JP2017078808A - 表面微細凹凸シートおよび多層体 - Google Patents

表面微細凹凸シートおよび多層体 Download PDF

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Abstract

【課題】、正面方向への反射が十分で明るい画像を提供できる表面微細凹凸シート、そのシートを備える多層体や、その表面微細凹凸シートを用いた反射型ディスプレイ等を提供すること【解決手段】少なくとも反射板200、一方の表面の少なくとも一部に不規則な波状凹凸パターンを有する表面微細凹凸シート100、をその順で配置して備える多層体であって、該多層体の該表面微細凹凸シート側からの入射角40°での入射光の反射光正面照度比が2%以上であることを特徴とする多層体。【選択図】 図15

Description

本発明は、表面微細凹凸シートおよびそれを使用した多層体に関する。これらは反射型ディスプレイ用に使用される。
近年、ウェラブル、デジタルサイネージ等のディスプレイで反射型ディスプレイが注目されている。反射型ディスプレイは外部からの入射光を反射板で反射させて表示を行うため、現在、ほとんどの携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、液晶テレビで使用されている透過型ディスプレイのようにバックライトを必要とせず、消費電力の節約による長時間連続駆動が可能である。
また、ウェラブル用途として考えると、バックライトが不要であるため、軽量化、小型化も可能である。
反射型ディスプレイは、太陽直接光、拡散天空光、室内照明といった外光を反射、拡散させることで、画面表示に必要な光を得ているため、外光の拡散機能が必要となる。(特許文献1参照。)。
特開平6-11711号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、入射光を全方向に拡散させるため、正面方向に反射させる光量が少なく、白表示で十分な明るさが得られないという課題に本発明者等は気づいた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、正面方向への反射が十分で明るい画像を提供できる表面微細凹凸シートと、該表面微細凹凸シートを用いた反射型ディスプレイの提供を目的とする。
本発明は以下の構成を有する。
[1]少なくとも反射板、一方の表面の少なくとも一部に不規則な波状凹凸パターンを有する表面微細凹凸シート、をその順で配置して備える多層体であって、該多層体の該表面微細凹凸シート側からの入射角40°での入射光の反射光正面照度比が2%以上であることを特徴とする多層体。
[2]拡散角度―拡散角度が20°以上であることを特徴とする一方の表面の少なくとも一部に不規則な波状凹凸パターンを有する表面微細凹凸シート。
「拡散角度―拡散角度」の定義:主拡散方向の拡散角度−低拡散方向の拡散角度
[3]反射型ディスプレイ用の拡散シートとして使用される請求項2に記載の表面微細凹凸シート。
本発明によれば、反射型表示装置と組み合わせて使用した場合に、正面輝度に優れる表面微細凹凸シートと、該表面微細凹凸シートを用いた反射型ディスプレイを提供できる。
第1実施形態例の表面微細凹凸シートを模式的に示す拡大斜視図である。 第1実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが500μmである。)。 第1実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の原子間力顕微鏡による三次元画像である(画像の各辺のフルスケールが200μmである。)。 第1実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンを示す縦断面図である。 第2実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが300μmである。)。 第3実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが60μmである。)。 第3実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンを示す縦断面図である。 第4実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが300μmである。)。 第4実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンを示す縦断面図である。 第4実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンにおける凸部の平均高さを求める方法の説明図である。 第5実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが250μmである。)。 第5実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面側からの概略平面図、(b)波状凹凸パターン(1−b)の凸条部の配列方向に平行な側面を示す側面図、(c)波状凹凸パターン(1A)の凸条部の配列方向に平行な側面を示す側面図である。 反射型ディスプレイの構成の一例を示す側面図である。 反射型ディスプレイの構成の別の一例を示す側面図である。 入射角を変えた時の反射光照度の評価ユニットの説明図である。 本発明の表面微細凹凸シートについて、入射角と反射光正面照度比との関係をプロットしたグラフである。 一般的な等方性拡散シートについて、入射角と反射光正面照度比との関係をプロットしたグラフである。 一般的なプリズムシートについて、入射角と反射光正面照度比との関係をプロットしたグラフである。 本発明の表面微細凹凸シートおよびそれ以外のシートについて、「拡散角度―拡散角度」と反射光正面照度比40°との関係をプロットしたグラフである。 実施例、比較例の表面微細凹凸シートについて、斜め方向から光を入射した場合の黒文字を白色部とのコントラストの評価ユニットの説明図である。
「不規則な波状凹凸パターン」とは、表面微細凹凸シートの法線方向に平行な少なくとも一つの面に沿って切断した際に得られる切断面において、波状凹凸パターンに対応する部分の形状が、不規則な微細な波状の凹凸形状であるパターンのことをいう。
たとえば、下記の〔1〕、〔2〕のパターンが挙げられる。
〔1〕波状凹凸パターン形成面に沿って筋状に延びる複数の凸条部と、該複数の凸条部間の複数の凹条部とが、波状凹凸パターン形成面に沿う一方向に交互に繰り返されるパターンを少なくとも有し、以下の(a)および(b)の特徴を有するパターン(以下、「波状凹凸パターン(1)」ともいう。)。
なお、波状凹凸パターン(1)では、少なくとも、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部と凹条部とが交互に繰り返される上記一方向(以下、「凸条部の配列方向」ともいう。)に沿って切断した際に得られる切断面において、波状凹凸パターンに対応する部分の形状が、不規則な波状の凹凸形状となる。
(a)各凸条部が蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凸条部の稜線が蛇行し、隣接する凸条部の稜線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に稜線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の稜線が途中で枝分かれしたり、複数の稜線が途中で合一していてもよい。
(b)各凹条部が蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凹条部の谷線が蛇行し、隣接する凹条部の谷線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に谷線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の谷線が途中で枝分かれしたり、複数の谷線が途中で合一していてもよい。
波状凹凸パターン(1)では、上記切断面における各凸条部の縦断面形状(表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部の配列方向に沿って切断される切断面における形状。)は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。
以上のような波状凹凸パターン(1)の不規則性により、該波状凹凸パターン(1)は、後述する主拡散方向だけでなく、該主拡散方向に対して直交する低拡散方向にも、適度に光を拡散させる。
また、詳しくは後述するが、波状凹凸パターン(1)は、1軸延伸フィルム(1軸方向収縮フィルム)からなる加熱収縮性樹脂フィルムを加熱収縮することにより形成されるパターンである。
〔2〕波状凹凸パターン形成面上に、特定の方向に沿わない微細な凹凸が形成されたパターン(以下、「波状凹凸パターン(2)ともいう。」)。
波状凹凸パターン(2)では、表面微細凹凸シートの法線方向に平行な任意の方向に沿って切断した際に得られる切断面において、波状凹凸パターンに対応する部分の形状が、不規則な波状の凹凸形状となる。
波状凹凸パターン(2)では、上記切断面における各凸部の縦断面形状(表面微細凹凸シートの法線方向に平行な任意の方向に沿って切断される切断面における形状。)は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。
以上のような波状凹凸パターン(2)の不規則性により、該波状凹凸パターン(2)は、主拡散方向および低拡散方向に光を拡散させる。また、凹凸が上述のように特定の方向に沿わないため、主拡散方向と低拡散方向の拡散角度の差は小さい。
また、詳しくは後述するが、波状凹凸パターン(2)は、2軸延伸フィルム(2軸方向収縮フィルム)からなる加熱収縮性樹脂フィルムを加熱収縮することにより形成されるパターンである。
「波状凹凸パターンの主拡散方向」とは、以下の方法で決定される方向である。
(1)拡散角度測定用として、一方の面が波状凹凸パターン形成面であり、他方の面が平滑な面(平滑面)であるサンプルシートを用意する。
(2)ゴニオメータ(たとえば、型式:GENESIA Gonio/FFP、ジェネシア社製)を用いて、上記サンプルシートの平滑面側から測定光を入射させ、波状凹凸パターン形成面からの透過散乱光を測定し、照度曲線を得る。
具体的には、サンプルシートから垂直に出射する光(出光角度=0°)の照度を1とした際の相対照度を、波状凹凸パターン形成面上のある方向(α方向)において、出光角度−90°から90°まで1°間隔で測定する。これによりα方向における照度曲線が得られる。
このような操作および照度曲線の作製を、波状凹凸パターン形成面において、α方向から1°ずらした方向(β方向)において行う。
ついで、このような操作および照度曲線の作製を、波状凹凸パターン形成面において、β方向から1°ずらした方向(γ方向)において行う。
このように相対照度を測定する方向を波状凹凸パターン形成面内で1°ずつずらし、1°毎の照度曲線を得る。これにより、合計180種の照度曲線が得られる。
(3)180種の各照度曲線のそれぞれにおいて、相対照度が0.5以上となる角度範囲を求める。その範囲が拡散角度である。たとえば、α方向について得られた照度曲線において、相対照度が0.5以上となる角度範囲が−13°〜+17°である場合には、α方向における拡散角度は、13°+17°=30°となる。
