JP2017073969A - 電圧駆動型半導体素子の駆動回路 - Google Patents

電圧駆動型半導体素子の駆動回路 Download PDF

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Abstract

【課題】スイッチング時間の遅れが小さく且つスイッチング損失を増加させずに、ノイズ低減効果の大きな電圧駆動型半導体素子の駆動回路を提供する。【解決手段】第1の抵抗とこの第1の抵抗に並列接続されるコンデンサとからなる並列回路および並列回路と直列に接続される第1のスイッチ素子を含み、一端が駆動回路用電源の高電位端子と接続され、他端が電圧駆動型半導体素子のゲート端子と接続される第1スイッチング回路を備え、コンデンサの容量値は、第1のスイッチ素子がオンして電圧駆動型半導体素子のゲート電圧が閾値電圧に達するときの駆動電流値が極小となる値に設定される。【選択図】図1

Description

本発明は、IGBTやMOSFETなどの電圧駆動型半導体素子を駆動する駆動回路に関し、電圧駆動型半導体素子がスイッチングを行う時に発生するサージ電圧や、主端子間の電圧変化率(dv/dt)によるスイッチングノイズを抑制する駆動回路の構成技術に関する。
図9に、電圧駆動型半導体素子としてのIGBTを駆動するゲート駆動回路の一般的な回路構成を示す。電力用のIGBTはIGBT素子7にダイオード8が逆並列接続され、ゲート内蔵抵抗9などとモジュール化されたものが多い。図9において、1は駆動回路の正側電源、2は負側電源であり、直列接続された構成で正極、負極、中性極をそなえる。スイッチング回路は、抵抗3とスイッチ素子4(この例ではNPNトランジスタ)からなるオン用スイッチ回路と、抵抗6とスイッチ素子5(この例ではPNPトランジスタ)からなるオフ用スイッチ回路とが直列接続された直列スイッチ回路で、一般的にはトーテンポール接続と呼ばれる。駆動用電源と直列スイッチ回路は並列接続され、直列スイッチ回路のスイッチ素子4とスイッチ素子5との接続点がIGBT7のゲートと直列に接続された内蔵抵抗9に接続され、オン用の正側電源1とオフ用の負側電源2の接続点がIGBT7のエミッタに接続される。
IGBTなどの高速スイッチングが可能な素子を使用すると、この素子がスイッチングする時に回路配線等各部の浮遊インダクタンスによって過大なサージ電圧が発生し、IGBTの主端子間に大きな電圧変化率(dv/dt)が発生する。これがスイッチングノイズとして、素子の誤動作を引き起こすばかりでなくIGBT自身を破壊させてしまう問題がある。これを防止し、IGBTを緩やかにスイッチングさせるため、従来は前述の駆動回路のゲート抵抗3及び6を問題が生じなくなる値まで大きくする方法等が採られている。
図11に、IGBTを用いたインバータの一般的な回路図を示す。インバータはそれぞれダイオードが逆並列接続された6個のIGBTT1〜T6で構成され、直流電源DPと
並列接続される。上アームと下アームのIGBTを交互にスイッチすることで、交流出力から負荷に電力を供給するものである。
図12に、インバータ回路の1相分の回路図を示す。図12の駆動回路部分GDU1、GDU2が図9の駆動回路に対応している。
図9において、外部より指令されるオンオフ信号に基づいたIGBT7のゲート・エミ
ッタ間電圧VGEは、オン時はオン用の正側電源1からターンオン用ゲート抵抗3とスイッチ素子4との直列回路とゲート抵抗9とを介して、オフ時はオフ用の負側電源2からスイッチ素子5とターンオフ用ゲート抵抗6とゲート抵抗9との直列回路を介して、各々ゲ
ートに供給される。電力変換回路においては、IGBT7のゲート・エミッタ間電圧は、オン時は順バイアスの電圧に、オフ時は逆バイアスの電圧とする駆動方式が一般的である。
