JP2017070312A - 有用物質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微生物を利用した有用物質の製造方法に関し、微生物の培養期間を短縮し、有用物質の生産性を改善する方法を提供する。【解決手段】微生物培養による有用物質の製造方法であって、微生物の前培養工程、得られた前培養液を本培養初発培地に接種する工程、ここで本培養初発培地は、実質的に炭水化物および/または炭化水素の酸化物が添加されていないものであり、微生物が対数増殖を開始した後に炭水化物および/または炭化水素の酸化物を添加する本培養工程、を含む前記製造方法。本培養初発培地として炭水化物および/または炭化水素の酸化物を実質的に含まないものを用い、微生物が対数増殖を開始した後に炭水化物および/または炭化水素の酸化物を添加して本培養を行なうことにより、微生物が炭水化物および/または炭化水素の酸化物を消費する速度が向上し、目的とする有用物質の生産性が向上する。【選択図】なし

Description

本発明は、微生物を利用した有用物質の製造方法に関するものである。
微生物を利用した有用物質の製造方法としては、発酵法によるL−アミノ酸、核酸、不飽和脂肪酸の製造などがよく知られている(非特許文献1、2)。これらの有用物質は、グルコースなどの炭水化物および/または炭化水素の酸化物を基質とし、微生物の代謝を利用して製造される。有用物質を製造するための微生物の培養方法としては、初発培地に基質を含め全ての培地成分を添加して培養する回分培養、微生物を接種する初発培地に一部の基質を添加し培養を開始した後に、残りの基質を間欠的あるいは連続的に培地に添加し培養する流加培養、発酵槽へ基質を含む新鮮培地を一定速度で供給し、これと同量の培養液を連続的に槽外へ排出しながら培養する連続培養などが知られている。しかしながら、いずれの培養方法においても、有用物質を工業的に製造する生産培地には、微生物を接種する時点において、有用物質の基質となるグルコース、デンプン糖化物などの炭水化物および/または炭化水素の酸化物が含まれている。初発培地にグルコース、デンプン糖化物などの炭水化物および/または炭化水素の酸化物を添加せずに微生物の培養を開始する方法は知られていない。
応用微生物学 改訂版、培風館、1993年発行 科学と工業、第74巻1号、26(2000)
本発明は、微生物を利用した目的とする有用物質を効率よく製造する方法に関し、詳しくは有用物質生産に要する培養期間を短縮し、有用物質の生産効率を高める方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題解決に向け鋭意検討を重ねたところ、微生物培養による有用物質の製造方法において、本培養初発培地として炭水化物と炭化水素の酸化物の合計の濃度が炭素当量で0.4重量%未満のものを用い、微生物が対数増殖を開始した後に炭水化物および/または炭化水素の酸化物を添加することにより有用物質を効率よく製造することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、これに限定される訳ではないが以下の発明を包含する。
(1)微生物培養による有用物質の製造方法であって、微生物の前培養工程、得られた前培養液を本培養初発培地に接種する工程、ここで本培養初発培地における炭水化物と炭化水素の酸化物の合計の濃度が炭素当量で0.4重量%未満であり、および微生物が対数増殖を開始した後に炭水化物および/または炭化水素の酸化物を添加する本培養工程、を含む前記製造方法。
(2)本培養初発培地は実質的に炭水化物および/または炭化水素の酸化物が添加されていないものである、(1)記載の製造方法。
(3)微生物が対数増殖を開始した後に添加する炭水化物および/または炭化水素の酸化物が糖類である、(1)または(2)記載の製造方法。
(4)微生物が炭水化物および/または炭化水素の酸化物をエキソ型アミラーゼにより異化する微生物である、(1)ないし(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)微生物がモルティエレラ属微生物である、(1)ないし(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)有用物質が高度不飽和脂肪酸である、(1)ないし(5)のいずれかに記載の製造方法。
本発明により、微生物による有用物質の生産を効率よく行うことができる。
図1は、実施例1での初発培地にグルコースを添加した培養系、および初発培地にグルコースを添加しない培養系における、(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸の生産実験での培地中のグルコース濃度の推移示した図である。 図2は、実施例1での初発培地にグルコースを添加した培養系、および初発培地にグルコースを添加しない培養系における、(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸の生産実験での総脂肪酸に占める(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸の割合の推移を示した図である。