(4)180種の各方向について、上記のようにして拡散角度を求め、180種の拡散角度のうち、最も大きな拡散角度が得られた方向が、主拡散方向である。
(5)低拡散方向は、「主拡散方向に直交する方向」と定義する。
主拡散方向および低拡散方向は、いずれも、波状凹凸パターン形成面上の方向である。
なお、本明細書において、平滑とは、JIS B0601に記載の方法により測定される中心線平均粗さが0.1μm以下であることをいう。
<第1〜第5実施形態例>
〔第1実施形態例〕
図1は、本実施形態例の表面微細凹凸シートを模式的に示す斜視図である。
[波状凹凸パターン]
第1実施形態例の表面微細凹凸シート10Aは、波状凹凸パターン形成面11に、先に説明した波状凹凸パターン(1)に該当する波状凹凸パターン(1A)が形成されている。
図2は、本実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像であり、図3は、波状凹凸パターン形成面の原子間力顕微鏡による三次元画像である。
図4は、本実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン(1A)を示すものであって、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部の配列方向に沿って切断した縦断面図である。
図4に示すように、凸条部11aの上記縦断面形状は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。また、各凸条部11aの上記縦断面形状は、それぞれが基端側から先端側に向かって細くなる先細り形状であるとともに、先端が丸みを帯びている。また、各凸条部11aの上記縦断面形状において、先端側と基端側とを結ぶ線は、先端側から基端側に向けて滑らかに連続的に下降している。また、各凸条部11aは、上述の縦断面形状およびその面積のうちの少なくとも一方が、当該凸条部11aの延在方向(筋状に延びている方向)に沿って変化しており、一定でない。
また、各凸条部11aにおいて、稜線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
また、隣り合う凸条部11a間の各凹条部において、谷線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの平均ピッチは、1〜50μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましく、8〜20μmであることがより好ましい。平均ピッチが上記範囲の下限値以上であると、表面微細凹凸シート10Aを容易に製造できる。平均ピッチが上記範囲の上限値以下であると、表面微細凹凸シート10Aを照明装置に使用した場合に、波状凹凸パターン(1A)が好ましくない輝線として視認されにくい。また、平均ピッチが上記範囲内であると、主拡散方向に充分な拡散角度を示す。
なお、平均ピッチは、図2のような、凸条部11aが20本以上含まれる波状凹凸パターン形成面11の平面画像を得て、隣り合う凸条部11aの20本分について、凸条部11aの配列方向に沿う長さを5箇所測定し、測定値の平均値を20で割ることにより求めることができる。
また、平均ピッチは、次の方法でも求められる。
すなわち、光学顕微鏡または電子顕微鏡により波状凹凸パターン形成面11の上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(例えば、tiff形式等。)に変換し、次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換画像の画像解析によりピッチを求める。この方法は、たとえば特開2008−302591号公報(特許第4683011号公報)等に記載されており、これを参照できる。なお、該公報の段落[0024]にも記載のとおり、当該方法で求められる最頻ピッチと、上記平均ピッチは、同等に扱うことができる。以下、各実施形態例においても同様である。
波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの平均ピッチに対する平均高さの比、すなわちアスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)は、0.05〜3.0であることが好ましく、0.1〜2.0であることがより好ましく、0.3〜1.0であることがさらに好ましい。アスペクト比が上記範囲の下限値以上であると、波状凹凸パターン(1A)により視野角確保効果、輝度ムラ解消効果が充分に得られる。アスペクト比が上記範囲の上限値以下であると、波状凹凸パターン(1A)を容易に形成できる。
凸条部11aの平均高さは次のように求める。
たとえばミクロトームを用いて、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部の配列方向に沿って切断した切断面を有する薄片サンプルを得て、該薄片サンプルの切断面の光学顕微鏡画像を得る。そして、該光学顕微鏡画像の切断面から、ランダムに50個の凸条部を選択し、これら各凸条部の高さHを求める。
具体的には、図4に示すように、1つの凸条部11aの頂部Tと該凸条部11aの一方側に位置する凹条部の底部B1との垂直距離をLiとし、該凸条部11aの頂部Tと該凸条部11aの他方側に位置する凹条部の底部B2との垂直距離をRiとした場合に、H=(Li+Ri)/2で求められるのが、その凸条部11aの高さである。
このようにして求めた50個の凸条部の高さの平均値が「凸条部の平均高さ」である。
本実施形態例の表面微細凹凸シート10Aにおいて、波状凹凸パターン(1A)の主拡散方向は、先に説明した方法により求めることができ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの配列方向に平行な方向(図1中のA方向)である。
主拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば10°以上であることが好ましく、15°以上であることがより好ましい。また、たとえば50°以下であることが好ましく、40°以下であることがより好ましい。
一方、主拡散方向に対して直交する方向は、拡散角度の低い「低拡散方向」である。
低拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、主拡散方向の拡散角度よりも小さいことが望ましく、たとえば10°以下であることが好ましい。
主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、凸条部の平均ピッチ、アスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)等を調整すること等により制御できる。
以上の主拡散方向の拡散角度の好ましい範囲は、後に説明する各実施形態例2〜5までも上記実施形態1と同様である。その理由は、以下のようである。
主拡散方向の拡散角度が10°以上であれば、後述するように、反射型ディスプレイの拡散シートして 使用する場合、光が斜めから入射しても、正反射方向以外の方向にも光が拡散反射するため 正面輝度が高くなる。この正面輝度が高くなる点で主拡散方向の拡散角度が15°以上がより好ましい。なお、主拡散方向の拡散角度が50°を越えるような表面微細凹凸シートは、表面の波状凹凸パターンの作製が困難になる場合がある点で好ましくない。
以上の低拡散方向の拡散角度の好ましい範囲は、後に説明する各実施形態例2〜5までも上記実施形態1と同様である。その理由は、以下のようである。
低拡散方向の拡散角度が10°以下であれば、後述するように不要な方向への光の拡散反射が軽減されるため、正面輝度の低下が軽減される。
表面微細凹凸シート10Aの厚みは、接触式膜厚計で測定した厚みとして、20〜5000μmの範囲が好ましく、50〜3000μmがより好ましい。
表面微細凹凸シート10Aの材質については、後述する。
[表面微細凹凸シートの製造方法]
本実施形態例の1層構造の表面微細凹凸シート10Aは、たとえば、以下の製造方法(A)により製造できる。また、多層構造の表面微細凹凸シートは、たとえば、以下の製造方法(B)により製造できる。また、製造方法(A)の一部と製造方法(B)の一部とを組み合わせた方法によっても製造できる。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(1A)の形成には、特開2008−302591号公報(特許第4683011号公報)等を参照できる。
(製造方法)
製造方法は、以下の工程(a1)および工程(a2)を有する。
工程(a1):
波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)を表面に有する原版(W)を製造する工程(a1)。
工程(a2):
原版(W)の上記転写形状を電離放射線硬化性樹脂を用いたナノインプリント法を用いてシートに転写し、一方の面に波状凹凸パターン(1A)が形成された表面微細凹凸シートを得る工程(a2)。
工程(a1):
工程(a1)としては、たとえば、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、表面が平滑で少なくとも1種の樹脂から構成される硬質層を少なくとも1層積層させて、積層フィルムを得る工程(a1−1)と、積層フィルムを加熱して加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、硬質層を折り畳むように変形させて、表面に波状凹凸パターン(1A)が形成された凹凸パターン形成シートを得る工程(a1−2)と、該凹凸パターン形成シートの硬質層側の表面にニッケル等の金属を堆積させた後に剥離し、波状凹凸パターン(1A)の転写形状が転写された原版(W)を得る工程(a1−3)とを有する工程等が挙げられる。
なお、硬質層は、加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させる温度条件下で軟化しない層である。軟化しないとは、硬質層のヤング率が100MPa以上であることを意味する。
工程(a1−1):
加熱収縮性樹脂フィルムとは、80〜180℃の温度で加熱した際、特定の方向に収縮(シュリンク)するフィルムのことを意味する。このようなフィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、ポリスチレン系シュリンクフィルム、ポリオレフィン系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニル系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニリデン系シュリンクフィルムなどを用いることができる。また、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィンなどの樹脂から構成されるフィルムも挙げられる。
耐熱性の点では、ポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、ポリスチレン系シュリンクフィルムが好ましい。
本実施形態例では、加熱収縮性樹脂フィルムとして、1軸延伸フィルムを用いる。1軸延伸は、縦延伸、横延伸のいずれであってもよい。
加熱収縮性樹脂フィルムは、延伸倍率1.1〜15倍で延伸されていることが好ましく、1.3〜10倍で延伸されていることがより好ましい。
また、加熱収縮性樹脂フィルムとしては、収縮率が20〜90%のフィルムが好ましく、30〜80%のフィルムがより好ましい。収縮率が前記下限値以上であれば、凹凸パターン形成シートをより容易に製造できる。収縮率が上限値を超える加熱収縮性樹脂フィルムは製造が困難である。
