JP2002250806A - 透過型光散乱シートおよび液晶表示装置 - Google Patents

透過型光散乱シートおよび液晶表示装置

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JP2002250806A
JP2002250806A JP2001074988A JP2001074988A JP2002250806A JP 2002250806 A JP2002250806 A JP 2002250806A JP 2001074988 A JP2001074988 A JP 2001074988A JP 2001074988 A JP2001074988 A JP 2001074988A JP 2002250806 A JP2002250806 A JP 2002250806A
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light scattering
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透過散乱光に高い指向性および光拡散性を付
与し、反射型液晶表示装置の表示画面全体を明るく表示
する。 【解決手段】 反射型液晶表示装置は、液晶セル6の前
方に配設された偏光板1と、前記液晶セルの後方に配設
され、かつ入射光を反射する反射手段5と、反射手段よ
りも前方に配設され、かつ入射光を等方的に散乱する透
過型光散乱シート2とを備えている。光散乱シートは、
互いに屈折率が異なる複数のポリマーを含む混合液を透
明支持体に塗布し、溶媒を蒸発させるスピノーダル分解
法を利用して、液滴相構造を有する光散乱層を形成する
ことにより製造できる。光散乱層には、散乱角3〜40
°に散乱光強度の極大値を示す光散乱層と、低角側の角
度θa=2〜20°と広角側の角度θbとでそれぞれ散
乱光強度の極大値を示す光散乱層とが含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置(特
に反射型液晶表示装置)において、高輝度の画面を表示
するために有用な透過型光散乱シート(又はフィルム)
及びその製造方法並びに前記光散乱シートを用いた反射
型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置(LCD)は、パーソナル
コンピューター(パソコン)、ワードプロセッサ、液晶
テレビ、時計、電卓などの電気製品の表示部に幅広く利
用されている。液晶はそれ自体発光しないため、時計、
電卓などの低輝度用途を除き、裏面から液晶部を照明す
るためのバックライトが使用されている。
【0003】最近、インターネットなどの情報通信のイ
ンフラストラクチャーの整備、コンピュータと通信機器
の融合による情報のネットワーク化が進んでいる。ネッ
トワーク化により情報のアクセスは時間と場所の制約を
受けなくなる。このようなネットワークを効率的に利用
するため、現在、PDA(Personal Digital Assistanc
e )などの携帯情報端末が精力的に開発されている。ま
た、ノート型パーソナルコンピューター(パソコン)に
代えて、さらに薄型で軽量のモバイル型パソコンの開発
がすすめられている。
【0004】これらの携帯型情報通信機器は可搬性が求
められるため、バッテリ駆動時間の長時間化と、通信機
器の薄型化・小型化とを両立する必要がある。従って、
これら携帯型情報通信機器に用いるディスプレイには、
薄型・軽量であり、かつ低消費電力性であることが求め
られている。そこで、低消費電力性を達成するため、従
来のバックライトを用いる液晶表示装置に代えて、自然
光を利用して表示部を明るくするディスプレイとして反
射型液晶表示装置が有望視されている。さらには、今後
のマルチメディアの進歩に伴う情報の多様化に対応する
ため、大画面でカラー及び高画質表示(高精細表示)が
可能であるとともに、安価な反射型液晶表示装置が求め
られている。
【0005】反射型液晶表示装置を構成する反射型液晶
表示素子としては、TN型(Twisted Nematic型)やS
TN型(Super Twisted Nematic型)などの種々の素子
が知られているが、カラー表示と高精細表示には、偏光
板を利用するタイプ(1枚偏光板タイプ)が有利であ
る。例えば、液晶層をHAN(Hybrid Aligned Nemati
c)配向させたR−OCBモードは低電圧、広視野角、
高速応答、中間色調表示、高コントラストなどの点で優
れた特性を有している。
【0006】携帯機器の大画面化に伴って画面を均一に
しかも明るく表示させるためには、散乱機能は重要な要
素である。すなわち、反射型液晶表示装置では、画面に
明るさを付与するため、液晶層に入射する光(自然光、
外部光)を効率的に取り込み、反射板で光を反射し、視
認性を妨げない程度に反射光を散乱させ、全反射を防止
する必要がある。また、偏光板と光散乱シートとを組み
合わせると、さらに反射効率を向上できる。なお、前記
反射板としては、電極を反射板として機能させた光反射
性背面電極や、電極の支持基板の外側に配設した反射板
などが使用可能である。例えば、反射型液晶表示装置に
関し、特開昭63−228887号公報、日本印刷学会
主催のフォトファブリケーションシンポジウム’92に
おいて、液晶表示素子の基本技術や、表面凹凸の金属薄
膜を背面電極(下部電極)として用いることにより全反
射を防止し、表示面の視野角を拡大させた液晶表示装置
が紹介されている。
【0007】しかし、反射型液晶表示装置をカラー化す
る場合、偏光板に加えて、カラーフィルターを用いるた
め、カラー表示装置では、反射光のロスの割合が大き
く、前記拡散反射板(散乱板)方式では、表示画面に十
分な明るさを付与できない。特に、カラー表示装置で
は、散乱光を一定の方向に指向させる指向型散乱によ
り、高い輝度を付与することが重要である。しかし、散
乱反射板方式で指向性を高めるためには、反射板の凹凸
部の形状及び分布を精密に制御する必要があり、コスト
高となる。
【0008】また、反射光を散乱して高輝度性を付与す
るため、拡散反射板に代えて、透過型光散乱シートを用
いるた液晶表示装置も知られている。例えば、特公昭6
1−8430号公報にも、液晶セルのフロント側に形成
された偏光層の表面に、光散乱層を積層した液晶表示装
置が開示されている。また、透過型光散乱シートに指向
性を付与するため、ホログラムを利用して重合した樹脂
シートが知られている(1998年日本液晶学会講演会
要旨集)。しかし、上記ホログラムを利用した重合によ
り透過型光散乱シートに指向性を付与するためには、複
雑な製造方法を必要とし、コスト高となる。
【0009】一方、低コストの光散乱シートとして、プ
ラスチックビーズと透明樹脂とで構成され、海島構造を
有する粒子分散型シートなどが知られている。例えば、
特開平7−261171号公報には、液晶セル外に光散
乱層を形成した表示装置として、電極板の外側表面に偏
光フィルムを形成し、その偏光フィルムの表面に屈折率
が異なる二種以上の樹脂が相分離状態で分散した光散乱
層を形成した表示装置が開示されている。特開平7−2
7904号公報、特開平9−113902号公報には、
プラスチックビーズと透明樹脂とで構成された海島構造
を有する粒子散乱型シートを、バックライトと液晶セル
との間に形成した透過型液晶表示装置が提案されてい
る。特開平7−98452号公報には、液晶セル内に光
散乱層を形成した表示装置として、電極板の電極と基板
(電極支持基板)との間に分散微粒子を含有する透明樹
脂層(光散乱層)を形成した表示装置が開示されてい
る。
【0010】しかし、これらの海島構造のシートでは、
透明樹脂マトリックス中に樹脂ビーズがランダムに分散
しているため、原理的にはガウス分布に従って散乱光強
度が分布する。従って、散乱光に指向性を付与できず、
表示面の明るさを向上させることが困難である。特に、
粒子分散型シートでは、表示画面の大きな反射型液晶表
示装置において、反射板からの反射光の明るさを向上さ
せると、表示画面の周縁部を十分な明るさで表示でき
ず、逆に、画面全体にある程度の明るさを付与すると、
全体的に表示画面が暗くなり視認性が低下する。そのた
め、比較的表示面積の大きな反射型液晶表示装置、例え
ば、1.5インチ型以上の表示面積を有する反射型液晶
表示装置では、表示画面全体を明るく表示することが困
難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、透過散乱光に高い指向性および拡散性を付与できる
光散乱シート(又はフィルム)、およびこの光散乱シー
トを用いた液晶表示装置(特に反射型液晶表示装置)を
提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、画面全体を明るく表
示できる光散乱シート(又はフィルム)、およびこの光
散乱シートを用いた液晶表示装置(特に反射型液晶表示
装置)を提供することにある。
【0013】本発明のさらに他の目的は、表示面積が大
きくても、表示画面を明るくできる光散乱シート、およ
びこの光散乱シートを用いた液晶表示装置(特に反射型
液晶表示装置)を提供することにある。
【0014】本発明の別の目的は、カラー表示であって
も、高画質で鮮明かつ明るく表示可能な光散乱シート、
および液晶表示装置を提供することにある。
【0015】本発明のさらに別の目的は、高輝度で高精
細の表示が可能な光散乱シート、および液晶表示装置を
提供することにある。
【0016】本発明の別の目的は、前記光散乱シートを
簡便かつ低コストで製造できる方法を提供することにあ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討した結果、互いに屈折率が異な
る複数のポリマーを含む均一溶液から溶媒を蒸発させ、
適当な条件でスピノーダル分解させると、液滴相の平均
相間距離に一様又は二様の規則性を有する等方性の液滴
相構造(相分離構造)を簡便に形成でき、このような規
則性の相分離構造を有するシートを用いると、透過散乱
光に拡散性と1方向又は2方向への指向性を付与できる
ことを見いだし、本発明を完成した。
【0018】すなわち、本発明の透過型光散乱シート
は、互いに屈折率の異なる複数のポリマーで構成され、
かつ少なくとも液滴相構造を有する光散乱層で構成され
ている。この光散乱層は、入射光を等方的に透過散乱
(又は拡散)する。前記光散乱層は、1又は2つの特定
の散乱角で散乱光強度の極大値を示すという特有の光散
乱特性を有する。すなわち、前記光散乱層には、(1)
散乱角3〜40°に散乱光強度が極大値を有する光散乱
層、(2)2つの散乱角で散乱光強度の極大値を示す光
散乱層が含まれる。後者の光散乱層は、散乱角度域(す
なわち、散乱中心の両側の散乱角度域)において、2つ
の散乱角で、透過した散乱光強度の極大値(ピーク)を
示すという光散乱特性を有する。散乱光強度において極
大値を示す低角側の角度θaは、例えば、2〜20°程
度であってもよく、極大値を示す低角側の角度θaと極
大値を示す広角側の角度θbとの比θb/θaは、例え
ば、1.5〜10程度である。後者の光散乱層は、通
常、少なくとも液滴状又は海島状の相分離構造を有して
おり、この相分離構造の粒径分布において、分散相は平
均粒径の異なる2つのピークを有している。すなわち、
相分離構造は平均粒径の異なる分散相を有しており、分
散相の粒度分布において二様の規則性を備えている。
【0019】前記液滴相構造の液滴の平均直径は、0.
