JP2017071883A - 芯鞘複合バインダー繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】 接着性能を有し耐熱性に優れかつ高温における寸法安定性に優れ、さらにはリサイクル可能な繊維製品を得ることが可能な芯鞘複合バインダー繊維を提供することにある。
【解決手段】構成繊維同士を接着するためのバインダー繊維であって、
バインダー繊維は、液晶ポリエステルが芯部を形成し、アルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルが鞘部を形成する芯鞘複合型の繊維であって、
芯部を形成する液晶ポリエステルの融点が230℃〜270℃であり、
鞘部を形成するポリエステルは、結晶融点を有し、その融点が230〜270℃であり、
鞘部は、熱接着成分として機能するものであることを特徴とする芯鞘複合バインダー繊維。
【選択図】 なし

Description

本発明は、繊維同士を一体化させる接着性能を持ちつつ、耐熱性及び寸法安定性に優れた芯鞘複合バインダー繊維に関するものである。
ポリエステル繊維は、その優れた寸法安定性、耐候性、機械的特性、耐久性、さらにはリサイクル性等から、衣料、産業資材として不可欠のものとなっており、不織布分野においても、ポリエステル繊維が多く使用されている。
従来のポリエステル短繊維からなる不織布には、主体繊維を熱接着するために熱接着性短繊維が使用されており、芯部にポリエチレンテレフタレート(PET)、鞘部にイソフタル酸を共重合した低融点ポリマーを配した芯鞘型複合短繊維が、一般的に多く用いられている。このようなイソフタル酸を共重合した低融点ポリマーは、非晶性で明確な融点を示さず、ガラス転移点以上となれば軟化が始まるものである。このため、繊維の製造時に熱固定することができず、加熱接着処理をする際に収縮が発生する。したがって、不織布等の製品中にこの繊維の使用比率が大きい場合には、得られる不織布等の製品の寸法安定性が悪くなったり、また、高温雰囲気下で使用すると接着強力が低下したり変形が発生し耐熱性の悪いものであった。
耐熱性を向上させる手法としては、明確な結晶融点を示すテレフタル酸およびイソフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールを主たるジオール成分とする共重合ポリエステルからなる耐熱性バインダー繊維が提案されている。(たとえば、特許文献1参照)
また、不織布において耐熱性を付与する手法としては、ガラス繊維の様な無機物の繊維状物を混合させて耐熱性を補う手法が知られているが、無機物を混合させるためリサイクルできないといった問題があり経済的に不利であり、環境負荷が大きいものとなる。
特開2006-169653号公報
近年、耐熱性を必要とする分野において要求される性能が高くなっており、前述した特許文献1に記載されているような耐熱性バインダー繊維では要求性能を満たせない場合がある。そして、特に高温下で使用される用途や不織布加工時および該不織布をさらに加工する際の高温熱処理時の熱的耐久性、寸法安定性などの性能向上を達成し得るポリエステル繊維の実現が強く求められている。
本発明の課題は、接着性能を有し耐熱性に優れかつ高温における寸法安定性に優れ、さらにはリサイクル可能な繊維製品を得ることが可能な芯鞘複合バインダー繊維を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、構成繊維同士を接着するためのバインダー繊維であって、
バインダー繊維は、液晶ポリエステルが芯部を形成し、アルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルが鞘部を形成する芯鞘複合型の繊維であり、
芯部を形成する液晶ポリエステルの融点が230℃〜270℃であり、
鞘部を形成するポリエスエルは、結晶融点を有し、その融点が230〜270℃であり、
鞘部は、熱接着成分として機能するものであることを特徴とする芯鞘複合バインダー繊維を要旨とするものである。
また、本発明は、前記芯鞘複合バインダー繊維の製造方法であって、
