JP2017073196A - 加熱装置、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、発熱体が設けられる基板に温度差が生じた場合でも該基板の破損を抑制することができる加熱装置を提供する。【解決手段】 セラミック基板61と、セラミック基板61上に設けられた抵抗発熱体62a,62bと、セラミック基板61の抵抗発熱体62a,62bを設けた面と反対側の面で、且つセラミック基板61の厚さ方向に投影したとき抵抗発熱体62a,62bとは重ならない位置に設けられた反り抑制部材65a〜65cであって、反り抑制部材65a〜65cの線膨張係数がセラミック基板61の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有する反り抑制部材65a〜65cとを有することを特徴とする。【選択図】 図4
Description
本発明は、耐熱性フィルムを介して記録材等の被加熱部材に熱エネルギーを付与する加熱装置、及びこれを備えた定着装置及び画像形成装置に関する。
従来、複写機、プリンタ等の画像形成装置に設けられる定着装置としては、熱ローラ方式やフィルム加熱方式のものが知られている。
フィルム加熱方式の定着装置では、熱ローラ方式の定着装置と比較して、スタンバイ時に電力を供給せず、消費電力を低く抑えることが可能な省エネルギーで、且つユーザの要求に応じて即時に使用可能なオンデマンドの定着装置として有効である。
フィルム加熱方式の定着装置は、セラミック基板と抵抗発熱体等で構成した定着ヒータを有する。更に、定着ヒータを支持する支持体と、定着ヒータと摺動する可撓性部材を有する。更に、可撓性部材を介して定着ヒータと圧接して定着ニップ部を形成する加圧部材と、を有する。
そして、定着ニップ部で未定着のトナー画像が形成された記録材を挟持搬送して、可撓性部材を介した定着ヒータからの熱により未定着のトナー画像を記録材上に永久画像として定着する。可撓性部材としては、耐熱性を有する薄膜の樹脂製や金属製のフィルムが用いられる。
図11(a)はフィルム加熱方式の定着装置118の比較例1の構成を示す断面説明図である。60は比較例1の加熱装置となる定着ヒータである。ヒータ基板としてアルミナ等のセラミック基板61を用いている。定着ヒータ60は図11(a)の紙面手前側から奥側に向かう方向を長手方向とする薄肉で細長い板状で構成される。
図11(b)は定着ヒータ60の構成を示す断面説明図である。定着ヒータ60は、セラミック基板61の一面側にセラミック基板61の長手方向に沿って形成された抵抗発熱体62a,62bを有する。更に、セラミック基板61の抵抗発熱体62a,62bを形成した面側を被覆するガラス層等の表面保護層63等を有する。定着ヒータ60は、全体が低熱容量の線状ヒータとされる。
図11(a)において、50は耐熱性を有する樹脂製等の支持体である。支持体50に設けた溝部52内に定着ヒータ60が嵌入される。定着ヒータ60の表面保護層63側が定着ヒータ60の表面側であり、表面保護層63側を外部に露呈させている。定着ヒータ60を溝部52内に嵌入して支持体50に支持される。
51は可撓性部材からなる定着フィルムである。54は加圧部材としての弾性を有する加圧ローラである。支持体50に支持された定着ヒータ60の表面に定着フィルム51を加圧ローラ54により加圧して密着させて定着ニップ部Nを形成する。
定着フィルム51は、加圧ローラ54が図11(a)の反時計回り方向に回転駆動されることにより加圧ローラ54に従動して支持体50の外周を図11(a)の矢印d方向に回転する。或いは、他の駆動手段により定着ニップ部Nにおいて定着フィルム51の内周面側が定着ヒータ60の表面に密着して定着ヒータ60の表面に摺動して図11(a)の矢印d方向に回転する。
定着ヒータ60は、抵抗発熱体62a,62bに対する通電により抵抗発熱体62a,62bが発熱して全体的に迅速に昇温する。そして、定着ヒータ60の温度状態が図示しない温度検知手段により検知され、温度検知手段から図示しない制御手段に定着ヒータ60の温度情報が入力される。制御手段は、温度検知手段により検知される定着ヒータ60の温度情報が所定の設定定着温度に維持されるように抵抗発熱体62a,62bへの供給電力を制御して定着ヒータ60を温調する。
加圧ローラ54に従動して定着フィルム51が支持体50の外周を図11(a)の矢印d方向に回転し、定着ヒータ60の抵抗発熱体62a,62bへの通電により抵抗発熱体62a,62bの温度が所定の定着温度に立ち上って温調される。
その状態で、定着フィルム51と加圧ローラ54との間の定着ニップ部Nに未定着のトナー画像9を担持させた記録材Pを図11(a)の矢印A方向に搬送して定着フィルム51と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送させる。
これにより抵抗発熱体62a,62bの熱は定着フィルム51を介して記録材P上の未定着のトナー画像9に付与される。これにより記録材P上の未定着のトナー画像9が熱溶融して記録材Pの表面に熱定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは、定着フィルム51の外周面から曲率分離されて定着装置118から排出される。
フィルム加熱方式の定着装置118における定着ヒータ60の支持方法は、支持体50に設けた溝部52に定着ヒータ60を嵌入する座面53を形成し、座面53と定着ニップ部Nとの間で定着ヒータ60を挟持する。
具体的な座面53の構成としては、図11(a)に示すように、支持体50に設けられた溝部52の底面を座面53として、座面53の全面で定着ヒータ60の背面を受け止める。
定着ヒータ60を用いたフィルム加熱方式の定着装置118では、過大な電力が供給されて定着ヒータ60内の一部の温度が急激に上昇する場合がある。その場合は、定着ヒータ60のセラミック基板61の内部で大きな温度差が生じる。これによりセラミック基板61の強度を超える熱応力が加わることで定着ヒータ60が破損する可能性があった。
例えば、定着ヒータ60の温調制御を行なうトライアックが故障する場合がある。ここでトライアックとは、三端子を持つ半導体スイッチング素子である。更に、定着装置118を含む画像形成装置8が制御不能になる場合もある。
定着装置118の暴走によって定着ヒータ60が過昇温し、定着ヒータ60に当接される温度ヒューズやサーモスイッチ等の過昇温防止素子が作動する以前にセラミック基板61が割れてしまう可能性があった。
