JP3696322B2 - 新規hs遺伝子及び該遺伝子を異種遺伝子産物をコードする構造遺伝子の下流に連結した発現プラスミド並びに該発現プラスミドを保有する形質転換体を用いた異種遺伝子産物の製造法 - Google Patents

新規hs遺伝子及び該遺伝子を異種遺伝子産物をコードする構造遺伝子の下流に連結した発現プラスミド並びに該発現プラスミドを保有する形質転換体を用いた異種遺伝子産物の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオテクノロジーに関するものである。
更に詳細には、本発明は、新規遺伝子及び該遺伝子を異種遺伝子産物をコードする構造遺伝子の下流に連結した発現プラスミド並びに該プラスミドで形質転換したバチルス属細菌を培養することにより、異種遺伝子産物を培養物中に生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする異種遺伝子産物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、組換え体を用いた異種遺伝子産物の生産は、食品、薬品、化粧品その他の産業において広く利用されている。そして遺伝子組換えの宿主菌としては大腸菌や枯草菌などの細菌や酵母、糸状菌などが使用されている。
【0003】
遺伝子組換え技術は大腸菌(Escherichia coli)の系を中心に発展してきたため、大腸菌が宿主菌としてよく利用されている。しかし大腸菌を宿主とする系では、生産されるペプチドや蛋白質などの異種遺伝子産物は細胞質中または細胞の外膜と細胞質膜に囲まれたペリプラズム空間にとどまり、培地中へ分泌生産させることは困難であった。細胞内への異種遺伝子産物の蓄積には量的に限界があり、さらに菌体を破砕して異種遺伝子産物を回収しなければならず、菌体内成分である核酸などの共存物質から目的とする異種遺伝子産物を分離、精製することが必要であった。また生産されたペプチドや蛋白質が封入体(inclusion body)を形成するものもあり、封入体が形成された場合再生操作を行って活性型にする必要があるなどの欠点があった。
【0004】
バチルス属細菌には酵素蛋白質を大量に分泌生産するものが多く、この性質を利用した宿主ベクター系の開発が活発に行われている。バチルス属細菌、なかでも枯草菌(Bacillus subtilis)は、遺伝学的にも生化学的にもよく研究され、異種遺伝子産物の分泌生産に関する研究も数多くなされている。しかし、枯草菌を宿主とする系では菌体内外の強いプロテアーゼにより生産したペプチドや蛋白質などの異種遺伝子産物が分解されてしまうなどの問題があった。
【0005】
これらの欠点を解消するため、鋭意研究を行ったところ、鵜高らはバチルス・ブレビス(Bacillus brevis)にはプロテアーゼを生産しない菌株が多いことを見いだした。その1菌株バチルス・ブレビス47(S. Udaka and H. Yamagata, Methods in Enzymology, 217 23-33(1993))の主要菌体外タンパク質(H. Yamagata et al, J. Bacteriol., 169, 1239(1987) ; 塚越規弘、日本農芸化学会誌、61, 68(1987)にそれぞれ“outer wall protein and middle wall protein”、“主要菌体外タンパク質”として記載されている。)遺伝子のプロモーターおよび該主要菌体外タンパク質の1種であるMWタンパク質(middle wall protein)のシグナルペプチドをコードする領域を用いて分泌ベクターを作製し、本菌株を宿主としてα−アミラーゼ(特開昭62−201583号公報、H. Yamagata et al, J. Bacteriol., 169, 1239(1987))やブタペプシノーゲン(鵜高重三、日本農芸化学会昭和62年度大会講演要旨集、p837−838;塚越規弘、日本農芸化学会誌、61, 68(1987))の分泌生産に成功した。
【0006】
