JP2017072559A - 振動素子、振動素子の製造方法、振動デバイス、電子機器および移動体 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた性能を発揮することができる振動素子およびかかる振動素子の製造方法を提供すること、また、かかる振動素子を備えた信頼性に優れた電子機器および移動体を提供すること。【解決手段】本発明の振動素子は、基部21と、基部21から延出していて、互いに表裏関係にある第1面221、231および第2面222、232を貫通している貫通孔26、27を有する駆動振動腕22、23と、を備え、貫通孔26、27の第1面221、231に開口している第1開口261、271の幅W1は、貫通孔26、27の第2面222、232に開口している第2開口262、272の幅W2よりも狭く、貫通孔26、27の内壁面には、第2開口262、272側に偏在している調整膜41が設けられている。【選択図】図2
Description
本発明は、振動素子、振動素子の製造方法、振動デバイス、電子機器および移動体に関するものである。
従来から、水晶振動子やジャイロ素子等の振動素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような振動素子の一例として、特許文献1には、水晶からなる振動片を備えるセンサー素子が開示されている。この特許文献1に係るセンサー素子は、基部と、基部から延びている振動腕部とを有し、これらが水晶で構成されている。そして、このセンサー素子では、振動腕部に貫通穴が形成されており、貫通穴内部の側面に電極が設けられている。これにより、水晶を介して向かい合う電極の面積が増大し、電界効率が上がることでインピーダンスを低下させることができる。
振動腕部に微細な貫通穴を形成する方法としては、ウエットエッチングもしくはドライエッチングを用いた方法が一般的である。ウエットエッチングによる形成方法では、加工側壁に水晶の結晶面が表れることで、エッチングがストップしていまい、アスペクト比の高い貫通穴を得ることができない。一方、ドライエッチングによる形成方法では、ウエットエッチングによる形成方法のように結晶面が表れることがないため、アスペクト比の高い貫通穴の形成が可能である。
アスペクト比の高い貫通穴をドライエッチングにより形成する場合、加工進行時、深い位置までイオンが届かずにエッチングレートが落ちる所謂マイクロローディング効果が起き、得られる貫通穴の加工終端部側の幅が狭くなることがある。
従来では、このような貫通孔による振動腕部の形状の非対称性が、振動腕部の斜め振動やねじれ振動といった不要振動を引き起こす原因となり、振動素子としての性能を低下させるという問題があった。
本発明の目的は、優れた性能を発揮することができる振動素子およびかかる振動素子の製造方法を提供すること、また、かかる振動素子を備えた信頼性に優れた電子機器および移動体を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の振動素子は、基部と、
前記基部から延出していて、互いに表裏関係にある第1面および第2面を貫通している貫通孔を有する振動腕と、を備え、
前記貫通孔の前記第1面に開口している第1開口の幅は、前記貫通孔の前記第2面に開口している第2開口の幅よりも狭く、
前記貫通孔の内壁面には、前記第2開口側に偏在している調整膜が設けられていることを特徴とする。
本発明の振動素子は、基部と、
前記基部から延出していて、互いに表裏関係にある第1面および第2面を貫通している貫通孔を有する振動腕と、を備え、
前記貫通孔の前記第1面に開口している第1開口の幅は、前記貫通孔の前記第2面に開口している第2開口の幅よりも狭く、
前記貫通孔の内壁面には、前記第2開口側に偏在している調整膜が設けられていることを特徴とする。
このような振動素子によれば、貫通孔の第1開口よりも幅の広い狭い第2開口側に偏在している調整膜が設けられていることで、振動腕の第1面側と第2面側との形状の非対称性に起因する不要振動の発生を低減することができる。そのため、優れた性能を発揮することができる振動素子を提供することができる。
本発明の振動素子では、前記調整膜は、炭素およびフッ素を含むことが好ましい。
これにより、調整膜の強度を高めることができる。また、炭素およびフッ素を含むエッチングガスを用いたドライエッチングにより貫通孔を形成することで、貫通孔を形成すると同時に(同一工程内で)、側壁保護膜を用いて調整膜を得ることができる。
これにより、調整膜の強度を高めることができる。また、炭素およびフッ素を含むエッチングガスを用いたドライエッチングにより貫通孔を形成することで、貫通孔を形成すると同時に(同一工程内で)、側壁保護膜を用いて調整膜を得ることができる。
本発明の振動素子では、前記調整膜は、金属を含むことが好ましい。
これにより、調整膜に導電性を付与することができる。そのため、振動腕に設ける電極の一部として調整膜を利用することができる。
これにより、調整膜に導電性を付与することができる。そのため、振動腕に設ける電極の一部として調整膜を利用することができる。
本発明の振動素子では、前記振動腕に設けられている電極を備え、
前記調整膜は、導電性を有し、前記電極に接続されていることが好ましい。
前記調整膜は、導電性を有し、前記電極に接続されていることが好ましい。
これにより、貫通孔内に設けられた調整膜を電極の一部として機能させることができる。また、貫通孔内に電極を形成する場合において、その貫通孔内に形成された電極の信頼性を高めることができる。
本発明の振動素子では、前記調整膜の少なくとも一部は、前記電極に覆われていることが好ましい。
これにより、調整膜と電極とを高い信頼性で電気的に接続することができる。
これにより、調整膜と電極とを高い信頼性で電気的に接続することができる。
本発明の振動素子では、前記貫通孔を複数有し、
複数の前記貫通孔は、前記振動腕が延出している方向に沿って並んで設けられていることが好ましい。
複数の前記貫通孔は、前記振動腕が延出している方向に沿って並んで設けられていることが好ましい。
これにより、振動腕の振動特性を良好なものとしつつ、貫通孔の内壁面に設けられた電極の面積を増大させ、電界効率を高めることができる。
本発明の振動素子では、前記基部および前記振動腕は、水晶で構成されていることが好ましい。
