JP2017075376A - 摺動部材表面の改質方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】摺動部材の表面自体の性状の改質を含む当該摺動部材表面の改質を簡単なプロセスで行うことができる、摺動部材表面の改質方法の提供。
【解決手段】摺動部材の摺動部の表面に、鋼球と固体潤滑剤の紛体との混合物を0.3〜0.8MPaの噴射圧で噴射して、前記表面に凹凸形状を付与するとともに当該表面に前記固体潤滑剤の紛体を付着させる摺動部材表面の改質方法。鋼球が高速度鋼で作製され、固体潤滑剤が二硫化モリブデンであることが好ましく、鋼球の直径が40〜200μmであり、潤滑材の粉体の粒径が10〜90μmであることがより好ましい摺動部材表面の改質方法。
【選択図】なし

Description

本発明は摺動部材表面の改質方法に関する。さらに詳しくは、例えば粉末成形装置における金型のように他部材の表面と摺動する部材表面の改質方法に関する。
比較的複雑な形状を有する機械部品等を製造する技術として粉末冶金法がある。この方法では、鉄系材料を含む種々の組成の粉末材料を所望の形状に加圧成形し、得られた成形体(圧粉体)を加熱して焼結させる。このような成形及び焼結工程を経て焼結体が製造される。
前記成形体は、通常、ダイ、上下のパンチ及びコア等の金型(粉末成形用金型)を備えた粉末成形装置を用いて製造される。かかる粉末成形装置における金型を構成する部材同士の摺動部では、当該部材を駆動させる際に大きな摩擦力が作用することがある。このため、多数の成形体を作製するにつれて、前記摺動部の表面(摺動面)に焼付きやムシレが発生する虞があった。
そこで、前記金型の摺動部の潤滑性を向上させて摩擦抵抗を小さくする方法が種々提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。特許文献1記載の方法では、被処理成品の摺動部の表面に、軟質金属の粒体と固体潤滑剤の粒体と混合物を噴射速度80m/sec以上の噴射速度で噴射して、当該軟質金属中に固体潤滑剤が分散された被膜を前記摺動部の表面に形成している。
また、特許文献2記載の方法では、金属摺動部材の表面に複数の条痕及び当該条痕同士の間の凸部を設け、前記表面に二硫化モリブデンの微細粒体を衝突させることにより、前記表面から深さ20μm以内の表層に、固体潤滑剤である二硫化モリブデンを含有する層を設けるとともに当該二硫化モリブデンを含有する層の表面に微細なディンプルを設けている。
特許第3357661号明細書 特許第4011478号明細書
特許文献1〜2記載の方法では、摺動部材の表面に固体潤滑剤の被膜を形成するか(特許文献1)、又は摺動部材自体の表層に固体潤滑剤を含有する層を形成する(特許文献2)ことで、当該摺動部材の潤滑性を向上させて摩擦抵抗を小さくすることが期待できるが、摺動部材の表面自体の性状を改質するものではなく、その効果は限られていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、摺動部材の表面自体の性状の改質を含む当該摺動部材表面の改質を簡単なプロセスで行うことができる、摺動部材表面の改質方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様に係る摺動部材表面の改質方法は、摺動部材の摺動部の表面に、鋼球と固体潤滑剤の紛体との混合物を0.3〜0.8MPaの噴射圧で噴射して、前記表面に凹凸形状を付与するとともに当該表面に前記固体潤滑剤の紛体を付着させる。
上記発明によれば、摺動部材の表面自体の性状の改質を含む当該摺動部材表面の改質を簡単なプロセスで行うことができる。
