JP2019203117A - ポリイミド前駆体樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物およびその膜状物、それを含む積層体、ならびにフレキシブルデバイス - Google Patents

ポリイミド前駆体樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物およびその膜状物、それを含む積層体、ならびにフレキシブルデバイス Download PDF

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Abstract

【課題】透明性を維持し、脱ガス量を悪化させることなくガラス基板との界面に発生する残留応力を低減することが可能なポリイミド前駆体樹脂組成物の提供。【解決手段】(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、(B)一般式(2)で表される化合物、及び又は鎖状のポリシロキサン化合物とを合計で0.01〜0.5質量部含むことを特徴とするポリイミド前駆体樹脂組成物。(一般式(2)中、R3はそれぞれアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる基を表す。また、nは1〜38の整数を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド前駆体樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物およびその膜状物、それを含む積層体、ならびにフレキシブルデバイスに関する。
有機フィルムはガラスに比べて屈曲性に富み、割れにくく、軽量といった特長を有する。最近では、フラットパネルディスプレイの基板を、有機フィルムに替えることで、ディスプレイをフレキシブル化する動きが活発化している。
有機フィルムに用いられる樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、アクリル、エポキシ、シクロオレフィンポリマーなどが挙げられる。これらのうち、ポリイミドは高耐熱性樹脂としてディスプレイ基板として適している。しかしながら、一般的なポリイミド樹脂は、高い芳香環密度により、茶色又は黄色に着色し、可視光線領域での透過率が低く、透明性が要求される分野に用いることは困難であった。
このようなポリイミドの透明性を向上する課題に対して、特許文献1には、脂環式酸二無水物と水酸基を有するアミン、具体的には2,2−ビス[3−(3−アミノベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン(HFHA)を用いたポリイミド膜が、高い耐熱性、光透過性を有することが記載されている。
また、特許文献2には、2,2−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、TFMBとも記す。)を用いることで透過率及び色相の透明度を向上させ、更にシリコーンジアミンなどのシリコーン成分を導入することで残留応力を低減する手法が開示されている。
国際公開第2013/24849号 特許第5948545号
特許文献1のポリイミドは高い透明性を有する旨の開示があるが、ポリイミド膜の製膜工程でガラス基板との界面に大きな残留応力が発生するという課題があった。
また、特許文献2には両末端にアミンや酸無水物といった反応性官能基を有するシリコーンを含有するポリイミド前駆体樹脂組成物について開示があるが、反応性官能基の部分が熱分解し易く、加熱時の脱ガス量が多くなる課題があった。
このように透明性を維持し、脱ガス量を悪化させることなくガラス基板との界面に発生する残留応力を低減する手法は知られていないのが現状である。
本発明は上記課題に鑑み、透明性を維持し、脱ガス量を悪化させることなくガラス基板との界面に発生する残留応力を低減することが可能なポリイミド前駆体樹脂組成物を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、(A)一般式(1)で表される単位構造を含むポリイミド前駆体、(B)一般式(2)で表される化合物および/または一般式(3)で表される化合物、および(C)溶媒を含むポリイミド前駆体樹脂組成物であって、前記(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、前記(B)一般式(2)で表される化合物と前記一般式(3)で表される化合物とを合計で0.01〜0.5質量部含むことを特徴とするポリイミド前駆体樹脂組成物である。
Figure 2019203117
(一般式(1)中、Rは四価の有機基を示し、Rは二価の有機基を示す。XおよびXは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の一価の有機基または炭素数1〜10の一価のアルキルシリル基を示す。)
Figure 2019203117
(一般式(2)中、複数あるRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基および炭素数6〜15のアリール基から選ばれる基を表す。また、nは1〜38の整数を示す。)
Figure 2019203117
(一般式(3)中、複数あるRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基および炭素数6〜15のアリール基から選ばれる基を表し、複数あるRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基および炭素数6〜15のアリール基から選ばれる基を表す。また、mは3〜40の整数を示す。)
本発明によれば、透明性を維持し、脱ガス量を悪化させることなくガラス基板との界面に発生する残留応力を低減することが可能なポリイミド前駆体樹脂組成物を提供することができる。本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物から得られるポリイミド樹脂組成物は、電子デバイス、例えばタッチパネル、カラーフィルタ、液晶素子、有機EL素子等のディスプレイ用の支持基板として好適に用いることができる。このような支持基板を用いることで、高精彩で信頼性の高いディスプレイの作成が可能である。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
<ポリイミド前駆体樹脂組成物>
本発明の実施の形態に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、(A)一般式(1)で表される単位構造を含むポリイミド前駆体、(B)一般式(2)で表される化合物および/または一般式(3)で表される化合物、および(C)溶媒を含むポリイミド前駆体樹脂組成物であって、前記(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、前記(B)一般式(2)で表される化合物と前記一般式(3)で表される化合物とを合計で0.01〜0.5質量部含むことを特徴とするポリイミド前駆体樹脂組成物である。
Figure 2019203117
一般式(1)中、Rは四価の有機基を示し、Rは二価の有機基を示す。XおよびXは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の一価の有機基または炭素数1〜10の一価のアルキルシリル基を示す。
Figure 2019203117
一般式(2)中、複数あるRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基および炭素数6〜15のアリール基から選ばれる基を表す。また、nは1〜38の整数を示す。
Figure 2019203117
一般式(3)中、複数あるRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基および炭素数6〜15のアリール基から選ばれる基を表し、複数あるRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基および炭素数6〜15のアリール基から選ばれる基を表す。また、mは3〜40の整数を示す。
なお、「炭素数1〜10」は、「炭素数1以上、炭素数10以下」を示す。本発明における同様の記載は同様の意味を示す。
本発明の実施の形態に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、上記ポリイミド前駆体と、一般式(2)および/または一般式(3)で表されるシロキサン化合物とを好ましい割合で含むことで、以下のような効果を奏する。イミド化して得られるポリイミド樹脂組成物の透明性や脱ガス量を悪化させることなく、当該樹脂組成物の膜状物とガラス基板との界面に発生する残留応力を低減することができる。また、当該樹脂組成物の膜状物とガラス基板との密着性を向上させることができる。
一般式(2)で表されるシロキサン化合物は環状シロキサン化合物であり、加水分解することで末端にシラノール基を有する直鎖状のシロキサン化合物となる。また、一般式(3)で表される化合物は直鎖状のシロキサン化合物であり、末端がシラノール基またはアルコキシ基となっているものである。末端がアルコキシ基になっているものについては加水分解をすることで末端にシラノール基を有する直鎖状のシロキサン化合物となる。
これらのシラノール基と、ポリイミド前駆体樹脂、またはポリイミド樹脂とが相互作用することで、柔軟なシロキサン構造部位を島部、ポリイミド樹脂を海部とするミクロ層分離構造が形成できる。ミクロ層分離構造が形成されると、成膜工程で発生する応力を島部で効率良く吸収できるので、残留応力が小さく、反りの発生が抑制された膜を得ることができる。
[(A)一般式(1)で表される単位構造を含むポリイミド前駆体]
一般式(1)中のXおよびXが炭素数1〜10の一価の有機基である場合の例としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族基、アルキルシリル基などが挙げられる。飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、tert-ブチル基などのアルキル基が挙げられる。飽和炭化水素基はさらにハロゲン原子で置換されていてもよい。不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、エチニル基、ビフェニル基、フェニルエチニル基などが挙げられる。芳香族基としては、例えばフェニル基などが挙げられる。芳香族基はさらに飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基やハロゲン原子で置換されていてもよい。アルキルシリル基の例としては、トリメチルシリル基などが挙げられる。
一般式(1)中、Rはテトラカルボン酸及びその誘導体の残基である。Rの炭素数は1〜40であることが好ましい。Rとしては、四価の芳香族基、脂環式脂肪族基、鎖状脂肪族基が挙げられる。
を与えるテトラカルボン酸としては特に制限はなく、公知のものを用いることができる。例として、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸や、国際公開第2017/099183号に記載のテトラカルボン酸などが挙げられる。