本明細書において、収縮率とは、下記で定義される。
(収縮率[%])={(収縮前の長さ)−(収縮後の長さ)}×100/(収縮前の長さ)(ただし、長さは加熱収縮性樹脂フィルムの収縮方向の長さである。)
加熱収縮性樹脂フィルムは、硬質層を容易に形成できることから、表面が平滑であることが好ましい。
加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂(以下、「樹脂L」ともいう。)のガラス転移温度Tgは、−40〜200℃であることが好ましく、60〜150℃であることがより好ましい。ガラス転移温度は示差熱分析等により測定できる。ガラス転移温度Tgが上記範囲内であれば、より容易に凹凸パターン形成シートを製造できる。すなわち、Tgが上記範囲内であれば、樹脂Lから構成される加熱収縮性樹脂フィルムを80〜180℃の温度で加熱収縮させることができるため、より容易に凹凸パターン形成シートを製造できる。
加熱収縮性樹脂フィルムの厚みは30〜500μmであることが好ましい。上記範囲内であれば、破れにくく薄型化もできる。なお、厚みは、得られた凹凸パターン形成シートをシート面に対して垂直に切った断面(縦断面)の顕微鏡写真から、10カ所以上無作為に抽出して、加熱収縮性樹脂フィルムの厚さを測定した際の、得られた各数値の平均値である。
樹脂Lのヤング率は、加熱収縮させる工程(a1−2)の温度、すなわち、80〜180℃の温度範囲において、0.01〜100MPaであることが好ましく、0.1〜10MPaであることがより好ましい。樹脂Lのヤング率が前記下限値以上であれば、実用上使用可能な硬さであり、前記上限値以下であれば、硬質層が変形する際に同時に追従して変形可能な軟らかさである。
上述のようなTgおよびヤング率を有する樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂およびポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられ、これらの1種以上を好適に使用できる。
硬質層を構成する樹脂(以下、「樹脂M」ともいう。)としては、たとえば、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体などの1種以上を使用できる。
樹脂Mは、凹凸パターン形成シートを容易に形成できる点では、樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mと樹脂Lのガラス転移温度Tgとの差(Tg2M−Tg)が10℃以上であることが好ましく、15℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることが特に好ましい。
樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mは、40〜400℃の範囲内にあることが好ましく、80〜250℃の範囲内にあることがより好ましい。Tg2Mが前記範囲内であれば、凹凸パターン形成シートを容易に製造できる。
樹脂Mのヤング率は、加熱収縮させる工程(a1−2)の温度(80〜180℃)において、0.01〜300GPaの範囲内にあることが好ましく、0.1〜10GPaの範囲内にあることがより好ましい。樹脂Mのヤング率が上記下限値以上であれば、波状凹凸パターン(1A)の形状を維持するのに充分な硬さであり、上限値以下であれば、より容易に凹凸パターン形成シートを製造できる。
硬質層の厚さは、0.05μmを超え10.0μm以下とすることが好ましく、0.5〜3.0μmとすることがより好ましい。硬質層の厚さを上記範囲にすることにより、光拡散性の点で、波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチが適切な範囲となる。
硬質層の厚さは連続的に変化していても構わない。硬質層の厚さが連続的に変化している場合には、工程(a1−2)後に形成される波状凹凸パターン(1A)のピッチおよび深さが連続的に変化するようになる。
硬質層を設け、積層フィルムを得る方法としては、樹脂Mを含む硬質層形成用塗料を加熱収縮性樹脂フィルムに連続的に塗工し、乾燥する方法が挙げられる。
硬質層形成用塗料の調製方法としては、トルエン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等の1種以上の溶媒で、樹脂Mを希釈する方法等が挙げられる。硬質層形成用塗料の固形分濃度(樹脂Mの濃度:硬質層形成用塗料の質量(100質量%)に対して、該塗料中の溶媒が揮発した後に残る固形分の質量の比率)は、塗料の総質量に対して1〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。
塗料の塗工方法としては、たとえば、エアナイフコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、メイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、キャストコーティング、カーテンコーティング、ダイスロットコーティング、ゲートロールコーティング、サイズプレスコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング等が挙げられる。
乾燥方法としては、熱風、赤外線等を用いた加熱乾燥法が挙げられる。
加熱収縮性樹脂フィルムへの樹脂溶液の乾燥塗工量は、1〜10g/mにすることが好ましい。上記範囲内であれば、硬質層の厚みを上記好ましい範囲にとすることができ、硬質層に、波状凹凸パターン(1A)を形成しやすい。
工程(a1−2):
工程(a1−2)では、工程(a1−1)で得られた積層フィルムを加熱して加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、硬質層を折り畳むように変形させて、表面に波状凹凸パターン(1A)と同じパターンが形成された凹凸パターン形成シートを得る。
工程(a1−2)では、30%以上の収縮率で収縮させることが好ましい。収縮率を30%以上にすると、収縮不足の部分(たとえば凹凸が充分に形成されない部分、アスペクト比が充分には大きくない部分等。)を小さくすることができる。一方、収縮率を大きくし過ぎると、得られる凹凸パターン形成シートの面積が小さくなり、歩留まりが低下するため、収縮率の上限は80%が好ましい。
積層フィルムを加熱する方法としては、熱風、蒸気、熱水または遠赤外線中に通す方法等が挙げられ、中でも、均一に収縮させることができることから、熱風または遠赤外線に通す方法が好ましい。
加熱収縮性樹脂フィルムを熱収縮させる際の加熱温度は、使用する加熱収縮性樹脂フィルムの種類、目的とする凹凸パターン形成シートの凸条部の平均ピッチやアスペクト比に応じて適宜設定することが好ましい。
具体的には、該加熱温度は、加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂Lのガラス転移温度Tg以上の温度にすることが好ましい。Tg以上の温度で熱収縮させると、波状凹凸パターン(1A)を容易に形成できる。
また、該加熱温度は、(樹脂Mのガラス転移温度Tg2M+15℃)未満であることが好ましい。
工程(a1−2)の好適な一例としては、上述の工程(a1−1)で得られた積層フィルムを好ましくは80〜180℃、より好ましくは120〜170℃の熱風の中を通過させることにより、加熱収縮性フィルムと硬質層とを変形させて、凹凸パターン形成シートを得る工程であることが好ましい。
積層フィルムを加熱する時間は、1〜3分間が好ましく、1〜2分間がより好ましい。熱風の風速は、1〜10m/sが好ましく、2〜5m/sがより好ましい。
工程(a1−3)
工程(a1−3)は、上述の工程(a1−2)で得られた凹凸パターン形成シートの硬質層側の表面に、たとえばニッケル等の金属を公知の電気鋳造法等で堆積させ、その後、該金属を剥離し、波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)が転写された金属製の原版(W)を得る工程である。
なお、耐熱性等の観点からは、原版(W)の材質はニッケル等の金属が好適であるが、樹脂等であってもよい。また、原版(W)は、波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)を有しているものであればよく、上記のような転写を2回以上繰り返して得たもの等であってもよい。
原版(W)が樹脂製である場合は、以下に示す工程にて製造する。上述の工程a1−1およびa1−2と同様の工程により凹凸パターン形成シートを得る。ついで、該凹凸パターン形成シートにおける波状凹凸パターン(1A)が形成された面に、離型剤を含む未硬化の透明な電離放射線硬化性樹脂を例えば3〜30μmの厚さに収まるように、Tダイコーター、ロールコーター、バーコーターなどのコーターで塗布し、その上に、PET等の基材を配置する。そして、電離放射線を照射して硬化させた後、凹凸パターン形成シートを剥離して、波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)が形成された、電離放射線硬化性樹脂硬化物と基材とからなる樹脂製の原版(W)を得る。
工程(a2):
工程(a2)としては、PET等を材料とする透明な基材を別途用意し、その片面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗布する。ここで塗布する厚さは、上記原版(W)における波状凹凸パターン(1A)の転写形状の凹凸を充分に覆える厚さとする。そして、塗布された未硬化の電離放射線硬化性樹脂の層に対して、上記原版(W)における波状凹凸パターン(1A)の転写形状が形成された面を押し当て、その状態のまま、電離放射線を照射して硬化させた後、原版(W)を剥離する。
このように原版(W)を使用することにより、PETを材料とする透明な基材と、その片面上に形成された透明な電離放射線硬化性樹脂硬化物の層から構成される2層構造のシートが得られる。電離放射性硬化性樹脂硬化物の層の表面には、波状凹凸パターン(1A)が形成されている。なお、ここでの原版(W)としては、1次転写品に限定されず、転写をさらに繰り返して得たものであってもよい。
電離放射線としては、一般には紫外線および電子線を意味することが多いが、本明細書においては、可視光線、X線、イオン線等も含む。
未硬化の電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニル/アクリレート、ポリエン/アクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルメチルメタクリレート等のプレポリマー、脂肪族アクリレート、脂環式アクリレート、芳香族アクリレート、水酸基含有アクリレート、アリル基含有アクリレート、グリシジル基含有アクリレート、カルボキシ基含有アクリレート、ハロゲン含有アクリレート等のモノマーの中から選ばれる1種類以上の成分を含有するものが挙げられる。未硬化の電離放射線硬化性樹脂は溶媒等で希釈することが好ましい。未硬化の電離放射線硬化性樹脂には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を添加してもよい。また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性である場合には、未硬化の電離放射線硬化性樹脂にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を添加することが好ましい。
