JP4659205B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ・複写機・ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【0002】
より詳しくは、記録材上に形成担持させた未定着画像を定着する装置としてフィルム加熱方式の加熱定着装置(以下、定着器と記す)を用いている画像形成装置の改善に係る。
【0003】
【従来の技術】
従来、電子写真方式・静電記録方式等の画像形成装置において、記録材上に形成担持させた未定着画像を加熱定着する定着器としては、熱ローラ方式やフィルム加熱方式の装置が広く用いられている。
【0004】
フィルム加熱方式の定着器は、特開昭63−313182号公報・特開平2−157878号公報・特開平4−44075号公報・特開平4−204980号公報等に提案されており、スタンバイ時に電力を供給せず、消費電力を極力低く抑えることが可能な、省エネルギー・オンデマンド定着器として有効である。
【0005】
基本的には、支持体に固定支持させたヒータ(加熱部材、加熱体)と、該ヒータと摺動する耐熱性・薄肉のフィルム(定着フィルム)と、該フィルムを介してヒータと圧接して定着ニップを形成する加圧部材としての加圧ローラと、を有し、定着ニップのフィルムと加圧ローラの間で未定着画像が形成された記録材を挟持搬送してヒータの熱で未定着画像を永久画像として加熱定着させるものである。
【0006】
ヒータには一般にセラミックヒータが使用される。例えば、アルミナ(Al23)等の電気絶縁性・良熱伝導性・低熱容量のセラミック基板をヒータ基板とし、その面に銀パラジューム(Ag/Pd)・Ta2N等の通電発熱抵抗層をスクリーン印刷等で形成具備させ、さらに該通電発熱抵抗層形成面を薄肉ガラス保護層で覆ってなるものである。このセラミックヒータは通電発熱抵抗層に通電がなされることにより該通電発熱抵抗層が発熱してセラミック基板・ガラス保護層を含むヒータ全体が急速昇温する。このヒータの昇温がヒータ背面に配置された温度検知手段により検知されて通電制御部へフィードバックされる。通電制御部は温度検知手段で検知されるヒータ温度が所定のほぼ一定温度(定着温度)に維持されるように通電発熱抵抗層に対する通電を制御する。すなわちヒータは所定の定着温度に加熱・温調される。
【0007】
オンデマンド定着器である上記のようなフィルム加熱方式の定着器を用いた画像形成装置においては、プリント信号を受けた時点から前記定着器のヒータに通電を開始し、画像形成装置の前回転中にヒータの立ち上げを行い、所定温度に達してから定着動作を行う。この際、定着性向上及び加圧ローラ汚れ防止の観点からは、加圧ローラ温度をできるだけ高くすることが好ましい。その理由としては、▲1▼.加圧ローラ温度を高くすることにより、加圧ローラ側からの紙(記録材)の加熱効果が、紙とトナー間の接着力を増加させ、定着性が向上する、▲2▼.加圧ローラに付着したトナーが加圧ローラ温度が高いほど紙裏に転移しやすくなり、加圧ローラ表面に蓄積しずらくなるという2点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
加圧ローラを暖める方法としては、画像形成装置の前回転時間を長くする方法や、前回転時のヒータ温度を高くする方法がある。
【0009】
前回転時間を長くする方法はFPT(ファーストプリントタイム)が極度に遅くなるため、前回転時の温度を定着温度より高く設定することが効率的に加圧ローラを暖める方法として有効である。
【0010】
しかし、画像形成装置の高速化に伴って定着温度の高温化が進んでおり、画像形成装置の前回転時に定着器のヒータについて定着温度以上の温度に立ち上げるような急激な加熱を行うと、ヒータとして現在使用しているアルミナをヒータ基板としているものでは、ヒータ基板内熱応力によりヒータ割れが発生する場合があるという問題があった。
【0011】
そこで本発明は、フィルム加熱方式の定着器を用いている画像形成装置について、画像形成装置の前回転時のヒータ温度をヒータ割れを生じさせることなく高くすることを可能にして加圧ローラ(加圧部材)の温度を高め、定着性の改善及び加圧ローラ汚れの防止を図ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする、フィルム加熱方式の定着器を用いている画像形成装置である。
【0013】
