JP2017071121A - 液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電体基板の表面に適量のメッキ触媒を付着させ、無電解メッキにより析出する導体膜を均質化し密着強度を向上させる液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。【解決手段】分極した圧電体基板1の表面に感光性樹脂層2を設置する感光性樹脂層形成工程と、圧電体基板1の表面に溝3を形成する溝形成工程と、圧電体基板1の露出面Sにカップリング剤を付着させるカップリング処理工程と、カップリング剤が付着した露出面Sにメッキ触媒を付着させる触媒付着工程と、メッキ触媒が付着した露出面Sに無電解メッキにより導体膜4を形成する無電解メッキ工程と、感光性樹脂層2を圧電体基板1から除去して導体膜4のパターンを形成するリフトオフ工程と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、被記録媒体に液滴を噴射して記録する液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
近年、記録紙等にインク滴を吐出して文字や図形を記録する、或いは素子基板の表面に液体材料を吐出して機能性薄膜を形成するインクジェット方式の液体噴射ヘッドが利用されている。この方式は、インクや液体材料などの液体を液体タンクから供給管を介して液体噴射ヘッドのチャンネルに供給し、チャンネルの液体に圧力を印加してチャンネルに連通するノズルから液滴として吐出する。液滴の吐出の際には、液体噴射ヘッドや被記録媒体を移動させて文字や図形を記録する、或いは所定形状の機能性薄膜や三次元構造を形成する。
特許文献1には、圧電体基板に溝から成るチャンネルを形成し、溝と溝の間の隔壁をピエゾ効果により変形させて、チャンネルに連通するノズルから液滴を吐出させる液体噴射ヘッドが記載されている。溝と溝を仕切る隔壁には、隔壁を構成する圧電体に電界を印加するための電極が形成される。特許文献1では、この電極を無電解メッキ法により形成する。具体的には、分極処理が施される二枚の圧電体基板を、分極方向を反対に向けて接着する。次に積層接着される圧電体基板に多数の溝を形成し、溝の側面、つまり隔壁の壁面や溝の底面に無電解メッキ法により電極を形成する。
圧電体基板はPZTセラミックス基板を使用する。無電解メッキ法により電極を形成する際には、まず、圧電体基板の表面をエッチングする。このエッチングによって、PZTセラミックスの結晶粒界を一部溶解してクレバス状の窪みを形成する。次に、圧電体基板を塩化第一錫水溶液に浸漬し、溝の側面や底面に塩化第一錫を吸着させる。次に、圧電体基板を塩化パラジウム水溶液に浸漬して、塩化第一錫と塩化パラジウムとの間で酸化還元反応を起こして溝の側面や底面に金属パラジウムを形成する。この金属パラジウムが無電解メッキを促進させる触媒となる。次にニッケルの無電解メッキを行って、溝の側面や底面に電極膜を形成する。
このように、圧電体基板の表面をエッチングし、結晶粒界にクレバス状の窪みを形成して表面に無電解メッキを行うと、クレバス状の窪みに金属が析出し、表面に電極膜が形成される。この窪みに析出する金属がアンカー効果として働いて、電極膜の密着性を向上することが記載される。特許文献2においても同様の方法により溝の側面及び底面に電極膜を形成している。
特許第4560930号公報 特開2002−103630号公報
圧電体基板に形成する溝は、溝の幅が数10μm〜100μmであるのに対して、溝の深さは300μm〜400μmである。この圧電体基板をエッチングすると、溝の底側よりも溝の開口側がエッチングされる。そこで、溝の底側の表面に堆積する電極膜の密着性を向上させるためには溝の底側の表面を深くエッチングする必要がある。しかし、溝の底側を深くエッチングすると溝の開口側のエッチングが進み、セラミックスの結晶粒が脱落する等の不具合が発生する。
また、溝と溝を区画する側壁の厚さが数10μm〜100μmと薄い。そのため、圧電体基板を深くエッチングすると側壁の強度が脆弱となり、組み立て時等において側壁が破損するおそれがある。また、溝の壁面や底面に付着させる金属パラジウム等の触媒が多すぎても少なすぎても、形成される電極膜の品質が低下する。触媒が多すぎる場合は部分的にメッキ膜厚が増加して溝の上部に電極ブリッジが形成される。また、電極膜の内部応力が増加して密着性が低下する。触媒が少ない場合は電極膜が薄くなって電気抵抗が上昇する。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、分極した圧電体基板の表面に感光性樹脂層を設置する感光性樹脂層形成工程と、前記圧電体基板の表面に溝を形成する溝形成工程と、前記圧電体基板の露出面にカップリング剤を付着させるカップリング処理工程と、前記カップリング剤が付着した前記露出面にメッキ触媒を付着させる触媒付着工程と、前記メッキ触媒が付着した前記露出面に無電解メッキにより導体膜を形成する無電解メッキ工程と、前記感光性樹脂層を前記圧電体基板から除去して前記導体膜のパターンを形成するリフトオフ工程と、を備えることとした。