また、電離放射線硬化性樹脂の代わりに、例えば、未硬化のメラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を用いて転写を行ってもよく、転写できる限り、その具体的方法、転写する材料に制限はない。
熱硬化性樹脂を用いる場合には、例えば液状の未硬化の熱硬化性樹脂を塗布し、加熱により硬化させる方法が挙げられ、熱可塑性樹脂を用いる場合には、熱可塑性樹脂のシートを用い、転写対象の面に押し当てながら加熱して軟化させた後、冷却する方法が挙げられる。
スタンパによる転写の具体的な方法については、たとえば、特開2012−022292号公報等を参照できる。
〔第2実施形態例〕
図5は、第2実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である。
第2実施形態例の表面微細凹凸シートは、波状凹凸パターン形成面に形成されている波状凹凸パターンが、上述の波状凹凸パターン(1)に該当するパターンではなく、上述の波状凹凸パターン(2)(すなわち、特定の方向に沿わない凹凸が形成されたパターン)に該当する波状凹凸パターン(2A)である点のみで、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと異なる。
第2実施形態例の表面微細凹凸シートが有する波状凹凸パターン(2A)は、図5に示すように、波状凹凸パターン形成面に沿って折れ曲がりながら、特定の方向に沿わずに延びる複数の凸条部と、該複数の凸条部間の複数の凹条部とにより形成されている。凸条部は、稜線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。また、各凹条部は、谷線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
波状凹凸パターン(2)の凸条部の平均ピッチおよびアスペクト比等の好ましい範囲、求め方等は、第1実施形態例と同様である。
なお、平均ピッチは、次の方法で求めることが好適である。
すなわち、光学顕微鏡または電子顕微鏡により波状凹凸パターン形成面の上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(例えば、tiff形式等。)に変換し、次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換画像の画像解析によりピッチを求める。この方法は、たとえば特開2008−279597号公報の段落[0002]等に記載されており、これを参照できる。
波状凹凸パターン(2A)は、上述のように、特定の方向に沿わない凹凸が形成されたパターンであり、光拡散性の異方性が弱められている。そのため、第1実施形態例と比較すると、波状凹凸パターンの主拡散方向と低拡散方向とにおける拡散角度の差は小さい。
主拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば10°以上であることが好ましく、15°以上であることがより好ましい。また、たとえば50°以下であることが好ましく、40°以下であることがより好ましい。
低拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、主拡散方向の拡散角度よりも小さいことが望ましく、たとえば10°以下であることが好ましい。
第2実施形態例の波状凹凸パターンの主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、上記平均ピッチ、アスペクト比等を調整すること等により制御できる。
第2実施形態例の表面微細凹凸シートの好ましい厚み等は、第1実施形態例の表面微細凹凸シート10Aと同程度である。
第2実施形態例の表面微細凹凸シートは、1層構造でも、2層以上の多層構造であってもよい。
また、第2実施形態例の表面微細凹凸シートは、概略、第1実施形態例と同様の方法で製造できる。ただし、第2実施形態例では、工程(a1−1)において、加熱収縮性樹脂フィルムとして、2軸延伸フィルムを用いる。2軸延伸フィルムを用いることにより、図5に示すような特定の方向に沿わない凹凸が形成される。また、使用する2軸延伸フィルムの縦延伸倍率および横延伸倍率を調整し、縦収縮率および横収縮率を調整することにより、主拡散方向の拡散角度と、低拡散方向の拡散角度とのバランスが適宜調整された波状凹凸パターン(2A)を形成できる。縦収縮率および横収縮率の好ましい各範囲は、各々、第1実施形態例における収縮率の好ましい範囲と同じである。加熱収縮性樹脂フィルムの材質(樹脂L)、収縮率、樹脂Lのガラス転移温度、ヤング率等の好ましい態様および範囲は、第1実施形態例と同様である。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(2A)の形成には、特開2008−304651号公報(特許第5098450号公報)等を参照できる。
〔第3実施形態例〕
図6は、第3実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である。第3実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面に形成されている波状凹凸パターンは、第1実施形態例と同様に、先に説明した波状凹凸パターン(1)に該当する。
第3実施形態例の表面微細凹凸シートにおける波状凹凸パターンは、波状凹凸パターン(1)に該当するが、第1実施形態例の波状凹凸パターン(1A)は、図4に示したように、凸条部11aの縦断面形状において、先端側と基端側とを結ぶ線は、先端側から基端側に向けて滑らかに連続的に下降しているのに対して、本実施形態例の波状凹凸パターン(1B)は、図7に示すように、凸条部11bの縦断面形状において、先端側(頂部)と基端側とを結ぶ線が、微細な多数の凹凸を有する微細凹凸状である点で、第1実施形態例の表面微細凹凸シート10Aと異なる。微細な多数の凹凸は、後述の波状凹凸パターン(1−a)によるものである。
図7に示すように、波状凹凸パターン(1B)は、凸条部32aと凹条部32bとから構成される波状凹凸パターン(1A)と、その上に形成された、凸条部33aと凹条部33bとから構成される別の微細な波状凹凸パターン(1−a)により形成されている。
波状凹凸パターン(1−a)は、筋状に延びる複数の凸条部33aと、該複数の凸条部33a間の複数の凹条部33bとが一方向に交互に繰り返されるパターンであって、波状凹凸パターン(1A)の凸条部32aの配列方向と、波状凹凸パターン(1−a)の凸条部33aの配列方向とはほぼ同じ方向である。
波状凹凸パターン(1−a)は、以下の特徴を有する。
(a’)各凸条部33aが蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凸条部33aの稜線が蛇行し、隣接する凸条部33aの稜線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に稜線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の稜線が途中で枝分かれしたり、複数の稜線が途中で合一していてもよい。
(b’)各凹条部33bが蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凹条部33bの谷線が蛇行し、隣接する凹条部33bの谷線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に谷線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の谷線が途中で枝分かれしたり、複数の谷線が途中で合一していてもよい。
また、波状凹凸パターン(1−a)では、各凸条部33aの縦断面形状(表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部の配列方向に沿って切断される切断面における形状。)は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。
また、各凸条部33aの上記縦断面形状は、それぞれが基端側から先端側に向かって細くなる先細り形状であるとともに、先端が丸みを帯びている。なお、波状凹凸パターン(1−a)は、各凸条部33aの上記縦断面形状において、先端側と基端側を結ぶ線は、滑らかであり、先端側から基端側に向けて連続的に下降している。また、各凸条部33aは、上述の縦断面形状およびその面積のうちの少なくとも一方が、当該凸条部33aの延在方向(筋状に延びている方向)に沿って変化しており、一定でない。
また、各凸条部33aにおいて、稜線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
また、各凹条部33bにおいて、谷線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
凸条部32aの平均ピッチおよびアスペクト比の好ましい範囲、求め方等は、第1実施形態例で説明したとおりである。
波状凹凸パターン(1−a)の凸条部33aの平均ピッチは、0.3〜2.0μmであることが好ましく、0.4〜1.0μmであることがより好ましく、0.5〜0.8μmであることがさらに好ましい。平均ピッチが上記範囲内であると、光拡散性が損なわれない。
凸条部33aの平均ピッチは、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの平均ピッチと同様の方法で求めることができる。すなわち、隣り合う凸条部33aが20本以上含まれる平面画像を得て、凸条部33aの20本分について、凸条部33aの配列方向に沿う長さを5箇所測定し、測定値の平均値を20で割ることにより求められる。
また、平均ピッチは、次の方法でも求められる。
すなわち、光学顕微鏡または電子顕微鏡により波状凹凸パターン形成面の上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(例えば、tiff形式等。)に変換し、次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換画像の画像解析によりピッチを求める。この方法は、最頻ピッチの求め方として、たとえば国際公開第2014/002850号等に記載されており、これを参照できる。最頻ピッチと平均ピッチは、同等に扱うことができる。
波状凹凸パターン(1−a)の凸条部33aの平均ピッチに対する平均高さの比、すなわちアスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)は、0.25〜0.35であることが好ましく、0.28〜0.33であることがさらに好ましい。アスペクト比が上記範囲内であると、光拡散性が損なわれない。
波状凹凸パターン(1−a)のアスペクト比Aは、凸条部33aの平均高さ/平均ピッチで求められる値であって、概略、第1実施形態例において説明した波状凹凸パターン(1A)のアスペクト比と同様の方法で求められる。
すなわち、図10において、波状凹凸パターン(1−a)の凸条部33aの高さは、両隣の2つの凹条部33bの底部から、凸条部33aの頂部までの距離の和の1/2である。ここで、凹条部33bの底から凸条部33aの頂部までの距離は、凸条部32aの頂部と、凹条部32bを結ぶ線に平行であり、かつ、凸条部33aの頂部を通過する仮想線に対して垂直方向の距離である。すなわち、波状凹凸パターン(1−a)を形成する凸条部33aの高さは、凸条部33aに対して一方側の凹条部33bの底部から計測した凸条部33aの高さをL、他方側の凹条部33bの底部から計測した高さをRとした際に、b=(L+R)/2となる。このようにして各凸条部33aの高さbを求める。そして、50個の凸条部33aの高さRを測定し、それらの高さを平均して平均高さを求める。