これらのテトラカルボン酸は、そのまま、あるいは酸無水物、活性エステル、活性アミドの状態でも使用できる。これらのうち、酸無水物は、重合時に副生成物が生じないため好ましく用いられる。また、これらを2種以上用いてもよい。
は、耐熱性の観点からは下記式(4)〜(7)のいずれかで表される基であることがより好ましく、透明性の観点からは下記式(8)〜(10)のいずれかで表される基であることがより好ましい。
Figure 2019203117
式(4)〜(10)中、Rは、各々独立に、水素原子または電子求引性基を示す。Xは、直接結合、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、スルホニル基、スルフィニル基もしくはスルフィド結合であるか、または、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3の二価の有機基を示す。aは、各々独立に、1または2を示し、bは、各々独立に、1〜3の整数を示し、cは0〜3の整数を示す。
本明細書における電子求引性基は、ハメット(Hammett)の置換基定数(パラ位,σp)が通常0より大きく、0.01以上であることが好ましく、0.1以上であることがさらに好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。ハメットの置換基定数は、例えば日本化学会編、「化学便覧」、改訂第5版、第II分冊、丸善株式会社、2004年2月、380頁に記載されている。
電子求引性基の例としては、ハロゲン原子、シアノ基、水素原子若しくは置換基を有するカルボニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基のようなパーフルオロアルキル基、スルホニル基、等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
一般式(1)中、Rはジアミンの残基である。Rの炭素数は1〜40であることが好ましい。Rとしては芳香族基、脂環式脂肪族基、鎖状脂肪族基が挙げられる。
を与えるジアミンとしては特に制限はなく、公知のものを用いることができる。例として、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2 ’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3 ’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、3−アミノフェニル−4−アミノベンゼンスルホナート、4−アミノフェニル−4−アミノベンゼンスルホナート、9,9−ビス(3−フルオロ−4−アミノフェニル)フルオレン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、ノルボルナンジアミンや、国際公開第2017/099183号に記載のジアミンなどが挙げられる。
これらのジアミンは、そのまま、あるいは対応するトリメチルシリル化ジアミンの状態でも使用できる。また、これらを2種以上用いてもよい。
としては、耐熱性の観点からは下記式(11)または(12)のいずれかで表される基であることがより好ましく、透明性の観点からは下記式(13)で表される基であることがより好ましい。
Figure 2019203117
式(11)〜(12)中、Rは、各々独立に、水素原子または電子求引性基を示す。Xは、直接結合、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、スルホニル基、スルフィニル基もしくはスルフィド結合であるか、または、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3の二価の有機基を示す。dは1〜3の整数を示し、eは1または2を示し、fは各々独立に0〜4の整数を示し、gは0〜3の整数を示す。
また、本発明の実施の形態に係るポリイミド前駆体は一般式(16)で表されるジアミンの残基を含むことが好ましい。
Figure 2019203117
一般式(16)中、R10は、置換又は非置換のフェニル基であり、sは、1以上4以下の整数を示す。
10は、フェニル基、又はフェニル基で置換されたフェニル基であることが好ましい。例えば、R10はフェニル基又はビフェニル基である。
一般式(16)で表されるジアミン残基は必ずカルボキシル基を含む構造であるため、分子間で強固に水素結合を形成して分子間相互作用が強まり、ガラス転移温度の高く、機械強度に優れたポリイミドを得ることが可能になる。加えて、上記カルボキシル基が酸触媒として作用することにより、一般式(2)で表される環状シロキサン化合物の開環や、一般式(3)で表されるシロキサン化合物末端の加水分解(アルコキシ基の加水分解)が促進される。その結果、上述のミクロ層分離構造を形成する作用がより大きくなり、成膜工程で発生する応力を島部で効率良く吸収できるので、残留応力がより小さく、反りの発生がより抑制された膜を得ることができる。
一般式(16)で示される残基を含むジアミンは、例えば下記一般式(18)で表示される。
Figure 2019203117
一般式(18)で表示されるジアミンの具体例は、3,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸、2,3−ジアミノ安息香酸、又は2,6−ジアミノ安息香酸であるが、これらに限定されない。
本発明の実施の形態に係るポリイミド前駆体は、一般式(16)で表されるジアミン残基を、前記(A)ポリイミド前駆体に含まれる全ジアミン残基中、0.5mol%以上50mol%以下含むことが好ましく、1mol%以上40mol%以下含むことがより好ましく、1mol%以上30mol%以下含むことがさらに好ましい。
これらのうち、一般式(1)中のRおよび/またはRが電子求引性基の結合した芳香族環を含むことが好ましい。それにより、ポリイミド前駆体樹脂が有するカルボキシル基の酸性度が高くなり(pKaが小さくなり)、一般式(2)で表される環状シロキサン化合物の開環や、一般式(3)で表されるシロキサン化合物末端の加水分解(アルコキシ基の加水分解)が促進される。その結果、上述のミクロ層分離構造を形成する作用がより大きくなる。
上記の効果は、電子求引性基とカルボキシル基との距離が近い方が顕著に得られるため、Rが電子求引性基の結合した芳香族環を含むことがより好ましい。具体的には、一般式(1)中のRが式(14)および(15)で表される構造から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。また、当該構造を含む単位構造を、一般式(1)で表される全構造100mol%中25mol%以上含むことが特に好ましい。なお、ポリマーの単位構造の比率は、ポリイミド前駆体やポリイミドの質量分析、熱分解ガスクロマトグラフィー(GC)、NMR、IR測定により、測定することができる。
Figure 2019203117
式(14)中、Rは水素原子、フッ素原子またはトリフルオロメチル基を表し、複数あるRのうち少なくとも1つがフッ素原子またはトリフルオロメチル基である。式(15)中、Xは、C(CF)、SOまたはSOのいずれかを表し、Rは、水素原子、フッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。
式(14)で表される化合物として、例えば1、4−ジフルオロピロメリット酸二無水物、1、4−ジトリフルオロメチルピロメリット酸二無水物などが挙げられる。また、式(15)で表される化合物として、例えばジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(DSDA)、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンニ無水物(6FDA)などが挙げられる。
また、(A)のポリイミド前駆体はトリアミン骨格を含むことが好ましい。トリアミンは、3つのアミノ基を有しており、3つのテトラカルボン酸二無水物成分と結合することにより分岐状の分子鎖を形成する。トリアミン骨格は、ポリアミック酸の分子鎖に分岐構造を導入し、分岐ポリアミック酸を形成する。それにより、ポリアミック酸樹脂が溶けたワニスの粘度を向上させることが可能となり、スリットで塗布を行った際の膜厚均一性を高めることができる。また、分岐構造を有するポリイミド前駆体から得られるポリイミド樹脂の分子量は、分岐構造が無いものに比べて大きくなるため、クラスター効果によりポリイミド樹脂上に形成した無機膜との相互作用を向上させることが可能である。
トリアミン骨格を与えるトリアミン化合物の具体例として、脂肪族基を有さないものとして、2,4,4’−トリアミノジフェニルエーテル(TAPE)、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TAPOB)、トリス(4−アミノフェニル)アミン、1,3,5−トリス(4−アミノフェニル)ベンゼン、3,4,4’−トリアミノジフェニルエーテル等を挙げることができ、また、脂肪族基を有するものとして、トリス(2−アミノエチル)アミン(TAEA)、トリス(3−アミノプロピル)アミン等を挙げることができる。
上述したように、トリアミンは、ポリイミド樹脂の分子鎖において、架橋構造の分岐を構成することになる。このトリアミンが熱分解してしまうと、ポリイミド樹脂の架橋構造が失われてしまうため、トリアミン成分としては、脂肪族基を有さず、熱分解しにくい成分を用いることが好ましい。つまり、2,4,4’−トリアミノジフェニルエーテル(TAPE)、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TAPOB)等を用いることが好ましい。
(A)のポリイミド前駆体は、ポリイミドを構成するテトラカルボン酸残基および/またはジアミン残基の中に、一般式(19)で表される構造を有していてもよい。ポリイミド前駆体が一般式(19)で表される構造を有することで、これを用いて得られるポリイミド樹脂膜と無機膜との間に生じる残留応力を低減することができる。そのため、基板上にポリイミド樹脂膜と無機膜とを積層した際の基板反りを抑制することができる。
Figure 2019203117
式(19)中、R12およびR13は、各々独立に、炭素数1〜20の一価の有機基を示す。xは3〜200の整数を示す。
12およびR13における炭素数1〜20の一価の有機基としては、炭化水素基、アミノ基、アルコキシ基、エポキシ基等を挙げることができる。R12およびR13における炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、炭素数3〜10のシクロアルキル基であることが好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
12およびR13におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、プロペニルオキシ基およびシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