参考例1に係るサンプルの表面粗さを示す図である。 参考例1に係るサンプルの光学顕微鏡写真である。 実施例に係る金型の約59000個成形後の表面状態をマイクロスコープで観察した図である。 図3に示される金型の歯先部の表面粗さを示す図である。 図3に示される金型の歯底部の表面粗さを示す図である。 参考例2に係るサンプルの表面粗さを示す図である。 参考例2に係るサンプルの光学顕微鏡写真である。 比較例に係る金型の約17000個成形後の表面状態をマイクロスコープで観察した図である。 図8に示される金型の歯先部の表面粗さを示す図である。 図8に示される金型の歯底部の表面粗さを示す図である。 参考例3に係るサンプルの表面粗さを示す図である。 参考例3に係るサンプルの光学顕微鏡写真である。 参考例4に係るサンプルの表面粗さを示す図である。 参考例4に係るサンプルの光学顕微鏡写真である。
〔本発明の実施形態の説明〕
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係る摺動部材表面の改質方法(以下、単に「改質方法」ともいう)は、
(1)摺動部材の摺動部の表面に、鋼球と固体潤滑剤の紛体との混合物を0.3〜0.8MPaの噴射圧で噴射して、前記表面に凹凸形状を付与するとともに当該表面に前記固体潤滑剤の紛体を付着させる。
本態様に係る改質方法は、鋼球と固体潤滑剤の紛体との混合物を摺動部材の摺動部の表面に噴射している。混合物のうち鋼球は比重が大きく、かかる鋼球を摺動部の表面に衝突させることにより、当該表面に圧縮応力を生じさせて圧縮残留応力を付与するとともに、前記表面を凹凸形状又はディンプル形状にすることができる。圧縮残留応力を付与することで摺動部の表面の硬度を向上させることができ、また、表面を凹凸形状又はディンプル形状にすることで当該表面が他部材と接触する面積を小さくして摩擦抵抗を低減させることができる。
また、混合物のうち固体潤滑剤の紛体は潤滑性を有しており、かかる紛体を摺動部の表面に衝突させて当該表面に付着させることで、表面の潤滑性を向上させ、摩擦抵抗を低減させることができる。凹凸形状の凹部に付着した紛体は、摺動部材の摺動によって容易にはがれることがなく、長期に亘り部材表面の潤滑性を保つことができる。
(2)上記(1)の改質方法において、前記鋼球を高速度鋼で作製することができる。この場合、ハイスと呼ばれている高速度鋼は、HRCが60程度であり、また、HVが700〜800程度と高い硬度を有しているので、摺動部の表面に効果的に圧縮応力を生じさせ圧縮残留応力を付与するとともに、前記表面を凹凸形状又はディンプル形状にすることができる。
(3)上記(1)又は(2)の改質方法において、前記固体潤滑剤を二硫化モリブデンとすることができる。この場合、二硫化モリブデンを摺動部の表面に付着させることで、当該表面の潤滑性を効果的に向上させ、摩擦抵抗を低減させることができる。
(4)上記(1)〜(3)の改質方法において、前記鋼球の直径を40〜200μmとすることができる。この場合、直径が40〜200μmの鋼球を用いることで、摺動部の表面に効果的に圧縮応力を生じさせ圧縮残留応力を付与するとともに、前記表面を凹凸形状又はディンプル形状にすることができる。
(5)上記(1)〜(4)の改質方法において、固体潤滑剤の紛体の粒径を、10〜90μmとすることができる。この場合、粒径が10〜90μmの紛体を用いることで、表面に二硫化モリブデンを付着させることができる。
(6)上記(1)〜(5)の改質方法において、前記鋼球の重量と前記固体潤滑剤の紛体の重量との比が、概ね5:1であることが望ましい。この場合、摺動部の表面に凹凸形状又はディンプル形状を付与しつつ、当該表面に固体潤滑剤の紛体を付着させることができる。鋼球の重量割合が大きすぎると、摺動部の表面に十分に凹凸形状又はディンプル形状を付与することができるが、当該表面への固体潤滑剤の紛体の付着量が不足する。一方、固体潤滑剤の紛体の重量割合が大きすぎると、摺動部の表面に固体潤滑剤の紛体を十分に付着させることができるが、摺動部の表面への凹凸形状又はディンプル形状の付与が不足する。また、固体潤滑剤として二硫化モリブデンを用いる場合、固体潤滑剤の紛体の重量割合が大きすぎると、噴射された二硫化モリブデンの紛体によって作業空間の視界が悪くなり作業性が低下する。
(7)上記(1)〜(6)の改質方法において、前記摺動部材は、金型を用いて成形体を作製する粉末成形装置における当該金型を構成する部材であって、前記金型を構成する他の部材と摺接する部材とすることができる。この場合、金型を構成する他の部材と摺接する部材に本発明の改質方法を適用することで、当該部材の潤滑性を向上させて摩擦抵抗を小さくすることができ、その結果、金型の寿命を長くすることができる。