本実施形態例の表面微細凹凸シートにおいて、波状凹凸パターンの主拡散方向は、先に説明した方法により求めることができ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部32aの配列方向にほぼ平行な図10中A方向である。
主拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば10°以上であることが好ましく、15°以上であることがより好ましい。また、たとえば50°以下であることが好ましく、40°以下であることがより好ましい。
低拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、主拡散方向の拡散角度よりも小さいことが望ましく、たとえば10°以下であることが好ましい。
主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、波状凹凸パターン(1A)および(1−a)それぞれの凸条部11b,33aの平均ピッチ、アスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)等を調整すること等により制御できる。
第3実施形態例の表面微細凹凸シートの好ましい厚み等は、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと同程度である。
第3実施形態例の表面微細凹凸シートは、概略、第1実施形態例の表面微細凹凸シート10Aと同様の製造方法で製造できる。
ただし、上述の工程(a1−1)では、硬質層を形成するために使用する硬質層形成用塗料として、硬質層を形成するための樹脂を2種類(以下、「樹脂M1」および「樹脂N1」という。)使用する。このように2種類の樹脂を使用することにより、波状凹凸パターン(1A)および(1−a)から構成される波状凹凸パターン(1B)を形成できる。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(1B)の形成には、国際公開第2014/002850号等を参照できる。
加熱収縮性樹脂フィルムとしては、1軸延伸フィルムを用いる。その材質(樹脂L)、収縮率、樹脂Lのガラス転移温度、ヤング率等の好ましい態様および範囲は、第1実施形態例と同様である。
硬質層の形成に用いる樹脂M1および樹脂N1としては、各々、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂などを使用することができる。
樹脂M1および樹脂N1は、波状凹凸パターン(1B)の形成しやすさの点から、ガラス転移温度が互いに異なることが好ましく、具体的には、樹脂M1のガラス転移温度Tg2Mが樹脂N1のガラス転移温度Tg2Nよりも高いことが好ましい。さらには、(樹脂M1のガラス転移温度Tg2M)−(樹脂N1のガラス転移温度Tg2N)が10℃以上であることが好ましく、12℃以上であることがより好ましい。
一方、Tg2M−Tg2Nが20℃以下であることが好ましく、18℃以下であることがより好ましい。すなわち、樹脂M1のガラス転移温度Tg2Mと、樹脂N1のガラス転移温度Tg2Nとの差は、10〜20℃であることが好ましい。より好ましくは、12〜18℃である。
波状凹凸パターン(1B)の形成しやすさの点から、樹脂M1のガラス転移温度Tg2Mと樹脂L1のガラス転移温度Tgとの差(Tg2M−Tg)、樹脂N1のガラス転移温度Tg2Nと樹脂L1のガラス転移温度Tgとの差(Tg2N−Tg)が共に10℃以上であることが好ましく、15℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることが特に好ましい。
樹脂M1および樹脂N1のガラス転移温度Tg2M,Tg2Nは共に40〜400℃の範囲内にあることが好ましく、80〜250℃の範囲内にあることがより好ましい。Tg2M,Tg2Nが上記範囲内であれば、より容易に波状凹凸パターン(1B)を形成できる。
樹脂M1および樹脂N1のヤング率は、工程(a1−2)の温度、すなわち80〜180℃において、0.01〜300GPaの範囲内にあることが好ましく、0.1〜10GPaの範囲内にあることがより好ましい。樹脂M1および樹脂N1のヤング率が上記範囲の下限値以上であれば、波状凹凸パターン(1B)の形状を維持するのに充分な硬さであり、ヤング率が上記範囲の上限値以下であれば、より容易に波状凹凸パターン(1B)を形成できる。
硬質層の厚さは、第1実施形態例と同じ範囲が好ましく、厚さが連続的に変化していても構わない点も同様である。
硬質層を設ける方法としては、硬質層形成用塗料として、樹脂M1および樹脂N1を含む塗料を使用する点以外は、第1実施形態例と同様である。
なお、上記製造方法において、波状凹凸パターン(1B)の特性(ピッチ、アスペクト比等。)は、たとえば樹脂M1と樹脂N1の配合比率、加熱収縮性樹脂フィルムの収縮率を調整することで制御できる(たとえば、国際公開第2014/002850号等参照。)。
〔第4実施形態例〕
図8は、第4実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である。第4実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面に形成されている波状凹凸パターンは、第1実施形態例と同様に、先に説明した波状凹凸パターン(1)に該当する。
図9は、本実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン(1C)を示すものであって、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、波状凹凸パターン(1C)の凸条部の配列方向に沿って切断した縦断面図である。
第4実施形態例の表面微細凹凸シートにおける波状凹凸パターン(1C)は、上述のとおり、波状凹凸パターン(1)に該当するが、第1実施形態例の波状凹凸パターン(1A)は、図4に示したように、凸条部の縦断面形状11aにおいて、先端側と基端側とを結ぶ線は、先端側から基端側に向けて滑らかに連続的に下降しているのに対して、本実施形態例の波状凹凸パターン(1C)は、図9に示すように、凸条部42aの縦断面形状において、先端側と基端側を結ぶ線の途中に、外方に突出する複数の凸部43がランダムに形成されている点で、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと異なる。凸部43は、凹条部42b上や凸条部42aの頂部上に形成されていてもよい。
その他の点は第1実施形態例と同様である。
波状凹凸パターン(1C)は、凸条部42aおよび凹条部42bによる波状凹凸パターン(1A)とその上にランダムに形成された多数の凸部43とからなり、波状凹凸パターン(1A)は、主拡散方向への拡散を主に担い、該波状凹凸パターン(1A)上に形成された凸部43は、該波状凹凸パターン(1A)による光拡散性の異方性を適度に弱め、低拡散方向の拡散角度を増加させる作用を奏する。
主拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば10°以上であることが好ましく、15°以上であることがより好ましい。また、たとえば50°以下であることが好ましく、40°以下であることがより好ましい。
低拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、主拡散方向の拡散角度よりも小さいことが望ましく、たとえば10°以下であることが好ましい。
なお、本実施形態例では、波状凹凸パターン(1A)上に凸部43が形成された態様が示されているが、凸部の代わりに凹部が形成されていてもよく、凹部も凸部と同じ作用を奏する。
凸条部42aの平均ピッチおよびアスペクト比の好ましい範囲、求め方等は、第1実施形態例で説明したとおりである。
波状凹凸パターン(1A)上に形成された凸部43の平均径は、1〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましく、4〜6μmがさらに好ましい。
凸部の平均径Dは、図8のような平面画像において、20個の凸部43を任意に選択し、波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aの配列方向に沿って、各凸部43の径(凸条部42aの配列方向に沿う最大長さ)を測定した各値を平均することで求められる。
平均径Dは、次の方法で求めることもできる。
すなわち、光学顕微鏡または電子顕微鏡により波状凹凸パターン形成面の上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(例えば、tiff形式等。)に変換し、次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換画像の画像解析により求める。この方法は、最頻径の求め方として、たとえば特開2014−206728号公報(特許第5660235号公報)に記載されており、これを参照できる。平均径と最頻径は、同等に扱うことができる。
波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aの平均ピッチ、凸部43の平均径をそれぞれ上記範囲内で調整することにより、主拡散方向および低拡散方向それぞれの拡散角度を適度に制御できる。
凸条部42aの平均高さは、3〜7μmが好ましく、4〜6μmがより好ましい。凸条部42aの平均高さが上記範囲であると、光拡散性が充分に得られる。
本実施形態例において、凸条部42aの平均高さは、以下のように測定、定義される。
まず、図9のような縦断面図を得て、凸部43が存在していない部分の凸条部42aの断面図から、該凸条部42aの高さHを求める。具体的には、凸条部42aの高さHは、該凸条部42aの頂部Tと該凸条部42aの一方側に位置する凹条部42bの底部B11との垂直距離をH1とし、該凸条部42aの頂部Tと該凸条部42aの他方側に位置する凹条部42bの底部B21との垂直距離をH2とした場合に、H=(H1+H2)/2で求められる。
このような計測を凸部43が存在していない凸条部42aの50箇所に対して行い、50のデータの平均値を「凸条部の平均高さ」と定義する。
一方、凸部43の平均高さは、0.5〜3μmが好ましく、より好ましくは1〜2μmである。凸部43の平均高さが上記範囲であると、波状凹凸パターンの光拡散性の異方性を適度に弱めることができ、主拡散方向および低拡散方向の両方の拡散角度を制御しやすい。
本実施形態例において、凸部43の平均高さは、以下のように測定、定義される。
まず、図9のような断面図を得て、波状の凹凸パターン(1A)に由来する形状と、凸部43に由来する形状とに波形分離する。なお、波形分離は、波状凹凸パターン(1A)に由来する形状をサインカーブとして行う。ついで、図9の断面図から、波状凹凸パターン(1A)に由来する形状を差し引き、図10に示すように、凸部43に由来する形状のみの断面図を得る。そして、図10の断面図において、凸部43の高さH’を、H’=(H1’+H2’)/2として求める。H1’は、図13の断面図において、凸部43の頂部T’と該凸部43の一方側のベースラインLαとの垂直距離であり、H2’は、凸部43の頂部T’と該凸部43の他方側のベースラインLβとの垂直距離である。