一般式(19)におけるR12およびR13は、炭素数1〜3の一価の脂肪族炭化水素基、または炭素数6〜10の芳香族基であることが好ましい。なぜならば、得られるポリイミド膜が、高い耐熱性と低い残留応力を兼ね備えるからである。ここで、炭素数1〜3の一価の脂肪族炭化水素は、好ましくはメチル基であり、炭素数6〜10の芳香族基は、好ましくはフェニル基である。
一般式(19)中のxは、3〜200の整数であり、好ましくは10〜200、より好ましくは20〜150、さらに好ましくは30〜100、特に好ましくは30〜60の整数である。mが前記範囲内である場合、ポリイミドの残留応力を低減することができる。また、ポリイミド膜が白濁したり、ポリイミド膜の機械強度が低下したりすることを抑制できる。
一般式(19)で表される構造を有するポリイミド樹脂は、下記一般式(20)で表されるシリコーン化合物をモノマー成分として用いることにより得られる。
Figure 2019203117
式(20)中、複数あるR14は、それぞれ独立に、単結合または炭素数1〜20の二価の有機基であり、複数あるR15、R16およびR17は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の一価の有機基であり、L、LおよびLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、メルカプト基、及びR18からなる群より選ばれる1つの基である。R18は炭素数1〜20の一価の有機基である。yは、3〜200の整数であり、zは、0〜197の整数である。
また、(A)のポリイミド前駆体は、一般式(1)で表される単位構造の一部がイミド化していてもよい。ポリイミド前駆体の一部をイミド化することで、ポリイミド樹脂膜と無機膜との間に生じる残留応力を低減し、かつ樹脂溶液の室温保管時の粘度安定性を向上することができる。(A)のポリイミド前駆体のイミド化率の範囲としては、1%〜50%が、残留応力低減、溶液への溶解性、粘度安定性の観点から好ましい。イミド化率は、より好ましくは5%以上であり、また30%以下である。
ポリイミド前駆体のイミド化を促進するため、イミド化促進剤を使うことができる。例えば、ポリイミド前駆体重合を重合する際にイミド化促進剤を添加することでポリイミド前駆体のイミド化率を高めることができる。ここでいうイミド化促進剤とは求核性、求電子性を高める働きをもつ化合物であり、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の三級アミン化合物;4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−ヒドロキシ安息香酸等のカルボン酸化合物;3,5−ジヒドロキシアセトフェノン、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル等の多価フェノール化合物、ピリジン、キノリン、イソキノリン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、1,2,4−トリアゾール等の複素環化合物;等が挙げられる。
一部がイミド化した(A)のポリイミド前駆体としては、例えば、一般式(21)、一般式(22)及び一般式(23)で表される繰り返し単位を各々有する樹脂が挙げられる。
Figure 2019203117
一般式(21)〜(23)中、R19は二価の有機基を示し、R20は四価の有機基を示す。WおよびWは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の一価の有機基または炭素数1〜10の一価のアルキルシリル基を示す。R19の二価の有機基としては上述のジアミン残基と同様であり、R20の四価の有機基としては上述のテトラカルボン酸残基と同様である。
ポリイミド前駆体中の、式(21)、(22)および(23)で表される繰り返し単位の数を、それぞれp、q、rとする。
pは1以上の整数を示し、q及びrは、各々独立に0又は1以上の整数を示し、且つ1%≦(2r+q)×100/(2p+2q+2r)≦50%の関係を満たすことが好ましく、5%≦(2r+q)×100/(2p+2q+2r)≦30%の関係を満たすことがより好ましい。
ここで、「(2r+q)×100/(2p+2q+2r)」は、ポリイミド前駆体の結合部(テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応部)において、イミド閉環している結合部数(2r+q)の全結合部数(2p+2q+2r)に対する割合を示している。つまり、「(2r+q)×100/(2p+2q+2r)」はポリイミド前駆体のイミド化率を示している。
そして、(A)のポリイミド前駆体のイミド化率(「(2r+q)×100/(2p+2q+2r)」の値)を1〜50%、より望ましくは5〜30%とすることにより、(A)のポリイミド前駆体の溶液への溶解性を悪化させることなく、ポリイミド樹脂膜と無機膜との間に生じる残留応力を低減し、かつ粘度安定性を向上させることができる。
(A)のポリイミド前駆体のイミド化率(「(2r+q)×100/(2p+2q+2r)」の値)は、次の方法により測定される。
−ポリイミド前駆体のイミド化率の測定−
・ポリイミド前駆体試料の作製
(i)測定対象となるポリイミド前駆体組成物を、シリコンウエハ上に、膜厚1μm以上10μm以下の範囲で塗布して、塗膜試料を作製する。
(ii)塗膜試料をテトラヒドロフラン(THF)中に20分間浸漬させて、塗膜試料中の溶剤をテトラヒドロフラン(THF)に置換する。浸漬させる溶媒は、THFに限定されることなく、ポリイミド前駆体を溶解せず、ポリイミド前駆体組成物に含まれている溶媒成分と混和し得る溶剤より選択できる。具体的には、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒、ジオキサンなどのエーテル化合物が使用できる。
(iii)塗膜試料を、THF中より取り出し、塗膜試料表面に付着しているTHFにNガスを吹き付け、取り除く。10mmHg以下の減圧下、5℃以上25℃以下の範囲にて12時間以上処理して塗膜試料を乾燥させ、ポリイミド前駆体試料を作製する。
・100%イミド化標準試料の作製
(iv)上記(i)と同様に、測定対象となるポリイミド前駆体組成物をシリコンウエハ上に塗布して、塗膜試料を作製する。
(v)塗膜試料を380℃にて60分間加熱してイミド化反応を行い、100%イミド化標準試料を作製する。
・測定と解析
(vi)フーリエ変換赤外分光光度計(堀場製作所製FT−730)を用いて、100%イミド化標準試料、ポリイミド前駆体試料の赤外吸光スペクトルを測定する。100%イミド化標準試料の1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab’(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab’(1780cm−1))の比I’(100)を求める。
(vii)同様にして、ポリイミド前駆体試料について測定を行い、1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab(1780cm−1))の比I(x)を求める。
そして、測定した各吸光ピークI’(100)、I(x)を使用し、下記式に基づき、ポリイミド前駆体のイミド化率を算出する。
・式: ポリイミド前駆体のイミド化率(%)=I(x)×100/I’(100)
・式: I’(100)=(Ab’(1780cm−1))/(Ab’(1500cm−1))
・式: I(x)=(Ab(1780cm−1))/(Ab(1500cm−1))。
(A)のポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜1,000,000であり、より好ましくは10,000〜500,000であり、さらに好ましくは20,000〜400,000である。(A)のポリイミド前駆体の数平均分子量(Mn)は5,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、特に好ましくは15,000〜300,000である。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量および数平均分子量が上記範囲内であると、得られる塗膜の平坦性を悪化させることなく、キュア後に得られる膜の強度を高めることが可能である。
なお、重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布は、TOSOH製DP−8020型GPC装置(ガードカラム:TSK guard colomn ALPHA カラム:TSK−GEL α−M、展開溶剤:N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)、0.05M−LiCl、0.05%リン酸添加)を用いて測定した値である。
(A)のポリイミド前駆体は、化学式(1)で表される単位構造を含んでいる樹脂であり、末端が末端封止剤により封止されたものであってもよい。末端封止剤を反応させることで、ポリイミド前駆体の分子量を好ましい範囲に調整できる。
末端のモノマーがジアミン化合物である場合は、そのアミノ基を封止するために、ジカルボン酸無水物、モノカルボン酸、モノカルボン酸クロリド化合物、モノカルボン酸活性エステル化合物、二炭酸ジアルキルエステルなどを末端封止剤として用いることができる。
末端のモノマーが酸二無水物である場合は、その酸無水物基を封止するために、モノアミン、モノアルコールなどを末端封止剤として用いることができる。
[(B)一般式(2)または(3)で表されるシロキサン化合物]
一般式(2)および(3)中、炭素数1〜10のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
一般式(2)および(3)におけるR、Rは、炭素数1〜3の一価の脂肪族炭化水素基、または炭素数6〜10の芳香族基であることが好ましい。なぜならば、得られるポリイミド樹脂組成物が、高い耐熱性と低い残留応力を兼ね備えるからである。ここで、炭素数1〜3の一価の脂肪族炭化水素は、好ましくはメチル基であり、炭素数6〜10の芳香族基は、好ましくはフェニル基である。なかでも、メチル基が熱分解に対する耐性と残留応力低減効果が優れるためより好ましい。
また、一般式(3)におけるR中、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基又はn−ブチル基が挙げられる。アシル基としては、例えば、アセチル基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、4−トリル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−t−ブチルフェニル基又は1−ナフチル基が挙げられる。