定着ヒータ60と、支持体50の溝部52内に嵌入した定着ヒータ60を受ける座面53とを有して定着ニップ部Nを構成する。その場合、抵抗発熱体62a,62bからの熱は定着ニップ部N側と、定着ヒータ60自身と、定着ヒータ60を嵌入する座面53を介して支持体50側へ移動する。
図11(a)に示す定着装置118の場合、図11(b)に示す抵抗発熱体62a,62bが形成されていない定着ヒータ60の抵抗発熱体非形成領域Wnからも支持体50へ熱が移動する。このため図12(a),(b)に示すように、抵抗発熱体62a,62bが形成された抵抗発熱体形成領域Whと、抵抗発熱体62a,62bが形成されていない抵抗発熱体非形成領域Wnとの温度差ΔT1が大きくなる。
特許文献1では、図12(c),(d)に示す比較例2の定着ヒータ70の表面保護層63の面とは反対側に熱伝導部材71を設けている。これにより抵抗発熱体62a,62bから出た熱がセラミック基板61を介して熱伝導部材71に届き、そこから熱伝導部材71を伝わってセラミック基板61の全域に伝わる。
熱伝導部材71はセラミック基板61よりも熱伝導が良い。このため図12(a),(b)に示す比較例1のように、熱伝導部材71が無い場合と比べて、図12(c),(d)に示す抵抗発熱体62a,62bが形成されていない抵抗発熱体非形成領域Wnでもセラミック基板61の温度が上がる。これによりセラミック基板61内の温度差ΔT2が小さくなる。これにより熱応力の発生も小さくなり、定着ヒータ70が破壊する可能性が低くなる。
図12(a)〜(d)に示す比較例1、2の定着ヒータ60,70に対して同時間に同出力を抵抗発熱体62a,62bに加える。そのときの定着ヒータ60,70の表面温度を比較する。
そのとき、図12(c),(d)に示す比較例2のように、熱伝導部材71を設けた場合は、定着ヒータ70の全域に亘って熱が拡散し易くなる。このため定着ヒータ70内部の温度差ΔT2は小さくなるものの定着ヒータ70の最高温度Tp2は、図12(a),(b)に示す比較例1の定着ヒータ60の最高温度Tp1よりも低くなってしまう。
図7に示す曲線b,cは、図12(a)〜(d)に示す各比較例1、2の定着ヒータ60,70における抵抗発熱体62a,62bへの通電時間と、温度上昇との関係を示す。図7に示す曲線bは、図12(a)に示す熱伝導部材71が無い比較例1の定着ヒータ60の温度曲線を示す。曲線cは、図12(c)に示す熱伝導部材71を設けた比較例2の定着ヒータ70の温度曲線を示す。
図7の曲線b,cで示す各定着ヒータ60,70が未定着のトナー画像9の定着に必要な定着温度Tfまで到達するのに要する通電時間t1,t3を比較する。すると、図12(a),(b)に示す熱伝導部材71が無い比較例1の定着ヒータ60の通電時間t1よりも図12(c),(d)に示す熱伝導部材71を設けた比較例2の定着ヒータ70の通電時間t3の方が長くなっている。これは、比較例2の定着ヒータ70の立ち上げ時間の遅れや消費電力の増大を招く。
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、発熱体が設けられる基板に温度差が生じた場合でも該基板の破損を抑制することができる加熱装置を提供するものである。
前記目的を達成するための本発明に係る加熱装置の代表的な構成は、基板と、前記基板上に設けられた発熱体と、前記基板の前記発熱体を設けた面と反対側の面で、且つ前記基板の厚さ方向に投影したとき前記発熱体とは重ならない位置に設けられた熱膨張部材であって、前記熱膨張部材の線膨張係数が前記基板の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有する熱膨張部材と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、発熱体が設けられる基板に温度差が生じた場合でも該基板の破損を抑制することができる。
図により本発明に係る加熱装置及びこれを備えた定着装置及び画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
[第1実施形態]
先ず、図1〜図9を用いて本発明に係る加熱装置及びこれを備えた定着装置及び画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
<画像形成装置>
図1に示す本実施形態の画像形成装置8は、複写機に適用した一例である。図1において、画像形成装置8には、スキャナ部10、記録材Pにトナー画像9を形成する画像形成手段となる画像形成部11及び記録材Pを収容するシートデッキ12が設けられている。
図1に示す本実施形態の画像形成装置8は、複写機に適用した一例である。図1において、画像形成装置8には、スキャナ部10、記録材Pにトナー画像9を形成する画像形成手段となる画像形成部11及び記録材Pを収容するシートデッキ12が設けられている。
画像読取手段となるスキャナ部10は画像形成装置8本体の上部に設けられ、ブック原稿等の画像情報を読み取る。画像形成手段となる画像形成部11は、画像形成装置8本体の下部に設けられている。画像形成部11の下部には、シートデッキ12が設けられている。
<スキャナ部>
スキャナ部10には、光源151、プラテンガラス152、画像形成装置8本体に対して開閉可能な原稿圧板153、ミラー154、レンズ155、受光素子となる光電変換素子206及び画像処理部等が設けられている。
スキャナ部10には、光源151、プラテンガラス152、画像形成装置8本体に対して開閉可能な原稿圧板153、ミラー154、レンズ155、受光素子となる光電変換素子206及び画像処理部等が設けられている。
プラテンガラス152上に、本等のブック原稿やシート状の原稿を下向きにして載置して原稿圧板153により背面を押圧して静止状態でセットする。その後、図示しない読み取りスタートキーを押すと、光源151がプラテンガラス152の下部を図1の矢印a方向に走査して原稿面の画像情報を読み取る。
光源151の走査により読み取られた原稿の画像情報は、図示しない画像処理部で処理され、電気信号に変換されて、画像形成部11の像露光手段となるレーザスキャナ111に伝送される。
本実施形態の画像形成装置8は、画像形成部11のレーザスキャナ111に図示しない画像処理部の処理信号を入力すれば複写機として機能する。また、パーソナルコンピュータ等の外部装置48の出力信号を入力すればプリンタとして機能する。
また、他のファクシミリ装置からの信号を受信したり、図示しない画像処理部の信号を他のファクシミリ装置に送信したりすれば、ファクシミリ装置としても機能する。
<給送部>