これにより、優れた周波数温度特性を有する振動素子を実現することができる。また、水晶で構成された振動腕の貫通孔の形成には、ドライエッチングを用いることが一般的であるが、ドライエッチングにより形成された貫通孔は、第1開口の幅が第2開口の幅よりも狭い構成となり易い。そのため、水晶で構成された振動腕の貫通孔に調整膜を設けることで、前述した不要振動の発生を特に有効に低減することができる。
本発明の振動素子では、前記調整膜は、前記貫通孔の全周にわたって設けられていることが好ましい。
これにより、貫通孔の内壁面に対して調整膜が剥離することを低減することができる。
これにより、貫通孔の内壁面に対して調整膜が剥離することを低減することができる。
本発明の振動素子の製造方法は、基板をドライエッチングすることにより、基部と、前記基部から延出していて、互いに表裏関係にある第1面および第2面を貫通している貫通孔を有する振動腕と、を形成するとともに、前記貫通孔の内壁面に側壁保護膜を形成する工程と、
前記側壁保護膜の一部を除去することにより、前記貫通孔の内壁面に調整膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
前記側壁保護膜の一部を除去することにより、前記貫通孔の内壁面に調整膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
このような振動素子の製造方法によれば、第1開口の幅が第2開口の幅よりも狭い貫通孔を有する構成の振動腕を形成するとともに、第2開口側に偏在している調整膜を容易に形成することができる。また、貫通孔の第2開口側に偏在している調整膜を形成することで、得られる振動素子において、振動腕の第1面側と第2面側との形状の非対称性に起因する不要振動の発生を低減することができる。そのため、優れた性能を発揮することができる振動素子を形成することができる。
本発明の振動素子の製造方法では、前記ドライエッチングは、導電性を有するマスクを用いて行うことが好ましい。
これにより、導電性を有する調整膜を容易に形成することができる。
これにより、導電性を有する調整膜を容易に形成することができる。
本発明の振動素子の製造方法では、前記調整膜を形成する工程では、前記貫通孔内の前記側壁保護膜の前記第2開口側の部分を残しつつ前記第1開口側の部分を除去することが好ましい。
これにより、第1開口の幅と第2開口の幅との差が大きい場合であっても、第2開口側に偏在する調整膜を容易に形成することができる。
本発明の振動素子の製造方法では、前記調整膜を形成する工程の後、前記調整膜の少なくとも一部と重なるように、前記振動腕上に電極を形成する工程を有することが好ましい。
これにより、調整膜と電極とを電気的に接続することができる。そのため、調整膜が導電性を有する場合、得られる振動素子において、調整膜を電極の一部として利用することができる。
本発明の振動デバイスは、本発明の振動素子と、
前記振動素子を収容するパッケージと、を有することを特徴とする。
前記振動素子を収容するパッケージと、を有することを特徴とする。
このような振動デバイスによれば、優れた性能を発揮することができる振動素子を有するため、信頼性を高めることができる。
本発明の電子機器は、本発明の振動素子を備えることを特徴とする。
このような電子機器によれば、優れた性能を発揮することができる振動素子を有するため、信頼性を高めることができる。
このような電子機器によれば、優れた性能を発揮することができる振動素子を有するため、信頼性を高めることができる。
本発明の移動体は、本発明の振動素子を備えることを特徴とする。
このような移動体によれば、優れた性能を発揮することができる振動素子を有するため、信頼性を高めることができる。
このような移動体によれば、優れた性能を発揮することができる振動素子を有するため、信頼性を高めることができる。
以下、本発明の振動素子、振動素子の製造方法、振動デバイス、電子機器および移動体を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.振動素子
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る振動素子を示す平面図である。図2は、図1中のA1−A1線断面図である。図3は、図1中のA2−A2線断面図である。図4は、図1中のA3−A3線断面図である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る振動素子を示す平面図である。図2は、図1中のA1−A1線断面図である。図3は、図1中のA2−A2線断面図である。図4は、図1中のA3−A3線断面図である。
なお、各図では、それぞれ、水晶の3つの結晶軸であるX軸、Y軸およびZ軸を図示している。また、各軸を示す矢印の先端側を「+」、基端側を「−」とする。また、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」という。また、+Z軸方向側を「上」、−Z軸方向側を「下」ともいう。また、+X軸方向側を「右」、−X軸方向側を「左」ともいう。また、図1では、説明の便宜上、各電極の図示を省略している。
図1に示す振動素子1は、Y軸まわりの角速度ωyを検出する角速度検出素子(ジャイロ素子)である。この振動素子1は、振動片2と、振動片2に形成された電極3(図2、図3および図4参照)と、を有している。
−振動片−
本実施形態では、振動片2は、水晶で構成されている。水晶を用いることで、優れた周波数温度特性を有する振動素子1を得ることできる。なお、振動片2の構成材料としては、水晶に限定されず、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の水晶以外の圧電材料や、シリコン(Si)等の半導体材料が挙げられる。
本実施形態では、振動片2は、水晶で構成されている。水晶を用いることで、優れた周波数温度特性を有する振動素子1を得ることできる。なお、振動片2の構成材料としては、水晶に限定されず、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の水晶以外の圧電材料や、シリコン(Si)等の半導体材料が挙げられる。
