JP2017071665A - 水性インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、金属、ガラスや陶器表面等にこれらの水性インキで筆記すると、表面に十分な艶を備え、かつピンホールが生じない筆跡を得ることができなかった。
1.エチレングリコールを含有し、さらにプロピレングリコール及び/又はジエチレングリコールを含有し、これらのグリコール類をインキ組成物中4.0〜12.0重量%含有し、樹脂エマルジョンを樹脂固形分がインキ組成物中20〜45重量%となるように含有し、顔料及び水性溶媒を含有する非浸透表面用インキ組成物。
2.さらに揺変剤及び/又は樹脂球を含有する1に記載のガラス表面及び陶器表面用水性インキ組成物。
(樹脂エマルジョン)
本発明における樹脂エマルジョンに使用される樹脂としては、スチレン−アクリル樹脂、酢酸ビニル−エチレン樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂等である。
スチレン−アクリル樹脂エマルジョンとしては市販されているものを用いてもよく、例えばスチレン−アクリル系樹脂エマルジョンとして得られる、J−450、J−734、J−7600、J−352、J−390、J−7100、J−741、J−74J、J−511、J−840、J−775、HRC‐1645、HPD−71、PDX−6102B、JDX−5050(BASF)、UC−3900(東亜合成)、モビニールLDM7520、モビニール5450(日本合成化学)、CG−8490(DIC)等を使用することができる。
酢酸ビニル−エチレン樹脂エマルジョンとしては市販されているものでよく、セビアン−A 435(ダイセルファインケム)、スミカフレックス(住化ケムテックス)、パンフレックス(クラレ)、ビニゾール(大同化成工業)等を使用することができる。
酢酸ビニル−アクリル樹脂エマルジョンとしては市販されているものでよく、ポリゾール(昭和電工)、ビニゾール(大同化成工業)等を使用することができる。
アクリル酸エステル樹脂エマルジョンエマルジョンとしては市販されているものでよく、ニカゾール(日本カーバイド工業)、ビニブラン(日信化学工業)、プライマルAC−2235等を使用することができる。
アクリル−シリコーン樹脂エマルジョンとしては、AP4710(昭和高分子)、シャリーヌE(日信化学工業)、プライマルPR−29、プライマルJP−130S(ローム&ハース)、ポリゾールAP−3900(昭和電工)、AE980、AE982(イーテック)等を使用することができる。
これらの樹脂エマルジョンの中でも、より高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂からなるエマルジョンを用いるほうが、より筆跡の光沢度が高い傾向にあり望ましい。そのため、樹脂エマルジョンに含有される樹脂のガラス転移温度は0℃以上が好ましく、より好ましくは4℃以上、さらに好ましくは10℃以上である。
樹脂エマルジョンの固形分がインキ組成物中45重量%を超えると、より水分量が少なくなるので、筆記後の乾燥が早くなり、ピンホールやワキが発生しやすくなる。また筆記後の筆跡に不用意に指が触れると筆跡が乱れる恐れがあり、またインキ組成物の粘度が高くなるので、筆記具からのインキの流出性が悪化する。また、20重量%未満であると、インキ組成物による筆跡にピンホールが発生しやすくなったり、光沢が無くなったりして艶がない筆跡となる。
顔料は、本発明のインキ組成物による筆跡が目的とする着色や、本発明のインキ組成物による筆跡が必要により耐水性、耐温水性、耐擦過性等の性質を備える範囲においてインキ組成物に配合され得る。
そしてこのような目的を達成する範囲において、任意の顔料を使用することができる。
例えば、有機顔料及び染料としては、フタロシアニン系、アゾ系、キナクドリン系、アンスラキノン系、ジオキサン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、インドレノン系、アゾ−アゾメチン系等の公知の有機顔料や染料を採用することができる。
また無機顔料としては、二酸化チタン、カーボンブラック、アルミナのシリカ、タルク、アルミニウム粉およびブロンズ粉等の金属粉顔料;蛍光顔料;パール顔料;ならびに光輝性顔料等を使用することができる。
さらに、目的の色とするために、必要に応じて各種の染料を配合することができる。
本発明において、含有する顔料の分散を安定化させることを目的として、水への溶解性に優れた分散剤をインキ組成物に配合する。
そのような分散剤としては公知の分散剤を使用することができ、そのような分散剤は、例えば、スチレン−アクリル系樹脂(ジョンクリルJ−62、BASF)、スチレン−マレイン酸樹脂(ハイロスX−220、星光PMC)、スチレン−マレイン酸エステル樹脂(アラスター700、荒川化学工業)、アクリル系樹脂(ジュリマーAAC−10N、日本純薬)、メタクリル酸エステル樹脂(コーポニールシリーズ、日本合成化学)、アクリル酸エステル樹脂等の1種以上である。
