に沿って延びる第1凹溝172aが形成されている。
ノズル部材3の前側には、液体の噴出形態を霧状および泡状等に切り替えるためのノズル板175が、左右方向に延びる軸部176回りに開閉可能に取り付けられている。ノズル壁部170の後面のうち、被支持筒部172の内側に位置する部分には、旋回路12eが凹状に形成されている。
支持軸部182の外周面における前端部には、第1凹溝172aと旋回路12eとを連通可能な第2凹溝182aが形成されている。第1凹溝172aと第2凹溝182aとは、ノズル部材3の、支持軸部182回りに沿う所定の回転位置で連通し、それ以外の回転位置で非連通状態となる。
なお、被支持筒部172と外嵌筒部221との間には、第2筒部23の内側に密接するシール筒部178が設けられている。
第2筒部23と、ノズル部材3の被支持筒部172と、の間には、後方から射出孔25が連通する筒状の通過空間183が形成されている。通過空間183は、上述した第1凹溝172aおよび第2凹溝182aが互いに連通したときに、第1凹溝172a、第2凹溝182aおよび旋回路12eを通じて噴出孔4に連通する。これにより、射出筒部11の内部と噴出孔4とは、射出孔25、通過空間183、第1凹溝172a、第2凹溝182aおよび旋回路12eを通じて連通する。
なお、射出孔25および通過空間183の各流路断面積は、第1凹溝172aおよび第2凹溝182aからなる導入路186の流路断面積よりも大きい。
図5および図7に示すように、貯留シリンダ90、貯留プランジャ91、負圧プランジャ93および負圧シリンダ94が、いずれもノズル部材3に備えられているのに代えて、ノズル部材3とは独立して設けられている。貯留シリンダ90、貯留プランジャ91、負圧プランジャ93および負圧シリンダ94は、噴出器本体2を前後方向に挟んだノズル部材3の反対側に配置されており、噴出器本体2の後側に配置されている。貯留シリンダ90は、前記外筒12から後方に向けて延びており、前記前壁部95は、外筒12と一体に形成されている。負圧シリンダ94の後端部は、貯留シリンダ90の後端部と前後方向に同等の位置に配置されている。貯留シリンダ90、貯留プランジャ91、負圧プランジャ93および負圧シリンダ94は、前記カバー体55内に収容されている。
なお前記被係止部97は、負圧プランジャ93の外周面に、前後方向に延びる縦リブ状に形成されている。被係止部97の前端は、突起部112に連結されて、被係止部97の後端は、カバー体55に前側から対向している。
貯留シリンダ90の中心軸線O2は、前記弁体33よりも上方に位置している。外筒12(前壁部95)および前記内筒13には、前記供給孔95aが形成されている。供給孔95aは、中心軸線O2上に配置され、縦供給筒部10内と貯留シリンダ90内とを連通している。供給孔95aは、外筒12に形成された外側供給孔351と、内筒13に形成された内側供給孔352と、を備えている。外側供給孔351は、前記凸部113によって直接的に塞がれている。内側供給孔352は、縦供給筒部10内において弁体33よりも上方の空間内に開口している。供給孔95aは、射出筒部11内を通さず、縦供給筒部10内と貯留シリンダ90内とを直接的に連通している。
カバー体55の後端部には、カバー体55を前後方向に貫通する露出孔353が形成されている。露出孔353は、前記中心軸線O2と同軸に配置されていて、負圧プランジャ93よりも大径で、かつ第2リップ部112aよりも小径である。カバー体55における露出孔353の開口周縁部353aは、前記被係止部97から後方側に離れて配置されている。図8に示すように、本実施形態では、前記開口周縁部353aが前記規制部98となっている。前記開口周縁部353aは、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93が後側(軸方向の一方側)に向けて移動したときに、被係止部97が前側(軸方向の他方側)から当接し、これらの両プランジャ91、93のこれ以上の後側に向けた移動を規制する。
図5から図8に示すような前記トリガー式液体噴出器350では、噴出器本体2に、供給孔95aを通じて内部が縦供給筒部10内における射出筒部11との接続部分に連通する貯留シリンダ90と、貯留シリンダ90内にその中心軸線O2に沿う前後方向(軸方向)に移動自在に配設され、貯留シリンダ90内への液体の供給に伴い前後方向のうちの後側(一方側)に向けて移動する貯留プランジャ91と、貯留プランジャ91に連結され、貯留プランジャ91の前後方向の移動に連係する負圧プランジャ93と、前後方向に沿って延びるとともに前端開口(軸方向の他端開口)と外部の連通が遮断され、内部に負圧プランジャ93が後側に向けて移動自在に収容された負圧シリンダ94と、が備えられているとも言える。
(トリガー式液体噴出器の作用)
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器350を使用する場合について説明する。
