JP3739101B2 - 変異バチルス・ブレビス菌 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な変異バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)に関する。より具体的には、本発明はプロテアーゼ活性を実質的に示さない変異バチルス・ブレビスに関する。
したがって、本発明の変異菌は、特に遺伝子組換え用の宿主として有用である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、遺伝子組換え技術を利用した異種蛋白質の生産は、大腸菌を宿主として利用している。しかし、大腸菌は生産した異種蛋白質を菌体内に蓄積するため、生産量が制限され、異種蛋白質の回収、精製操作が煩雑になる等の問題点がある。また、異種蛋白質を菌体外に分泌することを特徴とする枯草菌を利用した異種蛋白質生産系も確立されたが、分泌された異種蛋白質が枯草菌由来のプロテアーゼの作用により分解され、その蓄積量は著しく少ないという問題点に直面している。
【0003】
一方、鵜▲高▼らは、バチルス属細菌バチルス・ブレビス47(Bacill us brevis47)(FERM P−7224)を宿主とする異種蛋白質生産系を確立し、提案した(例えば、特開昭60−58074号、同62−201583号公報参照)。
バチルス・ブレビス47は菌体外に多量の蛋白質を生産し、菌体外プロテアーゼ活性が弱い特徴をもち、遺伝子組換え技術を利用した異種蛋白質の生産に於いて、大腸菌、枯草菌の欠点を克服した優れた宿主として注目されている。
【0004】
鵜▲高▼らは、バチルス・ブレビス47を用いてα−アミラーゼ(特開昭62−201583号公報、H.Yamagata et.al.,J.Bacteriol 169,1239(1987)参照)やブタペプシノーゲン(鵜▲高▼重三、日本農芸化学会昭62年度大会講演要旨集p837−837、塚越規弘、日本農芸化学会誌61,68(1987)参照)等の分泌生産に成功している。さらに鵜▲高▼らは、バチルス・ブレビス47に比べ菌体外プロテアーゼ活性が著しく低い新規バチルス・ブレビスHPD31(Bacillus brevisHPD31)(FERM BP−1087、H102株と同一菌株である)(特開昭63−56277号公報参照)を分離し、異種蛋白質生産の宿主として利用している。
【0005】
かかる生産系をヒト上皮細胞増殖因子(hEGF)に適用すると、バチルス・ブレビス47(15mg/L)に対して約15倍の高効率でhEGFの生産することが見い出されている(特開平2−31682号公報参照)。また、発現ベクターの最適化によりその生産量は、最高1.2g/Lにも達している(S.Ebisuら、Biosci.Biotech.Biochem.,56(5),812-813,1992参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、バチルス・ブレビスを宿主として用いる異種蛋白質の分泌生産系は大腸菌、枯草菌と比べ非常に効率のよい系であることが認識されている。しかしながら、バチルス・ブレビスHPD31を始めとする従来既知のバチルス属細菌を宿主として用いた異種蛋白質生産系であっても、ヒト成長ホルモン(以下、「hGH」と略記する場合もある)、インターロイキン2(以下、「IL2」と略記する場合もある)等の特定の異種蛋白質の生産に適用すると菌体外に分泌されたそれらの蛋白質が宿主自体のプロテアーゼ活性により分解を受け、その蓄積量が著しく低下するとの問題が生じており、産業上、より安定に異種蛋白質を蓄積する宿主が求められている。
【0007】
したがって、本発明の目的は、従来既知のバチルス・ブレビスに比べて菌体外プロテアーゼ活性が有意に低い変異バチルス・ブレビスを提供することである。この変異バチルス・ブレビスは、代表的な例として、hGH及びIL2の生産に適する菌株である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明による、プロテアーゼ活性を実質的に示さない変異バチルス・ブレビスの提供により解決できる。また、本発明はかかる変異バチルス・ブレビスの宿主菌としての用途も提供する。
【0009】