画像形成部11の下部には、シートカセット1が装着されている。このシートカセット1は、下段カセット1aと上段カセット1bの二個で一つの給送ユニットU1,U2による合計で四個のシートカセット1が装着可能になっている。
画像形成部11の下部には、シートカセット1が装着されている。このシートカセット1は、下段カセット1aと上段カセット1bの二個で一つの給送ユニットU1,U2による合計で四個のシートカセット1が装着可能になっている。
図1の上方側に設けられた給送ユニットU1は、画像形成装置8本体に対して着脱可能に取り付けられ、図1の下方側に設けられた給送ユニットU2は、シートデッキ12に対して着脱可能に取り付けられている。
下段カセット1a及び上段カセット1b内に収容されたシート状の記録材Pは、給送回転体となるピックアップローラ3により繰り出され、フィードローラ4と、リタードローラ5との協動作用により一枚ずつ分離給送される。その後、搬送ローラ104,105によってレジストローラ106まで搬送される。
記録材Pは、レジストローラ106によって画像形成部11の画像形成動作に同期するようにして画像形成部11に設けられた感光ドラム112と転写ローラ115との転写ニップ部Rへと給送される。
シートカセット1(下段カセット1a、上段カセット1b)とは別に、画像形成装置8本体の側面には手差しトレイ6が設けられている。手差しトレイ6上の記録材Pは、給送ローラ7より一枚ずつ給送され、更に、搬送ローラ105によりレジストローラ106に搬送される。
<画像形成部>
画像形成部11は、像担持体となる感光ドラム112、像露光手段となるレーザスキャナ111、帯電手段となる帯電ローラ116、現像手段となる現像装置114、転写手段となる転写ローラ115等を備えている。
画像形成部11は、像担持体となる感光ドラム112、像露光手段となるレーザスキャナ111、帯電手段となる帯電ローラ116、現像手段となる現像装置114、転写手段となる転写ローラ115等を備えている。
帯電ローラ116により一様に帯電された感光ドラム112の表面に対してレーザスキャナ111から出射された画像情報に応じたレーザ光111aが走査露光されて静電潜像が形成される。その静電潜像に対して現像装置114により現像剤となるトナーが供給されることによりトナー画像9(現像剤画像)として現像される。
感光ドラム112の表面上に形成されたトナー画像9は、感光ドラム112の回転に同期してレジストローラ106により搬送された記録材Pの一面目に転写ローラ115により転写される。
図1において、117は、トナー画像9が転写された記録材Pを搬送する搬送部である。また、118は定着装置である。119,120は排出ローラである。トナー画像9が形成された記録材Pは、搬送部117により定着装置118に搬送される。
定着装置118により記録材P上の未定着のトナー画像9が加熱及び加圧されることによりトナーからなるトナー画像9が記録材Pの表面に加熱定着される。その後、排出ローラ119,120によって画像形成装置8本体の外部に設けられた排出トレイ122上に排出される。
記録材Pの両面にトナー画像9を形成する場合には、定着装置118から排出された記録材Pは排出ローラ120に狭持されて記録材Pの後端部が分岐点207を通過した時点で排出ローラ120が逆回転される。
これにより記録材Pは、両面パス157に導かれて両面トレイ121上に一旦載置される。その後、搬送ローラ104,105により搬送されて反転した後、レジストローラ106に搬送される。反転された記録材Pの二面目に前述したと同様にトナー画像9が形成された後、排出トレイ122上に排出される。
<定着装置>
次に、図2を用いて定着装置118の構成について説明する。図2は定着装置118と、その周辺部の構成を示す断面説明図である。図2に示すように、本実施形態の画像形成装置8は、回転する定着ベルトとなる定着フィルム51が設けられた定着装置118を備えている。
次に、図2を用いて定着装置118の構成について説明する。図2は定着装置118と、その周辺部の構成を示す断面説明図である。図2に示すように、本実施形態の画像形成装置8は、回転する定着ベルトとなる定着フィルム51が設けられた定着装置118を備えている。
更に、加圧部材となる加圧ローラ54、検知手段を構成するフォトインタラプタ22,23、検知センサ24,25、プリント制御部100、モータ制御部101を備えている。更に、像担持体となる感光ドラム112、転写手段となる転写ローラ115、記録材Pを搬送する搬送部117、定着装置118に設けられた加圧ローラ54を回転駆動するモータ13等を備えている。
感光ドラム112は、転写ローラ115に当接した状態で設けられている。感光ドラム112と転写ローラ115とが当接する転写ニップ部Rにより転写部が形成される。
搬送部117は、トナー画像9が形成された記録材Pを搬送する。検知センサ24,25には、それぞれ記録材Pが当接して押し回される図示しないフラグ部が設けてあり、フラグ部がフォトインタラプタ22,23の光路を遮光することによって記録材Pの到着及び通過を検知することができる。
本実施形態の定着装置118は、図2に示すように、テンションレスタイプのフィルム加熱方式を採用した定着装置118として構成される。定着フィルム51として円筒状(無端状)のものを用いる。定着フィルム51の周長の少なくとも一部はテンションフリー(テンションが加わらない状態)とする。定着フィルム51を加圧部材であって加圧回転体としての加圧ローラ54の回転駆動力で回転駆動するように構成したものである。
支持体50は、加熱装置となる定着ヒータ400を支持すると共に、定着フィルム51の内周面に摺動して定着フィルム51の回転をガイドする。支持体50は、断面半円弧状の樋型で形成され、耐熱性及び断熱性を有して構成される。本実施形態の支持体50は、耐熱モールド材で構成される。
定着ヒータ400は、支持体50に設けられた溝部52に嵌入され、溝部52の座面53に耐熱性接着剤等により接着して固定されている。支持体50は加圧ローラ54から受ける押圧力と、定着ヒータ400による撓みを抑えるために、板金からなるステー55によってバックアップされている。
円筒状で定着ベルトとなる定着フィルム51は、支持体50と、定着ヒータ400と、ステー55とからなるアセンブリに対してルーズに外嵌されている。
加圧ローラ54は、芯金54aの両端部を図示しない軸受部により回転自在に軸支されている。そして、定着フィルム51を外嵌させた支持体50、定着ヒータ400、ステー55からなるアセンブリを定着ヒータ400が下向きになるようにして加圧ローラ54の上側に配置する。