図1に示すように、振動片2は、水晶の結晶軸であるX軸(電気軸)およびY軸(機械軸)で規定されるXY平面に広がりを有し、Z軸(光軸)方向に厚みを有する板状をなしている。すなわち、振動片2は、Zカット水晶板で構成されている。なお、本実施形態では、Z軸が振動片2の厚さ方向と一致しているが、これに限定されず、常温近傍における周波数温度変化を小さくする観点から、Z軸を振動片2の厚さ方向に対して若干(例えば、±15°未満程度)傾けてもよい。具体的には、Zカット水晶板とは、Z軸に直交した面をX軸およびY軸の少なくとも一方を中心に0度〜10度の範囲で回転させた面が、主面となるようなカット角の水晶板を含む。
図1に示すように、振動片2は、基部21と、駆動振動腕22、23と、検出振動腕24、25とを有し、これらが一体的に形成されている。
基部21は、図示しないベース(例えば、後述するパッケージ8のベース81)に固定される。
駆動振動腕22、23は、X軸方向に並んで設けられ、互いに基部21から−Y軸方向に延出している。また、駆動振動腕22、23は、X軸方向に沿って並んで配置されている。
また、図2および図3に示すように、駆動振動腕22には、互いに表裏関係にある第1面221および第2面222に貫通している複数(本実施形態では3つ)の貫通孔26が設けられている。複数の貫通孔26は、駆動振動腕22が延出している方向であるY軸方向に沿って並んで配置されている。また、各貫通孔26は、第1面221側に開口する第1開口261と、第2面222側に開口する第2開口262と、を有する。また、複数の貫通孔26は、それぞれ、平面視で(Z軸方向から見て)Y軸方向に沿って延びている長手形状をなしている。同様に、図2に示すように、駆動振動腕23には、互いに表裏関係にある第1面231および第2面232に貫通している複数の貫通孔27が設けられている。各貫通孔27は、第1面231側に開口する第1開口271と、第2面232側に開口する第2開口272と、を有する。なお、貫通孔26、27およびその近傍の構成については後に詳述する。
図1に示すように、検出振動腕24、25は、X軸方向に並んで設けられ、基部21から+Y軸方向に延出している。また、検出振動腕24、25は、X軸方向に沿って並んで配置されている。
また、図4に示すように、検出振動腕24には、互いに表裏関係にある第1面241および第2面242に貫通している複数(本実施形態では2つ)の貫通孔28が設けられている。複数の貫通孔28は、検出振動腕24が延出している方向であるY軸方向に沿って並んで配置されている。また、各貫通孔28は、第1面241側に開口する第1開口281と、第2面242側に開口する第2開口282と、を有する。また、複数の貫通孔28は、それぞれ、平面視で(Z軸方向から見て)長手形状をなしている、同様に、図4に示すように、検出振動腕25には、互いに表裏関係にある第1面251および第2面252に貫通している複数の貫通孔29が設けられている。各貫通孔29は、第1面251側に開口する第1開口291と、第2面252側に開口する第2開口292と、を有する。なお、貫通孔28、29およびその近傍の構成については後に詳述する。
−電極−
前述した振動片2の表面に、電極3が設けられている。
図2、図3および図4に示すように、電極3は、駆動信号電極31と、駆動接地電極32と、検出信号電極33と、検出接地電極34と、を有している。また、図1に示すように、電極3は、基部21の下面に設けられた駆動信号端子35、駆動接地端子36、検出信号端子37および検出接地端子38を有する。
前述した振動片2の表面に、電極3が設けられている。
図2、図3および図4に示すように、電極3は、駆動信号電極31と、駆動接地電極32と、検出信号電極33と、検出接地電極34と、を有している。また、図1に示すように、電極3は、基部21の下面に設けられた駆動信号端子35、駆動接地端子36、検出信号端子37および検出接地端子38を有する。
駆動信号電極31は、駆動振動腕22、23の駆動振動を励起させるための駆動信号が入力される電極である。図2に示すように、駆動信号電極31は、駆動振動腕22の両側面と、駆動振動腕23が有する貫通孔27の内壁面とに形成されている。また、駆動信号電極31は、図示しない配線を介して、基部21の下面に設けられた駆動信号端子35(図1参照)に接続されている。
駆動接地電極32は、駆動信号電極31に対してグランドとなる電位を有する。図2および図3に示すように、駆動接地電極32は、駆動振動腕22が有する貫通孔26の内壁面と、駆動振動腕23の両側面とに形成されている。また、駆動接地電極32は、図示しない配線を介して、基部21の下面に設けられた駆動接地端子36(図1参照)に接続されている。
検出信号電極33は、検出振動腕24、25の検出振動が励起されたときに、その検出振動によって発生する電荷を検出するための電極である。図4に示すように、検出信号電極33は、検出振動腕24の左側面の下側部分、右側面の上側部分、内壁面の左上側部分および内壁面の右下側部分と、検出振動腕25の左側面の上側部分、右側面の下側部分、内壁面の左下側部分および内壁面の右上側部分と、に形成されている。また、検出信号電極33は、図示しない配線を介して、基部21の下面に設けられた検出信号端子37(図1参照)に接続されている。
検出接地電極34は、検出信号電極33に対してグランドとなる電位を有する。図4に示すように、検出接地電極34は、検出振動腕24の左側面の上側部分、右側面の下側部分、内壁面の左下側部分および内壁面の右上側部分と、検出振動腕25の左側面の下側部分、右側面の上側部分、内壁面の左上側部分および内壁面の右下側部分と、に形成されている。また、検出接地電極34は、図示しない配線を介して、基部21の下面に設けられた検出接地端子38(図1参照)に接続されている。
以上のような電極3の構成としては、導電性を有していれば特に限定されないが、例えば、Cr(クロム)、W(タングステン)などのメタライズ層(下地層)に、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)などの各被膜を積層した金属被膜で構成することができる。
以上、振動素子1の基本的な構成について説明した。
以上説明したように構成された振動素子1では、振動素子1に角速度が加わらない状態において、駆動信号端子35に駆動信号を入力することで駆動信号電極31と駆動接地電極32との間に電界が生じると、駆動振動腕22、23は、図1中矢印Aで示すようにX軸方向に互いに反対方向となるように屈曲振動(駆動振動)を行う。
