JP2017071193A - 金属張積層板、それを用いたプリント配線基板及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属箔とポリイミド層との密着性に優れた金属張積層板を提供する。【解決手段】金属箔と、該金属箔上に積層されたポリイミド層とを備え、かつ、前記ポリイミド層が、式(1)で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と、カルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)と、を含有するポリイミドからなる層である金属張積層板。[R10はカルボキシル基を有する芳香族ジアミン由来の基;nは0〜12の整数]【選択図】なし
Description
本発明は、ポリイミド層を備える金属張積層板、それを用いたプリント配線基板及び電子機器に関する。
ポリイミドフィルムは、機械的強度や電気絶縁性に優れており、電気絶縁材料や配線基板の基材フィルム等、様々な用途に用いられている。また、ポリイミドフィルムは、耐熱性に優れているため、銅箔との接着時に高温での熱処理が必要な銅張積層板の基材用樹脂フィルムとして利用されている。しかしながら、従来のポリイミド層を備える銅張積層板は、銅箔とポリイミド層との密着性が必ずしも十分なものではなかった。このため、銅箔とポリイミド層との密着性を向上させるために、様々な方法が検討されている。
例えば、特開2005−48269号公報(特許文献1)には、銅箔の表面を、窒素を含有するシランカップリング剤で処理することによって、銅箔とポリイミド層との密着性が向上することが記載されている。また、特開2012−76278号公報(特許文献2)及び特開2012−76363号公報(特許文献3)には、銅箔の表面にNi層及びCr層を順に形成し、その上に、特定構造のポリイミド層を形成することによって、銅箔とポリイミド層との密着性が向上することが記載されている。さらに、特開2014−141736号公報(特許文献4)には、銅箔表面に粗化処理を施すことによって、銅箔とポリイミド層との密着性が向上することが記載されている。
一方、国際公開第2011/099518号(特許文献5)には、特定の構造を有する脂環式ポリイミドが記載されている。この脂環式ポリイミドは、十分な光透過性と高度な耐熱性を有するものであった。
しかしながら、特許文献1〜4に記載の方法は、主として、銅箔の表面を処理することによって、銅箔とポリイミド層との密着性を向上させる方法であり、ポリイミド層については、ほとんど検討されておらず、未だ改良の余地があった。また、特許文献5には、前記脂環式ポリイミドと金属箔との密着性については記載されていない。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、金属箔(特に、銅箔)とポリイミド層との密着性に優れた金属張積層板、それを用いたプリント配線基板及び電子機器を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、金属箔とポリイミド層とを備える金属張積層板において、前記ポリイミド層を構成するポリイミドの一部の繰り返し単位にカルボキシル基を有する芳香族ジアミン由来の基を導入することによって、金属箔(特に、銅箔)とポリイミド層との密着性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の金属張積層板は、金属箔と、該金属箔上に積層されたポリイミド層とを備え、かつ、
前記ポリイミド層が、下記一般式(1):
前記ポリイミド層が、下記一般式(1):
[式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、R10はカルボキシル基を有する芳香族ジアミン由来の基を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と、下記一般式(2):
で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と、下記一般式(2):
[式(2)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、R11はカルボキシル基を有さない芳香族ジアミン由来の基を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するポリイミドからなる層であることを特徴とするものである。
で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するポリイミドからなる層であることを特徴とするものである。
このような金属張積層板において、前記R10としては、下記一般式(101)〜(104):
で表される基の中から選択される1種の基が好ましく、また、前記R11としては、下記一般式(201):
で表される基が好ましい。また、前記金属箔としては、表面に、窒素原子を含有するシランカップリング剤からなる表面処理層を備えるものが好ましい。また、銅箔が好ましい。
また、本発明のプリント配線基板は、前記本発明の金属張積層板を備えることを特徴とするものであり、本発明の電子機器は、前記本発明のプリント配線基板を備えることを特徴とするものである。
本発明のポリイミドは、上記一般式(1)で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と、上記一般式(2)で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するものである。このようなポリイミドにおいて、前記R10としては、上記一般式(101)〜(104)で表される基の中から選択される1種の基が好ましく、また、前記R11としては、上記一般式(201)で表される基が好ましい。
なお、本発明の金属張積層板において、金属箔(特に、銅箔)とポリアミド層との密着性が向上する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明にかかるポリイミド層は、上記一般式(1)で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)とカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するポリイミドからなる層である。このようなポリイミド層を金属箔上に積層すると、前記繰り返し単位(A)中のカルボキシル基と金属箔表面との間に相互作用が働くため、金属箔(特に、銅箔)と前記ポリイミド層との密着性が向上すると推察される。特に、金属箔の表面に、窒素原子を含有するシランカップリング剤(例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤)からなる表面処理層が形成されていると、窒素原子を含有する基(例えば、アミノ基)と前記カルボキシル基との間に、より強い相互作用が働くため、金属箔(特に、銅箔)と前記ポリイミド層との密着性が更に向上すると推察される。
本発明によれば、金属箔(特に、銅箔)とポリイミド層との密着性に優れた金属張積層板、それを用いたプリント配線基板及び電子機器を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[金属張積層板]
本発明の金属張積層板は、金属箔と、該金属箔上に積層されたポリイミド層とを備え、かつ、
前記ポリイミド層が、下記一般式(1):
本発明の金属張積層板は、金属箔と、該金属箔上に積層されたポリイミド層とを備え、かつ、
前記ポリイミド層が、下記一般式(1):
[式(1)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、R10はカルボキシル基を有する芳香族ジアミン由来の基を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と、下記一般式(2):
で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と、下記一般式(2):
[式(2)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、R11はカルボキシル基を有さない芳香族ジアミン由来の基を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するポリイミドからなる層であることを特徴とするものである。
で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するポリイミドからなる層であることを特徴とするものである。
(金属箔)
本発明に用いられる金属箔としては、特に制限されず、ポリイミド層を積層することが可能な公知の金属箔を適宜利用することができる。このような金属箔としては、例えば、銅箔、リン青銅、丹銅、黄銅、洋白、チタン銅、コルソン系合金などの銅合金箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、鉄箔、鉄合金箔、ニッケル箔、ニッケル合金箔等がある。本発明においては、銅箔が特に好ましい。
本発明に用いられる金属箔としては、特に制限されず、ポリイミド層を積層することが可能な公知の金属箔を適宜利用することができる。このような金属箔としては、例えば、銅箔、リン青銅、丹銅、黄銅、洋白、チタン銅、コルソン系合金などの銅合金箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、鉄箔、鉄合金箔、ニッケル箔、ニッケル合金箔等がある。本発明においては、銅箔が特に好ましい。
以下、本発明に用いられる金属箔について、銅箔を例として、詳細に説明する。
本発明に用いられる銅箔としては、圧延銅箔又は電解銅箔のいずれでもよいが、圧延銅箔が好ましい。このような銅箔においては、ポリイミド層が積層される表面に粗化処理が施されていてもよい。粗化処理は、特開2014−141736号公報に記載されているように、銅−コバルト−ニッケル合金メッキ処理や銅−ニッケル−リン合金メッキ処理等によって行うことができる。
また、ポリイミド層が積層される銅箔表面(粗化処理を施した場合には粗化処理表面)には、耐熱層や防錆層が形成されていてもよい。粗化処理を施していない銅箔表面に対しては、特開2014−141736号公報に記載されているように、ニッケルメッキ処理等を施すことによって、耐熱層や防錆層を形成することができる。また、粗化処理を施した銅箔表面に対しては、特開2014−141736号公報に記載されているように、コバルト−ニッケル合金メッキ処理等を施した後、亜鉛メッキ処理や亜鉛合金メッキ処理等を施すことによって、耐熱層や防錆層を形成することができる。