窒化アルミニウムの基板上に発熱抵抗体を有するヒータと、内面が該ヒータと摺動する筒状のフィルムと、該フィルムを介して前記ヒータと圧接して定着ニップを形成する加圧ローラと、前記ヒータの温度を検知する温度検知素子と、を有し、前記加圧ローラを駆動することにより前記フィルムが従動回転し、前記定着ニップの前記フィルムと前記加圧ローラの間で未定着トナー画像が形成された記録材を挟持搬送して前記ヒータの熱で前記未定着トナー画像を前記記録材に加熱定着させる定着器と、前記温度検知素子の検知温度が目標温度を維持するように前記ヒータへの通電を制御する制御手段と、を有し、プリント開始信号が入力した後に前記ヒータへの通電を開始する画像形成装置において、装置の使用環境温度を検知する環境検知素子を有し、前記プリント開始信号が入力し前記ヒータへの通電を開始した時点から前記定着ニップで前記未定着トナー画像を定着処理する時の第1の目標温度に前記ヒータが達する時点までの期間に、前記検知温度が第2の目標温度を維持するように前記ヒータへの通電を制御し、前記環境検知素子により常温環境と検知される場合、前記プリント開始信号が入力した時の前記温度検知素子の検知温度が基準温度より高い場合は前記第2の目標温度を前記第1の目標温度より低く設定し、前記プリント開始信号が入力した時の前記温度検知素子の検知温度が前記基準温度より低い場合は前記第2の目標温度を前記第1の目標温度より高く設定し、前記環境検知素子により前記常温環境より温度が低い低温環境と検知される場合、前記プリント開始信号が入力した時の前記温度検知素子の検知温度に拘らず、前記第2の目標温度を前記第1の目標温度より高く設定し、前記環境検知素子により前記常温環境より温度が高い高温環境と検知される場合、前記プリント開始信号が入力した時の前記温度検知素子の検知温度に拘らず、前記第2の目標温度を前記第1の目標温度より低く設定することを特徴とする画像形成装置。
【0018】
上記の特徴構成により、使用環境に応じた加圧ローラ温度コントロールが可能となり、定着器スリップを発生させることなく、定着性の改善及び加圧ローラ汚れ防止が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
〈第1の比較例〉
(1)画像形成装置例
図1は本発明に従う画像形成装置の一例の概略構成模型である。本例の画像形成装置は、転写式電子写真プロセスを用いたレーザービームプリンタである。
【0020】
1は像担持体たる感光ドラムであり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料をアルミニウムやニッケル等のシリンダ状の基盤上に形成して構成されている。
【0021】
感光ドラム1は矢印の時計方向に所定の周速度をもって回転駆動され、その表面は、帯電装置としての帯電ローラ2によって一様に帯電される。
【0022】
次に、画像露光装置であるレーザースキャナー3による像露光Lを受ける。レーザースキャナー3は画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応してオン/オフ変調制御されたレーザービームを出力して、回転する感光ドラム1の帯電処理面を走査露光Lする。この走査露光により感光ドラム1上に画像情報の静電潜像が形成される。
【0023】
この静電潜像は現像装置4でトナー像として現像されて可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法等が用いられ、イメージ露光と反転現像との組み合わせで用いられることが多い。
【0024】
一方、不図示の給紙機構部から記録材(転写材)Pが一枚宛給紙され、感光ドラム1と転写装置としての転写ローラ5との圧接部である転写ニップ部に所定の制御タイミングにて供給される。転写ニップ部において、感光ドラム1上のトナー像は不図示の電源による転写バイアスの作用で記録材Pに転写される。
【0025】
転写ニップ部を通過した記録材Pは、感光ドラム1面から分離され、トナー像を保持して定着器6へ搬送され、定着器6の定着ニップ部で加熱・加圧されてトナー像が記録材P上に定着されて永久画像となり、機外へ排出される。
【0026】
一方、記録材分離後の回転感光ドラム1はその表面に残る転写残留トナーがクリーニング装置(クリーナー)7により除去されて、繰り返して作像に供される。
【0027】
(2)画像形成装置の動作シーケンス
図2は上記画像形成装置の動作シーケンス図である。
【0028】
a.前多回転動作:画像形成装置の始動動作期間(起動動作期間、ウォーミング期間)である。メイン電源スイッチ−オンにより、装置のメインモータを駆動させて感光ドラム1を回転駆動させ、所定のプロセス機器の準備動作を実行させる。
【0029】
b.前回転動作:プリント前動作を実行させる期間である。この前回転動作は前多回転動作中にプリント開始信号であるプリント信号が入力したときには前多回転動作に引き続いて実行される。プリント信号の入力がないときには前多回転動作の終了後にメインモータの駆動が一旦停止されて感光ドラム1の回転駆動が停止され、画像形成装置はプリント信号が入力されるまでスタンバイ(待機)状態に保たれる。プリント信号が入力すると、前回転動作が実行される。
【0030】
c.プリント動作:所定の前回転動作が終了すると、引き続いて回転感光ドラム1に対する作像プロセスが実行され、回転感光ドラム面に形成されたトナー像の記録材Pへの転写、定着器6によるトナー像の定着処理がなされて画像形成物がプリントアウトされる。
【0031】
連続プリントモードの場合は上記のプリント動作が所定の設定プリント枚数分繰り返して実行される。
【0032】
