JP2017070289A - アフィニティー分離マトリックス用タンパク質 - Google Patents
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Abstract
【課題】タンパク質リガンドを、効率的な担体固定化反応を可能とするリジン残基(側鎖のεアミノ基)を介して固定化した際の、目的分子に対する結合容量・結合効率を最大化する、新規改変タンパク質リガンドを創出する技術の提供。
【解決手段】代表的なアフィニティー精製用タンパク質リガンドであるプロテインAについて、タンパク質中の全てのリジン残基を他のアミノ酸に置換変異し、末端にリジンを付与した配列を含む改変タンパク質、および、その改変タンパク質が還元アミノ化等によって水不溶性担体に固定化されたアフィニティー分離マトリックス。このアフィニティー分離マトリックスは、少ないリガンド固定化量にて、目的分子に対する結合容量が高い。
【選択図】なし
【解決手段】代表的なアフィニティー精製用タンパク質リガンドであるプロテインAについて、タンパク質中の全てのリジン残基を他のアミノ酸に置換変異し、末端にリジンを付与した配列を含む改変タンパク質、および、その改変タンパク質が還元アミノ化等によって水不溶性担体に固定化されたアフィニティー分離マトリックス。このアフィニティー分離マトリックスは、少ないリガンド固定化量にて、目的分子に対する結合容量が高い。
【選択図】なし
Description
本発明は、目的物質に特異的に結合するタンパク質、該タンパク質を固定化したリガンドアフィニティー分離マトリックス、および、該マトリックスを用いた分離精製方法に関する。
タンパク質の重要な機能の一つとして、特定の分子に特異的に結合する機能が挙げられる。この機能は、生体内における免疫反応やシグナル伝達に重要な役割を果たす。一方、この機能を、有用物質の分離精製に利用する技術開発も盛んになされている。実際に産業的に利用されている一例として、抗体医薬を動物細胞培養物から一度に高い純度で精製(キャプチャリング)するために利用される、プロテインAアフィニティー分離マトリックスが挙げられる。
抗体医薬として開発されているのは、基本的にモノクローナル抗体であり、組換え培養細胞技術等を用いて大量に生産されている。「モノクローナル抗体」とは、単一の抗体産生細胞に由来するクローンから得られた抗体を指す。現在上市されている抗体医薬のほとんどは、分子構造的には免疫グロブリンG(IgG)サブクラスである。プロテインAは、グラム陽性細菌スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)によって生産される細胞壁タンパク質の1種であり、シグナル配列S、5つの免疫グロブリン結合性ドメイン(Eドメイン、Dドメイン、Aドメイン、Bドメイン、Cドメイン)、および、細胞壁結合ドメインであるXM領域から構成されている(非特許文献1)。抗体医薬製造工程における初期精製工程(キャプチャー工程)には、プロテインAをリガンドとして水不溶性担体に固定化して得られるアフィニティークロマトグラフィー用カラムが一般的に利用されている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。
プロテインAカラムの性能を改良するために、様々な技術開発がなされてきた。リガンドの側面からの技術開発も進んでいる。最初は天然型のプロテインAがリガンドとして利用されてきたが、タンパク質工学的に改変を加えた組換えプロテインAをリガンドとして、カラムの性能を改良する技術も多数見られるようになった。特に、プロテインAリガンドの水不溶性担体に対する固定化され方を意識した、プロテインA改変技術もいくつか開発されてきた。
プロテインAに1個のCys(システイン残基)を変異導入した組換えプロテインAは、Cysを介して、プロテインAを位置特異的に担体へ固定化されている(特許文献1)。プロテインAの抗体結合面と非結合面のLys(リジン残基)の数の割合を変えた組換えプロテインAは、固定化時のリガンド配向をゆるやかに制御しながら、多点で担体へ固定化されている(特許文献2)。また、アミノ酸配列中のLysやCysを完全に無くした組換えプロテインAは、そのN末端(αアミノ基)やC末端(特殊タグ)を介して担体へ固定化されている(特許文献3、特許文献4)。このように、タンパク質リガンドをアフィニティー分離マトリックスに固定化する上での技術進展は、産業的な利用価値が高いゆえに高い性能が要求される、プロテインAカラムに関連する技術を中心に発展してきた。
Hober S.他 著、「J.Chromatogr.B」2007年、848巻、40−47頁
Low D.他 著、「J.Chromatogr.B」、2007年、848巻、48−63頁
Roque A.C.A.他 著、「J.Chromatogr.A」、2007年、1160巻、44−55頁
目的分子に対する結合容量・結合効率を最大化する、新規改変タンパク質リガンドを創出する技術の開発が、本発明が解決しようとする課題である。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、最も代表的なアフィニティー精製用タンパク質リガンドであるプロテインAについて数多くの組換えプロテインA変異体を分子設計し、タンパク質工学的手法および遺伝子工学的手法を用いて変異体を取得し、取得した該変異体の物性、および、該変異体を水不溶性担体に固定化して得られる抗体アフィニティー分離マトリックスの性能を比較検討した。その結果、プロテインAに複数存在するLysを全て無くし、かつ、新たに末端に付与したLys(側鎖のεアミノ基)を介して固定化すると、効率的な担体固定化反応が可能となり、目的分子に対する結合容量・結合効率が最大化できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、プロテインAのE、D、A、B、および、Cドメインのいずれかのドメインに由来したアミノ酸配列の全てのLys(リジン残基)にアミノ酸置換変異を導入したアミノ酸配列を有し、かつ、末端にLysを付与した配列を有するタンパク質に関する。
置換変異導入前のアミノ酸配列は、プロテインAの複数のドメインに由来したアミノ酸配列を有していることが好ましい。
置換変異導入前のアミノ酸配列が、配列番号1〜5のいずれかのアミノ酸配列、または、配列番号1〜5で示されるアミノ酸配列に、下記(1)〜(4);
(1)各ドメインにおけるCドメインの29位に対応するアミノ酸残基が、
Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Thr、Ser、Asp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(2)各ドメインにおけるCドメインの33位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(3)各ドメインにおけるCドメインの36位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(4)各ドメインにおけるCドメインの37位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである、
の少なくとも1つの変異を導入されたアミノ酸配列であることが好ましい。
(1)各ドメインにおけるCドメインの29位に対応するアミノ酸残基が、
Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Thr、Ser、Asp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(2)各ドメインにおけるCドメインの33位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(3)各ドメインにおけるCドメインの36位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(4)各ドメインにおけるCドメインの37位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである、
の少なくとも1つの変異を導入されたアミノ酸配列であることが好ましい。
全てのLysに対して導入されるアミノ酸置換変異について、半数以上がArgへの置換変異であることが好ましく、全てがArgへの置換変異であることがより好ましい。
前記タンパク質において、以下に示すアミノ酸残基;
Gln−9、Gln−10、Phe−13、Tyr−14、Leu−17、Pro−20、Asn−21、Leu−22、Gln−26、Arg−27、Phe−30、Ile−31、Leu−34、Pro−38、Ser−39、Leu−45、Leu−51、Asn−52、Gln−55、およびPro−57(残基番号はCドメインに対応する)のうち、
90%以上が保持されており、かつ、変異導入前のアミノ酸配列と比較した配列同一性が80%以上であることが好ましい。
Gln−9、Gln−10、Phe−13、Tyr−14、Leu−17、Pro−20、Asn−21、Leu−22、Gln−26、Arg−27、Phe−30、Ile−31、Leu−34、Pro−38、Ser−39、Leu−45、Leu−51、Asn−52、Gln−55、およびPro−57(残基番号はCドメインに対応する)のうち、
90%以上が保持されており、かつ、変異導入前のアミノ酸配列と比較した配列同一性が80%以上であることが好ましい。
プロテインAの複数のドメインが、リンカーにより連結されていることが好ましい。リンカーはLysを含むことが好ましい。
また、本発明は、前記タンパク質をコードするDNA、このDNAを含むベクター、このベクターで宿主細胞を形質転換して得られる形質転換体に関する。
また、本発明は、前記DNAを用いた無細胞タンパク質合成系、または、前記形質転換体を用いることによる、前記タンパク質の製造方法に関する。
また、本発明は、前記タンパク質をアフィニティーリガンドとして、水不溶性の基材からなる担体に固定化して得られる、アフィニティー分離マトリックスに関する。
前記アフィニティー分離マトリックスは、免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質に結合することが好ましく、前記免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質は、免疫グロブリンG、または、免疫グロブリンG誘導体のいずれかであることが好ましい。
また、本発明は、前記タンパク質をアフィニティーリガンドとして水不溶性の基材からなる担体に固定することからなる、前記アフィニティー分離マトリックスの製造方法に関する。
また、本発明は、アフィニティー分離マトリックスに免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質を吸着させることを含む、免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質の精製方法に関する。
本発明の新規改変タンパク質リガンドを、タンパク質中のアミノ酸であるLys(リジン残基)を介して還元アミノ化等の方法を利用して水不溶性担体に固定化して得られるアフィニティー分離マトリックスは、少ないリガンド固定化量でも目的分子に対する結合容量が高いという効果を奏する。
Lys側鎖のεアミノ基は、リガンドの固定化反応に極めて利用しやすい一級アミノ基であり、この反応を利用しながら、目的分子に対する結合容量を向上させる技術は、非常に実用性が高い。また、製造に多大なコストを要するタンパク質を最大限に機能させる技術であるため、コスト(リガンド固定化量)削減を目的とした場合にも顕著な効果を示す。また、プロテインAをリガンドとするアフィニティー分離マトリックスの基材開発は盛んになされており、特に実用性が高い。
本発明のタンパク質は、プロテインAの配列に複数存在するLysを全て無くし、かつ、新たに末端にLysを付与した改変タンパク質であるが、このようなタンパク質について、改変前のタンパク質の機能、特に必要な目的分子へのアフィニティー機能を維持することは、容易なことではない。
同様に、このような改変を施したタンパク質を末端のLysを介して担体に固定化したときに、所望の配向性を維持したまま固定できるとは限らない。Lysを全て置換するという大幅な改変を加えて得られた本発明のタンパク質を、特に複数ドメインとした場合に、全体としてどのような三次元立体構造を取るか予測することは容易ではない。実際に、発明者等は、本発明の複数ドメインからなるタンパク質に関して、全体としての三次元立体構造に変化が生じている可能性を示唆する実験データを得ている。
本発明のタンパク質は、タンパク質中の10%以上を占める複数のLysを置換変異によって全て無くし、かつ、新たにLysを末端に付与するという大幅な改変を施したにもかかわらず、驚くべきことに、本来の目的分子へのアフィニティー機能を維持し、かつ、固定化された時に目的分子の結合容量向上に寄与する。
本明細書において、アミノ酸を置換する変異の表記について、置換位置の番号の前に、野生型、または、非変異型のアミノ酸を付し、置換位置の番号の後に、変異したアミノ酸を付して表記する。例えば、29位のGlyをAlaに置換する変異は、G29Aと記載する。
「タンパク質」という用語は、ポリペプチド構造を有するあらゆる分子を含むものであって、断片化された、または、ペプチド結合によって連結されたポリペプチド鎖も、「タンパク質」という用語に包含される。
一般的に、「ドメイン」とは、タンパク質の高次構造上の単位であり、数十から数百のアミノ酸配列から構成され、なんらかの物理化学的または生物化学的な機能を発現するに十分なタンパク質の単位をいう。本発明においてドメインとは、特に、免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質に結合するドメインのことをいい、具体的には、スタフィロコッカス属の微生物のプロテインAのE、D、A、B、および、Cドメインのいずれかのドメイン、ストレプトコッカス属のプロテインGのB1、B2ドメイン、ペプトストレプトコッカス属のプロテインLのB1〜B4ドメイン(Kihilberg B.M.、他、著、「J.Biol.Chem.」、1992年、267巻、25583−25588頁)が挙げられる。なお、プロテインGのC1およびC2ドメインは、文献によっては、B1およびB2、または、G1およびG2と呼ぶことがある。このうちでも、配列番号1〜5に示すスタフィロコッカス(Staphylococcus)属の微生物のプロテインAのE、D、A、B、および、Cドメインのいずれかのドメイン、およびそれらに由来したアミノ酸配列が好ましい。各々のドメインは、図1に示すような形でアラインメントすることができる。例えば、Cドメインの31位に対応するアミノ酸残基は、A、Bドメインでは31位であり、Eドメインでは29位、Dドメインでは34位に相当する。
プロテインAのE、D、A、B、および、Cドメインは、免疫グロブリンの相補性決定領域(CDR)以外の領域に結合することができる免疫グロブリン結合性タンパク質であり、免疫グロブリンのFc領域、Fab領域、および、Fab領域中の特にFv領域の、各々の領域に対して結合する。一般的には、各々のドメインは、Fab(Fv)領域よりもFc領域に対してより強く結合する(非特許文献3)。したがって、プロテインA、および、各々のドメインの「免疫グロブリンに対する親和性」は、本質的にはFc領域に対する親和性を指す表現であり、Fab領域に対する結合力のみが変化しても、免疫グロブリンに対する親和性の強さは大きく変化しない。
プロテインAは、免疫グロブリン結合性ドメイン、つまり、免疫グロブリン結合性タンパク質が、5個つながった形で構成されるタンパク質である。本発明の免疫グロブリン結合性タンパク質についても、複数のドメインを連結して得られるタンパク質であることが好ましく、実施形態の1つとして、単量体タンパク質(単ドメイン)の連結数の下限は、2個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、さらにより好ましくは5個以上であり、上限は、20個以下、好ましくは10個以下、より好ましくは8個以下、さらにより好ましくは6個以下である。これらのタンパク質は、単一の免疫グロブリン結合性ドメインの連結体であるホモダイマー、ホモトリマー等のホモポリマーの末端にLysが付与されたタンパク質であっても良いし、複数種類の免疫グロブリン結合性ドメインの連結体であるヘテロダイマー、ヘテロトリマー等のヘテロポリマーの末端にLysが付与されたタンパク質であってもよい。