本発明のインキ組成物の分散剤の含有量としては、インキ組成物全体に対して好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは1.0〜10重量%であり、インキ組成物中の顔料の量に応じて含有量を決めることもできる。
分散剤の含有量が15重量%を超えるとインキ組成物の粘度が高くなりすぎて、筆記具にした場合におけるインキ流出性が悪化し、0.5重量%未満のときには、顔料の分散性が低下して、やはり粘度が高くなりすぎる可能性がある。
本発明において、湿潤剤としてエチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールを採用する。具体的には、プロピレングリコール及び/又はジエチレングリコールと共に、エチレングリコールも合わせてインキ組成物に含有させる。
これらのグリコール類の湿潤剤を合計で、インキ組成物中4.0〜12.0重量%、好ましくは4.4〜10.0重量%、さらに好ましくは4.4〜8.0重量%含有する。
またプロピレングリコールとジエチレングリコールの合計含有量は、エチレングリコールの含有量以下であることが好ましく、より好ましくはエチレングリコールの含有量の半分以下であり、さらに好ましくはエチレングリコールの含有量の三分の一以下である。
このような組成の湿潤剤を使用することにより、湿潤剤本来の効果とは別に、筆跡にピンホールやワキが発生することを防止できる。これらのグリコール類の合計含有量が12.0重量%を超えると筆跡の乾燥速度が遅くなり、4.0重量%未満であるとピンホールやワキが発生することになる。
本発明における水性溶媒としては、水、又は水と水溶性有機溶媒の混合溶媒を使用することができる。また、上記の樹脂エマルジョンに由来する水性溶媒も結果的に水性媒体としてインキ組成物に配合される。
本発明における水溶性有機溶媒としては公知のもので良い。水溶性有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。水溶性有機溶媒は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明において、水性溶媒の配合量が90重量%を超えると、インキ組成物の粘度が低くなりすぎるので、筆記具としたときに流出するインキ組成物の制御が困難となり、また筆跡が薄くなりすぎて耐擦過性が悪化する。また、必要があるにも関わらず、水性溶媒を十分に配合しなかった場合には、インキ組成物の粘度が高くなりすぎて筆記具とした場合のインキの流出性が悪化する。
本発明のインキ組成物においては水溶性の揺変剤を含有させることができる。揺変剤を含有させることによって、インキ組成物にチキソトロピー性を付与することができ、インキ組成物の保管時、もしくは筆記具内のインキ貯留部において、インキ組成物からハードケーキが生じることを防止できる。
そのような揺変剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、ポリアクリル酸アンモニウムやアクリル酸エマルジョンを採用することができ、具体的には、MOWIPLAS XW330、プライマルASE−60、プライマルTT−935を使用することができる。
揺変剤の使用量としては、インキ組成物の粘度調整や目的とする揺変性程度を考慮して決定でき、そのインキ組成物全体に対して0.5〜5.0重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%である。
揺変剤の含有量が5.0重量%を超えると、インキ組成物の粘度が高くなり、筆記具とした場合のインキの流出性が悪化する。また揺変剤の使用量が足りない場合には、粘度が低下し、揺変性が不足することになる。
本発明では、インキ組成物に樹脂球が含まれてもよい。樹脂球は、インキ中の固形分の平均比重を小さくし、隠蔽性を向上するために用いることができる。樹脂球の形状は、特に限定されるものではなく、球状、不定形、中空、扁平状などが挙げられる。材質としてはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリメタクリレート、ベンゾグアナミン、ナイロン等が挙げられ、また、染料などで着色したものも使用できる。本発明に使用できる樹脂球としては、MP−1000(ポリメチルメタクリレート、綜研化学)、エポスターS(メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、日本触媒)、ナイロンSP(ナイロン、東レ)、塩化ビニル#121(塩化ビニル、日本ゼオン)、MH5055(固形分30%)(日本ゼオン)、SX863(A)(固形分20%)、SX864(B)(固形分40%)、SX865(B)(固形分48%)(以上、JSR)、ローペイクOP−62(固形分42.5%)、同OP−84J(固形分37.5%)、同OP−91(固形分27.5%)、ローペイクウルトラ(以上、ローム・アンド・ハース・ジャパン)、ミューティクルPP120、ミューティクルPP240D(三井化学)、VONCOAT PP−2000S、VONCOAT PP−1000、VONCOATPP−1001、VONCOAT PP−1100(DIC)などが挙げられる。