上記の通り、本発明は、微生物培養による有用物質の製造方法であって、微生物の前培養工程、得られた前培養液を本培養初発培地に接種する工程、ここで本培養初発培地における炭水化物と炭化水素の酸化物の合計の濃度が炭素当量で0.4重量%未満であり、および微生物が対数増殖を開始した後に炭水化物および/または炭化水素の酸化物を添加する本培養工程、を含む前記製造方法である。
本発明により製造される有用物質は、微生物によって生産することができる物質であれば特に制限されず、アミノ酸、核酸、不飽和脂肪酸、脂質、たんぱく質、ペプチド、ビタミン、糖、糖アルコール、アルコール、有機酸、抗生物質、生理活性物質などが挙げられる。
アミノ酸としては、L−グルタミン酸、L−リジン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−フェニルアラニン、L−チロシン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−ヒスチジン、L−グルタミン、L−アルギニン、L−オルニチン、L−シトルリン、L−プロリン、L−セリン、メチオニン、L−アラニン、L−システイン、シスチン、ホモセリンなどが挙げられ、核酸としては、イノシン、グアノシン、イノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸、シチジル酸などが挙げられる。
不飽和脂肪酸としては、(6Z,9Z,12Z)-6,9,12-オクタデカトリエン酸、(8Z,11Z,14Z)-8,11,14-イコサトリエン酸、(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸、(4Z,7Z,11Z,14Z,17Z)-4,7,11,14,17-ドコサペンタエン酸、(9Z,12Z,15Z)-9,12,15-オクタデカトリエン酸、(6Z,9Z,12Z,15Z)-6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸、(8Z,11Z,14Z,17Z)-8,11,14,17-エイコサテトラエン酸、(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸、(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸、(6Z,9Z)-6,9-オクタデカジエン酸、(8Z,11Z)-8,11-イコサジエン酸、(5Z,8Z,11Z)-5,8,11-イコサトリエン酸などが挙げられ、脂質としては、上記の不飽和脂肪酸を含むトリアシルグリセリド、ジアシルグリセリド、モノアシルグリセリド、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジン酸、カルジオリピンや、ステロールなどが挙げられる。
たんぱく質としては、リパーゼ、ホスホリパーゼ、プロテアーゼ、トランスグルタミナーゼ、アミラーゼ、イソアミラーゼ、グルコースイソメラーゼ、グルコシダーゼ、プルラナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、マンノースイソメラーゼ、アラビノフラノシダーゼ、ラムノシダーゼ、マンノシダーゼ、サイクロデキストリン生成酵素、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、グルコースオキシダーゼ、シアリルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、マンオシルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニダーゼ、N−アシルアミノ酸ラセマーゼ、D−アミノアシラーゼ、L−フェニルセリン脱水素酵素、カルボニル還元酵素、α−ケト酸還元酵素、パーオキシダーゼ、ラッカーゼ、コレステロールオキシダーゼ、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、マンガンパーオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ニトリラーゼ、ニトリルヒドラターゼ、フィターゼ、フマラーゼ、ウリカーゼ、カタラーゼ、ホスファターゼ、ウレアーゼ、セルラーゼ、インベルターゼ、アスパラギナーゼ、タンナーゼ、ラクターゼ、ウロキナーゼなどが挙げられ、ペプチドとしては、グルタチオンなどが挙げられる。
ビタミンとしては、アスコルビン酸、リボフラビン、チアミン、ナイアシン、ビオチン、シアノコバラミン、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK、カロチノイド類などが挙げられ、糖としては、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、キシロース、リボース、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、粘性多糖類などが挙げられ、糖アルコールとしては、キシリトール、エリスリトール、ガラクチトール、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。