単量体タンパク質の連結方法としては、リンカーとなるアミノ酸残基を介さず連結する方法、または、1または複数のアミノ酸残基で連結する方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。リンカーとなるアミノ酸残基数に特に制限は無い。単量体タンパク質の3次元立体構造を不安定化しないものであることが好ましい。
なお、本明細書中における「リンカー」は、ドメイン間のリンカーを意味し、連結された単量体タンパク質(単ドメイン)の連結部、すなわち、N末端側のドメイン配列のC末端領域とC末端側のドメイン配列のN末端領域がつながって出来る領域を指し、ドメインがタンデムにN個連結されたタンパク質において、リンカーはN−1個存在する。つまり、本明細書中における「リンカー」は、連結するN末端側のドメインのC末端アミノ酸と、C末端側のドメインのN末端アミノ酸の、少なくとも2個以上のアミノ酸残基からなる領域である。
特定の二次構造をとらない、または、ドメインの境界に位置する、ドメインのN末端側/C末端側の配列を、リンカーとすることが可能である。この場合、リンカーは、例えばプロテインAの免疫グロブリンG結合ドメインのN末端側については、Cドメインの1位〜6位、好ましくは1〜5位、より好ましくは1〜4位、さらにより好ましくは1〜3位、特に好ましくは1〜2位に対応するアミノ酸残基であり、少なくともN末端のアミノ酸残基はリンカーに含まれる。なお、EドメインとDドメインは、Cドメインと全長が異なるが、Cドメインにおける上記アミノ酸と対応するアミノ酸残基がリンカーに該当する。同様に、リンカーは、例えばプロテインAの免疫グロブリンG結合ドメインのC末端側については、Cドメインの55位〜58位、好ましくは56〜58位、より好ましくは57位〜58位に対応するアミノ酸残基であり、少なくともC末端である58位のアミノ酸残基はリンカーに含まれる。
また、実施形態の1つとして、本発明により得られる免疫グロブリン結合性タンパク質、または、該タンパク質が2個以上連結された多量体タンパク質が、1つの構成成分として、機能の異なる他のタンパク質と融合されていることを特徴とする融合タンパク質が挙げられる。融合タンパク質の例としては、アルブミンやGST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)が融合したタンパク質を挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、DNAアプタマーなどの核酸、抗生物質などの薬物、PEG(ポリエチレングリコール)などの高分子が融合されている場合も、本発明で得られたタンパク質の有用性を利用するものであれば、本発明に包含される。
本発明における「いずれかのドメインに由来したアミノ酸配列からなるタンパク質」は変異を導入する前のタンパク質を指す。変異を導入する前のタンパク質のアミノ酸配列は、Fc領域への結合能を有している限り、プロテインAのE、D、A、B、および、Cドメインのいずれかの野生型アミノ酸配列には限られず、部分的なアミノ酸残基の置換、挿入、欠失、および、化学修飾により改変されたアミノ酸配列であってもよい。例えば、BドメインにA1VとG29Aという変異を導入したZドメインはBドメインに由来する配列に該当し、Zドメインに本発明における変異を導入して得られるタンパク質も、本発明のタンパク質に含まれる。
本発明のタンパク質は、その末端にLysが付与されていることを特徴とする。付与されるLysの個数の下限は、1個以上、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上であり、上限は、10個以下、好ましくは5個以下である。また、Lysが複数ある場合には各々のリジンが連続(隣接)している必要はない。また、リジンを含むタンパク質末端のアミノ酸残基数についても、特に制限は無く、リジン残基1個からなる配列であっても構わない。リジンを含むタンパク質末端のアミノ酸残基数の下限は、1個以上、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上であり、上限は、20個以下、好ましくは10個以下、より好ましくは5個以下である。「末端に付与」とは、基本的には、アミノ酸配列のN末端、または、C末端への付与を意味する。
A〜EドメインのC末端はLysである。単ドメイン型の場合には、Lys−58(残基番号はCドメインに対応)のみ、変異を導入せずに残しても構わない。複数ドメイン型の場合には、各ドメインのLys−58のみ、変異を導入せずに残しておくことができる。例えば、複数ドメイン型の各ドメインのC末端をLysとしない場合には、リガンドのC末端側のドメインのLys−58は必須である。リガンドのC末端側のドメイン以外のリンカー部分に1つ以上のLysが存在しても良い。また、C末端側のドメインのLys−58のみを残して、リンカー部分にLysが存在しなくても良い。いずれの場合においても、「全てのLysに対してアミノ酸置換変異を導入したアミノ酸配列を有し、かつ、末端にLysを付与した配列」と、実質的に同等である。
各ドメインに由来するアミノ酸配列について、好ましくは、配列番号1〜5で示されるアミノ酸配列に対して、以下の(1)〜(4)の少なくとも1つの条件に合致するアミノ酸残基置換が導入されたアミノ酸配列である。
(1)各ドメインにおけるCドメインの29位に対応するアミノ酸残基が、
Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Thr、Ser、Asp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(2)各ドメインにおけるCドメインの33位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(3)各ドメインにおけるCドメインの36位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(4)各ドメインにおけるCドメインの37位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである。
(1)各ドメインにおけるCドメインの29位に対応するアミノ酸残基が、
Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Thr、Ser、Asp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(2)各ドメインにおけるCドメインの33位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(3)各ドメインにおけるCドメインの36位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(4)各ドメインにおけるCドメインの37位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである。
さらに、より好ましくは、以下の(1)〜(4)の少なくとも1つの条件に合致するアミノ酸残基置換が導入されたアミノ酸配列である。
(1)各ドメインにおけるCドメインの29位に対応するアミノ酸残基が、
Ala、Glu、または、Argのいずれかである、
(2)各ドメインにおけるCドメインの33位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Thr、Glu、Gln、Arg、または、Hisのいずれかである、
(3)各ドメインにおけるCドメインの36位に対応するアミノ酸残基が、
Ile、または、Argのいずれかである、
(4)各ドメインにおけるCドメインの37位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Glu、Arg、または、Hisのいずれかである。
(1)各ドメインにおけるCドメインの29位に対応するアミノ酸残基が、
Ala、Glu、または、Argのいずれかである、
(2)各ドメインにおけるCドメインの33位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Thr、Glu、Gln、Arg、または、Hisのいずれかである、
(3)各ドメインにおけるCドメインの36位に対応するアミノ酸残基が、
Ile、または、Argのいずれかである、
(4)各ドメインにおけるCドメインの37位に対応するアミノ酸残基が、
Leu、Ile、Glu、Arg、または、Hisのいずれかである。
「全てのLys(リジン残基)」は、プロテインAのE、D、A、Bドメインにおける、Cドメインの4、7、35、49、50、および、58位に対応する6つのLysのことを指す。プロテインAのCドメインの場合のみ、4、7、35、42、49、50、および、58位の7つのLysのことを指す。ただし、変異を導入する前のアミノ酸配列が欠失変異を受けた配列の場合、例えば1〜4位が欠失した配列の場合は、上述の数に限定されない。
Lys部位に置換変異として導入されるアミノ酸の種類は、特に限定されず、天然型アミノ酸、非タンパク質構成アミノ酸や非天然アミノ酸であってもよい。遺伝子工学的生産の観点から、天然型アミノ酸を好適に用いることができる。ただし、固定化時のカップリング反応での反応性が高い官能基を側鎖に有するアミノ酸、例えば、チオール基(−SH)を側鎖に有するシステイン(Cys)は、置換するアミノ酸としては不適である。
具体的なアミノ酸置換変異の例を、以下に示す。
(1)D、B、および、Cドメインにおける、Cドメインの4位に対応するLysを、Arg、Gln、またはAsnに置換する変異が挙げられ、Argに置換する変異であることが好ましい。
(2)D、A、B、および、Cドメインにおける、Cドメインの7位に対応するLysを、Asp、Arg、またはGluに置換する変異が挙げられ、Argに置換する変異であることが好ましい。
(3)E、D、A、B、および、Cドメインにおける、Cドメインの35位に対応するLysを、Arg、Ile、またはHisに置換する変異が挙げられ、Arg、またはHisに置換する変異であることが好ましい。
(4)Cドメインにおける42位に対応するLysを、Argに置換する変異である。
(5)D、A、B、および、Cドメインにおける、Cドメインの49位に対応するLysを、ArgまたはGlnに置換する変異が挙げられる。
(6)E、D、A、B、および、Cドメインにおける、Cドメインの50位に対応するLysを、ArgまたはHisに置換する変異が挙げられ、Argに置換する変異であることが好ましい。
(7)E、D、A、B、および、Cドメインにおける、Cドメインの58位に対応するLysを、Arg、またはGlyに置換する変異が挙げられ、Argに置換する変異であることが好ましい。ただし、このアミノ酸残基がリガンドのC末端(付近)に位置する場合においては、先述の通り、変異を導入せずに残しても構わない。
さらに、Lys部位に置換変異として導入されるアミノ酸のうち、半数以上がアルギニン(Arg)への置換変異であることが好ましく、全てがArgへの置換変異であることがより好ましい。これは、ArgはLysと物性が似た塩基性アミノ酸であり、LysをArgに置換する場合には、タンパク質全体の物性に与える影響が比較的小さいからである。
具体的なアミノ酸置換変異の例を、以下に示す。
(1)D、B、および、Cドメインにおける、Cドメインの4位に対応するLysを、Arg、Gln、またはAsnに置換する変異が挙げられ、Argに置換する変異であることが好ましい。
(2)D、A、B、および、Cドメインにおける、Cドメインの7位に対応するLysを、Asp、Arg、またはGluに置換する変異が挙げられ、Argに置換する変異であることが好ましい。
(3)E、D、A、B、および、Cドメインにおける、Cドメインの35位に対応するLysを、Arg、Ile、またはHisに置換する変異が挙げられ、Arg、またはHisに置換する変異であることが好ましい。
(4)Cドメインにおける42位に対応するLysを、Argに置換する変異である。
(5)D、A、B、および、Cドメインにおける、Cドメインの49位に対応するLysを、ArgまたはGlnに置換する変異が挙げられる。
(6)E、D、A、B、および、Cドメインにおける、Cドメインの50位に対応するLysを、ArgまたはHisに置換する変異が挙げられ、Argに置換する変異であることが好ましい。
(7)E、D、A、B、および、Cドメインにおける、Cドメインの58位に対応するLysを、Arg、またはGlyに置換する変異が挙げられ、Argに置換する変異であることが好ましい。ただし、このアミノ酸残基がリガンドのC末端(付近)に位置する場合においては、先述の通り、変異を導入せずに残しても構わない。
さらに、Lys部位に置換変異として導入されるアミノ酸のうち、半数以上がアルギニン(Arg)への置換変異であることが好ましく、全てがArgへの置換変異であることがより好ましい。これは、ArgはLysと物性が似た塩基性アミノ酸であり、LysをArgに置換する場合には、タンパク質全体の物性に与える影響が比較的小さいからである。
また、実施形態の一つとして、アルカリ条件下での化学的安定性の高いアフィニティーリガンドも提供し得る。この場合、本発明の変異を導入する前のアミノ酸配列が、配列番号5のCドメインに由来するアミノ酸配列であることが好ましい。さらには、本発明の変異を導入する前のアミノ酸配列が、配列番号5のCドメインに由来するアミノ酸配列であり、かつ、29位に対応するアミノ酸残基がAla、Arg、Glu、Ile、Leu、Met、Phe、Trp、およびTyrから選択されるいずれかであることが、より好ましい。また、全てのLysに対して導入されるアミノ酸残基について、半数以上がArgへの置換変異であることが好ましく、全てがArgへの置換変異であることがより好ましい。全てがArgへの置換変異である場合に、アルカリ条件下での化学的安定性が、変異導入前に比べて向上し得る。
アルカリ性条件下における化学的安定性は、免疫グロブリンに対する結合活性を指標として決定することもできるし、ポリペプチド自体の物質としての安定性を指標として決定することもできる。ポリペプチド自体の物質としての安定性を指標とする場合、例えば、電気泳動法によって、アルカリ処理前後のポリペプチドの泳動バンドを比較することで、アルカリ性条件下における化学的安定性を評価することが可能である。具体的には、ごく一般的なSDS−PAGEを行い、デンシトメトリーによるバンド強度を解析することによって化学的安定性を比較可能である。デンシトメトリーによって分析したバンド強度を基準にすると、本発明のポリペプチドは、0.5M水酸化ナトリウム水溶液中で、25℃で24時間静置した後、当該処理をする前と比較して、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが最も好ましい。
本発明において得られた上述の変異体に対して、配列同一性が極めて高いタンパク質は、本発明の範囲に含まれる。その配列同一性の基準としては、各ドメインで保存されている、次に示す20個のアミノ酸残基が、90%以上保持されていることが好ましく、95%以上保持されていることがより好ましい。
Gln−9、Gln−10、Phe−13、Tyr−14、Leu−17、Pro−20、Asn−21、Leu−22、Gln−26、Arg−27、Phe−30、Ile−31、Leu−34、Pro−38、Ser−39、Leu−45、Leu−51、Asn−52、Gln−55、Pro−57(残基番号はCドメインに対応する)。
さらに、タンパク質全体としてのアミノ酸配列の同一性が、変異導入前のアミノ酸配列と比較して80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。
Gln−9、Gln−10、Phe−13、Tyr−14、Leu−17、Pro−20、Asn−21、Leu−22、Gln−26、Arg−27、Phe−30、Ile−31、Leu−34、Pro−38、Ser−39、Leu−45、Leu−51、Asn−52、Gln−55、Pro−57(残基番号はCドメインに対応する)。
さらに、タンパク質全体としてのアミノ酸配列の同一性が、変異導入前のアミノ酸配列と比較して80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。