d.紙間:連続印字モードにおいて一の記録材の後端部が転写ニップ部を通過した後、次の記録材の先端部が転写ニップ部に到達するまでの間の、転写ニップ部における記録材の非通紙状態期間である。 e.後回転動作:最後の記録材のプリント動作が終了した後もしばらくの間メインモータの駆動を継続させて感光ドラム1を回転駆動させ、所定の後動作を実行させる期間である。
【0033】
f.スタンバイ:所定の後回転動作が終了すると、メインモータの駆動が停止され感光ドラム1の回転駆動が停止され、画像形成装置は次のプリントスタート信号が入力するまでスタンバイ状態に保たれる。
【0034】
1枚だけのプリントの場合は、そのプリント終了後、プリンタは後回転動作を経てスタンバイ状態になる。
【0035】
スタンバイ状態においてプリントスタート信号が入力すると、プリンタは前回転動作に移行する。
【0036】
cのプリント動作時が画像形成時であり、aの前多回転動作、bの前回転動作、dの紙間、eの後回転動作が非画像形成時(非プリント時)になる。
【0037】
(3)定着器6
図3は定着器6の拡大横断面模型図である。本例の定着器6は、特開平4−44075〜44083、4−204980〜204984号公報等に開示の、円筒状(エンドレスベルト状)の定着フィルムを用いた、フィルム加熱方式、加圧用回転体駆動方式(テンションレスタイプ)の定着器である。
【0038】
10は定着部材(定着ユニット)、20は加圧部材としての加圧ローラであり、両者10・20の圧接により定着ニップ部Nを形成させている。
【0039】
定着部材10は図面に垂直方向を長手とする部材であり、横断面略半円弧状樋型の耐熱性・剛性を有するフィルムホルダー(ステイホルダー)12と、このフィルムホルダー12の下面に、該部材の長手に沿って設けた凹溝部に嵌め入れて固定して配設した、通電により発熱するヒータ(加熱体)11と、ヒータ11を取り付けたフィルムホルダー12にルーズに外嵌した円筒状の耐熱性の定着フィルム13等からなる。
【0040】
加圧ローラ20は、芯金21と、該芯金上に同心一体に形成具備させたシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコーンゴムを発泡して形成された弾性層22からなる弾性層とから成る回転体である。弾性層22上にはPFA、PTFE、FEP等のフッ素樹脂などから成る耐熱離型性層23を形成しても良い。
【0041】
加圧ローラ20は芯金21の両端部を装置シャーシー(不図示)の手前側と奥側の側板間に軸受部材を介して回転自由に軸受保持させて配設してある。
【0042】
定着部材10は、この加圧ローラ20の上側に、ヒータ11側を下向きにして加圧ローラ20に並行に配置し、フィルムホルダー12の両端部を不図示のバネ等の加圧附勢部材にて加圧ローラ20の軸線方向に附勢することで、ヒータ11の下向き面を定着フィルム13を介して加圧ローラ20の弾性層22に該弾性層の弾性に抗して所定の押圧力をもって圧接させ、所定幅の定着ニップ部Nを形成させてある。加圧ローラ20側を加圧附勢部材にて定着部材10の下面に押し上げ附勢して所定幅の定着ニップ部Nを形成する装置構成にすることもできる。
【0043】
加圧ローラ20は駆動手段Mにより矢印の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。この加圧ローラ20の回転駆動による該加圧ローラ20の外面と定着フィルム13との、定着ニップ部Nにおける圧接摩擦力により円筒状の定着フィルム13に回転力が作用して該定着フィルム13がその内面側がヒータ11の下向き面に密着して摺動しながらフィルムホルダー12の外周りを矢印の時計方向に従動回転状態になる。
【0044】
加圧ローラ20が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着フィルム13が従動回転状態になり、またヒータ11に通電がなされ、該ヒータが昇温して所定の温度に立ち上がり温調された状態において、定着ニップ部Nの定着フィルム13と加圧ローラ20との間に未定着トナー像tを担持した記録材Pが導入され、定着ニップ部Nにおいて記録材Pのトナー像担持面側が定着フィルム13の外面に密着してフィルム13と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この挟持搬送過程において、ヒータ11の熱が定着フィルム13を介して記録材Pに付与され、記録材P上の未定着トナー像tが紙P上に加熱・加圧されて溶融定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは定着フィルム13から曲率分離される。
【0045】
a)ヒータ11
図4は定着ニップ部N部分の拡大横断面模型図、図5はヒータ11の一部切り欠き背面模型図である。本例のヒータ11は、ヒータ基板として窒化アルミニウムを用いた、背面加熱型のセラミックヒータである。
【0046】
111は高熱伝導である窒化アルミニウムを用いたヒータ基板であり、通紙方向を長手とする横長・薄肉板部材である。