支持体50には、図示しない付勢手段により総圧で4kg〜20kgの押し下げ力を作用させる。これにより定着ヒータ400を加圧ローラ54に対して定着フィルム51を介在させて加圧ローラ54の弾性力に抗して圧接させてある。
定着フィルム51を挟んで定着ヒータ400と加圧ローラ54との間に定着ニップ部Nが形成される。本実施形態では、加圧ローラ54の外径直径が30mmに設定され、定着ニップ部Nの記録材Pの搬送方向(図2の左右方向)の幅は、8mmに設定される。
加圧ローラ54は図示しない駆動手段により動力伝達手段を介して回転駆動力が伝達されて図2の反時計回り方向に回転駆動される。加圧ローラ54の回転駆動により定着ニップ部Nにおける加圧ローラ54の外周面と、定着フィルム51の外周面との摩擦力で定着フィルム51に回転力が作用する。
これにより定着フィルム51が抵抗発熱体(発熱体)62a,62bの表面を覆う表面保護層63に密着摺動しながら支持体50の外周を図2の矢印d方向に回転駆動される。定着ベルトとなる定着フィルム51は、加熱装置となる定着ヒータ400の表面保護層63と摺動しつつ回転する。
支持体50は、定着フィルム51の回転移動を容易にする働きをする。定着ニップ部Nにおける定着ヒータ400と、定着フィルム51の内周面との摺動抵抗を低減するために支持体50の外周面と、定着フィルム51の内周面との間に耐熱性グリス等の潤滑剤を存在させると良い。
パーソナルコンピュータ等の外部装置48からのプリントスタート信号を画像形成装置8が受信する。或いは、画像形成装置8に設けられたコピーボタンが押される。或いは、記録材Pの搬送経路上で定着装置118よりも記録材Pの搬送方向上流側(図2の右側)に配置された記録材Pを検知する検知センサ24により記録材Pが検知される。
それらの信号に基づいて加圧ローラ54の回転駆動が開始され、これと同時に定着ヒータ400の抵抗発熱体62a,62bに通電されて加熱が開始される。
加圧ローラ54の回転により定着フィルム51の回転周速度が定常化し、定着ヒータ400の温度が所定の温度に立ち上がる。その状態において、定着フィルム51と加圧ローラ54との間の定着ニップ部Nに未定着のトナーからなるトナー画像9を担持した記録材Pがトナー画像9側を定着フィルム51側にして導入される。
これにより記録材Pは定着ニップ部Nにおいて定着フィルム51を介して定着ヒータ400に密着して定着ニップ部Nを定着フィルム51と一緒に移動通過していく。その移動過程において加熱装置となる定着ヒータ400の熱が定着フィルム51を介して記録材P上(記録材上)に形成された未定着のトナーからなるトナー画像9に付与されてトナーが熱溶融し、記録材Pの表面に熱定着される。
定着ニップ部Nを通過した記録材Pは、定着フィルム51の外周面から曲率分離されて排出ローラ119,120に搬送されて機外に設けられた排出トレイ122上に排出される。
本実施形態のようなテンションレスタイプのフィルム加熱方式の定着装置118は、以下の通りである。定着フィルム51の回転状態で定着ニップ部Nにテンションが作用する。更に、定着ニップ部Nよりも定着フィルム51の回転方向上流側の支持体50の外周面部分と、定着フィルム51との摺動部領域の定着フィルム51の部分のみにテンションが作用する。
そして、それ以外の定着フィルム51の部分にはテンションが作用しない。そのため定着フィルム51の駆動トルクが小さい。更に、定着フィルム51のステー55の長手方向に沿って寄る移動力が小さい。
<制御部>
次に、図3を用いて画像形成装置8の制御部の構成について説明する。図3において、プリント制御部100は、統合チップセット41及びデータの伝送路となるシステムバス(System Bus)42を介して制御手段となるCPU(Central Processing Unit;中央演算装置)43に接続される。
次に、図3を用いて画像形成装置8の制御部の構成について説明する。図3において、プリント制御部100は、統合チップセット41及びデータの伝送路となるシステムバス(System Bus)42を介して制御手段となるCPU(Central Processing Unit;中央演算装置)43に接続される。
統合チップセット41は、一連の関連のある複数の集積回路(IC;Iintegrated Circuit)を組み合わせて構成される。
CPU43は、記憶手段となるROM(Read Only Memory;リードオンリメモリ)44に記憶されたコンピュータプログラムに基づいて各種の演算処理を行う。ROM44には、画像形成装置8本体に設けられた給送ユニットU1やシートデッキ12に設けられた給送ユニットU2から画像形成部11へ給送される記録材Pの給送間隔情報が記憶されている。更に、定着装置118により未定着のトナー画像9が記録材Pに熱定着される定着温度情報が記憶されている。更に、給送される記録材Pの温度情報、印刷作業の残り枚数等の情報が格納されている。
電源OFF後もリチウム電池等のバックアップ手段により記憶した内容を保持するSRAM(Static Random Access Memory;スタティックランダムアクセスメモリ)45は以下の通りである。CPU43による演算処理における作業領域として利用される。
システムバス42には、操作パネル46と、USB(Universal Serial Bus)制御基板47とが接続されている。USB制御基板47は、パーソナルコンピュータ等の外部装置48と接続し、外部装置48から画像データ等を受信することが出来る。
統合チップセット41には、システムバス42に同期して動作するSDRAM (Synchronous Dynamic Random Access Memory)等からなる画像メモリ49が接続されている。画像メモリ49には、画像読取部を構成するスキャナ部10で読み取られた画像データ、或いは、パーソナルコンピュータ等の外部装置48から受信した画像データ等が一時的に記憶されて格納される。
プリント制御部100には、電力制御部600と、温度検知手段となるサーミスタ56が接続されている。サーミスタ56は、定着ヒータ400の近傍で、図11(a)に示すと同様に支持体50に設けられている。サーミスタ56により検知した温度を電圧に変換し、その電圧値から抵抗発熱体62a,62bの温度を決定する。
図示しない電源から入力された電力を電力制御部600により制御し、抵抗発熱体62a,62bに流れる電流を制御して抵抗発熱体62a,62bが適切な温度になるように制御する。
<加熱装置>
次に、図4を用いて加熱装置となる定着ヒータ400の構成について説明する。図4(a)は、定着ヒータ400を表面側から見た斜視説明図である。図4(b)は、定着ヒータ400を裏面側から見た斜視説明図である。図4(c)は、定着ヒータ400を短手方向に沿って切断した断面説明図である。