本発明は、上記方法により得られたタンパク質をコードする塩基配列からなるDNAにも関する。DNAは、その塩基配列を翻訳したアミノ酸配列が、上述のタンパク質を構成するものであればいずれでも良い。そのようなDNAは、通常用いられる公知の方法、例えば、ポリメラーゼ・チェーン・リアクション(以下、PCRと略す)法を利用して取得できる。また、公知の化学合成法で合成することも可能であり、さらに、DNAライブラリーから得ることもできる。当該DNAを構成する塩基配列は、コドンが縮重コドンで置換されていても良く、翻訳されたときに同一のアミノ酸をコードしている限り、本来の塩基配列と同一である必要性は無い。
DNAの塩基配列を改変するための部位特異的な変異の導入は、以下のように、組換えDNA技術、PCR法等を用いて行うことができる。
すなわち、組換えDNA技術による変異の導入は、例えば、本発明のタンパク質をコードする遺伝子中において、変異導入を希望する目的の部位の両側に適当な制限酵素認識配列が存在する場合に、それら制限酵素認識配列を前記制限酵素で切断し、変異導入を希望する部位を含む領域を除去した後、化学合成等によって目的の部位のみに変異導入したDNA断片を挿入するカセット変異法によって行うことができる。
また、PCRによる部位特異的変異の導入は、例えば、タンパク質をコードする二本鎖プラスミドを鋳型として、+および−鎖に相補的な変異を含む2種の合成オリゴプライマーを用いてPCRを行うダブルプライマー法により、行うことができる。
また、本発明の単量体タンパク質(1つのドメイン)をコードするDNAを、意図する数だけ直列に連結することにより、多量体タンパク質をコードするDNAを作製することもできる。例えば、多量体タンパク質をコードするDNAの連結方法は、DNA配列に適当な制限酵素認識配列を導入し、制限酵素で断片化した2本鎖DNAをDNAリガーゼで連結することができる。制限酵素認識配列は1種類でもよいが、複数の異なる種類の制限酵素認識配列を導入することもできる。
多量体タンパク質をコードするDNAを作製する方法は、これら連結する方法に限らない。例えば、プロテインAをコードするDNA(例えば、国際公開第WO2006/004067号パンフレット)に上記の変異導入法を適用することで作製することも可能である。なお、多量体タンパク質をコードするDNAにおいて、各々の単量体タンパク質をコードする塩基配列が同一の場合には、形質転換した際に宿主細胞内でDNAの相同組換えを誘発する可能性があるので、連結されている単量体タンパク質をコードするDNAの塩基配列間の配列同一性が90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましい。
本発明の「ベクター」は、前述したタンパク質、または、その部分アミノ酸配列をコードする塩基配列、およびその塩基配列に作動可能に連結された宿主で機能しうるプロモーターを含む。通常は、前述したタンパク質をコードする遺伝子を、適当なベクターに連結もしくは挿入することにより得ることができる。遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主中で自律複製可能なものであれば特に限定されず、プラスミドDNAやファージDNAをベクターとして用いることができる。例えば、大腸菌を宿主として用いる場合には、pQE系ベクター(キアゲン社製)、pET系ベクター(メルク社製)、および、pGEX系ベクター(GEヘルスケア・ジャパン社製)のベクターなどが挙げられる。ブレビバチルス属細菌の遺伝子の発現に有用なプラスミドベクターとしては、例えば、枯草菌ベクターとして公知であるpUB110、または、pHY500(特開平2−31682号公報)、pNY700(特開平4−278091号公報)、pNU211R2L5(特開平7−170984号公報)、pHT210(特開平6−133782号公報)、または、大腸菌とブレビバチルス属細菌とのシャトルベクターであるpNCMO2(特開2002−238569号公報)などが挙げられる。
本発明のタンパク質は、タンパク質発現を補助する作用、または、精製を容易にする作用がある公知の蛋白質との融合タンパク質として取得することができる。該タンパク質の例としては、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)等が挙げられるが、それらのタンパク質に限定されるものではない。本発明のDNAとMBP或いはGST等をコードするDNAとを連結した状態で含むベクターを使用して、融合タンパク質を生産することができる。
本発明の形質転換体は、宿主となる細胞へ本発明の組換えベクターを導入することにより得ることができる。宿主への組換え体DNAの導入方法としては、例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、アグロバクテリウム感染法、パーティクルガン法、または、ポリエチレングリコール法などが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、得られた遺伝子の機能を宿主で発現する方法としては、本発明で得られた遺伝子をゲノム(染色体)に組み込む方法なども挙げられる。
宿主となる細胞については、特に限定されるものではないが、安価に大量生産する上では、大腸菌、枯草菌、ブレビバチルス属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)等のバクテリア(真正細菌)を好適に使用しうる。
本発明のタンパク質は、前記した形質転換細胞を培地で培養し、培養菌体中(菌体ぺリプラズム領域中も含む)、または、培養液中(菌体外)に本発明のタンパク質を生成蓄積させ、該培養物から所望のタンパク質を採取することにより製造することができる。
また、本発明のタンパク質は、前記した形質転換細胞を培地で培養し、培養菌体中(菌体ぺリプラズム領域中も含む)、または、培養液中(菌体外)に、本発明のタンパク質を含む融合タンパク質を生成蓄積させ、該培養物から該融合タンパク質を採取し、該融合タンパク質を適切なプロテアーゼによって切断し、所望のタンパク質を採取することによっても製造することができる。
本発明の形質転換細胞を培地で培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。得られた形質転換体の培養に用いる培地は、該タンパク質を高効率、高収量で生産できるものであれば特に制限は無い。具体的には、グルコース、蔗糖、グリセロール、ポリペプトン、肉エキス、酵母エキス、カザミノ酸などの炭素源や窒素源を使用することが出来る。その他、カリウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マグネシウム塩、マンガン塩、亜鉛塩、鉄塩等の無機塩類が必要に応じて添加される。栄養要求性の宿主細胞を用いる場合は、生育に要求される栄養物質を添加すればよい。また、必要であればペニシリン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、ネオマイシンなどの抗生物質が添加されても良い。
さらに、菌体内外に存在する宿主由来のプロテアーゼによる当該目的蛋白質の分解、低分子化を抑えるために、公知の各種プロテアーゼ阻害剤、すなわちPhenylmethane sulfonyl fluoride(PMSF)、Benzamidine、4−(2−aminoethyl)−benzenesulfonyl fluoride(AEBSF)、Antipain、Chymostatin、Leupeptin、Pepstatin A、Phosphoramidon、Aprotinin、Ethylenediaminetetra acetic acid(EDTA)、および/または、その他市販されているプロテアーゼ阻害剤を適当な濃度で添加しても良い。
さらに、本発明のタンパク質を正しくフォールディングさせるために、例えば、GroEL/ES、Hsp70/DnaK、Hsp90、Hsp104/ClpBなどの分子シャペロンを利用しても良い(例えば、共発現、または、融合タンパク質化などの手法で、本発明のタンパク質と共存させる)。なお、本発明のタンパク質の正しいフォールディングを目的とする場合には、正しいフォールディングを助長する添加剤を培地中に加える、および、低温にて培養するなどの手法もあるが、これらに限定されるものではない。
大腸菌を宿主として得られた形質転換細胞を培養する培地としては、LB培地(トリプトン 1%、酵母エキス 0.5%、NaCl 1%)、または、2xYT培地(トリプトン 1.6%、酵母エキス 1.0%、NaCl 0.5%)等が挙げられる。
ブレビバチルス属細菌を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、TM培地(ペプトン 1%、肉エキス 0.5%、酵母エキス 0.2%、グルコース 1%、pH 7.0)、または、2SL培地(ペプトン 4%、酵母エキス 0.5% 、グルコース 2%、pH 7.2)等が挙げられる。
また、培養温度は、15〜42℃、好ましくは20〜37℃で、通気攪拌条件で好気的に数時間〜数日培養することにより本発明のタンパク質を、培養細胞内(ぺリプラズム領域内を含む)、または、培養溶液(細胞外)に蓄積させて回収する。場合によっては、通気を遮断し嫌気的に培養してもよい。
組換えタンパク質が分泌生産される場合には、培養終了後に、遠心分離、ろ過などの一般的な分離方法で、培養細胞と分泌生産されたタンパク質を含む上清を分離することにより生産された組換えタンパク質を回収することができる。
また、培養細胞内(ぺリプラズム領域内を含む)に蓄積される場合にも、例えば、培養液から遠心分離、ろ過などの方法により菌体を採取し、次いで、この菌体を超音波破砕法、フレンチプレス法などにより破砕し、および/または、界面活性剤等を添加して可溶化することにより、細胞内に蓄積生産されたタンパク質を回収することができる。
本発明のタンパク質の精製はアフィニティークロマトグラフィー、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等を単独でまたは適宜組み合わせることによって行うことができる。
得られた精製物質が目的のタンパク質であることの確認は、通常の方法、例えばSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、N末端アミノ酸配列分析、ウエスタンブロッティング等により行うことができる。
本発明のタンパク質は、前記DNAを用いた無細胞タンパク質合成系を用いて製造することもできる。このような無細胞タンパク質合成系の例として、原核細胞由来、植物細胞由来、高等動物細胞由来の合成系が挙げられる。
本発明は、上述のタンパク質を、免疫グロブリンに対して親和性を有することを特徴とするアフィニティーリガンドとして利用することを、実施形態の1つとして包含する。同様に、該リガンドを水不溶性の基材からなる担体に固定化したことを特徴とする、アフィニティー分離マトリックスも、実施形態の1つとして包含する。
ここで、「アフィニティーリガンド」とは、抗原と抗体の結合に代表される、特異的な分子間の親和力に基づいて、ある分子の集合から目的の分子を選択的に捕集(結合)する物質(官能基)を指す用語であり、本発明においては、免疫グロブリンに対して特異的に結合するタンパク質を指す。本明細書においては、単に「リガンド」と表記した場合も、「アフィニティーリガンド」と同意である。
免疫グロブリンに対する親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴原理を用いたBiacoreシステム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)などのバイオセンサーによって試験することができるが、これに限定されるものではない。測定条件としては、プロテインAが免疫グロブリンのFc領域に結合した時の結合シグナルが検出できれば良く、温度20〜40℃(一定温度)にて、pH6〜8の中性条件にて測定することで簡単に評価することができる。
結合パラメータとしては、例えば、親和定数(KA)や解離定数(KD)を用いることができる(永田他 著、「生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法」、シュプリンガー・フェアラーク東京、1998年、41頁)。本発明のタンパク質のFcに対する親和定数は、Biacoreシステムを利用して、センサーチップにヒトIgGを固定化して、温度25℃、pH7.4の条件下にて、各ドメイン変異体を流路添加する実験系で求めることができる。本発明に係るタンパク質について、ヒトIgGへの親和定数(KA)が1×105(M−1)以上、より好ましくは1×106(M−1)以上、さらに好ましくは1×107(M−1)であるタンパク質を好適に用いることができる。
本発明に用いる水不溶性の基材からなる担体としては、ガラスビーズ、シリカゲルなどの無機担体、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリルアミド、架橋ポリスチレンなどの合成高分子や、結晶性セルロース、架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デキストランなどの多糖類からなる有機担体、さらにはこれらの組み合わせによって得られる有機−有機、有機−無機などの複合担体などが挙げられる。市販品としては、多孔質セルロースゲルであるGCL2000、アリルデキストランとメチレンビスアクリルアミドを共有結合で架橋したSephacryl S−1000、メタクリレート系の担体であるToyopearl、アガロース系の架橋担体であるSepharose CL4B、および、セルロース系の架橋担体であるCellufineなどを例示することができる。ただし、本発明における水不溶性担体は、例示したこれらの担体のみに限定されるものではない。
また、本発明に用いる水不溶性担体は、本アフィニティー分離マトリックスの使用目的および方法からみて、表面積が大きいことが望ましく、適当な大きさの細孔を多数有する多孔質であることが好ましい。担体の形態としては、ビーズ状、モノリス状、繊維状、膜状(中空糸を含む)などいずれも可能であり、任意の形態を選ぶことができる。
リガンドの固定化方法については、リガンドに存在するリジンのεアミノ基を介して、従来のカップリング法で担体に共有結合する方法であれば、特に限定されない。また、結果的に、一部のリガンドがN末端のαアミノ基を介して担体に固定化されても、タンパク質の末端で固定化されるので、本発明の効果が低下することはない。カップリング法としては、担体を臭化シアン、エピクロロヒドリン、ジグリシジルエーテル、トシルクロライド、トレシルクロライド、ヒドラジン、および、過ヨウ素酸ナトリウムなどと反応させて担体を活性化し(あるいは担体表面に反応性官能基を導入し)、リガンドとして固定化する化合物とカップリング反応を行い固定化する方法、また、担体とリガンドとして固定化する化合物が存在する系にカルボジイミドのような縮合試薬、または、グルタルアルデヒドのように分子中に複数の官能基を持つ試薬を加えて縮合、架橋することによる固定化方法が挙げられる。また、リガンドと担体の間に複数の原子からなるスペーサー分子を導入しても良いし、担体にリガンドを直接固定化しても良い。
本発明のアフィニティー分離マトリックスを利用して、免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質をアフィニティーカラム・クロマトグラフィ精製法により分離精製することが可能となる。免疫グロブリン結合性ドメインが結合する領域をFab領域(特にFv領域)、および、Fc領域、というように広く定義したが、抗体の立体構造はすでに既知であるので、タンパク質工学的に、プロテインAが結合する領域の立体構造を保持しつつFab領域やFc領域にさらなる改変(断片化など)を施すことは可能であり、本発明は、Fab領域、および、Fc領域を、不足なく含有する免疫グロブリン分子、および、その誘導体に限定されるものでもない。したがって、「免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質」とは、プロテインAが結合するFc領域側の部位を含むタンパク質のことであり、プロテインAが結合できれば、Fc領域を完全に含むタンパク質である必要はない。