〔本発明の実施形態の詳細〕
以下、本発明の改質方法を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本実施形態に係る改質方法では、一般的なブラスト装置により、鋼球と固体潤滑剤の紛体との混合物を金型等の摺動部材の摺動部の表面に噴射ないしは投射している。かかる混合物を0.3〜0.8MPaの噴射圧で噴射することで、前記摺動部の表面に凹凸形状又はディンプル形状を付与するとともに当該表面に前記固体潤滑剤の紛体を付着させている。前記摺動部材は、本発明において特に限定されるものではないが、例えば金型を用いて粉末材料から成形体を作製する粉末成形装置における当該金型を構成する部材であって、前記金型を構成する他の部材と摺接する部材を例示することができる。具体的に、金型の下パンチと上パンチとが互いに摺接する場合、当該下パンチ及び上パンチの互いに摺接する部分(摺動部)の表面(摺動面又は摺接面)に本実施形態に係る改質方法を適用することができる。
前記混合物のうち鋼球は、比重が大きく且つ硬いので、かかる鋼球を摺動部の表面に衝突させることにより、当該表面に圧縮応力を生じさせて圧縮残留応力を付与することができる。また、鋼球を摺動部の表面に衝突させることで当該表面を凹凸形状又はディンプル形状にすることができる。摺動部の表面に圧縮残留応力を付与することで当該摺動部の表面の硬度を向上させることができる。また、摺動部の表面を凹凸形状又はディンプル形状にすることで当該表面が他の部材と接触する面積を小さくすることができ、これにより当該摺動部の表面の摩擦抵抗を低減させることができる。その結果、摺動部材の寿命を長くすることができる。
鋼球としては、例えばハイスと呼ばれている高速度鋼からなる球体、セラミックスからなる球体等を用いることができ、本発明において特に限定されるものではない。このうち、ハイスはHRCが60程度であり、また、HVが700〜800程度と高い硬度を有しているので、摺動部の表面に効果的に圧縮応力を生じさせて圧縮残留応力を付与するとともに、前記表面を凹凸形状又はディンプル形状にすることができる。
鋼球のサイズ(直径)は、本発明において特に限定されるものではないが、例えば40〜200μmとすることができる。直径が40〜200μmの鋼球を用いることで、摺動部の表面に効果的に圧縮応力を生じさせて圧縮残留応力を付与するとともに、前記表面を凹凸形状又はディンプル形状にすることができる。鋼球の直径が40μmよりも小さいと、粉じんとして回収されてしまい、一方、200μmよりも大きいと衝突エネルギーが過大になる。
前記混合物のうち固体潤滑剤の紛体は、潤滑性を有しており、かかる紛体を摺動部の表面に衝突させて当該表面に付着させることで、表面の潤滑性を向上させ、摩擦抵抗を低減させることができる。凹凸形状又はディンプル形状の凹部に付着した紛体は、摺動部材の摺動によって容易にはがれることがなく、長期に亘り部材表面の潤滑性を保つことができる。これにより、摺動部材の寿命を長くすることができる。
固体潤滑剤としては、一般に採用されているものを適宜用いることができ、本発明において特に限定されるものではないが、例えば二硫化モリブデン(MoS)、二硫化タングステン(WS)、窒化ホウ素(BS)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂等を用いることができる。これらの固体潤滑剤のうち、潤滑効果が大きい点より、二硫化モリブデンを用いることが好ましい。二硫化モリブデンを摺動部の表面に付着させることで、当該表面の潤滑性を効果的に向上させ、摩擦抵抗を低減させることができる。
固体潤滑剤の紛体の粒径は、本発明において特に限定されるものではないが、例えば10〜90μmとすることができる。粒径が10〜90μmの紛体を用いることで、表面に付着させることができる。粒径が10μmよりも小さいと粉じんとして回収されてしまい、一方、90μmよりも大きいと衝突エネルギーが過大になる。