さらに、ポリイミド層が積層される銅箔表面(粗化処理を施した場合には粗化処理表面、また、耐熱層や防錆層を形成した場合にはそれらの層表面)には、窒素原子を含有するシランカップリング剤からなる表面処理層が形成されていることが好ましい。これにより、銅箔とポリイミド層との密着性が更に向上する。このような窒素原子を含有するシランカップリング剤としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を含有するシランカップリング剤;N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾール等のジヒドロイミダゾール基を含有するシランカップリング剤;トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート基を含有するシランカップリング剤;3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等のウレイド基を含有するシランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を含有するシランカップリング剤等が挙げられる。
本発明においては、このような銅箔として、JX日鉱日石金属株式会社が製造販売を行う、例えば、HA箔、HA−V2箔、タフピッチ箔といった折り曲げ特性に優れたベース箔に、微細粗化粒子を形成させた圧延銅箔や、JXEFL等の電解銅箔を使用することができる。
本発明に用いられる銅箔の厚みとしては、銅張積層板に適用できる厚みであれば特に制限されない。
(ポリイミド層)
本発明にかかるポリイミド層は、前記金属箔上に積層されたものであり、上記一般式(1)で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と、上記一般式(2)で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するポリイミドからなる層である。
本発明にかかるポリイミド層は、前記金属箔上に積層されたものであり、上記一般式(1)で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と、上記一般式(2)で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するポリイミドからなる層である。
上記一般式(1)中のR1、R2、R3として選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基である。このような炭素数が10を超えるとガラス転移温度が低下し十分に高度な耐熱性が達成できなくなる。また、このようなR1、R2、R3として選択され得るアルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このようなR1、R2、R3として選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。更に、このようなアルキル基としては精製の容易さの観点から、メチル基、エチル基がより好ましい。
また、上記一般式(1)中のR1、R2、R3としては、ポリイミド層を形成した際に、より高度な耐熱性が得られるという観点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、中でも、原料の入手が容易であることや精製がより容易であるという観点から、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。また、このような式中の複数のR1、R2、R3は精製の容易さ等の観点から、同一のものであることが特に好ましい。
また、上記一般式(1)中のR10は、カルボキシル基を有する芳香族ジアミン由来の基である。本発明の金属張積層板は、ポリイミド層を構成するポリイミドがこのようなカルボキシル基を有する芳香族ジアミン由来の基を含有する繰り返し単位(A)を有しているため、金属箔(特に、銅箔)とポリイミド層との密着性が向上する。また、上記一般式(1)中のR10として選択され得る基は、金属箔(特に、銅箔)とポリイミド層との密着性が更に向上するという観点から、下記一般式(101)〜(104):
で表される基の中から選択される1種であることが好ましく、上記一般式(101)又は(102)で表される基であることがより好ましく、上記一般式(101)で表される基であることが特に好ましい。
また、上記一般式(1)中のnは0〜12の整数を示す。このようなnの値が前記上限を超えると、精製が困難になる。また、このような一般式(1)中のnの数値範囲の上限値は、より精製が容易となるといった観点から、5であることがより好ましく、3であることが特に好ましい。また、このような一般式(1)中のnの数値範囲の下限値は、一般式(1)で表される繰り返し単位を形成する際に用いる原料化合物の安定性の観点、すなわち、より容易にポリイミドを製造するとの観点からは、1であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。このように、一般式(1)中のnとしては、2〜3の整数であることが特に好ましい。
さらに、上記一般式(2)中のR1、R2、R3及びnは、上記一般式(1)中のR1、R2、R3及びnと同義である。すなわち、上記一般式(2)中のR1、R2、R3及びnは、上記一般式(1)中のR1、R2、R3及びnと同様のものである(それらの好適なものも、それぞれ上記一般式(1)中のR1、R2、R3及びnの好ましいものと同様である。)。
また、上記一般式(2)中のR11は、カルボキシル基を有さない芳香族ジアミン由来の基である。このようなカルボキシル基を有さない芳香族ジアミン由来の基としては特に制限はないが、耐熱性の観点から、下記一般式(21)〜(24):
[式(23)中、R12は、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基及びトリフルオロメチル基よりなる群から選択される1種を示し、式(24)中、Qは、式:−O−、−O−C6H4−O−、−O−C6H4−C6H4−O−、−S−、−CO−、−O−C6H4−CO−C6H4−O−、−CONH−、−COO−、−C6H4−、−C10H6−、−NHCO−C6H4−CONH−、−CONH−C6H4−NHCO−、−OCO−C6H4−COO−、−COO−C6H4−OCO−、−O−C10H6−O−、−OCO−C10H6−COO−、−COO−C10H6−OCO−、−CONH−C10H6−NHCO−、−NHCO−C10H6−CONH−、−SO2−、−C(CF3)2−、−C(CH3)2−、−CH2−、−O−C6H4−C(CH3)2−C6H4−O−、−O−C6H4−C(CF3)2−C6H4−O−、−O−C6H4−SO2−C6H4−O−、及び、−C(CH3)2−C6H4−C(CH3)2−で表される基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表される基が好ましく、上記一般式(23)又は(24)で表される基がより好ましく、上記一般式(24)で表される基が更に好ましい。
で表される基が好ましく、上記一般式(23)又は(24)で表される基がより好ましく、上記一般式(24)で表される基が更に好ましい。
なお、耐熱性の観点から、上記一般式(23)中のR12としては、水素原子、フッ素原子、メチル基又はエチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましく、また、上記一般式(24)中のQとしては、式:−CONH−、−O−C6H4−C6H4−O−、−COO−、−C6H4−、−O−C6H4−C(CH3)2−C6H4−O−で表される基がより好ましく、式:−CONH−、−O−C6H4−C6H4−O−、−C6H4−、−O−C6H4−C(CH3)2−C6H4−O−で表される基が更に好ましく、式:−CONH−、−O−C6H4−C6H4−O−、−O−C6H4−C(CH3)2−C6H4−O−で表される基が特に好ましく、式:−O−C6H4−C(CH3)2−C6H4−O−で表される基が最も好ましい。
このようなカルボキシル基を有さない芳香族ジアミン由来の基の中でも、上記一般式(2)中のR11としては、耐熱性及び金属箔(特に、銅箔)とポリイミド層との密着性の観点から、下記一般式(201):
で表される基が特に好ましい。
本発明にかかるポリイミド層において、上記一般式(1)で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)の含有比率は、ポリイミドを構成する全繰り返し単位100モル%に対して、1〜50モル%であることが好ましく、2〜30モル%であることがより好ましく、3〜20モル%であることが更に好ましく、3〜10モル%であることが特に好ましい。前記繰り返し単位(A)の含有比率が前記下限未満になると、金属箔(特に、銅箔)とポリイミド層との密着性が向上しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ポリイミド層を形成することが困難となる傾向にある。また、上記一般式(2)で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)の含有比率としては、ポリイミドを構成する全繰り返し単位100モル%に対して、50〜99モル%が好ましく、70〜98モル%がより好ましく、80〜97モル%更にが好ましく、90〜97モル%が特に好ましい。
また、本発明にかかるポリイミド層においては、本発明の効果を損なわない範囲において、前記繰り返し単位(A)及び(B)以外の他の繰り返し単位を含有していてもよい。このような他の繰り返し単位としては、特に制限されず、ポリイミドを構成することが可能な公知の繰り返し単位を適宜利用でき、例えば、後述する一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン以外の他のジアミンとの反応に由来して形成される繰り返し単位、後述する一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物以外の他のテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの反応に由来して形成される繰り返し単位、後述する一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物以外の他のテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン以外の他のジアミンとの反応に由来して形成される繰り返し単位等が挙げられる。このような他の繰り返し単位の含有比率としては、ポリイミド層の耐熱性、金属箔(特に、銅箔)との密着性、透明性の観点から、ポリイミドを構成する全繰り返し単位100モル%に対して、50モル%以下が好ましく、25モル%以下がより好ましく、10モル%以下が更に好ましく、5モル%以下が特に好ましく、0モル%が最も好ましい。