このような樹脂球を含有させる場合には、本発明のインキ組成物中1.0〜12.0重量%となるように含有させることが好ましい。さらに好ましい含有量は3.〜10.0重量%である。
本発明の水性インキ組成物には、必要に応じて、その他の添加剤を添加してもよい。その他の添加剤としては、特に限定されるものではないが、慣用の添加剤として、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトレートなどの防錆剤、ベンゾイソチアゾリン系防腐防黴剤、ペンタクロロフェノール系防腐防黴剤、クレゾール系防腐防黴剤、プロピレングリコール系防腐防黴剤、ヨウ素系防腐防黴剤等の防腐防黴剤、アルキルスルホコハク酸系等の界面活性剤、湿潤剤、消泡剤、レベリング剤、凝集防止剤、pH調整剤、などが挙げられる。
本発明のインキ組成物は各種の筆記具に使用することができる。
例えば、マーカー、ペンなどのインク貯留部に充填し、これを先芯を介してガラスや陶器等の表面に筆記することができる。
筆記の対象物は、ガラス、陶器、樹脂製品、金属製品等の表面が平滑で、紙のようにインキ組成物が浸透しない非浸透表面を有するものである。それらの用途は、食器、容器、シート状物、板状物等、これらの材料からなる公知の用途のものである。これらはいずれも、一般的な油性インキ組成物により筆記することが可能であるが、食器は洗浄して繰り返し使用しても、本発明のインキ組成物による筆跡は簡単には落ちることがない。特に耐温水性に優れることにより、例えば、食器洗浄器による洗浄を行う食器にも使用することができる。
(実施例及び比較例)
本発明及び比較例のインキ組成物の製造方法(なお実施例及び比較例の組成によって使用しない成分がある。)
a.水性溶媒と分散剤、さらにエチレングリコール、プロピレングリコール及び/又はジエチレングリコールを混合・撹拌した。
b.aで得られた溶液に顔料を添加し、撹拌して顔料分散液である顔料ベースを得る。
c.bにより得られた顔料ベースに、水及び/又は水性有機溶媒、樹脂エマルジョン、湿潤剤、必要に応じて揺変剤、防腐防黴剤、消泡剤、レベリング剤を投入して撹拌して、インキ組成物を製造した。
上記のインキ組成物を撹拌子が入れられたペン本体のインキ収納部に充填し、弁により蓋をした後、繊維束又は樹脂により形成されたマーカー用ペン先に結合させた。
<光沢>
PHOケント紙にフィルムアプリケータにてバーコーター20μm、2.5秒/30cmの速度でインキ組成物を塗布し、乾燥後に光沢度計にて光沢度を測定した。
<ピンホール・ワキ>
ガラス板にフリーハンドにて直線を引き、温度20±2度、湿度65±5%の雰囲気下で24時間放置して乾燥させた後の様子を目視にて確認した。
<乾燥速度>
温度20±2℃、湿度65±5%の雰囲気下でガラス板に5秒おきにV字(一辺20mm)を書き、最後のV字を書いてから5秒後にアート紙のアート面を筆跡に当てて、筆記した部分に1.5kgfの荷重具を載せて圧着させた。
圧着した状態で1分静置した後、アート紙を離したときにV字の転写が無くなった時間を確認する。
これに対して、インキ組成物中の樹脂固形分の濃度が少ない比較例1及び2によれば、光沢度が不十分であり、エチレングリコールのみ又はエチレングリコールを含有せずにジエチレングリコール又はプロピレングリコールを含有する比較例3〜5によれば、筆跡にピンホールやワキが発生した。さらにエチレングリコールとプロピレングリコールの合計の含有量が少ない比較例6の場合もピンホールが発生した。またエチレングリコールとプロピレングリコールの合計の含有量が多い比較例7及び8の場合には乾燥速度が遅い結果となった。
Claims (2)
- エチレングリコールを含有し、さらにプロピレングリコール及び/又はジエチレングリコールを含有し、これらのグリコール類をインキ組成物中4.0〜12.0重量%含有し、樹脂エマルジョンを樹脂固形分がインキ組成物中20〜45重量%となるように含有し、顔料及び水性溶媒を含有する非浸透表面用インキ組成物。
- さらに揺変剤及び/又は樹脂球を含有する請求項1に記載のガラス表面及び陶器表面用水性インキ組成物。
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