【0047】
112・113・114はヒータ基板111の背面側に基板長手に沿って並行に形成具備させた第1・第2・第3の3本の通電発熱抵抗層(以下、発熱体と記す)である。各発熱体112・113・114は銀パラジューム(Ag/Pd)・Ta2N等の通電発熱抵抗体ペーストを用いてスクリーン印刷等でパターン形成し、焼成することで具備させている。
【0048】
115・116・117・118はヒータ基板111の背面側両端部面にそれぞれ2つずつ分けて形成具備させた第1・第2・第3・第4の給電用電極パターンである。第1、第3、第4の給電用電極パターン115・117・118はそれぞれ第1、第2、第3の発熱体112・113・114の一端部側と延長電路を介して電気的に導通させてある。また第2の給電用電極パターン116は第1、第2、第3の発熱体112・113・114の他端部側と延長電路を介して電気的に導通させてある。各給電用電極パターン115・116・117・118および延長電路は銀(Ag)等の導電体ペーストを用いてスクリーン印刷等でパターン形成し、焼成することで具備させている。
【0049】
119は発熱体112・113・114の保護と絶縁性を確保するためのガラスコーティング層である。
【0050】
14と15はガラスコーティング層119の面に接触させて設けた第1と第2のサーミスタ等の温度検知素子である。
【0051】
上記のヒータ11はヒータ基板111の発熱体形成面側とは反対面側をヒータ表面側として、このヒータ表面側を外側にしてフィルムホルダー12の下面に固定して配設してあり、このヒータ表面に対して定着フィルム13の内面が密着して摺動する。
【0052】
16・17は上記ヒータ11の両端部にそれぞれ嵌着した第1と第2の給電コネクタである。第1の給電コネクタ16により、ヒータ11の第1と第3の給電用電極パターン115・117とACドライバ18とが電気的に連絡される。また第2の給電コネクタ17により、ヒータ11の第2と第4の給電用電極パターン116・118とACドライバ18とが電気的に連絡される。
【0053】
19は商用AC電源、30は制御回路である。ACドライバ18は制御回路30により制御される。第1及び第2の温度検知素子14・15の電気的な温度検知情報はそれぞれA/Dコンバータ31・32を介して制御回路30に入力する。33は画像形成装置本体の適所に設けた環境検知素子(温度・湿度検知素子)である。この素子33の検知情報もA/Dコンバータ34を介して制御回路30に入力する。
【0054】
制御回路30はACドライバ18を制御してヒータ11の第1・第2・第3の発熱体112・113・114に選択的に通電して発熱させる。
【0055】
第1と第3の発熱体112・114はA4、LTR等の幅が広い記録材のための発熱体であり、長さ224.8mmとしてある。第2の発熱体113はcom10、DL等の封筒用(幅が狭い記録材)の発熱体であり、長さ112mmとしてある。
【0056】
制御回路30は記録材搬送路内にある不図示の紙幅センサーにより通紙された記録材のサイズを検知し、その情報により第1・第3の発熱体112・114と第2の発熱体113の切り替えを行う。但し、B5及びA5サイズ等の記録材サイズの場合は、第1・第3の発熱体112・114とを用いて加熱定着を行い、この際には、B5及びA5サイズの非通紙領域に設けた第2の温度検知素子(端部サーミスタ)15により、非通紙部昇温を検知し、スループットの制御を行う。
【0057】
上記のようにヒータ11の第1・第2・第3の発熱体112・113・114に選択的に通電がなされることで、発熱体の発熱でヒータ11が迅速に昇温する。そのヒータの温度情報が第1及び第2の温度検知素子14・15からA/Dコンバータ31・32を介して制御回路30に入力する。
【0058】
制御回路30はその入力温度情報を基にヒータ11の通紙領域温度を所定の一定温度に制御すべくACドライバ18を制御する。即ちヒータ11の発熱体へ電力制御されたAC電流を流すことにより、ヒータ温度を目標温度(プリント温度)に温調制御する構成となっている。
【0059】
b)フィルムホルダー12
フィルムホルダー12は、定着フィルム13の円滑な回転を促す案内部材の役割をしているとともに、ヒータ1を保持し、定着ニップ部Nと反対方向への放熱を防ぐ役目もする断熱部材でもあり、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されており、定着フィルム13が余裕をもってルーズに外嵌される。また、定着フィルム13はその内面がヒータ11およびフィルムホルダー12に摺擦しながら回転するため、ヒータ11およびフィルムホルダー12と定着フィルム13の間の摩擦抵抗を小さく抑える必要がある。このためヒータ11およびフィルムホルダー12の表面に耐熱性グリース等の潤滑剤を少量介在させてある。これにより定着フィルム13はスムーズに回転することが可能となる。
【0060】
c)定着フィルム13