なお、トリガー部51の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器350の各部内に液体が充填され、縦供給筒部10から液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。
トリガー部51を後方に引くことで、主シリンダ53内から内筒13に液体を導入するとき、この液体を、射出筒部11内、射出孔25、通過空間183、導入路186および旋回路12eを通じて噴出孔4から前方に向けて噴射することができる。またこのとき、内筒13に導入された液体の液圧を、供給孔95aを通して凸部113に作用させることで、貯留プランジャ91を最前進位置から後方に移動させ、供給孔95aを通して貯留シリンダ90内に液体を導入することもできる。
したがって、噴出孔4から前方に向けて液体を噴射させることができ、これと同時に貯留プランジャ91を後方に向けて移動させることができる。
トリガー部51を引く操作を止め、容器体A内の液体が主シリンダ53内に導入されるときには、主シリンダ53内から噴出孔4への液体の供給は停止するものの、負圧シリンダ94内の負圧によって、負圧プランジャ93および貯留プランジャ91が一体に最前進位置に向けて前方移動しはじめる。これにより、貯留シリンダ90内に溜まった液体を、縦供給筒部内10、射出筒部内11、通過空間183、導入路186、および旋回路12eを通じて噴出孔4に導き、噴出孔4を通じて前方に液体を噴射させることができる。
このように、トリガー部51を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部51を操作しない場合であっても液体を噴射させることができ、液体の連続噴射を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器350によれば、前記実施形態と同様の作用効果を奏功させることができる。
また、ノズル体152の外嵌筒部221が、噴出器本体2の第2筒部23に装着可能に形成されているので、ノズル部材3が、貯留シリンダ90、貯留プランジャ91等を有さず、ノズル体152のみを有し、かつノズル体152の外嵌筒部221が噴出器本体2の第2筒部23に装着されてなる既存の構成のトリガー式液体噴出器を、設計変更せずに、そのまま流用することができる。
また、トリガー部51を後方に引いたときに、射出筒部11内からの液体の一部を、供給孔95aおよび貯留シリンダ90内を通さずに噴出孔4に到達させることが可能になり、貯留シリンダ90内に液体が溜められる前であっても、安定して液体を噴射することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、貯留シリンダ90および負圧シリンダ94が、一体に形成されるとともに、貯留シリンダ90が、負圧シリンダ94の内側に配置された二重筒状に形成され、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93が、一体に形成されるとともに、貯留プランジャ91が、負圧プランジャ93の内側に配置された二重筒状に形成された構成において、図9(c)に示されるトリガー式液体噴出器400のように、貯留プランジャ91の内部を減圧状態に保ちつつ、貯留プランジャ91のプランジャ筒110(周壁部)に、貯留プランジャ91の内部と貯留シリンダ90の内部とを連通する連絡孔407を形成してもよい。
この場合、貯留プランジャ91内の負圧が、連絡孔407を通して負圧プランジャ93に及ぼされる。したがって、貯留シリンダ90に液体を貯留した後の貯留プランジャ91および負圧プランジャ93の前方に向けた移動を円滑にすることが可能になり、液体の噴射の態様を安定させることができる。さらに、液だれの発生を抑えることができ、また、負圧シリンダ94と負圧プランジャ93との間に位置する空間に空気が残存するのを抑制することもできる。
図示の例では、貯留プランジャ91の後端部内に栓部材401が嵌合されている。
栓部材401は、貯留プランジャ91内に嵌合されたシール部402と、シール部402より小径に形成されるとともに、シール部402から前方に向けて突出し、貯留プランジャ91の閉塞壁111(前壁部)を前方に向けて押し込む押し込み突部403と、シール部402から後方に向けて突出する弾性変形可能な弾性突片404と、を備えている。
弾性突片404は、貯留シリンダ90の中心軸線O2回りに間隔をあけて複数配設されている。弾性突片404の後端部には、外側に向けて突出し貯留プランジャ91の後端開口縁に係止される外係止突部405と、内側に向けて突出し後述する挿入治具410の前端部413に係合する内係合突部406と、を備えている。
以上のように構成されたトリガー式液体噴出器400は次のようにして形成される。