このような計測を50個の凸部43に対して行い、50のデータの平均値を「凸部の平均高さ」と定義する。
波状凹凸パターン形成面における凸部43の占有面積割合は、10〜70%が好ましく、より好ましくは20〜60%、さらに好ましくは30〜55%である。凸部43の占有面積割合が上記範囲であると、波状凹凸パターン(1A)の光拡散性の異方性を適度に弱めることができ、主拡散方向および低拡散方向の両方の拡散角度を上記範囲に制御しやすい。
波状凹凸パターン形成面における凸部43の占有面積割合γ(%)は、以下のように測定、定義される。
まず、図8のような光学顕微鏡画像を得て、視野全体の面積S2(例えば縦0.4〜1.6mm、横0.5〜2mm)中に認められる凸部43の個数nを数え、視野全体において、n個の凸部43によって占有されている面積S1=nrπを求める。占有面積割合γ(%)は以下の式により求められる。
γ(%)=S1×100/S2(ただし、式中のrは、凸部の平均径の1/2(すなわち半径)である。)
本実施形態例の表面微細凹凸シートにおいて、波状凹凸パターンの主拡散方向は、先に説明した方法により求めることができ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aの配列方向にほぼ平行な図9中A方向である。一方、主拡散方向に対して垂直な方向は、拡散角度の低い「低拡散方向」である。
主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aの平均ピッチ、平均高さ、凸部43の平均径、平均高さ、占有面積等を調整すること等により制御できる。
第4実施形態例の表面微細凹凸シートの好ましい厚み等は、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと同程度である。
第4実施形態例の表面微細凹凸シートは、概略、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと同様の製造方法で製造できる。
ただし、上述の工程(a1−1)において、硬質層を形成するために使用する硬質層形成用塗料として、硬質層を形成するための樹脂Mとともに粒子を含有する塗料を用いる点で異なる。粒子を用いることにより、凸部43を有する波状凹凸パターン(1A)を形成できる。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(1C)の形成には、特開2014−206728号公報(特許第5660235号公報)を参照できる。
加熱収縮性樹脂フィルムとしては、1軸延伸フィルムを用いる。その材質(樹脂L)、収縮率、樹脂Lのガラス転移温度、ヤング率等の好ましい態様および範囲は、第1実施形態例と同様である。
硬質層やその材質(樹脂M)、樹脂Mのガラス転移温度およびヤング率等も、第1実施形態例と同様である。
粒子を構成する材料には、樹脂Lのガラス転移温度Tgより10℃高い温度未満では、熱により粒子形状が変化しない材料の1種以上を用いることができる。
例えば、粒子を構成する材料が、ガラス転移温度を有する樹脂およびガラス転移温度を有する無機材料からなる群から選ばれる1種以上である場合、そのガラス転移温度Tgが、樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mと同様の条件を満たすこと、すなわち、(Tg−Tg)が10℃以上となるように選択されることが必要であり、(Tg−Tg)が20℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。(Tg−Tg1)が10℃以上であると、上述の加工温度において、粒子が変形した溶融したりしない。
粒子を構成する材料が、ガラス転移温度を有さない材料、例えば内部架橋型樹脂などである場合には、そのビカット軟化温度(JIS K7206に規定)が、上述の条件を満たすこと、すなわち、樹脂Lのガラス転移温度より10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましい。
本明細書において、ガラス転移温度Tgについての好ましい温度範囲などの記載は、粒子がガラス転移温度を有さず、ビカット軟化温度を有する材料からなる場合、そのビカット軟化温度にも該当するものとする。
さらに、粒子を構成する材料としては、ガラス転移温度、ビカット軟化温度が測定できないものであっても、加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂Lのガラス転移温度Tgより10℃高い温度未満において、熱により粒子形状が変化しない材料であれば、使用可能である。
Tgは、40〜400℃であることが好ましく、80〜250℃であることがより好ましい。Tgが40℃以上であれば、工程(a1−2)の温度を室温またはそれ以上にすることができて有用であり、Tgが400℃を超えるような粒子を使用することは、経済性の面から必要性に乏しい。
粒子を構成する樹脂としては、そのガラス転移温度Tg(またはビカット軟化点。)が上述の条件を満たすように、加熱収縮性樹脂フィルムの種類等に応じて選択され、例えば、アクリル系熱可塑性樹脂粒子、ポリスチレン系熱可塑性樹脂粒子、アクリル系架橋型樹脂粒子、ポリスチレン系架橋型樹脂粒子などが挙げられる。また、無機材料としては、ガラスビーズなどが挙げられる。
粒子の粒径dは、形成される硬質層の厚みtより大きいことが必要であり、硬質層の厚みtに応じて設定される。また、凸部43の平均径が、上述の好適な範囲となるように、適宜設定される。好ましい粒径dは、例えば、5〜10μmで、より好ましくは5〜8μmである。
工程(a1−1)においては、硬質層形成用塗料として、樹脂Mおよび粒子を含む塗料を使用し、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、厚みt’が0.05μmを超え、10μm以下である硬質層を形成する。この時点での硬質層は、折り畳むように変形していない。すなわち、厚みt’は変形前の硬質層の厚さである。
硬質層は、このように硬質層形成用塗料を加熱収縮性樹脂フィルムに直接塗工して設ける代わりに、あらかじめ作製した硬質層(樹脂M中に粒子が分散してなるフィルム)を加熱収縮性フィルムに積層する方法で設けてもよい。
樹脂Mおよび粒子を構成する樹脂としては、それぞれすでに例示したものを使用できるが、樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mと、粒子のガラス転移温度Tgとが、樹脂Lのガラス転移温度Tgよりも10℃以上高くなるように各材質を選択し、組み合わせることが重要である。このようにそれぞれの材質を選択したうえで、厚みt’が0.05μmを超え10μm以下である硬質層を加熱収縮性樹脂フィルムの片面に設けると、次の工程(a1−2)を経ることにより、凸条部42aの平均ピッチ、平均高さが上記範囲の波状凹凸パターン(1C)が形成されやすい。
本実施形態例において、硬質層形成用塗料中の樹脂Mの好ましい固形分濃度の範囲は、第1実施形態例と同様である。粒子の量は、樹脂Mの正味量100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましく、20〜30質量部であることがより好ましい。このような範囲であると、形成される凸部43の占有面積割合を上述の好適な範囲内に制御することができる。
なお、塗工する硬質層の厚みt’は、0.05μmを超え10μm以下の範囲内であれば、連続的に変化していても構わない。その場合、変形工程により形成される凸条部42aのピッチおよび深さが連続的に変化するようになる。硬質層の厚みt’は、次の工程(a1−2)を経てもほとんど変化せす、t’=tと考えることができる。
硬質層の厚さが薄いほど、また、硬質層のヤング率が低いほど、波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチが小さくなり、また、加熱収縮性樹脂フィルムの収縮率が高いほど、凸条部42aの高さが大きくなる。したがって、これらの条件を調整すれば、波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aのピッチおよび高さを所望の値に制御できる。
工程(a1−1)以外は、第1実施形態例と同様に行う。
〔第5実施形態例〕
図11は、第5実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である。第5実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面に形成されている波状凹凸パターンは、第1実施形態例と同様に、先に説明した波状凹凸パターン(1)に該当する。
第5実施形態例の表面微細凹凸シートにおける波状凹凸パターン(1D)は、上述の波状凹凸パターン(1A)に加えて、別の波状凹凸パターン(1−b)を有する。
図12(a)は、第5実施形態例の表面微細凹凸シート10Dについて、法線方向から観察した様子を示す模式的な平面図、図15(b)は、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、後述の波状凹凸パターン(1−b)の凸条部11cの配列方向に平行な側面を示す側面図、図12(c)は、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11dの配列方向に平行な側面の側面図である。
波状凹凸パターン(1A)における凸条部11dの配列方向と、波状凹凸パターン(1−b)における凸条部11cの配列方向とは、ほぼ直交し、これらの配列方向のなす角度は、波状凹凸パターンを平面視した場合において90±10°の範囲内である。
その他の点は第1実施形態例と同様である。
波状凹凸パターン(1D)は、凸条部11dと凸条部11cとが互いにほぼ直交(±10°の範囲内)しているパターン、すなわち、波状凹凸パターン(1A)と波状凹凸パターン(1−b)とが重畳したパターンであるため、光拡散性の異方性が弱められており、波状凹凸パターンの主拡散方向と低拡散方向とにおける拡散角度の差は小さい傾向にある。
波状凹凸パターン(1−b)は、波状凹凸パターン(1A)と同様に、以下の特徴を有する。
(a’)各凸条部11cが蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凸条部11cの稜線が蛇行し、隣接する凸条部11cの稜線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に稜線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の稜線が途中で枝分かれしたり、複数の稜線が途中で合一していてもよい。
(b’)各凹条部11eが蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凹条部11eの谷線が蛇行し、隣接する凹条部11eの谷線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に谷線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の谷線が途中で枝分かれしたり、複数の谷線が途中で合一していてもよい。
また、波状凹凸パターン(1−b)において、各凸条部11cの縦断面形状(表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部11cの配列方向に沿って切断される切断面における形状。)は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。