また、高木らはバチルス・ブレビスのプロテアーゼを菌体外に生産しない菌株バチルス・ブレビスHPD31(なお、この菌株はバチルス・ブレビスH102(FERM BP−1087)と同一菌株である)を分離した。そしてこのバチルス・ブレビスHPD31を宿主として耐熱性α−アミラーゼの高分泌生産(H. Takagi et al, Agric. Biol. Chem., 53, 2279-2280(1989))や山形らによるヒトEGFの高分泌生産(H. Yamagata et al, Proc. Nati. Acad. Sci. USA, 86, 3589-3593(1989))に成功している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、たしかにバチルス属細菌、特にバチルス・ブレビスを宿主菌とする異種遺伝子産物の生産性は、他の宿主菌に比べ飛躍的に向上してはいるが、バチルス・ブレビスをはじめ、バチルス属細菌を宿主とする系での異種遺伝子産物生産のためには、バチルス属細菌で複製可能な発現ベクターを用い、適合するプロモーター、その下流にはSD配列、翻訳開始コドンから始まる分泌シグナル配列、その後に異種遺伝子を接続しなければならない。
しかし、このような従来技術では異種遺伝子産物の生産量が非常に少ない場合も認められ、産業上適用するためにはもう一段の技術開発が必要とされている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような技術の現状に鑑み、バチルス属細菌が蛋白質を菌体外に分泌生産するというすぐれた技術に着目し、そして更にその生産性を高めて実験室規模から工業生産規模へとレベルアップする目的で、バチルス・ブレビスの分泌生産性を向上させることができる遺伝子の存在について鋭意検討を行った。
そして先ず、本発明者らは、バチルス・ブレビスによるヒト唾液腺アミラーゼの分泌生産を検討中、ヒト唾液腺アミラーゼをコードする構造遺伝子を保有するプラスミドpTS7(H. Konishi, Appl. Microbiol. Biotechnol., 34, 297-302(1990))を1ケ所で切断する制限酵素で切断後、同酵素で切断したバチルス・ブレビス染色体断片と連結したプラスミドで形質転換した50000株のバチルス・ブレビスの中から、ヒト唾液腺アミラーゼの生産量が著しく多い株を見出した。
【0009】
この形質転換体からプラスミドを抽出し、遺伝子解析を行ったところ、ヒト唾液腺アミラーゼをコードする構造遺伝子の下流に約150bpの遺伝子が挿入されていることが分かった。そこでさらに本遺伝子を取り出して塩基配列を決定し、構造解析を行ったところ、本遺伝子には15bpの塩基対から成る配列を介してお互いが相補性を有する配列が存在し、mRNAに転写された際ステム・ループ構造をとると思われた。
【0010】
そこで本遺伝子をヒト唾液腺アミラーゼ以外の異種遺伝子産物をコードする構造遺伝子の下流に連結し、宿主菌に組み込んで該異種遺伝子産物を生産させたところ、異種遺伝子産物の生産量が増加することが分かった。さらに、詳しく検討したところ、異種遺伝子産物の生産量を増加させるには、3〜20bpの任意の塩基対からなる配列を介して、お互いが相補性を有する配列番号1と配列番号2の配列があればよい、という有用な知見を新たに得た。
本発明は、これらの有用新知見に基づき更に研究の結果、遂に完成されたものである。
【0011】
なお、以後、この3〜20bpの任意の塩基対からなる配列を介して、お互いが相補性を示す配列表の配列番号1(下記表1)と配列番号2(下記表2)の配列を有する遺伝子をHS遺伝子と称する。
【0012】
【表1】
Figure 0003696322
【0013】
【表2】
Figure 0003696322
【0014】
すなわち本発明は、新規HS遺伝子及び該HS遺伝子を異種遺伝子産物をコードする構造遺伝子の下流に連結した発現プラスミド並びに該プラスミドで形質転換したバチルス属細菌を培養することにより、異種遺伝子産物を培養物中に生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする異種遺伝子産物の製造法に関する。
以下、本発明について詳しく説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のHS遺伝子は、3〜20bpの任意の塩基対から成る配列を介してお互いが相補性を有する配列番号1と配列番号2の配列を有する遺伝子であり、この相補性を有する配列を介する3〜20bpの配列は、アデニン、グアニン、シトシン、チミンから選ばれる任意の塩基配列であればよい。具体的には15bpの塩基対を介して配列番号1と配列番号2の配列が連結された配列番号3(下記表3)の遺伝子などが挙げられる。また異種遺伝子産物の生産にはHS遺伝子のほかにHS遺伝子の5′末端や3′末端に塩基対が付加された遺伝子も用いることもできる。具体的には配列番号3で示されるHS遺伝子の5′末端に86bp、3′末端に24bpの塩基対が付加された配列番号4(下記表4)で示される遺伝子などを用いることが出来る。