まず、図9(a)、(b)に示す挿入治具410について説明する。挿入治具410は、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93を貯留シリンダ90内および負圧シリンダ94内に挿入し、かつ栓部材401を貯留プランジャ91に装着するときに用いる。
挿入治具410は、貯留プランジャ91の内径より外径の大きい後基部411と、後基部411から前方に向けて突出し貯留プランジャ91内に挿入される柱状の中間部412と、中間部412より前方に位置する前端部413と、を備えている。
後基部411の前端面には、その外周縁から中央側に延びる開放溝414が形成されている。中間部412の前端面412aは、その外周縁側から中央側に向かうに従い漸次後方に向けて延在している。前端部413は球状に形成されている。
前記挿入治具410を用いてトリガー式液体噴出器400を形成するに際し、まず、栓部材401を貯留プランジャ91内に挿入し、弾性突片404の後端部を弾性変形させつつ、押し込み突部403を閉塞壁111に突き当てる。このとき、栓部材401と貯留プランジャ91との間の空気は、例えば、連絡孔407を通して外部に排出される。これにより、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93と、栓部材401と、が組み付けられてなる組み付け体が形成される。
その後、挿入治具410の前端部413を栓部材401のシール部402の後面に突き当て、かつ挿入治具410の中間部412の前端面412aを弾性突片404の後端部に突き当てることで、挿入治具410に前記組み付け体をセットする。このとき、挿入治具410のうち、後基部411よりも前方に位置する部分まで、貯留プランジャ91内に挿入される。
そして、貯留シリンダ90および負圧シリンダ94に対して挿入治具410を前方に向けて押し込むことで、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93に、貯留シリンダ90内および負圧シリンダ94内を前進移動させる。この際、負圧シリンダ94と負圧プランジャ93との間に位置する空間の空気が、負圧プランジャ93の内周面と貯留シリンダ90の外周面との間、貯留シリンダ90の内周面と貯留プランジャ91の外周面との間、貯留プランジャ91の連絡孔407、挿入治具410と貯留プランジャ91の内周面との間、並びに後基部411の開放溝414を通して、外部に排出される。
そして、貯留プランジャ91の閉塞壁111が、貯留シリンダ90の前壁部95に到達した後に、図9(b)に示すように、挿入治具410を後方移動させると、挿入治具410の前端部413が、弾性突片404の内係合突部406に係合することで、弾性突片404が、外係止突部405が貯留プランジャ91の内周面上を摺動しつつ後方移動する。この際、貯留プランジャ91内のうち、栓部材401より前方に位置する空間が減圧される。これにより、負圧シリンダ94と負圧プランジャ93との間に位置する空間に空気が残存していたとしても、この空気が、負圧プランジャ93の内周面と貯留シリンダ90の外周面との間、貯留シリンダ90の内周面と貯留プランジャ91の外周面との間、および貯留プランジャ91の連絡孔407を通して貯留プランジャ91内に吸い込まれて排出される。
その後、弾性突片404の外係止突部405が、貯留プランジャ91の後端開口縁に到達すると、弾性突片404が外側に向けて復元変形することで、弾性突片404の外係止突部405が、貯留プランジャ91の後端開口縁に係止される。
挿入治具410を更に後方移動させると、挿入治具410の前端部413が、内係合突部406を後方に乗り越えて、挿入治具410が栓部材401から離脱する。その後、例えば残りの部品を組み付ける等することで、図9(c)に示すようなトリガー式液体噴出器400が形成される。
前記実施形態では、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93は、貯留シリンダ90内への液体の供給に伴い後方に移動するが、本発明はこれに限られない。例えば、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93が、貯留シリンダ90内への液体の供給に伴い前方に移動する構成を採用することも可能である。さらに、貯留シリンダ90の中心軸線O2が、前後方向とは異なる方向に延びていて、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93が、その中心軸線O2に沿う軸方向(前後方向とは異なる方向)に移動する構成を採用することもできる。
前記実施形態では、被係止部97が、負圧プランジャ93に形成されているが、貯留プランジャ91に形成されていてもよい。
前記実施形態では、負圧プランジャ93の受圧面積が、貯留プランジャ91の受圧面積より大きいが、小さくてもよく、同等であってもよい。