IGBT7のゲート入力にはIGBT7の構造上コンデンサ容量があるので、ゲート駆動回路によるゲート容量の充放電時間をターンオン用ゲート抵抗3及びターンオフ用ゲー
ト抵抗6により調整できる。ターンオン用ゲート抵抗3及びターンオフ用ゲート抵抗6を増加させることにより、IGBT7のゲート入力容量とターンオン用ゲート抵抗3及びターンオフ用ゲート抵抗6から決まる充放電の時定数が長くなり、IGBT7のゲート・エ
ミッタ間電圧VGEの立ち上がりと立ち下がりを緩やかにすることができる。その結果、IGBT7は緩やかなスイッチングを行い、電流変化率(di/dt)や電圧変化率(dv/dt)が低減され、サージ電圧の抑制によりスイッチングノイズが低減される。充放電の時定数を長くする別の手段としては、ゲート容量を増加させることであり、IGBT7のゲート・エミッタ間にコンデンサを接続することに相当する。
図10にターンオン用ゲート抵抗3及びターンオフ用ゲート抵抗6の値を変えた場合のスイッチング波形の違いを示す。上アームのIGBTT1と並列接続されたダイオードを介して還流電流が流れている時に下アームのIGBTをオンさせた時の波形で、下アームのIGBTをオンさせると、上アームのダイオードが逆回復してオフ状態となり、下アームのIGBTT2が電流を流す動作となる。図10(a)は図12における下アームのIGBTT2のゲート・エミッタ間電圧VGEを、図10(b)は下アームのIGBT2のゲート電流Igを、図(c)は下アームのIGBTT2のコレクタ・エミッタ間電圧VGEとコレクタ電流Icを、図10(d)は上アームのダイオードのアノード(IGBTT1のエミッタ)・カソード(IGBTT1のコレクタ)間電圧VAKとダイオードの順方向電流IFを、各々示している。細線はターンオン用ゲート抵抗3及びターンオフ用ゲート抵抗6の値を小さくした時の波形例で、太線はターンオン用ゲート抵抗3及びターンオフ用ゲート抵抗6の値を大きくした時の波形例である。ゲート抵抗値を大きくすると、IGBTとダイオードのスイッチング時の電流変化率(di/dt)と電圧変化率(dv/dt)が小さくなる。ゲート抵抗値を大きくしてノイズ発生を低減する方法とその対策例は特許文献1に記載されている。
特開平9−47015号公報 特許第3568848号公報 特許第3666843号号公報 特許第3941309号公報
上述のような方法はゲートの入力容量の充放電に時間がかかり、駆動回路にオンオフ信号が入力されてから実際にIGBTが動作するまでの時間が増加してしまうため、短時間でのIGBTのスイッチングが困難であり、スイッチング損失が増加するなどの問題がある。又、IGBT7のゲート・エミッタ間にコンデンサを接続する方法にはIGBTのゲート・エミッタ間容量を充放電する電流とコンデンサを充放電する電流が流れるため、駆動回路の電流容量を増加させる必要があり、駆動回路の電源容量が増加する問題がある。これらを解決するための発明として、特許文献2〜4があるが、いずれも高速化で低損失化は図れるがノイズ低減効果が小さいこと、部品点数が増加すること、制御が複雑化することなどの問題がある。
従って、本発明の課題は、スイッチング時間の遅れが小さく且つスイッチング損失を増加させずに、ノイズ低減効果の大きな電圧駆動型半導体素子の駆動回路を提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明の一の局面による電圧駆動型半導体素子の駆動回路は、第1の抵抗とこの第1の抵抗に並列接続されるコンデンサとからなる並列回路およびこの並列回路と直列に接続される第1のスイッチ素子を含む第1スイッチング回路を備える。第1スイッチング回路は、一端が駆動回路用電源の高電位端子と接続され、他端が前記電圧駆動型半導体素子のゲート端子と接続される。