1〜20μm程度であってもよい。液滴相構造の液滴中
心間の平均距離は、0.5〜15μm程度であってもよ
く、液滴中心間の平均距離の標準偏差は、液滴中心の平
均距離の40%以下であってもよい。さらに、液滴相構
造の液滴の体積は、光散乱層全体の体積の30〜70%
程度であってもよい。前記光散乱シートの全光線透過率
は、70〜100%程度である。
【0020】前記光散乱層を構成する複数のポリマーの
屈折率の差は、例えば、0.01〜0.2程度である。
また、複数のポリマーは、例えば、スチレン系樹脂、
(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニ
ルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィ
ン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース
誘導体、ゴム又はエラストマーなどから選択できる。複
数のポリマーの少なくとも一成分は、例えば、セルロー
スエステル類(例えば、酢酸セルロース)であってもよ
い。複数のポリマーは、第1のポリマーと第2のポリマ
ーとで構成でき、第1のポリマーと第2のポリマーとの
割合は、前者/後者=10/90〜90/10(重量
比)程度であってもよい。
【0021】このような相分離構造を有する光散乱層
は、スピノーダル分解、例えば、複数のポリマーを含む
液相からの湿式スピノーダル分解により形成してもよ
い。湿式スピノーダル分解においては、非結晶性である
とともに共通溶媒に可溶な複数のポリマーを使用でき
る。
【0022】本発明の光散乱シートは、光散乱層単独で
構成されたシートであってもよく、透明支持体と、この
透明支持体の少なくとも一方の面に積層された光散乱層
とで構成された積層シートであってもよい。積層シート
において、透明支持体は、通常、実質的に光学的に等方
性である。
【0023】本発明の方法では、互いに屈折率が異なる
複数のポリマーを含む混合液から溶媒を蒸発させ、スピ
ノーダル分解により、少なくとも液滴相構造を有する前
記光散乱層(又は前記相分離構造)を形成することによ
り、光散乱シートを製造する。この方法では、前記混合
液を透明支持体に塗布し、混合液の溶媒を蒸発させ、前
記光散乱層又は相分離構造を形成してもよい。
【0024】本発明には、液晶が封入された液晶セル
と、この液晶セルの後方に配設され、かつ入射光を反射
するための反射手段と、この反射手段よりも前方に配設
された前記光散乱シートとを備えている反射型液晶表示
装置も含まれる。この装置において、液晶セルの前方に
偏光板を配設し、前記液晶セルと偏光板との間に前記光
散乱シートを配設してもよい。
【0025】なお、本明細書において「シート」とは、
厚さの如何を問わず二次元的構造物を意味し、フィルム
を含む意味に用いる。
【0026】
【発明の実施の形態】[透過型光散乱シート]透過型光
散乱シートを構成する光散乱層は、互いに屈折率の異な
る複数のポリマーで構成され通常の使用雰囲気(特に、
約10〜30℃程度の室温下)において、少なくとも液
滴相構造を有する相分離構造を形成している。前記光散
乱層は、入射光を実質的に等方的に散乱して透過させ、
かつ透過した散乱光に高い指向性と拡散性とを付与でき
る。特に、光散乱層は、透過した散乱光強度と散乱角と
の関係において特有の光散乱特性を示す相分離構造を形
成している。すなわち、光散乱層の相分離構造は、入射
光を等方的に散乱させて透過し、1又は2つの特定の散
乱角に、散乱光強度の極大値(ピーク)を示す。
【0027】光散乱性を高めるため、複数のポリマー
は、屈折率の差が、例えば、0.01〜0.2程度、好
ましくは0.1〜0.15程度となるように組み合わせ
て使用できる。屈折率の差が0.01未満では透過散乱
光の強度が低下し、屈折率の差が0.2より大きいと透
過散乱光に指向性を付与できない。
【0028】複数のポリマーは、例えば、スチレン系樹
脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、
ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン
系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボ
ネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹
脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂
(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフ
ェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合
体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、
セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類な
ど)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリ
メチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマ
ー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴ
ム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、
シリコーンゴムなど)などから適当に組み合わせて選択
できる。
【0029】スチレン系樹脂には、スチレン系単量体の
単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−α−メチ
ルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合
体など)、スチレン系単量体と他の重合性単量体((メ
タ)アクリル系単量体、無水マレイン酸、マレイミド系
単量体、ジエン類など)との共重合体などが含まれる。
スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−アク
リロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレンと(メ
タ)アクリル系単量体との共重合体[スチレン−メタク
リル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル
−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メ
タクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体な
ど]、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げら
れる。好ましいスチレン系樹脂には、ポリスチレン、ス
チレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[スチ
レン−メタクリル酸メチル共重合体などのスチレンとメ
タクリル酸メチルを主成分とする共重合体]、AS樹
脂、スチレン−ブタジエン共重合体などが含まれる。
【0030】(メタ)アクリル系樹脂としては、(メ
タ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)ア
クリル系単量体と共重合性単量体との共重合体が使用で
きる。(メタ)アクリル系単量体には、例えば、(メ
タ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブ
チル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル
酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルな
どの(メタ)アクリル酸C1-10アルキル;(メタ)アク
リル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレー
ト;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリ
レート;(メタ)アクリロニトリル;トリシクロデカン
などの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート
などが例示できる。共重合性単量体には、前記スチレン
系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、
マレイン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量
体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0031】(メタ)アクリル系樹脂としては、例え
ば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリ
ル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル
酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸
エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エ
ステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリ
ル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)など
が挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂として
は、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)
アクリル酸C1-6アルキル、特にメタクリル酸メチルを
主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100