【0016】
【表3】
Figure 0003696322
【0017】
【表4】
Figure 0003696322
【0018】
HS遺伝子は、目的異種遺伝子産物をコードする構造遺伝子の下流に連結する。この場合、構造遺伝子に直結してもよいが、上記の配列番号4で示される遺伝子のように数〜数十bpの塩基対を介して連結してもよい。
【0019】
本発明で分泌生産する異種遺伝子産物は真核、原核何れの生物由来の遺伝子でもよく、ヒト、動物、鳥類、魚類、微生物その他各種生物由来の遺伝子産物(酵素、ホルモン、インターフェロン、免疫グロブリン、その他生理活性ペプチド、蛋白質など)の生産に適用できる。例えばヒト上皮細胞増殖因子(hEGF)などの遺伝子産物の生産に適用できる。
【0020】
本発明で分泌生産する異種遺伝子産物をコードする構造遺伝子とその下流に連結した本発明のHS遺伝子を宿主菌内に導入、保持させるベクターは、宿主内で複製可能なプラスミドを利用することができる。例えば枯草菌(バチルス・ズブチリス)の系ではpUB110やそれらの派生体が使用でき、バチルス・ブレビスを宿主とする系では、pNU200(鵜高重三、日本農芸化学会誌、61、669(1987))、pHY700(S. Ebisu et al, Biosci. Biotech. Biochem., 56, 812-813(1992))、pHT110(特開平6−133782)やこれらの派生体などのプラスミドを使用できる。
【0021】
これらのプラスミドを構築する方法としては、公知の方法が適宜用いられ、例えばモレキュラー・クローニング、ア・ラボラトリーマニュアル第2版、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Molecular Cloning 2nd ed., A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1989)に記載の方法などが例示される。
【0022】
本発明において宿主菌として用いる細菌は、バチルス属に属する細菌であればよいが、枯草菌やバチルス・ブレビス、バチルス・チョーシネンシス(Bacillus choshinensis)などが好適に使用できる
宿主菌を形質転換する方法は公知の方法で良く、例えば、Takahashiらの方法(Takahashi et al, J. Bacteriol., 156, 1130(1983))またはTakagiらの方法(H. Takagi et al, Agric. Biol. Chem., 53, 3099-3100(1989))などが例示される。
【0023】
得られた形質転換体の培養に用いる培地は、形質転換体が生育して目的とする異種遺伝子産物を生産しうるものであれば如何なるものでもよい。
該培地に含有される炭素源としては、例えばグルコース、シュークロース、グリセロール、澱粉、デキストリン、糖蜜、尿素、有機酸などが用いられる。また窒素源としては、カゼイン、ポリペプトン、肉エキス、酵母エキス、カザミノ酸、グリシンなどの有機窒素源、硫酸アンモニウムなどの無機窒素源などが用いられる。その他、塩化カリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウムなどの無機塩が必要に応じて培地に加えられる。栄養要求性を示す菌はその生育に必要な栄養物質を培地に添加すればよい。該栄養物質としては、アミノ酸類、ビタミン類、核酸などが挙げられる。
【0024】
また、培養に際して必要があれば、培地に抗生物質例えばペニシリン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、バシトラシン、D−サイクロセリン、アンピシリン、ネオマイシンなどを加える。更に必要により、消泡剤例えば大豆油、ラード油、各種界面活性剤などを加えてもよい。
培地の初発pHは5.0〜9.0、さらに好ましくは6.5〜7.5である。培養温度は通常15℃〜42℃、さらに好ましくは24℃〜37℃であり、培養時間は通常16〜166時間、さらに好ましくは24〜96時間である。
【0025】
本発明で、形質転換体を前記の条件で培養することによって、培養物中に異種遺伝子産物が生成、蓄積される。このようにして得られた異種遺伝子産物は公知の方法により、例えば膜処理、硫安分画法、クロマトグラフィーなど(蛋白質・核酸の基礎実験法、南江堂、(1985))で精製することができる。