そして、第1の抵抗に並列に接続されているコンデンサの容量値は、第1のスイッチ素子がオンして前記電圧駆動型半導体素子のゲート電圧が閾値電圧に達するときの前記電圧駆動型半導体素子の駆動電流値が極小となる値に設定されている。
本発明の一の局面による電圧駆動型半導体素子の駆動回路では、上記のように、電圧駆動型半導体素子のオン用ゲート抵抗(第1の抵抗)に並列にコンデンサが接続され、このコンデンサの容量値が、オン用スイッチ素子(第1のスイッチ素子)がオンして電圧駆動型半導体素子のゲート電圧が閾値電圧に達するときの駆動電流値が極小となる値に設定されるので、半導体素子のターンオン時のスイッチング損失を増加させることなく、ノイズを低減することができる。
上記一の局面による電圧駆動型半導体素子の駆動回路は、駆動回路用電源と第1スイッチング回路に加えて、第2スイッチング回路と第3の抵抗とを備えることができる。
この駆動回路において、駆動回路用電源は、第1の電源と第2の電源とを直列接続して構成されるとともに、その接続点が電圧駆動型半導体素子の低電位端子に接続される。第2のスイッチング回路は、第2の抵抗とこの第2の抵抗に直列に接続される第2のスイッチ素子とを含み、一端が第1スイッチング回路の他端に接続されるとともに、他端が駆動回路用電源の低電位端子に接続される。第3の抵抗は、第1のスイッチング回路と第2のスイッチング回路との接続点と電圧駆動型半導体素子のゲート端子との間に接続される。
また、上記一の局面による電圧駆動型半導体素子の駆動回路は、駆動回路用電源と第1スイッチング回路に加えて、第2スイッチング回路と第4の抵抗とを備えることができる。
この駆動回路において、駆動回路用電源は、第1の電源と第2の電源とを直列接続して構成されるとともに、その接続点が電圧駆動型半導体素子の低電位端子に接続される。第2のスイッチング回路は、第2の抵抗とこの第2の抵抗に直列に接続される第2のスイッチ素子とを含み、一端が第1スイッチング回路の他端に接続されるとともに、他端が駆動回路用電源の低電位端子に接続される。第4の抵抗は、第1のスイッチング回路内に備えられ、第1の抵抗とコンデンサとからなる並列回路に対して直列に接続される。
また、上記一の局面による電圧駆動型半導体素子の駆動回路は、駆動回路用電源と第1スイッチング回路に加えて、第2のスイッチ素子、第2の抵抗、第3の抵抗およびダイオードを備えることができる。
この駆動回路において、駆動回路用電源は、第1の電源と第2の電源とを直列接続して構成されるとともに、その接続点が電圧駆動型半導体素子の低電位端子に接続される。第1スイッチング回路は、一端に第1のスイッチ素子の一端が接続され、他端に並列回路の他端が接続されるとともに、第1のスイッチ素子の他端と並列回路の一端とが接続されて構成されている。第2のスイッチ素子は、第1のスイッチ素子の他端と駆動回路用電源の低電位端子との間に接続される。ダイオードは、アノードが並列回路の他端に接続されるとともに、カソードが第3の抵抗の一端に接続される。第3の抵抗の他端は、電圧駆動型半導体素子のゲート端子に接続される。第2の抵抗は、一端が並列回路の一端と接続され、他端がダイオードのカソードと接続される。
上記のように、本発明の一の局面による電圧駆動型半導体素子の駆動回路では、電圧駆動型半導体素子のオン用ゲート抵抗(第1の抵抗)に並列にコンデンサを接続し、このコンデンサの容量値を、オン用スイッチ素子(第1のスイッチ素子)がオンして電圧駆動型半導体素子のゲート電圧が閾値電圧に達するときの駆動電流値が極小となる値に設定している。