アルコールとしては、エタノール、ブタノール、グリセロールなどが挙げられ、有機酸としては、酢酸、乳酸、ピルビン酸、コハク酸、クエン酸、コウジ酸、フマル酸、リンゴ酸、グルコン酸、イタコン酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、アクリル酸、メタクリル酸、ソルビン酸、マレイン酸、桂皮酸、アルドン酸、酒石酸、イソクエン酸、ケトアルドン酸、2−ケトグロン酸などが挙げられ、抗生物質としては、ベンゾキノン系抗生物質、アントラサイクリン系抗生物質などが挙げられる。
生理活性物質としては、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、オロト酸、シキミ酸、葉酸、ヒドロキシクエン酸、セレブロシド、アスタキサンチン、S−アデノシルメチオニン、S-メチルメチオニンスルホニウムクロライド、レチノイド類、セレブロシド、コエンザイムA、コエンザイムQ10、イノシトール、コリン、カルニチン、ピロロキノリンキノン、ジベレリン、アブシジン酸、ポリヒドロキシアルカノエート、シクロスポリンA、メバロチン、ポリグルタミン酸、ポリリジン、マンノシルエリスリトールリピッドなどが挙げられる。
好ましくは、不飽和脂肪酸としては、(6Z,9Z,12Z)-6,9,12-オクタデカトリエン酸、(8Z,11Z,14Z)-8,11,14-イコサトリエン酸、(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸、(4Z,7Z,11Z,14Z,17Z)-4,7,11,14,17-ドコサペンタエン酸、(9Z,12Z,15Z)-9,12,15-オクタデカトリエン酸、(6Z,9Z,12Z,15Z)-6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸、(8Z,11Z,14Z,17Z)-8,11,14,17-エイコサテトラエン酸、(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸、(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸、(6Z,9Z)-6,9-オクタデカジエン酸、(8Z,11Z)-8,11-イコサジエン酸、(5Z,8Z,11Z)-5,8,11-イコサトリエン酸などであり、脂質としては、上記の不飽和脂肪酸を含むトリアシルグリセリド、ジアシルグリセリド、モノアシルグリセリド、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジン酸、カルジオリピンや、ステロールなどである。
より好ましくは、不飽和脂肪酸としては、(8Z,11Z,14Z)-8,11,14-イコサトリエン酸、(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸、(5Z,8Z,11Z)-5,8,11-イコサトリエン酸であり、脂質としては、上記の不飽和脂肪酸を含むトリアシルグリセリド、ジアシルグリセリド、モノアシルグリセリド、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジン酸である。
現在微生物を利用して製造されていない物質であっても、微生物を利用して製造することができる場合は、本発明方法を適応することができる。微生物によって生産される有用物質は、単独でも、2種類以上の複数の混合物であってもよい。また、上記有用物質を構成成分として含む物質であってもよい。
本発明に用いる微生物は特に制限されず、発酵法による有用物質の製造に用いられている微生物であれば、いずれも使用することができる。また、これまで発酵生産に利用されていない微生物であっても、有用物質を生産する能力を有する限り、本発明方法を適応することができる。また、本来有用物質を生産する能力を有しない微生物であっても、当業者に知られた方法である突然変異や組換えDNA技術などを利用した育種により有用物質を生産する能力が付与された微生物であっても、本発明方法に用いることができる。