融点230〜270℃の液晶ポリエステルチップと、結晶融点を有し融点が230〜270℃であるアルキレンテレフタレートからなるポリエステルとを準備し、複合紡糸装置を用いて、液晶ポリエステルが芯部、アルキレンテレフタレートからなるポリエステルが鞘部となる芯鞘形状となるようにし、芯部の比率が鞘部の比率より少ない比率で供給し、紡糸速度800m/分以下の条件で紡糸し紡糸後は延伸工程を経ないことを特徴とする芯鞘複合バインダー繊維の製造方法を要旨とするものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の繊維は、構成繊維同士を接着するためのバインダーとして機能するバインダー繊維であって、芯鞘複合型の形態を呈している。そして、芯部は、液晶ポリエステルにより形成され、その融点は230℃〜270℃である。
液晶ポリエステルの融点を230℃以上とすることにより、本発明が目的とする非常に優れた耐熱性と高温雰囲気下での形態安定性、寸法安定性を達成することができる。一方、融点を270℃以下とすることにより、紡糸操業性を良好に維持でき、問題なく製造することができる。
液晶ポリエステルの具体例としては、例えば、特公昭56−18016号公報や特開昭64−26632号公報に開示されたエチレンテレフタレート単位とp−ヒドロキシ安息香酸残基単位とからなる共重合ポリエステル、特開昭54−77691号公報に開示された6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸残基単位とp−ヒドロキシ安息香酸残基単位とからなる共重合ポリエステル、特公昭47−47870号公報に開示されたテレフタル酸残基単位とp−ヒドロキシ安息香酸残基単位とからなる共重合ポリエステル、特開昭53−65421号公報に開示されたテレフタル酸残基単位とフェニルハイドロキノン残基単位とからなる共重合ポリエステル、米国特許第4600765号明細書に開示されたテレフタル酸残基単位、フェニルハイドロキノン残基単位及びスチロイルハイドロキノン残基単位からなる共重合ポリエステル等が挙げられる。
本発明においては、液晶ポリエステルとして、エチレンテレフタレート単位とp−ヒドロキシ安息香酸残基単位とからなる共重合ポリエステルを用いることが好ましい。この共重合ポリエステルは、原料が安価で入手しやすく、コスト面で有利である。共重合比率としては、p−ヒドロキシ安息香酸残基単位が68モル%〜80モル%共重合されているものがよい。p−ヒドロキシ安息香酸残基単位が68モル%以下であると融点が230℃以下となり本発明の目的が達成されない。一方、p−ヒドロキシ安息香酸残基単位が78モル%以上であると融点が270℃以上となり溶融紡糸が困難なものとなる。
鞘部は、アルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルにより形成される。アルキレンテレフタレートとしては、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレンナフタレート等が挙げられる。なかでも、経済性、耐熱性等からエチレンテレフタレートが好ましく、また、ホモポリエステルであることが好ましい。また、本発明において、鞘部のポリエステルは、結晶融点を有し、融点が230〜270℃である。なお、結晶融点とは、示差走査熱量測定(DSC)を行った際のDSC曲線において、明瞭でシャープな融点ピークが表れるものである。このような結晶融点230〜270℃のポリエステルは、耐熱性が高い。
鞘部を形成するポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲で、リン酸エステル化合物やヒンダードフェノール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような艶消し剤、可塑剤、顔料、制電剤、難燃剤、易染化剤などの各種添加剤を1種類または2種類以上添加してもよい。