代表的な免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質としては、免疫グロブリンG、または、免疫グロブリンG誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ここで、「免疫グロブリンG誘導体」とは、例えば、ヒト免疫グロブリンGの一部のドメインを他生物種の免疫グロブリンGのドメインに置き換えて融合させたキメラ型免疫グロブリンGや、ヒト免疫グロブリンGのCDR(Complementarity Determinig Regions)部分を他生物種抗体のCDR部分に置き換えて融合させたヒト型化免疫グロブリンG、Fc領域の糖鎖に分子改変を加えた免疫グロブリンG、ヒト免疫グロブリンGのFv領域とFc領域とを融合させた人工免疫グロブリンGなどの、プロテインAが結合し得る改変型人工タンパク質を総称する名称である。
これらの免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質の精製法は、すでに市販品として存在するプロテインAカラムを用いたアフィニティーカラム・クロマトグラフィ精製法に準じる手順により達成することができる(非特許文献3)。すなわち、免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質を含有する緩衝液を中性となるように調整した後、該溶液を本発明のアフィニティー分離マトリックスを充填したアフィニティーカラムに通過させ、免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質を吸着させる。次いで、アフィニティーカラムに純粋な緩衝液を適量通過させ、カラム内部を洗浄する。この時点では所望の免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質はカラム内の本発明のアフィニティー分離マトリックスに吸着されている。次いで、適切なpHに調整した酸性緩衝液(該マトリックスからの解離を促進する物質を含む場合もある)をカラムに通液し、所望の免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質を溶出することにより、高純度な精製が達成される。
本発明のアフィニティー分離マトリックスは、リガンド化合物や担体の基材が完全に機能を損なわない程度の、適当な強酸性、または、強アルカリ性の純粋な緩衝液(適当な変性剤、または、有機溶剤を含む溶液の場合もある)を通過させて洗浄することにより、再利用が可能である。
また、本発明は、上記のアフィニティー分離マトリックスを使用した分離方法により得られる、タンパク質に関する。このタンパク質は、免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質であることが好ましい。上記のアフィニティー分離マトリックスを使用して得られるタンパク質は、高純度かつ高濃度の溶液として得られ、抗原に対する結合力などの本来有する活性を損なうことなく保持しているという性質を有する。
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例で取得した各種タンパク質について、「ドメインを示すアルファベット‐導入した変異(野生型ではWild)」の形で表記する。例えば、プロテインAの野生型Cドメインは「C−wild」、変異G29Eを導入したCドメイン変異体は「C−G29E」という形で表記する。2種類の変異を同時に導入した変異体の表記については、スラッシュを用いて併記する。例えば、変異G29E、および、変異S13Lを導入したCドメイン変異体については、「C−G29E/S13L」という形で表記する。また、単ドメインを複数連結したタンパク質については、ピリオドをつけて、連結した数に「d」をつけて併記する。例えば、変異G29E、および、変異S13Lを導入したCドメイン変異体を5連結したタンパク質は、「C−G29E/S13L.5d」と表記する。
(実施例1)単ドメイン型各種Cドメイン変異体の発現プラスミド調製
配列番号6および7に記載のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドを混合し、ポリメラーゼにBlend Taq(東洋紡績株式会社製)を用い、添付のプロトコルに従ってオーバーラップPCR反応を行った。PCR反応生成物である二本鎖DNAをアガロース電気泳動で抽出・精製し、制限酵素BamHIとHindIII(いずれもタカラバイオ株式会社製)により切断した。同様の手法で、配列番号8および9に記載のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドから、PCR反応にて目的の二本鎖DNAを得て、制限酵素HindIIIとEcoRI(タカラバイオ株式会社製)により切断した。
配列番号6および7に記載のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドを混合し、ポリメラーゼにBlend Taq(東洋紡績株式会社製)を用い、添付のプロトコルに従ってオーバーラップPCR反応を行った。PCR反応生成物である二本鎖DNAをアガロース電気泳動で抽出・精製し、制限酵素BamHIとHindIII(いずれもタカラバイオ株式会社製)により切断した。同様の手法で、配列番号8および9に記載のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドから、PCR反応にて目的の二本鎖DNAを得て、制限酵素HindIIIとEcoRI(タカラバイオ株式会社製)により切断した。
プラスミドベクターpGEX−2T(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)のマルチクローニングサイト中のBamHI/EcoRIサイトに、上記2種の二本鎖DNAをサブクローニングした。ライゲーション反応は、制限酵素BamHIとEcoRIによる切断反応とAlkaline Phosphatase(タカラバイオ株式会社製)による脱リン酸化反応を行ったベクターpGEX−2Tと、上記2種の制限酵素処理済み二本鎖DNAを混合し、Ligation High(東洋紡績株式会社製)を用い、添付のプロトコルに従って行った。なお、上記2種の二本鎖DNAが、HindIII切断サイトで結合し、pGEX−2Tにサブクローニングしたときに、配列番号10(C−K04R/K07E/G29A/K35H/K42R/K49Q/K50R/K58G.1d)をコードするように、配列番号6、7、8、9のDNAを設計した。この配列番号10をコードするDNAを含むpGEX−2T(ライゲーション反応液)を用いて、大腸菌HB101細胞(タカラバイオ株式会社製)の形質転換を行い、定法によって、プラスミドDNAを増幅・抽出した。
このサブクローニング後の発現プラスミドを鋳型として、配列番号11〜20のオリゴヌクレオチドプライマーの中から2種類のプライマーを用いて、クイックチェンジ法を実施し、新たな変異を含む発現プラスミドを取得した。クイックチェンジ法は、DNAポリメラーゼのPfu Turbo、および、メチル化DNA(鋳型DNA)切断酵素DpnI(ともにStratagene社製)を用い、Stratagene社のプロトコルに従い実施した。
配列番号11〜20のオリゴヌクレオチドプライマーの配列、クイックチェンジ法に使われる2種類のプライマーの組み合わせ、および、導入されるアミノ酸変異との関係を表1にまとめた。なお、オリゴヌクレオチドプライマーについては、特記しない限り、全て委託合成にて調製した(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)。
クイックチェンジ法を行う鋳型については、クイックチェンジ法で得られた新たな発現プラスミドを用いることが可能である。したがって、鋳型プラスミド、プライマーの組み合わせ(5通り)を変えて、1〜3回クイックチェンジを繰り返して、各種発現プラスミドを作製した。これらの発現プラスミドをHB101に形質転換し、変異体発現用の形質転換細胞を得た。発現・精製等に関して予備的な確認を行い、後の実施例に用いる発現プラスミドおよび形質転換細胞は、以下の変異体をコードするものに絞った。
C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号21)
C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58G.1d(配列番号22)
C−K04R/K07E/G29A/K35R/K42R/K49R/K50H/K58G.1d(配列番号23)
C−K04R/K07D/G29A/K35R/K42R/K49R/K50H/K58G.1d(配列番号24)
C−K04R/K07E/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号25)
C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号21)
C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58G.1d(配列番号22)
C−K04R/K07E/G29A/K35R/K42R/K49R/K50H/K58G.1d(配列番号23)
C−K04R/K07D/G29A/K35R/K42R/K49R/K50H/K58G.1d(配列番号24)
C−K04R/K07E/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号25)
各々の発現プラスミドDNA塩基配列の確認は、DNAシークエンサー3130xl Genetic Analyzer(Applied Biosystems社製)を用いて行った。BigDye Terminator v.1.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用いて、付属のプロトコルに従い、各々のプラスミドDNAのシークエンシングPCR反応を行い、そのシークエンシング産物を精製し、配列解析に用いた。pGEX−2Tをベクターとする各種発現プラスミドについて、市販のpGEX 3’Sequencing Primer(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)をプライマーとして用いた。確認した配列番号21〜25のタンパク質をコードする各々のDNA配列を配列番号26〜30に記載する。
(実施例2)各種単ドメイン型Cドメイン変異体の発現・精製
実施例1で得られた、各種単ドメイン型Cドメイン変異体をGST融合タンパク質として発現する各々の形質転換細胞を、アンピシリンを含むLB培地にて、37℃で終夜培養した。これらの培養液を、2×YT培地(アンピシリン含有)に接種し、37℃で約2時間培養し、終濃度0.1mMになるようIPTG(イソプロピル1−チオ−β−D−ガラクシド)を添加し、さらに、37℃にて18時間培養した。
実施例1で得られた、各種単ドメイン型Cドメイン変異体をGST融合タンパク質として発現する各々の形質転換細胞を、アンピシリンを含むLB培地にて、37℃で終夜培養した。これらの培養液を、2×YT培地(アンピシリン含有)に接種し、37℃で約2時間培養し、終濃度0.1mMになるようIPTG(イソプロピル1−チオ−β−D−ガラクシド)を添加し、さらに、37℃にて18時間培養した。
培養終了後、遠心にて集菌し、PBS緩衝液5mLに再懸濁した。超音波破砕にて細胞を破砕し、遠心分離して上清画分(無細胞抽出液)と不溶性画分に分画した。pGEX−2Tベクターのマルチクローニングサイトに目的の遺伝子を導入するとGSTがN末端に付与した融合タンパク質として発現される。それぞれの画分をSDS電気泳動により分析したところ、各々の形質転換細胞培養液から調製した各種無細胞抽出液のすべてについて、分子量約33,000の位置にIPTGにより誘導されたと考えられるタンパク質のバンドを確認した。
GST融合タンパク質を含む各々の無細胞抽出液から、GSTに対して親和性のあるGSTrap FFカラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)を用いたアフィニティークロマトグラフィーにて、GST融合タンパク質を精製(粗精製)した。各々の無細胞抽出液をGSTrap FFカラムに添加し、標準緩衝液(20mM NaH2PO4−Na2HPO4,150mM NaCl,pH7.4)にてカラムを洗浄、続いて溶出用緩衝液(50mM Tris−HCl、20mM Glutathione、pH8.0)にて目的のGST融合タンパク質を溶出した。
pGEX−2Tベクターのマルチクローニングサイトに遺伝子を導入すると、Thrombin(GEヘルスケア・ジャパン社製)でGSTを切断することが可能なアミノ酸配列が、GSTと目的タンパク質の間に導入される。Thrombinを用いて、添付プロトコルに従いGST切断反応を行った。最後にSuperdex 75 10/300 GLカラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)を用いたゲルろ過クロマトグラフィーにて、目的のタンパク質の精製を行った。標準緩衝液にて平衡化したSuperdex 75 10/300 GLカラムに、各々の反応溶液を添加し、目的のタンパク質を、切断したGSTやThrombinから分離精製した。なお、以上のカラムを用いたクロマトグラフィーによるタンパク質精製は、全てAKTAprime plusシステム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)を利用して実施した。
これらの精製が完了した各種タンパク質溶液をトリシン−SDS電気泳動にて分析したところ、分子量約7,000の位置に目的のタンパク質と考えられるバンドを確認した。トリシン−SDS電気泳動による分析の結果、90%以上の高純度で存在すると考えられた。本実施例で得られる各々のタンパク質の一次配列は、配列番号21〜25で示される各種単ドメイン型Cドメイン変異体のアミノ酸配列に対して、N末端側にベクターpGEX−2T由来のGly−Serが、C末端側にSerが付加された配列である。
(実施例3)各種単ドメイン型Cドメイン変異体のヒトIgGとの親和性の解析
表面プラズモン共鳴を利用したバイオセンサーBiacore 3000(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)を用いて、実施例2で取得した各種単ドメイン型Cドメイン変異体の免疫グロブリンとの親和性を解析した。本実施例では、ヒト血漿から分画したヒト免疫グロブリンG製剤(以後は、ヒトIgGと記する)をセンサーチップに固定化し、各種タンパク質をチップ上に流して、両者の相互作用を検出した。
表面プラズモン共鳴を利用したバイオセンサーBiacore 3000(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)を用いて、実施例2で取得した各種単ドメイン型Cドメイン変異体の免疫グロブリンとの親和性を解析した。本実施例では、ヒト血漿から分画したヒト免疫グロブリンG製剤(以後は、ヒトIgGと記する)をセンサーチップに固定化し、各種タンパク質をチップ上に流して、両者の相互作用を検出した。
ヒトIgGのセンサーチップCM5への固定化は、N−hydroxysuccinimide(NHS)、および、N−ethyl−N’−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochloride(EDC)を用いたアミンカップリング法にて行い、ブロッキングにはEthanolamineを用いた(センサーチップや固定化用試薬は、全てGEヘルスケア・ジャパン株式会社製)。ヒトIgG溶液としてガンマガード(バクスター社製)を使用し、標準緩衝液(20mM NaH2PO4−Na2HPO4、150mM NaCl、pH7.4)に1.0mg/mLになるよう溶解して調製した。このヒトIgG溶液を、固定化用緩衝液(10mM CH3COOH−CH3COONa、pH4.5)で100倍に希釈した。ヒトIgGは、Biacore 3000付属のプロトコルに従い、センサーチップへ固定した。また、チップ上の別のフローセルに対して、EDC/NHSにより活性化した後にEthanolamineを固定化する処理を行うことで、ネガティブ・コントロールとなるリファレンスセルも用意した。