また、一般式(2)におけるnは1〜38の整数を示し、一般式(3)におけるmは3〜40の整数を示す。nおよびmが上記範囲内である場合、得られるポリイミド樹脂組成物の透明性を悪化させることなく残留応力を低減することができる。また、ポリジメチルシロキサン分子はSi−O結合が6個で1回転する螺旋構造を取ることが知られており、この螺旋構造を取るときに成膜工程で発生する応力を効率良く吸収し残留応力を低減できるため、一般式(2)におけるnは4以上であることが特に好ましく、一般式(3)におけるmは6以上であることが特に好ましい。また、イミド化して得られるポリイミド樹脂組成物のヘイズ低減の観点から、一般式(2)におけるnは13以下であることが特に好ましく、10以下がさらに好ましく、8以下がいっそう好ましい。また、同じく、イミド化して得られるポリイミド樹脂組成物のヘイズ低減の観点から、一般式(3)におけるmは15以下であることが特に好ましい。
一般式(2)で表される環状シロキサン化合物としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3−Me)、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン(D3−Ph)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4−Me)、オクタフェニルシクロテトラシロキサン(D4−Ph)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5−Me)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6−Me)、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン(D7−Me)、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン(D8−Me)、オクタデカメチルシクロノナシロキサン(D9−Me)などが挙げられる。
一般式(3)で表される直鎖状のシロキサン化合物のうち、末端シラノールのものとしては、X−21−5841(信越化学社製、数平均分子量1,000)、KF−9701(信越化学社製、数平均分子量3,000)、DMS−S12(アヅマックス株式会社製、数平均分子量400〜700)、DMS−S14(アヅマックス株式会社製、数平均分子量700〜1500)、PDS−1615(アヅマックス株式会社製、数平均分子量900〜1000)、PDS−9931(アヅマックス株式会社製、数平均分子量1000〜1400)などが挙げられる。また、これら末端シラノールシロキサンに、例えばメタノールやエタノールといった1級アルコール化合物を酸や塩基などの触媒存在下で作用し、脱水縮合反応させることで、末端をアルコキシ基に変換した直鎖状シロキサン化合物を得ることができる。このような末端アルコキシシロキサン化合物も好ましく利用できる。
シラノール基は反応性の高い官能基であるため、末端シラノール基を有する化合物をポリイミド前駆体樹脂組成物に添加すると、シロキサン化合物同士、またはシロキサン化合物とポリイミド前駆体樹脂組成物とが反応してしまい、保存安定性が悪化する場合がある。従って、ポリイミド前駆体樹脂組成物の保存安定性の観点より、末端がアルコキシ基になった直鎖状シロキサン化合物、または環状シロキサン化合物を用いることが特に好ましい。
本発明の実施の形態に係るポリイミド前駆体樹脂組成物中の(B)一般式(2)および/または(3)で表されるシロキサン化合物の含有量は(A)ポリイミド前駆体100重量部に対して、合計で0.01〜0.5質量部であり、0.05質量部〜0.3質量部であることがより好ましい。前記範囲でシロキサン化合物を含むことで、脱ガス量を増加させることなくポリイミド樹脂組成物の残留応力を低減することができる。
[(C)溶媒]
(C)溶媒としては特に制限はなく、公知のものを用いることができる。例として、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、ジメチルスルホキシド、スルホラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、水や、国際公開第2017/099183号に記載の溶剤などを単独、または2種以上使用することができる。中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒が好ましい。これらを用いた場合には、シロキサン化合物の加水分解反応を阻害することなく、ポリイミド前駆体樹脂を溶解することができるからである。
溶媒の含有量は、(A)のポリイミド前駆体100重量部に対して、好ましくは100重量部以上、より好ましくは200重量部以上であり、好ましくは2,000重量部以下、より好ましくは1,500重量部以下である。100〜2,000重量部の範囲であれば、塗布に適した濃度および粘度となり、スリットコーターで塗布を行った際に良好な膜厚均一性を得ることができる。
[(D)テトラカルボン酸化合物]
本発明の実施の形態に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、一般式(17)で表されるテトラカルボン酸化合物を含有することが好ましい。
Figure 2019203117
式中、R11は少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、4つのカルボキシル基はこの残基中異なった炭素原子に直接連結しており、4つのうちの2つずつは炭素6員環内の隣接する炭素原子にそれぞれ結合している。
また、本発明の実施の形態に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、一般式(17)で表されるテトラカルボン酸化合物をポリイミド前駆体樹脂100重量部に対し、0.01〜1.0重量部含有することが好ましく、0.01〜0.5重量部含有することがさらに好ましい。
ポリイミド前駆体樹脂組成物が一般式(17)で表されるテトラカルボン酸化合物を上記範囲で含有することで系中に存在するカルボン酸の量が増え、一般式(2)で表される環状シロキサン化合物の開環や、一般式(3)で表されるシロキサン化合物末端の加水分解(アルコキシ基の加水分解)が促進される。その結果、上述のミクロ層分離構造を形成する作用がより大きくなり、成膜工程で発生する応力を島部で効率良く吸収できるので、残留応力が小さく、反りの発生が抑制された膜を得ることができる。また、一般式(17)で表されるテトラカルボン酸化合物は製膜工程においてポリイミド前駆体樹脂に取り込まれるため、脱ガス量を悪化させることなく残留応力がより小さく、反りの発生がより抑制された膜を得ることができる。
一般式(17)中、R11の好ましい具体例としては次のようなものが挙げられる。
Figure 2019203117
式中のXは、直接結合もしくは、いずれかで表される2価の基を表す。
Figure 2019203117
[その他の成分]
本発明の実施の形態に係るポリイミド前駆体樹脂組成物は、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、フロラード(商品名、住友3M(株)製)、メガファック(商品名、DIC(株)製)、スルフロン(商品名、旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤があげられる。また、KP341(商品名、信越化学工業(株)製)、DBE(商品名、チッソ(株)製)、ポリフロー、グラノール(商品名、共栄社化学(株)製)、BYK(ビック・ケミー(株)製)等の有機シロキサン界面活性剤が挙げられる。エマルミン(三洋化成工業(株)等のポリオキシアルキレンラウリエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびポリオキシエチレンセチルエーテル界面活性剤が挙げられる。さらに、ポリフロー(商品名、共栄社化学(株)製)等のアクリル重合物界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、樹脂組成物100重量部に対し、0.01〜10重量部含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、内部離型剤を含有していてもよい。内部離型剤としては、長鎖脂肪酸等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、基材との接着性向上のため、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤を添加することができる。上記カップリング剤としては、公知のものを用いることができる。これらは2種以上を併用してもよい。このときの使用量は、ポリイミド前駆体に対して、0.01重量%以上、2重量%以下が好ましい。
ポリアミド酸やポリアミド酸エステル、ポリアミド酸シリルエステルなどのポリイミド前駆体は、ジアミン化合物とテトラカルボン酸又はその誘導体との反応により合成することができる。誘導体としては、該テトラカルボン酸の酸無水物、活性エステル、活性アミドが挙げられる。重合反応の反応方法は、目的のポリイミド前駆体が製造できれば特に制限はなく、公知の反応方法を用いることができる。
具体的な反応方法としては、所定量の全てのジアミン成分および溶剤を反応器に仕込み溶解させた後、所定量の酸二無水物成分を仕込み、室温〜120℃で0.5〜30時間撹拌する方法などが挙げられる。
上述の方法で得られたポリイミド前駆体の溶液に前述のシロキサン化合物を添加し、室温〜60℃で0.5〜30時間攪拌する。この時に、前述の溶媒、界面活性剤、内部離型剤、カップリング剤を添加してもよい。
ポリイミド前駆体樹脂組成物中の水分率は0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましい。ポリイミド前駆体樹脂組成物の水分率が前述の下限値以上であることで、ポリイミド前駆体樹脂組成物の保存安定性を悪化させることなく、得られるポリイミド樹脂組成物の残留応力を低減することができる。また、ポリイミド前駆体樹脂組成物中の水分率は3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることが更に好ましい。ポリイミド前駆体樹脂組成物の水分率が前述の上限値以下であることで、ポリイミド前駆体樹脂の加水分解を抑制し、保存安定性を向上させることができる。ここでいう水分率は、液温23℃に調節し、カールフィッシャー法で測定した値を指す。カールフィッシャー法で水分率を測定するには、カールフィッシャー水分率滴定装置(例えば「MKS−520」(商品名、京都電子工業(株)製)など)を用い、「JIS K0068(2001)」に基づき、容量滴定法により、水分率測定を行う。
<ポリイミド樹脂組成物>
本発明の実施の形態に係るポリイミド樹脂組成物は、上記ポリイミド前駆体樹脂組成物をイミド化して得られるものである。
イミド化の方法は、特に制限されないが、加熱によるイミド化や化学イミド化が挙げられるが、中でも得られるポリイミド樹脂組成物の耐熱性、可視光領域での透明性の観点から、加熱によるイミド化が好ましい。ポリイミド前駆体樹脂組成物膜を180℃以上550℃以下の範囲で加熱してポリイミド樹脂組成物に変換する。これを熱イミド化工程という。なお、熱イミド化工程は、塗膜から溶媒を蒸発させる工程の後に何らかの工程を経てから行われても構わない。
塗膜から溶媒を蒸発させる工程は、具体的には塗膜を真空乾燥や加熱すればよいが、イミド化後の膜の透明性を考慮すると、白濁なく溶媒を蒸発させることが好ましい。乾燥には、ホットプレート、オーブン、赤外線、真空チャンバーなどを使用する。