定着フィルム13は熱容量の小さなフィルムであり、クイックスタートを可能にするために100μm以下の厚みで、耐熱性、熱可塑性を有するポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、PFA、PTFE、FEP等のフィルムである。また、長寿命の加熱定着装置を構成するために十分な強度を持ち、耐久性に優れたフィルムとして、20μm以上の厚みが必要である。よって定着フィルム13の厚みとしては20μm以上100μm以下が最適である。さらにオフセット防止や記録材の分離性を確保するために表層にはPFA、PTFE、FEP等の離型性の良好な耐熱樹脂を混合ないし単独で被覆したものである。
【0061】
(4)ヒータ制御温度
比較例の画像形成装置のプロセススピードは151mm/s、スループット24ppm(A4)である。
【0062】
比較例では、定着性の向上及び加圧ローラ汚れ防止のために図6のように画像形成装置の前回転時(画像形成装置前回転時)における定着器6のヒータ温調温度を定着時の定着温度より高い230℃とした。定着温度は定着器の暖まり方及び使用環境によって変えているが、通常環境では220℃〜190℃程度である。
【0063】
比較例の制御を図7のフローチャートを用いて説明する。まず、プリント開始時の定着器の温度T℃を検知する(STEP1)。この検知温度T℃に応じて定着温度T℃を決定し(STEP2)、ヒータ11に通電を開始する(STEP3)。その後、前回転中は230℃で温度制御を行い(STEP4)、前回転終了後、定着温度T℃に制御する(STEP5)し、プリント指定枚数まで定着動作を行う(STEP6、7)。
【0064】
比較例では、ヒータ立ち上げ時のヒータ基板11内の熱応力を軽減するために、ヒータ基板として、従来のアルミナ(Al:熱伝導率約20W/m・K)より高熱伝導の窒化アルミニウム(AlN:熱伝導率約100W/m・K)を使用した。
【0065】
ヒータ11を室温から230℃まで昇温速度を変えて立ち上げた時の熱応力をアルミナ基板と窒化アルミニウム基板で比較した結果を表1に示す。尚、熱応力の算出は、ヒータ裏面よりサーモビュワーによって測定した基板内通紙方向温度差データから以下の式を用いて行った。
【0066】
σ=E×β×△T
σ:熱応力
E:ヤング率(Al23:3.2×104kg/m2、AlN:2.4×104kg/m2
β:線膨張係数(Al23:7.2×10-6/℃、AlN:4.5×10-6/℃)
△T:温度差
【0067】
【表1】
Figure 0004659205
【0068】
表1からわかるように、ヒータ基板111として窒化アルミニウムを使用することにより熱応力はアルミナの約1/10程度に軽減される。また、ヒータの破壊強度を測定すると、アルミナの場合最低値が20kg/m2、窒化アルミニウムが10kg/m2程度であるため、アルミナ基板を用いたヒータで30ms/℃以上の昇温速度で昇温させた場合、ヒータ立ち上げ時の熱応力によりヒータ割れが発生する可能性があることがわかる。
【0069】
表2に本制御による定着性及び加圧ローラ汚れの評価結果を示す。尚、定着性及び加圧ローラ汚れの評価は、加圧ローラ温度が暖まり難いプリントモードで行った。即ち、定着器がコールド状態から2枚/10分間欠プリントモードで行った。
【0070】
【表2】
Figure 0004659205
【0071】
表2からわかるように本制御により、定着性が改善され、加圧ローラ汚れの発生が抑制されることがわかる。尚、本比較例の制御によりプリント時の加圧ローラ温度が5〜10℃程度高くなり、この温度は前回転を5秒間延長した場合と同等の温度であった。
【0072】
以上のように、定着器のヒータ制御温度を、前回転時の温度>定着時の温度、とすることにより定着性の改善及び加圧ローラ汚れの改善が可能となった。
【0073】
〈第2の比較例〉
比較例では、プリント開始時の定着器の温度に応じて、前回転時の温度と定着時の温度の大小関係を変更する制御を行う。尚、その他の条件は前記第1の実施例と同様であり、再度の説明は省略する。
【0074】
定着器6は、加圧ローラ20により記録材(紙)を介して定着フィルム13を回転駆動している。そのため、放置紙等の含水率の高い紙に印字率の高いパターンーンをプリントした場合、紙が定着ニップ部Nを通過する際に発生する水蒸気は主に加圧ローラ側に発生するため、紙と加圧ローラとの間の摩擦係数が低下し、紙搬送できずにジャムが発生する。
【0075】
上記現象を解決するために、本比較例では前記比較例の制御に加えて、温度検知素子14又は/及び15で検知される定着器の温度が高い場合は、定着器スリップを防止するために、前回転時の温度<定着時の温度(通常、給紙動作が始まって定着器に紙が突入するまでに定着温度になるように定着温度−20℃程度に設定)とし、加圧ローラ温度が極力上昇しないように制御を行う。
【0076】
比較例の制御を図8のフローチャートを用いて説明する。まず、プリント開始時の定着器の温度T℃を検知する(STEP1)。この検知温度T℃に応じて定着温度T℃、前回転温度T'℃を決定し(STEP2)、ヒータ11に通電を開始する(STEP3)。その後、前回転中はT'℃で温度制御を行い(STEP4)、前回転終了後、定着温度T℃に制御する(STEP5)し、プリント指定枚数まで定着動作を行う