本発明に用いる具体的な微生物としては、エシェリヒア属、コリネバクテリウム属、バチルス属、セラチア属、エルウィニア属、シュードモナス属、ロドバクター属、サルモネラ属、ビブリオ属、キサントモナス属、デスルフロコッカス属、サーモコッカス属、アースロバクター属、エンテロバクター属、アセトバクテリウム属、アセトバクター属、メタノスリックス属、アグロバクテリウム属、ツーグレア属、アルカリジェネス属、エンテロコッカス属、デイノコッカス属、セベキア属、セルロモナス属、クリプトコッカス属、アシネトバクター属、ゲオバチルス属、ナトリアルバ属、エクシグオバクテリウム属、スフィンゴモナス属、サーモビフィダ属、ロイコノストック属、ラクトバチルス属、アシディフィリウム属、ノカルディオプシス属、ストレプトマイセス属、アミコラタ属、シュードノカルディア属、サーモモノスポラ属、ストレプトバーティシリウム属、ゴルドニア属、アミコラトプシス属、パイロコッカス属、サーモコッカス属、サーモプラズマ属、サーマス属、ペデイオコッカス属、サッカロマイセス属、チゾサッカロマイセス属、キャンディダ属、トルラスポラ属、クライベロマイセス属、ピキア属、シュードザイマ属、デバリオマイセス属、パチソレン属、モルティエレラ属、モルティエレラ亜属、コニディオボラス属、フィチウム属、フィトフトラ属、クラドスポリューム属、ロードトルラ属、エントモフトラ属、エキノスポランジウム属、サプロレグニ属、ウルケニア属、シゾキトリウム属、スラウストキトリウム属、モルチエレラ属、トリコデルマ属、アスペルギルス属、リゾプス属、アクレモニウム属、ペニシリウム属、フォーマ属、ミロセシウム属、ホウロクタケ属、ヒポミセス属、フザリウム属、オーリクラリア属、フィシウム属、メニスポロプシス属、サーモマイセス属、セルコスポラ属、ボツリチス属、ステムフィリウム属、モナスカス属、ムコール属、ペスタロッチア属、フレビア属、シゾフィラム属、フロロフレクサス属、キータスボリシア属、クリソスポリウム属に属する微生物などが挙げられ、有用物質の製造に用いる微生物であればこれらに制限されない。
より具体的には、以下の微生物が挙げられる。例えば生産する有用物質が不飽和脂肪酸または脂質の場合、モルティエレラ属糸状菌が好ましく、モルティエレラ亜属糸状菌がより好ましく、モルティエレラ・アルピナが特に好ましい。例えば、(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸を構成脂肪酸として含む脂質の生産能を有する微生物として、モルティエレラ属、コニディオボラス属、フィチウム属、フィトフトラ属、ペニシリウム属、クラドスポリューム属、ムコール属、フザリウム属、アスペルギルス属、ロードトルラ属、エントモフトラ属、エキノスポランジウム属、サプロレグニア属に属する微生物が挙げられる。
さらに具体的には、モルティエレラ属モルティエレラ亜属に属する微生物では、例えばモルティエレラ・エロンガタ、モルティエレラ・エキシグア、モルティエレラ・フィグロフィラ、モルティエレラ・アルピナ等が挙げられる。具体的にはモルティエレラ・エロンガタIFO8570、モルティエレラ・エキシグアIFO8571、モルティエレラ・フィグロフィラIFO5941、モルティエレラ・アルピナIFO8568、ATCC16266、ATCC32221、ATCC32222、ATCC42430、CBS219.35、CBS224.37、CBS250.53、CBS343.66、CBS527.72、CBS529.72、CBS608.70、CBS754.68等の菌株を挙げることができる。
これらの菌株はいずれも、独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門(NBRC)、及び米国のAmerican Type Culture Collection, ATCC及び、Centrral Bureau voor Schimmelcultures(CBS)等から入手することができる。また、(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸または(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸含有脂質の生産の場合、本発明者らが土壌から分離した菌株モルティエレラ・アルピナ1S-4株、菌株モルティエレラ・エロンガタSAM0219(微工研菌寄第8703号)(微工研条寄第1239号)を使用することができる。(8Z,11Z,14Z)-8,11,14-イコサトリエン酸または(8Z,11Z,14Z)-8,11,14-イコサトリエン酸含有脂質の生産の場合は、1S-4株から常法であるニトロソグアニジン変異法で誘導して得た、Δ5不飽和化活性の欠失した変異株であるモルティエレラ・アルピナSAM1860(微工研条寄第3589号、FERM BP-3589)、モルティエレラ・アルピナS14株、モルティエレラ・アルピナIz3株などを使用することができる。(5Z,8Z,11Z)-5,8,11-イコサトリエン酸または(5Z,8Z,11Z)-5,8,11-イコサトリエン酸含有脂質の生産の場合は、1S-4株から常法であるニトロソグアニジン変異法で誘導して得た、Δ12不飽和化活性の欠失した変異株としてモルティエレラ・アルピナSAM1861(微工研条寄第3590号、FERM BP-3590)、モルティエレラ・アルピナM209-7株(特許生物寄託センター寄託番号FERM P-15766)、モルティエレラ・アルピナJT180株を使用することができる。
微生物の前培養は、用いる微生物に適した培地にて、本培養へ必要な菌体数が得られる条件で行う。
得られた前培養液の本培養初発培地への接種は、培養方法に応じて当業者が適宜選択し得る。具体的には、微生物菌株の栄養細胞、胞子および/または菌糸、又は予め培養して得られた種培養液あるいは種培養より回収した栄養細胞、胞子および/または菌糸を、液体培地あるいは固体培地に接種して培養する。