本発明にかかるポリイミド層の厚みは特に制限されないが、1〜500μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。このような厚みが前記下限未満では強度が低下して破断しやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、複数回の塗工が必要となったり、或いは、製造時に溶媒の乾燥が困難となり、気泡、ボイド、白化、斑が発生したり、層の均一性を保つのが困難となる傾向にある。
また、このようなポリイミド層は、線膨張係数が0〜100ppm/Kであることが好ましく、5〜50ppm/Kであることがより好ましく、10〜25ppm/Kであることが更に好ましい。このような線膨張係数が前記上限を超えると、金属箔の線膨張係数(例えば、銅の線膨張係数:16ppm/K)との差が大きくなりすぎ、熱履歴による金属箔の剥がれが生じ易くなる傾向にある。また、線膨張係数が前記下限未満となると、剥がれやカールが発生しやすくなる傾向にある。なお、このようなポリイミド層の線膨張係数の値としては以下の値を採用する。すなわち、先ず、測定対象としてのポリイミド層に関して、そのポリイミド層を形成する材料(ポリイミド)と同様の材料からなる、縦:76mm、横:52mm、厚み:13μmの大きさのフィルムを形成する。その後、該フィルムを真空乾燥(120℃で1時間)し、窒素雰囲気下で200℃で1時間熱処理し、乾燥フィルムを得る。そして、このようにして得られた乾燥フィルムを試料として用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の縦方向の長さの変化を測定して、50℃〜200℃の温度範囲における1℃(1K)あたりの長さの変化の平均値を求める。そして、このようにして求められた前記平均値を、本発明にかかるポリイミド層の線膨張係数の値として採用する(厚みが13μmである場合のポリイミド層の線膨張係数の値を、本発明にかかるポリイミド層の線膨張係数の値として採用する。)。
さらに、このようなポリイミド層を構成するポリイミドとしては、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上のものが好ましく、300〜500℃のものがより好ましい。このようなガラス転移温度(Tg)が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとそのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このようなガラス転移温度(Tg)は、測定対象としてのポリイミド層に関して、そのポリイミド層を形成する材料(ポリイミド)と同様の材料からなる、縦5mm、横5mm、厚み0.013mm(13μm)の大きさのフィルムを測定用試料として準備し、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8311」)を用いて、軟化温度測定と同一の方法で同時に測定することができる。なお、このようなガラス転移温度の測定に際しては、昇温速度:5℃/分の条件で、窒素雰囲気下、30℃から550℃の範囲を走査することで測定を行うことが好ましい。
また、このようなポリイミド層を構成するポリイミドとしては、軟化温度が250〜550℃のものが好ましく、350〜550℃のものがより好ましく、360〜510℃のものが更に好ましい。このような軟化温度が前記下限未満では耐熱性が低下し、金属張積層板の製造過程における加熱工程において、ポリイミド層の品質の劣化(割れの発生等)を十分に抑制することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとポリイミド層を形成する際にポリアミド酸の熱閉環縮合反応と同時に十分な固相重合反応が進行せず、ポリイミド層を形成した場合に却って脆いポリイミド層となる傾向にある。
なお、このようなポリイミドの軟化温度は以下のようにして測定することができる。すなわち、測定対象としてのポリイミド層に関して、そのポリイミド層を形成する材料(ポリイミド)と同様の材料からなる、縦5mm、横5mm、厚み0.013mm(13μm)の大きさのフィルムを測定用試料として準備し、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8311」)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度5℃/分の条件を採用して、30℃〜550℃の温度範囲の条件でフィルムに透明石英製ピン(先端の直径:0.5mm)を500mNの圧力で針入れすることによりガラス転移温度(Tg)と同時に測定することができる(いわゆるペネトレーション(針入れ)法により測定できる)。なお、このような測定に際しては、JIS K 7196(1991年)に記載の方法に準拠して、測定データに基づいて軟化温度を計算する。
また、このようなポリイミド層を構成するポリイミドとしては、5%重量減少温度(Td5%)が400℃以上のものが好ましく、450〜550℃のものがより好ましい。このような5%重量減少温度が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、そのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような5%重量減少温度は、測定対象としてのポリイミド層に関して、そのポリイミド層を形成する材料(ポリイミド)と同様の材料からなるフィルムを測定用試料として準備し、窒素ガス雰囲気下、窒素ガスを流しながら、走査温度を30℃〜550℃に設定して、昇温速度:10℃/min.の条件で加熱して、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めることができる。また、このような測定には、測定装置として、例えば、熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の「TG/DTA220」)を利用することができる。
さらに、このようなポリイミド層を構成するポリイミドとしては、熱分解温度(Td)が450℃以上のものが好ましく、480〜600℃のものがより好ましい。このような熱分解温度(Td)が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、そのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような熱分解温度(Td)は、測定対象としてのポリイミド層に関して、そのポリイミド層を形成する材料(ポリイミド)と同様の材料からなるフィルムを測定用試料として準備し、TG/DTA220熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用して、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min.の条件で熱分解前後の分解曲線にひいた接線の交点となる温度を測定することにより求めることができる。
また、このようなポリイミド層を構成するポリイミドの数平均分子量(Mn)としては、ポリスチレン換算で1000〜1000000であることが好ましく、10000〜500000であることがより好ましい。このような数平均分子量が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となるばかりか、ポリイミド層形成時に重合溶媒からポリイミドが十分に析出せず、効率よくポリイミド層を形成することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粘性が増大し、溶解させるのに長時間を要したり、溶剤を大量に必要とするため、加工が困難となる傾向にある。
また、このようなポリイミド層を構成するポリイミドの重量平均分子量(Mw)としては、ポリスチレン換算で1000〜5000000であることが好ましい。また、このような重量平均分子量(Mw)の数値範囲の下限値としては、5000であることがより好ましく、10000であることが更に好ましく、20000であることが特に好ましい。また、重量平均分子量(Mw)の数値範囲の上限値としては、5000000であることがより好ましく、500000であることが更に好ましく、100000であることが特に好ましい。このような重量平均分子量が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となるばかりか、ポリイミド層形成時に重合溶媒からポリイミドが十分に析出せず、効率よくポリイミド層を形成することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると粘性が増大し、溶解させるのに長時間を要したり、溶剤を大量に必要とするため、加工が困難となる傾向にある。
さらに、このようなポリイミド層を構成するポリイミドの分子量分布(Mw/Mn)は1.1〜5.0であることが好ましく、1.5〜3.0であることがより好ましい。このような分子量分布が前記下限未満では製造することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると均一なポリイミド層を得にくい傾向にある。なお、このようなポリイミドの分子量(Mw又はMn)や分子量の分布(Mw/Mn)は、測定対象としてのポリイミド層に関して、そのポリイミド層を形成する材料(ポリイミド)と同様の材料を測定用試料として準備し、測定装置としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置(デガッサ:JASCO社製DG−2080−54、送液ポンプ:JASCO社製PU−2080、インターフェイス:JASCO社製LC−NetII/ADC、カラム:Shodex社製GPCカラムKF−806M(×2本)、カラムオーブン:JASCO社製860−CO、RI検出器:JASCO社製RI−2031、カラム温度40℃、クロロホルム溶媒(流速1mL/min.)を用いて測定したデータをポリスチレンで換算して求めることができる。