本発明の芯鞘複合バインダー繊維は、上記したポリエステルが配されてなるものであり、200℃における乾熱収縮率は2.0%以下である。乾熱収縮率が2.0%以下であることにより、不織布を製造する際や得られた不織布をさらに後加工する際において、高温で熱処理時の熱に対する耐久性、寸法安定性などが良好となるため、安定的に生産、加工が可能となる。また、本発明の芯鞘複合バインダー繊維を用いてなる繊維製品を高温雰囲気下で用いる場合に、熱によって変形しにくく、寸法安定性が良好で、耐久性に優れるものとなる。
本発明の芯鞘複合バインダー繊維の単繊維繊度は、特に限定するものではなく、用途に応じて適宜選択すればよいが、1.1〜33dtexが好ましく、さらには2.2〜11dtexがより好ましい。単糸繊度が1.1dtex未満になると、製糸時に切れ糸が発生し、繊維の品質が劣るものとなる。一方、33dtexを超えると、例えば、不織布の構成繊維とする場合に、目付にもよるが、目付が小さい場合は、構成繊維の数が少なくなり、地合いが悪くなる傾向となる。
本発明の芯鞘複合バインダー繊維の形態は、連続繊維であっても、特定の繊維長からなる短繊維やショートカット繊維であっても、用途に応じて、適宜選択すればよい。例えば、短繊維不織布を得る場合は、繊維長は32〜100mmが好ましく、さらには38〜100mmがより好ましい。繊維長を32mm以上とすることにより、カード機での開繊時に繊維の脱落が発生しにくく操業性が良好であるとともに、破断伸び率の高い短繊維不織布が得られ易い。一方、繊維長を100mm以下とすることにより、カード機で良好に解繊でき、地合いの均一な不織布が得られる。
次に、本発明の芯鞘複合バインダー繊維の好ましい製造方法について説明する。
融点230〜270℃の液晶ポリエステルと、結晶融点を有し融点が230〜270℃であるアルキレンテレフタレートからなるポリエステルとを準備し、従来公知の複合紡糸装置を用いて、液晶ポリエステルが芯部、アルキレンテレフタレートからなるポリエステルが鞘部となる芯鞘形状となるようにし、芯部の比率が鞘部の比率より少ない比率で供給する。そして、紡糸速度800m/分以下の条件で紡糸し紡糸後は延伸工程を経ない。
芯部の比率(質量比)は、鞘部の比率より少なくする。すなわち、芯部の比率は、50質量%未満とする。芯部の比率が、50質量%以上となると、紡糸操業性が悪くなり製造が困難となるためである。またコスト面でも不利なものとなる。このような理由から、芯部の比率の上限は、40質量%がよい。一方、芯部の比率は、少なくとも20質量%とする。芯部の比率が20質量%以下であると、耐熱性が劣り、高温雰囲気下での寸法安定性が劣る傾向となる。したがって、芯部の好ましい比率は、20〜40質量%である。
本発明の芯鞘複合バインダー繊維は、溶融紡糸の際の紡糸速度を800m/分未満とする。紡糸速度を800m/分以下とすることにより、紡糸操業性が良好となる。
また、本発明においては、溶融紡糸により得られた糸条は、いわゆる延伸工程は経ず、実質的に延伸を行うことなく、巻き取られる。本発明の芯鞘複合バインダー繊維は、延伸が行われないために、繊維を構成するポリエステルが溶融紡糸後の分子配向が行われず、配向が進まない。通常、溶融紡糸した後には、熱的に安定な状態とするためや強度を向上させる目的で、加熱して延伸する等の延伸が施される。このような延伸処理が施されると、特に鞘部を構成するポリエステルの分子配向が進み、鞘部を構成するポリエステルの複屈折率の値が高くなる。すると、鞘部を構成するポリエステルの融点より低い温度で熱処理を施した際に、繊維は軟化せず、接着性を発揮せずバインダーとして機能しない。
本発明においては、バインダーとして機能する鞘部のポリエステルを延伸による配向を進ませないことにより、そのポリエステルの融点よりも低い温度で熱処理した場合に、配向していないことから、軟化し、溶融しなくとも、繊維同士を接着するバインダーとして機能する。なお、紡糸速度800m/分以下でかつ延伸処理が施されていない鞘部は、ポリエチレンテレフタレートの場合、その複屈折率は0.01程度である。なお、製造工程において、延伸工程を経ないため、工程の短縮化となり、経済的にも有利である。