この結果、少ない部品で、半導体素子のターンオン時のスイッチング損失を増加させることなく、ノイズを低減することができる電圧駆動型半導体素子の駆動回路を提供することが可能となる。
本発明の第1の実施例を示す駆動回路図である。 図1の各部の動作波形図である。 図1の動作説明図である。 図3のコンデンサ容量とゲート閾値点電流との関係を示すグラフである。 本発明を適用した時のダイオード逆回復時の電圧波形例である。 従来のダイオード逆回復時の電圧波形例である。 本発明の第2の実施例を示す駆動回路図である。 本発明の第3の実施例を示す駆動回路図である。 従来例を示す駆動回路図例である。 図9における動作波形例である。 インバータ回路図例である。 図11の1相分のゲート駆動回路適用図例である。
本発明の要点は、コンデンサと第1の抵抗との並列回路と第1のスイッチ素子との直列回路からなるオン用の第1のスイッチング回路と、第2の抵抗と第2のスイッチ素子との直列回路からなるオフ用の第2のスイッチング回路と、前記第1のスイッチング回路と前記第2のスイッチング回路とを直列接続した駆動用スイッチ回路の直列接続点と電圧駆動型半導体素子のゲートとの間に接続された第3の抵抗と、を備え、前記駆動用スイッチ回路は駆動回路用電源と並列接続され、前記第1のスイッチ素子と前記第2のスイッチ素子とに前記電圧駆動型半導体素子用のオンオフ信号を外部から与えるようにしている点である。
図1に、本発明の第1の実施例を示す。従来技術の図9と同一部分には同一番号を付けてその説明を省略している。図1において、IGBT7のオンオフ信号はスイッチ素子としてのNPNトランジスタ4及びPNPトランジスタ5のベースに接続されており、トランジスタ4及びトランジスタ5はオンオフ信号に従ってそれぞれオンオフする。コンデンサ10を並列接続したターンオン用ゲート抵抗3及びターンオフ用ゲート抵抗6を介して、トランジスタ4及びトランジスタ5のエミッタが共通接続されてIGBT7のゲートに直列接続された内蔵抵抗9に接続され、IGBT7に対してゲート・エミッタ間電圧VGEを発生させる。トランジスタ4のコレクタはターンオン用ゲート抵抗3及びコンデンサ10を介してオン用の正側電源1の正極に接続され、トランジスタ5のコレクタはターンオフ用ゲート抵抗6を介してオフ用の負側電源2の負極に接続されている。
次に図1の回路動作について説明する。IGBT7をターンオフさせる動作については、従来技術で説明した動作と同様であるのでその説明は省略する。
外部より指令されるオンオフ信号が入力されると、その信号はトランジスタ4及びトランジスタ5へ入力される。この信号がオン信号であるとオフ用トランジスタ5をオフさせ、同時にオン用トランジスタ4をオンさせる。オン用トランジスタ4がオンすることにより、IGBT7のゲートの電荷は主に充電用コンデンサ10を通して充電され、IGBT7のゲート・エミッタ間電圧VGEが増加し、VGEがIGBT7のゲート閾値電圧値VGEthに達するとIGBT7はターンオンを始める。ゲート・エミッタ間電圧VGEがIGBT7のゲート閾値電圧値に達してIGBT7がターンオンを始めた時のゲート電流値をIGthと定める。
図2に、図1の動作波形を示す。図2(a)は下アームのIGBTのゲート・エミッタ間電圧VGEを、図2(b)は下アームのIGBTのゲート電流Igを、図2(c)は下アームのIGBTのコレクタ・エミッタ間電圧VCEとコレクタ電流Icを、図2(d)は上アームのダイオードのアノード(IGBTのエミッタ)・カソード(IGBTのコレクタ)間電圧VAKとダイオードの順方向電流Iを、各々示している。
図3(a)は、図1の構成を簡略化したもので、オン用トランジスタ4及びオン用正側電源1を省略し、オン用正側電源1の代わりにステップ電圧源13を接続したものである。オン用トランジスタ4のオン及びオフ用トランジスタ5のオフは、ステップ電圧源13
