JP2017077665A - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】明瞭なコントラストを持つ画像の印字・消去が繰り返し可能で、光に長時間曝されても地肌の変色を抑えることができ、印字部を消去した際の消え残りが小さい耐光性に優れた可逆性感熱記録材料を提供することである。
【解決手段】支持体上に、通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度及び/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成させる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録層と、該可逆性感熱記録層上に紫外線吸収構造を持つポリマー含有層を設けることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱エネルギーを制御することにより色調が可逆的に変化する可逆性感熱記録材料に関わるものである。
近年、一時的な画像の形成が行え、不要となった時にはその画像の消去ができるようにした可逆性感熱記録材料が注目されている。可逆性感熱記録材料としては、通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱によりこの染料前駆体を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆性を有する顕色剤(以下、可逆性顕色剤ともいう)を用いた感熱記録材料、塩化ビニル−酢酸ビニル等の樹脂中に高級脂肪酸等の有機低分子物質を分散した感熱記録材料、屈折率の異なるポリマーを2種以上混合した感熱記録材料等が知られている。特に、染料前駆体と可逆性顕色剤とから構成される可逆性感熱記録材料は、高コントラストで高感度な記録画像の形成と消去が多数回に渡って可能であり、ICカードや磁気カード等の媒体において、カード内の情報を可視化する目的で広く使われるようになってきた。
通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱によりこの染料前駆体を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆性顕色剤を用いた可逆性感熱記録材料として、長鎖脂肪族炭化水素基を持つ特定フェノール化合物を可逆性顕色剤として用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような材料を用いた可逆性感熱記録材料では、発色と消色のコントラストが高く、発色状態と消色状態を常温において安定的に保持することが可能である(例えば、特許文献2及び3参照)。
前記可逆性感熱記録材料の発色剤として用いられる染料前駆体は、光が長時間照射されると劣化が進行して、発色と消色を繰り返す可逆性感熱記録材料の特性が低下してしまうという問題がある。つまり、太陽や蛍光灯などの光に含まれる紫外線領域の光が染料前駆体に当たることで染料前駆体自身の分解が進み、未反応の染料前駆体は無色から茶褐色に変色してしまい、一方、顕色剤と反応して発色している染料前駆体は消去を行った時に着色が薄く残り、消し残り画像となって残ってしまう、という問題がある。
これらの問題に対して、感熱記録材料の上部に設けた層の中に紫外線吸収剤を添加し、紫外線が感熱層へ直接届かなくする方法が考えられている。例えば、特許文献4には、感熱記録層上に低分子の紫外線吸収剤を含有する透明樹脂層よりなる非可逆性感熱記録材料が提案されている。しかし、この技術を可逆性感熱記録材料に適用すると消去と印字を繰り返していくうちに、紫外線吸収剤が感熱層内に入り込み発消色機能を低下させてしまう。また、層内に紫外線吸収剤が留まらず表面にブリードアウトしてしまい、紫外線吸収効果が低下したり、サーマルヘッドを汚染してしまうという問題がある。
そこで、可逆性感熱記録材料の中間層又は保護層に紫外線遮蔽効果のあるサイズの小さい無機顔料を添加して顔料自身の紫外線吸収能と制御された粒子サイズによる紫外線散乱能によって紫外線を感熱層まで届かなくする方法が提案されている(特許文献5参照)。これらの無機顔料は大なり小なり光触媒作用を有しているため、それによる染料前駆体やバインダー樹脂成分の劣化、微量に溶け出した染料前駆体を発色させるといった問題が発生する。そのため、紫外線遮蔽性を犠牲にしても、顔料自身の活性を考慮して比較的粒径の大きい顔料が適用される傾向にあるが、用途によってはさらなる耐光性が要求されている。
また、紫外線吸収構造を持つポリマー(以下、「紫外線吸収ポリマー」と称することもある)や架橋状態にある紫外線吸収構造を持つポリマーを感熱層の上部の層に添加する方法も提案されている(特許文献6、特許文献7及び特許文献8参照)。しかし、これらの特許文献に記載された紫外線吸収ポリマーであるベンゾトリアゾール系共重合体の紫外線吸収波長領域は300nm〜360nm付近を中心とした比較的短い波長領域に存在し、波長400nm付近の吸収性能が低いため、紫外線波長領域である300nm〜400nmを吸収するには不十分である。
しかし、可逆性感熱記録材料に要求される耐光性レベルは先に述べたように多岐にわたってきており、現状のレベルではまだ不完全である。つまり、紫外線の遮蔽効果は高まったが、今まで以上に長時間光に曝されることで可逆性感熱記録材料の劣化は進み、発色していない部分の着色が進んでしまうという問題がある。
特許第3380277号公報 特許第3113479号公報 特許第3678932号公報 特開昭62−48585号公報 特開平10−100541号公報 特開平9−207437号公報 特開2002−187362号公報 特開2002−337456号公報
本発明の課題は、明瞭なコントラストを持つ画像の印字・消去が繰り返し可能で、光に長時間曝されても地肌の変色を抑えることができ、印字部を消去した際の消え残りが小さい耐光性に優れた可逆性感熱記録材料を提供することである。
本発明に係る課題は、支持体上に、通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度及び/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成させる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録層を設けた可逆性感熱記録材料において、該可逆性感熱記録層上に紫外線吸収構造を持つポリマー含有層を設けた可逆性感熱記録材料により解決される。すなわち、本発明は以下の(I)〜(II)からなる。
(I)支持体上に、通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度及び/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成させる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録層と、該可逆性感熱記録層上に紫外線吸収構造を持つポリマー含有層を設けた可逆性感熱記録材料において、該紫外線吸収構造を持つポリマーが一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系単量体を含む単量体組成物を共重合したベンゾトリアゾール系共重合体であることを特徴とする可逆性感熱記録材料である。
Figure 2017077665
一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Rは炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。Rは水素原子あるいは炭素数1〜18の炭化水素基を表す。
(II)前記単量体組成物が、更に一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系単量体を含むベンゾトリアゾール系共重合体である前記(I)に記載の可逆性感熱記録材料である。
Figure 2017077665
一般式(2)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Rは炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。Rは水素原子あるいは炭素数1〜18の炭化水素基を表す。Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す。
本発明により、明瞭なコントラストを持つ画像の印字・消去が繰り返し可能で、光に長時間曝されても地肌の変色を抑えることができ、印字部を消去した際の消え残りが小さい耐光性に優れた可逆性感熱記録材料を提供することができる。
以下に、本発明の可逆性感熱記録材料について詳細に説明する。本発明の可逆性感熱記録材料は、支持体上に、通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度及び/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成させる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録層と、該可逆性感熱記録層上に紫外線吸収構造を持つポリマー含有層を設けた可逆性感熱記録材料において、該紫外線吸収構造を持つポリマーが一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系単量体を含む単量体組成物を共重合したベンゾトリアゾール系共重合体であることを特徴とする。
Figure 2017077665
一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Rは炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。Rは水素原子あるいは炭素数1〜18の炭化水素基を表す。
前記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系単量体は、ベンゾトリアゾール環の2位の窒素原子にレゾルシノールを結合させた化合物からの誘導体であり、ベンゾトリアゾール環のベンゼン部位に重合性二重結合を導入した分子構造を有する。最大吸収波長λmaxは350nm以上であり、300〜400nmを包括する広い範囲の紫外線吸収スペクトルを有し、400nm付近の長波長領域まで紫外線吸収能力を有する。
したがって、本発明の可逆性感熱記録材料に紫外線吸収構造を持つポリマー含有層を設けることで、太陽光や蛍光灯などの放射光に含まれる300〜400nmの広範囲な波長領域、特に積算エネルギーの高い波長領域330〜400nmの紫外線吸収性能に優れる。
前記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系単量体としては特に制限されるものではないが、具体的な物質名としては、2−[2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート、2−[2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルアクリレート、2−[2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート、2−[2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルアクリレート、2−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート、2−[2−(4−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート、2−[2−(4−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルアクリレート、4−[2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルメタクリレート、4−[2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルアクリレート、4−[2−(4−エトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルメタクリレート、4−[2−(4−エトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルアクリレート、4−[2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルメタクリレート、4−[2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルアクリレート、4−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルメタクリレート、4−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルアクリレート、4−[2−(4−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルメタクリレート、4−[2−(4−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]ブチルアクリレート等を挙げることができる。また、これらのベンゾトリアゾール系単量体は1種類で用いることもできるし、2種類以上を用いることもできる。