また、前記カップリング剤は、メルカプト基又はアミノ基を有し、水酸基又は加水分解により水酸基となる基を含むこととした。
また、前記カップリング剤はメルカプト系シランカップリング剤又はアミノ系シランカップリング剤を含むこととした。
また、前記メッキ触媒はパラジウムを含むこととした。
また、前記カップリング処理工程の前に、前記露出面を親水化する親水化処理工程を備えることとした。
また、前記カップリング処理工程の前に、前記露出面をエッチングするエッチング工程を備えることとした。
本発明による液体噴射ヘッド製造方法は、分極した圧電体基板の表面に感光性樹脂層を設置する感光性樹脂層形成工程と、圧電体基板の表面に溝を形成する溝形成工程と、圧電体基板の露出面にカップリング剤を付着させるカップリング処理工程と、カップリング剤が付着した露出面にメッキ触媒を付着させる触媒付着工程と、メッキ触媒が付着した露出面に無電解メッキにより導体膜を形成する無電解メッキ工程と、感光性樹脂層を圧電体基板から除去して導体膜のパターンを形成するリフトオフ工程と、を備える。これにより、圧電体基板の表面に適量のメッキ触媒を付着させることができるため、無電解メッキにより析出する導体膜が均質化し、密着強度が向上するとともに、圧電体基板の表面を深くエッチングする必要が無いので結晶粒の脱落や側壁の強度低下を防ぐことができる。
本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す工程図である。 本発明に係る各工程を説明するための図である。 本発明に係る液体噴射ヘッドの模式的な分解斜視図である。 本発明の実施例に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す工程図である。
(基本構成)
図1は本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す工程図である。図2は本発明に係る各工程を説明するための図である。図3は本発明に係る液体噴射ヘッド10の模式的な分解斜視図である。
本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、感光性樹脂層形成工程S2と、溝形成工程S4と、カップリング処理工程S7と、触媒付着工程S8と、無電解メッキ工程S9と、リフトオフ工程S10とを備える。感光性樹脂層形成工程S2において、圧電体基板1の表面にレジストなどの感光性樹脂層2を設置する。溝形成工程S4において、感光性樹脂層2を設置した圧電体基板1の表面を研削して平行な多数の溝3を形成する。カップリング処理工程S7において、圧電体基板1の露出面S、例えば溝3の内表面にカップリング剤を付着させる。カップリング剤は、露出面Sに結合する官能基とメッキ触媒に結合する官能基を備える。触媒付着工程S8において、カップリング剤が結合する圧電体基板1の表面にメッキ触媒を付着させる。無電解メッキ工程S9において、メッキ触媒が付着した圧電体基板1の露出面に無電解メッキにより導体膜4を形成する。そして、リフトオフ工程S10において、感光性樹脂層2を圧電体基板1から除去して導体膜4のパターンを形成する。
このように、圧電体基板1の表面に、メッキ触媒をカップリングするカップリング剤を結合させて、圧電体基板1の表面に適量のメッキ触媒を付着させる。その結果、無電解メッキにより析出する導体膜4が均質化し、密着強度が向上する。更に、圧電体基板1の表面を深くエッチングする必要が無いので、セラミックスから成る圧電体基板1の結晶粒の脱落や側壁の強度低下を防ぐことができる。
以下、具体的に説明する。準備工程S1において、図2(a)に示すように、圧電体基板1を準備する。圧電体基板1は、基板面の法線方向に分極処理が施されているPZTセラミックス板を使用することができる。例えば、法線方向に分極Pを有する圧電体基板と、反対方向に分極(−P)を有する圧電体基板とを分極境界Bの位置で積層接着されるシュブロン型の圧電体基板1を使用することができる。なお、本発明はシュブロン型の圧電体基板1に限定されない。
次に、感光性樹脂層形成工程S2において、図2(b)に示すように、圧電体基板1の表面に感光性樹脂層2を設置する。感光性樹脂層2としてレジスト膜を使用することができる。圧電体基板1の表面にフィルム状レジストをラミネートして感光性樹脂層2としてもよいし、圧電体基板1の表面にデスペンサーやコーターによりレジストを塗布し、乾燥して感光性樹脂層2としてもよい。