以上説明したように構成された振動素子1では、振動素子1に角速度が加わらない状態において、駆動信号端子35に駆動信号を入力することで駆動信号電極31と駆動接地電極32との間に電界が生じると、駆動振動腕22、23は、図1中矢印Aで示すようにX軸方向に互いに反対方向となるように屈曲振動(駆動振動)を行う。
この駆動振動を行っている状態で、Y軸方向に沿った中心軸a1周りの角速度ωyが振動素子1に加わると、駆動振動腕22、23にコリオリ力が作用し、このコリオリ力により、駆動振動腕22、23がZ軸方向に互いに反対方向となるように屈曲振動する。これに伴い、検出振動腕24、25は、図1中Bで示すようにZ軸方向に互いに反対方向となるように屈曲振動(検出振動)する。この検出振動により、検出振動腕24、25に発生した電荷を、検出信号端子37から検出信号として取り出し、この検出信号に基づいて角速度ωyが求められる。
ここで、振動素子1は、前述したように、駆動振動腕22に複数の貫通孔26がY軸方向に並んで設けられている。同様に、駆動振動腕23に複数の貫通孔27が設けられ、検出振動腕24に複数の貫通孔28が設けられ、検出振動腕25に複数の貫通孔29が設けられている。このような貫通孔26、27、28、29を設けることで、水晶を介して向かい合う電極3の面積を増大させて、電界効率を高めることができる。特に、貫通孔26、27、28、29を各振動腕(駆動振動腕22、23および検出振動腕24、25)の延出方向に沿って複数並べることにより、各振動腕の振動特性を良好なものとしつつ、各貫通孔26、27、28、29の内壁面に設けられた電極3の面積を増大させ、電界効率を高めることができる。
(貫通孔およびその近傍の構成)
以下、貫通孔26、27、28、29およびこれら近傍の構成について詳述する。なお、以下では、貫通孔26について代表して説明し、貫通孔27、28、29については、貫通孔26と同様の構成であるため、その説明を省略する。
以下、貫通孔26、27、28、29およびこれら近傍の構成について詳述する。なお、以下では、貫通孔26について代表して説明し、貫通孔27、28、29については、貫通孔26と同様の構成であるため、その説明を省略する。
前述したように、駆動振動腕22には、第1面221および第2面222に貫通している複数の貫通孔26が設けられている。また、各貫通孔26は、第1面221側に開口する第1開口261と、第2面222側に開口する第2開口262と、を有する。
図2および図3に示すように、駆動振動腕22は、第1開口261側に、貫通孔26内に突出した突出部225を有している。突出部225は、第1開口261に向かって貫通孔26の幅(開口幅)が徐々に狭くなるように形成されている。本実施形態では、突出部225の貫通孔26側の面は、湾曲している。また、突出部225は、貫通孔26の全周にわたって設けられている。
このような突出部225によって、貫通孔26の第1開口261の幅W1は、第2開口262の幅W2よりも狭くなっている。
このような突出部225が形成されている駆動振動腕22を有する振動素子1では、駆動振動腕22の第1面221側と第2面222側との形状が非対称となるため、そのままでは、その非対称性に起因する不要振動が発生しやすい。
そこで、本実施形態では、第2開口262側に偏在している調整膜41を設けている。これにより、駆動振動腕22の第1面221側と第2面222側との形状の非対称性に起因する不要振動の発生を低減することができる。そのため、優れた性能を発揮することができる振動素子1を提供することができる。
ここで、前述したように、駆動振動腕22は、水晶で構成されている。このように水晶で構成された駆動振動腕22の貫通孔26の形成には、ドライエッチングを用いることが一般的であるが、ドライエッチングにより形成された貫通孔26は、第1開口261の幅が第2開口262の幅よりも狭い構成となり易い。そのため、水晶で構成された駆動振動腕22の貫通孔26に調整膜41を設けることで、前述した不要振動の発生を特に有効に低減することができる。
詳述すると、調整膜41は、貫通孔26の内壁面の第2開口262側に設けられている。また、調整膜41は、第2開口262に向かって、厚さがが徐々に厚くなるよう形成されている。すなわち、調整膜41は、前述した突出部225の形状に対応した形状をなしている。また、調整膜41は、貫通孔26の全周にわたって設けられている。
このように、調整膜41は、突出部225とほぼ同等の形状をなし、突出部225に対してZ軸方向にほぼ対称的に駆動振動腕22に設けられている。これにより、前述した駆動振動腕22の第1面221側と第2面222側との形状の非対称性に起因する不要振動の発生をより低減することができる。
また、調整膜41により構成された開口の幅W3は、第1開口261の幅W1とほぼ等しくなっている。なお、幅W1と幅W3との比(W3/W1)は、調整膜41の厚さによって調整することができ、前述したような不要振動を効果的に低減する観点から、0.8以上1.2以下の範囲内にあることが好ましい。
また、調整膜41の構成材料としては、貫通孔26の内壁面上に成膜可能でかつ駆動振動腕22の振動特性に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、無機材料を含む材料を用いるのが好適であり、特に、調整膜41に導電性を付与する観点から、金属材料を含む材料を用いることが好ましい。また、調整膜41は、例えば、後述するように、炭素元素およびフッ素元素を含むエッチングガスを用いたドライエッチングにより貫通孔26を形成することで、貫通孔26を形成すると同時に(同一工程内で)得ることができる。このような観点から、調整膜41は、駆動振動腕22を構成する材料(すなわち水晶)に含まれる構成元素(例えばシリコン元素、酸素元素)と、エッチングガスに含まれる元素(例えば炭素元素およびフッ素元素)と、エッチング時に用いるマスクに含まれる元素(例えばニッケル元素、クロム元素、金元素)と、を含んでいることが好ましい。これにより、調整膜41の形成が容易となり、また、調整膜41が炭素元素を含むことにより、調整膜41の強度を高めることができる。また、マスクが導電性を有する場合、調整膜41がマスクに含まれる元素を含むことで、調整膜41に導電性を付与することができる。