また、このようなポリイミド層としては、透明性が十分に高いものであることが好ましい。これにより、金属張積層板の視認性が向上し、複数のプリント配線板を半田や異方性導電膜ACFなどで接合する際の位置ずれを抑制することができ、歩留まりの低下を抑制することが可能となる。具体的には、全光線透過率が80%以上(より好ましくは85%以上、特に好ましくは87%以上)であるものが好ましい。また、このようなポリイミド層としては、より高度な透明性を得るといった観点から、ヘイズ(濁度)が5以下(更に好ましくは4以下、特に好ましくは3以下)であるものがより好ましい。さらに、このようなポリイミド層としては、より高度な透明性を得るといった観点から、黄色度(YI)が10以下(更に好ましくは8以下、特に好ましくは6以下)であるものがより好ましい。このような全光線透過率、ヘイズ(濁度)及び黄色度(YI)は、ポリイミドの種類等を適宜選択することにより容易に達成することができる。なお、このような全光線透過率、ヘイズ(濁度)及び黄色度(YI)としては、測定対象としてのポリイミド層に関して、そのポリイミド層を形成する材料(ポリイミド)と同様の材料からなる、縦:76mm、横52mm、厚み13μmの大きさのフィルムを測定用試料として形成し、測定装置として日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」を用いて測定した値を採用する。
(金属張積層板)
本発明の金属張積層板は、前記金属箔と、該金属箔上に積層された、前記カルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と前記カルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するポリイミドからなる層を備えるものである。このような金属張積層板は、前記金属箔(特に、銅箔)と前記ポリイミド層との密着性に優れており、例えば、前記金属箔と前記ポリイミド層との間のピール強度が、0.71kg/cm以上であることが好ましく、0.80kg/cm以上であることがより好ましく、0.90kg/cm以上であることが更に好ましく、1.0kg/cm以上であることが特に好ましい。なお、このようなピール強度としては、金属張積層板を、縦:約100mm、横:約25mmの大きさに裁断した測定用試料を用い、測定装置としてテンシロン型万能試験機(株式会社エー・アンド・ディ製の「UCT−10T」)を用いて、JIS C 6481に準拠して、90度剥離試験法により、引張速度50mm/minの条件で測定した値を採用する。
本発明の金属張積層板は、前記金属箔と、該金属箔上に積層された、前記カルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と前記カルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するポリイミドからなる層を備えるものである。このような金属張積層板は、前記金属箔(特に、銅箔)と前記ポリイミド層との密着性に優れており、例えば、前記金属箔と前記ポリイミド層との間のピール強度が、0.71kg/cm以上であることが好ましく、0.80kg/cm以上であることがより好ましく、0.90kg/cm以上であることが更に好ましく、1.0kg/cm以上であることが特に好ましい。なお、このようなピール強度としては、金属張積層板を、縦:約100mm、横:約25mmの大きさに裁断した測定用試料を用い、測定装置としてテンシロン型万能試験機(株式会社エー・アンド・ディ製の「UCT−10T」)を用いて、JIS C 6481に準拠して、90度剥離試験法により、引張速度50mm/minの条件で測定した値を採用する。
また、本発明の金属張積層板は、透明性に優れた前記ポリイミド層を備えているため、視認性に優れている。多層のプリント配線基板の製造において、このような視認性に優れた金属張積層板を用いることによって、複数のプリント配線板を半田や異方性導電膜ACFなどで接合する際の位置ずれを抑制することができ、歩留まりの低下を抑制することが可能となる。
さらに、本発明の金属張積層板は、耐熱性に優れた前記ポリイミド層を備えているため、金属箔とポリイミド層とを接着する際に、高温での加熱処理が可能となる。このため、本発明の金属張積層板においては、接着剤を使用せずに、金属箔とポリイミド層とを接着することが可能となる。
このような本発明の金属張積層板は、各種電子機器の構成部品である、2層フレキシブル銅張積層板(2層FCCL)、3層フレキシブル銅張積層板(3層FCCL)、片面フレキシブルプリント配線基板(片面FPC)、両面フレキシブルプリント配線基板(両面FPC)、多層フレキシブルプリント配線基板(多層FPC)等のプリント配線基板の材料や、プリンテッドエレクトロニクス技術によるタッチパネル用部材、電子ペーパー部材、デジタルサイネージ部材、フレキシブルディスプレイ部材、光学補償フィルム部材、反射型パネル用直線偏光 / 円偏光フィルム部材、反射光入射防止用1/4λフィルム部材、有機ELパネルの内部反射防止フィルム部材、有機EL等の基材(光学等方性フィルム・位相差フィルム)部材、環境センサー、電池用部材、照明等部材、ガス分離膜部材として使用することができる。
特に、本発明の金属張積層板は、金属箔(特に、銅箔)とポリイミド層との密着性に優れており、微細な配線パターンを形成することが可能であるため、高密度配線を有するプリント配線基板の材料として好適に使用することができる。また、本発明の金属張積層板は、視認性に優れており、積層した場合の位置ずれを抑制することが可能であるため、歩留まりの低下を抑制できるという観点から、複数のプリント配線板を半田や異方性導電膜ACFなどで接合する製造に好適に使用することができる。さらに、本発明の金属張積層板は、耐熱性に優れており、高温での加熱処理により、接着剤を使用せずに金属箔とポリイミド層とを接着することができるため、2層フレキシブル銅張積層板(2層FCCL)等の無接着剤タイプの銅張積層板として好適に使用することができる。
(金属張積層板の製造方法)
本発明の金属張積層板を製造するための方法としては、前記金属箔上に前記ポリイミド層を積層できる方法であれば特に制限されないが、例えば、重合溶媒の存在下、下記一般式(3):
本発明の金属張積層板を製造するための方法としては、前記金属箔上に前記ポリイミド層を積層できる方法であれば特に制限されないが、例えば、重合溶媒の存在下、下記一般式(3):
[式(3)中、R1、R2、R3、nは上記一般式(1)中のR1、R2、R3、nと同義である。]
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、カルボキシル基を有する芳香族ジアミン及びカルボキシル基を有さない芳香族ジアミンとを、公知の方法(例えば、国際公開2011/099518号、国際公開第2014/034760号に記載の方法)を適宜採用して反応させて、下記一般式(4):
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、カルボキシル基を有する芳香族ジアミン及びカルボキシル基を有さない芳香族ジアミンとを、公知の方法(例えば、国際公開2011/099518号、国際公開第2014/034760号に記載の方法)を適宜採用して反応させて、下記一般式(4):
[式(4)中、R1、R2、R3、R10、nは上記一般式(1)中のR1、R2、R3、R10、nと同義である。]
で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A’)と、下記一般式(5):
で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A’)と、下記一般式(5):
[式(5)中、R1、R2、R3、R11、nは上記一般式(2)中のR1、R2、R3、R11、nと同義である。]
で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B’)とを含有するポリアミド酸を形成した後、このポリアミド酸を含有するポリアミド酸溶液を、前記金属箔上に塗布し、公知の方法(例えば、国際公開2011/099518号、国際公開第2014/034760号に記載の方法)を適宜採用してイミド化せしめて、上記一般式(1)で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と上記一般式(2)で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するポリイミドからなる層を形成して、前記金属箔上に前記ポリイミド層を形成する方法を採用することができる。なお、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記カルボキシル基を有する芳香族ジアミンとの反応に由来して形成される繰り返し単位が前記カルボキシル基を有する繰り返し単位(A)となり、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記カルボキシル基を有さない芳香族ジアミンとの反応に由来して形成される繰り返し単位が前記カルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)となる。
で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B’)とを含有するポリアミド酸を形成した後、このポリアミド酸を含有するポリアミド酸溶液を、前記金属箔上に塗布し、公知の方法(例えば、国際公開2011/099518号、国際公開第2014/034760号に記載の方法)を適宜採用してイミド化せしめて、上記一般式(1)で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と上記一般式(2)で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するポリイミドからなる層を形成して、前記金属箔上に前記ポリイミド層を形成する方法を採用することができる。なお、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記カルボキシル基を有する芳香族ジアミンとの反応に由来して形成される繰り返し単位が前記カルボキシル基を有する繰り返し単位(A)となり、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記カルボキシル基を有さない芳香族ジアミンとの反応に由来して形成される繰り返し単位が前記カルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)となる。