次に、パターン形成工程S3において、図2(c)に示すように、感光性樹脂層2のパターンを形成する。例えば、外部駆動回路と電気的接続用の電極端子や電極配線を設置する領域から感光性樹脂層2を除去する。感光性樹脂層2のパターンは、フォトリソグラフィにより所定領域から感光性樹脂層2を除去して形成することができる。なお、パターン形成工程S3は、例えば、圧電体基板1の上面UPに溝パターンや電極パターンを形成する必要が無ければ、省略することができる。
次に、溝形成工程S4において、図2(d)に示すように、ダイシングブレードDやダイヤモンドカッター等を用いて圧電体基板1の表面を研削して複数の溝3を形成する。なお、図2(d)は図2(c)と異なる断面を描いている。図2(c)では、電極端子や電極配線を設置する領域を描いて、感光性樹脂層2を除去することを説明している。一方で、図2(d)以降では、電極端子や電極配線が位置しない断面であって、溝を形成する断面を描くことにより溝形成工程S4を説明している。溝3の幅は数10μm〜100μmであり、溝3の深さは300μm〜400μmであり、溝3の長さは1mm〜数mmである。シュブロン型の圧電体基板1を用いる場合には、分極境界Bの位置が溝3の深さの略1/2となるようにする。溝3は数100本以上形成する。溝3と溝3の間の側壁6の幅(厚さ)は数10μm〜100μmである。
次に、図2(e)に示すように、圧電体基板1の露出面Sを有機溶媒等により脱脂する。次に、エッチング工程S5において、露出面Sをエッチングして粗面化し、無電解メッキにより生成する導体膜4の密着強度を向上させる。エッチングはソフトに(軽く)行って、露出面Sに凹凸を形成する。即ち、露出面Sの結晶粒界をエッチングして結晶粒界に窪みを形成する。
具体的には、圧電体基板1を濃度1.5wt%以下のフッ化アンモニウムの水溶液に約2分30秒以下の時間浸漬する。これにより、圧電体基板1の露出面Sはむらなく軽くエッチングされるが、結晶粒が脱落したり側壁6上部の強度が低下したりすることはなく、導体膜4の密着強度を向上させることができる。なお、本発明において、カップリング剤は圧電体基板1の表面にメッキ触媒を結合させる接着作用を有するので、エッチング工程S5は必須工程ではなく省略してもよい。しかし、圧電体基板1の露出面Sを軽くエッチングすれば、導体膜4の密着強度を向上させることができる。
次に、親水化処理工程S6において、圧電体基板1の露出面Sを親水化する。親水化処理は、アッシング処理、プラズマ処理、アルカリ溶液処理、コロナ放電処理、オゾン処理、UV照射処理等により行うことができる。親水化処理は本発明の必須工程ではなく、省略してもよい。親水化処理を施さなくても圧電体基板1の表面に水酸基が付着するからである。しかし、親水化処理を施すことにより圧電体基板1の表面を確実に親水化し、カップリング剤を多く結合させることができる。また、親水化処理条件によっては感光性樹脂層2の表面を非親水化することができる。これにより、感光性樹脂層2の表面にメッキ触媒が付着することを防ぎ、引いては無電解メッキによる導体膜4の形成を防いで、導体膜4を選択的に析出させることができる。
次に、カップリング処理工程S7において、圧電体基板1の露出面Sにカップリング剤を結合させる。カップリング剤は圧電体基板1の露出面S(及び感光性樹脂層2の表面)の親水基と結合する。従って、カップリング剤は露出面Sにむらなく付着する。カップリング剤として、メルカプト基又はアミノ基を有し、水酸基又は加水分解により水酸基となる基を含むものを使用することができる。
具体的には、カップリング剤をイソプロピルアルコールやエタノール等の有機溶媒に例えば0.1Mの濃度で溶解させ、1〜2時間撹拌して加水分解したカップリング溶媒を作成する。次に、圧電体基板1をカップリング溶液に浸漬し、減圧して10〜120分保持する。これにより、溝3に付着した気泡を除去しながらカップリング剤を圧電体基板1の表面に付着させる。次に、カップリング溶液から圧電体基板1を取り出し、窒素ブロー等を行って圧電体基板1の表面から余分なカップリング溶液を除去する。次に、窒素で置換した乾燥炉に圧電体基板1を投入し、30分〜60分乾燥させて圧電体基板1の露出面S(及び感光性樹脂層2の表面)にカップリング剤を結合させる。次に、有機溶媒により余分なカップリング剤を除去する。次に、圧電体基板1を純水に浸漬して表面の濡れ性を維持する。
なお、カップリング処理は、上記液相法に代えて気相法により行うこともできる。例えば、カップリング剤を80℃〜150℃に加熱して蒸発させ、カップリング剤の蒸気に圧電体基板1を晒す。これにより、溝3の露出面Sにカップリング剤を結合させることができる。