各種単ドメイン型Cドメイン変異体は、ランニング緩衝液(20mM NaH2PO4−Na2HPO4、150mM NaCl、0.005% P−20、pH7.4)を用いて、10〜1000nMの範囲で適宜調製し(各々について、異なるタンパク質濃度の溶液を3種類調製)、各々のタンパク質溶液を、流速20μL/minで30秒間センサーチップに添加した。測定温度25℃にて、添加時(結合相、90秒間)、および、添加終了後(解離相、90秒間)の結合反応曲線を順次観測した。各々の観測終了後に、40mM NaOH(15秒間)を添加してセンサーチップを再生した。この操作は、センサーチップ上に残った添加タンパク質の除去が目的であり、固定化したヒトIgGの結合活性がほぼ完全に戻ることを確認した。得られた結合反応曲線(リファレンスセルの結合反応曲線を差し引いた結合反応曲線)に対して、システム付属ソフトBIA evaluationを用いた1:1の結合モデルによるフィッティング解析を行い、ヒトIgGに対する親和定数(KA=kon/koff)を算出した。その結果を表2に示す。
表2に示すように、各種単ドメイン型Cドメイン変異体のヒトIgGに対する結合パラメータは、C−G29A.1d(比較例1)と同程度であった。具体的には、ヒトIgGに対する親和定数は、いずれのタンパク質に関しても、1.0×107M−1〜5.0×107M−1の範囲(10の7乗オーダー)に収まった。
(実施例4)固定化実験用リガンドの大量調製
C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号21)をIgGアフィニティーリガンドとして固定化した担体を作製する上で、タンパク質の大量発現が可能なブレビバチルス発現系を用いて発現・精製を行った。
C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号21)をIgGアフィニティーリガンドとして固定化した担体を作製する上で、タンパク質の大量発現が可能なブレビバチルス発現系を用いて発現・精製を行った。
まず、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.1dをコードするpGEX−2T発現プラスミドを鋳型とし、配列番号31および32のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行った。PCR反応精製産物を、制限酵素PstI(タカラバイオ株式会社製)とEcoRIで処理し、インサート用二本鎖DNAを調製した。
鋳型に用いたベクターは、pNK3260という公知のブレビバチルス発現ベクター(国際公開第2006/004067号パンフレット)に対し、発現したいタンパク質コードDNAをPstI/EcoRIサイトで挿入できるよう変異処理したpNK3260’を用いた。制限酵素PstIとEcoRIによる切断反応と、Alkaline Phosphataseによる脱リン酸化反応を行ったpNK3260’に、上記インサート用二本鎖DNAを混合し、Ligation Highを用いたライゲーション反応を行い、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.1dのブレビバチルス発現プラスミドを構築した。このプラスミドベクターを用いて、ブレビバチルス・チョウシネンシスFY−1株の形質転換を行った。形質転換は、公知の方法による電気導入法にて実施した(「Biosci.Biotech.Biochem.」、1997年、61号、202−203頁)。なお、ブレビバチルス・チョウシネンシスFY−1株は、ブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31−OK株(特開平6−296485号公報)に変異処理をして得られたPhe・Tyr要求性株である。
ブレビバチルス・チョウシネンシスFY−1組換え菌を、60μg/mLのネオマイシンを含む5mLの3YC培地(ポリペプトン 3%、酵母エキス 0.2%、グルコース 3%、硫酸マグネシウム 0.01%、硫酸鉄 0.001%、塩化マンガン 0.001%、塩化亜鉛 0.0001%)にて、30℃で3日間の振盪培養を行った。
培養物を遠心処理して菌体を分離し、得られた培養上清から、SP Fast Flowカラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)を利用した陽イオン交換クロマトグラフィーにて、目的のタンパク質を精製した。具体的には、酢酸ナトリウムを終濃度50mMになるように添加し、さらに塩酸でpH4.0に調整した培養上清を、陽イオン交換用緩衝液A(50mM CH3COOH−CH3COONa, pH4.0)にて平衡化したSP Fast Flowカラムに添加し、陽イオン交換用緩衝液Aで洗浄後、陽イオン交換緩衝液Aと陽イオン交換緩衝液B(50mM CH3COOH−CH3COONa,1M NaCl,pH4.0)を利用した塩濃度勾配にて、途中に溶出される目的タンパク質を分取した。次に、DEAE Fast Flowカラム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)を利用した陰イオン交換クロマトグラフィーにて、目的のタンパク質を精製した。具体的には、分取した目的タンパク質溶液を、超純水に透析し、陰イオン交換用緩衝液A(50mM Tris−HCl,pH8.0)にて平衡化したDEAE Fast Flowカラムに添加し、陰イオン交換用緩衝液Aで洗浄後、陰イオン交換緩衝液Aと陰イオン交換緩衝液B(50mM Tris−HCl,0.3M NaCl,pH8.0)を利用した塩濃度勾配にて、途中に溶出される目的タンパク質を分取した。分取した目的タンパク質溶液を、再び超純水に透析し、目的タンパク質のみを含む水溶液を最終精製サンプルとした。なお、以上のカラムを用いたクロマトグラフィーによるタンパク質精製は、全てAKTAprime plusシステムを利用して実施した。
この発現系を利用して得られるリガンド用タンパク質の一次配列は、配列番号21で示されるC−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.1dに対して、C末端側にSer−Lysが付加された配列である。すなわち、リガンド中において、リジン残基はC末端に1個のみ存在する。
(実施例5)リガンドを担体に固定化したアフィニティー分離マトリックスの試作
カップリング目的官能基をアミノ基とする市販のリガンド固定化用カップリングカラムを利用して、実施例4で得られたリガンドを固定化したアフィニティー分離マトリックスを作製した。
カップリング目的官能基をアミノ基とする市販のリガンド固定化用カップリングカラムを利用して、実施例4で得られたリガンドを固定化したアフィニティー分離マトリックスを作製した。
水不溶性基材として、市販のプレパックカラム「Hitrap NHS activated HP」1mL(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)を使用した。このカラムは、架橋アガロースをベースとし、カップリング目的官能基をアミノ基とするタンパク性リガンド固定化用の活性基が導入済みなので、製品マニュアルに従ってリガンドを固定化した。リガンドをカップリング緩衝液(0.2M NaHCO3,0.5M NaCl,pH8.3)で終濃度約10mg/mLに希釈した溶液を1mL調製した。氷浴で冷やした1mM HClを、流速1mL/minで2mL分流す操作を3回行い、カラム中のイソプロパノールを除去した。その後すぐに、先に調製したサンプル希釈溶液を同じ流速で1mL添加し、カラムの上下に栓をして25℃で30分間静置することで、取得したリガンドをカラムに固定化した。その後開栓し、カップリング緩衝液を同じ流速で3mL流して、未反応リガンドを回収した。その後、ブロッキング用緩衝液(0.5M ethanol amine,0.5M NaCl,pH8.3)を2mL流す操作を3回実施し、洗浄用緩衝液(0.1M Acetate,0.5M NaCl,pH4.0)を2mL流す操作を3回実施し、最後に標準緩衝液(20mM NaH2PO4−Na2HPO4、150mM NaCl、pH7.4)を2mL流してアフィニティー分離カラムの作成を完了した。
固定化反応で置換されたNHSは280nmに吸収を持つ。脱塩カラムHiTrap Desalting 5mL(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)を用いてNHSを除去し、未反応リガンドのみの280nmの吸光度(Abs280)を測定し、固定化収率を算出した。HiTrap Desaltingを利用することで、分子量5,000以上の成分(ここではリガンド)と分子量1,000以下の成分(置換されたNHS)を分離することが可能である。未反応リガンド500μLをHiTrap Desalting 5mLに通液し、カップリング緩衝液を1mL添加した後、さらにカップリング緩衝液を1.5mL添加して、この時の溶出液1.5mLを回収し、280nmの吸光度を測定した。HPLCやビウレット法による検討で事前に導いた算出式(Abs280=0.343のときに1mg/mL)を用いて濃度を算出した。その結果、リガンド固定化量は、6.6mg/mL−gelであり、固定化収率は67%であった。
(実施例6)試作アフィニティー分離マトリックスのヒトIgG結合容量評価
試作アフィニティー分離マトリックスのヒトIgG結合容量を評価するために、アフィニティークロマトグラフィー実験による抗体dBC測定を行った。ヒトIgGとしては、ガンマグロブリン(ニチヤク株式会社製)を、標準緩衝液(20mM Na−Pi、150mM NaCl、pH7.4)で150倍に希釈して1mg/mLの濃度に調整した溶液を用いた。また、クロマトシステムAKTAprime plusのセルをこの溶液が100%通過しているときのAbs280(100% Abs280)をあらかじめ測定した。なお、HiTrap NHS Activated HP(1 mL)はφ0.7×2.5cm(0.96mL)なので、一連の操作では1mLを1CVとした。
試作アフィニティー分離マトリックスのヒトIgG結合容量を評価するために、アフィニティークロマトグラフィー実験による抗体dBC測定を行った。ヒトIgGとしては、ガンマグロブリン(ニチヤク株式会社製)を、標準緩衝液(20mM Na−Pi、150mM NaCl、pH7.4)で150倍に希釈して1mg/mLの濃度に調整した溶液を用いた。また、クロマトシステムAKTAprime plusのセルをこの溶液が100%通過しているときのAbs280(100% Abs280)をあらかじめ測定した。なお、HiTrap NHS Activated HP(1 mL)はφ0.7×2.5cm(0.96mL)なので、一連の操作では1mLを1CVとした。
クロマトシステムAKTAprime plusに試作アフィニティー分離マトリックスを接続し、流速2.0mL/minで標準緩衝液を5CV流して平衡化した。次に、流速1.9mL/min(296cm/h)でヒトIgG溶液を流し、モニタリング吸光度が100% Abs280の5%を超えるまで続けた。その後、流速2.0mL/minで標準緩衝液を13CV流し、続いて、溶出緩衝液(35mM Acetate、pH3.5)を15CV流し、ヒトIgGを溶出した。モニタリング吸光度が100% Abs280の5%を超えたときまでに流したヒトIgGの総量を抗体dBC(抗体5% dBC)とした。
試作したアフィニティー分離マトリックスの評価結果を表3に示す。
試作したアフィニティー分離マトリックスの評価結果を表3に示す。
試作したアフィニティー分離マトリックスの抗体5% dBCは、25.7mg/mL−gelであった。比較例1で試作したアフィニティー分離マトリックスの抗体5% dBCは、ほぼ同じ固定化量において、17.5mg/mL−gelであった。本発明で得られたリガンドは、リガンド固定化量あたりの抗体結合容量を有意に向上させることが可能であるということを示す実験結果と考えられる。なお、試作1のリガンドの抗体への親和定数は実施例3(表2)と若干異なるが、これは、測定したときのサンプルが若干違う(実施例4での、発現系の変更、および、C末へのLys付与)ことによるもので、それに伴う誤差範囲と言える。また、表の抗体への親和定数は、実施例3に従って測定した値である。
(実施例7)連結型Cドメイン変異体の調製
本発明の技術は、複数のドメインがタンデムに連結された場合にも、適応が可能である。さらに、ドメイン間のリンカー部分の配列が変わった場合、担体への固定化に利用される末端の配列が変わった場合、および、他の変異が入った場合にも、適応が可能である。以下の(1)〜(4)に、今回取得した連結型Cドメイン変異体の発現プラスミド調製方法を示した。
本発明の技術は、複数のドメインがタンデムに連結された場合にも、適応が可能である。さらに、ドメイン間のリンカー部分の配列が変わった場合、担体への固定化に利用される末端の配列が変わった場合、および、他の変異が入った場合にも、適応が可能である。以下の(1)〜(4)に、今回取得した連結型Cドメイン変異体の発現プラスミド調製方法を示した。
(1)C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.4d(or 2d)_type.1
以下のSTEP.1〜2を経て得られた発現プラスミドを用いて、実施例4と同様にリガンドとなるタンパク質を取得したとき、その一次配列は、配列番号33に示す通りであり、各ドメインの後ろにSerが付与された形で(Serがリンカーとなって)連結され、さらに、C末端にLysが付与された配列となる。この発現プラスミドのコードDNA配列は配列番号34に示す。
以下のSTEP.1〜2を経て得られた発現プラスミドを用いて、実施例4と同様にリガンドとなるタンパク質を取得したとき、その一次配列は、配列番号33に示す通りであり、各ドメインの後ろにSerが付与された形で(Serがリンカーとなって)連結され、さらに、C末端にLysが付与された配列となる。この発現プラスミドのコードDNA配列は配列番号34に示す。
[STEP.1]単ドメイン型→2ドメイン型
工程1)実施例1で得られたC−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号21)をコードする発現プラスミドを鋳型として、配列番号31および35のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行い、PCR反応精製産物を制限酵素PstIとBamHIで処理し、インサート用二本鎖DNAを調製した。
工程1)実施例1で得られたC−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号21)をコードする発現プラスミドを鋳型として、配列番号31および35のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行い、PCR反応精製産物を制限酵素PstIとBamHIで処理し、インサート用二本鎖DNAを調製した。
工程2)同じ鋳型を用いて、配列番号32および36のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行い、PCR反応精製産物を制限酵素BglII(タカラバイオ株式会社製)とEcoRIで処理し、インサート用二本鎖DNAを調製した。
工程3)これら2種のインサート用二本鎖DNAを、実施例4で用いた、制限酵素(PstI/EcoRI)処理と脱リン酸化処理を施したpNK3260’と混合し、Ligation Highを用いたライゲーション反応によって、Cドメイン変異体が2個タンデムに連結されたC−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.2d_type.1の発現プラスミドを構築した。
[STEP.2]2ドメイン型→4ドメイン型
工程1)C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.2d_type.1の発現プラスミドを鋳型として、配列番号35および37のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行い、PCR反応精製産物を制限酵素BglIIとEcoRIで処理し、インサート用二本鎖DNAを調製した。