【0077】
表3に本比較例の前回転時の温度と定着温度の関係を示す。
【0078】
【表3】
Figure 0004659205
【0079】
表3の制御で、定着性、加圧ローラ汚れ及び定着器スリップの評価を行った結果を表4に示す。
【0080】
【表4】
Figure 0004659205
【0081】
表4からわかるように定着器温度に応じて、前回転時の温度と定着温度の関係を変更させる制御を行うことにより、加圧ローラ汚れ及び定着器スリップを両立することができる。尚、定着器スリップの評価は、長期放置紙(含水率約7%)に全面ハーフトンパターンをプリントするという厳しいモードで行った。
【0082】
以上に述べたように、プリント開始時の定着器温度に応じて、前回転時の温度と定着時の温度の大小関係を可変することにより、デリントモードによらず良好な定着性と加圧ローラ汚れ及び定着器スリップを防止できる。
【0083】
〈第の実施例〉
本実施例では、前記第1又は第2の比較例の制御に加えて、使用環境情報を検知する温度又は湿度検知部材(環境検知素子)を画像形成装置本体(プリンタ本体)に設け、検知環境情報に応じて、前回転時の温度と定着時の温度の大小関係を変更する制御を行う。図5において33が環境検知素子であり、この素子33の検知情報がA/Dコンバータ34を介して制御回路30に入力する。尚、その他の条件は前記比較例と同様であり、再度の説明は省略する。
【0084】
前記実施例2で述べたように、放置紙等の含水率が高い紙で発生する定着器スリップは、画像形成装置の使用環境温度及び湿度が高くなればなるほど、顕著になる。また、定着性や加圧ローラ汚れに関係する加圧ローラ温度も低温環境では低く、高温環境では高くなる。
【0085】
そこで、本実施例では使用環境の温度に応じて、前回転時の温度と定着温度の大小関係を制御し、定着性と加圧ローラ汚れ及び定着器スリップの両立を図った。
【0086】
本実施例の制御を図9のフローチャートを用いて説明する。まず、プリント開始時の環境温度T'℃、定着器の温度T0℃を検知する(STEP1、2)。この検知温度T'、T0℃に応じて定着温度T1℃、前回転温度T1'℃を決定し(STEP3)、ヒータ11に通電を開始する(STEP4)。その後、前回転中はT1'℃で温度制御を行い(STEP5)、前回転終了後、定着温度T1℃に制御する(STEP6)し、プリント指定枚数まで定着動作を行う(STEP7、8)。
本実施例の定着温度T1℃と前回転温度T1'℃の関係を表5に示す。
【0087】
【表5】
Figure 0004659205
【0088】
表5からわかるように、常温環境より温度が低い低温環境では、紙の含水率が低く(5〜6%)、定着器スリップは発生しないため、第2の目標温度である前回転時の温度>第1の目標温度である定着温度とし、加圧ローラを暖めて定着性の改善と加圧ローラ汚れ防止を行った。また、常温環境より温度が高い高温環境では、紙の含水率が高く(7〜9%)、定着器スリップが発生しやすいが、定着性や加圧ローラ汚れには有利であるため、前回転の温度<定着温度とし、必要以上に加圧ローラを上昇させるのを防ぎ、定着器スリップの防止を行った。通常環境である常温環境では、前記比較例と同様に定着器温度が低い場合、即ち基準温度より低い場合は、前回転時の温度>定着温度、定着器が温まっている場合、即ち基準温度より高い場合は、前回転時の温度<定着温度とし、定着性の改善と加圧ローラ汚れ防止及び定着器スリップの防止を行った。
【0089】
表5の温度制御により定着性、加圧ローラ汚れ、定着器スリップの評価を行った結果を表6に示す。
【0090】
【表6】
Figure 0004659205
【0091】
表6からわかるように、本制御により低温環境での定着性と加圧ローラ汚れと、高温環境での定着器スリップが改善された。尚、本実施例では、環境温度情報のみで制御を行ったが、湿度制御及びその両方で制御を行った場合も同様の効果が得られた。
【0092】
以上に述べたように、使用環境情報に応じて、前回転時の温度と定着時の温度の大小関係を可変することにより、使用環境によらず良好な定着性と加圧ローラ汚れ及び定着器スリップを防止できる。
【0093】
〈その他〉
1)フィルム加熱方式の定着器は、実施例のものは加圧用回転体駆動方式であるが、エンドレスの定着フィルムの内周面に駆動ローラを設け、フィルムにテンションを加えながら駆動する方式の定着器であってもよいし、フィルムをロール巻きの有端ウエブ状にし、これを走行駆動させる方式のフィルム型定着器であってもよい。
【0094】
2)ヒータ11は、ヒータ基板を窒化アルミニウムにすることを条件にして、他の構成形態は任意である。
【0095】
図10に、窒化アルミニウムをヒータ基板とする、表面加熱型のセラミックヒータ11を用いた、フィルム加熱方式の定着器の一例を示した。(a)は定着ニップ部分の横断面模型図である。(b)はヒータの一部切り欠き表面模型図、(c)はヒータの背面模型図である。