また、調整膜41は、前述したように、ニッケル等の導電性材料を含むことで、導電性を有する。そして、図2および図3に示すように、調整膜41は、電極3(具体的には、駆動接地電極32)に覆われていて、電極3に電気的に接続されている。
このように、調整膜41が導電性を有することにより、貫通孔26内に設けられた調整膜41を電極3の一部として機能させることができる。また、調整膜41が電極3に覆われていることにより、貫通孔26内に設けられた調整膜41と電極3とを高い信頼性で電気的に接続することができる。
また、前述したように、調整膜41は、貫通孔26の全周にわたって設けられている。これにより、貫通孔26の内壁面に対して調整膜41が剥離することを低減することができる。
以上、貫通孔26およびその近傍の構成について説明したが、前述したように、貫通孔27、28、29およびこれらの近傍の構成についても、貫通孔26およびその近傍の構成と同様である。すなわち、駆動振動腕23は、貫通孔27内に突出した突出部235を有している(図2参照)。また、同様に、検出振動腕24は、貫通孔28内に突出した突出部245を有し、検出振動腕25は、貫通孔29内に突出した突出部255を有している(図4参照)。また、同様に、駆動振動腕23が有する貫通孔27の内壁面、検出振動腕24が有する貫通孔28の内壁面、および、検出振動腕25が有する貫通孔29の内壁面には、それぞれ、調整膜41が設けられている(図2および図4参照)。
2.振動素子の製造方法
次に、本発明の振動素子の製造方法について、前述した振動素子1を製造する場合を例に説明する。
次に、本発明の振動素子の製造方法について、前述した振動素子1を製造する場合を例に説明する。
図5は、図1に示す振動素子の製造方法を説明する図である。図6、図7および図8は、それぞれ、図5に示す振動片および膜を形成する工程を説明する断面図である。図9は、図5に示す膜の一部を除去する工程を説明する断面図である。図10は、図5に示す電極を形成する工程を説明する断面図である。
図5に示すように、振動素子1の製造方法は、[1]振動片および膜を形成する工程(ステップS1)と、[2]調整膜を形成する工程(ステップS2)と、[3]電極を形成する工程(ステップS3)と、を有する。以下、各工程を順次説明する。
[1]振動片および膜を形成する工程
[1−1]
まず、図6に示すように、水晶基板20の一方の面上に振動片2の形状に対応する形状をなすマスク51と、他方の面上に一様に設けられたマスク52とを形成する。
[1−1]
まず、図6に示すように、水晶基板20の一方の面上に振動片2の形状に対応する形状をなすマスク51と、他方の面上に一様に設けられたマスク52とを形成する。
具体的には、例えば、まず、振動片2の母材である水晶基板20を用意し、その水晶基板20の一方の面上にフォトレジストを塗布して、振動片2に対応する形状に露光・現像することにより、レジストマスク(図示せず)を得る。次に、レジストマスクが形成された状態で水晶基板20の両面にそれぞれ、例えば蒸着法、スパッタ法等によりCr層、Au層をこの順で成膜し、Au層上に例えばめっき法等によりNi層を成膜する。その後、レジストマスクを例えばエッチング等により除去することによりマスク51、52を得る。
なお、前述した説明では、マスク51、52は、それぞれ、水晶基板20側からCr層、Au層、Ni層がこの順で積層した構成であったが、マスク51、52の構成は、エッチングする際に用いられるメタルマスクとして機能するものであれば、いかなるものであってもよい。
[1−2]
次に、図7に示すように、水晶基板20の一方の面側からマスク51を介して水晶基板20をドライエッチングする。これにより、図8に示すように、水晶基板20から、基部21および駆動振動腕22、23を有する振動片2を形成する。
次に、図7に示すように、水晶基板20の一方の面側からマスク51を介して水晶基板20をドライエッチングする。これにより、図8に示すように、水晶基板20から、基部21および駆動振動腕22、23を有する振動片2を形成する。
本工程では、例えば反応性イオンエッチング(RIE)により、水晶基板20をエッチングする。また、エッチングガスとして、例えばC4F8を用いる。
このようなエッチングガスを用いて水晶基板20をドライエッチングすると、図7に示すように、エッチングにより除去された部分の側面に側壁保護膜40が形成されつつエッチングが進行する。これにより、アスペクト比の高いエッチングが可能となる。この側壁保護膜40は、水晶基板20やマスク51がエッチングされることで生成された反応物等が加工側壁に吸着(堆積)することにより形成される。
なお、本工程で用いるエッチングガスとしては、水晶基板20をエッチングすることが可能であればいかなるものであってもよく、C4F8以外に、例えば、CF4、C2F6、C3F6、CClF3、SF6等のフッ素原子含有化合物ガスやCl2、BCl3、CCl4等の塩素原子含有化合物ガスなどの各種ハロゲン系ガス等のうちの1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ただし、剛性の高い側壁保護膜40を得るためには、C2F6、C3F6、C4F8のように、炭素元素を多く含むエッチングガスを用いることが好ましい。
また、水晶基板20をドライエッチングすることにより貫通孔26を形成すると、図8に示すように、貫通孔26の加工終端部側には、突出部225が形成される。同様に、貫通孔27の加工終端部側には、突出部235が形成される。なお、図示はしないが、貫通孔28の加工終端部には突出部245が形成され、貫通孔29の加工終端部には突出部255が形成される。
なお、本実施形態では、反応性イオンエッチングにより水晶基板20をエッチングしているが、エッチングの方式としては、側壁保護膜を形成することができれば、いかなる方式であってもよい。
以上のようにして、水晶基板20をドライエッチングすることにより、振動片2の外形を形成するとともに、貫通孔26、27の各内壁面に側壁保護膜40を形成する。なお、図示はしないが、貫通孔28、29の各内壁面にも側壁保護膜40を形成する。
[2]調整膜を形成する工程(ステップS2)
次に、図9に示すように、マスク51、52を除去する。この際、側壁保護膜40の一部を除去する。具体的には、側壁保護膜40の第2開口262側を残しつつ、第1開口261側を除去する。