このような上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物に関し、式(3)中のR1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種であり、nは0〜12の整数である。このような一般式(3)中のR1、R2、R3、nは上記一般式(1)中のR1、R2、R3、nと同義であり、その好適なものも上記一般式(1)中のR1、R2、R3、nの好適なものと同様である。このような上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物を製造するための方法としては、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、国際公開第2011/099517号に記載の方法や国際公開第2011/099518号に記載の方法等を採用してもよい。
上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記カルボキシル基を有する芳香族ジアミンとの反応によって形成される前記ポリアミド酸中のカルボキシル基を有する繰り返し単位(A’)に関し、上記一般式(4)中のR1、R2、R3、R10、nは上記一般式(1)中のR1、R2、R3、R10、nと同義であり、その好適なものも上記一般式(1)中のR1、R2、R3、R10、nの好適なものと同様である。また、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記カルボキシル基を有さない芳香族ジアミンとの反応によって形成される前記ポリアミド酸中のカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B’)に関し、上記一般式(5)中のR1、R2、R3、R11、nは上記一般式(2)中のR1、R2、R3、R11、nと同義であり、その好適なものも上記一般式(2)中のR1、R2、R3、R11、nの好適なものと同様である。
また、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、層特性、熱物性、機械物性、光学特性、電気特性の調整という観点から、下記一般式(6):
[式(6)中、R1、R2、R3、nは上記一般式(3)中のR1、R2、R3、nと同義である。]
で表される化合物(I)及び下記一般式(7):
で表される化合物(I)及び下記一般式(7):
[式(7)中、R1、R2、R3、nは上記一般式(3)中のR1、R2、R3、nと同義である。]
で表される化合物(II)のうちの少なくとも1種を含有し、且つ、前記化合物(I)及び(II)の総量が90モル%以上であるものが好ましい。このような上記一般式(6)で表される化合物(I)は、2つのノルボルナン基がトランス配置し且つ該2つのノルボルナン基のそれぞれに対してシクロアルカノンのカルボニル基がエンドの立体配置となる上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の異性体である。また、このような上記一般式(7)で表される化合物(II)は、2つのノルボルナン基がシス配置し且つ該2つのノルボルナン基のそれぞれに対してシクロアルカノンのカルボニル基がエンドの立体配置となる上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の異性体である。なお、このような異性体を上記比率で含有するテトラカルボン酸二無水物の製造方法も特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、国際公開第2014/034760号に記載の方法等を適宜採用してもよい。
で表される化合物(II)のうちの少なくとも1種を含有し、且つ、前記化合物(I)及び(II)の総量が90モル%以上であるものが好ましい。このような上記一般式(6)で表される化合物(I)は、2つのノルボルナン基がトランス配置し且つ該2つのノルボルナン基のそれぞれに対してシクロアルカノンのカルボニル基がエンドの立体配置となる上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の異性体である。また、このような上記一般式(7)で表される化合物(II)は、2つのノルボルナン基がシス配置し且つ該2つのノルボルナン基のそれぞれに対してシクロアルカノンのカルボニル基がエンドの立体配置となる上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の異性体である。なお、このような異性体を上記比率で含有するテトラカルボン酸二無水物の製造方法も特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、国際公開第2014/034760号に記載の方法等を適宜採用してもよい。
このような上記一般式(6)で表される化合物(I)に関し、式(6)中のR1、R2、R3、nは上記一般式(3)中のR1、R2、R3、nと同義であり、その好適なものも上記一般式(3)中のR1、R2、R3、nの好適なものと同様である。また、上記一般式(7)で表される化合物(II)に関し、式(7)中のR1、R2、R3、nは上記一般式(3)中のR1、R2、R3、nと同義であり、その好適なものも上記一般式(3)中のR1、R2、R3、nの好適なものと同様である。
また、前記カルボキシル基を有する芳香族ジアミンとしては、金属箔(特に、銅箔)とポリイミド層との密着性が更に向上するという観点から、下記一般式(301)〜(304):
で表される芳香族ジアミンの中から選択される1種であることが好ましく、上記一般式(301)又は(302)で表される基であることがより好ましく、上記一般式(301)で表される基であることが特に好ましい。このようなカルボキシル基を有する芳香族ジアミンとして、市販のものを適宜利用してもよい。
また、前記カルボキシル基を有さない芳香族ジアミンとしては特に制限はなく、公知のカルボキシル基を有さない芳香族ジアミンを用いることができるが、耐熱性の観点から、下記一般式(41)〜(44):
[式(43)中、R12は上記一般式(23)中のR12と同義であり、式(44)中、Qは上記一般式(24)中のQと同義である。]
で表される芳香族ジアミンが好ましく、上記一般式(43)又は(44)で表される芳香族ジアミンがより好ましく、上記一般式(44)で表される芳香族ジアミンが更に好ましい。このような上記一般式(43)中のR12は上記一般式(23)中のR12と同義であり、その好適なものも上記一般式(23)中のR12の好適なものと同様である。また、上記一般式(44)中のQは上記一般式(24)中のQと同義であり、その好適なものも上記一般式(24)中のQの好適なものと同様である。このようなカルボキシル基を有さない芳香族ジアミンの中でも、耐熱性及び金属箔(特に、銅箔)とポリイミド層との密着性が更に向上するという観点から、下記一般式(401):
で表される芳香族ジアミンが好ましく、上記一般式(43)又は(44)で表される芳香族ジアミンがより好ましく、上記一般式(44)で表される芳香族ジアミンが更に好ましい。このような上記一般式(43)中のR12は上記一般式(23)中のR12と同義であり、その好適なものも上記一般式(23)中のR12の好適なものと同様である。また、上記一般式(44)中のQは上記一般式(24)中のQと同義であり、その好適なものも上記一般式(24)中のQの好適なものと同様である。このようなカルボキシル基を有さない芳香族ジアミンの中でも、耐熱性及び金属箔(特に、銅箔)とポリイミド層との密着性が更に向上するという観点から、下記一般式(401):
で表される芳香族ジアミンが特に好ましい。また、このようなカルボキシル基を有さない芳香族ジアミンとして、市販のものを適宜利用してもよい。
このような金属張積層板の製造方法において、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、前記カルボキシル基を有する芳香族ジアミン及び前記カルボキシル基を有さない芳香族ジアミンとの使用割合は、前記カルボキシル基を有する芳香族ジアミン及び前記カルボキシル基を有さない芳香族ジアミン中の全アミノ基1当量に対して、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基を0.2〜2当量とすることが好ましく、0.8〜1.2当量とすることがより好ましい。このような使用割合が前記下限未満では重合反応が効率よく進行せず、高分子量のポリアミド酸が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると前記と同様に高分子量のポリアミド酸が得られない傾向にある。
また、このような金属張積層板の製造方法において、前記カルボキシル基を有する芳香族ジアミンの混合割合は、ジアミンの全量100モル%に対して、1〜50モル%であることが好ましく、2〜30モル%であることがより好ましく、3〜20モル%であることが更に好ましく、3〜10モル%であることが特に好ましい。これにより、上記一般式(1)で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)を上記比率で含有するポリイミド層を形成することができる。また、前記カルボキシル基を有さない芳香族ジアミンの混合割合は、ジアミンの全量100モル%に対して、50〜99モル%が好ましく、70〜98モル%がより好ましく、80〜97モル%更にが好ましく、90〜97モル%が特に好ましい。これにより、上記一般式(2)で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)を上記比率で含有するポリイミド層を形成することができる。
さらに、このような金属張積層板の製造方法においては、本発明の効果を損なわない範囲において、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物以外の他のテトラカルボン酸二無水物を混合してもよい。このような他のテトラカルボン酸二無水物としては、特に制限されず、ポリイミドを構成することが可能な公知の他のテトラカルボン酸二無水物を適宜利用できる。このような他のテトラカルボン酸二無水物の混合割合としては、ポリイミド層の耐熱性、透明性の観点から、テトラカルボン酸二無水物の全量100モル%に対して、50モル%以下が好ましく、25モル%以下がより好ましく、10モル%以下が更に好ましく、5モル%以下が特に好ましく、0モル%が最も好ましい。
また、このような金属張積層板の製造方法においては、本発明の効果を損なわない範囲において、芳香族ジアミン以外の他のジアミンを混合してもよい。このような他のジアミンとしては、特に制限されず、ポリイミドを構成することが可能な公知の他のジアミンを適宜利用できる。このような他のジアミンの混合割合としては、ポリイミド層の耐熱性、金属箔(特に、銅箔)との密着性、透明性の観点から、ジアミンの全量100モル%に対して、50モル%以下が好ましく、25モル%以下がより好ましく、10モル%以下が更に好ましく、5モル%以下が特に好ましく、0モル%が最も好ましい。
