JP2537764B2 - 高発現ベクタ―、バチルス属細菌、およびペプチド又は蛋白質の製造方法 - Google Patents

高発現ベクタ―、バチルス属細菌、およびペプチド又は蛋白質の製造方法

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JP2537764B2
JP2537764B2 JP3068988A JP6898891A JP2537764B2 JP 2537764 B2 JP2537764 B2 JP 2537764B2 JP 3068988 A JP3068988 A JP 3068988A JP 6898891 A JP6898891 A JP 6898891A JP 2537764 B2 JP2537764 B2 JP 2537764B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、枯草菌を代表とするバ
チルス属細菌で利用可能な新規な高発現ベクター、この
ベクターを保有するバチルス属細菌、およびこのバチル
ス属細菌によるペプチド又は蛋白質の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】枯草菌
Bacillus subtilis)を代表とするバチルス(Bacill
us)属細菌は、古くから種々の菌体外酵素の生産菌とし
て、工業的に利用されている。例えば、枯草菌の仲間
は、日本において古くから納豆の製造に使用されてお
り、大腸菌などで問題となるエンドトキシンを生産しな
いこと、人体に寄生しないことなどの理由から、極めて
安全性の高い微生物である。このように、枯草菌は、ペ
プチド又は蛋白質の工業的な生産菌として、優れた性質
を有し、その有用性が注目されている。例えば、特開昭
56−137986号公報には、前記菌体外酵素の遺伝
子のプロモーター、SD配列(シャイン−ダルガーノ(S
hine-Dalgarno)配列)、シグナル遺伝子をコードするD
NAをクローニングし、その下流に目的とするペプチド
又は蛋白質をコードする遺伝子を連結し、これを枯草菌
に導入し、目的とするペプチド又は蛋白質を菌体外に分
泌生産させている。
【0003】しかしながら、枯草菌におけるペプチド又
は蛋白質の生産は、枯草菌自体が産生するα−アミラー
ゼやプロテアーゼなどが主である。すなわち、枯草菌が
高い分泌生産能を有するにも拘らず、他の微生物由来の
酵素及び比較的分子量の小さな哺乳類の生理活性ペプチ
ドなどを生産させると、菌体自体が菌体外に多量に分泌
する各種のプロテアーゼにより生産物が分解され、高い
収率で有用生産物を回収できない。
【0004】そこで、宿主枯草菌のプロテアーゼ活性を
低下させるための研究がなされている。例えば、プロテ
アーゼ活性の低い枯草菌として、枯草菌の主たる菌体外
プロテアーゼである中性プロテアーゼ及びアルカリプロ
テアーゼの両者を欠失したバチルス・サブチリス(Baci
llus subtilis)104HL株[バイオケミカル・アン
ド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーション
ズ(Biochem. Biophys.Res. Commun.), 128; 601-606, 1
985]が知られている。また、本出願人は、特開昭64
−37284号公報において、バチルス・サブチリス1
04HL株に、pap 遺伝子を導入したバチルス・サブチ
リスDY−16株(微工研菌寄第9488号)を提案し
た。
【0005】一方、枯草菌ベクターの開発も、宿主の開
発と同様に古くから行なわれている。例えば、枯草菌自
体や、バチルス・アミロリクエファシエンス、バチルス
・リケニホルミスなどの類縁菌のα−アミラーゼ、また
は中性及びアルカリプロテアーゼの遺伝子のプロモータ
ー、リボソーム結合領域(SD配列)、シグナル配列を
利用した分泌ベクターが発表されている。これらの分泌
ベクターにより、それぞれ本来のα−アミラーゼやプロ
テアーゼの分泌だけでなく、例えばプロテインAなどの
他の有用酵素、およびインターフェロン、ヒト成長ホル
モンなどの生理活性ペプチドを生産できる。
【0006】しかしながら、枯草菌が分泌生産という有
用性を有するにも拘らず、大腸菌に比べて、遺伝子組換
えの宿主としての利用が遅れている。このことは、遺伝
子産物の生産量が少ないことに起因する。すなわち、大
腸菌系では、多くの強いプロモーター系と、極めて正確
な制御系とが確立され、これらが多コピープラスミド上
で安定に機能している。これに対して、枯草菌の系にお