本発明では、HS遺伝子を目的とする異種遺伝子産物をコードする構造遺伝子の下流に連結することによって様々な異種遺伝子産物を高レベルで安定して生産することが可能となった。
【0026】
以下本発明を実施例により更に詳しく説明するが、これは例示的なものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
【実施例1】
▲1▼ HS遺伝子を含む遺伝子(HS′遺伝子)のクローニング及びその解析
バチルス・ブレビス HPD31(FERM BP−1087)の染色体DNAをSaito, Miuraの方法(Saito, H. and Miura, K., Biochem. Biophys. Acta., 72, 639(1964))により抽出した後、制限酵素HindIIIで消化し断片化した。次にヒト唾液腺アミラーゼをコードする構造遺伝子を有するプラスミドpTS7(H. Konishi, Appl. Microbiol. Biotechnol., 34, 297-302(1990))をHindIIIで処理し、更にアルカリフォスファターゼで5′末端を脱リン酸化した後、0.8%ハイアガロースゲル電気泳動に供し、6.1kbのDNA断片をGene clean(Bio 101, USA)を用いて回収、先に断片化した染色体DNAとT4リガーゼを用いて連結し、プラスミドpTS7HSを得た。
【0028】
得られたプラスミドpTS7HSでバチルス・ブレビス HPD31をエレクトロポレーション法(H. Takagi et al, Agric. Biol. Chem., 53, 3099-3100(1989))によって形質転換した。形質転換体からのヒト唾液腺アミラーゼの高分泌生産株の選択は1.0%澱粉を含むT2プレート培地(澱粉1%、ペプトン1%、肉エキス0.5%、酵母エキス0.2%、グルコース1%、寒天1.5%、pH7.0)に培養後0.2%I2−KI溶液を噴霧し、コロニーの周りが透明になるかどうか(澱粉が分解された際生じるハロ)を確認して行った。
【0029】
その結果約50000個のハロを生じるコロニーを得、その中からプラスミドpTS7を保有するバチルス・ブレビスHPD31株(pTS7株)の2倍以上の大きさのハロを形成する株を見い出し、その株をHS株とした。
【0030】
ここで得られたHS株とpTS7株をT2Em液体培地にそれぞれ接種し、30℃で2日間振とう培養した後、培養上清中に含まれるヒト唾液腺アミラーゼ量を可溶性澱粉を基質としたSaitoの方法(Saito et al, Agric. Biol. Chem., 155, 290(1973))でアミラーゼ活性を測定し求めた。その結果、下記の表13に示される表Aに示す様にHS株はpTS7株の約8倍量のヒト唾液腺アミラーゼを生産していた。
【0031】
【表13】
Figure 0003696322
【0032】
HS株よりアルカリ抽出法(Birnoboim. H. C. and Doly J., Nucleic Acids Res., 7, 1513(1979))でプラスミドpTS7HSを抽出し、HindIIIで切断後5%アクリルアミドゲル電気泳動に供した。その結果、pTS7HSにはプラスミドpTS7のHindIIIサイトに約150bpの遺伝子が挿入されていることが確認された。
【0033】
ここで得られた遺伝子の塩基配列を解析したところ、配列番号4で示す157塩基対から成る遺伝子であることが分かった。
またこの配列を基に構造解析を行った結果、5′末端から数えて87番目から102番目及び118番目から133番目までの2つの領域は、RNAに転写された際ステム構造をとると思われる相補性を有する配列(パリンドローム構造)が存在していた。また、この配列には配列番号4に示すアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするオープンリーディングフレームが存在した。
この157塩基対から成る遺伝子をHS′遺伝子とした。
【0034】
▲2▼HS′遺伝子を用いたhEGFの分泌生産