次に、図4を用いて加熱装置となる定着ヒータ400の構成について説明する。図4(a)は、定着ヒータ400を表面側から見た斜視説明図である。図4(b)は、定着ヒータ400を裏面側から見た斜視説明図である。図4(c)は、定着ヒータ400を短手方向に沿って切断した断面説明図である。
本実施形態の定着ヒータ400は、図4(a)〜(c)に示すように、アルミナと、窒化アルミ等を主材料とする耐熱性及び絶縁性を有する細長い板材で構成されるセラミック基板(基板)61を有する。セラミック基板61は、図11(a)の矢印d方向で示す定着フィルム51の回転方向(図11(a)の矢印A方向で示す記録材Pの搬送方向)に対して直交する方向を長手方向として構成される。
図4(a)に示すように、セラミック基板61の表面側(基板上)には、二本の長尺状の抵抗発熱体62a,62bがセラミック基板61の長手方向に沿って並行に形成されている。
抵抗発熱体62a,62bは、銀パラジウム(Ag/Pd)や窒化タンタル(Ta2N)等の通電発熱抵抗体ペーストを用いてスクリーン印刷等でセラミック基板61の表面上にパターン形成し、焼成することによりセラミック基板61の表面側に形成される。
図4(a)に示すように、抵抗発熱体62aの両端部には、給電用配線パターン62c,62dが電気的に接続されている。給電用配線パターン62c,62dもセラミック基板61の表面側に形成される。また、抵抗発熱体62bの両端部には給電用配線パターン62e,62fが電気的に接続されている。給電用配線パターン62e,62fもセラミック基板61の表面側に形成される。
給電用配線パターン62c〜62fは、銀(Ag)等の導電体ペーストを用いてスクリーン印刷等でセラミック基板61の表面上にパターン形成し、焼成することによりセラミック基板61の表面側に形成される。
図4(c)に示す63は、定着ヒータ400の表面を保護して絶縁性を確保するためのガラスコーティング焼成層からなる表面保護層である。表面保護層63は、図4(a)に示す抵抗発熱体62a,62bと、給電用配線パターン62c〜62fの一部を覆うように形成される。
図4(b)に示すように、セラミック基板61の抵抗発熱体62a,62bを設けた表面側の面と反対側(裏面側)の面には、セラミック基板61の長手方向に沿って並行に三本の熱膨張部材となる反り抑制部材65a〜65cが形成されている。
図4(c)に示すように、セラミック基板61の裏面側に設けられる反り抑制部材65a〜65cは以下の通りである。セラミック基板61の厚さ方向(図4(c)の上下方向)に投影したとき、セラミック基板61の表面側に設けられる抵抗発熱体62a,62bとは重ならない位置に設けられている。
本実施形態では、図4(c)に示すように、セラミック基板61の抵抗発熱体62a,62bを設けた表面側の面と反対側(裏面側)の面に断熱層となる空気層14a,14bが設けられている。空気層14a,14bは、セラミック基板61の厚さ方向(図4(c)の上下方向)に投影したとき、セラミック基板61の抵抗発熱体62a,62bを設けた面と反対側の面で、抵抗発熱体62a,62bに対向する位置に設けられている。図6に示すように、空気層14a,14bの熱伝導率は、セラミック基板61の熱伝導率よりも小さい。
或いは、空気層14a,14bの代わりに、セラミック基板61の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する断熱部材を設けることも出来る。断熱部材の一例としては、図6に示すように、セラミック基板61の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する発泡ポリイミド等を用いることが出来る。
抵抗発熱体62a,62bに通電することにより発生した熱は、図12(c)に示すように、熱伝導部材71がセラミック基板61の全面にある定着ヒータ70だと熱伝導部材71を伝わり抵抗発熱体62a,62bに対向する位置を加熱してしまう。これにより抵抗発熱体62a,62bの表面温度を低下させてしまう。
一方、図4(c)に示すように、抵抗発熱体62a,62bに対向する位置に断熱層として空気層14a,14bや断熱部材を設ける。これにより抵抗発熱体62a,62bに通電することにより発生した熱が抵抗発熱体62a,62bに対向する位置に伝達されることを抑制することが出来る。これにより抵抗発熱体62a,62bの表面温度の低下を防止することができる。
<熱応力>
次に、図5を用いてセラミック基板61の熱応力について説明する。図5(a)は、比較例1の定着ヒータ60の構成を示す斜視説明図である。図5(b)は、本実施形態の定着ヒータ400の構成を示す斜視説明図である。
次に、図5を用いてセラミック基板61の熱応力について説明する。図5(a)は、比較例1の定着ヒータ60の構成を示す斜視説明図である。図5(b)は、本実施形態の定着ヒータ400の構成を示す斜視説明図である。
図5(a),(b)に示す矢印E1は、各定着ヒータ60,400におけるセラミック基板61の熱膨張による伸び量と方向を示す。矢印E2は、抵抗発熱体62a,62bの熱膨張による伸び量と方向を示す。
図5(b)に示す矢印E3は、本実施形態の定着ヒータ400における熱膨張部材となる反り抑制部材65a〜65cの熱膨張による伸び量と方向を示す。図5(b)に示す矢印E4は、本実施形態の定着ヒータ400におけるセラミック基板61が反り抑制部材65a〜65cの熱膨張に伴って更に伸びた伸び量と方向を示す。
図5(a)、図11(b)及び図12(a)に示す比較例1の定着ヒータ60の場合は以下の通りである。図12(a),(b)に示すように、セラミック基板61の抵抗発熱体62a,62bが形成された抵抗発熱体形成領域Whを考慮する。更に、抵抗発熱体62a,62bが形成されていない抵抗発熱体非形成領域Wnを考慮する。両者の温度差ΔT1が大きい。
このため図5(a)に示すように、セラミック基板61の熱膨張による矢印E1で示す伸び量と、抵抗発熱体62a,62bの熱膨張による矢印E2で示す伸び量との差も大きくなる。これにより比較例1の定着ヒータ60の場合、図5(c)の曲線eで示すように、図5(a)の矢印E1,E2で示すそれぞれの伸び量の差により大きな応力が発生する。
そして、図5(c)に示すように、比較例1の定着ヒータ60の短手方向の位置において定着ヒータ60が破壊する応力の境界Sbを超える箇所が存在するため定着ヒータ60が割れてしまう。