いては、多くの試みにも拘らず、大腸菌のように確立さ
れた系は、存在しない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、バチルス属細菌内に安定に保持され、かつペプチド
又は蛋白質を菌体外に多量に分泌生産させることができ
る高発現ベクターを提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、前記高発現ベクター
を保有し、ペプチド又は蛋白質を菌体外に多量に分泌生
産するバチルス属細菌を提供することにある。
【0009】本発明のさらに他の目的は、ペプチド又は
蛋白質を効率よく多量に得ることができるペプチド又は
蛋白質の製造方法を提供することにある。
【0010】
【発明の構成】本発明者らは、高い分泌能を有するバチ
ルス属細菌に着目し、その分泌ベクターの開発を鋭意研
究した結果、枯草菌において一般に使用されているベク
タープラスミドpUB110のクローニングサイトBa
mHI切断部位またはその近傍に、高い翻訳能力を有す
る遺伝子を特定の方向に導入すると、分泌ベクターが少
なくともバチルス属細菌内で安定に保持され、かつ分泌
ベクターにより所望の遺伝子産物が多量に分泌発現する
ことを見いだし、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、少なくともpUB1
10のSphI切断部位からBamHI切断部位までの
塩基配列を含むpUB110由来のベクターであって、
BamHI切断部位またはその近傍に、SphI切断部
位からBamHI切断部位への方向に、SD配列を有す
るペプチド又は蛋白質をコードする遺伝子が連結されて
いると共に、前記SD配列の5′側にα−アミラーゼ遺
伝子のプロモーターが連結されている高発現ベクターを
提供する。
【0012】本発明は、前記高発現ベクターを保有する
バチルス属細菌を提供する。
【0013】さらに本発明は、前記バチルス属細菌を培
養し、産生したペプチド又は蛋白質を回収するペプチド
又は蛋白質の製造方法を提供する。
【0014】本明細書において、塩基配列における核酸
の表示はIUPACにより採択されている表示法に従う
ものとする。
【0015】本発明の高発現ベクターは、ベクタープラ
スミドpUB110に由来し、pUB110のSphI
切断部位からBamHI切断部位までの塩基配列を含ん
でいる。pUB110はその全塩基配列を有している必
要はなく、少なくともSphIおよびBamHI切断部
位を有していればよく、SphI、BamHIおよびE
coRI切断部位を有するpUB110由来のベクター
であってもよい。なお、pUB110は黄色ブドウ状球
菌[スタフィロコッカス(Staphylococcus ) ]属に由来
する多コピープラスミドであり、カナマイシン耐性遺伝
子を有し、その制限地図は確立されている。図1にベク
タープラスミドpUB110の制限酵素地図の概要を示
す。
【0016】pUB110とペプチド又は蛋白質をコー
ドする遺伝子との連結部位は、制限酵素BamHI部位
に限らず、その近傍、例えば、BamHI部位からEc
oRI部位までの間などであってもよい。すなわち、E
coRI部位や、BamHI部位からEcoRI部位ま
での領域に存在するAvaI部位、XbaI部位に、ペ
プチド又は蛋白質をコードする遺伝子を連結してもよ
い。
【0017】クローニングサイトBamHI切断部位ま
たはその近傍には、高い翻訳能力を有する遺伝子、すな
わちSD配列を有するペプチドまたは蛋白質をコードす
る遺伝子が連結されている。
【0018】本発明の主たる特徴は、前記ペプチド又は
蛋白質をコードする遺伝子が、従来とは逆の方向である
SphI切断部位からBamHI切断部位への方向、す
なわちカナマイシン耐性遺伝子と同じ方向に導入されて
いると共に、前記SD配列の5′側にα−アミラーゼ遺
伝子のプロモーターが連結されている点にある。このよ
うな特定の方向にペプチド又は蛋白質をコードする構造
遺伝子を導入し、且つ前記プロモーターを連結すると、
宿主微生物により、ペプチド又は蛋白質を多量に分泌生
産させることができる。
【0019】前記ペプチド又は蛋白質は、特に限定され
ず、酵素、原核細胞および真核細胞を問わず、動物性細
胞由来のペプチド又は蛋白質であってもよい。ペプチド
及び蛋白質には、例えば、インスリン、ガストリン、各
種オピオノイドペプチド、上皮細胞成長因子、エンドセ
リン、バソアクティブ・インテスティナル・ポリペプチ
ド[Vasoactive Intestinal Polypeptide (VI