本培養培地には、炭水化物または炭化水素の酸化物として、グルコース、フラクトース、キシロース、サッカロース(スクロース)、マルトース、可溶性デンプン、糖蜜、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、ガラクトース、糖化澱粉等を単独であるいは組み合わせて、さらにはこれらのものを含有するシトラスモラセス、ビートモラセス、ビート搾汁、サトウキビ搾汁等、培養する微生物が炭素源として資化できるもの、もしくは当業者に一般的に使用されているものであればこれらに限らず、いずれも使用できる。初発の炭水化物と炭化水素の酸化物の合計の濃度は、炭素当量で0.4重量%未満であればよく、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0重量%、すなわち実質的に初発培地に炭水化物および/または炭化水素の酸化物を添加しなければよい。ここで、炭素当量で0.4重量%とは、グルコースでは1重量%、ショ糖では0.95重量%、エタノールでは0.77重量%、グリセロールでは1.02重量%を意味する。前培養からの微量の炭水化物および/または炭化水素の酸化物の持ち込みは、通常は微量であり、本発明でいう「本培養初発培地は実質的に炭水化物および/または炭化水素の酸化物が添加されていないものである」に該当する。また、微生物に代謝され利用されることを予定していない、炭素源とはならない炭水化物および/炭化水素の酸化物が添加されていたとしても、「本培養初発培地は実質的に炭水化物および/または炭化水素の酸化物が添加されていないものである」に該当する。
前培養液を本培養初発培地に接種後、好ましくは微生物の適応期(Lag Phase)が終了後であって対数増殖期(Log Phase)に移行した後に、炭水化物および/または炭化水素の酸化物を培地に添加する。微生物の適応期、対数増殖期は、有用物質の発酵生産に用いる微生物、培地、培養条件などにより異なるが、当業者は周知の方法により細胞数、培養液の濁度、培養液あたりの乾燥もしくは湿菌体量などを測定し、また、培養液のpHや溶存酸素濃度などや、培養装置から排出されるガス中の二酸化炭素濃度などを測定し、各パラメーターの推移を確認することで微生物の適応期、対数増殖期を確認することができる。例えば細胞数をパラメーターとして用いる場合、細胞数が指数関数的に増加し始める時期が適応期から対数増殖期に移行する時期となる。また、溶存酸素濃度で調べる場合は、消費酸素が指数関数的に増加し始める時期が適応期から対数増殖期に移行する時期となる。
炭水化物および/または炭化水素の酸化物を流加する回数は1回以上であれば、複数でもよく、また、連続的あるいは間欠的に炭水化物および/または炭化水素の酸化物を培地に添加することができる。添加する炭水化物および/または炭化水素の酸化物の総量は特に制限されない。
窒素源としては、微生物培養に一般的に使用されているもの、例えば、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、肉エキス、カザミノ酸、コーンスティープリカー、大豆タンパク、脱脂ダイズ、綿実カス、カゼイン加水分解物、各種発酵菌体、およびその消化物等の天然窒素源のほか、尿素等の有機窒素源、ならびに硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸塩、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩、アンモニア等の無機窒素源を単独で又は複数で、あるいは前記窒素源と組み合わせて使用することができる。
この他必要に応じて、リン酸イオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンや、鉄、銅、亜鉛、マンガン、ニッケル、コバルト等の金属イオンや、ビオチン、チアミン等のビタミン等を微量栄養源として使用できる。必要に応じて、アデカネート、シリコーン等の消泡剤を添加することもできる。
本培養は、既存の微生物を培養する方法、具体的には固体培養、静置培養、振盪培養、通気攪拌培養等を用いることができる。培養操作法としては、いわゆる回分培養、流加回分培養、反復回分培養及び連続培養等のいずれも使用することができる。なお、攪拌手段としては、例えばインペラー(攪拌羽根)、エアーリフト発酵槽、発酵ブロスのポンプ駆動循環、またはこれら手段の組み合わせ等を使用することができる。
本発明の製造方法は、上述の培養方法によって実施することができるが、なかでも液体培地中における通気攪拌培養で本培養を行うことが工業的に有利である。通気攪拌培養を行うための槽としては、例えば、ジャーファーメンター及びタンク等の攪拌槽が使用可能であるが、これらに限られるものではない。
通気攪拌培養においては、例えば空気等の酸素を含有するガスや、アルゴン及び窒素等の酸素を含有しないガスのいずれを通気してもよく、また、それらのガスを混合して通気してもよく、このようなガスは培養系の条件に合わせて適宜選択すればよい。