前記紫外線吸収構造を持つポリマーが、更に一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系単量体を含むものであり、これを共重合してなるベンゾトリアゾール系共重合体であることが好ましい。
Figure 2017077665
一般式(2)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Rは炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。Rは水素原子あるいは炭素数1〜18の炭化水素基を表す。Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す。
前記一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系単量体は、ベンゾトリアゾール環の2位の窒素原子にアルカノールフェノールを結合させた化合物からの誘導体であり、アルカノールフェノール部位に重合性2重結合を導入した分子構造を有する。現在、一般的に用いられている既存公知のベンゾトリアゾール系単量体であり、代表的な工業製品は2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、製品名:RUVA−93)である。最大吸収波長λmaxは338nm、250〜380nmを包括する範囲の紫外線吸収スペクトルを有するが、380nm以上の長波長領域の紫外線吸収能力は低い。
前記一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系単量体としては特に制限されるものではないが、具体的な物質名としては、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(アクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(アクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシブチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(アクリロイルオキシブチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(アクリロイルオキシヘキシル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−シアノ−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−シアノ−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−t−ブチル−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−t−ブチル−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。また、これらのベンゾトリアゾール系単量体は1種類で用いることもできるし、2種類以上を用いることもできる。
また、本発明の紫外線吸収構造を持つポリマーは、高分子であるが故にそれ自体で塗膜形成が可能である。したがって塗膜からの紫外線吸収成分の溶出やブリードアウトの問題が生じない。更に本発明に係わる重合体を構成するベンゾトリアゾール系単量体以外の単量体を適宜選択し、共重合体とすることにより、高分子極性を自由に変化させることが可能になる。したがって、塗膜中での紫外線吸収成分の結晶化や、他の樹脂や配合材料との相溶性の問題が生じない。
前記一般式(1)及び一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系単量体と共重合させることのできるその他の単量体成分としては、特に制限されるものではなく、適宜選択して用いることができるが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和単量体が挙げられる。更にはグリシジル(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート等のオキシド環含有不飽和単量体が挙げられる。更には(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリロイルモルホリン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン等の含窒素不飽和単量体が挙げられる。更には塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有不飽和単量体が挙げられる。更にはスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族不飽和単量体が挙げられる。更には(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体が挙げられる。更にはビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有不飽和単量体が挙げられる。更には2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等のリン酸基含有不飽和単量体が挙げられる。
前記のベンゾトリアゾール系単量体を含む単量体組成物の混合方法は特に限定されるものではない。つまり、単量体組成物を調整する方法は、特に限定されるものではない。
前記のベンゾトリアゾール系単量体を含む単量体組成物を共重合反応させる際の重合方法は従来公知の溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等を採用することができ、特に限定されるものではない。
本発明で用いられる紫外線吸収構造を持つポリマーの基本骨格は、紫外線吸収性基を含む単量体と官能基を含む単量体の共重合体である。その重合形態は、線状高分子、分岐高分子、星形高分子、櫛形高分子、樹枝型高分子、環状型高分子、カテナ高分子などがある。そして共重合体であれば、ブロック共重合体、グラフト共重合体、星形共重合体、ランダム共重合体のいずれでもよく、特に限定されるものではないが、中でもブロック共重合体、グラフト共重合体が特に好ましく用いられる。
以上のように、本発明で用いられる紫外線吸収構造を持つポリマーは前記一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系単量体を含む単量体組成物を共重合した構成である。さらに好ましくは、一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系単量体をさらに含む単量体組成物を共重合した構成である。即ち250〜400nmの波長領域全般に紫外線吸収能力を有するベンゾトリアゾール系単量体を含む単量体組成物を共重合してなるので、300〜400nmの波長領域全般、特に330〜400nmの波長領域付近での紫外線吸収性能に特に優れている。
本発明に係わる紫外線吸収構造を持つポリマー層において、熱的及び/または機械的強度を向上させる等の目的で、紫外線吸収構造を持つポリマー層にバインダー樹脂を添加することも可能である。バインダー樹脂の具体例としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、(メタ)アクリル酸アミド−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸アミド−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸三元共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール等が挙げられる。これらのバインダー樹脂には少なくとも耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。耐熱性、耐水性、接着性が要求される場合、硬化性樹脂は特に好ましい。
硬化性樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を適用する場合は架橋剤を含む液を塗工、製膜した後に熱により架橋させて用いる。熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、尿素樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びポリオール樹脂等が挙げられる。また、これらの熱硬化性樹脂に使用される硬化剤は、有機酸類、アミン類、イソシアネート類、エポキシ類、フェノール類等が挙げられるが、熱硬化性樹脂の種類により好適な反応性のものを選定すれば良い。特にこれらの中で、ポリオール化合物をポリイソシアネート化合物で熱硬化して得られる架橋樹脂であることが好ましい。
本発明に係わる紫外線吸収構造を持つポリマー層に用いる好ましいバインダー樹脂であるポリオール化合物としては、ポリ(メタ)アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、アルキドポリオール、カプロラクトンポリオール、シリコーンポリオール等が挙げられる。
本発明に係わる紫外線吸収構造を持つポリマー層に用いるポリイソシアネート化合物としては、公知のものが使用できる。例えば、フェニレンジイソシアネート(PDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族脂肪族ジイソシアネート、水添TDI、水添XDI、水添MDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂肪族もしくは脂環族ジイソシアネート及びこれらの誘導体であるポリオール付加物、ビュレット体三量体である三官能以上のポリイソシアネートの他、イソシアネートを含む各種のオリゴマー、ポリマーが挙げられる。
本発明に用いるポリイソシアネート化合物は、1種以上のポリオール化合物に対して、単1種または2種以上併用しても良い。ポリイソシアネート化合物及びポリオール化合物をともに複数種用いる場合は、その組合せは任意で良い。
また、本発明においては、紫外線吸収構造を持つポリマーがポリイソシアネート化合物によって架橋されることにより、いっそう耐久性に優れたものとなる。この際に用いられる紫外線吸収構造を持つポリマーは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体を共重合したものが好ましく用いられる。
本発明に係わる紫外線吸収構造を持つポリマー含有層には、紫外線吸収剤を含有してもよい。前記紫外線吸収剤としては、無機系又は有機系化合物のいずれでも用いることが好ましい。
前記無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径100nm以下の金属系化合物が好ましく、例えば、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化セリウム、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ビスマス、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化トリウム、酸化ハフニウム、酸化モリブデン、鉄フェライト、ニッケルフェライト、コバルトフェライト、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムのような金属酸化物、又はこれらの複合酸化物;硫化亜鉛、硫酸バリウムのような金属硫化物又は硫酸化合物;チタンカーバイド、シリコンカーバイド、モリブデンカーバイド、タングステンカーバイド、タンタルカーバイドのような金属炭化物;窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化ガリウムのような金属窒化物、などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは金属酸化物系超微粒子であり、更に好ましいのはシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムである。これらは、表面をシリコーン、ワックス、有機シラン、又はシリカ等で処理することもできる。
前記有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチレート系化合物、シアノアクリレート系化合物、ケイ皮酸系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物が挙げられ、具体例としては、例えば、フェニルサリチレート、モノグリコールサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、レゾルシノールモノベンゾエート、2′−エチルヘキシル−2−シアノ−3−フェニルシンナメート、2,2′−メチレンビス[6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール]、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。これらの中でも、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物を用いることが好ましく、ベンゾトリアゾール系化合物が特に好ましい。