本発明の芯鞘複合バインダー繊維は、主体繊維と混合して用いるものであり、芯鞘複合バインダー繊維と主体繊維とを混合して、不織ウェブ等の繊維集合体を形成し、この繊維集合体に、加熱処理を施して、鞘部を軟化させることにより、構成繊維同士を接着一体化させて、耐熱性に優れる繊維製品を得る。なお、芯鞘複合バインダー繊維と主体繊維とが混合してなる繊維集合体あるいは繊維製品としては、不織ウェブ、不織布、混繊糸、混紡糸、織物、編物等が挙げられる。
主体繊維と混合する際、芯鞘複合バインダー繊維は、その効果を十分に奏するには、混合した繊維集合体中に少なくとも5質量%以上含ませる。芯鞘複合バインダー繊維の含有量が5質量%未満では、繊維集合体および繊維製品に耐熱性や高温雰囲気下における寸法安定性を良好に発揮しにくい。含有量は10質量%以上であることが好ましく、なお、含有量の上限は50質量%とする。
更には、芯鞘複合バインダー繊維は不織布中に10%〜50%含まれることが好ましい。混率が少なすぎると本来の性能が得られない場合がある。また、混率が50%以上であるとコストが高くなり、経済的に不利となる。
主体繊維としては、本発明の目的から耐熱性が良好な繊維を用いることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート繊維やポリエチレンナフタレート繊維等が挙げられる。また、芯鞘複合バインダー繊維の鞘部との接着性を考慮して、鞘部と同種のポリエステルによって構成されるポリエステル繊維を主体繊維に用いるとよい。したがって、本発明は鞘部がポリエチレンテレフタレートによって構成されるときは、主体繊維はポリエチレンテレフタレート繊維を用いることが好ましい。
また、主体繊維として用いるポリエチレンテレフタレート繊維において、繊維を構成するポリエチレンテレフタレートの複屈折率が0.01〜0.10のものを用いると、ポリエチレンテレフタレートの融点は250〜260℃であるが、その融点より20〜40℃低い温度で熱処理した場合、主体繊維の少なくとも表面を構成するポリエチレンテレフタレートが軟化し、また、バインダー繊維の鞘部のバインダー成分も軟化していることから密着性が非常に良好となり、構成繊維間の接着強度が向上し、剛性が向上した不織布を得ることができる。これは、複屈折率が0.01〜0.10のポリエチレンテレフタレートは、分子配向が進んでいないためである。このように繊維同士の密着性が良好となり接着強度が向上してなる不織布は、目付が比較的小さいもの(例えば、100g/m以下程度)であればハリやコシを有する布帛となり、また、目付が比較的大きいもの(例えば、100g/mを超えるもの)は、剛性を有するボードのようなものとなる。さらに、500〜3000g/m程度の目付が大きく、数mm〜数cm程度の比較的厚みを有するものは、不織布というよりも一般に固綿と呼ばれるものであり、剛性が良好で厚みも有するボードのようなものとなる。また、加熱により軟化させて、所望の型枠を用い、この形状に追随させることにより、構成繊維同士を接着させるとともに所望の形状に成型した成型品を得ることもできる。このような剛性を有するボートや固綿は、耐熱性を有し、かつ形態変形しにくく、また、成型性が良好であるため、自動車内装材や自動車外装材、自動車用の各種部材に良好に用いることができる。特に繊維によって構成される布帛やボード、固綿は、吸音性能を有するため、自動車用部材に好ましく適用できる。
このような主体繊維であって、分子配向が進んでなく、複屈折率0.01〜0.10のポリエチレンテレフタレート繊維は、溶融紡糸の際に、紡糸速度800〜1300m/分で紡糸し、延伸工程を経ずにそのまま巻き取ることにより得るか、もしくは溶融紡糸後に延伸するとしても1.01〜1.05倍程度のわずかな延伸が施されることによって得られる。延伸処理を施す際に、加熱して延伸したものは分子配向が進むため、上範囲の複屈折率とはなりにくい。なお、このような主体繊維としては、市場では、ユニチカ社製のポリエステル短繊維 製品名<14V>が該当し、好適に用いることができる。
本発明において、繊維の複屈折率は、光源にナトリウムランプを用いた偏光顕微鏡を使用し、繊維をグリセリン50%溶液に浸漬した状態下でBerekコンペンセーター法からレターデーションを求めて算出する。そして、繊維の長さ方向にランダムに50点(n数=50)複屈折率を測定し、これらの複屈折率の平均値を繊維の複屈折率とする。