P)]、心房性利尿ホルモン(ANP)、サブスタンス
P、カルシトニン、インシュリン様成長因子I,II、
ガラニン、モチリン、バソプレシン、インターフェロ
ン、IL−2などの各種の生理活性ペプチドまたはこれ
らの前駆体;α−アミラーゼ、プロテインA、ヒルジ
ン、エグリンC、分泌性白血球由来プロテアーゼインヒ
ビターなどの阻害剤、ヒトアルブミン、血液凝固因子、
リンフォカイン、神経成長因子、肝細胞再生因子などの
各種の分化誘導因子、成長因子などの蛋白質またはこれ
らの前駆体が含まれる。
【0020】前記SD配列は、特に制限されず、例え
ば、枯草菌の16S−rRNAの配列に対応して合成し
た下記のSD配列であってもよく、 5′−CTAGAAAGGAGGTGATCTAGAA
TTC 下記のSD配列などであってもよい。
【0021】5′−CTAGAAAGGAGGTGAT
AGAATTC 5′−CTAGAAAGGAGGTGAGAATTC 5′−CTAGAAAGGAGGTGAGAATAT 5′−CTAGAAAGGAGGTGAGAAT これらのSD配列を導入すると、僅の発現の差異が認め
られるものの、ベクタープラスミドによる効果が本質的
に損われるものではない。SD配列は、リボソーム結合
部位として機能し、その下流には、開始コドンが存在す
る。
【0022】なお、従来、pUB110のBamHI切
断部位が関与して、何かしらの転写が行なわれているこ
とが知られていた[Bruchner, R.,et al., Gene 32, 15
1-160 (1984)およびCurran, J.F., and Stewart, C.J.,
Virology, 142, 98-111 (1985) ]。しかしながら、こ
の知見を積極的に利用した例はない。このことは、各種
のファクターが転写の強さについて及ぼす影響を正確に
定量化できていなかったことに他ならない。
【0023】前記ペプチド又は蛋白質をコードする遺伝
子を、SD配列およびα−アミラーゼ遺伝子のプロモー
ターと共に、ベクターDNAに前記特定の方向に連結す
ることにより、SD配列の強さに応じてペプチド又は蛋
白質を生産できる。前記プロモーターとしては、例え
ば、枯草菌自体や、バチルス・アミロリクエファシエン
ス、バチルス・リケニホルミスなどの類縁菌のα−アミ
ラーゼ遺伝子のプロモーターなどが挙げられる。
【0024】構造遺伝子の下流、すなわちペプチド又は
蛋白質をコードする遺伝子の3′側に、ターミネーター
が連結されていなくても、ベクターによる効果が特に損
われることはないが、構造遺伝子の下流には、ターミネ
ーターが連結されているのが好ましい。ターミネーター
は、特に限定されず、例えば、枯草菌のアルカリプロテ
アーゼ遺伝子のターミネーターや、これに対応して化学
合成したターミネーターなどであってもよい。
【0025】本発明の高発現ベクターおよびこのベクタ
ーを保有するバチルス属細菌は、種々の方法で構築でき
る。例えば、pUB110を制限酵素BamHIで解裂
し、アルカリホスファターゼで処理する。また、所望の
ペプチド又は蛋白質をコードする遺伝子の5′側にプロ
モーターおよびSD配列を、3′側にターミネーターを
連結し、DNA断片を調製する。このDNA断片をpU
B110のBamHI部位に導入する。なお、前記DN
A断片とBamHI部位とのサイトが合わない場合に
は、両断片を平滑末端としたり、適当な制限酵素リンカ
ーを用いればよい。pUB110にペプチド又は蛋白質
をコードする遺伝子が導入されたキメラプラスミドによ
り、宿主微生物であるバチルス属細菌を形質転換する。
得られた形質転換株から、カナマイシン耐性遺伝子と同
じ方向に前記遺伝子が導入されたプラスミドを選択する
ことにより、前記高発現ベクターを保有するバチルス属
細菌が得られる。
【0026】しかし、この方法では、前記制限酵素によ
る切断部位が、目的とするペプチド又は蛋白質ペプチド
の遺伝子に存在しない場合には、pUB110のBam
HI部位に構造遺伝子を両方向に導入し、得られたキメ
ラプラスミドの中から、目的とするベクターを捜し出す
必要がある。この方法では、目的蛋白質が枯草菌由来の
α−アミラーゼであっても、カナマイシン耐性遺伝子と
同じ方向に遺伝子が導入されたプラスミドを得る確率
は、通常、比較的小さい。すなわち、枯草菌由来の構造
遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子と同じ方向に導入され
たプラスミドは、逆方向に導入されたプラスミドに比べ
て、例えば、1/40程度しか得られない。さらに、枯