本発明に係わる紫外線吸収構造を持つポリマー含有層における前記紫外線吸収剤の添加量は、固形分で0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。前記添加量が0.1質量%未満であると、紫外線吸収剤を添加した効果を得ることができないことがあり、30質量%を超えると、紫外線吸収剤が紫外線吸収構造を持つポリマー含有層からマイグレーションし表面に析出したり、可逆性感熱記録層へ入り込み発消色特性を阻害したりする問題が発生することがある。
本発明に係わる紫外線吸収構造を持つポリマー含有層は、前記可逆性感熱記録層の上部に設けることが好ましい。また、可逆性感熱記録層と紫外線吸収構造を持つポリマー含有層との間にバリアー層、光熱変換層等のその他の層を設けてもよい。また、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の上部にサーマルヘッドや消去ヘッドやヒートロールなどとのマッチング性を向上させるために保護層を設けてもよく、更に印刷層、OP層を設けてもよい。なお、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の耐熱性や繰り返し耐久性を向上する目的で顔料や滑剤を添加することが好ましい。紫外線吸収構造を持つポリマー含有層に添加することができる顔料等としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、バリウム、チタン等の炭酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩等、及びゼオライト、シリカ、カオリン、焼成カオリン、タルク等の粘土類を含む無機系顔料、澱粉、スチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス等が使用可能である。また、可逆性感熱記録層に添加することができる滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩等を使用することができる。
本発明における紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の形成方法は、可逆性感熱記録層等に塗工できればどのような方法でも良いが、前記紫外線吸収構造を持つポリマーとバインダー樹脂やポリイソシアネート化合物などの架橋剤、前記その他の添加物を、溶媒と一緒に均一に混合あるいは分散して調製した塗工液を支持体上の可逆性感熱記録層上に塗工し加熱乾燥し、必要に応じて架橋する方法、などが挙げられる。
前記溶媒または分散媒としては具体的には、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、エチレンカーボネート等のエステル類、ジエチルエーテル、グリコールジメチルエーテル、グリコールジエチルエーテル、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が使用できる。
本発明に係わる紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の膜厚は、0.2〜10μmの範囲が好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。膜厚が10μmを超えると効果が飽和するばかりか、可逆性感熱記録層の感度が低下しやすい。膜厚が0.2μmより薄いと所望の耐光性が得られず、地肌の変色、消去部の消え残りなどが起こりやすくなる。
本発明に係わる支持体としては、紙、不織布・織布・編物等の布帛、プラスチックフィルム、樹脂被覆紙、合成紙、金属板、金属箔、ガラス、石英ガラス、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等、あるいはこれらを組み合わせた複合体を目的に応じて任意に用いることができる。本発明に用いることができるプラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、フッ素樹脂フィルム、シリコーン樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。力学的強度、平滑性、耐水性、耐溶剤性、耐熱性の点でポリエステルフィルムが好ましい。これらのプラスチックフィルムは単一枚で用いても良いし、一種類以上のフィルムの二枚以上を適宜の方法で貼り合わせて積層して用いても良い。
ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリキシリレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のフィルムが挙げられる。好ましいポリエステルフィルムとしては、強靱性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、透明性、電気絶縁性に優れるPETフィルムまたはPENフィルムが挙げられる。
支持体は、不透明、半透明あるいは透明のいずれであっても良い。地肌を白色その他の特定の色に見せるために、白色顔料や有色染顔料や気泡を支持体中または表面に含有させても良い。支持体上に可逆性感熱記録層等の層を塗布や貼り合わせにより設ける場合の親和性が低い時には、コロナ放電処理、酸化反応処理(クロム酸等)、エッチング処理、易接着処理等により支持体表面に対して改質処理を施しても良い。本発明に係わる支持体としては、形状や大きさ等については、特に制限はない。形状としては、例えば、平板状、ロール状等が挙げられる。大きさとしては、可逆性感熱記録材料の用途に応じて適宜選択することができる。
本発明に係わる支持体の厚みは可逆性感熱記録材料の用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されるものではないが、10μm〜2mmが好ましく、特には20μm〜1mmがより好適に用いられる。
本発明に係わる可逆性感熱記録層は、熱エネルギーの制御により色調が可逆的に変化する材料を用いる。例えば、画像の記録と消去が繰り返し可能な感熱記録材料として、染料前駆体に加熱により可逆的な色調変化を与える可逆性顕色剤を用いて、熱エネルギーを制御することにより画像形成及び消去が可能な可逆性の感熱記録材料等が挙げられる。また、これらの可逆性感熱記録層は、色調の異なる可逆性感熱記録層を複数層重ねても良い。これらの中で、染料前駆体、可逆性顕色剤を含有した可逆性感熱記録層は、画像の視認性に優れるため好ましい。
本発明に係わる通常無色ないし淡色の染料前駆体としては、電子供与性呈色化合物が挙げられ、一般に感圧記録紙や感熱記録紙等に用いられる公知の染料前駆体を、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ロイコ染料等が好適に用いることができる。ロイコ染料としては、フルオラン系化合物、アザフタリド系化合物、トリフェニルメタン(アザ)フタリド系化合物、インドリル(アザ)フタリド系化合物を好適に用いることができる。染料前駆体は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、他の色調に発色する染料前駆体を混合することにより調色も行うことができる。以下、染料前駆体の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ペンチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−アミルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(イソアミルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン。
2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−(m−トルイジノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トルイジノ)−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−(p−トルイジノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−トルイジノ)−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−n−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン。
2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(ジ−n−プロピルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン。
3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−[4−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フェニル]−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド。
2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン。
2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−n−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−n−プロピルアミノ)−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−(ジ−n−プロピルアミノ)−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン。
2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−n−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−n−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−n−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−n−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−n−プロピル−p−クロロアニリノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン。
4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン。
異なる色調に発色する層を積層したり、平面上に並べたりすることによって、多色可逆性感熱記録材料、フルカラー可逆性感熱記録材料とすることもできる。染料前駆体は、マイクロカプセル化、樹脂被覆化、樹脂との複合粒子化等の処理がなされていても良い。
本発明に係わる可逆性顕色剤は、電子受容性化合物であり、前記染料前駆体を発色させる作用を有する化合物であれば特に制限はない。従来公知の可逆性顕色剤としては、有機リン化合物、脂肪族カルボン酸化合物、フェノール化合物が挙げられる。本発明において好ましく用いられる可逆性顕色剤は、発色性や消色性、画像安定性等の点から、長鎖アルキル基を有するフェノール化合物であり、特に下記一般式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。なお、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係わる可逆性顕色剤はそれぞれ1種又は2種以上を混合して使用してもよい。
Figure 2017077665
一般式(3)において、X及びXは、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子又は両末端に炭化水素原子団を含まない−CO−、−NH−、または−SO−結合を最小構成単位とする二価の基を表す。Rは、単結合又は炭素数1から20の二価の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1から20の二価の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1から50の一価の炭化水素基を表し、好ましくは、炭素数6から36の炭化水素基である。R及びRは、主として、アルキレン基またはアルケニレン基を表し、芳香環を含んでいてもよい。Rは、主として、アルキル基またはアルケニル基を表す。nは0から2の整数を表し、nが2の時に繰り返されるR及びXは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(3)中のX、Xは両末端に炭化水素原子団を含まない−CO−、−NH−、または−SO−結合を最小構成単位とする二価の基を含むが、その具体例としては、アミド(−CONH−、−NHCO−)、尿素(−NHCONH−)、ジアシルアミン(−CONHCO−)、ジアシルヒドラジン(−CONHNHCO−)、しゅう酸ジアミド(−NHCOCONH−)、アシル尿素(−CONHCONH−、−NHCONHCO−)、セミカルバジド(−NHCONHNH−、−NHNHCONH−)、アシルセミカルバジド(−CONHNHCONH−、−NHCONHNHCO−)、3−アシルカルバジン酸エステル(−CONHNHCOO−、−OCONHNHCO−)、スルホンアミド(−NHSO−、−SONH−)、スルホニルヒドラジド(−SONHNHCO−、−CONHNHSO−)等の基が挙げられるが、好ましくはアミド、尿素、ジアシルヒドラジン、しゅう酸ジアミドである。