の電圧がオフ用負側電源2の設定電圧値からオン用正側電源1での設定電圧値に達することに相当する。IGBT7のゲートには内蔵抵抗9が接続されており、IGBT7のゲートと接続されていない片方をゲート端子として構成されている。IGBT7におけるゲート・エミッタ間電圧VGEは、IGBT7のゲートと接続されていない片方の端子とエミッ
タとの間の電圧である。又、IGBT7におけるゲート・エミッタ間電圧VGEchipは、IGBT7(チップ)のゲートとエミッタとの間の電圧である。ステップ電源13の
正極と、オン用ゲート抵抗3とオン用ゲート抵抗3と並列に接続された充電用コンデンサ10からなる構成部品とIGBT7の内蔵抵抗9が直列接続され、IGBT7のゲートと接続される。
IGBT7のゲート・エミッタ間には容量成分(Cies) があるため、ステップ電圧源1
3の負極とは容量成分(Cies) を介した接続形態となる。図3(a)において、ステップ電圧源13がオンになった瞬間には、図3(b)で示すように充電用コンデンサ10は無電圧状態であり、IGBT7のゲート・エミッタ間VGEにはステップ電圧源13の設定電圧が印加される。その後、ターンオン用オン抵抗3、充電用コンデンサ10、内蔵抵抗9
を介して容量成分(Cies)を充電していく。この間には一旦、ステップ電圧源13の設定電圧、ターンオン用オン抵抗3、充電用コンデンサ10、内蔵抵抗9及び容量成分(Cies) の各値で決まる電圧値になり、その後に再度ステップ電圧源13の設定電圧になる。即ち、図3(a)の回路構成ではステップ電圧源がオンになった瞬間のIGBT7のゲート・エ
ミッタ間電圧VGEは、充電用コンデンサ10が無い従来の駆動回路の場合より高くなる。又、これにより、駆動電流の立ち上がり時間及び減衰時間が短くなることが実験的に確かめられている。
又、ステップ電圧源13の設定電圧、ターンオン用オン抵抗3、充電用コンデンサ10、内蔵抵抗9及び容量成分(Cies)の値を適宜に設定することで、IGBT7のゲート・エ
ミッタ間電圧VGEがIGBT7のゲート閾値電圧値VGEthに達し、IGBT7がターンオンする時の駆動電流の値を極小にする事が可能になる。この条件は、下記の条件式で説明される。
ステップ電圧源13の設定電圧をE、ターンオン用オン抵抗3の値をRgon、充電用コンデンサ10の容量値をCsu、内蔵抵抗9の値をRgin及びIGBT7の容量成分(Cies)の値をCes
として、T1=Rgon・Csu、T2=Rgin・Ces、α=Rgon/Rgin とすると、
図3(a)のVGEは、下記のように求められる。
GE(s)=(T1*s+1)*(T2*s+1)*E/((T1*T2*s2+(T1+T2+α*T2)*s+1)*s・・・(1

GE(s)はラプラス変換式である。この逆変換式 VGE(t)は、
GE(t)=E+E*(1/T1+1/T2+α/T1)*(ep*t-eq*t) /(p-q)・・・(2)
p=(-1/2)*((1/T1+1/T2+α/T1)-√((1/T1+1/T2+α/T1)2-4/T1/T2)
q=(-1/2)*((1/T1+1/T2+α/T1)+√((1/T1+1/T2+α/T1)2-4/T1/T2)
となり、VGE(0)=E、VGE(∞)=Eとなるので、ステップ電圧源13がオンになった瞬間には、IGBT7のゲート・エミッタ間にはステップ電圧源13の設定電圧が印加されることがわかる。
容量成分(Cies)はIGBT7固有の値であるため、極小値をIGBT7のゲート閾値電圧値にするには、ステップ電圧源13の設定電圧、ターンオン用オン抵抗3、充電用コンデンサ10、内蔵抵抗9の値の選び方をかえることになる。
図3の回路における電流Iは、下記のように求められる。