本発明の芯鞘複合バインダー短繊維は、液晶ポリエステルが芯部を形成し、アルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルが鞘部を形成し、芯部の液晶ポリエステルおよび鞘部のポリエステルは、両者ともに融点が230℃〜270℃の範囲にあり、鞘部のポリエステルは結晶融点を有する。本発明の芯鞘複合バインダー繊維を用いてなる繊維製品は、高温時の耐熱性、寸法安定性に優れたものとなる。したがって、ガラス繊維の様な無機物の繊維状物を混合しなくとも、高温下での耐熱性や寸法安定性が付与できるため、無機物を含まずリサイクル性に優れた繊維製品を提供できる。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(1)融点
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計(Diamond DSC)を用いて、昇温(降温)速度20℃/分で測定した。
(2)乾熱収縮率
芯鞘複合バインダー繊維の繊維長を無荷重で測定し、次に200℃で15分間熱処理を行い、熱処理後の繊維長を同様に測定する。そして熱処理前の繊維長(A)と熱処理後の繊維長(B)から下式にて乾熱収縮率を算出する。
乾熱収縮率(%)=〔(A−B)/A〕×100
(3)紡糸操業性
紡糸の状況により下記の2段階で評価した。
○:紡糸時の切れ糸回数が1回/トン以下である
×:紡糸時の切れ糸回数が1回/トンを超える。
(4)不織布の目付
JIS L 1913 6.2に準じて測定した。
(5)高温雰囲気下でのたわみ量(不織布の耐熱性)
得られた不織布を長さ250mm、幅50mmに裁断し不織布の一端(幅50mm側の部分)を高さ150mmの冶具に固定し(固定距離を50mm)、他方の端は自由の状態(固定されていない箇所(長さ200mm)は自由な状態)で、熱風乾燥機内に投入し、200℃×24時間高温雰囲気下に放置し、その後、乾燥機から取り出して、不織布のたわみ量(自重や熱の影響によって、固定されていない箇所がたわみを生じて垂れ下がった量)を測定した。本発明においては、たわみ量が35mm以下であると耐熱性が良好であり、熱により変形しにくく合格とした。なお、不織布作成の際に厚み調整を行い、得られる不織布の密度が100kg/m以上となるようにした。
実施例1
ポリエチレンテレフタレートの溶融オリゴマー(23モル%)を260℃に昇温された重合缶に仕込み、攪拌しながら220℃まで降温させ、これにp−ヒドロキシ安息香酸(77モル%)を6回に分けて15分間の間隔をおいて添加し、添加終了後、その温度を保ちながら30分間アシドリシス反応を行った。次いで、反応系の温度を140℃まで急冷させ無水酢酸を92モル%4回に分けて添加し、その温度を保ちつつ0.02MPa加圧化で1時間アセチル化反応をおこなった。次いで、反応系の温度を3時間かけて 280℃まで昇温し、1トル以下に減圧して重縮合反応を行い液晶ポリエステルを得た。得られた液晶ポリエステルは、液晶性を示し、融点が240℃であった。
上記で得られた液晶ポリエステルチップと結晶融点256℃、極限粘度0.61のポリエステルチップを複合紡糸装置に供給し、ポリエステルが鞘部、液晶ポリエステルが芯部となる芯鞘形状となるようにし、両成分の質量比を芯/鞘=30/70として溶融紡糸を行った。このとき、紡糸温度295℃、吐出量680g/分、紡糸孔数1014、紡糸速度750m/分の条件で紡糸した。次いで、紡出糸条を32℃の冷風で冷却し、引き取って未延伸糸を得た。この未延伸糸を集束して11万dtexのトウ状にし、延伸を行わずに集束させ、その後、ラウリルホスフェートカリ塩を主成分とする一般紡績用油剤を付着量が0.2質量%となるように付与した後、カットして単糸繊度9.0dtex、繊維長38mmの芯鞘複合バインダー短繊維を得た。この短繊維の200℃における乾熱収縮率は、1.5%であった。