以下に、一般式(3)で表される可逆性顕色剤の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
N−p−ヒドロキシフェニル−N′−オクタデシル尿素、N−p−ヒドロキシフェニル−N′−ヘンイコシル尿素、N−p−ヒドロキシフェニル−N′−ドコシル尿素、N−p−ヒドロキシフェニル−N′−ペンタコシル尿素、N−p−ヒドロキシフェニル−N′−ヘキサコシル尿素、N−p−ヒドロキシフェニル−N′−ノナコシル尿素、N−p−ヒドロキシフェニル−N′−トリアコンチル尿素、N−p−ヒドロキシフェニル−N′−4−オキサオクタデシル尿素、N−p−ヒドロキシフェニル−N′−12−チアトリアコンチル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−オクタデシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−ヘンイコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−ドコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−ヘプタコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−ヘキサコシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−トリアコンチル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−4−オキサオクタデシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−12−チアトリアコンチル尿素。
N−(p−ヒドロキシフェニル)ドコサンアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)ヘプタコサンアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサコサンアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)ノナコサンアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)トリアコンタンアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)−12−チアトリアコンタンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ドコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ヘプタコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ヘキサコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ノナコサンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]トリアコンタンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−12−チアトリアコンタンアミド。
N−ドコシル−p−ヒドロキシベンズアミド、N−ヘプタコシル−p−ヒドロキシベンズアミド、N−ヘキサコシル−p−ヒドロキシベンズアミド、N−ノナコシル−p−ヒドロキシベンズアミド、N−トリアコンチル−p−ヒドロキシベンズアミド、N−4−オキサオクタデシル−p−ヒドロキシベンズアミド、N−ドコシル−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド、N−ヘプタコシル−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド、N−ヘキサコシル−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド、N−ノナコシル−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド、N−トリアコンチル−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド、N−4−オキサオクタデシル−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド、N−ドコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−ヘプタサコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−ヘキサコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−ノナコシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−トリアコンチル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド、N−4−オキサオクタデシル−[3−(p−ヒドロキシフェニル)]プロピオンアミド。
N−(p−ヒドロキシベンゾイル)−N′−オクタデカノヒドラジド、N−(p−ヒドロキシベンゾイル)−N′−ドコサノヒドラジド、N−(p−ヒドロキシベンゾイル)−N′−ヘキサコシノヒドラジド、N−(p−ヒドロキシベンゾイル)−N′−トリアコンタノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−オクタデカノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−ドコサノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−ヘキサコシノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−トリアコンタノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−12−チアトリアコンタノヒドラジド。
更に、本発明に係わる可逆性顕色剤の具体的な例としては、以下の構造式(1−1)から構造式(3−9)に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2017077665
Figure 2017077665
Figure 2017077665
本発明に用いられる一般式(3)で表される可逆性顕色剤は、1種または2種以上を併用してもよく、染料前駆体に対する一般式(3)の可逆性顕色剤の使用量は、5〜5000質量%、好ましくは10〜3000質量%である。
本発明に係わる可逆性感熱記録層において、熱的及び/または機械的強度を向上させる等の目的で、可逆性感熱記録層にバインダー樹脂を添加することも可能である。バインダー樹脂の具体例としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、(メタ)アクリル酸アミド−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸アミド−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸三元共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール等が挙げられる。これらのバインダー樹脂の役割は、可逆性感熱記録層中に含まれている各素材が画像記録や画像消去の熱印加によって、片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにある。したがって、バインダー樹脂には少なくとも耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。耐熱性、耐水性、接着性が要求される場合、硬化性樹脂は特に好ましい。
硬化性樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を適用する場合は架橋剤を含む液を塗工、製膜した後に熱により架橋させて用いる。熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、尿素樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びポリオール樹脂等が挙げられる。また、これらの熱硬化性樹脂に使用される硬化剤は、有機酸類、アミン類、イソシアネート類、エポキシ類、フェノール類等が挙げられるが、熱硬化性樹脂の種類により好適な反応性のものを選定すれば良い。特にこれらの中で、特開平10−230680号公報や同11−58963号公報に記載の、ポリオール化合物をイソシアネート化合物で熱硬化して得られる架橋樹脂であることが好ましい。
電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂に用いられるオリゴマー・モノマーとしては、種類も多く優れた放射線硬化特性を有するアクリル系オリゴマー・モノマーの他、ポリエン−チオール系オリゴマー・モノマー、光カチオン重合型エポキシオリゴマー・モノマー等が挙げられる。アクリル系モノマーは単官能性モノマー、二官能モノマー、多官能モノマー等が挙げられるが、特に紫外線硬化の際には光重合開始剤、光重合促進剤を用いる。
アクリル系オリゴマー・モノマーの例としては、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、シリコーンアクリレート、メラミンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート等が挙げられる。
本発明に係わる可逆性感熱記録層において、好ましいバインダー樹脂であるポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応により形成されるバインダー樹脂について説明する。ポリオール化合物としては、ポリ(メタ)アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、アルキドポリオール、カプロラクトンポリオール、シリコーンポリオール等が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリルポリオールとは、アクリル酸、メタアクリル酸及びそれらのエステルの共重合体であって、水酸基を含むものをいい、水酸基を含む共重合成分としては、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタアクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール等が用いられる。アクリル酸、メタアクリル酸及びそれらのエステル以外の共重合成分としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリルアミド、メタアクリルアミド及びその誘導体、酢酸ビニル、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとは、多塩基酸と多価アルコールとの縮合物のうち水酸基を有するものをいい、これらに使用される多塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族多塩基酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルこはく酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、ダイマ酸等の脂肪族多塩基酸があり、これらの多塩基酸から得られる酸無水物も同様に用いられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジアセトングリコール、ヘキサントリオール等の低分子量ポリオールの他、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等の高分子量ポリオールも用いられる。これらから得られるポリエステルポリオールの他、ヒドロキシカルボン酸、もしくはその環状ラクトンの縮合物もしくは開環重合、例えばポリブチロラクトンポリオール、ポリカプロラクトンポリオールや、前記多塩基酸と多価アルコールに加え高級脂肪酸の3種を縮合して得られるアルキドポリオール等がある。ポリエーテルポリオールとは、主鎖がエーテル結合からなる高分子であって、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールの他これらの分岐状エステル等がある。
ポリエーテルポリオールとしては、上記多価アルコールのエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイド付加物、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。シリコーンポリオールとしては、分子中にシロキサン結合を有し、かつ末端が水酸基を有するシリコーンオイル類等が挙げられる。