草菌以外のペプチド又は蛋白質をコードする遺伝子を導
入すると、枯草菌の生育阻害が顕著となり、目的とする
プラスミドが得られにくくなる。このことを解決するた
めには、例えば、次の2つの方法が採用できる。
【0027】第1の方法では、pUB110をBamH
IおよびEcoRIで切断し、アルカリホスファターゼ
で処理する。一方、所望のペプチド又は蛋白質をコード
する遺伝子の5′側をBamHI部位、3′側をEco
RI部位となるように切断するか、又は合成DNAリン
カーを用いてDNA断片を調製する。そして、pUB1
10のBamHIとEcoRI部位の間に、前記DNA
断片を方向性をもって導入する。なお、この方法におい
て、pUB110を制限酵素BamHIとXbaI、制
限酵素XbaIとEcoRIなどで切断し、上記と同様
にして、目的の遺伝子を方向性を考慮して導入してもよ
い。
【0028】第2の方法では、先ずpUB110を制限
酵素SphIとEcoRIとで切断し、得られた約1キ
ロベースペア(Kbp)の遺伝子断片を、大腸菌のベク
ター、例えば、プラスミドpUC19などのポリリンカ
ーサイトEcoRI−SphI間に導入する。得られた
プラスミドのpUB110に由来する遺伝子のうち、例
えば、BamHI部位に、前記ペプチド又は蛋白質をコ
ードする遺伝子を導入し、宿主大腸菌、例えばHB10
1などを形質転換する。得られた形質転換株からプラス
ミドを調製し、目的の方向に遺伝子が導入されたプラス
ミドを選択する。この際、pUB110上に、カナマイ
シン耐性遺伝子と同じ方向に構造遺伝子が導入されたプ
ラスミドが多量に得られる。例えば、目的の方向に構造
遺伝子が導入されたプラスミドと、逆方向に構造遺伝子
が導入されたプラスミドとの割合は、1:1程度であ
る。
【0029】前記構造遺伝子がクローニングされたプラ
スミドのうち、pUB110に由来する領域を、例え
ば、制限酵素SphIとEcoRIなどのように目的遺
伝子を導入可能な制限酵素で切出す。一方、上記と同じ
制限酵素、例えば、SphIとEcoRIとでpUB1
10を切断し、前記切出したDNA断片と連結し、宿主
であるバチルス属細菌を形質転換する。得られた形質転
換株の殆どは、目的とするペプチド又は蛋白質を多量に
生産できる方向に連結されたプラスミドを保有する。
【0030】前記のようにして得られた高発現ベクター
により、宿主バチルス属細菌を形質転換することによ
り、ペプチド又は蛋白質を多量に生産する微生物が得ら
れる。前記ベクターによるバチルス属細菌の形質転換
は、慣用の方法、例えば、チャン(Chang) らのプロトプ
ラスト化法[Chang, S., et al., Mol. Gen. Genet., 1
68, 111-115 (1979)]などを利用して行なうことができ
る。
【0031】前記宿主微生物は、バチルス(Bacillus
属の微生物であり、その菌株は、遺伝子産物が安定であ
る限り特に制限されない。好ましい宿主は、安全性が高
く、菌体外にペプチド又は蛋白質を多量に分泌するバチ
ルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)である。さら
に、バチルス・ズブチリスの中で、突然変異などの手法
により菌体外へのプロテアーゼ活性を低下させた菌株が
好ましい。このような菌株をプラスミドにより形質転換
する場合には、分子量の小さなペプチドであっても、宿
主由来のプロテアーゼによる分解を抑制できる。
【0032】プロテアーゼ活性の低い枯草菌としては、
例えば、前記バチルス・サブチリス104HL株;バチ
ルス・サブチリスDY−16株(微工研菌寄第9488
号);アルカリプロテアーゼ及び中性プロテアーゼの生
産能を欠き、かつプロテアーゼ活性が野生株の3%以下
である枯草菌に、spo OA△677 変異遺伝子を導入した菌
株などが挙げられる。特に好ましい菌株には、例えば、
特願平1−281440号において、本出願人が提案し
たように、バチルス・サブチリス104HL株にspo OA
△677 変異遺伝子を導入したバチルス・サブチリスSP
011株(微工研菌寄第10987号)、バチルス・サ
ブチリスDY−16株にspo OA△677 変異遺伝子を導入
したバチルス・サブチリスSPL14株(微工研菌寄第
10988号)などが含まれる。
【0033】特にバチルス・サブチリスSPL14株
は、野生株に比べてプロテアーゼ活性が1/5000以
下であり、生産物の安定性が極めて良好であること、ア
ミノ酸要求性を2種類有し、胞子を形成しないため、自
然界における生育が不可能と考えられることから、実験