前記実施形態では、貯留シリンダ90および負圧シリンダ94が、一体に形成されているが、別体であってもよい。貯留シリンダ90および負圧シリンダ94が、二重筒状でなくてもよい。
前記実施形態では、貯留プランジャ91および負圧プランジャ93が、一体に形成されているが、別体であってもよい。貯留プランジャ91および負圧プランジャ93が、二重筒状でなくてもよい。
前記実施形態では、トリガー部51が後方に揺動自在とされていたが、トリガー部51が後方に移動する形態を適宜採用することが可能である。例えば、トリガー部51が後方に向けてスライド移動自在とされている等してもよい。
前記実施形態では、付勢部材など他の部材から作用する付勢力を利用することなく、負圧シリンダ94内の負圧を利用することで、負圧プランジャ93および貯留プランジャ91を復元移動させているが、本発明はこれに限られない。負圧シリンダ94内の負圧に加え、例えば、金属スプリング等の付勢部材から負圧プランジャ93や貯留プランジャ91に作用する付勢力も利用することで、負圧プランジャ93および貯留プランジャ91を復元移動させてもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1、350、400 トリガー式液体噴出器
2 噴出器本体
3 ノズル部材
4 噴出孔
10 縦供給筒部
11 射出筒部
50 トリガー機構
51 トリガー部
90 貯留シリンダ
91 貯留プランジャ
93 負圧プランジャ
94 負圧シリンダ
95a 供給孔
97 被係止部
98 規制部
A 容器体
O2 中心軸線

Claims (4)

  1. 液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
    前記噴出器本体の前方側に配置され、液体を前方に向けて噴射する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
    前記噴出器本体は、
    上下方向に延在し、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
    前記縦供給筒部から前方に向けて延設され、内側が前記縦供給筒部の内部に連通した射出筒部と、
    前記射出筒部から下方に向けて延設され、前方付勢状態で後方に移動自在に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記射出筒部内に導入させるとともに、前記射出筒部内から前記噴出孔側に向けて射出させるトリガー機構と、を備えるトリガー式液体噴出器であって、
    前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、
    前記貯留シリンダ内にその中心軸線に沿う軸方向に移動自在に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴い前記軸方向のうちの一方側に向けて移動する貯留プランジャと、
    前記貯留プランジャに連結され、前記貯留プランジャの前記軸方向の移動に連係する負圧プランジャと、
    前記軸方向に沿って延びるとともに前記軸方向の他端開口と外部の連通が遮断され、内部に前記負圧プランジャが前記軸方向の一方側に向けて移動自在に収容された負圧シリンダと、を備えることを特徴とするトリガー式液体噴出器。
  2. 前記負圧プランジャの受圧面積は、前記貯留プランジャの受圧面積より大きいことを特徴とする請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
  3. 前記貯留シリンダおよび前記負圧シリンダは、一体に形成されるとともに、前記貯留シリンダが、前記負圧シリンダの内側に配置された二重筒状に形成され、
    前記貯留プランジャおよび前記負圧プランジャは、一体に形成されるとともに、前記貯留プランジャが、前記負圧プランジャの内側に配置された二重筒状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のトリガー式液体噴出器。
  4. 前記貯留プランジャおよび前記負圧プランジャのうちの少なくとも一方に形成された被係止部から、前記軸方向の一方側に離れて配置された規制部を備え、
    前記規制部は、前記貯留プランジャおよび前記負圧プランジャが前記軸方向の一方側に向けて移動したときに、前記被係止部が前記軸方向の他方側から当接し、これらの両プランジャのこれ以上の前記軸方向の一方側に向けた移動を規制することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のトリガー式液体噴出器。
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