その他にも、水酸基含有のフルオロオレフィンのようなフッ素含有ポリオール、ポリオール水酸基末端のポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、ポリウレタン等が利用できる。更には、低分子量のポリオール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の脂肪族、脂環族、芳香族多価アルコールもしくは多価フェノールまたはこれらの縮合物を反応性希釈剤として用いてもよい。
本発明に用いるポリオール化合物としては、添加物分散性、塗工性、接着性、耐熱性及び皮膜強度等の総合評価から、ポリ(メタ)アクリルポリオール及びポリエステルポリオールが好ましい。本発明に用いるポリオール化合物は単独で1種、またはポリオール部分やそれ以外の部分構造の異なる、もしくは分子量等の異なる他の1種以上のポリオール化合物と併用しても良い。
更に、好ましくは、水酸基価80(KOHmg/g)以上のポリ(メタ)アクリルポリオール及びポリエステルポリオールが用いられるが、特に好ましくは90(KOHmg/g)以上600(KOHmg/g)以下である。水酸基価の大小は架橋密度に影響するため、塗膜の表面硬度、耐化学薬品性、耐久性等を左右する。水酸基価が80(KOHmg/g)以上の樹脂はポリイソシアネート化合物と反応して架橋密度の高いバインダー樹脂を形成するため、繰り返し印字・消去した際の可逆性感熱記録層の耐久性が向上して好ましい。水酸基価が600(KOHmg/g)以上では可とう性が低下して加工時に塗工層が割れる場合がある。
本発明に用いるポリイソシアネート化合物としては、公知のものが使用できる。例えば、フェニレンジイソシアネート(PDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族脂肪族ジイソシアネート、水添TDI、水添XDI、水添MDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂肪族もしくは脂環族ジイソシアネート及びこれらの誘導体であるポリオール付加物、ビュレット体三量体である三官能以上のポリイソシアネートの他、イソシアネートを含む各種のオリゴマー、ポリマーが挙げられる。本発明においては、イソシアネート化合物としてキシリレンジイソシアネートやトルエンイソシアネートを用いると印字濃度の向上により好ましく、更には、地肌の白色度の高いキシリレンジイソシアネートを使用するとより好ましい。
本発明に用いるポリイソシアネート化合物は、1種以上のポリオール化合物に対して、単1種または2種以上併用しても良い。ポリイソシアネート化合物及びポリオール化合物をともに複数種用いる場合は、その組合せは任意で良い。
ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の混合物は、それぞれが液状の場合はそのままの混合物で用いても良いが、更にポリイソシアネート化合物と非反応性の溶剤で希釈して使用することもできる。使用できる溶剤としては、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を溶解し、かつ染料前駆体や可逆性顕色剤を分散・溶解させるものが好ましい。具体的には、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、エチレンカーボネート等のエステル類、ジエチルエーテル、グリコールジメチルエーテル、グリコールジエチルエーテル、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が使用できる。中でも、ポリイソシアネート化合物と反応性のある活性水素を有しない有機溶媒を用いることが好ましい。また、上記ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の架橋反応は、反応温度30〜160℃、反応時間0.1分〜120時間で行えば良い。なお、反応温度が低い場合は長時間を要し、高温では短時間で済むことはいうまでもない。
本発明に係る可逆性感熱記録層におけるバインダー樹脂の使用量としては、該可逆性感熱記録層全質量に対する該バインダー樹脂の質量百分率が35%以上65%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲より大きくなると著しく印字濃度が低下する場合がある。逆にこの範囲より小さくなると、可逆性感熱記録層の耐熱性や機械的強度の低下、層の変形、印字濃度の低下が起きる場合がある。可逆性感熱記録層における該バインダー樹脂の質量百分率は、40%以上60%以下がより好ましく、45%以上55%以下が特に好ましい。
本発明の可逆性感熱記録材料において、可逆性感熱記録層には、消色促進剤として分子中にアミド、ウレタン、ウレア、ジアシルヒドラジン、しゅう酸ジアミドのいずれかの基を少なくとも1つ有する化合物や四級アンモニウム塩化合物を併用することが好ましい。消色促進剤の併用により、消去状態を形成する過程において、消色促進剤と可逆性顕色剤の間に分子間相互作用が働き、消去速度を速めることができる。
本発明で用いる消色促進剤としては、下記一般式(4)〜(11)で表される化合物が特に好ましい。
10−CONH ・・・一般式(4)
10−NHCONH ・・・一般式(5)
10−CONH−R11 ・・・一般式(6)
10−NHCONH−R11 ・・・一般式(7)
10−NHCOCONH−R11 ・・・一般式(8)
10−CONHNHCO−R11 ・・・一般式(9)
A−NHCONH−R10 ・・・一般式(10)
(R10−R11 ・・・一般式(11)
ただし、一般式(4)〜(11)中、R10及びR11は同義であり、互いに同じであっても異なっていても良い炭素数1〜24の飽和または不飽和の炭化水素基であるが、分岐していても良いアルキル基及びアルケニル基、アラルキル基、アリール基を表し、更にこれらの基が、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基等によって置換されていても良い。R10及びR11としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、ベヘニル基、アリル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基及びフェニルエチル基等が挙げられる。Aはウレア結合と直接結合する窒素原子を有する二置換の非環状アミノ基、または窒素原子含有5及び6員環の複素環であり、複素環の場合、環中の窒素原子はウレア結合と直接結合している。Aが複素環である場合、5員環の具体例として、ピロリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、ピロール環、イミダゾール環及びピラゾール環等が挙げられ、6員環の具体例として、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環及びピペラジン環等が挙げられる。更に、非環状アミノ基及び複素環はアルキル基、アラルキル基、アリール基及びヒドロキシ基等で置換されていても良い。Zはアニオンを表し、ハロゲン、置換スルホネート、置換ホスフェート、置換ボレート、置換イミドであり、好ましくはハロゲンまたは置換スルホネートである。
一般式(4)〜(11)で表される消色促進剤は、それぞれ1種で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。可逆性顕色剤に対する使用量は、0.1〜100質量%、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。前記使用量が0.1質量%未満であると、消色促進効果が発揮されないことがあり、100質量%を超えると、印字濃度の低下、印字画像の耐熱安定性の低下が起こることがある。
また、本発明に係わる可逆性感熱記録層には、発色感度及び/または消色温度を調節するため、熱可融性物質を併用しても良い。熱可融性物質としては、60〜200℃の融点を有するものが好ましく、特に80〜180℃の融点を有するものが好ましい。熱可融性物質として、一般の感熱記録紙に用いられている増感剤を使用することもできる。熱可融性物質の例としては、2−ベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物、炭酸ジフェニル、しゅう酸ジベンジル、しゅう酸ビス(p−メチルベンジル)エステル等の炭酸またはしゅう酸ジエステル誘導体等が挙げられる。
本発明に係わる可逆性感熱記録層には更に、耐光性改良等を目的として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等の酸化防止剤、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン類、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シンナメート系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤、本発明に係るベンゾトリアゾール系単量体、本発明に係る紫外線吸収構造を持つポリマー等を添加しても良く、好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が用いられる。これらの紫外線吸収剤や酸化防止剤は適宜併用しても良い。
これらは、それぞれの機能を発現する構造部分を有するモノマーを重合の一成分として含むポリマーや、ポリマー主鎖にこれら構造部分をグラフト化したものも用いることができる。また、これら酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等は、いずれか1種で使用しても良いし、同種または異種の2種以上を混合して使用しても良い。これら酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等を併用する場合、染料前駆体に対する使用量は、0.1〜200質量%、好ましくは0.5〜100質量%、特に好ましくは1〜50質量%である。前記使用量が0.1質量%未満であると、改良効果が発揮されないことがあり、200質量%を超えると、印字濃度の低下、印字画像の耐熱安定性の低下が起こることがある。
その上、本発明に係わる可逆性感熱記録層には、顔料や滑剤を添加することができる。可逆性感熱記録層に添加することができる顔料等としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、バリウム、チタン等の炭酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩等、及びゼオライト、シリカ、カオリン、焼成カオリン、タルク等の粘土類を含む無機系顔料、澱粉、スチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス等が使用可能である。また、可逆性感熱記録層に添加することができる滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩等を使用することができる。
本発明に係わる可逆性感熱記録層の膜厚は、その組成と所望の印字濃度により決定されるものであり、具体的には、0.5〜20μmの範囲が好ましく、3〜15μmがより好ましい。
本発明に係わる可逆性感熱記録層は、支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも染料前駆体及び可逆性顕色剤、必要に応じバインダー樹脂及び消色促進剤等を含有する可逆性感熱記録層塗液を塗工・成膜することによって形成される。染料前駆体、可逆性顕色剤、及び消色促進剤等を可逆性感熱記録層塗液に含有させるための方法としては、各々の化合物を単独で溶媒に溶解もしくは分散媒に分散してから混合する方法、各々の化合物を混ぜ合わせてから溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法、各々の化合物を加熱溶解し、均一化した後に冷却し、溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。分散時には必要なら分散剤を用いても良い。
バインダー樹脂については、染料前駆体及び可逆性顕色剤等の化合物を単独または混合し、溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する前後に添加する方法、各々の化合物とバインダー樹脂を混ぜ合わせてから溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法、各々の化合物を加熱溶解し、均一化した後に冷却し、溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する前後に添加する方法等が挙げられるが、いずれの方法においても染料前駆体及び可逆性顕色剤等の化合物に対する溶媒または分散媒にバインダー樹脂が溶解するように溶媒または分散媒を選定するのが好ましい。また、市販のバインダー樹脂で、予め溶媒に添加されている場合は、染料前駆体及び可逆性顕色剤等の化合物を溶解または分散する際の溶媒もしくは分散媒としてバインダー樹脂と共に用いても良い。
溶媒または分散媒としては具体的には、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、エチレンカーボネート等のエステル類、ジエチルエーテル、グリコールジメチルエーテル、グリコールジエチルエーテル、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が使用できる。