(s)=Ces*(T1*s+1)*E/(T1*T2*s2+(T1+T2+αT2)*s+1)・・・(3)
(s)はラプラス変換式である。この逆変換式 I(t)は、
(t)=E*((p+1/T1)*ep*t-(q+1/T1)*eq*t) /Rgin/(p-q)・・・(4)
となる。
ターンオン時の電流変化率(di/dt)の大きさは、従来技術でも説明したようにターンオン用ゲート抵抗3の値でも変えることが可能であるが、本発明でゲート・エミッタ間電圧VGEがIGBT7のゲート閾値電圧値VGEthに達してIGBT7がターンオンを始めた時のゲート電流値IGthを式(4)の関係を用いて、コレクタ電流Icが問題のないターンオン時の電流変化率(di/dt)になるようなゲート電流値IGthにするためのステップ電圧源13の設定電圧、ターンオン用オン抵抗3、充電用コンデンサ10、内蔵抵抗9の各値を見出すことが可能となる。
図4は、IGBT7のゲート・エミッタ間容量成分(Cies)の値(Ces)が0.022μFの場合に対して、本発明の図3での充電用コンデンサ10の容量値を変化させた場合のゲート閾値電圧でのゲート電流値IGthの変化を示したものであり、極小値があることがわかる。図4からわかるように、極小値になる時の充電用コンデンサ10の容量値は、IGBT7の容量成分(Cies)の値(Ces)に対して1.5倍から2.0倍になっている。
図5は本発明の駆動回路を用いて実際にIGBTをスイッチングさせた時のターンオン波形を、図6は従来技術でIGBTをスイッチングさせた時のターンオン波形である。上アームのIGBTをターンオンさせた時に下アームのダイオードが逆回復した時の波形であり、本発明を用いた場合のダイオード電圧(対向アームのIGBTの電圧と同じ)VAKのサージ電圧及び振動は従来に比べて低いことがわかる。
図7に、本発明の第2の実施例を示す。第1の実施例との違いは、IGBT7の内蔵抵抗9がない場合の例であり、ターンオン用ゲート抵抗3を抵抗11と12に分割し、抵抗11と並列に充電コンデンサ10接続した構成である。第1の実施例で内蔵されていた抵抗9を抵抗12に置き換えたことになるが、実際には内蔵抵抗9がない場合にはターンオフ時のスイッチング速度が高速になりすぎる場合もあり、駆動回路とIGBT7のゲートとの間に抵抗を接続する場合もある。この場合には、抵抗12の一部を駆動回路とIGBT7のゲートとの間に接続すれば第1の実施例と同等の効果が得られる。
図8に、本発明の第3の実施例を示す。第1の実施例との違いは、ターンオン用ゲート抵抗3及びターンオフ用ゲート抵抗6を用いず、オン用トランジスタ4とオフ用トランジスタ5のエミッタ共通接続点と内蔵抵抗をゲート接続したIGBTモジュールとの間に第1の実施例と同様の機能を有する抵抗14、15とコンデンサ10とダイオード16とからなる回路を接続している点である。この回路の構成は、ターンオン用ゲート抵抗14と充電用コンデンサ10の並列回路とダイオード16とを直列接続した直列回路と並列にターンオフ用ゲート抵抗15を接続した構成である。効果は図1と同等である。IGBT7のゲート内蔵抵抗9を接続したモジュールでの実施例であるが、内蔵抵抗が無い場合には外側に内蔵抵抗9と同等の抵抗を接続すれば同等の効果が得られる。
尚、本発明の実施例は電圧駆動型半導体素子としてIGBTを用いた場合を説明したが、電圧駆動型半導体素子としてはMOSFETなどについても同様の効果が得られる。また、実施例ではオン用正側電源とオフ用負側電源を用いたが、オン用正側電源のみでも有効に働くことは明らかである。
本発明は、電圧駆動型半導体素子の駆動回路に関するものであり、IGBTやMOSFETを適用した電力変換装置全般に適用可能である。