中でも、真空チャンバーを用いて真空乾燥させることが好ましく、真空乾燥後にさらに乾燥のための加熱を行ったり、真空乾燥しながら乾燥のための加熱を行ったりすることがさらに好ましい。これにより、乾燥処理時間の短縮が可能となり、さらに、均一な塗布膜を得ることができる。乾燥のための加熱の温度は被加熱体の種類や目的により様々であり、室温から170℃の範囲で1分から数時間行うことが好ましい。室温とは通常20〜30℃であるが好ましくは25℃である。さらに、乾燥工程は同一の条件、又は異なる条件で複数回行ってもよい。
熱イミド化工程の雰囲気は特に限定されず、空気でも窒素やアルゴン等の不活性ガスでもよい。ただし、本発明のポリイミド樹脂組成物には無色透明性が求められるため、酸素濃度が3%以下の雰囲気で加熱して熱イミド化を行うことが好ましい。一般的に、酸素濃度を低くすることで、加熱時のポリイミド膜の酸化着色を低減し、高い透明性を保つことができるが、一方で、ppmオーダーでの酸素濃度管理は、製造現場では困難であることが多い。本発明のポリイミド樹脂組成物は、加熱硬化時の酸素濃度が3%以下であればより高い透明性を保つことができるため好ましい。
また、熱イミド化のための加熱温度に到達するまでに要する時間は特に限定されず、製造ラインの加熱形式にあわせた昇温方法を選択することができる。例えば、オーブン内にて、基材上に形成されたポリイミド前駆体樹脂組成物を室温から、熱イミド化のための加熱温度まで5〜120分かけて昇温してもよいし、予め180℃以上550℃以下の範囲に加熱されたオーブン内に基材上に形成されたポリイミド前駆体樹脂組成物をいきなり投入して加熱処理を行ってもよい。また、必要に応じて、減圧下にて加熱してもよい。
<ポリイミド樹脂組成物の膜状物>
本発明の実施の形態に係るポリイミド樹脂組成物の膜状物とは、(A)のポリイミド前駆体をイミド化してなるポリイミドを含む膜である。
ポリイミド樹脂組成物の膜状物は、例えば以下の方法で得ることができる。上記ポリイミド前駆体樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜から溶媒を蒸発させる工程と、ポリイミド前駆体をイミド化する工程を含む方法等である。
上記ポリイミド前駆体樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する方法としては、ロールコート法、スピンコート法、スリットコート法、およびドクターブレード、コーターなどを用いて塗布する方法等が挙げられる。なお、塗布の繰り返しにより膜の厚みや表面平滑性などを制御してもよい。中でも、塗布膜の表面平滑性、膜厚均一性の観点から、スリットダイコート法が好ましい。
塗膜の厚さは、所望の用途に応じて適宜選択され、特に限定されないが、例えば1〜500μmであり、好ましくは2〜250μmであり、特に好ましくは5〜125μmである。
基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、シリコンウエハ、ガラスウエハ、オキサイドウエハ、ガラス基板(無アルカリガラス基板を含む)、Cu基板およびSUS板などが挙げられる。中でも、表面平滑性、加熱時の寸法安定性の観点から、無アルカリガラスが好ましい。
塗膜から溶媒を蒸発させる工程は、具体的には塗膜を真空乾燥や加熱すればよいが、イミド化後の膜の透明性を考慮すると、白濁なく溶媒を蒸発させることが好ましい。乾燥には、ホットプレート、オーブン、赤外線、真空チャンバーなどを使用する。
中でも、真空チャンバーを用いて真空乾燥させることが好ましく、真空乾燥後にさらに乾燥のための加熱を行ったり、真空乾燥しながら乾燥のための加熱を行ったりすることがさらに好ましい。これにより、乾燥処理時間の短縮が可能となり、さらに、均一な塗布膜を得ることができる。乾燥のための加熱の温度は被加熱体の種類や目的により様々であり、室温から170℃の範囲で1分から数時間行うことが好ましい。室温とは通常20〜30℃であるが好ましくは25℃である。さらに、乾燥工程は同一の条件、又は異なる条件で複数回行ってもよい。
以上の膜形成工程を経て得られた膜は、基板から剥離して用いることができるし、あるいは剥離せずにそのまま用いることもできる。
剥離方法の例としては、水に浸漬する方法、塩酸やフッ酸などの薬液に浸漬する方法、紫外光から赤外光の波長範囲のレーザー光をポリイミド樹脂組成物の膜状物と基板の界面に照射する方法などが挙げられるが、ポリイミド樹脂組成物の膜状物の上にデバイスを作成してから剥離を行う場合は、デバイスへ損傷を与えることなく剥離を行う必要があるため、紫外光のレーザーを用いた剥離が好ましい。なお、剥離を容易にするために、ポリイミド前駆体樹脂組成物を基材へ塗布する前に、基板に離型剤を塗布したり犠牲層を製膜したりしておいてもよい。離型剤としては、シリコーン系、フッ素系、芳香族高分子系、アルコキシシラン系等が挙げられる。犠牲層としては、金属膜、金属酸化物膜、アモルファスシリコン膜等が挙げられる。
得られる膜の厚みは、所望の用途に応じて適宜選択されるが、好ましくは1〜100μm、より好ましくは5〜30μm、特に好ましくは7〜20μmである。
本発明のポリイミド樹脂組成物から得られる膜の引っ張り弾性率は、1.5GPa以上、2.5GPa以下であることが好ましい。引張り弾性率が前記範囲内であることでフィルムを基板から剥離する際の破断を抑制し、さらに残留応力を低減することができる。
本発明のポリイミド樹脂組成物から得られる膜の破断伸度は、10%以上が好ましく、さらに好ましくは15%以上、特に好ましくは20%以上である。膜の破断伸度が10%以上だと耐屈曲性に優れるため好ましい。
本発明のポリイミド樹脂組成物から得られる膜のガラス転移温度は250℃以上、好ましくは300℃以上である。デバイス作製時には250℃以上に加熱されるため、ガラス転移温度が250℃未満であると、このような用途に前記膜を用いる場合には、該膜が変形してしまうことがある。
<積層体>
本発明の実施の形態に係る積層体は、上記ポリイミド樹脂組成物の膜状物と、無機膜とを有する。
無機膜の例としては、ガスバリア層が挙げられる。ガスバリア層は、水蒸気や酸素等の透過を防ぐ役割を果たすものである。水分や酸素による電子デバイスの劣化を抑制するため、ポリイミド樹脂組成物の膜状物にガスバリア層を設けることで、ガスバリア性を付与することが好ましい。
ガスバリア層を構成する材料としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物および金属炭窒化物が挙げられる。これらに含まれる金属元素としては、例えば、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、カルシウム(Ca)などが挙げられる。
特に、ガスバリア層が、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素酸窒化物および珪素炭窒化物のうち少なくとも1つ以上を含むことが好ましい。これらの材料を用いることで、均一で緻密な膜が得やすくなり、ガスバリア層の酸素バリア性がより向上するためである。
また、酸素バリア性がより向上する観点から、ガスバリア層が、SiOhNiで表される成分を含むことが好ましい。h、iは、0<h≦1、0.55≦i≦1、0≦h/i≦1 を満たす値である。
ガスバリア層が2層以上に積層された無機膜であって、それらの無機膜のうちポリイミド樹脂組成物の膜状物と接する層が、SiOj(jは 0.5≦j≦2 を満たす値である。)で表される成分で形成されることが好ましい。無機膜の1層目を形成する際にポリイミド膜へ加わるダメージが軽減されるため、無機膜形成後の表面平滑性悪化や無機膜形成時の着色を抑えられるためである。
本発明の実施の形態に係る積層体の製造方法は、例えば、下記(1)〜(4)の工程を含む。
(1)支持基板上にポリイミド前駆体樹脂組成物を塗布する工程。
(2)塗布されたポリイミド前駆体樹脂組成物から溶剤を除去する工程。
(3)ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド樹脂組成物の膜状物を得る工程。
(4)前記ポリイミド樹脂組成物の膜状物の上に無機膜を形成する工程。
(1)〜(3)の工程は、前述のポリイミド樹脂組成物の膜状物の製造方法に準じて行うことができる。
(4)の工程では、例えば以下のようにして、無機膜を形成する。
無機膜は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の、気相中より材料を堆積させて膜を形成する気相堆積法により、作製することができる。中でも、より均一で酸素バリア性の高い膜が得られることから、スパッタリング法もしくはプラズマCVD法を用いるのが好ましい。
無機膜の層数に制限は無く、1層だけでも、2層以上の多層でもよいが、耐屈曲性とガスバリア性両立の観点から2層以上の多層が好ましい。多層膜の例としては、1層目がSiN、2層目がSiOから成るガスバリア層や、1層目がSiON、2層目がSiOから成るガスバリア層などが挙げられる。
無機膜の合計の厚みは、酸素バリア性向上の観点から、10nm以上が好ましく、100nm以上がさらに好ましい。一方、デバイスの曲げ耐性を向上させる観点から、無機膜の合計の厚みは、1μm以下が好ましく、500nm以下がさらに好ましい。
以上の工程を経て得られた積層体は、基板から剥離して用いることができるし、あるいは剥離せずにそのまま用いることもできる。
剥離方法の例としては、前述のポリイミド樹脂組成物の膜状物を基板から剥離する方法と同様の方法を用いることができる。
<用途>
本発明の実施の形態に係るポリイミド前駆体樹脂組成物、およびそれから得られる積層体は電子デバイスに使用することができる。より具体的には、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル、電子ペーパー、カラーフィルタ、マイクロLEDディスプレイといった表示デバイス、太陽電池、CMOSなどの受光デバイス等に使用することができる。これらの電子デバイスは、フレキシブルデバイスであることが好ましい。前述のポリイミド樹脂組成物の膜状物が、これらの電子デバイスにおける基板、特にフレキシブル基板として、好ましく用いられる。
フレキシブルデバイスの製造工程は、基板上に形成した積層体の上に、表示デバイスや受光デバイスに必要な回路を形成する工程を含む。例えば、アモルファスシリコンのTFTをフレキシブル基板上に形成することができる。さらに、この上にデバイスに必要な構造を、公知の方法によって形成することもできる。以上のようにして、回路等が表面に形成された積層体を、レーザー照射等の公知の方法を用いて基板から剥離し、フレキシブルデバイスを得ることができる。
以下、実施例等をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<材料>
(酸二無水物)
BPDA:3,3‘4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
BSAA: 2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物
6FDA:2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンニ無水物。
(ジアミン化合物)