工程1)C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.2d_type.1の発現プラスミドを鋳型として、配列番号35および37のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行い、PCR反応精製産物を制限酵素BglIIとEcoRIで処理し、インサート用二本鎖DNAを調製した。
工程2)C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.2dの発現プラスミド(つまりPCRの鋳型に用いたものと同じ)を、制限酵素(BamHI/EcoRI)処理し、脱リン酸化処理を施した。
工程3)工程1と工程2で得られた各々の反応精製物を混合し、ライゲーション反応によって、Cドメイン変異体が4個タンデムに連結された、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.4dの発現プラスミドを構築した。
(2)C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.4d(or 2d)_type.2
以下のSTEP.1〜2を経て得られた発現プラスミドを用いて、実施例4と同様にリガンドとなるタンパク質を取得したとき、その一次配列は、配列番号38に示す通りであり、リンカー残基を介さずドメイン同士が直接連結され、さらに、C末端のGlyをLysに置換変異することで、末端にLysが付与された配列となる。つまり、見方を変えれば、一番C末端側(4番目)のドメインのみ、Lysを変異せず残した配列となるが、本発明の本質を変える改変ではない。比較対照となるLysが変異されず残ったままの連結型Cドメイン変異体とリガンドとアミノ酸残基数を揃えるため、つまり、比較対照との余計な相違点を極力減らすために便宜上行った改変である。この発現プラスミドのコードDNA配列は配列番号39に示す。
以下のSTEP.1〜2を経て得られた発現プラスミドを用いて、実施例4と同様にリガンドとなるタンパク質を取得したとき、その一次配列は、配列番号38に示す通りであり、リンカー残基を介さずドメイン同士が直接連結され、さらに、C末端のGlyをLysに置換変異することで、末端にLysが付与された配列となる。つまり、見方を変えれば、一番C末端側(4番目)のドメインのみ、Lysを変異せず残した配列となるが、本発明の本質を変える改変ではない。比較対照となるLysが変異されず残ったままの連結型Cドメイン変異体とリガンドとアミノ酸残基数を揃えるため、つまり、比較対照との余計な相違点を極力減らすために便宜上行った改変である。この発現プラスミドのコードDNA配列は配列番号39に示す。
[STEP.1]単ドメイン型→2ドメイン型
工程1)(1)と同じ発現プラスミドを鋳型として、配列番号31および40のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行い、PCR反応精製産物を制限酵素PstIとcfr13I(タカラバイオ株式会社製)で処理し、インサート用二本鎖DNAを調製した。
工程1)(1)と同じ発現プラスミドを鋳型として、配列番号31および40のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行い、PCR反応精製産物を制限酵素PstIとcfr13I(タカラバイオ株式会社製)で処理し、インサート用二本鎖DNAを調製した。
工程2)同じ鋳型を用いて、配列番号41および42のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行い、PCR反応精製産物を制限酵素cfr13IとEcoRIで処理し、インサート用二本鎖DNAを調製した。
工程3)これら2種のインサート用二本鎖DNAを、実施例4で用いた、制限酵素(PstI/EcoRI)処理と脱リン酸化処理を施したpNK3260’と混合し、ライゲーション反応によって、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.2d_type.2の発現プラスミドを構築した。
[STEP.2]2ドメイン型→4ドメイン型
工程1)C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.2d_type.2の発現プラスミドを鋳型として、配列番号43および44のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、クイックチェンジ法を行い、cfr13Iサイトを無くするモディフィケーションを施した発現プラスミドを調製した。
工程1)C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.2d_type.2の発現プラスミドを鋳型として、配列番号43および44のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、クイックチェンジ法を行い、cfr13Iサイトを無くするモディフィケーションを施した発現プラスミドを調製した。
工程2)同じ鋳型を用いて、配列番号40および45のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行い、PCR反応精製産物を制限酵素PstIとcfr13Iで処理し、インサート用二本鎖DNAを調製した。
工程3)工程2と同じ鋳型を用いて、配列番号41および42のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行い、PCR反応精製産物を制限酵素cfr13IとEcoRIで処理し、インサート用二本鎖DNAを調製した。
工程4)工程2と工程3で得られた各々の反応精製物を混合し、ライゲーション反応によって、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.4d_type.2の発現プラスミドを構築した。
(3)C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.4d(or 2d)_type.2
以下のSTEP.1〜2を経て得られた発現プラスミドを用いて、実施例4と同様にリガンドとなるタンパク質を取得したとき、その一次配列は、配列番号46に示す通りであり、(2)と一番C末端側(4番目)のドメインを除いて、K58GがK58Rになった配列となる。つまり、リジンを全てアルギニンに変異したCドメイン変異体である。固定化のためのLysを付与したことによって、結果的には、28個あるリジン残基をアルギニンに置換する変異について、C末端に位置する1個のリジン残基のみ、置換せずに残した配列となった。この発現プラスミドのコードDNA配列は配列番号47に示す。
以下のSTEP.1〜2を経て得られた発現プラスミドを用いて、実施例4と同様にリガンドとなるタンパク質を取得したとき、その一次配列は、配列番号46に示す通りであり、(2)と一番C末端側(4番目)のドメインを除いて、K58GがK58Rになった配列となる。つまり、リジンを全てアルギニンに変異したCドメイン変異体である。固定化のためのLysを付与したことによって、結果的には、28個あるリジン残基をアルギニンに置換する変異について、C末端に位置する1個のリジン残基のみ、置換せずに残した配列となった。この発現プラスミドのコードDNA配列は配列番号47に示す。
[STEP.1]単ドメイン型→2ドメイン型
工程自体は(2)の[STEP.1]と同じ。使うオリゴヌクレオチドプライマーについて、工程1)では配列番号31および48を、工程2)では配列番号42および49を使用した。制限酵素については、工程1)ではPstIとXhoI(タカラバイオ株式会社製)、工程2)では、XhoIとEcoRIを使用した。最終的に、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type.2の発現プラスミドを構築した。
工程自体は(2)の[STEP.1]と同じ。使うオリゴヌクレオチドプライマーについて、工程1)では配列番号31および48を、工程2)では配列番号42および49を使用した。制限酵素については、工程1)ではPstIとXhoI(タカラバイオ株式会社製)、工程2)では、XhoIとEcoRIを使用した。最終的に、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type.2の発現プラスミドを構築した。
[STEP.2]2ドメイン型→4ドメイン型
工程自体は(2)の[STEP.2]と同じ。(3)の[STEP.1]で構築した発現プラスミドを、工程1)の鋳型とした。使うオリゴヌクレオチドプライマーについては、工程1)では配列番号50および51を、工程2)では配列番号45および48を、工程3)では配列番号42および49を使用した。制限酵素については、工程2)ではPstIとXhoI、工程3)では、XhoIとEcoRIを使用した。最終的に、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type.2の発現プラスミドを構築した。
工程自体は(2)の[STEP.2]と同じ。(3)の[STEP.1]で構築した発現プラスミドを、工程1)の鋳型とした。使うオリゴヌクレオチドプライマーについては、工程1)では配列番号50および51を、工程2)では配列番号45および48を、工程3)では配列番号42および49を使用した。制限酵素については、工程2)ではPstIとXhoI、工程3)では、XhoIとEcoRIを使用した。最終的に、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type.2の発現プラスミドを構築した。
(4)C−K04R/K07R/G29A/S33E/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.4d(or 2d)_type.2
以下のSTEP.0〜2を経て得られた発現プラスミドを用いて、実施例4と同様にリガンドとなるタンパク質を取得したとき、その一次配列は、配列番号52に示す通りであり、(3)のコンストラクトの全てのドメインに変異S33Eが導入された配列となる。この発現プラスミドのコードDNA配列は配列番号53に示す。
以下のSTEP.0〜2を経て得られた発現プラスミドを用いて、実施例4と同様にリガンドとなるタンパク質を取得したとき、その一次配列は、配列番号52に示す通りであり、(3)のコンストラクトの全てのドメインに変異S33Eが導入された配列となる。この発現プラスミドのコードDNA配列は配列番号53に示す。
[STEP.0]単ドメイン型への変異の導入
実施例1で得られた発現プラスミド、配列番号21をコードするDNAを含むpGEX−2T、を鋳型として、配列番号54および55のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、クイックチェンジ法にて、変異が導入された発現プラスミドを構築した。
実施例1で得られた発現プラスミド、配列番号21をコードするDNAを含むpGEX−2T、を鋳型として、配列番号54および55のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、クイックチェンジ法にて、変異が導入された発現プラスミドを構築した。
[STEP.1]単ドメイン型→2ドメイン型
工程自体は(3)のSTEP.1と同じである。最終的に、C−K04R/K07R/G29A/S33E/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type.2の発現プラスミドを構築した。
工程自体は(3)のSTEP.1と同じである。最終的に、C−K04R/K07R/G29A/S33E/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type.2の発現プラスミドを構築した。
[STEP.2]2ドメイン型→4ドメイン型
工程自体は(3)のSTEP.2と同じである。最終的に、C−K04R/K07R/G29A/S33E/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.4d_type.2の発現プラスミドを構築した。
工程自体は(3)のSTEP.2と同じである。最終的に、C−K04R/K07R/G29A/S33E/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.4d_type.2の発現プラスミドを構築した。
上記の発現プラスミドを用いて、実施例4と同様の方法でブレビバチルス・チョウシネンシスFY−1株を形質転換した。得られた形質転換体を用いて、実施例4と同様の方法で連結型Cドメイン変異体の大量調製を行った。
(実施例8)SDS−PAGE解析による新規ポリペプチドのアルカリに対する安定性評価
実施例7で取得したポリペプチドについて、アルカリ性条件下で一定時間インキュベートする処理を行った後の、SDS−PAGE上のバンドの状態を比較することでアルカリに対する安定性を評価した。
実施例7で取得したポリペプチドについて、アルカリ性条件下で一定時間インキュベートする処理を行った後の、SDS−PAGE上のバンドの状態を比較することでアルカリに対する安定性を評価した。
アルカリ処理は次の方法で行った。200μMの各種ポリペプチドに対して、最終濃度が0.5MとなるようにNaOHを加えて、25℃にて4、8、および、24時間インキュベートし、0.5M HCl(あらかじめpHが中性に戻ることを確認した一定容量)をポリペプチド溶液に対して添加することで中和し、SDS−PAGE用サンプルとした。アルカリ処理前(処理後0時間)のSDS−PAGE用サンプルは、ポリペプチド濃度、溶液の組成が同じになるように、アルカリ処理時に加えるNaOH溶液、および、中和処理時に加えるHCl溶液を、あらかじめ混合させた溶液を加えることで調製した。電源搭載型ミニスラブ電気泳動槽パジェランに15%ポリアクリルアミド・プレキャストゲル「e・PAGEL」(共にアトー株式会社製)を用いて、付属のマニュアル(定法)に従いSDS−PAGEを行った。染色・脱色処理後の電気泳動ゲルを画像読取装置ChemiDoc XRS(バイオ・ラッドラボラトリ−ズ株式会社製)を用いて電子画像化し、バンドの解析(デンシトメトリー)付属のソフトQuantity One(バイオ・ラッドラボラトリ−ズ株式会社製)にて、マニュアルに従って行った。図2にSDS−PAGEの電子画像を示す。
アルカリ処理から24時間後のバンド強度比(アルカリ処理前を100%としたときの残存率)について、公知の高アルカリ耐性ポリペプチド(比較例1、C−G29A.2d)が55.0%であったのに対し、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.2d_type.2のポリペプチドが60.9%、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type.2のポリペプチドが91.6%であった。
本発明のポリペプチドは、厳しいアルカリ条件下でも優れた安定性を示すことが分かった。特に、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type.2のポリペプチドは、0.5M NaOH、25℃で4時間インキュベートしても、バンド強度がほとんど変化しない(99.8%)ことから、様々な局面で極めて実用性の高いポリペプチドであると言える。
(実施例9)連結型Cドメイン変異体のゲル濾過クロマトグラフィーによるキャラクタリゼーション
実施例7で得られたC−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.4d(or .2d)type.1について、ゲル濾過クロマトグラフィーにて、保持時間(ピーク溶出位置)を基にした見かけの分子量の分析を行った。
実施例7で得られたC−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.4d(or .2d)type.1について、ゲル濾過クロマトグラフィーにて、保持時間(ピーク溶出位置)を基にした見かけの分子量の分析を行った。