また、各凸条部11cの上記縦断面形状は、それぞれが基端側から先端側に向かって細くなる先細り形状であるとともに、先端が丸みを帯びている。なお、波状凹凸パターン(1−b)は、各凸条部11cの上記縦断面形状において、先端側と基端側を結ぶ線は、滑らかであり、先端側から基端側に向けて連続的に下降している。また、各凸条部11cは、上述の縦断面形状およびその面積のうちの少なくとも一方が、当該凸条部11cの延在方向(筋状に延びている方向)に沿って変化しており、一定でない。
また、各凸条部11cにおいて、稜線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
また、各凹条部11eにおいて、谷線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
波状凹凸パターン(1D)を構成している波状凹凸パターン(1A)の凸条部11dの平均ピッチおよびアスペクト比の求め方等は、第1実施形態例で説明したとおりであり、波状凹凸パターン(1−b)の凸条部11cについても同様である。波状凹凸パターン(1A)および(1−b)の平均ピッチおよびアスペクト比は、適宜調整できるが、波状凹凸パターン(1A)よりも波状凹凸パターン(1−b)の方が、小さいことが好ましい。
たとえば本実施形態例においては、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11dの平均ピッチは、5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましく、15〜30μmであることがさらに好ましい。平均ピッチが上記範囲の下限以上であると、表面微細凹凸シートを容易に製造できる。平均ピッチが上記範囲の上限値以下であると、表面微細凹凸シートを照明装置に使用した場合に、波状凹凸パターン(1A)が好ましくない輝線として視認されにくい。
一方、波状凹凸パターン(1−b)の凸条部11cの平均ピッチは、1〜25μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましく、5〜15μmであることがさらに好ましい。平均ピッチが上記範囲内であると、表面微細凹凸シート10Dを容易に製造できる。
波状凹凸パターン(1A)および(1−b)の各凸条部11c,11dのアスペクト比は、それぞれ、0.1〜1.0であることが好ましく、0.2〜0.8であることがより好ましく、0.3〜0.6であることがさらに好ましい。
波状凹凸パターン(1A)のアスペクト比が、上記範囲の下限値以上であると、波状凹凸パターン(1A)により視野角確保効果、輝度ムラ解消効果が充分に得られ、上記範囲の上限値以下であると、波状凹凸パターン(1A)を容易に形成できる。波状凹凸パターン(1−b)のアスペクト比が上記範囲内であると、光拡散性が損なわれない。
本実施形態例の表面微細凹凸シート10Dにおいて、波状凹凸パターンの主拡散方向は、先に説明した方法により求めることができる。
主拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば10°以上であることが好ましく、たとえば15°以上であることがより好ましい。また、たとえば40°以下であることが好ましく、たとえば30°以下であることがより好ましい。
一方、主拡散方向に対して垂直な方向は、拡散角度の低い「低拡散方向」である。
低拡散方向における光の拡散角度は、適宜調整できるが、主拡散方向の拡散角度よりも小さく、かつ、たとえば2°以上であることが好ましい。また、15°以下であることが好ましい。
主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、波状凹凸パターン(1A)および(1−b)それぞれの凸条部11c,11dの平均ピッチ、アスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)等を調整すること等により制御できる。
第5実施形態例の表面微細凹凸シート10Dの好ましい厚み等は、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと同程度である。
第5実施形態例の表面微細凹凸シート10Dは、概略、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと同様の製造方法で製造できる。
ただし、上述の工程(a1)のうちの工程(a1−1)のみ異なる。
すなわち、第1実施形態例の工程(a1−1)では、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、表面が平滑な硬質層を積層させるが、本実施形態例の製造方法における工程(a1−1)では、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、表面に波状凹凸パターン(1−b)が形成された硬質層を形成する。硬質層の形成には、未硬化の透明な電離放射線硬化性樹脂を用いる。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(1D)の形成には、特開2012−252149号公報(特許第5637074号公報)等を参照できる。
以下に本実施形態例における工程(a1−1)を説明する。
加熱収縮性樹脂フィルムとしては、1軸延伸フィルムを用いる。その材質(樹脂L)、収縮率、樹脂Lのガラス転移温度、ヤング率等の好ましい態様および範囲は、第1実施形態例と同様である。加熱収縮性樹脂フィルムとしては、透光性(透明)のものを用いる。
ついで、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター等のコーターで、未硬化の電離放射線硬化性樹脂のうちの1種以上を加熱収縮性樹脂フィルムの片面に塗工し、塗工層を形成する。そして、表面に波状凹凸パターン(1−b)の転写形状を有するスタンパを用意し、該スタンパを塗工層に押し当て、その状態のまま、加熱収縮性樹脂フィルム側から電離放射線を照射し、電離放射線硬化性樹脂を硬化させ、硬化層を形成する。その後、スタンパを剥離する。
この際、スタンパにおける凸条部の延在方向と、加熱収縮性樹脂フィルムの加熱収縮の方向とが一致するように、スタンパを押し当てる。
これにより、加熱収縮性フィルムの片面に、波状凹凸パターン(1−b)が形成された硬質層を有する積層フィルムが得られる。
未硬化の電離放射線硬化性樹脂としては、第1実施形態例の製造方法(B)で例示したものを好適に使用できるが、なかでも、硬化後のガラス転移温度が、加熱収縮性樹脂フィルムを構成している樹脂Lよりも10℃以上高く、また、ヤング率が0.01〜300GPa、好ましくは0.1〜10GPaの樹脂が好適である。
硬質層の厚さは、0.5μmを超え、20μm以下とすることが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
ガラス転移温度およびヤング率が上記の条件を満たし、かつ、硬質層の厚さが上記範囲内であれば、本実施形態例における波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチを上記範囲内に調整しやすい。硬質層の厚さが上記範囲の下限値未満であると、波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチが小さくなり過ぎる傾向にあり、上記範囲の上限値を超えると、加熱収縮性樹脂フィルムの収縮が阻害され、波状凹凸パターン(1A)が良好に形成されない傾向にある。
なお、電離放射線硬化性樹脂は溶媒等で希釈することが好ましい。また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を添加してもよい。また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性である場合には、未硬化の電離放射線硬化性樹脂にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を添加することが好ましい。
また、電離放射線硬化性樹脂の代わりに、例えば、未硬化のメラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を用いて転写を行ってもよく、転写できる限り、その具体的方法、転写する材料に制限はない。
熱硬化性樹脂を用いる場合には、例えば液状の未硬化の熱硬化性樹脂を塗布し、加熱により硬化させる方法が挙げられ、熱可塑性樹脂を用いる場合には、熱可塑性樹脂のシートを用い、転写対象の面に押し当てながら加熱して軟化させた後、冷却する方法が挙げられる。
工程(a1−1)の後、第1実施形態例と同様にして工程(a1−2)を行い、加熱収縮性フィルムを収縮させることにより、表面に、波状凹凸パターン(1D)が形成された凹凸パターン形成シートを得る。
ついで、第1実施形態例と同様にして工程(a1−3)を行い、波状凹凸パターン(1D)の転写形状が転写された原版(W)を得る。
硬質層の厚さが薄いほど、また、硬質層のヤング率が低いほど、波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチが小さくなり、また、加熱収縮性樹脂フィルムの収縮率が高いほど、凸条部11dの高さが大きくなる。したがって、これらの条件を調整すれば、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11dのピッチおよび高さを所望の値に制御できる。
なお、表面に波状凹凸パターン(1−b)の転写形状を有するスタンパは、第1実施形態例における工程(a1)と同様の手法で製造できる。また、たとえば特開2012−252149号公報(特許第5637074号公報)を参照できる。
<作用効果>
以上、各実施形態例を示して説明した本発明の表面微細凹凸シートは、反射型ディスプレイ用の拡散シートとして好適に使用できる。
図13および14は一般的な反射型ディスプレイの構成を示す側面図である。反射型ディスプレイは画面観察側から順に拡散シート100、表示パネル101、反射板102と配置されるような図13のタイプと、画面観察側から順に表示パネル101、拡散シート100、反射板102と配置されるような図14のタイプがある。
いずれのタイプも画面観察側から見た場合の拡散シートと反射板の順序は変わらないことから、以下の方法により、本発明の表面微細凹凸シートの反射型ディスプレイ用拡散シートとしての評価が可能である。
図15は、反射型ディスプレイ用拡散シートの評価ユニット60の側面図である。
図15に示すように、反射光正面照度を以下のように測定する。鏡面反射板200に接するように表面微細凹凸シート100が配置され、前記表面微細凹凸シートの鏡面反射板と接する面と反対側の面に測定用の光が光源301から入射される。入射光の角度を、Y軸およびZ軸を含む面内で変化させ、それぞれの入射角での表面微細凹凸シートの法線方向における反射光の照度すなわち反射光正面照度を検出器302にて測定する。
ここで、Y軸方向およびZ軸方向はそれぞれ、表面微細凹凸シートの主拡散方向および法線方向である。
図16は、上記反射型ディスプレイ用拡散シートの評価ユニット60を用いて、本発明の表面微細凹凸シートの入射角と反射光正面照度比の関係をプロットしたグラフである。
ここで、反射光正面照度比は以下A〜Fの手順にて測定する。
A.図15に示す評価ユニットの検出器302を図15の通りに配置する。