一方、図4(c)及び図5(b)に示す本実施形態の定着ヒータ400は以下の通りである。セラミック基板61の抵抗発熱体62a,62bを設けた表面側の面と反対側(裏面側)の面に熱膨張部材となる反り抑制部材65a〜65cが設けられる。反り抑制部材65a〜65cは、セラミック基板61の厚さ方向(図4(c)の上下方向)に投影したとき抵抗発熱体62a,62bとは重ならない位置に設けられる。
ここで、熱膨張部材となる反り抑制部材65a〜65cの線膨張係数は、セラミック基板61の線膨張係数よりも大きく、且つ反り抑制部材65a〜65cの線膨張係数は、抵抗発熱体62a,62bの線膨張係数と同等以上に設定される。
これにより定着ヒータ400の抵抗発熱体62a,62bが形成される抵抗発熱体形成領域Whと、抵抗発熱体62a,62bが形成されていない抵抗発熱体非形成領域Wnとの温度差ΔTが大きい場合であっても以下の通りである。
図5(b)の矢印E1で示すセラミック基板61の熱膨張による伸び量に加えて、矢印E3で示す反り抑制部材65a〜65cの熱膨張による伸び量に伴って矢印E4で示す伸び量だけセラミック基板61が更に伸びる。
このため図4(c)及び図5(b)に示す本実施形態の定着ヒータ400のセラミック基板61の抵抗発熱体62a,62bが形成されていない抵抗発熱体非形成領域Wnにおける総合的な伸び量は、{矢印E1の伸び量+矢印E4の伸び量}となる。
図4(c)及び図5(b)に示す本実施形態の定着ヒータ400の抵抗発熱体62a,62bが形成される抵抗発熱体形成領域Whにおける矢印E2で示す抵抗発熱体62a,62bの熱膨張による伸び量と比較すると以下の通りである。両者の差は、図5(a)に示す矢印E1の伸び量と、矢印E2の伸び量との差よりも小さい。
これにより図5(c)の曲線fで示す本実施形態の定着ヒータ400のセラミック基板61に作用する応力の発生量も少なくなる。このため本実施形態の定着ヒータ400の短手方向の位置において定着ヒータ400が破壊する応力の境界Sbを超える箇所が存在せず定着ヒータ400が割れることがない。
また、熱膨張部材となる反り抑制部材65a〜65cは、抵抗発熱体62a,62bにより加熱されるセラミック基板61の熱分布に応じて配置される。特に、抵抗発熱体62a,62bの反対側は温度が高くなるので、その部分を避けるように配置することが望ましい。
これにより定着装置118により未定着トナーからなるトナー画像9を記録材Pに熱定着する際の定着に必要な温度に対する定着ヒータ400のひびや割れの発生を抑制することができる。
具体的には、図6に示すように、セラミック基板61を構成する材料として、アルミナ、窒化アルミニウムが採用できる。更に、抵抗発熱体62a,62bや熱膨張部材となる反り抑制部材65a〜65cを構成する材料として、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)のペースト等が採用できる。それぞれの熱膨張係数は図6に示す通りである。
図11(a)に示して前述した比較例1と同様に、本実施形態の定着ヒータ400は、セラミック基板61の表面側に設けられた抵抗発熱体62a,62bを図11(a)の下向きにして支持体50に形成された溝部52内に嵌入して固定される。
図4(a)に示すように、定着ヒータ400の長手方向の両端部側に設けられた各給電用配線パターン62c〜62fには、それぞれ図示しない給電用コネクタが電気的に接続して装着される。
そして、図示しないヒータ駆動回路側から給電用コネクタに電気的に接続された給電用配線パターン62c,62dを介して抵抗発熱体62aに電力供給がなされて通電され抵抗発熱体62aが発熱する。
また、給電用コネクタに電気的に接続された給電用配線パターン62e,62fを介して抵抗発熱体62bに電力供給がなされて通電され抵抗発熱体62bが発熱する。各抵抗発熱体62a,62bの発熱により定着ヒータ400が迅速に昇温する。
次に、図5及び図7を用いて本実施形態の効果について説明する。図5(c)は、図5(a)に示す比較例1の定着ヒータ60と、図5(b)に示す本実施形態の定着ヒータ400のそれぞれの加熱時に各定着ヒータ60,400の短手方向の位置に発生する応力を比較した図である。
図5(c)に示す曲線eは、図5(a)に示す比較例1の定着ヒータ60の短手方向の位置に発生する応力を示す。図5(c)に示す曲線fは、図5(b)に示す本実施形態の定着ヒータ400の短手方向の位置に発生する応力を示す。
図5(c)の縦軸に示すSbは、各定着ヒータ60,400が破壊する応力の境界を示す。各定着ヒータ60,400が破壊する応力の境界Sbよりも大きな応力が各定着ヒータ60,400に作用すると、定着ヒータ60,400は破損する。
従って、図5(a)に示す比較例1の定着ヒータ60に作用する応力は、図5(c)に示す曲線eに示すように、定着ヒータ60が破壊する応力の境界Sbよりも大きな応力が定着ヒータ60に作用するため定着ヒータ60は破損する。
一方、図5(b)に示す本実施形態の定着ヒータ400に作用する応力は、図5(c)に示す曲線fに示すように、定着ヒータ400が破壊する応力の境界Sbよりも小さな応力しか定着ヒータ400に作用しない。このため定着ヒータ400は破損することがない。
図5(a)及び図12(a)に示す比較例1のように、セラミック基板61の表面側に抵抗発熱体62a,62bだけが設けられた定着ヒータ60を考慮する。
更に、図4(c)及び図5(b)に示す本実施形態のように、セラミック基板61の表面側に抵抗発熱体62a,62b設けられ、セラミック基板61の裏面側に反り抑制部材65a〜65cが設けられた定着ヒータ400を考慮する。
更に、図12(c)に示す比較例2のように、セラミック基板61の表面側に抵抗発熱体62a,62b設けられ、セラミック基板61の裏面側に熱伝導部材71が設けられた定着ヒータ70を考慮する。
図7は、これらの定着ヒータ60,70,400に同時間に同電圧を印加して通電させたときの抵抗発熱体62a,62bの表面の温度Tと通電時間tとを示す図である。
抵抗発熱体62a,62bに通電を開始してから抵抗発熱体62a,62b上の温度Tが定着装置118により未定着のトナー画像9を記録材Pに熱定着するために必要な定着温度Tfまで到達するのに要する通電時間tを比較する。
すると、図5(a)及び図12(a)に示す熱伝導部材71も反り抑制部材65a〜65cも無い比較例1の定着ヒータ60では、図7の曲線bで示すように通電時間t1で定着温度Tfに到達する。
一方、図4(c)及び図5(b)に示す反り抑制部材65a〜65cが設けられた本実施形態の定着ヒータ400では、図7の曲線gで示すように通電時間t2(t1<t2<t3)で定着温度Tfに到達する。