【0096】
ステイホルダー(支持体)12に固定支持させたヒータ11と、該ヒータ11に定着フィルム13を挟んで所定のニップ幅の定着ニップ部Nを形成させて圧接させた弾性加圧ローラ20を有する。ヒータ11は通電により所定の温度に加熱・温調される。定着フィルム13は不図示の駆動手段あるいは加圧ローラ20の回転力により、定着ニップ部Nにおいてヒータ11面に密着・摺動しつつ矢印aの方向に搬送移動される、円筒状あるいはエンドレスベルト状、もしくはロール巻きの有端ウェブ状の部材である。
【0097】
ヒータ11を所定の温度に加熱・温調させ、定着フィルム13を矢印の方向に搬送移動させた状態において、定着ニップ部Nの定着フィルム13と加圧ローラ20との間に被加熱材としての未定着トナー像tを形成担持させた記録材Pを導入すると、記録材Pは定着フィルム13の面に密着して該定着フィルム13と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送される。この定着ニップ部Nにおいて、記録材P・トナー像tがヒータ11により定着フィルム13を介して加熱されて記録材P上のトナー像tが加熱定着される。
【0098】
加熱部材としてのヒータ11は、窒化アルミニウムのヒータ基板11aの表面面(定着フィルム13と対面する側の面)に基板長手(図面に垂直の方向)に沿って銀バラジューム(Ag/Pb)・Ta2N等の通電発熱抵抗層11bをスクリーン印刷等で形成具備させ、さらに該発熱抵抗層形成面を薄肉ガラス保護層11cで覆ってなるものである。このセラミックヒータ11は通電用電極11d・11dに通電がなされることにより該通電発熱抵抗層11bが発熱してヒータ基板11a・ガラス保護層11cのヒータ全体が急速昇温する。このヒータ11の昇温がヒータ背面に配置された温度検知手段14により検知されて、電路パターン11e・通電用スルーホール11fを介して温度制御出力用電極部11g・11gから不図示の通電制御部へフィードバックされる。通電制御部は温度検知手段14で検知されるヒータ温度が所定のほぼ一定温度(定着温度)に維持されるように通電発熱抵抗層11bに対する通電を制御する。すなわちヒータ11は所定の定着温度に加熱・温調される。
【0099】
ヒータ11の通電発熱抵抗層11bの長手方向の幅Wは定着フィルム13を介して当接される加圧ローラ20の弾性層22の幅Dに比べ若干狭い幅で形成されている。これは、通電発熱抵抗層11bが加圧ローラ20よりはみ出ることによって、局所的に昇温し、その熱応力により破損するのを防止するためである。また、通電発熱抵抗層11bはトナー像tを形成担持させた記録材Pの搬送領域より十分広い幅で形成されている。これにより、端部温度だれ(ヒータ11端部の通電用電気接点及びコネクタ等への熱のリークによるもの)の影響をなくすことができ、これにより記録材P全面にわたって良好な定着性が得られる。更に、通紙域端部の通電発熱抵抗層11bの幅を絞り、端部の発熱量を上げ、端部の定着性を補う場合もある。
【0100】
これによりヒータ11の通電発熱抵抗層11bに通電することで発した熱は、定着フィルム13と加圧ローラ20の間を搬送された記録材Pに与えられ、記録材P上のトナー像tを溶融し、固着するために作用する。
【0101】
また、Sは記録材搬送基準であり、この場合は画像形成装置本体の記録材搬送領域の長手方向中央に基準を設けた中央基準の装置である。
【0102】
さらにヒータ11背面には、サーミスタ等の温度検知素子14と暴走時にヒータ11の通電発熱抵抗層11bへの通電をシャットダウンするための温度ヒューズ、あるいはサーモスイッチ等のサーモプロテクター35を当接させてあり、これらは画像形成装置が搬送可能な最小幅の記録材Pの搬送域内に配置されている。
【0103】
ここで、温度検知素子14については、画像形成装置本体が搬送可能な最小幅の記録材Pが搬送された場合であっても、記録材P上のトナー像tを定着不良、高温オフセット等の問題を起こさずに適度な定着温度で加熱定着するために、記録材最小搬送域内に設けられている。一方、サーモプロテクター35についても、最小幅の記録材Pが搬送された場合に非搬送領域において、搬送領域よりも熱抵抗が小さい非搬送領域で過加熱されることにより、通常の搬送時であってもサーモプロテクター35が誤動作して通電をシャットアウトする等の問題を引き起こさないために、記録材最小搬送域内に設けられている。ところでサーモプロテクター35をヒータ11背面に当接することにより、通電発熱抵抗層11bで発生した熱量がサーモプロテクター35に奪われて、記録材Pに十分な熱量が与えられなくなり、サーモプロテクター35当接位置において定着不良を起こすことがある。これを防ぐために通電発熱抵抗層11bのサーモプロテクター15当接対応位置において、11b′のようにヒータ11の通電発熱抵抗層11bの一部の幅を若干狭めて、該当接位置の抵抗値を他の部分より大きくすることで発熱量を確保している。これにより記録材Pへの給熱量を長手方向に渡って一定とし、定着むらのない良好な加熱定着を実現している。ここで温度検知素子14も同様にヒータ11背面に当接させているため、同様に通電発熱抵抗層によって発した熱が温度検知素子14に奪われることが懸念されるが、チップサーミスタ等熱容量の小さい温度検知素子14を用いることにより、ヒータ11から奪われる熱量を小さく抑えることができる。このためサーモプロテクター35と同様の上記対策を取らなくても、長手方向において記録材の定着均一性を損ねることなく均一な定着が可能となる。