ゲル濾過カラムとして、「Superdex 75 10/300 GL」(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)を、クロマトシステムAKTAprime plusに接続し、標準緩衝液にて平衡化後、サンプルを添加し、その後再び標準緩衝液を通液し、保持時間(ピーク溶出位置)を求めた。全ての操作は、流速0.5mL/minに固定し、連続的に実施した。見かけの分子量を保持時間から算出するための検量線を作成するため、上述と同じ操作にて3種類の分子量マーカー・タンパク質(表4参照)の保持時間を求めた。縦軸yをlog(MW)、横軸xを保持時間(min)として、分子量マーカーのデータをプロットしたところ、検量線y=−0.0834x+6.5794が作成できた(MWは分子量[Da])。この検量線に従って、見かけの分子量も求めた。
C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.2d_type.1およびC−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.4d_type.1の保持時間、並びに見かけの分子量を、同じ2ドメイン型、4ドメイン型のC−G29A/S33Eと比較する形で、表4にまとめた。
本発明のタンパク質は、Lysを置換していないCドメイン変異体に比べて、保持時間が長くなる傾向が見られた。一般に、実際の分子量と、保持時間から見積もられた見かけの分子量はその値が近ければ近いほど、標準的な球状タンパク質であると考えられる。一方、実際の分子量よりも見かけの分子量が大きければ大きい程、標準的な球状タンパク質から外れた形状(例えば立体的に広がっている)であると考えられる。プロテインA(複数ドメイン型Cドメイン)は、標準的な球状タンパク質からは外れた形状と推測されており、本発明で得られた変異体もその傾向は変わらない。しかし、変異導入によって見かけの分子量が小さくなっている傾向が明確に認められ、変異導入によって全体として少しコンパクトな三次元構造を取る可能性が示唆された。本発明のタンパク質は、コンパクトな三次元構造を取るために、より複雑に折りたたまれている可能性がある。
(実施例10)連結型Cドメイン変異体固定化担体の試作および評価
実施例7で得られた各種変異体に関して、実施例5と同様の手法にて、固定化担体を試作し、実施例6と同様の手法にて、試作アフィニティー分離マトリックスのヒトIgG結合能評価を実施した。実施例6の発現プラスミドについては、2連結型(2d)と4連結型(4d)の両方を調製したが、ブレビバチルス発現系での調製は、(1)は4連結型、(2)〜(4)は2連結型のみ、リガンド調製を実施した。なお、アフィニティー分離マトリックスの試作に用いたリガンド溶液の濃度については、常に10mg/mLではなかった。詳細については省略し、重要なリガンド固定化量についてのみ、表中に記載する。
実施例7で得られた各種変異体に関して、実施例5と同様の手法にて、固定化担体を試作し、実施例6と同様の手法にて、試作アフィニティー分離マトリックスのヒトIgG結合能評価を実施した。実施例6の発現プラスミドについては、2連結型(2d)と4連結型(4d)の両方を調製したが、ブレビバチルス発現系での調製は、(1)は4連結型、(2)〜(4)は2連結型のみ、リガンド調製を実施した。なお、アフィニティー分離マトリックスの試作に用いたリガンド溶液の濃度については、常に10mg/mLではなかった。詳細については省略し、重要なリガンド固定化量についてのみ、表中に記載する。
実施例7の(1)C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.4d_type.1の試作アフィニティー分離マトリックスのヒトIgG結合能評価結果を表5に示す。
本発明によって得られた連結型Cドメイン変異体を固定化した試作アフィニティー分離マトリックスは、比較対照に対して、リガンド固定化量が有意に低いにもかかわらず、有意に高い抗体dBCを示した。
実施例7の(2)C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.2d_type.2、および、(3)C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type.2を固定化した、各々の試作アフィニティー分離マトリックスのヒトIgG結合能評価結果を表6に示す。なお、表の抗体への親和定数は、実施例3に従って測定した値である。
各々の試作アフィニティー分離マトリックスは、比較3に対して、ほぼ同等のリガンド固定化量でありながら、有意に高い抗体dBCを示した。本発明で得られた連結型リガンドは、連結様式(ドメイン間のリンカー残基)が多少異なっても、また、リジン置換変異の種類が多少異なっても、一定のリガンド固定化量あたりの抗体結合容量を有意に向上させることが可能であるという点で、同様の効果をもたらすことを示す実験結果と考えられる。さらに、連結するドメイン数が変わっても、抗体dBCを向上する効果は発揮されることを示す実験結果と考えられる。単ドメインのときに比べて抗体dBCの向上の度合いはやや低いが、比較している数値は、抗体が結合する容量(キャパシティー)なので、向上の度合いがドメイン数や固定化用基材などによって異なるのは、むしろ当然の結果と考えられる。なお、表の抗体への親和定数は、実施例3に従って測定した値である。
(実施例11)2ドメイン型各種Cドメイン変異体の調製
実施例1において取得した、配列番号10(C−K04R/K07E/G29A/K35H/K42R/K49Q/K50R/K58G.1d)をコードする発現プラスミドを鋳型として、実施例1の表1に示したプライマー、および、表7に示したプライマーを利用して、実施例1に記載の配列番号21〜25の変異体とは配列が異なる新たな変異体の発現プラスミドを取得した。変異の導入は、実施例1と同様にクイックチェンジ法によって導入した。表7には、表1に未記載の、2種類のプライマーの組み合わせ、および、導入されるアミノ酸変異との関係をまとめた。
実施例1において取得した、配列番号10(C−K04R/K07E/G29A/K35H/K42R/K49Q/K50R/K58G.1d)をコードする発現プラスミドを鋳型として、実施例1の表1に示したプライマー、および、表7に示したプライマーを利用して、実施例1に記載の配列番号21〜25の変異体とは配列が異なる新たな変異体の発現プラスミドを取得した。変異の導入は、実施例1と同様にクイックチェンジ法によって導入した。表7には、表1に未記載の、2種類のプライマーの組み合わせ、および、導入されるアミノ酸変異との関係をまとめた。
発現される変異体は、以下の通りである。
C−K04R/K07R/G29A/K35I/K42R/K49Q/K50R/K58G.1d(配列番号58)
C−K04R/K07D/G29A/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58G.1d(配列番号59)
C−K04R/K07R/G29A/K35I/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号60)
C−K04R/K07R/G29A/K35H/K42R/K49Q/K50R/K58G.1d(配列番号61)
C−K04R/K07E/G29A/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58G.1d(配列番号62)
C−K04R/K07R/G29A/K35H/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号63)
C−K04R/K07D/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号64)
C−K04R/K07R/G29A/K35I/K42R/K49Q/K50R/K58G.1d(配列番号58)
C−K04R/K07D/G29A/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58G.1d(配列番号59)
C−K04R/K07R/G29A/K35I/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号60)
C−K04R/K07R/G29A/K35H/K42R/K49Q/K50R/K58G.1d(配列番号61)
C−K04R/K07E/G29A/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58G.1d(配列番号62)
C−K04R/K07R/G29A/K35H/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号63)
C−K04R/K07D/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58G.1d(配列番号64)
上記の変異体を発現する発現プラスミド、および、実施例1に記載の配列番号22、24、および、25の発現プラスミドを利用して、実施例7の(3)の[STEP.1]に記載の手法にて、2ドメイン型(2d_type.2)の発現プラスミドを調製した。以後の実施例に用いた連結型Cドメイン変異体は、実施例7で取得済みのプラスミドを加えて、以下の通りである。
C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号65)
C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58R.2d_type2(配列番号66)
C−K04R/K07D/G29A/K35R/K42R/K49R/K50H/K58R.2d_type2(配列番号67)
C−K04R/K07E/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号68)
C−K04R/K07R/G29A/K35I/K42R/K49Q/K50R/K58R.2d_type2(配列番号69)
C−K04R/K07D/G29A/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58R.2d_type2(配列番号70)
C−K04R/K07R/G29A/K35I/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号71)
C−K04R/K07R/G29A/K35H/K42R/K49Q/K50R/K58R.2d_type2(配列番号72)
C−K04R/K07E/G29A/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58R.2d_type2(配列番号73)
C−K04R/K07R/G29A/K35H/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号74)
C−K04R/K07D/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号75)
C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号65)
C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58R.2d_type2(配列番号66)
C−K04R/K07D/G29A/K35R/K42R/K49R/K50H/K58R.2d_type2(配列番号67)
C−K04R/K07E/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号68)
C−K04R/K07R/G29A/K35I/K42R/K49Q/K50R/K58R.2d_type2(配列番号69)
C−K04R/K07D/G29A/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58R.2d_type2(配列番号70)
C−K04R/K07R/G29A/K35I/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号71)
C−K04R/K07R/G29A/K35H/K42R/K49Q/K50R/K58R.2d_type2(配列番号72)
C−K04R/K07E/G29A/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58R.2d_type2(配列番号73)
C−K04R/K07R/G29A/K35H/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号74)
C−K04R/K07D/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号75)
上記の発現プラスミドを用いて、実施例4と同様の方法で、ブレビバチルス・チョウシネンシスFY−1組換え菌を用いて変異体を発現・精製した。
(実施例12)2ドメイン型各種Cドメイン変異体のヒトIgGとの親和性の解析
2ドメイン型各種Cドメイン変異体のヒトIgGとの親和性を、Biacoreを用いて、実施例3に記載の手法に従って解析した。なお、2ドメイン型各種Cドメイン変異体は、ランニング緩衝液を用いて、0.1〜1000nMの範囲で異なる濃度の溶液を3〜6種類調製し、センサーチップに添加した。2ドメイン型は単ドメイン型とは結合モード(量論比)が異なるが、実施例3と同様に、1:1の結合モデルと仮定してフィッティングを行った。算出したヒトIgGに対する親和定数を表8に示す。
2ドメイン型各種Cドメイン変異体のヒトIgGとの親和性を、Biacoreを用いて、実施例3に記載の手法に従って解析した。なお、2ドメイン型各種Cドメイン変異体は、ランニング緩衝液を用いて、0.1〜1000nMの範囲で異なる濃度の溶液を3〜6種類調製し、センサーチップに添加した。2ドメイン型は単ドメイン型とは結合モード(量論比)が異なるが、実施例3と同様に、1:1の結合モデルと仮定してフィッティングを行った。算出したヒトIgGに対する親和定数を表8に示す。
ヒトIgGに対する親和定数は、いずれのタンパク質に関しても、5.0×108M〜5.0×109Mの範囲に収まった。この結果は、リジン残基を他のアミノ酸で置換する変異の組み合わせが多様性に富むことが示された。なお、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2の抗体親和定数の値が表5(7.5×108M−1)と異なるが、これは実験のセンサーチップを新しく作り直したことが原因と考えられ、抗体親和定数においては想定される範囲の誤差にすぎない。
実施例11で得られた2ドメイン型Cドメイン変異体について、実施例8と同様に、SDS−PAGE解析を利用した方法で、アルカリ耐性を評価した。図3にSDS−PAGEの電子画像を示す。
アルカリ処理から24時間後のバンド強度比は、C−K04R/K07R/G29A/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58R.2d_type2は73.4%、C−K04R/K07R/G29A/K35I/K42R/K49Q/K50R/K58R.2d_type2は79.0%、C−K04R/K07R/G29A/K35I/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2は85.6%、C−K04R/K07R/G29A/K35H/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2は82.8%であった。これらのポリペプチドが、厳しいアルカリ条件下でも優れた安定性を有することが示された。
(実施例13)Ser−33/Asp−36に変異が導入された連結型Cドメイン変異体の調製および評価
Ser−33やAsp−36に変異が入った連結型Cドメイン変異体をコードする、複数種のコンストラクトを、実施例7の(4)と同様の手法で調製した。導入した変異の種類と、実施例7の(4)の[STEP.0]の工程で利用したオリゴヌクレオチドプライマーの配列を、表9に示す。なお、本実施例における、当該ステップで利用した鋳型プラスミドの配列は、配列番号21、22、および63のいずれかのコンストラクトの発現プラスミドである。
Ser−33やAsp−36に変異が入った連結型Cドメイン変異体をコードする、複数種のコンストラクトを、実施例7の(4)と同様の手法で調製した。導入した変異の種類と、実施例7の(4)の[STEP.0]の工程で利用したオリゴヌクレオチドプライマーの配列を、表9に示す。なお、本実施例における、当該ステップで利用した鋳型プラスミドの配列は、配列番号21、22、および63のいずれかのコンストラクトの発現プラスミドである。