上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記カルボキシル基を有する芳香族ジアミン及び前記カルボキシル基を有さない芳香族ジアミンとの反応に用いられる前記重合溶媒としては、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物、前記カルボキシル基を有する芳香族ジアミン及び前記カルボキシル基を有さない芳香族ジアミンの全てを溶解することが可能な有機溶媒であることが好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ピリジンなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒;テトラハイドロフラン、ジオキサン、セロソルブ、グライム、ジグライムなどのエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;シクロペンタノンやシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒などが挙げられる。このような重合溶媒(有機溶媒)は、1種を単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
さらに、このような重合反応における前記重合溶媒(有機溶媒)の使用量としては、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記カルボキシル基を有する芳香族ジアミンと前記カルボキシル基を有さない芳香族ジアミンの総量が、反応溶液の全量に対して0.1〜50質量%(より好ましくは10〜30質量%)になるような量であることが好ましい。このような有機溶媒の使用量が前記下限未満では効率よくポリアミド酸を得ることができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると高粘度化により撹拌が困難となる傾向にある。
本発明の金属張積層板を製造するための方法において、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記カルボキシル基を有する芳香族ジアミン及び前記カルボキシル基を有さない芳香族ジアミンとを反応させる方法としては、特に制限されず、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの反応を行うことが可能な公知の方法を適宜採用でき、例えば、大気圧の条件で、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下において、前記カルボキシル基を有する芳香族ジアミン及び前記カルボキシル基を有さない芳香族ジアミンを溶媒に溶解させた後、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物を添加し、その後、10〜48時間反応させる方法を採用してもよい。また、このような反応に際しては温度条件を−20〜100℃程度とすることが好ましい。このような反応時間や反応温度が前記下限未満では十分に反応させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると重合物を劣化させる物質(酸素等)の混入確率が高まり分子量が低下する傾向にある。
このようにして形成されるポリイミド酸は、固有粘度[η]が0.05〜3.0dL/gであることが好ましく、0.1〜2.0dL/gであることがより好ましい。このような固有粘度[η]が前記下限より小さいと、これを用いて形成したポリイミド層が脆くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粘度が高すぎて加工性が低下し、均一なポリイミド層を形成することが困難となる傾向にある。
また、このようなポリアミド酸の固有粘度[η]は、以下のようにして測定することができる。すなわち、先ず、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用い、そのN,N−ジメチルアセトアミド中に前記ポリアミド酸を濃度が0.5g/dLとなるようにして溶解させて、測定試料(溶液)を得る。次に、前記測定試料を用いて、30℃の温度条件下において動粘度計を用いて、前記測定試料の粘度を測定し、求められた値を固有粘度[η]として採用する。なお、このような動粘度計としては、離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」)を用いる。
このような金属張積層板の製造方法において、前記金属箔上に前記ポリアミド酸の溶液を塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、滴下法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、ダイコート法、カーテンコート法、インクジェット法等の公知の方法を適宜採用することができる。
また、このような金属張積層板の製造方法において、前記ポリアミド酸をイミド化する方法も特に制限されず、ポリアミド酸をイミド化し得る方法であればよく、特に制限されず、公知の方法(国際公開第2011/099518号、国際公開第2014/034760号に記載されているイミド化の方法等)を適宜採用することができる。このようなポリアミド酸をイミド化する方法としては、例えば、前記ポリアミド酸を60〜400℃(より好ましくは60〜370℃、更に好ましくは150〜360℃)の温度条件で加熱処理を施すことによりイミド化する方法や、いわゆる「イミド化剤」を用いてイミド化する方法を採用することが好ましい。
また、このような金属張積層板の製造方法においては、重合溶媒(有機溶媒)中で、上記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物類と前記カルボキシル基を有する芳香族ジアミン及び前記カルボキシル基を有さない芳香族ジアミンとを反応させ、生成したポリアミド酸をイミド化する前に単離することなく、得られた反応液(前記ポリアミド酸を含む反応液)をそのまま用い、前記反応液を金属箔上に塗布した後、乾燥処理を施して溶媒を除去し、前記加熱処理を施すことによりイミド化する方法を採用してもよい。このような方法における乾燥処理の温度条件としては0〜180℃であることが好ましく、60〜150℃であることがより好ましい。なお、前記反応液から前記ポリアミド酸を単離して利用してもよく、その場合、ポリアミド酸の単離方法としては特に制限されず、ポリアミド酸を単離することが可能な公知の方法を適宜採用することができ、例えば、再沈殿物として単離する方法などを採用してもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、各実施例、各比較例において用いた芳香族ジアミンの化学式とその化合物の略称を以下に示す。
なお、上記芳香族ジアミンとしてはいずれも市販品(3,5−DABA:日本純良薬品株式会社製、MBAA:和歌山精化工業株式会社製、BAPB:東京化成工業株式会社製、NJM05:日本純良薬品株式会社製、BAPP:和歌山精化工業株式会社製、DABAN:日本純良薬品株式会社製)を利用した。
次いで、各実施例、各比較例において得られた銅張積層板等の特性の評価方法について説明する。
<分子構造の同定>
各実施例及び各比較例で得られたポリイミドの分子構造の同定は、各実施例及び各比較例で作製したポリイミドフィルムを用い、測定装置としてIR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IR測定することにより行った。
各実施例及び各比較例で得られたポリイミドの分子構造の同定は、各実施例及び各比較例で作製したポリイミドフィルムを用い、測定装置としてIR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IR測定することにより行った。
<固有粘度[η]の測定>
各実施例及び各比較例において中間体として得られたポリアミド酸の固有粘度[η]の値(単位:dL/g)は、離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」)を用い、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒とした濃度0.5g/dLの測定試料を用いて30℃の温度条件下において測定した。
各実施例及び各比較例において中間体として得られたポリアミド酸の固有粘度[η]の値(単位:dL/g)は、離合社製の自動粘度測定装置(商品名「VMC−252」)を用い、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒とした濃度0.5g/dLの測定試料を用いて30℃の温度条件下において測定した。
<線膨張係数の測定>
各実施例及び各比較例で得られたポリイミド層の線膨張係数の値(単位:ppm/℃)は、各実施例及び各比較例で作製したポリイミドフィルムに対して真空乾燥(120℃で1時間)を行った後、窒素雰囲気下、200℃で1時間熱処理して得られた乾燥フィルムを測定用試料として用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の長さの変化を測定して、50℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求めることにより測定した。
各実施例及び各比較例で得られたポリイミド層の線膨張係数の値(単位:ppm/℃)は、各実施例及び各比較例で作製したポリイミドフィルムに対して真空乾燥(120℃で1時間)を行った後、窒素雰囲気下、200℃で1時間熱処理して得られた乾燥フィルムを測定用試料として用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、50℃〜200℃における前記試料の長さの変化を測定して、50℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求めることにより測定した。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
各実施例及び各比較例で得られたポリイミドのガラス転移温度(Tg)の値(単位:℃)は、各実施例及び各比較例で作製したポリイミドフィルムを窒素雰囲気下、150℃の条件で乾燥した後、縦5mm、横5mm、厚み13μmの大きさに裁断したフィルムを測定用試料として用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8311」)を使用して、窒素雰囲気下、昇温速度5℃/分、30℃〜550℃の温度範囲(走査温度)の条件で測定した。