本発明の変異バチルス・ブレビスを宿主菌として使用すれば、特定の異種蛋白質、特にhGH及びIL2の生産効率を高めることができる。すなわち、本発明の菌株を異種蛋白質をコードするDNAを含有するベクターと組み合わせて使用すると、そのDNAの発現により産生され、そして菌体外に分泌された異種蛋白質を安定に維持、蓄積することが可能である。
【0010】
このような作用及び効果を奏するには、バチルス・ブレビスに、菌体外プロテアーゼ活性を有意に低下させるような変異を誘発することが必要である。本発明にいう「プロテアーゼ活性を実質的に示さない」とは、hGHやIL2その他の蛋白質に対して本発明の変異菌自体がそれらの生産に悪影響を及ぼす程度に作用しないことを意味する。したがって、本発明の変異菌は、少なくともhGH及びIL2を完全に失活または分解するようなプロテアーゼの産生能を有さないことが好ましいが、これらの異種蛋白質の生産系、例えば培養物中での異種蛋白質の生産に許容できる範囲で失活または分解するものであってもよい。
【0011】
また、当然のことに、本発明の変異菌にはhGH及びIL2に加え、他の有用な異種蛋白質に対してもプロテアーゼ活性を実質的に示さないものも包含される。
本発明の変異菌の親菌としては、後述する変異誘発法によって目的の変異菌を創製できるものであれば、バチルス・ブレビスのいずれの種または株に属するものでも使用できる。これらのうち、具体的に好ましいものとしては、本発明者の一人が異種蛋白質の生産用宿主として提案した、バチルス・ブレビス47(FERM P−7224)(特開昭62−201583号公報参照)、バチルス・ブレビスHPD31(FERM BP−1087)(特開昭63−56277号公報参照)を挙げることができる。
【0012】
これらの親菌から本発明の変異菌へと変異する方法としては、微生物に変異を誘発させる方法であればどのような手段を用いてもよいが、たとえば紫外線照射、ガンマー線照射またはニトロソグアニジンのような薬剤処理などが挙げられる。得られる各種変異菌から目的の菌株を選択する方法としては、予めhGHまたはIL2をコードするDNAを含むプラスミドで親菌を形質転換しておき、これらの形質転換体に前記変異処理を行った後、変異菌のhGHまたはIL2の産生能を調べることにより、目的の変異菌株を選ぶのが都合よい。
【0013】
こうして得られた本発明の変異菌の具体的なものの一つは、平成4年11月11日付で微生物工業技術研究所の特許微生物寄託センターに微工研菌寄第13274号(FERM P−13274)として寄託され、平成6年2月17日にFERM BP−4576としてブダペスト条約に基く国際寄託に移管されたバチルス・ブレビスOK(本明細書におけるバチルス・ブレビス31−OKと同一菌株)と命名された菌株を挙げることができる。
【0014】
前述のように本発明の変異菌株は、遺伝子組換え用の宿主菌として有利に使用することができる。したがって、その有用性は以下の使用例によって確認できるであろう。まず、本発明の宿主菌を形質転換するのに使用するhGHまたはIL2をコードするDNAを含有する発現プラスミドを調製する。発現プラスミドは、バチルス・ブレビスで機能するプロモーターを含有しているものが好ましい。
【0015】
プロモーターの具体的なものとしては、例えば前記バチルス・ブレビス47及び同HPD31のプロモーター領域を含有するDNAを挙げることができる。プロモーター領域を含有するDNAは、上記プロモーター以外に、SD配列、翻訳開始コドンなどを有していることが必要であり、さらに主要菌体外蛋白質遺伝子の一部を含んでいてもよい。
【0016】
例えば、hGHはバチルス・ブレビスの菌体内、菌体外のいずれに蓄積されても良いが、菌体外にこれらの蛋白質を蓄積する場合、プロモーター領域を含有するDNAの3′末端側にシグナルペプチドをコードする領域が含まれている必要がある。シグナルペプチドとしては、例えば、バチルス・ブレビス47または同HPD31の主要菌体外蛋白質のシグナルペプチドなどが挙げられる。特に、前者MWP(Middle Wall Protein)のシグナルペプチドはその一例である。
【0017】
遺伝子の発現に用いる発現ベクターとしては、例えば、pHY500,pNU200(特開平2−31682号公報、鵜▲高▼重三、日本農芸化学会誌、61,669(1987)参照)などが挙げられる。
上記のDNAを用いて作成したhGH発現プラスミドはpNU200−GHなどが挙げられる。
【0018】