本発明に係わる紫外線吸収構造を持つポリマー含有層上に、耐熱性や繰り返し耐久性を向上する目的で保護層を設けてもよい。前記保護層に用いる樹脂として、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を主成分としていることが好ましく、特に電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂が好ましく、紫外線硬化性樹脂がより好ましい。
本発明に好適に用いられる紫外線硬化性樹脂として、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系等のオリゴマー;各種単官能、多官能の(メタ)アクリレート、ビニルエステル、エチレン誘導体、アリル化合物等のモノマー等が挙げられる。
これら必要に応じて併用されるモノマー、オリゴマーは、1種単独で使用しても良いし、2種以上混合して使用することもできる。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ジイソシアネート類とポリオール類とヒドロキシ(メタ)アクリレート類とを反応させることによって得られ、分子中に官能基としてアクリロイル基(CH=CHCO−)またはメタクリロイル基(CH=C(CH)CO−)と、ウレタン結合(−NHCOO−)とを有する。
ジイソシアネート類としては、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート[HDI]、イソホロンジイソシアネート[IPDI]、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)[HMDI]、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート[TMHMDI]、トリレンジイソシアネート[TDI]、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート[MDI]、キシリレンジイソシアネート[XDI]等が挙げられる。
ポリオール類としては、具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートの合成に用いられるヒドロキシ(メタ)アクリレート類としては、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート[HEA]、2−ヒドロキシエチルメタクリレート[HEMA]、2−ヒドロキシプロピルアクリレート[HPA]、グリシドールジメタクリレート[GDMA]、ペンタエリスリトールトリアクリレート[PETA]、ポリカプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、エピクロルヒドリン等のエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応により合成される。エポキシ(メタ)アクリレートとしては、具体的には、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物と(メタ)アクリル酸との反応により合成されるビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSとエピクロルヒドリンとの反応物と(メタ)アクリル酸との反応により合成されるビスフェノールS型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの反応物と(メタ)アクリル酸との反応により合成されるビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックとエピクロルヒドリンとの反応物と(メタ)アクリル酸との反応により合成されるフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、具体的には、無水フタル酸とプロピレングリコールと(メタ)アクリル酸とからなるポリエステル(メタ)アクリレート、アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールと(メタ)アクリル酸とからなるポリエステル(メタ)アクリレート、トリメリット酸とジエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とからなるポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば1,2,6−ヘキサントリオール等のポリオールを、塩基性または酸性触媒(BF、NaOH)の存在下に、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドと反応させ、次いで、得られたポリエーテルと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより合成される。
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、具体的には、アクリレート、メタクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)クリレート(DPH(M)A)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明に好適に用いられる紫外線硬化性樹脂として、(メタ)アクリレート基を有する樹枝状分枝化合物が特に好ましく用いられる。該樹枝状分岐化合物は、樹枝状に枝分かれした化合物であり、樹枝状であることにより分子末端に多くの(メタ)アクリレート基を有することができるため、(メタ)アクリレート基の密度を増加させ、(メタ)アクリレート基の隣接確率を上げて紫外線照射時の硬化を促進するものである。高い反応性を示し短時間で硬化反応が進行するため、紫外線硬化時の酸素阻害の影響を受けずに高硬度の層を成膜することができ、また硬化収縮を抑えて密着性を向上させることができる。アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の重合性官能基を分子末端に有する樹枝状分枝化合物であれば、モノマーであってもオリゴマーであっても良く、特に限定はされないが、分子中にハイパーブランチ構造を有する樹枝状オリゴマー、又は分子中にデンドリマー構造を有する樹枝状オリゴマーが好ましく、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に係わる保護層において、紫外線を用いて硬化させる場合には、光重合開始剤、光重合促進剤を用いることができる。光重合開始剤はラジカル反応型とイオン反応型に大別でき、さらに、ラジカル反応型は光開裂型と水素引抜き型とに分けられる。光重合開始剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタール(別名、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4′−フェノキシ−2,2−ジクロロアセトフェノン、4′−t−ブチル−2,2−ジクロロアセトフェノン、4′−t−ブチル−2,2,2−トリクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルスルフィド、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤;ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。光重合開始剤は、単独又は2種以上混合して使用される
また、光重合促進剤としては、ベンゾフェノン系やチオキサントン系等の水素引抜きタイプの光重合開始剤に対し、硬化速度を向上させる効果があるものが好ましく、例えば芳香族系の第3級アミンや脂肪族アミン系のものがある。具体的には、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これら光重合促進剤は、単独で又は2種以上混合して使用される。
これらの光重合開始剤及び光重合促進剤の添加量としては、保護層の樹脂成分全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、更に好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
本発明において、耐候性改良等を目的に可逆性感熱記録層と紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の間や、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層と保護層との間のいずれかの層間にガスバリア層などの何らかの機能を持つ中間層を設けたり、発色感度向上等を目的に支持体と可逆性感熱記録層の間にアンダーコート層を設けたり、光反射層や空気層を設けても良い。特に、アンダーコート層には中空粒子を含有しても良い。また、支持体の片面のみに可逆性感熱記録層を設ける場合、支持体のもう一方の面にバックコート層を設けても良い。これらの層は、単層でも、2層以上の複数の層から構成されていても良い。また、これらの層は熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を含有していることが好ましい。
本発明において、支持体上に設けられた保護層、中間層、紫外線吸収構造を持つポリマー含有層、可逆性感熱記録層、アンダーコート層等には、必要に応じて、レベリング剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤、硬膜剤、防腐剤、顔料、着色染顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、pH調節剤、消泡剤、滑剤、帯電防止剤等の各種添加剤を添加することができる。
本発明における各層を支持体上に積層し、可逆性感熱記録材料を形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成することができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアロール及びトランスファロールコーター、ロールコーター、コンマコーター、スムージングコーター、マイクログラビアコーター、リバースロールコーター、4本あるいは5本ロールコーター、ディップコーター、ロッドコーター、キスコーター、ゲートロールコーター、スクイズコーター、スライドコーター、ダイコーター等の塗抹装置、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用いることができる。更に通常の乾燥工程の他、紫外線照射または電子線照射により、更には加熱等によるエージング等により各層を保持させることができる。これらの方法により、1層ずつあるいは多層同時に塗布、印刷することができる。
上記各層のいずれかに硬化性樹脂が含有されている場合には、樹脂種類に合わせて、加熱、紫外線照射、電子線照射による硬化を行う。紫外線照射は、公知の紫外線照射装置を用いて行うことができる。紫外線照射装置としては、光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置等を備えたものが挙げられる。光源としては、例えば水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプ等が挙げられる。光源の波長は、光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に応じて適宜選択することができる。紫外線照射の出力や搬送速度は、紫外線硬化性樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じて決定される。
本発明の可逆性感熱記録材料には、オフセット印刷、グラビア印刷等の印刷;インクジェット記録層、熱転写受像層、昇華型熱転写受像層等の印字記録層を設けても良い。これらの印刷、印字記録層は、可逆性感熱記録層と積層して設けても良いし、可逆性感熱記録層と同一面の一部に設けても良い。また、可逆性感熱記録層を設けた面と反対側の面の一部または全面に設けても良い。印字記録層上に部分的にまたは全面的に硬化性樹脂を主成分とするオーバープリントニス(OPニス)層等を設けても良い。
本発明の可逆性感熱記録材料には、可逆性感熱記録層中、他の層、可逆性感熱記録層が設けられている面や反対側の面等に、電気的、磁気的、光学的に情報が記録可能な材料が含まれていても良い。また、支持体を複層とし、その間にICチップを挟んでも良い。また、帯電防止を目的として帯電防止層を片面または両面に設けることもできる。本発明の可逆性感熱記録材料は、粘着層等を介して、または支持体として熱融着性樹脂を用いて、他の媒体へ貼り付けることもできる。
可逆性感熱記録材料の層間にICチップを封入する場合は、例えばプラスチックフィルムの層間または紙基材とプラスチックフィルムの層間に封入することができる。好ましくは、可逆性感熱記録層から離れた層間に封入することが印字品質の点で好ましい。非接触のICチップを封入する場合は、アンテナと共に封入することができる。封入する際の圧力によりICチップが破損することを防ぐ目的で、クッション層を設けることができる。クッション層の厚みとしては、10μmに満たないとクッション性が不十分であるため10μm以上が好ましい。また、ICチップとアンテナとの接合部に負荷がかかるため、クッション層の面積はICチップとアンテナ接合部を十分覆い隠せる大きさが好ましい。クッション層は、片面もしくは両面に設けることができる。両面にクッション層を設けることがより好ましい。クッション層としては、熱可塑性の樹脂が好ましく。発泡樹脂であれば、よりクッション性が良いため、ICチップの破損を防ぐことができる。