重量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げら
れる。
【0032】ビニルエステル系樹脂としては、ビニルエ
ステル系単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、
ポリプロピオン酸ビニルなど)、ビニルエステル系単量
体と共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビ
ニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)又は
それらの誘導体が挙げられる。ビニルエステル系樹脂の
誘導体には、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル
アルコール共重合体、ポリビニルアセタール樹脂などが
含まれる。
【0033】ビニルエーテル系樹脂としては、ビニルメ
チルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピル
エーテル、ビニルt−ブチルエーテルなどのビニルC
1-10アルキルエーテルの単独又は共重合体、ビニルC
1-10アルキルエーテルと共重合性単量体との共重合体
(ビニルアルキルエーテル−無水マレイン酸共重合体な
ど)が挙げられる。
【0034】ハロゲン含有樹脂としては、ポリ塩化ビニ
ル、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重
合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共
重合体などが挙げられる。
【0035】オレフィン系樹脂には、例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレンなどのオレフィンの単独重合体、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアル
コール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合
体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体な
どの共重合体が挙げられる。脂環式オレフィン系樹脂と
しては、環状オレフィン(ノルボルネン、ジシクロペン
タジエンなど)の単独又は共重合体(例えば、立体的に
剛直なトリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有す
る重合体など)、前記環状オレフィンと共重合性単量体
との共重合体(エチレン−ノルボルネン共重合体、プロ
ピレン−ノルボルネン共重合体など)などが例示でき
る。脂環式オレフィン系樹脂は、例えば、商品名「アー
トン(ARTON)」、商品名「ゼオネックス(ZEONEX)」など
として入手できる。
【0036】ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノ
ール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族
ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカ
ーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれ
る。
【0037】ポリエステル系樹脂には、テレフタル酸な
どの芳香族ジカルボン酸を用いた芳香族ポリエステル
(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レートなどのポリC2-4アルキレンテレフタレートやポ
リC2-4アルキレンナフタレートなどのホモポリエステ
ル、C2-4アルキレンアリレート単位(C2-4アルキレン
テレフタレート及び/又はC2-4アルキレンナフタレー
ト単位)を主成分(例えば、50重量%以上)として含
むコポリエステルなど)が例示できる。コポリエステル
としては、ポリC2-4アルキレンアリレートの構成単位
のうち、C2-4アルキレングリコールの一部を、ポリオ
キシC2-4アルキレングリコール、C6-10アルキレング
リコール、脂環式ジオール(シクロヘキサンジメタノー
ル、水添ビスフェノールAなど)、芳香環を有するジオ
ール(フルオレノン側鎖を有する9,9−ビス(4−
(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、ビ
スフェノールA、ビスフェノールA−アルキレンオキサ
イド付加体など)などで置換したコポリエステル、芳香
族ジカルボン酸の一部を、フタル酸、イソフタル酸など
の非対称芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族
6-12ジカルボン酸などで置換したコポリエステルが含
まれる。ポリエステル系樹脂には、ポリアリレート系樹
脂、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪
族ポリエステル、ε−カプロラクトンなどのラクトンの
単独又は共重合体も含まれる。好ましいポリエステル系
樹脂は、通常、非結晶性コポリエステル(例えば、C
2-4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)など
のように非結晶性である。
【0038】ポリアミド系樹脂としては、ナイロン4
6、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイ
ロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族
ポリアミド、ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、アジピン酸など)とジアミン(例えば、ヘ
キサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン)とか
ら得られるポリアミドなどが挙げられる。ポリアミド系
樹脂には、ε−カプロラクタムなどのラクタムの単独又
は共重合体であってもよく、ホモポリアミドに限らずコ
ポリアミドであってもよい。
【0039】セルロース誘導体のうちセルロースエステ
ル類としては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロ
ースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセ
ルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セル
ロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネー
ト、セルロースアセテートブチレートなどのC1-6有機
酸エステルなど)、芳香族有機酸エステル(セルロース
フタレート、セルロースベンゾエートなどのC7-12芳香
族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類(例えば、
リン酸セルロース、硫酸セルロースなど)が例示でき、
酢酸・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エステルで
あってもよい。セルロース誘導体には、セルロースカー
バメート類(例えば、セルロースフェニルカーバメート
など)、セルロースエーテル類(例えば、シアノエチル
セルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロースなどのヒドロキシC2-4アルキルセ
ルロース;メチルセルロース、エチルセルロースなどの
1-6アルキルセルロース;カルボキシメチルセルロー
ス又はその塩、ベンジルセルロース、アセチルアルキル
セルロースなど)も含まれる。
【0040】好ましいポリマーには、例えば、スチレン
系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹
脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式
オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエス
テル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シ
リコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマーなどが含ま
れる。複数のポリマーとしては、通常、非結晶性であ
り、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーを溶解可能な共
通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は
製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン
系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系
樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(酢酸セ
ルロースなどのセルロースエステル類など)などが好ま
しい。
【0041】これらの複数のポリマーは適当に組み合わ
せて使用できる。例えば、複数のポリマーの組合せにお
いて、少なくとも1つのポリマーを、セルロース誘導
体、特にセルロースエステル類(例えば、セルロースジ
アセテート、セルローストリアセテート、セルロースア
セテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレ
ートなどのセルロースC2-4アルキルカルボン酸エステ
ル類)とし、他のポリマーと組み合わせてもよい。
【0042】ポリマーのガラス転移温度は、例えば、−
100℃〜250℃、好ましくは−50℃〜230℃、
さらに好ましくは0〜200℃程度(例えば、50〜1
80℃程度)の範囲から選択できる。なお、シートの強