室における遺伝子組換えだけでなく、有用生産物の工業
生産のための宿主として極めて有用な菌である。
【0034】なお、spo OA変異は、胞子形成の最も初期
の段階において胞子形成を遮断する突然変異である。こ
の変異遺伝子は、枯草菌が熱、紫外線、化学薬品及び乾
燥などに晒された場合、通常自然に生存する形態である
胞子を生成する能力を破壊する。この突然変異を起す具
体的な方法として、KNO3 をN源とする培地で、対数
増殖期末期に達した枯草菌の細胞を繰り返し継代培養す
る方法が知られている(別冊蛋白質核酸酵素、細菌ファ
ージ遺伝実験法、第213 頁 (1972) )。
【0035】前記ペプチド又は蛋白質は、前記形質転換
されたバチルス属細菌を培養することにより得られる。
形質転換されたバチルス属細菌の培養は、慣用の液体培
養に準じて行なうことができる。すなわち、形質転換株
の培養は、慣用の成分、例えば、無機塩、炭素源、窒素
源、増殖因子成分などを含む液体培地で、振盪培養又は
通気撹拌培養法により行なうことができる。培地のpH
は、例えば、7〜8程度である。培養は、微生物の培養
に採用される通常の条件、例えば、温度15〜45℃、
好ましくは25〜40℃、培養時間6〜60時間程度の
条件で行なうことができる。
【0036】なお、宿主微生物が生産したペプチド又は
蛋白質の分離精製は、慣用の方法、例えば、塩析、溶媒
沈澱法、透析法、限外濾過法、ゲル濾過法、SDS−ア
ガロースゲル電気泳動法、SDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動法、電気溶出(electro elution) 法、イオ
ン交換クロマトグラフィー法、アフィニティークロマト
グラフィー法、逆相高速液体クロマトグラフィー法や、
これらを組合せた方法で行なうことができる。ペプチド
などが菌体内やペリプラズムに蓄積される場合には、慣
用の方法、例えば、菌体を破砕し、前記分離精製に供す
ることにより、ペプチド又は蛋白質を得ることができ
る。
【0037】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下
の実施例により限定されるものではない。
【0038】実施例1 アッセイ系としてα−アミラーゼ遺伝子を選び、分泌生
産されるα−アミラーゼの量を指標として、高発現の分
泌ベクターを構築した。 (1)バチルス・サブチリスSPL14株の作製spo OA遺伝子及びリンコマイシン耐性遺伝子(以下、L
inr と称する)を有する枯草菌として知られているバ
チルス・サブチリスATCC39096株を、表1に示
すLB培地を用いて37℃で対数増殖期まで振盪培養し
た。
【0039】
【表1】 培養液50ml中の菌体を集め、斉藤・三浦の方法[H.
Saito, K. Miura, Biochem. Biophis. Acta, 72, 619
(1963)]により染色体DNAを抽出精製した。
【0040】得られた染色体DNAを用いてコンピテン
トセル形質転換法によりバチルス・サブチリスDY−1
6株を形質転換した。形質転換した枯草菌を、ヒスチジ
ンを50mg/l含む最小寒天培地にまき、37℃で4
8時間培養した。胞子形成能欠損株を、以下の指標に従
って選択した。
【0041】1.胞子形成培地に植菌し、そのコロニー
がメラニン色素生産能を失ったこと 2.80℃、10分の熱処理に耐性を示すこと 3.顕微鏡検査により胞子形成を認めないこと 以下の方法でプロテアーゼ活性を測定し、得られた胞子
欠損株173株のうち最もプロテアーゼ活性の低下した
株を選出した。
【0042】先ず、1%カゼインを含むLB寒天平板培
地に、それぞれの胞子欠損形質転換株と、バチルス・サ
ブチリスDY−16株を別々に植菌し、37℃で24時
間培養した。菌体が分泌するプロテアーゼによりカゼイ
ンが分解されるので、カゼインの分解に伴なって形成さ
れる菌体の周りのハローの大きさを指標として、親株で
あるバチルス・サブチリスDY−16株よりもプロテア
ーゼ生産能が低下した40株を分離した。
【0043】さらに、これらの株をLB培地で液体培養
し、その培養上清に存在するプロテアーゼ活性を、FI
TC−カゼイン(ジクマ社)を基質として測定した。す
なわち、バチルス・ズブチリスDY−16及びプロテア
ーゼ活性が低下した形質転換株40株をそれぞれ、LB
培地10mlを用いて一晩培養し、その培養液1mlを
遠心分離し、その上清をプロテアーゼ酵素液とした。
【0044】酵素液50μlと、0.2μgのFITC
−カゼインとを、10mMのトリス−塩酸(pH7.