【0104】
定着フィルム13は、定着ニップ部Nにおいてヒータ11の熱を効率よく被加熱材としての記録材Pに与えるため、厚みは20〜70μmとかなり薄くしている。この定着フィルム13はフィルム基層、プライマー層、離型性層の3層構成で構成されており、フィルム基層側がヒータ側であり、離型性層側が加圧ローラ側である。フィルム基層はヒータ11のガラス保護層11cより絶縁性の高いポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK等であり、耐熱性、高弾性を有している。また、フィルム基層により定着フィルム13全体の引裂強度等の機械的強度を保っている。プライマー層は厚み2〜6μm程度の薄い層で形成されている。離型性層は定着フィルム13に対するトナーオフセット防止層であり、PFA、PTFE、FEP等のフッ素樹脂を厚み10μm程度に被覆して形成してある。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、フィルム加熱方式の定着器を用いている画像形成装置について、画像形成装置の前回転時のヒータ温度をヒータ割れを生じさせることなく高くすることを可能にして加圧ローラ(加圧部材)の温度を高め、定着性の改善及び加圧ローラ汚れの防止が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の画像形成装置の概略構成模型図
【図2】 画像形成装置の動作シーケンス図
【図3】 定着器の拡大模型図
【図4】 定着ニップ部部分の拡大横断面模型図
【図5】 ヒータの一部切り欠き背面模型図
【図6】 ヒータ立ち上げ方法を表す図
【図7】 第1の比較例の制御を表すフローチャート
【図8】 第2の比較例の制御を表すフローチャート
【図9】 第の実施例の制御を表すフローチャート
【図10】 表面加熱型のセラミックヒータを用いた、フィルム加熱方式の
定着器の一例の構成説明図
【符号の説明】
10・・定着部材、11・・加熱部材(ヒータ)、111・・セラミック基板(ヒータ基板)、112〜114・・通電発熱抵抗層(発熱体)、115〜118・・給電用電極パターン、119・・薄肉ガラス保護層、12・・フィルムホルダー、13・・薄肉フィルム(定着フィルム)、14,15・・温度検知素子、20・・加圧ローラ、21・・加圧ローラ芯金、22・・弾性層、23・・離型性層

Claims (1)

  1. 窒化アルミニウムの基板上に発熱抵抗体を有するヒータと、内面が該ヒータと摺動する筒状のフィルムと、該フィルムを介して前記ヒータと圧接して定着ニップを形成する加圧ローラと、前記ヒータの温度を検知する温度検知素子と、を有し、前記加圧ローラを駆動することにより前記フィルムが従動回転し、前記定着ニップの前記フィルムと前記加圧ローラの間で未定着トナー画像が形成された記録材を挟持搬送して前記ヒータの熱で前記未定着トナー画像を前記記録材に加熱定着させる定着器と、
    前記温度検知素子の検知温度が目標温度を維持するように前記ヒータへの通電を制御する制御手段と、
    を有し、プリント開始信号が入力した後に前記ヒータへの通電を開始する画像形成装置において、
    装置の使用環境温度を検知する環境検知素子を有し、
    前記プリント開始信号が入力し前記ヒータへの通電を開始した時点から前記定着ニップで前記未定着トナー画像を定着処理する時の第1の目標温度に前記ヒータが達する時点までの期間に、前記検知温度が第2の目標温度を維持するように前記ヒータへの通電を制御し、
    前記環境検知素子により常温環境と検知される場合、前記プリント開始信号が入力した時の前記温度検知素子の検知温度が基準温度より高い場合は前記第2の目標温度を前記第1の目標温度より低く設定し、前記プリント開始信号が入力した時の前記温度検知素子の検知温度が前記基準温度より低い場合は前記第2の目標温度を前記第1の目標温度より高く設定し、
    前記環境検知素子により前記常温環境より温度が低い低温環境と検知される場合、前記プリント開始信号が入力した時の前記温度検知素子の検知温度に拘らず、前記第2の目標温度を前記第1の目標温度より高く設定し、
    前記環境検知素子により前記常温環境より温度が高い高温環境と検知される場合、前記プリント開始信号が入力した時の前記温度検知素子の検知温度に拘らず、前記第2の目標温度を前記第1の目標温度より低く設定することを特徴とする画像形成装置。
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