次に、図9に示すように、マスク51、52を除去する。この際、側壁保護膜40の一部を除去する。具体的には、側壁保護膜40の第2開口262側を残しつつ、第1開口261側を除去する。
マスク51、52および側壁保護膜40の一部の除去方法としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、フッ酸、硝酸等のエッチング液による洗浄、アッシング等が挙げられる。
[3]電極を形成する工程(ステップS3)
次に、図10に示すように、振動片2の表面に、例えば、スパッタリング等の成膜装置によって金属膜30を一様に形成する。金属膜30は、Cr(クロム)、W(タングステン)などのメタライズ層(下地層)を形成した後、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)などの被膜を積層することにより得る。
次に、図10に示すように、振動片2の表面に、例えば、スパッタリング等の成膜装置によって金属膜30を一様に形成する。金属膜30は、Cr(クロム)、W(タングステン)などのメタライズ層(下地層)を形成した後、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)などの被膜を積層することにより得る。
そして、フォトレジストを塗布して、電極3以外の領域に対応した形状の露光・現像することにより、レジストマスク(図示せず)を得た後、エッチング液を用いて、レジストマスクから露出している部分の金属膜30を除去する。これにより、図2に示すように、電極3が形成される。
以上のようにして、振動片2と電極3とを有する振動素子1を形成することができる。
以上のようにして、振動片2と電極3とを有する振動素子1を形成することができる。
以上説明したような振動素子1の製造方法によれば、前述したように、水晶基板20をドライエッチングすることにより、振動片2を形成しつつ側壁保護膜40を形成した後、側壁保護膜40の一部を除去することにより、貫通孔26の内壁面に調整膜41を形成している。そのため、第2開口262側に偏在している調整膜41を容易に形成することができる。また、貫通孔26の第2開口262側に偏在している調整膜41を形成することで、得られる振動素子1は、前述したように、優れた性能を発揮することができる。
また、ドライエッチングを、導電性を有するマスクを用いて行うことにより、導電性を有する調整膜41を容易に形成することができる。
さらに、調整膜41を形成する工程[2]では、貫通孔26内の側壁保護膜40の第1開口261側(すなわち加工終端部側)の部分を残しつつ第2開口262側の部分を除去することにより、第1開口261の幅と第2開口262の幅との差が大きい場合であっても、不要振動を好適に低減し得るように第1開口261側の部分に偏在する調整膜41を容易に形成することができる。
また、調整膜41を形成する工程[2]の後、調整膜41の少なくとも一部と重なるように、駆動振動腕22、23上に電極3を形成する工程[3]を有することにより、調整膜41と電極3とを電気的に接続することができる。そのため、得られる振動素子1において、導電性を有する調整膜41を電極3の一部として利用することができる。
<第2実施形態>
図11は、本発明の第2実施形態に係る振動素子を示す断面図である。
本実施形態は、調整膜の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
図11は、本発明の第2実施形態に係る振動素子を示す断面図である。
本実施形態は、調整膜の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図11において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図11に示す振動素子1Aが有する貫通孔26内に設けられた調整膜41Aは、貫通孔26の内壁面の第2開口262側の部分全域にわたって形成されている。同様に、貫通孔27内に設けられた調整膜41Aは、貫通孔27の内壁面の第2開口272側の部分全域にわたって形成されている。なお、図示はしないが、同様に、貫通孔28内に設けられた調整膜41Aは、貫通孔28の内壁面の第2開口282側の部分全域にわたって形成されており、貫通孔29内に設けられた調整膜41Aは、貫通孔29の内壁面の第2開口292側の部分全域にわたって形成されている。
このように、各貫通孔26、27、28、29の内壁面の比較的広範囲にわたって調整膜41Aが設けられていることにより、調整膜41Aと電極3との電気的な接続の信頼性をより高めることができる。また、突出部225等の突出量や幅が大きい場合においても、不要振動を低減するように突出部225等とのバランスをとることができる。
このよう振動素子1Aによっても、優れた性能を発揮することができる。
このよう振動素子1Aによっても、優れた性能を発揮することができる。
<第3実施形態>
図12は、本発明の第3実施形態に係る振動素子を示す断面図である。
本実施形態は、調整膜の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
図12は、本発明の第3実施形態に係る振動素子を示す断面図である。
本実施形態は、調整膜の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。
なお、以下の説明では、第3実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図12において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図12に示す振動素子1Bが有する貫通孔26内に設けられた調整膜41Bは、貫通孔26の内壁面の全域にわたって形成されている。同様に、貫通孔27内に設けられた調整膜41Bは、貫通孔27の内壁面の全域にわたって形成されている。なお、図示はしないが、同様に、貫通孔28内に設けられた調整膜41Bは、貫通孔28の内壁面の全域にわたって形成されており、貫通孔29内に設けられた調整膜41Bは、貫通孔29の内壁面の全域にわたって形成されている。これにより、調整膜41Bと電極3との電気的な接続の信頼性をより高めることができる。また、貫通孔26等の内壁面に電極3を形成することが難しい部分があっても、その部分において調整膜41Bを電極3の一部として機能させることができる。