前記混合物における、鋼球の重量と固体潤滑剤に紛体の重量との比は、本発明において特に限定されるものではないが、概ね5:1であることが望ましい。この程度の比であると、摺動部の表面に凹凸形状又はディンプル形状を付与しつつ、当該表面に固体潤滑剤の紛体を付着させることができる。例えば前記比が10:1のように鋼球の重量割合が大きすぎると、摺動部の表面に十分に凹凸形状又はディンプル形状を付与することができるが、当該表面への固体潤滑剤の紛体の付着量が不足する。一方、例えば前記比が3:1のように固体潤滑剤の紛体の重量割合が大きすぎると、摺動部の表面に固体潤滑剤の紛体を十分に付着させることができるが、摺動部の表面への凹凸形状又はディンプル形状の付与が不足する。また、固体潤滑剤として二硫化モリブデンを用いる場合、固体潤滑剤の紛体の重量割合が大きすぎると、噴射された二硫化モリブデンの紛体によって作業空間が黒くなり視界が悪くなる。その結果、作業性が低下するという問題がある。
前記混合物を摺動部の表面に噴射させるブラスト装置は、本発明において特に限定されるものではなく、公知のブラスト装置を適宜用いることができ、例えば直圧式のブラスト装置、サイホン式のブラスト装置等のエア式のブラスト装置や、重力式のブラスト装置等を用いることができる。また、空気に限らず、空気以外の圧縮ガスを用いることもできる。
ブラスト装置の噴射圧は、0.3〜0.8MPaの範囲で設定される。噴射圧が0.3MPaよりも小さいと、衝突エネルギーが小さすぎ、一方、0.8MPaよりも大きいと衝突エネルギーが大きすぎるという不都合がある。
前記混合物は、所定量の鋼球と、ガスアトマイズにより作製した所定量の固体潤滑剤の紛体とを、一定比率で混合することで調製することができる。
[実施例]
次に本発明の改質方法の実施例について説明するが、本発明はもとよりかかる実施例にのみ限定されるものではない。
<参考例1>
平均粒径100μmのハイス粉と、平均粒径50μmの二硫化モリブデン粉とをVブレンダーを用いて混合し、得られた混合物をWPC設備((株)不二製作所製)により噴射圧0.5MPaで機械加工で作製された板状サンプル(縦×横×厚さ=50mm×50mm×10mm)の表面に0.5分間噴射した。混合物におけるハイス粉と二硫化モリブデン粉との重量比は5:1であった。
噴射直後のサンプルの所定長(測定長さ:2mm)の表面の粗さ(Rz)をJIS2001に基づいて測定した。測定はSURFCOM(商品名。(株)東京精密製表面粗さ計)を用いて行った。結果を表1及び図1に示す。前記表面の一部の光学顕微鏡写真(×50)を図2に示す。図1並びに後出する図4〜6、図9〜11、図13において、横軸の単位は「mm」であり、縦軸の単位は「μm」である。
<実施例>
参考例1のサンプルと同じ材質で作製され、且つ、参考例1と同じ条件でハイス粉と二硫化モリブデン粉との混合物を噴射した金型を用いて鉄系材料を主成分とする粉末材料を加圧成形し、成形体を59333個作製した。金型の成形後の状態を図3に示す。また、歯先部t(図3参照)及び歯底部b(図3参照)の表面粗さ(Rz)を参考例1と同様にしてJIS2001に基づいて測定した。結果を表1並びに図4及び図5に示す。
<参考例2>
参考例1と同じ材質のサンプルであって当該参考例1における改質方法を適用していないサンプル表面の所定長(測定長さ:2mm)の表面の粗さ(Rz)を参考例1と同様にして測定した。結果を表1及び図6に示す。前記表面の一部の光学顕微鏡写真(×50)を図7に示す。
<比較例>
参考例2と同じ材質で作製された金型(本発明に係る改質方法が適用されていない)を用いて鉄系材料を主成分とする粉末材料を加圧成形し、成形体を17611個作製した。金型の成形後の状態を図8に示す。また、歯先部t(図8参照)及び歯底部b(図8参照)の表面粗さ(Rz)を参考例1と同様にしてJIS2001に基づいて測定した。結果を表1並びに図9及び図10に示す。
<参考例3>