上記で得られた芯鞘複合バインダー短繊維と、主体繊維としてユニチカ社製ポリエチレンテレフタレート短繊維<14V>3.3T38とを用い、混合割合を50/50(質量%)の割合で混綿し、カード機で解繊した後、積層して目付1000g/mの乾式ウェブを作成した。この混合した乾式ウェブを、厚み5mmに規制し、熱風熱処理機にて温度220℃、風量57m/分の条件で4分熱処理して、目付1000g/mの不織布を得た。
実施例2
芯鞘複合バインダー短繊維と主体繊維との混合比を30/70(重量%)としたこと以外、実施例1と同様にして短繊維不織布を得た。
実施例3
芯鞘複合バインダー短繊維と主体繊維との混合比を20/80(重量%)としたこと以外、実施例1と同様にして短繊維不織布を得た。
実施例4
芯鞘複合バインダー短繊維と主体繊維との混合比を10/90(重量%)としたこと以外、実施例1と同様にして短繊維不織布を得た。
実施例5
実施例1において、芯鞘複合バインダー繊維を得る際に、芯部と鞘部の質量比を40/60とし、吐出量を630g/分、紡糸速度を630m/分としたこと以外は実施例1と同様にして芯鞘複合バインダー短繊維を得た。得られた芯鞘複合バインダー短繊維の単繊維繊度は8.0dtex、200℃における乾熱収縮率は、1.6%であった。
得られた芯鞘複合バインダー繊維を用いて実施例1と同様にして短繊維不織布を得た。
実施例6
バインダー繊維として、実施例5で得られた芯鞘複合バインダー繊維を用いたこと以外は、実施例2と同様にして短繊維不織布を得た。
実施例7
バインダー繊維として、実施例5で得られた芯鞘複合バインダー繊維を用いたこと以外は、実施例3と同様にして短繊維不織布を得た。
比較例1
ポリエチレンテレフタレートの溶融オリゴマーの仕込み量を35.0モル% 、p−ヒドロキシ安息香酸の添加量を65.0モル%に変更した以外は実施例1と同様に液晶ポリエステルを得た。得られた液晶ポリエステルの融点は220℃であった。
上記で得られた液晶ポリエステルチップを用い、芯部と鞘部の質量比を芯/鞘=30/70として溶融紡糸を行った。このとき、紡糸温度295℃、吐出量430g/分、紡糸孔数1014、紡糸速度600m/分の条件で紡糸した以外、実施例1と同様にして芯鞘複合バインダー繊維を得た。得られた芯鞘複合バインダー繊維の単繊維繊度は7.5dtexであり、200℃における乾熱収縮率は、0.9%であった。
また、得られた芯鞘複合バインダー繊維を用いて、実施例1と同様にして短繊維不織布を得た。
比較例2
主体繊維として用いたユニチカ社製ポリエチレンテレフタレート短繊維<14V>3.3T38のみを用い、バインダー繊維を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして短繊維不織布を得た。なお、主体繊維は、200℃における乾熱収縮率は60.0%であった。
表1から明らかなように、実施例1〜7にて用いた液晶ポリエステルの融点は240℃であり、それを用いた芯鞘複合バインダー繊維は紡糸操業性は良好あった。また、これらバインダー繊維の200℃における乾熱収縮率が2.0%以下であり、高温下で収縮しにくいものであった。また、このバインダー繊維を用いて得られた不織布は、高温雰囲気下(200℃)でのたわみ量は、いずれも35mm以下であり、耐熱性に優れたものであった。
一方、比較例1は、液晶ポリエステルの融点が220℃であり、バインダー繊維の200℃における乾熱収縮率は0.9%であり、高温下で収縮しにくいものであったが、このバインダー繊維を用いて得られた不織布は、高温雰囲気下(200℃)でのたわみ量は、150mmであり、高温下での変形が大きく、耐熱性に劣るものであった。
比較例2は、バインダー繊維を用いずに不織布を得たものであり、得られた不織布の高温雰囲気下(200℃)でのたわみ量は、90mmであり、高温下での変形が大きく、耐熱性に劣るものであった。

Claims (15)

  1. 構成繊維同士を接着するためのバインダー繊維であって、
    バインダー繊維は、液晶ポリエステルが芯部を形成し、アルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルが鞘部を形成する芯鞘複合型の繊維であって、