CHDA:trans−1,4−ジアミノシクロへキサン
4,4’−DDS:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
6FODA:2,2 ’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
3,5−DABA:3,5−ジアミノ安息香酸
X22−9409:両末端アミン変性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学社製、数平均分子量1,300)。
(溶剤)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン。
(シロキサン化合物)
D3−Me:ヘキサメチルシクロトリシロキサン(式(2)、n=1)
D4−Me:オクタメチルシクロテトラシロキサン(式(2)、n=2)
D4−Ph:オクタフェニルシクロテトラシロキサン(式(2)、n=2)
D6−Me:ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(式(2)、n=4)
D9−Me:オクタデカメチルシクロノナシロキサン(式(2)、n=7)
X−21−5841:両末端シラノール変性メチルシリコーンオイル(式(3)、m=13)
KF−9701:両末端シラノール変性メチルシリコーンオイル(式(3)、m=39)。
(アルカリ可溶性樹脂)
アルカリ可溶性樹脂(A):メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン=54/23/23(モル%)からなる共重合体のカルボキシル基に対して、0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応させたもの(重量平均分子量(Mw):29,000)。
(導電性粒子)
A−1:表面炭素被覆層の平均厚みが1nmで、1次粒子径が40nmの銀粒子(日清エンジニアリング(株)製)
A−2:1次粒子径が0.7μmの銀粒子(三井金属(株)製)。
<評価>
(1)ワニスの水分率測定
カールフィッシャー水分率滴定装置「MKS−520」(商品名、京都電子工業(株)製)を用いて、JIS K0068の容量滴定法に準じて23℃における溶液中の水分を測定した。ただし、滴定溶剤中に樹脂が析出する場合は、アクアミクロンGEX(三菱化学株式会社製)とN−メチルピロリドンの1:4の混合溶液を滴定溶剤として用いた。
(2)イミド化率の測定
ワニスに含まれるポリイミド前駆体のイミド化率を下記手法にて測定した。
・ポリイミド前駆体試料の作製
(i)測定対象となるポリイミド前駆体組成物を、シリコンウエハ上に、膜厚1μm以上10μm以下の範囲で塗布して、塗膜試料を作製した。
(ii)塗膜試料をテトラヒドロフラン(THF)中に20分間浸漬させて、塗膜試料中の溶剤をテトラヒドロフラン(THF)に置換した。
(iii)塗膜試料をTHF中より取り出し、塗膜試料表面に付着しているTHFにNガスを吹き付け、取り除いた。10mmHg以下の減圧下、5℃以上25℃以下の範囲にて12時間以上処理して塗膜試料を乾燥させ、ポリイミド前駆体試料を作製した。
・100%イミド化標準試料の作製
(iv)上記(i)と同様に、測定対象となるポリイミド前駆体組成物をシリコンウエハ上に塗布して、塗膜試料を作製した。
(v)塗膜試料を窒素雰囲気下380℃にて60分間加熱してイミド化反応を行い、100%イミド化標準試料を作製した。
・測定と解析
(vi)フーリエ変換赤外分光光度計(堀場製作所製FT−730)を用いて、100%イミド化標準試料、ポリイミド前駆体試料の赤外吸光スペクトルを測定した。100%イミド化標準試料の1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab’(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab’(1780cm−1))の比I’(100)を求めた。
(vii)同様にして、ポリイミド前駆体試料について測定を行い、1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab(1780cm−1))の比I(x)を求めた。
そして、測定した各吸光ピークI’(100)、I(x)を使用し、下記式に基づき、ポリイミド前駆体のイミド化率を算出した。
・式: ポリイミド前駆体のイミド化率(%)=I(x)×100/I’(100)
・式: I’(100)=(Ab’(1780cm−1))/(Ab’(1500cm−1))
・式: I(x)=(Ab(1780cm−1))/(Ab(1500cm−1))。
(3)ワニスの粘度変化
各合成例で得られたワニスをクリーンボトル(株式会社アイセロ製)に入れて、23℃で7日間保管し、その前後の粘度変化率を下記式より算出した。
(粘度変化率/%)=100×((保管後の粘度)−(保管前の粘度))/(保管前の粘度)
粘度は粘度計 RE−215/U(東機産業株式会社製)を用い、JIS K7117−2(1999)に準じて測定した。付属の恒温槽を23.0℃に設定し、測定温度は常に一定にした。
(4)ポリイミド樹脂組成物の膜状物(ガラス基板上−1)の作成
ワニスを300mm×350mm×0.5mm厚のガラス基板26(旭硝子(株)製AN−100)に、スリットコーター(東レエンジニアリング(株)製)を用いて、キュア後の膜厚が10±0.5μmになるように塗布した。その後、加熱式真空乾燥機、ホットプレートを用いてプリベークを行った。加熱式真空乾燥機は上板を60℃、下板を40℃に加熱し、150秒かけて60Paまで内部圧力が下がる条件で乾燥を行った。ホットプレートは予め120℃に加熱したものを用いて6分かけて乾燥を行った。このようにして得られたプリベーク膜を、イナートオーブン(光洋サーモシステム(株)製 INH−21CD)を用いて、窒素気流下(酸素濃度100ppm以下)、80分かけて400℃まで昇温し、30分間保持し、5〜8℃/minで50℃まで冷却し、ポリイミド樹脂組成物の膜状物(ガラス基板上−1)を作製した。
(5)ポリイミド樹脂組成物の膜状物(ガラス基板上−2)の作製
50mm×50mm×1.1mm厚のガラス基板(テンパックス)に、ミカサ株式会社製のスピンコーターMS−A200を用いて、キュア後の膜厚が10±0.5μmになるようにワニスをスピン塗布した。その後、大日本スクリーン株式会社製ホットプレートD−SPINを用いて120℃×6分のプリベーク処理を行った。プリベーク膜をイナートオーブン(光洋サーモシステム株式会社製 INH−21CD)を用いて窒素気流下(酸素濃度100ppm以下)、4℃/minで400℃まで昇温し、30分間保持し、5〜8℃/minで50℃まで冷却しポリイミド樹脂組成物の膜状物(ガラス基板上−2)を作製した。
(6)ポリイミド樹脂組成物の膜状物の作製(シリコン基板上)
6インチのシリコン基板に、東京エレクトロン株式会社製の塗布現像装置 Mark−7を用いて、キュア後の膜厚が10±0.5μmになるようにワニスをスピン塗布した。その後、Mark−7のホットプレートを用いて120℃×6分のプリベーク処理を行った。プリベーク膜をイナートオーブン(光洋サーモシステム株式会社製 INH−21CD)を用いて窒素気流下(酸素濃度100ppm以下)、4℃/minで400℃まで昇温し、30分間保持し、5〜8℃/minで50℃まで冷却しポリイミド樹脂組成物の膜状物(シリコン基板上)を作製した。
(7)光透過率(T)の測定
紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製 MultiSpec1500)を用い、波長450nmにおける光透過率を測定した。なお、測定には(5)で作製したポリイミド樹脂組成物の膜状物(ガラス基板上−2)を用いた。
(8)ヘイズ値の測定
直読ヘーズコンピュータ(スガ試験機株式会社製 HGM2DP、C光源)を用い、(5)で作製したポリイミド樹脂組成物の膜状物(ガラス基板上−2)のヘイズ値(%)を測定した。なお各々の値としては3回測定の平均値を用いた。
(9)1%重量減少温度(Td1)の測定
熱重量測定装置(株式会社島津製作所製 TGA−50)を用いて窒素気流下で測定を行った。昇温方法は、以下の条件にて行った。第1段階で、昇温レート3.5℃/minで150℃まで昇温して試料の吸着水を除去し、第2段階で、降温レート10℃/min室温まで冷却した。第3段階で、昇温レート10℃/minで本測定を行い、1%熱重量減少温度を求めた。なお、測定には(4)で作製したポリイミド樹脂組成物の膜状物(ガラス基板上−1)を用いた。
(10)ガラス転移温度(Tg)、線膨張係数(CTE)の測定
熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 EXSTAR6000TMA/SS6000)を用いて、窒素気流下で測定を行った。昇温方法は、以下の条件にて行った。第1段階で昇温レート5℃/minで150℃まで昇温して試料の吸着水を除去し、第2段階で降温レート5℃/minで室温まで空冷した。第3段階で、昇温レート5℃/minで本測定を行い、ガラス転移温度を求めた。また第3段階における50〜200℃の線膨張係数の平均から線膨張係数(CTE)を求めた。なお、測定には(4)で作製したポリイミド樹脂組成物の膜状物(ガラス基板上−1)を用いた。
(11)90°ピール強度の測定(90°ピール試験)
(4)で得られた樹脂組成物の膜状物(ガラス基板上−1)を10mm幅、100mm長に切り出して、大日本スクリーン株式会社製ホットプレートD−SPINを用いて120℃×6分の脱水ベーク処理を行った後、引っ張り速度50mm/minの条件で90°ピール試験を行った。ここで、90°ピール試験においては、JIS C6481(1996、プリント配線板用銅張積層版試験法)に準拠した密着性試験機(山本鍍金試験器社製)を用いて90°ピール強度(N/cm)を測定した。
(12)残留応力の測定
ケーエルエー・テンコール社製の薄膜応力測定装置FLX−3300−Tを用いて測定を行った。測定には、(6)で作成したポリイミド樹脂組成物の膜状物(シリコン基板上)を用いて行い、当該ポリイミド樹脂組成物の膜状物を測定前に室温23℃、湿度55%の部屋で24時間静置した。
(13)タッチパネルの作成および耐湿熱性評価
下記の方法にてタッチパネルの作成を行い、続いて耐湿熱試験を行った。
○導電性組成物の作製
製造例1:導電性組成物(AE−1)の調製
導電性粒子(A−1)を80g、界面活性剤(“DISPERBYK”(登録商標)21116:(株)DIC製)4.06g、PGMEA98.07g、DPM98.07gを混合し、ホモジナイザーにて、1200rpm、30分間の処理を施した。さらに、高圧湿式メディアレス微粒化装置ナノマイザー(ナノマイザー(株))を用いて、混合物を分散して、銀含有量40質量%の銀分散液を得た。
有機化合物としてアルカリ可溶性樹脂(A)を20g、金属キレート化合物としてエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(ALCH:川研ファインケミカル(株)製)を0.6g、光重合開始剤(NCI−831:(株)ADEKA製)を2.4g、PE−3Aを12.0g、混合したものに、PGMEA132.6g、DPM52.6gを添加し、撹拌することにより、導電性組成物用有機I液を得た。