度や剛性、耐候性の点から、構成ポリマーのうち少なく
とも1つのポリマーのガラス転移温度は、50℃以上
(例えば、70〜200℃程度)、好ましくは100℃
以上(例えば、100〜170℃程度)であるのが有利
である。また、シートの成形性の点から、構成ポリマー
のガラス転移温度は250℃以下(例えば、70〜20
0℃)、より好ましくは200℃以下(例えば、80〜
180℃)である。ポリマーの重量平均分子量は、例え
ば、1,000,000以下(10,000〜1,000,000程度)、好まし
くは10,000〜700,000程度の範囲から選択できる。
【0043】複数のポリマーは適当に組み合わせること
ができる。例えば、複数のポリマーを含む固相を加熱し
てスピノーダル分解する乾式相分離方法では、互いに部
分相溶性のポリマーを組み合わせることができるが、複
数のポリマーを含む液相から溶媒を蒸発させてスピノー
ダル分解する湿式法では、原理的には複数のポリマーの
相溶性の如何にかかわらず、実質的に等方性であり、か
つ規則的な相構造を有する光散乱層を形成できる。その
ため、湿式スピノーダル分解法において、複数のポリマ
ーの組み合わせは、ポリマーが互いに相溶性を示す組み
合わせであってもよく、非相溶性(相分離性)を示す組
み合わせであってもよい。通常、スピノーダル分解によ
り相分離構造を容易に制御し、効率よく規則的な相構造
を形成するため、非相溶性(相分離性)の複数のポリマ
ーを組み合わせる場合が多い。
【0044】複数のポリマーは、第1のポリマーと第2
のポリマーとの組み合わにより構成でき、第1のポリマ
ー及び第2のポリマーは、それぞれ単一の樹脂で構成し
てもよく複数の樹脂で構成してもよい。第1のポリマー
と第2のポリマーとの組み合わせは特に制限されない。
例えば、2種のポリマーを使用する場合を例にとって説
明すると、第1のポリマーがセルロース誘導体(例え
ば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロ
ピオネートなどのセルロースエステル類)である場合、
第2のポリマーは、スチレン系樹脂(ポリスチレン、ス
チレン−アクリロニトリル共重合体など)、(メタ)ア
クリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、ビニル
エステル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネ
ンを単量体とする重合体など)、ポリカーボネート系樹
脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2-4アルキレンア
リレート系コポリエステルなど)などであってもよい。
【0045】第1のポリマーと第2のポリマーとの割合
は、例えば、前者/後者=10/90〜90/10(重
量比)、好ましくは20/80〜80/20(重量
比)、さらに好ましくは30/70〜70/30(重量
比)程度の範囲から選択でき、特に40/60〜60/
40(重量比)程度が好ましい。なお、2つの散乱角で
散乱高強度の極大値を示す相分離構造を形成するために
は、第1のポリマーと第2のポリマーとの割合をコント
ロールするのが有利であり、両者の割合は、略等量程
度、例えば、第1のポリマー/第2のポリマー=60/
40〜40/60(重量比)、好ましくは55/45〜
45/55(重量比)程度である。一方のポリマーの割
合が多すぎると、相分離した相間の体積比が偏るため、
散乱光の強度が低下する。なお、3以上の複数のポリマ
ーでシートを形成する場合、各ポリマーの含有量は、通
常、1〜90重量%(例えば、1〜70重量%、好まし
くは5〜70重量%、さらに好ましくは10〜70重量
%)程度の範囲から選択できる。
【0046】本発明の透過型光散乱シートにおいて光散
乱層は、少なくとも液滴相構造を有している。液滴相構
造とは、球状、楕円回転体状などの独立相を有する海島
構造(独立又は孤立した相構造)である。本発明の光散
乱層は、少なくとも液滴相構造(液滴状又は海島状の相
分離構造)を有していればよく、液滴相構造のみでも、
例えば、液滴相構造と共連続相構造とが混在した構造を
有していてもよい。共連続相構造の形状は特に制限され
ず、ネットワーク状であってもよい。スピノーダル分解
において、相分離の進行に伴って共連続相構造が形成
し、さらに相分離が進行すると、連続相が自らの表面張
力により非連続化し、液滴相構造に変化する。このよう
な相形成過程で、相分離の進行を液滴同士が会合しない
程度に制御すれば、散乱光に指向性が付与できる。
【0047】前記相分離構造(液滴相構造)は、通常、
層又はシート面内において異方性が低減されており、実
質的に等方性である。なお、等方性とは、シート面内の
どの方向に対しても相分離構造のドメイン間距離(液滴
中心の平均距離)が実質的に等しいことを意味する。
【0048】光散乱層の液滴相構造は、液滴中心間の平
均距離(平均相間距離)に規則性を有する。そのため、
シートに入射した光はブラッグ反射により特定方向に散
乱光が指向する。従って、反射型液晶表示装置に装着し
ても、散乱光を一定の方向に指向させることができ(指
向型拡散)、表示画面を高度に明るくできるので、従来
の粒子分散型の透過型光散乱シートでは解決できなかっ
たパネルへの光源の映りの問題を回避できる。
【0049】液滴相構造において、液滴(ドメイン)の
平均粒径は、例えば、0.1〜20μm、好ましくは
0.5〜15μm、さらに好ましくは1〜15μm(特
に1〜10μm)程度である。また、液滴中心間の平均
距離(平均相間距離)は、0.5〜20μm(例えば、
1〜20μm)、好ましくは0.5〜15μm(例え
ば、1〜15μm)、さらに好ましくは1〜10μm程
度である。液滴の平均相間距離が小さいと、散乱光が広
角度になり、十分な散乱光強度が得られず、平均相間距
離が大きすぎると、散乱光の指向方向が直進光の方向と
ほぼ一致するため、光の拡散性が低下する。
【0050】なお、液滴相構造において、液滴相の割合
は、光散乱層全体に対して、20〜80体積%程度の範
囲から選択でき、通常、30〜70体積%(好ましくは
40〜60体積%)程度である。
【0051】光散乱層の相分離構造は、1の態様におい
て、(1)特定の散乱角に単一の極大値を有し、他の態
様において、(2)散乱角度域(すなわち、散乱中心の
両側の散乱角度域)において、2つの散乱角(低角側及
び広角側)で、散乱光強度の極大値(ピーク)を示す。
【0052】前者の光散乱層(1)は、散乱光強度分布
において、散乱角3〜40°(好ましくは5〜30゜、
さらに好ましくは10〜20゜)に強い極大分布を示
す。このような光散乱特性を有する光散乱層は、液滴中
心間の平均距離(平均相間距離)の標準偏差が、液滴中
心間の距離の40%以下(例えば、5〜40%、好まし
くは10〜30%)であり、通常、15〜30%程度で
ある。上記標準偏差が大きすぎると、液滴相間距離の分
布が広くなり、散乱光の特定方向への指向性が低下す
る。
【0053】後者の光散乱層(2)は、透過に伴って入
射光を実質的に等方的に散乱し、かつ2つの散乱角で散
乱光強度の極大値を示すという特色を有している。すな
わち、散乱光強度と散乱角との関係において、散乱光強
度の極大値が2つの散乱角で現れるという特色を有す
る。このような光学特性は、シートの片面からレーザー
光等の光を照射して透過散乱光をスクリーンに投影した
とき、透過散乱光が二重のリングとして視認されること
により確認できる。
【0054】2つの散乱角で、散乱光強度の極大値を示
す光散乱層(2)において、広角側の極大値は、低角側
の極大値に対してピーク状に分離していてもよく、散乱
光強度分布においてショルダー域又は平坦域を形成して
いる場合にも極大値を有するとみなすことができる。こ
のような光散乱特性は、相分離構造が、分散相のドメイ
ン間の平均距離が規則性を有するだけでなく、ドメイン
間の平均距離が二様の規則性を有するためであると思わ
れる。本発明では、このような特有の光散乱特性又は相
分離構造により、入射光を実質的に等方的に散乱して透
過させ、かつ透過した散乱光に高い指向性と拡散性とを
付与できる。
【0055】さらに、後者の光散乱層では、散乱光強度
の第1のピークが散乱角度θ(低角側の角度θa)=2
〜20°、特に2〜15°程度に認められ、散乱光強度
の第2のピークがさらに広角側で認められる。第2のピ
ークは、前記のように、散乱光強度分布において、ショ
ルダー状や平坦状であってもよい。さらに、散乱光強度
において、極大値を示す低角側の角度θaと広角側の角
度θbとの比θb/θaは、例えば、1.5〜10、好
ましくは2〜8程度である。
【0056】なお、低角側の角度θaで現れる散乱光強
度と広角側の角度θbで現れる散乱光強度との割合は、
前者/後者=100/1〜1/1、好ましくは10/1
〜2/1程度である。
【0057】さらに、前記光散乱層(2)は、複数のポ
リマーを含む液相(常温で液相、例えば、混合液又は溶
液)からの溶媒の蒸発を経たスピノーダル分解により形
成されており、この溶媒蒸発過程において、基板物質と
の親和性が構成ポリマー成分間で異なることに起因して
ドメイン間の平均距離に二様の規則性を有する相分離構
造が形成されるものと思われる。このような透過型光散
乱シートを用いると、入射光が実質的に等方的に散乱
し、かつ透過散乱光に高い指向性と拡散性を同時に付与
できる。
【0058】前記相分離構造の光散乱層(2)は、分散
相(ドメイン)の粒径分布において、平均粒径の異なる
2つのピークを有している。すなわち、粒度分布におい
て、大きさの異なる2種類の分布を有する液滴構造を有
している。また、前記相分離構造は、相間距離(同一相
間の距離)に規則性を有するようである。すなわち、相
分離構造において複数のポリマーは、2つの異なる平均
相間距離で規則的に相分離しているようである。なお、
平均粒径の大きな液滴相間の平均距離が低角側の散乱ピ
ークを与え、平均粒径の小さな液滴相間の平均距離が広
角側の散乱ピークを与えているようである。
【0059】サイズが大きな分散相(ドメイン)の平均
粒径は、例えば、3〜20μm、好ましくは5〜15μ
m、さらに好ましくは7〜15μm程度であってもよ
く、サイズの小さな分散相(ドメイン)の平均粒径は、
例えば、0.1〜5μm、好ましくは0.5〜4μm、