プラスミドpTS7HS上のHS′遺伝子を下記の表5に示される配列番号5のPrimer HSM1と下記の表6に示される配列番号6のPrimer HSRVを用いてPCR法にて増幅した(Primer HSM1によりHS′遺伝子の5′側のHindIIIサイトはBamHIサイトに変換される。本遺伝子をHS′Bとした。)。増幅したHS′B遺伝子をBamHI、HindIIIで処理し、5%アクリルアミドゲル電気泳動に供し、HS′B遺伝子断片を電気溶出法(Molecular Cloning 2nd ed., A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1989)にて回収した。
【0035】
【表5】
Figure 0003696322
【0036】
【表6】
Figure 0003696322
【0037】
次いで、バチルス・ブレビス HP926(FERM BP−5382)が保有するプラスミドpHT926より調製したプラスミドpHT110EGF(特開平6-133782)をBamHIとHindIIIで処理し、0.8%アガロースゲル電気泳動に供し、3.5kbの断片をGene clean(Bio 101, USA)を用いて回収後、先に得たHS′B遺伝子断片とT4リガーゼを用いて連結しプラスミドpHT110EGF−HS′Bを得た。バチルス・ブレビス HPD31への導入は、▲1▼と同様の方法で行い、pHT110EGF−HS′Bを保有するバチルス・ブレビス HPD31/pHT110EGF−HS′B株を得た。
【0038】
ここで得たバチルス・ブレビス HPD31/pHT110EGF−HS′Bを2SLE液体培地(ペプトン4%、酵母エキス0.5%、グルコース2%、MgSO4 0.01%、FeSO4 0.001%、MnSO4 0.001%、ZnSO4 0.0001%、エリスロマイシン10μg/ml、pH7.2)を3ml分注した試験管に植菌し、30℃で3日間振とう培養後、その培養上清中のhEGF量をHPLC(カラム:C18−100A、径4mm×長さ250mm、バッファー:0.1%TFA/H2O、0.1%TFA/50%アセトニトリル、リニアグラジエント、検出:UV276nm)で分析し、市販EGF(フナコシ(株)社製)を標準品として同条件でHPLCを行った時のピーク面積と比較して生産量を求めた。その結果、下記の表14に示される表Bに示すようにバチルス・ブレビス HPD31/pHT110EGF−HS′Bはバチルス・ブレビス HPD31/pHT110EGFの約1.4倍量のhEGFを生産していた。
【0039】
【表14】
Figure 0003696322
【0040】
【実施例2:HS′遺伝子の構造が異種遺伝子産物生産に与える影響】
配列番号6のPrimer HSRVと下記表7に示される配列番号7のPrimer HSSを用いて、PCRにて変異HS′遺伝子HSSを作製した。
同様に配列番号6のPrimer HSRVと下記の表8に示される配列番号8のPrimer HSFSを用いて変異HS′遺伝子HSFS、配列番号6のPrimer HSRVと下記の表9に示される配列番号9のPrimer HS3を用いて変異HS′遺伝子HS3、配列番号6のPrimer HSRVと下記の表10に示される配列番号10のPrimer HS20を用いて変異HS′遺伝子HS20を作製した。
【0041】
【表7】
Figure 0003696322
【0042】
【表8】
Figure 0003696322
【0043】
【表9】
Figure 0003696322
【0044】
【表10】
Figure 0003696322
【0045】
HSSは、5′末端から配列番号1のHSまでが10bpであり、配列番号4のHS′遺伝子よりも76bp短くなっている。HSFSはフレームシフトによってHS′遺伝子がコードする27のアミノ酸からなる蛋白質は翻訳されない。HS3、HS20は、RNAに転写された際、ステム・ループのループがそれぞれ3bp、20bp(配列番号4のHS′遺伝子は15bp)となっている。
【0046】
作製した4種の変異HS′遺伝子をそれぞれHindIIIとBamHIで切断後、5%アクリルアミドゲル電気泳動に供し、電気溶出法にて変異HS′遺伝子をそれぞれ回収した。得られた断片を実施例1と同様の方法にてプラスミドpHT110EGFに挿入し、pHT110EGF−HSS,pHT110EGF−HSFS,pHT110EGF−HS3,pHT110EGF−HS20を構築した。
【0047】
各々のプラスミドでバチルス・ブレビス HPD31を形質転換し、実施例1と同様の方法で培養し、培養上清中のhEGF量を測定した。その結果を表Bに示すが、ここで作製した4種の変異HS′遺伝子は、配列番号4のHS′遺伝子を使用したときと同程度のhEGFを生産していた。