各実施例及び各比較例で得られたポリイミドのガラス転移温度(Tg)の値(単位:℃)は、各実施例及び各比較例で作製したポリイミドフィルムを窒素雰囲気下、150℃の条件で乾燥した後、縦5mm、横5mm、厚み13μmの大きさに裁断したフィルムを測定用試料として用い、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8311」)を使用して、窒素雰囲気下、昇温速度5℃/分、30℃〜550℃の温度範囲(走査温度)の条件で測定した。
<5%重量減少温度(Td5%)の測定>
各実施例及び各比較例で得られたポリイミドの5%重量減少温度(Td5%)の値(単位:℃)は、各実施例及び各比較例で作製したポリイミドフィルムを窒素雰囲気下、150℃の条件で乾燥した後、縦5mm、横5mm、厚み13μmの大きさに裁断したフィルムを測定用試料として用い、測定装置として熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の「TG/DTA220」)を使用して、走査温度を30℃〜550℃に設定して、窒素雰囲気下、窒素ガスを流しながら10℃/min.の条件で加熱して、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めた。
各実施例及び各比較例で得られたポリイミドの5%重量減少温度(Td5%)の値(単位:℃)は、各実施例及び各比較例で作製したポリイミドフィルムを窒素雰囲気下、150℃の条件で乾燥した後、縦5mm、横5mm、厚み13μmの大きさに裁断したフィルムを測定用試料として用い、測定装置として熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の「TG/DTA220」)を使用して、走査温度を30℃〜550℃に設定して、窒素雰囲気下、窒素ガスを流しながら10℃/min.の条件で加熱して、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めた。
<全光線透過率、ヘイズ(濁度)及び黄色度(YI)の測定>
各実施例及び各比較例で得られたポリイミド層の全光線透過率の値(単位:%)、ヘイズ(濁度:HAZE)及び黄色度(YI)は、各実施例及び各比較例で作製したポリイミドフィルムを用い、測定装置として日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」を用いて、JIS K7361−1(1997年発行)に準拠した測定を行うことにより求めた。
各実施例及び各比較例で得られたポリイミド層の全光線透過率の値(単位:%)、ヘイズ(濁度:HAZE)及び黄色度(YI)は、各実施例及び各比較例で作製したポリイミドフィルムを用い、測定装置として日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」を用いて、JIS K7361−1(1997年発行)に準拠した測定を行うことにより求めた。
<ピール強度の測定>
各実施例及び各比較例で得られた銅張積層板における銅箔とポリイミド層とのピール強度の値(単位:kg/cm)は、各実施例及び各比較例で製造した銅張積層板を、縦:約100mm、横:約25mmの大きさに裁断した測定用試料を用い、測定装置としてテンシロン型万能試験機(株式会社エー・アンド・ディ製の「UCT−10T」)を用いて、JIS C 6481に準拠して、90度剥離試験法により、引張速度50mm/minの条件で測定した。
各実施例及び各比較例で得られた銅張積層板における銅箔とポリイミド層とのピール強度の値(単位:kg/cm)は、各実施例及び各比較例で製造した銅張積層板を、縦:約100mm、横:約25mmの大きさに裁断した測定用試料を用い、測定装置としてテンシロン型万能試験機(株式会社エー・アンド・ディ製の「UCT−10T」)を用いて、JIS C 6481に準拠して、90度剥離試験法により、引張速度50mm/minの条件で測定した。
(実施例1)
<テトラカルボン酸二無水物の準備工程>
国際公開第2011/099518号の合成例1、実施例1及び実施例2に記載された方法に準拠して、下記一般式(8):
<テトラカルボン酸二無水物の準備工程>
国際公開第2011/099518号の合成例1、実施例1及び実施例2に記載された方法に準拠して、下記一般式(8):
で表されるテトラカルボン酸二無水物(ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物)を準備した。
<ポリアミド酸の調製工程>
先ず、30mlの三口フラスコをヒートガンで加熱して十分に乾燥させた。次に、十分に乾燥させた前記三口フラスコ内の雰囲気ガスを窒素で置換し、前記三口フラスコ内を窒素雰囲気とした。次いで、カルボキシル基を有する芳香族ジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸0.045mmol(0.0069g:3,5−DABA)とカルボキシル基を有さない芳香族ジアミンとして2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン0.855mmol(0.3510g:BAPP)を添加した後、更に、N,N−ジメチルアセトアミドを2.7g添加して、撹拌することにより、前記N,N−ジメチルアセトアミド中に前記2種類の芳香族ジアミン(3,5−DABAとBAPPの混合物(3,5−DABAとBAPPのモル比([3,5−DABA]:[BAPP])が5:95))を溶解させて溶解液を得た。
先ず、30mlの三口フラスコをヒートガンで加熱して十分に乾燥させた。次に、十分に乾燥させた前記三口フラスコ内の雰囲気ガスを窒素で置換し、前記三口フラスコ内を窒素雰囲気とした。次いで、カルボキシル基を有する芳香族ジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸0.045mmol(0.0069g:3,5−DABA)とカルボキシル基を有さない芳香族ジアミンとして2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン0.855mmol(0.3510g:BAPP)を添加した後、更に、N,N−ジメチルアセトアミドを2.7g添加して、撹拌することにより、前記N,N−ジメチルアセトアミド中に前記2種類の芳香族ジアミン(3,5−DABAとBAPPの混合物(3,5−DABAとBAPPのモル比([3,5−DABA]:[BAPP])が5:95))を溶解させて溶解液を得た。
次に、前記溶解液を含有する三口フラスコ内に、窒素雰囲気下、上記一般式(8)で表される化合物を0.90mmol(0.3459g)添加した後、窒素雰囲気下、室温(25℃)で12時間撹拌して反応液を得た。このようにして反応液中にポリアミド酸を形成した。
なお、かかる反応液(ポリアミド酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液:ポリアミド酸溶液)の一部を利用して、ポリアミド酸の濃度が0.5g/dLとなるN,N−ジメチルアセトアミド溶液を調製し、上述のようにして、反応中間体であるポリアミド酸の固有粘度[η]を測定した。その結果を表1に示す。
<銅張積層板の製造工程>
銅箔としてJX日鉱日石金属株式会社製の圧延銅箔(折り曲げ特性に優れたHA−V2箔(JX日鉱日石金属株式会社製)に窒素原子を含有するシランカップリング剤で表面処理を施した銅箔、縦100mm、横100mm、厚み12μm、)を準備し、上述のようにして得られた反応液(ポリアミド酸溶液)を、前記銅箔の表面上に、加熱硬化後の塗膜の厚みが25μmとなるようにスピンコートして、前記銅箔上に塗膜を形成した。その後、前記塗膜の形成された銅箔を60℃のホットプレート上に載せて2時間静置して、前記塗膜から溶媒を蒸発させて除去した(溶媒除去処理)。
銅箔としてJX日鉱日石金属株式会社製の圧延銅箔(折り曲げ特性に優れたHA−V2箔(JX日鉱日石金属株式会社製)に窒素原子を含有するシランカップリング剤で表面処理を施した銅箔、縦100mm、横100mm、厚み12μm、)を準備し、上述のようにして得られた反応液(ポリアミド酸溶液)を、前記銅箔の表面上に、加熱硬化後の塗膜の厚みが25μmとなるようにスピンコートして、前記銅箔上に塗膜を形成した。その後、前記塗膜の形成された銅箔を60℃のホットプレート上に載せて2時間静置して、前記塗膜から溶媒を蒸発させて除去した(溶媒除去処理)。
このような溶媒除去処理を施した後、前記塗膜の形成された銅箔を3L/分の流量で窒素が流れているイナートオーブンに投入し、イナートオーブン内で、窒素雰囲気下、25℃の温度条件で0.5時間静置した後、135℃の温度条件で0.5時間加熱し、更に350℃の温度条件(最終加熱温度)で1時間加熱して、前記塗膜を硬化せしめ、前記銅箔上にポリイミドからなる層が形成された銅張積層板を得た。
<ポリイミドフィルムの作製工程>
銅箔の代わりにガラス基板(松浪硝子工業株式会社製の大型スライドグラス「S9213」、縦76mm、横52mm、厚み1.3mm)を用いて、上記と同様にして、前記ガラス基板上にポリイミドからなる薄膜(ポリイミドフィルム)がコートされたポリイミドコートガラスを得た。なお、ポリイミドフィルムの作製条件を銅張積層板の製造条件に合致させるために、前記ポリイミドコートガラスは前記銅張積層板と同時に作製した。
銅箔の代わりにガラス基板(松浪硝子工業株式会社製の大型スライドグラス「S9213」、縦76mm、横52mm、厚み1.3mm)を用いて、上記と同様にして、前記ガラス基板上にポリイミドからなる薄膜(ポリイミドフィルム)がコートされたポリイミドコートガラスを得た。なお、ポリイミドフィルムの作製条件を銅張積層板の製造条件に合致させるために、前記ポリイミドコートガラスは前記銅張積層板と同時に作製した。
次に、このようにして得られたポリイミドコートガラスを、90℃のお湯の中に浸漬して、前記ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離することにより、ポリイミドフィルム(縦76mm、横52mm、厚み13μmの大きさのフィルム)を得た。
このようにして得られたポリイミドフィルムのIRスペクトルを測定した。その結果を図1に示す。図1に示す結果からも明らかなように、得られたIRスペクトルにはイミドカルボニルのC=O伸縮振動を示す波数1704cm−1のピークが観察されたことから、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。