さらに好ましくは1〜3μm程度であってもよい。な
お、分散相(ドメイン)の平均粒径は、全体として、例
えば、0.1〜20μm、好ましくは1〜15μm、さ
らに好ましくは1〜10μm程度である。
【0060】また、サイズが大きな分散相(ドメイン)
の平均粒径と、サイズの小さな分散相(ドメイン)の平
均粒径との割合は、前者/後者=100/1〜1.5/
1、好ましくは50/1〜2/1、さらに好ましくは2
5/〜3/1(例えば、10/1〜3/1)程度であ
る。
【0061】また、平均粒径の大きな分散相(ドメイ
ン)の平均相間距離は、例えば、5〜20μm、好まし
くは7〜15μm(例えば、7〜12μm)程度であ
り、平均粒径の小さな分散相(ドメイン)の平均相間距
離は、例えば、0.5〜10μm、好ましくは1〜8μ
m(例えば、2〜8μm)程度である。なお、分散相
(液滴相又はドメイン)の平均相間距離は、全体とし
て、例えば、0.5〜20μm(例えば、1〜20μ
m)、好ましくは1〜15μm(例えば、1〜10μ
m)程度である。
【0062】なお、液滴(ドメイン)の中心位置は液滴
を均一な物体と見なして計算することができる。本発明
でいう液滴中心間の距離(相間距離)とは、隣接する液
滴(ドメイン)のお互いの中心位置間の距離である。な
お、液滴中心間の平均距離(平均相間距離)およびその
標準偏差は、光散乱層又は透過型光散乱シートの顕微鏡
写真(透過型顕微鏡、位相差顕微鏡、共焦点レーザー顕
微鏡など)の画像処理(例えば、東洋紡績株式会社製、
「Image Analyzer V10」)により測定し、算出すること
ができる。また、後述する散乱光の指向性の評価法と同
様の方法により、散乱光強度が極大になる散乱角度θを
測定し、下記のブラッグ反射条件の式より液滴の平均相
間距離dを算出してもよい。
【0063】2d・sin(θ/2)=λ (式中、dは液滴の平均相間距離を、θは散乱角度を、
λは光の波長を示す) 前記相分離構造(2)の生成機構は明確ではないが、例
えば、湿式スピノーダル分解を利用して、複数のポリマ
ーを含む溶液を基材に塗布し、溶媒を蒸発させて相分離
する場合、基材との親和性が複数の構成ポリマー成分間
で異なるためか、相分離構造のドメイン間の平均距離
に、2つの規則性(二様の規則性)が発現するものと推
測される。そのため、シートへの入射光は、ブラッグ反
射により、異なる平均相間距離に対応して2つ(複数)
の特定の角度に散乱光極大を示す。従って、反射型液晶
表示装置に装着しても、低角度側の散乱ピークにより散
乱光を一定の方向に指向させ(指向型拡散)、表示画面
を高度に明るくできる。そのため、従来の粒子分散型の
透過型光散乱シートでは解決できなかった問題点、すな
わち、パネルへの光源(例えば、蛍光灯など)の映りを
回避できる。しかも、高角度側の散乱ピークにより広範
囲にわたり光散乱できるため、表示画面を均一に明るく
表示できる。特に、大画面の反射型液晶表示装置であっ
ても、画面を均一に明るく表示できる。
【0064】本発明の透過型光散乱シートは、散乱光を
高度に指向化でき、かつ広い角度範囲に散乱光を拡散で
きる。散乱光の指向性は、例えば、図2に示すように、
酢酸ビニル系粘着剤9により偏光板11と光散乱シート
12とカラーフィルター18とが順次積層された積層シ
ート、ガラス板(厚さ1mm)13、及びアルミニウム
反射板15を積層した反射型LCDモデル装置を用いて
測定できる。このモデル装置において、偏光板11はフ
ロント側に位置し、アルミニウム反射板15は背面側に
位置する。すなわち、レーザー光照射装置(NIHON KAGA
KU ENG NEO-20MS)20により、この反射型LCDモデ
ル装置のフロント面に対して垂直方向にレーザー光を照
射することにより、散乱角度θ1での反射光の強度(散
乱光強度)を検出器21で検出し、反射光の強度分布
(散乱光の分布)を測定できる。
【0065】θ1=0゜を中心としてガウス分布を示す
光散乱シートに比べ、光散乱層(1)を備えた透過型光
散乱シートを用いると、散乱光は、指向方向(散乱角度
θ1=3〜40゜、好ましくは5〜30゜、さらに好ま
しくは10〜20°)に強い極大分布を示すとともに、
広い角度域まで散乱光を拡散できる。また、光散乱層
(2)を備えた透過型光散乱シートを用いると、散乱光
は、指向方向(散乱角度θ1=2〜40゜、好ましくは
2〜25゜、さらに好ましくは2〜20°)に強い極大
分布を示すとともに、広い角度域まで散乱光を拡散でき
る。
【0066】前記モデル装置を利用して、斜め方向から
の入射光による表示面の明るさは、例えば、図3に示す
装置を利用して評価できる。すなわち、レーザー光照射
装置(NIHON KAGAKU ENG NEO-20MS)20により、反射
型LCDモデル装置のフロント面に対して、角度θ2の
斜め方向からレーザー光を照射し、フロント面から垂直
方向に出射する反射光の強度を検出器21で検出するこ
とにより、斜め入射による反射光の強度を測定できる。
【0067】さらに、光散乱シートにおいて、光散乱強
度と散乱角度との関係は、図4(散乱光の強度の測定方
法を説明するための概略図)に示す装置を用いて測定で
きる。すなわち、光散乱シート12の背面に配設された
レーザー光照射器(NIHON KAGAKU ENG NEO-20MS)20
から、光散乱シート12に向けてレーザー光を照射す
る。レーザー光は、光散乱シート12で拡散されながら
透過し、光散乱シート12の正面から出射する。散乱角
θ3での透過散乱光の強度を検出器21で検出すること
により、散乱光の強度を測定できる。このような測定装
置としては、例えば、レーザー光散乱自動測定装置(日
本科学エンジニアリング(株)製)を利用できる。
【0068】光散乱シートの全光線透過率(透明度)
は、例えば、70〜100%程度、好ましくは80〜1
00%程度、さらに好ましくは90〜100%程度であ
る。なお、全光線透過率は、日本電色工業(株)製のヘ
イズメーター(NDH-300A)により測定できる。
【0069】なお、光散乱シートは、光散乱層単独で形
成してもよく、透明支持体(基材シート又はフィルム)
と、この透明支持体の少なくとも一方の面に積層された
光散乱層とで構成された積層シートであってもよい。支
持体との積層により、シート強度を高くすることができ
る。
【0070】透明支持体(基材シート)を構成する樹脂
としては、前記光散乱層と同様の樹脂が使用できる。好
ましい透明支持体を構成する樹脂としては、例えば、セ
ルロース誘導体(セルローストリアセテート(TA
C)、セルロースジアセテートなどのセルロースアセテ
ートなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフ
タレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(P
BT)、ポリアリレート系樹脂など)、ポリスルホン系
樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)
など)、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリエーテルケト
ン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K)など)、ポリカーボネート系樹脂(PC)、ポリオ
レフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンな
ど)、環状ポリオレフィン系樹脂(アートン(ARTON)、
ゼオネックス(ZEONEX)など)、ハロゲン含有樹脂(ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど)、(メタ)アク
リル系樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、ビ
ニルエステル又はビニルアルコール系樹脂(ポリビニル
アルコールなど)などが挙げられる。透明支持体は1軸
又は2軸延伸されていてもよいが、光学的に等方性であ
るのが好ましい。好ましい透明支持体は、低複屈折率の
支持シート又はフィルムである。光学的に等方性の透明
支持体には、未延伸シート又はフィルムが例示でき、例
えば、ポリエステル(PET,PBTなど)、セルロー
スエステル類、特にセルロースアセテート類(セルロー
スジアセテート、セルローストリアセテートなどのセル
ロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネー
ト、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース
アセテートC3-4アルキルカルボン酸エステル)などで
形成されたシート又はフィルムが例示できる。低複屈折
率であり、LCD用偏光板保護フィルムとして実績のあ
るセルローストリアセテートシート又はフィルムが好ま
しい。
【0071】光散乱層又は光散乱シートの厚さは、例え
ば、0.5〜300μm、好ましくは1〜100μm
(例えば、10〜100μm)、さらに好ましくは1〜
50μm(例えば、5〜50μm、特に10〜50μ
m)程度、特に1〜30μm(例えば、10〜30μ
m)程度であってもよい。シート厚みが薄すぎると、散
乱光の強度が低下し、シート厚みが大きすぎると、散乱
性が強くなりすぎ、指向性が低下する。また、反射型液
晶表示装置に適用した場合に、装置の厚みや重量が増加
するとともに、表示ボケが生じ、表示画面の精細性が低
下する。なお、ポリマーの屈折率の差が小さい場合、シ
ート厚みが大きい方が好ましく、反対に屈折率の差が大
きい場合、シート厚みが小さい方が好ましい。なお、光
散乱シートを透明支持体と光散乱層とで構成する場合、
光散乱層の厚みは、例えば、1〜100μm程度、好ま
しくは1〜50μm(例えば、5〜50μm)程度、さ
らに好ましくは1〜30μm(例えば、10〜30μ
m)程度であってもよく、通常、1〜5μm程度であっ
ても高い光散乱性が得られる。
【0072】なお、本発明の光散乱層又は光散乱シート
は、必要により、液晶表示装置を構成する部材(特に光
学的部材)、例えば、液晶画像をカラー化、高精細化す
るための偏光板や位相差板などの部材に積層してもよ
い。