    芯部を形成する液晶ポリエステルの融点が230℃〜270℃であり、
    鞘部を形成するポリエステルは、結晶融点を有し、その融点が230〜270℃であり、
    鞘部は、熱接着成分として機能するものであることを特徴とする芯鞘複合バインダー繊維。
  2. 鞘部を形成するアルキレンテレフタレートが、エチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1記載の芯鞘複合バインダー繊維。
  3. 鞘部を形成するポリエステルが、ホモポリエステルであることを特徴とする請求項1または2記載の芯鞘複合バインダー繊維。
  4. 芯部を形成する液晶ポリエステルが、エチレンテレフタレート単位とp−ヒドロキシ安息香酸残基単位とからなる共重合ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の芯鞘複合バインダー繊維。
  5. 芯部の液晶ポリエステル中にp−ヒドロキシ安息香酸残基単位が67モル%〜78モル%共重合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の芯鞘複合バインダー繊維。
  6. 200℃における乾熱収縮率が2.0%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の芯鞘複合バインダー繊維。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の芯鞘複合バインダー繊維と、主体繊維とによって構成される不織布であり、構成繊維同士は、芯鞘複合バインダー繊維の鞘部のポリエステルにより接着して一体化していることを特徴とする不織布。
  8. 不織布中における芯鞘複合バインダー繊維の含有量が、5〜50質量%であることを特徴とする請求項7記載の不織布。
  9. 主体繊維が、ポリエチレンテレフタレート繊維であることを特徴とする請求項7または8に記載の不織布。
  10. 主体繊維を構成するポリエチレンテレフタレートの複屈折率が0.01〜0.10であることを特徴とする請求項9記載の不織布。
  11. 請求項1記載の芯鞘複合バインダー繊維の製造方法であって、
    融点230〜270℃の液晶ポリエステルと、結晶融点を有し融点が230〜270℃であるアルキレンテレフタレートからなるポリエステルとを準備し、複合紡糸装置を用いて、液晶ポリエステルが芯部、アルキレンテレフタレートからなるポリエステルが鞘部となる芯鞘形状となるようにし、芯部の比率が鞘部の比率より少ない比率で供給し、紡糸速度800m/分以下の条件で紡糸し紡糸後は延伸工程を経ないことを特徴とする芯鞘複合バインダー繊維の製造方法。
  12. 芯部の比率が少なくとも20%以上であって、かつ鞘部の比率より少ない比率であることを特徴とする請求項11記載の芯鞘複合バインダー繊維の製造方法。
  13. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の芯鞘複合バインダー繊維と、主体繊維とを混合して不織ウェブを形成し、芯鞘複合バインダー繊維の鞘部のポリエステルの融点よりも20〜40℃低い温度で熱処理し、鞘部のポリエステルを軟化させてバインダーとして機能させ、構成繊維同士を接着して一体化して不織布を得ることを特徴とする不織布の製造方法。
  14. 芯鞘複合バインダー繊維の鞘部がポリエチレンテレフタレートであり、主体繊維がポリエチレンテレフタレート繊維であることを特徴とする請求項13記載の不織布の製造方法。
  15. 主体繊維を構成するポリエチレンテレフタレートの複屈折率が0.01〜0.10であり、不織ウェブを温度220〜240℃で熱処理することにより、鞘部のポリエステルを軟化させるとともに、主体繊維を構成する少なくとも表面のポリエチレンテレフタレートを軟化させて、構成繊維同士を接着して一体化して不織布を得ることを特徴とする請求項14記載の不織布の製造方法。
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