なお、調整膜41Bが電極3と電気的に接続されていれば、第1実施形態のように貫通孔26の内壁面に設けられた駆動接地電極32を省略することができる。同様に、貫通孔27の内壁面に設けられた駆動信号電極31を省略することができる。また、図示はしないが、同様に、第1実施形態のように貫通孔27、28の内壁面に設けられた検出信号電極33や検出接地電極34を省略することができる。
このよう振動素子1Bによっても、優れた性能を発揮することができる。
このよう振動素子1Bによっても、優れた性能を発揮することができる。
3.振動デバイス
次に、本発明の振動素子の製造方法で製造される振動デバイスについて説明する。
図13は、本発明の振動デバイスの一例を示す断面図である。
次に、本発明の振動素子の製造方法で製造される振動デバイスについて説明する。
図13は、本発明の振動デバイスの一例を示す断面図である。
なお、図13では、振動素子1に設けられている電極の図示を省略している。また、前述した実施形態との共通部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図13に示すように、振動デバイス10は、振動素子1と、振動素子1を収容するパッケージ8と、ICチップ9とを有している。
パッケージ8は、凹部811を有する箱状のベース81と、凹部811の開口を塞いでベース81に接合された板状のリッド82とを有している。そして、凹部811がリッド82によって塞がれることにより形成された収容空間に振動素子1が収納されている。収容空間は、減圧(真空)状態となっていてもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されていてもよい。
凹部811の底面には、複数の接続端子834が形成されている。これら接続端子834は、導電性を有していれば特に限定されないが、例えば、Cr(クロム)、W(タングステン)などのメタライズ層(下地層)に、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)などの各被膜を積層した金属被膜で構成することができる。
複数の接続端子834は、前述した振動片2に設けられた駆動信号端子35、駆動接地端子36、検出信号端子37および検出接地端子38に対応している。振動片2に設けられた駆動信号端子35、駆動接地端子36、検出信号端子37および検出接地端子38は、これらに対応する接続端子834に導電性接着剤864を介してそれぞれ接続されている。これにより、振動片2が凹部811の底面に固定されている。導電性接着剤864としては、導電性および接着性を有していれば特に限定されず、例えば、シリコーン系、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系、ビスマレイミド系等の接着材に銀粒子等の導電性フィラーを分散させたものを用いることができる。
また、凹部811の底部には、複数の接続端子にそれぞれ接続された複数の接続配線(図示せず)が形成されている。
また、ICチップ9は、凹部811の底面にろう材等によって固定されている。ICチップ9は、導電性ワイヤーによって各接続配線と電気的に接続されている。これにより、振動片2に設けられた駆動信号端子35、駆動接地端子36、検出信号端子37および検出接地端子38がICチップ9に電気的に接続されている。ICチップ9は、振動片2を駆動振動させるための駆動回路と、角速度が加わったときに振動片2に生じる検出振動を検出する検出回路と、を有する。
なお、本実施形態では、ICチップ9がパッケージ8の内部に設けられているが、ICチップ9は、パッケージ8の外部に設けられていてもよい。
4.電子機器
次いで、本発明の電子機器の一例として、振動素子1を備える電子機器について、図14〜図16に基づき、詳細に説明する。
次いで、本発明の電子機器の一例として、振動素子1を備える電子機器について、図14〜図16に基づき、詳細に説明する。
図14は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、角速度検知手段(ジャイロセンサー)として機能する振動素子1が内蔵されている。
図15は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。このような携帯電話機1200には、角速度検知手段(ジャイロセンサー)として機能する振動素子1が内蔵されている。
図16は、本発明の電子機器を適用したデジタルスチールカメラの構成を示す斜視図である。
デジタルスチールカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。このようなデジタルスチールカメラ1300には、角速度検知手段(ジャイロセンサー)として機能する振動素子1が内蔵されている。
以上のような電子機器は、振動素子1を備えているため、高い信頼性を発揮することができる。
なお、本発明の電子機器は、図14のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図15の携帯電話機、図16のデジタルスチールカメラの他にも、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター等に適用することができる。
5.移動体
次いで、図1に示す振動素子1を備える移動体について、図17に基づき、詳細に説明する。
図17は、本発明の移動体を適用した自動車の構成を示す斜視図である。
次いで、図1に示す振動素子1を備える移動体について、図17に基づき、詳細に説明する。
図17は、本発明の移動体を適用した自動車の構成を示す斜視図である。
自動車1500には、角速度検知手段(ジャイロセンサー)として機能する振動素子1が内蔵されており、振動素子1によって車体1501の姿勢を検出することができる。振動素子1の検出信号は、車体姿勢制御装置1502に供給され、車体姿勢制御装置1502は、その信号に基づいて車体1501の姿勢を検出し、検出結果に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪1503のブレーキを制御したりすることができる。その他、このような姿勢制御は、二足歩行ロボットやラジコンヘリコプターで利用することができる。以上のように、各種移動体の姿勢制御の実現にあたって、振動素子1が組み込まれる。