【0073】なお、光散乱シートは、種々の添加剤、例
えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤
など)、可塑剤、着色剤(染料や顔料)、難燃剤、帯電
防止剤、界面活性剤などを含有していてもよい。また、
光散乱シートの表面には、必要により、種々のコーティ
ング層、例えば、帯電防止層、防曇層、離型層などを形
成してもよい。
【0074】[透過型光散乱シートの製造方法]本発明
の透過型光散乱シートは、種々のスピノーダル分解法、
例えば、互いに屈折率が異なる複数のポリマーで構成さ
れた樹脂組成物をシート成形し、スピノーダル分解によ
り誘起された相分離構造を固定化し、等方性の液滴相構
造を形成することにより製造できる。シート成形法は、
例えば、樹脂組成物の溶液(又はスラリー)を流延又は
コーティングするキャスティング法やコーティング法が
使用できる。この方法において、シート成形しながら同
時にスピノーダル分解させて等方性の液滴相構造を形成
してもよい。
【0075】スピノーダル分解により光散乱シートを製
造する方法としては、湿式スピノーダル分解法、すなわ
ち、互いに屈折率が異なる複数のポリマーを含む混合液
から溶媒を蒸発させ、スピノーダル分解により実質的に
等方性の相分離構造を形成する方法が挙げられる。前記
複数のポリマーを含む混合液は、通常、共通溶媒に溶解
させた溶液(特に均一溶液)として使用される。
【0076】なお、湿式スピノーダル分解法では、原理
的には構成ポリマーの相溶性の如何にかかわらず、前記
相分離構造を有する光散乱層を形成できる。従って、乾
式スピノーダル分解法を適用できないポリマー系、例え
ば、構成ポリマーの分解温度以下の温度での混練により
相溶性を示さない構成ポリマーに特に有効に適用でき
る。前記共通溶媒は、ポリマーの種類及び溶解性に応じ
て、各ポリマーを溶解可能な溶媒から選択でき、例え
ば、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノー
ル、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、脂肪族炭
化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロ
ヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレ
ンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロ
ロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ブチルなど)、エーテル類(ジオキサン、テト
ラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、セロソル
ブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セ
ロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスル
ホキシドなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミドなど)などが例示でき、溶媒は混合
溶媒であってもよい。
【0077】混合液中の溶質(ポリマー)の濃度は、相
分離が生じるポリマー濃度及び流延性やコーティング性
などを損なわない範囲で選択でき、例えば、1〜40重
量%、好ましくは2〜30重量%(例えば、2〜20重
量%)、さらに好ましくは3〜15重量%(例えば、5
〜15重量%)程度であり、通常、5〜25重量%程度
である。ポリマー濃度が高すぎると、相分離のコントロ
ールが困難となり、ポリマー濃度が低すぎると流延又は
コーティング性が低下しやすい。
【0078】前記混合液を流延又は塗布した後、溶媒の
沸点よりも低い温度(例えば、溶媒の沸点よりも1〜1
20℃、好ましくは5〜50℃、特に10〜50℃程度
低い温度)で溶媒を蒸発させることにより、複数のポリ
マーの相分離を誘起させてスピノーダル分解することが
できる。溶媒の蒸発は、通常、乾燥、例えば、溶媒の沸
点に応じて、30〜100℃、好ましくは40〜80℃
程度の温度で乾燥させることにより行うことができる。
【0079】スピノーダル分解により形成された相分離
構造は、固化又は構成ポリマーのガラス転移温度以下
(例えば、主たるポリマーのガラス転移温度以下)に冷
却することにより固定化できる。
【0080】このような方法では、溶媒の蒸発によるス
ピノーダル分解を利用するため、高温での熱処理が不要
であり、溶媒の除去・乾燥という簡単な操作で相分離構
造を形成できる。
【0081】この方法において、前記相分離構造の形成
には、例えば、複数のポリマーの組成比、溶媒の種類、
支持体との親和性などの多くの因子が関与するようであ
る。例えば、第1のポリマー(セルロースエステル類な
ど)と第2のポリマー(コポリエステルなど)との割合
を調整すると、前記混合物が適用される支持体に対する
親和性が、複数の構成ポリマー成分において異なるとと
もに多くの要因が関与するためか、前記特定の相分離構
造(例えば、前記2つの散乱角に散乱光強度の極大値を
示す光散乱層)が形成される。より具体的には、光散乱
層単独で形成された光散乱シートは、剥離性支持体に前
記混合液を流延し、混合液中の溶媒を蒸発させることに
より、スピノーダル分解させて相分離を誘起させ、前記
相分離構造を有する光散乱層を形成して固定化し、剥離
性支持体から光散乱層を剥離することにより得ることが
できる。また、前記透明支持体(透明基材シート)と光
散乱層とで構成された光散乱シートは、透明支持体に前
記混合液を塗布し、混合液中の溶媒を蒸発させることに
より、スピノーダル分解させて相分離を誘起させ、前記
相分離構造を形成して固定化する方法、接着などのラミ
ネート法を利用して、透明支持体(透明基材シート)に
前記光散乱層を積層する方法などにより得ることができ
る。
【0082】なお、透明支持体に前記混合液を塗布する
と、溶媒の種類によっては透明支持体が溶解又は膨潤す
る場合がある。例えば、トリアセチルセルロースフィル
ムに、複数の樹脂を含有する塗布液(均一溶液)を塗布
すると、溶媒の種類によって、トリアセチルセルロース
フィルムの塗布面が溶出・侵食若しくは膨潤する場合が
ある。このような場合、透明支持体(トリアセチルセル
ロースフィルムなど)の塗布面に予め耐溶剤性コーティ
ング剤を塗布し、光学的に等方性の耐溶剤性コーティン
グ層を形成するのが有用である。このようなコーティン
グ層は、例えば、耐溶剤性に優れた等方性高分子樹脂
[AS樹脂などのポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリビニルアルコ
ール系樹脂(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル
アルコール共重合体など)、シリコーン系樹脂などの熱
可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、架橋シリコーン系樹脂、
メラミン系樹脂など]、熱又は紫外線硬化型樹脂などの
硬化性樹脂、ハードコート剤、蒸着、スパッタリングな
どの真空製膜法や無機質材料を塗布して焼成する方法な
どで形成できる無機コート膜などを用いて形成できる。
なお、ハードコート剤としては、エポキシ系樹脂、アク
リル系樹脂、シリコーン系樹脂などの高分子樹脂や金属
酸化物、ガラス、セラミックスなどの無機物が挙げられ
る。好ましい耐溶剤性コーティング層には、コーターで
容易にコートできるポリビニルアルコール系樹脂(ポリ
ビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合
体など)によるコーティング層が挙げられる。
【0083】なお、複数のポリマーを含む混合液又は塗
布液を透明支持体に塗布する場合、透明支持体の種類に
応じて、透明支持体を溶解・侵食若しくは膨潤しない溶
媒を選択してもよい。例えば、透明支持体としてトリア
セチルセルロースフィルムを用いる場合、混合液又は塗
布液の溶媒として、例えば、テトラヒドロフラン、メチ
ルエチルケトンなどを用いると、フィルムの性質を損な
うことなく、光散乱層を形成できる。
【0084】[反射型液晶表示(LCD)装置]本発明
の透過型光散乱シートは、反射手段を備えた反射型液晶
表示装置、特に反射手段と偏向手段とを備えた反射型液
晶表示装置に適用できる。例えば、液晶表示装置は、1
つの偏光板を用いた偏光板1枚方式の反射型LCD装置
に限らず、異なる偏光性を有する2つの偏光板を用いた
偏光板2枚方式の反射型LCD装置であってもよい。偏
光板1枚方式の反射型LCD装置は、例えば、1枚の偏
光板と、種々のモード(ツイストネマチック液晶を用い
たモード、R−OCB(Optically Compensated Bend)
モード、平行配向モードなど)とを組み合わせた反射型
LCD装置であってもよい。
【0085】さらに、本発明の光散乱シートは、カイラ
ルネマチック液晶の波長選択反射特性を利用した反射型
LCD装置にも適用できる。
【0086】図1は反射型LCD装置の一例を示す概略
断面図である。このLCD装置は、一対の透明基板(ガ
ラス板、プラスチックなど)3a,3bの間に封入され
た液晶(液晶層など)4を備えた液晶セル6と、この液
晶セルを構成する透明基板3のうち一方の透明基板(背
面基板)3aに積層された反射手段(例えば、鏡面反射
板などの反射層)5と、カラー表示のためのカラー化手
段(カラーフィルターなど)8を介して、液晶セル6の
他方の透明基板(フロント基板)3bに積層された光散
乱シート2と、この光散乱シートに積層され、かつ前記
反射手段5により反射された反射光を偏向するための偏
光手段(偏光板などの偏向層)1とで構成されている。
前記一対の透明基板3a,3bの対向面には、透明電極
(図示せず)が形成されている。
【0087】このような反射型LCD装置において、観
察者側のフロント面7から入射した光(入射光)は光散
乱シートを透過して拡散され、反射手段5により反射さ
れ、反射光は光散乱シート2を透過して再度散乱され
る。特に、透過した散乱光は指向性を有している。その
ため、前記光散乱シート2を有する反射型LCD装置で