アミノ基を有するカップリング剤としてアミノ系シランカップリング剤を使用することができる。アミノ系シランカップリング剤としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N,N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、1−(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等を使用することができる。
また、メルカプト基を有するカップリング剤として、「メルカプト基」−炭素鎖−「水酸基」からなるカップリング剤、例えば、3−メルカプト−1−プロパノールを使用することができる。また、メルカプト系シランカップリング剤を使用することができる。メルカプト系シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、1,3−ビス(メルカプトメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−メルカプトメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等を使用することができる。
次に、触媒付着工程S8において、カップリング剤が結合した露出面Sにメッキ触媒を付着させる。メッキ触媒の付着方法として、センシタイザー・アクチベーター法、或いは、キャタリスト・アクセレーター法を用いることができる。センシタイザー・アクチベーター法では、まず、圧電体基板1を塩化第一錫水溶液に浸漬し、続いて塩化パラジウム水溶液に浸漬して露出面Sの表面にメッキ触媒としてのパラジウム触媒を付着させる。即ち、カップリング剤が結合した圧電体基板1を塩化第一錫水溶液に浸漬し(工程X)、更に、圧電体基板1を塩化パラジウム水溶液に浸漬し(工程Y)、塩化錫と塩化パラジウムの酸化還元反応により金属パラジウムを生成し、金属パラジウムがカップリング剤を介して露出面Sに付着する。そして、上記工程Xと工程Yを繰り返し行って金属パラジウムの付着量を増加させることができる。
また、キャタリスト・アクセレーター法では、圧電体基板1を錫とパラジウムのコロイド溶液に浸漬する。続いて圧電体基板1を酸性溶液、例えば塩酸溶液に浸漬して活性化し、圧電体基板1の表面に金属パラジウムを析出させる。析出した金属パラジウムは圧電体基板1の表面のカップリング剤に結合する。センシタイザー・アクチベーター法及びキャタリスト・アクセレーター法のいずれの方法においても、圧電体基板1の露出面Sにカップリング剤がむらなく結合し、このカップリング剤を介して金属パラジウムが析出するので、金属パラジウムも露出面Sにむらなく付着する。
次に、無電解メッキ工程S9において、図2(f)に示すように、メッキ触媒が付着した露出面Sに無電解メッキにより導体膜4を形成する。図2(f)には示していないが、感光性樹脂層2の表面に金属パラジウムが付着する場合は、感光性樹脂層2の表面にも導体膜4が形成される。無電解メッキにより、Ni、Cu、Ag等の導体膜4を形成することができる。例えば、圧電体基板1をNiメッキ液に浸漬し、圧電体基板1を搖動させながら露出面Sに導体膜4を析出させる。圧電体基板1を搖動させて、導体膜4の析出時に発生する水素が溝3に付着するのを防ぐ。
次に、リフトオフ工程S10において、図2(g)に示すように、圧電体基板1から感光性樹脂層2を除去して導体膜4のパターンを形成する。感光性樹脂層2が設置されている圧電体基板1の表面には導体膜4が形成されず、感光性樹脂層2が設置されていない露出面Sに導体膜4が形成される。本実施形態では、溝3の両側面及び底面と、圧電体基板1の上面UPの電極端子7の領域に導体膜4が残る(図3を参照)。次に、ヘッド組立工程S11において、図3に示すように、圧電体基板1の上面UPにカバープレート11を接着し、圧電体基板1及びカバープレート11の前方の端面FPにノズルプレート12を接着して液体噴射ヘッド10を構成する。
図3に示すように、圧電体基板1は、上面UPに交互に配列する吐出溝3aと非吐出溝3bを備える。吐出溝3aは圧電体基板1の前方の端面FPから後方の端面BPの手前まで形成され、非吐出溝3bは前方の端面FPから後方の端面BPにかけて形成される。吐出溝3a及び非吐出溝3bの側面及び底面には上記方法により析出した導体膜4が設置される。なお、非吐出溝3bの一方の側面の導体膜4と他方の側面の導体膜4とは電気的に分離される。電気的分離は、例えば、無電解メッキ法により導体膜4を形成した後に、非吐出溝3bの底面にレーザー光を照射して底面の導体膜4を除去して行うことができる。圧電体基板1は上面UPの後方側に個別電極端子7b、個別電極端子7bより前方側にコモン電極端子7aを備える。個別電極端子7bは、吐出溝3aを挟んで隣接する2つの非吐出溝3bの吐出溝3a側の導体膜4を電気的に接続する。コモン電極端子7aは吐出溝3aの導体膜4と電気的に接続する。