5)および2mMのCaCl2 の緩衝液中(200μ
l)で37℃で2時間反応した。反応液に200μlの
7.5%トリクロロ酢酸を添加し、遠心分離した後、そ
の上清100μlに、500mMトリス−塩酸(PH
8.5)900μlを添加し、プロテアーゼ活性を、螢
光光度計を用い、波長600nmでの光学濃度(OD
600 )により測定した。
【0045】なお、プロテアーゼ活性(PUD)は、3
7℃、pH7.5において、カゼインから1分間に1μ
モルのチロシンTyrに相当するトリクロロ酢酸可溶性
ペプチドを遊離する酵素量を1PUDとして、算出し
た。その結果、プロテアーゼ活性が親株バチルス・サブ
チリスDY−16株に比べ極端に低下した4株(バチル
ス・サブチリスSPL9,11,14,39)を得た。
【0046】これら4株のプロテアーゼ活性をさらに詳
しく測定した。バチルス・サブチリスDY−16株及び
プロテアーゼ活性が低下した形質転換株4株を10ml
のLB培地で18時間培養した後、50mlのMedi
um A培地に菌体を移し、培養24時間及び48時間
後の培養上清中のプロテアーゼ活性を測定した。その結
果を表2に示す。
【0047】
【表2】 得られたこれらの株は、親株に比べプロテアーゼ活性が
1/20以下と低いことが確認された。特にバチルス・
サブチリスSPL14株は、プロテアーゼ活性が低い。
また、いずれの株においてもヒスチジンとロイシンに対
する要求性を有しており、遺伝子組換え実験における宿
主として要求される複数の栄養要求性を確認した。これ
らの菌株は、ペプチドを効率よく生産できる宿主とし
て、安全かつ有効に用いることができる。 (2)α−アミラーゼ遺伝子のプローモーターの合成 以下のような枯草菌α−アミラーゼ遺伝子のプローモー
ター配列をそれぞれ化学合成し、両遺伝子をアニーリン
グした後、pUC118のEcoRI−XbaIの間に
挿入し、図2に示すようにプラスミドpMD3003を
構築した。
【0048】 5'- AATTCAGGATCCTTGATTTGTATTCACTCTGCCAAGTTGT TTTGATAGAGTGATTGTGATAATTTAAAATGTAAGCGTGAACAA AATTCTCCAGT-3' 5'-ACTGGAGAATTTTGTTCACGCTTACATTTTAAATTATCAC AATCACTCTATCAAAACAACTTGGCAGAGTGAATACAAATCAAGG ATCCTG-3' (3)SD配列の合成 枯草菌のα−アミラーゼ遺伝子及び黄色ブドウ球菌由来
のプロテインA遺伝子のSD配列、及び枯草菌16Sリ
ボソームRNA(rRNA)の配列を参考として、以下
の塩基配列で表されるSD配列を、ABI社DNA合成
装置を用いて合成した。なお、遺伝子の5′側にはプロ
ーモーターとの連結部位であるXbaI部位を、3′領
域にはα−アミラーゼ遺伝子のシグナル配列との連結部
位であるNruI部位を導入した。下記配列の下線部は
SD配列を示す。
【0049】 CTAGAAAGGAGGTGATCTAGAATTCATGTTCG TTTCCTCCACTACATCTTAAGTACAAGC (4)α−アミラーゼ遺伝子 バチルス・サブチリス1A412株[オハイオ州立大学
のバチルス・ジェネティク・ストック・センター(Baci
llus Genetic Stock Center)(BGSC)より入手した]から
前記斉藤・三浦の方法により調製した染色体DNA10
μgを、100μlのSau3AI溶液[10mMのト
リス−塩酸(pH7.5)、7mMのMgCl2 、10
0mMのNaCl)に溶解し、制限酵素Sau3AIを
1単位加え、37℃で10分間反応させ、フェノール溶
液[フェノールをTE緩衝液(10mMのトリス−塩酸
(pH8.0)、1mMのEDTA)で飽和したもの]
を添加し、反応を停止した後、エタノール沈澱物とし
て、枯草菌染色体DNAのSau3AIの部分分解物を
得た。
【0050】一方、1μgの枯草菌ベクターpUB11
0を、BamHI溶液[10mMのトリス−塩酸(pH
8.0)、7mMのMgCl2 、100mMのNaC
l、2mMの2−メルカプトエタノール、0.01%の
牛血清アルブミン(BSA)]中で5単位の制限酵素B
amHIと37℃で1時間反応させ、フェノール溶液で
処理した後、エタノール沈澱物をpUB110のBam
HI分解物として得た。
【0051】次いで、得られた上記二つのDNA断片の
リゲーションを行った。すなわち、上記のようにして調
製したそれぞれのDNA断片を、10μlのリゲーショ
ン溶液[66mMのトリス−塩酸(pH7.6)、6.