培養温度は、使用する微生物により異なるが、通常、5〜100℃、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃である。また一態様として、微生物の生育に適切な温度で培養して微生物を増殖後、目的物質の生産に適した温度にて培養を続けて、目的物質の生産性を高めることもできる。
前培養として固体培地や、試験管やフラスコ中の液体培地で培養する場合における培養期間は、通常5時間〜10日間、好ましくは5時間〜5日間、より好ましくは5時間〜3日間である。続く有用物質を生産する本培養の培養期間は、通常5時間〜30日間、好ましくは5時間〜20日間、より好ましくは5時間〜15日間である。所望の有用物質の生産量や培地中の栄養成分、基質成分の残存量を、本培養終了時の判断基準とすることができる。
なお、微生物を培養する培地のpHは3〜9であればよく、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて、pHを調整することができる。
このように微生物を培養して、微生物菌体内、菌体表面、または培地中に目的物質を蓄積させる。微生物菌体を含む培養液自体やその濃縮物を最終の目的物質とすることもできるが、必要に応じて有用物質を採取、精製することもできる。目的とする有用物質が微生物菌体内や菌体表面に蓄積している場合、遠心分離、ろ過などの通常の方法により培養液から微生物菌体を回収し、微生物菌体自体を最終の目的物質とすることもでき、また溶媒などにより目的物質を回収し、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、晶析等、通常の目的物質の精製方法を用いて、目的物質を精製することもできる。また、目的物質が培地中に蓄積している場合でも、微生物菌体を分離した培養液自体やその濃縮物を最終の目的物質とすることもできるが、上述の通常の精製法を用いて、目的物質を精製することもできる。
有用物質である不飽和脂肪酸または脂質を生産する微生物としては、モルティエレラ属、コニディオボラス属、フィチウム属、フィトフトラ属、ペニシリウム属、クラドスポリューム属、ムコール属、フザリウム属、アスペルギルス属、ロードトルラ属、エントモフトラ属、エキノスポランジウム属、サプロレグニア属に属する微生物を挙げることができ、これらの微生物は有用物質である不飽和脂肪酸または脂質を微生物菌体内に蓄積する。
特に、炭水化物および/または炭化水素の酸化物をエキソ型アミラーゼにより異化する微生物は、デンプンに代表される高分子量α−グリカンを分解する活性が低く、代謝により炭水化物および/または炭化水素の酸化物を異化する速度が遅くなるため、本培養初発培地に実質的に炭水化物および/または炭化水素の酸化物が含まれないという状態となり、好ましい。
これらの炭水化物および/または炭化水素の酸化物をエキソ型アミラーゼにより異化する微生物は、微生物が対数増殖を開始した後に加える炭水化物および/または炭化水素の酸化物が、糖類である場合に、添加された糖類にすぐに反応できるため、特に好ましい。
培養終了後、当業者によく知られた手法により、例えば特開2000-69987などの手法を参照して、培地から不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸を含有する脂質、またはこれらを含有する微生物菌体を得ることができる。
微生物菌体は、所望により殺菌後、好ましくは乾燥する。乾燥は、オーブン加熱、凍結乾燥、熱風乾燥等によって行うことができる。乾燥菌体又は湿菌体から、当業者によく知られた手法を用いて不飽和脂肪酸を含有する脂質を得ることができる。例えば、乾燥菌体をヘキサン等の有機溶媒で抽出処理後、抽出物から減圧下で有機溶媒を留去することにより、トリグリセリドを主とする、高濃度の不飽和脂肪酸を含有した脂質が得られる。また、得られたトリグリセリドを主とする脂質に、脱ガム、脱酸、脱色、脱臭など、通常の食用油脂に施す精製処理を行うことにより、高純度の精製食用油脂(トリグリセリド)を得ることができる。
脂質中の不飽和脂肪酸は直接分離することもできるが、低級アルコールとのエステル、例えばメチルエステルとすることにより、他の脂質成分から容易に分離することができる。また、所望の不飽和脂肪酸のみを他の不飽和脂肪酸から容易に分離することができる。このような分離手法は、当業者によく知られている。
本発明の微生物菌体は、そのまま、又は乾燥させて、利用することができる。また、本発明の製造方法で得られた不飽和脂肪酸及びこれを含有する脂質も、様々な手法で利用することができる。これらは、例えば、サプリメント、栄養組成物、動物用飼料(特にペットフード)、魚介類養殖用飼料、粉ミルク等を含む飲食品に、当業者によく知られた手法を用いて、利用することができる。
以下に実施例を示すが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1
<2> 初発培地にグルコースを添加した培養系による(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸の生産