このことから、異種遺伝子産物の分泌生産性の向上は、27アミノ酸残基よりなるペプチドが影響を与えるのではなく、HS′遺伝子上のパリンドローム構造が重要であると考えられ、また、HS′遺伝子がmRNAに転写された際のステム・ループのループとなる部分は3〜20bpであればよいことが分かった。
【0048】
【実施例3:HS遺伝子(HS′遺伝子のパリンドローム構造領域)の異種遺伝子産物生産に与える影響】
実施例2の検討結果から、異種遺伝子産物の分泌生産向上には、HS′遺伝子のパリンドローム構造が重要であると考えられた。
そこでHS′遺伝子のパリンドローム構造領域のみ(配列番号3)をpHT110EGFのhEGF遺伝子の下流に挿入し、hEGF生産性を確認した。
【0049】
下記の表11に示される配列番号11のPrimer STEMと下記の表12に示される配列番号12のPrimer STEMRVを用い、HS′遺伝子上のパリンドローム構造領域(HS遺伝子)を増幅した。得られたHS遺伝子をPstIで処理後T4DNAポリメラーゼを反応させてHS遺伝子断片を平滑化し、10%アクリルアミドゲルに供し、約60bpの断片を回収した。次いでpHT110EGFをBamHI、HindIIIで処理後、T4DNAポリメラーゼにて平滑化し、アルカリフォスファターゼで処理後、アガロースゲル電気泳動に供し、3.5kbの断片をGene cleanを用いて回収、先に得たHS遺伝子とT4リガーゼを用いて連結し、プラスミドpHT110EGF−HSを構築した。バチルス・ブレビスへの導入は実施例1と同様の方法にて行い、また挿入されたHS遺伝子の方向性はDNAシークエンスを行い確認した。
【0050】
【表11】
Figure 0003696322
【0051】
【表12】
Figure 0003696322
【0052】
得られた形質転換体を実施例1と同様の方法で培養し、hEGF生産量を測定した結果、表Bに示すようにpHT110EGF−HSはpHT110EGF−HS′と同程度、またpHT110EGFに比べ、1.3倍量のhEGFを生産していた。
【0053】
【発明の効果】
本発明により、新規HS遺伝子が新たに開発された。この新規HS遺伝子は、異種遺伝子産物をコードする構造遺伝子の下流に連結することができ、このようにして調製した新規発現プラスミドは、これを用いてバチルス属細菌を形質転換し、得られた形質転換体を培養することによって、各種の異種遺伝子産物を大量にしかも菌体外に分泌生産せしめることができる。

Claims (5)

  1. 任意の3〜20bpのDNA、及び、該任意の3〜20bpのDNAを介してお互いが相補性を有する配列番号1のDNAと配列番号2のDNAからなるDNAであるHS遺伝子。
  2. 配列番号3の塩基配列で示される請求項に記載のHS遺伝子。
  3. 異種遺伝子産物をコードする構造遺伝子の下流に請求項1又は請求項2に記載のHS遺伝子を連結してなること、を特徴とする発現プラスミド。
  4. 請求項に記載の発現プラスミドを保有するバチルス属細菌を培養することにより、異種遺伝子産物を培養物中に生成、蓄積せしめ、これを採取すること、を特徴とする異種遺伝子産物の製造法。
  5. 異種遺伝子産物がヒト上皮細胞増殖因子であることを特徴とする請求項に記載の製造法。
JP05365396A 1996-02-19 1996-02-19 新規hs遺伝子及び該遺伝子を異種遺伝子産物をコードする構造遺伝子の下流に連結した発現プラスミド並びに該発現プラスミドを保有する形質転換体を用いた異種遺伝子産物の製造法 Expired - Lifetime JP3696322B2 (ja)

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AU10037/97A AU716408B2 (en) 1996-02-19 1997-01-06 Novel HS gene, expression plasmid in which HS gene is ligated downstream of structural gene encoding foreign gene PR product, and process for producing foreign gene product using transformant containing the expression of plasmid

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