は、高い光散乱性で反射光を散乱できるとともに、反射
光の強度を所定の方向に指向させることができる。従っ
て、表示画面を明るくできるとともに、カラー表示であ
っても十分な明るさを確保でき、カラー表示タイプの反
射型LCD装置において鮮明なカラー画像を表示でき
る。
【0088】なお、液晶表示装置において、液晶セルの
後方に入射光を反射するための反射手段が配設され、こ
の反射手段よりも前方に光散乱シートが配設されている
限り、光散乱シートの配設位置は特には限定されない。
また、前記偏光板は光の光路(入射路及び反射路)に配
設されていればよく、偏光手段と光散乱シートとの配設
位置も特に制限されず、偏光手段の前方に光散乱シート
を配設してもよい。好ましい態様では、偏光手段により
表示面を明るくするため、液晶セルの前方に偏光板が配
設され、前記液晶セルと偏光板との間に光散乱シートが
配設されている。
【0089】反射手段は、アルミニウム蒸着膜などの薄
膜で形成することができ、透明基板、カラーフィルタ
ー、光散乱シート、偏光板は、粘着剤層などを利用して
積層してもよい。すなわち、本発明の光散乱シートは、
他の機能層(偏光板、位相差板、光反射板、透明導電層
など)と積層して使用してもよい。なお、反射型LCD
装置でモノクロ表示する場合、前記カラーフィルターは
必ずしも必要ではない。
【0090】また、TFT型の液晶表示素子の場合には
必ずしも必要ではないものの、STN(Super Twisted
Nematic)液晶表示装置では、位相差板を配設してもよ
い。位相差板は、適当な部位、例えば、フロント透明基
板と偏光板との間に配設してもよい。このような装置に
おいて、光散乱シートは偏光板と位相差板との間に配設
してもよく、フロント透明基板と位相差板との間に配設
してもよい。
【0091】本発明の光散乱シートを用いると、反射光
に高い散乱性と指向性を付与できるため、液晶表示画面
の視認性を向上できる。特に、面積の大きな液晶表示面
であっても、全体に亘り明るく表示できる。そのため、
反射型LCD装置は、例えば、パーソナルコンピュータ
ー(パソコン)、ワードプロセッサー、液晶テレビ、携
帯電話、時計、電卓などの電気製品の表示部に幅広く利
用できる。特に、携帯型情報機器の液晶表示装置に好適
に利用できる。
【0092】
【発明の効果】本発明では、光散乱層が特定の相分離構
造を有するため、透過散乱光に高い指向性を付与できる
だけでなく、光拡散性をも付与でき、画面全体を明るく
表示できる。そのため、表示面積が大きく、しかもカラ
ー表示装置であっても、表示画面を高度に明るくでき
る。従って、反射型液晶表示装置、特に携帯型情報機器
のカラー型液晶表示装置に好適に利用できる。さらに
は、カラー表示の反射型液晶表示装置であっても、高画
質で鮮明かつ明るく表示可能であり、高輝度で高精細の
表示が可能である。さらに、本発明の方法では、液相か
らのスピノーダル分解などを利用して、低コストで実質
的に等方性の相分離構造を有する透過型光散乱シートを
製造できる。
【0093】
【実施例】以下に、実施例に基づいて、本発明をより詳
細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0094】実施例1 酢酸セルロース(酢化度55.0%、重合度300;ダ
イセル化学工業(株)製、HDP)3重量部とポリメタ
クリル酸メチル(PMMA;三菱レイヨン製、BR8
0)3重量部とをアセトン94重量部に溶解した。この
溶液をワイヤーバー#40を用いてガラス板上に流延し
た後、30℃のオーブン内で3分間放置し、アセトンを
蒸発させてガラス板上に厚さ5μmのシート層を形成さ
せた。このシートをガラス板から剥離し、透過型光学顕
微鏡により観察したところ、シートは規則正しい液滴相
構造を有していた。
【0095】この透過型光学顕微鏡写真を、東洋紡績
(株)製「Image Analyzer V10」を用いて画像解析し
て、液滴の平均直径、液滴中心間の平均距離(平均相間
距離)を求めたところ、液滴相の平均相間距離は3.9
μmであり、その標準偏差は平均相間距離の20%であ
り、液滴の平均直径は2.8μmであった。また、液滴
部分のシートに占める割合は50体積%であった。さら
に、JIS K7105に準拠して、ヘーズメーター
(日本電色工業(株)製、NDH−300A)を用いて
シートの全光線透過率を測定したところ、90%であっ
た。
【0096】実施例2 酢酸セルロース(酢化度55.0%、重合度300;ダ
イセル化学工業(株)製、HDP)3重量部とポリメタ
クリル酸メチル(PMMA;三菱レイヨン製BR80)
3重量部とをアセトン94重量部に溶解した。透明支持
体として、トリアセチルセルロースフィルム(厚み50
μm)の表面にポリビニルアルコール(クラレ(株)
製、アルキル変性PVA MP203、けん化度88
%)をコーティングしたコートフィルムを用いた。溶液
を上記トリアセチルセルロースフィルムのコート面上に
流延した後、20℃のオーブン内で3分間放置し、アセ
トンを蒸発させて厚さ3μmのコーティング層(光散乱
層)を形成させた。この光散乱層を透過型光学顕微鏡に
より観察したところ、シートは規則正しい液滴相構造を
有し、液滴相の平均相間距離は4.3μmで、その標準
偏差は平均相間距離の24%であり、液滴の平均直径は
3.4μmであった。また、光散乱層に液滴部分がに占
める割合は50体積%であった。さらに、シートの全光
線透過率は91%であった。
【0097】実施例3 酢酸セルロース(酢化度54.6%、重合度180;ダ
イセル化学工業(株)製、VFY)3重量部とポリメタ
クリル酸メチル(PMMA;三菱レイヨン製、BR8
3)4重量部とをアセトン93重量部に溶解した。透明
支持体として、トリアセチルセルロースフィルム(厚み
50μm)に表面をポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、アルキル変性PVA MP203、けん化度
88%)でコーティングしたコートフィルムを用いた。
溶液を上記トリアセチルセルロースフィルムのコート面
上に流延した後、20℃のオーブン内で3分間放置し、
アセトンを蒸発させて厚さ2μmのコート層(光散乱
層)を形成させた。 この光散乱層を透過型光学顕微鏡
により観察したところ、シートは規則正しい液滴相構造
を有し、液滴相の平均相間距離は4.1μmであり、そ
の標準偏差は平均相間距離の19%であった。また、液
滴の平均直径は3.3μmであり、光散乱層に液滴の占
める割合は45%であった。また、シートの全光線透過
率は92%であった。
【0098】比較例1 セルローストリアセテート(ダイセル化学工業(株)
製、LT−105)70重量部を塩化メチレン/メタノ
ール混合溶媒(9/1;重量比)90重量部に溶解し
た。溶液に架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系
微粒子(積水化学工業(株)製、MBX−2)30重量
部を混合し、流延、キャストし、100μmのシートを
得た。得られたシート透過型光学顕微鏡により観察した
ところ、シートはランダムな液滴相構造を有していた。
液滴直径の平均値は3.0μmであった。また、シート
の全光線透過率は92%であった。
【0099】[散乱特性の評価] (1)光散乱シートの透過散乱特性:実施例1〜3及び
比較例1で得られた光散乱シートに対して、図4に示す
ように、垂直方向から光を入射させ、光散乱強度と散乱
角度との関係を、レーザー光散乱自動測定装置(日本科
学エンジニアリング(株)製)を用いて測定した。測定
結果を図5に示す。図5から明らかなように、ランダム
に液滴相構造が分布する比較例1のシートではガウス分
布型の散乱光強度を示すのに対して、実施例のシート
は、特定角度(実施例1では7°、実施例2では6°、
実施例3では8°)に散乱光が指向している。 (2)表示明るさ:実施例1〜3及び比較例1で得られ
た光散乱シートを用い、図3に示す反射型LCDモデル
装置を作製し、図3に示すように、フロント面に対して
斜め上方から入射角度(散乱角度θ2)でスポットライ
ト白色光を照射し、フロント面から垂直方向に出射する
反射光の強度を測定した。入射角度(散乱角度又は拡散
角度θ2)での垂直方向の反射光の強度を以下の基準に
従って評価した。結果を表1に示す。
【0100】 ◎:非常に明るい ○:明るい △:普通〜暗い
【0101】
【表1】
【0102】表1から明らかなように、実施例1〜3の
透過型光散乱シートは特定の散乱角度に対する反射光の
強度が強く、高い指向性を有していることがわかる。
【0103】実施例4 セルロースアセテートプロピオネート(アセチル化度=
2.5%、プロピル化度=46%、ポリスチレン換算数
平均分子量75000;イーストマン社製,CAP-482-2
0)2.5重量部と、コポリエステル(フルオレン変性
ポリエステル,OPET;鐘紡(株)製,OP7-40)2.
5重量部とをテトラヒドロフラン(THF)95重量部
に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#34を用いて
トリアセチルセルロースフィルム上に流延した後、60
℃のオーブン内で2分間放置し、THFを蒸発させて厚
さ約2μmのコート層を形成させた。透過型光学顕微鏡
により観察したところ、シートは、大きさの異なる2種
類の分散相が規則的な相間距離で分散した液滴状相分離
構造を有しており、大きな分散相(ドメイン)の平均粒
径は約10μm、サイズの小さな分散相(ドメイン)の
平均粒径は約1.5μm、平均粒径の大きな分散相(ド
メイン)の平均相間距離は約8〜10μm、平均粒径の
小さな分散相(ドメイン)の平均相間距離は約2〜6μ
mであった。図6に上記シートの光学顕微鏡写真を示
す。JIS K7105に準拠して、ヘーズメーター
(日本電色工業(株)製、NDH−300A)を用いて
シートの全光線透過率を測定したところ、93%であっ
た。
【0104】実施例5 セルロースアセテートプロピオネート(アセチル化度=
2.5%、プロピル化度=45%、ポリスチレン換算数
平均分子量75000;イーストマン社製,CAP-482-2
0)2.9重量部と、コポリエステル(フルオレン変性
ポリエステル,OPET;鐘紡(株)製、OP7-40)2.