モルティエレラ・アルピナ1S-4株を用いた。凍結胞子液を、100μL、酵母エキス1.0 w/w%、含水グルコース2.0 w/w%、pH 6.3の培地100 mLに接種し、往復振盪100 rpm、温度28 ℃の条件にて前培養(第一段階)を開始し、3日間培養した。次に、酵母エキス1.0 w/w%、含水グルコース2.0 w/w%、大豆油0.1 w/w%、pH 6.3の培地30 Lを50 L容培養槽に調製し、これに種培養液(第一段階)200 mLを接種して、前培養(第二段階)を開始し、温度28 ℃の条件にて2日間培養した。次に、本培養の初発培地(2.67 w/w% 含水グルコース、5.0 w/w% 脱脂大豆粉、0.3 w/w% K2HPO4、0.05 w/w% MgCl2・6H2O、0.05 w/w% CaCl2・2H2O、pH 6.0)に、種培養液(第二段階)25 Lを接種して、計4000 Lの初発培養液量に合わせた。
温度26 ℃、内圧0.10 MPaで培養を開始した。培養1日目に5.33%、培養2日目に5.33%、培養3日目に4.00%、培養4日目に4.00%、5日目に2.67%の含水グルコースの流加を行い、合計24.0%の含水グルコースを添加した結果、培地中のグルコースが完全に枯渇したのは培養12日目であった。培養12日目における(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸の生産量は17.7 g/L、総脂肪酸に占める(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸の割合は42.4%であった。
<2> 初発培地にグルコースを添加しない培養系による(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸の生産
モルティエレラ・アルピナ1S-4株を用いた。凍結胞子液を、100 μL、酵母エキス1.0 w/w%、含水グルコース2.0 w/w%、pH 6.3の培地100 mLに接種し、往復振盪100 rpm、温度28℃の条件にて前培養(第一段階)を開始し、3日間培養した。次に、酵母エキス1.0 w/w%、含水グルコース2.0 w/w%、大豆油0.1 w/w%、pH 6.3の培地30 Lを50 L容培養槽に調製し、これに種培養液(第一段階)200 mLを接種して、前培養(第二段階)を開始し、温度28度の条件にて2日間培養した。次に、本培養の初発培地(5.0 w/w% 脱脂大豆粉、0.3 w/w% K2HPO4、0.05 w/w% MgCl2・6H2O、0.05 w/w% CaCl2・2H2O、pH 6.0)に、種培養液(第二段階)25 Lを接種して、計4000 Lの初発培養液量に合わせた。
温度26 ℃、内圧0.10 MPaで培養を開始した。培養1日目に5.33%、培養2日目に5.33%、培養3日目に5.33%、培養4日目に4.00%、5日目に4.00%の含水グルコースの流加を行い、<1>と同様に合計24.0%の含水グルコースを添加した結果、培地中のグルコースが完全に枯渇したのは培養9日目であった。培養12日目における(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸の生産量は18.3 g/L、総脂肪酸に占める(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸の割合は45.6%であった。<1>初発グルコース添加培養と<2>初発グルコース無添加培養における、培地中のグルコース濃度の推移を図1に、総脂肪酸に占める(5Z,8Z,11Z,14Z)-5,8,11,14-イコサテトラエン酸の割合の推移を図2に示す。
実施例2
<1> 初発培地にグルコースを添加した培養による(8Z,11Z,14Z)-8,11,14-イコサトリエン酸の生産
モルティエレラ・アルピナS14株を用いた。モルティエレラ・アルピナS14株を1白金耳程度、酵母エキス1.0 w/w%、含水グルコース2.0 w/w%、pH 6.3の培地100 mLに接種し、往復振盪100 rpm、温度28 ℃の条件にて前培養(第一段階)を開始し、3日間培養した。次に、酵母エキス1.0 w/w%、含水グルコース2.0 w/w%、大豆油0.1 w/w%、pH 6.3の培地30 Lを50 L容培養槽に調製し、これに種培養液(第一段階)200 mLを接種して、前培養(第二段階)を開始し、温度28 ℃の条件にて2日間培養した。次に、本培養の初発培地(2.00 w/w% 含水グルコース、4.32 w/w% 脱脂大豆粉、0.3 w/w% K2HPO4、0.05 w/w% MgSO4・7H2O、0.05 w/w% CaSO4・2H2O、pH 6.3)に、種培養液(第二段階)25 Lを接種して、計4000 Lの初発培養液量に合わせた。
温度26 ℃、内圧0.10 MPaで培養を開始した。培養1日目に4.00%、培養2日目に5.00%、培養3日目に6.00%、培養6日目に6.00%の含水グルコースの流加を行い、合計23.0%の含水グルコースを添加し、さらに培養4日目に1.00%のコハク酸2ナトリウム、0.021%のNaOHを添加した結果、培養13日目における培地中の残存グルコース濃度は0.75%であった。