銀分散液と有機I液を72.6/27.4の質量比で混合し、導電性組成物(AE−1)を得た。
○絶縁性組成物の作製
製造例2:絶縁性組成物(OA−1)の調製
クリーンボトルに、カルド系樹脂(V−259ME:新日鉄住友化学(株)製)50.0g、架橋性モノマー(TAIC:日本化成(株)製)18.0g、架橋性モノマー(M−315:東亞合成(株)製)10.0g、エポキシ化合物(PG−100:大阪ガスケミカル(株)製)20.0g、光重合開始剤(OXE−01:BASF株式会社製)0.2gを添加し、1時間撹拌して、絶縁性組成物OA−1を得た。
○タッチパネルの作成
(第一の配線層の形成)
導電性組成物AE−1を、(4)で作成したポリイミド樹脂組成物の膜状物上に、スピンコーター(ミカサ(株)製「1H−360S(商品名)」)を用いて、300rpmで10秒、500rpmで2秒の条件でスピンコートした。その後、ホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製「SCW−636(商品名)」)を用いて100℃で2分間プリベークし、プリベーク膜を作製した。パラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製「PLA−501F(商品名)」)を用いて、超高圧水銀灯を光源とし、所望のマスクを介してプリベーク膜を露光した。この後、自動現像装置(滝沢産業(株)製「AD−2000(商品名)」)を用いて、0.045質量%水酸化カリウム水溶液で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスし、パターン加工を行った。
パターン加工した基板を、オーブンを用いて、空気中(酸素濃度21%)で、250℃で30分間キュアし、第一の配線層を形成した。
(第一の絶縁層の形成)
絶縁性組成物OA−1を、第一の配線層を形成した基板上に、スピンコーターを用いて、650rpmで5秒スピンコートした。その後、ホットプレートを用いて100℃で2分間プリベークし、プリベーク膜を作製した。パラレルライトマスクアライナーを用いて、超高圧水銀灯を光源とし、所望のマスクを介してプリベーク膜を露光した。この後、自動現像装置を用いて、0.045質量%水酸化カリウム水溶液で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスし、パターン加工を行った。パターン加工した基板を、オーブンを用いて、空気中(酸素濃度21%)で、250℃で60分間キュアし、絶縁層を形成した。
(第二の配線層の形成)
第一の絶縁層を形成した基板上に、第一の配線層と同様の方法で第二の配線層を形成した。
(第二の絶縁層の形成)
第二の配線層を形成した基板上に、第一の絶縁層と同様の方法で第二の絶縁層を形成した。
最後に、第一の配線層および第二の配線層を形成した領域の周囲を上面より片刃でカットし、カット端面より機械剥離することで、タッチパネルを得た。
○耐湿熱性評価
耐湿熱性の測定には、絶縁劣化特性評価システム“ETAC SIR13”(楠本化成(株)製)を用いた。第一の配線層および第二の配線層の端部にそれぞれ電極を取り付け、85℃、85%RH条件に設定された高温高湿槽内にタッチパネルを入れた。槽内環境が安定してから5分間経過後、第一の配線層および第二の配線層の電極間に電圧を印加し、絶縁抵抗の経時変化を測定した。第一の配線層を正極、第二の配線層を負極として、10Vの電圧を印加し、500時間の抵抗値を5分間隔で測定した。測定した抵抗値が10の5乗以下に達したとき、絶縁不良のため短絡と判断して、印圧を停止し、それまでの試験時間を短絡時間とした。以下の評価基準に従って耐湿熱性を評価し、評価2以上を合格とした。
6:短絡時間が400時間以上
5:短絡時間が300時間以上400時間未満
4:短絡時間が200時間以上300時間未満
3:短絡時間が100時間以上200時間未満
2:短絡時間が50時間以上100時間未満
1:短絡時間が50時間未満。
合成例1:
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP160gを投入し、60℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらCHDA 10.53g(92.18mmol)を入れて、NMP20gで洗いこんだ。CHDAが溶解したことを確認し、BPDA 18.98g(64.52mmol)、BSAA 14.39g(27.65mmmol)を投入し、NMP20gで洗いこんだ。4時間後に冷却してワニスを得た。得られたワニスを用いてポリイミド前駆体樹脂のイミド化率を測定したところ、15%であった。
合成例2:
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP160gを投入し、35℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらCHDA 10.53g(92.18mmol)を入れて、NMP20gで洗いこんだ。CHDAが溶解したことを確認し、BPDA 18.98g(64.52mmol)、BSAA 14.39g(27.65mmmol)を投入し、NMP20gで洗いこんだ。4時間後に冷却してワニスを得た。得られたワニスを用いてポリイミド前駆体樹脂のイミド化率を測定したところ、3%であった。
合成例3:
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP160gを投入し、60℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらCHDA 10.53g(92.18mmol)、イミダゾール0.126g(1.84mmol)を入れて、NMP20gで洗いこんだ。CHDAとイミダゾールが溶解したことを確認し、BPDA 18.98g(64.52mmol)、BSAA 14.39g(27.65mmmol)を投入し、NMP20gで洗いこんだ。その後80℃に昇温して4時間攪拌し、冷却した。得られたワニスを用いてポリイミド前駆体樹脂のイミド化率を測定したところ、40%であった。
合成例4:
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP160gを投入し、60℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらCHDA 10.53g(92.18mmol)、イミダゾール0.044g(0.65mmol)を入れて、NMP20gで洗いこんだ。CHDAとイミダゾールが溶解したことを確認し、BPDA 18.98g(64.52mmol)、BSAA 14.39g(27.65mmmol)を投入し、NMP20gで洗いこんだ。その後80℃に昇温して4時間攪拌し、冷却した。得られたワニスを用いてポリイミド前駆体樹脂のイミド化率を測定したところ、25%であった。
精製例1:環状シロキサン化合物の低減
未精製のX−22−9409に含まれる環状シロキサン化合物(D4−Me)の量をガスクロマトグラフィー(GC)で測定したところ、3000ppmであった。この未精製のX−22−9409 500gをフラスコ内に入れ、窒素ガスを吹き込みながら、250℃/1330Paで3時間ストリッピングによる精製をおこなった。精製後のX−22−9409(以下、X−22−9409Aという。)に含まれる環状シロキサン化合物(D4−Me)の量をGCで測定したところ、60ppmであった。
合成例5:
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP160gを投入し、60℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらCHDA 9.810g(85.91mmol)、X−22−9409A 2.349gを入れて、NMP20gで洗いこんだ。CHDAが溶解したことを確認し、BPDA 18.06g(61.38mmol)、BSAA 13.69g(26.30mmmol)を投入し、NMP20gで洗いこんだ。4時間後に冷却した。得られたワニスに含まれる環状シロキサンオリゴマーの量をGCで測定したところ1ppm以下であった。(ワニス中のポリイミド前駆体樹脂に対する環状シロキサンオリゴマーの量は0.01wt%未満。)得られたワニスを用いてポリイミド前駆体樹脂のイミド化率を測定したところ、14%であった。
合成例6:
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP160gを投入し、60℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらCHDA 10.37g(90.82mmol)を入れて、NMP20gで洗いこんだ。CHDAが溶解したことを確認し、BPDA 13.36g(45.41mmol)、6FDA 20.17g(45.41mmmol)を投入し、NMP20gで洗いこんだ。4時間後に冷却した。得られたワニスを用いてポリイミド前駆体樹脂のイミド化率を測定したところ、17%であった。
合成例7:
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP160gを投入し、60℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらCHDA 8.508g(74.51mmol)、4,4‘−DDS 6.167g(24.84mmol)を入れて、NMP20gで洗いこんだ。CHDAと4,4’−DDSが溶解したことを確認し、BPDA 29.23g(99.34mmol)を投入し、NMP20gで洗いこんだ。4時間後に冷却した。得られたワニスを用いてポリイミド前駆体樹脂のイミド化率を測定したところ、13%であった。
合成例8:
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP160gを投入し、60℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらCHDA 8.105g(70.97mmol)、6FODA 7.955g(23.66mmol)を入れて、NMP20gで洗いこんだ。CHDAと6FODAが溶解したことを確認し、BPDA 27.84g(94.63mmol)を投入し、NMP20gで洗いこんだ。4時間後に冷却した。得られたワニスを用いてポリイミド前駆体樹脂のイミド化率を測定したところ、15%であった。
合成例9:
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP160gを投入し、60℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらCHDA 7.761g(67.97mmol)、6FODA 7.935g(23.60mmol)、3,5−DABA 0.431g(2.832mmol)を入れて、NMP20gで洗いこんだ。CHDAと6FODAと3,5−DABAが溶解したことを確認し、BPDA 27.78g(94.40mmol)を投入し、NMP20gで洗いこんだ。4時間後に冷却した。得られたワニスを用いてポリイミド前駆体樹脂のイミド化率を測定したところ、15%であった。
実施例1:
合成例1で得られたワニス100gに、シロキサン化合物D3−Meを0.018g(ポリイミド前駆体100質量部に対して0.1質量部)を添加した。得られたワニスを用い、前記方法によりポリイミド樹脂フィルムを成膜し、評価を行った。
実施例2〜25、比較例1〜6:
表1に従って、用いるワニス、添加するシロキサン化合物およびその添加量、添加するテトラカルボン酸化合物およびその添加量を変更する以外は、実施例1と同様に評価を行った。なお、表中の酸二無水物およびジアミン欄における上向き矢印は、1つ上のものと同じ組成であることを示す。
ただし、実施例13および14では、実施例1と同様にして得られたワニスに、水を、2.73g、3.47g、それぞれ加えて、25℃で15分攪拌したものを用いた。これらのワニスの水分率はそれぞれ2.8重量%、3.5質量%であった。
また、実施例15では、以下のワニスを用いた。実施例1と同様にして得られたワニスに脱水剤であるモレキュラーシーブ 4A(ナカライテスク製)を10g加えて密栓し、25℃で24時間静置した。その後、孔径1μmのPTFEフィルターで濾過を行ってモレキュラーシーブを除去し、ワニスを得た。このワニスの水分率は0.05重量%であった。
実施例1〜25および比較例1〜6の評価結果を表2に示す。
Figure 2019203117
Figure 2019203117
実施例26
実施例1で得られたワニスを用いて(4)に記載の方法でポリイミド樹脂組成物の膜状物(ガラス基板上−1)を作成し、その上にSiON(製膜温度:350℃、膜厚150nm)をプラズマCVDで製膜した。その後(13)に記載の方法にてタッチパネルを作製した。
実施例27
実施例8で得られたワニスを用いたこと以外は実施例26と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例28
実施例15で得られたワニスを用いたこと以外は実施例26と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例29
実施例18で得られたワニスを用いたこと以外は実施例26と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例30
実施例19で得られたワニスを用いたこと以外は実施例26と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例31
実施例23で得られたワニスを用いたこと以外は実施例26と同様にしてタッチパネルを作製した。
比較例7
比較例1で得られたワニスを用いたこと以外は実施例26と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例26〜31および比較例7で得られたタッチパネルの評価結果を表2に示す。実施例26〜31では、ポリイミド樹脂組成物がシロキサン化合物を含むことで、バリア層とポリイミド樹脂組成物膜との界面に発生する残留応力も低減され、耐湿熱試験中にバリア層に発生するクラックが抑制されたため、耐湿熱性が良好であったものと考えられる。
Figure 2019203117

Claims (20)

  1. (A)一般式(1)で表される単位構造を含むポリイミド前駆体、(B)一般式(2)で表される化合物および/または一般式(3)で表される化合物、および(C)溶媒を含むポリイミド前駆体樹脂組成物であって、前記(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、前記(B)一般式(2)で表される化合物と前記一般式(3)で表される化合物とを合計で0.01〜0.5質量部含むことを特徴とするポリイミド前駆体樹脂組成物。
    Figure 2019203117
    (一般式(1)中、Rは四価の有機基を示し、Rは二価の有機基を示す。XおよびXは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の一価の有機基または炭素数1〜10の一価のアルキルシリル基を示す。)
    Figure 2019203117
    (一般式(2)中、複数あるRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基および炭素数6〜15のアリール基から選ばれる基を表す。また、nは1〜38の整数を示す。)
    Figure 2019203117
    (一般式(3)中、複数あるRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基および炭素数6〜15のアリール基から選ばれる基を表し、複数あるRはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基および炭素数6〜15のアリール基から選ばれる基を表す。また、mは3〜40の整数を示す。)
  2. 前記(A)ポリイミド前駆体のイミド化率が1%以上50%以下である、請求項1に記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  3. カールフィッシャー法で測定した水分率値が0.05質量%以上である、請求項1または2に記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  4. カールフィッシャー法で測定した水分率値が3.0質量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  5. 一般式(1)中のRが式(4)〜(10)のいずれかで表される基であり、一般式(1)中のRが式(11)〜(13)のいずれかで表される二価の基である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
    Figure 2019203117
    (式(4)〜(10)中、Rは、各々独立に、水素原子または電子求引性基を示す。Xは、直接結合、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、スルホニル基、スルフィニル基もしくはスルフィド結合であるか、または、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3の二価の有機基を示す。aは、各々独立に、1または2を示し、bは、各々独立に、1〜3の整数を示し、cは0〜3の整数を示す。)
    Figure 2019203117
    (式(11)〜(13)中、Rは、各々独立に、水素原子または電子求引性基を示す。Xは、直接結合、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、スルホニル基、スルフィニル基もしくはスルフィド結合であるか、または、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3の二価の有機基を示す。dは1〜3の整数を示し、eは1または2を示し、fは各々独立に0〜4の整数を示し、gは0〜3の整数を示す。)
  6. 一般式(1)中のRおよび/またはRが電子求引性基の結合した芳香族環を含む請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  7. 一般式(1)中のRが電子求引性基の結合した芳香族環を含む請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  8. 一般式(1)中のRが下記式(14)および(15)で表される構造から選ばれた少なくとも1種を含む請求項1〜7のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
    Figure 2019203117
    (式(14)中、Rは水素原子、フッ素原子またはトリフルオロメチル基を表し、複数あるRのうち少なくとも1つがフッ素原子またはトリフルオロメチル基である。式(15)中、Xは、C(CF)、SOまたはSOのいずれかを表し、Rは、水素原子、フッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。)
  9. 一般式(1)中のRが下記式(16)で表される構造を含む請求項1〜8のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
    Figure 2019203117
    (一般式(16)中、R10は、置換又は非置換されたフェニル基であり、sは、1以上4以下の整数を示す。)
  10. さらに、(D)一般式(17)で表されるテトラカルボン酸化合物を含む、請求項1〜9のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
    Figure 2019203117
    (式中、R11は少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、4つのカルボキシル基はこの残基中異なった炭素原子に直接連結しており、4つのうちの2つずつは対をなし、炭素6員環内の隣接する炭素原子に結合している。)
  11. (D)一般式(17)で表されるテトラカルボン酸化合物の含有量が前記(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して0.01〜1.0質量部である、請求項10に記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  12. (B)成分として一般式(2)で表される化合物を含み、一般式(2)中のnが4〜13である、請求項1〜11のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  13. (B)成分として一般式(2)で表される化合物を含み、一般式(2)中のRがメチル基またはフェニル基である、請求項1〜12のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  14. (B)成分として一般式(3)で表される化合物を含み、一般式(3)中のmが6〜15である、請求項1〜13のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  15. (B)成分として一般式(3)で表される化合物を含み、一般式(3)中のRがメチル基またはフェニル基である、請求項1〜14のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  16. 前記(C)溶媒が非プロトン性極性溶媒である、請求項1〜15のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物をイミド化して得られるポリイミド樹脂組成物。
  18. 請求項1〜16のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物をイミド化して得られるポリイミド樹脂組成物の膜状物。
  19. 請求項18に記載のポリイミド樹脂組成物の膜状物と、無機膜とを有する積層体。
  20. 請求項19に記載の積層体を含むフレキシブルデバイス。
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