以上、本発明の振動素子、振動素子の製造方法、振動デバイス、電子機器および移動体を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明の振動素子、振動デバイス、電子機器および移動体を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、本発明の振動素子、電子機器および移動体は、任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明の振動素子の製造方法は、任意の製造工程が付加されていてもよい。
前述した実施形態では、H型の振動素子に本発明を適用した場合を例に説明したが、本発明の振動素子は、貫通孔を有していて面内方向に駆動または検出振動する振動腕を有するものであれば、これに限定されず、例えば、ダブルT型、二脚音叉、三脚音叉、直交型、角柱型等の種々の形態であってもよい。
また、前述した実施形態では、振動素子がセンサー素子である場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、発振器に用いる振動素子であってもよい。
1…振動素子、1A…振動素子、1B…振動素子、2…振動片、3…電極、8…パッケージ、9…ICチップ、10…振動デバイス、20…水晶基板、21…基部、22…駆動振動腕、23…駆動振動腕、24…検出振動腕、25…検出振動腕、26…貫通孔、27…貫通孔、28…貫通孔、29…貫通孔、30…金属膜、31…駆動信号電極、32…駆動接地電極、33…検出信号電極、34…検出接地電極、35…駆動信号端子、36…駆動接地端子、37…検出信号端子、38…検出接地端子、40…側壁保護膜、41…調整膜、41A…調整膜、41B…調整膜、51…マスク、52…マスク、81…ベース、82…リッド、221…第1面、222…第2面、225…突出部、231…第1面、232…第2面、235…突出部、241…第1面、242…第2面、245…突出部、251…第1面、252…第2面、255…突出部、261…第1開口、262…第2開口、271…第1開口、272…第2開口、281…第1開口、282…第2開口、291…第1開口、292…第2開口、811…凹部、834…接続端子、864…導電性接着剤、1100…パーソナルコンピューター、1102…キーボード、1104…本体部、1106…表示ユニット、1108…表示部、1200…携帯電話機、1202…操作ボタン、1204…受話口、1206…送話口、1208…表示部、1300…デジタルスチールカメラ、1302…ケース、1304…受光ユニット、1306…シャッターボタン、1308…メモリー、1310…表示部、1500…自動車、1501…車体、1502…車体姿勢制御装置、1503…車輪、a1…中心軸、W1…幅、W2…幅、W3…幅、ωy…角速度
Claims (15)
- 基部と、
前記基部から延出していて、互いに表裏関係にある第1面および第2面を貫通している貫通孔を有する振動腕と、を備え、
前記貫通孔の前記第1面に開口している第1開口の幅は、前記貫通孔の前記第2面に開口している第2開口の幅よりも狭く、
前記貫通孔の内壁面には、前記第2開口側に偏在している調整膜が設けられていることを特徴とする振動素子。 - 前記調整膜は、炭素およびフッ素を含む請求項1に記載の振動素子。
- 前記調整膜は、金属を含む請求項1または2に記載の振動素子。
- 前記振動腕に設けられている電極を備え、
前記調整膜は、導電性を有し、前記電極に接続されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動素子。 - 前記調整膜の少なくとも一部は、前記電極に覆われている請求項4に記載の振動素子。
- 前記貫通孔を複数有し、
複数の前記貫通孔は、前記振動腕が延出している方向に沿って並んで設けられている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の振動素子。 - 前記基部および前記振動腕は、水晶で構成されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記調整膜は、前記貫通孔の全周にわたって設けられている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の振動素子。
- 基板をドライエッチングすることにより、基部と、前記基部から延出していて、互いに表裏関係にある第1面および第2面を貫通している貫通孔を有する振動腕と、を形成するとともに、前記貫通孔の内壁面に側壁保護膜を形成する工程と、
前記側壁保護膜の一部を除去することにより、前記貫通孔の内壁面に調整膜を形成する工程と、を有することを特徴とする振動素子の製造方法。 - 前記ドライエッチングは、導電性を有するマスクを用いて行う請求項9に記載の振動素子の製造方法。
- 前記調整膜を形成する工程では、前記貫通孔内の前記側壁保護膜の前記第2開口側の部分を残しつつ前記第1開口側の部分を除去する請求項9または10に記載の振動素子の製造方法。
- 前記調整膜を形成する工程の後、前記調整膜の少なくとも一部と重なるように、前記振動腕上に電極を形成する工程を有する請求項9ないし11のいずれか1項に記載の振動素子の製造方法。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の振動素子と、
前記振動素子を収容するパッケージと、を有することを特徴とする振動デバイス。 - 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の振動素子を備えることを特徴とする電子機器。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の振動素子を備えることを特徴とする移動体。
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TWI822791B (zh) * | 2018-06-08 | 2023-11-21 | 日商恩普樂斯股份有限公司 | Ic插座 |
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