これらのプラスミドを構築する方法としては、例えばMolecular Cloning 2nd.Ed.,A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory (1990)参照)に記載の方法などが挙げられる。プラスミドの構築に用いる宿主としては、大腸菌、枯草菌、バチルス・ブレビスに属する微生物であればいずれでもよく、例えば大腸菌HB101、大腸菌JM109、枯草菌RM141(J.Bacteriol ., 158,1054(1984) 参照)、バチルス・ブレビス47(FERM P−7224)などが挙げられる。
【0019】
バチルス・ブレビスを形質転換する方法としては、例えば、Takahashi らの方法(J.Bacteriol ., 156, 1130(1983)参照)あるいはエレクトロポレーションによる方法(H.Takagiら、Agric.Bio.Chem.,53, 3099-3100(1989))などが挙げられる。
培養に用いる培地には、炭素源、窒素源の他、無機塩類が必要に応じて含まれる。また、糖と無機塩類を主とする合成培地を用いて培養してもよい。栄養要求性を示す菌株を用いる場合には、その成育に必要な栄養物質を培地に添加する。さらに必要であれば、培地に抗生物質や消泡剤などを加えてもよい。培地の初発pHは5.0〜9.0であり、好ましくは6.5〜7.5である。
【0020】
培養温度は、通常15℃〜42℃、好ましくは24〜37℃であり、培養時間は通常16〜360時間、好ましくは24〜144時間である。
培養終了後、例えば遠心分離、ろ過などで菌体と上清を分離する。菌体内に産生されたhGHは、当該技術分野における通常の方法、例えば超音波破砕法、フレンチプレス法などにより菌体を破砕し、さらに必要ならば界面活性剤を加えることにより抽出される。このようにして得られた培養上清あるいは菌体抽出液中に含まれるhGHは、常用の蛋白質精製法、例えば塩析、等電点沈澱、ゲルろ過、イオン交換、逆層クロマトグラフィーなどの各種クロマトグラフィーなどにより精製され、こうして目的とする異種蛋白質を得ることができる。
【0021】
以上により、有用性が確認されるように、本発明における新規な変異菌は、前述のとおり組換えDNA技術により産生された異種蛋白質を効率よく菌体外に分泌蓄積し、安定に維持可能であることから、遺伝子組換えにおける宿主菌として極めて優れた物である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を参考例及び実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明をこれらのいずれかに限定することを意図するものでない。
例1(参考例):ヒト成長ホルモン遺伝子を含むプラスミドpNU200−GHの構築
池原ら(Ikehara ら.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,81,5956-5960 (1984) 参照)により公表されたヒト成長ホルモンをコードするDNA(HinfI−SalI断片)をプラスミドpGH−L9(Ikehara ら.,同上)より単離した。
【0023】
その断片にMWPのシグナルペプチドとhGHをインフレームで結合するための合成リンカーをT4DNAリガーゼで連結した後、制限酵素NcoIとSalIで処理し、596bpのNcoI−SalI断片を得た。バチルス・ブレビス47の主要膜蛋白質の一つMWP(Middle Wall Protein)のC末端領域を含むプラスミドpBR−AN2(特開平2−257876号公報)から27bp NcoI−SalI断片を除去し、これに前記の596bp NcoI−SalI断片を挿入してプラスミドpBR−AN2−GHを得た。
【0024】
プラスミドpBR−AN2−GHを制限酵素ApaLI,HindIII で処理して656bp ApaLI−HindIII 断片を単離した。一方、プラスミドpNU200(鵜▲高▼重三、日本農芸化学会誌、61、669−676(1987)参照)を制限酵素ApaLI−HindIII で切断し、その大きい断片と上記656bp ApaLI,HindIII 断片をT4DNAリガーゼで連結させた反応液を用いてTakahashi らの方法(J.Bacteriol., 156, 1130(1983) 参照)によってバチルス・ブレビス47(FERM BP−1664,IFO 14698)の形質転換を行った。得られたエリスロマイシン耐性の形質転換体からプラスミドを単離し、これをpNU200−GHと命名した。
【0025】