6mMのMgCl2 、10mMのジチオスレイトール
(DTT)、および0.1mMのアデノシン三リン酸
(ATP)]に溶解した後、混合し、T4 DNAリガー
ゼ10単位を添加し、20℃で1時間反応を行った。
【0052】このDNA溶液を用いて、バチルス・サブ
チリス1A289株(BGSCより入手)をプロトプラ
スト化法(Chan, S., Cohen, N., Molec, gen. Genet.,
168, 111-115 (1979) )により形質転換した。
【0053】形質転換株を寒天培地で培養し、カナマイ
シン耐性を示す約2万個のコロニーが得られ、寒天平板
培地上でのヨード・デンプン反応により、このうち1株
が菌体外にα−アミラーゼを分泌生産していることが確
認された。
【0054】この株からプラスミドDNAを分離し、制
限酵素による解析を行なったところ、図3に示すような
制限酵素地図が得られ、前記プラスミドをpDCA10
0と命名した。pDCA100は、pUB110のBa
mHI部位に3.1KbのSau3AI断片が挿入され
た7.6Kbのプラスミドである。前記3.1KbのS
au3AI断片の中には、枯草菌由来のα−アミラーゼ
遺伝子[Yamazaki, H.et al., J. Bacteriol., 156 , 3
27 (1984)]と全く同じ制限酵素パターンが認められた
ことから、α−アミラーゼ遺伝子がクローニングされて
いることが確認された。
【0055】pDCA100のα−アミラーゼ遺伝子と
同一と考えられるα−アミラーゼ遺伝子が導入された菌
株は、アメリカ合衆国オハイオ大学バチルス・ジェネテ
ック・ストック・センター(BGSC)にECE35株
として登録されている。 (5)α−アミラーゼ遺伝子とSD配列の連結 クローニングされたα−アミラーゼ遺伝子と合成SD配
列とを、以下の塩基配列で表される合成遺伝子を介して
連結した。
【0056】 5'-CGAAACGATTCAAAACCTCTTTACTGCCGTTATTTGCTGGA TTTTTATTGCTGTTTTATTTGGTTCTGGCAGGAC-3' 5'-CGGTCCTGCCAGAACCAAATAAAACAGCAATAAAAATCCA GCAAATAACGGCAGTAAAGAGGTTTTGAATCGTTTCG-3' この合成遺伝子は、α−アミラーゼ遺伝子のシグナル配
列部分のアミノ酸配列(Yamazaki, H. et al., J. Bact
eriol., 156 , 327 (1984))に従って塩基配列を決定
し、化学合成した。常法に従って精製した後、アニーリ
ングし、合成DNAリンカーとした。 (6)ターミネーターの作製 枯草菌のアルカリプロテアーゼ遺伝子のターミネーター
を参考として、以下のターミネーターをそれぞれ合成し
た。なお、5′末端側には、BglII部位を、3′末
端側にはSphI部位を設けた。また、3′末端のすぐ
近くにはBamHI部位を設けた。合成した後、両合成
遺伝子をアニーリングし、ターミネーター断片とした。
【0057】 5'-GATCTATAAAAAGAAGCAGGTTCCTCCATACCTGCTTCTTT TTATTTGTCAGCATCCTGATGTTGGATCCGCATG-3' 5'-CGGATCCAACATCAGGATGCTGACAAATAAAAAGAAGCAGG TATGGAGGAACCTGCTTCTTTTTATA-3' (7)SD配列、α−アミラーゼ遺伝子、ターミネータ
ーの連結 SD配列、α−アミラーゼ遺伝子、ターミネーターを、
図4に示すように連結し、プラスミドpMD3062を
得た。すなわち、DNA合成したSD配列、リンカーD
NA、ターミネーター断片をDNAキナーゼを用いてカ
イネーションした。α−アミラーゼ遺伝子は、pDCA
100から、HpaII−EcoRI断片、EcoRI
−BclI断片として回収した。これらの遺伝子と、ア
ルカリホスファターゼ処理したpUC19のXbaI−
SphI切断断片と、α−アミラーゼ遺伝子部分を混合
し、DNAリガーゼを用いて連結し、大腸菌HB101
株を形質転換した。得られたアンピシリン耐性形質転換
株の中から、目的とするプラスミドpMD3062を得
た。 (8)pMD3082B1の構築とα−アミラーゼの生
産 プラスミドpMD3082B1の構築図を図5に示す。
【0058】先ず、pMD3003を制限酵素BamH
IとXbaIとで切断し、プローモーターを切り出し
た。また、pMD3062をXbaIとBamHIとを
用いて切断し、SD配列からターミネーターまでの領域
を含むα−アミラーゼ遺伝子部分を得た。そして、これ
らの遺伝子を、アルカリホスファターゼ処理したpUB
110のBamHI消化物と混合し、DNAリガーゼを
用いて連結し、バチルス・サブチリスSPL14株をプ
ロトプラスト化法により形質転換した。
【0059】得られたカナマイシン耐性形質転換株の中
から、α−アミラーゼ生産能を示す200株の形質転換
株を分離した。これらの形質転換株の中から、α−アミ
ラーゼ遺伝子の方向性の異なる2種類のプラスミドが得
られた。pUB110中のカナマイシン耐性遺伝子と同
じ方向で遺伝子が導入されたプラスミドをpMD308
2B1、その逆方向に導入されたプラスミドをpMD3
082B2とした。それらの構成比は前者:後者=1:
40であった。
【0060】次いで、これらのプラスミドを有するバチ
ルス・サブチリスSPL14株を12時間浸透培養し、
得られたα−アミラーゼ活性を比較検討したところ、p
MD3082B1の方がpMD3082B2よりも約3
倍のα−アミラーゼを生産し、培養12時間後には20
00ユニット/mlのα−アミラーゼを生産した(表3