1重量部とをTHF95重量部に溶解した。この溶液
を、ワイヤーバー#34を用いてトリアセチルセルロー
スフィルム上に流延した後、60℃のオーブン内で2分
間放置し、THFを蒸発させて厚さ約2μmのコート層
を形成させた。透過型光学顕微鏡により観察したとこ
ろ、シートは、実施例1と同様に、大きさの異なる2種
類の分散相が規則的な相間距離で分散した液滴状相分離
構造を有していた。また、全光線透過率を測定したとこ
ろ、92%であった。
【0105】実施例6 セルロースアセテートプロピオネート(アセチル化度=
2.5%、プロピル化度=45%、ポリスチレン換算数
平均分子量75000;イーストマン社製,CAP-482-2
0)3重量部と、コポリエステル(フルオレン変性ポリ
エステル,OPET;鐘紡(株)製、OP7-40)3重量部
とをTHF94重量部に溶解した。この溶液を、ワイヤ
ーバー#20を用いてトリアセチルセルロースフィルム
上に流延した後、60℃のオーブン内で2分間放置し、
THFを蒸発させて厚さ約2μmのコート層を形成させ
た。透過型光学顕微鏡により観察したところ、シート
は、実施例1と同様に、大きさの異なる2種類の分散相
が規則的な相間距離で分散した液滴状相分離構造を有し
ていた。また、全光線透過率を測定したところ、93%
であった。
【0106】比較例2 セルロースアセテート(ダイセル化学工業(株)製、L
T−105)75重量部を塩化メチレン/メタノール混
合溶媒(9/1;重量比)90重量部に溶解した。溶液
に架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系微粒子
(積水化学工業(株)製、MBX−2)25重量部を混
合し、流延、キャストし、厚み50μmのシートを得
た。得られたシート透過型光学顕微鏡により観察したと
ころ、シートはランダムな液滴相構造を有していた。液
滴直径の平均値は3.0μmであった。また、シートの
全光線透過率は92%であった。
【0107】比較例3 セルロースアセテート(ダイセル化学工業(株)製、L
T−105)70重量部を塩化メチレン/メタノール混
合溶媒(9/1;重量比)90重量部に溶解した。この
溶液に架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系微粒
子(積水化学工業(株)製、MBP−5)30重量部を
混合し、流延、キャストし、厚み50μmのシートを得
た。得られたシート透過型光学顕微鏡により観察したと
ころ、シートはランダムな液滴相構造を有していた。液
滴直径の平均値は5μmであった。また、シートの全光
線透過率は92%であった。
【0108】[散乱特性の評価] (1)光散乱シートの透過散乱特性:実施例4〜6及び
比較例2〜3で得られた光散乱シートに対して、図4に
示すように、垂直方向から光を入射させ、光散乱強度と
散乱角度との関係を、レーザー光散乱自動測定装置(日
本科学エンジニアリング(株)製)を用いて測定した。
【0109】測定結果を図7に示す。図7から明らかな
ように、ランダムに液滴相構造が分布する比較例2のシ
ートではガウス分布型の散乱光強度を示すのに対して、
実施例のシートは、特定の散乱角度(実施例1では3
°、実施例2では5°、実施例3では12°)に第1の
散乱光極大が認められ、かつより広角度側にショルダー
状の第2の散乱光極大がみられる。
【0110】図8に示すように、実施例5で得られた光
散乱シートに対して、垂直方向から光を入射し、透過し
た光散乱像をレンズ22で集光し、二次元検出器として
CCDカメラ24を装備したレーザー光散乱測定装置
(大塚電子(株)、DYNA−3000)を用いて観察
した。なお、透過直進光は、ダイレクトビームストッパ
ー23によって遮断されている。
【0111】測定結果を図9に示す。図9から明らかな
ように、低角度域に強いリング状の散乱光が現れている
ことに加えて、広角度域にもリング状散乱光が出現して
おり、散乱光強度分布において、2つの極大を有してい
ることがわかる。
【0112】(2)表示明るさ:実施例4〜6及び比較
例2〜3で得られた光散乱シートを用い、図3に示す反
射型LCDモデル装置を作製し、図3に示すように、フ
ロント面に対して斜め上方から入射角度(散乱角度θ
2)でスポットライト白色光を照射し、フロント面から
垂直方向に出射する反射光の強度を測定した。入射角度
(散乱角度θ2)での垂直方向の反射光の強度を以下の
基準に従って評価した。結果を表2に示す。
【0113】 ◎:非常に明るい ○:明るい △:普通〜暗い
【0114】
【表2】
【0115】表2から明らかなように、実施例4〜6の
透過型光散乱シートは、特定の散乱角度における反射光
の強度が強く、高い指向性を有し、しかも広い角度に亘
り表示面を明るくできることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の液晶表示装置の一例を示す概略
断面図である。
【図2】図2は光散乱シートの指向性の評価方法を説明
するための概略図である。
【図3】図3は斜め入射による反射光強度の測定方法を
説明するための概略図である。
【図4】図4は光散乱シートでの透過散乱光の強度の測
定方法を説明するための概略図である。
【図5】図5は実施例1〜3及び比較例1における光拡
散強度と散乱角度(2〜20°)との関係を示すグラフ
である。
【図6】図6は実施例4で得られたシートの光学顕微鏡
写真である。
【図7】図7は実施例4〜6及び比較例2〜3における
光拡散強度と散乱角度の関係を示すグラフである。
【図8】図8は実施例5で得られた光散乱シートの光散
乱特性の測定方法を説明するための概略図である。
【図9】図9は実施例5で得られた光散乱シートの光散
乱像を示す映像写真である。
【符号の説明】
1…偏光板 2…光散乱シート 5…反射板 6…液晶セル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中塚 修志 兵庫県姫路市網干区余子浜79−11−306 Fターム(参考) 2H042 BA01 BA14 BA15 BA20 2H091 FA19X FA31X LA16 4F006 AA02 AB03 AB05 AB16 AB17 AB18 AB23 AB24 AB35 AB38 AB39 BA00 BA14 CA08 DA04

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに屈折率の異なる複数のポリマーで
    構成され、かつ少なくとも液滴相構造を有する光散乱層
    で構成されている透過型光散乱シート。
  2. 【請求項2】 入射光が等方的に拡散し、かつ散乱角3
    〜40°に散乱光強度が極大値を有する請求項1記載の
    透過型光散乱シート。
  3. 【請求項3】 液滴相構造の液滴の平均直径が0.1〜
    20μmである請求項1記載の透過型光散乱シート。
  4. 【請求項4】 液滴相構造において、液滴中心間の平均
    距離が0.5〜15μmであり、かつ液滴中心間の平均
    距離の標準偏差が、液滴中心間の平均距離の40%以下
    である請求項1記載の透過型光散乱シート。
  5. 【請求項5】 液滴相構造の液滴の割合が、光散乱層全
    体に対して、30〜70体積%である請求項1記載の透
    過型光散乱シート。
  6. 【請求項6】 入射光を等方的に散乱する光散乱層で構
    成された光散乱シートであって、前記光散乱層が、2つ
    の散乱角で散乱光強度の極大値を示す請求項1記載の透
    過型光散乱シート。
  7. 【請求項7】 散乱光強度において極大値を示す低角側
    の角度θaが2〜20°である請求項6記載の光散乱シ
    ート。
  8. 【請求項8】 散乱光強度において、極大値を示す低角
    側の角度θaと極大値を示す広角側の角度θbとの比θ
    b/θaが、1.5〜10である請求項6記載の光散乱
    シート。
  9. 【請求項9】 光散乱層が、少なくとも液滴状又は海島
    状の相分離構造を有しており、この相分離構造の分散相
    の粒径分布において、平均粒径の異なる2つのピークを
    有する請求項6記載の光散乱シート。
  10. 【請求項10】 全光線透過率が70〜100%である
    請求項1記載の光散乱シート。
  11. 【請求項11】 複数のポリマーの屈折率の差が0.0
    1〜0.2である請求項1記載の透過型光散乱シート。
  12. 【請求項12】 複数のポリマーが、スチレン系樹脂、
    (メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニ
    ルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィ
    ン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹
    脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース
    誘導体、ゴム又はエラストマーから選択された第1のポ
    リマーと第2のポリマーとで構成されており、第1のポ
    リマーと第2のポリマーとの割合が、前者/後者=10
    /90〜90/10(重量比)である請求項1記載の光
    散乱シート。
  13. 【請求項13】 複数のポリマーのうち、少なくとも1
    つのポリマーがセルロースエステル類である請求項1記
    載の光散乱シート。
  14. 【請求項14】 複数のポリマーのうち、少なくとも1
    つのポリマーが酢酸セルロースである請求項1記載の透
    過型光散乱シート。
  15. 【請求項15】 屈折率が互いに異なる複数のポリマー
    で構成された相分離構造を有しており、この相分離構造
    が、複数のポリマーを含む液相からのスピノーダル分解
    により形成されている請求項1記載の光散乱シート。
  16. 【請求項16】 透明支持体と、この透明支持体の少な
    くとも一方の面に積層された光散乱層とで構成されてい
    る請求項1記載の光散乱シート。
  17. 【請求項17】 透明支持体が光学的に等方性である請
    求項16記載の光散乱シート。
  18. 【請求項18】 透明支持体が、セルロースアセテート
    フィルムである請求項16記載の光散乱シート。
  19. 【請求項19】 互いに屈折率が異なる複数のポリマー
    を含む混合液から溶媒を蒸発させ、スピノーダル分解に
    より、少なくとも液滴相構造を有する光散乱層を形成す
    る光散乱シートの製造方法。
  20. 【請求項20】 混合液を透明支持体に塗布し、混合液
    の溶媒を蒸発させ、相分離構造を形成する請求項19記
    載の光散乱シートの製造方法。
  21. 【請求項21】 互いに屈折率の異なる複数のポリマー
    を均一に溶解した溶液を、耐溶剤性コーティング層でコ
    ートしたセルロースアセテートフィルム上に塗布し、該
    ポリマー溶液の溶媒蒸発過程において、スピノーダル分
    解により液滴相構造を形成する請求項19記載の透過型
    光散乱シートの製造方法。
  22. 【請求項22】 液晶が封入された液晶セルと、この液
    晶セルの後方に配設され、かつ入射光を反射するための
    反射手段と、この反射手段よりも前方に配設された請求
    項1記載の光散乱シートとを備えている反射型液晶表示
    装置。
  23. 【請求項23】 液晶セルの前方に偏光板が配設され、
    前記液晶セルと偏光板との間に請求項1記載の光散乱シ
    ートが配設されている請求項22記載の反射型液晶表示
    装置。
  24. 【請求項24】 液晶が封入された液晶セルと、この液
    晶セルの一方の面に配設され、かつ入射光を反射するた
    めの反射手段と、液晶セルの他方の面に配設され、かつ
    反射光を偏光するための偏光手段と、この偏光手段と液
    晶セルとの間に配設された請求項1記載の透過型光散乱
    シートとを備えている請求項22記載の反射型液晶表示
    装置。
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