例2(実施例).バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)31−OKの創製
例1で得たプラスミドpNU200−GHを、Takahashi らの方法により親株バチルス・ブレビスHPD31(特開昭63−56277号公報、FERM BP−1087)に導入し、バチルス・ブレビスHPD31(pNU200−GH)を得た。
【0026】
その形質転換体をT2培地に希釈懸濁し、T2プレートに塗抹した後、紫外線(2J/m2 )に暴露した。30℃で一晩培養し、得られたコロニーを5YC培地に植菌し、30℃で6日間培養した。3日目と6日目の培養液を採取し、培養上清液中に含まれるhGH量を酵素免疫測定法により測定した。この際に、3日目から6日目にかけて培養上清中のhGH量が増加している1株を選択分離した。
【0027】
変異株と親株を比較すると、親株では培養上清中のhGH量が3日目から6日目にかけて減少するのに対して、得られた変異株は、3日目以降もhGH量が増加するという顕著な違いを示した。変異株よりプラスミドを除去するために、変異株をエリスロマイシンを含まないT2培地で繰り返し継代培養した後、エリスロマイシン感受性でかつhGHを生産しない株が容易に得られた。本菌株をバチルス・ブレビス31−OKと命名した。
【0028】
バチルス・ブレビス31−OK(FERM BP−4573)の菌学的性質は、親菌株バチルス・ブレビスHPD31(特開昭63−562777号公報参照)と特定の異種蛋白質に対する作用が異なる点を除きほぼ同様な性状を示した。以下に、その主要な性質を示す。
【0029】
生理学的性質
硝酸塩の還元 −
VPテストアセトインの生成 −
インドールの生成 −
硫化水素の生成
TSI寒天培地 −
酢酸鉛寒天培地 +
クエン酸の利用 +
無機窒素源の利用
硝酸塩 −
アンモニウム塩 +
【0030】
色素の生成(キング培地) −
ウレアーゼ −
オキシダーゼ +
アシルアミダーゼ −
カタラーゼ +
O−Fテスト 分解せず
ゼラチンの分解 −
グルコースから酸の生成 −
キシロース分解 −
ラクトース分解 −
マルトース分解 −
アルギニン加水分解 −
生育できる pH 5.5〜8.5
【0031】
【0032】
例3(実施例)培養上清の蛋白質分解活性の測定
変異株バチルス・ブレビス31−OK、参考例としての親株バチルス・ブレビスHPD31及び比較例としての枯草菌(IFO3044株)をT2 培地中、30℃、6日間振盪培養した。培養液を10,000rpm 、10分間遠心分離し、得られた上清を活性測定用の試料とした。5gのアゾカゼイン(Sigma,A2765)を、0.1MのTris−HCl(pH8.0)1リッターに溶かし、基質溶液とした。
【0033】
0.1mlの上記基質溶液にこれと等量の試料を加え、37℃で5時間反応させた後、0.2mlの10%トリクロロ酢酸溶液を加えて反応を止めた。そして室温に20分間静置した後、15,000rpm で10分間遠心分離して上清画分をとり、0.4mlの0.5N NaOHを加え、440nmで吸光度を測定した。その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
表1において、分解活性は5時間の吸光度変化で表した。この際、5時間で吸光度を10変化させる酵素活性を1ユニットと定義した。
【0035】
例4(実施例)培養上清中の蛋白質分解酵素の解析
例3において変異株バチルス・ブレビス31−OK及び親株バチルス・ブレビスHPD31より得た前記培養上清にゲルローディングバッファー〔5%SDS、20%グリセロール、40mM Tris−HCl(pH6.7)〕を等量加え、室温に30分放置し、ゼラチン−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(ゼラチン−PAGE)に供した。
【0036】
ゼラチン−PAGEは0.5%ゼラチン、7.5%アクリルアミドの濃度で、E.Strydom らの方法(Appl. Microbiol. Biotechnol., 24, 214-217 (1986)) に従って行った。蛋白質分解酵素はゼラチンの分解により生ずるクリアバンドにより検出した。その結果を示す図1より、変異株バチルス・ブレビス31−OKでは、培養上清に存在する主要な蛋白質分解酵素が欠失していた。
【0037】
例5(実施例) バチルス・ブレビス31−OKによるヒト成長ホルモンの分泌生産