実際に調製した2ドメイン型各種Cドメイン変異体、および、4ドメイン型各種Cドメイン変異体は、実施例7の(4)で調製した変異体を含めて下記の通りである。
C−K04R/K07R/G29A/S33E/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号88)
C−K04R/K07D/G29A/S33L/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号89)
C−K04R/K07E/G29A/K35R/D36I/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号90)
C−K04R/K07R/G29A/S33E/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.4d_type2(配列番号52)
C−K04R/K07R/G29A/S33Q/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58R.4d_type2(配列番号91)
C−K04R/K07R/G29A/S33H/K35H/K42R/K49R/K50R/K58R.4d_type2(配列番号92)
C−K04R/K07R/G29A/S33R/K35H/K42R/K49R/K50R/K58R.4d_type2(配列番号93)
実施例4と同様の方法で、ブレビバチルス・チョウシネンシスFY−1組換え菌を用いて変異体を発現および精製した。
C−K04R/K07R/G29A/S33E/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号88)
C−K04R/K07D/G29A/S33L/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号89)
C−K04R/K07E/G29A/K35R/D36I/K42R/K49R/K50R/K58R.2d_type2(配列番号90)
C−K04R/K07R/G29A/S33E/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.4d_type2(配列番号52)
C−K04R/K07R/G29A/S33Q/K35R/K42R/K49Q/K50R/K58R.4d_type2(配列番号91)
C−K04R/K07R/G29A/S33H/K35H/K42R/K49R/K50R/K58R.4d_type2(配列番号92)
C−K04R/K07R/G29A/S33R/K35H/K42R/K49R/K50R/K58R.4d_type2(配列番号93)
実施例4と同様の方法で、ブレビバチルス・チョウシネンシスFY−1組換え菌を用いて変異体を発現および精製した。
各種Cドメイン変異体のヒトIgGとの親和性を、Biacoreを用いて、実施例3に記載の手法で解析した。なお、各種Cドメイン変異体は、ランニング緩衝液を用いて、0.1〜1000nMの範囲で異なる濃度の溶液を3〜6種類調製し、センサーチップに添加した。2ドメイン型は単ドメイン型とは結合モード(量論比)が異なるが、実施例3と同様に、1:1の結合モデルと仮定してフィッティングを行った。算出したヒトIgGに対する親和定数を表10に示す。
2ドメイン型Cドメイン変異体については、ヒトIgGに対する親和定数は、いずれのタンパク質に関しても、1.0×108M〜1.0×109Mの範囲に収まった。4ドメイン型Cドメイン変異体については、2ドメイン型よりもさらに抗体への結合が強く解離速度が極めて遅いため、解離速度定数(koff)の正確な算出が難しく、抗体親和定数(KA=kon/koff)での比較は難しかった。したがって、結合速度定数(kon)によって比較した。各々の4ドメイン型Cドメイン変異体の結合速度定数は、ほぼ同程度であった。この結果は、本発明における変異体が、配列中のSer−33の変異アミノ酸の種類、Lys残基への置換アミノ酸の種類、および、その組み合わせが変わっても、同様の機能を発揮することを示す。
これらの各種2ドメイン型Cドメイン変異体を使用して、実施例6と同様の方法でアフィニティー分離マトリックスを作製し、実施例6と同様の方法でアフィニティー分離マトリックスのヒトIgG結合能を評価した。試作したアフィニティー分離マトリックスの各種2ドメイン型Cドメイン変異体の固定化量、および、ヒトIgG結合能の評価結果を表11に示す。
試作したアフィニティー分離マトリックスは、比較対照に対して、リガンド固定化量が同等程度であるにもかかわらず、有意に高い抗体dBCを示した。プロテインAの免疫グロブリン結合性ドメインに含まれるLys以外の複数のアミノ酸が置換されている場合でも、全てのLys残基に対してアミノ酸置換変異を導入することにより、本発明の効果を奏することが示された。
(実施例14)試作アフィニティー分離マトリックスのアルカリ耐性評価
リガンドを固定化したアフィニティー分離マトリックスのアルカリ耐性を、アルカリ処理後の抗体結合容量を基準に評価した。
アフィニティー分離マトリックスは、実施例10で得られた表6の試作4のマトリックス、および、実施例13で得られた表11の試作5〜7(比較3も含む)のマトリックスを使用した。0.5M NaOHを0.1mL/minで1時間流し、その後標準緩衝液を5CV流して平衡化するサイクルを5回繰返し、その後、実施例6と同様の方法で、抗体dBCを測定した。アルカリ処理後の抗体dBC測定結果を、アルカリ処理前の抗体dBCと比較して、表12に示す。
リガンドを固定化したアフィニティー分離マトリックスのアルカリ耐性を、アルカリ処理後の抗体結合容量を基準に評価した。
アフィニティー分離マトリックスは、実施例10で得られた表6の試作4のマトリックス、および、実施例13で得られた表11の試作5〜7(比較3も含む)のマトリックスを使用した。0.5M NaOHを0.1mL/minで1時間流し、その後標準緩衝液を5CV流して平衡化するサイクルを5回繰返し、その後、実施例6と同様の方法で、抗体dBCを測定した。アルカリ処理後の抗体dBC測定結果を、アルカリ処理前の抗体dBCと比較して、表12に示す。
以上の結果から、本発明で得られたアフィニティー分離マトリックスは、0.5M NaOHで5時間処理しても、抗体結合容量の低下が10%以下に押さえられることが分かった。特許文献2に記載されているように、従来は、リジンのアミノ基を利用してリガンドを固定化したアフィニティー分離マトリックスは、固定化点であるリジン残基数が多ければ多い方がアルカリ等に対する化学的安定性が高いことが定説であった。しかし、固定化点がリガンド中に14個ある比較3のマトリックスと比較して、固定化点がリガンド中に1個しかない試作4〜7のマトリックスが、ほぼ同等のアルカリ耐性を有することが示された。
(実施例15)3ドメイン型Cドメイン変異体の調製及び評価
C−K04R/K07R/G29A/S33L/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.3d_type2(ただしC末端側(3番目)のドメインはLys−58のまま、配列番号94)をコードし、5’末端にNcoI認識サイト、3’末端にXbaI認識サイトを付与したDNA(配列番号95)を外注によって全合成した(Eurogentec社製)。
C−K04R/K07R/G29A/S33L/K35R/K42R/K49R/K50R/K58R.3d_type2(ただしC末端側(3番目)のドメインはLys−58のまま、配列番号94)をコードし、5’末端にNcoI認識サイト、3’末端にXbaI認識サイトを付与したDNA(配列番号95)を外注によって全合成した(Eurogentec社製)。
同様に、リガンドのC末端にLysが入っており、かつ、N末端側から1、2番目のドメインのC末端(ドメイン間のリンカー部分)にもLysが入っている、C−K04R/K07R/G29A/S33L/K35R/K42R/K49R/K50R.3d_type2(配列番号96)をコードするDNA(配列番号97)も外注によって全合成した。
次に、これらのDNAをブレビバチルス発現用ベクターpNK3260’に挿入してリガンド発現プラスミドを調製した。なお、ベクターpNK3260’は、PstI/EcoRIサイトだけでなく、NcoI/XbaI(共にタカラバイオ株式会社製)サイトでも挿入可能である。
この発現プラスミドを用いて、ブレビバチルス・チョウシネンシスFY−1株の形質転換を行い、実施例5と同様の方法で、リガンドを担体に固定化したアフィニティー分離マトリックスを調製した。実施例6と同様の方法で、試作アフィニティー分離マトリックスのヒトIgG結合能を評価した。ただし、ヒトIgG溶液を添加するときの流速は、1.0mL/minとした。その結果を表13に示す。なお、ヒトIgGへの親和定数は、実施例3に従って測定した値であり、リガンド固定化量は、実施例5に従って測定した値である。
3ドメイン型Cドメイン変異体も高い抗体dBCを有することが示された。また、リガンドのC末端で固定化されていれば、ドメイン間のリンカー部分で固定化されても、高い抗体dBCを有することが示された。
(比較例1)C−G29AおよびC−G29A/S33E
C−G29A.1d、C−G29A.2d、C−G29A/S33E.1d、C−G29A.4d、および、C−G29A/S33E.2dの発現プラスミドの調製方法については、公開特許文献(国際公開第2010/110288号パンフレット)の記載に準ずる。詳細は省略するが、記載のない以下の点について補足する。
(1)C−G29A.1dの発現プラスミドは、コードDNAをpGEX−2Tに挿入する形で調製した。
(2)変異S33Eの導入は、クイックチェンジ法にて実施した。
(3)2ドメイン型および4ドメイン型の発現プラスミド調製は、5ドメイン型の発現プラスミドを鋳型としたPCR法で、必要なドメイン数に該当する領域のみ増幅し、ベクターpNK3260’に再挿入することで調製した。
C−G29A.1d、C−G29A.2d、C−G29A/S33E.1d、C−G29A.4d、および、C−G29A/S33E.2dの発現プラスミドの調製方法については、公開特許文献(国際公開第2010/110288号パンフレット)の記載に準ずる。詳細は省略するが、記載のない以下の点について補足する。
(1)C−G29A.1dの発現プラスミドは、コードDNAをpGEX−2Tに挿入する形で調製した。
(2)変異S33Eの導入は、クイックチェンジ法にて実施した。
(3)2ドメイン型および4ドメイン型の発現プラスミド調製は、5ドメイン型の発現プラスミドを鋳型としたPCR法で、必要なドメイン数に該当する領域のみ増幅し、ベクターpNK3260’に再挿入することで調製した。
C−G29A.1dは、発現プラスミドをHB101に形質転換し、実施例2と同様の方法にて調製した。ヒトIgGへの結合力評価は実施例3と同様の方法にて実施した。C−G29A/S33E.1d、C−G29A.2d、C−G29A.4d、および、C−G29A/S33E.2dは、各々の発現プラスミドを用いて、実施例4と同様の手法にて調製した。実施例5と同様の手法にて、固定化担体を試作し、実施例6と同様の手法にて、試作アフィニティー分離マトリックスのヒトIgG結合能評価を実施した。なお、アフィニティー分離マトリックスの試作に用いたリガンド溶液の濃度については、常に10mg/mLではなかった。
Claims (16)
- 配列番号1〜5のいずれかのアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列の、全てのLys(リジン残基)にアミノ酸置換変異を導入したアミノ酸配列を有し、かつ、末端にLysを付与した配列を有するタンパク質であって、前記アミノ酸置換変異の半数以上がArgへの置換変異であるタンパク質。
- 置換変異導入前のアミノ酸配列が、配列番号1〜5のいずれかのアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を複数有する、請求項1に記載のタンパク質。
- 置換変異導入前のアミノ酸配列が、
配列番号1〜5のいずれかのアミノ酸配列、または、
配列番号1〜5のいずれかのアミノ酸配列に、下記(1)〜(4);
(1)配列番号5の29位に対応するアミノ酸残基が、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Thr、Ser、Asp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(2)配列番号5の33位に対応するアミノ酸残基が、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(3)配列番号5の36位に対応するアミノ酸残基が、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである、
(4)配列番号5の37位に対応するアミノ酸残基が、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Glu、Arg、His、または、Metのいずれかである、
の少なくとも1つの変異を導入したアミノ酸配列である、
請求項1または2に記載のタンパク質。 - 全てのLysに対して導入されるアミノ酸置換変異の全てが、Argへの置換変異である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質。
- 以下に示すアミノ酸残基;
Gln−9、Gln−10、Phe−13、Tyr−14、Leu−17、Pro−20、Asn−21、Leu−22、Gln−26、Arg−27、Phe−30、Ile−31、Leu−34、Pro−38、Ser−39、Leu−45、Leu−51、Asn−52、Gln−55、およびPro−57(残基番号は配列番号5に対応する)のうち、
90%以上が保持されており、かつ、配列番号5のアミノ酸配列と比較した配列同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質。 - 複数のアミノ酸配列が、リンカーにより連結されている、請求項2〜5のいずれかに記載のタンパク質。
- リンカーがLysを含む、請求項6に記載のタンパク質。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のタンパク質をコードするDNA。
- 請求項8に記載のDNAを含むベクター。
- 請求項9に記載のベクターで宿主細胞を形質転換して得られる形質転換体。
- 請求項8に記載のDNAを用いた無細胞タンパク質合成系、または、請求項10に記載の形質転換体を用いる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のタンパク質の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のタンパク質をアフィニティーリガンドとして、水不溶性の基材からなる担体に固定化してなる、アフィニティー分離マトリックス。
- 免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質に結合することを特徴とする、請求項12に記載のアフィニティー分離マトリックス。
- 免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質が免疫グロブリンG、または、免疫グロブリンG誘導体である、請求項13に記載のアフィニティー分離マトリックス。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のタンパク質をアフィニティーリガンドとして水不溶性の基材からなる担体に固定することからなる、請求項12〜14のいずれかに記載のアフィニティー分離マトリックスの製造方法。
- 請求項12〜14のいずれか1項に記載のアフィニティー分離マトリックスに免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質を吸着させることを含む、免疫グロブリンのFc領域を含むタンパク質の精製方法。
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