図4(c)及び図5(b)に示す反り抑制部材65a〜65cが設けられた本実施形態の定着ヒータ400は以下の通りである。定着温度Tfに到達するまでに要する通電時間t2の方が、図5(a)及び図12(a)に示す熱伝導部材71も反り抑制部材65a〜65cも無い比較例1の定着ヒータ60が定着温度Tfに到達するまでに要する通電時間t1よりも長い。
一方、図12(c)に示す熱伝導部材71が設けられた比較例2の定着ヒータ70では、図7の曲線cで示すように通電時間t3(>t2>t1)で定着温度Tfに到達する。
図4(c)及び図5(b)に示す反り抑制部材65a〜65cが設けられた本実施形態の定着ヒータ400は以下の通りである。定着温度Tfに到達するまでに要する通電時間t2の方が、図12(c)に示す熱伝導部材71が設けられた比較例2の定着ヒータ70が定着温度Tfに到達するまでに要する通電時間t3よりも短い。
本実施形態では、図4(c)及び図5(b)に示すように、定着ヒータ400のセラミック基板61の表面保護層63側に設けられる抵抗発熱体62a,62bとは反対側に反り抑制部材65a〜65cを設ける。反り抑制部材65a〜65cは、セラミック基板61の厚さ方向(図4(c)の上下方向)に投影したとき抵抗発熱体62a,62bとは重ならない位置に設けられる。
図6に示すように、反り抑制部材65a〜65cの線膨張係数は、セラミック基板61の線膨張係数よりも大きい。これにより抵抗発熱体62a,62bの発熱によるセラミック基板61内の温度差に起因する熱応力による割れの発生を防ぐことが可能となる。
また、図7に示すように、図12(c)に示す熱伝導部材71が設けられた比較例2の定着ヒータ70が定着温度Tfに到達するまでに要する通電時間t3よりも短い通電時間t2で本実施形態の定着ヒータ400が定着温度Tfに到達する。これにより定着ヒータ400の立ち上げ時間を短縮することができる。
<立ち上げ時間>
次に、図8を用いて本実施形態の定着ヒータ400と、熱伝導部材71が設けられた比較例2の定着ヒータ70との立ち上げ時間の差について説明する。
次に、図8を用いて本実施形態の定着ヒータ400と、熱伝導部材71が設けられた比較例2の定着ヒータ70との立ち上げ時間の差について説明する。
本実施形態の定着ヒータ400と、比較例2の定着ヒータ70とをそれぞれ定着装置118に組み込んだ画像形成装置8を考慮する。その画像形成装置8の電源(同電力)を入れたときに各定着ヒータ70,400を組み込んだ定着装置118の温度と立ち上げ時間との関係を図8に示す。
図8に示す直線hは、図4(c)及び図5(b)に示す本実施形態の定着ヒータ400を組み込んだ定着装置118の温度と立ち上げ時間との関係を示す。図8に示す直線iは、図12(c)に示す比較例2の定着ヒータ70を組み込んだ定着装置118の温度と立ち上げ時間との関係を示す。
図12(c)に示す比較例2のように、熱伝導部材71が設けられた定着ヒータ70では、熱伝導部材71の作用により定着ヒータ70全体を昇温させてしまう。このため図8の直線iで示すように、定着装置118の目標温度Tmに到達するまでの立ち上げ時間t5が遅くなる。
一方、図4(c)及び図5(b)に示すように、反り抑制部材65a〜65cが設けられた本実施形態の定着ヒータ400では、抵抗発熱体62a,62bが設けられた一部分のみで昇温が早い。このため図8の直線hで示すように、定着装置118の目標温度Tmに到達するまでの立ち上げ時間t4(<t5)が早くなる。
これによりプラテンガラス152上に原稿をセットしてコピーボタン(スタートボタン)を押してから、最初の記録材Pが出てくるまでの時間であるファーストコピータイム(FCOT)を短くすることが可能となる。
<定着ヒータ割れ>
次に図9を用いて本実施形態の定着ヒータ400と、比較例1の定着ヒータ60との定着ヒータ割れの差について説明する。
次に図9を用いて本実施形態の定着ヒータ400と、比較例1の定着ヒータ60との定着ヒータ割れの差について説明する。
図4(c)及び図5(b)に示す本実施形態の定着ヒータ400と、図5(a)及び図12(a)に示す比較例1の定着ヒータ60とをそれぞれ定着装置118に組み込んだ画像形成装置8を考慮する。そして画像形成装置8の電源(同電力)を入れたときに各定着ヒータ60,400の立ち上げ時間と定着装置118の温度との関係を図9に示す。
図9の直線j,k,lは、図5(a)及び図12(a)に示すように、熱伝導部材71も反り抑制部材65a〜65cも無い比較例1の定着ヒータ60を組み込んだ定着装置118の温度と立ち上げ時間との関係を示す。
図9の直線n,q,rは、図4(c)及び図5(b)に示すように、反り抑制部材65a〜65cが設けられた本実施形態の定着ヒータ400を組み込んだ定着装置118の温度と立ち上げ時間との関係を示す。
図9の直線j,nは、それぞれ室温環境からの立ち上がりを示す。図9の直線k,qは、それぞれ低温環境からの立ち上がりを示す。図9の直線l,rは、それぞれ室温環境で、画像形成装置8が暴走したときの立ち上がり示す。図9の直線k,lの端点k1,l1は、それぞれ比較例1の定着ヒータ60が破壊したことを示している。
図9の直線jで示すように、図5(a)及び図12(a)に示す熱伝導部材71も反り抑制部材65a〜65cも無い比較例1の定着ヒータ60を組み込んだ定着装置118の室温環境からの温度と立ち上げ時間との関係では問題ない。
一方、図9の直線k,lで示すように、比較例1の定着ヒータ60を組み込んだ定着装置118の低温環境からの温度と立ち上げ時間との関係や室温環境で暴走時の温度と立ち上げ時間との関係では以下の通りである。
定着ヒータ60のセラミック基板61の温度が低いときや抵抗発熱体62a,62bが急激に発熱する。すると、セラミック基板61の内部で大きな温度差が生じ、セラミック基板61の強度を超える熱応力が発生してしまう。このため定着ヒータ60が破損してしまう。
一方、図9の直線q,rで示すように、反り抑制部材65a〜65cが設けられた本実施形態の定着ヒータ400のセラミック基板61の温度が低いときや抵抗発熱体62a,62bが急激に発熱する。その場合もセラミック基板61の内部で大きな温度差が生じることがない。これによりセラミック基板61の強度を超える熱応力が発生することもなく定着ヒータ400が破損することがなかった。
[第2実施形態]
次に、図10を用いて本発明に係る加熱装置及びこれを備えた定着装置及び画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