参照)。なお、α−アミラーゼ活性は、不破らの方法
(Fuwa, H., J. Biochem, 41, 583-603 (1954))に従っ
て測定した。
【0061】
【表3】(9)プローモーターを除去したときのα−ア
ミラーゼ活性 pMD3082B1をXbaIで切断し、SD配列、α
−アミラーゼ遺伝子、ターミネーター遺伝子部分を回収
し、制限酵素XbaIで切断したpUC118のXba
I切断部位に連結した。α−アミラーゼ遺伝子の5′側
に、pUC118に存在するポリリンカー部位であるB
amHI部位を位置させて連結したプラスミドをpMD
30001とした。
【0062】このpMD30001を、制限酵素Bam
HIにより切断することにより、プローモーターが存在
しないα−アミラーゼ遺伝子を回収できる。そこで、p
MD3001をBamHIで切断した後、アルカリホス
ファターゼで処理したpUB110のBamHI切断断
片と混合し、DNAリガーゼを用いて連結した後、バチ
ルス・サブチリスSPL14株を形質転換した。得られ
たカナマイシン耐性形質転換株を培養し、それぞれプラ
スミドDNAを調製し、α−アミラーゼ遺伝子の方向性
を調べたところ、pUB110にα−アミラーゼ遺伝子
がカナマイシン耐性遺伝子と同じ方向に導入されたプラ
スミドpMD3082B1△と、逆方向に導入されたp
MD3082B2△を得た。プラスミドpMD3082
B1△およびpMD3082B2△の構築図を図6に示
す。
【0063】それぞれのプラスミドを保有するバチルス
・サブチリスSPL14株を培養し、得られた培養濾液
中のα−アミラーゼ活性を調べたところ、表4に示す結
果を得た。すなわち、pMD3082B2△を保有する
バチルス・サブチリスSPL14株は、培養12時間後
にα−アミラーゼを10ユニットしか生産せず、プラス
ミドを保有していないSPL14株の生産するα−アミ
ラーゼ活性と変りがなかった。一方、pMD3082B
1△を有するバチルス・サブチリスSPL14株は、培
養12時間後にα−アミラーゼを800ユニット/ml
生産した。
【0064】
【表4】 実施例2 プラスミドpUB110を制限酵素SphIおよびEc
oRIで切断し、SphI部位からEcoRI部位まで
の小さな約1Kbpの断片を得た。プラスミドpUC1
9を制限酵素SphIおよびEcoRIで切断し、pU
C19のポリリンカーサイトに、DNAリガーゼを用い
て前記約1Kbpの断片を導入し、プラスミドpUC1
9−110Bを構築した。プラスミドpUC19−11
0Bの構築図を図7に示す。
【0065】このプラスミドベクター上のpUB110
部分に存在するBamHI部位を酵素BamHIにより
解裂し、アルカリホスファターゼ処理した。また、前記
pMD3082B1からα−アミラーゼ遺伝子部分を制
限酵素BamHIで切断し回収した。両遺伝子断片を混
合し、リガーゼにより連結し、大腸菌HB101株を形
質転換した。
【0066】得られたアンピシリン耐性を有する形質転
換株から、プラスミドを調製し、遺伝子の導入方向を調
べたところ、供試48株のうち23株が、目的の方向に
遺伝子が導入されたプラスミドを有していた。
【0067】得られたプラスミドを、制限酵素SphI
とEcoRIとで切断し、DNA断片を調製した。ま
た、pUB110を制限酵素SphIとEcoRIとで
切断し、DNAリガーゼを用いて、前記DNA断片と連
結することにより、遺伝子を、目的のカナマイシン耐性
遺伝子と同じ方向に100%導入できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベクタープラスミドpUB110の概略制限酵
素地図である。
【図2】プラスミドpMD3003の構築図である。
【図3】プラスミドpDCA100の制限酵素地図であ
る。
【図4】プラスミドpMD3062の構築図である。
【図5】プラスミドpMD3082B1の構築図であ
る。
【図6】プラスミドpMD3082B1△及びpMD3
082B2△の構築図である。
【図7】プラスミドpUC19−110Bの構築図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:125) C12R 1:125) (C12N 9/28 (C12N 9/28 C12R 1:125) C12R 1:125)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともpUB110のSphI切断
    部位からBamHI切断部位までの塩基配列を含むpU
    B110由来のベクターであって、BamHI切断部位
    またはその近傍に、SphI切断部位からBamHI切
    断部位への方向に、SD(Shine-Dalgarno)配列を有す
    るペプチド又は蛋白質をコードする遺伝子が連結されて
    いると共に、前記SD配列の5′側にα−アミラーゼ遺
    伝子のプロモーターが連結されている高発現ベクター。
  2. 【請求項2】 ペプチド又は蛋白質をコードする遺伝子
    の3′側にターミネーターが連結されている請求項1記
    載の高発現ベクター。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の高発現ベクター
    を保有するバチルス属細菌。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のバチルス属細菌を培養
    し、産生したペプチド又は蛋白質を回収するペプチド又
    は蛋白質の製造方法。
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