B.測定用の光源301を表面微細凹凸シート100の法線方向上で検出器302の配置している側と鏡面反射板200に対して反対側に配置する。
C.この時、「表面微細凹凸シート100と鏡面反射板200の界面」から測定用の光源301までの距離を、図15における測定用の光源301からの光の入射角を変化させる際の「表面微細凹凸シート100と鏡面反射板200の界面」から測定用の光源301までの距離と等しくなるように配置する。
D.表面微細凹凸シート100と鏡面反射板200を取り除く。
E.測定用の光を光源301から直接検出器302へ入射させ、測定した時の照度を100%とする。
F.先に説明したように測定した反射光正面照度と上記Eで得られた照度に対する比率(%)を反射光正面照度比とする。
なお、本評価ユニット60で反射光正面照度比測定に使用する鏡面反射板は、入射角50°における正反射光の反射率が56%である。なお、鏡面反射板は一般的には透明基材の表面にアルミニウム蒸着などの蒸着膜を形成することによって作成される。表面微細凹凸シートはこの蒸着膜の形成された面側に配置されることが好ましい。また、鏡面反射板の代わりに拡散反射板を使用することも可能である。
また、比較例として、図17には一般的な等方性拡散シートについて、図18には一般的なプリズムシートについて同様の測定を行った結果を示す。
ここで、一般的な等方性拡散シートとは、例えば樹脂基材表面に拡散粒子を塗工したシートであり、前記等方性拡散シート面内における拡散性はいずれの方向でも等しいようなシートであり、一般的なプリズムシートとは、例えば住友スリーエム社のBEFに代表されるような、断面が頂角90°の二等辺三角形となる単位プリズム構造が一方向に延在し、また、前記単位プリズム構造が前記一方向と直交する方向に配列するようなシートのことである。また、一般的なプリズムシートの用いて上記反射型ディスプレイ用拡散シートの評価ユニット60を用いた評価を行う場合、Y軸方向は前記単位プリズム構造の配列方向である。
図16〜18を比較検討すると、本発明の表面微細凹凸シートを使用した場合、入射角が大きくなっても反射光正面照度比が高いことがわかる。反射型ディスプレイは様々な角度から入射した外光を正面方向に反射させる効果が大きいほど正面での表示を明るくでき、好ましいことから、本発明の表面微細凹凸シートが反射型ディスプレイ用の拡散シートとして優れた特徴を有することがわかる。
また、ウェラブルデバイスや電子書籍などの反射型ディスプレイで、外部照明を光源として使用する場合等、斜め30〜40°から入射させた照明光の反射拡散光を利用することが多いため、入射角が40°の時の反射光正面照度比40°を各種拡散シートを使用して評価するパラメータとして使用することを検討した。その結果、前記反射光正面照度比40°が2%以上であれば、反射型ディスプレイ用拡散シートとして用いた場合、正面の明るさが十分になることがわかった。
ここで、上記測定には、ゴニオメータ(たとえば、型式:GENESIA Gonio/FFP、ジェネシア社製)が使用できる。
本発明の表面微細凹凸シートを反射型ディスプレイ用拡散シートとして用いた場合、正面への反射光が大きくなる理由として、以下(1)〜(3)の理由等を考察した。
(1)入射光がY軸(表面微細凹凸シートの主拡散方向)とZ軸(表面微細凹凸シートの法線方向)を含む面内の斜め(入射角)30〜40°から表面微細凹凸シートに入射する場合、主拡散方向の拡散効果により、正反射方向(30〜40°)以外の方向(正面方向も含まれる)にもある程度の量の光が出射される。
(2)主拡散方向と直交する低拡散方向の拡散性を抑えることで、不要な照度ダウンを抑制できる。
(3)表面の微細凹凸により光を拡散させることで、表面微細凹凸によるシート法線方向への光の立ち上げ効果(集光効果)がある。
また、表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面は鏡面反射板側であっても、鏡面反射板側と反対側であってもよいが、集光効果が得られやすいという観点から、鏡面反射板側と反対側にある場合の方が望ましい。
上記の考察より、主拡散方向の拡散角度と低拡散方向の拡散角度の差と反射光正面照度比に正の相関関係があると推定した。図19に示すように拡散角度の差(「拡散角度―拡散角度」)と反射光正面照度比40°との関係をプロットした。図から推定どおり正の相関関係があることが判る。図19から反射光正面照度比40°を好ましくは2%以上とする上で、「拡散角度―拡散角度」を20°以上とすることが望ましいということが明らかとなった。
特に図19中で、反射光正面照度比40°がより好ましくは3%以上となるようなサンプルは拡散角度―拡散角度が30°程度以上の値を示す。このようなより好ましいサンプルが得られやすいのは、先に説明した第1実施形態に属するものである。本発明者らの知見によれば、このように反射光正面照度比40°がより得られやすいのは実施形態として第1→第3→第4→第2→第5の順であった。なお、この順は大体の傾向としての順であり、個別の実施例では異なることもある。これは、反射光正面照度比40°は表面微細凹凸シートの表面に形成される波状凹凸パターンの集光効果が高いほうが大きくなる傾向があり、波状凹凸パターンの集光効果は、波状凹凸パターン同士の延在方向が平行であるほど高くなる傾向があることから、上記の順で波状凹凸パターン同士の配向の延在方向からのずれが大きくなり、集光効果が小さくなるため、と推定している。なお、完全な平行状態は虹ムラ等の要因となるため好ましくない。
以下、本発明について、実施例を例示して具体的に説明する。
(実施例1)
[波状凹凸パターンのニッケル2次原版]
下記塗工液(1)をポリエチレンテレフタレート一軸方向加熱収縮性フィルム(三菱樹脂株式会社製「LX-18S」、厚さ:40μm、ガラス転移温度Tg=75℃)の片面に、塗工乾燥後の硬質層の厚みt’が2μmになるようにバーコーター (メイヤーバー♯18)により塗工し、積層シートを得た。
塗工液(1):
アクリル樹脂A(ガラス転移温度Tg2M=110℃)をトルエンに加え、固形分濃度7質量%の塗工液(1)を得た。なお、上記アクリル樹脂Aは固形分濃度20質量%であるが、本例での質量比および濃度は、正味量(固形分量)で計算した値である。以下の例についても、正味量で計算している。
次いで、該積層シートを熱風式オーブンを用いて110℃で1分間加熱することにより、ポリエチレンテレフタレート一軸方向加熱収縮性フィルムを、加熱前の長さの40%に熱収縮させ(変形率として60%)、硬質層を折り畳むように変形させた。これにより、波状の凹凸パターンが層の表面に形成された波状凹凸パターンシート(原版)を得た。
形成された波状凹凸パターンの凸条部は、それぞれが略平行であるが蛇行して、不規則に形成されていた。
また、フーリエ変換画像の画像解析により求めた凸条部の平均ピッチは、17μmであり、平均高さは9μmであった。
次いで、得られた波状凹凸パターンシート(原版)の表面に、ニッケル電気鋳造法にて、ニッケルを500μmの厚さになるように堆積させた。ついで、堆積させたニッケルを波状凹凸パターンシート(原版)から剥離し、表面に波状凹凸パターンシートの波状凹凸の反転パターンが転写されたニッケル2次原版を得た。
[表面微細凹凸シート]
ついで、透明PET基材(東洋紡株式会社製「A4300」、厚さ:188μm)の片面に未硬化の紫外線硬化性樹脂B(ソニーケミカル社製)を厚さ20μmとなるように塗布し、塗布された紫外線硬化性樹脂Bに対して、ニッケル2次原版の上記反転パターンを有する面を押し当て、紫外線を照射して硬化させ、硬化後、ニッケル2次原版を剥離して、透明PET基材上に、紫外線硬化性樹脂の硬化物からなる表面層が形成され、該表面層の表面に、上記の波状凹凸パターンシート(原版)と同じ微細凹凸が形成された表面微細凹凸シートを得た。
(実施例2)
[表面微細凹凸シート]
波状凹凸パターンシート(原版)の代わりにルミニット社製LSD(タイプA)を原版として使用する以外は実施例1と同様にして、表面微細凹凸シートを得た。
(比較例1)
[表面微細凹凸シート]
波状凹凸パターンシート(原版)の代わりにルミニット社製LSD(タイプB)をを原版として使用する以外は実施例1と同様にして、表面微細凹凸シートを得た。
(比較例2)
[表面微細凹凸シート]
波状凹凸パターンシート(原版)の代わりに住友スリーエム社製BEFを原版として使用する以外は実施例1と同様にして、表面微細凹凸シートを得た。
(比較例3)
[表面微細凹凸シート]
表面微細凹凸シートとして市販の等方性拡散シートを使用した。
(評価)
上記の各例で得られた表面微細凹凸シートの主拡散方向および低拡散方向の拡散角度、ならびに「拡散角度―拡散角度」を表1に示す。
また、図18に記載の評価ユニット70を用いて測定した入射角40°における反射光正面照度比40°を表1に示す。
上記の各例で得られた表面微細凹凸シートを、図20に示す評価ユニット70に組み込み、以下のように評価を行った。
200mm×100mmの鏡面反射板200上に同サイズの表面微細凹凸シート100が、凹凸パターンが形成された面が鏡面反射板側と反対側の面になるように配置され、さらに表面微細凹凸シート100の鏡面反射板側と反対側に、黒文字が印刷された透明シート500(サイズは鏡面反射板および表面微細凹凸シートと同一)が配置された積層体に、Y軸およびZ軸を含む面内の斜め40°の方向から照明光401を照射する。照明光の強度は、透明シート表面に相当する位置での反射光を含まない状態での面内平均照度が100Lxとなるように調節した。透明シート500上の高さ300mmの位置402にて、目視にて、200mm×100のエリア全体の文字部と非文字部とのコントラストを評価した。その評価結果を表1に示す。
ここでY軸は表面微細凹凸シートの主拡散方向またはプリズム配列方向であり、表面微細凹凸シートの長手方向と平行であり、Z軸は表面微細凹凸シートの法線方向である。また、評価ユニット70による評価基準は下記とした。
文字が明瞭に認識できるほどの明るさが得られている場合:○
明るさが不十分で文字の認識が困難な場合:×
表1

実施例1および2の表面微細凹凸シートは「拡散角度―拡散角度」が20°以上であり、反射光正面照度比40°が2%以上となるため、反射型ディスプレイ用拡散シートとして使用した場合、十分な明るさが得られるが、比較例1〜3の表面微細凹凸シートは反射光正面照度比40°が2%より小さいため、ディスプレイ用拡散シートとして使用した場合、十分な明るさが得られない。
10A、10D、100:表面微細凹凸シート
11:波状凹凸パターン形成面
11a、11b、11c、11d、32a、33a、42a:凸条部
11e、32b、33b、42b:凹条部
43:凸部
60、70:評価ユニット
101:表示パネル
102:反射板
200:鏡面反射板
301:測定用の光
302:検出器
401:照明光
402:目視観察位置
500:黒文字が印刷された透明シート

Claims (3)

  1. 少なくとも反射板、一方の表面の少なくとも一部に不規則な波状凹凸パターンを有する表面微細凹凸シート、をその順で配置して備える多層体であって、該多層体の該表面微細凹凸シート側からの入射角40°での入射光の反射光正面照度比が2%以上であることを特徴とする多層体。
  2. 拡散角度―拡散角度が20°以上であることを特徴とする一方の表面の少なくとも一部に不規則な波状凹凸パターンを有する表面微細凹凸シート。
    「拡散角度―拡散角度」の定義:主拡散方向の拡散角度−低拡散方向の拡散角度
  3. 反射型ディスプレイ用の拡散シートとして使用される請求項2に記載の表面微細凹凸シート。
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