また、得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類やその量比から、前記一般式(1)で表される繰り返し単位に相当する繰り返し単位(カルボキシル基を有する繰り返し単位(A)に相当する繰り返し単位)と、前記一般式(2)で表される繰り返し単位に相当する繰り返し単位(カルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)に相当する繰り返し単位)の含有比率は、モル比([繰り返し単位(A)に相当する繰り返し単位]:[繰り返し単位(B)に相当する繰り返し単位])で、5:95であった。さらに、得られた銅張積層板及びポリイミドフィルムに関し、特性の評価結果(上述の特性の評価方法により求めたピール強度等)を表1に示す。
(実施例2)
3,5−DABAの量を0.225mmolに、BAPPの量を0.675mmolに変更(3,5−DABAとBAPPのモル比[3,5−DABA]:[BAPP]を25:75に変更)した以外は、実施例1と同様にして、銅張積層板及びポリイミドフィルムを作製した。なお、得られたフィルムのIRスペクトルを測定したところ、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。得られた銅張積層板及びポリイミドフィルムに関し、特性の評価結果(上述の特性の評価方法により求めたピール強度等)を表1に示す。
3,5−DABAの量を0.225mmolに、BAPPの量を0.675mmolに変更(3,5−DABAとBAPPのモル比[3,5−DABA]:[BAPP]を25:75に変更)した以外は、実施例1と同様にして、銅張積層板及びポリイミドフィルムを作製した。なお、得られたフィルムのIRスペクトルを測定したところ、得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。得られた銅張積層板及びポリイミドフィルムに関し、特性の評価結果(上述の特性の評価方法により求めたピール強度等)を表1に示す。
また、得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類やその量比から、前記一般式(1)で表される繰り返し単位に相当する繰り返し単位(カルボキシル基を有する繰り返し単位(A)に相当する繰り返し単位)と、前記一般式(2)で表される繰り返し単位に相当する繰り返し単位(カルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)に相当する繰り返し単位)の含有比率は、モル比([繰り返し単位(A)に相当する繰り返し単位]:[繰り返し単位(B)に相当する繰り返し単位])で、25:75であった。
(実施例3〜5)
各実施例において、カルボキシル基を有する芳香族ジアミンの種類を表1に記載のものにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、銅張積層板及びポリイミドフィルムを作製した。なお、得られたフィルムのIRスペクトルを測定したところ、各実施例で得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。各実施例で得られた銅張積層板及びポリイミドフィルムに関し、特性の評価結果(上述の特性の評価方法により求めたピール強度等)を表1に示す。
各実施例において、カルボキシル基を有する芳香族ジアミンの種類を表1に記載のものにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、銅張積層板及びポリイミドフィルムを作製した。なお、得られたフィルムのIRスペクトルを測定したところ、各実施例で得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。各実施例で得られた銅張積層板及びポリイミドフィルムに関し、特性の評価結果(上述の特性の評価方法により求めたピール強度等)を表1に示す。
また、各実施例で得られたポリイミドは、用いたモノマーの種類やその量比から、前記一般式(1)で表される繰り返し単位に相当する繰り返し単位(カルボキシル基を有する繰り返し単位(A)に相当する繰り返し単位)と、前記一般式(2)で表される繰り返し単位に相当する繰り返し単位(カルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)に相当する繰り返し単位)の含有比率は、モル比([繰り返し単位(A)に相当する繰り返し単位]:[繰り返し単位(B)に相当する繰り返し単位])で、いずれも、5:95であった。
(比較例1)
カルボキシル基を有する芳香族ジアミン(3,5−DABA)の代わりにカルボキシル基を有さない芳香族ジアミン(4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABAN))を用いた以外は、実施例2と同様にして、銅張積層板及びポリイミドフィルムを作製した。なお、得られたフィルムのIRスペクトルを測定したところ、各実施例で得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。各実施例で得られた銅張積層板及びポリイミドフィルムに関し、特性の評価結果(上述の特性の評価方法により求めたピール強度等)を表1に示す。
カルボキシル基を有する芳香族ジアミン(3,5−DABA)の代わりにカルボキシル基を有さない芳香族ジアミン(4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABAN))を用いた以外は、実施例2と同様にして、銅張積層板及びポリイミドフィルムを作製した。なお、得られたフィルムのIRスペクトルを測定したところ、各実施例で得られたフィルムはポリイミドからなるものであることが確認された。各実施例で得られた銅張積層板及びポリイミドフィルムに関し、特性の評価結果(上述の特性の評価方法により求めたピール強度等)を表1に示す。
(比較例2)
ポリアミド酸溶液の代わりに宇部興産株式会社製のポリイミドワニス(商品名「U−ワニス−A」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、銅張積層板及びポリイミドフィルムを作製した。得られた銅張積層板及びポリイミドフィルムに関し、特性の評価結果(上述の特性の評価方法により求めたピール強度等)を表1に示す。
ポリアミド酸溶液の代わりに宇部興産株式会社製のポリイミドワニス(商品名「U−ワニス−A」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、銅張積層板及びポリイミドフィルムを作製した。得られた銅張積層板及びポリイミドフィルムに関し、特性の評価結果(上述の特性の評価方法により求めたピール強度等)を表1に示す。
表1に示した結果からも明らかなように、本発明の銅張積層板(実施例1〜5)はいずれも、ピール強度が0.71kg/cm以上であり、銅箔とポリイミド層との密着性に優れたものであることが確認された。また、本発明の銅張積層板(実施例1〜5)はいずれも、ポリイミドのTgが300℃以上であり、耐熱性に優れたものであることが確認された。このような結果から、各実施例で得られた銅張積層板(本発明の銅張積層板)は、銅箔とポリイミド層との密着性及び耐熱性に優れたものであることが分かった。
一方、比較例1〜2で得られた銅張積層板は、ピール強度が0.59kg/cm以下であり、本発明の銅張積層板(実施例1〜5)と比較して、銅箔とポリイミド層との密着性が十分なものではなかった。また、比較例2で得られた銅張積層板は、ポリイミドのTgが294℃以下であり、本発明の銅張積層板(実施例1〜5)と比較して、耐熱性が十分なものではなかった。
このような結果から、銅箔と、該銅箔上に積層されたポリイミド層とを備える銅張積層板において、前記ポリイミド層を構成するポリイミドの一部の繰り返し単位にカルボキシル基を有する芳香族ジアミン由来の基を導入することによって、銅箔とポリイミド層との密着性及び耐熱性に優れた銅張積層板が得られることが分かった。
以上説明したように、本発明によれば、複数のプリント配線板を半田や異方性導電膜ACFなどで接合する際の位置ずれを抑制することができ、金属箔(特に、銅箔)とポリイミド層との密着性に優れた金属張積層板を得ることが可能となる。このような本発明の金属張積層板は、フレキシブルプリント回路基板(FPC)の材料(フレキシブル銅張積層板(FCCL))として有用である。また、金属箔(特に、銅箔)とポリイミド層との密着性に優れた金属張積層板においては、微細な配線パターンを形成することが可能であるため、本発明の金属張積層板は、高密度配線を有するプリント配線基板の材料としても有用である。
また、本発明の金属張積層板は、視認性に優れており、複数のプリント配線板を接合する際の位置ずれを抑制することができるため、半田や異方性導電膜ACFなどで接合するプリント配線基板の材料としても有用である。
さらに、本発明の金属張積層板は、耐熱性に優れおり、高温での加熱処理により、接着剤を使用せずに金属箔とポリイミド層とを接着することができるため、2層フレキシブル銅張積層板(2層FCCL)等の無接着剤タイプの銅張積層板として有用である。なお、タッチパネル、プリンテッドエレクトロニクス分野においても、金属張積層板は、有効である。
Claims (10)
- 金属箔と、該金属箔上に積層されたポリイミド層とを備え、かつ、
前記ポリイミド層が、下記一般式(1):
で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と、下記一般式(2):
で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するポリイミドからなる層である金属張積層板。 - 前記R10が、下記一般式(101)〜(104):
- 前記R11が、下記一般式(201):
- 前記金属箔が、表面に、窒素原子を含有するシランカップリング剤からなる表面処理層を備えるものである請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の金属張積層板。
- 前記金属箔が、銅箔である請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の金属張積層板。
- 請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の金属張積層板を備えるプリント配線基板。
- 請求項6に記載のプリント配線基板を備える電子機器。
- 下記一般式(1):
で表されるカルボキシル基を有する繰り返し単位(A)と、下記一般式(2):
で表されるカルボキシル基を有さない繰り返し単位(B)とを含有するポリイミド。 - 前記R10が、下記一般式(101)〜(104):
- 前記R11が、下記一般式(201):
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