本発明の可逆性感熱記録材料において、発色記録画像を形成するためには、加熱に引き続いて冷却を急速に行えば良く、記録画像の消去を行うためには、加熱後の冷却速度が遅ければ良い。例えば、適当な方法で加熱した後、低温の金属ブロック等を押し当てるなどして急速に冷却することにより、発色状態を発現させることができる。また、サーマルヘッド、レーザー光等を用いて極めて短い時間だけ加熱すると、加熱終了後に直ちに冷却するため、発色状態を保持させることができる。一方、適当な熱源(サーマルヘッド、レーザー光、熱ロール、熱スタンプ、高周波加熱、電熱ヒーター、及びタングステンランプやハロゲンランプ等の光源等からの輻射熱、熱風等)で比較的長い時間加熱すると、記録層だけでなく支持体等も加熱されるために熱源を除いても冷却する速度が遅いため消色状態になる。したがって、同じ加熱温度、同じ熱源を用いても、冷却速度を制御することにより発色状態及び消色状態を任意に発現させることができる。
加熱に使用するレーザーとしては、半導体レーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザーを挙げることができるが、これらに限定されない。半導体レーザー、YAGレーザーよる加熱を効率良く行うためには、可逆性感熱記録層中に近赤外部に吸収を有する光熱変換材料を含有させるか、あるいは光熱変換材料を含有する光熱変換層を可逆性感熱記録層に直接隣接して設けることが好ましい。近赤外部に吸収を有する光熱変換材料としては、例えば白金、チタン、ケイ素、クロム、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウム等の金属または半金属の層、インモニウム化合物、金属錯体化合物、シアニン色素、スクワリリウム色素、ナフトキノン色素、フタロシアニン化合物、ポリメチン化合物等の光熱変換色素が挙げられ、可逆性感熱記録層に分散状態または分子状態で含有することができる。好ましい光熱変換色素としては、光熱変換効率、溶剤への溶解性、樹脂への分散性、紫外光に対する耐光性の点でフタロシアニン化合物及び金属錯体化合物が挙げられ、特にフタロシアニン化合物が好ましい。可逆性感熱記録層に近接して光熱変換層を設ける場合は、銅薄膜や酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO)等の膜による光熱変換層を用いることもできる。
フタロシアニン化合物の例としては、ナフタロシアニン化合物、無金属フタロシアニン化合物、鉄フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン化合物、亜鉛フタロシアニン化合物、ニッケルフタロシアニン化合物、バナジルフタロシアニン化合物、塩化インジウムフタロシアニン化合物、スズフタロシアニン化合物等が好ましく、より好ましくは、バナジルフタロシアニン化合物、亜鉛フタロシアニン化合物、スズフタロシアニン化合物である。本発明に用いられるフタロシアニン化合物は吸収波長の調節、溶媒への溶解度の向上、耐光性の改良等の目的で、芳香環に置換基を有しても良い。置換基としては、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アミド基、アミノ基、アルキルエステル基、アリールエステル基、塩素原子、フッ素原子等が挙げられる。芳香環に置換基が二つ以上ある場合に、それらは同一であっても異なっていても良く、また置換基同士が結合して環を形成しても良い。
光熱変換色素の使用量は、使用する光源の発振波長における吸光度が0.2以上になるように設定することが好ましい。この量より少ないと十分な発熱が得られず、記録感度が低下する。一方、光熱変換色素は可視部にも若干の吸収を有しており、使用量が多すぎるとコントラストの低下をもたらす。400nmから700nmの平均透過率が60%以上確保できるよう、光熱変換色素の使用量の上限を設定することが好ましい。光熱変換色素は、2種類以上を混合して用いることもできる。
光熱変換色素は、少なくとも染料前駆体と可逆性顕色剤を含有する可逆性感熱記録層に対して、同一の層か隣接する層の少なくとも一方に含有されることが好ましく、同一の層に含有されることが良好な感度を得る上でより好ましい。
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数は有効成分の質量基準であり、例えば溶媒はその部数が有効成分部数であるが、溶液、分散液はそれに含まれる溶質、分散質が有効成分部数である。
実施例1
(A)可逆性感熱記録層塗液の調製
染料前駆体として、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ペンチルアミノ)フルオラン20部、可逆性顕色剤として、構造式(2−2)の化合物100部、消色促進剤として、N,N′−ジオクタデシル尿素20部、及びN−(1−(4−メチル)ピペラジニル)−N′−オクタデシル尿素0.5部、ポリエステルポリオール(DIC(株)製、商品名:バーノック11−408、有効成分:70質量%)100部、メチルエチルケトン950部の混合物をガラスビーズと共にペイントシェーカーで24時間分散し、分散液を得た。こうして得た分散液に、イソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD−110N、有効成分:75質量%)130部とメチルエチルケトン62部とを加えて十分に混合し、可逆性感熱記録層用塗液を調製した。
(B)可逆性感熱記録層塗液の塗工
(A)で得た可逆性感熱記録層塗液を、厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、乾燥塗工量が10g/mとなるように塗工した後、100℃で1分間乾燥した後、更に50℃で24時間加熱処理して硬化させ、可逆性感熱記録層を形成した。
(C)紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液の調製
紫外線吸収構造を持つポリマー(新中村化学工業(株)製、商品名:バナレジンUVR−8007、2−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート・2−ヒドロキシエチルメタクリレート・シクロヘキシルメタクリレート・1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートの共重合体、有効成分:40質量%)100部、イソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD−110N、有効成分:75質量%)100部、メチルエチルケトン100部を加えて十分に混合し、紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液を調製した。
(D)紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液の塗工
(B)で作製した塗工シートの可逆性感熱記録層塗工面上に、(C)で得た紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液を乾燥塗工量が2.0g/mになるように塗工し、100℃で1分間乾燥した後、更に50℃で24時間加熱処理して硬化させ、紫外線吸収構造を持つポリマー層を設けた。
(E)保護層塗液の調製
ハイパーブランチ構造を有する樹枝状オリゴマー(大阪有機化学工業(株)製、商品名:SIRIUS−501、有効成分:50質量%)100部、湿式法シリカ(富士シリシア化学(株)製、商品名:サイリシア350)8部、平板状ステアリン酸亜鉛(日油(株)製、商品名:ニッサンエレクトールMZ−2)0.5部、光重合開始剤(BASF社製、商品名:イルガキュア184)5部、酢酸エチル200部を混合した。こうして得られた混合液をビーズミルで処理し、保護層塗液を調製した。
(F)保護層塗液の塗工
(D)で作製した塗工シートの紫外線吸収構造を持つポリマー層塗工面上に、(E)で得た保護層塗液を乾燥塗工量が3g/mになるように塗工し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー120W/cmの紫外線ランプ下を10m/分の搬送速度で通して硬化させて保護層を設け、実施例1の可逆性感熱記録材料を得た。
実施例2
(G)紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液の調製
紫外線吸収構造を持つポリマー(新中村化学工業(株)製、商品名:バナレジンUVR−8001、2−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート・メチルメタクリレートの共重合体、有効成分:35質量%)100部、ポリエステルポリオール(DIC(株)製、商品名:バーノック11−408、有効成分:70質量%)100部、イソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD−110N、有効成分:75質量%)100部、メチルエチルケトン200部を加えて十分に混合し、紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液を調製した。
(H)紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液の塗工
(B)で作製した塗工シートの可逆性感熱記録層塗工面上に、(G)で得た紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液を乾燥塗工量が2.0g/mになるように塗工し、100℃で1分間乾燥した後、更に50℃で24時間加熱処理して硬化させ、紫外線吸収構造を持つポリマー層を設けた。
(I)保護層塗液の塗工
(H)で作製した塗工シートの紫外線吸収構造を持つポリマー層塗工面上に、(E)で得た保護層塗液を乾燥塗工量が3g/mになるように塗工し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー120W/cmの紫外線ランプ下を10m/分の搬送速度で通して硬化させて保護層を設け、実施例2の可逆性感熱記録材料を得た。
実施例3
(J)紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液の調製
紫外線吸収構造を持つポリマー(新中村化学工業(株)製、商品名:バナレジンUVR−8002、2−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート・2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール・メチルメタクリレートの共重合体、有効成分:35質量%)100部、ポリエステルポリオール(DIC(株)製、商品名:バーノック11−408、有効成分:70質量%)100部、イソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD−110N、有効成分:75質量%)100部、メチルエチルケトン200部を加えて十分に混合し、紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液を調製した。
(K)紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液の塗工
(B)で作製した塗工シートの可逆性感熱記録層塗工面上に、(J)で得た紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液を乾燥塗工量が2.0g/mになるように塗工し、100℃で1分間乾燥した後、更に50℃で24時間加熱処理して硬化させ、紫外線吸収構造を持つポリマー層を設けた。
(L)保護層塗液の塗工
(K)で作製した塗工シートの紫外線吸収構造を持つポリマー層塗工面上に、(E)で得た保護層塗液を乾燥塗工量が3g/mになるように塗工し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー120W/cmの紫外線ランプ下を10m/分の搬送速度で通して硬化させて保護層を設け、実施例3の可逆性感熱記録材料を得た。
実施例4
(M)紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液の調製
紫外線吸収構造を持つポリマー(新中村化学工業(株)製、商品名:バナレジンUVR−8007、2−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート・2−ヒドロキシエチルメタクリレート・シクロヘキシルメタクリレート・1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートの共重合体、有効成分:40質量%)100部、低分子紫外線吸収剤として2,2′−メチレンビス[6−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール]30部、メチルエチルケトン150部の混合物をガラスビーズと共にペイントシェーカーで10時間分散し、分散液を得た。こうして得た分散液に、イソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD−110N、有効成分:75質量%)100部、メチルエチルケトン50部を加えて十分に混合し、紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液を調製した。