例1で得られたプラスミドpNU200−GHをTakahashi の方法によりバチルス・ブレビス31−OKに導入し、バチルス・ブレビス31−OK(pNU200−GH)を得た。
【0038】
ポリペプトン3%、酵母エキス0.2%、グルコース3%、MgSO4 ・7H2 O 0.01%,CaCl2 ・7H2 O 0.01%,MnSO4 ・4H2 O0.001%,FeSO4 ・7H2 O 0.001%,ZnSO4 ・7H2 O0.0001%およびエリスロマイシン10mg/L(pH7.2)よりなる培地に、バチルス・ブレビス31−OK(pNU200−GH)及び対照としてバチルス・ブレビスHPD31(pNU200−GH)を30℃で振盪培養し、培養上清中のhGHを抗ヒト成長ホルモン抗体を用いた酵素免疫測定法により定量した。
【0039】
変異株バチルス・ブレビス31−OK(pNU200−GH)は、培養6日目には16.5mg/LのhGHを培養上清中に生産していた。一方、親株バチルス・ブレビスHPD31(pNU200−GH)のhGH量は0.7mg/Lであり、変異株は親株の約25倍のhGHを生産した。
【0040】
例6(実施例).バチルス・ブレビス31−OKにより生産されたhGHの性質
例5で得られた培養上清を、Laemmli の方法(Nature, 227,680(1970)参照)に準じてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた後、Burnetteの方法(Anal.Biochem., 112,195(1981)参照)に準じて抗ヒト成長ホルモン抗体(生化学工業(株)製)を用いてウェスタンブロティングを行った。バチルス・ブレビス31−OK(pNU200−GH)の生産するhGHはヒト脳下垂体より抽出精製した標準品(生化学工業(株)製)と同じ分子量を示したが、親株の生産したhGHは、分解を受け、低分子量化していた。
【0041】
例7(実施例) バチルス・ブレビス31−OKによるヒトインターロイキン2(hIL2)の分泌生産
ヒト インターロイキン2(hIL2)遺伝子を有するプラスミドpIL−50A(T.Taniguchi ら, Nature 302, 305-310 (1983)参照)を、制限酵素HgiAIとDraIで消化し、hIL2遺伝子を含むDNA断片を得た。
【0042】
一方、MWPシグナル配列の疎水領域にLeu3個、正電荷領域にArg2個を付加した改変シグナル配列を有するプラスミドpNUR2L4MNを制限酵素PstIとHindIII で消化した後、HindIII 切断部位を埋めて平滑化し、hIL2遺伝子を含むDNA断片とリガーゼで結合してpNUR2L4MN−hIL2を得た。
【0043】
このプラスミドpNUR2L4MN−hIL2をバチルス・ブレビスHPD31及びバチルス・ブレビス31−OKに導入して得られたそれぞれの形質転換菌をPY培地で30℃にて3日間培養した。培養上清のhIL2量は、バチルス・ブレビスHPD31の形質転換菌では約20mg/Lであったのに対し、バチルス・ブレビス31−OKの形質転換菌では約80mg/Lに生産量が向上していた。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、異種蛋白質の生産用変異菌を用いて遺伝子組換えに有利に使用できる宿主菌が提供される。本発明の変異菌は、特に、ヒト成長ホルモンまたはインターロイキン2の生産に適する。例えば、ヒト成長ホルモンをコードするDNAを含有する適当なプラスミドで形質転換して得られる形質転換体は、異種蛋白質の生産に優れていることが知られている宿主菌を使用した場合に比し、有意に高い生産、蓄積性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】例4(実施例)で得られた培養上清中の蛋白質分解酵素をゼラチン−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析した結果を示す図面である。
Claims (2)
- バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)31-OK株(FERM BP-4573)。
- 請求項1に記載の変異バチルス・ブレビス株からなる遺伝子組換え用宿主菌。
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