カバープレート11は、前方の端面が圧電体基板1の前方の端面FPと面一となるように、また、コモン電極端子7a及び個別電極端子7bが露出するように圧電体基板1の上面UPに接着される。カバープレート11は後方側に液体供給室11aを備え、液体供給室11aは、その底面から圧電体基板1の側に貫通するスリット11bを備える。スリット11bは液体供給室11aと吐出溝3aの後方端とを連通し、液体供給室11aから吐出溝3aに液体を供給する。ノズルプレート12は、圧電体基板1及びカバープレート11の前方の端面に接着される。ノズルプレート12はノズル12aを備え、ノズル12aは吐出溝3aに連通する。
液体噴射ヘッド10は、次にように動作する。まず、液体供給室11aに液体を供給し、スリット11bを介して吐出溝3aに液体を充填する。そして、コモン電極端子7aと個別電極端子7bに駆動信号を与えて吐出溝3aを挟む両側壁6を厚み滑り変形させる。具体的には、吐出溝3aの容積が拡大する方向に両側壁6を変形させて液体供給室11aから吐出溝3aに液体を引き込み、次に、吐出溝3aの容積が縮小する方向に両側壁6を変形させて、ノズル12aから液滴を吐出する。なお、図3に示す液体噴射ヘッド10は一例である。本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、エッジシュート型の液体噴射ヘッドの他にサイドシュート型や液体循環型の液体噴射ヘッドに適用することができる。
(実施例)
図4は、本発明の実施例に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す工程図である。実施例1〜実施例4の、準備工程S1〜親水化処理工程S6、及び、無電解メッキ工程S9〜ヘッド組立工程S11は基本構成における説明と同様である。実施例5〜実施例8は、それぞれ実施例1〜実施例4においてエッチング工程S5を省略した液体噴射ヘッドの製造方法である。同一の工程には同一の符号を付している。
(実施例1)
図4(a)は、本発明の実施例1に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す工程図である。本実施例1において、カップリング処理工程S7は、カップリング剤としてメルカプト基を備えるカップリング剤を用いる。触媒付着工程S8はキャタリスト・アクセレーター法により行う。カップリング処理は、基本構成において説明している液相法により行うことができる。メルカプト基を備えるカップリング剤は、アミノ基を備えるカップリング剤よりも基板表面やメッキ触媒に対する結合力が強く、基板表面に付着するメッキ触媒の量が増加する。キャタリスト・アクセレーター法は、センシタイザー・アクチベーター法よりも金属パラジウムの付着量が多い。そのため、短時間で所定の導体膜4を析出することができる。
なお、カップリング処理工程S7を次にように気相法により行うことができる。まず、乾燥工程において、圧電体基板1及びカップリング剤収納容器を乾燥させ、グローブボックス等の雰囲気制御の可能な容器に収容する。次に、容器の雰囲気を窒素置換する。次に、圧電体基板1とカップリング剤収納容器をテフロン(登録商標)容器に収容し、カップリング剤収納容器の蓋を除去してテフロン容器に蓋をする。次に、カップリング剤結合工程において、テフロン容器を80℃〜150℃に加熱し、2時間〜10時間その温度を維持する。これにより、カップリング剤は蒸発し、蒸発した気体は溝3の底まで入って露出面Sや感光性樹脂層2の表面に結合する。次に、容器の雰囲気を窒素置換し、テフロン容器の蓋を開け、カップリング剤収納容器のふたを閉じる。そしてテフロン容器から圧電体基板1を取り出す。圧電体基板1は有機洗浄を行い、窒素雰囲気中で乾燥させ、純粋に浸漬する。例えば、メルカプト系シランカップリング剤として3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを用いることができる。3−メルカプトプロピルトリメトキシシランは常温で液体であり蒸発しやすい。カップリング結合工程において、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを約100℃に加熱して約6時間維持し、圧電体基板1の露出面Sにカップリング剤を結合させる。
本実施例1では、エッチング工程S5において、圧電体基板1の露出面Sを軽くエッチングするので、結晶粒界に窪みが形成され、導体膜4の密着性が向上する。一方、エッチングは軽いので、圧電体基板1からの結晶粒の脱落や側壁6の強度低下を防ぐことができる。
(実施例2)