(N)紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液の塗工
(B)で作製した塗工シートの可逆性感熱記録層塗工面上に、(M)で得た紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液を乾燥塗工量が2.0g/mになるように塗工し、100℃で1分間乾燥した後、更に50℃で24時間加熱処理して硬化させ、紫外線吸収構造を持つポリマー層を設けた。
(O)保護層塗液の塗工
(N)で作製した塗工シートの紫外線吸収構造を持つポリマー層塗工面上に、(E)で得た保護層塗液を乾燥塗工量が3g/mになるように塗工し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー120W/cmの紫外線ランプ下を10m/分の搬送速度で通して硬化させて保護層を設け、実施例4の可逆性感熱記録材料を得た。
実施例5
(P)紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液の調製
紫外線吸収構造を持つポリマー(新中村化学工業(株)製、商品名:バナレジンUVR−8007、2−[2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート・2−ヒドロキシエチルメタクリレート・シクロヘキシルメタクリレート・1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートの共重合体、有効成分:40質量%)100部、紫外線吸収構造を持つポリマー(新中村化学工業(株)製、商品名:バナレジンUVA−5080(OHV20)、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール・メチルメタクリレート・2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体、有効成分:40質量%)100部、イソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD−110N、有効成分:75質量%)100部、メチルエチルケトン200部を加えて十分に混合し、紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液を調製した。
(Q)紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液の塗工
(B)で作製した塗工シートの可逆性感熱記録層塗工面上に、(P)で得た紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液を乾燥塗工量が2.0g/mになるように塗工し、100℃で1分間乾燥した後、更に50℃で24時間加熱処理して硬化させ、紫外線吸収構造を持つポリマー層を設けた。
(R)保護層塗液の塗工
(Q)で作製した塗工シートの紫外線吸収構造を持つポリマー層塗工面上に、(E)で得た保護層塗液を乾燥塗工量が3g/mになるように塗工し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー120W/cmの紫外線ランプ下を10m/分の搬送速度で通して硬化させて保護層を設け、実施例5の可逆性感熱記録材料を得た。
比較例1
(S)紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液の調製
紫外線吸収構造を持つポリマー(新中村化学工業(株)製、商品名:バナレジンUVA−5080(OHV20)、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール・メチルメタクリレート・2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体、有効成分:40質量%)100部、イソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD−110N、有効成分:75質量%)100部、メチルエチルケトン100部を加えて十分に混合し、紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液を調製した。
(T)紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液の塗工
(B)で作製した塗工シートの可逆性感熱記録層塗工面上に、(S)で得た紫外線吸収構造を持つポリマー層塗液を乾燥塗工量が2.0g/mになるように塗工し、100℃で1分間乾燥した後、更に50℃で24時間加熱処理して硬化させ、紫外線吸収構造を持つポリマー層を設けた。
(U)保護層塗液の塗工
(T)で作製した塗工シートの紫外線吸収構造を持つポリマー層塗工面上に、(E)で得た保護層塗液を乾燥塗工量が3g/mになるように塗工し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー120W/cmの紫外線ランプ下を10m/分の搬送速度で通して硬化させて保護層を設け、比較例1の可逆性感熱記録材料を得た。
比較例2
(V)紫外線吸収剤を含有する樹脂層塗液の調製
低分子紫外線吸収剤(住化ケムテックス(株)製、商品名:スミソーブ200、ベンゾトリアゾール系)50部、ポリエステルポリオール(DIC(株)製、商品名:バーノック11−408、有効成分:70質量%)100部、イソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD−110N、有効成分:75質量%)100部、メチルエチルケトン100部を加えて十分に混合し、紫外線吸収剤を含有する樹脂層塗液を調製した。
(W)紫外線吸収剤を含有する樹脂層塗液の塗工
(B)で作製した塗工シートの可逆性感熱記録層塗工面上に、(V)で得た紫外線吸収剤を含有する樹脂層塗液を乾燥塗工量が2.0g/mになるように塗工し、100℃で1分間乾燥した後、更に50℃で24時間加熱処理して硬化させ、紫外線吸収剤を含有する樹脂層を設けた。
(X)保護層塗液の塗工
(W)で作製した塗工シートの紫外線吸収剤を含有する樹脂層塗工面上に、(E)で得た保護層塗液を乾燥塗工量が3g/mになるように塗工し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー120W/cmの紫外線ランプ下を10m/分の搬送速度で通して硬化させて保護層を設け、比較例2の可逆性感熱記録材料を得た。
比較例3
(Y)紫外線吸収剤を含有する樹脂層塗液の調製
超微粒子酸化亜鉛分散液(住友大阪セメント(株)製、商品名:ZS−303、有効成分:30質量%)100部、ポリエステルポリオール(DIC(株)製、商品名:バーノック11−408、有効成分:70質量%)100部、イソシアネート化合物(三井化学(株)製、商品名:タケネートD−110N、有効成分:75質量%)100部、メチルエチルケトン200部を加えて十分に混合し、紫外線吸収剤を含有する樹脂層塗液を調製した。
(Z)紫外線吸収剤を含有する樹脂層塗液の塗工
(B)で作製した塗工シートの可逆性感熱記録層塗工面上に、(Y)で得た紫外線吸収剤を含有する樹脂層塗液を乾燥塗工量が2.0g/mになるように塗工し、100℃で1分間乾燥した後、更に50℃で24時間加熱処理して硬化させ、紫外線吸収剤を含有する樹脂層を設けた。
(AA)保護層塗液の塗工
(Z)で作製した塗工シートの紫外線吸収剤を含有する樹脂層塗工面上に、(E)で得た保護層塗液を乾燥塗工量が3g/mになるように塗工し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー120W/cmの紫外線ランプ下を10m/分の搬送速度で通して硬化させて保護層を設け、比較例3の可逆性感熱記録材料を得た。
(試験1)耐光性試験
上記実施例及び比較例にて得られた可逆性感熱記録材料をテレホンカード状に打ち抜き、カードリーダーライター(スター精密(株)製、商品名:TCP−300II)にて消去印字モードで印字を行った。消去印字とは、カードを挿してから1往復して再びカードが出てくるまでに画像が書き換えられるもので、消去はセラミックヒーター(イレーズバー)、引き続き印字はサーマルヘッドで行う。条件としては、印字エネルギーは0.45mJ/dotとし、セラミックヒーターの消去エネルギーはエネルギー不足による消え残りがなく、かつオーバーエネルギーによるカブリがない領域の中心値に設定した。この条件で、印字及び消去を2分間隔で10回繰り返した可逆性感熱記録材料に対し、照度5,000luxの蛍光灯の光を100時間照射した。その後、同じプリンタで全面消去して消去部の濃度と地肌濃度の差を反射濃度計(GretagMacbeth社製、商品名:RD−19)の黒濃度により測定し、光照射後の消え残りを評価し、0.02以下を合格としている。さらに、光照射前後の地肌変色の度合いを色差ΔEab値で評価し、5未満を合格としている。結果を表1に示す。
(試験2)繰り返し消去印字試験
上記実施例及び比較例にて得られた可逆性感熱記録材料をテレホンカード状に打ち抜き、カードリーダーライター(スター精密(株)製、商品名:TCP−300II)にて消去印字モードで印字を行った。消去印字とは、カードを挿してから1往復して再びカードが出てくるまでに画像が書き換えられるもので、消去はセラミックヒーター(イレーズバー)、引き続き印字はサーマルヘッドで行う。条件としては、印字エネルギーは0.45mJ/dotとし、セラミックヒーターの消去エネルギーはエネルギー不足による消え残りがなく、かつオーバーエネルギーによるカブリがない領域の中心値に設定した。この条件で、印字及び消去を2分間隔で200回繰り返した。繰り返し試験終了後の印字部ならびに消去部の状態と可逆性感熱記録材料の表面状態を目視で観察し、下記のレベルで評価した。結果を表1に示す。
◎:印字部は良好な発色状態で、消え残りも見られなかった。
○:印字部は良好な発色状態であるが、やや消え残りが見られた。
×:印字部にムラが見られ、消え残りや変色が顕著に見られた。
Figure 2017077665
以上、試験1及び試験2の評価結果から明らかなように、本発明の可逆性感熱記録材料は、明瞭なコントラストを持つ画像の形成・消去が繰り返し可能で、光に長時間曝露されても地肌の変色を抑えることができ、印字部を消去した際の消え残りが小さい耐光性に優れる。
本発明の可逆性感熱記録材料は、明瞭なコントラストを持つ画像の形成と消去を繰り返すことが可能であり、光に曝露されるような環境においても、良好な耐光性と繰り返し耐久性により、長期間の使用が可能である。具体的な用途としては、交通機関の定期券や各種プリペイドカード、ポイントカード等の磁気カード、ICカード、ICタグ、工場や倉庫等物流の現場で使用されるカンバンや帳票として、好適に利用可能である。

Claims (2)

  1. 支持体上に、通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱温度及び/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成させる可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録層と、該可逆性感熱記録層上に紫外線吸収構造を持つポリマー含有層を設けた可逆性感熱記録材料において、該紫外線吸収構造を持つポリマーが一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール系単量体を含む単量体組成物を共重合したベンゾトリアゾール系共重合体であることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
    Figure 2017077665
    (一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Rは炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。Rは水素原子あるいは炭素数1〜18の炭化水素基を表す。)
  2. 前記単量体組成物が、更に一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系単量体を含むベンゾトリアゾール系共重合体である請求項1に記載の可逆性感熱記録材料。
    Figure 2017077665
    (一般式(2)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Rは炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。Rは水素原子あるいは炭素数1〜18の炭化水素基を表す。Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019034998A (ja) * 2017-08-10 2019-03-07 国立大学法人福井大学 ベンゾトリアゾール系重合体を含有する樹脂組成物
CN110400515A (zh) * 2018-11-26 2019-11-01 华中科技大学 一种可多次使用及可再生的标签及其制备

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