次に、図10を用いて本発明に係る加熱装置及びこれを備えた定着装置及び画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
前記第1実施形態では、図4(a)に示すように、セラミック基板61の表面側のみに抵抗発熱体62a,62bを設けた一例である。
本実施形態では、図4(b)に示す第1実施形態のセラミック基板61の裏面側に設けられる熱膨張部材となる反り抑制部材65a〜65cを図10(b)に示すように、通電により発熱する抵抗発熱体62g〜62iに置き換えたものである。
本実施形態において熱膨張部材となる抵抗発熱体62g〜62iは、セラミック基板61の抵抗発熱体62a,62bを設けた表面側の面と反対側(裏面側)の面に設けられる。更に、セラミック基板61の厚さ方向(図10(c)の上下方向)に投影したとき抵抗発熱体62a,62bとは重ならない位置に設けられる。
本実施形態においても図6に示すように、熱膨張部材となる抵抗発熱体62g〜62iの線膨張係数は、セラミック基板61の線膨張係数よりも大きい。更に、抵抗発熱体62g〜62iの線膨張係数は、抵抗発熱体62a,62bの線膨張係数と等しい(同等)。
各抵抗発熱体62g〜62iの長手方向の両端部には、給電用配線パターン62j,62kが電気的に接続されている。給電用配線パターン62j,62kには、それぞれ図示しない給電用コネクタが電気的に接続して装着される。
これにより定着ヒータ700の短手方向(図10(c)の左右方向)の端部にも抵抗発熱体62g,62iにより熱を加えることが可能になる。
これにより通常は温度が低くなりがちな定着ヒータ700の短手方向の端部(図10(c)の左右端部)に熱を加えて温度を上げることで定着ヒータ700内の温度差が小さくなる。これによりセラミック基板61の熱膨張による伸び量の差が減る。これにより熱応力の発生も小さくなりセラミック基板61の破壊が発生しない。
また、図10(b)に示す熱膨張部材となる抵抗発熱体62g〜62iは、未定着のトナー画像9を記録材Pに熱定着するために使用するものではない。このため熱膨張部材となる抵抗発熱体62g〜62iに通電して発生する発熱量は、図10(a)に示す抵抗発熱体62a,62bに通電して発生する発熱量よりも小さい。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
61…セラミック基板(基板)
62a,62b…抵抗発熱体(発熱体)
65a〜65c…反り抑制部材(熱膨張部材)
62a,62b…抵抗発熱体(発熱体)
65a〜65c…反り抑制部材(熱膨張部材)
Claims (10)
- 基板と、
前記基板上に設けられた発熱体と、
前記基板の前記発熱体を設けた面と反対側の面で、且つ前記基板の厚さ方向に投影したとき前記発熱体とは重ならない位置に設けられた熱膨張部材であって、前記熱膨張部材の線膨張係数が前記基板の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有する熱膨張部材と、
を有することを特徴とする加熱装置。 - 前記熱膨張部材は、前記発熱体の線膨張係数と同等以上の線膨張係数を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
- 前記基板の前記発熱体を設けた面と反対側の面で、且つ前記基板の厚さ方向に投影したとき前記発熱体に対向する位置に断熱層を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加熱装置。
- 前記断熱層が前記基板の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する断熱部材であることを特徴とする請求項3に記載の加熱装置。
- 前記断熱層が空気層であることを特徴とする請求項3に記載の加熱装置。
- 前記熱膨張部材は、前記基板の熱分布に応じて配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の加熱装置。
- 前記熱膨張部材は、通電により発熱することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の加熱装置。
- 前記熱膨張部材の発熱量は、前記発熱体の発熱量よりも小さいことを特徴とする請求項7に記載の加熱装置。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の加熱装置と、
前記加熱装置と摺動しつつ回転する定着ベルトと、
を有し、
前記定着ベルトを介した前記加熱装置からの熱により記録材上に形成された未定着のトナーを加熱定着することを特徴とする定着装置。 - 記録材に画像を形成する画像形成手段と、
請求項9に記載の定着装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
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Cited By (4)
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WO2018182038A1 (ja) | 2017-03-31 | 2018-10-04 | 新日鉄住金化学株式会社 | 金属-繊維強化樹脂材料複合体及びその製造方法 |
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2015
- 2015-10-05 JP JP2015197283A patent/JP2017073196A/ja active Pending
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WO2018124215A1 (ja) | 2016-12-28 | 2018-07-05 | 新日鉄住金化学株式会社 | 金属-繊維強化樹脂材料複合体、その製造方法及び接着シート |
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CN111656514B (zh) * | 2018-01-22 | 2024-04-16 | 三菱电机株式会社 | 半导体封装件 |
EP4075202A1 (en) * | 2021-04-12 | 2022-10-19 | Toshiba Lighting & Technology Corporation | Heater, and image forming apparatus |
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