図4(b)は、本発明の実施例2に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す工程図である。本実施例2は、触媒付着工程S8をセンシタイザー・アクチベーター法により行う。シンセタイザー・アクチベーター法では、工程Xと工程Yを繰り返す回数により生成する金属パラジウムの量を制御することができる。その他の工程は実施例1と同様である。本実施例2においても、エッチング工程S5は軽いエッチングなので、圧電体基板1を構成する結晶粒の脱落や側壁6の強度低下を防ぐことができる。
(実施例3)
図4(c)は、本発明の実施例3に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す工程図である。本実施例3は、カップリング処理工程S7におけるカップリング剤としてアミノ基を備えるアミノ系シランカップリング剤を用い、触媒付着工程S8をキャタリスト・アクセレーター法により行う。本実施例3においても、エッチング工程S5は軽いエッチングなので、圧電体基板1を構成する結晶粒の脱落や側壁6の強度低下を防ぐことができ、触媒付着工程S8はキャタリスト・アクセレーター法で行うので、センシタイザー・アクチベーター法よりも少ない工程で金属パラジウムの付着量を多くすることができる。
(実施例4)
図4(d)は、本発明の実施例4に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す工程図である。本実施例4では、触媒付着工程S8としてセンシタイザー・アクチベーター法により行い、その他の工程は実施例3と同様である。本実施例4においても、エッチング工程S5は軽いエッチングなので、圧電体基板1からの結晶粒の脱落や側壁6の強度低下を防ぐことができる。また、触媒付着工程S8としてセンシタイザー・アクチベーター法を用いるので、キャタリスト・アクセレーター法よりも金属パラジウムの付着量を制御し易い。その他は実施例3と同様である。
(実施例5〜実施例8)
図4(e)〜(h)は、それぞれ本発明の実施例5〜実施例8に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す工程図である。本発明の液体噴射ヘッドの製造方法では、触媒付着工程S8の前にカップリング処理工程S7を行い、圧電体基板1の露出面Sにむらなくメッキ触媒を付着させることができる。その結果、無電解メッキ工程S9により析出する導体膜4が均質化し、露出面Sに対する密着強度が向上する。そのため、エッチング工程S5によって圧電体基板1の露出面Sを粗面化しなくとも、導体膜4の密着性を確保することができる。
1 圧電体基板
2 感光性樹脂層
3 溝、3a 吐出溝、3b 非吐出溝
4 導体膜
6 側壁
7 電極端子、7a コモン電極端子、7b 個別電極端子
10 液体噴射ヘッド
11 カバープレート、11a 液体供給室、11b スリット
12 ノズルプレート、12a ノズル
S 露出面、D ダイングブレード、FP 前方の端面、BP 後方の端面
UP 上面、B 分極境界

Claims (6)

  1. 分極した圧電体基板の表面に感光性樹脂層を設置する感光性樹脂層形成工程と、
    前記圧電体基板の表面に溝を形成する溝形成工程と、
    前記圧電体基板の露出面にカップリング剤を付着させるカップリング処理工程と、
    前記カップリング剤が付着した前記露出面にメッキ触媒を付着させる触媒付着工程と、
    前記メッキ触媒が付着した前記露出面に無電解メッキにより導体膜を形成する無電解メッキ工程と、
    前記感光性樹脂層を前記圧電体基板から除去して前記導体膜のパターンを形成するリフトオフ工程と、を備える液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 前記カップリング剤は、メルカプト基又はアミノ基を有し、水酸基又は加水分解により水酸基となる基を含む請求項1に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 前記カップリング剤はメルカプト系シランカップリング剤又はアミノ系シランカップリング剤を含む請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 前記メッキ触媒はパラジウムを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  5. 前記カップリング処理工程の前に、前記露出面を親水化する親水化処理工程を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  6. 前記カップリング処理工程の前に、前記露出面をエッチングするエッチング工程を備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
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