<2> 初発培地にグルコースを添加しない培養系による(8Z,11Z,14Z)-8,11,14-イコサトリエン酸の生産
モルティエレラ・アルピナS14株を用いる。モルティエレラ・アルピナS14株を1白金耳程度、酵母エキス1.0 w/w%、含水グルコース2.0 w/w%、pH 6.3の培地100 mLに接種し、往復振盪100 rpm、温度28 ℃の条件にて前培養(第一段階)を開始し、3日間培養する。次に、酵母エキス1.0 w/w%、含水グルコース2.0 w/w%、大豆油0.1 w/w%、pH 6.3の培地30 Lを50 L容培養槽に調製し、これに種培養液(第一段階)200 mLを接種して、前培養(第二段階)を開始し、温度28 ℃の条件にて2日間培養する。次に、本培養の初発培地(4.32 w/w% 脱脂大豆粉、0.3 w/w% K2HPO4、0.05 w/w% MgSO4・7H2O、0.05 w/w% CaSO4・2H2O、pH 6.3)に、種培養液(第二段階)25 Lを接種して、計4000 Lの初発培養液量に合わせる。
温度26 ℃、内圧0.10 MPaで培養を開始する。培養1日目に6.00%、培養2日目に5.00%、培養3日目に6.00%、培養6日目に6.00%の含水グルコースの流加を行い、合計23.0%の含水グルコースを添加し、さらに培養4日目に1.00%のコハク酸2ナトリウム、0.021%のNaOHを添加すると、培地中のグルコースが完全に枯渇するのは培養12日目である。
実施例3
<1> 初発培地にグルコースを添加した培養による(5Z,8Z,11Z)-5,8,11-イコサトリエン酸の生産
モルティエレラ・アルピナJT180株を用いた。モルティエレラ・アルピナJT180株を1白金耳程度、酵母エキス1.0 w/w%、含水グルコース2.0 w/w%、pH 6.0の培地20 mLに接種し、往復振盪100 rpm、温度 ℃28の条件にて前培養を開始し、3日間培養した。次に、本培養の初発培地(2.00 w/w%グルコース、1.00 w/w% 酵母エキス、pH 6.0)に、前培養液20 mLを接種して、計5Lの初発培養液量に合わせた。温度28 ℃で2日間培養した後に、培養温度を19 ℃に変更し、培養を継続した。培養1日目、培養2日目にそれぞれ1.00%のグルコースの流加を行い、合計4.0%のグルコースを添加し培養を行った結果、培地中のグルコースが完全に枯渇したのは培養6日目であった。
<2> 初発培地にグルコースを添加しない培養系による(5Z,8Z,11Z)-5,8,11-イコサトリエン酸の生産
モルティエレラ・アルピナJT180株を用いる。モルティエレラ・アルピナJT180株を1白金耳程度、酵母エキス1.0 w/w%、含水グルコース2.0 w/w%、pH 6.0の培地20 mLに接種し、往復振盪100 rpm、温度 ℃度の条件にて前培養を開始し、3日間培養する。次に、本培養の初発培地(2.00 w/w%グルコース、1.00 w/w% 酵母エキス、pH 6.0)に、前培養液20 mLを接種して、計5Lの初発培養液量に合わせる。温度28 ℃で2日間培養した後に、培養温度を19 ℃に変更し、培養を継続する。培養1日目、培養2日目にそれぞれ1.00%のグルコースの流加を行い、合計4.0%のグルコースを添加し培養を行うと、培地中のグルコースが完全に枯渇するのは培養5日目である。
以上の結果より、初発培地に炭水化物および/または炭化水素の酸化物を添加せず、微生物を培養することで、微生物が炭水化物および/または炭化水素の酸化物を消費する速度を向上させ、有用物質を生産に要する培養期間を短縮することができ、有用物質の生産性が向上することが分かった。

Claims (5)

  1. 微生物培養による有用物質の製造方法であって、
    微生物の前培養工程、
    得られた前培養液を本培養初発培地に接種する工程、ここで本培養初発培地は、実質的に炭水化物および/または炭化水素の酸化物が添加されていないものであり、
    微生物が対数増殖を開始した後に炭水化物および/または炭化水素の酸化物を添加する本培養工程、
    を含む前記製造方法。
  2. 微生物が対数増殖を開始した後に添加する炭水化物および/または炭化水素の酸化物が糖類である、請求項1に記載の方法。
  3. 微生物が炭水化物および/または炭化水素の酸化物をエキソ型アミラーゼにより異化する微生物である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 微生物がモルティエレラ属微生物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 有用物質が高度不飽和脂肪酸である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
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