混合物におけるハイス粉と二硫化モリブデン粉との重量比を10:1に変更した以外は参考例1と同様にして摺動部表面に当該混合物を噴射した。噴射後の摺動部表面の粗さ(Rz)を表1に示す。摺動部の表面粗さ及び光学顕微鏡写真(×50)をそれぞれ図11〜12に示す。
<参考例4>
混合物におけるハイス粉と二硫化モリブデン粉との重量比を3:1に変更した以外は実施例と同様にして摺動部表面に当該混合物を噴射した。噴射後の摺動部表面の粗さ(Rz)を表1に示す。また、摺動部表面の表面粗さ及び顕微鏡写真(×50)をそれぞれ図13〜14に示す。
<参考例5>
平均粒径100μmのハイス粉に平均粒径1μmの二硫化モリブデン粉をコーティングしたものをWPC設備((株)不二製作所製)により噴射圧0.5MPaで金型の摺動部の表面に0.5分間噴射した。二硫化モリブデン粉のコーティングは、圧搾空気を用いたスプレー装置により行った。
衝突エネルギーにより二硫化モリブデン粉がハイス粉から脱落したことから、当該二硫化モリブデン粉を摺動部の表面に十分に付着させることができなかった。また、二硫化モリブデン粉は粒径が1μmと非常に小さいため粉じんとしてフィルタに捕捉されるが、回収効率が低いため、粉末のライフサイクルが短かった。
表1、並びに図1〜2(参考例1)、図6〜7(参考例2)、図11〜12(参考例3)及び図13〜14(参考例4)より、本発明の改質方法を適用することによって、摺動部表面の粗さを小さくして当該表面を平滑にできることがわかる。また、混合物におけるハイス粉と二硫化モリブデン粉との重量比を大きくすることで摺動部表面の粗さをより小さくできることがわかる。一方、前記重量比を大きくすると二硫化モリブデンの付着量(被覆量)が少なくなることがわかる。
逆に、前記重量比を小さくすることで二硫化モリブデンの付着量を多くすることができるが、摺動部表面の粗さはあまり小さくすることができないことがわかる。
また、図3〜5(実施例)及び図8〜10(比較例)より、本発明の改質方法を適用することによって、金型の潤滑性を向上させて、当該金型の寿命を長くできることがわかる。実施例に係る金型は、59333個の成形体を作製した時点で若干のムシレが発生していたが、歯先部及び歯底部ともに粗さは大きくなく、継続使用可能な状態であった。一方、比較例に係る金型は、17611個の成形体を作製した時点でムシレが大きく、又、欠けが発生したため、廃棄処分とした。歯先部及び歯底部の粗さも実施例と比較してかなり大きくなっていた。
〔その他の変形例〕
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。

Claims (7)

  1. 摺動部材の摺動部の表面に、鋼球と固体潤滑剤の紛体との混合物を0.3〜0.8MPaの噴射圧で噴射して、前記表面に凹凸形状を付与するとともに当該表面に前記固体潤滑剤の紛体を付着させる、摺動部材表面の改質方法。
  2. 前記鋼球が高速度鋼で作製されている、請求項1に記載の摺動部材表面の改質方法。
  3. 前記固体潤滑剤が二硫化モリブデンである、請求項1又は請求項2に記載の摺動部材表面の改質方法。
  4. 前記鋼球の直径が40〜200μmである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の摺動部材表面の改質方法。
  5. 前記固体潤滑剤の紛体の粒径が、10〜90μmである、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の摺動部材表面の改質方法。
  6. 前記鋼球の重量と前記固体潤滑剤の紛体の重量との比が、概ね5:1である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の摺動部材表面の改質方法。
  7. 前記摺動部材は、金型を用いて成形体を作製する粉末成形装置における当該金型を構成する部材であって、前記金型を構成する他の部材と摺接する部材である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の摺動部材表面の改質方法。
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