1・・・オン用正側電源 2・・・オフ用負側電源
3、6、9、11、12、14、15・・・抵抗
4・・・スイッチ素子(NPNトランジスタ)
5・・・スイッチ素子(PNPトランジスタ)
7、T1〜T6・・・IGBT 8、16・・・ダイオード
10・・・コンデンサ DP・・・直流電源
GDU1、GDU2・・・ゲート駆動回路

Claims (4)

  1. 電圧駆動型半導体素子の駆動回路であって、
    第1の抵抗とこの第1の抵抗に並列接続されるコンデンサとからなる並列回路および前記並列回路と直列に接続される第1のスイッチ素子を含み、一端が駆動回路用電源の高電位端子と接続され、他端が前記電圧駆動型半導体素子のゲート端子と接続される第1スイッチング回路を備え、
    前記コンデンサの容量値は、前記第1のスイッチ素子がオンして前記電圧駆動型半導体素子のゲート電圧が閾値電圧に達するときの駆動電流値が極小となる値に設定されていることを特徴とする電圧駆動型半導体素子の駆動回路。
  2. 請求項1に記載の電圧駆動型半導体素子の駆動回路であって、
    前記駆動回路用電源は、第1の電源と第2の電源とを直列接続して構成されるとともに、その接続点が前記電圧駆動型半導体素子の低電位端子に接続されており、
    第2の抵抗とこの第2の抵抗に直列に接続される第2のスイッチ素子とを含み、一端が前記第1スイッチング回路の他端に接続され、他端が前記駆動回路用電源の低電位端子に接続される第2のスイッチング回路と、
    前記第1のスイッチング回路と前記第2のスイッチング回路との接続点と前記電圧駆動型半導体素子のゲート端子との間に接続される第3の抵抗と、
    を備えることを特徴とする電圧駆動型半導体素子の駆動回路。
  3. 請求項1に記載の電圧駆動型半導体素子の駆動回路であって、
    前記駆動回路用電源は、第1の電源と第2の電源とを直列接続して構成されるとともに、その接続点が前記電圧駆動型半導体素子の低電位端子に接続されており、
    第2の抵抗とこの第2の抵抗に直列に接続される第2のスイッチ素子とを含み、一端が前記第1スイッチング回路の他端に接続され、他端が前記駆動回路用電源の低電位端子に接続される第2のスイッチング回路と、
    前記第1スイッチング回路内に備えられ、前記並列回路と直列に接続される第4の抵抗と、
    を備えることを特徴とする電圧駆動型半導体素子の駆動回路。
  4. 請求項1に記載の電圧駆動型半導体素子の駆動回路であって、
    前記駆動回路用電源は、第1の電源と第2の電源とを直列接続して構成されるとともに、その接続点が前記電圧駆動型半導体素子の低電位端子に接続されており、
    前記第1スイッチング回路は、一端に前記第1のスイッチ素子の一端が接続され、他端に前記並列回路の他端が接続されるとともに、前記第1のスイッチ素子の他端と前記並列回路の一端とが接続されて構成されており、
    前記第1のスイッチ素子の他端と前記駆動回路用電源の低電位端子との間に接続される第2のスイッチ素子と、
    前記並列回路の他端にアノードが接続されるダイオードと、
    一端が前記並列回路の一端と接続され、他端が前記ダイオードのカソードと接続される第2の抵抗と、
    一端が前記ダイオードのカソードと接続され、他端が前記電圧駆動型半導体素子のゲート端子と接続される第3の抵抗と、
    を備えることを特徴とする電圧駆動型半導体素子の駆動回路。

JP2016227750A 2016-11-24 2016-11-24 電圧駆動型半導体素子の駆動回路 Active JP6288220B2 (ja)

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